説明

収納物管理システムおよび収納箱

【課題】収納箱に貼り付けられたラベルに記載された部品の情報と、収納箱に収容された部品とを確実に適合させることができる収納物管理システムおよび収納箱を提供する。
【解決手段】収納箱に収納される収納物に取り付けられる、収納物を表した収納物情報を記憶する、その記憶した収納物情報が無線通信で読み出される収納物タグと、収納物タグと無線通信を行って収納物情報を読み出すタグ読み出し器と、収納箱の外面に取り付けられる、情報が可視状態で書き込まれるラベルと、タグ読み出し器によって読み出された収納物情報をラベルに書き込むラベル書込み器とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を箱内に収容して管理する収納物管理システム、および物品を収容する収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
電化製品などを製造しているメーカでは、製品の故障や消耗品の交換などといったユーザの問合せに備えて、製品の部品や消耗品などが倉庫に保管されていることが一般的である。製品の製造を中止した後も数年間は部品を用意しておく必要があり、倉庫には、様々な製品の多種多様な部品が保管されている。各部品は、部品を製造している部品メーカから倉庫にロット単位で梱包された状態で入荷されるが、部品の破損や汚れなどを防止するとともに、搬送作業を効率化するため、それらの部品が倉庫の作業者によって個々に箱内に収容されて保管される。通常は、箱の外面に部品の型番などといった部品情報が記されたラベルが貼り付けられており、その箱内に部品が収容されて箱が梱包される。ユーザからの問合せを受けると、箱に貼り付けられたラベルの部品情報を確認して目的の部品が出庫され、個装された状態の部品がそのままユーザに届けられる。しかし、この梱包方法では、誤った部品情報が記された箱内に部品を収容してしまったり、余分な部品まで箱内に収容してしまい、ユーザに目的の部品とは違う部品を届けてしまう恐れがある。実際に、ラベルに記された部品情報と、部品とを確認して梱包作業を行っていても、誤った部品をユーザに配達してしまう不具合を完全にはなくすことができていないのが現状である。また、箱を梱包した後で、箱内に正しい部品が収容されているか否かを確認する場合には、箱を一旦開封して部品を確認し、再び部品を新たな箱内に収容して梱包しなおす必要があり、手間がかかってしまううえ、箱などを無駄に使用してしまうという問題がある。
【0003】
この点に関し、特許文献1には、部品に型番などを示す部品情報が記憶されたICタグを取り付けておく技術について記載されている。この技術によると、箱の外からタグリーダを使ってICタグに記憶された部品情報を読み取り、その部品情報が箱に貼り付けられたラベルと一致しているか否かを確認することによって、箱を開封せずに、箱内に正しい部品が収容されているか否かを確認することができる。
【特許文献1】特開2002−230497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した技術では、箱内にラベルに記された部品情報が示す部品とは異なる部品が収容されていることが確認された場合、結局は、箱を開封して部品を取り出し、正しい部品を梱包しなおさなければならないという問題がある。
【0005】
上記事情に鑑み、収納箱に貼り付けられたラベルに記載された部品の情報と、収納箱に収容された部品とを確実に適合させることができる収納物管理システムおよび収納箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する収納物管理システムの基本形態は、
収納箱に収納される収納物に取り付けられる、収納物を表した収納物情報を記憶する、その記憶した収納物情報が無線通信で読み出される収納物タグと、
収納物タグと無線通信を行って収納物情報を読み出すタグ読み出し器と、
収納箱の外面に取り付けられる、情報が可視状態で書き込まれるラベルと、
