説明

取外し可能な弾性要素を有するヘルニアパッチ

発明は、ある局面において、身体構造壁の欠陥を修復するために身体内に送達可能な移植装置を提供する。かかる1つの移植装置は、柔軟なシート形材料と、シート形材料と関連付けて保持される取外し可能な弾性要素とを含む。ある形態において、弾性要素は、全体として身体内へ送達されるように適合化され、その後、身体内からの取外しのためにシート形材料から分離することができる。シート形材料は、天然に由来するものと非天然に由来するものとを含む1つ以上のさまざまな生体適合性材料で形成され得る。例示的に、シート形材料は、再造形可能な血管形成材料、たとえば再造形可能な細胞外マトリックス(ECM)材料で構成され得る。追加的な実施例において、発明は、これらおよび他の発明の移植装置を身体内に送達するための方法および装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本発明は、概して医療用装置に関し、特定の局面において、身体構造壁の欠陥を修復するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
さらなる背景として、世界中で何千万もの人々が毎年ヘルニアになるものと推定される。あらゆる年齢の男性および女性がヘルニアを有する可能性がある。ヘルニアは、本質的に腹壁の開口であり、そこを通って腸などの腹部の内容物が突出し得る。腹壁の内側層が弱体化し、次いで隆起したり裂けたりするとヘルニアが生じる。腹部の内側内層は、弱体化した部位を押し分け、風船状の嚢を形成する。これは、ひいては腸または腹部の組織の輪を嚢に滑り込ませ、痛みおよび他の潜在的な深刻な健康上の問題を引起こすことがある。ヘルニアは、通常、腹壁の生来の弱さ、または重い物の持上げ、実質的な体重増加、執拗な咳、もしくは排便もしくは排尿の困難による歪みなどの、腹壁に対する過度の歪みのいずれかによって生じる。
【0003】
すべてのヘルニアのおよそ80パーセントは、鼠径部の付近に位置する。ヘルニアは、鼠径部(大腿部)の下、へそ(臍帯)を通って、かつ以前の切り傷(切開性または腹側)に沿っても生じ得る。鼡径部もしくは鼠径部ヘルニアは、ヘッセルバッハ三角中の腹部の弱体化した壁または鼡径部の床面に生じることがある。この種のヘルニアは、直接ヘルニアと呼ばれる。間接ヘルニアは、腹部から出て精索の一部となるところの精管に隣接する内側リングにおいて生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すべてのヘルニアは、潜在的に生命を脅かす状態である。ヘルニアと診断されると、なんらかの禁忌がない限り修復すべきである。ヘルニアは、通常、腸管の損傷およびさらなる合併症を防ぐために外科的に修復する必要がある。ヘルニアを治療するために、いくつかの異なる「切開」外科的方法と、それほど侵襲性ではないと考えられる方法(たとえば腹腔鏡法)とを含むさまざまな外科的方法が開発されている。切開ヘルニア手術が依然として一般的であるが、時間およびしたがって費用がかかり望ましくない。また切開手術は、正常な組織の過度の切開を伴う大きな切り傷を要し、患者に過度の痛みおよび不快感を引起こし、回復時間および労働できない時間が許容できないほど長く、かつ許容できないほど高い再発率をもたらす。
【0005】
ヘルニアおよび他の身体構造壁欠陥を修復するための、改善された、および/または代替的な装置、ならびに方法が必要とされている。本発明はそれらの必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本発明は、ある局面において、移植装置を身体内に送達するための特有の装置を提供する。かかる装置の1つは、遠位端開口部と連通する管腔を有する送達装置と、送達装置管腔内に置かれた移植装置とを含む。送達装置の遠位端開口部は、身体内への通過のために構成される。ある場合、送達装置は、腹腔鏡または他の同様の装置である。移植装置は、身体構造の壁の欠陥を修復するのに効果的であり、柔軟なシート形材料と、シート形材料に関連付けて保持される取外し可能な弾性要素とで構成される。弾性要素は、全体として身体内に送達されるように、かつ移植装置が身体内に送達された後でシート形材料から分離されるように適合化される。弾性要素は、移植装置が送達装置管腔内に置かれれているときには、変形した第1の状態を呈し、移植装置が送達装置管腔から取外されるときには、第2の(たとえば弛緩した)状態を取るように適合化される。この弛緩した第2の状態は、身体構造壁欠陥に配置するために、シート形材料の少なくとも1つのセグメントを身体内においておおむね平面形態で表すのに効果的である。ある実施例において、この種の発明の装置は、送達装置管腔内に置かれた押出し部材をさらに含む。かかる押出し部材は、送達装置管腔内で平行移動可能であり、移植装置を遠位端開口部を介して送達装置管腔から押出すのに効果的である。
【0007】
別の実施例において、発明は、移植装置を身体内に送達するための方法を提供し、当該方法は、上述したような装置を利用する。一ステップにおいて、送達装置の遠位端開口部が身体内に置かれる。次いで移植装置は、遠位端開口部を介して送達装置管腔から取外され、弾性要素は、全体として身体内に送達され、身体構造壁欠陥に配置するために、シート形材料の少なくとも1つのセグメントを身体内においておおむね平面形態で表すのに効果的な第2の状態を取る。シート形材料は次いで身体構造壁欠陥上に置かれ、身体に固着されて、シート形材料を身体構造壁欠陥上に維持する。別のステップにおいて、身体からの取外しのために、弾性要素をシート形材料から分離することができる。ある場合、身体構造壁欠陥は、ヘルニアが形成された組織を含む。追加的に、シート形材料を身体に固着させるステップは、シート形材料を身体構造壁に固着させるステップを含む。材料は、さまざまなやり方、たとえば材料を身体構造に締結および/または接合することを伴う方法によって固着させることができる。
【0008】
本発明のさらなる局面は、身体構造の壁の欠陥を修復するために身体内に送達可能な移植装置を提供する。この移植装置は、柔軟なシート形材料と、シート形材料に関連付けて保持され、かつシート形材料の少なくとも1つのセグメントをおおむね平面形態で表すのに効果的な弛緩した状態を呈する取外し可能な弾性要素とを含む。弾性要素は、全体として身体内に送達されるように適合化され、かつ、シート形材料から延在する回収部分を有する。回収部分は、身体からの取外しのために弾性要素をシート形材料から分離するために、身体内での回収に適合化される。シート形材料は、さまざまな形状および寸法を呈することができ、天然に由来するものと非天然に由来するものとを含む1つ以上のさまざまな生体適合性材料で形成され得る。好ましい実施例において、シート形材料は、再造形可能な血管形成材料、たとえば粘膜下層などの再造形可能な細胞外マトリックス材料で構成される。この種の弾性要素は、多数の形状および寸法を有することができ、単一または多数部品の装置であるかにかかわらず、1つ以上のさまざまな材料で形成され得る。一形態では、弾性要素は、1片以上のニチノール(登録商標)製部品または他の同様のワイヤを含む。また弾性要素は、いずれかの好適なやり方でシート形材料に関連付けて保持され得る。例示的には、シート形材料に関連付けて弾性要素を保持するために弾性要素を収容することができる収容部位は、材料に沿って存在し得る。一実施例においては、かかる収容部位は、シート形材料の折返された周辺領域で構成される。追加的にまたは代替的に、発明の装置は、シート形材料に関連付けて弾性要素を保持するために、シート形材料と接合されるかもしくは連結されるか、または別のやり方で結合される保持適合物を含み得る。
【0009】
本発明の他の目的、実施例、形態、特徴、利点、局面、および利益は、ここに含まれる詳細な説明と図面とから明らかになるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例に係る移植装置の斜視図である。
【図2】部分的に丸められた形態で図1の移植装置を示す図である。
【図3】送達装置管腔内に置かれた図1の移植装置を含む本発明の装置の斜視図である。
【図4】本発明の別の移植装置の上面図である。
【図5】本発明の別の実施例に係る移植装置の部分上面図である。
【図6】本発明の別の移植装置の上面図である。
