説明

受容層転写材及び転写シート

【課題】被転写体へ転写された転写層へ、熱転写等のオンデマンドの印字システムによって、レリーフ構造により発現する白色光と色材で表現される画像とを自在に組み合わせて表現できる、受容層転写材、転写シート及びレリーフ層付き色材受容シート、並びに、それらを用いた画像形成方法及び画像形成物を提供する。
【解決手段】受容層転写材1は、基材2の一方の面に離型層3、色材受容層4、白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層6とを備えたレリーフ形成層5、接着層7が順次設けられたことを特徴とする。転写シート及びレリーフ層付き色材受容シートも同様の層構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受容層転写材に関し、さらに詳しくは、白色反射機能を有するレリーフ形成層面上の染料受容層へ、オンデマンド印字方式で画像を印画し形成することで、前記レリーフ形成層からの白色拡散光若しくは特定の角度範囲の白色光と色材からなる画像を併せもつ高意匠性の画像が得られる受容層転写材、転写シート及びレリーフ層付き色材受容シート、並びに、それらを用いた画像形成方法及び画像形成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ホログラム、回折格子などのレリーフ構造を有する転写箔は、特異な装飾像や立体像を表現でき、また、これらホログラムや回折格子は高度な製造技術を要し、容易に製造できないことから、偽造防止としてセキュリティー性の向上に利用されている。例えば、クレジットカード、IDカード、プリペイドカード等のカード類、カラーコピーで再現出来ないために商品券、小切手、手形、株券、入場券等の紙券類、運転免許証やパスポート等の各種証明書の証明写真類、に転写して利用されている。さらに、その特異な意匠性から、包装材、書籍、パンフレット、POP等への利用も少なくない。
これらホログラム、回折格子などのレリーフ構造を物品に貼着する手段として、転写箔を用いて転写形成する方法が、知られている。該転写箔は、基材上に離型層、ホログラムや回折格子などのパターンが形成されたレリーフ形成層、反射層、接着層を順次積層してなるものである。該転写箔の転写印刷する方法としては、ホットスタンプ(箔押とも呼ばれる)、又は加熱ロールによる加熱転写が一般的である。該加熱転写は、金属製の加熱された刻印又はロールと、被転写体の間に転写箔を配置し、転写箔を刻印又はロールで被転写体に押圧した後に、基材を剥離する。
また、近年、更なる意匠性及びセキュリティー性の向上を図るために、ホログラム、回折格子などのレリーフ形成層と熱転写プリンターを用いた印画画像(熱転写画像)とを組み合わせる技術が求められている。
従って、色材受容層転写材及び転写シートは、フルカラー化でき、観察位置にかかわらず視認性がよく、広範囲の観察点で観察しても色再現性がよく、カラーバランスが崩れることなく画像が自然で、しかも、容易に製造でき、レリーフ形成層へ熱転写画像の印画が容易であることが求められており、一方、該色材受容層転写材及び転写シートを用いた画像形成方法及び画像形成物は、高意匠性のフルカラー画像が得られることが求められている。
【0003】
従来、印画画像の上にホログラム転写層を設けるものが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、ホログラムは印画画像上に付されて該画像を保護するだけであり、ホログラム上に印画画像を設けることができない。
また、ホログラム転写箔に染料受容層を設けて、該染料受容層へ熱転写プリンターを用いて印画画像を形成した後に、被転写体へ転写するものが開示されている(例えば、特許文献2〜7参照。)。しかしながら、染料の印画画像の形成はホログラム転写前に行われ、ホログラムを転写させた後に印画画像を設けることができないという欠点がある。さらに、被転写体へホログラムを含む転写層を転写した後、該転写層上に熱転写画像を形成することは、転写層の表面には剥離層が露出しているので、特に、昇華性染料を含む染料層を有する昇華型熱転写シートを用いた熱転写プリンターで印画した場合に、色材が転写、定着しにくく、印画が極めて難しいという問題点がある。
これらの転写箔は透明タイプの反射層を用いることができるが、不透明タイプのメタリック調の反射層では、下地の画像はホログラムを転写させた部分で見えなくなってしまう。
さらに、ホログラム転写層中に着色層を設けることにより、メタリックカラーのホログラムを被転写体へ転写するものが開示されている(例えば、特許文献8参照。)。しかしながら、転写される色は着色層の色に限定されてしまい、多彩な色が表現できないという欠点がある。
【0004】
さらにまた、ホログラムや回折格子のような光回折構造(OVD;Optical Variable Deviceともいう)で構成された色収差のない真正なフルカラー画像を視認できるような画像表示媒体として、特定の観察点において、観察色がRGBの3原色のいずれかになるような空間周波数を有する3種類のOVDを用いた熱転写シートを用いて、被転写体にサーマルヘッドによる微小面積のドット形状の網点画像を形成した高意匠画像が開示されている(例えば、特許文献9参照)。しかしながら、特定の観察点のみでフルカラーが再生されるため、観察点がわずかにずれるだけで色のバランスが崩れ、再生色が損なわれる。特に人物の顔などは別の観察点から見ると真っ青に見え、あるいは真っ赤に見え、非常に不自然な印象を与える。このように、この従来技術の最大の欠点は、フルカラー画像に見えるための観察者の方向は一方向のみに限られ、他の全ての方向から観察した場合、正しい色が再現されないことである。
さらに、第2の欠点は、プリントする下地の色が黒色でなければ、黒を正しく再現することができず、下地の色が制限されることである。従来の技術で黒色を表現するには、OVDによる回折光がゼロの場合であり、すなわちサーマルヘッドによる微小面積のドットがプリントされない場合を「黒」とし、逆に白色はR、G、B、3色の微小面積のドットの総量を各色同数にすることによって表現される。
したがって、プリントする際の被転写体(下地)の色が白色である場合、例えば黒い髪の人物の顔写真を従来技術でプリントした場合、黒い髪の毛の部分にはプリントされないため、下地の白色が見えてしまい、白髪のような不自然な印象を与えてしまう。このように従来技術では、プリントする被転写体の色に制限があり、真正なフルカラー画像を表示できないという課題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−83258号公報
【特許文献2】特開平6−83259号公報
【特許文献3】特開平7−186515号公報
【特許文献4】特開平7−314925号公報
【特許文献5】特開平8−39945号公報
【特許文献6】特開平11−42863号公報
【特許文献7】特開2001−191653号公報
【特許文献8】特開2000−218908号公報
【特許文献9】特開平11−5373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。本発明の目的は、観察位置にかかわらず視認性がよく、広範囲の観察点で観察しても色再現性がよく、カラーバランスが崩れることなく画像が自然で、しかも、容易に高意匠性のフルカラー画像が得られる受容層転写材、転写シート及びレリーフ層付き色材受容シート、並びに、それらを用いた画像形成方法及び画像形成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明によれば、基材の一方の面に離型層、色材受容層、特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、接着層が順次設けられ、
前記レリーフ形状は計算機ホログラムであり、該計算機ホログラムは、所定の入射角で入射した所定の基準波長の入射光を特定の角度範囲に拡散する計算機ホログラムにおいて、前記入射角で入射した0次透過光あるいは0次反射光に対して、前記基準波長を含み加法混色した場合に白色に見える波長範囲の最短波長の前記入射角の入射光の最大回折角が、その波長範囲の最長波長の前記入射角の入射光の最小回折角よりも大きくなるように構成されており、且つ、
前記レリーフ形成層は、前記色材受容層を設けた領域の全面に設けられていることを特徴とする受容層転写材が提供される。
本発明の受容層転写材から被転写体に、レリーフ形成層と色材受容層を含む転写層を転写し、該転写層に色材で画像を形成することによって、レリーフ形成層からの白色光と色材により表現された画像を併せもつ高意匠性の画像が得られる。
また、この受容層転写材を用いることによって得られる上記高意匠性の画像のレリーフ形成層は、最短波長の最大回折角と最長波長の最小回折角の角度範囲で、白色に観察可能で、その範囲で視点を移動させても観察される色に変化が起きないという効果が得られる。
【0008】
上記の受容層転写材においては、前記の色材受容層が、熱可塑性樹脂と離型剤を含有していてもよい。これにより、色材受容層が、熱転写画像を構成する染料を確実に受入れ定着し、保存性に優れる熱転写画像を提供できる受容層転写材が提供される。
上記の受容層転写材においては、前記色材受容層と前記レリーフ形成層との間に、アンカー層を設けてもよい。これにより、転写層の各層間の密着性に優れ、転写時には層間が剥離しにくく、転写後は保存性に優れる受容層転写材が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、離型層、色材受容層、特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、接着層を順に積層した領域、及び、少なくとも1色の色材層を設けた領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなり、
前記レリーフ形成層のレリーフ形状は計算機ホログラムであり、該計算機ホログラムは、所定の入射角で入射した所定の基準波長の入射光を特定の角度範囲に拡散する計算機ホログラムにおいて、前記入射角で入射した0次透過光あるいは0次反射光に対して、前記基準波長を含み加法混色した場合に白色に見える波長範囲の最短波長の前記入射角の入射光の最大回折角が、その波長範囲の最長波長の前記入射角の入射光の最小回折角よりも大きくなるように構成されており、且つ、
前記レリーフ形成層は、前記色材受容層を設けた領域の全面に設けられていることを特徴とする転写シートが提供される。
この転写シートは、色材受容層とレリーフ形成層を含む転写層と、色材層を一つの基材上に並べて設けているので、染料受容層を含む転写層の転写に引き続き、該転写層の染料受容層へ熱転写画像が印画でき、容易に高意匠性のカラー画像が得られる転写シートが提供される。
上記本発明の転写シートは、離型層、色材受容層、特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、接着層を順に積層した領域、イエロー色材層の領域、マゼンタ色材層の領域、及び、シアン色材層の領域を含む少なくとも4領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置された構成とすることができる。
このような構成によれば、色材受容層を含む転写層の転写に引き続き、該転写層の色材受容層へ熱転写画像が印画でき、高意匠性の減法混色型のフルカラー画像が得られる。
【0010】
上記本発明の転写シートは、離型層、色材受容層、特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、接着層を順に積層した領域、少なくともレッド色材層の領域、グリーン色材層の領域、及び、ブルー色材層の領域を含む少なくとも4領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置された構成とすることができる。
このような構成によれば、色材受容層を含む転写層の転写に引き続き、該転写層の色材受容層へ熱転写画像が印画でき、容易に高意匠性の加法混色型のフルカラー画像が得られる転写シートが提供される。
上記本発明の転写シートは、転写層の領域とRGBの各領域に加えて、さらにブラック色材層の領域を含む少なくとも5領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなることを特徴とする転写シートが提供される。これにより、RGBだけでは黒色を印字することが出来ないが、RGBに加えてBkの色材層を設け、RGBの各画素領域にBkの色材を転写することにより、黒色の印字が可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オンデマンドの印字システムを利用して、レリーフ構造により発現する白色光と色材で表現される画像とを、自在に組み合わせて印字することができる。得られた画像は、観察位置にかかわらず視認性がよく、広範囲の観察点で観察しても色再現性がよく、プリントする下地の色が黒色でなくても黒を正しく再現し、カラーバランスが崩れることなく画像が自然であり、高意匠性のフルカラー画像が得られる。
また、被転写体上に得られる画像は、白色光を発現するレリーフ構造の上を色材で表現された画像が被覆した積層構造を有するので、偽造防止効果等のセキュリティー効果が高い画像が得られる。
【0012】
特に、このような特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形成層を背景として、RGB各色のドットを重ならないように印字して網点画像を形成することによって、白色光が熱転写画像を透過して、白色光に対して色情報に基づいた網点画像が、あたかもカラーフィルターのように作用して、容易に明るく高意匠性のカラー又はフルカラー画像が容易に得られる。また、下地色が変化しても色再現性がよい画像を有する画像形成物が提供される。
さらに、RGBに加えて、ブラック(Bk)の色材層を用いることによって、RGBだけでは再現できない黒色も再現できるようになるので、さらに色再現性、カラーバランスが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の受容層転写材の断面図である。
【図2】本発明の他の受容層転写材の断面図である。
【図3A】本発明において形成した画像形成物の断面図である。
【図3B】本発明において形成した他の画像形成物の断面図である。
【図4】本発明の画像形成方法を示すフロー図である。
【図5A】本発明の転写シートの平面図である。
【図5B】本発明の他の転写シートの平面図である。
【図6A】本発明の受容層転写材の平面図である。
【図6B】本発明の受容層転写材と組み合わせて用いられる転写シートの平面図である。
【図6C】本発明の受容層転写材と組み合わせて用いられる他の転写シートの平面図である。
【図7】本発明で用いられる1ヘッド型プリンターの構成例である。
【図8】本発明で用いられる2ヘッド型プリンターの構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。
また、「OVD」は「Optical Variable Device、光回折構造」、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、「レッドの染料を含む領域」は「R領域」、「グリーンの染料を含む領域」は「G領域」、「ブルーの染料を含む領域」は「B領域」、「イエローの染料を含む領域」は「Y領域」、「マゼンタの染料を含む領域」は「M領域」、「シアンの染料を含む領域」は「C領域」、「ブラックの染料を含む領域」は「K領域」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
なお、フィルムとシートのJIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅の割には小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。従って、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本明細書では、厚みの厚いもの、および薄いものの両方の意味を含めて、「シート」と定義する。
