説明

収容物管理システム

【課題】返却後は当該収容物と新たな収容箱との関連付けを新たに設定して管理することにより収容箱に収容する収容物数を平準化して偏りを解消することができる収容物管理システムを提供する。
【解決手段】この書類管理システム50は、管理情報を記録した書類用RFIDタグ6を付した複数の書類5a〜5cと、ファイル特定情報を記録したファイル箱用RFIDタグ3を取り付け複数の書類5a〜5cを収納するファイル箱2と、ファイル箱用RFIDタグ3、及び書類用RFIDタグ6との間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダライタ7と、ファイル箱2に係るファイル特定情報とファイル箱2に収納された書類5に係る管理情報とを関連付けて記録したデータベース12を有するサーバ11と、リーダライタ7を制御するPC8と、PC8とサーバ11を接続するネットワーク10と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容物管理システムに関し、さらに詳しくは、収容箱単位に管理された収容物が一旦貸し出された後で返却される場合に、任意の空いている収容箱に返却できるようにして、収容箱への収容物の収容数を平準化する収容物管理技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の書類管理システムにおいては、収容箱単位に収納すべき書類を規定し、書類が貸し出された後で返却する場合には元の収容箱に戻すように管理、構成するのが一般であった。
即ち、収容箱毎に識別番号等を付し、各収容箱ごとに収納する書類を予め決めておき、利用者が特定の書類を借りた後で返却する時には再び同じ収容箱に書類を戻す必要があった。
近年では、これらの管理を自動化するために、収容箱と各書類に夫々RFIDタグを取り付け、収容箱と、その収容箱に収容されるべき書類を関連付けてコンピュータにより管理している。しかし、上記従来の管理方法によれば、元の収容箱を探してそこに書類を元通り収容する必要があった。この返却に際して仮に、収容すべき収容箱が満杯で他の収容箱が空いていたとしても、満杯の元の収容箱に戻す必要があった。このため、同じキャビネット内に満杯の収容箱と余剰収容スペースを有した収容箱とが混在した状態となり、書類収納数に偏りが発生していた。その結果、キャビネット内のスペースを有効に使用することができなくなり、また、外観的にも整理されたキャビネットといったイメージを損なっていた。更に、返却時に元の収容箱を探すといった手間が煩わしかった。
尚、従来技術として特許文献1には、文書管理システム全体で如何に効率良く、しかもユーザに予想通りの文書情報をどのようにしたら得られるかを検索可能とした文書管理装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−157727公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、RFIDタグと文書、RFIDタグと人とを関連付けて、どの文書をどのユーザが良く利用しているかを管理することはできるが、文書の保管状態を管理することは困難である。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、収容箱と当該収容箱に収容する収容物を関連付けて管理しておき、収容箱から収容物が取り出された場合、当該収容箱と収容物との関連付けを解除することにより、返却後は当該収容物と新たな収容箱との関連付けを新たに設定して管理することにより収容箱に収容する収容物数を平準化して偏りを解消することができる収容物管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、管理情報を記録した非接触情報記録媒体を付した収容物と、収容箱に係る特定情報を記録した非接触情報記録媒体を付し且つ複数の前記収容物を収容する収容箱と、前記各非接触情報記録媒体との間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダ又はリーダライタと、前記収容箱に係る特定情報と前記管理情報とを関連付けて記録したデータベースを有するサーバと、前記リーダ又はリーダライタを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記リーダ又はリーダライタにより読取られた管理情報に基づいて前記収容箱から特定の収容物が取り出されたと判断した場合、該特定の収容物と該収容箱との関連付けを解除するように前記サーバに通報し、他の収容箱に前記収容物を収容した場合に他の収容箱との関連付けを行うことを特徴とする。
