説明

収納管理システム

【課題】管理対象物品が金属製の収納部材に収納されている場合であっても、金属の影響による通信障害を回避し、確実に当該管理対象物品の無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行う。
【解決手段】ハンディリーダ1と、無線タグ回路素子Toを設けた複数のファイルバインダを収納する金属製の書棚100とを有する収納管理システムであって、書棚100は、複数のファイルバインダを収納する複数の収納部と、複数の収納部を、対応するファイルバインダの無線タグ回路素子Toを実質的に通信不能状態とする閉鎖状態から、実質的に通信可能な開放状態に切り替え可能な制御部103及びモータ107とを有し、ハンディリーダ1は、リーダアンテナ3と、制御部103及びモータ107による切り替え動作を赤外線通信により指示するための赤外線送受信部10とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグを備えた複数の管理対象物品を収納し、その収納状態を管理する収納管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報を記憶する無線タグ回路素子に対し非接触(コイルを用いる電磁結合方式、電磁誘導方式、あるいは電波方式等)で情報の送受信を行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。
【0003】
このRFIDシステムの1つとして、例えば特許文献1に記載の配達物検索システムが知られている。この従来技術では、収納部材(棚)に設けた多数の収納区画(収納部)のそれぞれに、管理対象物品(配達物入りの無線タグ付きケース)を複数個ずつ収納し、リーダ(無線タグリーダ)が各ケースの無線タグ回路素子に対し順次無線通信を行うことで、探索対象の配達物に対応した無線タグ回路素子の識別情報を読み取り、配達物を探索するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−89241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、棚等の収納部材は、加工・組み立ての容易性等の観点から、金属製である場合が多い。しかしながら、そのような収納部材の収納区画に無線タグ回路素子が配置される場合、金属の影響により通信障害を受けてリーダとの無線通信が阻害される場合がある。
【0006】
上記従来技術のシステムでは、上記のような点に配慮されておらず、収納部材が金属製であった場合には、上記通信障害により無線タグ回路素子に対し情報読み取りを十分に行えないおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、管理対象物品が金属製の収納部材に収納されている場合であっても、金属の影響による通信障害を回避し、確実に当該管理対象物品の無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行うことができる収納管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信可能なタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子に対し、無線通信により情報読み取りを行う情報読み取り装置と、前記無線タグ回路素子をそれぞれ設けた複数の管理対象物品を収納する金属製の収納部材とを有する収納管理システムであって、前記収納部材は、前記複数の管理対象物品をそれぞれ収納する複数の収納区画と、前記複数の収納区画のそれぞれを、対応する前記管理対象物品の前記無線タグ回路素子を実質的に通信不能状態とする閉鎖状態から、実質的に通信可能な開放状態に切り替え可能な切替駆動手段とを有し、前記情報読み取り装置は、前記無線タグ回路素子に対し無線通信により情報送受信を行う第1通信手段と、前記切替駆動手段による前記切り替え動作を非接触通信により指示するための第2通信手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本願第1発明は、金属製の収納部材に収納した管理対象物品に設けた無線タグ回路素子の情報読み取りを行うものである。収納部材は複数の収納区画を備えており、複数の管理対象物品が対応する収納区画にそれぞれ収納されている。各収納区画は、切替駆動手段によって、対応する管理対象物品の無線タグ回路素子を実質的に通信不能状態とする閉鎖状態と、対応する管理対象物品の無線タグ回路素子を実質的に通信可能状態とする開放状態とに、個別に切り替え可能となっている。そして、情報読み取り装置に備えられた第2通信手段は、上記切替駆動手段の切り替え動作を非接触通信によって指示可能となっている。
【0010】
これにより、操作者が、収納区画内に位置する管理対象物品の無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行いたい場合は、第2通信手段を介して切替駆動手段へ指示を行い対応する収納区画を開放状態にすることで、第1通信手段を介し無線通信により確実に情報送受信を行うことができる。
【0011】
以上の結果、管理対象物品が金属製の収納部材に収納されている場合であっても、金属の影響による通信障害を回避し、確実に当該管理対象物品の無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行うことができる。
【0012】
第2発明は、上記第1発明において、前記管理対象物品の識別情報と、対応する前記無線タグ回路素子の識別情報と、対応する前記収納区画の識別情報とを格納したデータベースを有し、前記情報読み取り装置は、前記収納部材のうち、探索対象とする前記収納区画を前記開放状態とするように、当該収納区画の識別情報を指定して前記第2通信手段を介し前記切替駆動手段に指示する第1開放指示手段と、前記第1開放指示手段による指示に基づき前記切替駆動手段が前記収納区画を前記開放状態とした後、その収納区画全てに収納された複数の前記管理対象物品にそれぞれ設けた複数の前記無線タグ回路素子に対し、前記第1通信手段を介して無線通信を行い、当該複数の無線タグ回路素子の識別情報を取得する第1タグ検出手段と、前記データベースにアクセスし、前記第1タグ検出手段の検出結果と、前記データベースの格納内容とを照合する照合手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本願第2発明は、収納部材に収納された多数の管理対象物品に対し、操作者が棚卸しを実行するためのものである。操作者が、収納部材の所定の収納区画(例えば、全収納区画)に対し棚卸しを行いたい場合は、第1開放指示手段により第2通信手段を介して切替駆動手段へ指示を行い、対応する収納区画を開放状態とする。これにより、前述のようにして、それら開放状態となった収納区画に収納された全ての管理対象物品の無線タグ回路素子から、第1タグ検出手段によってそれぞれの識別情報を確実に取得することができる。
【0014】
このとき、データベースには、予め、管理対象物品の識別情報(名称等)と、対応する無線タグ回路素子の識別情報と、対応する収納区画の識別情報(位置情報等)とが、その時点での管理対象物品の在庫情報として登録され格納されている。このデータベースに対し照合手段がアクセスし、上記第1タグ検出手段による識別情報の取得結果と照合することにより、実際の在庫状況と、データベースにおける上記在庫情報とが合致するかどうかの確認、すなわち棚卸しを、容易にかつ確実に実行することができる。
【0015】
第3発明は、上記第2発明において、前記情報読み取り装置は、前記照合手段による照合が終了したら、前記第1開放指示手段による指示に基づき前記開放状態となっている前記収納区画の前記開放状態又は前記閉鎖状態を、前記照合手段の照合結果に基づいて、その収納区画の識別情報を指定して前記第2通信手段を介し前記切替駆動手段に指示する後処理指示手段を備える。
【0016】