また、本明細書において「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。
【0015】
図1は、本発明の受容層転写材の一例を示す概略の縦断面図である。図示した受容層転写材1は、基材2の一方の面に離型層3、色材受容層4、レリーフ形成層5、反射層6、接着層7が順次設けられた構成で、この受容層転写材と被転写体とを接着層と被転写体とが接するように重ね合わせて、サーマルヘッド等の加熱手段で、被転写体に接着層、反射層、レリーフ形成層、染料受容層が転写される。ここで、色材受容層4、レリーフ形成層5、反射層6、接着層7の積層体である転写層8が被転写体に転写されるので、転写層8と呼称する。尚、基材2と離型層3は、熱転写後の被転写体から受容層転写材を剥離する際に、被転写体から剥離して分離される部分である。
反射層6はレリーフ形成層5のレリーフ形成面側に設けられる。図1の例では、色材受容層4、レリーフ形成層5のレリーフ形成面、レリーフ形成層の反射層6はこの順序で積層されているが、これは、レリーフ形成層5のレリーフ形成面が、色材受容層4から離れる方向を向いているためである。レリーフ形成層5のレリーフ形成面は、色材受容層4に向き合っていても良く、その場合には、色材受容層、反射層、レリーフ形成面の順序で積層される。
【0016】
図2は、本発明の受容層転写材の他例を示す概略の縦断面図である。図示した受容層転写材1は、基材2の一方の面に離型層3、色材受容層4、アンカー層9、レリーフ形成層5、反射層6、接着層7が順次設けられ、また基材2の他方の面に耐熱滑性層10が設けられた構成である。この場合は、色材受容層4、アンカー層9、レリーフ形成層5、反射層6、接着層7の積層体が転写層8として、被転写体へ転写され、耐熱滑性層10、基材2、離型層3の積層体が、熱転写後の被転写体から受容層転写材を剥離する際に、被転写体から剥離して分離される側である。
【0017】
レリーフ形成層5には、白色拡散若しくは反射、回折、散乱などの作用により特定の角度範囲に白色光を発現する機能を発揮するレリーフ構造が形成されている。
レリーフ形成層5に積層される色材受容層には、昇華熱転写、溶融熱転写等の熱転写方式、インクジェット方式、電子写真方式等の様々なオンデマンド印字方式によって、色材により表現された画像を形成することが出来る。従って、本発明の受容層転写材から被転写体に、レリーフ形成層5と色材受容層4を含む転写層8を転写し、該転写層に色材で画像を形成することによって、レリーフ形成層からの白色光と色材により表現された画像を併せもつ高意匠性の画像が得られる。
【0018】
主なる用途:
本発明の受容層転写材、転写シート及びレリーフ層付き色材受容シートを用いた画像形成物の主なる用途としては、例えば、株券、証券、証書、商品券、小切手、手形、入場券、通帳類、乗車券、車馬券、印紙、切手、鑑賞券、チケット等の金券類、キャッシュカード、クレジットカード、IDカード、プリペイドカード、メンバーズカード、ICカード、光カードなどのカード類、グリーティングカード、ハガキ、名刺、運転免許証、パスポート等の各種証明書の証明写真類、カートン、ケース、軟包装材などの包装材類、バッグ類、帳票類、封筒、タグ、OHPシート、スライドフィルム、しおり、書籍、雑誌、カレンダー、ポスター、パンフレット、プリントクラブ(登録商標)、メニュー、パスポート、POP用品、コースター、ディスプレイ、ネームプレート、キーボード、化粧品、腕時計、ライター等の装身具、文房具、レポート用紙など文具類、建材、パネル、エンブレム、キー、布、衣類、履物、ラジオ、テレビ、電卓、OA機器等の装置類、各種見本帳、アルバム、また、コンピュータグラフィックスの出力、医療画像出力などがある。しかしながら、特異な意匠性、セキュリティー性を必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
【0019】
以下、本発明の受容層転写材を構成する各層毎に詳述する。
(基材)
基材2としては、サーマルヘッド等の熱に耐える耐熱性、機械的強度、製造プロセスに耐える機械的強度、耐溶剤性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレート‐イソフタレート共重合体、テレフタル酸‐シクロヘキサンジメタノール‐エチレングリコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンナフタレートの共押し出しフィルムなどのポリエステル系樹脂が適用できる。その他、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、イミド系樹脂、セルロース系フィルムなども適用できる。耐熱性、機械的強度がよいポリエチレンテレフタレートが最適である。
【0020】
該基材は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(ポリマーアロイを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。また、該基材は、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。また、該基材2は、離型層塗工面側に易接着処理を施していることが望ましい。該基材の厚さは、0.5〜50μm程度が適用できるが、2.5〜12μmが好適で、4〜6μmが最適である。厚さがこの範囲を超えると、サーマルヘッドの熱の伝達が悪く、厚さがこの範囲よりも薄いと、機械的強度が不足する。該基材は、これら樹脂の少なくとも1層からなるフィルム状、シート状、ボード状として使用することができる。
【0021】
(離型層)
本発明の受容層転写材は、基材と染料受容層との間に離型層3を設け、加熱時に受容層を含めた転写層が基材から剥離しやすくなる。受容層転写材において、熱転写時に離型層3と染料受容層との間で剥離が起きる。
離型層は、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、弗素樹脂等の如く離型性に優れた材料、或はサーマルヘッドの熱によって溶融しない比較的高軟化点の樹脂、あるいはこれらの樹脂にワックス等の熱離型剤を含有させた樹脂から形成する。
比較的高軟化点の樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロース誘導体、その他のセルロース系樹脂等があり、また塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ノルボルネン系水添樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)やポリエーテルケトン樹脂(PEK)等のポリエーテルケトン類、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂等が挙げられ、これらは単独、あるいは混合物として用いてもよく、ここに染料受容機能を有する成分としてポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等を添加する。また、箔切れ性をより高めるために、レリーフ形成層と実質的に同じ電離放射線硬化性樹脂を用いることもできる。ここで実質的に同じとは、基本骨格や反応機構が同じであればよく、置換基や鎖長が異なってもよい。
特に、離型層3と基材2との密着力も確保し染料受容性にも優れる、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、塩化ビニールもしくは酢酸ビニールの少なくとも一方を含む共重合体が好ましい。
なお、本明細書では、電離放射線硬化性樹脂とは電離放射線を照射しない硬化する前の前駆体であり、電離放射線を照射して硬化したものを電離放射線硬化樹脂と呼ぶ。
【0022】
離型層を形成するには、前述した材料に、必要に応じて、各種添加剤を加えて、有機溶媒へ溶解又は分散させて、離型層組成物(インキ)とする。
有機溶媒としては、樹脂を溶解する有機溶剤であれば何れでもよいが、塗工性や乾燥性を考慮すると、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系有機溶剤等が挙げられ、特にこれらの溶剤からなる混合系溶剤が好ましく使用される。
【0023】
離型層組成物(インキ)は、公知のコーティング法又は印刷法で塗布し乾燥する。コーティング法としては、例えば、グラビアダイレクトコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコートなどが適用できる。この離型層の厚さは、通常は0.1〜10μm程度、好ましくは0.2〜5μmであり、塗工量としては乾燥時0.1〜5g/m程度で十分である。また、転写後に艶消し染料受容層が望ましい場合には、離型層中に各種の粒子を包含させるか、あるいは離型層の染料受容層側の表面をマット処理することにより、表面をマット状にすることもできる。
【0024】
また、離型層3として電離放射線硬化性樹脂を用いた場合、特に基材が薄い場合には、電離放射線硬化性樹脂だけでは転写時の箔切れ性が悪くなるので、熱可塑性樹脂を添加することで、微細なドットでもバリが発生せず、かつ、欠けることなく、印画できる。
なお、離型層3は、転写後、通常基材2側へ残るが、一部が被転写体側へ移行する場合もあり、この場合も機能的には影響がないので、本発明の範囲内である。
【0025】
(色材受容層)
色材受容層4は、任意の被転写体上に転写された後、オンデマンド方式の印字に用いられる色材を受容し、形成された画像を維持するためのものである。オンデマンド方式の印字には、例えば、昇華熱転写、溶融熱転写、インクジェット印字、電子写真法等の方法があり、適用する方法に合わせて、色材を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用して、色材受容層を形成することができる。
以下において、特に昇華熱転写に用いる染料受容層を中心に説明する。染料受容層の材料としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらのうち、特に、ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
【0026】
昇華性染料を有する染料層を設けた熱転写シートと染料受容層との融着や、印字感度の低下等を防止するために、染料受容層中に、離型剤を含有させることが好ましい。その離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられるが、エポキシ変性、メチルスチレン変性、ポリエーテル変性、アミノ変性、アルキル変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、オレフィン変性、カルビノール変性等の変性シリコーンオイルからなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることが、昇華性染料層との離型性等の点から好ましい。上記離型剤の添加量は、受容層形成樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、熱転写シートの染料層と受容層との融着、もしくは印字感度の低下等の問題が生じる場合がある。このような離型剤を添加することによって、転写後の受容層の表面に離型剤がブリードアウトして、受容層表面上に、離型性が付与される。
【0027】
染料受容層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料及び必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて染料受容層用塗工液を調製し、これをグラビア印刷法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。
【0028】
染料受容層は、上記の熱可塑性樹脂と離型剤、さらに必要に応じて各種の添加剤を加え、さらに有機溶剤等の溶媒成分を配合調製した受容層形成用塗工液を、従来公知のグラビアダイレクトコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート、スクリーン印刷法等の方法により、乾燥状態で厚さ1〜10μm程度、乾燥時塗工量で0.2〜5g/m程度、好ましくは0.3〜3g/m程度に設けて形成するものである。染料受容層の厚みが、少なすぎると、充分な染料の印画濃度、接着性及び印画時の熱転写シートとの離型性が得られず、一方でその厚さが多すぎると、印画濃度は得られるが、充分な層間接着性、転写性(キレ性)が得られず、正確なパターンで転写できなくなる。
【0029】
(レリーフ形成層)
レリーフ形成層5を構成する材料としては、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(例、ポリメチル(メタ)アクリレート)、ポリスチレン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、そして、不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン系アクリレート等の熱硬化性樹脂を硬化させたもの、不飽和エチレン系モノマーと不飽和エチレン系オリゴマーを適宜混合したものに増感剤を添加した組成物等の紫外線硬化性樹脂を硬化させたもの、あるいは、上記熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合物やラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性物質が使用可能である。特に耐薬品性、耐光性及び耐候性等の耐久性に優れた熱硬化性樹脂、紫外線や電子線などの電離放射線硬化性樹脂が好ましい。電離放射線硬化樹脂としては、例えば、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル等の電離放射線硬化性樹脂を硬化させたものが適用でき、好ましくはウレタン変性アクリレート樹脂である。
【0030】
前述した材料、例えば、ウレタン変性アクリル系樹脂の電離放射線硬化性樹脂に、必要に応じて、多官能のモノマーやオリゴマー、離型剤、有機金属カップリング剤、光開始剤などの各種添加剤を加えて、有機溶媒へ溶解又は分散させて、レリーフ形成層組成物(インキ)とする。該レリーフ形成層組成物(インキ)を、公知のコーティング法又は印刷法で離型層の上に塗布し乾燥する。コーティング法又は印刷法としては、離型層の形成と同様な方法が適用できる。このレリーフ形成層の厚さは、通常は乾燥時塗工量で0.1〜10g/m程度、好ましくは0.2〜5g/mである。
【0031】
(白色光を発現するレリーフ形成層の形成)
白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状は、所望の観察領域で白色に観察可能な計算機ホログラムである。特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有する計算機ホログラムは、所定の入射角θで入射した所定の基準波長λstaの入射光を、特定の角度範囲に拡散する計算機ホログラムにおいて、その入射角θで入射した0次透過光あるいは0次反射光に対して、基準波長λstaを含み加法混色した場合に白色に見える波長範囲λmin〜λmaxの最短波長λminの入射角θの入射光最大回折角β2minが、その波長範囲の最長波長λmaxの入射角θの入射光の最小回折角β1maxよりも大きくなるように構成すればよい。
【0032】
