説明

受信装置

【課題】高速に制御信号の最適値を探索し、受信装置に近接する物体の影響によるアンテナの同調周波数のずれを補正することができ、近接する物体の影響に変化が生じてもその変化に追従して同調周波数のずれを補正することができる受信装置を提供する。
【解決手段】演算部104は、アンテナ101に近接する物体によって変化するアンテナ101の同調周波数の変化量と変化方向とを特定し、上記制御信号の最適値を探索するときに、探索するべき制御信号の値の範囲を予め限定し、高速に上記探索を実行することでアンテナ101の同調周波数のずれを補正し、さらに、近接する物体の変化を検出することで近接する物体の変化に追従して同調周波数のずれを常に補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを内蔵した携帯型の受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型の受信装置において、デザイン性の向上、アンテナ破損リスクの低減などの要求から、アンテナを小型化し、筐体内への内蔵化が求められている。そこで、アンテナの利得が最大となる周波数(以下、同調周波数)を可変にしたチューナブルアンテナを用いて、アンテナの同調周波数を、端末使用者が受信を希望する周波数に適宜合わせることで、高利得且つ広帯域の受信が可能な内蔵アンテナが実現されている。
【0003】
チューナブルアンテナは、アンテナの特性インピーダンス調節回路を用いてアンテナの特性インピーダンスを所定の値に調節することで、同調周波数を端末使用者が受信を希望する周波数に一致させている。特性インピーダンス調節回路の制御は制御信号によって行われる。しかしながら、受信装置に近接する物体の影響を受けてアンテナの特性インピーダンスが変化し、端末使用者が受信を希望する周波数に対してアンテナの同調周波数がずれてしまう現象が生じる。特に、携帯型受信装置においては、手で持って使用する形態が考えられるが、この場合、受信装置は使用者の人体に近接して使用されるため、受信装置を机上に置いて使用するなどの場合と比較して、人体の影響によりアンテナの特性インピーダンスが変化する。このようなずれが生じると、端末使用者が受信を希望する周波数でのアンテナ利得が低下し、受信感度が劣化する。
【0004】
この劣化を解決するために、受信信号電力(Received Signal Strength Indicator、以下「RSSI」と略す。)を監視し、RSSIが最大値となる制御信号の値を探索する方法が特許文献1に開示されている。これによれば、近接人体の影響により、アンテナとのインピーダンス不整合が生じてアンテナ同調周波数が変化し、本来のアンテナ利得が得られなくなってRSSIが低下した場合でも、インピーダンスを整合させる制御信号の最適値を自動的に探索することで、RSSIを回復することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−13890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記制御信号の最適値を探索する方法において、受信装置を手に持って使用している場合に端末を手で持つ場合の持ち方が変わった場合など、近接する物体の影響が変化してアンテナの特性インピーダンスが変化した場合に、上記制御信号の最適値が変化してしまう課題がある。
【0007】
本発明の目的は、上記の点に鑑み、アンテナに近接する物体による影響が変化しアンテナの同調周波数を調節する制御信号の最適値が変動する場合であっても、常にアンテナの動作を最適な状態に維持する受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る受信装置は、前記受信装置が受信した信号の受信状態あるいは信号品質が最良となる前記制御信号の値が存在し得る範囲を探索範囲と定め、この探索範囲の中から前記受信状態あるいは信号品質が最良となる前記制御信号の値を所定の手順に従って探索する探索手段を備えている。
【0009】
そして、アンテナに近接する物体によって変化するアンテナの同調周波数の変化量と変化方向を特定し、前記受信状態あるいは信号品質が最良となる前記制御信号の値を探索するときに、探索するべき制御信号の値の範囲を限定し、高速に上記探索を実行してアンテナの同調周波数のずれを補正する。
【0010】
また、アンテナに近接する物体による影響の変化を検出して、制御信号の最適設定値を変更する必要がある場合には最適な設定値を適宜探索して、常に制御信号値を最適な値に維持させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る受信装置によれば、特別に追加回路を設けることなく、高速に上記制御信号の最適値を探索することでアンテナの同調周波数のずれを補正することができ、アンテナに近接する物体による影響が変化しアンテナの同調周波数を調節する制御信号の最適値が変動した場合にも常にアンテナの動作を最適な状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による受信装置の一実施例を示したブロック図である。
【図2】本発明による同調周波数調節部の一実施例を示したブロック図である。
【図3】制御信号値に対する同調周波数の変化特性図である。
【図4】制御信号値に対するCNRの変化特性図である。
【図5】CNRが最大となる制御信号値を探索するアルゴリズムのフローチャートである。
【図6】人体影響がある場合と無い場合、それぞれの制御信号値に対する同調周波数の変化特性図である。
【図7】制御信号値に対するCNRの変化特性図である。
【図8】CNRが最大となる制御信号値を高速に探索するアルゴリズムのフローチャートである。
【図9】本発明による制御信号値を探索するアルゴリズムのフローチャートである。
【図10】本発明による受信装置の一実施例を示したブロック図である。
【図11】端末の筐体形状変化の一例を示した図である。
【図12】CNR測定結果の一例を示す図である。
【図13】CNRを測定する手順を示すフローチャートである。
【図14】制御信号最適値の再探索開始の要否を判定するアルゴリズムのフローチャートである。
【図15】制御信号値に対するCNRの変化特性図である。
【図16】本発明による制御信号値を探索するアルゴリズムの別の実施例を示すフローチャートである。
【図17】制御信号値に対するCNRの変化特性図である。
【図18】本発明による制御信号値を探索するアルゴリズムの別の実施例を示すフローチャートである。
【図19a】制御信号値に対するCNRの変化特性図である。
【図19b】制御信号値に対するCNRの別の変化特性図である。
【図20】本発明による受信装置の一実施例を示したブロック図である。
【図21】本発明による制御信号値を探索するアルゴリズムのフローチャートである。
【図22】制御信号最適値の再探索開始の要否を判定するアルゴリズムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、この発明による受信装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明による受信装置の実施例の一例を示すブロック図である。以下、本発明を地上デジタル放送受信装置に適用した場合の、図1に示した実施例の詳細について説明する。
【0015】
国内で実施されている地上デジタル放送は470MHzから770MHzの周波数帯を50本のチャネルに周波数分割して使用しており、一つのチャネルの周波数帯域幅は6MHzである。アンテナを筐体に内蔵することを考えた場合、携帯端末や移動体端末では小サイズ化が必要であるが、アンテナの利得は小型化により低下してしまう。一方で、アンテナの受信周波数帯域幅を狭くするほど利得を高くすることができるため、アンテナの受信周波数帯域幅を狭帯域化し、さらにアンテナの利得が最大となる周波数(同調周波数)を可変可能なチューナブルアンテナとして機能させる構成にする。この結果、端末使用者が受信を希望する周波数に同調周波数を適宜合わせることで高利得かつ広帯域の受信を実現することができる。
