説明

取り外し可能マイクロ流体フローセル

反応を実行するために取り外し可能部材と取り外し可能な形で接続するマイクロ流体フローセル。マイクロ流体フローセルデバイスは、接続される位置にある場合に取り外し可能部材とともに反応チャンバを形成する少なくとも1つの反応部分を含む。マイクロ流体フローセルは、中に流体を受け入れ、反応チャンバと流体連通する少なくとも1つの流体受け入れ部分を含む。マイクロ流体フローセルおよび取り外し可能部材が接続される位置にあるときに、セルは、流体受け入れ部分内の流体を反応チャンバに流すように適合される。このマイクロ流体フローセルを含むデバイス、システム、および方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、マイクロ流体力学の分野に関する。より具体的には、本発明は、流体を推進することを可能にする取り外し可能マイクロ流体フローセルに関する。
【背景技術】
【0002】
流体を推進するマイクロ流体デバイスは、当業では既知である。これらのデバイスは、一般に、試薬などの流体を特定の反応領域または反応チャンバへ推進するための回路またはフローネットワークを備える。このようなマイクロ流体デバイスが比較的複雑であることを考えると、標準検出技術を使用できないため、前述の反応の検出は通常は厄介な作業である。
【0003】
マイクロアレイは、一方のパートナーが溶液中にあり、他方が表面に付着している二分子相互作用を伴う(非特許文献1、非特許文献2)。正の相互作用が生じるためには、溶液相パートナーと表面相パートナーとの間に遭遇がなければならない。このような遭遇は、拡散、静電気引力、磁気的閉じ込め、および強制流または指向流などの複数の現象により推進することが可能であろう。ほとんどの従来のマイクロアレイにおいては、拡散が主要な推進力となっている。しかし、これは、3時間から16時間ほどの時間を要する低速プロセスである(非特許文献3)。静電気引力を使用するシステムでは、電極上に形成されたアレイにおいてハイブリダイゼーション(hybridization)が高速化されることが実証された(特許文献1)。しかし、これらのシステムでは、低イオン強度溶液が使用されなければならない。Wangらは、マイクロ流体回路と組み合わせた専用設計のアレイを使用して、検体をマイクロアレイ表面に流すことにより動的DNAハイブリダイゼーションを実現できることを実証した(非特許文献4)。
【0004】
過去10年の間に、DNAマイクロアレイは、ゲノムおよびプロテオーム研究の強力なツールとなった。マイクロアレイにより、数千個にのぼる核酸プローブを非常に小さな固相担体(ミリメートルスケール)、一般的にはスライドガラス上にスポットすることができる(非特許文献5、非特許文献6、非特許文献3、非特許文献7)。
【0005】
シグナル変換を使用して生体分子の高速同定を行うようにマイクロアレイ技術を適用する研究が最近行われたが、これによると、生体分子は固相担体上に結合されている特定のプローブに結合する(非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13)。このような高速同定は、診断および法医学的な目的、食品および水質検査、さらには、病原体の高速な検出および同定を行う上で重要である。Affymetrix社のGenechip(商標)または特注のスライドガラス技術などの古典的なDNAマイクロアレイは、核酸検出に18時間ものハイブリダイゼーション時間を要する。そのため、これらの方法は、高速の分子的試験には不向きである。
【0006】
ハイブリダイゼーション反応を高速化するために、能動的なハイブリダイゼーションシステムを実現するか、または受動的なシステムにおけるハイブリダイゼーションの動的特性(dynamics)を高めるいくつかのアプローチが展開された。電極表面に固定化された捕捉プローブ上に核酸検体を引き付けるために電場が使用された(特許文献2、特許文献3、非特許文献14、非特許文献15)。このようなシステムでは、高速の(数分程度の)DNAハイブリダイゼーションが可能であるが、高価なハイブリダイゼーション機器および読取装置(reader device)を必要とする。
【0007】
標的物がプローブの上を流れる貫流システムでは、検体とプローブとの間の相互作用の可能性が高められる。Wangらは、マイクロアレイに関連するマイクロ流体回路の使用を開示し、より小さなハイブリダイゼーションチャンバを貫流ハイブリダイゼーションと併用することにより、ハイブリダイゼーション速度が向上することを実証した(非特許文献4)。
【0008】
マイクロ流体力学は、様々な用途に対し適用される微視的管状材内でごく少量を移動することを可能にする新興の技術である。チャネルおよびチャンバは、PDMS(ポリジメチルシロキサン)などのシリコン、硬質プラスチック、または軟質エラストマーの基体部にマイクロ加工される(非特許文献16、非特許文献17)。流体推進及び制御弁は、回路の様々なセグメント内への液体の順次的な流動を可能にするように設計されている。ハイブリッド形成のための、様々なマイクロ流体技術を使用する多くのマイクロ流体システムがセットアップされている(非特許文献4、非特許文献18、非特許文献19)。しかし、これらの技術は、複雑であり、試作品製作に費用がかかり、またバイオプローブのアレイ化およびハイブリダイゼーション信号の検出用に特注のシステムを必要とする。Noerholmらは、可塑性重合体に彫り込んだマイクロ流体回路を開発した(非特許文献20)。マイクロアレイは、彫り込まれたハイブリダイゼーションチャンバのプラスチック表面上に直接スポットされた。したがって、このシステムは特殊なマイクロアレイ支持体を必要とし、したがって、市販のアレイスキャナ上で読み取ることができない。SputeとAdey(特許文献4)は、ハイブリダイゼーション用の三次元流体構造について記載しているが、このシステムは、複数の層のマイクロ流体構造を必要とする。
【0009】
マイクロアレイは、微生物(例えば、細菌、ウイルス、寄生虫、および菌類)、ヒト、動物、および植物の遺伝分析を含む、ゲノミクスのすべての分野において潜在用途がある、核酸の高速多重検出のための有望技術を構成する。現在のところ、マイクロアレイ上のハイブリダイゼーションプロトコルは低速であり、熟練者が実行する必要があり、したがって、ポイントオブケア(point of care)検査などの高速診断用途には適しない。マイクロ流体技術とマイクロアレイ技術を組み合わせることにより、マイクロアレイのハイブリダイゼーションおよび検出を自動化し、スピードアップする鮮やかな解決策が実現する。このような関連については、すでに説明されているが、複雑で費用のかかるマイクロ流体プラットフォームを必要とする。
【0010】
したがって、改善されたマイクロ流体フローセル、改善されたマイクロ流体デバイス、改善されたマイクロ流体法、および改善されたマイクロ流体システムを実現する必要がある。
【0011】
したがって、マイクロアレイ分析を実行する高速で、効率がよく、信頼性が高く、低コストの方法が必要である。
【0012】
本発明は、これらの要件および他の要件を満たすことを意図している。
【特許文献1】米国特許第6,099,803号明細書
【特許文献2】米国特許第6,245,508号明細書
【特許文献3】米国特許第6,258,606号明細書
【特許文献4】国際公開第03/05248号パンフレット
【非特許文献1】Howbrookら、2003 Drug Discovery Today、8:642〜651頁
【非特許文献2】KusnezowおよびHoheisel、2003年、J.Mol.Recogni.16:165〜176頁
【非特許文献3】Maughanら、2001年、J.Pathol.、195:3〜6頁
【非特許文献4】Wangら、2003年、Anal.Chem.、75:1130〜1140頁
【非特許文献5】Bryantら、2004年、Lancet Infect.Dis.、4:100〜111頁
【非特許文献6】Heller、2002年、Annu.Rev.Biomed.Eng.、4:129〜153頁
【非特許文献7】Pirrung、2002年、Angew.Chem.Int.Ed.、41:1276〜1289頁
【非特許文献8】Mikhailovichら、2001年、J.Clin.Microbiol.、39:2531〜2540頁
【非特許文献9】Chizhikovら、2001年、Appl.Environ.Microbiol.、67:3258〜3263頁
【非特許文献10】Chizhikovら、2002年、J.Clin.Microbiol.、40:2398〜2407頁
【非特許文献11】Wangら、2002年、FEMS Microbiol.Lett.、213:175〜82頁
【非特許文献12】Loy ら、2002年、Appl.Environ.Microbiol.、68:5064〜5081頁
【非特許文献13】Wilsonら、2002年、Mol.Cell.Probes、16:119〜127頁
【非特許文献14】Weidenhammerら、2002年、Clin.Chem.、48:1873〜1882頁
【非特許文献15】Westinら、2001年、J.Clin.Microbiol.、39:1097〜1104頁
【非特許文献16】Bousseら、2000年、Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct.、29:155〜181頁
【非特許文献17】Andersonら、2000年、Anal.Chem.、72:3158〜3164頁
【非特許文献18】Lenigkら、2002年、Anal.Biochem.、311:40〜49頁
【非特許文献19】Fanら、1999年、Anal.Chem.71:4851〜4859頁
【非特許文献20】Noerholmら、2004年、LabChip 4:28〜37頁
【非特許文献21】Canapuら、2000年、J.Microelectromech.Syst.、9:181〜189頁)
【非特許文献22】Ungerら、2000年、Science、288:113頁
【非特許文献23】Liuら、2002、J.MEMS、11:45〜53頁
【非特許文献24】Madouら、2001年、Sensor Actuat.A、91:301〜306頁
【非特許文献25】Duffyら、1998年、Anal.Chem.、70:4974〜4984頁
【非特許文献26】Bavykinら、2001年、Appl.Environ.Microbiol.、67:922〜928頁
【非特許文献27】Bekalら、2003年、J.Clin.Microbiol.、41:2113〜2125頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、改善されたマイクロ流体フローセル、改善されたマイクロ流体デバイス、改善されたマイクロ流体法、および改善されたマイクロ流体システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
より具体的には、本発明の一態様によれば、取り外し可能部材と取り外し可能な形で接続しそれらの間で反応を行わせるためのマイクロ流体フローセルが実現され、マイクロ流体フローセルは、マイクロ流体フローセルと取り外し可能部材とが接続される位置にある場合に取り外し可能部材とともに反応チャンバを形成する少なくとも1つの反応部分と、中に流体を受け入れ、反応チャンバと流体連通する少なくとも1つの流体受け入れ部分とを含み、マイクロ流体フローセルと取り外し可能部材とが接続される位置にあるときに、マイクロ流体フローセルは、流体受け入れ部分内の流体が反応チャンバに流れるように適合される。
【0015】
一実施形態では、マイクロ流体流は、さらに、流体受け入れ部分と反応チャンバとの間を流体連通させる導管を備える。
【0016】
一実施形態では、マイクロ流体流は、さらに、複数の別々の流体受け入れ部分を含み、別々の流体受け入れ部分のそれぞれがそれぞれに流体を受け入れ、別々の流体受け入れ部分のそれぞれが共通の反応チャンバと流体連通する。一実施形態では、マイクロ流体フローセルは、さらに、複数の別々の導管を備え、それぞれの別々の導管はそれぞれの流体受け入れ部分と共通の反応チャンバとの間を流体連通させる。一実施形態では、複数の別々の導管は、それらと流体連通させるための弁で会合し、この弁は共通の反応チャンバと流体連通する。一実施形態では、反応チャンバと弁との間の流体連通は、共通のチャネルにより実現される。
【0017】
一実施形態では、反応部分は、反応キャビティを含む。一実施形態では、このキャビティは、凹部と少なくとも1つの溝からなるグループから選択された構造を含む。
【0018】
一実施形態では、流体受け入れ部分は、試薬チャンバを含み、流体は試薬を含む。
【0019】
一実施形態では、流体受け入れ部分は、マイクロ流体フローセル内に形成された流体受け入れチャンバを含む。
【0020】
一実施形態では、流体受け入れ部分は、マイクロ流体フローセルおよび取り外し可能部材が接続された位置にある場合に、取り外し可能部材とともに流体受け入れチャンバを形成する流体受け入れキャビティを含む。
【0021】
一実施形態では、マイクロ流体フローセル内に導管が形成される。他の実施形態では、マイクロ流体フローセルは、さらに、導管キャビティを含み、導管キャビティは、マイクロ流体フローセルおよび取り外し可能部材が接続される位置にある場合に導管を形成する。
【0022】
一実施形態では、前記複数の導管のうちの少なくとも1つは、マイクロ流体フローセル内に形成される。他の実施形態では、複数の導管のうちの少なくとも1つは、マイクロ流体フローセルおよび取り外し可能部材が接続される位置にある場合にマイクロ流体フローセル内の導管により形成される。
【0023】
一実施形態では、マイクロ流体フローセル内に弁が形成される。他の実施形態では、マイクロ流体フローセルは、さらに、弁キャビティを含み、弁キャビティは、マイクロ流体フローセルおよび取り外し可能部材が接続される位置にある場合に弁を形成する。
【0024】
一実施形態では、マイクロ流体フローセル内に共通のチャネルが形成される。他の実施形態では、マイクロ流体フローセルは、さらに、共通のチャネルキャビティを含み、共通のチャネルキャビティは、マイクロ流体フローセルおよび取り外し可能部材が接続される位置にある場合に共通のチャネルを形成する。
【0025】
