説明

収納ファイル

【課題】被収納物の出し入れが容易にでき、また、ポケット部材が開口状態であっても被収納物が脱落し難い収納ファイルを提供する。
【解決手段】ファイル本体2と、このファイル本体2に設けたポケット部材4とを具備する。このポケット部材4は、被取付面3に対して立ち上り可能な隣接する複数の立ち上り面7を有する。また、これら複数の立ち上り面7の隣接する辺を接続した各立ち上り面7の被取付面3とは反対側の先端辺にてポケット部材4の開口部を形成する。ポケット部材4は、複数の立ち上り面7が被取付面3と離間する方向へ立ち上り、開口部を開口した開口状態から、複数の立ち上り面7が被取付面3に略平行であり、開口部を閉塞した閉塞状態へ変形できる。そして、ポケット部材4の閉塞状態を保持するフック部材15およびループ部材16を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば部品、工具、鍵、アクセサリ、薬等の被収納物を収納する収納ファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収納ファイルを用いて複数の被収納物を整理して収納することがある。収納ファイルには、ファイル本体にポケット部材が設けられる構成のものやポケット部材が設けられたファイル用シートをファイル本体に係合して使用する構成のものがある。
【0003】
そして、いずれの構成でもポケット部材に被収納物を収納するが、このような収納ファイルは、前記被収納物として書類やカード等のシート状のものが想定されているものが多く、被収納物としてシート状のものに比べて厚さや重量の大きい例えば、ボルトやナット、ねじ等の付属部品、六角レンチやスパナ等の付属工具、鍵やアクセサリ等の小物品を収納すると、前記収納ファイルを使用する際や持ち運ぶ際等に、その振動等にて被収納物が前記ポケット部材から脱落し易い。
【0004】
そこで、ファイル用シート本体と、このシート本体に設けられ開口部を有するポケット部材と、このポケット部材の前記開口部を覆う蓋体とを備え、この蓋体に係合スリットが形成され、前記ポケット部材の外側面に前記係合スリットと係合可能な係合片が形成された構成のものが知られている。この構成では、係合片を係合スリットに係合することにより、蓋体が開口部を覆った状態を保持できるので被収納物が脱落し難い(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】意匠登録第1203773号公報(第2−7頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された構成では、前記被収納物を前記ポケット部材へ出し入れし難いという問題が考えられる。通常、前記ポケット部材における前記開口部を形成する開口縁部は、前記ファイル用シート本体に略接している。このようなポケット部材に前記被収納物を出し入れする際には、前記開口縁部を前記ファイル用シート本体から離間させる必要がある。すなわち、前記蓋体における前記係合スリットと前記係合片との係合を解除するだけでなく、前記開口部を開口させる必要がある。そして、前記開口部を開口させるには、前記蓋体の開口状態を保持しながら、前記開口縁部を摘み、摘んだ状態にて前記開口縁部を前記ファイル用シート本体から引き離すという作業が想定される。しかし、一般的にこの種のファイルは、例えばポリ塩化ビニルや紙などの薄い素材で構成される場合が多く、このような薄い素材では、前記蓋体の開口状態を保持しながら前記開口縁部を摘み難い。したがって、前記被収納物を前記ポケット部材へ出し入れし難くなってしまう。
【0007】
また、特許文献1に開示された構成では、例えばファイルをデスク等に配置できず前記ファイル用シート本体を水平な状態に保持できない場合、前記ポケット部材から被収納物を取り出す際に、前記ポケット部材における前記開口部の開口方向が重力方向に対して上側を向いた状態にて前記開口部を開口しなければ、前記被収納物が自重によって前記開口部から脱落してしまうおそれがある。すなわち、特許文献1に開示された構成では、前記係合片と前記係合スリットとが係合することにより、前記蓋体にて被収納物を保持して前記ポケット部材からの前記被収納物の脱落を防止できるが、前記蓋体が前記ポケット部材より重力方向下側に位置した状態にて前記係合片と前記係合スリットとの係合を解除すると、前記ポケット部材における前記開口部の相対位置が重力方向下側になり、開口方向が重力方向下向きになるため、前記被収納物は、自重により勝手に脱落し易い。したがって、前記ファイル用シート本体を水平な状態に保持できない場合にて前記蓋体を開閉する際には、前記ポケット部材における前記開口部の開口方向を確認し、前記蓋体を前記ポケット部材より重力方向の上側に位置した状態にて、前記開口部の開口方向を上方に向けて前記蓋体を開口する必要がある。
【0008】
さらに、特許文献1に開示された構成では、前記蓋体を開口した状態での前記ポケット部材に対する前記開口部の開口面積が小さいので、前記被収納物を出し入れする場合は、前記ファイル用シート本体と前記ポケット部材とを変形させて前記開口縁部とこの開口縁部に対向する前記ファイル用シート本体とを離間させる必要がある。特に、前記開口縁とこの開口縁に対向する前記ファイル用シート本体とで円形を構成するように離間させると、前記開口部の開口面積が最も大きくなり被収納物が出し入れし易い状態となる。しかし、実際には、特許文献1の使用状態を示す参考図に示されるように、例えばコンパクトディスク等のある程度の硬さがありかつ前記ポケット部材と同等の大きさの被収納物が収納される場合や、被収納物が外力にて変形しないように前記ファイル用シート本体に変形し難い硬さを要求される場合等が想定される。これらのような場合では、前記ファイル用シート本体と前記ポケット部材とを変形させて前記開口縁部とこの開口縁部に対向する前記ファイル用シート本体とを離間させ難い。したがって、前記ポケット部に対する前記開口部の開口面積を大きく開口できず、前記被収納物が前記ポケット部材に出し入れし難くなってしまう。
【0009】
