説明

口腔内のガスおよび肺胞気の成分を分析する装置および方法

本発明は、口腔内のガスおよび呼気の成分を分析する装置および方法に関する。本発明による口腔内のガスおよび呼気の成分を分析する装置は、外部のガスをキャリアガスとして使用するために、外気中の極性分子および非極性分子を吸着し、外気中の水を除去することによって外部のガスを濾過するための、吸着および脱湿性物質、例えばシリカゲル、塩化カルシウム、および活性炭などを充填したフィルタ(110)と;フィルタを通過してその中に入るキャリアガスを提供するようにその一端が前記フィルタ(110)に接続され、接続ポート(121)を通ってそこへ流れる口腔内のガスまたは呼気の流れを制御する、第1のソレノイド弁(120)と;接続管(122)を介してその第1のポートが前記第1のソレノイド弁(120)に接続され、キャリアガスをバイパスさせるようにバイパス管(131)を介してその第2のポートが第3のソレノイド弁(140)に接続され、前記第3のソレノイド弁(140)によって収集された口腔内のガスまたは呼気を充填したサンプリングループ(132)にその第3のポートが接続された、第2のソレノイド弁(130)と;接続管(122)を介して第3のソレノイド弁(140)に接続された第4のソレノイド弁(150)と;速度制御器を備える上方バイパス管(161)を介して第4のソレノイド弁(150)のポートに接続された、第5のソレノイド弁(160)と;口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとが順番に貫流するのを可能にする、前記第4のソレノイド弁(150)の別のポートに接続されたカラム(162)と;その一端が前記カラム(162)に接続され、センサーを有する、センサーチャンバー(163)と;その一端が前記センサーチャンバー(163)の他端に接続され、その他端が第5のソレノイド弁(160)に接続され、別の速度制御器を備える、下方バイパス管(164)と;口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとを吸い上げ、その後その口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとを外部に排出するための、前記第5のソレノイド弁(160)に接続されたポンプ(170)と;第1〜第5のソレノイド弁(120、130、140、150、および160)、センサーチャンバー(163)、およびポンプ(170)を制御するための、第1〜第5のソレノイド弁(120、130、140、150、および160)、センサーチャンバー(163)、およびポンプ(170)に接続された、制御ユニット(180)と;結果を表示するための、制御ユニット(180)における信号および計算処理を用いてガスの濃度を測定する、表示装置(190)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内のガスおよび呼気の成分を分析する装置および方法に関する。当該装置は、口腔内のガスおよび呼気に含まれる揮発性硫黄化合物、例えば硫化水素およびメチルメルカプタンなど、揮発性有機化合物、例えばエタノールおよびアセトンなど、ならびにその他のガス、例えば一酸化炭素などの成分を分析するため、またそれらのガスの濃度を別々に測定するために使用される。
【背景技術】
【0002】
一般的に、口腔内のガスとは、ヒトの口腔から生成されるガスを意味する。口臭症(halitosis)の一種である口臭(oral malodor)は、主に、舌苔または歯周疾患に起因するタンパク質の個々のアミノ酸への嫌気性分解によって口腔から生成される揮発性硫黄化合物、例えば硫化水素およびメチルメルカプタンなどからなる。
【0003】
一方、ヒトの呼吸時に生成される呼気は、口腔および鼻腔を通して外部に排出され、ヒトの代謝および呼吸に関連するガス成分を含有する。具体的には、内臓疾患を有する患者は、疾患および炎症の種類により、アセトンおよびアルコールなどの揮発性有機化合物、アンモニア、その他を含有する悪臭を吐き出す。関連技術分野において、口腔から生成される、または呼吸時に口腔もしくは鼻腔を通して排出されるガスの成分が、疾患の性質に関連することは周知である。例えば、舌の下方に舌苔があるときの生理学的現象は硫化水素を生成し、歯周疾患を発症したときの病理学的現象はメチルメルカプタンを生成し、アセトンは糖尿病に関連し、アンモニアは腎疾患に関連する。さらに、ヒトの呼気の一酸化炭素濃度を測定することは、喫煙状況を客観的に評価する方法とみなされている。したがって、口腔内のガスまたは呼気の既定の成分を分析して、それらの濃度を測定すれば、ヒトの口腔疾患および内臓疾患を概略的に診断することが可能である。この診断方法は、口臭を有する患者の内臓疾患、および医師とコミュニケーションをとることが困難な乳児または集中治療室の患者の疾患を診断する際に有用となりうる。またこの方法は、家畜の疾患の状態を診断するのにも使用することができる。
【0004】
ヒトの口腔内のガスまたは呼気を分析するためには、非常に正確かつ高感度の測定装置を使用する必要がある。現在、ガス成分を互いに分離するために、ガスクロマトグラフィーが用いられている。分離したガス成分を定量的に分析するためには、各種の検出器、例えば熱伝導性検出器、炎イオン化検出器、電子捕獲検出器、炎光電子検出器、および熱イオン化検出器、または質量分析検出器を使用する必要がある。
【0005】
上述の分析装置は高価であり、それらの装置に関する特別な知識および技能を有する専門家が操作するため、操作費用が高くなる。この理由から、それらの装置は、ごく少数の研究組織によってのみ使用されている。
【0006】
上述のガスクロマトグラフィーの問題を回避する目的で、携帯式で独立型の口臭測定装置が、口腔内のガスを測定するために、臨床医または病院に提供されている。例えば、Halimeter(Interscan Corporation、米国)などのガス分析装置は、広く使用されている。
【0007】
既知の口臭測定装置に関して、口臭を感知する電気化学ガスセンサーが、米国特許第4,017,373号に開示されている。この発明では、感知された口臭ガスの揮発性硫黄化合物の総量のみが表示される。このため、硫化水素(H2S)およびメチルメルカプタン(CH3SH)を互いに区別することができないという課題が存在する。つまり、患者の口臭が生理学的要因によるものか、あるいは病理学的要因によるものかを判断することができず、結果として患者を正確に診断することができない。さらに、測定される口臭ガスの量は500ml以上である。このため、口臭の濃度は測定装置周辺の空気によって減少する可能性がある。結果として、口臭の成分を正確に分析することができず、また空気中のガス成分によって装置の誤作動が生じうる。
【0008】