より、具体的には、該計算機ホログラムは、所定の入射角で入射した所定の基準波長の入射光を特定の角度範囲に拡散する計算機ホログラムにおいて、前記入射角で入射した0次透過光あるいは0次反射光に対して、前記基準波長を含み加法混色した場合に白色に見える波長範囲の最短波長の前記入射角の入射光の最大回折角が、その波長範囲の最長波長の前記入射角の入射光の最小回折角よりも大きくなるように構成する。
【0033】
この場合に、その計算機ホログラムが、2次元的にアレー状に配置された微小なセルの集合体からなる計算機ホログラムであって、そのセルは反射光若しくは透過光に対して各々独自の位相を与える光路長を有しており、かつ、垂直に入射する光束を所定の観察域内に実質的に回折し、その観察域外には実質的には回折しないような第1の位相分布と、斜めから所定の入射角で入射する光束を垂直に出射するような第2の位相分布とを加算して得られる位相分布を有しているものであってもよい。
【0034】
また、その計算機ホログラムが、2次元的にアレー状に配置された微小なセルの集合体からなる計算機ホログラムであって、そのセルは反射光若しくは透過光に対して各々独自の位相を与える光路長を有しており、その位相の分布が斜めから所定の入射角で入射する光束を所定の観察域内に実質的に回折し、その観察域外には実質的には回折しないような位相分布であり、かつ、垂直に入射する光束を前記の所定の観察域の位置がシフトした別の領域内に実質的に回折し、その別の領域外には実質的には回折しないような位相分布を有しているものであってもよい。また、そのセルは縦横に碁盤の目状に配置されているものであることが現実的である。
【0035】
また、最短波長が波長450nmであり、最長波長が波長650nmであるように構成されているものとすることができる。また、照明光の入射角をθ、最短波長をλmin、最長波長をλmaxとしたときに、基準波長λstaにおける最小回折角β1sta、最大回折角β2staが、λmin/λmax≧(sinβ1sta−sinθ)/(sinβ2sta−sinθ)を満足することが望ましい。
【0036】
また、最短波長をλmin、長波長をλmax、基準波長λstaにおける最小回折角をβ1sta、最大回折角をβ2staとしたときに、前記入射角θが、sinθ≧(λmaxsinβ1sta−λminsinβ2sta)/(λmax−λmin)を満足することが望ましい。
【0037】
このような計算機ホログラムを再現したレリーフ形状は白色反射板として有用であり、所定の入射角で入射した0次透過光あるいは0次反射光に対して、基準波長を含み加法混色した場合に白色に見える波長範囲の最短波長のその入射角の入射光の最大回折角が、その波長範囲の最長波長のその入射角の入射光の最小回折角よりも大きくなるように構成されているので、その最短波長の最大回折角と最長波長の最小回折角の角度範囲で、白色に観察可能で、その範囲で視点を移動させても観察される色に変化が起きないものである。
【0038】
具体的には、例えば、縦横32×32の碁盤の目状のセルに分割し、角度表示の再生像面も同様に縦横32×32の碁盤の目状のセルに分割し、ホログラム面の位相を分布させるが、実際の計算機ホログラムを構成するには、セルの数をケタ違いに増加させて演算することで、所望の回折光が得られ、該回折光の分布範囲である視域で白色光が得られる。詳細は、本出願人の出願による特開2001−337584号公報、計算機ホログラム及び反射型液晶表示装置のなかで開示している。
【0039】
ただし、白色反射板、すなわち白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状は、上記のような特定の角度範囲に白色光を反射するものに限られず、例えば、すりガラスのような光を拡散させて白色光を発現する凹凸形状を含むものであってもよいし、反射作用ではなく、回折又は散乱作用によって特定の角度範囲に白色光を発現するものであってもよい。
【0040】
白色光の輝度評価方法を下記にまとめる。
輝度評価は、回折効率(輝度特性)で行い、その測定方法は、光源としてキセノン灯、光源と評価サンプルの距離は250mm、サンプルへの光源入射角を30°、サンプル上の照度は22000ルクスとなるように設定した後に、輝度測定機トプコンBM−7機(トプコン社製、商品名)を用い、測定機の1スポットの測定は入射光のうち立体角1°以内の入射光を測定するように設定して、サンプルと測定機との距離を600mmとし、測定角度範囲は0〜−20°とし、各測定角での輝度を測定した。
以上のような測定方法で、上述した白色反射板の輝度を測定し、リファレンスとして、等方散乱する標準反射板(Labsphere社製 Spectralon Reflectance Standars SRS-99-020)の輝度と比較すると、3倍〜15倍の輝度が得られる。通常の印刷紙などの白色輝度と比べ極めて高く、反射型液晶用の反射板のような、ディスプレイ用途に耐え得る白色輝度を有する。したがって、高平滑性の表面に単純にAl蒸着を施したような、正反射光のみを反射させる鏡面の輝度とは比較にならないほど高輝度な白色光が得られる。
【0041】
通常、賦形は、レリーフ材料層の表面に、レリーフが形成されているスタンパ(金属版、又は樹脂版)を圧着(所謂エンボス)をして、該レリーフをレリーフ形成層へ形成(複製)した後に、スタンパを剥離することで行う。商業的複製の方法は、金型又は樹脂型のスタンパを用いて、レリーフ材料層の表面へエンボスしてレリーフを複製した後に電離放射線を照射するか、又は、エンボス中に電離放射線を照射してからスタンパを剥離することでレリーフを複製する。この商業的な複製は、長尺状のレリーフ材料層上に行うことで連続な複製作業ができる。
【0042】
レリーフ材料層として電離放射線硬化性樹脂を用いた場合には、スタンパでエンボス中、又はエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。エンボス中に硬化させる場合には、スタンパをレリーフ材料層の表面に圧接している状態で硬化プロセスを行ってもよい。
上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂(レリーフ形成層)となる。電離放射線としては、電磁波が有する量子エネルギーで区分する場合もあるが、本明細書では、すべての紫外線(UV‐A、UV‐B、UV‐C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線を包含するものと定義する。従って、電離放射線としては、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、または電子線などが適用できるが、紫外線(UV)が好適であり、波長300〜400nmの紫外線が最適である。電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化の場合は光重合開始剤、及び/又は光重合促進剤を添加し、エネルギーの高い電子線硬化の場合は添加しないで良く、また、適正な触媒が存在すれば、熱エネルギーでも硬化できる。
【0043】
(レリーフの複製)
好ましい具体例としては、セミドライ複製法(SD複製法)と呼ばれている方法で、複製装置はベッドに固定された一対の本体フレームに給紙装置、転写装置、照射装置、巻取装置が順次配設され、給紙装置及び巻取装置は巻取りを供給又は巻き取る装置からなる。転写装置は、本体フレームの中央部に固定された軸受に軸が回転自在に支持されたエンボスローラーと、一対のアームに回転自在に支持された押付けローラーと、加圧機構とからなる。給紙装置から、耐熱滑性層10(必要に応じて)/基材2/離型層3/色材受容層4/アンカー層9(必要に応じて)/レリーフ形成層5からなる長尺帯状で繰り出し、エンボスローラーと押付けローラーとで加圧される。エンボスローラーの周表面にはスタンパ(金属版、又は樹脂版)が載置され、該スタンパが加熱されている押付けローラーに一定圧で押付けられる。スタンパの凹凸(レリーフ)がレリーフ形成層5の表面に転写され、スタンパから剥離され、直ちにUV照射装置より紫外線が照射され、凹凸の形成されたレリーフ形成層5が硬化する。この後、巻取装置へ巻取られる。詳細については、特公平6−85103号公報、特公平6−85104号公報、特公平7−104600号公報などに開示されている。
【0044】
(反射層)
レリーフ構造を設けたレリーフ形成層面のレリーフへ、反射層6を設けることにより、レリーフの白色反射機能が明瞭に視認できるようになる。該反射層として、光を反射する金属を用いると反射タイプと、透明タイプがあり、反射層としては、Cr、Ni、Ag、Au、Al等の金属、及びその酸化物、硫化物、窒化物等の薄膜を単独又は複数を組み合わせてもよい。透明タイプの反射層としては、レリーフ形成層面と屈折率に差のある透明金属化合物が適用でき、例えば、ZnS、酸化スズ、酸化チタンである。なお、この透明とは、可視光が十分透過すれば良く、無色または有色で透明なものも含まれる。上記の金属、又は透明金属化合物の形成は、いずれも10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの真空薄膜法で得られる。反射層の厚さがこの範囲未満では、光がある程度透過して効果が減じ、また、それ以上では、反射効果は変わらないので、コスト的に無駄である。
【0045】
(接着層)
本発明の受容層転写材の最表面に位置する接着層7は、熱で溶融又は軟化して接着する熱接着型接着剤が適用でき、例えばアイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン‐(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン‐(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩ビニル系樹脂、酢ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル系・メタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、フェノール系樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミン‐アルキッド樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニールエーテル樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂などが適用でき、これらの樹脂を単独または複数を組み合せて使用する。
【0046】
これらの接着層の樹脂は、被転写材との親和性を考慮して選択される。一般的には、接着力などの点で、アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好適である。接着層は、上記の離型層の形成方法と同様の方法で形成でき、その接着層の厚さは、通常は0.05〜10μm程度、好ましくは0.1〜5μmである。乾燥時塗工量では、通常は0.05〜10g/m程度、好ましくは0.1〜5g/mである。接着層の厚さは、この範囲未満では、被転写体との接着力が不足して脱落し、また、この範囲を超えると、接着効果は十分であるが、その効果は変わらないのでコスト的に無駄であり、さらには、サーマルヘッドの熱を無駄に消費してしまう。さらにまた、接着層へは、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を、適宜加えてもよい。充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウムなどの体質顔料が適用できる。特に体質顔料の添加は、箔切れを良化させる。帯電防止剤としては、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤などや、ポリアミドやアクリル酸誘導体などが適用できる。
接着層7の形成は、前述の熱接着性の樹脂を溶媒へ分散または溶解した組成物(インキ)を、公知のコーティング法又は印刷法で塗布し乾燥する。コーティング法又は印刷法としては、離型層の形成と同様な方法が適用できる。乾燥は必要に応じて、転写適性をよくするために、ブラッシングさせてもよい。
【0047】
(アンカー層)
本発明の受容層転写材における染料受容層とレリーフ形成層との間に、アンカー層9を設けて、両者の接着性を向上させることができる。そのアンカー層としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレンと酢酸ビニルあるいはアクリル酸などとの共重合体、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ゴム系化合物、石油系樹脂、アルキルチタネ−ト系化合物、ポリエチレンイミン系化合物、イソシアネ−ト系化合物、メラミン樹脂、澱粉、カゼイン、アラビアゴム、セルロ−ス誘導体、ワックス類などを使用することができる。
上記の樹脂又はそのモノマー、オリゴマー、若しくはプレポリマー等の一種乃至複数を主成分とし、これに、必要ならば、例えば、各種の安定剤、充填剤、反応開始剤、硬化剤ないし架橋剤、などの添加剤を単独又は複数を任意に添加したり、主剤と硬化剤とを組み合わせて、1液硬化型、又は2液硬化型等のいずれのものでも使用したりすることができる。
該アンカー層9としては、好ましくは、色材受容層4とレリーフ形成層5との両方に、相溶性や親和性のあるものがよく、色材受容層4とレリーフ形成層5の両材料を含むものが特に好ましい。
これらの樹脂を、適宜溶剤に溶解又は分散し、必要に応じて充分に混練して、コ−ティング剤組成物(インキ、塗布液)を調製し、例えば、ロ−ルコ−ト法、グラビアコ−ト法、スプレイコ−ト法、エアナイフコ−ト法、キスコ−ト法、リバースロールコート法等の公知のコーティング法で塗布し乾燥するか、乾燥又は乾燥した後のエージング処理によって反応させて、アンカー層9とする。該アンカー層の厚さは、0.05〜10μm程度、好ましくは0.1〜5μmであり、乾燥時の塗工量では0.1〜5g/m程度とする。但し、レリーフ形成層を構成する樹脂が染料受容層との接着性が高ければ、このアンカー層を設けることは必要ない。
【0048】
また、アンカー層を設けることにより、色材受容層とレリーフ形成層の密着性が向上するという利点がある反面、アンカー層の挿入により、受容層転写材全体の厚みが大きくなり、熱転写時の箔切れが悪くなり、解像度が劣化するという懸念がある。それに対して、アンカー層なしで受容層転写材の総厚みを増加させることなく、かつ色材受容層とレリーフ形成層の密着性が向上する方法として、以下の方法がある。
【0049】
1.色材受容層にレリーフ形成層の材料(構成樹脂)を添加する。
2.レリーフ形成層に色材受容層の材料(構成樹脂)を添加する。
3.色材受容層にレリーフ形成層の材料(構成樹脂)を添加し、かつレリーフ形成層に色材受容層の材料(構成樹脂)を添加する。
【0050】
上記の3通りの方法のいずれかを実施することにより、上記の懸念を解消させることができ、特に上記の1.の方法がより好ましく、レリーフ形成材料を固形分比で20〜80%(質量基準)添加することがより望ましい。
【0051】
(耐熱滑性層)
本発明の受容層転写材は、基材における色材受容層等を含む転写層の設けている面と反対側に、サーマルヘッドの熱によるステッキングや印字しわ等の悪影響を防止するため、耐熱滑性層10を設けることができる。
耐熱滑性層10は、耐熱性のある熱可塑性樹脂バインダーと、熱離型剤または滑剤のはたらきをする物質とを、基本的な構成成分とする。耐熱性のある熱可塑性樹脂バインダーとしては、広い範囲から選ぶことが出来るが、好適な例を挙げれば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、アクリル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、環化ゴム及びポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0052】