本発明は、被収納物の出し入れが容易にでき、また、ポケット部材から被収納物が脱落し難い収納ファイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る収納ファイルは、ファイル本体と、このファイル本体に設けられたポケット部材とを具備し、このポケット部材は、前記ファイル本体に設けられた被取付面に対して立ち上り可能な隣接する複数の立ち上り面を有し、これら複数の立ち上り面の隣接する辺が接続されてポケット空間が構成され、各立ち上り面の前記被取付面とは反対側の先端辺によって開口部が構成され、前記ポケット部材は、各立ち上り面が前記被取付面から離間する方向へ立ち上り前記開口部が開口した開口状態から、前記各立ち上り面が前記被取付面に略平行であり前記開口部が閉塞した閉塞状態へ変化可能に構成され、前記閉塞状態を保持する保持手段を備えたものである。
【0011】
(2)本発明に係る収納ファイルは、ファイル本体と、このファイル本体に設けられたポケット部材とを具備し、このポケット部材は、前記ファイル本体に設けられた被取付面に対して立ち上り可能な隣接する複数の立ち上り面を有し、これら複数の立ち上り面の隣接する辺が接続されてポケット空間が構成され、各立ち上り面の前記被取付面とは反対側の先端辺によって開口部が構成され、前記ポケット部材は、各立ち上り面が前記被取付面から離間する方向へ立ち上り前記開口部が開口した開口状態から、前記各立ち上り面が前記被取付面に略平行であり前記開口部が閉塞した閉塞状態へ変化可能に構成され、前記閉塞状態を保持する保持機構を備えたものである。
【0012】
(3)本発明に係る収納ファイルは、ファイル本体と、このファイル本体に設けられたポケット部材とを具備し、このポケット部材は、前記ファイル本体に設けられた被取付面に対して立ち上り可能な隣接する複数の立ち上り面を有し、これら複数の立ち上り面の隣接する辺が接続されてポケット空間が構成され、各立ち上り面の前記被取付面とは反対側の先端辺によって開口部が構成され、前記ポケット部材は、各立ち上り面が前記被取付面から離間する方向へ立ち上り前記開口部が開口した開口状態から、前記各立ち上り面が前記被取付面に略平行であり前記開口部が閉塞した閉塞状態へ変化可能に構成され、前記複数の立ち上り面のいずれかには、係合部材が設けられ、前記ポケット部材の閉塞状態において前記係合部材に対向する位置には、前記係合部材と係合可能な被係合部材が設けられたものである。
【0013】
前記被係合部材は、閉塞状態において前記係合部材と対向する位置に設けられるものであり、前記係合部材が設けられた立ち上り面とは異なる立ち上り面や前記被取付面や前記ファイル本体等に設けられる。
【0014】
なお、上記(1)ないし上記(3)では、前記被取付面は、その一部または全部が前記ファイル本体と一体的な構成でもよく、前記ファイル本体とは別体の前記被取付面を前記ファイル本体に取り付けた構成でもよい。
【0015】
また、前記複数の立ち上り面の隣接する辺が結合されて接続されることにより前記ポケット空間が構成されたものだけでなく、例えばシートを折曲して一体的な複数の立ち上り面にて前記ポケット空間が構成され、その折曲した部分が前記複数の立ち上り面の隣接する辺とされたもの等を含む。
【0016】
(4)上記収納ファイルを、ポケット部材は、四つの立ち上り面と、四角形状の被取付面とを有するように構成してもよい。
【0017】
(5)上記収納ファイルを、相互に対向する二つの立ち上り面の少なくとも一組は、外側面に対して谷折りになるように形成された複数の折畳線が設けられているように構成してもよい。
【0018】
(6)上記収納ファイルを、相互に対向する二つの立ち上り面の少なくとも一組は、被取付面とは反対側の先端辺が前記被取付面とは反対側へ向かって凸状に形成されているように構成してもよい。
【0019】
(7)上記収納ファイルを、立ち上り面は、被取付面に対して直角な状態または前記被取付面に対して直角より前記被取付面側に傾斜した状態と、前記被取付面に略平行な状態との間で変化可能に構成してもよい。
【0020】
(8)上記収納ファイルを、ファイル本体は、複数の基盤部材と、これら複数の基盤部材の間に設けられた折曲線とを有し、前記基盤部材は、前記ファイル本体を前記折曲線にて折曲し前記基盤部材にて保持して起立させた状態で屈曲しない硬さを有しているように構成してもよい。
【0021】
(9)上記収納ファイルを、ファイル本体は、少なくとも三つの基盤部材を有し、この基盤部材には複数のポケット部材が設けられ、隣接する二つの基盤部材のポケット部材側が内側になるように折曲されその二つの基盤部材の外側面にて表表紙および裏表紙が形成され、この二つの基盤部材の内側へ他の基盤部材が収納されるように折曲可能に構成してもよい。
【0022】
(10)ファイル本体は、少なくとも三つの基盤部材を有し、少なくとも一つの基盤部材には少なくとも一つのポケット部材が設けられ、前記全ての基盤部材を開いた状態において、前記ポケット部材が設けられた基盤部材におけるポケット部材側が内側とされ、前記ポケット部材が設けられた基盤部材と、この基盤部材に隣接する他の一つの基盤部材とがそれぞれ内側が対向するように折曲されその二つの基盤部材の外側面にて表表紙および裏表紙が形成され、この二つの基盤部材の内側へ他の基盤部材が収納されるように折曲可能に構成してもよい。
【0023】
(11)上記収納ファイルを、ポケット部材は、ファイル本体に対して着脱可能に取り付けられるように構成してもよい。
【0024】
(12)上記収納ファイルを、係合部材と被係合部材とは、複数の係合位置で係合可能に構成してもよい。
【発明の効果】
【0025】
上記(1)の構成によれば、ポケット部材は、被取付面に対して立ち上り可能な隣接する複数の立ち上り面を有し、これら複数の立ち上り面の隣接する辺が結合されてポケット空間が構成され、各立ち上り面の前記ファイル本体の被取付面とは反対側の先端辺によって開口部が構成されることにより、従来のものに比べて前記ポケット部材に対する前記開口部の開口面積を大きくでき、前記被取付面と前記開口部とが離間した状態で前記開口部を開口できるので、被収納物の出し入れを容易にできる。前記ファイル本体の正面側から被収納物の出し入れを行うこともできる。
【0026】