これにより、棚卸し作業が終わった後は、開放状態となっている収納区画を、再びもとの閉鎖状態に容易かつ速やかに復帰させることができる。また、照合手段の照合結果次第で、指定した収納区画を開放状態のままにしておき、引き続き棚卸し作業を行わせることもできる。
【0017】
第4発明は、上記第1発明において、前記管理対象物品の識別情報と、対応する前記無線タグ回路素子の識別情報と、対応する前記収納区画の識別情報とを格納したデータベースを有し、前記情報読み取り装置は、前記データベースにアクセスし、探索対象の前記管理対象物品に対応した、前記無線タグ回路素子及び前記収納区画の識別情報をそれぞれ取得する識別情報取得手段と、前記識別情報取得手段により取得された前記収納区画の識別情報を指定し、対応する前記収納区画を前記開放状態とするように、前記第2通信手段を介し前記切替駆動手段に指示する第2開放指示手段と、前記識別情報取得手段により取得された前記無線タグ回路素子の識別情報を指定し、前記第1通信手段を介して無線通信を行い、前記指定された前記無線タグ回路素子の前記IC回路部から情報を取得する第2タグ検出手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
本願第4発明は、収納部材に収納された多数の管理対象物品のうち、操作者が探したい特定の管理対象物品を探索するためのものである。すなわち、予め、データベースに、管理対象物品の識別情報(名称等)と、対応する無線タグ回路素子の識別情報と、対応する収納区画の識別情報(位置情報等)とが、登録され格納されている。操作者が、収納部材のどこかに収納された管理対象物品を探索したい場合は、識別情報取得手段が上記データベースにアクセスすることで、当該管理対象物品に対応した無線タグ回路素子の識別情報と収納区画の識別情報とがそれぞれ取得される。そして、取得された収納区画の識別情報を指定して第2開放指示手段が第2通信手段を介して切替駆動手段へ指示を行うことで、対応する収納区画(目的とする管理対象物品が収納された収納区画)が開放状態となる。これにより、前述のようにして、その収納区画に収納された目的とする管理対象物品の無線タグ回路素子のIC回路部から、第2タグ検出手段によって情報を確実に取得することができる。このようにして、目的とする管理対象物品に設けた無線タグ回路素子を容易かつ確実に見つけ出す(探索)ことができる。
【0019】
第5発明は、上記第1乃至第4発明のいずれかにおいて、前記収納部材は、前記開放状態において、前記管理対象物品の姿勢を変化させるための回転機構を備えることを特徴とする。
【0020】
これにより、管理対象物品は収納区画から前面側に引き出された状態で姿勢が変化(回転)し、無線タグ回路素子のタグアンテナの偏波面方向が変化する。この結果、情報読み取り装置からの送信電波の偏波面方向がどのような方向であっても、上記変化するいずれかの姿勢において、互いの偏波面方向が適正に情報送受信可能な状態(例えば一致する等)となる。この結果、管理対象物品の無線タグ回路素子からさらに確実に情報読み取りを行うことができる。
【0021】
第6発明は、上記第1乃至第4発明のいずれかにおいて、前記収納部材は、前記収納区画の内外を仕切る可動の電波遮蔽性部材と、前記電波遮蔽性部材を前記収納区画の前面側に位置する状態でロック可能なロック機構とを備えており、前記切替駆動手段は、前記ロック機構を制御し、前記電波遮蔽部材をロックした前記閉鎖状態から、前記ロックを解除した前記開放状態とすることを特徴とする。
【0022】
本願第6発明においては、収納部材において管理対象物品が配置された収納区画の前面側に、収納区画内外を仕切ることのできる可動の電波遮蔽性部材が配置され、ロック機構がその電波遮蔽性部材を収納区画前面側に位置する状態でロック可能になっている。ロック機構が電波遮蔽性部材を収納区画前面側でロックすると収納区画内外が電波性遮蔽性部材で仕切られた閉鎖状態となり、その電波遮蔽性によって管理対象物品の無線タグ回路素子が実質的に通信不能状態となる。ロック機構がロックを解除すると上記閉鎖状態が解消されて開放状態となり、管理対象物品の無線タグ回路素子を実質的に通信可能とできる。操作者が、管理対象物品の無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行いたい場合は、第2通信手段を介して切替駆動手段へ指示を行うことで対応する収納区画の電波遮蔽性部材のロックが解除されるので、第1通信手段を介し確実に情報送受信を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、管理対象物品が金属製の収納部材に収納されている場合であっても、金属の影響による通信障害を回避し、確実に当該管理対象物品の無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る収納管理システムを表すシステム構成図である。
【図2】図1中のII−II断面による断面図である。
【図3】収納管理システムの詳細機能構成を表す機能ブロック図である。
【図4】無線タグに備えられた無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図5】ファイルバインダの状態を管理する管理テーブルの一例を概念的に表す図を示している。
【図6】ファイルバインダの棚卸し作業を行う状態を示す図である。
【図7】ハンディリーダのCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図8】可動前面壁を設けた変形例を表す図である。
【図9】可動載置板に回転機構を設けた変形例を表す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る収納管理システムを表すシステム構成図である。
【図11】図10中のXI−XI断面による断面図である。
【図12】ハンディリーダのCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
【0026】
本発明の第1実施形態を図1〜図9により説明する。
【0027】
図1は、第1実施形態による収納管理システムを、例えば書棚に収納されるファイルバインダの管理に適用した場合の一例を表す図である。
【0028】
図1において、第1実施形態の収納管理システムS1は、この例で3行×3列=9箇所の収納部101を有する書棚(収納部材)100において、収納対象の全てのファイルバインダ(管理対象物品)200の状態を管理するものである。各収納部101に収納される全てのファイルバインダ200には無線タグTがそれぞれ貼付されており、この無線タグTには、識別情報としてのタグID(無線タグ回路素子の識別情報;後述の図5参照)が記憶されている。
【0029】
そして、この図1に示すように、収納管理システムS1は、上記書棚100と、収納対象物品である各ファイルバインダ200に貼付された無線タグTと、管理者(操作者)Hが携帯して上記無線タグTからそれぞれのタグIDを読み取る情報読み取り装置としてのハンディリーダ1とから構成されている。
【0030】
ハンディリーダ1は、リーダ本体2と、電波による無線通信を介して上記無線タグTとタグIDの読み取りを行うためのリーダアンテナ(第1通信手段)3と、赤外線通信(非接触通信)を介して書棚100に動作指示を送信するためのリーダ側の赤外線送受信部(第2通信手段)4を備えている。また、ハンディリーダ1は、有線あるいは無線のネットワーク回線NWを介してサーバ300と情報入出力可能に接続されている。
【0031】
書棚100の天板上には、ハンディリーダ1から赤外線通信を介して上記動作指示を受信するための書棚100側の赤外線送受信部102を備えた制御部103が設けられている。そして、各収納部101にはそれぞれを特定する識別情報としての収納部番号(各請求項記載の収納区画の識別情報として機能する)が設定されており、図示する例では、上段の左から右へ順に(1)〜(3)、中段の左から右へ順に(4)〜(6)、下段の左から右へ順に(7)〜(8)の収納部番号が付されている。また、各収納部101には、スライド移動可能に設置された可動載置板105(可動部)が設けられている(詳細構造は後述の図2参照)。