従来の収容物管理システムでは、収容箱と当該収容箱に収容されている収容物とを一義的に関連付けて管理している。従って、収容箱から収容物を取り出した場合でも関連付けはそのままとして保持するため、必ず同じ収容箱に戻す必要があった。本発明では、収容箱と当該収容箱に収容されている収容物とを関連付けて管理しているが、収容箱から取り出された場合は、その収容物と収容箱との関連付けを解除する。そして、収容物を返却するときは、任意の収容箱に返却可能とする。これにより、収容箱に収容する収容物数を平準化して偏りを解消することができると共に、利便性を向上させることができる。
【0006】
請求項2は、前記制御部は、前記収容箱から収容物を取り出す前と取り出した後の収容物に係る管理情報の差異を演算し、該演算により差異が生じた場合は貸出物ありとして前記データベースに記録し、前記収容箱に収容物を返却する前と返却した後の収容物に係る管理情報の差異を演算し、該演算により差異が生じた場合は返却物ありとして前記データベースに記録することを特徴とする。
収容物の貸出と返却において、どの収容物を貸出し、どの収容物が返却されたかを判断するためには、貸出時には、収容箱から収容物を取り出す前と後の収容箱の中身の差異を演算すればわかる。また、返却時には、収容箱に収容物を返却する前と後の収容箱の中身の差異を演算すればわかる。そして、その演算結果を貸出と返却に係る収容物としてデータベースに記録する。これにより、どの収容箱から貸し出されて、どの収容箱に返却されたかを追跡することができる。
請求項3は、前記制御部は、前記演算の結果が正負何れかにより、貸出収容物、又は返却収容物として判断することを特徴とする。
制御部では、収容箱に収容された収容物を、貸出時と返却時でイニシャル状態と動作終了状態の2回リーダライタにより読み取り、その差異を演算する。例えば、貸出時に、イニシャル状態が(ABC)で動作終了状態が(AB)であったとすると、(ABC)−(AB)=Cとなる。即ち、イニシャル状態から収容物が減少しているので、差異を演算すると値が正となる。また、例えば、返却時に、イニシャル状態が(AB)で動作終了状態が(ABC)であったとすると、(AB)−(ABC)=−Cとなる。即ち、返却時は、イニシャル状態から収容物が増加しているので、差異を演算すると値が負となる。これにより、演算結果が正負何れかにより、貸出物、又は返却物として判断することができる。
【0007】
請求項4は、前記サーバは、前記管理情報が更新された履歴を前記収容箱に係る特定情報と関連付けて前記データベースに記録することを特徴とする。
データベースに記録されている管理情報は、収容箱がリーダ又はリーダライタに近接されて、収容箱特定情報と管理情報が読取られる度にデータが更新される。サーバは、これらの情報を時系列に記録しておく。その結果、管理情報が更新される履歴が収容箱特定情報と関連付けられて記録される。これにより、収容物の移動履歴が明確となり、最新状態を常に把握することができる。
請求項5は、前記サーバは、前記収容物の棚卸を実行する場合、前記データベースに記録されている管理情報の履歴の中で最新の管理情報を使用することを特徴とする。
データベースには、管理情報の履歴が記録されている。従って、履歴の最も新しい情報が現在の収容箱に収納されている収容物であることが分かる。即ち、定期的に行われる棚卸時には、データベースの最新情報を集合した結果が、現在の収容物の管理状態である。従って、全体の収容物から最新情報の集合を引いた結果が、まだ返却されていない収容物と見做すことができる。これにより、棚卸結果を確実に、且つ迅速に実施することが可能となり、未返却の収容物を追跡することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、収容箱と当該収容箱に収容されている収容物とを関連付けて管理しているが、収容箱から取り出された場合は、その収容物と収容箱との関連付けを解除する。そして、収容物を返却するときは、任意の収容箱に返却可能とするので、収容箱に収容する収容物数を平準化して偏りを解消することができると共に、利便性を向上させることができる。
また、演算結果を貸出と返却に係る収容物としてデータベースに記録するので、どの収容箱から貸し出されて、どの収容箱に返却されたかを追跡することができる。
また、貸出時と返却時でイニシャル状態と動作終了状態の2回リーダライタにより読み取り、その差異を演算するので、演算結果が正負何れかにより、貸出収容物、又は返却収容物として判断することができる。
また、管理情報が更新される履歴が収容箱特定情報と関連付けられて記録されるので、収容物の移動履歴が明確となり、最新状態を常に把握することができる。