【0016】
本発明による受信装置が実装された端末の使用者は、視聴したい周波数チャネルをキー操作などにより端末に入力する。受信装置はこの入力された情報を元に使用者が視聴を所望する周波数チャネルを選局して受信する。
【0017】
本実施例の受信装置は、アンテナ101と、同調周波数調節部102と、受信回路部103と、演算部104とを備えている。また、演算部104は記憶部105を備えている。
【0018】
アンテナ101は、図示しない送信装置が送信した電波を受信することができ、アンテナが受信した電波に応じた高周波信号を同調周波数調節部102へ出力する。同調周波数調節部102は、アンテナ101から入力された高周波信号を受信回路103へ出力する。受信回路103は、同調周波数調節部102から入力された高周波信号の中から、端末使用者のキー操作などに従って決定される受信を希望する周波数(即ち、受信周波数)を選局し、ベースバンド信号に変換した後、デジタル復調及び誤り訂正処理を施し、TS信号(トランスポートストリーム信号)を出力すると同時に、前記選局された高周波信号の信号品質として、前記高周波信号の搬送波帯における搬送波の平均電力と雑音電力の比であるCNR(Carrier to Noise Ratio)を測定する。
【0019】
演算部104は、受信回路103が測定したCNRを読み取る。本実施例ではCNRを用いるが、CNR以外にも、コンスタレーションの理想的なシンボル位置と実際のシンボル位置とがどれだけずれているかを表現したMER(Modulation Error Ratio、変調誤差比)、復調したデジタル信号の誤りビット数と全ビット数との比を表すBER(Bit Error Rate、ビット誤り率)、又は受信した信号の信号強度などの受信回路103が測定可能な他の指標を用いても良い。
【0020】
また、演算部104は、同調周波数調節部102を制御するための制御信号を出力する。演算部104から出力された制御信号は、同調周波数調節部102へ入力される。同調周波数調節部102は、入力された前記制御信号に従って、アンテナ101の特性インピーダンスを変化させることで、アンテナ101の同調周波数を変化させることができる。この動作により、アンテナ101と同調周波数調節部102は、同調周波数を可変可能なチューナブルアンテナとして機能する。記憶部105は、演算部104が受信回路103から取得したCNR値を記録し、必要に応じて演算部104がその値を使用することが可能である。
【0021】
図2は、本実施例における同調周波数調節部102の実施例の一例を示したブロック図である。以下、図2に示した同調周波数調節部102の詳細について説明する。
【0022】
同調周波数調節部102は、容量素子201、可変容量素子202及び抵抗203を備えている。演算部104から同調周波数調節部102へ入力された制御信号が、可変容量素子202の容量値を制御する。本実施例では、可変容量素子202を可変容量ダイオードで構成している。制御信号は可変容量ダイオードに印加される逆バイアス電圧であり、電圧値を変えることで容量値を変化させる。可変容量素子202の容量値を変化させることにより、アンテナ101の特性インピーダンスを変化させ、アンテナ101の同調周波数を変化させる。
以上が、本実施例に示す受信装置の基本的な構成である。
【0023】
次に、本実施例に示すアンテナの特性について図3及び図4を用いて説明する。
図3は、前記制御信号の値によって、アンテナ101の同調周波数が変化する様子を示した特性図である。図3の横軸が演算部104から入力される制御信号の値を、縦軸がアンテナ101の同調周波数を表している。使用者が視聴を所望している周波数チャネルの周波数をfchとする。図3では、前記制御信号(可変容量ダイオードに印加される逆バイアス電圧)の値は、下限値Vminと上限値Vmaxの間の値を取り、前記制御信号の値をVchとしたときに、アンテナ101の同調周波数が前記受信周波数fchに一致することを示している。下限値Vminと上限値Vmaxは、例えば、地上デジタル放送の周波数帯である470MHzと770MHzとに対応している。あるいは搭載部品の性能ばらつきや基板の製造ばらつきなどによる余裕を考慮して地上デジタル放送の周波数帯より広めに設定する。
【0024】
図4は、図1に示した実施例において、制御信号の値に対するCNR(搬送波の平均電力と雑音電力の比の値)の一例を示す特性図である。図4の横軸が制御信号の値を、縦軸がCNRの値を表しており、図4は、制御信号の値を変化させることでCNRの値が変化することを示している。また、図4は、受信装置に近接する物体が存在しない場合には、CNRの値が最大値となる制御信号の値はVchであるが、物体が存在する場合には、CNRの値が最大値となる制御信号の最適な値はVchではなくVbestであることを表している。この最適値が変化する原因は、受信装置に近接する物体の影響によって同調周波数が変化したため、使用者が視聴を所望している周波数チャネルの周波数fchと同調周波数とが一致する制御信号の値がVchではなくVbestとなったためである。
【0025】
次に、演算部104の動作の詳細について説明する。
演算部104は、VminとVmaxの間を探索範囲とし、探索範囲の中からCNRが最大値となる制御信号の値Vbestを探索する。この探索により最適な制御信号の値を得ることができ、受信装置に近接する物体の影響がある場合でもアンテナ101の同調周波数と受信周波数とのずれを補正することが可能となる。
【0026】
この探索を実行する手順を図5のフローチャートを用いて説明する。
図5に示すフローチャートにおいて、ステップS501で、演算部104は制御信号の値(以下Vctrl)を探索範囲の下限値であるVminに設定する。
ステップS502は終了判定であり、Vctrlの値が探索範囲の上限値であるVmaxを超えたか否かを判定し、判定の結果がYesであれば一連の処理を終了する。判定の結果がNoであれば、ステップS503に進む。S503では、受信回路103において受信した信号のCNRを測定し、測定したCNRを演算部104が読み取る。ステップS504では、Vctrlの値を所定量のtだけ増加させて新たなVctrlとして、ステップS502へ戻る。ここで、tは任意の実数値(例えば、0.1V又は0.5V)である。以降、S502の終了判定が成立するまでS504までの動作を繰り返す。
【0027】
上述の処理を実行することで、探索範囲内の制御電圧値に対するCNRを求めることができ、得られた結果を比較することでCNRの値が最大となる制御信号の値であるVbestを求めることができる。Vbestを算出する手順は図5には記載していないが、ステップS503の処理の一部として、ステップS503において測定したCNRを演算部104に設けられている記憶部105に記憶し、ステップS502、S503、S504の一連のループ動作の都度、CNRが最大となる制御電圧値Vctrlの値を更新し、逐次、高い方のCNR値とそのときの制御電圧値Vctrlとを記憶していくことでVbestを得る方法、あるいは、ステップS501とS504で設定されるVctrlのすべての値に対して対応するCNRの値を制御電圧値Vctrlの値とともにステップS503において記憶部105にすべて記憶し、ステップS502の終了判定が成立した後に記憶部に記憶されたCNRのうち最大の値が得られる制御電圧値Vctrlを求めこれをVbestとする方法などがある。Vbestが求まった後、演算部104は制御信号の値VctrlをVbestに設定することで、アンテナ101の同調周波数は受信周波数に一致するため、安定な受信動作が実現される。