一実施形態では、マイクロ流体フローセルは、さらに、複数の別々の流体受け入れ部分を含み、複数の流体受け入れ部分のそれぞれの流体受け入れ部分は共通の管路と流体連通し、共通の管路は反応チャンバと連通する。他の実施形態では、別々の流体受け入れ部分は、共通の管路の共通の部分で会合する1対の細長いボアを含む。一実施形態では、共通の部分は、弁を含む。他の実施形態では、マイクロ流体フローセル内に共通の管路が形成される。一実施形態では、マイクロ流体フローセルは、共通の管路キャビティを含み、共通の管路キャビティは、マイクロ流体フローセルおよび取り外し可能部材が接続される位置にある場合に共通の管路を形成する。一実施形態では、マイクロ流体フローセル内に1対の細長いボアが形成される。一実施形態では、細長いボアは、接続される位置にある場合にマイクロ流体フローセルと取り外し可能部材とにより定められる、相補的な細長いボア部分により形成される。一実施形態では、マイクロ流体フローセル内に弁が形成される。他の実施形態では、マイクロ流体フローセルは、さらに、弁キャビティを含み、弁キャビティは、マイクロ流体フローセルおよび取り外し可能部材が接続される位置にある場合に弁を形成する。
【0026】
一実施形態では、マイクロ流体フローセルは、さらに、反応チャンバと流体連通する分注部分を含む。一実施形態では、分注部分は、前記マイクロ流体フローセルの外部環境と流体連通する。一実施形態では、分注部分は、マイクロ流体フローセル内に形成された分注チャネルを含む。他の実施形態では、分注部分は、分注チャネルを含み、マイクロ流体フローセルは、さらに、分注チャネルキャビティを含み、分注チャネルキャビティは、マイクロ流体フローセルおよび取り外し可能部材が接続される位置にある場合に分注チャネルを形成する。
【0027】
一実施形態では、マイクロ流体フローセルは、疎水性物質を含む。他の実施形態では、前記マイクロ流体フローセルは、基材を含む。一実施例では、基材はエラストマー材料である。一実施形態では、エラストマー材料はPDMSを含む。
【0028】
一実施形態では、取り外し可能部材は、反応を実行するための支持体を含む。一実施形態では、この支持体は、疎水性物質である。一実施形態では、支持体は、プローブを結合できるように機能化されている。一実施形態では、この支持体は、ガラスを含む。一実施形態では、支持体は、マイクロアレイを含む。一実施形態では、マイクロアレイは、バイオプローブスポットを含む。一実施形態では、バイオプローブスポットは、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、タンパク質、ペプチド、有機分子、糖類、医薬品、およびそれらの組合せからなるグループから選択される。
【0029】
一実施形態では、マイクロ流体フローセルは、さらに、複数の別々の流体受け入れ部分およびそれらと流体連通する複数のチャネルを含み、チャネルは反応チャンバと連通する。一実施形態では、複数のチャネルにより、マイクロアレイの個別のスポットに接続される。一実施形態では、複数のチャネルにより、マイクロアレイのスポットの個別のグループに接続される。
【0030】
一実施形態では、取り外し可能部材は、包囲空間を含む。一実施形態では、包囲空間は、取り外し可能シールを含む。
【0031】
一実施形態では、マイクロ流体フローセルは、作動すると流体受け入れ部分内の流体が反応チャンバに流れるように適合される。一実施形態では、この作動は、重力、遠心力、毛管力、求心力、ガス圧力、電気浸透、DCおよびAC動電、電気泳動、電気濡れ、磁力、音響力、空圧駆動力、機械式マイクロポンプ力、正および負の変位力、熱的力、電気化学的気泡発生力、およびそれらの組合せからなるグループから選択された力により行われる。
【0032】
一実施形態では、流体は、最初は乾燥形態であり、液化されるように適合される。
【0033】
一実施形態では、マイクロ流体フローセルは、さらに、少なくとも1つの排出口を備え、この排出口は周囲環境および反応チャンバと流体連通する。他の実施形態では、この排出口は、周囲環境および流体受け入れ部分と流体連通する。他の実施形態では、この排出口は、周囲環境および導管と流体連通する。他の実施形態では、この排出口は、周囲環境および弁と流体連通する。他の実施形態では、この排出口は、周囲環境および共通のチャネルと流体連通する。他の実施形態では、この排出口は、周囲環境および共通の管路と流体連通する。他の実施形態では、この排出口は、周囲環境および分注部分と流体連通する。
【0034】
他の実施形態では、取り外し可能部材は補助マイクロ流体フローセルを含む。
【0035】
他の実施形態では、取り外し可能部材は、前記接続する位置にあるときに前記反応チャンバを形成する支持体キャビティを含む支持体を含み、前記反応キャビティは前記反応チャンバと連絡する流体出口を備える。
【0036】
本発明の他の態様によれば、実現されるマイクロ流体デバイスは、取り外し可能部材と組み合わせたマイクロ流体フローセルと、反応を実行するために接続される位置にあるときにマイクロ流体フローセルおよび取り外し可能部材により定められる少なくとも1つの反応チャンバと、中に流体を受け入れ、反応チャンバと流体連通する少なくとも1つの流体受け入れチャンバとを含み、マイクロ流体フローデバイスは、前記流体受け入れチャンバ内の流体が前記反応チャンバに流れるように適合される。
【0037】
本発明の他の態様によれば、実現される流体を推進するマイクロ流体システムは、少なくとも1つのマイクロ流体デバイスであって、少なくとも1つの反応部分および中に流体を受け入れるための少なくとも1つの流体受け入れ部分を備えるマイクロ流体フローセルと、反応を実行するためにマイクロ流体フローセルと接続するための取り外し可能部材と、取り外し可能部材と接続されたときに反応部分により定められ、流体受け入れ部分と流体連通する、中の反応を実行するための反応チャンバと、前記流体受け入れ部分の中の流体が前記反応チャンバに流れるようにするためマイクロ流体デバイス上に外力を加える力印加デバイスと、を含む少なくとも1つのマイクロ流体デバイスを備える。
【0038】
一実施形態では、力印加デバイスは、遠心分離デバイスを含む。一実施形態では、遠心分離デバイスは、複数の前記マイクロ流体デバイスの位置を決めるための回転可能台部を備える。一実施形態では、台部は、マイクロ流体デバイス受け入れ部分を含む。一実施形態では、マイクロ流体デバイス受け入れデバイスは、スロットを備え、取り外し可能部材はそのスロットに受け入れられるガラス製サポートスライドを含む。一実施形態では、回転可能台部は、円板を備える。一実施形態では、この円板は、アクチュエータと動作可能なように連絡しそれにより回転される中心部を備える。一実施形態では、この中心部は、開口部を備え、アクチュエータは、モーターに取り付けられたハブを備える。一実施形態では、円板は、周縁近くに配置された廃液貯蔵容器を備える。一実施形態では、マイクロ流体デバイスは、流体を分注するための分注部分を含み、マイクロ流体デバイスは円板上に配置され、分注部分は廃液貯蔵容器に面し、それにより、円板の動作中に、廃液貯蔵容器は分注された流体を回収する。
【0039】
一実施形態では、マイクロ流体システムは、さらに、反応チャンバ内で生じる反応を検出し、及び/又は分析する反応検出/分析デバイスを備える。
【0040】
本発明の他の態様によれば、マイクロ流体構造内での反応に使用される流体を推進するための方法が提供され、この方法は、
(a)取り外し可能部材と接続されるマイクロ流体フローネットワークを備えるマイクロ流体構造を提供するステップであって、前記取り外し可能部材と前記マイクロ流体フローネットワークとの間に反応チャンバを形成し、該反応チャンバが前記ネットワークと流体連通する、ステップと、
(b)前記ネットワーク内に少なくとも1つの液状試料生成物を配置し、少なくとも1つの反応生成物を前記ネットワークおよび前記反応チャンバのうちの一方の中に配置するステップと、
(c)前記ネットワーク内の前記生成物が前記反応チャンバに移動し、前記反応チャンバの中で反応が引き起こされるように前記マイクロ流体フローネットワークを作動するステップと、
(d)前記反応の結果が前記取り外し可能部材および前記ネットワークの少なくとも一方に提供されている状態で、前記ネットワークから前記取り外し可能部材の少なくとも一部を取り外すステップと、を含む。
【0041】
一実施形態では、この方法は、さらに、(e)反応を検出し、及び/又は分析するステップを含む。
【0042】
一実施形態では、ステップ(e)は、反応チャンバ内で反応が検出され、及び/又は分析されるようにステップ(d)の前に実行される。一実施形態では、反応は、取り外し可能部材またはネットワークまたはその両方において検出され、及び/又は分析される。
【0043】
一実施形態では、少なくとも1つの液状試料生成物は、試薬を含む。他の実施形態では、少なくとも1つの液状試料生成物は、液相検体を含む。一実施形態では、液状試料生成物および反応生成物の少なくとも一方は、最初に乾燥生成物として与えられ、この方法は工程(b)に先立ってこの乾燥生成物を液化するステップを含む。一実施形態では、液状試料生成物および反応生成物の少なくとも一方は、最初に乾燥生成物として与えられ、この方法は工程(b)で配置するのに先立ってこの乾燥生成物を液化するステップを含む。
【0044】
一実施形態では、反応生成物は流体を含む。他の実施形態では、反応生成物は固形物質を含む。一実施形態では、反応生成物はバイオプローブを含む。
【0045】
一実施形態では、取り外し可能部材は支持体を含み、ネットワークは、その支持体上に接続される。一実施形態では、ステップ(b)において少なくとも1つの反応生成物を前記反応チャンバ内に配置するステップは、前記反応生成物をこの支持体上に配置してから前記支持体上の前記ネットワークを接続し、それにより前記反応チャンバを形成するステップを含む。
【0046】
一実施形態では、反応は、ハイブリダイゼーション反応を含む。
【0047】
一実施形態では、作動させるステップは、重力、遠心力、毛管力、求心力、ガス圧力、電気浸透、DCおよびAC動電、電気泳動、電気濡れ、磁力、音響力、空圧駆動力、機械式マイクロポンプ力、正および負の変位力、熱的力、電気化学的気泡発生力、およびそれらの組合せからなるグループから選択された力をマイクロ流体フローネットワークに印加するステップを含む。
【0048】
一実施形態では、ネットワークは、反応チャンバに関して近位位置から遠位位置までの一連の流体受け入れ部分を含み、ステップ(b)はそれぞれの前記液状試料を一連の流体受け入れ部分のそれぞれの中に配置するステップを含み、ステップ(c)での作動により、一連の流体受け入れ部分の中の流体生成物は最も近い位置にある流体受け入れ部分から最も遠い位置にある流体受け入れ部分まで反応チャンバへ順次推進される。一実施形態では、ステップ(c)における作動させるステップは、遠心分離を含み、流体を順次推進するステップは遠心分離速度を漸次増大することにより引き起こされる。
【0049】
一実施形態では、工程(c)における作動させるステップは、遠心分離を含む。一実施形態では、この遠心分離ステップは、接続されたネットワークおよび取り外し可能部材を回転可能台部上に配置するステップと、ネットワーク内で遠心分離力を流体生成物に印加するように台部を作動させるステップとを含む。
【0050】
一実施形態では、ステップ(c)は、さらに、分注部分を介してマイクロ流体構造から廃液を分注するステップを含む。
【0051】
一実施形態では、この方法は、さらに、回転可能台部上に形成された廃液回収部分を介して遠心分離時に廃液を回収するステップを含む。
【0052】
本発明の特定の実施形態は、生体分子のマイクロアレイ上で液相検体、分子、または他の溶液を推進することを可能にするマイクロ流体デバイスに関する。
【0053】
本発明は、取り外し可能マイクロ流体システムに関する。より正確には、本発明は、マイクロ流体ネットワークを接続されたエラストマー基材により覆わされたバイオプローブのマイクロアレイを含むマイクロ流体台部に関する。流体は、外力によりこのネットワークに通される。基材は、マイクロアレイに可逆的に結合され、システムの水密性が確保される。マイクロ流体基材をマイクロアレイから取り外して、市販のスキャナ(例えば、共焦点顕微鏡に基づくスキャナ)で外部において分析することができる。
【0054】
本発明は、さらに、反応再現性、反応効率を高め、反応時間を短縮し、試薬量を減らすデバイスに関する。
【0055】
本発明は、さらに、液相検体および他の溶液をマイクロアレイ上で推進することを可能にする高速で、単純な取り外し可能流体システムにも関する。一実施形態では、流体は、マイクロアレイの上に並列されたマイクロ流体回路を彫り込まれたエラストマー材料内に送り込まれる。好ましい一実施形態では、マイクロアレイは、ガラス、プラスチック、または他の任意の支持体上に彫り込まれる。より好ましい一実施形態では、エラストマー材料はポリメチルシロキサン(PDMS)を含む。
【0056】
本発明は、さらに、分析に先立って支持体の完全乾燥を行わせることができる、スライドサポートまたは他の支持体の外側に配置された接続済み廃液貯蔵容器を備えるマイクロ流体システムにも関する。スライドサポートは、ガラス、プラスチック、または他の材料で作ることができる。特に好ましい一実施形態では、廃液貯蔵容器は、遠心力により駆動されるマイクロ流体システム内の円盤形状のスライドサポートを囲む溝である。それぞれのマイクロ流体システムは、エアロゾルによるキャリーオーバー汚染を防ぐため、封止されるのが好ましい。
【0057】
本発明の説明では、内容全体が参照により本明細書に組み込まれる多数の文書を引用する。
【0058】
これを超える範囲および適用性は、これ以降に示す詳細な説明から明らかであろう。しかし、本発明の精神と範囲に含まれる様々な変更および修正は当業者には明らかなことであるため、この詳細な説明は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、実例としてのみ与えられていることは理解されるであろう。
【0059】
こうして本発明について一般的な説明を行ったが、次に、付属の図面を参照し、例示的な実施形態を実例としてのみ示す。
【0060】
本発明の他の目的、利点、および特徴は、付属の図面を参照しつついくつかの実施形態の以下の非制限的な説明を読むと明らかになるであろうが、これは、例示するものであり、本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
ここでは、付属の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0062】
図1および2を参照すると、例えば、スライドであってよい支持体などの取り外し可能部材12と取り外し可能な形で接続できるマイクロ流体フローセル10が示されている。
【0063】
マイクロ流体フローセル10は、ここで説明されるように、支持体12とともに反応チャンバを形成する、反応部分14を含む。さらに、マイクロ流体フローセル10は、流体受け入れ部分16、18、20、および22を含む。それぞれの流体受け入れ部分16、18、20、および22は、マイクロ流体セル本体11内に2つの類似する細長いボア24および26(ここでは1対のボアのみが参照されている)でできているそれぞれの流体受け入れチャンバを備える。流体受け入れ部分16、18、20、および22により定められたそれぞれの流体受け入れチャンバの細長いボア24および26は、反応チャンバ14と流体連通している、共通の管路38にそれぞれ沿う共通の領域28、30、32、および34のところで会合する。
