説明

収納ケース

【課題】コンパクトに構成でき、鞄やポケットに収納する場合にも嵩張ることがなく、持ち運びが容易な収納ケースを提供する。
【解決手段】収納ケース10は、弾性及び可撓性を有する素材からなり、血糖計50および穿刺ペン30を収容する第1収納部12と、穿刺針ユニット36および試験片ユニット44を収容する第2収納部14とを備える。第1収納部12と第2収納部14とは隔壁20によって隔てられる。収納ケース10の一端部と他端部には、それぞれ開閉可能な第1蓋部22と第2蓋部24とが設けられる。第1蓋部22および第2蓋部24の各々は、外力が作用しない自然状態では閉じるが、幅方向内方に押すと開くように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの収納部を有し、柔軟な素材からなる収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病等の患者は、血糖値が適正値となるように日頃から血糖値の管理をすることが求められている。血糖値の管理は、血糖値の計測と、インシュリンの投与により行われる。血糖値の計測は、穿刺具(穿刺ペン)と、この穿刺具に装着する穿刺針と、血糖値計と、この血糖値計に装着する試験片とからなる計測セットを用いる。具体的には、穿刺針を装着した穿刺具により患者の一部を穿刺して血液を微量だけ出し、血糖値計の先端に取り付けた試験片に血液を含浸させて血糖値計により計測を行う(例えば、下記特許文献1を参照)。そして、計測された血糖値に応じて、インシュリン入りの注射器を用いて、適量注射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−228885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、糖尿病患者は、一日に何度も血糖値を計測する必要があるため、上述した計測セットを持ち運ぶ必要があり、また、穿刺針と試験片は使い捨てであるため、複数個(例えば、4〜5個)ずつ携帯しておく必要がある。このように、計測セットは、部品点数が多くなるため、従来では、例えば樹脂材料で形成された硬い収納ケースに収納し、患者自身が持ち運べるようにしている。しかしながら、従来の収納ケースは硬くかつ大きいため、鞄や衣服のポケットに入れるには嵩張る場合がある。
【0005】
本発明は上記の課題を考慮してなされたものであり、コンパクトな構成であり、鞄やポケットに収納する場合にも嵩張ることがなく、持ち運びが容易な収納ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、弾性及び可撓性を有する素材からなる収納ケースであって、開閉可能な第1蓋部を有する第1収納部と、開閉可能な第2蓋部を有する第2収納部と、を備え、前記第1収納部と前記第2収納部とは隔壁によって隔てられ、前記第1蓋部は前記収納ケースの長手方向の一端部に設けられ、前記第2蓋部は前記収納ケースの長手方向の他端部に設けられ、前記第1蓋部および前記第2蓋部の各々は、外力が作用しない自然状態では閉じるが、特定の方向から押すと開くように構成されている、ことを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、収納ケースが柔軟な素材からなるので、コンパクトに構成することができ、鞄やポケットに収納する場合にも嵩張ることがなく、持ち運びが容易である。また、第1蓋部と第2蓋部は、外力を加えない状態では閉じるように構成されているので、線ファスナや点ファスナのような留め具を用いる必要がなく、簡素な構成とすることができる。さらに、第1蓋部と第2蓋部は、押すと開くように構成されていることから、1つの動作で簡単かつ迅速に開閉を行うことができ、これにより被収容物の出し入れをスムーズに行うことができるので、使い勝手が良好である。
【0008】
上記の収納ケースにおいて、前記第1収納部と前記第2収納部とは、異なる大きさに構成されているとよい。
【0009】
上記の構成によれば、被収容物の種類や大きさに合わせて、第1収納部と第2収納部に振り分けて収納することができるので、使い勝手を向上できる。