これらの樹脂からなる耐熱滑性層に添加あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、リン酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及びリン酸エステル系化合物からなる層であり、さらに充填剤を添加することがより好ましい。
【0053】
耐熱滑性層10を形成する組成物は、前記の熱可塑性樹脂バインダー100質量部に対し、上記の滑剤又は熱離型剤の作用をする物質を10〜100質量部の割合で配合して形成する。
耐熱滑性層は、基材の上に、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層塗工液を調製し、これを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。耐熱滑性層の塗工量は、固形分で、0.1g/m〜4.0g/mが好ましい。基材2と耐熱滑性層10の付着を確実にするために、予め基材2上にプライマー層を設けてもよい。
【0054】
(画像形成方法)
図4は、本発明の画像形成方法の一例を示すフロー図である。図4に示すように、ステップ1(a)基材、離型層、色材受容層としての染料受容層、レリーフ形成層、反射層、接着層が順次設けられた受容層転写材を準備する工程と、ステップ2(b)被転写体を準備する工程と、ステップ3(c)前記被転写体と受容層転写材の接着層を重ね合わせ、前記被転写体に、前記染料受容層、レリーフ形成層、反射層、接着層の積層体からなる転写層を転写する工程と、ステップ4(d)昇華性染料を含む染料層を有する熱転写シートを準備する工程と、ステップ5(e)前記熱転写シートの染料層と、前記転写層の露出面と重ね合わせ、前記熱転写シートを加熱することにより、前記昇華性染料を前記転写層の熱可塑性樹脂に受容させて画像を形成する工程と、ステップ6(f)前記熱転写シートを前記被転写体から剥離する工程、からなっている。
【0055】
ステップ1(a)基材、離型層、色材受容層としての染料受容層、レリーフ形成層、反射層、接着層が順次設けられた受容層転写材を準備する工程;前述した受容層転写材を準備する。受容層転写材の作成については、受容層転写材の説明の中で述べているので、省略する。
【0056】
ステップ2(b)被転写体を準備する工程;被転写体とする媒体としては、特に限定されず、例えば天燃繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフィルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等いずれのものでもよい。被転写体の形状・用途についても、株券、証券、証書、通帳類、乗車券、車馬券、印紙、切手、鑑賞券、入場券、チケット等の金券類、キャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、メンバーズカード、グリーティングカード、ハガキ、名刺、運転免許証、ICカード、光カードなどのカード類、カートン、容器等のケース類、バッグ類、帳票類、封筒、タグ、OHPシート、スライドフィルム、しおり、カレンダー、ポスター、パンフレット、メニュー、パスポート、POP用品、コースター、ディスプレイ、ネームプレート、キーボード、化粧品、腕時計、ライター等の装身具、文房具、レポート用紙など文具類、建材、パネル、エンブレム、キー、布、衣類、履物、ラジオ、テレビ、電卓、OA機器等の装置類、各種見本帳、アルバム、また、コンピュータグラフィックスの出力、医療画像出力等、種類を問うものではない。また、該媒体はその少なくとも1部が着色、印刷、その他の加飾が施されていてもよく、熱転写方式、電子写真方式、インクジェット方式など各種記録方式で形成された印画物を、被転写体として用いることができる。
【0057】
ステップ3(c)前記被転写体に転写層を転写する工程;上記被転写体の少なくとも片方の面に前述した受容層転写材を用いて転写する。該転写法としては、公知の転写法でよく、例えば、熱刻印によるホットスタンプ(箔押)、熱ロールによる全面又はストライプ転写、感熱印字ヘッド(サーマルヘッド)を使用した熱転写プリンターなどが適用できる。
【0058】
ステップ4(d)昇華性染料を含む染料層を有する熱転写シートを準備する工程昇華性染料を含む染料層を有する熱転写シートとしては、基材上に1色の単一層として染料層を設けたり、あるいは色相の異なる染料を含む複数の染料層を、例えばイエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層、ブラック染料層等を、同一基材の同一面に面順次に、繰り返し形成したりすることも可能である。本発明では、基材上に、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層の少なくとも3色以上の染料層を使用して、フルカラーの写真調の熱転写画像をオンデマンドにより形成することが好ましく行われる。尚、ここで使用される昇華性染料を含む染料層を有する熱転写シートは従来公知のものが使用できる。
【0059】
ステップ5(e)前記転写層の露出面へ染料の熱転写画像を形成する工程;被転写体に転写された転写層の露出した染料受容層に染料による熱転写画像を形成する。昇華性染料を含む染料層を有する熱転写シートと、被転写体に転写された染料受容層とを重ね合わせて、サーマルヘッドにより画像状に加熱する。また、基材上に染料層がパターン状に設けられた捺染用熱転写シートを用いて、全面又は1部(絵柄)を水蒸気やホットスタンプ、熱ロールなどで加熱して、染料による熱転写画像を形成することも可能である。
【0060】
(印字用の熱転写プリンター)
また、本発明の受容層転写材が、被転写体へ転写されて表面に染料受容層が露出した転写層へ、昇華型熱転写シートを用いて印字する印字用の熱転写プリンターとしては、従来公知のサーマルヘッドを有する熱転写プリンターが適用でき、受容層転写材の転写層を被転写体へ転写する時に用いたプリンターと同様のものでよい。このようにして、本発明は、被転写体(媒体)へ転写した転写層の表面に露出した染料受容層へ、何らの処理もせずに、昇華転写による任意の画像を形成することができる。
【0061】
ステップ6(f)前記昇華性染料を含む染料層を有する熱転写シートを前記被転写体から剥離する工程;染料による熱転写画像の印字が終わった後に、昇華性染料を含む染料層を有する熱転写シートを、被転写体から引き剥がすことにより、本発明の画像形成方法は終了となる。
【0062】
以上のように、本発明の画像形成方法により、白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を被転写体へ転写した後に、該転写層の色材受容層上へ、任意な形状の色材によるオンデマンド印字画像を形成することで、レリーフ構造により発現する白色光と、色材により表現された画像を自在に組み合わせられて、また、オンデマンドで表現できる。
【0063】
(画像形成物)
図3A、3Bは、本発明の1実施例を示す画像形成物の概略の断面図である。図3A、3Bは本発明の画像形成物である。被転写体である被転写体(媒体)11上へは転写層8が転写され、該転写層8の表面には染料受容層が露出している。該露出した染料受容層へ染料による熱転写画像12が形成されている。受容層転写材を用いて転写された転写層8は、接着層7/反射層6/レリーフ形成層5/アンカー層9(必要に応じて)/染料受容層4の積層体からなり、該染料受容層へ、昇華転写型熱転写シートからの染料が移行して、受容し染着されて、画像を形成している。
また、既に、少なくとも染料受容層4、レリーフ形成層5及び反射層6を有している物品へは、染料層を有する熱転写シートのみを用いて、染料受容層へ染料の熱転写画像を形成するだけで、画像形成物となる。
さらに、転写層8は全面でもパターン状でもよく、図3Aは被転写体11の全面へ転写層8を設けた場合、図3Bは被転写体11へ転写層8をパターン状に設けた場合である。該パターン状に設けた場合は、図3Bのように、複数の転写層8へ別の熱転写画像を形成したり、転写層がなく被転写体11の表面が露出したりしている領域にも、染料受容性を付与しておけば熱転写画像を形成することができる。
【0064】
このようにして熱転写後に得られた画像形成物の転写層は、レリーフ形成層からの白色光と熱転写画像とからなる画像などのように、レリーフ構造により発現する白色光と色材により表現された画像を併せもつ高意匠性の画像を有する。色材により表現された画像は、昇華熱転写、溶融熱転写等の熱転写方式に限られず、インクジェット方式、電子写真方式等の様々なオンデマンド印字方式によって形成してよい。
図3Aは、受容層転写材1の転写層8を媒体11へ全面転写したので、レリーフが全面に設けられ、該面へ染料による熱転写画像12が形成されている。また、図3Bは、受容層転写材1の転写層8を媒体11へ部分的に転写し、その転写部分に染料による熱転写画像12が形成されている。尚、被転写体である媒体の転写面の表面が染料の染着性を有したものであれば、受容層転写材からの転写層の転写されていない部分(媒体11面が出ている)へ染料による熱転写画像を形成することも可能である。(図示はしていない。)
【0065】
染料受容層へ、昇華転写型熱転写シート(昇華性染料を含む染料層を有する熱転写シート)で設ける画像としては、文字、記号、イラスト、顔写真、模様など自由に設けることができる。
本発明の画像形成物は、レリーフ構造により発現する白色光と、自在な染料による熱転写画像とを組み合わせたもので、しかも熱転写プリンターで、必要に応じて、個別情報を、オンデマンドで作成することができる。
【0066】
(転写シートの発明)
次に、本発明の画像形成物の作製に使用する受容層転写材1及び転写シート30、40を、図6A〜6Cに図示する。図6Aは受容層転写材1であり、説明上ストライプ状に転写層8が描かれているが、全面でもよい。図6Bは、R領域、G領域、B領域及びK領域からなるRGB用転写シート30である。図6Cは、Y領域、M領域、C領域及び必要に応じてBk領域とからなるYMC用転写シート40である。該受容層転写材1と、該RGB用転写シート30又はYMC用転写シート40を用いる場合には、図8に示すような2ヘッドプリンターで転写及び印画すればよい。図8の2ヘッドプリンターにおいては、プリンタヘッド51aとプラテンローラ52aを有する第一のヘッドユニットに受容層転写材1をセットし、プリンタヘッド51bとプラテンローラ52bを有する第二のヘッドユニットにRGB用転写シート30又はYMC用転写シート40をセットし、被転写体11に印字を行えばよい。なお、RGB用転写シート30、及びYMC用転写シート40を合わせて、染料層を有する熱転写シートと呼称する。
【0067】
しかしながら、受容層転写材1と染料層を有する熱転写シートの2リボンを用いて熱転写画像を形成するので、1ヘッドプリンターでは2回以上の複数操作を要するか、2ヘッドプリンターを用いる必要がある。そこで、受容層転写材1と染料層を有する熱転写シートとを、共通の基材上に設けたものが、図5A、図5Bに図示する転写シート20であり、1ヘッドプリンターで使用することができる。
【0068】
該転写シート20を用いれば、転写層の転写に引き続き、1回の操作で1枚のフルカラー画像の印画体(被転写体)が得られる。このため、転写及び印画時間が大幅に短縮できる。さらに、インクリボンによる制約も減少して、得ようとする画像面積の大きさとインキ層の塗布領域の大きさとを同一にすることで、余白部分のインクリボンを無駄にせず、大きな画像面積の場合にも容易に印画ができる。
【0069】
次に、転写シート20の層及び領域の構成について説明する。
該転写シート20は、共通基材と、該共通基材の一方の面に、受容層転写材の離型層3/色材受容層4/必要に応じてアンカー層9/レリーフ形成層5/反射層6/接着層7を順に積層した転写層領域、色材としての染料を含む1又は複数の領域から成るものである。染料を含む1又は複数の領域の色は、特に限定されず、所望の色でよいが、好ましくは、フルカラー画像が印画できる3原色を含むものが好ましい。
該転写シートとしては、図5Aに示す、転写層領域、R領域、G領域、B領域及びBk領域からなるRGB転写シート、又は図5Bは、転写層領域、Y領域、M領域、C領域、必要に応じてBk領域とからなるYMC用転写シートであり、両方を含めて転写シート20という。転写シート20を用いる場合には、図7に示すような1ヘッドプリンターで転写及び印画すればよい。図7の1ヘッドプリンターにおいては、プリンタヘッド51とプラテンローラ52を有するヘッドユニットに転写シート20をセットし、被転写体11を供給して、転写層領域からの転写とRGBBk又はYMCBkの各領域からの印字を行えばよい。
【0070】
また、RGB用転写シートには、黒色を表現するためにBk領域を含ませることが好ましい。YMC用転写シートでは、YMCで黒色を表現できるが、黒色やコントラストを強調させたいときなど、必要に応じてBk領域を含ませればよい。
さらに、該RGB用転写シート及びYMC用転写シートの転写シート20は、該5領域又は4領域の1組以外に、例えば特色や保護層などの他の領域を含んでいてもよく、要は、少なくとも5領域又は4領域の1組を繰り返し配置すればよい。
【0071】
2ヘッドプリンターが必要な図6BのRGB用転写シート30、及び図6CのYMC用転写シート40、1ヘッドプリンターを適用できる図5AのRGB用転写シート、及び図5BのYMC用転写シートでは、色材層の領域構成及び染料が異なるのみであり、領域構成及び染料を読替えることで理解できるので、構成の多いRGB及びYMC用転写シートの転写シート20について説明する。
【0072】
(RGB用転写シート)
該RGB用転写シート20は、基材と、該基材の一方の面に離型層、染料受容層または他の色材受容層、レリーフ形成層、反射層及び接着層を順に積層した転写層領域、R領域、G領域、B領域及びBk領域の5領域から成り、図5Aのように、該5領域を1組として、繰り返し配置する。RGBBkの領域、並びに転写層を有するRGB用転写シートを使用し、R、G及びBの各ドットがそれぞれ重ならないように転写することにより、白色反射した光線が光源となり、RGBの転写パターンが反射型液晶でのカラーフィルターのような役目を果たすので、基本的に加法混色による反射型液晶表示装置の静止画面そのものを、プリンターで自由に再現しプリントができる。
RGBの3ドットでは黒が表現できないため、RGBのほかに、さらにBkの領域を設けても良い。この場合、ブラック色材のドットは、他の色のドットの一部又は全部と重なるように、又は、他の色のドットの一部又は全部と重ならないように形成する。すなわち、ブラック色材のドットは、他の色のドットと重なるように形成しても、重ならないように形成しても、どちらでも良い。
但し、Bkの画像情報は、YMCBk系に用いる際のBk情報とする。この場合、R、G及びBの3ドットで一色を再現するので、一般的なYMCの昇華熱転写より解像度が低下するが、プリンターの解像度を高解像度にすることによって解消される。なお、反射型液晶での黒色表示は電気信号のON・OFFによって光をシャットアウトしているが、本発明の場合には、Bk領域を設けることで、黒色表示を行える。
この際、全面黒色表示できるように、Bk情報は、R、G、Bの画素領域に設けられる。すなわち、画像の色をR、G、Bの3種類の画素の組み合わせで表現し、画像の輝度を表現する手段として、BkをR、G、Bの各画素領域に転写し、Bkの面積階調を利用して輝度を再現する手法をとる。
【0073】
このようにして得られた、レリーフ形成層5からの白色拡散光若しくは特定の角度範囲への白色反射光と熱転写画像とからなる画像は、極めて高意匠性を有している。該画像は、フルカラー化でき、観察位置にかかわらず視認性がよく、広範囲の観察点で観察しても色再現性がよく、カラーバランスが崩れることなく画像が自然である。また、下地色が変化しても色再現性がよい。しかも、既存の設備で容易に製造でき、既存のプリンターなどで転写及び熱転写画像の印画ができる。
【0074】