さらに、図1は、口臭ガスをモニターするための別の装置を図解している。この装置では、口臭を分析するために患者がマウスピース1を噛むと、口臭ガスはポンプ4によってマウスピース1内のマウスフィルタ2を通って移送され、その後センサー5を用いて口臭ガスの成分が分析される。電磁弁3が開放し、ポンプ4が作動して、炭素フィルタによって濾過された空気を用いてセンサー5を更新する。この装置では、口臭ガスの有効な揮発性硫黄化合物の一部が、口臭ガスのサンプリング時にマウスピース1内のマウスフィルタ2上に吸着される。したがって、口臭ガスを正確に分析することは困難である。さらに、口臭ガスのサンプリング量は、80mlが用いられる。このため、揮発性硫黄化合物を正確に分析することは困難である。さらに、この装置では、硫化水素またはメチルメルカプタンなどの揮発性硫黄化合物の総量のみが表示される。このため、生理的口臭を有する患者と病理的口臭を有する患者とを互いに区別することができない。
【0009】
上述の課題、すなわち口腔内のガスの生理的口臭と病理的口臭とを区別することの困難を回避するために、韓国特許出願第2004−91837号は、口臭ガスの成分を分析するための装置を開示している。図2に示す装置は、その一端が制御弁12aに接続され、その別の端部がマウスピース管に接続され、その第3の端部がサンプリングされた口臭ガスを保持するためのサンプリングループ11の一端に接続された第1の三方弁12と、その一端が第1の三方弁12の第3の端部に接続されたサンプリングループ11の他端に接続され、口臭ガスを吸収した後その吸収した口臭ガスをサンプリングループ11内に保持するために、その別の端部が逆止弁13を介してシリンジ14に接続され、第3の端部がソレノイド弁15に接続された第2の三方弁16と、その一端がソレノイド弁15に接続され、その別の端部が濾過された空気が貫流する気流管17に接続され、第3の端部が半導体センサー18に接続された管19に接続された第3の三方弁20と、空気を濾過するための、気流管17の一端に接続されたエアフィルタ22と、空気と希釈された口臭ガスとを半導体センサー18に通すための、半導体センサー18の他端に接続された吸引ポンプ21と、ソレノイド弁15から提供される口臭ガスと空気との比率が1:1〜1:2の範囲になるように空気の量を制御するための、エアフィルタ22の一端に接続された速度制御器23とを備える。
【0010】
口臭ガスと濾過された空気の混合比が非常に低い場合、相対湿度は実質的には低下しない。しかしながら、口臭ガスと濾過された空気の混合比が非常に高い場合、口臭ガスは過度に希釈されて、実質的に低下した濃度を有する。このため、この比率が1:1〜1:2の範囲になるように、速度制御器23を用いてこの比率を制御することが好ましい。
【0011】
さらに、既知の発明において、エアフィルタ22は、ガス分析後にガスセンサーを回復させるために使用する。しかしながら、上述の特許の発明においては、エアフィルタ22は、サンプリングした口臭ガスの相対湿度を低下させるために使用される。具体的には、既知の発明においては、患者が口を開いている間に口臭ガスが分析される。したがって、空気中のさまざまなガスが口臭ガスと混合しうる。しかしながら、上述の特許の発明においては、シリカゲルおよび活性炭で形成されたフィルタを用いて空気中の未知のガス成分を濾過し、濾過された空気と口臭ガスとを混合する。これにより口臭ガスを正確に分析することが可能となる。
【0012】
口臭ガスを分析する場合、口腔内の相対湿度は、体温36.5℃でほぼ100%である。したがって、20〜28℃の範囲の室温で、口臭を分析するために口臭ガスが装置に吸入されると、センサーの表面で水が凝縮し、センサー信号を誤って出力する。このことを回避するために、本発明において、シリカゲルを含むエアフィルタ22を用いて、空気が装置に吸入される前に空気を濾過し、濾過された空気を口臭ガスと混合してセンサーの相対湿度を低下させ、それによりセンサーの表面で水が凝縮するのを防止する。
【0013】
半導体センサー18は、硫化水素に対して既定の選択性を有するガスセンサーを含む口臭ガス測定ユニット18aと、メチルメルカプタンに対して既定の選択性を有するセンサーを含む口臭ガス測定ユニット18bとを備える。
【0014】
しかしながら、上述の既知の形態では、口臭ガスの成分を分析するための装置は、口腔内の2種類の口臭ガスである、患者の生理的口臭ガスおよび病理的口臭ガスのみは分析できるが、口腔内のガスおよび呼気の成分のその他の揮発性有機化合物を分析することはできない。
【0015】
さらに、2種類のガスを分析するために使用する2種類のセンサーが、それらのガスに対して選択的反応性を有することが要求される。したがって、センサーの選択は限定される。センサーの間違った選択は、測定値に関する誤差の可能性が上昇し、それにより正確な分析が妨げられる。
【0016】
上記の課題を克服する目的で、図3に示すとおり、本出願人は韓国特許出願第10−2007−83383号を申請した。これは、外部のガスをキャリアガスとして使用するために、外気中の極性分子および非極性分子を吸着し、外気中の水を除去することによって外部のガスを濾過するための、吸着および脱湿性物質、例えばシリカゲル、塩化カルシウム、および活性炭などを充填したフィルタ110と;フィルタ110を通過してその中に入るキャリアガスを提供するようにその一端がフィルタ110に接続され、接続ポート121を通ってそこへ流れる口腔内のガスまたは呼気の流れを制御する、第1のソレノイド弁120と;接続管122を介してその第1のポートが第1のソレノイド弁120に接続され、キャリアガスをバイパスさせるようにバイパス管131を介してその第2のポートが第3のソレノイド弁140に接続され、第3のソレノイド弁140によって収集された口腔内のガスまたは呼気を充填したサンプリングループにその第3のポートが接続された、第2のソレノイド弁130と;接続管122を介して第3のソレノイド弁140に接続された、第4のソレノイド弁150と;速度制御器を備える上方バイパス管161を介して第4のソレノイド弁150のポートに接続された、第5のソレノイド弁160と;口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとが順番に貫流するのを可能にする、第4のソレノイド弁150の別のポートに接続されたカラム162と;その一端がカラムに接続され、センサーを有する、センサーチャンバー163と;その一端がセンサーチャンバーの他端に接続され、その他端が第5のソレノイド弁160に接続され、別の速度制御器を備える、下方バイパス管164と;口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとを吸い上げ、その後その口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとを外部に排出するための、第5のソレノイド弁160に接続されたポンプ170と;第1〜第5のソレノイド弁120、130、140、150、および160、センサーチャンバー163、およびポンプ170を制御するための、第1〜第5のソレノイド弁160、センサーチャンバー163、およびポンプ170に接続された、制御ユニット180と;結果を表示するための、制御ユニット180における信号および計算処理を用いてガスの濃度を測定する、表示装置190とを備える、口腔ガスおよび呼気のガス分析装置に関する。
【0017】
上記の構成において、キャリアガスをバイパスさせるバイパス管131は、以下のように機能する。第1に、バイパス管131は、サンプリングループ132の内部に、キャリアガス中におそらく含まれる残留物および不純物が混入するのを防止する。第2に、収集したガスによる残留物がサンプリングループ132中に残留している場合には、バイパス管131は、その残留物がカラム162を汚染するのを防止する。
