説明

口唇用化粧料

【課題】持続的に優れたツヤ感を奏し、使用時のつきがよく、折れにくい口唇用の化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】以下に示す炭化水素系ワックスの含有量の総和が30〜60質量%である口唇用の化粧料において、1)エチレンプロピレン共重合体と、2)α−オレフィンオリゴマーと、3)ポリ分岐アルケンを含有する口唇用の化粧料を提供する。前記エチレンプロピレン共重合体の融点が80〜150℃であることが好ましく、前記エチレンプロピレン共重合体の含有量は0.1〜5質量%であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の炭化水素系ワックスの含有量の総和が30〜60質量%である口唇用の化粧料において、1)エチレンプロピレン共重合体と、2)α−オレフィンオリゴマーと、3)ポリ分岐アルケンを含有する口唇用の化粧料に関するものであり、更に詳細には持続的にツヤ感を発揮し、唇に塗布した際のつきがよく、折れにくい口唇用の化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
口唇用化粧料は、唇に彩りを与え、顔の印象を変化させるために用いられ、スティック状のリップスティックが汎用されている。かかる口唇用化粧料には様々な光学的効果を有するものが存在し、パール剤を配合してキラキラした印象を与えるもの(例えば、特許文献1参照)、夏の紫外線が高い時に使用される紫外線カット効果の高いもの(例えば、特許文献2参照)等が存在し、単なる色による美観の向上から、立体感、UVカット等の機能的な要素をもつものが増加している。その他、光輝性粉体により唇にふっくら感といった立体感を与える口唇用化粧料(例えば、特許文献3参照)を与えるもの、水系増粘剤と水系染料を用いてうるおった感じを提供するもの(例えば、特許文献4)等の印象を向上させるものが報告されている。
【0003】
特にリップとしては、ツヤ感を向上させるものが求められており、ヒドロキシジカルボン酸と炭素数20〜30の分岐アルコールを組合せることによりツヤ感に優れた口唇用化粧料は報告されているが(例えば、特許文献5参照)、粉体の種類、含有量、組合せによってはツヤを持続させることが難しい場合が存し、長時間ツヤ感が低下しない口唇用の化粧料が求められていた。
【0004】
一方、口唇用化粧料のツヤ感等の光学効果を奏するには、唇に化粧料が十分付着することが必要であり、加えて付着した化粧料の効果が長時間使用した場合でも持続する口唇用の化粧料が求められていた。化粧料が付着するためには、ある程度の柔らかさが必要となるが、柔らかいと使用時や保管時に折れやすくなるというジレンマに陥り、目的部位への十分な付着と折れにくさを兼ね備えた口唇用の化粧料が求められていた。かかる状況において、ツヤ感に富み、十分な付着料を有しながら、折れにくく、一度付着した化粧料のツヤ感が持続する口唇用の化粧料が切望されていた。
【0005】
炭化水素系ワックスは、口唇用の化粧料の固さや滑らかさの調製に汎用されているが、特定の含有量の炭化水素系ワックスにおいて、エチレンプロピレン共重合体とα−オレフィンオリゴマーとポリ分岐アルケンの炭化水素系ワックスを含有させることにより、ツヤ感に富み、唇へのつきがよく十分な付着量を有しながら、折れにくく、一度付着した化粧料のツヤ感が持続する口唇用の化粧料となることは知られていなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2003-171233号公報
【特許文献2】特開平09-301829号公報
【特許文献3】特開2008-255012号公報
【特許文献4】特開2008-214210号公報
【特許文献5】特開2006-089411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、持続的に優れたツヤ感を奏し、使用時のつきがよく、折れにくい口唇用の化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかるツヤ感に優れ、使用時のつきがよく、折れにくい口唇用の化粧料を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、下記の炭化水素系ワックスの含有量の総和が30〜60質量%である口唇用の化粧料において、1)エチレンプロピレン共重合体と、2)α−オレフィンオリゴマーと、3)ポリ分岐アルケンを含有する口唇用の化粧料にかかる効果があることを見いだし発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示す通りである。
<1> 以下に示す炭化水素系ワックスの含有量の総和が30〜60質量%である口唇用の化粧料において、1)エチレンプロピレン共重合体と、2)α−オレフィンオリゴマーと、3)ポリ分岐アルケンを含有することを特徴とする、口唇用の化粧料。
<2> 前記エチレンプロピレン共重合体の融点が80〜150℃であることを特徴とする、<1>に記載の口唇用の化粧料。
<3> 前記エチレンプロピレン共重合体の含有量は0.1〜5質量%であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の口唇用の化粧料。
<4> 前記α−オレフィンオリゴマーの分子量が300〜600のものを5〜40質量%含有することを特徴とする、<1>〜<3>何れかに記載の口唇用の化粧料。
<5> 前記ポリ分岐アルケンの平均分子量が30,000〜60,000のポリイソブテンであることを特徴とする、<1>〜<4>の何れかに記載の口唇用の化粧料。
<6> 前記ポリ分岐アルケンの含有量は1〜20質量%であることを特徴とする、<1>〜<5>の何れかに記載の口唇用の化粧料。
<7> 更に、次に示すエステル系ワックスを0.5〜5質量%含有することを特徴とする、<1>〜<6>何れかに記載の口唇用の化粧料。
(エステル系ワックス)
モクロウ、ミツロウ、カルナウバワックス、水添ヤシ油、水添ナタネ油、水添牛脂
<8> 更に、被覆処理されていてもよいチタンマイカ及び/又はチタンセリサイトを0.5〜10質量%含有することを特徴とする、請求項1〜7何れか1項に記載の口唇用の化粧料。
<9> 製造後20℃に恒温にした場合の硬度が、40〜70g(1.5mmφのアタッチメントを使用し、荷重を200gとした場合)の針入硬度値であり、且つ、同条件での折れ強度が150〜350g(直径12mm 厚さ5mmの半円アタッチメントを使用し、荷重を800gとした場合)であることを特徴とする、<1>〜<8>の何れかに記載の口唇用の化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、持続的に優れたツヤ感を奏し、使用時のつきがよく、折れにくい口唇用の化粧料が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は以下に示す炭化水素系ワックスを化粧料全量に対して30−60質量%含有することを特徴とし、かかる炭化水素系ワックスとして、1)エチレンプロピレン共重合体と、2)α−オレフィンオリゴマーと、3)ポリ分岐アルケンを含有することを特徴とする。
<1>本発明のエチレンプロピレン共重合体