【図7】本発明の追加的な移植装置の上面図である。
【図8】本発明の別の実施例に係る移植装置の上面図である。
【図9】本発明のさらに別の移植装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本発明は多くの異なる形態で実施され得るが、本発明の原理についての理解を促進する目的で、図面中に例示される実施例を参照し、特定の文言は同じものを説明するのに使用される。しかしながら、それによって発明の範囲の限定は意図されないことが理解されるであろう。説明される実施例の変更およびさらなる修正、ならびにここに説明される本発明の原理のいずれかのさらなる応用は、発明が関連する分野の当業者が通常想到し得るものと意図される。
【0012】
上述したように、ある局面において、本発明は、身体構造壁の欠陥を修復するための特有の移植装置を提供する。かかる装置の1つは、柔軟なシート形材料と、シート形材料に関連付けて保持される取外し可能な弾性要素とを含む。弾性要素は変形可能であり、変形していないすなわち「弛緩した」状態にあるとき、関連付けられたシート形材料の少なくとも1つのセグメントをおおむね平面形態で表すのに効果的である。変形されると、たとえば一部をなす移植装置の形状が(たとえば丸めるおよび/または折畳むなどによって)若干変形されると、弾性要素は次いで、その変形していない状態に本質的に戻る態勢となり、関連付けられたシート形材料を再びおおむね平面形態で表す。ある実施例において、弾性要素は圧縮された第1の状態に圧縮可能であり、この圧縮された状態にあるときには、次いで、拡張された第2の状態に拡張可能である。変形した弾性要素が拡張することが可能な形態において、これらの弾性要素は、自己拡張型と考えられるものと、拡張するために少なくともなんらかの操作を必要とするものとを含むことができる。弾性要素は、全体として身体内に送達されるように適合化され、ある形態では、シート形材料から距離を隔てて延在するように構成された回収部分を有する。回収部分は、身体からの取外しのために弾性要素をシート形材料から分離させるために、身体内での回収に適合化される。一実施例においては、この種の移植装置はヘルニア修復パッチである。
【0013】
追加的に、本発明は、これらおよび他の発明の移植装置を身体内に送達するための装置を提供する。かかる装置の1つは、遠位端開口部と連通する管腔を有する送達装置と、送達装置管腔内に置かれた、上述したような移植装置とを含む。したがって、移植装置が送達装置管腔内に置かれるときには、弾性要素は、柔軟なシート形材料とともに何らかのやり方で変形される。次いで、移植装置が送達装置管腔から取外されると、弾性要素はその変形していない状態に戻り、関連付けられたシート形材料の少なくとも1つのセグメントを再びおおむね平面形態で表すことができる。任意に、かかる装置は、送達装置管腔内に置かれた押出し部材を含む。この押出し部材は、送達装置管腔内で平行移動可能であり、移植装置を遠位端開口部を介して送達装置管腔から押出すのに効果的である。一実施例において、この種の送達装置は、腹腔鏡または他の同様の装置である。
【0014】
発明は、移植装置を身体内に送達するための方法も提供する。1つの発明の方法において、上述したような装置が提供され、送達装置の遠位端開口部が身体内に置かれる。次いで移植装置が遠位端開口部を介して送達装置管腔から取外され、弾性要素が全体として身体内に送達される。取外し後、いったん拘束されていた弾性要素は、その弛緩したすなわち変形していない状態に少なくとも部分的に戻ることができ、身体構造壁欠陥に配置するために、シート形材料の少なくとも1つのセグメントをおおむね平面形態で表すのに効果的である。次いで、シート形材料を身体構造壁欠陥上に置き、シート形材料を身体構造壁欠陥上に維持するために、身体内で固着させることができる。弾性要素を次いでシート形材料から分離させ、身体から取外すことができる。ある場合には、移植装置は、弾性要素が、少なくとも何らかの追加的な操作なしに実質的に変形していない状態に戻ることができないように、身体内の比較的限られた空間に送達されることになる。かかる例において、当初の配置に続いて、異なる量の弾性要素の変形が望まれる場合、移植装置は、所望量を実現するために身体内で再配置されるか、または別のやり方で操作され得る。
【0015】
ここに記載される装置は、広範な用途を有する。ある局面において、発明の装置は、罹病するなどして損傷した、または欠陥のある患者組織を、交換、増強、支持、修復、および/または他の方法で好適に治療するための処置において有用である。したがって、ここに記載される装置の一部はヘルニアが形成された組織を治療するのに有用であるが、発明の装置はヘルニアが形成されていない組織を治療するのに使用することもできる。この点に関し、発明の装置は、移植材料の身体構造への適用が患者に利点をもたらすことができるあらゆる処置において使用することができる。
【0016】
さらにこの点に関し、ここに記載される移植装置は、さまざまなやり方で身体内に送達することができる。例示的に、装置の送達は、腹腔鏡または他の同様の送達機器を要し得る。ある形態では、発明の装置は、圧縮可能な移植装置を、身体内への通過のために、圧縮された状態に効果的に維持することができる送達機器を含む。その後、圧縮された装置が機器によって望ましく身体内を通過すると、移植装置を、圧縮されていない状態に少なくとも部分的に戻ることができる場所で、送達装置から解放するなどして分離することができる。発明のより広範な局面には必要ではないものの、ある場合において、この種の機器は、圧縮された移植装置を全体的にまたは部分的に包囲し、かつ身体内により小さい外形で送達するためにこの圧縮された状態に装置を維持するように構成された壁部分を含む。身体内への送達のために圧迫されるかまたは別のやり方で圧縮された状態に移植装置を維持するためのこれらおよび他の適合物は当業者によって認識され、したがって本発明によって包含される。
【0017】
図1を参照し、本発明に係る移植装置30を示す。装置30は、一片の柔軟なシート形材料31および弾性要素32を含む。材料片31はおおむね矩形形状を示し、以下により十分に説明されるように、天然に由来するものと非天然に由来するものとを含む1つ以上のさまざまな材料で形成され得る。弾性要素32は、材料片31の周辺部に沿って存在する収容部位34に取外し可能に置かれる。このように置かれると、弾性要素32は、シート形材料31を図1に示されるおおむね平面形態で表すのに効果的である。この特定の実施例において、材料片の外縁35は折返されて縫合され、スリーブまたはスリーブ状の収容部位を形成する。かかるスリーブは、弾性要素の周囲に形成することができるか、または代替的に、スリーブを形成し、次いで弾性要素をそこに置くことができる。弾性要素32は、構成材料についても変化し得る。ある好ましい実施例においては、かかる弾性要素は、複数の側面および湾曲部を有する一本のニチノール(登録商標)ワイヤである。
【0018】
発明のより広範な局面には必要ではないものの、ある場合において、弾性要素は、シート形材料から距離を隔てて延在する部分を含み、身体内に入ると、装置の残りからの弾性要素の分離を容易にする。たとえば図1を再び参照し、弾性要素32は回収部分36を含む。回収部分36は、シート形材料31から距離を隔てて延在し、身体内からの取外しのために弾性要素をシート形材料から分離するために、身体内での回収に適合化されている。この特定の実施例において、回収部分36は輪になった先端部38を含み、身体内での回収部分の回収を容易にすることができる。
【0019】
弾性要素32は、弛緩した状態にあるときにはシート形材料31をおおむね平面形態で表すのに効果的であるものの、柔軟なシート形材料31および弾性要素32は、移植装置30をさまざまな他の形状に変形させることができるようなものである。装置30などの発明の装置の形状は、折畳む、丸める、および/または別のやり方で好適に装置を変形させることを伴うものを含むいずれかの好適なやり方で、変更することができる。たとえば、図2を参照し、装置30はおおむね円筒形態に丸めることができる。この「変形した」構成では、弾性要素32は、再びシート形材料31をおおむね平面形態で表すために「変形していない」構成に戻る(つまり広がる)態勢にある。ある例では、発明の移植装置は、送達装置管腔内に装置を置くことができるように変形される。