また、前記複数の立ち上り面の先端辺にて形成された前記開口部は、前記各立ち上り面を前記被取付面に対して立ち上ることにより開口するので、前記ファイル本体を水平に保持できない状態にて前記開口部を開口した場合に、前記ファイル本体の向きや方向により前記開口部が重力方向下側に向くことが従来のものに比べて少なく、前記ポケット部材から前記被収納物が脱落し難い。したがって、前記ファイル本体を水平に保持できない場合であっても使用でき、使用状態、使用可能場所、使用可能シーンが極めて多様である。
【0027】
前記ポケット部材は、各立ち上り面が前記被取付面から離間する方向へ立ち上り前記開口部が開口した開口状態から、前記各立ち上り面が前記被取付面に略平行であり前記開口部が閉塞した閉塞状態へ変化可能に構成されていることにより、全ての立ち上り面を被取付面から立ち上げることができ、前記ポケット部材に対する前記開口部の開口面積を大きく開口できるので、被収納物の出し入れを極めて容易にできる。
【0028】
また、前記複数の立ち上り面は隣接する辺が接続されることにより、複数の立ち上り面が連動して前記被取付面から離間する方向へ立ち上り、前記ポケット部材を閉塞状態から開口状態へ連続的に一体の動きとして変化できるので、前記被収納物の出し入れをより容易にできる。
【0029】
保持手段を備えているため、ポケット空間に収納された被収納物を確実に保持できる。
【0030】
このように、上記(1)の構成によれば、前記被収納物の出し入れが容易にでき、また、前記ポケット部材から前記被収納物が脱落し難い収納ファイルを提供することができる。
【0031】
上記(2)の構成によれば、上記(1)と同等の作用・効果を奏する。
【0032】
上記(3)の構成によれば、上記(1),(2)の構成に係る作用・効果と同等の作用・効果を奏するだけでなく、さらに、以下の作用・効果を奏する。すなわち、複数の立ち上り面の隣接する辺が接続されて、これら接合された複数の立ち上り面のいずれか一つには係合部材が設けられ、前記ポケット部材の閉塞状態にて前記係合部材と対向する位置には被係合部材設けられていることにより、前記複数の立ち上り面は連動して被取付面から離間する方向へ立ち上り、前記係合部材と前記被係合部材との係合の解除作業から一連して前記ポケット部材を閉塞状態から開口状態へ変化できるので、前記被収納物の出し入れをより容易にできる。
【0033】
上記(4)に記載された発明によれば、ポケット部材は、四つの立ち上り面と、四角形状の被取付面を有していることにより、ポケット空間を確保し易く、被収納物の出し入れが容易にできる。
【0034】
上記(5)に記載された発明によれば、相互に対向する二つの立ち上り面には、複数の折畳線が設けられ、前記複数の折曲線は、前記立ち上り面の外側面に対して谷折りになるように形成されていることにより、ポケット部材を開口状態と閉塞状態とに変化し易い。
【0035】
上記(6)に記載された発明によれば、相互に対向する二つの立ち上り面の先端辺が、前記ファイル本体の被取付部とは反対側へ向かって凸状に形成されていることにより、前記二つの立ち上り面の先端辺が接近し易いので、閉塞状態において前記先端辺が接近した前記二つの立ち上り面によって被収納物を保持でき、被収納物がより脱落し難い。
【0036】
上記(7)に記載された発明によれば、立ち上り面が、被取付面に対して直角な状態または前記被取付面に対して直角より前記被取付面側に傾斜した状態と、前記被取付面に略平行な状態との間で変化可能に構成されていることにより、開口状態においてより確実に前記立ち上り面にて被収納物を前記ポケット部材の内部に保持できるので、前記被収納物が前記ポケット部材から脱落し難い。
【0037】
上記(8)に記載された発明によれば、基盤部材は、ファイル本体を起立させた状態で前記基盤部材が屈曲しない硬さを有しているので、前記ファイル本体を起立させて使用でき、汎用性を向上できる。すなわち、従来の構成では想定し得なかった使用場所、使用方法を提供できる。
【0038】
上記(9)に記載された発明によれば、ポケット部材側が内側になるように折曲された隣接する二つの基盤部材の内側へ他の基盤部材が収納されるように折曲可能であるので、コンパクトな状態で収納できる。また、前記ファイル本体を展開した際に各ポケット部材を一覧できる。
【0039】
上記(10)に記載された発明によれば、上記(8)と同等の作用・効果を奏する。
【0040】
上記(11)に記載された発明によれば、ポケット部材は、ファイル本体に対して着脱可能に取り付けられていることにより、前記ポケット部材を前記ファイル本体から取外して使用できるので、汎用性を向上できる。
【0041】
上記(12)に記載された発明によれば、係合部材と被係合部材とが、複数の係合位置で係合可能に構成されていることにより、係合位置によってポケット部材の収納量を調整できるので、閉塞状態の前記ポケット部材をより適切な状態に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の収納ファイルにおける一実施の形態を示す平面図である。
【図2】同上収納ファイルにおけるポケット部材の開口状態を示す斜視図である。
【図3】同上収納ファイルにおける立ち上り面の形状を示す断面図である。
【図4】(a)ないし(c)は、同上収納ファイルの折畳み方法を示す平面図である。
【図5】本発明の収納ファイルにおける他の実施の形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の一実施の形態の構成について図1ないし図4を参照しながら詳細に説明する。
【0044】
図1に示されるように、収納ファイル1は、ファイル本体2と、このファイル本体2に設けられ、例えば、ボルトやナット、ねじ等の付属部品、六角レンチやスパナ等の付属工具、鍵やアクセサリ等の小物品等の被収納物を収納する複数のポケット部材4とを備えている。
【0045】
ファイル本体2は、複数、例えば三つの略矩形状の基盤部材5と、これらの基盤部材5の間に設けられた複数、例えば二つの折曲線6とを有している。
【0046】
また、基盤部材5は、例えば合成樹脂や厚紙などにて形成され、ファイル本体2を折曲線6にて折曲し、基盤部材5にて保持して起立させた状態で、屈曲しない硬さを有している。すなわち、ファイル本体2を少なくとも一つの折曲線6にて折曲した状態にて、図示しない例えばデスク等の水平台上に折曲線6が鉛直になるように収納ファイル1を配置させると、水平台と接するファイル本体2の端部は、少なくとも2方向に延びることになり、収納ファイル1を自立して起立させることができる。
