説明

収納袋の製造方法

【課題】無菌状態で収納袋を製造するとともに内容物の充填も行なえるようにし、衛生的な収納袋を提供する。
【解決手段】チューブ状の包装材料1と、シート状の包装材料2とを用い、シート状の包装材料2にチューブ状の包装材料1を扁平状態でシート状の包装材料2の幅方向の片側半分の面に重ね、両包装材料1,2の重なり部の端縁をカットしてチューブ状の包装材料1を切り開き、その後シート状の包装材料2は2つ折りしてチューブ状の包装材料1を長さ方向に表裏両面から挟み、シート状の包装材料2の2つ折り辺に対向する両包装材料1,2の端縁を縦方向のヒートシールにより閉じるとともに、チューブ状の包装材料1の切り開き部より差し込まれた内容物充填用のチューブ13より内容物が充填され、縦方向のヒートシールにより端縁が閉じられた両包装材料1,2を等間隔おきに横方向にヒートシールして仕切り、横方向のヒートシール位置で切り離す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクやシャンプー、調味料などの液状あるいは粉末状の内容物を収納する収納袋の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種インクやシャンプー、調味料などの液状あるいは粉末状の内容物を収納する収納袋の製造方法には、非特許文献1に開示されているようなピロータイプの製造方法が知られている。このピロータイプの製造方法により図5に示すような封筒貼りタイプの他、合掌貼りタイプなどの収納袋が作られる。
【0003】
図5に示す封筒貼りタイプの収納袋の製造方法について説明すると、ロール状に巻かれた合成樹脂フィルムなどからなる包装材料Aを連続状態で繰り出し、成形金具により縦方向に筒状に折り畳まれた状態で胴貼り状のヒートシールがなされ、この筒状の成形体Bの上端に配される充填口Cより内容物が充填され、等間隔おきにヒートシールがなされてカットされながら収納袋が形成される。
【非特許文献1】包装用フイルム概論 217頁(発行所 (株)東洋紡パッケージング・プラン・サービス 1997.3.30発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した非特許文献1に開示されているような封筒貼りタイプの収納袋の製造方法によって作られた収納袋にあっては、1枚の広げられたシート状の包装材料を筒状に折り畳み、その後ヒートシールするとともに内容物の充填がなされるのであるが、内容物によっては無菌状態で包装する必要のあるものもあり、筒状に折り畳まれる前の包装材料がシート状でオープンであることにより袋の成形・充填部に包装材料が運ばれるまでに包装材料の内面に雑菌が付着することが考えられ、このような包装材料を用いて無菌状態で包装することは不可能であるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、無菌状態で収納袋を製造するとともに内容物の充填も行なえるようにし、衛生的な収納袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の収納袋の製造方法は、ヒートシール性を備えた材料を用いて作られたチューブ状の包装材料と、少なくとも最内層が前記チューブ状の包装材料と同一材料のヒートシール性を備えた材料のフィルムで構成されてなるシート状の包装材料とを用い、シート状の包装材料にチューブ状の包装材料を扁平状態でシート状の包装材料の幅方向の片側半分の面に重ね、チューブ状の包装材料とシート状の包装材料との重なり部の端縁をカットしてチューブ状の包装材料を切り開き、その後シート状の包装材料は2つ折りして扁平状態のチューブ状の包装材料を長さ方向に表裏両面から挟み、シート状の包装材料の2つ折り辺に対向する両包装材料の端縁を縦方向のヒートシールにより閉じるとともに、前記チューブ状の包装材料の切り開き部より差し込まれた内容物充填用のチューブより内容物が充填され、縦方向のヒートシールにより端縁が閉じられた両包装材料を等間隔おきに横方向にヒートシールして仕切り、横方向のヒートシール位置で切り離すことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に記載の収納袋の製造方法は、ヒートシール性を備えた材料を用いて作られたチューブ状の包装材料と、少なくとも最内層が前記チューブ状の包装材料と同一材料のヒートシール性を備えた材料のフィルムで構成されてなるシート状の包装材料とを用い、チューブ状の包装材料を切り開きながらチューブ状の包装材料をシート状の包装材料に2枚重ねの状態に重ね、この2枚重ねの両包装材料が縦方向に筒状に折り畳まれた状態で胴貼り状のヒートシールがなされ、この筒状の成形体の上端に配される充填口より内容物が充填され、等間隔おきに横方向にヒートシールして仕切り、横方向のヒートシール位置で切り離すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明の収納袋の製造方法は、内面が無菌状態のチューブ状の包装材料が使用されており、請求項1に記載の収納袋の製造方法によればチューブ状の包装材料は内面が案内用のローラーと接触することがなく、無菌状態で内容物の充填が行なえ、衛生的な収納袋を提供することができる。