従来、特定の観察点において、観察色がRGBの3原色のいずれかになるような空間周波数を有する3種類のOVDを用いた熱転写シートを用いて、被転写体にサーマルヘッドによる微小面積のドット形状の網点画像を形成したフルカラー画像と比較しても、上記の点で優れている。いずれにしても、加法混色による反射型液晶画面を再現でき、真正な色再現が可能であり、且つ、ある観察方向のみに制約されないという点で優れている。
【0075】
(YMC用転写シート)
該YMC用転写シート20は、転写層領域、Y領域、M領域、C領域、必要に応じてBk領域の4領域又は5領域から成り、該4領域又は5領域を1組として、繰り返し配置する。Bk領域はYMCで黒色を表現できるので必須ではないが、黒色やコントラストを強調させたいときなど、必要に応じて含ませればよい。従って、Y、M、C、必要に応じてBkの領域、並びに転写層を有するYMC用転写シートを使用しても、基本的に反射液晶の静止画面そのものを、プリンターで自由に再現しプリントができる。転写層8(白色反射板機能を有する)上に印画することになり、意匠性に優れる画像が得られる。なお、Y領域、M領域、C領域及びBk領域は、染料が異なるのみで他の染料を含む領域と同様の材料や配合でよい。
【0076】
(染料層を有する転写シート)
転写層8領域を含まない染料層を有する熱転写シート30又は40としては、好ましくは昇華性染料を含む捺染用シートや、昇華転写型インクリボンが適用できる。染料層は全面でも部分的でもよく、また、色調も単独、複数、フルカラー用など限定されるものではない。好ましくは、オンデマンド印画性などの点で、昇華転写型インクリボンである。
【0077】
(昇華転写型インクリボン)
昇華転写型インクリボンとしては、基材シートと、基材の一方の面に熱昇華性インキ層を、基材シートのもう一方の面に、必要に応じて、耐熱滑性層が形成されている。基材シートの材料としては、プリント機械適性および熱転写の熱に耐える機械的強度、耐熱性に優れる例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−トなどが適用でき、ポリエチレンテレフタレートが最適である。該基材シートの厚さは、通常、2.5〜100μm程度が適用できるが、2.5〜25μmが好適で、2.5〜12μmが最適である。
【0078】
(熱昇華インキ層)
熱昇華性インキは、昇華性の染料、顔料をバインダー中に含有させたものであり、0.2〜5.0μm程度の厚さに形成される。この感熱昇華転写層における染料としては、分散染料であることが望ましく、この染料としては約150〜500程度の分子量を有するものが好ましい。該染料は、熱昇華温度、色相、耐候性、バインダー樹脂中での安定性などを考慮して選択すればよい。具体的には次のようなものを挙げることができる。
【0079】
(熱昇華インキの染料)
黄色染料はホロンブリリアントイエローS−6GLなど、赤色染料はMSレッドなど、さらに、青色染料はカヤセットブルー14などが挙げられる。また、上記の各色相の昇華性染料を、組み合わせることにより、ブラックや任意の色相の染料層を形成することができる。染料の昇華温度や、発色した状態でのカバリングパワーの大小にもよるが、染料を熱昇華転写層中の約5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%程度を含有させる。
【0080】
(熱昇華インキのバインダー)
バインダーに用いる樹脂としては、通常、耐熱性が高く、しかも加熱されたときに染料の移行を妨げないものが選択され、例えば、エチルセルロース、酢酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、及びポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、またはポリエステル、ポリアクリルアミドなどが用いられる。
【0081】
(染料インキ層の形成)
上記染料、顔料、必要に応じて各種の添加剤を加え、バインダー、溶剤中へ分散又は溶解して、基材シート上へ塗布し乾燥して、熱昇華性インキ層を形成する。塗布方法としては、公知のグラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコートなどのコート方法、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷などが適用できる。熱昇華性インキ層の厚さは、必要な印画の濃度と熱感度との調和がとれるように決定すれば良く、0.1〜30μmの範囲、好ましくは0.2〜10μmの範囲内である。
該熱昇華性インキ層の形成は、色数だけ繰り返して、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンであれば、それぞれの色を印刷すればよい。耐熱滑性層は、転写箔の耐熱滑性層と同様な材料、製造方法でよい。
【0082】
(画像形成方法)
次に、転写層8へ画像を形成する。染料を含む熱転写シート30、40を、被転写体100へ転写されている転写層8の露出面の重ね合わせ、加熱加圧などの手段で印画すればよい。該加熱加圧は、昇華転写型インクリボンの場合には、サーマルプリンタなどを用いて、画像を形成すればよい。
【0083】
(サーマルプリンタ)
サーマルプリンタは、感熱印画ヘッド(サーマルヘッド、プリンタヘッドともいう)とプラテンローラとが対向し、これらの間に、熱昇華性染料インキ層を設けた熱転写シート(インクリボンともいう)と、被転写体とが挟持されている。これらは、回転するプラテンローラによって、サーマルヘッドに押し付けられて、回転に応じて走行する。インクリボンの熱昇華性インキ層と、被転写体とが相対している。
【0084】
(サーマルヘッド)
そして、サーマルヘッドの画像に応じた発熱素子が発熱して、選択的に加熱されたインクリボン中の転写染料が、被転写体にドット状に転写され、所定の画像が形成(印画ともいう)される。該印画の方式にはシリアル方式とライン方式があり、また、サーマルヘッドは、レーザヒートモード熱ヘッド、光熱記録ヘッド、サーマルヘッド等があるが、いずれでもよい。該サーマルヘッドの解像度はいずれでもよく、例えば100〜600dpiが適用できる。このようにして、本発明では、被転写体へ転写した転写層の表面に露出した染料受容層へ、なんらの処理もせずに、昇華転写による任意の画像を形成することができる。
【0085】
画像形成方法の各操作、及び使用する材料について、説明する。
(転写層の転写)
まず、被転写体11への転写方法としては、公知の転写法でよく、例えば、熱刻印によるホットスタンプ(箔押)、熱ロールによる全面又はストライプ転写、サーマルヘッド(感熱印画ヘッド)によるサーマルプリンタ(熱転写プリンタともいう)などが適用でき、好ましくはサーマルプリンタである。
【0086】
(転写層のパターン)
被転写体へ転写される転写層のパターンは、矩形、円形、星型などのパターン、ストライプ状、全面ベタ状など、特に制限されない、また、パターンやストライプ状の場合には、複数個であってもよい。これらの転写法は、前述の、例えば、熱刻印によるホットスタンプ(箔押)、熱ロールによる全面又はストライプ転写、感熱印画ヘッドによるサーマルプリンタ(熱転写プリンタともいう)などから適宜選択すればよい。
【0087】
(熱転写画像のパターン)
熱転写画像は、前述のように、サーマルプリンタ(熱転写プリンタともいう)を用いて、ドットの所定の画像が形成(印画ともいう)されるので、昇華転写による任意の画像を形成することができる。特に、カラー写真の印画が効果的であるが、1又は複数のカラーでもよく、画像も、文字、数字、イラストなど特に限定されるものではない。被転写体の表面へ、パターンで転写層8(色材受容層4)を転写し、熱転写画像を、被転写体の転写層8(色材受容層4)のない表面、及びパターン転写層8(色材受容層4)へ、両方へ熱転写画像を形成してもよく、特異な意匠性及びセキュリティー性が得られる。
【0088】
(被転写体)
被転写体11としては、特に限定されず、例えば天燃繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフィルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布あるいは染料受容性のある媒体等いずれのものでもよい。被転写体の形状についても、証券やチケットなどの金券類、クレジットカード、プリペイドカード、グリーティングカード、運転免許証、ICカード、光カードなどのカードや帳票類、カートンなどの容器やケース類、タグ、しおり、ポスターなどの枚葉類やPOP用品、化粧品、腕時計、ライター等の装身具、封筒、レポート用紙など文具類、建材、パネル、エンブレム、キー、布、衣類、履物、バッグ類、テレビ、電卓、OA機器等の装置類など、種類を問うものではない。該被転写体11の媒体は、その少なくとも1部が着色、印刷やその他の加飾、及び/又は必要に応じてプライマ層、接着層、保護層などの他の層を、層間や表面へ設けてもよい。
【0089】
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法としては、(1)色材受容層とレリーフ層を含む転写層の領域と色材層の領域を有する図5A、図5Bに示すような転写シート20を用いる1ヘッド1パス法、(2)本発明の受容層転写材1と組み合わせて、色材層の領域を有するが転写層を有しない図6B、図6Cに示すような熱転写シート30又は40を用いる1ヘッド2パス法、2ヘッド1パス法などがある。なお、ヘッドはプリンタヘッドであるが、ここでは単にヘッドと略す。
【0090】
(1ヘッド1パス法)1ヘッド1パス法は、図5A、5Bに示すような転写シート20を用いて、1回の走行操作で、レリーフ構造により発現する白色光と熱転写画像とからなる画像が得られる。
具体的には、(1)図5A、5Bに示すような転写シート20を準備し、(2)被転写体を準備し、(3)前記被転写体へ、転写層を転写し、(4)引き続き連続して、熱転写画像を印画すればよい。要は、転写シート20(1リボン)を用いて、被転写体への転写層の転写操作と、該転写層の色材受容層への熱転写画像の印画操作の2走行を、同じサーマルヘッドで繰り返して行う(1パス)方法(1ヘッドプリンター、1リボン、1パス(1回通し)法ともいう)である。該1ヘッド1パス法は、印画時間が長く、転写シート材の作製にも技術を要し高コストであるが、転写及び印画装置が簡単で安価で操作も容易である。
【0091】
(1ヘッド2パス法)1ヘッド2パス法は、まず、(1)色材層を有しない受容層転写材を用いて、被転写体上に転写層を転写する走行操作し、次に、(2)被転写体上の該転写層の色材受容層へ、レッドの染料を含む領域、グリーンの染料を含む領域、ブルーの染料を含む領域及びブラックの染料を含む領域の4領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなる転写シート、又は、イエローの染料を含む領域、マゼンタの染料を含む領域及びシアンの染料を含む領域の3領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなる転写シートを用いて、熱転写画像を印画する走行操作する2回の走行操作で、レリーフ形成層から発揮される視覚的効果と熱転写画像とからなる画像が得られる。即ち、当業者が1ヘッドプリンター、2リボン、2パス(2回通し)法と呼ぶ方法で、転写層を転写する走行操作と、熱転写画像を印画する走行操作とを、それぞれ別に2回の走行操作で行う方法である。
【0092】
具体的には、(1)受容層転写材1(前述した)を準備し、(2)被転写体を準備し、(3)前記被転写体へ受容層転写材1の接着層を重ね合わせ、前記被転写体に転写層を転写しておき、(4)染料層を有する熱転写シートを準備し、(5)前記熱転写シートを被転写体上の前記転写層の露出面に重ね合わせ、前記染料を前記前記転写層に受容させて画像を形成すればよい。要は、被転写体へ転写層を転写し、該転写層へさらに熱転写画像を印画(転写)する2回の操作をすればよい。熱転写画像の印画は、RGBK領域を有する転写シートであれば4回、YMC領域を有する転写シートであれば3回の繰返し操作をすればよい。
【0093】
(2ヘッド1パス法)2ヘッド1パス法は、(1)被転写体上への転写層を転写する走行操作、(2)該転写層の色材受容層への熱転写画像を印画する走行操作が、連続して1回の走行操作で行う。当業者が2ヘッドプリンター、2リボン、1パス法と呼ぶ方法で、2つのプリンタヘッドを持つプリンタ装置で、2回の操作を連続して1回の走行で行う方法である。従来の画像印画と本発明の高意匠性の画像印画とを、同一のプリンタ装置で行うことができる。
該2ヘッド1パス法は、受容層転写材1(受容層転写リボンともいう)と、RGBK領域、又はYMC領域を有する転写シート(昇華転写リボンともいう)の2リボンを用いて、2プリンタヘッドによる1回走行(1パス)で、高意匠性のフルカラー画像が得られる。
【0094】
受容層転写材1(受容層転写リボンともいう)と、RGBBk領域、又はYMC領域を有する転写シート(昇華転写リボンともいう)の2リボンは、それぞれ転写層の転写、熱転写画像の転写専用リボンであり、色調再現性に優れ、かつ製造し易く、低コストでできる。なお、RGBBk領域、又はYMC領域を有する転写シート(昇華転写リボンともいう)は、昇華転写型インクリボンと呼ばれる公知のものが適用できる。
また、2ヘッド1パス法では、本発明の高意匠性の画像印画を得る装置と、従来の画像印画を得る装置とを、別々に2台設置する必要がないので、設置費用が少なくて済む。
なお、上記の1ヘッド2パス法でも、走行(パス)が2回となるだけで、色調再現性のよい高意匠性の画像が得られ、使用する転写シートは同様のものが適用できる。
【0095】
(変形形態1)
本発明は、次のように変形して実施することを含むものである。
(白色光発現機能付き被転写体)本発明は、被転写体上に予め白色光発現機能を付加した色材受容層を設けておいて、染料層を有する熱転写シートで熱転写画像を形成してもよい。該白色光発現機能は、被転写体上に、予め本発明の受容層転写材1を用いて転写層8を転写するか、別途レリーフ構造を形成する等の方法で付与しても良い。
特に、白色拡散若しくは白色光を発現するレリーフ形成層を転写シートから被転写体上へ転写する場合には、一般的なホログラム画像を転写する場合とは異なり、転写時の熱により反射板パターン等のレリーフ形状が崩れて白色光発現機能が劣化する可能性がある。そのため、被転写体上に白色拡散若しくは白色光を発現する受容層を設けたい場合には、白色拡散若しくは白色光を発現するレリーフを、転写以外の方法で被転写体上に形成することが好ましい。
また、この場合、被転写体上に設けられた、予め白色光発現機能を付加した色材受容層に画像を形成する方法は、染料を有する熱転写シートで熱転写画像を形成する方法に限定されるものではない。すなわち、被転写体上に予め白色光発現機能を付加した色材受容層にグラビア印刷、またはオフセット印刷、もしくはスクリーン印刷法などによる画像形成方法を用いてもよい。
【0096】
転写法では、(1)被転写体を準備し、(2)本発明の受容層転写材1を準備し、(3)被転写体へ受容層転写材1を用いて転写層を転写すればよい。別途白色光発現機能を付加した色材受容層を設ける方法は、(1)被転写体を準備し、(2)レリーフ形成層を形成し、(3)白色光発現機能を有するレリーフを賦型し、(4)反射層を形成し、(5)色材受容層を形成すればよい。レリーフ形成面が異なるが機能は同じである。
いずれの被転写体でも、色材受容層へ、オンデマンド印字方式で画像を形成すればよい。このようにして得られた画像形成物は、レリーフ形成層から発現される白色光と色材により表現された画像とからなる高意匠性の画像が得られる。
【0097】
この場合に用いられる被転写体(レリーフ層付き色材受容シート)としては、基材の一方の面に、白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層を設け、該レリーフ形成層よりも表面側または基材のレリーフ形成層を有する面とは反対側の面に色材受容層が設けられた構造のものを用いることができる。
