説明

収録通信端末制御方法

【課題】収録前の複雑な設定操作をユーザに強いることなく楽器演奏採点サービスを利用させ得るような仕組みを提供すること。
【解決手段】楽器演奏採点サービスの採点対象となる各課題曲の演奏音の収録手順を記述した動作制御ファイルを収録通信端末にダウンロードさせ、動作制御情報ファイルに従って端末を動作させることにより、演奏音の収録からそのオーディオデータのアップロードまでをオートマティックに行わせるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏音の収録機能と通信機能とを備える端末の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、各種アプリケーションを用いて再生される音楽コンテンツや画像コンテンツなどを自身のメモリから読み出してサーバなどへ送信する通信機能を備えた端末装置の開示がある。
【特許文献1】特開2005−157950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ネットワークを介した楽器演奏採点サービスを行う事業者の多くは、特許文献1に記載された類の通信機能と各種楽器の演奏音を収録する機能とを兼備した小型の端末装置をサービスの利用主体たる各ユーザに配布し、その端末装置を通じてサービスの提供を行っている。端末装置の配布を受けたユーザは、各種楽器を用いて所定の課題曲を演奏し、その演奏を端末装置に収録させて得たオーディオデータを事業者の運営するサーバ装置に送信させることにより、自身の演奏の巧拙の客観的な評価を受けることができる。
しかしながら、これまでこの種の採点サービスに用いられてきた端末装置は、良好な収録特性を得るための端末の設定をユーザに強いる構成となっていた。よって、収録前の煩わしい操作を好まないユーザには不向きなものであった。
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、収録前の複雑な設定操作をユーザに強いることなく、極めて簡易な操作によって楽器演奏採点サービスを利用させ得るような仕組みを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の好適な態様である収録通信端末制御方法は、演奏音を収録する収録部と情報の送受信を行う通信部とを少なくとも備えた収録通信端末に演奏音のオーディオデータを取得させてその評価サービスを行う装置へアップロードさせる収録通信端末制御方法であって、第1のサーバ装置が、評価対象となる演奏音を収録してそのオーディオデータを得るための収録通信端末の動作手順と評価サービスを行う第2のサーバ装置のアドレスとを表す端末動作制御情報を自装置の記憶手段から読み出して収録通信端末へ送信するダウンロード工程と、通信部を介して端末動作制御情報を受信した収録通信端末の制御部が、その端末動作制御情報が表す動作手順に従って収録部を制御することで当該収録部に収録させた演奏音のオーディオデータを取得し、取得したオーディオデータを当該端末動作制御情報が表すアドレス宛てに通信部を介して送信するアップロード工程とを有する。
【0005】
この態様において、前記ダウンロード工程は、パーソナルコンピュータが第1のサーバ装置にアクセスし、端末動作制御情報の格納位置を示す当該第1のサーバ装置の記憶手段内のアドレスを受信する工程と、第1のサーバ装置からアドレスを受信したパーソナルコンピュータが、そのアドレスを収録通信端末へ送信する工程と、パーソナルコンピュータからアドレスを受信した端末装置が、そのアドレスを含むリクエストを通信部を介してネットワークへ発信する工程とを有する。
【0006】
また、前記端末動作制御情報は、演奏音を収録する際における前記収録部の収録特性の設定手順を表すものであり、前記アップロード工程は、端末動作制御情報を受信した収録通信端末の制御部が、その端末動作制御情報に従って収録部の収録特性を設定した後、その収録部に収録させた演奏音のオーディオデータを取得する工程を有してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、収録前の複雑な設定操作をユーザに強いることなく、極めて簡易な操作によって楽器演奏採点サービスを利用させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(発明の実施の形態)
