説明

受光装置

【課題】上側からの入射光に対する受光感度を低下させると同時に、下側からの入射光に対する受光感度を向上させることができる受光装置を提供する
【解決手段】受光装置は、リモコン信号光を受光する受光部1と、受光部1へリモコン信号光5を導く導光管12とを備える。そして、導光管12は、底面に開口面側に向かって下方に傾斜する傾斜面12aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器を遠隔制御するワイヤレスリモートコントローラからのリモコン信号光を受光する受光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機器を遠隔制御するためのリモコン装置としては、有線形式のリモートコマンダや、無線形式のワイヤレスリモートコントローラ等がある。
【0003】
受光装置としては図15に示すように、受光部1と導光管2とから構成されるのが一般的である。導光管2の開口面2aは、遠隔制御される機器の筐体3の前面3aに面を合わせて配置される。受光部1は、機器の向かいに存在する操作者4からワイヤレスリモートコントローラを用いて発信されるリモコン信号光5を電気信号へと変換するフォトダイオードとフィルタ、アンプなどで構成される。導光管2は、様々な角度から発信されるリモコン信号光5を受光部1に導く。一般的に、角柱形状や円柱形状の導光管がよく用いられる。
【0004】
ここで、インバータ照明が設置されている環境下でのワイヤレスリモートコントローラの誤動作が問題となっている。これは、インバータ照明の点灯周波数(数十〜数百kHz)が、リモコン信号光の搬送波周波数(40kHz付近の赤外線)に近いため、インバータ照明の光が妨害光となるからである。
【0005】
そこで、このような誤動作を防止するため、妨害光を受光しにくくした形状の導光管が提案されている(例えば、特許文献1参照)。一般的にインバータ照明からの光は非制御機器の上側から照射される。特許文献1では、操作者側から受光部側に向けて導光管に広がりを持たせる傾斜面を設けることによって、上側からの光に対しては受光部へと導光せず、感度を下げるような構造を提案している。
【特許文献1】特開2004−274407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インバータ照明の点灯周波数(数十〜数百kHz)が、リモコン信号光の搬送波周波数(40kHz付近の赤外線)に近いために生じる誤動作を防ぐため、受光装置の上側からの入射光に対する受光感度を低下させることが求められている。
【0007】
一方で、近年急速に普及しつつある薄型テレビが壁掛け状態やチルト状態で設置されることを考慮し、受光装置の下側からの入射光に対する受光感度を向上させることが望まれている。
【0008】
しかし、従来の一般的な導光管の形状では、上側からの入射光に対する受光感度を低下させると同時に、下側からの入射光に対する受光感度を向上させることができなかった。また、特許文献1に記載の導光管の形状では、上側からの入射光に対する受光感度を低下させることはできるが、下側からの入射光に対する受光感度を向上させることができなかった。
【0009】
本発明の目的は、上側からの入射光に対する受光感度を低下させると同時に、下側からの入射光に対する受光感度を向上させることができる受光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の受光装置は、リモコン信号光を受光する受光部と、前記受光部へリモコン信号光を導く導光管とを備える受光装置において、前記導光管は、底面に開口面側に向かって下方に傾斜する傾斜面を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の受光装置は、導光管の底面に、開口面側に向かって下方に傾斜する傾斜面を設けたので、上側からの入射光に対する受光感度を低下させると同時に、下側からの入射光に対する受光感度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る受光装置を拡大して示す薄型テレビ(非制御機器)の斜視図である。
【0014】
図1において、薄型テレビ(非制御機器)11の筐体3には、受光部1と導光管12からなる受光装置が搭載される。導光管12は、操作者4からのリモコン信号光5を受光部1へ導く。
【0015】
本実施の形態の筒状の導光管12は、図2以下で詳述するように、底面に、開口面側に向かって下方に傾斜する傾斜面12aを有する。
【0016】
図2は、図1における受光装置と光の入射角との関係を示す図である。
【0017】
上述したように、本実施の形態の筒状の導光管12は、底面に、開口面側に向かって下方に傾斜する傾斜面12aを有する。
【0018】
受光部1の上側(傾斜面12aに対して垂直方向)からのインバータ照明21の光22は、導光管12の傾斜面12aによって受光部1とは異なる方向に反射され、受光されにくくなる。また、下側(傾斜面12aに対して水平方向)からのリモコン信号光5は導光管14の傾斜面12aによって入射径が広くなるため、受光されやすくなる。
【0019】
尚、図2については、後にさらに詳述する。
【0020】
図3は、図1における第1の実施の形態の受光装置の斜視図、図4は、本発明の第2の実施の形態に係る受光装置の斜視図である。
【0021】
図3において、導光管12−1(図4の導光管12−2と区別した)は、中空角型である。
【0022】
図4において、導光管12−2は、中空円弧型である。
【0023】
中空角型、中空円弧型のほかにも中空筒状であれば、種々の形状が考えられる。傾斜面12aは、平面の他、曲面を含むものでも良い。導光管12はポリカーボネート、アクリル、ガラスなどの光を導光する物質で形成される。
【0024】
図5は、一般的なリビングルームに薄型テレビが設置された場合の受光装置とインバータ照明の距離関係を示す図である。
【0025】
図5において、一般的なリビングルーム(8〜12畳)の壁から壁までの距離は4〜5mである。そしてインバータ照明21は部屋の中央に、薄型テレビ11は壁に近接した位置に設置されることを考慮して、受光装置−インバータ照明間の幅を2.0mとする。
【0026】
次に、一般的なリビングルームの天井の高さが2.5m〜2.8mであることを考慮して、インバータ照明21の高さを2.5mとする。さらに、一般的なテレビ台を使用した場合の受光装置の高さを0.5mとすると、受光装置−インバータ照明間の高さは2.0mとなる。これらの距離関係から、インバータ照明光22が受光装置の導光管に入射する角度は45°となる。