【0032】
なお、各収納部101を形成する側壁も含めた書棚本体104の全体は、電波及び電磁波による無線通信に影響を及ぼしうる金属製材料で構成されている。このため、図示するように可動載置板105が各収納部101の内部に収まっている状態では、可動載置板105の上部に位置するいずれのファイルバインダ200に貼付されている無線タグTも、金属の影響により通信障害を受けて実質的にハンディリーダ1と通信不能な状態となっている。なお、ファイルバインダ200が載置される可動載置板105の上部の空間(以下適宜、「載置空間」という)が、各請求項記載の収納区画を構成する。
【0033】
図2は、図1中のII−II横断面による横断面図である。なお、制御部と信号線の配線については模式的な機能ブロック図で示している。
【0034】
この図2において、各収納部101は、書棚100の前面側(図2中の左側)に開口して上下、左右、及び奥側(図2中の右側)の5つの壁面で囲まれた略直方体形状の空間で形成されている。そして、この収納部101の下方の底壁面上101aには、当該底壁面101aとほぼ同形状で書棚100の前後方向(図2中の左右方向)にスライド移動可能に設置された上記可動載置板105が設けられている。また、底壁面101aの内部には書棚100の前後方向に沿う配置で送りネジ106が回転可能に設けられており、その奥側(図2中の右側)の端部に設けられたモータ107及びギアボックス108の駆動により正転及び逆転の両方向に回転駆動されるようになっている。そして、上記可動載置板105の奥側の端部の下方部には、この送りネジ106に螺合する送り部材109が固定されている。これにより、上記モータ107及びギアボックス108の正転及び逆転の回転駆動により、送り部材109及び可動載置板105が書棚本体(固定部)104の前後方向に移動可能となっている。制御部103は、収納部101ごとに設けられている各モータ107に対して、制御信号線を介し個別に可動載置板105の移動制御を行えるようになっている。
【0035】
図2に示す例では、中段及び下段の各収納部101において、可動載置板105が最も後方側(書棚100の奥側;図2中の右側)に引き込まれ、そのほぼ全体が収納部101の内部に収まった状態を示している。また、上段の収納部101では、可動載置板105が最も前方側(書棚100の手前側;図2中の左側)に押し出された状態を示している。そして、各収納部101の可動載置板105上にファイルバインダ200が載置されている場合には、図示するように、可動載置板105が最も後方側に引き込んだ状態の収納部101(図中の中・下段)において、ファイルバインダ200はその全体が収納部101の内部に収容された状態となる。また、可動載置板105が最も前方側に押し出された状態の収納部101(図中の上段)において、ファイルバインダ200はその前方側(図2中の左側)の半分以上の部分が収納部101から突出した状態となる。
【0036】
このため、図示するように各ファイルバインダ200の前面側に位置させた背表紙に無線タグTが貼付されている場合には、中・下段に示すように上述した金属製の壁面に囲まれた収納部101の内部に無線タグTが収容される状態となる。この結果、上記載置空間に配置された無線タグTは、金属の影響により通信障害を受けて実質的にハンディリーダ1との無線通信が不能な状態(閉鎖状態)となる。一方、上段に示すように無線タグTが収納部101から離脱している状態では、上記載置空間に配置された無線タグTは、金属の影響を受けずに実質的にハンディリーダ1との無線通信が可能な状態(開放状態)となる。
【0037】
このように、各収納部101を形成する壁面を含む書棚100全体が金属製材料で構成されている場合でも、可動載置板105の押し出し状態と引き込み状態の切り替えを行うことにより、載置されたファイルバインダ200に貼付されている無線タグTの無線通信の可否状態を切り替えることができる。なお、上記図1に示した例では、全ての収納部101において可動載置板105が引き込まれた状態を示しており、つまり全ての無線タグTは実質的にハンディリーダ1と無線通信が不能な状態となっている。
【0038】
図3は、上記収納管理システムS1の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【0039】
この図3において、上述したように収納管理システムS1は主に、書棚100と、ハンディリーダ1と、無線タグTとから構成されている。そしてハンディリーダ1には、ネットワーク回線NWを介してサーバ300(特に詳しく図示せず)が接続されている。
【0040】
無線タグTは、タグアンテナ151とIC回路部150とを備える無線タグ回路素子Toを有しており、この無線タグ回路素子Toを特に図示しない基材などに設けている(無線タグ回路素子Toについては後に詳述する)。
【0041】
ハンディリーダ1は、リーダ本体2と、書棚100に対し赤外線通信を行うための赤外線送受信部4と、無線タグTに対し電波による無線通信を行うためのリーダアンテナ3とから構成されている。
【0042】
リーダ本体2は、CPU(中央演算装置)5と、サーバ300との間でネットワークNWを介して行われるネットワーク通信の制御を行うネットワーク通信制御部6と、例えばRAMやROM等からなるメモリ7と、管理者Hからの指示や情報が入力される操作部8と、各種情報やメッセージを表示する表示部9と、上記赤外線送受信部4を介して書棚100との間で行われる赤外線通信の制御を行う赤外線通信制御部10と、上記リーダアンテナ3を介して上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報(タグID)へアクセスし、情報の読み取りを行うRF通信制御部11とを備えている。
【0043】
CPU5は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。すなわち、無線タグ回路素子ToのIC回路部へアクセスするための応答要求コマンドを生成し、無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに、さらにハンディリーダ1の各部の基本動作の制御を行う。
【0044】
書棚100には、前述したように、上記制御部103と、上記モータ107と、ハンディリーダ1に対し赤外線通信を行うための赤外線送受信部102とが備えられている。制御部103は、CPU110と、上記と同様のメモリ111、赤外線通信制御部112と、上記モータ107の駆動を制御するモータ駆動制御部113とを備えている。
【0045】
図4は、上記無線タグTに備えられた無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
【0046】
図4において、無線タグ回路素子Toは、上述したようにハンディリーダ1のリーダアンテナ3と無線通信により非接触で信号の送受信を行う上記タグアンテナ151と、このタグアンテナ151に接続された上記IC回路部150とを有している。
【0047】
IC回路部150は、タグアンテナ151により受信された質問波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された質問波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、上記タグアンテナ151により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部155と、上記タグアンテナ151に接続された変復調部156と、上記メモリ部155、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部157とを備えている。
【0048】
変復調部156は、タグアンテナ151により受信された上記ハンディリーダ1のリーダアンテナ3からの質問波の復調を行い、また、上記制御部157からの返信信号を変調し、タグアンテナ151より応答波(タグIDを含む無線タグ情報)として送信する。
【0049】
