説明

取引仲介システム、取引仲介方法、取引仲介装置、取引仲介プログラム

【課題】ユーザ間で行われる取引を安心して行えるサービス提供システム、及び、取引管理サーバを提供する。
【解決手段】ユーザ間での取引を仲介する取引仲介サーバを有する取引仲介システムであって、第1ユーザ及び第2ユーザの基口座を各サービスとは別に取引仲介用に管理し、取引仲介サーバは第2ユーザから第1ユーザにアイテム、或いはサービス利用権を移動する契約通知があると、第1ユーザの基口座に購入分のデジタルキャッシュがあるか否かを確認し、第1ユーザの基口座に購入分のデジタルキャッシュがあれば、第1ユーザの基口座から前記購入分のデジタルキャッシュを確保し、第2ユーザにアイテム或いはサービス利用権の移動を要求し、第2ユーザから前記アイテム或いはサービス利用権の移動が通知されると、第2ユーザの基口座に前記購入分のデジタルキャッシュを入金し、第1ユーザに前記アイテム或いはサービス利用権を移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は取引仲介システム、取引仲介方法、取引仲介装置、取引仲介プログラムに係り、特に、ネットワークを介して端末と接続された複数のサービス提供サーバにより提供されるサービスにおいてユーザ間での取引を仲介する取引仲介システム、取引仲介方法、取引仲介装置、取引仲介プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク及びコンピュータシステムの発展にともなって、ネットワークを介して不特定多数の端末を用いてゲームなどが可能とされたオンラインゲームが提案されている。このようなゲームには、アバターと呼ばれるユーザの分身を端末から操作することにより、行われるゲームがある。
【0003】
アバターを仲介したゲームでは、アバターがアイテムを取得することにより強力になる。アイテムはゲーム内で流通している貨幣(ポイント)によって購入することができる。また、貨幣を得るために、販売することも可能となっている。また、アバター間で独自にアイテムと貨幣を交換することも可能とされている。
【0004】
また、このようなゲーム内で用いられる貨幣(ポイント)はデジタルキャッシュとして用いることができるようになってきている。
【0005】
なお、オンラインショッピングにおいて、企業と消費者との商取引の決済を行う時に、デジタルキャッシュを用いたプリペイド方式の決済を行う決済システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2942517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、従来のサービス提供システムでは、提供しているサービスにおいてアバター間で行われる取引はアバターを扱うユーザ間に任されていたため、アイテムを移動したが代金が支払われないケースや代金を支払ったがアイテムを受け取れないケースなど仮想空間ならではの取引に関する種々の問題点が発生していた。また、複数のサービスにまたがって共有できるデジタルキャッシュのサービスは実現されておらず、各々のサービスに閉じており、他のサービスで増加分のデジタルキャッシュを使うことができなかった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、サービス提供サーバにより提供されるサービス内においてユーザ間で行われる取引を安心して行える取引仲介システム、取引仲介方法、取引仲介装置、取引仲介プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ユーザにより操作される端末と、ネットワークを介して前記端末にサービスを提供する複数のサービス提供サーバと、前記サービス提供サーバが提供するサービスにおいて前記ユーザ間での取引を仲介する取引仲介サーバとを有する取引仲介システムであって、第1ユーザ及び第2ユーザの基口座を各サービスとは別に取引仲介用に管理し、前記取引仲介サーバは、前記第2ユーザから前記第1ユーザにアイテム、或いはサービス利用権を移動する契約通知があると、前記第1ユーザの基口座に購入分のデジタルキャッシュがあるか否かを確認し、前記第1ユーザの基口座に購入分のデジタルキャッシュがあれば、前記第1ユーザの基口座から前記購入分のデジタルキャッシュを確保し、前記第2ユーザにアイテム或いはサービス利用権の移動を要求し、前記第2ユーザから前記アイテム或いはサービス利用権の移動が通知されると、前記第2ユーザの基口座に前記購入分のデジタルキャッシュを入金し、前記第1ユーザに前記アイテム或いはサービス利用権を移動することを特徴とする。
【0009】