ステップS504でVctrlの値を増加させる増加量としてtを用いて説明したが、このtの値を小さくすることでVbestの値を求める際の分解能を小さくすることができ、より詳細な値のVbestを求めることが可能となる。ただし、Vctrlを設定する最小分解能がtの下限値となる。また、tの値を大きくすることでVbestを求める精度が荒くなるが、ステップS502、S503、S504からなる一連のループ動作が終了するまでの所要時間を小さくすることができ、より早くVbestを求めることが可能となる。最適な制御電圧Vbestの探索に際して、当初は大きな増加量tで探索してVbestが存在している制御電圧値Vctrlの範囲を粗く絞り、その後、当該制御電圧値Vctrlの範囲を小さな増加量tで探索してVbestを求めることもできる。
【0028】
ここではVminを初期値としてVctrlの値をVmaxまで増加させていく手順を説明したが、探索範囲内の制御電圧値に対するCNRを求めることができれば、Vmaxを初期値としてVminまで減少させるなど他の手順によっても同様の効果が得られることは自明である。
【0029】
ステップS503で受信装置103がCNRを測定する手順において、測定はVctrlが任意の値に設定された後に一度のみ測定した結果を使用しても良い。しかしながら、測定結果に含まれる測定誤差が大きい場合には誤ったCNR値に基づいて動作することになり、最適なVbestが得られないことを考慮する必要があるので、測定結果に含まれる誤差を低減する必要がある。
【0030】
図12のグラフはCNR測定結果の例である。図12に示すように、CNRの測定結果は測定の都度異なる値となっている。その最大値と最小値の差が測定誤差であり、測定回数(横軸)をnとし、n回分のデータの平均値を取ることで1回の測定結果のみを用いるより確からしい値が得られることがわかる。
【0031】
図13を用いて、図5(後述する図8においても同じ)おけるステップS503のCNR測定の手順を説明する。ステップS1301がCNR測定手順の開始であり、測定回数を表す変数nを1に設定する。ステップS1302において、図1における受信回路103で受信信号のCNRを測定する。測定されたCNR値はステップS1303において、演算回路104が受信回路103から読み取る。演算回路104では読み取ったCNR値に対して平均化処理を行なう。ステップS1304は終了判定である。測定回数nが予め定められた測定回数N回に達する、即ち、N回の測定が終了していればステップS1307へ進み、N回の測定が完了していない場合は、ステップS1305に進む。ステップS1305ではCNR測定間隔を保つように一定時間待機する。ステップS1306で測定回数を表す変数nを1増加させてステップS1303に戻り、上述の動作を繰り返す。ステップS1307では直前のS1303の処理で得られた所定のN回分の平均値をCNR値として記録する。
【0032】
図13に示した以上の処理が、図5(図8)におけるステップS503のCNR測定で行なわれる。図13で示す一連のCNR測定処理は、図5(図8)のフローチャートでVctrlがステップS504で変更されるごとに毎回実施される。
【0033】
以上の平均値算出処理により、1回の測定結果のみを用いるより確からしい値を得ることができる。ここでの説明ではデータ数をNとして説明したが、Nを大きくするほど算出した平均値の確からしさを増すことができる。また、Nを小さくすることで測定に必要な時間を短くすることが可能である。本説明ではステップS1302において受信回路103が測定する対象をCNRとして説明したが、測定対象がMER、BERの場合でも同様の動作が可能である。ただし平均化処理に関しては、対象によって算術平均、幾何平均などを考慮することが必要である。データ測定回数Nに関しては事前に定めておいても良いし、平均値の変化がある閾値以下になったとき(ただし最小値は別途定めておく)、平均値の変化が最大値と最小値の差分の一定量以下になったときなど任意に決めてよい。このようにNの値を可変とすることにより、CNRの変化量が小さい、すなわち図12における測定誤差が小さい場合にはより早くCNRの平均値算出を終了させることができ、処理時間の高速化を図ることができる。受信端末が置かれている環境が事前に分かっていてCNRの測定誤差範囲を見積もることが可能であれば、その誤差範囲に基づいてNの値を決めても良い。一例として、受信回路102において受信信号のドップラーシフト量を求めるなどの処理により受信端末が移動環境にあることがわかる場合や、受信電界強度が小さく外来雑音の影響を受けやすいときなどはCNRの測定誤差も大きくなることが予想される。このときはNの値を充分大きくすることによりCNRの算出結果の確からしさを高めることができる。反対に受信端末が静止状態にあることがわかるときや、受信電界強度が充分に大きく外来雑音の影響が小さい場合はCNRの測定誤差が小さくなることが予想される。このときはNの値を小さくしてもCNRの算出結果の確からしさを維持することができる。このようにNの値を可変とすることで受信環境に応じて最適な動作を実現することができる。
【0034】
また、ここでは平均値を求める例を示したが、N回測定した全データの中央値や、CNR値を度数分布(例えば0. 5刻みの数値)で表したときの最頻値などを平均値の代わりに用いても良い。平均値処理では外れ値の影響を受けやすく、受信信号の瞬断や外来雑音の影響で一瞬だけCNRが大きく劣化した場合CNRの平均値も大きく劣化してしまうが、中央値を使用することで外れ値の影響を受けにくくすることが可能である。
【0035】
次に、本動作における問題点と対策手法について説明する。上述の説明では、VminとVmaxの間を探索範囲とし、この探索範囲の中から探索を実行することによりVbestを求める処理に多大な時間がかかるという問題点がある。
【0036】
そこで、受信装置に近接する物体の影響によるアンテナの同調周波数変化の変化量及び変化方向を特定し、探索範囲を狭くする。受信装置に近接する物体とは、例えば、本実施例に示す受信装置を使用する端末使用者の人体である。
【0037】
以下、探索範囲を狭くする方法について説明する。図6は、受信装置に人体が近接していない場合と近接した場合、それぞれの場合における、制御信号値とアンテナ101の同調周波数との関係を示している。受信装置に人体が近接していない場合には、制御信号の値をVchとすることでアンテナ101の同調周波数は端末使用者が視聴を所望する受信周波数fchと一致するが、受信装置に人体が近接した場合には容量増大と同等になることに起因してアンテナ101の同調周波数が変化し(低くなり)、受信周波数とずれが生じる。ここで、受信装置に人体が近接することによるアンテナ101の同調周波数の変化量及び変化の方向(同調周波数が高くなるか低くなるか)を予め調査しておく。この調査の結果、受信周波数が例えば470MHzの場合は同調周波数の変化量は最大でも100MHzを超えないこと、及びアンテナ101の同調周波数は一般的には低くなることがわかっている。
【0038】
演算部104は、このことを利用して探索範囲を狭くする探索範囲限定手段を備えている。演算部104では、探索範囲を、VminとVmaxの間とするのではなく、前記Vchとアンテナ101の同調周波数を100MHz高くする制御信号値量だけVchよりも大きい制御信号値(逆バイアス電圧値)との間を探索範囲とする。図7は探索範囲を狭くした様子を示している。
【0039】
上述の手法で探索範囲を狭くした場合の探索を実行する手順を図8のフローチャートを用いて説明する。なお、図5と同様の処理には同じ符号を記す。
図8において、図5との違いは、ステップS801が追加されていること、及び探索範囲の下限値をVmin2、上限値をVmax2としていることである。
ステップS801では、VchをVmin2の値とし、Vchよりもアンテナ101の同調周波数を100MHz高くする制御信号値量だけ大きい値をVmax2の値としている。それ以降の処理は全て上述の図5の処理と同様である。
【0040】
図8に示す処理を実行することで、図5の処理よりも高速に、CNRの値が最大となる制御信号の値であるVbestを探索することができる。また、図7から分かるように、狭くした探索範囲内にCNRが最大となる制御信号値が含まれているため、探索範囲を狭くしてもCNRが最大となる制御信号値を必ず探索可能である。