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出し、受信した信号のクロック成分の周波数に対応したクロックを制御部157に供給する。
【0050】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記変復調部156により上記タグアンテナ151から返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0051】
次に、本実施形態においてサーバ300に記録される情報について説明する。
【0052】
図5は、書棚100の各収納部101におけるファイルバインダ200の状態を管理する管理テーブルの一例を概念的に表す図を示している。
【0053】
この管理テーブル(データベース)は、サーバ300が備える大容量記憶装置(特に図示せず)に記録保持される情報である。図示する例において、各収納部101の収納部番号に対応して、それぞれに保管されるよう設定されたファイルバインダ200のファイル名(管理対象物品の識別情報)が「ファイル名」項目に記憶されている。さらに、各ファイル名に対応し、「タグID」、「保管状態」、及び「確認日」の各項目が設けられている。「タグID」項目には、当該ファイルバインダ200に貼付されている無線タグTの無線タグ回路素子ToのタグID(無線タグ回路素子の識別情報)が記録され、「保管状態」項目には、当該ファイル名のファイルバインダ200が対応する収納部101に保管中の状態であるか、又は収納部101から持ち出されて持ち出し中の状態であるかのいずれかが記録され、「確認日」項目には、「保管状態」に記載された状態が確認された日付が記録される。
【0054】
図6は、本実施形態の収納管理システムS1で全てのファイルバインダ200の収納状態の確認(以下適宜、単に「棚卸し」という)作業を行う際の状態を示す図であり、上記図1に対応する図である。
【0055】
ここで、この第1実施形態では、書棚100が収納している全てのファイルバインダ200の棚卸し作業を行う(なお、後述の第2実施形態のように特定のファイルバインダ200の探索作業も可能である)場合を例にとって説明する。このとき、この棚卸し作業は、全ての収納部101で同時に行う。つまり、管理者Hがハンディリーダ1に対して棚卸し作業を行うよう操作した際には、ハンディリーダ1が赤外線通信を介して指示信号を送信し、それを受信した書棚100は図示するように全ての収納部101において可動載置板105を同時に手前側に押し出させ、その時点で書棚100が収納している全てのファイルバインダ200の無線タグTを通信可能状態とする。
【0056】
そして、ハンディリーダ1は無線通信を介してそれら全ての無線タグTから一斉にタグIDを読み取り、その時点での書棚100全体におけるファイルバインダ200の収納状態を検出・確認する。また、サーバ300の上記管理テーブルに記録されているそれまで保管状態の情報と照合し、保管状態の変化を表示・記録する。なお、図中では全ての収納部101に本来収納されるべき数(この例では5個)のファイルバインダ200がそれぞれ収納されている状態を示しているが、上述したようにこの例では、各ファイルバインダ200は管理者H以外の者によって持ち出しが可能であり、棚卸し作業によってどのファイルバインダ200が持ち出されているか(持ち出し中の状態であるか)を確認することができる。
【0057】
図7は、ハンディリーダ1のCPU5によって実行される制御手順を表すフローチャートである。なお、ハンディリーダ1の電源が投入された際にこのフローが開始される(「START」位置)。
【0058】
図7において、まず、ステップS5では、操作部8を介し、管理者Hから棚卸し作業、つまり書棚100の全ての収納部101におけるファイルバインダ200の収納状態を確認する作業を行うよう指示する操作がされたか否かを判定する。管理者Hから何も操作がされていない場合、又は棚卸し作業の指示操作以外の操作がされた場合、判定は満たされず、ループ待機する。一方、管理者Hから棚卸し作業の指示操作がなされた場合、判定が満たされ、ステップS10へ移る。
【0059】
ステップS10では、ネットワーク回線NWを介しサーバ300にアクセスし、上記図5に示した管理テーブルから、全ての収納部101に保管されているファイルバインダ200の全ての識別情報、すなわち全ての収納部番号に属する全てのファイル名と、それらに対応するタグIDとを取得する。
【0060】
その後、ステップS15へ移り、赤外線通信制御部10に制御信号を出力し、全ての収納部101において可動載置板105を収納部101から押し出すよう、赤外線送受信部4を介して書棚100に赤外線による指示信号を出力する。これにより、指示信号を受け取った書棚100の制御部103は、モータ駆動制御部113を介し全ての収納部101にそれぞれ設けられたモータ107に対して制御信号を出力し、全ての可動載置板105が収納部101の内部から外部へ向かって押し出される。
【0061】
そして、ステップS20において、全てのファイルバインダ200の無線タグTからタグIDの読み取りを行う。具体的には、上述したように、各無線タグTの無線タグ回路素子Toへアクセスするための応答要求コマンドを生成し、これをRF通信制御部11及びリーダアンテナ3を介し、電波による無線通信により各無線タグTへ送信する。そして、それに対する各無線タグTからの応答波をリーダアンテナ3及びRF通信制御部11を介して受信し、それぞれ解釈してタグIDを読み出す。
【0062】
その後、ステップS25へ移り、上記ステップS15で取得した全てのタグIDと、上記ステップS20で実際に読み取ったタグIDとを照合し、その時点で書棚100に収納されていないファイルバインダ200の確認を行う。具体的には、サーバ300から取得したタグIDのうちで、実際に無線通信で読み取ることができなかったタグIDが上述した持ち出し中の状態のファイルバインダ200に対応するタグIDとなり、一方、実際に無線通信で読み取ることができたタグIDが上述した保管中の状態のファイルバインダ200に対応するものとなる。すなわち、ハンディリーダ1は、各ファイルバインダ200のファイル名にそれぞれ対応して上記保管中であるか、持ち出し中であるかを表示部9に表示するとともに、サーバ300の管理テーブルにアクセスして保管状態と確認日とを更新する。なお、上記ステップS10で前回の棚卸し作業による保管状態の記録も合わせて取得するようにすれば、保管状態の変化があったファイル名を特に注記して表示し、管理者Hに確認させることもできる。
【0063】
そして、ステップS30において、赤外線通信制御部10に制御信号を出力し、全ての収納部101において可動載置板105を収納部101へ引き込み、収容させるよう、赤外線送受信部4を介して書棚100に赤外線による指示信号を出力する。これにより、指示信号を受け取った書棚100の制御部103は、モータ駆動制御部113を介し全ての収納部101にそれぞれ設けられたモータ107に対して制御信号を出力し、上記ステップS15とは逆に、全ての可動載置板105が収納部101の内部へ引き込まれて収容される。そして、このフローを終了する。
【0064】
以上において、書棚100の制御部103及びモータ107が切替駆動手段を構成する。また、上記図7のフローにおけるステップS15の手順が第1開放指示手段として機能し、ステップS20の手順が第1タグ検出手段として機能し、ステップS25の手順が照合手段として機能し、ステップS30の手順が後処理指示手段として機能する。
【0065】
以上説明したように、第1実施形態においては、書棚100においてファイルバインダ200が書棚本体104に対しスライド可能な可動載置板105に配置されている。可動載置板105が書棚本体104から押し出されると可動載置板105の上記載置空間が開放状態となり、ファイルバインダ200の無線タグ回路素子Toが実質的に通信可能状態となる。管理者Hが、ファイルバインダ200の無線タグ回路素子Toに対し情報読み取りを行いたい場合は、リーダ側赤外線送受信部4を介して書棚100の制御部103及びモータ107へ指示を行い、対応する可動載置板105を押し出させて可動載置板105の上記載置空間を実質的に無線通信が可能な開放状態にすることで、リーダアンテナ3を介し無線通信によりファイルバインダ200の無線タグ回路素子Toと確実に情報送受信を行うことができる。この結果、金属製の書棚100に収納されているファイルバインダ200の無線タグ回路素子Toに対し、金属の影響による通信障害を回避しつつ確実に情報読み取りを行うことができる。