本願発明の実施形態について説明する。
本実施形態の特徴は、楽器演奏採点サービスの採点対象となる演奏音の収録の手順を記述した制御情報をユーザの端末装置にダウンロードさせ、その制御情報に従って端末装置を動作させることにより、演奏音の収録からそのオーディオデータのアップロードまでをオートマティックに行わせるようにした点である。
【0009】
図1は、本実施形態にかかる採点サービスシステムの全体構成図である。図に示すように、本システムは、収録通信端末10、パーソナルコンピュータ30、設定支援サーバ装置40、及び採点サービス提供サーバ装置50をネットワーク60に接続してなる。
収録通信端末10とパーソナルコンピュータ30は、楽器演奏採点サービスを利用するユーザに一対ずつ使用される。図には、収録通信端末10とパーソナルコンピュータ30が一対しか記載されていないが、この対はユーザと同じ数だけ存在する。採点サービス提供サーバ装置50は、楽器演奏採点サービスを提供する事業者(以下、「採点サービス提供者」と呼ぶ)の管理の下に稼動されるサーバ装置である。設定支援サーバ装置40は、採点サービス提供者と提携関係にあってその支援業務を行う事業者(以下、「支援事業者」と呼ぶ)の管理の下に稼動されるサーバ装置である。本実施形態においては、楽器演奏採点サービスの利用を希望する者がその利用申込を行うと、採点サービス提供者によって固有のユーザIDが発行され、収録通信端末10が配送されるようになっている。ユーザIDの発行及び収録通信端末10の配送を受けたユーザは、その収録通信端末10に自らのパーソナルコンピュータ30や各種楽器を接続して起動させることによりサービスの提供を受けることになっている。
【0010】
収録通信端末10は、CPU11、RAM12、ROM13、ネットワークインターフェース14、フラッシュメモリ15、USB(Universal Serial Bus)インターフェース16の他、「受信」、「送信」、「収録」、「停止」、及び「再生」の5種類のボタンを備えた操作子17、5インチ程度の狭小な表示領域を有するコンピュータディスプレイ18、スピーカを接続してオーディオ信号を出力するためのスピーカインターフェース19、各種楽器を接続してステレオ2チャンネルのオーディオ信号を入力するためのオーディオインターフェース20などを備える。そして、この端末10のフラッシュメモリ15は、放音制御プログラム15aと収録制御プログラム15bとを記憶する。
【0011】
放音制御プログラム15aは、オーディオデータにその符号化規格に準拠したデコード処理を施すことでオーディオ信号を復元し、復元したオーディオ信号の利得を所定の増幅率で増幅した上でスピーカインターフェース19から出力させるプログラムである。RAM12をワークエリアとしてこの放音制御プログラム15aを実行するCPU11は、オーディオデータをデコードして得たオーディオ信号を出力する放音制御部として機能する。CPU11を放音制御部として機能させる際のオーディオ信号の増幅率は、外部装置から供給されるパラメータによって任意に設定可能である。以降の説明においては、CPU11を放音制御部として機能させる際の増幅率の設定を適宜「放音設定」と呼ぶ。
【0012】
収録制御プログラム15bは、オーディオインターフェース20を介して入力されてくる2チャンネルのオーディオ信号に各種エフェクトを付与するための信号処理を施してから所定の混合比率でミキシングし、更に所定の符号化規格に準拠したエンコード処理を施すプログラムである。なお、本実施形態においてはオーディオインターフェース20から入力されてくるオーディオ信号が2チャンネルであるが、マルチチャンネルのオーディオ信号が入力されるようにしてもよい。RAM12をワークエリアとしてこの収録制御プログラム15bを実行するCPU11は、オーディオ信号にエンコード処理を施してオーディオデータを取得する収録制御部として機能する。CPU11を収録制御部として機能させる際における、エフェクトの種別、混合比率、及びエンコードの符号化規格は、外部装置から供給されるパラメータによって任意に設定可能である。以降の説明においては、このプログラムに従ってオーディオ信号からオーディオデータを取得する際における、エフェクト種別、ミキシング比率、及び符号化規格の設定を適宜「収録設定」と呼ぶ。
【0013】