【0064】
支持体12およびマイクロ流体フローセル10が、図2に示されているように接続位置にあるときに、マイクロ流体セル10は、流体受け入れ部分16、18、20、および22の中の流体が反応チャンバ14へ流れるように適合される。
【0065】
この非制限的実施形態では、マイクロ流体フローセル10は支持体12と組み合わせて、回転可能台部または円板42上に置かれた、マイクロ流体デバイス40を形成する。この回転可能台部が矢印Cで示されているように回転し、したがって、遠心力が、流体受け入れ部分16、18、20、および22内の流体を含むマイクロ流体フローセル10に加えられる。図に示されているように、チャンバ16、18、20、および22は、反応チャンバ14に対して近位位置から遠位位置までのマイクロ流体フローセル10の本体11内に配置される。このようにして、遠心力がマイクロ流体フローセル10に印加されると、回転している円板42の速度が上がり、したがって遠心力が増すにつれ、流体は反応チャンバ14に向かって、最も近いチャンバ16から最も遠いチャンバ22へと流れる。
【0066】
図1および2に示されている実施形態では、マイクロ流体フローセル10は、彫り込まれたマイクロ流体ネットワークNを持つPDMS基材ユニット11であり、(図に示されていない)核酸捕捉プローブがアレイ化されたガラススライドの形で、支持体12に適用される。PDMSマイクロ流体フローセル10を有するスライドガラス12は、この場合5枚のスライドを保持できるコンパクトな円板支持体42上に置かれ、これにより、マイクロ流体システム44が定まる。このマイクロ流体システム44は、設計上、スライドを何枚でも収納するようにできる。
【0067】
動作中には、チャンバ16内のプレハイブリダイゼーション緩衝液が最初に放出され、ハイブリダイゼーションチャンバ14上を流れ、オリゴヌクレオチド捕捉プローブがガラス製支持体12上にスポットされる。その後、チャンバ18内の試料は、より高い角速度で放出される。次いで、チャンバ20内の洗浄緩衝液およびチャンバ22内のすすぎ緩衝液は、さらに高い角速度で順次流れ始める。洗浄およびすすぎ緩衝液は、ハイブリダイゼーション反応の後、非特異的結合標的を洗い流すために使用される。
【0068】
図3、4、および5を参照すると、本発明の他の実施形態によるマイクロ流体フローデバイス45が示されている。
【0069】
図3および4は、支持体の形態の取り外し可能部材48と接続された取り外し可能マイクロ流体フローセル46とを含むマイクロ流体デバイス45を示している。図5は、マイクロ流体フローセル46が支持体48から取り外された状態を示している。
【0070】
マイクロ流体フローセル46は、キャビティの形態の反応部分49(図5を参照)を持つ本体47を含む。反応キャビティ49は、支持体スライド48と接続されたときに反応チャンバ50(図3および4)を形成する。反応チャンバ50は、支持体スライド48上のマイクロアレイ52用にスペースを設けている。さらに、マイクロ流体フローセル46は、図5に示されているようにキャビティの形態の流体受け入れ部分54および56を含む。図3および4に示されているように、これらの流体受け入れキャビティ54および56は、スライド支持体48と接続されたときにそれぞれの流体受け入れチャンバ58および60を形成する。図5に戻って参照すると、マイクロ流体フローセル46は、さらに、図3および4に示されているようにそれぞれの導管68、70、および72を形成する導管キャビティ62、64、および66を含む(フローセル46が支持体48と接続されている場合)。導管68、70、および72は、弁74で会合するが、これは、フローセル46および支持体48が接続される位置にあるときに弁キャビティ76(図5を参照)により定められる。図5は、支持体48と接続されたときに、反応チャンバ50および弁74と流体連通する共通のチャネル80(図3および4を参照)を形成するフローセル46内の共通のキャビティ78を示している。
【0071】
空気抜き82、84、および86は、周囲環境と流体連通している。空気抜き82、84、および86は、導管88を介して流体受け入れチャンバ58と、導管70を介して弁74と、導管90を介して流体受け入れチャンバ60とそれぞれ流体連通している。図5を参照すると、導管88および90は、支持体48と接続されたときに導管キャビティ92および94により定められる。
【0072】
マイクロ流体セル46は、さらに、反応チャンバと流体連通している排出ダクト96も備え、これにより、過剰な流体または廃液がそのダクトを通って、周囲環境内に流れ込むようにするか、またはアパーチャ97を介して支持体48上に流れるようにする。図5を参照すると、ダクト96は、支持体48と接続された場合にダクトキャビティ98により形成される。
【0073】
したがって、取り外し可能マイクロ流体フローセル46および取り外し可能固体支持体48は、本発明の一実施形態によるマイクロアレイ分析用のマイクロ流体デバイス45を実現する。
【0074】
図6から10は、本発明によるマイクロ流体フローセル、取り外し可能部材、およびマイクロ流体デバイスの様々な非制限的実施形態を示す。
【0075】
図6は、支持体の形態の取り外し可能部材104と取り外し可能な形で接続されているマイクロ流体フローセル102を備えるマイクロ流体デバイス100を示している。マイクロ流体フローセル102は、支持体104と接続されたときに流体受け入れチャンバ107を形成するキャビティの形態の流体受け入れ部分106を有する。マイクロ流体フローセル102は、さらに、支持体104と接続されたときに中で反応を行わせるための反応チャンバ109を形成する反応チャンバキャビティの形態の反応部分106も含む。導管キャビティ110は、支持体104とともに導管111を形成する。廃液分注ダクト115も用意することができる。
【0076】
図7は、支持体などの取り外し可能部材120と取り外し可能な形で接続されているマイクロ流体フローセル118を有するマイクロ流体デバイス116を示している。フローセル118は、流体受け入れチャンバ122だけでなく、それと流体連通する導管124をも含み、両方ともセル本体126内に形成される。導管124は、キャビティの形態の反応部分128と流体連通し、支持体120と接続されたときに反応チャンバ130により定められる。廃液分注ダクト121も用意することができる。
【0077】
図8は、マイクロ流体フローセル136上に取り外し可能な形で配置される形態の取り外し可能部材134を有するマイクロ流体デバイス132を示している。反応チャンバ138は、マイクロ流体フローセル136内に形成されたキャビティ140により、また接続されたときにエンクロージャ部材134により形成される。適宜、導管142および流体受け入れ部分144は、取り外し可能部材134により囲まれているキャビティとするか、またはマイクロ流体フローセル136内に完全に形成することもできる。
【0078】
図9は、キャビティ152のところでマイクロ流体フローセル150と接続されたときに反応チャンバ154を形成するシールの形態の取り外し可能部材148を有するマイクロ流体デバイス146を示す。ここでもまた前述のように、導管156および流体受け入れ部分158は、取り外し可能シール部材148により囲まれているキャビティとするか、またはマイクロ流体フローセル150内に完全に形成することもできる。シール148は、当業で知られているように、様々な接着物質によりマイクロ流体フローセル150に取り付けることができる。
【0079】
図10は、支持部材162を有するマイクロ流体流デバイス160は、マイクロ流体フローセル166と接続されたときに反応チャンバ163を形成するキャビティ164を備えることを示している。マイクロ流体フローセル166は、導管170および囲み部分167を介して流体受け入れ部分168と連絡する出口アパーチャ165を備える反応部分163を含む。ここでもまた、この実施形態では、導管170および流体受け入れ部分168は、マイクロ流体フローセル本体172内に形成されるが、当業者であれば、マイクロ流体フローセル表面172内にキャビティを定めて支持体162と接続されたときにチャンバを実現することを想到できるであろう。
【0080】
他の例示されていない実施形態では、本発明の2つのマイクロ流体フローセルは、2つのセルの一方が取り外し可能な部材として作用するように、互いに取り外し可能な形で接続するようにできる。
【0081】
本発明のマイクロ流体フローセルは、重力、遠心力、毛管力、ガス圧力、電気浸透、動電、電気濡れ、磁気ポンプ力、または当業者により理解されるような前記の任意の組合せなどの外力をマイクロ流体フローセルに印加することにより流体が本発明の反応チャンバ内を流れるように適合される。
【0082】
一実施形態では、本発明は、表面上にプリントされるか、またはそのような表面により囲まれているアレイに適合可能な取り外し可能マイクロ流体フローセルについて説明する。生化学反応に必要な異なる溶液は、マイクロアレイを囲む表面上に並列するエラストマー基材内に彫り込まれたマイクロ流体回路またはネットワーク(Nなどの)によりスライド上に推進される。流体を移動するために外力が印加可能であり、回路またはネットワークの各部へのアクセスは、弁により制御される。このような外力の非制限的実施例は、ポンプ力、磁力、動電力、電気浸透力、および遠心力である。一実施形態では、遠心力は、モーターまたは遠心力により発生させることができ、遠心力は、流体をマイクロアレイの上に配置されたエラストマー基材の表面に彫り込まれたマイクロ流体チャネルおよびチャンバ内に移動する。本発明は、1つまたは複数の反応チャンバと接続された1つまたは複数の個別チャンバを持つマイクロ流体デバイスを備える。本発明のマイクロ流体システムのチャネルおよびチャンバは、マイクロアレイの個々のスポットまたはスポットのグループ(行、列、スポットのブロック)またはマイクロアレイ全体に接続されることができる。チャンバおよびチャネル体積は、一般に、使用しなければならない試料および試薬の量を減らすためにできる限り小さく保たれる。
【0083】
一実施形態では、本発明のデバイス、方法、およびシステムは、プローブの結合を可能にする適切なコーティングにより機能化されたマイクロアレイ表面を含む。スライドフォーマットは、プロテオームまたはゲノム研究室で使用される標準マイクロアレイ機器に適合させることができる。
【0084】
それぞれのチャンバは、(複数の)反応を進行させるために必要な緩衝液および試料を入れることができる。生体分子を含む少量の液状試料が、マイクロアレイの固定化されたプローブの真上に配置されたマイクロ流体回路またはネットワーク内に強制的に流し込まれる。 溶液相検体と結合プローブとが近接近していると、動力学的相互作用がスピードアップされ、それにより、反応時間が短縮される。
【0085】
本発明の特定の一実施形態では、標準顕微鏡用スライドガラスは、バイオプローブを共有結合するように化学的に機能化される。流体をスポットベアリングマイクロアレイの上に被さるように推進するために、マイクロ流体デバイスが使用可能である。バイオプローブスポットは、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、タンパク質、ペプチド、有機分子、糖類、医薬品、もしくはそれらの組合せ、または検査試料中に存在する基材の結合パートナーで構成することができる。様々な反応工程を、液体試薬または反応物質、洗浄試薬、ハイブリダイゼーション、または検出試薬に曝すことを含むマイクロアレイの結合分子とともに実行できる。スライド上に固定化された分子を特徴付けるために反応の進捗状況または結果をマイクロアレイのそれぞれのスポットで監視することができる。
【0086】
現在のところ、ほとんどのカスタムマイクロアレイは、標準顕微鏡用スライドガラス上にプリントされ、このフォーマットはスライド上にスポットされた特定のプローブとの可能な相互作用を示す検出信号(例えば、蛍光信号)を走査するために使用される現在市販されている計測器のほとんどで要求されるものである。したがって、本発明の一実施形態では、取り外し可能マイクロ流体台部、ユニット、またはセルは、標準スライドガラスに適合するように設計された。しかし、マイクロアレイフォーマットの平坦な表面(例えば、ガラス支持体、プラスチック支持体)は、法発明により使用することができる。さらに、このようなシステムは、分子診断について検査試料調製(例えば、核酸抽出する)および/または標的増幅(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応による核酸増幅)を行うため独立の、または一体化されたマイクロ流体システムと併用することができる。このようなシステムは、さらに、微小化学物質分析システムであってもよい。
【0087】
本発明は、顕微鏡用スライドガラスおよび類似の平面と接続するように適合することができるマイクロ流体フローセルを実現する。このマイクロ流体接続システムを使用することで、アレイ上の選択された位置に試料、相互作用試薬(例えば、ハイブリダイゼーション溶液、結合溶液など)、洗浄溶液、および検出試薬を送達することが可能になる。
【0088】
一実施形態では、本発明のマイクロ流体フローセルの表面の溝または凹部は、マイクロアレイ上のスポットと揃えられ、これにより、マイクロ流体システムがマイクロアレイ表面上に封止されたときに、凹部および溝は、(複数の)マイクロアレイのスポットを含む(複数の)チャネル、(複数の)試薬貯蔵容器、及び/又は(複数の)反応チャンバを形成する。
【0089】
特定の一実施形態では、マイクロ流体接続システムのマイクロチャンバおよびチャネルを作るために柔らかいエラストマー材料(例えば、PDMS)が選択される。PDMSベースのエラストマーは、成形可能な低コスト材料であり、ガラスなどの平坦で滑らかな表面で可逆的に封止する。
【0090】
さらに特定の一実施形態では、流体をマイクロアレイの上に配置されているマイクロ流体チャネルおよびチャンバ内に移動するために遠心力が使用される。
【0091】
さらに他の特定の一実施形態では、標準顕微鏡用スライドガラス支持体は、遠心分離システムにはめ込めるように設計される。遠心分離システムは、カスタムデバイスまたは古典的な卓上型遠心分離機であってよい。遠心分離システムは、コンピュータにより制御される、ステップバイステップモーターを備える。
【0092】
マイクロアレイスライドの1つまたは複数の選択された領域に流体を制御しつつ送達するには、マイクロ流体システムのチャネルおよびチャンバの適切なサイズおよび形状を選択し、流体をマイクロアレイ上に送達するための最適な遠心力および遠心力が印加される最適な時間を選択する。
【0093】