【0041】
上述のように、受信装置に近接する物体、例えば人体の影響による同調周波数の変化量、および変化方向を調査し、この調査結果に基づいて探索範囲を狭くすることで、探索に要する時間を短縮することができる。また、この手法では特別に追加回路を設けることなく、高速に上記制御信号の最適値Vbestを探索することで同調周波数のずれを補正することができる。この結果、従来の受信装置では制御信号の最適値を探索している間は、アンテナの同調周波数はアンテナの同調周波数は端末使用者が受信を希望する周波数とずれたままであり、探索が完了するまで長時間待つ必要があったが、本構成をとることで探索時間を短縮化することができ、端末の使い勝手を向上することができる。
【0042】
しかし、受信端末に近接する物体の当該受信端末への影響が変化してアンテナの特性インピーダンスが変化した場合には、制御信号の最適値が変化することがある。このとき、制御信号の値を一旦探索して求めたVbestに設定したままでは受信特性が劣化するため、最適値の探索を再度実施する必要がある。本発明の要点である、最適値の再探索を考慮した制御手順について以下説明する。
【0043】
図9は最適値の探索の実施を説明するフローチャートである。ステップS901はテレビ視聴機能の動作が開始された状態であり、本受信装置が起動した状態である。受信装置の起動では図1の受信回路103に対する初期化設定や選局設定が行なわれ、受信回路103に放送信号が入力されればテレビの視聴が可能な状態となる。演算部104が同調周波数調節部102に出力する制御信号の値は、探索を行なっていない状態では端末に近接する物体はないものとして扱い、図4で示すVchの制御信号値に設定されている。ここで制御信号値Vchは任意の受信周波数fchに対して図3のグラフにより関連付けられる値であり、fchは、使用者がテレビ機能起動後に入力した周波数チャネル、受信装置が最後に動作していたときに選局されていた周波数チャネル、又は受信端末の初期値として事前に設定されていた周波数チャネルに相当する周波数である。
【0044】
ステップS901でのテレビ視聴機能の動作開始時点でのVchの設定に対して、実際には受信装置に近接する物体がある可能性があるため、ステップS902で制御信号の最適値を探索する。S902の結果、図5ないし図8で説明したように制御信号の最適値としてVbestが求められる。この結果を受けて、演算部104は同調周波数調節部102に出力する制御信号の値をVbestに設定してアンテナ101の同調周波数を使用者が視聴を所望する信号周波数に一致させ、ステップS903として通常の視聴状態となる。
ステップS904は終了判定であり、テレビ視聴機能がオフされた場合は本フローチャートが終了する。オフされていない場合はステップS905に遷移する。
【0045】
ステップS905では端末に近接する物体が変化していないかを判定する。S905における動作の詳細は後述するが、ここで端末に近接する物体に変化があることが検出された場合、演算部104が同調周波数調節部102に出力する制御信号の値を最適化する必要があると判断され、ステップS906に遷移して最適値の再探索が実施される。S906の再探索実施により制御信号の値として新たに最適な値Vbest2が求められ、この結果を受けて、演算部104は同調周波数調節部102に出力する制御信号の値をVbest2に設定してアンテナ101の同調周波数を使用者が視聴を所望する信号周波数に一致させ、ステップS903として通常の視聴状態となる。
ステップS905において端末に近接する物体に変化があることが検出されなかった場合は、探索は実施されずS903に戻り通常の視聴状態が継続される。
【0046】
S903からS906までのステップが繰り返されることにより、端末に近接する物体に変化が生じアンテナ101の同調周波数を変更する必要が生じた場合でもステップS905において状態の変化が検出され、S906で新たな制御信号の値Vbest2が探索されるため、常に安定なテレビの視聴状態が継続されることになる。
【0047】
以下、S905の端末に近接する物体における変化の有無の判定方法について詳細に説明する。図10は本発明による受信装置の実施例の一例を示すブロック図である。図1に示した受信装置と同一の機能を有する機能ブロックには同一の符号を付し、動作説明を省略する。図10において901は記憶部を備えた演算部であり、902は記憶部である。記憶部902は、演算部901が受信回路103から取得したCNR値を記録し、必要に応じて演算部901がその値を使用することが可能である。
【0048】
図14は図9におけるS905の判定方法を詳細に示すフローチャートである。このフローチャートでは、制御信号の値は互いに異なる2通りの値に設定されて、各値における受信状態又は信号品質を測定して、それらの比較結果に基づいて再探索を実施するか否かを判定している。
図14のステップS1401は制御信号の値の最適値探索を行なう必要があるか否かの判定の開始である。このとき使用者は通常の視聴状態であるため、図9のステップS902で求められた制御信号の値として最適なVbestが制御信号の値として設定されている状態である(制御信号の値についての一方の設定値)。ステップS1402で演算部901は受信回路103が測定したCNRを読み取る。この現在のCNRの値をCNR1として演算部901内の記憶部902に記録する。ステップS1403で演算部901は制御信号の値VctrlとしてVchを設定する(制御信号の値についての他方の設定値)。Vchは、既に説明しているように、受信装置に近接する物体がない場合に使用者が視聴を所望している受信周波数fchに最適な制御信号の値である。ステップS1404において、制御信号の値VctrlがVchに設定された状態のCNRを受信回路103が測定し、そのCNR値を演算部901が読み取ってCNR2として記録する。
【0049】
ステップS1405において、記憶部902に記録されたCNR1とCNR2とを比較する。ステップS1405の判定の結果、CNR1がCNR2よりも優っていた場合はVctrlがVbestに設定されていた状態が受信状態として優れていることになるため、ステップS1407において制御信号の値VctrlをVbestに戻して判定処理を終了する。この場合、図9のフローチャートにおけるステップS905の判定はNoであり、探索は実施されず通常視聴に戻る。
【0050】
ステップS1405の判定の結果、CNR1がCNR2よりも劣っていた場合はVctrlがVbestに設定されている状態より受信性能が優る制御信号値があることになるため、最適な制御信号の値を探索する必要がある。この場合、図9のフローチャートにおけるステップS905の判定はYesであり、最適な制御信号の値が探索される。
【0051】
図15は本実施例を説明する特性図であり、図4と同じく制御信号の値に対するCNRの値の一例を示している。図15において横軸が制御信号の値を、縦軸がCNRの値をそれぞれ表しており、制御信号の値を変化させることでCNRの値が変化することを示している。3本の特性曲線を記載しており、受信装置に近接する物体が存在しない場合には特性曲線1501の特性を示し、制御信号の値VctrlをVchに設定したときに最良のCNRが得られる。特性曲線1502は端末に近接する物体が存在し、かつその影響が大きい場合であり、このときCNRの値が最大値となる制御信号の値はVchではなく、Vbestであることを表している。特性曲線1503は端末に近接する物体が存在するがその影響は特性曲線1502ほどではない場合であり、このときCNRの値が最大値となる制御信号の値はVbest2であることを表している。
【0052】