パーソナルコンピュータ30は、CPU31、RAM32、ROM33、ネットワークインターフェース34、ハードディスク35、キーボード36、マウス37、USBインターフェース38などを備えた周知の構成を成すものであり、ここでは各部の詳細な説明を割愛する。
【0014】
設定支援サーバ装置40は、CPU41、RAM42、ROM43、ネットワークインターフェース44、ハードディスク45などを備える。ハードディスク45は、初期設定動作制御ファイル45a、ファイルリストデータベース45b、及びリスト雛形画面データ45cを記憶する。図に示す初期設定動作制御ファイル45aは、楽器演奏採点サービスの課題曲と同じ数だけ個別に準備されている。
図2(a)に示すように、初期設定動作制御ファイル45aは、コンテンツID、伴奏曲オーディオデータ、放音設定パラメータ、収録設定動作制御ファイルURL(Uniform Resource Locator)、ユーザインターフェース(以下、「UI」と記す)画像データを含んでいる。コンテンツIDは、自ファイルと対応する課題曲を識別する識別子である。伴奏曲オーディオデータは、課題曲の演奏音を収録する際にBGMとして流す伴奏曲のオーディオデータである。放音設定パラメータは、収録通信端末10の放音設定の内容を定義したパラメータである。収録設定動作制御ファイルURLは、採点サービス提供サーバ装置50のハードディスク55内における格納位置のアドレスを指し示す固有の文字列である。このURLが指し示す格納位置には、後に詳述する収録設定動作制御ファイル55aが格納されている。UI画像データは、収録通信端末10の初期設定時においてそのコンピュータディスプレイ18に順次表示させる画面の表示内容を夫々表したデータである。
【0015】
図1において、ファイルリストデータベース45bは、各々が、各課題曲と対応する複数のレコードの集合体である。このデータベース45bを形成する1つのレコードは、「曲名」と「格納位置」の2つのフィールドを有する。「曲名」のフィールドには、曲名データが記憶される。曲名データは、各課題曲の名称を示す文字列である。「格納位置」のフィールドには、各課題曲の初期設定動作制御ファイルURLが記憶される。
リスト雛形画面データ45cは、曲名データと初期設定動作制御ファイルURLの各対を埋め込むことで課題曲選択リスト画面が形成され得るような画面レイアウトを記述したHTML(Hyper Text Markup Language )データである。
【0016】
採点サービス提供サーバ装置50は、CPU51、RAM52、ROM53、ネットワークインターフェース54、ハードディスク55などを備える。ハードディスク55は、収録設定動作制御ファイル55aとお手本データベース55bとを記憶する。図に示す収録設定動作制御ファイル55aは、楽器演奏採点サービスの課題曲と同じ数だけ個別に準備されており、その各々は設定支援サーバ装置40のハードディスク45に記憶された各初期設定動作制御ファイル45aと対を成している。
図2(b)に示すように、収録設定動作制御ファイル55aは、コンテンツID、収録設定パラメータ、アップロード先URL、及びUI画像データを含んでいる。コンテンツIDは、自ファイルと対応する課題曲を識別する識別子である。収録設定パラメータは、収録通信端末10の収録設定の内容を定義したパラメータである。アップロード先URLは、ユーザの楽器から収録した演奏音のオーディオデータのアップロード先となるアドレスを指し示す固有の文字列である。このURLが指し示すハードディスク55内の格納位置には、演奏音の巧拙を評価する演奏評価アプリケーションが記憶されている。UI画像データは、収録通信端末10の収録設定時においてそのコンピュータディスプレイ18に順次表示させる画面の表示内容を夫々表したデータである。
【0017】
図1において、お手本データベース55bは、各々が、一つの課題曲と対応する複数のレコードの集合体である。このデータベースを構成する1つのレコードは、「コンテンツ」と「お手本」の2つのフィールドを有している。「コンテンツ」のフィールドには、各課題曲のコンテンツIDが記憶される。「お手本」のフィールドには、お手本オーディオデータが記憶される。お手本オーディオデータは、課題曲の模範として採点サービス提供者が収録した演奏音のオーディオデータである。
【0018】
次に、本実施形態の動作を説明する。