【0010】
上記の収納ケースにおいて、前記収納ケースは、前記第1収納部と前記第2収納部の一方を上側に、他方を下側にした起立姿勢で置くことが可能なように構成されているとよい。
【0011】
上記の構成によれば、スペースを大きくとらずに置くことができるので、利便性を向上できる。
【0012】
上記の収納ケースにおいて、前記第1収納部は、前記第2収納部よりも長く構成されるとともに、人手により把持および操作される医療用器具を収容可能に構成され、前記第2収納部は、前記医療用器具に装着されて使用されるアタッチメントを収容可能に構成されるとよい。
【0013】
上記の構成によれば、医療用器具とそのアタッチメントを収容するように構成されているため、医療用器具とそのアタッチメントを常時携帯する必要がある患者にとっては、これらをコンパクトに収納し、鞄やポケットに入れて嵩張らずに持ち運ぶことが可能であるため、非常に利便性が高い。特に、一日に何度も使用する医療用器具を収容する場合、第1蓋部と第2蓋部を何度も開け閉めする必要があるが、第1蓋部と第2蓋部は容易に開閉する構造であるため、医療用器具とそのアタッチメントの出し入れに要する労力を最小限に抑えることができる。
【0014】
上記の収納ケースにおいて、前記収納ケースは、前記第1収納部を上側に、前記第2収納部を下側にした起立姿勢で置くことが可能なように構成されているとよい。
【0015】
上記の構成によれば、スペースを大きくとらずに置くことができる。
【0016】
上記の収納ケースにおいて、前記第2蓋部が設けられた他端部は、前記第1蓋部が設けられた一端部よりも厚いとよい。
【0017】
上記の構成によれば、収納ケースを立てて置いたときの安定性が向上し、転倒を抑制できる。
【0018】
上記の収納ケースにおいて、前記第1蓋部と前記第2蓋部の各々は、前記収納ケースの短手方向に延在する一対の蓋片を有し、前記収納ケースの長手方向の端部を短手方向内方に押すと、前記一対の蓋片が変形することで、前記一対の蓋片の間に被収容物を出し入れ可能な開口部が形成されるとよい。
【0019】
上記の構成によれば、外力が作用しない自然状態では閉じ、特定の方向から押すと開く構造の第1蓋部と第2蓋部を簡素な構成で実現できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る収納ケースは、コンパクトに構成することができ、鞄やポケットに収納する場合にも嵩張ることがなく、持ち運びが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る収納ケースの斜視図である。
【図2】穿刺ペンおよび穿刺針ユニットの平面図である。
【図3】血糖計および試験片ユニットの斜視図である。
【図4】穿刺ペン、血糖計、穿刺針ユニットおよび試験片ユニットを収納した状態の収納ケースの、図1におけるIV−IV線での断面図である。
【図5】第1蓋部の両側部を押することで第1蓋部が開いた状態を示す斜視図である。
【図6】収納ケースを立てて置いた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る収納ケースについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る収納ケース10の斜視図である。収納ケース10は、弾性および可撓性を有する素材からなるものであって、第1収納部12と第2収納部14の2つの収納部を有し、第1収納部12と第2収納部14のそれぞれに被収容物を収容できるように構成されている。
【0024】
このような収納ケース10は、例えば、図2に示す穿刺ペン30(穿刺具)および穿刺針ユニット36と、図3に示す血糖計50および試験片ユニット44とを収容するために使用される。そこで、本実施形態に係る収納ケース10の具体的な構成の説明に先立ち、穿刺ペン30、穿刺針ユニット36、血糖計50および試験片ユニット44の各構成を説明する。なお、以下で説明する穿刺ペン30、穿刺針ユニット36、血糖計50および試験片ユニット44は、本実施形態に係る収納ケース10に収納することができる医療用器具およびアタッチメントの一例であって、収納ケース10は、他の構成からなる医療用器具およびアタッチメントについても好適に使用可能である。