【0018】
しかしながら、キャリアガスおよび収集したガスによるサンプリングループ132の異物混入の危険性がない限りは、バイパス管131を省いてもよい。これに従って、第2のソレノイド弁130および第3のソレノイド弁140は除外することができる。
【0019】
上記の構成は、韓国特許出願第10−2007−83383号の優先権に基づいて申請された、韓国特許出願第10−2008−0080918号において開示されており、本発明の図11〜図13において図解される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、関連技術において発生する上記の課題を踏まえてなされ、本発明の目的は、口腔内のガスおよび呼気の成分を分析する装置および方法を提供して、それにより硫化水素およびメチルメルカプタンなどの揮発性硫黄化合物、揮発性有機化合物、および一酸化炭素などのその他のガス成分を別々に測定して口腔内のガスおよび呼気を分析し、それによって口内健康および内臓疾患を診断できるようすることである。
【0021】
本発明の実施形態による分析装置は、バイパス管と5つのソレノイド弁を必要とする。一方、本発明の別の実施形態によると、3つのソレノイド弁のみで所望の効果を得ることができ、バイパス管も省くこともできる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
第1の実施形態で上記の目的を達成するために、本発明による口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置は、外部のキャリアガスを濾過するための、シリカゲルおよび活性炭を含む、極性分子および非極性分子を吸着する物質を充填したフィルタと;フィルタを通過してその中に入るキャリアガスを提供するようにその一端がフィルタに接続され、接続ポートを通ってそこへ流れる口腔内のガスまたは呼気の流れを制御する、第1のソレノイド弁と;接続管を介してその第1のポートが第1のソレノイド弁に接続され、キャリアガスをバイパスさせるようにバイパス管を介してその第2のポートが第3のソレノイド弁に接続され、第3のソレノイド弁によって収集された口腔内のガスまたは呼気を充填したサンプリングループ132にその第3のポートが接続された、第2のソレノイド弁と;接続管を介して第3のソレノイド弁に接続された、第4のソレノイド弁と;速度制御器を備える上方バイパス管を介して第4のソレノイド弁のポートに接続された、第5のソレノイド弁と;口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとが順番に貫流するのを可能にする、第4のソレノイド弁の別のポートに接続されたカラムと;その一端がカラムに接続され、センサーを有する、センサーチャンバーと;その一端がセンサーチャンバーの他端に接続され、その他端が第5のソレノイド弁に接続され、別の速度制御器を備える、下方バイパス管と;口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとを吸い上げ、その後その口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとを外部に排出するための、第5のソレノイド弁に接続されたポンプと;第1〜第5のソレノイド弁、センサーチャンバー、およびポンプを制御するための、第1〜第5のソレノイド弁、センサーチャンバー、およびポンプに接続された、制御ユニットと;結果を表示するための、制御ユニットにおける信号および計算処理を用いてガスの濃度を測定する、表示装置とを含む。
【0023】
第2の実施形態で上記の目的を達成するために、口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置は、外部のキャリアガスを濾過するための、シリカゲルおよび活性炭などの物質を充填したフィルタと;フィルタを通過してその中に入るキャリアガスを提供するようにその一端がフィルタに接続され、接続ポートを通ってそこへ流れる口腔内のガスまたは呼気の流れを制御する、第1のソレノイド弁と;第1のソレノイド弁と接続され、収集した口腔内のガスまたはキャリアガスが充填されるサンプリングループと;サンプリングループの反対側に接続された第2のソレノイド弁と;速度制御器を備える上方バイパス管を介して第2のソレノイド弁の別のポートに接続された第3のソレノイド弁と;口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとが順番に貫流するのを可能にする、第2のソレノイドの別のポートに接続されたカラムと;その一端がカラムに接続されたセンサーを有するセンサーチャンバーと;その一端がセンサーチャンバーの他端に接続され、その他端が第3のソレノイド弁に接続され、別の速度制御器を備える、下方バイパス管と;口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとを吸い上げ、その後その口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとを外部に排出するための、第3のソレノイド弁に接続されたポンプと;第1〜第3のソレノイド弁、センサーチャンバー、およびポンプを制御するための、第1〜第3のソレノイド弁、センサーチャンバー、およびポンプに接続された、制御ユニットと;結果を表示するための、制御ユニットにおいて処理された信号および演算を用いてガスの濃度を測定する、表示装置とを備える。
【0024】
本発明による口腔内のガスおよび呼気の成分を分析する方法は、ヒトまたは家畜の口腔もしくは鼻腔から、口腔内のガスまたは呼気をサンプリングするステップと;サンプリングしたガスをサンプリングループ内に保持するステップと;フィルタから新鮮なキャリアガスを生成するステップと;生成したキャリアガスをポンプを用いて吸入するステップと;ポンプを用いて、吸収したキャリアガスをサンプリングループ内に収集したガスとともに、ガスクロマトグラフィーカラム用の充填材料を充填したカラムに提供して、保持時間の差を利用してガス成分を互いに分離させ、ガスセンサーを用いて分離したガス成分の濃度を測定するステップとを含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明による口腔内のガスおよび呼気の成分を分析する装置および方法において、ガスはヒトまたは家畜の口腔からサンプリングすることができ、呼気はそれらの鼻からサンプリングすることができ、それを小型モーターポンプを用いてキャリアガスが移動するように設計され、ガスクロマトグラフィー用の充填材料が充填されたカラムに、キャリアガスとして使用され、高圧不活性ガスの代わりにフィルタを通過する新鮮な乾燥した空気とともに提供することができる。カラム内のガス成分の保持時間の差を利用してガス成分を互いに分離し、ガスセンサーを用いて分離したガス成分の濃度を測定して、口腔内の口臭ガスおよび呼気の揮発性有機化合物、一酸化炭素、およびその他のガス成分を分析し、それによって口腔疾患および内臓疾患を診断し、また疾患の診断するために観察を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】口臭ガスをモニターするための既知の装置を概略的に図解する体系図である。