前記サービス提供サーバは、前記端末により操作可能とされるユーザアバターを通してユーザにサービスを提供しており、前記取引仲介サーバは、前記サービス提供サーバにより提供されるサービス内に取引管理アバターを設け、該取引管理アバターを介して前記ユーザアバター間でアイテムの取引を仲介することを特徴とする。
【0010】
前記取引仲介サーバは、前記サービス提供サーバにより提供されるサービス外で、前記第1ユーザ、第2ユーザからの依頼、通知を行なうインターフェースを提供し、仲介することを特徴とする。
【0011】
前記第2ユーザから前記第1ユーザに前記サービス提供サーバにより提供されるサービスを受けるためのユーザIDを譲渡するとき、前記第1ユーザの基口座に購入分のデジタルキャッシュがあるか否かを確認し、前記第1ユーザの基口座から購入分のデジタルキャッシュを確保し、前記第2ユーザにデジタルキャッシュを確保した旨の通知を行い、前記第2ユーザに前記ユーザID及びパスワードを要求し、前記第2ユーザから前記ユーザID及びパスワードが通知されると、通知された前記ユーザID及びパスワードにより前記サービス提供サーバに接続して、動作確認を行い、動作確認後、前記パスワードを変更し、前記第1ユーザに前記ユーザID及び変更後のパスワードを通知し、前記第2ユーザの基口座に前記購入分のデジタルキャッシュを入金することを特徴とする。
【0012】
前記取引仲介サーバは、前記サービス提供サーバにより提供されるサービスでの通貨を、所定の変換率でデジタルキャッシュに換算し、ユーザ間で精算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、サービス提供サーバからネットワークを介してユーザにより操作される端末に提供しているサービスにおいてユーザ間で取引を行うとき、取引仲介サーバを介して取引を仲介することにより、ユーザ間の取引を安心して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の第1実施例のシステム構成図を示す。
【0015】
本実施例の取引管理システム100は、端末111と、端末111とネットワーク112を介して通信可能とされ、ネットワーク112を介して端末111にサービスを提供するサービス提供サーバ113と、サービス提供サーバ113により提供されるサービスにより、ユーザ間で発生した取引を仲介する取引管理サーバ114と、キャッシュの処理を行う金融機関サーバ115から構成されている。
【0016】
端末111は、コンピュータシステムから構成されており、ユーザ101によって操作されて、ネットワーク112を介してサービス提供サーバ113に接続され、サービス提供サーバ113からサービスの提供を受ける。
【0017】
ネットワーク112は、電話回線網、光ファイバー網、インターネットなどを含む通信網であり、端末111、サービス提供サーバ113、取引管理サーバ114、金融機関サーバ115と間での通信の通信路となる。
【0018】
サービス提供サーバ113は、コンピュータシステムから構成されており、端末111とネットワーク112を介して通信を行い、端末111にゲームなどのサービスを提供している。
【0019】
サービス提供サーバ113から提供されるゲームとしては、例えば、アバターが仮想空間で自由に移動し、与えられたポイント、あるいは、敵を倒すことによりアイテムを取得し、強くなっていくゲームなどである。アバター(avatar)とは、インターネットコミュニティ、ゲームなどで用いられるものであり、「自分の分身となるキャラクター」である。
【0020】
アバターは、ゲームなどを行う際にユーザにより操作される。
【0021】
図2は取引管理サーバ114のブロック構成図を示す。
【0022】
取引管理サーバ114は、コンピュータシステムから構成されており、通信制御部121、取引処理部122、アバター管理データベース123、アイテム管理データベース124、口座管理データベース125、デジタルキャッシュ管理データベース126、契約管理データベース127、貨幣変換テーブル128から構成されている。
【0023】
通信制御部121は、ネットワーク112との通信制御を行う。取引処理部122は、サービス提供サーバ113により提供されるサービス内で、ユーザA、B間で行われる取引の仲介処理を実行する。なお、ユーザA、B間での取引はサービスによって提供される取引管理アバターを通して行われる。このとき、取引管理アバターは、取引管理サーバ114によってプログラムで操作される。
【0024】
図3は、アバター管理データベース123のデータ構成図を示す。
【0025】