本発明のさらに他の特定の一実施形態では、マイクロ流体システムは、限定はしないが、典型的には高速な、感度のよい、自動化された、高スループットで安価なシステムを必要とする伝染病因物質に関するマイクロアレイ上の分子診断アッセイを含む、核酸の分析に使用される。
【0094】
本明細書で上述されているように、スライドは、ガラスで作ることができ、ガラスは核酸およびタンパク質のカスタムマイクロアレイ用に最もふつうに使用されている支持体である。スライドガラスは、核酸または核酸類似体(例えば、ペプチド核酸、ロックト核酸)の結合を最適化するように特別にコーティングされる。核酸プローブのマイクロアレイは、マイクロ流体回路またはネットワーク(図2に示されているNなど)彫り込みエラストマー材料が本発明のスライド支持体の上に置かれたときに本発明のハイブリダイゼーションチャンバの真下に収まるように配置されたアレイヤーを使用してスライドガラス上にプリントされる。マイクロアレイは、多数の異なるプローブを備えることができ、また発現プロフィール実験を実行する場合に使用できる。したがって、自動化されたハイブリダイゼーション台部として使用するために、要求体積を収められるように対応する(複数の)ハイブリダイゼーションチャンバを設計することができる。特定の一実施形態では、アレイは、直線的であり、スポットされたプローブで構成され、診断目的のために使用するのに適している。(複数の)ハイブリダイゼーションチャンバは、さらに、貫流ハイブリダイゼーションを許容するさらに小さな体積を収められるように設計することもでき、これによりハイブリダイゼーション速度が高まる。これにより、ハイブリダイゼーション時間が短縮され、かつ/またはハイブリッドの検出に必要な反応の感度が高まる。
【0095】
受動的ハイブリダイゼーションと比較すると、本発明のマイクロ流体デバイスでは、20merオリゴヌクレオチドだけでなく368bp単位複製配列についても実証されているようにハイブリダイゼーション速度を約6倍高められる(実施例1を参照)。さらに、15分間のハイブリダイゼーションプロセスを使用して4つの臨床的に関係するブドウ球菌種を検出し、弁別することが可能であった。これは、受動的ハイブリダイゼーションについて一般的に要する時間よりも少なくとも16倍高速である。本発明の取り外し可能マイクロ流体システムでは、従来のマイクロアレイを使用して反応プロセスを自動化し、スピードアップすることができ、また試料(タンパク質、共同因子、医薬品など)中に存在する核酸または他の生体分子の迅速な検出および同定を可能にする。本発明の取り外し可能マイクロ流体フローセル、さらにはマイクロ流体デバイスは、生物医学分野(病原体または疾病関連マーカーの存在の検出)、法医学分野(個人の識別)、基礎研究などにおける様々な応用だけでなく、他の工業への応用でも使用することができる。最後に、本発明の取り外し可能マイクロ流体フローセルおよびデバイスは、どのような種類のマイクロアレイ分析でも応用することができる。
【0096】
非制限的な一実施形態では、本発明のマイクロ流体フローセルの本体を含む基材は、接着剤またはクランプを使わずにファンデルワールス力によりマイクロアレイに可逆的に結合することができる柔らかいエラストマー材料である。特に好ましい一実施形態では、柔らかい基材は、PDMSで作られる。ネットワークのマイクロ流体回路は、フォトリソグラフィおよびコンピュータ数値制御(CNC)機械加工などの古典的マイクロ加工技術を使用して基材内に彫り込まれる。様々な種類の弁をマイクロ流体回路またはネットワーク内に入れることができる。弁は、異なる貯蔵容器からの流体の放出を制御するように設計される。例えば、弁は、電磁作動マイクロ弁(非特許文献21)、圧縮空気駆動式圧力弁(例えば、マイクロ流体回路の特定の領域内で通気を制御し、したがって、流体運動に対向する逆圧を変調する)(非特許文献22)、ヒドロゲル弁(非特許文献23)、および遠心分離弁(非特許文献24)とすることができる。それとは別に、マイクロ流体システム内の流体の移動は、弁を使わずに駆動することができる。例えば、流体は、気泡または他の非混合境界により分離された異なる液体の順次流により移動することができる。
【0097】
図1および2に戻って参照すると、マイクロ流体システム44が示されている。マイクロ流体フローセル10は、PDMS基材11に彫り込まれた回路またはネットワークNを含む。PDMS基材11は、位置を揃えられ、圧力を印加して機能するマイクロ流体デバイス40を形成することによりスライドガラス12上にプリントされたマイクロアレイ(図に示されていない)に逆結合される。市販のアレイヤーを使用してオリゴヌクレオチドマイクロアレイをスライドガラス12上にプリントした後、PDMS彫り込みハイブリダイゼーションチャンバ14がマイクロアレイの上に来るようにPDMSマイクロ流体回路Nがスライドガラス12上に重ね合わされる。マイクロ流体デバイス40(スライドグラス12およびPDMS 11)は、開口部を含む、モーターMのアクチュエータハブ174上に固定された特注のプラスチック円板形状の支持体42内に導入された。円板42は、矢印Cにより示されるように回転され、その遠心力を利用して試料および緩衝液をガラス表面176上に直接推進し、液体試薬をチャンバ14およびマイクロ流体チャネル30内に移動する(非特許文献24)。プロセスの終わりに、PDMS流体回路Nがスライドガラス12から剥がされ、市販の計測器を使用してマイクロアレイが分析された。このシステムは、遠心力により生成される動的DNAハイブリダイゼーション(貫流)が可能になる。本発明では、このようなマイクロ流体システムは、従来のマイクロアレイ技術が必要とするわずかな時間で単一ヌクレオチド多形(SNP)を含む核酸配列を弁別することができた。
【0098】
マイクロ流体チャンバおよびチャネル内の流体を推進するために遠心力が使用される場合、弁(38、30、32、および34)は、異なる回転速度で急開するように設計することができる(図1)。回路またはネットワークNは、ハイブリダイゼーションチャンバ14、プレハイブリダイゼーション緩衝液貯蔵容器16、試料入り口18、洗浄用貯蔵容器20、およびすすぎ用貯蔵容器22を備えることができ、すべて異なるサイズのチャネル38A、38B、38C、38D、および38Eによりつなぎ合わされる(図1および2)。チャンバ14は、周囲環境と連絡する分注部分39と流体連通する。異なる緩衝液および試料は、遠心分離システム42の回転速度を変えることにより、支持体12上のマイクロアレイの上に配置されたハイブリダイゼーションチャンバ14内に強制的に貫流される。ハイブリダイゼーションチャンバ14のアーキテクチャは、流体の濁度を高めるように適合させることができ、それにより、ハイブリダイゼーション速度を高められる。ここでもまた、マイクロ流体システム内の流体の移動は、それとは別に、上述したように弁を使わずに駆動することができる。
【0099】
本発明の方法、システム、およびデバイスは、マイクロアレイ支持体を使用して、マイクロ流体システムをデバイスに接続し、流体を移動する力を与える。力は、空圧駆動力、機械式マイクロポンプ力、電気浸透力、電気泳動力、ガス圧力、正および負の変位力、熱的力、電気化学的気泡発生力、音響力、磁力、DCおよびAC動電力、および求心力により発生させることができる。特定の一実施形態では、支持体は、流体を移動するための遠心力を与える回転式デバイス174に適合可能な円板42である。さらに具体的な実施形態では、支持体は、標準顕微鏡用12を収容するスロットなどのマイクロ流体デバイス受け入れ部分178を含む円板42である。それぞれのスロット178は、円板中心180から同じ距離のところに配置され、それぞれのスロット付きスライドに等しい遠心力を加えられるようになっている。円板は、モーターMのハブ174上に固定されるように設計される。それぞれのスライド12は、遠心分離後にスライド12を簡単に取り外せるようにアパーチャ182を備える。関連する一実施形態では、溝などの廃液貯蔵容器184が支持円板42内に彫り込まれており、これにより、遠心分離後のハイブリダイゼーション廃液を回収し、スライド12を完全に乾燥させることができる。他の関連する一実施形態では、円板42を備えるマイクロ流体システム44は、円板42の回転時にエアロゾルが発生しないように封止される(図に示されていない)。
【0100】
本発明の力印加デバイスは、ポンプ、ヒーター、モーター、磁気的デバイス、機械的デバイス、または電気的デバイスなどどのようなデバイスであってもよい。遠心力を供給し流体を強制的にマイクロアレイ支持体に印加するデバイスは、モーターであるのが好ましい。モーターは、ステップバイステップモーター、またはコンピュータ駆動式またはプログラム可能な市販の卓上遠心分離機とすることができる。
【0101】
本発明のマイクロ流体フローセル(10、46)は、特定の一実施形態では、生体分子のマイクロアレイ(52など)を帯びたスライド(12、48)と接続するように設計されているが、これらは、さらに、様々な種類の分子プローブまたは試料を帯びた支持体と接続する流体を供給するために使用することもできる。プローブまたは試料は、支持体上に配置されたビーズまたは粒子上に置くことも可能であろう。本発明の応用は、マイクロアレイスライドとの使用に限定されないことは理解されるであろう。本発明は、前記反応の光、電気、機械、化学、磁気、または他の測定可能な特性であってよい反応信号を検出/分析するために応用することが可能であろう。
【0102】
本発明は、非制限的実施例によりさらに詳しく説明される。
【0103】
[実施例]
[実施例1]遠心力を利用してマイクロアレイ試薬を推進するための取り外し可能流体システム
〔材料と方法〕
PCRプライマーおよび捕捉プローブの選択
すべての化学試薬は、Sigma−Aldrich Co.(ミシガン州セントルイス)から入手したものであり、断りのない限りそれ以上精製せずに使用した。2つの9炭素スペーサーと1つのアミノリンカーを付加することにより5’修飾されたオリゴデオキシリボヌクレオチド捕捉プローブは、Biosearch Technologies(カリフォルニア州ナバト)社が合成したものである。アミノリンカー修飾で、プローブを機能化ガラス表面に共有結合することができる。4つのプローブ、黄色ブドウ球菌標的プローブ(5’−CGTATTATCAAAAGACGAAG−3’)、表皮ブドウ球菌標的プローブ(5’−CAIAGCTGAAGTATACGTAT−3’)、溶血性ブドウ球菌標的プローブ(5’−CAAAATTTAAAGCAGACGTATA−3’)、および腐性ブドウ球菌標的プローブ(5’−AAAGCGGATGTTTACGTTTT−3’)が使用された。プライマー対TstaG422(5’−AAAGCGGATGTTTACGTTTT−3’)およびTstaG765(5’−TIACCATTTCAGTACCTTCTGGTAA−3’)は、すべてのブドウ球菌種を増幅させるために使用された。使用されたゲノムDNAは、菌株黄色ブドウ球菌ATCC 43300、表皮ブドウ球菌ATCC 14990、溶血性ブドウ球菌ATCC 29970、および腐性ブドウ球菌ATCC 35552から精製された。
【0104】
エラストマーフローセルの加工
マイクロ流体構造は、PDMS複製技術を使用して加工された(Duffyら、1998年、Anal.Chem.、70:4974〜4984頁)。試薬操作および浅いハイブリダイゼーションチャンバ内のハイブリダイゼーションに適した流量を利用できるようにしつつ試薬貯蔵用に十分な体積が得られる所望の2レベルPDMS流体構造を実現するために、新しい2レベルSU−8プロセスが開発された。
【0105】
SU−8鋳型加工
SU−8は、加工とともに、非常に厚いフォトレジスト層を必要とする用途についても大きな注目を集めているネガトーンフォトレジストである。その優れたUV透過性のため、標準UVリソグラフィを使用して、LIGAに類似したMEMSデバイスを製作することができる。SU−8フォトレジストは、様々な粘度のものがあり、低粘度製品ほど、薄い構造(最大2μm)の加工に適しており、粘度の高いSU−8フォトレジストほど、厚い層(mmスケール)に適している。2種類のフォトレジスト、Microchem Inc.(マサチューセッツ州ニュートン)が市販しているSU−8 25およびSU−8 100が使用された。SU−8 25は、マイクロチャネル構造に使用され、SU−8 100は、かなり大きな試薬チャンバに使用された。第1の工程で、SU−8 25を、15cmのシリコン(Si)ウェハ(Addison Engineering、カリフォルニア州サンノゼ)上で処理し、マイクロチャネルの構造(深さ25μm)と、第2のSU−8層の位置合わせマークを得た。その後、SU−8 100の厚い層(250μm)は、マイクロチャネルの鋳型が作成される基材上にスピンコートされた。この厚い層は、かなり大きな試薬貯蔵容器の鋳型を形成するために使用された。架橋SU−8フォトレジストは、露光されていない周囲に比べて光透過性が低いため、位置合わせマークは、露光されていないフォトレジストの厚い層で完全に覆われている場合であっても容易に観察できる。パターン設計では、フォトレジストの2つの層の間の考えられる位置合わせ誤差の補正が行われた。チャネルおよびチャンバは接続領域内でオーバーラップしており、このため、位置合わせの間違いにより引き起こされうる切断を回避できる。6つの同一の鋳型は、複製を高速化するため15cmのSi上に同時に加工された。
【0106】
フローセルの重合鋳型化
PDMSはDow Corning(ミシガン州ミッドランド)から購入された。ベース(Sylguard 184シリコーンエラストマー)および硬化剤(シリコーン樹脂溶液)を10:1の重量比で完全混合した。対流式オーブンによる低温硬化(例えば、65℃)は、構造の厚さのため、高温焼成よりも好ましかった。高温(例えば、150℃)では、SU−8パターンとSi基材との間の界面に著しい熱応力が加わり、基材に実際にひび割れを起こし、SU−8構造を剥がす可能性がある。すべてのフローセルの上で厚さが一様になるようにするために、基材上でPDMSを平らにする必要がある。チャンバの巨視的構造とチャネルの微視的構造の適切な組合せが、フローセルの性能にとって重要である。
【0107】
スライドガラスの作成
断りのない限り、すべての反応は、室温で、ポリプロピレンジャー内で実行された。使用された顕微鏡用スライドガラス(VWR Scientific、ペンシルバニア州ウェストチェスター)は、25mm×75mmの表面積を有していた。脱イオン水中で1時間超音波処理した後、スライドをNaOH(10%)40ml中で1時間超音波処理し、脱イオン水で数回洗浄し、窒素流の中で乾燥させた。次いで、スライドをアミノプロピルトリメトキシシラン溶液(水2ml、MeOH 38ml、およびアミノプロピルトリメトキシシラン2ml)中で1時間超音波処理し、メタノールで洗浄し、乾燥させ、15分間110℃で焼いた。アミン修飾スライドは、カップリング剤として0.32g(2mモル)のカルボニルジイミダゾールを含有する1,4−ジオキサン(40mL)中で一晩超音波処理することにより活性化させ、その後、ジオキサンとジエチルエーテルで洗浄し、窒素流の中で乾燥させた。
