説明

収縮フィルム用反応器グレードコポリエステル

【課題】取扱性及び乾燥性に優れ、高い延性を有する熱収縮性フィルムに使用するのに適した反応器グレードコポリエステルの提供。
【解決手段】少なくとも約90モル%の二酸成分並びに(a)72〜88モル%のエチレングリコール、10〜15モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び2〜13モル%のジエチレングリコール又は(b)59〜77.5モル%のエチレングリコール、15〜28モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び7.5〜13モル%のジエチレングリコールのジオール成分から製造される反応器グレードコポリエステル並びにそれを含む熱収縮性フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮性プラスチックフィルム、更に詳しくは、熱収縮性プラスチックフィルムを製造するための材料として有用な反応器グレードコポリエステル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱収縮性プラスチックフィルムは、カバーとして、物品を一緒に保持するために並びにボトル、缶及びその他の種類の容器用の外側ラッピングとして使用されている。例えば、このようなフィルムは、ボトルの蓋、首、肩若しくは胴部又はボトル全体を覆うために、ラベル貼り、保護、区分け又は製品の価値を高めることの目的のために及びその他の理由のために使用されている。更に、このようなフィルムは、このような物体を、ボックス、ボトル、ボード、ロッド又はノートブックとして一緒にグループで包装するためのカバーとして使用することができ、そしてこのようなフィルムをラッピングとして密着させることができる。上記の使用は、フィルムの収縮性及び内部収縮応力を利用している。
【0003】
ポリ(塩化ビニル)(PVC)フィルムは、収縮フィルム市場を支配している。しかしながら、ポリエステルフィルムは、PVCフィルムに伴う環境問題を有しないので、ポリエステルフィルムは重要な代替物になってきた。ポリエステル収縮フィルムは、理論的には、PVCフィルムと非常に類似した特性を有しており、それ故ポリエステルは、現存する収縮トンネル装置での「ドロップイン」置換物として機能することができる。複製が望まれるPVCフィルム特性には、(1)比較的低い収縮開始温度、(2)徐々に且つ温度上昇と共に制御された方式で増加する全収縮、(3)下にある容器の圧潰を防止するための低い収縮力、(4)高い全収縮(例えば50%又はそれ以上)及び(5)収縮の前及び後での不必要な引裂及び割れを防止するような固有のフィルム靱性が含まれる。
【0004】
特許文献1では、熱収縮性ポリエステルフィルムが、1〜98.5重量%の1,4−シクロヘキサンジメタノール変性ポリ(エチレンテレフタレート)(PETGコポリエステル)、98.5〜1重量%の、15より小さいb* 値を有するジエチレングリコール変性ポリ(エチレンテレフタレート)(DEG変性PETコポリエステル)、0.5〜3重量%の粘着防止剤及び任意的に5〜15重量%のポリ(エチレンテレフタレート)(PET)のような結晶性ポリエステルのコポリエステルブレンドから製造されている。このPETGコポリエステルは、少なくとも95モル%のテレフタル酸(TA)のジカルボン酸成分並びに65〜80モル%のエチレングリコール(EG)及び35〜20モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)のジオール成分を有する。このDEG変性PETコポリエステルは、少なくとも75モル%のテレフタル酸のジカルボン酸成分並びに10〜50モル%のジエチレングリコール(DEG)及び50〜90モル%のエチレングリコールのジオール成分を有する。これらのコポリエステルブレンド中のジエチレングリコール含有量の量を変化させることによって、ポリ塩化ビニル(PVC)と同様の低開始温度のような、所望の収縮特性を有する、それらから製造された熱収縮性フィルムを製造することができる。また、改良された透明性を有するDEG変性PETコポリエステルを使用することによって、0.9〜1.10のb* 色値でヘイズの無い収縮フィルムになる。
【0005】
特許文献1の収縮フィルムは、先行技術を越えた多くの利点を提供するが、幾つかの重大な不利が、これらのコポリエステルのブレンドを使用することに付随する。このブレンド配合は、PETGコポリエステル、DEG変性PETコポリエステル、PET及びブロッキング防止剤を含む4種以下の成分を含むことができる。多成分ブレンドは、乾燥、秤量、ブレンド及び押出のための、製造の間の工程を一層複雑にし、それぞれの追加の成分で労働過重的にする。例えば、PETGコポリエステルは150°Fで乾燥させることが必要であり、PETは300°Fで乾燥させることが必要であり、そしてDEG変性コポリエステルは110°Fで乾燥させることが必要である。それで、このブレンドを製造するために3個の乾燥機が必要である。更に、組成物中の変動は特性に影響を与えるので、フィルムの品質を制御する際に、全ての材料の正確なブレンドが重要である。PETGコポリエステル及びDEG変性PETコポリエステルのような無定形ポリマーを、PETのような結晶性ポリマーとブレンドすることは、また、材料が異なった溶融特性を有するので、押出に於いて問題点を生じるおそれがある。溶融に於ける不釣り合いな組合せは、押出に於ける混合不良を起こすであろう。更に、多くの材料のブレンド、材料分離、在庫管理及び貯蔵は面倒であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5859116号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
即ち、過剰の取り扱いを必要なくし、一層効率的に乾燥させ、そして一層一定した製品を製造する、収縮フィルム材料として使用することができるポリエステル材料についての当該技術分野に於けるニーズが存在する。従って、本発明が主として指向するものは、そのような材料の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