タグ読み出し器によって読み出された収納物情報をラベルに書き込むラベル書込み器とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この収納物管理システムの基本形態によると、収納物に収納物情報が記憶された収納物タグが取り付けられており、収納物が収納箱内に収容されて梱包された後で、収納箱の外から収納物タグに記憶された収納物情報が読み出され、収納箱の外面に取り付けられたラベルに収納物情報が書き込まれる。収納物と収納物タグとの適合については、収納箱に入れる前に複数の作業者が収納物を目視で確認することで確実に適合させることができ、不適合が確認された場合であっても収納箱の開封は不要である。そして、収納物を梱包した後で、収納物タグに記憶された収納物情報がラベルに書き込まれることによって、ラベルと収納物タグとを確実に適合させることができる。このため、収納物管理システムの基本形態によると、収納箱に貼り付けられたラベルと、収納箱に収容された収納物とを確実に適合させることができ、梱包された収納箱を無駄に開封する事態が回避される。
【0008】
また、上記目標を達成する収納箱の基本形態は、
内部に収納物が収納され、収納物には、収納物を表した収納物情報を記憶する、その記憶した収納物情報が無線通信で読み出される収納物タグが取り付けられる収納箱本体と、
収納物タグから読み出された収納物情報を表した信号の入力を受けて信号が表している収納物情報を表示する、収納箱の外面に取り付けられた電子ペーパーと、
収納箱に取り付けられ情報を記憶する、その情報が無線通信で読み書きされる、収納物情報を表した信号が電子ペーパーに入力される場合に収納物情報が書き込まれる収納箱タグとを備えたことを特徴とする。
【0009】
この収納箱の基本形態によると、収納物を収納する前に、収納物と収納物タグとを確実に適合させることができるとともに、収納物を梱包した後で、ラベルと収納物タグとを確実に適合させることができる。したがって、収納箱に貼り付けられたラベルと、収納箱に収容された収納物とを確実に適合させることができ、誤った物品を配送してしまう不具合などを防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、収納物管理システムおよび収納箱の基本形態によると、収納箱に貼り付けられたラベルに記載された部品の情報と、収納箱に収容された部品とを確実に適合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、上記説明した基本形態に対する具体的な実施形態を説明する。
【0012】
図1は、物品を収納箱に収容して管理する収納物管理システムの概略的な構成図である。
【0013】
図1に示す収納物管理システム1は、部品メーカからロット単位で入荷される部品を個別に収納箱内に収容して倉庫に保管するとともに、ユーザからの問合せに応じて、必要な部品を出庫してユーザに届けるためのシステムである。この収納物管理システム1には、個包装されてユーザに搬送される物品10と、物品10に貼り付けられる物品用電子タグ20と、物品10が収容される収納箱30と、収納箱30の外面に貼り付けられる、箱用電子タグ41が取り付けられた電子ペーパー40と、電子タグに情報を読み書きするタグ機能、電子タグとの間の距離を計測する距離計測機能、および電子ペーパーに文字を書き込む電子ペーパー機能が搭載されたタグリーダ・ライタ50と、物品10を管理する管理装置60と、物品10を管理するための各種テーブルが保存されたデータベース(DB)70とが備えられている。収納箱30は、上述した収納物管理システムの基本形態における収納箱の一例にあたるとともに、上述した収納箱の基本形態における収納箱本体の一例にも相当し、箱用電子タグ41は、上述した収納物管理システムおよび収納箱の基本形態における収納箱タグの一例に相当する。また、物品10は、上述した収納物管理システムおよび収納箱の基本形態における収納物の一例にあたり、物品用電子タグ20は、上述した収納物管理システムおよび収納箱の基本形態における収納物タグの一例に相当する。さらに、電子ペーパー40は、上述した収納物管理システムおよび収納箱の基本形態におけるラベルの一例にあたり、タグリーダ・ライタ50は、上述した収納物管理システムの基本形態におけるタグ読み出し器の一例にあたるとともに、上述した収納物管理システムの基本形態におけるラベル書き込み器の一例にも相当する。