【0020】
図3を参照して、装置30などの移植装置を身体内に送達するための装置50を示す。装置50は、遠位端56を有する送達装置55を含む。送達装置55は、遠位端開口部58と連通する管腔57も含む。図3に示すように、移植装置30を完全に丸めて、送達装置管腔57内に置くことができる。本実施例では、任意の押出し部材60が管腔57内に置かれる。押出し部材60は管腔内で平行移動可能であり、移植装置30を遠位端開口部58を介して送達装置管腔から押出すのに効果的である。
【0021】
1つの使用方法では、送達装置遠位端56は、移植装置30が送達装置管腔57内に置かれた状態で、身体内に置かれる。その後移植装置30は、弾性要素32が全体として身体内に送達されるように、遠位端開口部58を介して送達装置管腔から取外される。送達装置管腔から取外されると、弾性要素32は広がり、シート形材料31の全部または一部を身体内においておおむね平面形態で表す。シート形材料は、次いで身体構造壁欠陥上に置かれ、シート形材料を欠陥上に維持するように身体に固着される。その後、作業者は回収部分を把持して弾性要素をシート形材料から分離させ、身体内から取外す。
【0022】
本発明のある局面において有用な送達装置は、遠位開放端と連通する管腔を有する。この「先頭の」遠位端は、身体内を通過するように構成される。発明のより広範な局面には必要ではないものの、この遠位端またはそのいずれかの部分は、身体のある部分を通る装置の進行を向上させるように特に構成され得、たとえば先細りの部分を含み、および/またはドーム形状もしくは別のやり方で丸められた先端部を有する。したがって、かかる装置は、ここに記載される機能を実行するためのいずれかの好適な寸法、形状、および構成を呈することができる。
【0023】
ある実施例において、送達装置は剛体または実質的に剛体であり、おおむね直線状となるように構成される。代替的に、発明において有用な送達装置は、曲線からなるか、曲げられるか、または別のやり方で好適に成形された1つ以上の部分を含むように構成することができる。ある局面では、送達装置の遠位端は、遠位端をより簡単にある身体領域へと通過させることができる程度に湾曲される。ある形態では、送達装置は、限定はしないが織られたもしくは螺旋状に構成された金属または合金材料、またはプラスチック(炭化水素系)材料などの展性材料で構成され、ある体内空間へと通過させるために必要な角度もしくは曲率に曲げられ得る。かかる送達装置の形状は、送達装置をさらに一層身体内へと通過させることができるように、処置中一定の間隔で調整され得る。ある形態では、送達装置は、弛緩した状態ではおおむね直線状であるが、通過中には輪郭線に適合するように撓むことができる。
【0024】
この点について、送達装置は、発明において使用されると、1つ以上のさまざまな材料で形成することができる。限定はしないが重量、耐久性、可撓性等などの1つ以上の特性を利用するために、特定の材料が選択され得る。たとえば装置は、座屈したり、ねじれたり、周囲の軟組織および/または他の身体部分に許容できないほどの損傷を引起こしたりすることなく、ある容積の組織もしくは他の身体空間を装置に横断させることができる特性を有する材料を含み得る。例示的に、装置またはその選択された部分(たとえば遠位端)は、ある程度の可撓性を呈することができる。この点について、送達装置またはそのいずれかの部分は、剛体であるか、展性を有するか、半可撓性を有するか、または可撓性を有し得る。ある実施例において、前進可能な装置は、取られる経路が鋭く角張っているまたは急峻に曲がる身体領域を通り、かつその中へと移動するように特に適合化される。これらの実施例のうちの一部において、装置は身体を通って誘導可能または操縦可能であるように構成され、したがって、作業者が適度な順行力(ante-grade force)を装置に与えることができ、望ましいやり方で装置に身体領域を横断させるための望ましい特質、たとえば十分な剛性を呈する。
【0025】
発明の送達装置または装置構成要素を形成するのに好適な材料は、限定はしないが、ステンレス鋼、チタン、コバルト、タンタル、金、白金、ニッケル、鉄、銅など、およびこれらの金属の合金(たとえばElgiloy(登録商標)などのコバルト合金、コバルト−クロム−ニッケル合金、MP35N、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金、およびニチノール(登録商標)、ニッケル−チタン合金)を含む金属材料を含むことができる。追加的にまたは代替的に、送達装置は、織糸、繊維、および/または樹脂の形態の材料、たとえばモノフィラメント織糸、強力ポリエステルなどを含むことができる。送達装置は、他のプラスチック、樹脂、重合体、織物、および布地外科用材料、形状記憶プラスチックなどの他の従来の合成外科用材料、および/またはかかる材料の組合わせも含むことができる。さらに、限定はしないが、ハイドロキシアパタイト、アルミナ、および熱分解炭素を含む適切なセラミックスを使用することができる。
【0026】
ある形態では、可撓性送達装置は、送達処置中に身体から装置を取外すのを容易にするための1つ以上の適合物を組込むことになる。例示的に、送達装置の壁は、身体から装置を取外す際に剥離動作を容易にするために壁の一部分を弱体化させる切り目、より薄い部分、ならびに他の開口部および非開口部を組込むことができる。かかる弱体化された部分は、当該部位に沿って裂くまたは割るのを容易にするためのいずれかの好適な手段を含み得る。ある有利な形態において、送達スリーブまたは他の同様の装置は、たとえば米国インディアナ州ブルーミントンのクック社(Cook Incorporated)から入手可能なPeel-Away(登録商標)カテーテルに見られるように、取外しのために、長手方向に2つ以上の小片に制御可能に分離することができる。分離可能なスリーブを有するかかる装置は、接近するのが比較的難しい内部身体構造を治療する際に特に有用である。
【0027】
発明において有用な柔軟なシート形材料について、より詳細に説明する。発明の装置は、1つ以上の個別の柔軟な材料片を組込むことができる。発明のより広範な局面には必要ではないものの、装置が多数の材料片を含む場合、いずれかの所与の材料片は、装置内に存在するいずれかの他の材料片に取付けられ得る。材料片を接合剤とともに接合することを伴うものと、材料片を組合せるために当該分野で知られている縫合糸、止め金、および/または他の物体とともに材料片を連結することを伴うものとを含むさまざまなやり方で、材料片を互いに取付けるか、または別のやり方で結合させることができる。また、2つの材料片を、それぞれの材料片に沿ったさまざまな位置のうちの1つ以上において、互いに結合させることができる。例示的に、第1の材料片の端縁は、第2の材料片に、たとえば第2の材料片の端縁に取付けることができる。ある局面では、2つの材料片は、取付けられていても取付けられていなくてもよいが、発明の装置において部分的にまたは全体的に互いに重なり合う。好ましい実施例では、発明の装置は多層移植材料を含み、個々の材料層(たとえば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つ以上の材料層)が脱水熱により(dehydrothermally)および/または別のやり方で互いに接合され、実質的に一体的な移植材料構造体を形成する。
【0028】
発明において使用される柔軟なシート形材料片は、さまざまな形状および寸法を呈することができる。例示的に、発明の装置は、おおむね正方形、長方形であるか、またはたとえば3本、4本、5本、6本、もしくはいずれかの他の好適な数の辺を有するいずれかの他の好適な直線形状を有する1つ以上の材料片を組込むことができる。発明において使用される柔軟な材料片、またはそのいずれかの部分は、非直線状とすることもできる。かかる材料は、たとえばおおむね円形もしくは楕円形状、またはいずれかの他の好適な曲線形状を呈する曲線特徴を有することができる。ある形態では、柔軟な材料片は、曲線部分および非曲線部分の両方を有する。他の好適な形状および構成は当業者によって認識され、したがって本発明によって包含される。一般に、発明において使用される柔軟なシート形材料は、たとえば、身体構造の壁の1つ以上の欠陥を修復するかまたは別のやり方で治療する際に、移植用途に使用されるいずれかの好適な寸法および形状を呈することができる。これらは、当該分野で現在知られている修復装置および他の同様の移植片を含み、この点について、かかる装置を、本発明に係る装置を提供するように好適に適合化することができる。