反応器グレードコポリエステル組成物は、予想外にも、特許文献1に開示されているような、共に同じモノマーのモル%を有するPETGコポリエステル及びDEG変性PETコポリエステルのブレンド配合物に比較して、より高い延性を有する。反応器グレードコポリエステル組成物及びそれから製造された収縮フィルムは、少なくとも約90モル%のテレフタル酸の残基を含む二酸成分及び2種の組成物の一つであるジオール成分を含んでなる。ジオール成分(a)は、約72〜約88モル%のエチレングリコール、約10〜約15モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び約2〜約13モル%のジエチレングリコールの残基を含む。ジオール成分(b)は、約59〜約77.5モル%のエチレングリコール、約15〜約28モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び約7.5〜約13モル%のジエチレングリコールの残基を含む。上記二酸成分及びジオール成分は、それぞれ100モル%基準である。
【0009】
他の態様に於いて、反応器グレードコポリエステル組成物から製造された熱収縮性フィルムは、PVCフィルムのものと殆ど同一の収縮曲線を有する。この反応器グレードコポリエステル組成物の二酸成分は、少なくとも約90モル%のテレフタル酸の残基を含んでなる。この反応器グレードコポリエステル組成物のジオール成分は、約61〜約82モル%のエチレングリコール、約16〜約26モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び式:
DEG%(最適)=63−4.26×(CHDM%)+0.0822×CHDM2 の+/−2.5モル%内で約2〜約13モル%のジエチレングリコールの残基を含んでなる。
【0010】
更に他の態様に於いて、反応器グレードコポリエステル組成物は、100モル%の二酸成分及び100モル%のジオール成分基準で、少なくとも約90モル%のテレフタル酸の残基を含む二酸成分並びに約52〜約88モル%のエチレングリコール、約10〜約28モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び約2〜約20モル%のジエチレングリコールの残基を含むジオール成分を含んでなる。このコポリエステル組成物は、特許文献1のブレンド配合物のb* 色値を越えた予想外の顕著な改良である、−1.0以上4.5未満のb* 色値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール及びエチレングリコールの含量を変化された本発明の反応器グレードコポリエステル組成物の3ミル(75ミクロン)フィルムの収縮曲線の変化を示すグラフである。
【図2】図2は、先行技術のポリマーと比較した、本発明の反応器グレードコポリエステル組成物の2ミル(50ミクロン)フィルムの収縮曲線を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の反応器グレードコポリエステル組成物についての組成の関数としての非延伸方向に於ける破断点伸びを示すグラフである。
【図4】図4は、特許文献1のブレンド配合物の組成の関数としての非延伸方向の破断点伸びを示すグラフである。
【図5】図5は、先行技術のポリマーと比較した、本発明の反応器グレードコポリエステル組成物の温度の関数としての30秒後の自由収縮を示すグラフである。
【図6】図6は、PVC収縮曲線と比較した本発明の反応器グレードコポリエステル組成物の二乗収縮誤差の合計の等高プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、反応器グレードコポリエステル組成物及びそれから製造された熱収縮性フィルムである。用語「反応器グレード」は、ある種の二酸/ジエステルモノマー及びジオールモノマーのエステル化/エステル交換反応及びそれに続く重縮合から直接製造される生成物を意味する。反応器グレードコポリエステル組成物の製造は、所望の材料を得るために押出機内で2種又はそれ以上のポリエステル又はコポリエステル組成物を物理的にブレンドすることである、コポリエステルブレンド配合物の製造とは反対である。反応器グレードコポリエステル組成物(以下、「rxn−コポリエステル」と言う)は、予想外に、共に同じ最終コポリエステル組成物を有する、特許文献1の多成分コポリエステルブレンド配合物(以下、「特許文献1のブレンド」という)と比較したとき、一般的なフィルム及び収縮フィルムを製造する際に使用するための単一成分材料として優れた性能特性及びその他の利点を有する。
【0013】
本発明の一つの態様に於いて、rxn−コポリエステルは、予想外に、共に同じモノマー濃度を有する特許文献1のブレンドから製造されたコポリエステルよりも延性である。それで、rxn−コポリエステルから製造されたフィルムは、特許文献1のブレンドから製造されたフィルムよりも、印刷及びウエブ取り扱い中に裂け難いと思われる。例3〜5並びに図3及び4に示されるように、rxn−コポリエステル及び特許文献1の延伸フィルムは、DEGのレベルが増加するときに、延性から脆性への転移を曲げる。脆性は、それが非延伸方向でフィルムの引裂を起こすので、望ましい特性ではない。この延性−脆性移行は、rxn−コポリエステルについて、特許文献1のブレンド(約7.5モル%)と比較して、DEGの遙かに高いレベル(約13モル%)で起こる。それで、rxn−コポリエステルは、延性を低下させることなく、より多くのDEGを含有できるので、rxn−コポリエステルの収縮ウィンドウを変性する際により多くの可撓性が存在する。rxn−コポリエステルは、少なくとも約90モル%のテレフタル酸の残基を含む二酸成分並びに以下のもの、即ち(a)約72〜約88モル%のエチレングリコール、約10〜約15モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び約2〜約13モル%のジエチレングリコール又は(b)約59〜約77.5モル%のエチレングリコール、約15〜約28モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び約7.5〜約13モル%のジエチレングリコールの何れか一つの残基を含むジオール成分を含んでなる。二酸成分及びジオール成分は、それぞれ100モル%基準である。延性の尺度として、rxn−コポリエステルは、好ましくは、少なくとも約300%、更に好ましくは少なくとも約400%の、公称2ミル(50ミクロン)厚のフィルムについて、ASTM D882に従って測定した非延伸方向での破断点伸びを有する。
【0014】
更に、例2及び6並びに図2,5及び6に示されるように、rxn−コポリエステルから製造されたフィルムの収縮特性は、好ましくは、PVCフィルムの収縮特性に一致する。このような好ましい態様に於いて、rxn−コポリエステルのジオール成分(b)は、16〜26モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む。更に好ましくは、1,4−シクロヘキサンジメタノールの好ましいモル%と結びつけて、ジエチレングリコールの残基は、下記の式:
DEG%(最適)=63−4.26×(CHDM%)+0.0822×CHDM2 に従った+/−2.5モル%内で存在する。
【0015】
本発明の他の態様に於いて、熱収縮性フィルムは、少なくとも約90モル%のテレフタル酸の残基を含む二酸成分並びに約61〜約82モル%のエチレングリコール、約16〜約26モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び式: DEG%(最適)=63−4.26×(CHDM%)+0.0822×CHDM2 の+/−2.5モル%内で約2〜約13モル%のジエチレングリコールの残基を含むジオール成分を含むrxn−コポリエステルを含んでなる。本発明のこの態様は、PVCフィルムのものと殆ど同一の収縮曲線を有する熱収縮性フィルムを与える。好ましくは、この熱収縮性フィルムは、特許文献1のブレンドの熱収縮性フィルムと比較したときに、より高い延性を有する。このような熱収縮性フィルムのジオール成分は、約7.5〜約13モル%のジエチレングリコールの残基を含む。
【0016】
図2及び6を参照するに、イースター(EASTAR)PETGコポリエステル6763、本発明のrxn−コポリエステル、特許文献1のブレンド及びPVCの間で比較が行われる。勿論、これらの材料のそれぞれは、収縮フィルムとして使用することができる。殆どの応用で、低い開始収縮温度が、包装されるあらゆる物品に対する損傷を防止することが望まれる。また、包装物に依存して、一定レベルの収縮が必要であるが、これはフープ方向、即ち、包装物の周りで最低50%である。このデータは、rxn−コポリエステルが、開始温度、90℃での収縮及び収縮速度(収縮曲線の勾配)を低下させることにより、イースターPETGコポリエステル6763と、(b)製造工程の複雑さを減少させること及び収縮フィルムの延性範囲を広げることにより、特許文献1のブレンドと(c)環境的障害を除きそして等価の材料を与えることにより、PVCと比較したときに、一層改良された収縮ポリマーであることを示している。これらの全ての改良は、収縮トンネル内でrxn−コポリエステルから製造された収縮フィルムのユーザーの使用し易さに寄与する。低い収縮速度は、収縮トンネル内でのしわ又は泡形成を防止する。そうして、ラベルの仕上げが大きく改良される。更に、rxn−コポリエステルは、広い胴部及び細い首部を有する異形ボトル全体にラベル貼りする際に重要である、より高い温度での収縮を維持するように適合させることができる。PVCフィルムの収縮は、90℃を越えると均一になり、ラベルが異形ボトルの細い首部を密着してカバーすることを妨害する。
【0017】
本発明の他の態様に於いて、rxn−コポリエステルは、少なくとも約90モル%のテレフタル酸(TA)の残基を含む二酸成分並びに約52〜約88モル%のエチレングリコール(EG)、約10〜約28モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)及び約2〜約20モル%のジエチレングリコール(DEG)の残基を含むジオール成分を含んでなる。これらのモル%は、100モル%の二酸成分及び100モル%のジオール成分基準である。rxn−コポリエステルは、−1.0以上4.5未満のb* 色値を有する。好ましくは、このb* 色値は−1.0〜3.5である。
【0018】
rxn−コポリエステルはDEGを含んでおり、通常、DEGを含有するコポリエステルは、DEGを含有しないコポリエステルよりも高いb* 色値を与える。例えば、DEGを含有しないイースターPETGコポリエステル6763及びDEGを含有するイーストボンド(EASTOBOND)コポリエステル19411は、それぞれ約4.5及び約9.5のb* 色値を有する。両方の材料は、テネシー州キングスポート(Kingsport)のイーストマン・ケミカル社(Eastman Chemical Company)から入手でき、特許文献1のブレンド例で使用されている。特許文献1のブレンドは、少なくとも4.5のb* 色値を有する。即ち、本発明のb* 色値は、単一成分コポリエステルを、共にDEGの同じ含有量を有する特許文献1のブレンドと比較すると、予想外である。
【0019】
より低いb* 色値によって測定された透明度の改良は、10〜100ppmのチタン、0〜75ppmのマンガン及び25〜150ppmのリンの触媒系並びに1.0〜10.0ppmのアントラキノンの赤化合物及び1.0〜10.0ppmの置換された1,4−ビス(2,6−ジアリルアニリノ)アントラキノンの青化合物の有機トナー系の使用を含む、rxn−コポリエステルの製造方法に起因する。好ましくは、この触媒系の範囲は、15〜50ppmのチタン、20〜60ppmのマンガン及び30〜70ppmのリン並びに1.0〜5.0ppmのアントラキノンの赤化合物及び1.0〜5.0ppmの置換された1,4−ビス(2,6−ジアリルアニリノ)アントラキノンの青化合物の有機トナー系である。有機トナーとしての赤及び青化合物の組合せは、米国特許第5,372,864号及び同第5,384,377号(これらを引用により本明細書に含める)に記載されている。
【0020】
チタンは、好ましくはチタンテトラアルコキシド、例えばチタンテトライソプロポキシド、チタンテトラエトキシド又はチタンテトラブトキシドとして添加する。マンガンは、好ましくは塩として使用される。適当なマンガン塩の例は、安息香酸第一マンガン四水和物、酸化マンガン、酢酸マンガン、マンガンアセチルアセトナート、コハク酸マンガン、グリコール酸マンガン、ナフタル酸マンガン及びサリチルサリチル酸マンガンである。リンは、好ましくはリン酸トリアルキル及びリン酸トリフェニルのようなリン酸エステルとして又はリン酸として添加する。
【0021】
本発明の上記の態様の全てについて、以下の一般的な記述が、rxn−コポリエステル及びそれから製造されたフィルムに関して適用される。二酸の対応する酸無水物、エステル及び酸クロリドの使用は、用語「二酸」の中に含まれる。異性体形、即ちシス−1,4−シクロヘキサンジメタノール及びトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールで存在してよいモノマーについて、異性体はモノマーの任意の一般的な表現の使用に含まれる。
【0022】