図3は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
図に示す動作は、ユーザが、楽器演奏採点サービスを利用するための所定の準備作業を行なった後、リスト雛形画像データ45cの格納位置を示すURLを含んだHTTPリクエストを自身のパーソナルコンピュータ30からネットワーク60へ発信すると開始される(S100)。なお、ここにいう準備作業は、収録通信端末10とパーソナルコンピュータ30のUSBインターフェース同士をUSBケーブルを介して接続する作業と、スピーカをスピーカインターフェース19に、楽器をオーディオインターフェース20に夫々接続する作業を意味する。
【0019】
パーソナルコンピュータ30から発信されたHTTPリクエストは、TCP/IT(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に従ってネットワーク60上のノードを経由し、その宛先である設定支援サーバ装置40へ伝送される。
HTTPリクエストを受信した設定支援サーバ装置40のCPU41は、そのリクエストに含まれるURLが指し示すハードディスク45内の格納位置からリスト雛形画像データ45cを読み出す(S110)。
続いて、CPU41は、ファイルリストデータベース45bの各レコードから読み出した曲名データと初期設定動作制御ファイルURLの各対をステップ110で読み出したリスト雛形画像データ45cに埋め込むことによって課題曲選択リスト画面の表示データを生成し、生成した表示データをパーソナルコンピュータ30宛てに返信する(S120)。
【0020】
表示データを受信したパーソナルコンピュータ30のCPU31は、課題曲選択リスト画面をコンピュータディスプレイ18に表示させる(S130)。
課題曲選択リスト画面の上段には、「課題曲を選択してください。」という内容の文字列が表示される。その下には、設定支援サーバ装置40のCPU41に埋め込まれた曲名データとURLの各対が表示される。
【0021】
画面を参照したユーザは、今回の教材として利用する課題曲の初期設定動作制御ファイルURLにマウスポインタを移動させてそれを選択する。
初期設定動作制御ファイルURLが選択されると、パーソナルコンピュータ30のCPU31は、そのURLを含むHTTPリクエストをネットワーク60へ発信する(S140)。
【0022】
HTTPリクエストを受信した設定支援サーバ装置40のCPU41は、そのリクエストに含まれるURLが指し示すハードディスク45内の格納位置から初期設定動作制御ファイル45aを読み出してパーソナルコンピュータ30宛てに返信する(S150)。
初期設定動作制御ファイル45aを受信したパーソナルコンピュータ30のCPU31は、そのファイルをUSBインターフェース38を介して収録通信端末10へ送信する(S160)。
【0023】
初期設定動作制御ファイル45aを受信した収録通信端末10のCPU11は、そのファイルに含まれる、コンテンツID、伴奏曲オーディオデータ、放音設定パラメータ、収録設定動作制御ファイルURL、UI画像データをRAM12に記憶する(S170)。
続いて、CPU11は、フラッシュメモリ15に記憶された放音制御プログラム15aを起動させた後、ステップ170でRAM12に記憶した放音設定パラメータを用いてその増幅率を設定する(S180)。このステップの実行後、CPU11は、パラメータが指定する放音設定の下に放音制御部として機能できるようになる。
【0024】
CPU11は、ステップ170でRAM12に記憶したUI画像データを基にレイアウトした初期設定完了通知画面をコンピュータディスプレイ18に表示させる(S190)。
初期設定完了通知画面には、「初期設定が完了しました。続いて、収録設定を行います。「受信」のボタンを選択してください。」という内容の文字列が表示される。
画面を参照したユーザは、「受信」のボタンを選択する。
「受信」のボタンが選択されると、収録通信端末10のCPU11は、ステップ170でRAM12に記憶した収録設定動作制御ファイルURLを含むHTTPリクエストをネットワーク60へ発信する(S200)。
【0025】
収録通信端末10から発信されたHTTPリクエストは、TCP/IPに従ってネットワーク60上のノードを経由し、その宛先である採点サービス提供サーバ装置50へ伝送される。