【0108】
マイクロアレイの生産
プローブは、Array−it Microspotting Solution Plus(商標)(Telechem International、カリフォルニア州サニーベール)を加えて最終濃度を5μMとすることにより2倍に希釈された。捕捉プローブは、VIRTEK SDDC−2(商標)アレイヤー(Bio−Rad Laboratories、カリフォルニア州ハーキュリーズ)をSMP3ピン(Telechem International)とともに使用して、3倍にスポットされた。スポットした後、それぞれのスポットは、0.6nLの体積を持ち、直径は140から150μmの範囲であった。スポットした後、スライドを一晩乾燥させ、沸騰する0.1%のIgepal CA−630中に5分間浸漬することにより洗浄し、超純粋中で2分間すすぎ、真空中で遠心分離機により5分間乾燥させた(SpeedVacz(商標) plus、Thermo Savant、マサチューセッツ州ミルフォード)。スライドは、その後、乾燥した、無酸素環境に室温で保管された。
【0109】
PCR増幅および単位複製配列標識付け
tuf遺伝子の保存領域を標的とする万能PCRプライマーを使用して、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、溶血性ブドウ球菌、腐性ブドウ球菌精製ゲノムDNAから368bp断片を増幅した。非対称PCR増幅時に蛍光染料が組み込まれた。Cy−5 dCTP(Amersham Biosciences、カナダケ国ベック州ベドゥフェ)を、dATP 0.05mM、dCTP 0.02mM、dGTP 0.05mM、dTTP 0.05mM、KCl 5mM、トリス塩酸(pH 9)1mM、Triton X−100 0.01%、MgCl2 2.5mM、Taq DNAポリメラーゼ(Promega、ウィスコンシン州マディソン)0.5単位、primerTstaG765 0.2μM、primerTstagG422 0.005μM、および精製されたブドウ球菌ゲノムDNA 1ngを含有するPCR混合液50μl中に、濃度0.02μM で混合した。PCR増幅の温度サイクリング(94ーCで180秒間、その後、95℃で5秒を40サイクル、55℃で30秒、72℃で30秒)をPTC−200 DNA Engine Thermocycler(商標)(MJ Research、ネバダ州リーノー)上で実行した。
【0110】
DNAマイクロアレイのハイブリダイゼーションおよびデータ収集
Cy5−dCTPで標識されたPCR単位複製配列を、95℃で5分間、変性させた。変性された標識された単位複製配列(5μl)をハイブリダイゼーション緩衝液(15μl)と混合した(8×SSPE、0.04% PVP、および40%ホルムアミド)。
【0111】
受動的ハイブリダイゼーションは、20μlのHybriwell(商標)自己接着ハイブリダイゼーションチャンバ(15mm×13mm)(Sigma−Aldrich)内で実行された。標識された試料を含むハイブリダイゼーション緩衝液がチャンバ内に導入され、室温で5分間ハイブリダイゼーションが実行された。ハイブリダイゼーションの後、マイクロアレイを0.1% SDSを含む2×SSPEで室温において(5分間)洗浄し、2×SSPEで室温において1回(5分間)すすいだ。3分間、1348×gで遠心分離機によりマイクロアレイを乾燥させた。
【0112】
貫流ハイブリダイゼーションは、受動的ハイブリダイゼーションについて上で説明したようにフローセル内で実行された。スライドガラスとフローセルとからなるハイブリダイゼーションユニットは、手製のプラスチック円板支持体上に配置され、支持体は、コンピュータにより制御されるステップバイステップモーターのハブに固定される。標識された試料は、受動的ハイブリダイゼーションの場合と同じようにして調製した。試料(2μl)、洗浄緩衝液、およびすすぎ緩衝液(10μl)を、円板を回転させる直前にマイクロ流体ユニット上に充填した。円板を異なる速度で回転させ、遠心分離弁を順次急開させて、プレハイブリダイゼーション緩衝液、試料、洗浄緩衝液、およびすすぎ緩衝液をそれぞれ140nlハイブリダイゼーションチャンバに貫流させることができる。円板は、その後、1分間毎分1000回転(rpm)で順次回転させた。
【0113】
スライドは、ScanArray 4000XL(商標)(Packard Bioscience Biochip Technologies、マサチューセッツ州ビルリカ)を使用して走査され、蛍光信号は、QuantArray(商標)ソフトウェアを使用して分析した。
【0114】
〔結果〕
マイクロ流体ユニットの組み立て
組み立てられたマイクロ流体ユニットは、図1および2に示されている。フローセルは、スライドガラスと位置を揃えられ、またそれに接着され、DNAハイブリダイゼーション検出ユニットを形成し、円板台部上に最大5個までのユニットを装着することができる。マイクロ流体ネットワークおよびマイクロアレイレイアウトは、2つのパーツが1つにまとめられたときにスライドガラス上にスポットされたオリゴヌクレオチド捕捉プローブの真上にハイブリダイゼーションチャンバが位置するような設計である。試薬は、チャンバ16から始まる遠心力によりハイブリダイゼーションチャンバにポンプで順次通されるように位置決めされる。この流れのシーケンスは、毛細管力と遠心圧力とのバランスを最適化することにより達成される(Madouら、2001年、Sensor Actuat.A、91:301〜306頁)。プレハイブリダイゼーション緩衝液(チャンバ16)が最初に放出され、140nlのハイブリダイゼーションチャンバ(チャンバ140)上を流れ、そこで、オリゴヌクレオチド捕捉プローブがガラス製支持体上にスポットされる。次いで、標識されたPCR単位複製配列を含む試料(チャンバ18)が、より高い角速度で放出され、反応チャンバ14上を流れる。次いで、洗浄緩衝液(チャンバ20)およびすすぎ緩衝液(チャンバ22)は、なおいっそう高い角速度で順次流れる。洗浄およびすすぎ緩衝液は、ハイブリダイゼーションプロセスの後、非特異的結合標的を除去するために使用される。プレハイブリダイゼーション緩衝液、試料、洗浄緩衝液、およびすすぎ緩衝液は、円板を囲む溝である廃液貯蔵容器内に回収された。このシステムは、PCR単位複製配列を運ぶエアロゾルの拡散を避けるために円板の回転中箱の中に封じ込められている。
【0115】
貫流ハイブリダイゼーション対受動的ハイブリダイゼーション
Cy3標識した20merオリゴヌクレオチドは、20μlの市販の標準ハイブリダイゼーションチャンバを使用する受動的方法と、上で説明されているように140nlのハイブリダイゼーションチャンバ内のマイクロ流体台部を使用する貫流法の両方でハイブリッド形成された。受動的ハイブリダイゼーションでは、29μlの異なる濃度(つまり、0.025、0.125、0.25、1.25、および2.5nM)のCy3標識されたオリゴヌクレオチドを、Hybri−weII(商標)自己接着ハイブリダイゼーションチャンバ(Sigma−Aldrich)を使用してガラス支持体上のマイクロアレイ上にスポットされているその相補的プローブとハイブリッド形成した。5分間の室温でのハイブリダイゼーションに続いて、上記の方法の節で説明されているようにスライドを洗浄し、すすいだ。貫流ハイブリダイゼーションでは、2μlの異なる濃度(つまり、0.025、0.125、0.25、1.25、および2.5nM)のCy3標識したオリゴヌクレオチドを、受動的な方法について説明したように、その相補プローブとハイブリッド形成した。異なる濃度のオリゴヌクレオチド(2μl)の試料をマイクロ流体ユニットの試料入り口に充填した。プレハイブリダイゼーション緩衝液、試料、洗浄緩衝液、すすぎ緩衝液は、それぞれ、図1および2に示されているハイブリダイゼーションユニットのチャンバ16、18、20、および22に充填した。試薬の充填は、試薬の蒸発を回避するために円板台部を回転する直前に行った。プレハイブリダイゼーションチャンバ16の内容物を放出し、ハイブリダイゼーションチャンバ内に約400nl/分の試料流量を得るように回転速度を300rpmに選択したが、これは、5分のハイブリダイゼーション時間(受動的ハイブリダイゼーション実験で使用されたハイブリダイゼーション時間と同じである)に対応する。その後、412rpmで円板を回転させて流量400nl/分を得ることにより、試料チャンバ(チャンバ18)を反応チャンバ内に放出した。ハイブリダイゼーション工程に続いて、遠心分離弁を順次急開するため台部の回転速度をさらに585および764rpmに高め、それによりそれぞれハイブリダイゼーションチャンバ内に10μlの洗浄緩衝液および10μlのすすぎ緩衝液を放出したところ、両方とも、平均流量2μl/分でハイブリダイゼーションチャンバ内を流れ、その結果、総時間は、乾燥工程の30秒(高回転速度)を含めて、ハイブリダイゼーション工程全体で約15分となった。PDMSマイクロ流体フローセルが剥がれた。受動的または貫流ハイブリダイゼーションの後、マイクロアレイを走査した。オリゴヌクレオチドの濃度に対して、蛍光強度をスポットした(図11)。140nlのチャンバ内の貫流ハイブリダイゼーションは、より大きな体積のチャンバ(つまり、20μl)内の受動的ハイブリダイゼーションよりも感度が高かった。受動的および貫流ハイブリダイゼーションは、さらに、tuf遺伝子配列から導かれる368bp C標識された単位複製配列を使用して実行された。これらの実験結果から、貫流ハイブリダイゼーションは、相補的オリゴヌクレオチドで観察されたように受動的ハイブリダイゼーションよりも感度が高いことがわかる(図11および12)。
【0116】
マイクロ流体台部の分析感度
上述のすべての実験において、標準的手順では、tuf遺伝子の保存領域を標的とする万能プライマーを使用してPCR増幅を実行し、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、溶血性ブドウ球菌、および腐性ブドウ球菌精製ゲノムDNAから368bp断片を増幅した。ブドウ球菌の異なる菌株から精製された1ngのゲノムDNAが、それぞれのPCR反応に使用された。ハイブリダイゼーション毎に、増幅されたPCR反応混合物の約20%が使用された。マイクロ流体台部を使用して明瞭な、曖昧でないシグナルを持つ必要がある細菌ゲノムの最小量を評価するために、10、100、1000、または10000個のゲノム複製の相当量から増幅されたPCR単位複製配列のハイブリダイゼーションを実行した。出発物質の100個程度と少ないゲノム複製相当量で、4つの異なるブドウ球菌単位複製配列のそれぞれを十分弁別できることがわかった。
【0117】
4つの臨床的に重要なブドウ球菌種の検出および特異的同定
重複してプリントされた4つのブドウ球菌種(つまり、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、溶血性ブドウ球菌、および腐性ブドウ球菌)のそれぞれを標的とする種特異的な捕捉プローブのマイクロアレイを調製した。次いで、マイクロアレイを、これら4つのブドウ球菌種のそれぞれから精製されたゲノムDNAのPCR増幅により生成された異なるブドウ球菌単位複製配列とハイブリッド形成した。これらの結果は、いっさい曖昧さなく、4つの異なるブドウ球菌tuf単位複製配列を検出し弁別することが可能であったことを示している(図13および14)。表皮ブドウ球菌特異的プローブと黄色ブドウ球菌単位複製配列との間には単一ヌクレオチド多形(SNP)のみの違いがあり、このシステムがわずか5分間のハイブリダイゼーションの後にSNPを区別できることを示していることは注目に値する。
【0118】
〔考察〕
ゲノムの分野では、マイクロアレイは、遺伝子発現プロファイリングの標準となっている。マイクロアレイ技術を使用して、数千個の遺伝子がその発現について日常的に研究されている。いくつかのグループが、この技術を診断を目的として標的細菌の高速検出に適合させることを試みた非特許文献8、非特許文献15、非特許文献4、非特許文献26、非特許文献27)。このようなシステムは高度に進んだバイオチップを必要とすることが最も多いが、検出性能は、感度も特異度も欠いている(Lenigkら、2002年、Anal.Biochem.、311:40〜49頁、Wangら、2003年、Anal.Chem.、75:1130〜1140頁)。上で説明されているように、スライドの上に並列しているマイクロ流体エラストマーフローセルを使用して(複数の)緩衝液チャンバから(複数の)ハイブリダイゼーションチャンバへ、極少量の液体を正確に、直接、スライドガラス表面に移すことができる。この技術により、マイクロアレイハイブリダイゼーション時に必要な試薬の量を大幅に減らすことができる。20merオリゴヌクレオチドまたは368bp単位複製配列の同一濃度について、貫流ハイブリダイゼーション法では、受動的ハイブリダイゼーションで得られるのよりも大きな桁数であるシグナルが得られた(図11および12)。これらの結果から、より複雑なマイクロ流体デバイスで得られた、前の観察結果が確認される(非特許文献4)。室温で効率的なハイブリダイゼーションを実現し、それによりデバイスの複雑度を下げるために、捕捉プローブおよび緩衝液配合体が設計された。
【0119】
本発明のシステムは、ハイブリダイゼーション期間を10分未満として室温でSNPを弁別するのに十分特異的である。4つのブドウ球菌種に対する弁別特異度の結果(ハイブリダイゼーション期間は5分)は、図13および14に示されている。他のプローブは、他のブドウ球菌単位複製配列と比較して少なくとも3つの異なるヌクレオチドを持つ。特異的であることに加えて、本発明は、敏感でもある。出発物質としてブドウ球菌ゲノムの複製100個程度と少ない相当量を含む増幅されたPCR反応混合物を使用して特異的ハイブリダイゼーションシグナルを生成することが可能である。この結果は、より複雑なマイクロ流体デバイスを使用して他のグループで得られたものよりも少なくとも10倍感度が高い(非特許文献15)。PCR生成物は、ハイブリダイゼーション緩衝液に加える前に、精製されないことは注目すべきである。
【0120】
全体として、本発明の実施例では、手頃な、使いやすい、自動化された、高速なカスタムマイクロアレイハイブリダイゼーションマイクロ流体台部を説明している。このマイクロ流体台部では、市販のアレイヤーおよびスキャナと完全に互換性のある標準スライドガラスを使用する。このシステムでは、古典的なハイブリダイゼーションチャンバまたはカバースリップは、マイクロ流体ネットワークと接続された低コストのエラストマー材料により置き換えられる。このエラストマー材料は、接着剤または化学反応なしでスライドガラスに可逆的に接着し、それにより、マイクロ流体ユニットを形成する。プラスチック製のコンパクトディスクのような支持体内に置かれたマイクロ流体ユニットを、異なる速度で回転させ、流体を移動させることができる。本発明のシステムを使用することで、約15分の高速ハイブリダイゼーションプロトコルを使用して4つの異なるブドウ球菌種中に存在するSNPを含むtuf配列多形を検出し、弁別することが可能であることが実証された。