【0014】
図2は、物品10を収納箱30内に収容して梱包するまでの一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【0015】
部品を製造している部品メーカから倉庫には、物品10がロット単位でまとめて入荷される。物品10が入荷されると、まず、オペレータによって、部品の型番や使用装置などが登録された収納物情報テーブル(図3参照)、部品の型番や部品が保管される棚番などが登録された保管情報テーブル(図6参照)、および部品の型番や顧客コードなどが登録された出庫情報テーブル(図8参照)が作成され、作成された各テーブルがDB70に記憶される。続いて、破損や汚れなどを防止するために、ロット単位で入荷された物品10が個々に収納箱30内に梱包されて倉庫内に保管される。
【0016】
物品10の梱包にあたっては、まず、物品10と物品用電子タグ20が用意され(図2のステップS11)、タグリーダ・ライタ50を使って、DB70に記憶されている収納物情報テーブル中の、物品10に対応する収納物情報が物品用電子タグ20に書き込まれる(図2のステップS12)。
【0017】
図3は、DB70に記憶された収納物情報テーブルを示す図である。
【0018】
図3に示すように、収納物情報テーブルには、部品の型番、版数、製造号機、製造日、製造元番号、部品の耐用年数、部品の品名、部品が使用されている装置名などが登録されている。
【0019】
作業者が、物品10の型番を確認して、管理装置60に予め用意されている入力画面に従って型番を入力すると、管理装置60では、DB70に記憶された収納物情報テーブル中の、入力された型番に対応する収納物情報が取得される。取得された収納物情報は、タグリーダ・ライタ50に伝達されて、物品10に取り付けられた物品用電子タグ20に書き込まれる。
【0020】
図4は、物品用電子タグ20の一例を示す図である。
【0021】
図4に示すように、物品用電子タグ20には、ラベル21上に、タグリーダ・ライタ50と無線通信を行うことによって情報が書き込まれるタグ21が取り付けられており、ラベル21の、タグ21が取り付けられていないスペースには、物品10の型番および機番が記されている。
【0022】
物品用電子タグ20に物品10の収納物情報が書き込まれると、作業者によって、その物品用電子タグ20が物品10に貼り付けられる(図2のステップS13)。さらに、作業者は、タグリーダ・ライタ50を使って、物品用電子タグ20に記憶された情報を読み取り、物品10の収納物情報が記録されているか否かを確認する。読み取られた情報が物品10の収納物情報とは異なっている場合、タグリーダ・ライタ50を使って正しい収納物情報を物品用電子タグ20に記憶させる。以上の作業によって、物品用電子タグ20に記憶された収納物情報と、物品10とを確実に適合させることができる。
【0023】
続いて、空の収納箱30が用意され(図2のステップS14)、物品用電子タグ20が取り付けられた物品10が収納箱30内に収容されて、梱包される(図2のステップS15)。
【0024】
さらに、収納箱30の外面に、箱用電子タグ41が取り付けられた電子ペーパー40が貼り付けられる(図2のステップS16)。
【0025】
以上のようにして、収納箱30内に物品10が梱包されると、収納物30の外面に貼り付けられた電子ペーパー40に物品10の情報が書き込まれるとともに、電子ペーパー40に取り付けられた箱用電子タグ41にも物品10の情報が記録される。
【0026】
図5は、梱包された物品10が出庫されてから、返品されてきた物品が処分されるまでの処理の流れを示すフローチャート図である。
【0027】
物品10が梱包されると、まず、タグリーダ・ライタ50を使って、収納箱30の外側から物品用電子タグ20に記録された情報が読み出される(図5のステップS21)。このとき、タグリーダ・ライタ50では、収納箱30内に収容された物品10の物品用電子タグ20と、収納箱30の外面に貼り付けられた箱用電子タグ41それぞれに記録されている情報が同時に読み出されるため、管理装置60において、タグリーダ・ライタ50で読み出された情報が、物品用電子タグ20に記憶された物品用タグ情報と、箱用電子タグ41に記憶された箱用タグ情報とに分離される(図5のステップS22,S23)。また、タグリーダ・ライタ50では、タグリーダ・ライタ50と各電子タグとの間の距離が計測されており、読み出された情報といっしょに計測結果も管理装置60に伝達される。