被転写体は、その基材の一面側に、反射層を有するレリーフ形成層と、色材受容層を、この順序で積層した構造でも良いし、基材の一面側に反射層を有するレリーフ形成層を設け、他方の面に色材受容層を設けた構造でも良い。レリーフ形成層のレリーフ形成面は、基材側に向いていても良いし、被転写体の前側又は後ろ側の表面に向いていてもよい。また、被転写体には、色材受容層とレリーフ形成層の間にアンカー層を設けるなど、他の層を任意に加えても良い。
予め、少なくとも、白色光発現機能を有するレリーフ形成層5、反射層6および色材受容層4を順次設けた物品を被転写体として用いる場合は、上記の被転写体11へ、反射層6、白色光発現機能を有するレリーフ形成層5および色材受容層4を順次設ければよい。
該色材受容層4、白色光発現機能を有するレリーフ形成層5及び反射層6の材料、形成方法及びレリーフ賦型方法は、受容層転写材1と同様でよく、例えば、前述の被転写体へ、レリーフ形成層用の樹脂を乾燥後で0.5〜2g/m程度に塗布し乾燥してレリーフ形成層5を形成し、しかる後に、前述した白色光発現機能を有するレリーフの賦型、UV照射で硬化させ、前述と同様に反射層6、そして熱可塑性樹脂と離型剤を含有する色材受容層4を形成すればよい。層構成がレリーフ形成層5/反射層6/色材受容層4となって、受容層転写材と順が異なるが効果は同様である。なお、接着層7及びアンカー層9は、必要に応じて設ければよい。
色材受容層4へ、公知で安価なRGBBk領域、又はYMC領域を有する染料受容層を有する転写シート30、40で、転写画像を形成すればよい。
【0098】
(インクジェット方式)
また、この場合には、染料層を有する熱転写シートを用いた熱転写に代えて、インクジェット方式による印画(印字)でもよい。この場合の受容層としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、特に、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
受容層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料及び必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて染料受容層用塗工液を調製し、これをグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。その厚さは、乾燥状態で1〜10μm程度である。
【0099】
(変形形態2)
本発明は、次のように変形して実施することを含むものである。
本発明は、被転写体として、予め染料受容層が設けられた受像紙を用いてもよい。該受像紙へ、本発明の受容層転写材1及び染料層を有する熱転写シートを用いて、白色光発現機能を付加した熱転写画像を形成してもよい。この場合には、図3Bに示すような、転写層の受容層と受像紙の受容層に、それぞれ色材からなる画像を形成した画像形成物を作製することが可能である。
具体的には、(1)被転写体として受像紙を準備し、(2)受容層転写材1を準備し、(3)前記被転写体へ受容層転写材1の接着層を重ね合わせ、前記被転写体に転写層を転写しておき、(4)染料層を有する熱転写シートを準備し、(5)前記熱転写シートを前記転写層の露出面の重ね合わせ、前記染料を前記転写層に受容させて画像を形成すればよい。転写操作は、前述の1ヘッド1パス法、1ヘッド2パス法、2ヘッド1パス法のいずれでもよく、特に限定されない。
【0100】
また、受像紙としては、染料を受容する層が設けられていれば特に限定されない。好ましくは、昇華転写に用いられる受像紙であり、例えば、受容層/基材、受容層/白色プライマ層/基材、受容層/白色プライマ層/貼合基材/裏面材などからなる受像紙である。
また、少なくとも受容層、シール基材及び粘着剤層が順に積層されたシール部と、離形層及びはく離基材とからなる離型部とからなり、該離形層と、該粘着剤層とがはく離可能に貼合されたシール用熱転写受像シートでもよい。シール用熱転写受像シートには、ハーフカット処理を施しても良い。
【0101】
該シール用熱転写受像シートのはく離部は、はく離基材と離形層とから形成され、例えば従来公知のプラスチックフィルム、又はポリエチレンコート紙のポリエチレン側にシリコーンなどの公知の離型剤で離形性をもつ離形層を設けたものである。また、該シール用熱転写受像シートの粘着剤層は、従来から公知のポリ酢酸ビニル、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系共重合体、ポリウレタンや、天然ゴム、ニトリルゴムなどの樹脂や、ゴムを有機溶剤に溶解したものや、水系溶剤に溶解又は分散した粘着剤を使用して形成することができ、グラビアコート、ロールコート、バーコートなどの公知の方法で、8〜30g/m(固形分)程度塗布すればよい。
また、該シール用熱転写受像シートのシール基材は、従来より公知のものでよく、その厚みは、材質、延伸の有無にもよるが10〜50μmの範囲が好ましい。フィルムの厚みが薄いときは、いわゆるコシがなく、得られるシール用熱転写受像シートが、サーマルヘッドなどによる画像形成時に、熱収縮にシワを発生し、逆に厚いときは、画像形成時のサーマルヘッドの熱によりヒートセットによるカールが発生し易くなる。また、粘着剤層と接する内部にミクロボイドをもたない樹脂フィルムと受容層に接する内部にミクロボイドをもつ樹脂フィルムとの積層体とから構成されるシール基材も好ましく使用できる。このような構成は、形成される画像、特に高濃度部分の発色を向上し、高品質の画像を形成することができる。また、シール基材として、上記のミクロボイドをもつフィルムと、ミクロボイドをもたないフィルムとを積層して使用することもできる。
【0102】
また、該シール用熱転写受像シートの受容層は、基材の上に直接又は、プライマー層を介して設けることができ、受容層は加熱により熱転写シートから移行する色材を受容する作用をもつものであり、昇華性染料の場合は,着色層を受容して発色させると同時に、一旦受容した染料を更に再昇華させないことが望まれる。該受容層はエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレンなどのポリオレフィンやオレフィンモノマーと他のビニルモノマーとの共重合体、アイオノマー、セルロースジアセテートなどのセルロース誘導体、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体などのハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニルや、ポリアクリル酸エステル、線状ポリエステルなどのポリエステル、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂を主要成分として構成し、受容層の厚みは、1〜50μm(固形分)程度である。好ましい熱可塑性樹脂としては、ポリエステル及び塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体やそれらの混合物である。
該受容層には、画像形成時に、着色転写層をもつ熱転写シートとシール用熱転写受像シートの受容層との融着若しくは印画感度の低下などを防ぐ目的で、受容層に離型剤を添加又は受容層面に塗布してもよい。また、受容層には、受容層の白色度を向上させて、転写画像の鮮明度を高めるために、白色顔料や、蛍光増白剤などを添加したり、必要に応じて、帯電防止層を設けてもよい。詳細は、本出願人の出願による特開2000−301843号公報で開示している。
【0103】
該受像紙へ、本発明の転写シート20の1リボンを用いて、転写層8及び転写画像を転写印画する1ヘッド1パス法でもよく、また、受像紙へ、受容層転写材1及び染料層を有する熱転写シート30又は40の2リボンを用いて、白色光発現機能を有する転写層8を転写し、さらに染料層を有する熱転写シート30又は40を用いて転写画像を印画する1ヘッド2パス法、2ヘッド1パス法のいずれでもよい。
【0104】
例えば、2ヘッド1パス法のプリンタ装置において、1ヘッド部には本発明の受像層転写材1を、2ヘッド部には染料層を有する熱転写シート30又は40の2リボンを装填しておき、(1)一般的な色材により表現される画像は、2ヘッド目の染料層を有する熱転写シート30又は40のみを用いて画像を印画すればよく、(2)1ヘッド目で転写層8を転写し、続いて2ヘッド目で染料層を有する熱転写シート30又は40を用いて、熱転写画像を印画すれば、得られた画像形成物は、レリーフ形成層から発現される白色光と熱転写画像とからなる高意匠性の画像が得られる。
このように、従来の画像印画と本発明の高意匠性の画像印画とを、同一のプリンタ装置で行うことができる。よって、従来の画像印画を得る装置と、本発明の高意匠性の画像印画を得る装置を、別々に2台設置する必要がないので、設置費用が少なくて済む。
【0105】
また、従来の画像印画と本発明の高意匠性の画像印画とを、同一のプリンタ装置で行うのは、本発明の転写シート20を用いた1ヘッド1パス法でもよいが、プリンタ装置は簡単な構造で安価であるが、従来の画像印画の際に比較的高価な転写層8が未使用のまま廃棄されるで、画像の出力頻度で、選択すればよい。
【0106】
(画像)
上記のように、転写層の転写に引き続き画像の印画を1ヘッド1パス法、1ヘッド2パス法、2ヘッド1パス法、又は予め転写層を設けてから画像を印画する方法の、いずれの方法で行っても、前述のようにできた画像はいずれもレリーフ形成層5から発現される白色光とオンデマンド印字方式で形成された画像とを備えており、同様に高意匠性を有している。
【0107】
(画像形成物)
上記のように、本発明の画像形成物は、本発明の受容層転写材1と色材層を有する転写シート30又は40の2リボン、又は本発明の転写シート20を用いて、1ヘッド1パス法、1ヘッド2パス法、2ヘッド1パス法などの画像形成方法によって、被転写体11上に接着層7/反射層6/レリーフ形成層5/アンカー層9(必要に応じて)/色材受容層4の順に積層した転写層8が転写され、その転写された色材受容層4に色材からなる転写画像が形成され、レリーフ形成層5から発揮される白色光(白色拡散光若しくは特定の角度範囲への白色光)と色材で表現された転写画像とからなる高意匠性を有する画像を有した本発明の画像形成物が得られる。
【0108】
また、既に、少なくとも色材受容層4、白色光発現機能を有するレリーフ形成層5、及び反射層6を有している物品では、前記色材受容層4に色材で表現された画像が形成され、レリーフ形成層5から発現される白色光と色材で表現された画像とからなる高意匠性を有する画像を有した本発明の画像形成物が得られる。さらに、保護層(OP層ともいう)などを転写してもよいのは、もちろんである。
【0109】
本発明で得られた画像は、フルカラー化でき、観察位置にかかわらず視認性がよく、広範囲の観察点で観察しても色再現性がよく、カラーバランスが崩れることなく画像が自然である。
また、従来技術でプリント(印画)した場合、プリントする際の被転写体(下地)の色が白色である場合、例えば黒い髪の人物の顔写真を黒い髪の毛の部分にはプリントされないため、下地の白色が見えてしまい、白髪のような不自然な印象を与えてしまう。しかしながら、本発明では、プリントする被転写体の色に制限がなく、下地色が変化しても色再現性がよい。つまり、下地の上に白色拡散若しくは特定の角度範囲への白色光を発現するレリーフ形成層を転写し、更にその上に染料の熱転写画像を形成するので下地の色の影響を全く受けない。しかもシャドー部の黒みがかった階調は染料の熱転写によって自由に表現することができる。
しかも、既存設備で容易に製造でき、レリーフ形成層/染料受容層面への熱転写画像の印画が容易である。
【0110】
以上説明した本発明の主要な実施形態を以下に列挙する。
(1) 基材の一方の面に離型層、色材受容層、白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、接着層が順次設けられたことを特徴とする受容層転写材。
(2) 基材の一方の面に離型層、色材受容層、前記レリーフ形成層のレリーフ形成面、前記レリーフ形成層の反射層、及び、接着層が順次設けられたことを特徴とする前記(1)に記載の受容層転写材。
(3) 前記の色材受容層が、熱可塑性樹脂と離型剤を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の受容層転写材。
(4) 前記色材受容層と前記レリーフ形成層との間に、アンカー層を設けたことを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の受容層転写材。
(5) 離型層、色材受容層、白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、接着層を順に積層した領域、及び、少なくとも1色の色材層を設けた領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなることを特徴とする転写シート。
(6) 離型層、色材受容層、前記レリーフ形成層のレリーフ形成面、前記レリーフ形成層の反射層、及び、接着層を順に積層した領域、及び、少なくとも1色の色材層を設けた領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなることを特徴とする前記(5)に記載の転写シート。
(7) 離型層、色材受容層、白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、接着層を順に積層した領域、イエロー色材層の領域、マゼンタ色材層の領域、及び、シアン色材層の領域を含む少なくとも4領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなることを特徴とする前記(5)又は(6)に記載の転写シート。
(8) 離型層、色材受容層、白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、接着層を順に積層した領域、少なくともレッド色材層の領域、グリーン色材層の領域、及び、ブルー色材層の領域を含む少なくとも4領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなることを特徴とする前記(5)又は(6)に記載の転写シート。
(9) 上記4領域に加えて、さらにブラック色材層の領域を含む少なくとも5領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなることを特徴とする前記(8)に記載の転写シート。
(10) 基材の一方の面に、白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層を設け、該レリーフ形成層よりも表面側または基材のレリーフ形成層を有する面とは反対側に色材受容層が設けられたことを特徴とするレリーフ層付き色材受容シート。
(11) 基材の一方の面に、少なくとも、白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、色材受容層が順次設けられたことを特徴とする前記(10)に記載のレリーフ層付き色材受容シート。
(12) 基材の一方の面に、少なくとも、前記レリーフ形成層の反射層、前記レリーフ形成層のレリーフ形成面、及び、色材受容層が順次設けられたことを特徴とする前記(11)に記載のレリーフ層付き色材受容シート。
(13) 前記の色材受容層が、熱可塑性樹脂と離型剤を含有することを特徴とする前記(10)乃至第(12)のいずれかに記載のレリーフ層付き色材受容シート。
(14) 前記(1)乃至(4)のいずれかに記載された受容層転写材を用いて、被転写体上に接着層、白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、色材受容層の順に積層した転写層を転写し、該転写層が転写された被転写体の色材受容層に、オンデマンド印字により色材からなる画像を形成し、レリーフ形成層からの白色光と色材からなる画像を併せもつ画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