【0029】
発明において有用な柔軟なシート形材料は一般に生体適合性であるべきであり、移植装置のある有利な実施例では、再造形可能な材料で構成される。再造形可能なコラーゲン材料を含む移植装置によって、特定の利点をもたらすことができる。かかる再造形可能なコラーゲン材料は、再構成されていても再構成されていなくても、たとえば温血脊椎動物、特に哺乳動物から分離されたコラーゲン材料によって供給することができる。かかる分離されたコラーゲン材料は、再造形可能な血管形成特性を有し、かつ細胞侵入および内方成長を促進するように処理することができる。再造形可能な材料は、このような状況で使用され、発明の移植装置が適用される組織の上、周囲、および/または内部での細胞成長を促進し得る。
【0030】
好適な再造形可能な材料は、生体親和特性を保有するコラーゲン細胞外マトリックス(ECM)材料によって供給することができる。たとえば、好適なコラーゲン材料は、粘膜下層、腎被膜、真皮コラーゲン、硬膜、心膜、大腿筋膜、漿膜、腹膜、または肝臓基底膜を含む基底膜層を含むものなどのECM材料を含む。これらの目的に好適な粘膜下層材料は、たとえば、小腸粘膜下層を含む腸粘膜下層、胃粘膜下層、膀胱粘膜下層、および子宮粘膜下層を含む。本発明において有用な粘膜下層を(場合によっては他の関連付けられた組織とともに)含むコラーゲンマトリックスは、かかる組織源を採取し、平滑筋層、粘膜層、および/または組織源に存在する他の層から粘膜下層含有マトリックスを離層することによって得ることができる。本発明において有用な粘膜下層に関する追加的な情報と、その分離および取扱いとについては、たとえば米国特許番号第4,902,508号、第5,554,389号、第5,993,844号、第6,206,931号、および第6,099,567号を参照することができる。
【0031】
たとえばCook他の米国特許第6,206,931号に記載されているように、発明において有用な粘膜下層および他のECM材料は、高度に純化されることが好ましい。したがって好ましいECM材料は、1グラム当たり約12エンドトキシン単位(EU)未満、より好ましくは1グラム当たり約5EU未満、最も好ましくは1グラム当たり約1EU未満のエンドトキシンレベルを呈することになる。追加的に好ましくは、粘膜下層または他のECM材料は、1グラム当たり約1コロニー形成単位(CFU)未満、より好ましくは1グラム当たり約0.5CFU未満のバイオバーデンを有し得る。真菌レベルは同様に低いことが望ましく、たとえば1グラム当たり約1CFU未満、より好ましくは1グラム当たり約0.5CFU未満である。核酸レベルは、好ましくは約5μg/mg未満、より好ましくは約2μg/mg未満であり、ウイルスレベルは、好ましくは1グラム当たり約50プラーク形成単位(PFU)未満、より好ましくは1グラム当たり約5PFU未満である。米国特許第6,206,931号に教示されている粘膜下層または他のECM組織のこれらおよび追加的な特性が、本発明において使用されるいずれかのECM組織の性質であってもよい。
【0032】
発明において使用される分離された粘膜下層または他のECM組織層の典型的な層厚は、十分に水和されている場合に約50〜約250ミクロン、より典型的には、十分に水和されている場合に約50〜約200ミクロンの範囲であるが、他の厚さを有する分離された層も得られ、使用され得る。これらの層厚は、組織源として使用される動物の種類および年齢に応じて変動し得る。また、これらの層厚は、動物源から得られる組織の供給源に応じて変動し得る。
【0033】
好適な生物活性剤は、ECM組織材料の供給源に固有の1つ以上の生物活性剤を含み得る。たとえば、粘膜下層または他の再造形可能なECM組織材料は、限定はしないが、塩基性線維芽細胞成長因子(FGF−2)、形質転換成長因子ベータ(TGF−ベータ)、上皮細胞成長因子(EGF)、軟骨由来成長因子(CDGF)、および/または血小板由来生長因子(PDGF)などの1つ以上の生長因子を保持し得る。発明において使用される場合、粘膜下層または他のECM材料も、限定はしないが、タンパク質、糖タンパク質、プロテオグリカン類、およびグリコサミノグリカン類などの他の天然生物活性剤を保持し得る。たとえば、ECM材料は、ヘパリン、ヘパリン硫酸塩、ヒアルロン酸、フィブロネクチン、サイトカインなどを含み得る。したがって、一般的に言えば、粘膜下層または他のECM材料は、細胞形態、増殖、成長、タンパク質または遺伝子発現の変化などの細胞反応を直接的もしくは間接的に誘起する1つ以上の生物活性成分を保持し得る。
【0034】
本発明の粘膜下層または他のECM材料は、いずれかの好適な器官または他の組織源、通常は結合組織を含有する供給源に由来することができる。発明での使用のために処理されたECM材料は、典型的に豊富なコラーゲンを含み、最も一般的には、乾燥重量ベースで少なくとも約80重量%のコラーゲンによって構成されることになる。かかる天然由来のECM材料の大部分は、非ランダムに配向された、たとえばおおむね単軸または多軸であるが規則的に配向された繊維として存在するコラーゲン繊維を含むことになる。天然の生物活性因子を保持するように処理されると、ECM材料は、コラーゲン繊維の間、上、および/または内部に固体として点在したこれらの因子を保持することができる。発明で使用される特に望ましい天然由来のECM材料は、適切な着色による光顕微鏡検査で容易に確認可能な有意な量のかかる点在した非コラーゲン固体を含むことになる。かかる非コラーゲン固体は、ある発明の実施例において有意な割合の乾燥重量のECM材料、たとえば発明のさまざまな実施例において少なくとも約1重量%、少なくとも約3重量%、および少なくとも約5重量%を構成することができる。
【0035】
本発明で使用される粘膜下層または他のECM材料は血管形成性質も呈し、したがって当該材料で移植される宿主において血管形成を誘起するのに効果的であり得る。この点について、血管形成は、身体が新たな血管を作り、組織への血液供給を増加させる処理である。したがって、血管形成材料は、宿主組織に接すると、材料中への新たな血管の形成を促進するかまたは助長する。バイオ材料埋込に応答した生体内血管形成を測定するための方法が近年開発されている。たとえば、かかる方法の1つは、皮下埋込モデルを使用して、材料の血管形成性質を判定する。C.Heeschen他、Nature Medicine 7(2001)、第7号、833〜839ページ参照。蛍光細血管造影法と組合せると、このモデルは、バイオ材料への血管形成の量的および質的基準の両方を提供することができる。C. Johnson他、Circulation Research 94(2004)、第2号、262〜268ページ参照。
【0036】
さらに、かかる天然生物活性成分を含むことに加えてまたは代替的に、組換え技術もしくは他の方法によって合成的に生成されたもの(たとえばDNAなどの遺伝子材料)などの非天然生物活性成分をECM材料に組込み得る。これらの非天然生物活性成分は、ECM組織に天然に存在するものに相当するがおそらく種が異なる天然由来のまたは組換えにより生成されたタンパク質であり得る。これらの非天然生物活性成分は、製剤原料であり得る。材料に添加され得る例示的な製剤原料は、たとえば抗凝固剤、たとえばヘパリン、抗生物質、抗炎症剤、たとえばトロンビン、フィブリノゲン等の血液凝固因子などの血栓促進物質、および抗細胞増殖剤、たとえばパクリタキセルなどのタキソール誘導体を含む。かかる非天然生物活性成分は、たとえばごく数例を挙げると、表面処理(たとえば噴霧)および/または含浸(たとえば浸漬)によって、いずれかの好適なやり方でECM材料中および/または上に組込むことができる。また、これらの物質は、製造前工程において、処置の直前に(たとえば、セファゾリンなどの好適な抗生物質を含有する溶液に材料を浸漬させることによって)、または患者への材料の移植中もしくは移植後に、ECM材料に与えられ得る。
【0037】