rxn−コポリエステル中の二酸成分は、好ましくは少なくとも95モル%、更に好ましくは100モル%のテレフタル酸を含む。二酸成分は10モル%以下の量で他の二酸によって変性されていてよい。適当な変性二酸には、炭素数4〜12の飽和脂肪族ジカルボン酸及び炭素数8〜12のシクロ脂肪族ジカルボン酸が含まれる。ジカルボン酸の具体例は、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等である。
【0023】
rxn−コポリエステルのジオール成分は、任意的に、10モル%以下の1種又はそれ以上の異なったジオールで変性されていてよい。このような追加のジオールには、炭素数6〜15のシクロ脂肪族ジオール及び炭素数3〜8の脂肪族ジオールが含まれる。このようなジオールの例には、トリエチレングリコール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール(ネオペンチルグリコール)、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、3−メチルペンタンジオール−(2,4)、2−メチルペンタンジオール−(1,4)、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−(1,3)、2−エチルヘキサンジオール−(1,3)、2,2−ジエチルプロパン−ジオール−(1,3)、ヘキサンジオール−(1,3)、1,4−ジ−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン、2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン等が含まれる。
【0024】
rxn−コポリエステルには、また、少量の、トリメリット酸無水物、トリメチロールプロパン、ピロメリット酸無水物、ペンタエリスリトール及びその他の当該技術分野で一般的に知られているポリエステル形成性ポリ酸又はポリオールのような三官能性又は四官能性コモノマーが含まれていてもよい。
【0025】
rxn−コポリエステルは60重量%のフェノール及び40重量%のテトラクロロエタンからなる溶媒100mL当たり0.50gのポリマーを使用して、25℃で測定して、0.4〜1.5dL/g、好ましくは0.6〜0.9dL/gのインヘレント粘度(IV)を有する。
【0026】
rxn−コポリエステルは、当該技術分野で公知の一般的な重縮合方法によって製造することができる。このような方法は、二酸(群(単数又は複数個))とジオール(群(単数又は複数個))との直接縮合又はジカルボン酸ジアルキルを使用するエステル交換反応によるものを含む。例えばテレフタル酸ジメチルのようなテレフタル酸ジアルキルは、高温度で触媒の存在下にジオール(群(単数又は複数個))でエステル交換する。
【0027】
rxn−コポリエステルは、公知の押出方法によりフィルムに成形できる。rxn−コポリエステルのペレットを溶融させるために押出機内に入れ、押出機から出たとき、rxn−コポリエステル溶融物をフィルムに成形する。フィルムの形状は如何なる方法に於いても制限されない。例えば、これはフラットシート又はチューブであってよい。得られたフィルムを、例えば、一定方向で元の寸法の2〜6倍ほど延伸させることができる。また、rxn−コポリエステルは、Flynn 等に付与された米国特許第6,068,910号に記載されているようにカレンダリングによりフィルムに成形できる。勿論、フィルム成形の他の一般的な方法を同様に使用することができる。
【0028】
フィルムの延伸は、ロール延伸方法、ロングギャップ(long−gap)延伸方法、テンター延伸方法及びチューブラー延伸方法のような任意の一般的な方法によることができる。これらの方法の何れかを使用して、連続式二軸延伸、同時二軸延伸、一軸延伸又はこれらの組合せを実施することが可能である。上記の二軸延伸で、縦方向での延伸と横方向での延伸を、同時に行うことができる。また、延伸は、最初に一方向で、次いで他の方向で行って、有効な二軸延伸にすることができる。好ましくは、フィルムの延伸は、rxn−コポリエステル組成物の平均ガラス転移温度(Tg )のTg +5℃〜Tg +80℃、好ましくは、Tg +10℃〜Tg +20℃の範囲内の温度で、フィルムを予熱することによって行われる。好ましくは、延伸速度は、5〜20インチ(12.7〜50.8cm)/秒である。延伸比は、y軸方向での延伸倍率に対するx軸方向での延伸倍率として定義する。延伸倍率は、フィルムの元の長さで割った、フィルムの最終長である。
【0029】
即ち、本発明は、反応器グレードコポリエステル組成物及び特許文献1のブレンドを越えた優れた性能特性、特に、引裂を減少するより高い延性及び競合するPVC収縮フィルムのものに一層近く一致する収縮曲線を有する、それから製造されたフィルムを提供する。更に、特許文献1の多成分ブレンドとは対照的に単一成分材料であるこのrxn−コポリエステルは、退屈な材料取り扱いを減少させ、乾燥効率を上昇させ、バッチ−バッチの一致性を改良することにより、熱収縮フィルム製造に於いて原材料及び資本コストを減少させる。
【実施例】
【0030】
本発明を、更に、その好ましい態様の下記の実施例によって示すが、これらの実施例は単に例示の目的のためで、他に特に示さない限り本発明の範囲を限定することを意図しないことはいうまでもない。
【0031】
例1:rxn−コポリエステルの組成
収縮への影響を決定するために、DEG及びCHDMのモル%を変化させて、rxn−コポリエステルを製造した。これらの樹脂の製造は、当該技術分野で既によく知られているポリエステルを製造するための標準的製造方法に従った。rxn−コポリエステル組成は、表Iに記載した通りである。
【0032】
図1に示したように、rxn−コポリエステルの組成に於ける調節によって、変化した特性を有する収縮フィルムを有することが可能である。異なった曲線は、異なった組成を有するrxn−コポリエステルの収縮%を表す。3ミル(75ミクロン)フィルムの90℃での収縮%は、CHDMを減少させると共に減少する。開始収縮温度は、DEGを増加させると共に低下する。
【0033】
【表1】

【0034】
例2:特性の比較
この例2に於いては、rxn−コポリエステルは、80モル%のPETGコポリエステル及び20モル%のDEG変性PETの多成分ブレンド配合物に似せて製造した。80/20ブレンドは、イースターPETGコポリエステル6763(これは、最小量のDEG(約2モル%)及び31モル%のCHDMを含有する無定形コポリエステルである)及びイーストボンドコポリエステル19411(これは、CHDMを含まず、37モル%のDEGを含む)を使用して製造した。両方の材料は、テネシー州キングスポートのイーストマン・ケミカル社から入手した。そうして、rxn−コポリエステル及び80/20ブレンドは、共に、100モル%のテレフタル酸の残基、25モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール、7モル%のジエチレングリコール及び68モル%のエチレングリコールを含んでいた。