【0025】
図2に示すように、穿刺針ユニット36は、穿刺針38と、該穿刺針38の先端を覆うキャップ39とを有する。穿刺針38は、内部に針40と、針40を保持するハブ42とを有する。針40は、前方のキャップ39と後方のハブ42によって滅菌状態に保たれている。
【0026】
穿刺ペン30はプッシュボタン32と、ダイヤル34と、レバー35とを有しており、全体が略棒形状であり、先端に穿刺針38を装着可能に構成されている。穿刺ペン30の先端に穿刺針38を装着すると内部のばねが圧縮された状態で保持され、プッシュボタン32を押すことによりばねの圧縮が解除されて、穿刺針38の針が一瞬突出して皮膚を適度に穿刺する。これにより、血液を微量だけ出すことができる。この際の針の突出量は、ダイヤル34の操作により調整することができる。使用後の穿刺針38は穿刺ペン30から取り外されて、所定の方法によって廃棄される。
【0027】
図3に示すように、試験片ユニット44は、試験片46と、試験片46を収容する包装体48とを有する。試験片46の先端には、細径の毛細管(採血口、血液点着部)46aが設けられ、試験片46の内部には、血糖に反応する試薬が含浸された試験紙が設けられている。包装体48は、ケース48aと、ケース48aの開口部を封止するフィルムシール48bとからなる。
【0028】
血糖値の計測を行うときは、試験片ユニット44のフィルムシール48bを剥がし、キャップ54を取り外した血糖計50の先端部にケース48aごと装着し、毛細管46aから血液を導入して内部の試験紙に血液が含浸される。キャップ54は本体52に対してストラップ56で接続されている。血糖計50は、電源スイッチ52aを一度押すとオンとなって自動的に計測を開始し、試験片46の試験紙に含浸された血液の発色の変化を検出し、所定の計算を行って得られた血糖値をモニタ52bに表示する。使用後の試験片46は、血糖計50から取り外され、所定の方法によって廃棄される。
【0029】
次に、図1および図4(図1におけるVI−VI線での断面図)を参照し、本実施形態に係る収納ケース10の構成を具体的に説明する。なお、収納ケース10に関して、幅方向(短手方向)、厚さ方向、長手方向は、それぞれ、図1および図4中のX方向、Y方向、Z方向を意味するものとする。
【0030】
収納ケース10を構成する素材は、例えば、ラバー、エラストマー等の弾性および可撓性を有するものである。このため、収納ケース10は、自然状態(外力を加えない状態)では、図1に示す形状を保持するが、人手により押したり曲げたりすることで容易に変形する柔軟性を有する。収納ケース10を構成する素材は、スポンジ状の板状部材であってもよい。図示例の収納ケース10は、複数の板状部材を接合(接着等)することで形状を形成しているが、例えば射出成形により一体的に形状を形成してもよい。
【0031】
図1および図4に示すように、収納ケース10は、中空構造であって、全体として扁平形状であり、平面視では略長方形状を呈している。図示例の収納ケース10は、一側面を構成する側壁部16と、他側面を構成する側壁部18との間の空間に、隔壁20によって収納ケース10の長手方向に分割された(隔てられた)第1収納部12と第2収納部14が形成され、長手方向の両端部には被収容物の出し入れを行う際に開閉可能な第1蓋部22および第2蓋部24が設けられている。
【0032】
第1収納部12と第2収納部14は、収納ケース10の長手方向に直列に配置されている。第1収納部12内は、被収容物の収容空間であり、第2収納部14内は、他の被収容物の収容空間である。第1収納部12と第2収納部14を隔てる隔壁20は、各室間を被収容物が移動できないように構成されている。
【0033】