発明の移植材料は、異種移植材料(つまりヒト以外の提供者からヒトの移植患者への組織材料などの異種間材料)、同種移植材料(つまり移植患者と同じ種の提供者からの組織材料による種間材料)、および/または自家移植材料(つまり提供者と移植患者とが同じ個体である場合)を含むことができる。さらに、ECM材料に組込まれるいずれかの外因性生物活性物質は、ECM材料が由来する動物と同じ種(たとえば自己由来またはECM材料と同種)からであってもよいし、ECM材料源とは異なる種(ECM材料に対して異種)からであってもよい。ある実施例では、ECM材料は、移植を受ける患者に対して異種となり、いずれかの追加される外因性材料は、移植を受ける患者と同じ種(たとえば自己由来または同種)からとなる。例示的に、ここに記載されるような外因性のヒトの材料で修正された異種ECM材料(たとえばブタ、ウシ、またはヒツジ由来)によってヒトの患者を治療してもよく、これらの外因性材料は、天然由来であるか、または組換えによって生成される。
【0038】
発明で使用されるECM材料は、追加的な非天然架橋が本質的になくてもよいし、追加的な架橋を含んでもよい。かかる追加的な架橋は、写真架橋技術によって、化学的架橋剤によって、または脱水もしくは他の手段によって誘起されるタンパク質架橋によって実現され得る。しかし、ある架橋技術、ある橋架剤、および/またはある架橋度は再造形可能材料の再造形可能特性を破壊する可能性があるため、再造形可能特性の維持が望まれる場合は、再造形可能特性の少なくとも一部分を材料に保持させることができる程度またはやり方で、再造形可能ECM材料のいずれかの架橋を行なうことができる。使用され得る化学的架橋剤は、たとえば、グルタルアルデヒドなどのアルデヒド類、カルボジイミド類、たとえばl−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などのジイミド類、リボースもしくは他の砂糖、アシルアジド、スルホ−N−ヒドロキシスクシンアミド、またはポリエポキシド化合物を含み、たとえば、日本国大阪のナガセケミカル株式会社から商品名DENACOL(登録商標)EX810で入手可能なエチレングリコールジグリシジルエーテル、および同じく日本国大阪のナガセケミカル株式会社から商品名DENACOL(登録商標)EX313で入手可能なグリセロールポリグリセリンエーテルなどのポリグリシジルエーテルを含む。典型的に、使用される際、ポリグリセロールエーテルまたは他のポリエポキシド化合物は、1分子当たり2〜約10エポキシ基を有することになる。
【0039】
発明のある実施例において有用であり得る乾燥技術について説明する。蒸発による乾燥または空気乾燥は、水和物を材料から蒸発させることによって、水和化された再造形可能材料を部分的にまたは完全に乾燥させることを一般的に含む。蒸発冷却は、材料を真空中に配置すること、材料上に空気を吹付けること、材料の温度を上昇させること、蒸発中にブロッティング物質を適用すること、もしくはいずれかの他の好適な手段、またはそれらのいずれかの好適な組合せなどによる多くの方法で向上させることができる。蒸発によって乾燥されたECM材料内の空隙空間または開放性マトリックス構造の量は、たとえば、以下で説明するような凍結乾燥によって乾燥されたECM材料よりも、典型的に減少される。
【0040】
好適な凍結乾燥処理は、材料マトリックス中の空隙が水和物で充填されるように、十分な量の水和物を含有するECM材料を供給することを含むことができる。水和物は、純水もしくは無菌食塩水、またはそれらのいずれかの好適な組合せなどの、当該分野で知られているいずれかの好適な水和物を含むことができる。例示的に、材料および水和物が実質的に冷凍または固体状態となるまで、水和化された材料を冷凍庫内に配置することができる。その後、冷凍された材料および水和物を真空チャンバ内に配置し、真空状態を開始させることができる。当該分野で知られているように、十分な真空状態になると、冷凍された水和物が材料から昇華し、それによって乾燥した再造形可能材料がもたらされることになる。
【0041】
代替的な実施例において、水和化されたECM材料は、別個に行なわれる冷凍前工程なしに凍結乾燥することができる。これらの実施例では、強い真空が水和化された材料に適用され、ECM材料中の水和物を凍らせる迅速な蒸発冷却をもたらすことができる。その後、冷凍された水和物が材料から昇華し、それによりECM材料を乾燥させることができる。望ましくは、凍結乾燥によって乾燥されるECM材料は、採取されるECM材料の性質である相当な量の空隙空間または開放性マトリックス構造を維持する。
【0042】
真空加圧による乾燥は、材料が真空に晒されている間、水和化された再造形可能材料を十分にまたは部分的に圧縮することを一般的に含む。真空加圧の好適な方法の1つは、折畳み式の壁を有する真空チャンバ内に再造形可能材料を配置することを含む。真空が確立されると、壁が材料上に折畳まれ、乾燥するまで材料を圧縮する。蒸発乾燥と同様に、再造形可能な材料を真空加圧で乾燥させると、材料を凍結乾燥によって乾燥させる場合よりも、材料の開放性マトリックス構造のより多くが縮小されるかまたは減少する。
【0043】
ある局面において、発明は、多積層材料を含む移植材料を利用する。かかる多積層材料は、互いに接合された複数のECM材料層、互いに接合された複数の非ECM材料、または1つ以上のECM材料層の組合せ、および互いに接合された1つ以上の非ECM材料層を含むことができる。多積層ECM材料を形成するには、たとえば2つ以上のECMセグメントが積層されるか、または1つのECMセグメントを少なくとも1回それ自身の上に折畳み、次いで、脱水状態中の化学的架橋もしくは真空加圧などの接合技術を用いて、層を互いに溶融させるかまたは接合する。材料層間の接合を実現する際に、接着剤、膠、または他の接合剤も使用され得る。好適な接合剤は、たとえば、コラーゲンゲルもしくはペースト、ゼラチン、または反応性単量体もしくは重合体、たとえばシアノアクリレート接着剤を含む他の剤を含み得る。また、上記したものなどの化学的架橋剤を用いて、ECM材料層間で接合を実現するかまたは容易とすることができる。ECM材料層を互いに接合するために、これらのうち1つ以上と脱水誘起接合との組合せも使用され得る。
【0044】
ECM材料の部分を互いに溶融させるために、さまざまな脱水誘起接合方法を使用することができる。1つの好ましい実施例において、複数層のECM材料が脱水状態の下で圧縮される。この状況において「脱水状態」という用語は、ECM材料からの水の除去を促進するもしくは誘起するいずれかの機械的または環境的状態を含むと定義される。圧縮されたECM材料の脱水を促進するには、マトリックス構造を圧縮する2つの表面のうち少なくとも一方を透水性とすることができる。ECM材料の脱水は、圧縮された表面の外面にわたって、ブロッティング材料を適用すること、マトリックス構造を加熱すること、または空気もしくは他の不活性ガスを吹付けることによって、任意にさらに向上させることができる。ECM材料を脱水接合する特に有用な1つの方法は、凍結乾燥である。
【0045】
脱水接合の別の方法は、真空を採用してアセンブリを互いに加圧すると同時に、アセンブリ上を真空引きすることを含む。この方法は、真空加圧として知られている。真空加圧中に、互いに押込接触しているECM材料の脱水は、接合を実現するための他の剤がなくても、材料を互いに効果的に接合する。ただしかかる剤は、脱水誘起接合も少なくとも部分的に利用しつつ使用することができる。十分な圧縮および脱水によって、おおむね一体的なECM構造をECM材料に形成させることができる。
【0046】
発明のある局面において、使用されているいずれかのECM材料、たとえば天然コラーゲン構造と、場合によっては、存在する生物活性物質とに対する有害な作用を最小化する比較的暖やかな温度露出条件下で、乾燥および他の動作を行なうことが有利である。したがって、ヒトの体温より上または若干高い温度に晒される期間なしに、または実質的になしに、つまり約38℃以下で行われる乾燥動作を本発明のある形態において使用することが好ましい。これらは、たとえば、約38℃未満での真空加圧動作、約38℃未満での押込空気乾燥、または積極的な加熱なしでの、すなわちほぼ室温(約25℃)でのもしくは冷却しながらのこれらの処理のうちいずれかを含む。比較的低い温度条件は、当然のことながら凍結乾燥状態を含む。
【0047】