アバター管理データベース123は、サービス提供会社を識別するための会社ID、アバターを識別するアバターID、所持するアイテムを特定するアイテム番号、ユーザを識別するユーザID、登録日などの情報から構成されている。アバター管理データベース123を参照することによりアバター、アイテム、ユーザを確認することができる。
【0026】
図4は、アイテム管理データベース124のデータ構成図を示す。
【0027】
アイテム管理データベース124は、交換されるアイテムを管理するためのデータベースであり、サービス提供会社を識別する会社ID、アイテムを識別するアイテムID、所有アバターを識別する所有アバターID、登録日などの情報から構成されている。
【0028】
アイテム管理データベース124によりアイテムを管理できる。
【0029】
図5は、口座管理データベース125のデータ構成図を示す。
【0030】
口座管理データベース125は、サービス提供会社を識別する会社ID、ユーザが開設している基口座を識別する基口座ID、ユーザを識別するユーザID、口座にある貨幣(ポイント)の残高、登録日、パスワードなどから構成されている。口座管理データベース125を参照することにより、アイテムを購入するユーザの購入デジタルキャッシュを確認することができる。
【0031】
図6は、デジタルキャッシュ管理データベース126のデータ構成図を示す。
【0032】
デジタルキャッシュ管理データベース126は、ユーザを識別するユーザID、管理番号、デジタルキャッシュを識別するためのデジタルキャッシュID、貨幣(ポイント)、設定日、有効期限などの情報から構成されている。デジタルキャッシュ管理データベース126を参照することにより、ユーザから確保したデジタルキャッシュを特定できる。
【0033】
図7は、契約管理データベース127のデータ構成図を示す。
【0034】
契約管理データベース127は、サービス提供会社を識別する会社ID、取引の契約を識別する契約ID、アイテムを販売するユーザを識別するユーザID、アイテムを購入するユーザを識別するユーザID、取引するアイテムを識別するアイテムID、取引する貨幣(ポイント)、契約日、ステータス、契約種別、契約情報などの情報から構成されている。契約管理データベース127を参照することにより、購入デジタルキャッシュ、アイテムを特定できる。なお、ステータスは、契約依頼があると「1」、契約処理中のときは「2」、契約が完了すると「3」が設定される。
【0035】
また、契約種別は、アイテムを取引する場合は、「1」、ユーザIDを取引する場合は、「2」が設定される。さらに、契約情報は、アイテムが取引される場合には、取引されるアイテムのアイテム番号、ユーザIDが取引される場合には、ユーザIDが記載される。
【0036】
図8は、貨幣変換テーブル128のデータ構成図を示す。
【0037】
貨幣変換テーブル128は、サービス提供会社を識別する会社ID、貨幣(ポイント)の変換比率などの情報から構成されている。
【0038】
貨幣変換テーブル128の変換比率に基づいて異なるサービス提供会社間で貨幣(ポイント)を交換することができる。
【0039】
図9はユーザ変換データベース129のデータ構成図を示す。
【0040】
ユーザ変換データベース129は、取引管理サーバ114におけるユーザを識別するための取引管理用ユーザID、サービス提供会社を識別するための会社ID、サービス提供会社との契約を識別するための契約ID、サービス提供会社におけるユーザを識別するためのサービス提供会社別ユーザIDから構成されている。
【0041】
ユーザ変換データベース129を参照することにより各ユーザのサービス提供会社との契約状況を認識できる。
【0042】
金融機関サーバ115は、ネットワーク112を介して取引管理サーバ114と通信を行い、デジタルキャッシュの入出金を行う。
【0043】
図10は取引管理サーバ114の処理フローチャートを示す。
【0044】
取引管理サーバ114は、ステップS1−1でプログラム操作している取引管理アバターに第2ユーザBのアバターが所持するアイテムに対して第1ユーザAのアバターから購入依頼があると、ステップS1−2で第1ユーザAの基口座にアイテム購入分のデジタルキャッシュがあるか否かを確認する。
【0045】
取引管理サーバ114は、ステップS1−2で第1ユーザAの基口座にアイテム購入分のデジタルキャッシュがあることが確認できると、次に、ステップS1−3で第2ユーザBに取引管理アバターへのアイテムの移動を要求する。なお、ステップS1−2で第1ユーザAの基口座にアイテム購入分のデジタルキャッシュがない場合には、取引処理を終了する。このとき、金融機関サーバ115と通信を行い、第1ユーザAのデジタルキャッシュがアイテム購入分となるように第1ユーザAの金融機関口座から引き落としを行い、行ってもよい。