HTTPリクエストを受信した採点サービス提供サーバ装置50のCPU51は、そのリクエストに含まれるURLが指し示すハードディスク55内の格納位置から収録設定動作制御ファイル55aを読み出して収録通信端末10宛てに返信する(S210)。
【0026】
初期設定動作制御ファイル45aを受信した収録通信端末10のCPU11は、そのファイルに含まれる、コンテンツID、収録設定パラメータ、アップロード先URL、UI画像データをRAM12に記憶する(S220)。
CPU11は、フラッシュメモリ15に記憶された収録制御プログラム15bを起動させた後、ステップ220でRAM12に記憶した収録設定パラメータを用いてそのエフェクト種別、ミキシング比率、及び符号化規格を設定する(S230)。このステップの実行後、CPU11は、パラメータが指定する収録設定の下に収録制御部として機能できるようになる。
【0027】
CPU11は、ステップ170でRAM12に記憶したUI画像データを基にレイアウトした収録設定完了通知画面をコンピュータディスプレイ18に表示させる(S240)。
収録設定完了通知画面には、「収録設定が完了しました。「収録」のボタンを押して、課題曲の演奏を開始してください。演奏が終了したら「終了」を押して下さい。」という内容の文字列が表示される。
画面を参照したユーザは、収録通信端末10に接続しておいた楽器の演奏を準備した後、「収録」のボタンを選択する。
「収録」のボタンが選択されると、CPU11は、伴奏曲オーディオデータにデコード処理を施して得たオーディオ信号をスピーカへ出力すると共に、楽器から入力されるオーディオ信号にエンコード処理を施してオーディオデータを取得する(S250)。具体的には、伴奏音オーディオデータをデコードして得たオーディオ信号を放音設定パラメータが示す比率でミキシングしてからスピーカへ出力する処理を行う一方、楽器から入力される左右2チャンネルのオーディオ信号に対して収録設定パラメータが示すエフェクトを付与するための信号処理を施した後、両チャンネルのオーディオ信号を同パラメータが示すミキシング比率でミキシングし、更にそのパラメータが示す符号化規格に従ってエンコードする、という一連の処理を行うことで演奏音のオーディオデータ(以下、「演奏音オーディオデータ」と呼ぶ)を取得する。
【0028】
課題曲の演奏を終えたユーザは、「終了」のボタンを選択する。
「終了」のボタンが選択されると、CPU11は、ステップ170でRAM12に記憶したUI画像データを基にレイアウトした再収録問合せ画面をコンピュータディスプレイ18に表示させる(S260)。
再収録問合せ画面には、「収録した演奏音は、「再生」のボタンを押すことによって確認できます。収録をやり直す場合は、「収録」のボタンをもう一度押して下さい。アップロードする場合は「送信」のボタンを選択してください。」という内容の文字列が表示される。
【0029】
画面を参照したユーザは、自身の演奏音を確認したい場合は、「再生」のボタンを選択する。
「再生」のボタンが選択されると、CPU11は、ステップ250にて取得した演奏音オーディオデータにデコード処理を施して得たオーディオ信号をスピーカへ出力する(S270)。
ユーザは、スピーカから放音される自身の演奏音を聴取し、満足できる出来栄えであるか否か判断する。そして、満足できる出来栄えでないと判断した場合は「収録」のボタンを再び選択する一方、満足できる出来栄えであると判断した場合は「送信」のボタンを選択する。
【0030】
「収録」のボタンが選択されると、ステップ250に戻って以降の処理が繰り返される。
「送信」のボタンが選択されると、CPU11は、自身のユーザID、ステップ220でRAM12に記憶したコンテンツID、及び演奏音オーディオデータを含む評価対象ファイルを、ステップ220でRAM12に記憶したアップロード先URLに宛てて発信する(S280)。
収録通信端末10から発信された評価対象ファイルは、TCP/IPに従ってネットワーク60上のノードを経由し、その宛先である採点サービス提供サーバ装置50へ伝送される。
【0031】
評価対象ファイルを受信した採点サービス提供サーバ装置50のCPU51は、そのファイルに含まれる、ユーザID、コンテンツID、演奏音オーディオデータをRAM52に記憶する(S290)。