また、履歴の最も新しい情報が現在の収容箱に収納されている収容物であることが分かるので、棚卸結果を確実に、且つ迅速に実施することが可能となり、未返却の収容物を追跡することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は、ファイル箱に複数の書類を収納する様子を示す図、(b)は複数のファイル箱をキャビネットに収納した様子を示す図である。
【図2】本発明に係る書類管理システムの構成を示すブロック図である。
【図3】データベースに記録されたファイル特定情報と管理情報の関連付けを説明する模式図である。
【図4】貸出操作の一例を説明するフローチャートである。
【図5】返却操作の一例を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の書類管理システムにおいて、各ファイル箱間での貸出及び返却の例を模式的に説明する図である(未返却書類なし)。
【図7】本発明の書類管理システムにおいて、各ファイル箱間での貸出及び返却の例を模式的に説明する図である(未返却書類あり)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1(a)は、ファイル箱に複数の書類を収納する様子を示す図、(b)は複数のファイル箱をキャビネットに収納した様子を示す図である。図1(a)では、1つのファイル箱(収容箱)2には、ファイル箱2を特定するためのファイル特定情報(収容箱特定情報)が記録されたファイル箱用RFIDタグ(非接触情報記録媒体)3が取り付けられている。ここでファイル特定情報として、例えば、ファイル番号等が記録されている。また、各書類(収容物)(A〜C)5a〜5cには、それぞれの管理情報を記録した書類用RFIDタグ(非接触情報記録媒体)6a〜6cが取り付けられている。管理情報としては、書類名、作成日、作成者等が記録され、複数枚に亘る場合は、それらを綴じて表紙に書類用RFIDタグ6を取り付けても良い。そして、書類(A〜C)5a〜5cは、ファイル箱2に収納され、ファイル箱2と書類(A〜C)5a〜5cが関連付けられる。尚、ファイル箱用RFIDタグ3及び書類用RFIDタグ6の取り付け位置は、図の位置に限定することなく、他の場所でも構わない。
図1(b)では、各書類を収納したファイル箱2を台座4に設置されたキャビネット1に収納している。この場合は、正面からファイル箱の名称或いは番号が視認できるように、タグ13をファイル箱の背に取り付けている。
【0011】
図2は本発明に係る書類管理システムの構成を示すブロック図である。この書類管理システム(収容物管理システム)50は、管理情報を記録した書類用RFIDタグ6を付した複数の書類5a〜5cと、ファイル特定情報を記録したファイル箱用RFIDタグ3を取り付け複数の書類5a〜5cを収納するファイル箱2と、ファイル箱用RFIDタグ3、及び書類用RFIDタグ6との間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダライタ(R/W)7と、ファイル箱2に係るファイル特定情報とファイル箱2に収納された書類5に係る管理情報とを関連付けて記録したデータベース(以下、DBと記す)12を有するサーバ11と、リーダライタ7を制御するPC(制御部)8と、PC8とサーバ11を接続するネットワーク10と、を備えて構成されている。尚、PC8には、書類が収納されているファイル箱を検索するためのデータを入力する入力手段9が接続されている。また、リーダライタ7の代わりに読み取り専用のリーダでも構わない。
【0012】
ここで、PC8は、リーダライタ7により読取られた管理情報に基づいてファイル箱2から、例えば1つの書類5aが取り出されたと判断した場合、取り出された書類5aとファイル箱2との関連付けを解除するように、ネットワーク10を介してサーバ11に通報し、ファイル箱2に限らず、他の任意のファイル箱に取り出した書類5aを返却可能とするように制御する(詳細は後述する)。
即ち、従来の書類管理システムでは、ファイル箱と当該ファイル箱に収納されている書類とを一義的に関連付けて管理している。従って、ファイル箱から書類を取り出した場合でも関連付けはそのままとして保持するため、必ず同じファイル箱に戻す必要があった。本実施形態では、ファイル箱2と当該ファイル箱2に収納されている書類5a〜5cとを関連付けて管理しているが、ファイル箱2から書類5aが取り出された場合は、その書類5aとファイル箱2との関連付けを解除する。そして、書類5aを返却するときは、任意のファイル箱に返却可能とするように制御する。これにより、ファイル箱2に収納する書類数を平準化して偏りを解消することができると共に、利便性を向上させることができる。
【0013】