【0066】
また、この実施形態では特に、管理者Hが、書棚100の全ての収納部101におけるファイルバインダ200の棚卸しを行いたい場合に、リーダ側赤外線送受信部4を介して制御部103及び全てのモータ107へ指示を行い、全ての可動載置板105の上記載置空間を無線タグ回路素子Toとの無線通信が可能な開放状態とし、全部のファイルバインダ200の無線タグ回路素子ToからそれぞれのタグIDを確実に取得する。このとき、サーバ300の管理テーブルに、ファイル名と、対応するタグIDと、収納部番号とが、その時点での在庫情報として登録され格納されている。したがって、タグIDの取得結果との照合を行うことにより、実際の在庫状況と、管理テーブルにおける上記在庫情報とが合致するかどうかの棚卸しを、容易にかつ確実に実行することができる。
【0067】
なお、サーバ300の管理テーブルに記録された各ファイルバインダ200の保管状態の情報については、ハンディリーダ1以外でもネットワーク回線NWに接続する他の端末によって任意のタイミングで取得・確認できるようにすることで、より利便性を向上させることができる。
【0068】
また、この実施形態では特に、タグIDの照合が終了したら、全ての収納部101の収納部番号を指定して(具体的に全ての収納部番号を指定してもよいし、全ての収納部101を一括して適用する旨の指示をしてもよい)、リーダ側赤外線送受信部4を介し、書棚100の制御部103及びモータ107に赤外線により指示を行う。これにより、棚卸し作業が終わった後に押し出された状態となっている可動載置板105を、再びもとの引き込まれた状態に容易かつ速やかに復帰させることができる。
【0069】
なお、上記第1実施形態の例では、棚卸し作業を全ての収納部101で一括して行ったが、これに限られない。すなわち、所定の順番(収納部番号の順など)で、各収納部101ごとに、押し出し→タグID読み取り→引き込みの手順を行い、棚卸し作業を進めるようにしてもよい。これにより、収納部101単位での保管状態の確認ができ、また任意に選択指定した収納部101だけに対して棚卸し作業を行うこともできる。この場合には上記管理テーブルにおける「確認日」の項目で、収納部101別に異なる日付が記録されることになる。
【0070】
また、このように各収納部101別に、押し出された状態と引き込まれた状態を切り替える場合には、棚卸し作業が済んで可動載置板105が押し出された状態になっている収納部101に対し、ステップS25の手順による照合の結果に基づいてそのまま押し出された状態を維持するよう指示してもよい。これにより、照合結果次第で、指定した収納部101の可動載置板105を押し出された状態にしておき、その状態のままで引き続き棚卸し作業を行うことができる。
【0071】
また、上記第1実施形態の例では、書棚100の各収納部101の前面側が常に開口している構成としていたが、これに限られず、図8に示すように前面側に開閉動作可能な可動前面壁121を設けるようにしてもよい。特に詳しく図示しないが、この可動前面壁121は当該収納部101に対応するモータ107の駆動に連動して、可動載置板105が収納部101から押し出される際には開くよう動作し、また可動載置板105が収納部101へ引き込まれる際には閉まるように動作する(図中の収納部番号(4)の収納部101参照;図示する例では上述したように選択指定した一つの収納部101だけを棚卸ししている)。これにより、管理者Hによるハンディリーダ1の操作をしなければ他の者が勝手に各収納部101のファイルバインダ200の持ち出しと返却ができなくなるため、ファイルバインダ200の保管管理上の信頼性が向上する。
【0072】
また、図9に示すように、可動載置板105にさらにファイルバインダ200の姿勢を変化させるための回転機構(いわゆるターンテーブル等)を設けるようにしてもよい。特に詳しく図示しないが、この回転機構は当該収納部101に対応するモータ107の駆動に連動して(若しくは、別途独立したモータで駆動してもよい)、可動載置板105が収納部101から完全に押し出された際に所定の回転軸を中心としてファイルバインダ200を自動的に回転動作させる。図示する例では、回転中のファイルバインダ200の載置が安定するように可動載置板105の上方で複数のファイルバインダ200を収納可能な箱形の回転収納箱122が設けられ、この回転収納箱122の全体が上下方向に沿う配置の回転軸周りで回転するようになっている。
【0073】
これにより、ファイルバインダ200は収納部101から押し出された状態で姿勢が変化(回転)し、無線タグ回路素子Toのタグアンテナ151の偏波面方向が変化する。この結果、ハンディリーダ1からの送信電波の偏波面方向がどのような方向であっても、上記変化するいずれかの姿勢において、互いの偏波面方向が適正に情報送受信可能な状態(例えば一致する等)となる。この結果、ファイルバインダ200の無線タグ回路素子Toからさらに確実に情報読み取りを行うことができる。つまり、図示するように無線タグTがファイルバインダ200の上方側に貼付されていて、ハンディリーダ1が書棚100に対し正対していない配置関係にある場合でも、確実にタグIDを読み取ることができる。また、一つの収納部101内で複数の無線タグTが異なる方向で配置されている場合でも、それぞれのタグIDを読み取ることができる。
【0074】
なお、上記の回転機構は、その回転動作をモータ107の駆動によって行うものに限られず、例えば特に図示しないが、上記の回転収納箱122の回転軸をその重心位置から偏芯させた配置に設け、可動載置板105を押し出す際のスライド移動を急停止(移動速度を比較的速くすることが好ましい)させるようにすることで、回転収納箱及びファイルバインダ200の自重の慣性力により無動力で自転させるようにさせてもよい。
【0075】
本発明の第2実施形態を図10〜図12により説明する。本実施形態も、上記同様、ファイルバインダの管理に関する実施形態である。上記第1実施形態及びその変形例と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0076】
図10は、本実施形態による収納管理システムS2を表し、上記図1に対応する図である。また、図11は、図10中のXI−XI断面により書棚100Aの内部構成を表した図であり、上記図2に対応する図である。
【0077】
これら図10及び図11において、この第2実施形態の収納管理システムS2では、書棚100Aの各収納部101に、上記第1実施形態のモータ107で駆動する可動載置板105の代わりに、引き出し131が前後方向(図11中の左右方向)にスライド移動可能に設けられている。
【0078】
引き出し131は上方が開口しており、前後、左右、及び下側の5つの壁面が一体に形成された略直方体形状の箱体である。また引き出し131は、その全体(引き出し131の内外を仕切る前方側壁面131aを含む)が電波遮蔽性の金属製材料で構成され、前方側の壁面131aには取手132が設けられており、管理者Hはこの取手132を把持して当該引き出し131を収納部101から引き出す(上記第1実施形態における「押し出す」ことに相当)ことができる。また管理者Hが取手132を把持して前方側壁面131aを押し込む(上記第1実施形態における「引き込む」ことに相当)ことで当該引き出し131を収納部101に収容することができる。なお、全体が金属製材料で構成されている上記引き出し131のうち、前方側壁面131aが、特に各請求項記載の電波遮蔽性部材として機能する。また、ファイルバインダ200が載置される引き出し131の内部の空間(以下適宜、「内部空間」という)が、各請求項記載の収納区画を構成する。ファイルバインダ200は、背表紙を上方の開口部側に向けて配置するよう引き出し131の上記内部空間に収納され、その背表紙に貼付した無線タグTは引き出し131が収納部101から引き出された際のみ外部に露出するようになる。