【0046】
取引管理サーバ114は、ステップS1−4で第2ユーザBのアバターから取引管理アバターへのアイテムの移動が確認できると、ステップS1−5で第1ユーザAの基口座からアイテム購入分のデジタルキャッシュを確保する。確保したデジタルキャッシュは、購入デジタルキャッシュ管理部124で管理される。また、第2ユーザBのアバターから取引管理アバターに移動したアイテムは、アイテム管理部125で管理される。
【0047】
取引管理サーバ114は、ステップS1−6で第1ユーザAの基口座からアイテム購入分のデジタルキャッシュの確保が完了すると、ステップS1−7で第2ユーザBの基口座に購入分のデジタルキャッシュを入金する。
【0048】
取引管理サーバ114は、ステップS1−8で第2ユーザBの基口座に購入分のデジタルキャッシュの入金が完了すると、ステップS1−9で第2ユーザBにデジタルキャッシュが入金されたことを通知し、ステップS1−10で取引管理用アバターから第1ユーザAのアバターにアイテムを移動する。なお、ここで、アイテム管理データベース124の変更ばかりでなく、ゲーム内でのアイテム移動処理、例えば、コマンドでアイテムを第1ユーザのアバターへの移動する処理も行われる。
【0049】
次に、上記取引のゲーム上での具体的な操作について説明する。
【0050】
まず、第2ユーザBのアバターが取引管理アバターを見つけて、取引管理アバターに対して『私のユーザIDは「001」です。』旨の自己紹介を行う。取引管理アバターは、ユーザIDが取引管理サーバ114に登録されているか否かを確認する。
【0051】
第2ユーザBは取引管理アバターに「アイテムを買う人を明日までに見つけてください。アイテムはレベルXです。」旨、販売するアイテムの紹介を行う。
【0052】
次に第2ユーザBは、アバターを操作して、取引管理アバターに対して「明後日の午後3時までに10貨幣αで買う人が見つかりましたら販売してください。いなければ、公園の噴水の前で返してください。」という旨のアイテムの販売期間、返却場所の指示を行う。
【0053】
取引管理サーバ114のプログラムにより取引管理アバターは、第2ユーザBのアバターからの販売要求に対して『ユーザID「001」番さん。アイテムAは確かにレベルXですね?それでは明後日の午後3時までに販売するように努めます。』旨の応答を行う。
【0054】
次に、取引管理アバターは、「アイテムを販売します」の看板をもって移動する。あるいは、所定の位置に立っている。あるいは、アイテム販売店を開くようにする。
【0055】
アイテムAの購入を希望する第1ユーザAは、取引管理アバターの掲げている看板を見て、取引管理アバターに近づき、取引管理バターに対して、『私のユーザIDは「002」です。』である旨の自己紹介を行う。ここで、取引管理アバターは、取引管理サーバ114にユーザID「002」が登録されているか否かを確認する。
【0056】
第1ユーザAは、アイテムを購入する場合、アバターを操作して「アイテムを10貨幣αで買います。」旨の購入依頼を行う。
【0057】
取引管理アバターは、契約管理データベース127を用いてサービス提供会社のユーザIDから取引管理用ユーザIDを取得し、第1ユーザAからの購入依頼に応じて取引管理サーバ114に対して第1ユーザAの基口座から10貨幣αに相当のデジタルキャッシュの確保を依頼する。
【0058】
取引管理サーバ114は、第1ユーザAの基口座から10貨幣α相当のデジタルキャッシュを確保すると、取引管理アバターに対してその旨通知する。取引管理アバターは第1ユーザAにアイテムを渡す。また、取引管理サーバ114は、第2ユーザBの基口座に10貨幣α相当のデジタルキャッシュを入金する。なお、このとき、取引管理サーバ114は、貨幣変換テーブル128を参照し、貨幣に対応するデジタルキャッシュを算出して、デジタルキャッシュの確保及びデジタルキャッシュの入金を行っている。これにより、アイテムを販売し、精算後で増加したデジタルキャッシュを他のサービスで使えることも可能になり、デジタルキャッシュのサービス間で共有化できる。
【0059】
なお、取引管理アバターは、交換不成立の場合には、明後日の午後3時になったら、アイテムを第2ユーザBに戻す。
【0060】
以上により、第1ユーザAから第2ユーザBにアイテム購入分のデジタルキャッシュが入金され、かつ、第2ユーザBから第1ユーザAにアイテムが移動する。確実にデジタルキャッシュとアイテムとの交換を行うことができる。このように、取引管理サーバ114によりプログラム操作される取引管理アバターにより、第1ユーザAと第2ユーザBとの取引を仲介させることにより、第1ユーザAと第2ユーザBとの間の取引に関わるトラブルを回避できる。