【図2】口臭ガスの成分を分析するための別の既知の装置を図解する体系図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による、口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置を図解する図である。
【図4】本発明によって口腔内のガスがサンプリングされたときのソレノイド弁の動作を図解する図である。
【図5】本発明によって口腔内のガスおよび呼気がサンプリングされた後の測定ステップにおけるソレノイド弁の動作を図解する図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の修正形態による、口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置を図解する図である。
【図7】本発明による種々のガス成分のセンサー出力信号を図解するグラフである。
【図8】本発明によって分析される、病理的口臭を有する患者の口腔内のガスおよび呼気の成分を図解するグラフである。
【図9】本発明によって分析される、生理的口臭を有する患者の口腔内のガスおよび呼気の成分を図解するグラフである。
【図10】本発明によって測定される、喫煙者の口腔内のガスおよび呼気の一酸化炭素濃度を図解するグラフである。
【図11】本発明の第2の実施形態による、口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置を図解する図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の修正形態による、口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置を図解する図である。
【図13】本発明の第2の実施形態によるセンサーの出力と本発明の第1の実施形態によるセンサーの出力とを比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0028】
図3は、本発明の第1の実施形態による、口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置を図解する図であり、図4は、本発明によって口腔内のガスがサンプリングされたときのソレノイド弁の動作を図解する図であり、図5は、本発明によって口腔内のガスおよび呼気がサンプリングされた後の測定ステップにおけるソレノイド弁の動作を図解する図であり、図6は、本発明の第1の実施形態の修正形態による、口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置を図解する図であり、図7は、本発明による種々のガス成分のセンサー出力信号を図解するグラフである。
【0029】
図3〜7に示すように、本発明による口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置は、外部のガスをキャリアガスとして使用するために、外気中の極性分子および非極性分子を吸着し、外気中の水を除去することによって外部のガスを濾過するための、吸着および脱湿性物質、例えばシリカゲル、塩化カルシウム、および活性炭などを充填したフィルタ110と;フィルタを通過してその中に入るキャリアガスを提供するようにその一端がフィルタ110に接続され、接続ポート121を通ってそこへ流れる口腔内のガスまたは呼気の流れを制御する、第1のソレノイド弁120と;接続管122を介してその第1のポートが第1のソレノイド弁120に接続され、キャリアガスをバイパスさせるようにバイパス管131を介してその第2のポートが第3のソレノイド弁140に接続され、第3のソレノイド弁140によって収集された口腔内のガスまたは呼気を充填したサンプリングループ132にその第3のポートが接続された、第2のソレノイド弁130と;接続管122を介して第3のソレノイド弁140に接続された、第4のソレノイド弁150と;接続管122を介して第3のソレノイド弁140に接続された、第4のソレノイド弁150と;速度制御器を備える上方バイパス管161を介して第4のソレノイド弁150のポートに接続された、第5のソレノイド弁160と;口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとが順番に貫流するのを可能にする、第4のソレノイド弁150の別のポートに接続されたカラム162と;その一端がカラム162に接続され、センサーを有する、センサーチャンバー163と;その一端がセンサーチャンバー163の他端に接続され、その他端が第5のソレノイド弁160に接続され、別の速度制御器を備える、下方バイパス管164と;口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとを吸い上げ、その後その口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとを外部に排出するための、第5のソレノイド弁160に接続されたポンプ170と;第1〜第5のソレノイド弁120、130、140、150、および160、センサーチャンバー163、およびポンプ170を制御するための、第1〜第5のソレノイド弁120、130、140、150、および160、センサーチャンバー163、およびポンプ170に接続された、制御ユニット180と;結果を表示するための、制御ユニット180における信号および計算処理を用いてガスの濃度を測定する、表示装置190とを含む。
【0030】
制御ユニット180は、第1〜第5のソレノイド弁120、130、140、150、および160とポンプ170との動作を制御するための、第1〜第5のソレノイド弁120、130、140、150、および160とポンプ170とに接続されたハードウェア制御ユニット181と、センサー信号を検出するために必要な電力を供給するための、センサーチャンバー160のセンサーに接続されたセンサー制御ユニット182と、センサー信号を得た後にガスの種類および濃度を判定するための、センサーチャンバー160のセンサーに接続された信号計算ユニット183とを含む。
【0031】
さらに、本発明による口腔内のガスおよび呼気の成分を分析する方法において、口腔内のガスまたは呼気をヒトまたは家畜の口腔または鼻腔からサンプリングし、サンプリングループ132内に保持する。新鮮なキャリアガスをフィルタ110から生成し、ポンプ170を用いて吸収し、ポンプ170を用いて、サンプリングループ132内に収集したガスとともにガスクロマトグラフィーカラム用の充填材料を充填したカラム162に吸入する。その結果、ガス成分は、保持時間の差によって互いに分離し、分離したガス成分の濃度をガスセンサーによって測定する。
【0032】