【0079】
また、この引き出し131の前方側(図11中の左側)の壁面の上端には、係止穴133が形成されている。各収納部101の上壁面101bの内部にはソレノイド134が設けられており、このソレノイド134が、当該上壁面101bの前方側(図11中の左側)の端部でロック爪135を上下方向に移動させ、ロック爪135の突出又は没入動作を実行させる。
【0080】
これにより、引き出し131が操作者の手動操作により収納部101に押し込まれ収容された状態で、ソレノイド134がロック爪135を下げ突出させることにより、引き出し131は係止穴133にロック爪135が係止され、前方へ引き出されないようにロックされることになる。制御部103は、収納部101ごとに設けられている各ソレノイド134に対して、制御信号線を介し、個別に引き出し131のロック及び解除を制御できるようになっている。
【0081】
また、各引き出し131の後方側(図11中の右側)の壁面と、収納部101の後方側壁面131bとの間にはバネ部材136が挟み込まれている。このバネ部材136が引き出し131に対して常に前方側(図11中の左側)へ向かう方向(引き出し方向)の付勢力を与えている。これにより、引き出し131は、ロック爪135によるロックが解除された際には、バネ部材136の付勢力によって収納部101からある程度引き出され(バネ部材136から見ると押し出す)、管理者Hの手動操作によるさらなる引き出しを容易にしている(バネ部材136の付勢力によってのみ引き出しが行われ、管理者Hの手動操作が実質的に不要とすることもできる)。なお、特に図示しないが、引き出し131が収納部101から抜けきって脱落しないように、抜け止めのための機構も設けられている。
【0082】
なお、この例では、ロック爪135の前方側(図11中の左側)の部分には面取りが形成されており、またソレノイド134はロック爪135をロックしている状態でも、ロック爪に対し上方へ押し入れる外力が付加されている間は容易にロック爪135を没入させることが可能となっている。このため、引き出し131が収納部101から引き出されている状態でソレノイド134がロック爪135をロックするよう動作した場合でも、手動で引き出し131を収納部101へ押し込むことで、引き出し131の後方側壁面131bがロック爪135の面取り部分に当たってその上方向の分力によりロック爪135をソレノイド134に押し入れて没入させることができる。そして引き出し131が完全に収納部101に押し込まれた際には、ロック爪135が係止穴133の内部に突出して引き出し131を収容状態でロックする。この状態では、引き出し131にバネ部材136による付勢力が付加されていても、ロック爪135はその後方側(図11中の右側)の側面で係止穴133から前方に向かう力のみ付加される(上方向の分力は付加されない)ためソレノイド134へと没入されることなく引き出し131のロック状態を維持することができる。
【0083】
図11に示す例では、中段及び下段の各収納部101において引き出し131が最も後方側(図2中の右側)に押し込まれその全体が収納部101の内部に収容されてロックされた状態を示しており、上段の収納部101では引き出し131が最も前方側(図2中の左側)に引き出された状態を示している。そして、図示するように引き出し131が最も後方側に引き込まれた状態の収納部101(図中の中・下段)では、ファイルバインダ200はその全体が収納部101の内部に収容された状態となる。また、引き出し131が最も前方側に押し出された状態の収納部101(図中の上段)では、ファイルバインダ200はその前方側(図11中の左側)の半分以上の部分が収納部101から突出し露出した状態となる。
【0084】
このため、上述したように、各引き出し131に無線タグTを貼付した背表紙を上方開口部に向ける配置でファイルバインダ200が収納されている場合には、中・下段に示すように引き出し131が収納部101の内部に収容された状態で上記内部空間に位置する無線タグTは、金属の影響により通信障害を受けて実質的にハンディリーダ1との無線通信が不能な状態(閉鎖状態)となる。一方、上段に示すように引き出し131の前方側部分が収納部101の内部から離脱して外部に露出している状態では、上記内部空間に位置する無線タグTは、金属の影響を受けずに実質的にハンディリーダ1との無線通信が可能な状態(開放状態)となる。
【0085】
このように、各収納部101及び各引き出し131を形成する壁面を含む書棚100A全体が金属製材料で構成されている場合でも、引き出し131の収納部101への収容状態のロックと解除の切り替えを行うことにより、載置されたファイルバインダ200に貼付されている無線タグTの無線通信の可否を切り替えることができる。なお、上記図10に示した例では、収納部番号(4)の収納部101における引き出し131のみが引き出された状態を示しており、つまりそこに収納されているファイルバインダ200の無線タグTのみが実質的にハンディリーダ1と無線通信が可能な状態となっている。そして、それ以外の収納部101においては引き出し131が押し込まれた状態となっており、その内部の無線タグTは実質的にハンディリーダ1と無線通信が不能な状態となっている。
【0086】
ここで、この第2実施形態では、特定のファイルバインダ200を探索する作業を行う(なお、前述の第1実施形態のように書棚100Aが収納している全てのファイルバインダ200の収納状態を確認する棚卸し作業も可能である)場合を例にとって説明する。この探索作業は、例えば収納部101単位で行う。つまり、管理者Hが探索対象のファイルバインダ200のファイル名を指定して探索作業を行うようハンディリーダ1を操作すると、ハンディリーダ1がサーバ300の管理テーブル(上記図5に示したもの)を参照して探索対象のファイル名に対応する収納部番号とタグIDを取得する。そしてハンディリーダ1は、取得した収納部番号のロックを解除するよう赤外線通信を介して指示信号を送信する。そして、それを受信した書棚100Aは、図示するように一つの収納部101でロックを解除する。これにより、前述したように、バネ部材136の付勢力によって引き出し131を手前側に容易に引き出すことができ、その時点で当該収納部101の引き出し131に収納している全てのファイルバインダ200の無線タグTを通信可能状態とすることができる。
【0087】
その後、ハンディリーダ1は無線通信を介してそれら引き出された引き出し131に含まれる全ての無線タグTから一斉にタグIDを読み取り、サーバ300から取得した探索対象のタグIDと読み取ったタグIDとを照合して探索対象の特定のファイルバインダ200の有無を判定・表示する。
【0088】
なお、この例では、各ファイルバインダ200は管理者H以外の者によって持ち出しと返却が可能であり、本来収納されるべき収納部101と異なる他の収納部101にファイルバインダ200が返却される可能性がある。このため、管理テーブルに設定されている本来保管されるべき収納部101で探索対象のファイルバインダ200が見つからない場合には、他の収納部101においても探索を行う。
【0089】
図12は、本実施形態においてハンディリーダ1のCPU101により実行される制御手順を表すフローチャートである。なお、ハンディリーダ1の電源が投入された際にこのフローが開始される(「START」位置)。
【0090】
図12において、まず、ステップS105で、操作部8を介し、管理者Hから探索作業、つまり書棚100Aにおいて特定のファイルバインダ20を探索する作業を行うよう指示する操作がされたか否かを判定する。管理者Hから何も操作がされていない場合、又は探索作業の指示操作以外の操作がなされている場合、判定は満たされず、ループ待機する。一方、管理者Hから探索作業の指示操作がなされた場合、判定が満たされ、ステップS110へ移る。
【0091】