【0035】
rxn−コポリエステル及び80/20ブレンドの性能特性は、最終フィルム組成が同一であるので実質的に類似していると予想された。しかしながら、表II及び図2に示されるように、これは事実ではなかった。例えば、rxn−コポリエステルのガラス転移温度(Tg )は、80/20ブレンドの73℃に比較して77℃であり、PETGコポリエステルのものよりも4℃低かった。rxn−コポリエステルの開始収縮温度(収縮が約5%である温度)は、80/20ブレンドに比較して、同様に類似した傾向を有していた。rxn−コポリエステルの90℃での収縮は、PETGコポリエステルよりも10%小さく、80/20ブレンドのものと殆ど同等であった。
【0036】
【表2】

【0037】
例3:rxn−コポリエステル最適組成
最適組成を決定するために、DEG及びCHDMのモル%を変化させて、rxn−コポリエステルを製造した。これらの配合を表III に示す。樹脂の目標IVは、60重量%のフェノール及び40重量%のテトラクロロエタンからなる溶媒100mL当たり0.50gのポリマーを使用して、25℃で測定して、約0.76dL/gであった。これらの樹脂の製造は、当該技術分野で既によく知られているポリエステルを製造する標準的製造方法に従った。
【0038】
これらの樹脂の一部を、乾燥させ、1.5インチ(3.8cm)キリオン(Killion)押出機又は2.5インチ(6.4cm)デイビス・スタンダード(Davis Standard)押出機で、500°F(260℃)の公称温度で、9ミル(0.23mm)の厚さを有するフィルムに押し出した。これに続いて、フィルムの一部を、ティー・エム・ロング・フィルム(T.M.Long Film)延伸機を使用して、195°F(90℃)で約4×1延伸比まで延伸した。樹脂の他の部分を商業的テンターライン上に走らせ、ほぼ同じ条件で延伸した。
【0039】
【表3】

【0040】
例4:ブレンド配合
比較の目的で、イースターPETGコポリエステル6763、イーストボンドコポリエステル19411及びイースタパック(EASTAPAK)PETポリエステル7352(ポリ(エチレンテレフタレート))を、ペレット−ペレットのブレンドをして、表III のrxn−コポリエステルに於けるのと同じCHDM及びDEGレベルを製造し、次いでフィルムに押出した。これらの樹脂を適当なレベルでブレンドすることによって、表III に於ける組成の殆ど全てが一致した。これらを表IVに示す。樹脂製造に於ける差異以外は、ブレンドの押出及び延伸は、例3に於けるrxn−コポリエステルのものに正確に従った。このブレンドは、特許文献1に記載されている先行技術を表す。
【0041】
【表4】

【0042】
例5:引張特性及び延性比較
表III 及びIV中の樹脂のサンプルを、ティー・エム・ロング・フィルム延伸機を使用して、195°F(90℃)で4×1で延伸した。この延伸条件は、商業的テンターフレームに於ける延伸に近くシミュレートした。次いで、これらの延伸したサンプルを、ASTM D882ガイドラインに従って、延伸方向(TD)及び非延伸方向(MD)の両方で引張試験した。これらの方向のそれぞれに於ける破断点伸び(EOB)を、フィルムの延性の定量的尺度として試験した。低い値(約5〜10%)は、取り扱いの間に容易に引き裂かれると思われる脆いフィルムを示す。反対に、より高い値(約300%以上)は、通常、破損することなく、取り扱い及び容器の周りの収縮に耐えるために十分な延性を有するフィルムを示す。
【0043】
延伸(TD)に於けるEOB値の比較は、全ての値が50〜80%の間であって、ブレンドとrxn−コポリエステルとの間に大きい差が無いことを示した。反対に、より弱い非延伸方向に於いて、EOBは一般的に高かったが(>400%)、サンプルは、DEGレベルがブレンド及びrxn−コポリエステルの両方について増加したとき、一層脆性(より低いEOB)になる傾向があった。DEGがフィルム脆性を起こし得ることは当該技術分野でよく知られている。しかしながら、DEGは、収縮開始温度を低下させるために必要である。
【0044】
フィルム脆性は、それがフィルムの引き裂かれる傾向を示し、ブレンド対rxn−コポリエステルの特性を比較するために利用されたので、重要な特性であった。予想外に、ブレンドとrxn−コポリエステルとの間にEOBに於ける差があった。rxn−コポリエステル3aをブレンド3b(同じ組成)と比較すると、ブレンドは僅かに約3%のEOBを有し、一方、rxn−コポリエステルは47%のEOBを有していた。同様に、サンプル5aと5bとの比較によって、ブレンドのEOBが、rxn−コポリエステルよりも非常に低かったことが示されている(178%対474%)。
【0045】
このデータの解析により、明らかに、それぞれ延性のままであったブレンドとrxn−コポリエステルとについて、別個の最適組成ウィンドウが存在したことが示された。このウィンドウを視覚化するために、rxn−コポリエステル及びブレンドについて、それぞれ図3及び4に、組成マップを作った。このマップは、それぞれの組成について、DEGモル%対CHDMモル%のプロットである。それぞれの操作点で要約した数字は、その与えられた組成についてのEOBを表した。図3を参照して、延性フィルムから脆性フィルムへの転移は、DEGレベルが約13モル%より上になるまでは始まらない。CHDMは、主な要因であるとは思われない。反対に図4に示されるように、ブレンドについてのこの移行は、7.5モル%付近で起こった。更に、CHDMレベルは、脆性を防ぐためにブレンドに於いて約15モル%よりも上でなくてはならない。
【0046】
下記の組成範囲は、本発明の好ましい態様に対して重要なものである。
(1)DEG<7.5モル%で且つCHDM>15モル%である場合、ブレンド及びrxn−コポリエステルの両方は延性である。
(2)CHDM<15モル%で且つDEG<13モル%であるか又は7.5<DEG<13モル%である場合、ブレンドは脆性であるが、rxn−コポリエステルは延性である。
(3)CHDMレベルに無関係にDEG>13モル%である場合、ブレンド及びrxn−コポリエステルの両方は脆性である。
【0047】