【0047】
ポケット部材4は、ファイル本体2に取り付けられた四角形状の被取付面3に対して立ち上り可能な隣接する複数、例えば四つの立ち上り面7にて形成されている。
【0048】
これらの各立ち上り面7の隣接する辺には結合部9が形成され、この結合部9が例えば溶着などにより結合され、複数の立ち上り面7の隣接する辺が接続されてポケット空間が構成されている。
【0049】
また、このポケット空間では、結合部9が結合された各立ち上り面7の被取付面3とは反対側の先端辺にて開口部10が構成されている。
【0050】
さらに、図2に示されるように、ポケット部材4の被取付面3には取付部11が形成され、この取付部11がファイル本体2に例えば溶着などにより固着して取り付けられている。
【0051】
なお、ポケット部材4をファイル本体2に固着せず、例えば面ファスナやボタン等にてファイル本体2に取り付け、ポケット部材4がファイル本体2に対して着脱可能に取り付けられた構成としてもよい。
【0052】
ポケット部材4は、各立ち上り面7が被取付面3から離間する方向へ立ち上り開口部10が開口した図2のような開口状態から、各立ち上り面7がファイル本体2の被取付面3側へ折曲されて被取付面3に略平行であり開口部10が閉塞した図1のような閉塞状態へ変化可能に構成されている。
【0053】
ここで、各立ち上り面7は、被取付面3に対して略直角な状態または被取付面3に対して直角より被取付面3側に傾斜した状態と、被取付面3に略平行な状態との間で変化可能である。
【0054】
さらに、複数の立ち上り面7には、ポケット部材4の閉塞状態を保持する保持機構である係合手段としての面ファスナ14が設けられており、複数の立ち上り面のうちのひとつである立ち上り面7aには、面ファスナ14を構成する係合部材としてのフック部材15が設けられ、立ち上り面7aに対向する立ち上り面7bには、ポケット部材4の閉塞状態において、フック部材15と対向する位置にフック部材15と係合可能であり面ファスナ14を構成する被係合部材としてのループ部材16が設けられている。なお、フック部材15とループ部材16とが係合することによりポケット部材4の閉塞状態が保持できる。
【0055】
また、フック部材15は略円形状に形成され、ループ部材16は楕円形状に形成されている。このように、フック部材15またはループ部材16の少なくともいずれか一方を楕円形状のような長手方向を有する形状に形成されることにより、フック部材15とループ部材16とが複数の係合位置にて係合可能に構成される。そして、複数の係合位置にて係合可能に構成されることにより、面ファスナ14の係合位置によってポケット部材4の収納量を調整できるので好ましい。
【0056】
立ち上り面7aは、先端辺が他の立ち上り面7の先端辺より延出し、この延出部分にて蓋部17が形成されている。このように蓋部17が形成されることにより、開口部10を蓋部17によって覆うように閉塞できるので好ましい。
【0057】
さらに、蓋部17にフック部材15を設け、他の立ち上り面7にループ部材16を設けることにより、フック部材15とループ部材16との係脱操作が容易にでき、また、閉塞状態をより確実に維持できるので好ましい。
【0058】
ポケット部材4は、例えば合成樹脂などにより形成され、さらに、透明な合成樹脂にて形成されると、ポケット部材4内の被収納物をポケット部材4の外部から透視して確認できるので好ましい。
【0059】
ここで、ポケット部材4は、図3に示されるように、このフック部材15が設けられた立ち上り面7aに隣接して互いに対向する二つの立ち上り面7c,7cは、被取付面3とは反対側の先端辺が、被取付面3とは反対側へ向かって凸状に形成されている。
【0060】
なお、図3に示すように、立ち上り面7は全域にわたって均一である必要はない。例えば、係合部材としてのフック部材15が設けられた立ち上り面7aは、被取付面3側が一枚のシートで構成され、この部分よりフック部材15側は、二枚のシートが重ねられている。したがって、上記のとおり、透明な合成樹脂にて構成されている本実施の形態に係る立ち上り面7aは、図2からも明らかなようにフック部材15側の二枚のシートが重ねられた領域と、被取付面3側の一枚構成の領域との境界部分近傍で折れ曲がり易く構成されている。すなわち、立ち上り面7が一枚構成である必要はなく、例えばフック部材15側を
被取付面3側と別体のシート体を接合する等して組み合わせて構成することも当然可能である。このような構成は、立ち上り面7a以外の立ち上り面7b,7cについても当然適用可能である。
【0061】
さらに、この先端辺が凸状に形成された立ち上り面7c,7cには、図2および図3に示すように二つの折畳線18が設けられ、折畳線18にて立ち上り面7c,7cが折畳まれてポケット部材4が閉塞状態となる。
【0062】
折畳線18は、図2に示すように立ち上り面7a,7cの隣接する辺および立ち上り面7b,7cの隣接する辺の下端部から立ち上り面7cの被取付面3とは反対側の先端辺へわたって被取付面3に対して傾斜状にのび、図3に示すように立ち上り面7cの外側面に対して谷折りになるように形成されている。
【0063】
図2に示すように、立ち上り面7cは、立ち上り面7a,7cの隣接する辺および立ち上り面7b,7cの隣接する辺が山折りに折曲され、二つの折畳線18,18が谷折りに折曲される。このように折曲されることにより、立ち上り面7c,7cは、二つの折畳線18,18の間の部分がポケット部材4の内側へ折り込まれ、立ち上り面7a,7cの隣接する辺および立ち上り面7b,7cの隣接する辺が立ち上り面7cの外側面に重なるように折畳まれ、ポケット部材4が閉塞状態になる。
【0064】
ポケット部材4は、閉塞状態では、対向する立ち上り面7c,7cの凸状の先端辺同士が略接する状態または重なる状態となる。
【0065】
収納ファイル1は、図4(a)に示されるように、各基盤部材5a,5b,5cには、複数のポケット部材4が並列して設けられ、各基盤部材5a,5b,5cのポケット部材4側が同じ方向を向くように形成されている。