【0121】
本発明は、その応用において、付属の図面に例示され、上で説明されている構造およびパーツの詳細に制限されないことは理解されるであろう。本発明は、他の実施形態を実施することができ、また様々な方法で実施することが可能である。本明細書で使用されている言葉使いまたは術語は、説明を目的としており、制限することを目的としていないことも理解されるであろう。したがって、本発明は、実施形態を使用して上で説明されているが、付属の請求項で定義されているように本発明の精神、範囲、および性質から逸脱することなく、修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の一実施形態によるマイクロ流体フローセルの上面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるマイクロ流体システムの概略図である。
【図3】本発明の他の実施形態によるマイクロ流体デバイスの上面図である。
【図4】図3のマイクロ流体デバイスの側面図である。
【図5】本発明の一実施形態による分離された位置にある取り外し可能マイクロ流体フローセルおよび支持体を示す図3のマイクロ流体デバイスの斜視図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態によるマイクロ流体デバイスの側面図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態によるマイクロ流体デバイスの側面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態によるマイクロ流体デバイスの側面図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態によるマイクロ流体デバイスの側面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態によるマイクロ流体デバイスの側面図である。
【図11】相補的15mer捕捉プローブを使用する無流ハイブリダイゼーション(丸)と貫流ハイブリダイゼーション(正方形)についての標識されたオリゴヌクレオチド検出の感度の比較を示す図である。
【図12】無流ハイブリダイゼーション(丸)と貫流ハイブリダイゼーション(正方形)についての標識された単位複製配列検出の感度の比較を示す図であり、単位複製配列(368bp)は、黄色ブドウ球菌tuf配列を標的とするPCRプライマーの対を使用して生成され、黄色ブドウ球菌特異的捕捉プローブは、368bp単位複製配列の内部配列に対し20mer完全相補的であった。
【図13】Cy標識tuf遺伝子単位複製配列の貫流ハイブリダイゼーションを示す図である。これらの単位複製配列は、4つのブドウ球菌種から精製されたゲノムDNAのPCR増幅により標識され、ハイブリダイゼーションは、これら4つのブドウ球菌単位複製配列を標的とする捕捉プローブのマイクロアレイを使用することにより実行された。図のパネルは、A)黄色ブドウ球菌単位複製配列へのハイブリダイゼーション、B)表皮ブドウ球菌単位複製配列へのハイブリダイゼーション、C)溶血性ブドウ球菌単位複製配列へのハイブリダイゼーション、およびD)腐性ブドウ球菌単位複製配列へのハイブリダイゼーションを示している。
【図14A】Cy標識tuf遺伝子単位複製配列の貫流ハイブリダイゼーションを示す図である。これらの単位複製配列は、4つのブドウ球菌種から精製された1ngのゲノムDNAのPCR増幅により標識され、ハイブリダイゼーションは、これら4つのブドウ球菌種を標的とする捕捉プローブのマイクロアレイを使用することにより実行されたものであり、黄色ブドウ球菌単位複製配列へのハイブリダイゼーションに対する蛍光強度を示している。それぞれのハイブリダイゼーション標準偏差は、ハイブリダイゼーションの結果に対するものである。
【図14B】図14Aと同様に、表皮ブドウ球菌単位複製配列へのハイブリダイゼーションに対する蛍光強度を示している。
【図14C】図14Aと同様に、溶血性ブドウ球菌単位複製配列へのハイブリダイゼーションに対する蛍光強度を示している。
【図14D】図14Aと同様に、腐性ブドウ球菌単位複製配列へのハイブリダイゼーションに対する蛍光強度を示している。
【符号の説明】
【0123】
10 マイクロ流体フローセル
11 マイクロ流体セル本体
12 取り外し可能部材
14 反応部分
16、18、20、および22 流体受け入れ部分
24および26 細長いボア
28、30、32、および34 共通の領域
38 共通の管路
38A、38B、38C、38D、および38E チャネル
40 マイクロ流体デバイス
42 回転可能台部または円板
44 マイクロ流体システム
45 マイクロ流体フローデバイス
46 取り外し可能マイクロ流体フローセル
47 本体
48 取り外し可能部材
49 反応部分、反応キャビティ
50 反応チャンバ
52 マイクロアレイ
54および56 流体受け入れ部分
58および60 流体受け入れチャンバ
62、64、および66 導管キャビティ
68、70、および72 導管
74 弁
76 弁キャビティ
78 共通のキャビティ
80 共通のチャネル
82、84、および86 空気抜き
88 導管
90 導管
92および94 導管キャビティ
96 排出ダクト
97 アパーチャ
98 ダクトキャビティ
100 マイクロ流体デバイス
102 マイクロ流体フローセル
106 流体受け入れ部分
107 流体受け入れチャンバ
108 取り外し可能部材
109 反応チャンバ
110 導管キャビティ
111 導管
115 廃液分注ダクト
116 マイクロ流体デバイス
118 マイクロ流体フローセル
120 取り外し可能部材
121 廃液分注ダクト
122 流体受け入れチャンバ
124 導管
126 セル本体
128 反応部分
130 反応チャンバ
132 マイクロ流体デバイス
134 取り外し可能部材
136 マイクロ流体フローセル
138 反応チャンバ
140 キャビティ
142 導管
144 流体受け入れ部分
146 マイクロ流体デバイス
148 取り外し可能部材
150 マイクロ流体フローセル
152 キャビティ
154 反応チャンバ
156 導管
158 流体受け入れ部分
160 マイクロ流体流デバイス
162 支持部材
163 反応チャンバ
164 キャビティ
165 出口アパーチャ
166 マイクロ流体フローセル
167 囲み部分
168 流体受け入れ部分
170 導管
172 マイクロ流体フローセル表面、マイクロ流体フローセル本体
174 アクチュエータハブ
178 マイクロ流体デバイス受け入れ部分
180 円板中心
182 アパーチャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り外し可能部材と取り外し自在に接続され、前記取り外し可能部材との間で反応を実行させるためのマイクロ流体フローセルであって、
前記マイクロ流体フローセルと前記取り外し可能部材とが接続位置にある場合に、前記取り外し可能部材とともに反応チャンバを形成する少なくとも1つの反応部分と、
中に流体を受け入れ、前記反応チャンバと流体連通する少なくとも1つの流体受け入れ部分と、
を含み、
前記接続位置にあるときに、前記流体受け入れ部分内の前記流体が前記反応チャンバに流れるように適合されるマイクロ流体フローセル。
【請求項2】
さらに、前記流体受け入れ部分と前記反応チャンバとの間を前記流体連通させる導管を含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項3】
さらに、複数の別々の流体受け入れ部分を含み、それぞれの該流体受け入れ部分がそれぞれに流体を受け入れるとともに、前記別々の流体受け入れ部分のそれぞれが共通の前記反応チャンバと流体連通していることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項4】
さらに、複数の別々の導管を備え、それぞれの前記別々の導管はそれぞれの前記流体受け入れ部分と前記共通の反応チャンバとの間を前記流体連通させることを特徴とする請求項3に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項5】
前記複数の別々の導管は、流体連通のための弁で会合し、前記弁は前記共通の反応チャンバと流体連通することを特徴とする請求項4に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項6】
前記反応チャンバと前記弁との間の前記流体連通は、共通のチャネルにより実現されることを特徴とする請求項5に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項7】
前記反応部分は、反応キャビティを含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項8】
前記キャビティは、凹部と少なくとも1つの溝とからなるグループから選択された構造を含むことを特徴とする請求項7に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項9】
前記流体受け入れ部分は、試薬チャンバを含み、前記流体は試薬を含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項10】
前記流体受け入れ部分は、前記マイクロ流体フローセル内に形成された流体受け入れチャンバを含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項11】
前記流体受け入れ部分は、前記マイクロ流体フローセルおよび前記取り外し可能部材が前記接続位置にある場合に、前記取り外し可能部材とともに流体受け入れチャンバを形成する流体受け入れキャビティを含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項12】
前記導管は、前記マイクロ流体フローセル内に形成されることを特徴とする請求項2に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項13】
さらに、導管キャビティを備え、前記導管キャビティは、前記マイクロ流体フローセルおよび前記取り外し可能部材が前記接続位置にある場合に、前記導管を形成することを特徴とする請求項2に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項14】
前記複数の導管のうちの前記少なくとも1つは、前記マイクロ流体フローセル内に形成されることを特徴とする請求項3に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項15】
前記複数の導管のうちの少なくとも1つは、前記マイクロ流体フローセルおよび前記取り外し可能部材が前記接続位置にある場合に、前記マイクロ流体フローセル内の導管によって形成されていることを特徴とする請求項3に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項16】
前記弁は、前記マイクロ流体フローセル内に形成されることを特徴とする請求項5に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項17】
さらに、弁キャビティを備え、前記弁キャビティは、前記マイクロ流体フローセルおよび前記取り外し可能部材が前記接続位置にある場合に、前記弁を形成することを特徴とする請求項5に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項18】
前記共通のチャネルは、前記マイクロ流体フローセル内に形成されることを特徴とする請求項6に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項19】
さらに、共通のチャネルキャビティを備え、前記共通のチャネルキャビティは、前記マイクロ流体フローセルおよび前記取り外し可能部材が前記接続位置にある場合に、前記共通のチャネルを形成することを特徴とする請求項18に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項20】
さらに、複数の別々の流体受け入れ部分を含み、前記複数の流体受け入れ部分のそれぞれは共通の管路と流体連通し、前記共通の管路は前記反応チャンバと連通していることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項21】
それぞれの前記別々の流体受け入れ部分は、前記共通の管路の共通の部分で会合する1対の細長いボアを含むことを特徴とする請求項20に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項22】
前記共通の部分は、弁を含むことを特徴とする請求項21に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項23】
前記共通の管路は、前記マイクロ流体フローセル内に形成されることを特徴とする請求項20に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項24】
さらに、共通の管路キャビティを備え、前記共通の管路キャビティは、前記マイクロ流体フローセルおよび前記取り外し可能部材が前記接続位置にある場合に、前記共通の管路を形成することを特徴とする請求項20に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項25】
前記1対の細長いボアは、前記マイクロ流体フローセル内に形成されることを特徴とする請求項21に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項26】
前記細長いボアは、前記接続位置にある場合に、前記マイクロ流体フローセルおよび前記取り外し可能部材により形成される補完的な細長いボア部分により形成されることを特徴とする請求項21に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項27】
前記弁は、前記マイクロ流体フローセル内に形成されることを特徴とする請求項22に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項28】
さらに、弁キャビティを備え、前記弁キャビティは、前記マイクロ流体フローセルおよび前記取り外し可能部材が前記接続位置にある場合に、前記弁を形成することを特徴とする請求項22に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項29】