(15) 前記(1)乃至(4)のいずれかに記載された受容層転写材を用いて、被転写体上に接着層、前記レリーフ形成層の反射層、前記レリーフ形成層のレリーフ形成面、及び、色材受容層の順に積層した転写層を転写し、該転写層が転写された被転写体の色材受容層に、オンデマンド印字により色材からなる画像を形成し、レリーフ形成層からの白色光と色材からなる画像を併せもつ画像を形成することを特徴とする前記(14)に記載の画像形成方法。
(16) 前記オンデマンド印字を行うために、色材層を有する転写シートを用いて、転写層の色材受容層に色材からなる熱転写画像を形成し、レリーフ形成層からの白色光と熱転写画像を併せもつ画像を形成することを特徴とする前記(14)又は(15)に記載の画像形成方法。
(17) 前記転写シートとして、イエロー色材層の領域、マゼンタ色材層の領域、及び、シアン色材層の領域を含む少なくとも4領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなる転写シートを用いることを特徴とする前記(16)に記載の画像形成方法。
(18) 前記転写シートとして、レッド色材層の領域、グリーン色材層の領域、及び、ブルー色材層の領域を含む少なくとも4領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなる転写シートを用い、各色のドットを重ならないように形成することを特徴とする前記(16)に記載の画像形成方法。
(19) 前記転写シートが、上記4領域に加えて、さらにブラック色材層の領域を含む少なくとも5領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなり、ブラック色材のドットは、他の色のドットの一部又は全部と重なるように、又は、他の色のドットの一部又は全部と重ならないように形成することを特徴とする前記(18)に記載の画像形成方法。
(20) 前記(5)乃至(9)のいずれかに記載された転写シートを用いて、被転写体上へ、接着層、白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、色材受容層の順に積層した転写層の転写、及び、色材からなる熱転写画像の形成を行い、レリーフ形成層からの白色光と熱転写画像を併せもつ画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
(21) 前記(5)乃至(9)のいずれかに記載された転写シートを用いて、被転写体上へ、接着層、前記レリーフ形成層の反射層、前記レリーフ形成層のレリーフ形成面、及び、色材受容層の順に積層した転写層の転写、及び、色材からなる熱転写画像の形成を行い、レリーフ形成層からの白色光と熱転写画像を併せもつ画像を形成することを特徴とする前記(20)に記載の画像形成方法。
(22) 前記転写シートとして、転写層の領域とともに、イエロー色材層の領域、マゼンタ色材層の領域、及び、シアン色材層の領域を含む色材層の各領域を有し、これら少なくとも4領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなる転写シートを用いることを特徴とする前記(20)又は(21)に記載の画像形成方法。
(23) 前記転写シートとして、転写層の領域とともに、レッド色材層の領域、グリーン色材層の領域、及び、ブルー色材層の領域を含む色材層の各領域を有し、これら少なくとも4領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなる転写シートを用い、各色のドットを重ならないように形成することを特徴とする前記(20)又は(21)に記載の画像形成方法。
(24) 前記転写シートが、上記4領域に加えて、さらにブラック色材層の領域を含む少なくとも5領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなり、ブラック色材のドットは、他の色のドットの一部又は全部と重なるように、又は、他の色のドットの一部又は全部と重ならないように形成することを特徴とする前記(23)に記載の画像形成方法。
(25) 前記(10)乃至(13)のいずれかに記載されたレリーフ層付き色材受容シートに、オンデマンド印字により色材からなる画像を形成し、レリーフ形成層からの白色光と色材からなる画像を併せもつ画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
(26) 前記(10)乃至(13)のいずれかに記載されたレリーフ層付き色材受容シートに、イエロー色材、マゼンタ色材、シアン色材を転移させることによって色材からなる画像を形成することを特徴とする前記(25)に記載の画像形成方法。
(27) 前記(10)乃至(13)のいずれかに記載されたレリーフ層付き色材受容シートに対し、イエロー色材層の領域、マゼンタ色材の領域、シアン色材の領域を含む少なくとも3領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが基材の一方の面に配置されている色材転写シートを用いて色材からなる画像を形成することを特徴とする前記(26)に記載の画像形成方法。
(28) 前記(10)乃至(13)のいずれかに記載されたレリーフ層付き色材受容シートに、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材を各色のドットが重ならないように転移させることによって色材からなる画像を形成することを特徴とする前記(25)に記載の画像形成方法。
(29) 上記レッド、グリーン及びブルーの色材に加えて、さらにブラック色材を、他の色のドットの一部又は全部と重なるように、又は、他の色のドットの一部又は全部と重ならないように転移させることによって色材からなる画像を形成することを特徴とする前記(28)に記載の画像形成方法。
(30) 前記(10)乃至(13)のいずれかに記載されたレリーフ層付き色材受容シートに対し、レッド色材層の領域、グリーン色材層の領域、ブルー色材層の領域を含む少なくとも3領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが基材の一方の面に配置されている色材転写シートを用いてレッド色材、グリーン色材、ブルー色材を各色のドットが重ならないように転移させることによって色材からなる画像を形成することを特徴とする前記(28)に記載の画像形成方法。
(31) 上記3領域に加えて、さらにブラック色材層の領域を含む少なくとも4領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが基材の一方の面に配置されている色材転写シートを用い、ブラック色材は他の色のドットの一部又は全部と重なるように、又は、他の色のドットの一部又は全部と重ならないように転移させることによって色材からなる画像を形成することを特徴とする前記(30)に記載の画像形成方法。
(32) 前記(14)乃至(30)のいずれかに記載された画像形成方法により形成された、レリーフ形成層からの白色光と色材からなる画像を併せもつ画像を有することを特徴とする画像形成物。
(33) 前記(16)乃至(24)、(27)、(30)乃至(31)のいずれかに記載された画像形成方法により形成された、前記レリーフ形成層からの白色光と前記熱転写画像とからなる画像を有することを特徴とする画像形成物。
【実施例】
【0111】
以下において、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
(実施例1)
受容層転写材の基材として、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商品名ルミラー)を用い、該基材の裏面に下記組成の耐熱滑性層塗工液を、グラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.10〜0.20g/mになるように塗布、乾燥して、耐熱滑性層を形成しておく。
・<耐熱滑性層塗工液>
ポリビニルブチラール樹脂(商品名エスレックBX−1 積水化学工業(株)製):13.6部
ポリイソシアネート硬化剤(商品名タケネートD218 武田薬品工業(株)製):0.6部
リン酸エステル(商品名プライサーフA208S 第一工業製薬(株)製):0.8部
メチルエチルケトン:42.5部
トルエン:42.5部
【0112】
上記の耐熱滑性層が設けられた基材の耐熱滑性層の設けられていない面に、下記組成の離型層塗工液を、乾燥後の厚みが0.5g/mになるように、コーターで塗工し80℃で乾燥させて、離型層を形成した。なお、本明細書では、配合組成の部は、断わりのない限り、質量基準である。
・<離型層塗工液>
シリコーン変性アクリル系樹脂(商品名セルトップ226、ダイセル化学(株)製):16部
アルミ触媒(商品名セルトップCAT−A、ダイセル化学(株)製):3部
トルエン/メチルエチルケトン(質量比1/1):16部
【0113】
該離型層面へ、下記組成の染料受容層塗工液を、乾燥後の厚みが0.5〜1.0g/mになるように、コーターで塗工し80℃で乾燥させて、染料受容層を形成した。
・<染料受容層塗工液>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名ソルバインC 日信化学工業(株)製):100部
エポキシ変性シリコーン(X−22−3000T、信越化学工業(株)製):7.5部
メチルスチレン変性シリコーン(X−24−510、信越化学工業(株)製):7.5部
ポリエーテル変性シリコーン(FZ2101、日本ユニカー(株)製):5部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1):400部
【0114】
上記の形成した染料受容層の上に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とレリーフ形成層に用いるウレタンアクリレート樹脂(電離放射線硬化性樹脂)のそれぞれの固形分が1:1になるようにして、インキを調製し、コータで塗工し、80℃で乾燥させて、厚さが0.1〜0.5g/mになるようにアンカー層を形成した。そのアンカー層の上に、フィルム速度50m/分で、ウレタンアクリレート樹脂(電離放射線硬化性樹脂)を、乾燥後の厚みが0.5〜1.0g/mになるように、グラビアリバースコーターで塗工し、100℃で乾燥させて、レリーフ形成層を形成した。次に、該レリーフ形成層面へスタンパを加圧(エンボス)してレリーフを賦形する工程、即ちホログラム複製工程に入る。マスターホログラム(白色反射板機能を有する)から、2P法で複製したスタンパを複製装置のエンボスローラーに貼着して、該エンボスローラーと相対するローラーの間でレリーフ形成層を加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフをレリーフ形成層に賦形させた。賦形後、レリーフ形成層に直ちに紫外線を照射して硬化させた。
該レリーフ面へ真空蒸着法によりアルミニウムを厚さ300Å(オングストローム)に蒸着して、反射層を形成し、反射型のレリーフ型ホログラムを形成した。該レリーフ面の反射層上に、下記組成の接着層塗工液を用いて、グラビアコートで塗工し100℃で乾燥して、厚さが0.5g/mの接着層を形成して、実施例1の受容層転写材を得た。
・<接着層塗工液>
ブチルメタアクリレート系樹脂(A−415、大日本インキ化学工業(株)製):30部
メチルエチルケトン:10部
トルエン:10部
【0115】
(実施例2)
上記の実施例1で作製した受容層転写材において、染料受容層とレリーフ形成層との間に設けたアンカー層を除いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の受容層転写材を作製した。
【0116】
(実施例3)
上記の実施例1で作製した受容層転写材において、反射層として、アルミニウムではなく、クロム(Cr)を真空蒸着法により厚さ300Åに蒸着し、その他は、実施例1と同様にして、実施例3の受容層転写材を作製した。
【0117】
(実施例4)
上記の実施例1で作製した受容層転写材において、反射層として、アルミニウムではなく、ニッケル(Ni)を真空蒸着法により厚さ300Åに蒸着し、その他は、実施例1と同様にして、実施例4の受容層転写材を作製した。
【0118】
(実施例5)
熱転写シートの基材として、厚さ6μmのルミラー(ポリエチレンテレフタレートフィルム、東レ社製、商品名)を用い、該基材の裏面全面に、実施例1と同様にして、耐熱滑性層を形成しておく。
他方の面(表面)へ、図5Bのように、転写層領域、Y領域、M領域、C領域の4領域とし、各領域の大きさは一般的なカードを覆えるように、転写シートの流れ方向が95mm、流れに直角方向が60mmとし、順次これを繰り返す。
転写層領域には、実施例1と同じ離型層塗工液、染料受像層塗工液、アンカー層塗工液、レリーフ形成層塗工液を用いて、グラビア印刷法で、離型層、染料受像層、アンカー層、及びレリーフ形成層を重ねて形成した。
次に、該レリーフ形成層面へスタンパを加圧(エンボス)してレリーフを賦形する工程、即ちホログラム複製工程に入る。マスターホログラム(白色反射板機能を有する)から、2P法で複製したスタンパを複製装置のエンボスローラーに貼着して、該エンボスローラーと相対するローラーの間でレリーフ形成層を加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフをレリーフ形成層に賦形させた。賦形後、レリーフ形成層に直ちに紫外線を照射して硬化させた。
該レリーフ面へ真空蒸着法によりアルミニウムを厚さ300Åに蒸着して、反射層を形成し、反射型のレリーフ型ホログラムを形成した。
該レリーフ面の反射層上の転写層領域に、実施例1と同じ接着層塗工液を用いて、グラビアコートで塗工し100℃で乾燥して、厚さが0.5g/mの接着層を形成した。
【0119】
次に、Y領域、M領域、C領域へ、それぞれ下記の配合のイエロー、マゼンタ、シアンの3色の染料を含むインキをペイントシェイカーを用い、6時間混練して調製し、グラビア印刷法により、0.8g/m(乾燥時)の塗布量になるように塗布し乾燥して、イエロー染料(Y)を含む領域、マゼンタ)染料を含む領域、シアン(C)染料を含む領域を形成した。
・(イエロー(Y)染料を含むインキ)
分散染料(イエロー分散染料:キノフタロン染料):5.5質量部
アセトアセタール樹脂(積水化学工業(株)製KS−5):3.5質量部
ポリエチレンパウダー(ASTORWAXCo.製MF8F):0.1質量部
トルエン:45質量部
メチルエチルケトン:45質量部
・(マゼンタ(M)染料を含むインキ)
分散染料として、マゼンタ分散染料(C.I.DisperseRed60)を5.5質量部使用した他は、上記のイエロー(Y)染料を含むインキと同様である。
・(シアン(C)染料を含むインキ)
分散染料として、シアン分散染料(C.I.SolventBlue63)を5.5質量部使用した他は、上記のイエロー(Y)染料を含むインキと同様である。
これにより、転写層領域、Y領域、M領域、C領域の4領域が1組として、繰り返し配置された「転写YMC領域」を有する熱転写シートを得た。
【0120】
(実施例6)
実施例5のY領域、M領域、C領域の代りに、R領域、G領域、B領域及びBk領域とし、それぞれ下記の配合の染料を含むインキを用いて、実施例5と同様にして、R領域、G領域、B領域、Bk領域を形成した。
・(レッド(R)染料を含むインキ)
キノフタロン染料:2.25質量部
C.I.DisperseRed60:2.25質量部
アセトアセタール樹脂(積水化学工業(株)製KS−5):3.5質量部
ポリエチレンパウダー(ASTORWAXCo.製MF8F):0.1質量部
トルエン:45質量部
メチルエチルケトン:45質量部
【0121】
・(グリーン(G)染料を含むインキ)
キノフタロン染料:2.25質量部
C.I.SolventBlue63:2.25質量部