図3はデータベースに記録されたファイル特定情報と管理情報の関連付けを説明する模式図である。DB12には、ファイル箱と、そのファイル箱に収納されている書類とを関連付けるために、各書類ごとの管理情報21と、貸出履歴22と、返却履歴23が更新履歴順に記録される。図では、ファイル箱として、1〜4、更新履歴として、1〜4までが記録されている。例えば、ファイル箱1には、更新履歴1に、管理情報21が「ABC」と記録され、更新履歴2に、管理情報21が「AB」、貸出履歴22が「C」と記録され、更新履歴3に、管理情報21が「AB」と記録され、更新履歴4に、管理情報21が「ABC」、返却履歴23が「C」と記録される。即ち、この更新履歴から、ファイル箱1に書類「ABC」が収納されており(更新履歴1)、その中から書類「C」が貸し出され(更新履歴2)、その結果、ファイル箱1には書類「AB」が残り(更新履歴3)、ファイル箱1に書類「C」が返却されて最終的にファイル箱1には書類が「ABC」となっている(更新履歴4)ことが記録されている。
【0014】
また、ファイル箱2には、更新履歴1に、管理情報21が「DEF」と記録され、更新履歴2に、管理情報21が「DF」、貸出履歴22が「E」と記録され、更新履歴3に、管理情報21が「DF」と記録され、更新履歴4に、管理情報21が「DFI」、返却履歴23が「I」と記録される。即ち、この更新履歴から、ファイル箱2に書類「DEF」が収納されており(更新履歴1)、その中から書類「E」が貸し出され(更新履歴2)、その結果、ファイル箱2には書類「DF」が残り(更新履歴3)、ファイル箱2にファイル箱4に収納されていた書類「I」が返却されて最終的にファイル箱2には書類が「DFI」となっている(更新履歴4)ことが記録されている。
また、ファイル箱3には、更新履歴1に、管理情報21が「GH」と記録され、更新履歴2に、管理情報21が「EGH」、返却履歴23が「E」と記録される。即ち、この更新履歴から、ファイル箱3に書類「GH」が収納されており(更新履歴1)、その中にファイル箱2の書類「E」が返却され(更新履歴2)、その結果、ファイル箱3には書類「EGH」となっている(更新履歴2)ことが記録されている。
また、ファイル箱4には、更新履歴1に、管理情報21が「IJ」と記録され、更新履歴2に、管理情報21が「J」、貸出履歴22が「I」と記録される。即ち、この更新履歴から、ファイル箱4に書類「IJ」が収納されており(更新履歴1)、その中からファイル箱4の書類「I」が貸し出され(更新履歴2)、その結果、ファイル箱4には書類「J」となっている(更新履歴2)ことが記録されている。
即ち、DB12に記録されている管理情報21は、ファイル箱がリーダライタ7に近接されて、ファイル特定情報と管理情報が読取られる度にデータが更新される。サーバ11は、これらの情報を時系列に記録しておく。その結果、管理情報が更新される履歴がファイル特定情報と関連付けられて記録される。これにより、書類の移動履歴が明確となり、最新状態を常に把握することができる。
【0015】
図4は貸出操作の一例を説明するフローチャートである。また、フローチャートの横にデータベースの内容を一例として記載する。
まず利用者は、PC8の入力手段9から必要な書類名(或いは番号等)を入力して、どのファイル箱に収納されているかを検索する(S1)。即ち、サーバ11は、入力された書類名からDB12を検索して、更新履歴が最新の管理情報の中に、入力された書類名に該当する管理情報を探す。検索が終了すると、サーバ11はネットワーク10を介してPC8に検索結果を送信する。その情報は、PC8に備えられたディスプレイ等に表示する。次に利用者は、検索されたファイル箱をリーダライタ7に近接して、ファイル特有情報と管理情報を読み取る(1回目の読み取り動作)(S2)。例として、ファイル箱1が検索されると、DB12の管理情報21の更新履歴1に「ABC」が記録される。次に利用者はファイル箱1から必要な書類(例えば、書類C)を取り出す(S3)。書類Cを取り出した後に、ファイル箱1をリーダライタ7に近接して、ファイル特有情報と管理情報を読み取る(2回目の読み取り動作)(S4)。PC8は1回目の情報「ABC」から2回目の情報「AB」を演算(この場合は減算)する(S5)。演算結果として「C」が導かれ、それが貸出書類として図3のDB12の貸出情報22の更新履歴2に記録する(S6)。そして、ステップS4の2回目の読み取り内容「AB」を、図3のDB12の管理情報21の更新履歴3に記録する(S7)。
【0016】
図5は返却操作の一例を説明するフローチャートである。また、フローチャートの横にデータベースの内容を一例として記載する。