【0028】
この時点では、収納箱30の外面に貼り付けられた箱用電子タグ41には情報が書き込まれていないため(図5のステップS24:No)、タグリーダ・ライタ50を使って、電子ペーパー40に情報が記載されるとともに、収納箱30の箱用電子タグ41に情報が書き込まれる(図5のステップS25)。
【0029】
図6は、DB70に記憶された保管情報テーブルを示す図であり、図7は、DB70に記憶された出庫情報テーブルを示す図である。
【0030】
図6に示すように、保管情報テーブルには、一連の部品管理番号、部品の型番、版数、製造号機、物品10と収納箱30との間の距離、棚番、出庫指示番号、出庫日時、開封日時、返却日時、および返却状況が登録されている。この保管情報テーブル中の、「出庫日時」「出庫指示番号」の項目は、物品10が出庫される際に入力され、「開封日時」は、メーカーの技術者が顧客先で収納箱30を開封したときに入力され、「返却日時」および「返却状況」は、出庫した物品10が返品されたときに入力され、「物品距離」は、タグリーダ・ライタ50から伝えられた物品用電子タグ20および箱用電子タグ41それぞれとの間の距離の計測結果の差分が記録される。
【0031】
また、図7に示すように、出庫情報テーブルには、出庫指示番号、部品管理番号、部品の型番、版数、製造号機、収納箱の開封状態、障害番号、出庫元番号、製造番号、装置名、および製造号機が登録されている。この出庫情報テーブル中の、「収納箱の開封状態」は、メーカーの技術者が顧客先で収納箱30を開封したときに入力され、「障害番号」は、出庫した物品10が返品されたときに入力される。
【0032】
管理装置60では、保管情報テーブルおよび出庫情報テーブルから、物品用電子タグ20に記憶された物品用タグ情報中の型番と同じ型番に対応する箱用タグ情報が取得され、取得された箱用タグ情報がタグリーダ・ライタ50に伝えられる。さらに、タグリーダ・ライタ50によって、電子ペーパー40に箱用タグ情報が記載されるとともに、収納箱30の箱用電子タグ41に箱用タグ情報が記録される。
【0033】
図8は、電子ペーパー40を示す図である。
【0034】
図8に示すように、電子ペーパー40には、箱用電子タグ41が取り付けられており、箱用タグ情報中の、型番、出庫日時、製造号機、出庫指示番号、版数、棚番、出庫先、顧客コード、開封状態、および返却状況が記載されている。この時点では、物品10は出庫されていないため、開封状態は「未」、返却状況は「未使用」が記載されている。
【0035】
ここで、上記収納物管理システムの基本形態において、上記ラベルが、情報を表した信号の入力を受けてその信号が表している情報を表示する電子ペーパーであり、
ラベル書込み器が、電子ペーパーに、収納物情報を表した信号を入力して収納物情報を表示させるものであるという応用形態が好ましい。
【0036】
信号を入力して情報を表示させる電子ペーパーを利用することによって、収納物タグに記憶された情報を容易かつ確実にラベル上に記載することができる。図8に示す電子ペーパー40は、上述した収納物管理システムの応用形態における電子ペーパーの一例に相当する。
【0037】
また、上記収納物管理システムの基本形態において、上記収納箱に取り付けられる、情報を記憶する、その情報が無線通信で読み書きされる収納箱タグと、
上記ラベル書込み器がラベルに書き込む情報を収納箱タグに無線通信で書き込むタグ書込み器とを備えたという応用形態は好ましい。
【0038】
電子ペーパーに表示された情報が収納箱タグにも記録されることによって、電子ペーパーに記載された情報が認識しづらくなってしまっても、確実に収納箱に収容された物品の情報を保存することができる。箱用電子タグ41は、上述した収納物管理システムの応用形態における収納箱タグの一例にあたり、タグリーダ・ライタ50は、上述した収納物管理システムの応用形態におけるタグ書込み器の一例に相当する。