第1の実施形態の修正形態による口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置は、図6に示すように、カラム162の温度を維持するためのヒーター162aと、ヒーター162aを制御するための、制御ユニット180内に備えられた、ヒーター162aに接続されたヒーター制御ユニット184とをさらに含む。ヒーター制御ユニットは、ヒーターの温度を一定に維持し、カラムの加熱速度を既定の速度に調節し、それにより比較的長い保持時間を有する成分の保持時間を短縮させる。
【0033】
フィルタ110には、装置の外部からの空気を濾過する目的で、吸着および脱湿性物質、例えばシリカゲル、塩化カルシウム、および活性炭などを充填し、それによって極性分子および非極性分子を吸着し、空気から水を除去することができる。
【0034】
キャリアガスは、フィルタ110を通過する新鮮な乾燥した空気であり、サンプリングしたガスとともにカラム162に運ばれ、カラム162上を移送される有効な成分ガスが送達されたときに、保持時間に従って、センサーに成分を運ぶ機能を果たす。
【0035】
このフィルタ110およびキャリアガスは、既知のガスクロマトグラフィーで使用されるキャリアガスとは異なるが、その違いは以下の通りである。まず第1に、既知のガスクロマトグラフィーでは、不活性ガス、例えばヘリウム、窒素、およびアルゴンなどが、高圧シリンダーから高い圧力で排出されて、キャリアガスとして使用される。このため、高圧および高純度のガスシリンダーを操作するために専門家と特別な部屋を確保する必要がある。しかしながら、本発明では、キャリアガスは、フィルタ110を用いて空気から生成する。このため、キャリアガスの生成は、既知のガスクロマトグラフィーと比較すると低費用で容易に確保できる。第2に、既知のガスクロマトグラフィーでは、キャリアガスは、カラム162に向かって高圧ガスの流れ方向に流れる。しかしながら、本発明では、ポンプ170がフィルタ110からキャリアガスを吸入する。ガスクロマトグラフィーの場合にように、ポンプ170を用いて加圧されたガスがフィルタを通過する場合、フィルタ110内のガスの圧力が既定の圧力に達するまで装置の作動時間が遅延され、また圧力を維持するためにポンプ110を継続して作動させる必要がある。しかしながら、本発明では、ポンプ170はキャリアガスの流れの最後部に配置され、その結果、上述の課題を回避することができる。すなわち、充填材料を充填したカラム162は、キャリアガスがカラムを貫流できるようにするために高い圧力を必要とする。結果として、ポンプ110がキャリアガスをカラム162に向かって排出したときに、キャリアガスは、ポンプ110とカラム162との間に非常に高い陽圧で存在する。一方、本発明にように、ポンプ110がカラム162の後方でキャリアガスを吸入する場合、カラム162とポンプ110との間の管のみに高い陰圧が付与され、フィルタ170、ソレノイド弁120、130、140、150、および160、サンプリングループ132などの中では、適当なレベルで低い陰圧のキャリアガスが存在する。したがって、フィルタ内部で時間を遅延せずに、キャリアガスを移送することができる。第3に、既知のガスクロマトグラフィでは、不活性ガス、例えばヘリウム、窒素、およびアルゴンなどを用いるが、本発明では、酸素を含有する濾過された空気をキャリアガスとして用いる。このため、既知のガスクロマトグラフィーは本発明とは異なる。濾過されたキャリアガスは、本発明のセンサーを作動させるために使用する必要がある酸素を供給する。
【0036】
サンプリングループ132は、ガスを吸着しにくいPTFE(Teflonなど)などの材料から作成され、直径よりも十分に長い全長を有する。サンプリングループは、新しいガスがさらにサンプリングされたときに、サンプリングループ内に存在する古いガスが新しくサンプリングされたガスに押され、新しくサンプリングされたガスが、ガス成分の濃度を測定するために、カラム162とセンサーチャンバー163との間のセンサーに吸入されるように設計されている。サンプリングループ132において、精密な測定を行なうために、正確な量でガスがサンプリングされる。ポンプ170の吸収速度を考慮して計算された既定の時間にわたるサンプリングでは、ガスは、既定の容積でサンプリングループ132に輸送されるが、ガスの容積は、既定の時間に閉鎖されるソレノイド弁によって、ガスが所望の量でサンプリングループ内に留められるように制御される。ガスの成分を正確に分析するためには、測定装置にガスを所望の容積で正確に提供する必要がある。シリンジを用いる既知の技術では、シリンジプランジャーの位置を正確に制御することは困難である。したがって、正確な容積でガスを提供することは困難である。しかしながら、本発明では、サンプリング時間が既定値以上の場合、所望の量のガスがサンプリングループ132に注入され、過剰量のガスは、ソレノイド弁およびポンプを用いて、バイパスを通して排出される。その結果、好都合には、ガスを一定の容積でサンプリングすることができる。
【0037】
一方、本発明で使用するサンプリングループ型は、既知のガスクロマトグラフィーのラバーセプタムプロセスと異なる。ラバーセプタムプロセスでは、ガスは0.5〜1.0mlの比較的少ない容積で注入され、またこのラバーセプタムプロセスを用いて、特殊な分析のためのガスクロマトグラフィーを実施することが多い。しかしながら、口腔は数十mlの容積を有する。したがって、口腔内のガスを分析するときには、サンプリングされるガスの容積が、0.5〜1mlではなく5〜20mlの範囲であることが好ましい。さらに、本発明のように口腔内のガスを検出する場合、1ppm以下の非常に少ない量で存在するガス成分が分析され、分析されるガス成分の容積が大きいことは、信頼性のある正確な測定に寄与する。
【0038】
一般的に、センサーの初期値であるベースラインは、測定時の環境および測定条件によって異なる。これに関連して、本発明のようにサンプリングループを使用する場合、ガス成分は、ラバーセプタムの場合のガス成分の量の10倍の量で確保される。その結果、信号対雑音比は高く、高い出力信号を得ることができる。
【0039】
カラム162は、充填材料が充填され、揮発性硫黄化合物または揮発性有機化合物およびその他の対象ガス成分を分離するために有用な複数の分離段階を有する。充填材料は、充填材料とキャリアガスとの親和性の差によって生じる保持時間を用いて、サンプリングされたガスの対象成分を分離する。具体的には、既知のガスクロマトグラフィーでは、ガス成分は、カラム内の高圧キャリアガスによって運ばれる。しかしながら、本発明では、ガス成分は、小型真空ポンプを用いてカラムに吸入されたキャリアガスを用いて運ばれる。カラムの内径および全長、ならびにカラム内の充填材料の粒子サイズおよび充填密度は、既知のガスクロマトグラフィーのカラムのものとは異なる。
【0040】
センサーチャンバー163のセンサーは、既知のガスクロマトグラフィーで必要とされる検出器の代わりに使用される、センサーヒーターおよびガス検出膜から形成される半導体タイプの高感度ガスセンサーである。センサーは、保持時間に対して、望ましい感度と優れた速い反応および回復速度とを有する。ポリマーセンサーは、耐久性に劣り、寿命が短く、電気化学センサーは、半導体タイプのセンサーと比べると比較的低い感度を有する。
【0041】