3本の特性曲線が具体的にはどのような状態にあるかを、図11を用いて説明する。図11は受信端末である。図11において1001が蓋体部であり、液晶表示部が搭載されている。1002が本体部であり、図示していないが入力用のキー配置のほか、アンテナ、受信回路等からなる受信装置が搭載されている。図11の(a)は蓋体部1001が開状態にあるときを、(b)は蓋体部1001が閉状態にあるときを示しており、本体部1001と蓋体部1002の間に設けられているヒンジ部を回転させることで両方の状態間で移行可能である。図15における特性曲線1501は端末のアンテナに近接する物体がない状態であり、図11の(a)の状態でかつ人体が近接していない状態である。図15における特性曲線1502は、人体のようにアンテナに与える影響が大きい物体が端末のアンテナに近接している状態であり、例として図11の(a)の状態の端末を手で本体部1002を覆うように保持している状態である。図15における特性曲線1503は人体ほどの影響はないが、アンテナに近接する物体が存在している状態であり、例として図11(b)に示されるように本体部1002に格納されている受信装置に蓋体部1001が近接している状態である。
【0053】
端末の状態と各特性曲線との関係について更に詳述すると、使用者が端末のテレビ機能を開始したとき端末は図11の(a)の状態でかつ手で保持された状態であり、図15の特性曲線では1502の状態である。受信装置の動作を示す図9のフローチャートで、ステップS902はこの特性曲線1502の状態で実施されるため、制御信号の値Vctrlは特性曲線1502上で最大のCNRが得られるVbestに設定される。その後、使用者が端末を図11の(b)の状態で視聴していた場合、図15の特性曲線は1503の状態に移行する。ただし、制御信号値VctrlはVbestに設定されたままである。受信装置の動作を示す図9のフローチャートで、ステップS905の処理が実施されたとき、更に具体的には図14のステップS1402の処理においてCNRが測定されたとき図15のCNR1が観測され、ステップS1404の処理ではCNRとして図15のCNR2が観測される。この結果、CNR1<CNR2であるため、図14のフローチャート上でステップS1406に進み、図9のフローチャートのステップS906の制御信号の最適値を探索する処理が実施される。ここでは特性曲線1503に従うため、図15から制御信号値VctrlはVbest2が求められる。
【0054】
以上の動作により、受信端末のテレビ視聴状態がテレビ機能開始直後の状態と異なった場合でも、図9に示したフローチャートに従って動作することにより、端末の状態に変化が起きたことが判明し、制御信号の最適化処理が実施されて常に最適な制御信号値が維持される。こうして、常に安定なテレビ視聴が実現される。
なお、端末を手に持って操作した後、元の場所に戻されるというように、端末の環境が一時的に変更されても、直ぐ元に戻る場合がある。こうした場合のことも想定して、制御信号の最適値の再探索をすることなく、例えば、アンテナの同調周波数が受信周波数に一致するときの制御信号の値であるVchという固定値に戻すことも、対策の一つに成りうる。
この場合の動作例を図21に示す。図21におけるS2105では図9におけるS905と同様の処理を行ない、その結果がYesの場合はS2106において制御信号値VctrlをVchに戻す処理を行なう。
図22は、図21におけるS2105の判定方法を詳細に示すフローチャートである。図14と比較して、S1405の判定でYesとなった場合の処理が異なっており、探索を行なわずに制御電圧値VctrlをVchに戻す処理を行なう。再探索処理を行なわないため、図9に示す動作例と比較して処理が少なくすみ、動作の高速化を図ることができる。
【実施例2】
【0055】
図16は、本発明による受信装置の第二の実施例を説明するフローチャートである。図16に示すフローチャートによる動作を図10に示したブロック図の構成に適応させた動作について以下説明する。
【0056】
図16において、ステップS1601は、テレビ視聴機能の動作が開始された状態であり、本受信装置が起動した状態である。受信装置の起動状態では図10の受信回路103に対する初期化設定や選局設定が行なわれ、受信回路103に放送信号が入力されればテレビの視聴が可能な状態となる。演算部901が同調周波数調節部102に出力する制御信号の値は初期状態においては受信装置に近接するする物体はないものとして扱い、図4で示すVchの制御信号値に設定されている。ここで制御信号値Vchは任意の受信周波数fchに対して図3のグラフにより関連付けられる値であり、fchとしては、使用者がテレビ機能起動後に入力した周波数チャネル、受信装置が最後に動作していたときに選局されていた周波数チャネル、又は受信端末の初期値として事前に設定されていた周波数チャネルに相当する周波数が設定される。
【0057】
しかしながら、実際には受信装置に近接する物体(使用者本人等)が存在する可能性があるため、ステップS1602で最適な制御信号の値を探索する。S1602における探索の結果、図8で説明したように制御信号の最適値としてVbestが求められる。この結果を受けて、演算部901は同調周波数調節部102に出力する制御信号の値をVbestに設定してアンテナ101の同調周波数を使用者が視聴を所望する信号周波数に一致させる。次にステップS1603では受信回路103はこの状態におけるCNRを測定し、演算部901はこのCNR値を読み取り、CNR3として記憶部902に記録する。その後ステップS1604として通常の視聴状態となる。ステップS1605は終了判定であり、テレビ視聴機能がオフされた場合は本フローチャートが終了する。オフされていない場合はステップS1606に遷移する。
【0058】
ステップS1606では、受信回路103が受信信号のCNRを再度測定する。演算部901はこのCNR値を読み取り、CNR4として記憶部902に記録する。ステップS1607では端末に近接する物体が変化していないかを判定する。S1607における動作の詳細は後述するが、ここで近接する物体に変化があることが検出された場合、演算部901が同調周波数調節部102に出力する制御信号の値を最適化する必要があると判断され、ステップS1608に遷移して最適値の探索が実施される。S1608の探索実施により制御信号の値として新たに最適な値Vbest2が求められ、この結果を受けて演算部901は同調周波数調節部102に出力する制御信号の値をVbest2に設定してアンテナ101の同調周波数を使用者が視聴を所望する信号周波数に一致させ、ステップS1609で新たにCNR3の値が更新され、ステップS1604として通常の視聴状態となる。
【0059】
ステップS1607において近接する物体に変化があることが検出されなかった場合は、探索は実施されずS1604に戻り通常の視聴状態が継続される。
S1604からS1608までのステップが繰り返されることにより、端末に近接する物体に変化が生じアンテナ101の同調周波数を変更する必要が生じた場合でもステップS1607において状態の変化が検出され、S1608で新たな制御信号の値Vbest2が探索されるため、常に安定なテレビの視聴状態が継続されることになる。
【0060】
以下、S1607の近接物体における変化の有無の判定方法について詳細に説明する。演算部901では記憶部902に記録されたCNR3とCNR4との差の絶対値を計算する。予め閾値CNRthを定めておき、CNR3とCNR4との差がこの閾値CNRthを下回っている場合には、アンテナに近接する物体に変化はないものと判断する。また、CNR3とCNR4との差がCNRthを上回った場合には、アンテナに近接する物体に変化があり、アンテナの同調周波数に変化が生じたものと判定する。このときのアンテナの特性曲線の変化を、図17を用いて説明する。
【0061】