【0039】
このように、本実施形態によると、収納箱30に収容された物品10の物品用電子タグ20に記録された物品用タグ情報に対応する箱用タグ情報が取得され、その箱用タグ情報が電子ペーパー40に記載されるとともに、収納箱30の箱用電子タグ41に記録される。したがって、物品用電子タグ20に記録された物品用タグ情報、電子ペーパー40に記載された箱用タグ情報、および収納箱30の箱用電子タグ41に記録された箱用タグ情報を確実に適合させることができる。
【0040】
以上のようにして収納箱30内に梱包された物品10は、倉庫内に保管される。
【0041】
ユーザから製品の故障や消耗品の交換などといった問合せを受けると、作業者によって、製品の修理などに必要な物品10の型番などが確認され、倉庫に保管されている物品の中から目的の物品10が出庫される(図5のステップS26)。本実施形態では、収納箱30に貼り付けられた電子ペーパー40に、収納箱30に収容された物品10の情報が記載されているため、目的の物品10を容易に探し出すことができる。
【0042】
物品が出庫されるときには、管理装置60において、図6に示す保管情報テーブルおよび図7に示す出庫情報テーブル中の「出庫指示番号」、「出庫日時」、および「顧客コード」などといった項目が入力され、更新後の保管情報テーブルおよび出庫情報テーブルに基づいた新たな箱用タグ情報が生成されてタグリーダ・ライタ50に伝えられる。タグリーダ・ライタ50では、電子ペーパー40に更新後の箱用タグ情報が記載されるとともに、収納箱30の箱用電子タグ41に更新後の箱用タグ情報が記録される。
【0043】
電子ペーパー40および箱用電子タグ41が更新されると、物品10が収納箱30に入れられたままの状態で運搬先に出荷される。
【0044】
このように、本実施形態によると、物品10に正しい物品用タグ情報が記録された物品用電子タグ20を貼り付けることができるとともに、物品用電子タグ20に記録された物品用タグ情報、電子ペーパー40に記載された箱用タグ情報、および収納箱30の箱用電子タグ41に記録された箱用タグ情報を確実に適合させることができるため、収納箱に誤った物品を収容してしまう不具合を防止することができる。
【0045】
また、ユーザから返品されてきた物品10については、収納箱30を開封せずに物品10の処分が決定される。
【0046】
返品されたきた物品10に対しても、まず、タグリーダ・ライタ50を使って、収納箱30の外側から物品用電子タグ20に記録された情報が読み出され(図5のステップS21)、物品用電子タグ20に記憶された物品用タグ情報と、箱用電子タグ41に記憶された箱用タグ情報とが取得されるとともに(図5のステップS22,S23)、タグリーダ・ライタ50と各電子タグとの間の距離が計測される。
【0047】
箱用電子タグ41には箱用タグ情報が書き込まれている場合(図5のステップS24:Yes)、管理装置60において、タグリーダ・ライタ50から伝えられた物品用電子タグ20および箱用電子タグ41それぞれとの間の距離の計測結果の差分が算出される(図5のステップS27)。
【0048】
さらに、管理装置60において、算出された計測結果の差分が、箱用タグ情報中の「物品距離」に所定距離をプラスした所定値よりも大きいか否かが判定される(図5のステップS28)。
【0049】
計測結果の差分が所定値以下である場合(図5のステップS28:No)、収納箱30と物品10との距離が出庫前と返品後とで変化していないことを示しており、収納箱30は未開封であると考えられる。このため、管理装置60からタグリーダ・ライタ50に指示が与えられ、収納箱30に貼り付けられた電子ペーパー40に「未開封」と記載される(図5のステップS29)。管理者は、電子ペーパー40に「未開封」と記載された収納箱30を、電子ペーパー40に記載された棚番が示す保管場所に戻す。
【0050】
ここで、上記収納物管理システムの基本形態において、収納物タグおよび収納箱タグと無線通信を行い、それら収納物タグおよび収納箱タグが互いに所定程度以上乖離したか否かを判定する乖離判定部と、
乖離判定部による判定結果に応じた情報をラベルに、収納情報とは別に書き込むラベル更新器とを備えたという応用形態は好ましい。