【0061】
なお、取引管理アバターを介さずに直接取引管理サーバ114と通信を行い、取引をするようにしてもよい。
【0062】
図11は取引管理サーバ114の第1変形例の処理フローチャートを示す。
【0063】
第1ユーザAと第2ユーザBとの間で取引したいとの契約依頼があると、取引管理サーバ114は、ステップS2−1で取引管理サーバ114にサービス提供サーバ113によるサービスとは別に、例えば、パソコン、携帯端末からのインターネット接続で、第2ユーザBのアバターが所持するアイテムに対して第1ユーザAから購入依頼があると、ステップS2−2で第1ユーザAの基口座にアイテム購入分のデジタルキャッシュがあるか否かを確認する。
【0064】
取引管理サーバ114は、ステップS2−2で第1ユーザAの基口座にアイテム購入分のデジタルキャッシュがあることが確認できると、次に、ステップS2−3で第1ユーザAの基口座からアイテム購入分のデジタルキャッシュを確保する。確保したデジタルキャッシュは、購入デジタルキャッシュ管理部124で管理される。
【0065】
次に取引管理サーバ114は、ステップS2−4で第2ユーザBにアイテム購入デジタルキャッシュを確保した旨の通知を行う。このとき、第2ユーザBへの通知には、アイテムを第1ユーザAに移動させることを促す、指示が含まれている。第2ユーザBは、取引管理サーバ114からのアイテム購入デジタルキャッシュを確保した旨の通知に応じて第1ユーザAにアイテムを移動させる。
これによって、第1ユーザAは、アイテムが使用可能となる。第1ユーザAは第2ユーザBからアイテムが移動されると、取引管理アバターに第2ユーザBからアイテムが移動された旨の通知を行う。なお、アイテム購入依頼時などに第1ユーザAには取引管理アバターから第2ユーザBからアイテムを受け取ったときには、その旨通知するように指示されている。
【0066】
取引管理サーバ114は、ステップS2−5で取引管理アバターを通して、第1ユーザAより、第2ユーザBからアイテムを受け取った旨の通知があると、ステップS2−6で第2ユーザBの基口座に購入デジタルキャッシュ管理部124で管理されていた購入分のデジタルキャッシュを入金する。
【0067】
なお、サービス提供会社113へのアイテム移動通知・処理は、当該ユーザが行わなければならない場合は、当該ユーザにより行うが、取引管理サーバ114がサービス提供会社113との契約に代行できる場合は、取引管理サーバ114が代行するようにしてもよい。
【0068】
次に、上記取引のゲーム上での具体的な操作について説明する。
【0069】
まず、アイテムを販売する第2ユーザBのアバターが「アイテムを販売します」の看板をもって移動する。
【0070】
アイテムの購入を希望する第1ユーザAのアバターとアイテムを販売する第2ユーザBのアバターとが互いに『私のユーザIDは「001」です。アイテムを10貨幣αで買います。」という旨の購入希望を提示する。
【0071】
第2ユーザBは、購入希望に応答して『私のユーザIDは「001」です。アイテムはレベルXです。』という旨の自己紹介及びアイテムの紹介を行う。
【0072】
第1ユーザAのアバターが第2ユーザBのアバターに対して「ID001番さん。アイテムは確かにレベルXですね。売値は10貨幣αでいいですね。」という旨の確認を行う。
【0073】
第2ユーザBは、交換ウィンドウで確認後、第1ユーザAの基口座から10貨幣α相当のデジタルキャッシュを確保するように取引管理サーバ114に依頼する。
【0074】
取引管理サーバ114は、第1ユーザAの基口座から10貨幣α相当のデジタルキャッシュを確保し、第2ユーザBに通知する。第2ユーザBのアバターは、第1ユーザAのアバターにアイテムを渡す。
【0075】
以上により、第1ユーザAから第2ユーザBにアイテム購入分のデジタルキャッシュが入金され、かつ、第2ユーザBから第1ユーザAにアイテムが移動する。確実にデジタルキャッシュとアイテムとの交換が行われる。このように、取引管理アバターにより第1ユーザAと第2ユーザBとの取引を仲介させることにより、第1ユーザAと第2ユーザBとの間の取引に関わるトラブルを回避できる。
【0076】
次に取引管理サーバ114の第2変形例について説明する。
【0077】
本変形例は、サービス提供サーバ113でサービスを受けるためのユーザIDをユーザBからユーザAに譲渡する取引について説明する。
【0078】
図12は取引管理サーバ114の第2変形例の処理フローチャートを示す。
【0079】
まず、取引管理サーバ114は、ステップS3−1で第2ユーザBのユーザIDを第1ユーザAに譲渡する依頼があると、ステップS3−2で第1ユーザAの基口座にユーザID購入分のデジタルキャッシュがあるか否かを確認する。