CPU51は、ステップ290でRAM52に記憶したコンテンツIDを「コンテンツ」のフィールドに記憶したレコードをお手本データベース55bから特定し、そのレコードの「お手本」のフィールドからお手本オーディオデータを読み出す(S300)。
【0032】
CPU51は、ステップ290でRAM52に記憶した演奏音オーディオデータとステップ300で読み出したお手本オーディオデータを比較することによって演奏の巧拙を評価し、その評価結果を取得する(S310)。
CPU51は、ステップ310で取得した評価結果とユーザIDとを所定の雛形に埋め込むことによって評価結果提示画面の表示データを取得し、その表示データを収録通信端末10宛てに返信する(S320)。
表示データを受信した収録通信端末10のCPU11は、評価結果提示画面をコンピュータディスプレイ18に表示させる(S330)。
評価結果提示画面を参照したユーザは、自らがアップロードした演奏音オーディオデータについて下された評価の内容を了解する。
【0033】
以上説明した本実施形態では、楽器演奏採点サービスの採点対象となる演奏音を収録する前に、初期設定動作制御ファイル45aと収録設定動作制御ファイル55aとを収録通信端末10にダウンロードさせ、それら両ファイルに定義された手順で収録通信端末10を動作させることにより、増幅率、エフェクトの種別、ミキシング比率、符号化規格などの各種設定を行わせるようになっている。よって、端末の放音特性や収録特性についての複雑な設定操作をユーザに強いることなく楽器演奏採点サービスを利用させることができる。
【0034】
(他の実施形態)
本実施形態は、種々の変形実施が可能である。
上記実施形態においては、収録設定完了通知画面を参照したユーザが楽器の収録を開始した後、「終了」のボタンが選択されたことをトリガーとして、次の画面である再収録問合せ画面が表示されるようになっていた。これに対し、画面の遷移条件を伴奏曲オーディオデータの再生終了と連動させることにより、「終了」のボタンの選択を不要としてもよい。
上記実施形態においては、採点サービス提供サーバ装置50が収録通信端末10からアップロードされた演奏音オーディオデータとお手本オーディオデータとを比較することによって得た評価結果は、評価結果提示画面の表示データとして収録通信端末10へ送信されるようになっていた。これに対し、この評価結果提示画面の表示データがユーザのパーソナルコンピュータ30宛てに送信されるようにしてもよい。かかる変形例は、収録通信端末10から採点サービス提供サーバ装置50へ送信する評価対象ファイルにパーソナルコンピュータ30のアドレスを示すデータを内包させておくことで実現される。
上記実施形態では、設定支援サーバ装置40からダウンロードされる初期設定動作制御ファイル45aによって収録通信端末10の放音設定を行った後、採点サービス提供サーバ装置50からダウンロードされる収録設定動作制御ファイル55aによって同端末10の収録設定を行うようになっていた。これに対し、サーバ装置から提供される1つの設定動作制御ファイルによって放音設定と収録設定の両者を行わせるようにしてもよい。また、収録通信端末10の放音設定は同端末10に標準装備されたものを用いることとし、サーバ装置から提供される設定動作制御ファイルによって収録設定のみを行わせるようにしてもよい。
上記実施形態では、ネットワーク60の各ノード間におけるデータの転送をTCP/IPに準拠して行う構成としたが、これは、ディファクトスタンダード化しているプロトコルを採用したに過ぎず、他のプロトコルに準拠した手順でデータ授受を行なう構成としてもよい。また、パーソナルコンピュータ30と収録通信端末10を互いのUSBインターフェースを通じて接続するのではなく、他の規格に従ったインターフェースを通じて接続するようにしてもよい。
上記実施形態では、ユーザが演奏音を収録した後に「再生」のボタンを選択すると、収録した演奏音のみがスピーカから放音されるようになっていた。これに対し、収録した演奏音と共にその伴奏音を放音させるようにしてもよい。この変形例は、伴奏音オーディオデータから得たオーディオ信号と収録した演奏音のオーディオ信号を夫々記憶する2つのトラックを収録通信端末10に設けることで実現可能となる。
また、ユーザが演奏音の収録を行う前にお手本の演奏音を聴取できるようにしてもよい。この変形例は、機能を異にする2つの種類の「再生」のボタンを設けることにより実現可能である。1つは上記実施形態に示したように自らが収録した演奏音の再生を指示するためのボタンであり、もう1つはお手本の演奏音の再生を指示するためのボタンである。