また、発明において有用な移植材料は、天然に存在し得る、または、生体外発酵、組換え遺伝子工学などの生成物であり得る多数の生物学的重合体に由来する生体適合性材料で構成され得る。純化された生物学的重合体は、織り、編み、鋳込み、成型、および押出しなどの技術によって適切に基材に形成することができる。好適な生物学的重合体は、限定はしないが、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、ゼラチン、ポリアミノ酸、多糖類(たとえばセルロースおよびデンプン)、ならびにそれらの共重合体を含む。
【0048】
発明の移植装置は、限定はしないが生体吸収性および/または非生体吸収性プラスチックを含むさまざまな合成重合体材料も含むことができる。使用される得る生体吸収性すなわち生吸収性重合体は、限定はしないが、ポリ(L−乳酸)、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ハイドロキシブチレート)、ポリ(ハイドロキシブチレート−コ−バレレート)、ポリジオクサノン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレン炭酸塩)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、シアノアクリレート、ポリ(トリメチレン炭酸塩)、ポリ(イミノカルボナート)、コポリ(エーテル−エステル)(たとえばPEO/PLA)、ポリシュウ酸アルキレン、およびポリホスファゼンを含む。これらおよび他の生体吸収性材料は、たとえば、一時的阻止もしくは閉鎖機能のみが望まれる場合に、および/または生体吸収性材料による一時的介入のみが望まれる場合に非生体吸収性材料と組合されて、使用され得る。
【0049】
使用され得る非生体吸収性または生物学的に安定した重合体は、限定はしないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(延伸PTFEを含む)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、シリコーン、およびポリエステル、ならびに他の重合体、たとえば限定はしないが、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、エチレンアルファオレフィン共重合体;アクリル重合体および共重合体、ポリ塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル重合体および共重合体;ポリビニルメチルエーテルなどのポリビニルエーテル;ポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデンなどのポリハロゲン化ビニリデン;ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン;ポリスチレンなどのポリビニル芳香族化合物、ポリ酢酸ビニルなどのポリビニルエステル;エチレン−メチルメタクリル酸塩共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂およびエチレン−ビニルアセテート共重合体などのビニル単量体の互いとのかつオレフィンとの共重合体;ナイロン66およびポリカプロラクタムなどのポリアミド;アルキド樹脂、ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリイミド;ポリエーテル;エポキシ樹脂、ポリウレタン;レーヨン;ならびにレーヨントリアセテートを含む。
【0050】
本発明において有用な弾性要素についてより詳細に説明すると、所与の発明の装置に存在する弾性要素は、1つ以上の個々の材料片または他の物体(たとえば弾性ワイヤ片)を含むことができると理解されるであろう。発明のより広範な局面には必要ではないものの、弾性要素が多数の構成要素を含む場合、特定の構成要素を、他の構成要素のうちのいずれかもしくはすべてに付着させるか、または別のやり方で結合させ得る。ある場合には、装置は、互いに結合されていないが本発明に係る品質(たとえば性能および/または取扱適性)を集合的に装置に呈させることができる2つ以上の弾性要素構成要素を含む。一実施例では、装置は、身体への送達および送達後の留置について望ましい装置を提供するように、本質的に制御されたやり方で互いに協働する少なくとも2つの弾性要素を含む。
【0051】
発明のより広範な局面には必要ではないものの、弾性要素は一般に、柔軟なシート形材料に関連付けて保持されると、シート形材料または少なくともそのうち1セグメントをおおむね平面形態で表すのに効果的な、弛緩したもしくは変形していない状態を呈することになる。しかしある局面では、同様の変形していない弾性要素は、柔軟なシート形材料を、材料のどの部分も平面ではない形態で表すのに効果的である。例示的に、弾性要素が弛緩した状態にあるときに、関連付けられた柔軟なシート形材料が曲線および/または他の好適な非平面品質を有する形態で表されるように、発明の移植装置を適合化することができる。
【0052】
シート形材料に関連付けられている間、弾性要素を変形させて(たとえば折畳む、丸める、ねじる等)、装置全体の形状を変更することができる。たとえば、発明の装置の形状をこのように変形して、装置が変形以前は適合することができなかったであろう空間(たとえば送達装置管腔内のある容積)を占めるようにすることができる。ある形態では、圧縮された、または別のやり方で変形された装置が送達装置管腔内に置かれ、装置が、装置の内壁によって拘束され、実質的にこの変形した状態に維持される。この種の装置において、拘束された装置は、送達中に管腔から装置を取外すために、送達装置管腔においても移動可能でなければならない。装置が圧縮されると、柔軟なシート形材料は、若干制御されたまたはランダムなやり方のいずれかで、変形された弾性要素とともに変形する。柔軟な材料は、折畳まれたおよび/または丸められた材料の部分を含むものを含むいずれかの好適なやり方で変形させることができる。またこの点について、送達装置管腔から移植装置を取外した後、弾性要素は、おおむねその弛緩した状態に戻る際に、関連付けられた柔軟な材料を広げるか、または別のやり方で、以前の変形していない形状に本質的に材料を戻すのに効果的である。
【0053】
本発明において有用な弾性要素は、1つ以上の個々の弾性物体を組込むことができる。図4を参照して、本発明の別の実施例に係る移植装置100を示す。移植装置100は、1片の柔軟なシート形材料101、第1の弾性要素102、および第2の弾性要素102′を含む。第1の弾性要素102および第2の弾性要素102′は、第1の収容部位104および第2の収容部位104′にそれぞれ取外し可能に置かれる。このように置かれると、第1の弾性要素102および第2の弾性要素102′は、シート形材料101を図4に示すようなおおむね平面形態で表すのに効果的である。この特定の実施例において、材料片101の対向する端縁は折返され、収容部位を形成するために縫合される。特に、縫合糸は、側縁部と、各折返された部分の端部の一方とに沿って延在し、弾性要素を中に収容することができる開放端を残す。第1の弾性要素102および第2の弾性要素102′は、第1の回収部分106および第2の回収部分106′をそれぞれ含み、各々おおむね直線状の端部を有し、材料片101からある距離離れて延在する。このように材料から離れて延在することにより、回収部分は、当初の留置に引続いて体内で配置し、回収することが潜在的により簡単である。
【0054】
本発明において有用な弾性要素は、弾性要素を移植材料に直接取付けることを含むものと含まないものとを含むさまざまなやり方で、柔軟なシート形材料に関連付けて保持することができる。ある形態では、弾性要素は、望まれる場合には両者を取外すことができるようにシート形材料に可逆的に取付けられている。この種の装置は、脱連結を可能とする単一もしくは多数部品連結装置の使用を含むもの、望まれる場合には逆転させるかまたは別のやり方で壊すことができる構成要素間の接合、および当業者に知られているように2つの物体を可逆的に互いに取付ける他の好適な手段を含むさまざまなやり方で達成することができる。
【0055】