それで、rxn−コポリエステルは、広い組成範囲に亘って一層延性である。これは、例6に示されるように、7.5%〜13%のDEG範囲が、収縮曲線がPVCに最も近く一致するウィンドウ内に入るので重要である。この組成ウィンドウは、加工の間の変動性のために僅かに変化し得るが、ブレンドは、なお、加工条件の全ての所定の設定についてrxn−コポリエステルよりも一層脆性であると予想される。
【0048】
例6:rxn−コポリエステルについての収縮曲線の比較
フィルムを製造するのに使用される材料は、延伸されるとき延性を保持していなくてはならないが、収縮特性も最適化されなくてはならない。特に、rxn−コポリエステルの収縮曲線は、できるだけ近くPVC収縮フィルムのものに一致しなくてはならない。一致が存在したか否かを決定するために、表III 中のrxn−コポリエステルの幾つかを押し出し、商業的テンターフレームで延伸した。次いで、これらの延伸したフィルムのサンプルを、温度の関数として収縮性を決定するために試験した。試験片を切断し、次いで異なった温度に設定された水浴中に、30秒間浸漬した。次いで、このサンプルを取りだし、収縮%を記録した。
【0049】
この30秒間収縮を温度に対してプロットして、rxn−コポリエステルについて「収縮曲線」を得た。これらの収縮曲線を図5(図5中の参照番号について、下記の表Vを参照)に、比較を行うための市販のPVC収縮フィルムの収縮曲線と共にプロットした。PVCでのように、理想的な収縮曲線が、低い温度で開始し、調節された方式で温度が上昇すると共に徐々に増加した。サンプル4aは、少なくとも目視点検により、試験したrxn−コポリエステルの最も近く一致したものであると思われた。
【0050】
PVCに一致する最善の組成物を数値的に判定するために、所定のrxn−コポリエステル収縮曲線がPVC曲線から大きくずれるほど増加する誤差関数の種類を決定した。この「誤差関数」は、各温度での誤差の二乗の合計であった。
【0051】
【数1】

【0052】
(但し、合計は、試験したn個の温度に亘る)。誤差が到達できる最小値はゼロであり、これはコポリエステル収縮曲線のPVCへの完全な一致を示唆した。誤差についての値を、表Vに示した。次いで、これらの誤差は、最小二乗回帰を使用して適合させた曲線であり、下記の式によって正確にモデル化されることが見出された。
【0053】
誤差=10655−721×(CHDM%)−169×(DEG%)+13.9×(CHDM%)2 この曲線適合のための調節したR2 は0.98であり、これは、この式による誤差データの良好な全体予想を示した。誤差が組成と共にどのように変化するかを更に示すために、上記のモデル式を図6にプロットした。実験的収縮データ点も重ねた。等高線は、一定の「誤差」の線を表す。理想的には、誤差=0等高線に沿っている組成は、PVCに一致する収縮挙動を示すであろう。しかしながら、現実には、この最適線から約500誤差単位内に入る全ての組成物は、おそらく受け入れられるであろう。図6の右手上隅に、等高線が誤差についてマイナス値をとることに注目されたい。これは、真の誤差項目は、決してゼロより小さくなり得えないので、曲線適合の人為的なものである。
【0054】
【表5】

【0055】
誤差=0である線は、誤差=0を設定し、DEGについて解くことにより、モデル適合から決定した。これは、rxn−コポリエステル中のCHDMに対するDEGの最適モル%を決定するための式になり、下記の通りである。
【0056】
DEG%(最適)=63−4.26×(CHDM%)+0.0822×CHDM2 この式は、コポリエステル収縮曲線をPVCのものに一致させるための、全ての所定のCHDM濃度についての最適DEGレベルを予測するために使用される。収縮誤差=−500線及び収縮誤差=500線は、それぞれ近似的にDEG%(最適)+/−2.5%である。非常に広いCHDM範囲(即ち、約15モル%から約28モル%まで)に亘って、最適DEGレベルが7.5〜13モル%内に入り、これはrxn−コポリエステルがブレンドよりも延性である範囲に相当する(前記の例参照)ことに注目されたい。即ち、延性に加えて、良好な収縮特性を有するために、rxn−コポリエステル組成物はブレンドを越えた好ましい選択物である。
【0057】
例7:改良された乾燥
種々のポリマーについての乾燥条件を表VIに記載する。空気の露点は−40°F(−40℃)であり、流速は、材料のポンド/時当たり1立方フィート/分(kg/時当たり62.37L/分)である。表VIに示したように、イースターPETGコポリエステル6763及びrxn−コポリエステルを0.08%の推奨される水分レベルまで乾燥させるために、6時間を必要とする。結晶性PETは、空気温度をより高くすることができ、これによりポリマーペレットから出る水分子の拡散をより速くできるので、4時間でより速く乾燥する。しかしながら、イーストボンドコポリエステル19411、無定形コポリエステルを乾燥させるためには、同じレベルを達成するために少なくとも13時間かかる。110°F(43.3℃)での水分子の移動性は大きくなく、13時間のより長い乾燥時間になる。明らかに、DEG変性PETコポリエステルの乾燥は、PETGコポリエステル/DEG変性PETコポリエステルブレンドを押出すための隘路になる。
【0058】
本発明のrxn−コポリエステルは、特許文献1のブレンドのための受け入れられる置き換え物を提供する。rxn−コポリエステルを使用することの利点は、より早期に作られた複数の材料を取り扱う際の困難を排除することのみならず、実際に無定形のイーストボンドコポリエステル19411を乾燥させる際の困難を排除することである。
【0059】
【表6】

【0060】
例8:b* 色値
* 色値を、下記のパラメーター:1)D65光源、2)10度観察者、3)内蔵反射及び4)大面積視野で、CIELABカラースケールを使用して測定した。b* 色値は、プラスの時黄色さを測定し、マイナスの時青さを測定する。b* 色値を測定するために使用した装置は、ハンター・アソシエーツ・ラボラトリー(Hunter Associates Laboratory)から入手できるハンターラボ・ウルトラスキャン比色計(HunterLab Ultrascan Colorimeter )であった。
【0061】
* 色値は、サンプル形状(即ち、ペレットサイズ及び形状)により影響を受ける。rxn−コポリエステルの一般的なペレットを、黒色背景で2cmの厚さを有するガラス製サンプルホルダーの中に入れた。色測定は反射率によった。ペレットは、ほぼ、直径が2〜3mm、長さが2〜3mm、重量が0.8g/50個ペレットであった。
【0062】
表VII に、100モル%のテレフタル酸、25モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール、7モル%のジエチレングリコール及び68モル%のエチレングリコールの組成を有するrxn−コポリエステルの触媒組成(ppm)並びに赤及び青トナー組成(ppm)を変えることによる、b* 色値比較を示す。