この変形例においては、お手本の演奏音の再生を指示するボタンが選択されると、お手本オーディオデータの提供を求めるリクエストが収録通信端末10から採点サービス提供サーバ装置50に宛てて発信される。そして、リクエストに応じて採点サービス提供サーバ装置50からお手本オーディオデータが返信されてくると、そのお手本オーディオデータをデコードして得た演奏音を伴奏音と共に放音する。この変形例によると、ユーザは、自身の演奏音の収録を行う前にお手本の演奏音を聴取できるので、より良い評価結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】採点サービスシステムの全体構成図である。
【図2】動作制御ファイルのデータ構造図である。
【図3】実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図4】実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
10…収録通信端末、11,31,41,51…CPU、12,32,42,52…RAM、13,33,43,53…ROM、14,34,44,54…ネットワークインターフェース、15…フラッシュメモリ、16,38…USBインターフェース、17…操作子、18…コンピュータディスプレイ、19…スピーカインターフェース、20…オーディオインターフェース、30…パーソナルコンピュータ、35,45,55…ハードディスク、36…キーボード、37…マウス、40…設定支援サーバ装置、50…採点サービス提供サーバ装置、60…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏音を収録する収録部と情報の送受信を行う通信部とを少なくとも備えた収録通信端末に演奏音のオーディオデータを取得させてその評価サービスを行う装置へアップロードさせる収録通信端末制御方法であって、
第1のサーバ装置が、評価対象となる演奏音を収録してそのオーディオデータを得るための収録通信端末の動作手順と評価サービスを行う第2のサーバ装置のアドレスとを表す端末動作制御情報を自装置の記憶手段から読み出して収録通信端末へ送信するダウンロード工程と、
通信部を介して端末動作制御情報を受信した収録通信端末の制御部が、その端末動作制御情報が表す動作手順に従って収録部を制御することで当該収録部に収録させた演奏音のオーディオデータを取得し、取得したオーディオデータを当該端末動作制御情報が表すアドレス宛てに通信部を介して送信するアップロード工程と
を有する収録通信端末制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の収録通信端末制御方法において、
前記ダウンロード工程は、
パーソナルコンピュータが第1のサーバ装置にアクセスし、端末動作制御情報の格納位置を示す当該第1のサーバ装置の記憶手段内のアドレスを受信する工程と、
第1のサーバ装置からアドレスを受信したパーソナルコンピュータが、そのアドレスを収録通信端末へ送信する工程と、
パーソナルコンピュータからアドレスを受信した端末装置が、そのアドレスを含むリクエストを通信部を介してネットワークへ発信する工程と
を有する収録通信端末制御方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の収録通信端末制御方法であって、
前記端末動作制御情報は、
演奏音を収録する際における前記収録部の収録特性の設定手順を表すものであり、
前記アップロード工程は、
端末動作制御情報を受信した収録通信端末の制御部が、その端末動作制御情報に従って収録部の収録特性を設定した後、その収録部に収録させた演奏音のオーディオデータを取得する工程を有する
収録通信端末制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−171252(P2007−171252A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364663(P2005−364663)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】