ステップS110では、操作部8を介し、管理者Hから、探索対象のファイルバインダ200のファイル名を指定する入力操作がされるまでループ待機し、入力操作されたらステップS115へ移る。
【0092】
ステップS115では、ネットワーク回線を介してサーバ300にアクセスし、上記図5に示した管理テーブルから、上記ステップS110で指定入力された探索対象のファイル名に対応する収納部番号とタグIDとを取得する。
【0093】
その後、ステップS120へ移り、上記ステップS115で取得した収納部番号を、解除対象収納部番号に設定(一時的に適宜の箇所に記憶)する。
【0094】
そして、ステップS125において、赤外線通信制御部10に制御信号を出力し、この時点で設定されている(上記ステップS120又は後述のステップS155で設定されている)解除対象収納部番号の収納部101を指定し、そのロックを解除するよう、赤外線送受信部4を介して書棚100Aに赤外線による指示信号を出力する。これにより、指示信号を受け取った書棚100Aの制御部103は、指定された解除収納部番号の収納部101に設けられたソレノイド134に対して制御信号を出力し、対応するロック爪135のロックを解除させる。これにより、対応する引き出し131を、バネ部材136の付勢力によって収納部101の内部よりある程度引き出され、引き続き管理者Hは手動操作によって引き出し131をさらに容易に引き出すことができる。
【0095】
その後、ステップS130へ移り、この時点で通信可能な状態となっている、上記ロック解除された引き出し131内の無線タグTからタグIDの読み取りを行う。具体的には、上述したように、上記ステップS115で取得したタグIDを指定して、当該無線タグTの無線タグ回路素子Toへアクセスするための応答要求コマンドを生成し、これをRF通信制御部11及びリーダアンテナ3を介し、電波による無線通信により当該無線タグTへ送信する。
【0096】
その後、ステップS135へ移り、上記ステップS130での読み取り結果に基づき、探索対象のファイルバインダ200がロック解除された当該収納部101の引き出し131内で見つかったか(当該タグIDを備えた無線タグTからの応答信号を受信できたか)どうかの結果を表示部9に表示し、ステップS140へ移る。
【0097】
ステップS140では、赤外線通信制御部10に制御信号を出力し、上記ロック解除状態の(すなわちこの時点で設定されている解除対象収納部番号の)収納部101を指定し、そのロック動作を行うよう、赤外線送受信部4を介して書棚100Aに赤外線による指示信号を出力する。これにより、指示信号を受け取った書棚100Aの制御部103は、指定された解除収納部番号の収納部101に設けられたソレノイド134に対して制御信号を出力し、対応するロック爪135を突出させ、ロック動作を行わせる。この後、管理者Hが手動操作により引き出し131を収納部101へ押し込み、収容することでロックを完了させる。なお、先に管理者Hが引き出し131を押し込んだ状態としておいてから、上記赤外線通信制御部10への制御信号の出力によるロック動作を行ってもよい。
【0098】
その後、ステップS150に移り、(探索対象のファイルバインダ200がステップS115で取得された本来保管されているべき収納部101に収納されていなかった等により)操作部8を介し、管理者Hから、探索を行う他の収納部番号を指定する入力操作がなされたかどうかを判定する。当該入力操作がなされなければステップS150の判定が満たされず、探索対象のファイルバインダ200の存在が管理者Hにより確認された(又は当該ファイルバインダ200の探索を諦めた)とみなし、このフローを終了する。他の収納部番号を指定する入力操作がなされたらステップS150の判定が満たされ、ステップS155に移る。
【0099】
ステップS155では、上記ステップS150で指定された収納部番号を解除対象収納部番号に設定(一時的に適宜の箇所に記憶)し、ステップS125へ戻って同様の手順を繰り返す。
【0100】
以上のフローチャートによる制御手順を行うことで、探索対象のファイルバインダ200が本来収納されるべき収納部101の引き出し131にあった場合には、管理者Hは、当該収納部101の引き出し131のロックを解除し引き出すことで、当該ファイルバインダ200からタグIDを読み取り、ファイルバインダ200の存在を確認することができる。探索対象のファイルバインダ200が本来収納されるべき収納部101になかった場合には、管理者Hが指定する他の収納部101の引き出し131のロックを解除し引き出すことで、当該ファイルバインダ200の探索を行うことができる。
【0101】
以上において、書棚100Aの制御部103が切替駆動手段を構成し、ソレノイド134及びロック爪135がロック機構を構成する。また、上記図12のフローにおけるステップS115の手順が識別情報取得手段として機能し、ステップS125の手順が第2開放指示手段として機能し、ステップS130が第2タグ検出手段として機能する。
【0102】
以上説明したように、第2実施形態においては、書棚100Aにおいてファイルバインダ200が前後スライド可能な引き出し131の内部空間に配置されている。引き出し131が書棚本体104から引き出されると引き出し131の内部空間を開放状態とすることができ、ファイルバインダ200の無線タグ回路素子Toが実質的に通信可能状態となる。管理者Hが、ファイルバインダ200の無線タグ回路素子Toに対し情報読み取りを行いたい場合は、リーダ側赤外線送受信部4を介して書棚100Aの制御部103へ指示を行い、ソレノイド134によるロックを解除することで対応する引き出し131が引き出し可能となる。これにより、引き出し131を適宜手動で引き出して上記引き出し131の内部空間を実質的に無線通信が可能な開放状態にすることで、リーダアンテナ3を介し無線通信によりファイルバインダ200の無線タグ回路素子Toと確実に情報送受信を行うことができる。この結果、上記第1実施形態と同様、金属製の書棚100Aに収納されているファイルバインダ200の無線タグ回路素子Toに対し、金属の影響による通信障害を回避しつつ確実に情報読み取りを行うことができる。
【0103】
また、この実施形態では特に、書棚100Aに収納された多数のファイルバインダ200のうち、管理者Hが探したい特定のファイルバインダ200を探索することができる。すなわち、前述したように、サーバ300の管理テーブルには、予め、ファイル名と、対応するタグIDと、収納部番号とが、登録され格納されている。管理者Hが、書棚100Aのどこかに収納された上記特定のファイルバインダ200を探索したい場合に、上記管理テーブルにアクセスすることで、当該ファイルバインダ200のファイル名に対応した無線タグ回路素子ToのタグIDと収納部番号とが取得される。そして、その取得された収納部番号を指定してリーダ側赤外線送受信部4を介して制御部103及び対応するソレノイド134へ指示を行い、対応する収納部101(目的とするファイルバインダ200が収納された収納部101)の引き出し131のロックを解除後、手動操作で当該引き出し131を引き出して内部空間を開放状態とし、目的とするファイルバインダ200の無線タグ回路素子Toから情報を確実に取得する。このようにして、目的とするファイルバインダ200を容易かつ確実に見つけ出す(探索)ことができる。
【0104】
なお、各収納部101から引き出し131を引き出す(又は容易な引き出しを可能とする)構成としては、上記バネ部材136の付勢による以外にも、例えば収納部101の底壁面101aに傾斜を持たせて、引き出し131の自重により自然に前方にスライド移動させるように構成してもよい。
【0105】
また、この実施形態では特に、ステップS130でタグIDの読み取りが終了したら、ステップS140において、ロック解除状態となっている引き出し131に対応する収納部番号を指定して(具体的に全ての収納部番号を指定してもよいし、全ての収納部101を一括して適用する旨の指示をしてもよい)赤外線祖受信部4を介し書棚100Aの制御部103及びソレノイド134に赤外線により指示する。これにより、探索作業が終わった後にロック解除され開放状態となっている引き出し131を、再びもとのロック状態に容易かつ速やかに復帰させることができる。