まず利用者は、空いているファイル箱を探して、そのファイル箱をリーダライタ7に近接して、ファイル特有情報と管理情報を読み取る(1回目の読み取り動作)(S11)。例として、ファイル箱1が検索されると、DB12の管理情報21の更新履歴3に「AB」が記録される。次に利用者はファイル箱1に返却する書類(例えば、書類C)を返却する(S12)。書類Cを返却した後に、ファイル箱1をリーダライタ7に近接して、ファイル特有情報と管理情報を読み取る(2回目の読み取り動作)(S13)。PC8は1回目の情報「AB」から2回目の情報「ABC」を演算(この場合は減算)する(S14)。演算結果として「−C」が導かれ、それが返却書類として図3のDB12の返却情報23の更新履歴4に記録する(S15)。そして、ステップS13の2回目の読み取り内容「ABC」を、図3のDB12の管理情報21の更新履歴4に記録する(S16)。
即ち、書類の貸出と返却において、どの書類を貸出、どの書類が返却されたかを判断するためには、貸出時には、ファイル箱2から書類5を取り出す前と後のファイル箱2の中身の差異を演算すればわかる。また、返却時には、ファイル箱2に書類5を返却する前と後のファイル箱2の中身の差異を演算すればわかる。そして、その演算結果を貸出と返却に係る書類としてDB12に記録する。これにより、どのファイル箱2から貸し出されて、どのファイル箱に返却されたかを追跡することができる。
【0017】
また、PC8では、ファイル箱2に収納された書類を、貸出時と返却時でイニシャル状態と動作終了状態の2回リーダライタ7により読み取り、その差異を演算する。例えば、貸出時に、イニシャル状態が(ABC)で動作して終了状態が(AB)であったとすると、(ABC)−(AB)=Cとなる。即ち、イニシャル状態から書類が減少しているので、差異を演算すると値が正となる。また、例えば、返却時に、イニシャル状態が(AB)で動作終了状態が(ABC)であったとすると、(AB)−(ABC)=−Cとなる。即ち、返却時は、イニシャル状態から書類が増加しているので、差異を演算すると値が負となる。これにより、演算結果が正負何れかにより、貸出書類、又は返却書類として判断することができる。
【0018】
図6は本発明の書類管理システムにおいて、各ファイル箱間での貸出及び返却の例を模式的に説明する図である。図6は貸出及び返却が正常に行われた場合の図である。縦軸に書類用RFIDタグの管理情報を示し、横軸は各ファイル箱ごとの貸出、返却の読み取り動作を示す。
ファイル箱1では、貸出動作を行なうために、1回目の読み取り動作として、ファイル箱1の内容を読取った結果、書類用RFIDタグからは「ABC」が読取られた。DB12には「ABC」と記録される。次に2回目の読み取り動作として、ファイル箱1の内容を読取った結果、書類用RFIDタグからは「AB」が読取られた。DB12には「AB」と記録され、更に貸出情報として「C」が記録される。次に、返却動作を行なうために、1回目の読み取り動作として、ファイル箱1の内容を読取った結果、書類用RFIDタグからは「AB」が読取られた。DB12には「AB」と記録される。次に2回目の読み取り動作として、ファイル箱1の内容を読取った結果、書類用RFIDタグからは「ABC」が読取られた。DB12には「ABC」と記録され、更に返却情報として「C」が記録される。即ち、ファイル箱1では、書類Cがファイル箱1から貸し出されて、同じファイル箱1に返却されたことになる。
【0019】
次に、ファイル箱2では、貸出動作を行なうために、1回目の読み取り動作として、ファイル箱2の内容を読取った結果、書類用RFIDタグからは「DEF」が読取られた。DB12には「DEF」と記録される。次に2回目の読み取り動作として、ファイル箱2の内容を読取った結果、書類用RFIDタグからは「DF」が読取られた。DB12には「DF」と記録され、更に貸出情報として「E」が記録される。次に、返却動作を行なうために、1回目の読み取り動作として、ファイル箱2の内容を読取った結果、書類用RFIDタグからは「DF」が読取られた。DB12には「DF」と記録される。次に2回目の読み取り動作として、ファイル箱2の内容を読取った結果、書類用RFIDタグからは「DFI」が読取られた。DB12には「DFI」と記録され、更に返却情報として「I」が記録される。即ち、ファイル箱2では、書類Eがファイル箱2から貸し出されて、ファイル箱4から書類Iがファイル箱2に返却されたことになる。
【0020】
次に、ファイル箱3では、貸出動作は行われず、返却動作を行なうために、1回目の読み取り動作として、ファイル箱3の内容を読取った結果、書類用RFIDタグからは「GH」が読取られた。DB12には「GH」と記録される。次に2回目の読み取り動作として、ファイル箱3の内容を読取った結果、書類用RFIDタグからは「EGH」が読取られた。DB12には「EGH」と記録され、更に返却情報として「E」が記録される。即ち、ファイル箱3では、貸出動作は行なわれずに、書類Eがファイル箱3に返却されたことになる。