【0066】
収納ファイル1を収納する際には、まず、図4(b)に示されるように、ファイル本体2を折曲線6a,6bにて隣接する二つの基盤部材5a,5bのポケット部材4側が内側となるように折曲する。
【0067】
このようにファイル本体2が折曲され、ポケット部材4側が対向する二つの基盤部材5a,5bの外側面にて、収納ファイル1を収納する際の表表紙および裏表紙が形成される。
【0068】
さらに、図4(c)に示されるように、ファイル本体2は、外側面が表表紙および裏表紙となる二つの基盤部材5a,5bとは異なる他の基盤部材5cが、二つの基盤部材5a,5bの内側へ収納されるように折曲線6c,6dにて折曲され、各基盤部材5a,5b,5cを巻き取るように折曲線6にて折曲される。
【0069】
そして、コンパクトな状態で収納される。
【0070】
なお、上記の実施の形態では、ポケット部材4をファイル本体2に取り付ける構成としたが、このような構成には限定されず、ファイル本体2と一体的にポケット部材4が設けられた構成でもよい。また、ファイル本体2とポケット部材4とが別体の場合は、被取付面3がファイル本体2に取り付けられた構成には限定されず、被取付面3の一部または全部がファイル本体2と一体的な構成等でもよい。
【0071】
さらに、例えば、図5に示されるように、ファイル用シート19の基盤部材20にポケット部材4を設け、さらに、このファイル用シート19は、端部に係合孔21を有し、従来のファイル等の係合部に係合孔21を係合して使用する構成としてもよい。
【0072】
また、ファイル本体2を三つの基盤部材5にて形成する構成としたが、このような構成には限定されず、基盤部材5の数は適宜設定できる。
【0073】
さらに、略矩形状の基盤部材5としたが、基盤部材5の形状は、矩形状に限定されず、適宜設定できる。
【0074】
また、複数の基盤部材5の間に二つの折曲線6を有する構成としたが、このような構成とすることにより、収納ファイル1を収納する際にポケット部材4の厚みに対応でき、さらに、基盤部材5を巻くようにコンパクトに収納する際に形状が安定し易いので好ましいが、このような構成には限定されず、例えば、三つ以上の折曲線6を設け、ポケット部材4の収納量に応じて折曲する折曲線6を選択できる構成や、折曲線6を一つだけ設けるシンプルな構成等としてもよい。
【0075】
さらに、基盤部材5は、ファイル本体2を起立させた状態で屈曲しない硬さを有する材料にて形成する構成には限定されず、基盤部材5を形成する材料は、コストや製品の強度、用途等を想定して適宜設定できる。
【0076】
ポケット部材4は、四つの立ち上り面7にて形成され、被取付面3が四角形状の構成としたが、このような構成には限定されず、立ち上り面7の数は適宜設定でき、被取付面3の形状は、例えば三角形状や円形状等で適宜設定でき、各ポケット部材4の形状が異なっていてもよい。
【0077】
また、ポケット部材4の大きさおよび数は適宜設定でき、例えば、各基盤部材5に設けられるポケット部材4の数が異なっていてもよく、さらに各ポケット部材4の大きさが異なっていてもよい。
【0078】
さらに、複数の立ち上り面7の隣接する辺に結合部9が形成され、この結合部9を結合してポケット空間が形成された構成には限定されず、例えば一枚のシートを折曲して一体的に接続した複数の立ち上り面7にてポケット空間が形成された構成等であってもよい。また、このような構成では、シートの折曲された部分が、複数の立ち上り面7の隣接する辺とされる。
【0079】
さらに、立ち上り面7が、被取付面3に対して略直角な状態または被取付面3に対して直角より被取付面3側に傾斜した状態と、被取付面3に略平行な状態との間で変化可能に構成されることにより、ポケット部材4が開口状態であっても開口部10の向きが重力方向下向き以外であれば、ポケット部材4内の被収納物がポケット部材4から脱落し難いので好ましいが、このような構成には限定されず、ポケット部材4が、各立ち上り面7が被取付面3から離間する方向へ立ち上った開口状態から、各立ち上り面7がファイル本体2の被取付面3側へ折曲されて被取付面3に略平行な閉塞状態に変化可能であればよい。
【0080】
係合部材としてのフック部材15を設け、被係合部材としてのループ部材16を設けた構成としたが、このような構成には限定されず、係合部材および被係合部材は、ポケット部材4の閉塞状態を保持できるものであれば、例えば、係合片と係合孔とを設けて係合片を係合孔に係合する構成や、ボタン型の係合部材を設ける構成等でもよい。
【0081】
すなわち、閉塞状態を保持できればどのような保持手段であってもよいが、上記のように収納量を調整可能な構成は、収納量に応じて閉塞状態のポケット部材4を適切な状態にする(被収納物以外の空間を少なくする等)ことができるため好ましい。
【0082】
また、ループ部材16は、ポケット部材4の閉塞状態において、フック部材15が設けられた立ち上り面7とは異なる立ち上り面7のフック部材15と対向する位置に設けられる構成には限定されず、フック部材15と対向する位置であれば、例えばファイル本体2や被取付面3等に設けられてもよい。
【0083】
さらに、ループ部材16が複数の立ち上り面7のいずれかに設けられ、例えば他の立ち上り面7、ファイル本体2、被取付面3等のフック部材15が閉塞状態にてループ部材16と対向する位置に設けられてもよい。
【0084】
また、フック部材15とループ部材16とが複数の係合位置にて係合可能に構成されることには限定されず、複数の係合位置にて係合できない構成でもよい。なお、複数の係合位置にて係合可能な構成とする場合は、フック部材15またはループ部材16の少なくともいずれか一方が長手方向を有する形状に形成されることに限定されず、例えば、面ファスナ14のフック部材15またはループ部材16を複数設ける構成等でもよい。
【0085】
さらに、フック部材15が設けられた立ち上り面7aに隣接する対向する二つの立ち上り面7c,7cの先端辺を凸状に形成する構成とすることにより、対向する先端辺が接近し易く、ポケット部材4内の被収納物が脱落し難いので好ましいが、このような構成には限定されず、対向する二つの立ち上り面7c,7cの先端辺が凸状でない構成でもよい。また、対向する二つの立ち上り面7c,7cの先端辺を凸状に形成する場合は、ポケット部材4の閉塞状態にて凸状の先端辺同士が略接するまたは重なる構成には限定されず、閉塞状態にて凸状の先端辺同士が接近すればよい。