アセトアセタール樹脂(積水化学工業(株)製KS−5):3.5質量部
ポリエチレンパウダー(ASTORWAXCo.製MF8F):0.1質量部
トルエン:45質量部
メチルエチルケトン:45質量部
【0122】
・(ブルー(B)染料を含むインキ)
シアン分散染料、C.I.SolventBlue63:5.5質量部
アセトアセタール樹脂(積水化学工業(株)製KS−5):3.5質量部
ポリエチレンパウダー(ASTORWAXCo.製MF8F):0.1質量部
トルエン:45質量部
メチルエチルケトン:45質量部
【0123】
・(ブラック(Bk)染料を含むインキ)
イエロー分散染料:キノフタロン染料):1.8質量部
マゼンタ分散染料(C.I.DisperseRed60):1.8質量部
シアン分散染料(C.I.SolventBlue63):1.8質量部
アセトアセタール樹脂(積水化学工業(株)製KS−5):3.5質量部
ポリエチレンパウダー(ASTORWAXCo.製MF8F):0.1質量部
トルエン:45質量部
メチルエチルケトン:45質量部
これにより、転写層領域、R領域、G領域、B領域、K領域の5領域が1組として、繰り返し配置された「転写RGBK領域」を有する熱転写シートを得た。
【0124】
(参考例1)
上記の実施例5で作製した転写シートにおいて、転写層を除いた以外は、実施例5と同様にして、参考例1の「YMC領域」を有する転写シートを作製した。
【0125】
(参考例2)
上記の実施例6で作製した転写シートにおいて、転写層を除いた以外は、実施例6と同様にして、参考例2の「RGBBk領域」を有する転写シートを作製した。
【0126】
(実施例7)
実施例1〜4の受容層転写材を用いて、被転写体として坪量300g/mのコート紙へ公知のオフセット印刷で絵柄が印刷されたグリーティングカードへ、600dpiの熱転写プリンターで、ハート模様等のパターンで転写層(接着層/反射層/レリーフ形成層/(アンカー層)/染料受容層の積層体)を転写した。次に再度、600dpiの熱転写プリンターで、転写したパターン上に、上記(参考例1)の転写シートを用いて、顔写真、及び文字を印画したところ、実施例1〜4のいずれの受容層転写材を用いたものも、鮮明で高品質のカラー顔写真及び文字画像が形成できた。
【0127】
(実施例8)
被転写体として、所定の位置へ磁気ストライプを有する厚さ100μmの透明の塩化ビニル樹脂からなるオーバーシート、カード意匠の絵柄を公知のオフセット印刷およびスクリーン印刷法で設けた厚さ280μmの白色の塩化ビニル樹脂からなるカードコア、カードの裏面意匠の絵柄を公知のオフセット印刷で設けた厚さ280μmの白色の塩化ビニル樹脂からなるカードコア、及び厚さ100μmの透明の塩化ビニル樹脂からなるオーバーシートを重ね合わせ、該4枚のシートを、熱プレス機でプレスし一体化させ冷却したカード基材を、打抜き機でクレジットカードサイズに打抜いて得たカードを用いた。
600dpiの2ヘッド熱転写カードプリンターへ、第1ヘッドへ実施例1〜4の受容層転写材を装填し、第2ヘッドへ参考例1〜2の転写シートを装填し、被転写体とした前記各カード上へ、大きさが20×30mmの矩形のパターンで、転写層を転写し、引き続いて、該転写したパターン上に、顔写真及び文字を印画したところ、実施例1〜4のいずれの受容層転写材及び参考例1〜2のいずれの転写シートを用いた組み合わせのものも、鮮明で高品質のカラー顔写真及び文字画像が形成できた。
【0128】
(実施例9)
被転写体として、実施例8で用いたカードを用いた。該カードへ、600dpiの1ヘッド熱転写プリンターへ、実施例5〜6の転写シートを装填し、カード全面に転写層を転写し、引き続いて、該転写したパターン上に、顔写真及び文字を印画したところ、鮮明で高品質のカラー顔写真及び文字画像が形成できた。
【0129】
(実施例10)
厚さが188μmのPETフィルムへ、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とレリーフ形成層に用いるウレタンアクリレート樹脂(電離放射線硬化性樹脂)のそれぞれの固形分が1:1になるようにして、インキを調整し、コーターで塗工し、80℃で乾燥させて、厚さが0.1〜0.5g/mになるようにアンカー層を形成した。そのアンカー層の上に、フィルム速度50m/分で、ウレタンアクリレート樹脂(電離放射線硬化性樹脂)を、乾燥後の厚みが0.5〜1.0g/mになるように、グラビアリバースコーターで塗工し100℃で乾燥させて、レリーフ形成層を形成した。次に、該レリーフ形成層面へスタンパを加圧(エンボス)してレリーフを賦形する工程、即ちホログラム複製工程に入る。マスターホログラム(白色反射板機能を有する)から、2P法で複製したスタンパを複製装置のエンボスローラーに貼着して、該エンボスローラーと相対するローラーの間でレリーフ形成層を加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフをレリーフ形成層に賦形させた。賦形後、レリーフ形成層に直ちに紫外線を照射して硬化させた。
該レリーフ面へ真空蒸着法によりアルミニウムを厚さ300Å(オングストローム)に蒸着して、反射層を形成し、反射型のレリーフ型ホログラム(白色反射板機能を有する)を形成した。
【0130】
該反射層面へ、下記組成の染料受容層塗工液を、乾燥後の厚みが0.5〜1.0g/mになるように、コーターで塗工し80℃で乾燥させて、染料受容層を形成した。
・<染料受容層塗工液>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名ソルバインC、日信化学工業(株)製):100部
エポキシ変性シリコーン(X−22−3000T、信越化学工業(株)製):7.5部
メチルスチレン変性シリコーン(X−24−510、信越化学工業(株)製):7.5部
ポリエーテル変性シリコーン(FZ2101、日本ユニカー(株)製):5部
溶媒(MEK:トルエン=1:1):400部
上記のようにして、白色反射及び染料受容層を有する被転写体を得た。
該被転写体の染料受容層面へ、600dpiの1ヘッド熱転写プリンターへ、参考例1〜2の転写シートを装填し、カード全面に転写層を転写し、引き続いて、該転写したパターン上に、顔写真及び文字を印画したところ、鮮明で高品質のカラー顔写真及び文字画像からなるグリーティングカードができた。
【0131】
(実施例11)
染料受容層に代えて、高松油脂(株)製ポリエステル系インクジェット受容層用樹脂 NS−122LX を、乾燥後の厚みが0.5〜1.0g/mになるように、コーターで塗工し、80℃で乾燥させて、インクジェット受像層を形成する以外は、実施例10と同様にして、被転写体を得た。
該被転写体の受像層面へ、キャノン社の400dpiのインクジェットプリンターで、顔写真及び文字を印画したところ、鮮明で高品質のカラー顔写真及び文字画像からなるグリーティングカードができた。
【0132】
(実施例12)
被転写体として、受容層/シール基材/粘着剤層(シール部)と離形層付きはく離基材とからなるシール用熱転写受像シートを用いた。まず、各層を構成する塗工液を準備する。
・<離形層塗工液>
付加重合型シリコーン(信越化学工業製 KS847H):100重量部
溶媒(トルエン):200重量部
・<粘着層塗工液>
アクリル共重合体(綜研化学(株)製 SKダイン1310L):48重量部
エポキシ樹脂(綜研化学(株)製 硬化剤ーAX):0.36重量部
溶媒(酢酸エチル):51.64重量部
【0133】
・<受容層塗工液>
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体(日信化学工業(株)製、ソルバインC):40重量部
ポリエステル(東洋紡(株)製、バイロン600):40重量部
塩化ビニル−スチレン−アクリル共重合体(電気化学工業(株)製 デンカラック#400):20重量部
ビニル変性シリコーン(信越化学工業(株)製 X−62−1212):10重量部
触媒(信越化学工業(株)製、CAT−PLR−5):5重量部
溶媒(メチルエチルケトン:トルエン=1:1):400重量部
【0134】
・<シール用熱転写受像シートの作成>
まず、厚み100μmのはく離基材(表面コロナ処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、クリスパーGー1212、東洋紡績(株)製商品名)の一方の面に、上記組成の離形層塗工液をグラビアコート法により塗布し、乾燥フードの前で表面をスムージングした後に、乾燥して、塗工量0.1g/mの離形層を形成した。次に、上記離形層面に、上記組成の粘着層塗工液をグラビアコート法により、塗工し乾燥して、塗工量10g/mの粘着層を形成した。
一方、厚み50μmのシール基材(ルミラーE63#50;内部に空孔をもつポリエチレンテレフタレートフィルム、東レ(株)製商品名)の一方の面に、上記組成の受容層塗工液をグラビアコート法により、塗布し乾燥して、塗工量4.5g/mの受容層を形成した。該シール基材の他方の面と、はく離基材の粘着剤層面とを100℃12秒の条件でラミネートした。そして受容層の面に帯電防止剤として第4級アンモニウム塩化合物(松本油脂製薬(株)製、TB−34の1%溶液)を塗工し乾燥して、シール用熱転写受像シートを得た。該シール用熱転写受像シートを実施例12の被転写体とした。
【0135】
上記のようにして得た被転写体の染料受容層面へ、神鋼電機(株)製プリンターS8045に給紙した。プリンターS8045は2ヘッド型プリンターだが、1ヘッドのみ使用して印字を行った。転写シートとしては、実施例5又は6の転写シートであるが、転写層領域と各色の色材層のサイズを転写シートの流れ方向が110mm、流れに直角の方向が160mmのサイズの大きさに変更したものを用いた。これら実施例5又は6の転写シートをプリンターに装填し、全面に転写層を転写し、引き続いて、該転写したパターン上に、顔写真及び文字を印画したところ、鮮明で高品質のカラー顔写真及び文字画像が形成できた。
【0136】
(実施例13)
600dpiの2ヘッド熱転写カードプリンター(神鋼電機(株)製プリンターS8045)へ、第1ヘッド部へ実施例1〜4の受容層転写材を装填し、第2ヘッド部へ参考例1〜2の転写シート(転写層領域と各色の色材層のサイズを転写シートの流れ方向が110mm、流れに直角の方向が160mmとしたもの)を装填し、被転写体として実施例12の受像紙(シール用熱転写受像シート)上へ、大きさが20×30mmの矩形のパターンで、転写層を転写し、引き続いて、該転写したパターン上に、顔写真及び文字を印画したところ、実施例1〜4のいずれの受容層転写材及び参考例1〜2のいずれの転写シートを用いた組み合わせのものも、鮮明で高品質のカラー顔写真及び文字画像が形成できた。
また、第2ヘッド部のみを用いて、参考例1〜2の転写シートで顔写真及び文字を印画したところ、従来通りのカラー顔写真及び文字画像が形成できた。
従って、本発明の画像及び従来の画像の両方が、同じプリンターで出力することができた。
【符号の説明】
【0137】
1 受容層転写材
2 基材
3 離型層
4 色材受容層
5 レリーフ形成層
6 反射層
7 接着層
8 転写層
9 アンカー層
10 耐熱滑性層
11 被転写体(媒体)
12 色材による熱転写画像
13 画像形成物
51 プリンターヘッド
52 プラテンローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一方の面に離型層、色材受容層、特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、接着層が順次設けられ、
前記レリーフ形成層のレリーフ形状は計算機ホログラムであり、該計算機ホログラムは、所定の入射角で入射した所定の基準波長の入射光を特定の角度範囲に拡散する計算機ホログラムにおいて、前記入射角で入射した0次透過光あるいは0次反射光に対して、前記基準波長を含み加法混色した場合に白色に見える波長範囲の最短波長の前記入射角の入射光の最大回折角が、その波長範囲の最長波長の前記入射角の入射光の最小回折角よりも大きくなるように構成されており、且つ、
前記レリーフ形成層は、前記色材受容層を設けた領域の全面に設けられていることを特徴とする受容層転写材。
【請求項2】
基材の一方の面に離型層、色材受容層、前記レリーフ形成層のレリーフ形成面、前記レリーフ形成層の反射層、及び、接着層が順次設けられたことを特徴とする請求項1に記載の受容層転写材。
【請求項3】
前記の色材受容層が、熱可塑性樹脂と離型剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の受容層転写材。
【請求項4】
前記色材受容層と前記レリーフ形成層との間に、アンカー層を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の受容層転写材。
【請求項5】
離型層、色材受容層、特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、接着層を順に積層した領域、及び、少なくとも1色の色材層を設けた領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなり、
前記レリーフ形成層のレリーフ形状は計算機ホログラムであり、該計算機ホログラムは、所定の入射角で入射した所定の基準波長の入射光を特定の角度範囲に拡散する計算機ホログラムにおいて、前記入射角で入射した0次透過光あるいは0次反射光に対して、前記基準波長を含み加法混色した場合に白色に見える波長範囲の最短波長の前記入射角の入射光の最大回折角が、その波長範囲の最長波長の前記入射角の入射光の最小回折角よりも大きくなるように構成されており、且つ、
前記レリーフ形成層は、前記色材受容層を設けた領域の全面に設けられていることを特徴とする転写シート。
【請求項6】
離型層、色材受容層、前記レリーフ形成層のレリーフ形成面、前記レリーフ形成層の反射層、及び、接着層を順に積層した領域、及び、少なくとも1色の色材層を設けた領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなることを特徴とする請求項5に記載の転写シート。
【請求項7】
離型層、色材受容層、特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、接着層を順に積層した領域、イエロー色材層の領域、マゼンタ色材層の領域、及び、シアン色材層の領域を含む少なくとも4領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなることを特徴とする請求項5又は6に記載の転写シート。
【請求項8】
離型層、色材受容層、特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、接着層を順に積層した領域、少なくともレッド色材層の領域、グリーン色材層の領域、及び、ブルー色材層の領域を含む少なくとも4領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなることを特徴とする請求項5又は6に記載の転写シート。
【請求項9】
上記4領域に加えて、さらにブラック色材層の領域を含む少なくとも5領域を1組として、少なくともこの1組の繰り返しが、基材の一方の面に配置されてなることを特徴とする請求項8に記載の転写シート。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−145901(P2009−145901A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14336(P2009−14336)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【分割の表示】特願2005−215489(P2005−215489)の分割
【原出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】