本発明の口唇用の化粧料は、必須成分として、エチレンプロピレン共重合体を含有することを特徴とする。かかるエチレンプロピレン共重合体は、通常化粧料に含有されるものであれば特段制限はないが、化粧料の適度な固さ、折れにくさ、夏の高温時に溶けにくいといった観点から、融点が80〜150℃の範囲のものが好ましく、更に100〜120℃のものが好ましい。例えば市販品として、ペトロライト EP−700(Baker Petrolite社製)が例示でき、合成炭化水素ワックスとの混合状態で使用することも出来、市販品としては、リップワックスPZ80−20(日本ナチュラルプロダクツ社製)が好ましく例示できる。これらは、化粧料全体に対して、0.05乃至10質量%含有させることが好ましく、更に0.1乃至5質量%であることが好ましい。これは下限未満では効果が発揮されず、上限を超えても効果は頭打ちとなるためである。
<2>α−オレフィンオリゴマー
本発明の口唇用化粧料は、必須成分として、α−オレフィンオリゴマーを含有することを特徴とする。かかるα−オレフィンオリゴマーは、通常化粧料に含有されるものであれば特段制限はないが、α−オレフィンオリゴマーは炭素数4〜12の直鎖脂肪族α−オレフィンを重合した後、水素添加して得られるもので、その重合度が2〜8のものが好ましい。また、分子量は300〜600のものが好ましい。かかるα−オレフィンオリゴマーは、1種又は2種以上を組合せ含有させることが出来、化粧料全量に対して、1〜50質量%、更に好ましくは5〜40質量%である。かかるα−オレフィンオリゴマーは市販品を使用することが出来、ノムコートHPD−C又はNEXBASE 2004FG(日清オイリオグループ社製)、SILFFLO364(LIPO CHEMICALS社製)等が挙げられる。
<3>ポリ分岐アルケン
本発明の口唇用の化粧料は、必須の油性成分としてポリ分岐アルケンを含有することを特徴とする。ポリ分岐アルケンとしては、通常化粧料に含有させるものであれば特段制限はないが、平均分子量が30,000〜60,000であることが好ましく、かかるポリ分岐アルケンとしては、ポリイソブテン、ポリイソプレンが好適に例示でき、特にポリイソブテンが好ましい。かかるポリ分岐アルケンは、唯一種を含有することもできるし、二種以上を組み合わせて含有することもでき、化粧料全体に対して、0.1乃至30質量%含有させることが好ましく、更に1乃至20質量%であることが好ましい。これは下限未満では効果が発揮されず形状が崩れやすくなることも存し、唇への化粧料のつきが悪くなる場合もある。また、上限を超えても効果が頭打ちとなり、該化粧料が硬くなり使用上問題となることがあるため、前述の範囲での使用が好ましい。
更にエステル系ワックスとして、化粧料として使用されるモクロウ、ミツロウ、カルナウバワックス、水添ヤシ油、水添ナタネ油、水添牛脂を含有していることが好ましく、使用感がよい、固さの化粧料とするために、化粧料全体に対して0.5〜5質量%含有されていることが好ましい。
【0011】
口唇用の化粧料として使用する場合、適度の硬度を保有し、折れにくいことが求められ、本発明の口唇用の化粧料としては、製造後20℃に恒温状態としたときの針入硬度値が40〜70g(1.5mmφのアタッチメントを使用し、荷重を200gとした場合)であることが好ましく、同条件において、中央より折った時の荷重値(単位g)により折れ強度を測定した場合、折れ強度が150〜350g(直径12mm 厚さ5mmの半円アタッチメントを使用し、荷重を800gとした場合)であることが好ましい。
【0012】
本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分以外に、通常化粧料で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、オリーブ油、イボタロウラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等、ラウリル硫酸カリウム)、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等) 、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類 (ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコールグリセリン1 3−ブチレングリコール、エリスリトールソルビトールキシリトールマルチトールプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404 号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤;桂皮酸系紫外線吸、収剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB塩酸塩、ビタミンBトリパルミテート、ビタミンB2 ジオクタノエート、ビタミンB12 、ビタミンB6又はその誘導体 、ビタミンB 又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。これらの成分を常法に従って処理することにより、本発明の化粧料は製造することが出来る。更に、ツヤ感を向上させるために、効果を減じない範囲において、表面を被覆処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、雲母、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、チタンマイカ、チタンセリサイト等の粉体類を含有させることが好ましく、特にチタンマイカ、チタンセリサイトが好ましい。かかる粉体の被覆処理方法としてはパーフルオロアルキル処理、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼き付け、ジメチルポリシロキサン焼き付け処理、金属石鹸コーティング処理、アシル化アミノ酸塩コーティング処理等が好ましく例示できる。
【0013】
以下に、本発明について、以下に実施例を挙げて、更に詳細説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0014】
<実施例及び比較例>
以下に示す処方に従って、本発明の口唇用化粧料1(実施例1)を製造した。即ち、表1の処方成分を105℃に加熱し、均一に溶解、分散させ、90℃で金型に流し込み、20℃まで急冷固化して、実施例1のリップカラーを得た。
また、実施例1と同様にして、リップワックスPZ80−20をセレシンに置換したものを比較例1、SILKFLO 364をセレシンに置換したものを比較例2、ポリイソブテンをセレシンに置換したものを比較例3、ポリイソブテンを40%に増量し、1)エチレンプロピレン共重合体と2)α−オレフィンオリゴマーと3)ポリ分岐アルケンの炭化水素系ワックスの含有量を60質量%以上としたものを比較例4,ミツロウをセレシンに置換した実施例2、チタンマイカを雲母に置換した実施例3、チタンマイカをチタンセリサイトに置換したものを実施例4、チタンマイカをトリメトキシシリルジメチコン処理チタンマイカに置換したものを実施例5として製造した。
【0015】
【表1】