以下に、本発明による、口腔内のガスおよび呼気の成分の分析、ならびに口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置の作用と効果について説明する。図3および4に示すように、濃度を測定する口腔内のガスおよび呼気をサンプリングするステップでのガス成分の流れを実線で表わしている。サンプリングステップにおいて、第1のソレノイド弁120は、ハードウェア制御ユニット181において制御されて、フィルタ110に空気が提供されないように上方ポートを遮断する。口腔内のガスまたは呼気は、第1のソレノイド弁120の左ポートおよび右ポートを通って第2のソレノイド弁130に提供され、サンプリングされたガスは、第2のソレノイド弁130と第3のソレノイド弁140の双方の端部にある下方ポートに接続されたサンプリングループ132に提供される。これに関連して、第2および第3のソレノイド弁130および140の上方ポートは、バイパス管131へのガスの流れを遮断するために閉鎖されている。上記のように、ポンプ170の使用によって、ガスはサンプリングループ132へ流れ、または空気はフィルタ110を通って流れる。
【0042】
図3および5は、点線によってガスの濃度測定を示している。すなわち、上述の状態では、第1のソレノイド弁120の前方ポート121は閉鎖しており、キャリアガスは、フィルタ110に接続された上方ポートに、次に第2のソレノイド弁130に提供される。キャリアガスを用いて、第2および第3のソレノイド弁130および140の双方の端部にある下方ポートに接続されたサンプリングループ132内のサンプリングされたガス、すなわち口腔内のガスおよび呼気を、第4のソレノイド弁150の下方ポートに接続されたカラム162上へと追跡する。有効ガス成分は、カラム162上に吸入され、遅延時間に従って、キャリアガスによってセンサーチャンバー163のセンサーへと運ばれる。
【0043】
センサーに接続された信号計算ユニット183は、センサー信号を収集して、ガスの状態を評価し、ガスの種類と濃度を判定し、そのガスの種類と濃度を表示装置190に表示する。
【0044】
次のステップの測定のための回復ステップでのガスの流れは、破点線で表わす。
【0045】
図7のグラフは、ガス成分に対するセンサーの出力信号結果を示すグラフである。このグラフにおいて、ガス成分、例えば硫化水素、メチルメルカプタン、アセトン、およびエタノールなどは、異なる保持時間を有する。すなわち、ガス成分を定性的に分析することができる。さらに、信号はセンサーを用いて適切に検出され、結果としてガス成分を定量的に分析するために有意義な信号出力規模となる。一方、既知のガスクロマトグラフィーでは、口腔内のガスを分析するために、硫黄フィルタを備える高感度の炎光光度検出器(FPD)がしばしば使用される。この場合、硫黄化合物、例えば硫化水素およびメチルメルカプタンなどだけが分析される。しかしながら、本発明では、口腔内のガスおよび呼気中の非常に少量の硫黄化合物と揮発性有機化合物とを分析することができる。
【0046】
一方、ヒトの呼気の一酸化炭素の濃度が、典型的には、体内ヘモグロビンの一酸化炭素濃度によって測定されることは周知である。これは、喫煙者の喫煙状況および喫煙量を客観的に評価するために利用することができる。本発明によると、体内の一酸化炭素濃度を測定することが可能である。関連技術分野において、分析用のガスクロマトグラフィーまたは電気化学センサーを用いた単純な測定方法が使用されている。前者の場合には、ガスクロマトグラフィーを用いた口臭の分析と同様に、専門家、高価な機器、および高い維持費が必要とされる。このため、前者は、典型的な病院および医院においては使用が難しい。後者の場合には、簡便化が確保されるという利点があるが、電気化学センサーが使用される。このため、定量的測定には限界があり、別の種類のガスに関する干渉により、誤信号が出力されることがある。しかしながら、本発明では、口臭および呼気の分析において、一酸化炭素の濃度は、硫黄化合物および種々の揮発性有機化合物とともに正確に測定することができる。
【0047】
例えば、図8は、本発明による、口臭を有する患者に関する分析の結果を示している。口臭の分析において、硫化水素、メチルメルカプタン、および少量の一酸化炭素が検出されている。呼気の分析において、有意なピーク信号は検出されなかった。したがって、この患者は、口腔内に硫黄化合物を有する、口臭のある典型的な患者であることがわかる。メチルメルカプタンの測定結果から、この患者が病理的口臭を有することがわかる。一酸化炭素の低い濃度から、この患者が非喫煙者であることがわかる。
【0048】
図9において、口臭ガス中に一酸化炭素および硫化水素が検出され、呼気中に一酸化炭素のみが検出されている。したがって、図9から、この患者が重度喫煙者であり、口臭ガス中に硫化水素のみが検出されていることから生理的口臭を有することがわかる。
【0049】
図10において、口臭ガス中に一酸化炭素のみが検出され、呼気中に一酸化炭素のみが検出されている。しかしながら、ピークの高さは比較的高い。したがって、図10から、この患者が口臭を有さず、重度喫煙者であることがわかる。
【0050】
説明の都合上、成分の定量的濃度は上記において省略している。しかしながら、ピークの高さを測定すると、成分の濃度を正確かつ定量的に分析することができる。結果は図7に示している。
【0051】
図11は、本発明の第2の実施形態による、口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置を図解する図であり、図12は、本発明の第2の実施形態の修正形態による、口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置を図解する図であり、図13は、本発明の第2の実施形態によるセンサーの出力と本発明の第1の実施形態によるセンサーの出力とを比較して示すグラフである。
【0052】
図11および図12に示すように、口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置は、外部のガスをキャリアガスとして使用するために、外気中の極性分子および非極性分子を吸着し、外気中の水を除去することによって外部のガスを濾過するための、吸着および脱湿性物質、例えばシリカゲル、塩化カルシウム、および活性炭などを充填したフィルタ110と;フィルタを通過してその中に入るキャリアガスを提供するようにその一端がフィルタ110と接続され、接続ポート121を通ってそこへ流れる口腔内のガスまたは呼気の流れを制御する、第1のソレノイド弁120と;第1のソレノイド弁120と関連して収集された口腔内のガスまたは呼気で充填されたサンプリングループ132と;サンプリングループに接続された第2のソレノイド弁150と;速度制御器を備える上方バイパス管161を介して第2のソレノイド弁150の別のポートに接続された、第3のソレノイド弁160と;口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとが順番に貫流するのを可能にする、第2のソレノイド弁150の別のポートに接続されたカラム162と;その一端がカラム162に接続され、センサーを有する、センサーチャンバー163と;その一端がセンサーチャンバー163の他端に接続され、その他端が第3のソレノイド弁160に接続され、別の速度制御器を備える、下方バイパス管164と;口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとを吸い上げ、その後その口腔内のガスまたは呼気とキャリアガスとを外部に排出するための、第3のソレノイド弁160に接続されたポンプ170と;第1〜第3のソレノイド弁120、150、および160、センサーチャンバー163、およびポンプ170を制御するための、第1〜第3のソレノイド弁120、150、および160、センサーチャンバー163、およびポンプ170に接続された、制御ユニット180と;結果を表示するための、制御ユニット180において処理された信号および演算を用いてガスの濃度を測定する、表示装置190とを備える。