また、請求項2に記載の収納袋の製造方法も内面が無菌状態のチューブ状の包装材料が使用されるので切り開かれても作業空間を無菌状態にしておくことにより、無菌状態で内容物の充填が行なえ、衛生的な収納袋を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき具体的に説明する。
先ず、図1〜図3に示す第1の実施の形態について説明すると、1はロール状に巻かれた内面が無菌のチューブ状の包装材料で、未延伸ポリエチレンなどの未延伸ポリオレフィンを材料に用いて作られている。2はロール状に巻かれたシート状の包装材料で、最内層2aが前記チューブ状の包装材料1と同一材料の未延伸ポリエチレンなどの未延伸ポリオレフィンのフィルムからなり、この最内層2aの外側に位置する中間層2bはナイロンフィルムからなり、さらにこの中間層2bの外側に位置する最外層2cはポリエチレンテレフタレートフィルムからなり、これら3層のフィルムを積層接着して包装材料2が作られている。そして、前記チューブ状の包装材料1とシート状の包装材料2はローラー3,4,5により案内されてローラー6の位置で互いに重なり、その後互いに重なった状態で内容物充填位置、ヒートシール位置に導かれる。詳しくは、チューブ状の包装材料1は扁平状態でロール状に巻かれ、扁平状態のまま繰り出されてローラー6位置でシート状の包装材料2の幅方向の片側半分の面に重なる。シート状の包装材料2の幅は扁平状態のチューブ状の包装材料1の幅の2倍弱となっており、このシート状の包装材料2の幅方向の片側半分の面にチューブ状の包装材料1が重なった状態で内容物充填位置、ヒートシール位置に導かれる。7,8,9は前記ローラー6とヒートシール位置との間に配されている案内用のローラーである。10はローラー8の位置でチューブ状の包装材料1とシート状の包装材料2との重なり部の端縁をカットしチューブ状の包装材料1を切り開くための刃物である。この刃物10によりチューブ状の包装材料1を切り開いた後は、シート状の包装材料2は2つ折りされて扁平状態のチューブ状の包装材料1を長さ方向に表裏両面から挟み、その状態でヒートシール用のローラー11,12に導かれる。このローラー11,12の内、包装材料1,2の送り方向の上手側に位置するローラー11は前記刃物10により切り取られたチューブ状の包装材料1とシート状の包装材料2との重なり部の端縁、さらに詳しくはシート状の包装材料2の2つ折り辺に対向する両包装材料1,2の端縁を縦方向にヒートシールして閉じるためのものであり、また包装材料1,2の送り方向の下手側に位置するローラー12はローラー11により端縁が閉じられた包装材料1,2を等間隔おきに横方向にヒートシールして仕切るためのものである。13はローラ11,12によるヒートシール位置の手前において前記チューブ状の包装材料1の切り開き部より差し込まれた内容物充填用のチューブで、先端の口部13aは前記ローラー11とローラー12との間に位置するように差し込まれている。
【0010】
上記構成において、ローラー11により縦シールされた包装材料1,2の内部、正確にはチューブ状の包装材料1の内部にチューブ13の先端の口部13aより内容物が充填され、その後ローラー12により横シールされた後、図外のカッターにより横シール位置で切り離されて内容物が充填された収納袋14が完成する。
【0011】
なお、前記ローラー3,4,5,6,7,8,9,11,12は金属製であるが、製造過程の中で収納袋14の内面、正確にはチューブ状の包装材料1の内面に接触することはない。また、前記チューブ13はステンレス製であり、チューブ状の包装材料1の切り開き部より差し込まれてチューブ状の包装材料1の内面に接触するが、予め殺菌処理されており、無菌状態で包装する必要がある内容物に対しても何ら問題はない。
【0012】