【0016】
<試験例1>
実施例1から5及び比較例1から4について、市販の人工皮膚(サプラーレ、出光テクノファイン社製)を用い、2cm×4cmの部位に40mgの化粧料を塗布し、塗布直後、別に用意した上記の人工皮膚を化粧料を塗布した人工皮膚にのせ密着後、剥離し、化粧料塗布直後及び人工皮膚で剥離後の人工皮膚上の化粧料グロス値(G値)をグロスメーターで計測し、長時間化粧料を使用した場合の唇の動きによる化粧料のはがれによるツヤ感の低下について測定した。条件は、光源の入射角度は45°、正反射45°とし、結果を表2に示した。
表2の結果より、本発明の化粧料のグロス値は比較例より高く、ツヤ感が向上していることが明らかであり、実施例1が実施例2から3に比べて高い値を示したことから、エステル系ワックスであるミツロウ、チタンマイカを含有した方がツヤ感は高く、剥離後の値から、ツヤ感が持続しており、チタンセリサイトを含有した実施例4と実施例1が同等のツヤ感、ツヤの持続性を示したことから、チタンマイカを含有させた場合は、チタンセリサイトを含有させた場合と同等の効果を示すことがわかった。更に実施例1と5の結果から、被覆処理したチタンマイカを配合することにより、被覆しないものと同等の効果が得られることが分かった。