【0106】
なお、上記第2実施形態においては、前後スライド可能な引き出し131の内部空間にファイルバインダ200を配置した。そして、引き出し131の内外を仕切る前方側壁面131を各請求項記載の電波遮蔽性部材として機能させ、引き出し131が収納部101から引き出された状態で上記開放状態を実現し、引き出し131が収納部101へ押し込まれ収容された状態で上記閉鎖状態を実現した。
【0107】
しかしながら、上記の態様に限られるものではなく、例えば各収納部101の前面開口部に、コインロッカーのような金属製の開閉扉を設けてもよい。この場合、当該開閉扉が各請求項記載の電波遮蔽性部材として機能し、収納部101の内部が各請求項記載の収納区画に相当する。すなわち、引き出し131の内外を仕切る開閉扉が閉じ状態となり収納部101の前面開口部を塞ぐと上記閉鎖状態を実現し、開閉扉が開き状態となり収納部101の前面開口部を開放すると上記開放状態を実現する。
【0108】
開閉扉の開閉駆動は、上記第1実施形態のように開き動作も閉じ動作もモータ駆動によって行ってもよいし、いずれか一方のみをモータ駆動としてもよい。開き動作のみをモータ駆動により行う場合には、閉じ動作は手動で行うようにしてもよいし、開閉扉を常時閉じ方向に付勢するバネ部材を設けておき、開き動作時にはモータの駆動力により当該バネ部材の付勢力に抗して開閉扉を開くようにしてもよい。同様に閉じ動作のみをモータ駆動により行う場合には、開き動作は手動で行うようにしてもよいし、開閉扉を常時開き方向に付勢するバネ部材を設けておき、閉じ動作時にはモータの駆動力により当該バネ部材の付勢力に抗して開閉扉を閉じるようにしてもよい。このように開閉扉の閉じ動作を手動操作とする(開き動作はバネ部材の付勢力を利用する)場合には、上記第2実施形態のように収納部101側にロック機構を設け、開閉扉の閉じ状態において(開かないように)ロックするようにしてもよい。
【0109】
以上の変形例においても、上記第1実施形態又は第2実施形態と同様の効果を得る。
【0110】
なお、以上において、図4等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0111】
また、図7、図12等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0112】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0113】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0114】
1 ハンディリーダ(情報読み取り装置)
2 リーダ本体
3 リーダアンテナ(第1通信手段)
4 リーダ側赤外線送受信部(第2通信手段)
100,100A 書棚(収納部材)
101 収納部
102 書棚側赤外線送受信部
103 制御部
104 書棚本体(固定部)
105 可動載置板(可動部)
106 送りネジ
107 モータ
108 ギアボックス
109 送り部材
121 可動前面壁
122 回転収納箱
131 引き出し
131a 前方側壁面
133 係止穴
134 ソレノイド
135 ロック爪
136 バネ部材
150 IC回路部
151 タグアンテナ
200 ファイルバインダ(管理対象物品)
300 サーバ
H 管理者(操作者)
S1,S2 収納管理システム
T 無線タグ
To 無線タグ回路素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶するIC回路部と情報を送受信可能なタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子に対し、無線通信により情報読み取りを行う情報読み取り装置と、
前記無線タグ回路素子をそれぞれ設けた複数の管理対象物品を収納する金属製の収納部材と
を有する収納管理システムであって、
前記収納部材は、
前記複数の管理対象物品をそれぞれ収納する複数の収納区画と、
前記複数の収納区画のそれぞれを、対応する前記管理対象物品の前記無線タグ回路素子を実質的に通信不能状態とする閉鎖状態から、実質的に通信可能な開放状態に切り替え可能な切替駆動手段とを有し、
前記情報読み取り装置は、
前記無線タグ回路素子に対し無線通信により情報送受信を行う第1通信手段と、
前記切替駆動手段による前記切り替え動作を非接触通信により指示するための第2通信手段とを有する
ことを特徴とする収納管理システム。
【請求項2】
前記管理対象物品の識別情報と、対応する前記無線タグ回路素子の識別情報と、対応する前記収納区画の識別情報とを格納したデータベースを有し、
前記情報読み取り装置は、
前記収納部材のうち、探索対象とする前記収納区画を前記開放状態とするように、当該収納区画の識別情報を指定して前記第2通信手段を介し前記切替駆動手段に指示する第1開放指示手段と、
前記第1開放指示手段による指示に基づき前記切替駆動手段が前記収納区画を前記開放状態とした後、その収納区画全てに収納された複数の前記管理対象物品にそれぞれ設けた複数の前記無線タグ回路素子に対し、前記第1通信手段を介して無線通信を行い、当該複数の無線タグ回路素子の識別情報を取得する第1タグ検出手段と、
前記データベースにアクセスし、前記第1タグ検出手段の検出結果と、前記データベースの格納内容とを照合する照合手段と
を備える
ことを特徴とする請求項1記載の収納管理システム。
【請求項3】
前記情報読み取り装置は、
前記照合手段による照合が終了したら、前記第1開放指示手段による指示に基づき前記開放状態となっている前記収納区画の前記開放状態又は前記閉鎖状態を、前記照合手段の照合結果に基づいて、その収納区画の識別情報を指定して前記第2通信手段を介し前記切替駆動手段に指示する後処理指示手段を備える
ことを特徴とする請求項2記載の収納管理システム。
【請求項4】
前記管理対象物品の識別情報と、対応する前記無線タグ回路素子の識別情報と、対応する前記収納区画の識別情報とを格納したデータベースを有し、
前記情報読み取り装置は、
前記データベースにアクセスし、探索対象の前記管理対象物品に対応した、前記無線タグ回路素子及び前記収納区画の識別情報をそれぞれ取得する識別情報取得手段と、
前記識別情報取得手段により取得された前記収納区画の識別情報を指定し、対応する前記収納区画を前記開放状態とするように、前記第2通信手段を介し前記切替駆動手段に指示する第2開放指示手段と、
前記識別情報取得手段により取得された前記無線タグ回路素子の識別情報を指定し、前記第1通信手段を介して無線通信を行い、前記指定された前記無線タグ回路素子の前記IC回路部から情報を取得する第2タグ検出手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の収納管理システム。
【請求項5】
前記収納部材は、
前記開放状態において、前記管理対象物品の姿勢を変化させるための回転機構を備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の収納管理システム。
【請求項6】
前記収納部材は、
前記収納区画の内外を仕切る可動の電波遮蔽性部材と、
前記電波遮蔽性部材を前記収納区画の前面側に位置する状態でロック可能なロック機構とを備えており、
前記切替駆動手段は、
前記ロック機構を制御し、前記電波遮蔽部材をロックした前記閉鎖状態から、前記ロックを解除した前記開放状態とする
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の収納管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−208808(P2010−208808A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57256(P2009−57256)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】