次に、図4に示す第2の実施の形態について説明すると、チューブ状の包装材料1ならびにシート状の包装材料2は前記第1の実施の形態と同様に作られロール状に巻かれている。そして、チューブ状の包装材料1の幅の2倍の幅を持つシート状の包装材料2の幅方向中央にチューブ状の包装材料1を扁平状態で重ね、チューブ状の包装材料1を切り開いてシート状の包装材料2に2枚重ねの状態にし、この2枚重ねの両包装材料1,2が縦方向に筒状に折り畳まれた状態で胴貼り状のヒートシールがなされ、この筒状の成形体15の上端に配される充填口16より内容物が充填され、等間隔おきに横方向にヒートシールして仕切り、横方向のヒートシール位置で切り離すことにより内容物が充填された収納袋が完成する。17はシート状の包装材料2の上に送り込まれたチューブ状の包装材料1を切り開くための刃物で、所定位置においてチューブ状の包装材料1内に位置するように配された基盤18上に取り付けられており、ロールから送り出されたチューブ状の包装材料1を連続して切り開くようになっている。
【0013】
この第2の実施の形態において、無菌状態のチューブ状の包装材料1が切り開かれるが、作業空間を無菌状態にしておくことにより、無菌状態で内容物の充填が行なえ、衛生的な収納袋を製造することができる。
【0014】
なお、第2の実施の形態ではシート状の包装材料2に重ねられたチューブ状の包装材料1を切り開いているが、シート状の包装材料2に重ねる手前でチューブ状の包装材料1を切り開くようにしても良い。
【0015】
以上、図面に示す実施の形態において、前記チューブ状の包装材料1およびシート状の包装材料2の最内層2aは未延伸ポリエチレンなどの未延伸ポリオレフィンで構成されているが、その材料は未延伸ポリオレフィンに限定されるものではなく、ヒートシール性を備えた材料であれば良い。また、シート状の包装材料2の最内層2aの外側に重なるフィルムは上記実施の形態に限定されるものではない。さらに、図面に示す実施の形態では縦ピローの製造方法であるが、横ピローの製造についても実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態の収納袋の製造工程を示す斜視図である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】同収納袋の斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の収納袋の製造工程を示す斜視図である。
【図5】従来のピロータイプの製造方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 チューブ状の包装材料
2 シート状の包装材料
2a 最内層
2b 中間層
2c 最外層
3,4,5,6,7,8,9, ローラー
10 刃物
11,12 ローラー
13 チューブ
14 収納袋
15 成形体
16 充填口
17 刃物
18 基盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシール性を備えた材料を用いて作られたチューブ状の包装材料と、少なくとも最内層が前記チューブ状の包装材料と同一材料のヒートシール性を備えた材料のフィルムで構成されてなるシート状の包装材料とを用い、シート状の包装材料にチューブ状の包装材料を扁平状態でシート状の包装材料の幅方向の片側半分の面に重ね、チューブ状の包装材料とシート状の包装材料との重なり部の端縁をカットしてチューブ状の包装材料を切り開き、その後シート状の包装材料は2つ折りして扁平状態のチューブ状の包装材料を長さ方向に表裏両面から挟み、シート状の包装材料の2つ折り辺に対向する両包装材料の端縁を縦方向のヒートシールにより閉じるとともに、前記チューブ状の包装材料の切り開き部より差し込まれた内容物充填用のチューブより内容物が充填され、縦方向のヒートシールにより端縁が閉じられた両包装材料を等間隔おきに横方向にヒートシールして仕切り、横方向のヒートシール位置で切り離すことを特徴とする収納袋の製造方法。
【請求項2】
ヒートシール性を備えた材料を用いて作られたチューブ状の包装材料と、少なくとも最内層が前記チューブ状の包装材料と同一材料のヒートシール性を備えた材料のフィルムで構成されてなるシート状の包装材料とを用い、チューブ状の包装材料を切り開きながらチューブ状の包装材料をシート状の包装材料に2枚重ねの状態に重ね、この2枚重ねの両包装材料が縦方向に筒状に折り畳まれた状態で胴貼り状のヒートシールがなされ、この筒状の成形体の上端に配される充填口より内容物が充填され、等間隔おきに横方向にヒートシールして仕切り、横方向のヒートシール位置で切り離すことを特徴とする収納袋の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−224998(P2006−224998A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−41447(P2005−41447)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000208226)大和グラビヤ株式会社 (48)
【Fターム(参考)】