また、本発明は、材料に取付けられることなく、弾性要素がシート形材料に関連付けて保持される多くの装置を提供する。例示的に、弾性要素は、材料に沿って存在する収容部位に、たとえば材料片の周辺または他の領域に沿って存在する実質的に限られた空間に置くことができる。かかる収容部位は、発明において有用な弾性要素を置き保持することができる単一もしくは多数部品スリーブ、ポケット、チャネル、または他の同様な適合物の形態であり得る。この種の収容部位は、シート形材料自体によって全体的にまたは部分的に規定され得る。たとえば、図1および図4を再び参照すると、好適な収容部位は、材料片の折返された周辺領域によってもたらすことができる。追加的にまたは代替的に、弾性要素を、保持目的のために1回以上材料片に通して織ることができる。当業者には理解されるであろうが、材料片の周辺および/または非周辺領域は、本発明に用途を見出す1つ以上の収容部位をもたらすように、さまざまなやり方で操作することができる。ある場合において、好適な収容部位は、別の材料部分のまわりに、通過して、上などに、折返された、および/または丸められた材料の一部分によって形成され、この別の一部分に固定(たとえば、糊付け、縫合、ホチキス止め等)されて収容部位を維持する。他の場合において、収容部位は、かかる追加的な構成要素を使用せずに維持される。
【0056】
ある実施例において、当初は柔軟なシート形材料から分離している1つ以上の物体が材料と組合され、弾性要素を置き保持することができる収容部位のすべてまたは一部をもたらす。この目的に好適な物体は、限定はしないが、材料と結合して単独でまたは1つ以上の他の物体とともに収容部位をもたらすことができる材料片(たとえばチューブ、スリーブ、バンド等)、止め金、縫合材料、および他の同様の保持要素を含む。図5を参照し、柔軟なシート形材料151に縫合されて、弾性要素160を置くことができる収容部位をもたらす材料セグメント150を示す。特に、複数の縫合糸152は、セグメントの両側縁部と端部の一方とに沿って延在し、弾性要素を中に収容することができる開放端を残す。この種の材料セグメントは、ここに説明されるシート形材料のうちのいずれかとともに使用することができ、周辺および/または非周辺位置を含む所与の材料片上のいずれかの好適な位置に配置することができる。さらに、現実施例の材料片は縫合糸152で互いに固定されているが、両者は、いずれかの好適なやり方で、たとえば接着剤で固定することができる。
【0057】
発明において使用される弾性要素が端部を有する場合、この端部をさまざまなやり方で構成することができる。たとえば、図1に示す弾性要素は、おおむね直線状の一方端部と、輪になった先端部を有する(材料から延在する)別の端部とを有する。代替的に、図4に示す弾性要素は両方とも、おおむね直線状の端部を有する。図5を再び参照し、弾性要素160は、材料セグメント150からある距離を延在し、かぎ付き先端部162を有する回収部分161を含む。弾性要素160の反対側の端部は、輪になった先端部164を含む。かかる輪になった先端部は、弾性要素160が収容部位を横断する際に、シート形材料151および/または材料セグメント150に対する損傷を防ぐことができる。この種の先端部は、装置の当初の留置に引続いて弾性要素160を身体から取外す間の患者組織に対する損傷も防ぐことができる。かかる損傷を防ぐための他の同様の適合物が当業者によって認識されるであろう。したがって本発明によって包含される。追加的に、図5に描かれる収容部位およびここに記載される他の収容部位のいくつかは、弾性要素が収容部位の1つ以上の端部または他の開口部を通って通過することができるように、適合化することができる。
【0058】
発明において有用な弾性要素は、さまざまなやり方で成形し構成することができ、移植材料片に沿った、たとえば材料片の周辺および/または非周辺領域に沿ったいずれかの好適な配置で存在することができる。図6を参照し、本発明の別の実施例に係る移植装置200を示す。移植装置200は、柔軟なシート形材料201と、それに縫合され、大まかに示されるように弾性要素205を置くことができる収容部位をもたらす材料セグメント202とを含む。複数の縫合糸が材料セグメント202の周囲の部分に沿って延在し、弾性要素205が収容される収容部位開放端をもたらす。弾性要素205は、この開放端から延在し、かつ輪になった先端部207を有する回収部分206を含む。本発明のさらに別の実施例に係る移植装置250を図7に示す。移植装置250は、柔軟なシート形材料251と、それに縫合され、大まかに示されるように第1の弾性要素252および第2の弾性要素252′を収容することができる収容部位をもたらすX形状材料セグメント252とを含む。これらの弾性要素は互いに取付けられておらず、配置および取外し中に、互いに対して平行移動することができる。
【0059】
ここにおいて随所に述べられるように、単層および多層移植材料が本発明に用途を見出す。ある場合において、発明の装置は多層の柔軟な材料を含み、弾性要素は、材料に関連付けて保持されると、いずれかの2つの材料層の間に全体的にまたは部分的に存在する。ある実施例において、弾性要素は、2つの材料層間に存在する、少なくともある程度規定されたチャネルまたは他の同様の収容部位に置かれる。例示的に、図8を参照し、本発明の別の実施例に係る移植装置300を示す。移植装置300は、複数材料層で形成された柔軟なシート形材料301を含む。装置300は、第1の収容部位302および第2の収容部位302′にそれぞれ取外し可能に置かれた第1の弾性要素305および第2の弾性要素305′を含む。発明のより広範な局面には必要ではないものの、収容部位は、両方とも材料片に沿ったおおむね曲線形状を呈する。この種の収容部位は、さまざまなやり方で成形し構成することができ、材料に沿ったいずれかの好適な位置に存在することができる。
【0060】
第1の収容部位302および第2の収容部位302′は、重なり合う材料層間に存在する。重なり合った材料層の部分は、弾性要素を通過させ保持することができる収容チャネルを形成するために、図示のパターンで互いに接合することができる。接着剤、圧縮、脱水、加熱等を含むいずれかの好適な接合形態を使用することができる。ある場合において、弾性要素を通過させ保持することができる空間をもたらすやり方で重なり合った材料層の部分を縫合するか、または別のやり方で1つの材料層を他の材料層に固定することによって、1つ以上の収容部位が形成される。第1の弾性要素305および第2の弾性要素305′は、第1の回収部分306および第2の回収部分306′をそれぞれ含み、各々はおおむね直線状の端部を有し、材料片301からある距離離れて延在する。かかる回収部分は、ここに記載される他の装置実施例のいずれかによるように任意である。
【0061】
図9を参照し、本発明の別の実施例に係る移植装置350を示す。移植装置350は、柔軟なシート形材料片351と、弾性要素のためのおおむね円形の収容部位を材料に沿ってもたらすために材料に取付けられた材料セグメント352とを含む。シート形材料351もおおむね円形形状を呈するが、他の好適に成形された材料も使用し得る。弾性要素355は、当該要素の小さい部分が収容部位の一方端部から延在する状態で、収容部位に置かれる。ある形態では、かかる弾性要素は、収容部位内に完全に嵌合することができるように適合化される。
【0062】
発明において有用な弾性要素は、1つ以上のさまざまな材料で形成することができる。この点について、弾性を呈する多くの好適な材料および多くの好適な弾性物体が当業者に知られており、したがって本発明によって包含される。一般に、好適な弾性要素は、ここに記載されるように作用することを可能にする品質を有するものであろう。ある実施例において有用な材料は、金、レニウム、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、さまざまなステンレス鋼、タングステン、チタン、ニッケル、コバルト、タンタル、鉄、および銅、ならびにこれらおよび他の好適な金属の合金、たとえばElgiloy(登録商標)などのコバルト合金、コバルト−クロム−ニッケル合金、MP35N、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金、およびニッケル−チタン合金、たとえばニチノール(登録商標)を含む。追加的にまたは代替的に、弾性要素は、織糸、繊維、および/または樹脂の形態の材料、たとえばモノフィラメント織糸、強力ポリエステルなど、および他のプラスチック、樹脂、重合体、織物、および布地外科用材料、形状記憶プラスチックなどの他の従来の合成外科用材料、ならびにかかる材料の組合わせを含むことができる。