図17は本実施例を説明する特性図であり、図4と同じく制御信号の値に対するCNRの値の一例を示している。図17において横軸が制御信号の値を、縦軸がCNRの値をそれぞれ表しており、制御信号の値を変化させることでCNRの値が変化することを示している。3本の特性曲線を記載しており、受信装置に近接する物体が存在しない場合には特性曲線1701の特性を示し、制御信号の値VctrlをVchに設定したときに最良のCNRが得られる。特性曲線1702は端末に近接する物体が存在し、かつその影響が大きい場合であり、このときCNRの値が最大値となる制御信号の値はVchではなく、Vbestであることを表している。図16で示したフローチャートのステップS1603において測定されたCNR3は、制御信号値がVbestのときの特性曲線1702上のCNR値である。特性曲線1703は端末に近接する物体が存在するがその影響は特性曲線1502ほどではない場合であり、このときCNRの値が最大値となる制御信号の値はVbest2であることを表している。図16で示したフローチャートのステップS1606において測定されたCNR4は、制御信号値がVbestのときの特性曲線1703上のCNR値である。
【0062】
受信装置に近接する物体の影響が、図17の特性曲線1702の状態から特性曲線1703の状態に変化した場合、制御信号値がVbestに設定された状態でのCNR値がCNR3からCNR4に変化している。この差分が上述の閾値CNRth以下の場合には特性曲線の変化は少ないものとし、図16のフローチャートではステップS1607の判定結果がNoであり、制御信号値の最適値の再探索は実施されない。この差分がCRNRth以上の場合に、特性曲線に有意の変化があるとされ、図16のフローチャートではステップS1607の判定結果がYesとされる。次に、ステップS1608に遷移して、制御信号値の最適値の再探索が実施される。図17の例では再探索の結果として、制御信号値の最適値としてVbest2が探索される。
【0063】
ここで説明した以外の動作に関しては実施例1と同様の動作を行なう。以上、説明したように、図16に示したフローチャートに従って動作することにより、通常のテレビ視聴状態において随時CNRの変化を測定し、閾値CNRth以上の変化が生じた場合に制御信号値の再探索が実施される。この結果、受信端末のテレビ視聴状態がテレビ機能開始直後の状態と異なった場合でも、端末の状態に変化が起きたことが判明し、制御信号の最適化処理が実施されて常に最適な制御信号値が維持される。こうして、常に安定なテレビ視聴が実現される。
【0064】
なお、CNRの測定値に変化が生じる原因として、アンテナに近接する物体の影響が変化した場合ではなく、ビル影等の影響による受信地点の電界強度の低下、アンテナの指向性の影響による受信電力の低下なども考えられる。この場合は図17の特性曲線1702はCNR値が下がる方向に並行に移動することになる。図16のフローチャートのステップS1606では、この場合もCNR4として、CNR3より低下した値が読み取られることになり、制御信号値の再探索が実施されることになる。ただし、再探索の結果として制御信号値の最適値としてはVbestが設定されることになるため、この場合も最適な受信条件を得ることが可能である。
【実施例3】
【0065】
図18は本発明による受信装置の第三の実施例を説明するフローチャートである。図18に示すフローチャートによる動作を図10に示したブロック図の構成に適応させた動作について以下説明する。
【0066】
図18において、ステップS1801は、テレビ視聴機能の動作が開始された状態であり、本受信装置が起動した状態である。受信装置の起動状態では図10の受信回路103に対する初期化設定や選局設定が行なわれ、受信回路103に放送信号が入力されればテレビの視聴が可能な状態となる。演算部901が同調周波数調節部102に出力する制御信号の値は初期状態においては受信装置に近接する物体はないものとして扱い、図4で示すVchの制御信号値に設定されている。ここで制御信号値Vchは任意の受信周波数fchに対して図3のグラフにより関連付けられる値であり、fchとしては、使用者がテレビ機能起動後に入力した周波数チャネル、受信装置が最後に動作していたときに選局されていた周波数チャネル、又は受信端末の初期値として事前に設定されていた周波数チャネルに相当する周波数が設定される。
【0067】
しかしながら、実際には受信装置に近接する物体(使用者本人等)が存在する可能性があるため、ステップS1802で最適な制御信号の値を探索する。S1802における探索の結果、図8で説明したように制御信号の最適値としてVbestが求められる(制御信号の値についての3通りの設定値のうちの一つの設定値)。この結果を受けて、演算部901は同調周波数調節部102に出力する制御信号の値をVbestに設定してアンテナ101の同調周波数を使用者が視聴を所望する信号周波数に一致させる。次にステップS1803では受信回路103はこの状態におけるCNRを測定し、演算部901はこのCNR値を読み取り、CNR5として記憶部902に記録する。その後ステップS1804として通常の視聴状態となる。ステップS1805は終了判定であり、テレビ視聴機能がオフされた場合は本フローチャートが終了する。オフされていない場合はステップS1806に遷移する。
【0068】
ステップS1806では、演算部901は制御信号値をVbestより一定量小さい値(Vbest−α)に設定し、このときのCNR値を受信回路103が測定し、演算部901はこのCNR値を読み取り、記憶部902にCNR6として記録する。次にステップS1807では、演算部901は制御信号値をVbestより一定量大きい値(Vbest+α)に設定し、このときのCNR値を受信回路103が測定し、演算部901はこのCNR値を読み取り、記憶部902にCNR7として記録する。以上のS1803、S1806、S1807の処理により等間隔に並んだ3箇所の制御信号値におけるCNR値が得られる。制御信号値(Vbest−α)及び(Vbest+α)が制御信号の値についての3通りの設定値のうちの他の二つの設定値である。
【0069】
ステップS1808ではこの3箇所のCNR値を使用して端末に近接する物体が変化していないかを判定する。S1808における動作の詳細は後述するが、ここで近接する物体に変化があることが検出された場合、演算部901が同調周波数調節部102に出力する制御信号の値を最適化する必要があると判断され、ステップS1809に遷移して最適値の探索が実施される。S1807の探索実施により制御信号の値として新たに最適な値Vbest2が求められ、この結果を受けて演算部901は同調周波数調節部102に出力する制御信号の値をVbest2に設定してアンテナ101の同調周波数を使用者が視聴を所望する信号周波数に一致させ、ステップ1810で新たにCNR5の値が更新され、ステップS1804として通常の視聴状態となる。
【0070】
ステップS1808において近接する物体に変化があることが検出されなかった場合は、探索は実施されずS1804に戻り通常の視聴状態が継続される。
なお、図18に記載していないが、CNR7を取得した後にVctrlの設定値をVbestに戻す処理がS1807のあと、ないし、S1808の判定処理のあとに必要である。
S1804からS1808までのステップが繰り返されることにより、端末に近接する物体に変化が生じアンテナ101の同調周波数を変更する必要が生じた場合でもステップS1808において状態の変化が検出され、S1809で新たな制御信号の値Vbest2が探索されるため、常に安定なテレビの視聴状態が継続されることになる。
【0071】
以下、S1808の判定方法について説明する。演算部901では記憶部902に記録されたCNR5、CNR6及びCNR7の値を比較する。制御信号値がVbestのときのCNR値であるCNR5がこの3箇所の値の中でもっとも優っている場合、アンテナに近接する物体に変化はないものと判断する。このときS1808の再探索開始判定の結果はNoである。CNR6とCNR7のいずれか一方もしくは両者がCNR5より優っていた場合は、アンテナに近接する物体に変化があり、アンテナの同調周波数に変化が生じたものと判断する。このときS1808の再探索開始判定の結果はYesである。
【0072】
本実施例の特徴についてさらに詳細に説明する。