【0080】
取引管理サーバ114は、ステップS3−2で第1ユーザAの基口座にユーザID購入分のデジタルキャッシュがあると、ステップS3−3で第1ユーザAの基口座からユーザID購入分のデジタルキャッシュを確保する。第1ユーザAの基口座からユーザID購入分のデジタルキャッシュは、購入デジタルキャッシュ管理部124で管理される。そして、取引管理サーバ114は、契約管理データベース127に、契約IDを記載し、ステータスを「2」、すなわち、「契約処理中」に設定する。なお、ステップS3−2で第1ユーザAの基口座にユーザID購入分のデジタルキャッシュがない場合には、処理を終了する。あるいは、金融機関サーバ115と通信を行い、第1ユーザAの金融機関の口座から引き落とすようにしてもよい。
【0081】
取引管理サーバ114は、ステップS3−4で第1ユーザAの基口座からユーザID購入分のデジタルキャッシュの確保が完了すると、ステップS3−5で第2ユーザBにデジタルキャッシュを確保した旨の通知を行う。
【0082】
取引管理サーバ114は、ステップS3−6で第2ユーザBにユーザID及びパスワードを要求する。第2ユーザBは取引管理サーバ114からの要求に応じたユーザID及びパスワードを取引管理サーバ114に通知する。
【0083】
取引管理サーバ114は、ステップS3−7で第2ユーザBからユーザID及びパスワードが通知されると、ステップS3−8で通知されたユーザID及びパスワードによりサービス提供サーバ113に接続して、動作確認を行う。なお、ユーザID及びパスワードはユーザID管理部127で管理される。
【0084】
取引管理サーバ114は、ステップS3−9で動作確認が取れると、ステップS3−10でパスワードを変更し、ステップS3−11で第1ユーザAにユーザID及び変更後のパスワードを通知する。第1ユーザAは、取引管理サーバ114からユーザID及び変更後のパスワードが通知されると、取引管理サーバ114にユーザID及び変更後のパスワードを受領した旨の通知を行う。
【0085】
取引管理サーバ114は、ステップS3−12で第1ユーザAからユーザID及び変更後のパスワードを受領した旨の通知を受けると、ステップS3−13で第2ユーザBの基口座にユーザID購入分のデジタルキャッシュを入金する。
【0086】
以上により、サービス提供サーバ113により提供されるサービスを受けるために必要なユーザIDを第2ユーザBから第1ユーザAに譲渡される。
【0087】
なお、第1ユーザAに第2ユーザBがアイテムを販売すると、第1ユーザAから第2ユーザBに貨幣が渡る。取引管理サーバ114は、これにともない、貨幣に比例したデジタルキャッシュが第2ユーザBの基口座に入金される。
【0088】
本変形例によれば、ユーザIDの取引も容易に行うことができる。
【0089】
また、取引管理サーバ114は、貨幣変換テーブル128を用いることにより、異なるサービス提供会社間で各々のサービス内で用いられている貨幣を等価に交換することができる。これによって、一方のサービスで用いている貨幣を他のサービスで用いることも可能となる。
【0090】
また、本実施例では、アバターを用いて取引を行う処理について説明したが、アイテム取引画面を用いて取引を行うようにしてもよい。
【0091】
図13は取引登録画面を示す図、図14は取引画面を示す図を示す。図13(A)はログイン画面、図13(B)は販売登録画面、図13(C)は購入登録画面を示しており、図14(A)は購入希望一覧画面、図14(B)は販売希望一覧画面を示す。
【0092】
例えば、アイテム取引ボタンなどを操作すると、図13(A)に示すようなログイン画面が表示され、図13(A)に示すログイン画面にユーザID及びパスワードを入力すると、図13(B)に示すようなアイテム販売画面、あるいは、図13(C)に示すようなアイテム購入画面が表示される。
【0093】
アイテムの販売を希望するときには、図13(B)に示すアイテム販売画面において、販売アイテムを識別するためのアイテムID、販売希望貨幣α、販売ユーザIDを入力して依頼ボタンをクリックすることにより、販売アイテムが登録される。
【0094】
また、アイテムの購入を希望するときには、図13(C)に示すアイテム購入希望画面で購入希望アイテムを識別するための購入アイテムID、購入希望貨幣α、購入ユーザIDを入力して依頼ボタンをクリックすることにより、購入希望アイテムが登録される。
【0095】