【0063】
【表7】

【0064】
以下に、本発明及びその関連態様を記載する。
態様1.二酸成分100モル%基準及びジオール成分100モル%基準で、少なくとも90モル%のテレフタル酸の残基を含む二酸成分並びに59〜77.5モル%のエチレングリコール、15〜28モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)及び7.5〜13モル%のジエチレングリコール(DEG)の残基を含むジオール成分を含んでなる反応器グレードコポリエステル組成物。
態様2.ジオール成分が16〜26モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む態様1に記載のコポリエステル組成物。
態様3.ジオール成分(b)が式:
DEG%(最適)=63−4.26×(CHDM%)+0.0822×CHDM2 の+/−2.5モル%内でジエチレングリコールの残基を含む態様2に記載のコポリエステル組成物。
態様4.公称2ミル(50ミクロン)厚のフィルムについて、ASTM D882に従って測定した非延伸方向での破断点伸びが少なくとも300%である態様1に記載のコポリエステル組成物。
態様5.破断点伸びが少なくとも400%である態様4に記載のコポリエステル組成物。
態様6.態様1に記載のコポリエステル組成物を含んでなる熱収縮性フィルム。
態様7.態様3に記載のコポリエステル組成物を含んでなる熱収縮性フィルム。
態様8.態様1に記載のコポリエステル組成物をカレンダー加工することによって製造されたフィルム。
態様9.二酸成分100モル%基準及びジオール成分100モル%基準で、少なくとも90モル%のテレフタル酸の残基を含む二酸成分並びに59〜77.5モル%のエチレングリコール、15〜28モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び7.5〜13モル%のジエチレングリコールの残基を含むジオール成分を含んでなる反応器グレードコポリエステル組成物を含んでなる熱収縮性フィルム。
態様10.公称2ミル(50ミクロン)厚のフィルムについて、ASTM D882に従って測定した非延伸方向での破断点伸びが少なくとも300%である態様9に記載の熱収縮性フィルム。
態様11.破断点伸びが少なくとも400%である態様10に記載の熱収縮性フィルム。
態様12.ジオール成分が16〜26モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む態様9に記載の熱収縮性フィルム。
態様13.ジオール成分が式:
DEG%(最適)=63−4.26×(CHDM%)+0.0822×CHDM2 の+/−2.5モル%内でジエチレングリコールの残基を含む態様12に記載の熱収縮性フィルム。
態様14.−1.0以上4.5未満のb* 色値を有する態様9に記載の熱収縮性フィルム。
態様15.b* 色値が−1.0〜3.5である態様14に記載の熱収縮性フィルム。
態様16.反応器グレードコポリエステル組成物が、更に、0〜75ppmのマンガン、10〜100ppmのチタン及び25〜150ppmのリンを含む触媒系の残基並びに1.0〜10.0ppmのアントラキノンの赤化合物及び1.0〜10.0ppmの置換された1,4−ビス(2,6−ジアリルアニリノ)アントラキノンの青化合物を含む有機トナー系の残基を含んでなる(ここで触媒系及び有機トナー系の残基の量はコポリエステルの重量基準である)態様14に記載の熱収縮性フィルム。
態様17.触媒系が15〜50ppmのチタン、20〜60ppmのマンガン及び25〜150ppmのリンを含み、有機トナー系が1.0〜5.0ppmのアントラキノンの赤化合物及び1.0〜5.0ppmの置換された1,4−ビス(2,6−ジアリルアニリノ)アントラキノンの青化合物を含む態様16に記載の熱収縮性フィルム。
態様18.少なくとも90モル%のテレフタル酸の残基を含む二酸成分並びに61〜82モル%のエチレングリコール、16〜26モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び式:
DEG%(最適)=63−4.26×(CHDM%)+0.0822×CHDM2 の+/−2.5モル%内で2〜13モル%のジエチレングリコールの残基を含むジオール成分を含んでなる、反応器グレードコポリエステル組成物を含んでなる熱収縮性フィルム。
態様19.二酸成分が少なくとも95モル%のテレフタル酸の残基を含む態様18に記載のコポリエステル組成物。
態様20.二酸成分が100モル%のテレフタル酸の残基を含む態様19に記載のコポリエステル組成物。
態様21.ジオール成分が7,5〜13モル%のジエチレングリコールの残基を含む態様18に記載のコポリエステル組成物。
態様22.100モル%の二酸成分及び100モル%のジオール成分基準で、
(a)少なくとも90モル%のテレフタル酸の残基を含む二酸成分
(b)52〜88モル%のエチレングリコール、10〜28モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び2〜20モル%のジエチレングリコールの残基を含むジオール成分から本質的になるジオール成分並びに
(c)0〜75ppmのマンガン、10〜100ppmのチタン及び25〜150ppmのリンを含む触媒系の残基並びに1.0〜10.0ppmのアントラキノンの赤化合物及び1.0〜10.0ppmの置換された1,4−ビス(2,6−ジアリルアニリノ)アントラキノンの青化合物を含む有機トナー系の残基から本質的になる(ここで触媒系及び有機トナー系の残基の量はコポリエステルの重量基準である)
−1.0以上4.5未満のb* 色値を有する反応器グレードコポリエステル組成物。
態様23.b* 色値が−1.0〜3.5である態様22に記載のコポリエステル組成物。
態様24.触媒系が15〜50ppmのチタン、20〜60ppmのマンガン及び25〜150ppmのリンから本質的になり、そして有機トナー系が1.0〜5.0ppmのアントラキノンの赤化合物及び1.0〜5.0ppmの置換された1,4−ビス(2,6−ジアリルアニリノ)アントラキノンの青化合物から本質的になる態様22に記載のコポリエステル組成物。
態様25.ジオール成分が2〜13モル%のジエチレングリコールの残基から本質的になる態様22に記載のコポリエステル組成物。
態様26.ジオール成分が7.5〜13モル%のジエチレングリコールの残基から本質的になる態様25に記載のコポリエステル組成物。