図4に示すように、本実施形態では、第1収納部12は穿刺ペン30および血糖計50を収容可能に構成され、第2収納部14は穿刺針ユニット36および試験片ユニット44を穿刺可能に構成されている。このため、図4に示すように、第1収納部12の長さL1は、第2収納部14の長さL2よりも大きく設定されている。具体的には、第1収納部12の長さL1は、穿刺ペン30および血糖計50の全長よりも大きく設定されている。第2収納部14の長さL2は、収納ケース10の幅Wと厚さ、および穿刺針ユニット36と試験片ユニット44の収容個数を考慮して設定される。
【0034】
図示例の収納ケース10の幅Wは、長手方向にわたって一定であるが、例えば、第2蓋部24側から第1蓋部22側に向かって徐々に幅が狭くなるように収納ケース10の幅が設定されてもよい。あるいは、第1蓋部22側から第2蓋部24側に向かって徐々に幅が狭くなるように収納ケース10の幅が設定されてもよい。
【0035】
なお、隔壁20は、第1収納部12と第2収納部14とを完全に仕切るものに限らず、例えば、部分的に1つまたは複数の孔が形成されたもの、あるいはメッシュ状のものであってもよい。このような孔が設けられた場合、水等の液体により収納ケース10を洗浄した際の水はけ性を向上させることができる。ただし、このような孔あるいはメッシュの網目は、被収容物が通過できない大きさであることが必要である。
【0036】
図示例の隔壁20は、収納ケース10の幅方向(X方向)に延在するように設けられているが、穿刺ペン30、血糖計50、穿刺針ユニット36および試験片ユニット44を収容を阻害しない限り、収納ケース10の幅方向に対して傾斜する方向に延在するように設けられてもよい。
【0037】
第1蓋部22は、収納ケース10の一端部(図1でZ1方向側の端部)に設けられ、第2蓋部24は、収納ケース10の他端部(図1でZ2方向側の端部)に設けられている。第1蓋部22および第2蓋部24の各々は、外力が作用しない自然状態では閉じるが、特定の方向から押すと開くように構成されている。
【0038】
図1に示すように、第1蓋部22は、一対の蓋片22a、22bを有する。一方の蓋片22aは、一方の側壁部16のZ1方向側の端部の内側に設けられており、他方の蓋片22bは、他方の側壁部18のZ1方向側の端部の内側に設けられている。図示例の各蓋片22a、22bは、同一形状であり、収納ケース10の幅方向(短手方向)に延在し、互いに対向する側の縁部が直線状であり、その反対側の縁部が弓状に湾曲している。
【0039】
自然状態において、一対の蓋片22a、22bの直線状の縁部は、基本的に互いに接触するのが好ましいが、第1収納部12内の被収容物が当該隙間を通して外側に出ない程度の僅かな隙間を空けて対向してもよい。また、一対の蓋片22a、22bの直線状の縁部は重なり合ってもよい。
【0040】
第2蓋部24は、一対の蓋片24a、24bを有する。一方の蓋片24aは、一方の側壁部16のZ2方向側の端部の内側に設けられており、他方の蓋片24bは、他方の側壁部18のZ2方向側の端部の内側に設けられている。図示例の各蓋片24a、24bは、同一形状であり、収納ケース10の幅方向に延在し、互いに対向する側の縁部が直線状であり、その反対側の縁部が弓状に湾曲している。
【0041】
自然状態において、一対の蓋片24a、24bの直線状の縁部は、基本的に互いに接触するのが好ましいが、第2収納部14内の被収容物が当該隙間を通して外側に出ない程度の僅かな隙間を空けて対向してもよい。また一対の蓋片24a、24bの直線状の縁部は重なり合ってもよい。
【0042】
図1に示すように、本実施形態に係る収納ケース10では、第2蓋部24の蓋片24a、24bの最もY方向に広い部分の幅(Y方向の寸法)は、第1蓋部22の蓋片22a、22bのそれよりも大きい。このため、収納ケース10において、第2蓋部24が設けられた端部の厚さT2は、第1蓋部22が設けられた側の端部の厚さT1よりも大きい。
【0043】
本実施形態に係る収納ケース10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
【0044】