次に、ファイル箱4では、貸出動作を行なうために、1回目の読み取り動作として、ファイル箱4の内容を読取った結果、書類用RFIDタグからは「IJ」が読取られた。DB12には「IJ」と記録される。次に2回目の読み取り動作として、ファイル箱4の内容を読取った結果、書類用RFIDタグからは「J」が読取られた。DB12には「J」と記録され、更に貸出情報として「I」が記録される。その後、書類Iがファイル箱2に返却される。即ち、ファイル箱4では、書類Iがファイル箱4から貸し出されて、書類Iがファイル箱2に返却されたことになる。ここで、DB12には、管理情報の履歴が記録されている。従って、履歴の最も新しい情報(図6の○で囲ったデータ)が現在のファイル箱に収納されている書類であることが分かる。図6では、「ABC」「DFI」「EGH」「J」が最新情報である。
【0021】
図7は本発明の書類管理システムにおいて、各ファイル箱間での貸出及び返却の例を模式的に説明する図である。図7は未返却の書類が存在する場合の図である。縦軸に書類用RFIDタグの管理情報を示し、横軸は各ファイル箱ごとの貸出、返却の読み取り動作を示す。
図7が図6と異なる点は、ファイル箱4で貸し出された書類Iが返却されない点である。その結果、DB12の最新情報は、「ABC」「DF」「EGH」「J」となり、書類「I」が抜けていることが分かる。
即ち、定期的に行われる棚卸時には、DB12の最新情報を集合した結果が、現在の書類の管理状態である。従って、全体の書類から最新情報の集合を引いた結果が、まだ返却されていない書類と見做すことができる(図7の場合は書類I)。これにより、棚卸結果を確実に、且つ迅速に実行することが可能となり、未返却の書類を追跡することができる。
以上の説明では、収容物として書類を例にとり説明したが、書類に限らず、CD、DVD等RFIDタグが取り付けられる物品であれば、どのようなものでも構わない。
【符号の説明】
【0022】
1 キャビネット、2 ファイル箱、3 ファイル箱用RFIDタグ、4 台座、5 書類、6 書類用RFIDタグ、7 レーダライタ、8 PC、9 入力手段、10 ネットワーク、11 サーバ、12 DB、13 タグ、21 管理情報、22 貸出情報、23 返却情報、50 書類管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理情報を記録した非接触情報記録媒体を付した収容物と、
収容箱に係る特定情報を記録した非接触情報記録媒体を付し且つ複数の前記収容物を収容する収容箱と、
前記各非接触情報記録媒体との間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダ又はリーダライタと、
前記収容箱に係る特定情報と前記管理情報とを関連付けて記録したデータベースを有するサーバと、
前記リーダ又はリーダライタを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記リーダ又はリーダライタにより読取られた管理情報に基づいて前記収容箱から特定の収容物が取り出されたと判断した場合、該特定の収容物と該収容箱との関連付けを解除するように前記サーバに通報し、他の収容箱に前記収容物を収容した場合に他の収容箱との関連付けを行うことを特徴とする収容物管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記収容箱から収容物を取り出す前と取り出した後の収容物に係る管理情報の差異を演算し、該演算により差異が生じた場合は貸出物ありとして前記データベースに記録し、前記収容箱に収容物を返却する前と返却した後の収容物に係る管理情報の差異を演算し、該演算により差異が生じた場合は返却物ありとして前記データベースに記録することを特徴とする請求項1に記載の収容物管理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記演算の結果が正負何れかにより、貸出収容物、又は返却収容物として判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の収容物管理システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記管理情報が更新された履歴を前記収容箱に係る特定情報と関連付けて前記データベースに記録することを特徴とする請求項1に記載の収容物管理システム。
【請求項5】
前記サーバは、前記収容物の棚卸を実行する場合、前記データベースに記録されている管理情報の履歴の中で最新の管理情報を使用することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の収容物管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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