【0086】
なお、立ち上り面7cは、ポケット部材4が開口状態から閉塞状態へ変化可能であれば、折畳線18が設けられた構成には限定されないのは当然である。立ち上り面7cに折畳線18が設けられる場合は、折畳線18が二つ設けられた構成には限定されず、折畳線18の数は複数であればよい。
【0087】
次に、上記一実施の形態の作用を説明する。
【0088】
収納ファイル1への例えば、ボルトやナット、ねじ等の付属部品、六角レンチやスパナ等の付属工具、鍵やアクセサリ等の小物品等の被収納物の収納に際しては、まず、基盤部材5を巻き取るように折畳まれた状態の収納ファイル1のファイル本体2を展開する。
【0089】
ポケット部材4のフック部材15が設けられた立ち上り面7を引っ張るように、フック部材15とループ部材16との係合を解除し、フック部材15が設けられた立ち上り面7をそのまま引っ張るようにしてポケット部材4を開口状態にする。
【0090】
開口状態のポケット部材4の開口部10から被収納物をポケット部材4内へ収納する。
【0091】
ポケット部材4に被収納物が収納された状態で、立ち上り面7を折曲しポケット部材4を閉塞状態にする。
【0092】
ポケット部材4のフック部材15とループ部材16とを係合し、ポケット部材4の閉塞状態を保持する。
【0093】
基盤部材5を巻くようにファイル本体2を折曲線6にて折曲し、コンパクトな状態で収納ずる。
【0094】
被収納物が収納された収納ファイル1から被収納物を取り出す際には、まず、ファイル本体2を展開し、複数のポケット部材4を一覧できる状態にして、取り出したい被収納物を探す。
【0095】
ポケット部材4のフック部材15が設けられた立ち上り面7を引っ張るようにフック部材15とループ部材16との係合を解除し、フック部材15が設けられた立ち上り面7をそのまま引っ張るようにしてポケット部材4を開口状態にする。
【0096】
開口状態のポケット部材4から被収納物を取り出す。
【0097】
開口状態のポケット部材4の立ち上り面7を折曲し、閉塞状態にして、フック部材15とループ部材16とを係合し、閉塞状態を保持する。
【0098】
基盤部材5を巻くようにファイル本体2を折曲線6にて折曲し、収納ファイル1をコンパクトな状態にする。
【0099】
そして、この収納ファイル1では、ポケット部材4は、被取付面3に対して立ち上り可能な隣接する複数の立ち上り面7を有し、これら複数の立ち上り面7の隣接する辺が結合部9にて結合されてポケット空間が構成され、各立ち上り面7のファイル本体2の被取付面3とは反対側の先端辺によって開口部10が構成されることにより、従来のものに比べてポケット部材4に対する開口部10の開口面積を大きくでき、被取付面3と開口部10とが離間した状態で(特に、図2に明瞭に示されるように被取付面3に対する鉛直方向側のファイル本体2の正面側に)ポケット空間を開口できるので、被収納物の出し入れを容易にできる。
【0100】
また、複数の立ち上り面7の先端辺にて形成された開口部10は、各立ち上り面7が被取付面3に対して立ち上ることにより開口するので、ファイル本体2を水平に保持できない状態にて開口部10を開口した場合であっても、開口部10が重力方向下側に向きにくく、従来のポケット部材付きファイルと比べ立ち上り面7にて被収納物をポケット部材4の内部に保持でき、ポケット部材4から被収納物が脱落し難い。したがって、ファイル本体2を水平に保持できない場合であっても使用でき、使用状態、使用可能場所、使用可能シーンが極めて多様である。
【0101】
特に、収納ファイル1は、通常、例えばデスク等の水平台上に、ファイル本体2が略水平になるように置いて使用される場合や、ファイル本体2を水平台に対して略垂直に起立させた状態にて使用される場合が想定されるが、このような起立させた状態にて使用する場合では、ポケット部材4を開口状態にしても、被収納物は脱落し難い。したがって、収納ファイル1を起立させた状態にして使用する際に、ポケット部材4の開口部10の開口方向を考慮する必要がない。
【0102】
さらに、ポケット部材4は、各立ち上り面7が被取付面3から離間する方向へ立ち上り開口部10が開口した開口状態から、各立ち上り面7が被取付面3に略平行であり開口部10が閉塞した閉塞状態へ変化可能に構成されていることにより、ポケット部材4に対する開口部10の開口面積を大きく開口できるので、被収納物の出し入れを極めて容易にできる。
【0103】
また、複数の立ち上り面7は隣接する辺が結合され、これら結合された複数の立ち上り面7のうちの一つである立ち上り面7aにはフック部材15が設けられ、他の立ち上り面7bにはループ部材16が設けられていることにより、立ち上り面7aを立ち上ると、他の複数の立ち上り面7b,7c,7cが連動して被取付面3から離間する方向へ立ち上る。したがって、フック部材15が設けられた立ち上り面7aを引っ張ってフック部材15とループ部材16との係合を解除し、そのままのフック部材15が設けられた立ち上り面7aを引っ張ることにより、ポケット部材4を開口状態にでき、フック部材15とループ部材16との係合の解除作業から一連してポケット部材4を閉塞状態から開口状態へ変化できるので、被収納物の出し入れをより容易にできる。言い換えると、図2に明瞭に示されるように、立ち上り面7aを立ち上らせると、この立ち上り面7aに接続されている立ち上り面7c,7cも立ち上り、さらに立ち上り面7c,7cに接続されている立ち上り面7bも立ち上る。すなわち、立ち上り面7aを連続的に移動させるだけで全ての立ち上り面7b,7c,7cが一体的に立ち上り、ポケット部材4が閉塞状態から開口状態となる。さらに、本実施の形態のような閉塞状態を保持する構成として保持手段である面ファスナ14を採用すれば、閉塞状態を保持する保持状態を解除する作業から開口状態までが一連の作業で完了する。当然、ポケット部材4を開口状態から閉塞状態にする作業、さらには、保持状態にする作業も一連の作業(図3に示す立ち上り面7aが被取付面3から離間して立ち上った状態から図1に示す立ち上り面7aが被取付面3に略平行な状態にする作業であり、被取付面3に対する立ち上り面7aの角度を変える作業)だけでよい。