上述した穿刺ペン30および血糖計50を収納ケース10に収納するには、まず、収納ケース10の第1蓋部22を開ける。すなわち、図5に示すように、収納ケース10の第1蓋部22側の端部の箇所で、収納ケース10を幅方向内方に押すと、一対の蓋片22a、22bが湾曲変形することで、一対の蓋片22a、22bの間に被収容物(この場合、穿刺ペン30および血糖計50)を出し入れ可能な開口部28が形成される。そして、この開口部28を通して、第1収納部12に穿刺ペン30および血糖計50を入れる。
【0045】
このように第1収納部12に穿刺ペン30および血糖計50を入れ、収納ケース10を幅方向内方に押すことを止めると(収納ケース10の第1蓋部22側の端部から手を離すと)、第1蓋部22は、弾性作用によって元の形状(図1に示した自然状態の形状)に復元する。これにより、第1収納部12への穿刺ペン30および血糖計50の収納が完了する。
【0046】
一方、穿刺針ユニット36および試験片ユニット44を収納ケース10に収納するには、まず、図5に示す第1蓋部22を開ける作業と同様の要領で、第2蓋部24を開ける。すなわち、収納ケース10の第2蓋部24側の端部の箇所で、収納ケース10を幅方向内方に押すと、一対の蓋片24a、24bが湾曲変形することで、一対の蓋片24a、24bの間に穿刺針ユニット36および試験片ユニット44を出し入れ可能な開口部(図示せず)が形成される。そして、この開口部を介して、第2収納部14に穿刺針ユニット36および試験片ユニット44を入れる。
【0047】
このように第2収納部14に穿刺針ユニット36および試験片ユニット44を入れ、収納ケース10を幅方向内方に押すことを止めると(収納ケース10の第2蓋部24側の端部から手を離すと)、第2蓋部24は、弾性作用によって元の形状(図1に示した自然状態の形状)に復元する。これにより、第2収納部14への穿刺針ユニット36および試験片ユニット44の収納が完了する。
【0048】
以上のように、本発明に係る収納ケース10は、柔軟な素材からなるとともにコンパクトに構成することができ、鞄やポケットに収納する場合にも嵩張ることがなく、持ち運びが容易である。また、第1蓋部22と第2蓋部24は、外力を加えない状態では閉じるように構成されているので、線ファスナや点ファスナのような留め具を用いる必要がなく、簡素な構成とすることができる。さらに、第1蓋部22と第2蓋部24は、押すと開くように構成されていることから、1つの動作で簡単かつ迅速に開閉を行うことができ、これにより被収容物の出し入れをスムーズに行うことができるので、使い勝手が良好である。
【0049】
本実施形態に係る収納ケース10は、医療用器具(穿刺ペン30および血糖計50)とそのアタッチメント(穿刺針ユニット36および試験片ユニット44)を収容するように構成されているため、医療用器具とそのアタッチメントを常時携帯する必要がある患者にとっては、これらをコンパクトに収納して持ち運べることが可能であるため、非常に利便性が高い。特に、一日に何度も使用する医療用器具を収容する場合、第1蓋部22と第2蓋部24を何度も開け閉めする必要があるが、第1蓋部22と第2蓋部24は容易に開閉する構造であるため、医療用器具とそのアタッチメントの出し入れに要する労力を最小限に抑えることができる。
【0050】
第1収納部12と第2収納部14は大きさが異なるため、被収容物の種類や大きさに合わせて、第1収納部12と第2収納部14に振り分けて収納することができるので、使い勝手が良好である。特に、本実施形態の場合、第1収納部12は穿刺ペン30および血糖計50を収納するように大きく構成され、第2収納部14は穿刺針ユニット36および試験片ユニット44を収納するように小さく構成されているので、収納する際の振り分けが簡単である。
【0051】
本実施形態に係る収納ケース10は、図6に示すように、第1収納部12を上側に、第2収納部14を下側にして、立てて(起立姿勢にして)置くことが可能である。したがって、スペースを大きくとらずに収納ケース10を置くことができる。また、本実施形態では、第2蓋部24が設けられた側の端部の厚さT2は、第1蓋部22が設けられた側の端部の厚さT1よりも大きいので(図1参照)、収納ケース10を立てて置いたときの安定性が向上し、転倒を抑制できる。
【0052】
なお、第2収納部14を上側に、第1収納部12を下側にして、立てて置けるように構成してもよい。