S1808における判定において、CNR5に対してCNR6が優り、CNR7が劣っていた場合の特性図を図19(a)に示す。このとき、最大のCNR値が得られる制御信号値のVbest2はVbestより低い位置にあると考えられる。このため、S1809において実施される制御信号値の最適値を探索する処理では、探索範囲として、探索範囲の最小値はVch、探索範囲の最大値はVbest−αに設定することができる。この結果、図8で説明した探索範囲に比較して探索範囲を狭くすることができ、探索に要する時間を短縮することが可能となる。
【0073】
また、S1808における判定においてCNR5に対してCNR7が優り、CNR6が劣っていた場合の特性図を図19(b)に示す。このとき、最大のCNR値が得られる制御信号値のVbest2はVbestより高い位置にあると考えられる。このため、S1809において実施される制御信号値の最適値を探索する処理では、探索範囲として、探索範囲の最小値はVbest+α、探索範囲の最大値は図8に従いVch+100MHz相当の制御信号値に設定することができる。この結果、図8で説明した探索範囲に比較して探索範囲を狭くすることができ、探索に要する時間を短縮することが可能となる。
【0074】
探索が実施されている間、制御信号値が変更されることでアンテナの同調周波数が変化し、受信信号の信号電力が変化し、この結果受信特性が劣化する可能性があるが、短縮に要する時間を短縮することにより、受信特性が劣化する時間を短縮することが可能であり、使用者が安定なテレビ視聴の実現に効果がある。
【0075】
以上説明したように図18に示したフローチャートに従って動作することにより、通常のテレビ視聴状態において随時CNRの変化を測定し、制御信号値に対するCNRの特性が変化したことが検出された場合に制御信号値の再探索が実施される。この結果、受信端末のテレビ視聴状態がテレビ機能開始直後の状態と異なった場合でも、端末の状態に変化が起きたことが判明し、制御信号の最適化処理が実施されて常に最適な制御信号値が維持される。こうして、常に安定なテレビ視聴が実現される。
【0076】
なお、制御信号値の変化に対して、CNR値の変化量が少ない場合、CNR5、CNR6及びCNR7の大小比較に誤判定が発生する可能性がある。しかし、図13のCNR測定方法で既に説明したようにCNR測定の測定誤差を低減することにより精度の良いCNR値を求めることができる。また、CNR6、CNR7を測定するために設定するVctrlの値であるVbest−αとVbest+αにおけるαの値を適切に設定することでもCNR5、CNR6及びCNR7の大小比較に誤判定が発生する可能性を低減することが可能である。すなわち、αの値を大きくとることにより、CNR5に対するCNR6、CNR7の値の変化量を大きく取ることができ測定誤差による誤判定を低減することが可能である。具体的には、Vctrlのとりうる範囲が0V〜3.0Vであった場合、αの値として例えば、0.1V又は0.5Vとすればよい。また、CNR6とCNR7を求める際のαの値について上側と下側で同じ値にする必要は無く、CNR6を求める際はVbest−α、CNR7を求める場合はVbest+β(ただしα≠β)、としてもよい。図4に示すアンテナの制御信号値とCNRの関係が予めわかっている場合には、傾きが緩い側のαないしはβの値を大きくすることで測定誤差による誤判定を低減できる。
【実施例4】
【0077】
図9におけるS905の判定条件の別の実施例として、加速度センサで受信端末の位置、向き、動作状態における変化の発生を検出する方法がある。加速度センサを用いた判定例を、図20を用いて説明する。図20において903は第三の記憶部、904は加速度センサである。受信端末の位置が変化することにより、アンテナに近接する物体の影響が変化することが考えられる。同様に受信端末の向きが変化することにより、アンテナに近接する物体の影響が変化することが考えられる。また、同様に受信端末が停止状態から停止状態以外に動作状態が変化したとき、及びこの逆の動作状態の変化が生じたことにより、アンテナに近接する物体の影響が変化することが考えられる。受信装置に加速度センサ904を設けることにより、受信端末の位置、向き、動作状態の変化を検出することができ、これらの検出結果を演算部901における第三の記憶部903に所定の間隔で記録し、記録した結果を演算部901が処理することにより、検出された変化量が所定の値を超えたとき、受信端末の位置の変化、向きの変化、動作状態の変化等によりアンテナの同調周波数を最適化する必要があると判断し、図9におけるS905の判定条件がYesを出力し、制御信号の最適値を探索し、新たな最適値に設定することが可能となる。
【0078】
ここでは、加速度センサによる判定条件について説明したが、加速度センサではなく、接触センサを用いても良い。受信装置に接触センサを設けることで、受信端末に接触する物体があるか否かを検出することが可能である。特に人体の影響があるか否かを検出することが可能であり、接触センサの出力を第三の記憶部903に記録し、接触センサの出力に変化が生じたことを演算部901が検出することによって、受信端末に近接する物体に変化が生じたことが検出され、この結果、図9におけるS905の判定条件がYesを出力し、制御信号の最適値を探索し、新たな最適値に設定することが可能となる。
【0079】
また、別の例として状態センサを用いても良い。受信装置に受信端末の開閉状態の変化を検出する状態センサを設けることで、受信端末の開閉状態を演算部901が検出することが可能となる。受信端末の開閉状態に変化が生じることにより、アンテナの同調周波数を最適化する制御信号値に変化が生じるため、状態センサが受信端末の開閉状態を演算部901に出力することで、受信端末の開閉状態の変化を演算部901が判断し、この結果、図9におけるS905の判定条件がYesを出力し、制御信号の最適値を探索し、新たな最適値に設定することが可能となる。
【0080】
本実施例で示したように、加速度センサ等のセンサを用いることで、最小限の構成変更で図9に示すフローチャートの動作を実現することが可能となる。この結果、アンテナに近接する物体の変化により受信端末のテレビ視聴状態がテレビ機能開始直後の状態と異なった場合でも、端末の状態に変化が起きたことが検出され、制御信号の最適化処理が実施されて常に最適な制御信号値が維持される。こうして、常に安定なテレビ視聴が実現される。
【符号の説明】
【0081】
101・・・アンテナ
102・・・同調周波数調節部
103・・・受信回路
104・・・演算部
201・・・容量素子
202・・・可変容量素子
203・・・抵抗
901・・・演算部
902・・・記憶部
903・・・センサ
1001・・・蓋体部
1002・・・本体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を受信し、受信した該電波に対応した受信信号を出力するアンテナと、
該アンテナからの前記受信信号が入力され、該受信信号の受信状態又は信号品質を測定する機能を備えた受信回路と、
該受信回路において測定された前記受信状態又は前記信号品質を読み取る機能、及び制御信号を出力する機能を備えた演算部と、
前記制御信号が入力され、前記アンテナの利得が最大となる周波数である同調周波数を調節する機能を有する同調周波数調節部とを備え、
前記受信状態又は前記信号品質は、前記制御信号の値によって変化し、且つ前記受信した電波の周波数と前記同調周波数とが一致したときに最良となり、
前記演算部は、前記受信状態又は前記信号品質が最良となる前記制御信号の値が存在し得る範囲を探索範囲と定め、該探索範囲の中から前記受信状態又は前記信号品質が最良となる前記制御信号の最適値を探索する探索手段を備えた受信装置において、
前記探索手段は、前記受信した電波の前記受信状態又は前記信号品質が前記最良でないことに応答して、前記制御信号の前記最適値の再探索を実施することを特徴とする受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信装置において、