さらに、前記反応チャンバと流体連通する分注部分を含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項30】
前記分注部分は、前記マイクロ流体フローセルの外部環境と流体連通することを特徴とする請求項29に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項31】
前記分注部分は、前記マイクロ流体フローセル内に形成される分注チャネルを含むことを特徴とする請求項29に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項32】
前記分注部分は、分注チャネルを含み、前記マイクロ流体フローセルはさらに分注チャネルキャビティを備え、前記分注チャネルキャビティは、前記マイクロ流体フローセルおよび前記取り外し可能部材が前記接続位置にある場合に、前記分注チャネルを形成することを特徴とする請求項29に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項33】
疎水性物質を備えてなることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項34】
基材を備えてなることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項35】
前記基材は、エラストマー材料を備えてなることを特徴とする請求項34に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項36】
前記エラストマー材料は、PDMSを備えてなることを特徴とする請求項35に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項37】
前記取り外し可能部材は、反応を実行させるための支持体を備えることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項38】
前記支持体は、疎水性物質を備えてなることを特徴とする請求項37に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項39】
前記支持体は、プローブの前記支持体上への結合を可能にするように機能化されていることを特徴とする請求項37に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項40】
前記支持体は、ガラスを備えてなることを特徴とする請求項37に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項41】
前記支持体は、マイクロアレイを備えてなることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項42】
前記マイクロアレイは、バイオプローブスポットを備えてなることを特徴とする請求項41に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項43】
前記バイオプローブスポットは、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、タンパク質、ペプチド、有機分子、糖類、医薬品、およびそれらの組合せからなるグループから選択されることを特徴とする請求項42に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項44】
さらに、複数の流体受け入れ部分およびこれら複数の流体受け入れ部分と流体連通する複数のチャネルを含み、前記チャネルは前記反応チャンバと連通することを特徴とする請求項41に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項45】
前記複数のチャネルは、前記マイクロアレイの個々のスポットに接続されることを特徴とする請求項44に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項46】
前記複数のチャネルは、前記マイクロアレイのスポットの個々のグループに接続されることを特徴とする請求項44に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項47】
前記取り外し可能部材は、包囲空間を含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項48】
前記包囲空間は、取り外し可能シールを備えてなることを特徴とする請求項47に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項49】
前記流体受け入れ部分内の前記流体が前記反応チャンバに流れるように、作動されるように適合され手いることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項50】
前記作動は、重力、遠心力、毛細管力、求心力、ガス圧力、電気浸透、DCおよびAC動電、電気泳動、電気濡れ、磁力、音響力、空圧駆動力、機械マイクロポンプ力、正および負の変位力、熱的力、電気化学的気泡発生力、およびそれらの組合せからなるグループから選択された力により行われることを特徴とする請求項49に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項51】
前記流体は、最初は乾燥形態であり、液化されるように適合される請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項52】
さらに、少なくとも1つの排出口を備え、前記排出口は周囲環境および前記反応チャンバと流体連通していることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項53】
さらに、少なくとも1つの排出口を備え、前記排出口は周囲環境および前記流体受け入れ部分と流体連通していることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項54】
さらに、少なくとも1つの排出口を備え、前記排出口は周囲環境および前記導管と流体連通していることを特徴とする請求項2に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項55】
さらに、少なくとも1つの排出口を備え、前記排出口は周囲環境および前記弁と流体連通していることを特徴とする請求項5に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項56】
さらに、少なくとも1つの排出口を備え、前記排出口は周囲環境および前記共通のチャネルと流体連通していることを特徴とする請求項18に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項57】
さらに、少なくとも1つの排出口を備え、前記排出口は周囲環境および前記共通の管路と流体連通していることを特徴とする請求項20に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項58】
さらに、少なくとも1つの排出口を備え、前記排出口は周囲環境および前記分注部分と流体連通していることを特徴とする請求項29に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項59】
前記取り外し可能部材は、補助マイクロ流体フローセルを含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項60】
前記取り外し可能部材は、前記接続位置にあるときに、前記反応チャンバを形成する支持体キャビティを含む支持体を備え、前記反応キャビティは、前記反応チャンバと連通する流体出口を備えることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項61】
取り外し可能部材と組み合わせたマイクロ流体フローセルと、
接続位置にあるときに前記マイクロ流体フローセルおよび前記取り外し可能部材により形成される少なくとも1つの反応チャンバであって、この反応チャンバ内で反応が実行される少なくとも1つの反応チャンバと、
流体を受け入れ、前記反応チャンバと流体連通する少なくとも1つの流体受け入れチャンバと、
を含むマイクロ流体デバイスであって、
前記マイクロ流体フローデバイスは、前記流体受け入れチャンバ内の前記流体が前記反応チャンバに流れるように適合されているマイクロ流体デバイス。
【請求項62】
さらに、前記流体受け入れ部分と前記反応チャンバとの間を前記流体連通させる少なくとも1つの導管を含むことを特徴とする請求項61に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項63】
さらに複数の別々の流体受け入れ部分を含み、それぞれの該複数の別々の流体受け入れ部分がそれぞれに流体を受け入れるとともに、前記別々の流体受け入れ部分のそれぞれが共通の前記反応チャンバと流体連通していることを特徴とする請求項61に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項64】
さらに、複数の別々の導管を備え、それぞれの前記別々の導管はそれぞれの前記流体受け入れ部分と前記共通の反応チャンバとの間を前記流体連通させることを特徴とする請求項63に記載のマイクロ流体デバイスセル。
【請求項65】
前記複数の別々の導管は、流体連通のために弁で会合し、前記弁は前記共通の反応チャンバと流体連通することを特徴とする請求項64に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項66】
前記反応チャンバと前記弁との間の前記流体連通は、共通のチャネルにより実現されることを特徴とする請求項65に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項67】
さらに、複数の別々の流体受け入れ部分を含み、前記複数の流体受け入れ部分のそれぞれの前記流体受け入れ部分は共通の管路と流体連通し、前記共通の管路は前記反応チャンバと連通することを特徴とする請求項61に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項68】
それぞれの前記別々の流体受け入れ部分は、前記共通の管路の共通の部分で会合する1対の細長いボアを含むことを特徴とする請求項67に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項69】
前記共通の部分は、弁を備えてなることを特徴とする請求項68に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項70】
さらに分注部分を含み、前期分注部分は前記反応チャンバと流体連通することを特徴とする請求項61に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項71】
前記分注部分は、前記マイクロ流体フローセルの外部環境と流体連通することを特徴とする請求項70に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項72】
前記マイクロ流体フローセルは、疎水性物質を備えてなることを特徴とする請求項61に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項73】
前記マイクロ流体フローセルは、基材を備えてなることを特徴とする請求項61に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項74】
前記基材は、エラストマー材料を備えてなることを特徴とする請求項73に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項75】
前記エラストマー材料は、PDMSを備えてなることを特徴とする請求項74に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項76】
前記取り外し可能部材は、反応を実行させるための支持体を備えることを特徴とする請求項61に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項77】
前記支持体は、疎水性物質を備えてなることを特徴とする請求項76に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項78】
前記支持体は、プローブの前記支持体上への結合を可能にするように機能化されていることを特徴とする請求項76に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項79】
前記支持体は、ガラスを含んでなることを特徴とする請求項76に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項80】
前記支持体は、マイクロアレイを備えることを特徴とする請求項76に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項81】
前記マイクロアレイは、バイオプローブスポットを含んでなることを特徴とする請求項80に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項82】
前記バイオプローブスポットは、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、タンパク質、ペプチド、有機分子、糖類、医薬品、およびそれらの組合せからなるグループから選択されていることを特徴とする請求項81に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項83】
さらに、複数の流体受け入れ部分およびこれら複数の流体受け入れ部分と流体連通する複数のチャネルを含み、前記チャネルは前記反応チャンバと連通していることを特徴とする請求項80に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項84】
前記複数のチャネルは、前記マイクロアレイの個々のスポットに接続されることを特徴とする請求項83に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項85】
前記複数のチャネルは、前記マイクロアレイのスポットの個々のグループに接続されることを特徴とする請求項82に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項86】
前記取り外し可能部材は、包囲空間を含むことを特徴とする請求項61に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項87】