購入依頼が行われると、図14(A)に示すような購入希望一覧画面に登録される。購入希望一覧画面は、販売アイテムID毎に購入希望者ユーザIDとその購入希望貨幣αが一覧表示されており、対応するアイテムIDのアイテムを販売したい販売者は、一覧表示からユーザを選択して、依頼ボタンをクリックすることにより対応するアイテムIDのアイテムを希望する購入希望者と取引を行うことができる。
【0096】
また、販売依頼が行われると、図14(B)に示すような購入希望一覧画面に登録される。購入希望一覧画面は、販売希望ユーザID、とアイテムID、販売希望貨幣αが表示されている。購入希望者は、購入を希望するアイテムID及び購入希望貨幣αに対応する販売ユーザを選択し、依頼ボタンをクリックすることにより購入したアイテムを所有するアイテム販売希望者と取引を行うことができる。
【0097】
なお、サービス間でのデジタルキャッシュの変換率は、各サービスでのアイテムの価格をオークションサイト等の各種情報から、検討し、客観的に算出された通貨(貨幣)の価値から導き出される。また、各サービスでの特定のアイテムのオークションサイト等の平均価格から自動で算出するようにしても良い。
【0098】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形例が考えられることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1実施例のシステム構成図である。
【図2】取引管理サーバ114のブロック構成図である。
【図3】アバター管理データベース123のデータ構成図である。
【図4】アイテム管理データベース124のデータ構成図である。
【図5】口座管理データベース125のデータ構成図である。
【図6】デジタルキャッシュ管理データベース126のデータ構成図である。
【図7】契約管理データベース127のデータ構成図である。
【図8】貨幣変換テーブル128のデータ構成図である。
【図9】ユーザ変換データベース129のデータ構成図である。
【図10】取引管理サーバ114の処理フローチャートである。
【図11】取引管理サーバ114の第1変形例の処理フローチャートである。
【図12】取引管理サーバ114の第2変形例の処理フローチャートである。
【図13】取引登録画面を示す図である。
【図14】取引画面を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
100 取引管理システム
111 端末、112 ネットワーク、113 サービス提供サーバ
114 取引管理サーバ、115 金融機関サーバ
A 第1ユーザ、B 第2ユーザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより操作される端末と、ネットワークを介して前記端末にサービスを提供する複数のサービス提供サーバと、前記サービス提供サーバが提供するサービスにおいて前記ユーザ間での取引を仲介する取引仲介サーバとを有する取引仲介システムであって、
第1ユーザ及び第2ユーザの基口座を各サービスとは別に取引仲介用に管理し、
前記取引仲介サーバは、前記第2ユーザから前記第1ユーザにアイテム、或いはサービス利用権を移動する契約通知があると、前記第1ユーザの基口座に購入分のデジタルキャッシュがあるか否かを確認し、
前記第1ユーザの基口座に購入分のデジタルキャッシュがあれば、前記第1ユーザの基口座から前記購入分のデジタルキャッシュを確保し、
前記第2ユーザにアイテム或いはサービス利用権の移動を要求し、
前記第2ユーザから前記アイテム或いはサービス利用権の移動が通知されると、前記第2ユーザの基口座に前記購入分のデジタルキャッシュを入金し、
前記第1ユーザに前記アイテム或いはサービス利用権を移動する取引仲介システム。
【請求項2】
前記サービス提供サーバは、前記端末により操作可能とされるユーザアバターを通してユーザにサービスを提供しており、
前記取引仲介サーバは、前記サービス提供サーバにより提供されるサービス内に取引管理アバターを設け、該取引管理アバターを介して前記ユーザアバター間でアイテムの取引を仲介する請求項1記載の取引仲介システム。
【請求項3】
前記取引仲介サーバは、前記サービス提供サーバにより提供されるサービス外で、前記第1ユーザ、第2ユーザからの依頼、通知を行なうインターフェースを提供し、仲介する請求項1記載の取引仲介システム。
【請求項4】
前記第2ユーザから前記第1ユーザに前記サービス提供サーバにより提供されるサービスを受けるためのユーザIDを譲渡するとき、前記第1ユーザの基口座に購入分のデジタルキャッシュがあるか否かを確認し、
前記第1ユーザの基口座から購入分のデジタルキャッシュを確保し、
前記第2ユーザにデジタルキャッシュを確保した旨の通知を行い、
前記第2ユーザに前記ユーザID及びパスワードを要求し、