【0053】
制御ユニット180は、第1〜第3のソレノイド弁120、150、および160とポンプ170との動作を制御するための、第1〜第3のソレノイド弁120、150、および160とポンプ170とに接続されたハードウェア制御器181と、センサー信号を検出するのに必要な電力を供給するための、センサーチャンバー160のセンサーに接続されたセンサー制御ユニット182と、センサー信号を得た後にガスの種類および濃度を判定するための、センサーチャンバー160のセンサーに接続された信号計算ユニット183とを備える。
【0054】
さらに、本発明による口腔内のガスおよび呼気の成分を分析する方法では、口腔内のガスまたは呼気をヒトまたは家畜の口腔または鼻腔からサンプリングし、サンプリングループ132内に保持する。新鮮なキャリアガスをフィルタ110から生成し、ポンプ170を用いて吸収し、ポンプ170を用いて、サンプリングループ132内に収集したガスとともに、ガスクロマトグラフィーカラム用の充填材料を充填したカラム162に吸入する。その結果、ガス成分は、保持時間の差によって互いに分離し、分離したガス成分の濃度をガスセンサーによって測定する。
【0055】
本発明の第2の実施形態によると、第1の実施形態において採用されているバイパス管131は除外される。さらに、第1の実施形態における第2および第3のソレノイド弁も省かれる。
【0056】
本発明の第2の実施形態および第1の実施形態は、それぞれ異なる事例に適用され、それによって異なる効果が得られる。より具体的には、第1の実施形態は、フィルタを通って外部から流れるキャリアガスが、適当に精製されていないガス成分を含有し、サンプリングループに異物混入を生じる場合により適当であるが、これは第1の実施形態が、キャリアガスをバイパス管に移送することによって、キャリアガスによるサンプリングループの異物混入を最小限にすることができるためである。
【0057】
一方、第2の実施形態は、キャリアガスによって、サンプリングループ中に残留しているかもしれない残留物を除去する点で有利である。より具体的には、残留物は、収集したガスの種類および成分によって、サンプリングループの内面に凝縮または付着しうる。この場合、キャリアガスは、バイパス管を通過せずに、継続的にサンプリングループを通過するため、サンプリングループ内の揮発性残留物は、完全に除去される。本発明の第2の実施形態は、この目的で、フィルタによってキャリアガスを完全に精製できるようにフィルタの機能を改善するために考案された。
【0058】
したがって、本発明の実施形態は、互いに対して優れても劣ってもおらず、単に相補的なものである。したがって、その事例によって正しく選択されたとき、第1および第2の実施形態は、異なる効果を引き出すことができる。一般的に、第1の実施形態は、収集したガスが少量の水を含有し、ガス成分がサンプリングループの内部に付着する可能性が低く、ほとんどのガス成分が揮発性である場合により適当である。
【0059】
しかしながら、収集したガスが多量の水を含有するか、あるいはガス成分が主に低い揮発性を有する場合には、全ての残留物を揮発させ、水を除去するために、低湿度を有する新鮮なキャリアガスが要求される。さらに、サンプリングループをより長い時間新鮮なキャリアガスに曝露する必要がある。したがって、この場合には、第2の実施形態が好適である。
【0060】
図13は、口臭の測定に2つの実施形態をそれぞれ適用した場合を比較して示している。図13のグラフによると、硫化水素(H2S)およびメチルメルカプタン(CH3SH)の信号が順番に出力されている。これらの信号出力によると、第2の実施形態は、グラフの2つのピークがより明確に分離しており、ピークの状態がより優れていることから、第1の実施形態よりも優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置であって、
外部のキャリアガスを濾過するための、シリカゲルおよび活性炭を含む、極性分子および非極性分子を吸着する物質を充填したフィルタと;
前記フィルタを通過してその中に入るキャリアガスを提供するようにその一端が前記フィルタに接続され、接続ポートを通ってそこへ流れる前記口腔内のガスまたは呼気の流れを制御する、第1のソレノイド弁と;
接続管を介してその第1のポートが前記第1のソレノイド弁に接続され、キャリアガスをバイパスさせるようにバイパス管を介してその第2のポートが第3のソレノイド弁に接続され、前記第3のソレノイド弁によって収集された前記口腔内のガスまたは呼気を充填したサンプリングループにその第3のポートが接続された、第2のソレノイド弁と;
接続管を介して前記第3のソレノイド弁に接続された、第4のソレノイド弁と;
速度制御器を備える上方バイパス管を介して前記第4のソレノイド弁のポートに接続された、第5のソレノイド弁と;
前記口腔内のガスまたは呼気と前記キャリアガスとが順番に貫流するのを可能にする、前記第4のソレノイド弁の別のポートに接続されたカラムと;
その一端が前記カラムに接続されたセンサーを有するセンサーチャンバーと;
その一端が前記センサーチャンバーの他端に接続され、その他端が前記第5のソレノイド弁に接続され、別の速度制御器を備える、下方バイパス管と;
前記口腔内のガスまたは呼気と前記キャリアガスとを吸い上げ、その後前記口腔内のガスまたは呼気と前記キャリアガスとを外部に排出するための、前記第5のソレノイド弁に接続されたポンプと;
前記第1〜第5のソレノイド弁、センサーチャンバー、およびポンプを制御するための、前記第1〜第5のソレノイド弁、センサーチャンバー、およびポンプに接続された、制御ユニットと;
結果を表示するための、前記制御ユニットにおける信号および計算処理を用いて前記ガスの濃度を測定する、表示装置と;
を備える装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、
前記第1〜第5のソレノイド弁およびポンプの動作を制御するための、前記第1〜第5のソレノイド弁およびポンプに接続されたハードウェア制御ユニットと;
センサー信号を検出するために必要な電力を供給するための、前記センサーチャンバーのセンサーに接続されたセンサー制御ユニットと;
前記センサー信号を得た後に前記ガスの種類および濃度を判定するための、前記センサーチャンバーのセンサーに接続された信号計算ユニットと;
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カラムの温度を維持および制御するためのヒーター、