【0027】
図6は、図1における第1の実施の形態の受光装置の寸法関係を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【0028】
図6において、受光部1の受光面の高さ31を例えば5mmとする。導光管12は、例えば高さ32が5mm、幅33が5mmの正方形の面を持つ角柱と、高さ34が10mm、幅33が5mmの長方形の面を、45°の斜面12aで接続した構造とする。
【0029】
上述した図2に戻り、図6の導光管を用いる場合の光の入射角を説明する。
【0030】
図2において、インバータ照明光22は入射角度41をもって入射するが、これは45°となる。また、下側からのリモコン信号光5の入射角度42も45°であるとする。
【0031】
このような場合、導光管12の傾斜角度(傾斜面12aと開口面12bとのなす角度)43が45°であることにより、上側からのインバータ照明光22は、入射方向と平行な方向に反射することになり、受光部1へは導光されない。
【0032】
図7は、薄型テレビを壁掛け設置した状態を示す図、図8は、薄型テレビをチルト状態で設置した状態を示す図である。
【0033】
図7に示すように、薄型テレビ11を壁51に掛けて設置した場合や、図8に示すように、チルト状態で設置した場合リモコン信号光5に対して入射径が大幅に拡大し、受光しやすくなる。このように、導光管12の傾斜面12aの傾斜角度43が45°であるときに、インバータ照明光22の妨害に強く、下側からの受光感度も向上させることができる。
【0034】
但し、導光管12の傾斜角度43は必ずしも45°に限定されるものではなく、幾らか増減しても同様の効果が得られる。
【0035】
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る受光装置の構成図である。
【0036】
図9において、導光管12の傾斜面12aには凹凸部61が設けられている。上側からのインバータ照明光22は凹凸部61にて乱反射し、受光部1へと導光されることが無い。凹凸部61はシボ加工のように不規則な表面処理を施してもよい。
【0037】
図10は、本発明の第4の実施の形態に係る受光装置の構成図である。
【0038】
図10において、導光管12の傾斜面12aには黒塗り部71が設けられている。上側からのインバータ照明光22は黒塗り部71にて吸収され、受光部1へと導光されることが無い。黒塗り部71は金属酸化物系塗料やカーボンブラック系塗料など、光吸収率の高いものを用いる。
【0039】
上側からの信号(インバータ照明光22)の入射について、図11に従来の一般的な導光管2を用いた場合、図12に本発明の傾斜面付き導光管12を用いた場合を示す。一般的な導光管2では、上側からの光は導光管内での反射を経て受光部1まで到達するが、本発明の傾斜面付き導光管12では、上側からの光は受光部側へ反射しないため、最終的に受光部1へと到達しない。
【0040】
壁掛け、チルト時の下側からの信号の入射について、図13に従来の一般的な導光管2を用いた場合、図14に本発明の傾斜面付き導光管12を用いた場合を示す。従来の一般的な導光管2では、下側からの信号光に対する入射径81が制限されるため、受光部1まで到達する信号が少ない。一方、本発明の傾斜面付き導光管12では、下側からの信号光に対する入射径81が大きくなるため、受光部1まで到達する信号が多くなり、感度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る受光装置を拡大して示す薄型テレビ(非制御機器)の斜視図である。
【図2】図1における受光装置と光の入射角との関係を示す図である。
【図3】図1における第1の実施の形態の受光装置の斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る受光装置の斜視図である。
【図5】一般的なリビングルームに薄型テレビが設置された場合の受光装置とインバータ照明の距離関係を示す図である。
【図6】図1における第1の実施の形態の受光装置の寸法関係を示す図である。
【図7】薄型テレビを壁掛け設置した状態を示す図である。
【図8】薄型テレビをチルト状態で設置した状態を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る受光装置の構成図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る受光装置の構成図である。
【図11】従来例に係る受光装置において、上側からのインバータ照明光を入射する様子を示す図である。
【図12】本発明の受光装置において、上側からのインバータ照明光を入射する様子を示す図である。
【図13】従来例に係る受光装置において、下側からのリモコン信号光を入射する様子を示す図である。
【図14】本発明の受光装置において、下側からのリモコン信号光を入射する様子を示す図である。
【図15】従来例に係る受光装置の構成図である。
【符号の説明】
【0042】
1 受光部
5 リモコン信号光
11 薄型テレビ
12 導光管
12a 傾斜面
21 インバータ照明
22 インバータ照明光
61 凹凸部
71 黒塗り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモコン信号光を受光する受光部と、前記受光部へリモコン信号光を導く導光管とを備える受光装置において、
前記導光管は、底面に開口面側に向かって下方に傾斜する傾斜面を有することを特徴とする受光装置。
【請求項2】
前記傾斜面に凹凸部を設けることを特徴とする請求項1記載の受光装置。
【請求項3】
前記傾斜面に黒塗り部を設けることを特徴とする請求項1記載の受光装置。
【請求項4】
前記導光管は、中空角型形状であることを特徴とする請求項1記載の受光装置。
【請求項5】
前記導光管は、水平な底面を有する中空円弧形状であることを特徴とする請求項1記載の受光装置。
【請求項6】
前記傾斜面は、開口面に対して略45度傾斜していることを特徴とする請求項1記載の受光装置。
【請求項7】
前記導光管が導光するリモコン信号光として赤外線を用いることを特徴とする請求項1記載の受光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−78896(P2008−78896A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254471(P2006−254471)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】