【0051】
収納物タグおよび収納箱タグが互いに所定程度以上乖離したか否かの判定結果がラベルに記載されることによって、収納箱の開封状態を容易に確認することができ、未開封の収納物に関しては、梱包しなおすことなく再利用することができる。タグリーダ・ライタ50と管理装置60とを合わせたものは、上述した収納物管理システムの応用形態における乖離判定部の一例にあたり、タグリーダ・ライタ50は、上述した収納物管理システムの応用形態におけるラベル更新器の一例にも相当する。
【0052】
また、図5のステップS28において、計測結果の差分が所定値よりも大きい場合(図5のステップS28:Yes)、収納箱30と物品10との距離が出庫前と返品後とで変化していることを示しており、収納箱30は開封されたと考えられる。管理装置60では、物品用電子タグ20に記憶された物品用タグ情報と、箱用電子タグ41に記憶された箱用タグ情報とが比較され(図5のステップS30)、比較結果に応じて物品10の処分方法が決定される(図5のステップS31)。
【0053】
図9は、物品用タグ情報および箱用タグ情報の比較結果と、処分方法との関係を示す図である。
【0054】
OK品1:開封状態が「未開封」で、物品用タグ情報および箱用タグ情報の型番、号機、版数が全て同じである場合、物品10はそのまま再利用することができる。
【0055】
OK品2:開封状態が「開封」で、物品用タグ情報および箱用タグ情報の型番、号機、版数が全て同じである場合も、収納箱30は開封されたものの、出庫前と返品後とで同じ物品10が収容されているため、その物品10は未使用であると考えられ、再梱包して再利用することができる。
【0056】
NG品1:開封状態が「開封」で、物品用タグ情報および箱用タグ情報の型番、号機、版数のうち、型番は同じで号機および版数が異なる場合、出庫された物品10が利用されて故障した部品が送られてきたものと考えられるため、その部品は破棄処分となる。
【0057】
NG品2:開封状態が「開封」で、物品用タグ情報および箱用タグ情報の型番、号機、版数が全て異なる場合、出庫時に誤った物品10を収容してしまったか、全く関係がない不良品が送られてきたのかを区別することができないため、その部品は破棄処分となる。
【0058】
管理装置60において処分方法が決定されると、タグリーダ・ライタ50に指示が与えられ、収納箱30に貼り付けられた電子ペーパー40に処分方法と開封状態(開封)が記載される(図5のステップS32)。
【0059】
ここで、上記収納物管理システムの基本形態において、収納物タグおよび収納箱タグと無線通信を行い、それら収納物タグおよび収納箱タグの各々から収納物情報を読み出し、それらの収納物情報を比較する情報比較部と、
情報比較部による比較結果に応じた取り扱いを収納物の取り扱いとして決定する取り扱い決定部とを備えたという応用形態は好ましい。
【0060】
収納物タグおよび収納箱タグそれぞれに記憶された収納物情報が比較され、比較結果に応じて取り扱い方法が決定されることによって、返品されてきた未使用の物品を再利用することができる。管理装置60は、上述した収納物管理システムの応用形態における情報比較部の一例にあたるとともに、上述した収納物管理システムの応用形態における取り扱い決定部の一例にも相当する。
【0061】
作業者は、収納箱30に貼り付けられた電子ペーパー40の処分方法を確認し、再利用可能な物品10については、梱包しなおして元の管理位置に戻しておき、処分方法が「破棄」と記されている物品については破棄処分する(図5のステップS33)。
【0062】
このように、本実施形態によると、返品されてきた物品についても、収納箱を開封することなく処分方法を決定することができ、未使用の物品を確実に再利用することができる。
【0063】
ここで、上記では、物品が返品されてきたときに、収納箱の開封状態をタグやラベルに記録する例について説明したが、上述した収納物管理システムでは、例えば、タグリーダ・ライタを携帯した技術者が顧客先で収納箱を開封したときに、タグやラベルに開封状態を記録するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】物品を収納箱に収容して管理する収納物管理システムの概略的な構成図である。