前記探索手段は、前記探索範囲を、前記制御信号が取り得る全ての値の範囲よりも狭い範囲に定める探索範囲限定手段を備えていることを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の受信装置において、
前記探索手段による前記再探索は、前記受信装置の機能が開始されたとき、
及び通常動作状態において、前記受信した電波の前記受信状態又は前記信号品質が前記最良でないときに、実施されることを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の受信装置において、
前記演算部は、前記制御信号の値を互いに異なる第一の設定値と第二の設定値の2通りの値に設定して、各値における前記受信状態又は前記信号品質を測定し、両者の比較結果に基づいて前記探索手段による前記再探索を実施するか否かを判定することを特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項4に記載の受信装置において、
前記第一の設定値は、前記探索手段によって探索された前記制御信号の前記最適値であり、前記第二の設定値は、前記アンテナの前記同調周波数が受信周波数に一致するときの前記制御信号の値であり、
前記演算部は、前記制御信号が前記第二の設定値のときの前記受信状態又は前記信号品質が、前記制御信号が前記第一の設定値のときの前記受信状態又は前記信号品質よりも良好であるか否かの比較を行い、
前記探索手段は、当該良好であるとの当該比較結果に応答して、記制御信号の前記最適値の再探索を実施することを特徴とする受信装置。
【請求項6】
請求項5に記載の受信装置において、
前記演算部は、前記探索手段による前記再探索に代えて、前記制御信号の値を前記アンテナの前記同調周波数が受信周波数に一致するときの前記制御信号の値に設定することを特徴とする受信装置。
【請求項7】
請求項3に記載の受信装置において、
前記演算部は、前記探索手段が前記制御信号の前記最適値を探索したときの前記最適値に対応する前記受信状態又は前記信号品質と、前記制御信号の前記最適値を探索した後に再度測定した前記最適値に対応する前記受信状態又は前記信号品質との差が所定の閾値を超えているか否かの比較を行い、
前記探索手段は、当該差が前記所定の閾値を超えているとの当該比較結果に応答して、前記制御信号の前記最適値の再探索を実施することを特徴とする受信装置。
【請求項8】
請求項3に記載の受信装置において、
前記演算部は、前記制御信号の値を互いに異なる第一の設定値、第二の設定値、第三の設定値の3通りの値に設定して、各値における前記受信状態あるいは信号品質を測定し、これらの比較結果を元に前記探索手段による前記再探索を実施するか否かを判定することを特徴とする受信装置。
【請求項9】
請求項8に記載の受信装置において、
前記第一の設定値は、前記探索手段によって探索された前記制御信号の前記最適値であり、第二の設定値は、前記最適値を所定の値だけ大きくした値であり、第三の設定値は、前記最適値を所定の値だけ小さくした値であり、
前記演算部は、前記制御信号が前記第一の設定値のときの前記受信状態又は前記信号品質が、前記制御信号が前記第二乃至第三のときの前記受信状態又は前記信号品質の中間にあるか否かの比較を行い、
前記探索手段は、当該中間にあるとの当該比較結果に応答して、前記制御信号の前記最適値の再探索を実施することを特徴とする受信装置。
【請求項10】
請求項4〜9のいずれか一項に記載の受信装置において、
前記条件における前記最適値は、前記探索手段が前記再探索を実施して得られた前記制御信号の前記最適値に更新されることを特徴とする受信装置。
【請求項11】
請求項4〜10のいずれか一項に記載の受信装置において、
前記受信装置の機能が終了されることに応じて、前記制御信号の値は前記アンテナの前記同調周波数が受信周波数に一致するときの当該制御信号の値に戻されることを特徴とする受信装置。
【請求項12】
電波を受信し、受信した該電波に対応した受信信号を出力するアンテナと、
該アンテナからの前記受信信号が入力され、該受信信号の受信状態又は信号品質を測定する機能を備えた受信回路と、
該受信回路において測定された前記受信状態又は前記信号品質を読み取る機能、及び制御信号を出力する機能を備えた演算部と、
前記制御信号が入力され、前記アンテナの利得が最大となる周波数である同調周波数を調節する機能を有する同調周波数調節部とを備え、
前記受信状態又は前記信号品質は、前記制御信号の値によって変化し、且つ前記受信した電波の周波数と前記同調周波数とが一致したときに最良となり、
前記演算部は、前記受信状態又は前記信号品質が最良となる前記制御信号の値が存在し得る範囲を探索範囲と定め、該探索範囲の中から前記受信状態又は前記信号品質が最良となる前記制御信号の最適値を探索する探索手段を備えた受信装置において、
前記探索手段は、前記受信装置に取り付けられて前記受信装置の位置、姿勢における変化を加速度の変化として検出する加速度センサの検出出力が所定の値を超えたことに応答して、前記制御信号の前記最適値の再探索を実施することを特徴とする受信装置。
【請求項13】
電波を受信し、受信した該電波に対応した受信信号を出力するアンテナと、
該アンテナからの前記受信信号が入力され、該受信信号の受信状態又は信号品質を測定する機能を備えた受信回路と、
該受信回路において測定された前記受信状態又は前記信号品質を読み取る機能、及び制御信号を出力する機能を備えた演算部と、
前記制御信号が入力され、前記アンテナの利得が最大となる周波数である同調周波数を調節する機能を有する同調周波数調節部とを備え、
前記受信状態又は前記信号品質は、前記制御信号の値によって変化し、且つ前記受信した電波の周波数と前記同調周波数とが一致したときに最良となり、
前記演算部は、前記受信状態又は前記信号品質が最良となる前記制御信号の値が存在し得る範囲を探索範囲と定め、該探索範囲の中から前記受信状態又は前記信号品質が最良となる前記制御信号の最適値を探索する探索手段を備えた受信装置において、
前記探索手段は、前記受信装置に取り付けられて前記受信装置に対する物体の接触を検出する接触センサの検出出力が所定の値を超えたことに応答して、前記制御信号の前記最適値の再探索を実施することを特徴とする受信装置。
【請求項14】
電波を受信し、受信した該電波に対応した受信信号を出力するアンテナと、
該アンテナからの前記受信信号が入力され、該受信信号の受信状態又は信号品質を測定する機能を備えた受信回路と、
該受信回路において測定された前記受信状態又は前記信号品質を読み取る機能、及び制御信号を出力する機能を備えた演算部と、
前記制御信号が入力され、前記アンテナの利得が最大となる周波数である同調周波数を調節する機能を有する同調周波数調節部とを備え、
前記受信状態又は前記信号品質は、前記制御信号の値によって変化し、且つ前記受信した電波の周波数と前記同調周波数とが一致したときに最良となり、
前記演算部は、前記受信状態又は前記信号品質が最良となる前記制御信号の値が存在し得る範囲を探索範囲と定め、該探索範囲の中から前記受信状態又は前記信号品質が最良となる前記制御信号の最適値を探索する探索手段を備えた受信装置において、
前記探索手段は、前記受信装置の蓋の開閉等の動作状態を検出する動作センサの検出出力が所定の値を超えたことに応答して、前記制御信号の前記最適値の再探索を実施することを特徴とする受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19a】
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【図19b】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−139202(P2011−139202A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296788(P2009−296788)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】