態様27.ジオール成分が10〜15モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基から本質的になる態様25に記載のコポリエステル組成物。
態様28.ジオール成分が16〜26モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基及び式:
DEG%(最適)=63−4.26×(CHDM%)+0.0822×CHDM2 の+/−2.5モル%内のジエチレングリコールの残基から本質的になる態様25に記載のコポリエステル組成物。
態様29.ジオール成分が7.5〜13モル%のジエチレングリコールの残基から本質的になる態様28に記載のコポリエステル組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸成分100モル%基準及びジオール成分100モル%基準で、少なくとも90モル%のテレフタル酸の残基を含む二酸成分並びに59〜77.5モル%のエチレングリコール、16〜26モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)及び7.5〜13モル%のジエチレングリコール(DEG)の残基を含むジオール成分を含んでなる反応器グレードコポリエステル。
【請求項2】
ジオール成分が式:
DEG%(最適)=63−4.26×(CHDM%)+0.0822×CHDM2 の+/−2.5モル%内でジエチレングリコールの残基を含む請求項1に記載のコポリエステル。
【請求項3】
2ミル(50ミクロン)厚のフィルムについて、ASTM D882に従って測定した非延伸方向での破断点伸びが少なくとも300%である請求項1に記載のコポリエステル。
【請求項4】
破断点伸びが少なくとも400%である請求項3に記載のコポリエステル。
【請求項5】
請求項1に記載のコポリエステルを含んでなる熱収縮性フィルム。
【請求項6】
請求項2に記載のコポリエステルを含んでなる熱収縮性フィルム。
【請求項7】
請求項1に記載のコポリエステルをカレンダー加工することによって製造されたフィルム。
【請求項8】
二酸成分100モル%基準及びジオール成分100モル%基準で、少なくとも90モル%のテレフタル酸の残基を含む二酸成分並びに59〜77.5モル%のエチレングリコール、16〜26モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び7.5〜13モル%のジエチレングリコールの残基を含むジオール成分を含んでなる反応器グレードコポリエステルを含んでなる熱収縮性フィルム。
【請求項9】
2ミル(50ミクロン)厚のフィルムについて、ASTM D882に従って測定した非延伸方向での破断点伸びが少なくとも300%である請求項8に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項10】
破断点伸びが少なくとも400%である請求項9に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項11】
ジオール成分が式:
DEG%(最適)=63−4.26×(CHDM%)+0.0822×CHDM2 の+/−2.5モル%内でジエチレングリコールの残基を含む請求項8に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項12】
−1.0以上4.5未満のb* 色値を有する請求項8に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項13】
* 色値が−1.0〜3.5である請求項12に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項14】
反応器グレードコポリエステルが、更に、0〜75ppmのマンガン、10〜100ppmのチタン及び25〜150ppmのリンを含む触媒系の残基並びに1.0〜10.0ppmのアントラキノンの赤化合物及び1.0〜10.0ppmの置換された1,4−ビス(2,6−ジアリルアニリノ)アントラキノンの青化合物を含む有機トナー系の残基を含んでなる(ここで触媒系及び有機トナー系の残基の量はコポリエステルの重量基準である)請求項12に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項15】
触媒系が15〜50ppmのチタン、20〜60ppmのマンガン及び25〜150ppmのリンを含み、有機トナー系が1.0〜5.0ppmのアントラキノンの赤化合物及び1.0〜5.0ppmの置換された1,4−ビス(2,6−ジアリルアニリノ)アントラキノンの青化合物を含む請求項14に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項16】
少なくとも90モル%のテレフタル酸の残基を含む二酸成分並びに61〜82モル%のエチレングリコール、16〜26モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び式:
DEG%(最適)=63−4.26×(CHDM%)+0.0822×CHDM2 の+/−2.5モル%内で2〜13モル%のジエチレングリコールの残基を含むジオール成分を含んでなる、反応器グレードコポリエステルを含んでなる熱収縮性フィルム。
【請求項17】
二酸成分が少なくとも95モル%のテレフタル酸の残基を含む請求項16に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項18】
二酸成分が100モル%のテレフタル酸の残基を含む請求項17に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項19】
ジオール成分が7,5〜13モル%のジエチレングリコールの残基を含む請求項16に記載の熱収縮性フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−211346(P2012−211346A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−178189(P2012−178189)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【分割の表示】特願2001−517588(P2001−517588)の分割
【原出願日】平成12年8月15日(2000.8.15)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】