【図2】物品を収納箱内に収容して梱包するまでの一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図3】DBに記憶された収納物情報テーブルを示す図である。
【図4】物品用電子タグ20の一例を示す図である。
【図5】梱包された物品が出庫されるとともに、返品されてきた物品が処分されるまでの処理の流れを示すフローチャート図である。
【図6】DBに記憶された保管情報テーブルを示す図であり
【図7】DBに記憶された出庫情報テーブルを示す図である。
【図8】電子ペーパーを示す図である。
【図9】物品用タグ情報および箱用タグ情報の比較結果と、処分方法との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 収納物管理システム
10 物品
20 物品用電子タグ
30 収納箱
40 電子ペーパー
41 箱用電子タグ
50 タグリーダ・ライタ
60 管理装置
70 DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納箱に収納される収納物に取り付けられる、該収納物を表した収納物情報を記憶する、その記憶した収納物情報が無線通信で読み出される収納物タグと、
前記収納物タグと無線通信を行って前記収納物情報を読み出すタグ読み出し器と、
前記収納箱の外面に取り付けられる、情報が可視状態で書き込まれるラベルと、
前記タグ読み出し器によって読み出された収納物情報を前記ラベルに書き込むラベル書込み器とを備えたことを特徴とする収納物管理システム。
【請求項2】
前記ラベルが、情報を表した信号の入力を受けて該信号が表している情報を表示する電子ペーパーであり、
前記ラベル書込み器が、前記電子ペーパーに、前記収納物情報を表した信号を入力して該収納物情報を表示させるものであることを特徴とする請求項1記載の収納物管理システム。
【請求項3】
前記収納箱に取り付けられる、情報を記憶する、その情報が無線通信で読み書きされる収納箱タグと、
前記ラベル書込み器が前記ラベルに書き込む情報を前記収納箱タグに無線通信で書き込むタグ書込み器とを備えたことを特徴とする請求項1または2記載の収納物管理システム。
【請求項4】
前記収納物タグおよび前記収納箱タグと無線通信を行い、それら収納物タグおよび収納箱タグが互いに所定程度以上乖離したか否かを判定する乖離判定部と、
前記乖離判定部による判定結果に応じた情報を前記ラベルに、前記収納情報とは別に書き込むラベル更新器とを備えたことを特徴とする請求項3記載の収納物管理システム。
【請求項5】
前記収納物タグおよび前記収納箱タグと無線通信を行い、それら収納物タグおよび収納箱タグの各々から収納物情報を読み出し、それらの収納物情報を比較する情報比較部と、
前記情報比較部による比較結果に応じた取り扱いを前記収納物の取り扱いとして決定する取り扱い決定部とを備えたことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の収納物管理システム。
【請求項6】
内部に収納物が収納され、該収納物には、該収納物を表した収納物情報を記憶する、その記憶した収納物情報が無線通信で読み出される収納物タグが取り付けられる収納箱本体と、
前記収納物タグから読み出された収納物情報を表した信号の入力を受けて該信号が表している収納物情報を表示する、前記収納箱の外面に取り付けられた電子ペーパーと、
前記収納箱に取り付けられ情報を記憶する、その情報が無線通信で読み書きされる、前記収納物情報を表した信号が前記電子ペーパーに入力される場合に該収納物情報が書き込まれる収納箱タグとを備えたことを特徴とする収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−234682(P2009−234682A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80253(P2008−80253)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】