【0063】
本明細書で引用された出版物および特許出願はすべて、個々の出版物または特許出願がそれぞれ引用によって援用されるべく具体的にかつ個々に指摘されているかのように、引用によって本明細書に援用される。さらに、本明細書中に述べたいずれかの理論、動作メカニズム、証明、または発見は、本発明の理解をさらに向上させることを意図し、かかる理論、動作メカニズム、証明、または発見に本発明を限定することを意図するものではない。本発明を図面および上記の記載において詳細に例示し説明したが、これは例示であって性質を限定するものではないと考えられるべきであり、選択された実施例のみが示され説明されたこと、ならびにここに規定されたまたは添付の請求項による発明の精神内にあるすべての均等物、変更、および修正が保護されることが望まれるものと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植装置を身体内に送達するための装置であって、前記装置は、
遠位端開口部と連通する管腔を有する送達装置を備え、前記遠位端開口部は身体内への通過のために構成され、さらに、
送達装置管腔内に置かれ、身体構造の壁の欠陥を修復するのに効果的な移植装置を備え、前記移植装置は、
柔軟なシート形材料と、
前記シート形材料に関連付けて保持される取外し可能な弾性要素とを含み、前記弾性要素は、全体として身体内に送達されるように、かつ前記移植装置が身体内に送達された後で前記シート形材料から分離するように適合化され、前記弾性要素は、前記移植装置が前記送達装置管腔内に置かれているときには、変形した第1の状態を呈し、前記移植装置が前記送達装置管腔から取外されるときには、第2の状態を取るように適合化され、前記第2の状態は、身体構造壁欠陥に配置するために、前記シート形材料の少なくとも1つのセグメントを身体内においておおむね平面形態で表すのに効果的である、装置。
【請求項2】
前記送達装置管腔内に置かれた押出し部材をさらに備え、前記押出し部材は、前記送達装置管腔内で平行移動可能であり、前記移植装置を前記遠位端開口部を介して前記送達装置管腔から押出すのに効果的である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記送達装置は腹腔鏡である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記シート形材料は、コラーゲン含有材料で構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記弾性要素は、少なくとも1片のニチノール(登録商標)ワイヤを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
移植装置を身体内に送達するための方法であって、前記方法は、
遠位端開口部と連通する管腔を有する送達装置を提供するステップを含み、前記遠位端開口部は身体内への通過のために構成され、さらに、
送達装置管腔内に置かれ、身体構造の壁の欠陥を修復するのに効果的な移植装置を提供するステップを含み、前記移植装置は、
柔軟なシート形材料と、
前記シート形材料に関連付けて保持される取外し可能な弾性要素とを含み、前記弾性要素は、前記移植装置が身体内に送達された後で前記シート形材料から分離されるように適合化され、前記弾性要素は、前記移植装置が前記送達装置管腔内に置かれているときには、変形した第1の状態を呈し、さらに、
前記送達装置遠位端開口部を身体内に置くステップと、
前記移植装置を前記遠位端開口部を介して前記送達装置管腔から取外すステップとを含み、前記弾性要素は全体として身体内に送達され、身体構造壁欠陥に配置するために、前記シート形材料の少なくとも1つのセグメントをおおむね平面形態で表すのに効果的な第2の状態を取る、方法。
【請求項7】
前記シート形材料を前記身体構造壁欠陥上に置くステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
身体からの取外しのために、前記弾性要素を前記シート形材料から分離させるステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記身体構造壁欠陥はヘルニアを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記シート形材料を前記身体構造壁欠陥上に維持するために、前記シート形材料を身体に固着させるステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記シート形材料を身体に固着させるステップは、前記シート形材料を前記身体構造壁に固着させるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
身体構造壁の欠陥を修復するために身体内に送達可能な移植装置であって、前記移植装置は、
柔軟なシート形材料と、
前記シート形材料に関連付けて保持され、前記シート形材料の少なくとも1つのセグメントをおおむね平面形態で表すのに効果的な弛緩した状態を呈する取外し可能な弾性要素とを含み、前記弾性要素は、全体として身体内に送達されるように適合化され、かつ前記シート形材料から延在する回収部分を有し、前記回収部分は、身体からの取外しのために前記弾性要素を前記シート形材料から分離させるために、身体内での回収に適合化される、移植装置。
【請求項13】
前記シート形材料は、再造形可能な材料で構成される、請求項12に記載の移植装置。
【請求項14】
前記シート形材料は、細胞外マトリックス材料で構成される、請求項12に記載の移植装置。
【請求項15】
前記細胞外マトリックス材料は、粘膜下層、漿膜、心膜、硬膜、腹膜、または真皮コラーゲンを含む、請求項14に記載の移植装置。
【請求項16】
前記シート形材料は、合成重合体材料で構成される、請求項12に記載の移植装置。
【請求項17】
前記弾性要素は、金属材料で構成される、請求項12に記載の移植装置。
【請求項18】
前記弾性要素は、合成重合体材料で構成される、請求項12に記載の移植装置。
【請求項19】
前記弾性要素は、身体内への送達のために前記移植装置を前記送達装置管腔内に置くための変形した状態に変形可能である、請求項12に記載の移植装置。
【請求項20】
前記弾性要素は、前記シート形材料に解放可能に接合される、請求項12に記載の移植装置。
【請求項21】
前記弾性要素は、前記シート形材料に沿って存在する収容部位に置かれる、請求項12に記載の移植装置。
【請求項22】
前記収容部位は、前記シート形材料の周辺領域に沿って存在する、請求項21に記載の移植装置。
【請求項23】
前記シート形材料と結合されて前記収容部位をもたらす1つ以上の材料セグメントをさらに備える、請求項21に記載の移植装置。
【請求項24】
前記シート形材料と結合されて前記収容部位をもたらす縫合材料をさらに備える、請求項21に記載の移植装置。
【請求項25】
前記シート形材料の折返された周辺領域が前記収容部位をもたらす、請求項21に記載の移植装置。
【請求項26】
前記シート形材料は、単層材料で形成される、請求項12に記載の移植装置。
【請求項27】
前記シート形材料は、2つ以上の材料層で形成される、請求項12に記載の移植装置。
【請求項28】
前記弾性要素は、前記弾性要素を前記シート形材料に関連付けて保持するために、前記2つ以上の材料層のうちの2つの間に少なくとも部分的に置かれる、請求項27に記載の移植装置。
【請求項29】
前記回収部分は、輪になった部分を含む、請求項12に記載の移植装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−501737(P2012−501737A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526117(P2011−526117)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/055171
【国際公開番号】WO2010/027898
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(506118906)クック・インコーポレイテッド (57)
【氏名又は名称原語表記】COOK INCORPORATED
【Fターム(参考)】