【0017】
【表2】

【0018】
<試験例2>
実施例1から5及び比較例1から4の口唇用化粧料を5人の女性被験者の唇に塗布してもらい、使用時の使用感を以下の基準で判定してもらった。結果を表3に示す。本願発明は使用時の塗布時のつきが比較例に比べてよかった。
判定は、評点5:唇へのつきが非常によい、評点4:唇へのつきがよい、
評点3:唇へのつきがややよい、評点2:唇へのつきがややわるい、
評点1:唇へのつきがわるい
【0019】
【表3】

【0020】
<試験例3>
実施例1から5及び比較例1から4の口唇用化粧料を製造後、化粧料の固さを測定するため、20℃の恒温状態に静置し、カードメーター(カードメーターMAX ME500、I.techno Engineering社製)を用いて針入硬度値を測定した。測定条件は、1.5mmφのアタッチメントを使用し、荷重を200gとした。また、同温度にて、同機器を用いて、直径12mm、厚さ5mmの半円アタッチメントを用い、荷重800gの条件で折れ強度を測定した。結果を表4に示す。
本願発明の化粧料は針入硬度値が40以上70g以内であり、比較例は30g未満若しくは70超から180gであった。また、本願発明の実施例の折れ強度は168〜304gであり、比較例は120g未満、若しくは370〜480gであった。唇につきやすい柔らかさ、折れにくいとされる折れ強度は、針入硬度値が40〜70g、折れ強度が150g〜350gであることから、比較例では硬すぎたり、柔らかすぎるものであり、本願発明の化粧料は、つきがよく且つ折れにくい固さの範囲であることが明らかとなった。
【0021】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、口唇用の化粧料などの化粧料に応用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下に示す炭化水素系ワックスの含有量の総和が30〜60質量%である口唇用の化粧料において、1)エチレンプロピレン共重合体と、2)α−オレフィンオリゴマーと、3)ポリ分岐アルケンを含有することを特徴とする、口唇用の化粧料。
【請求項2】
前記エチレンプロピレン共重合体の融点が80〜150℃であることを特徴とする、請求項1に記載の口唇用の化粧料。
【請求項3】
前記エチレンプロピレン共重合体の含有量は0.1〜5質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の口唇用の化粧料。
【請求項4】
前記α−オレフィンオリゴマーの分子量が300〜600のものを5〜40質量%含有することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の口唇用の化粧料。
【請求項5】
前記ポリ分岐アルケンの平均分子量が30,000〜60,000のポリイソブテンであることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の口唇用の化粧料。
【請求項6】
前記ポリ分岐アルケンの含有量は1〜20質量%であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の口唇用の化粧料。
【請求項7】
更に、次に示すエステル系ワックスを0.5〜5質量%含有することを特徴とする、請求項1〜6何れか1項に記載の口唇用の化粧料。
(エステル系ワックス)
モクロウ、ミツロウ、カルナウバワックス、水添ヤシ油、水添ナタネ油、水添牛脂
【請求項8】
更に、被覆処理されていてもよいチタンマイカ及び/又はチタンセリサイトを0.5〜10質量%含有することを特徴とする、請求項1〜7何れか1項に記載の口唇用の化粧料。
【請求項9】
製造後20℃に恒温にした場合の硬度が、40〜70g(1.5mmφのアタッチメントを使用し、荷重を200gとした場合)の針入硬度値であり、且つ、同条件での折れ強度が150〜350g(直径12mm 厚さ5mmの半円アタッチメントを使用し、荷重を800gとした場合)であることを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の口唇用の化粧料。

【公開番号】特開2010−248101(P2010−248101A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97648(P2009−97648)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】