【0053】
本実施形態に係る収納ケース10では、収納ケース10の長手方向の一端部を幅方向(X方向)内方に押すと、第1蓋部22を構成する一対の蓋片22a、22bが変形することで、一対の蓋片22a、22bの間に被収容物である穿刺ペン30および血糖計50を出し入れ可能な開口部28が形成される。また、収納ケース10の長手方向の他端部を幅方向内方に押すと、第2蓋部24を構成する一対の蓋片24a、24bが変形することで、一対の蓋片24a、24bの間に被収容物である穿刺針ユニット36および試験片ユニット44を出し入れ可能な開口部が形成される。このように、外力が作用しない自然状態では閉じ、特定の方向から押すと開く構造の第1蓋部22と第2蓋部24を簡素な構成で実現できる。
【0054】
なお、上記では、第1収納部12に医療用器具を収納し、第2収納部14にアタッチメントを収納する場合を説明したが、本発明の収納ケース10はこのような用途に限らず、他の物品を収納するために使用されてもよい。
【0055】
上記において、本発明について好適な実施の形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0056】
10…収納ケース 12…第1収納部
14…第2収納部 20…隔壁
22…第1蓋部 22a、22b、24a、24b…蓋片
24…第2蓋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性及び可撓性を有する素材からなる収納ケースであって、
開閉可能な第1蓋部を有する第1収納部と、
開閉可能な第2蓋部を有する第2収納部と、を備え、
前記第1収納部と前記第2収納部とは隔壁によって隔てられ、
前記第1蓋部は前記収納ケースの長手方向の一端部に設けられ、
前記第2蓋部は前記収納ケースの長手方向の他端部に設けられ、
前記第1蓋部および前記第2蓋部の各々は、外力が作用しない自然状態では閉じるが、特定の方向から押すと開くように構成されている、
ことを特徴とする収納ケース。
【請求項2】
請求項1記載の収納ケースにおいて、
前記第1収納部と前記第2収納部とは、異なる大きさに構成されている、
ことを特徴とする収納ケース。
【請求項3】
請求項3記載の収納ケースにおいて、
前記収納ケースは、前記第1収納部と前記第2収納部の一方を上側に、他方を下側にした起立姿勢で置くことが可能なように構成されている、
ことを特徴とする収納ケース。
【請求項4】
請求項1記載の収納ケースにおいて、
前記第1収納部は、前記第2収納部よりも長く構成されるとともに、人手により把持および操作される医療用器具を収容可能に構成され、
前記第2収納部は、前記医療用器具に装着されて使用されるアタッチメントを収容可能に構成される、
ことを特徴とする収納ケース。
【請求項5】
請求項4記載の収納ケースにおいて、
前記収納ケースは、前記第1収納部を上側に、前記第2収納部を下側にした起立姿勢で置くことが可能なように構成されている、
ことを特徴とする収納ケース。
【請求項6】
請求項5記載の収納ケースにおいて、
前記第2蓋部が設けられた他端部は、前記第1蓋部が設けられた一端部よりも厚い、
ことを特徴とする収納ケース。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の収納ケースにおいて、
前記第1蓋部と前記第2蓋部の各々は、前記収納ケースの短手方向に延在する一対の蓋片を有し、
前記収納ケースの長手方向の端部を短手方向内方に押すと、前記一対の蓋片が変形することで、前記一対の蓋片の間に被収容物を出し入れ可能な開口部が形成される、
ことを特徴とする収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−30854(P2012−30854A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172426(P2010−172426)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】