前記包囲空間は、取り外し可能シールを備えてなることを特徴とする請求項86に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項88】
前記流体受け入れ部分内の前記流体が反応チャンバに流れるように、作動されるように適合されることを特徴とする請求項61に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項89】
前記作動は、重力、遠心力、毛管力、求心力、ガス圧力、電気浸透、DCおよびAC動電、電気泳動、電気濡れ、磁力、音響力、空圧駆動力、機械マイクロポンプ力、正および負の変位力、熱的力、電気化学的気泡発生力、およびそれらの組合せからなるグループから選択された力により行われることを特徴とする請求項88に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項90】
前記流体は、最初は乾燥形態であり、液化されるように適合されることを特徴とする請求項61に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項91】
さらに、少なくとも1つの排出口を備え、前記排出口は周囲環境および前記反応チャンバと流体連通することを特徴とする請求項61に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項92】
前記取り外し可能部材は、補助マイクロ流体フローセルを備えてなることを特徴とする請求項61に記載のマイクロ流体フローセル。
【請求項93】
流体を推進するマイクロ流体システムであって、該システムは、少なくとも1つのマイクロ流体デバイスを備え、該マイクロ流体デバイスは、
少なくとも1つの反応部分および流体を受け入れるための少なくとも1つの流体受け入れ部分を備えるマイクロ流体フローセルと、
反応を実行するための、前記マイクロ流体フローセルと接続するための取り外し可能部材と、
前記取り外し可能部材と接続されたときに、前記反応部分により形成されるとともに、前記流体受け入れ部分と流体連通する、中で反応を実行させるための反応チャンバと、
前記流体受け入れ部分の中の前記流体が前記反応チャンバに流れるようにするため前記マイクロ流体デバイス上に外力を加える力印加デバイスと、
を含むことを特徴とするマイクロ流体システム。
【請求項94】
前記取り外し可能部材は支持体を備え、前記マイクロ流体フローセルは前記支持体上に配置されることを特徴とする請求項93に記載のマイクロ流体システム。
【請求項95】
前記支持体は、ガラスを含んでなることを特徴とする請求項94に記載のマイクロ流体システム。
【請求項96】
前記支持体は、マイクロアレイを備えることを特徴とする請求項94に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項97】
前記マイクロアレイは、バイオプローブスポットを備えてなることを特徴とする請求項96に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項98】
前記バイオプローブスポットは、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、タンパク質、ペプチド、有機分子、糖類、医薬品、およびそれらの組合せからなるグループから選択されることを特徴とする請求項97に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項99】
前記マイクロ流体フローセルは、基材を備えてなることを特徴とする請求項93に記載のマイクロ流体システム。
【請求項100】
前記基材は、エラストマー材料を備えてなることを特徴とする請求項99に記載のマイクロ流体システム。
【請求項101】
前記エラストマー材料は、PDMSを含むことを特徴とする請求項100に記載のマイクロ流体システム。
【請求項102】
前記力印加デバイスは、遠心分離デバイスを含むことを特徴とする請求項93に記載のマイクロ流体システム。
【請求項103】
前記遠心分離デバイスは、複数の前記マイクロ流体デバイスを前記遠心分離デバイス上に位置決めするための回転可能な台部を備えることを特徴とする請求項102に記載のマイクロ流体システム。
【請求項104】
前記プラットフォームは、マイクロ流体デバイス受け入れ部分を備えることを特徴とする請求項103に記載のマイクロ流体システム。
【請求項105】
前記マイクロ流体デバイス受け入れ部分は、スロットを備え、前記取り外し可能部材は前記スロットに受け入れられるガラス製支持スライドを備えることを特徴とする請求項104に記載のマイクロ流体システム。
【請求項106】
前記回転可能な台部は、円板を備えることを特徴とする請求項103に記載のマイクロ流体システム。
【請求項107】
前記円板は、アクチュエータと動作可能に連通し、アクチュエータにより回転される中心部を備えることを特徴とする請求項106に記載のマイクロ流体システム。
【請求項108】
前記中心部は開口部を備え、前記アクチュエータはモーターに取り付けられたハブを備えることを特徴とする請求項107に記載のマイクロ流体システム。
【請求項109】
前記円板は、その周縁近くに配置された廃液貯蔵容器を備えることを特徴とする請求項106に記載のマイクロ流体システム。
【請求項110】
前記マイクロ流体デバイスは、流体を分注するための分注部分を含み、前記マイクロ流体デバイスは前記分注部分が前記廃液貯蔵容器に面した状態で、前記円板上に配置され、それにより、前記円板の動作中に、前記廃液貯蔵容器は分注された流体を回収することを特徴とする請求項109に記載のマイクロ流体システム。
【請求項111】
さらに、前記反応チャンバ内で生じる前記反応を検出及び/又は分析する反応検出/分析デバイスを備えることを特徴とする請求項93に記載のマイクロ流体システム。
【請求項112】
前記流体は、試薬を含むことを特徴とする請求項93に記載のマイクロ流体システム。
【請求項113】
マイクロ流体構造内における反応に使用される流体を推進するための方法であって、
(a)取り外し可能部材と接続されるマイクロ流体フローネットワークを備えるマイクロ流体構造を提供するステップであって、前記取り外し可能部材と前記マイクロ流体フローネットワークとの間に反応チャンバを形成し、該反応チャンバが前記ネットワークと流体連通する、ステップと、
(b)前記ネットワーク内に少なくとも1つの液状試料生成物を配置し、少なくとも1つの反応生成物を前記ネットワークおよび前記反応チャンバのうちの一方の中に配置するステップと、
(c)前記ネットワーク内の前記生成物が前記反応チャンバに移動し、前記反応チャンバの中で反応が引き起こされるように前記マイクロ流体フローネットワークを作動するステップと、
(d)前記反応の結果が前記取り外し可能部材および前記ネットワークの少なくとも一方に提供されている状態で、前記ネットワークから前記取り外し可能部材の少なくとも一部を取り外すステップと、
を含む方法。
【請求項114】
さらに、
(e)前記反応を検出及び/又は分析するステップを含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記ステップ(e)は、前記反応チャンバ内で前記反応が検出及び/又は分析されるように、前記ステップ(d)の前に実行されることを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記反応は、前記取り外し可能部材および前記ネットワークのうちの少なくとも一方で検出及び/又は分析されることを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項117】
前記少なくとも1つの液状試料生成物は、試薬を含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項118】
前記少なくとも1つの液状試料生成物は、液相検体を含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項119】
前記反応生成物は、流体を含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項120】
前記反応生成物は、固形物質を含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項121】
前記反応生成物は、バイオプローブを含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項122】
前記バイオプローブは、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、タンパク質、ペプチド、有機分子、糖類、医薬品、およびそれらの組合せからなるグループから選択されることを特徴とする請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記取り外し可能部材は、支持体を備え、前記ネットワークは前記支持体上に接続されることを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項124】
前記ステップ(b)において前記少なくとも1つの反応生成物の前記反応チャンバ内への前記配置は、前記反応生成物を前記支持体上に配置してから前記支持体上の前記ネットワークを接続し、それにより前記反応チャンバを形成することを含むことを特徴とする請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記支持体は、マイクロアレイを備えることを特徴とする請求項123に記載の方法。
【請求項126】
前記支持体は、ガラスを含むことを特徴とする請求項123に記載の方法。
【請求項127】
前記支持体は、プローブを共有結合的に結合するように機能化されていることを特徴とする請求項123に記載の方法。
【請求項128】
前記支持体は、疎水性にされていることを特徴とする請求項123に記載の方法。
【請求項129】
前記ネットワークは、マイクロ流体フローセルにより形成されていることを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項130】
前記マイクロ流体フローセルは、基材を備えてなることを特徴とする請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記基材は、エラストマー材料を含むことを特徴とする請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記エラストマー材料は、PDMSを含むことを特徴とする請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記マイクロ流体フローセルは、疎水性にされていることを特徴とする請求項129に記載の方法。
【請求項134】
前記液状試料生成物および前記反応生成物のうちの前記少なくとも一方は、最初は乾燥生成物として与えられ、前記工程(b)に先立って前記乾燥生成物を液化するステップを含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項135】
前記液状試料生成物および前記反応生成物のうちの前記少なくとも一方は、最初は乾燥生成物として与えられ、前記工程(b)で前記配置された後、前記乾燥生成物を液化するステップを含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項136】
前記反応は、ハイブリダイゼーション反応を含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項137】
前記作動するステップは、重力、遠心力、毛管力、求心力、ガス圧力、電気浸透、DCおよびAC動電、電気泳動、電気濡れ、磁力、音響力、空圧駆動力、機械マイクロポンプ力、正および負の変位力、熱的力、電気化学的気泡発生力、およびそれらの組合せからなるグループから選択された力をマイクロ流体フローネットワークに印加するステップを含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項138】
前記ネットワークは、前記反応チャンバに対して近位位置から遠位位置までの一連の流体受け入れ部分を含み、前記ステップ(b)はそれぞれの前記液状試料を前記一連の流体受け入れ部分のそれぞれの中に配置するステップを含み、前記工程(c)における前記作動するステップにより、前記一連の前記流体受け入れ部分の中の流体生成物は最も近い位置にある前記流体受け入れ部分から最も遠い位置にある前記流体受け入れ部分まで前記反応チャンバへ順次推進されることを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項139】
前記ステップ(c)における前記作動させるステップは、遠心分離を含み、前記流体の順次推進は遠心分離速度を漸次増大することにより引き起こされることを特徴とする請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記ステップ(c)における前記作動させるステップは、遠心分離を含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項141】
前記遠心分離は、
前記接続されたネットワークおよび取り外し可能部材を回転可能台部の上に配置するステップと、
前記ネットワーク内で遠心力を前記流体生成物に印加するように台部を作動させるステップと、
を含むことを特徴とする請求項140に記載の方法。
【請求項142】
前記ステップ(c)は、さらに、分注部分を介して前記マイクロ流体構造から流体廃液を分注するステップを含むことを特徴とする請求項141に記載の方法。
【請求項143】
さらに、前記回転可能な台部上に形成された流体廃液回収部分を介して遠心分離中に流体廃液を回収するステップを含むことを特徴とする請求項140に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【公表番号】特表2007−536504(P2007−536504A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504230(P2007−504230)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000458
【国際公開番号】WO2005/093388
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506324275)インフェクシオ・リシェルシェ・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】