【0104】
このように、収納ファイル1は、被収納物の出し入れが容易にでき、また、ポケット部材4が開口状態であっても被収納物が脱落し難いので、例えば工事現場やベッドの上等のデスク等の水平台がない場合であっても、使用でき、使用状態、使用可能箇所、使用可能シーン等が極めて多様である。
【0105】
図1ないし図5に示すように、ポケット部材4は、四つの立ち上り面7と、四角形状の被取付面3とを有していることにより、ポケット部材4のポケット空間を確保し易く、被収納物の出し入れが容易にできる。
【0106】
立ち上り面7cには、図2、図3に示すように二つの折畳線18,18が設けられ、これら二つの折畳線18,18は、立ち上り面7cの外側面に対して谷折りになるように形成されていることにより、上記のとおりポケット部材4を、開口状態と閉塞状態とに変化させる際に、立ち上り面7c,7cを折畳み易く、ポケット部材を開口状態と閉塞状態とに変化し易い。さらに、折畳線18,18にて立ち上り面7cを折畳むことにより、立ち上り面7a,7bだけでなく、立ち上り面7c,7cにてポケット部材4内の被収納物を保持できるので、ポケット部材4内の被収納物が脱落し難い。
【0107】
また、フック部材15が設けられた立ち上り面7aに隣接する対向する二つの立ち上り面7c,7cの先端辺が、ファイル本体2の被取付部とは反対側へ向かって凸状に形成されていることにより、二つの立ち上り面7c,7cの先端辺が接近し易いので、先端辺が接近した二つの立ち上り面7c,7cによってポケット部材4内の被収納物を保持でき、被収納物がより脱落し難い。
【0108】
特に、ポケット部材4の閉塞状態では、二つの立ち上り面7c,7cの凸状の先端辺が確実に接近するので、ポケット部材4を閉塞状態から開口状態へする際の被収納物の脱落を防止できる。さらに、ポケット部材4が閉塞状態で、二つの立ち上り面7c,7cの凸状の先端辺が、略接する状態または重なる状態とすることにより、二つの立ち上り面7c,7cにて被収納物を確実に保持できるので、被収納物の脱落をより確実に防止できる。
【0109】
立ち上り面7が、被取付面3に対して略直角な状態または被取付面3に対して直角より被取付面3側に傾斜した状態と、被取付面3に略平行な状態との間で変化可能に構成されていることにより、より確実に立ち上り面7にて被収納物をポケット部材4の内部に保持できるので、被収納物がポケット部材4から脱落し難い。例えば、収納ファイル1を起立させた状態にして使用する際等では、ポケット部材4が開口状態であっても、最も下側に位置する立ち上り面7が略水平な状態または立ち上り面7において先端辺が被取付面3側より上側に位置する状態となるので、立ち上り面7により被収納物を確実に保持でき、前記被収納物が自重によりポケット部材4から脱落し難い。なお、図3に示すように開口状態において折畳線18,18で折り曲げないと立ち上り面7c,7cが被取付面3に対して略直角となる構成にした場合も、実際は、ポケット部材4を開口状態にしても図2に示すように、立ち上り面7c,7cは折畳線18,18が若干折り曲げられた状態となるため、このような構成のポケット部材4における開口状態では、立ち上り面7の被取付面3に対する角度は、被取付面3に対して直角より被取付面3側に傾斜していると言い得る。すなわち、実際上において、立ち上り面7が被取付面3に対して略直角、好ましくは直角より被取付面3側に傾斜しているとよく、さらには、折畳線18,18を折り曲げない状態においても被取付面3に対して略直角または直角より被取付面3側に傾斜していれば、被収納物が脱落する可能性が従来のファイルと比べて極めて少ない(被収納物が脱落しない収納ファイル1の向き・角度が従来のファイルより多い・大きい)。
【0110】
基盤部材5は、ファイル本体2を起立させた状態で、基盤部材5が屈曲しない硬さを有しているので、ファイル本体2を起立させた状態で保持して使用でき、汎用性を向上できる。すなわち、ファイル本体2を起立させた状態において、ポケット部材4を開口状態にしても被収納物が脱落し難いので、従来の構成では想定し得なかった使用場所、使用方法を提供できる。
【0111】
ファイル本体2は、隣接する二つの基盤部材5a,5bのポケット部材4側が内側になるように折曲線6a,6bにて折曲され、その二つの基盤部材5a,5bの外側面にて表表紙および裏表紙が形成される。さらに、この二つの基盤部材5a,5bの内側へ他の基盤部材5cが収納されるように折曲線6c,6dにて折曲可能であるので、コンパクトな状態で収納できる。また、ファイル本体2を展開した際に、各基盤部材5a,5b,5cのポケット部材4側の面が並列した状態となるので、各ポケット部材4を一覧でき、必要な被収納物を検索し易い。なお、全ての基盤部材5a,5b,5cにポケット部材4が設けられた構成に限定されないのは当然のことであり、想定される用途に応じてポケット部材4の数や大きさ等を設定できる。したがって、想定される用途によっては一つの基盤部材5に一つのポケット部材4が設けられ、他の基盤部材5には、ポケット部材4とは異なる要素が付加された構成に設計することも当然に可能である。
【0112】
ポケット部材4をファイル本体2に対して固着せず、例えば面ファスナやボタン等にて着脱可能に取り付ける構成を採用した場合、ポケット部材4をファイル本体2から取外して使用できるので、汎用性を向上できる。例えば、付属部品や付属工具を被収納物として収納する場合は、これらの被収納物を保管する際には、ポケット部材4をファイル本体2に装着した状態にする。そして、被収納物を使用する際は、使用する被収納物が収納されたポケット部材4をファイル本体2から取外し、使用する場所まで、ポケット部材4を持って行くことができ、複数種類の被収納物を使用する際にも被収納物を紛失し難い。
【0113】
フック部材15またはループ部材16の少なくともいずれかが長手方向を有する構成やフック部材15またはループ部材16を複数設ける構成等、フック部材15とループ部材16とが複数の係合位置にて係合可能に構成されていることにより、その係合位置によってポケット部材4の収納量を調整できる。そして、このように係合位置を調整できるので、例えば収納量に対して係合位置が不適切なこと等により、意図せず係合が解除されることを抑制でき、閉塞状態のポケット部材4をより適切な状態に保持できる。