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ヒーターの温度が既定の速度で上昇および低下するように前記ヒーターを制御するための、前記制御ユニット内の前記ヒーターに接続されたヒーター制御ユニット、
をさらに備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記口腔から収集されたガスの測定データと鼻から収集された前記呼気の測定データとが前記信号計算ユニットにおいて互いに比較され、測定データの差があらかじめ入力されているパターンと比較されて、口臭の原因が口腔疾患であるのか、あるいは内臓疾患であるのかが判定される、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置を用いて口腔内のガスおよび呼気の成分を分析する方法であって、
ヒトまたは家畜の口腔または鼻腔から、前記口腔内のガスまたは呼気をサンプリングするステップと;
前記サンプリングしたガスをサンプリングループ内に保持するステップと;
フィルタから新鮮なキャリアガスを生成するステップと;
ポンプを用いて、前記生成したキャリアガスを吸入するステップと;
前記ポンプを用いて、前記収集したキャリアガスを前記サンプリングループ内に収集したガスとともに、ガスクロマトグラフィーカラム用の充填材料を充填したカラムに提供して、保持時間の差を利用してガス成分を互いに分離させ、ガスセンサーを用いて前記分離したガス成分の濃度を測定するステップと;
を含む方法。
【請求項7】
前記口腔から収集された口臭ガスの測定データと鼻から収集された前記呼気の測定データとが互いに比較されて、口臭の原因が口腔疾患であるのか、あるいは内臓疾患であるのかが判定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記呼気および口腔内のガスに含有される一酸化炭素の濃度が、前記ガスセンサーを用いて測定される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
口腔内のガスおよび呼気の成分を分析するための装置であって、
外部のキャリアガスを濾過するための、シリカゲルおよび活性炭などの物質を充填したフィルタと;
前記フィルタを通過してその中に入る前記キャリアガスを提供するようにその一端が前記フィルタに接続され、接続ポートを通ってそこへ流れる前記口腔内のガスまたは呼気の流れを制御する、第1のソレノイド弁と;
前記第1のソレノイド弁と接続されたサンプリングループと;
前記サンプリングループに接続された第2のソレノイド弁と;
速度制御器を備える上方バイパス管を介して、前記第2のソレノイド弁の別のポートに接続された第3のソレノイド弁と;
前記口腔内のガスまたは呼気と前記キャリアガスとが順番に貫流するのを可能にする、前記第2のソレノイド弁の別のポートに接続されたカラムと;
その一端が前記カラムに接続され、センサーを有する、センサーチャンバーと;
その一端が前記センサーチャンバーの他端に接続され、その他端が前記第3のソレノイド弁に接続され、別の速度制御器を備える、下方バイパス管と;
前記口腔内のガスまたは呼気と前記キャリアガスとを吸い上げ、その後前記口腔内のガスまたは呼気と前記キャリアガスとを外部に排出するための、前記第3のソレノイド弁に接続されたポンプと;
前記第1〜第3のソレノイド弁、センサーチャンバー、およびポンプを制御するための、前記第1〜第3のソレノイド弁、センサーチャンバー、およびポンプに接続された制御ユニットと;
結果を表示するための、前記制御ユニットにおいて処理された信号および演算を用いて前記ガスの濃度を測定する、表示装置と;
を備える装置。
【請求項10】
前記制御ユニットは、
前記第1〜第3のソレノイド弁およびポンプの動作を制御するための、前記第1〜第3のソレノイド弁およびポンプに接続されたハードウェア制御ユニットと;
センサー信号を検出するために必要な電力を供給するための、前記センサーチャンバーのセンサーに接続されたセンサー制御ユニットと;
前記センサー信号を得た後に前記ガスの種類および濃度を判定するための、前記センサーチャンバーのセンサーに接続された信号計算ユニットと;
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記カラムの温度を維持および制御するためのヒーター、
をさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ヒーターの温度が既定の速度で上昇および低下するように前記ヒーターを制御するための、前記制御ユニット内の前記ヒーターに接続されたヒーター制御ユニット、
をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記口腔から収集されたガスの測定データと鼻から収集された前記呼気の測定データとが前記信号計算ユニットにおいて互いに比較され、測定データの差があらかじめ入力されているパターンと比較されて、口臭の原因が口腔疾患であるのか、あるいは内臓疾患であるのかが判定される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
請求項9に記載の装置を用いて口腔内のガスおよび呼気の成分を分析する方法であって、
ヒトまたは家畜の口腔または鼻腔から、前記口腔内のガスまたは呼気をサンプリングするステップと;
前記サンプリングしたガスをサンプリングループ内に保持するステップと;
フィルタから新鮮なキャリアガスを生成するステップと;
ポンプを用いて、前記生成したキャリアガスを吸収するステップと;
前記ポンプを用いて、前記吸収したキャリアガスを前記サンプリングループ内に収集したガスとともに、ガスクロマトグラフィーカラム用の充填材料を充填したカラムに提供して、保持時間の差を利用してガス成分を互いに分離させ、ガスセンサーを用いて前記分離したガス成分の濃度を測定するステップと;
を含む方法。
【請求項15】
前記口腔から収集された口臭ガスの測定データと鼻から収集された前記呼気の測定データとが互いに比較されて、口臭の原因が口腔疾患であるのか、あるいは内臓疾患であるのかが判定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記呼気および口腔内のガスに含有される一酸化炭素の濃度が、前記ガスセンサーを用いて測定される、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−537190(P2010−537190A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521780(P2010−521780)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【国際出願番号】PCT/KR2008/004833
【国際公開番号】WO2009/025488
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(510045151)トンヤン ムルサン カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】