前記第2ユーザから前記ユーザID及びパスワードが通知されると、通知された前記ユーザID及びパスワードにより前記サービス提供サーバに接続して、動作確認を行い、
動作確認後、前記パスワードを変更し、
前記第1ユーザに前記ユーザID及び変更後のパスワードを通知し、
前記第2ユーザの基口座に前記購入分のデジタルキャッシュを入金する請求項3記載の取引仲介システム。
【請求項5】
前記取引仲介サーバは、前記サービス提供サーバにより提供されるサービスでの通貨を、所定の変換率でデジタルキャッシュに換算し、前記ユーザ間で精算する請求項1記載の取引仲介システム。
【請求項6】
ネットワークを介して端末と接続された複数のサービス提供サーバにより提供されるサービスにおいてユーザ間での取引を仲介する取引仲介方法であって、
前記取引仲介サーバに、第1ユーザ及び第2ユーザの基口座を各サービスとは別に取引仲介用に管理させ、
前記取引仲介サーバにより、前記第2ユーザから前記第1ユーザにアイテム、或いはサービス利用権を移動する契約通知があると、前記第1ユーザの基口座に購入分のデジタルキャッシュがあるか否かを確認させ、
前記第1ユーザの基口座に購入分のデジタルキャッシュがあれば、前記第1ユーザの基口座から前記購入分のデジタルキャッシュを確保させ、
前記第2ユーザにアイテム或いはサービス利用権の移動を要求させ、
前記第2ユーザから前記アイテム或いはサービス利用権の移動が通知されると、前記第2ユーザの基口座に前記購入分のデジタルキャッシュを入金させ、
前記第1ユーザに前記アイテム或いはサービス利用権を移動させる取引仲介方法。
【請求項7】
前記サービス提供サーバは、前記端末により操作可能とされるユーザアバターを通してユーザにサービスを提供しており、
前記取引仲介サーバに、前記サービス提供サーバにより提供されるサービス内に取引管理アバターを設け、該取引管理アバターを介して前記ユーザアバター間でアイテムの取引を仲介させる請求項6記載の取引仲介方法。
【請求項8】
ネットワークを介して端末と接続された複数のサービス提供サーバにより提供されるサービスにおいてユーザ間での取引を仲介する取引仲介装置であって、
第1ユーザ及び第2ユーザの基口座を各サービスとは別に取引仲介用に管理し、
前記第2ユーザから前記第1ユーザにアイテム、或いはサービス利用権を移動する契約通知があると、前記第1ユーザの基口座に購入分のデジタルキャッシュがあるか否かを確認し、
前記第1ユーザの基口座に購入分のデジタルキャッシュがあれば、前記第1ユーザの基口座から前記購入分のデジタルキャッシュを確保し、
前記第2ユーザにアイテム或いはサービス利用権の移動を要求し、
前記第2ユーザから前記アイテム或いはサービス利用権の移動が通知されると、前記第2ユーザの基口座に前記購入分のデジタルキャッシュを入金し、
前記第1ユーザに前記アイテム或いはサービス利用権を移動する取引仲介装置。
【請求項9】
前記サービス提供サーバにより、前記端末により操作可能とされるユーザアバターを通してユーザにサービスが提供されており、
前記サービス提供サーバにより提供されるサービス内に取引管理アバターを設け、該取引管理アバターを介して前記ユーザアバター間でアイテムの取引を仲介する請求項8記載の取引仲介装置。
【請求項10】
コンピュータに、
サービス提供サーバから提供されるサービスとは別に取引仲介用基口座を有する第2ユーザから該サービス提供サーバから提供されるサービスとは別に取引仲介用基口座を有する第1ユーザにアイテム、或いはサービス利用権を移動する契約通知があると、前記第1ユーザの基口座に購入分のデジタルキャッシュがあるか否かを確認させる手順と、
前記第1ユーザの基口座に購入分のデジタルキャッシュがあれば、前記第1ユーザの基口座から前記購入分のデジタルキャッシュを確保させる手順と、
前記第2ユーザにアイテム或いはサービス利用権の移動を要求させる手順と、
前記第2ユーザから前記アイテム或いはサービス利用権の移動が通知されると、前記第2ユーザの基口座に前記購入分のデジタルキャッシュを入金させる手順と、
前記第1ユーザに前記アイテム或いはサービス利用権を移動させる手順とを実行させるコンピュータ読み取り可能な取引仲介プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−250800(P2008−250800A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92909(P2007−92909)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(591106864)富士通エフ・アイ・ピー株式会社 (95)
【Fターム(参考)】