【符号の説明】
【0114】
1 収納ファイル
2 ファイル本体
3 被取付面
4 ポケット部材
5 基盤部材
6 折曲線
7 立ち上り面
10 開口部
15 係合部材としてのフック部材
16 被係合部材としてのループ部材
18 折畳線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイル本体と、
このファイル本体に設けられたポケット部材とを具備し、
このポケット部材は、前記ファイル本体に設けられた被取付面に対して立ち上り可能な隣接する複数の立ち上り面を有し、これら複数の立ち上り面の隣接する辺が接続されてポケット空間が構成され、各立ち上り面の前記被取付面とは反対側の先端辺によって開口部が構成され、
前記ポケット部材は、各立ち上り面が前記被取付面から離間する方向へ立ち上り前記開口部が開口した開口状態から、前記各立ち上り面が前記被取付面に略平行であり前記開口部が閉塞した閉塞状態へ変化可能に構成され、
前記閉塞状態を保持する保持手段を備えた
ことを特徴とした収納ファイル。
【請求項2】
ファイル本体と、
このファイル本体に設けられたポケット部材とを具備し、
このポケット部材は、前記ファイル本体に設けられた被取付面に対して立ち上り可能な隣接する複数の立ち上り面を有し、これら複数の立ち上り面の隣接する辺が接続されてポケット空間が構成され、各立ち上り面の前記被取付面とは反対側の先端辺によって開口部が構成され、
前記ポケット部材は、各立ち上り面が前記被取付面から離間する方向へ立ち上り前記開口部が開口した開口状態から、前記各立ち上り面が前記被取付面に略平行であり前記開口部が閉塞した閉塞状態へ変化可能に構成され、
前記閉塞状態を保持する保持機構を備えた
ことを特徴とした収納ファイル。
【請求項3】
ファイル本体と、
このファイル本体に設けられたポケット部材とを具備し、
このポケット部材は、前記ファイル本体に設けられた被取付面に対して立ち上り可能な隣接する複数の立ち上り面を有し、これら複数の立ち上り面の隣接する辺が接続されてポケット空間が構成され、各立ち上り面の前記被取付面とは反対側の先端辺によって開口部が構成され、
前記ポケット部材は、各立ち上り面が前記被取付面から離間する方向へ立ち上り前記開口部が開口した開口状態から、前記各立ち上り面が前記被取付面に略平行であり前記開口部が閉塞した閉塞状態へ変化可能に構成され、
前記複数の立ち上り面のいずれかには、係合部材が設けられ、前記ポケット部材の閉塞状態において前記係合部材に対向する位置には、前記係合部材と係合可能な被係合部材が設けられた
ことを特徴とした収納ファイル。
【請求項4】
ポケット部材は、四つの立ち上り面と、四角形状の被取付面とを有している
ことを特徴とした請求項1ないし3のいずれか記載の収納ファイル。
【請求項5】
相互に対向する二つの立ち上り面の少なくとも一組は、外側面に対して谷折りになるように形成された複数の折畳線が設けられている
ことを特徴とした請求項1ないし4のいずれか記載の収納ファイル。
【請求項6】
相互に対向する二つの立ち上り面の少なくとも一組は、前記被取付面とは反対側の先端辺が前記被取付面とは反対側へ向かって凸状に形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載の収納ファイル。
【請求項7】
立ち上り面は、被取付面に対して直角な状態または前記被取付面に対して直角より前記被取付面側に傾斜した状態と、前記被取付面に略平行な状態との間で変化可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか記載の収納ファイル。
【請求項8】
ファイル本体は、複数の基盤部材と、これら複数の基盤部材の間に設けられた折曲線とを有し、
前記基盤部材は、前記ファイル本体を前記折曲線にて折曲し前記基盤部材にて保持して起立させた状態で屈曲しない硬さを有している
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか記載の収納ファイル。
【請求項9】
ファイル本体は、少なくとも三つの基盤部材を有し、
この基盤部材には複数のポケット部材が設けられ、
隣接する二つの基盤部材のポケット部材側が内側になるように折曲されその二つの基盤部材の外側面にて表表紙および裏表紙が形成され、この二つの基盤部材の内側へ他の基盤部材が収納されるように折曲可能である
ことを特徴とした請求項1ないし8のいずれか記載の収納ファイル。
【請求項10】
ファイル本体は、少なくとも三つの基盤部材を有し、
少なくとも一つの基盤部材には少なくとも一つのポケット部材が設けられ、
前記全ての基盤部材を開いた状態において、前記ポケット部材が設けられた基盤部材におけるポケット部材側が内側とされ、
前記ポケット部材が設けられた基盤部材と、この基盤部材に隣接する他の一つの基盤部材とがそれぞれ内側が対向するように折曲されその二つの基盤部材の外側面にて表表紙および裏表紙が形成され、この二つの基盤部材の内側へ他の基盤部材が収納されるように折曲可能である
ことを特徴とした請求項1ないし8のいずれか記載の収納ファイル。
【請求項11】
ポケット部材は、ファイル本体に対して着脱可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか記載の収納ファイル。
【請求項12】
係合部材と被係合部材とは、複数の係合位置で係合可能に構成されている
ことを特徴とする請求項3ないし11のいずれか記載の収納ファイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−119824(P2010−119824A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20974(P2009−20974)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000129437)株式会社キングジム (241)
【Fターム(参考)】