説明

口腔内崩壊性剤形を生成する方法及び組成

本発明は、口腔内崩壊性剤形を生成するプロセス及びそのような剤形をパッケージングする手段に関する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の概要〕
本発明は、口腔内崩壊性剤形を生成するプロセス、及びそのような剤形をパッケージングする手段に関する。
【0002】
〔背景技術〕
経口投与を目的とした医薬品は、通常、錠剤、カプセル剤、丸剤、ロゼンジ剤、又は顆粒剤として固形で与えられる。錠剤は、丸飲みされる、口内で噛み砕かれる、又は口腔内で溶解される。口内で噛み砕かれる又は溶解するソフト錠剤は、丸飲み用の錠剤を提供することが非実用的である場合に、医薬品の投与にしばしば採用される。噛み砕き可能な錠剤の場合、錠剤が崩壊するにつれて噛み砕く行為が錠剤の粒を破砕するのを助け、消化器官による吸収の速度を増す可能性がある。ソフト錠剤は、局所作用又は全身吸収のどちらのためにも、通常、口又は喉において局所的に利用可能な有効成分を生成することが望ましい場合に有用である。ソフト錠剤は、小児及び高齢患者への薬剤投与を改善するためにも活用される。飲み下す前に口内で崩壊するように設計されたソフト錠剤は、小児患者のコンプライアンスを改善するために特に有用である。
【0003】
一般に、ソフト錠剤は、有効成分、香料、結合剤などを含む錠剤化化合物の混合物の圧縮によって生成される。この混合物をタブレットプレスの型の空洞に送り込み、圧力を印加することによって錠剤が形成される。結果的にもたらされる錠剤の硬度は、採用される圧縮圧と製剤中成分の適合性の直接的関数である。より噛み砕きやすく、よりソフトな錠剤は、より低い圧縮圧を採用することによって調製され得る。その結果もたらされる錠剤はよりソフトだが、より脆弱かつ脆性で、欠けやすくもある。
【0004】
噛み砕かずに口中で崩壊するように設計されたソフト錠剤は、カジン(Cousin)らによる米国特許第5,464,632号、並びにウェイリン(Wehling)らによる米国特許第5,223,264及び同第5,178,878号に開示されている。経口投与用のこれらのソフト錠剤は、有利なことに飲み下す前に口内で完全に崩壊するが、非常に砕けやすく、破砕を防ぐための費用のかかる特別な取り扱い及びパッケージを要求するという欠点もまた有する。
【0005】
山之内製薬が米国特許第6,589,554号で、及びジャンシーン・ファーマスーティカ(Janseen Pharmaceutica)が米国特許第6,224,905号で開示しているような、高多孔性の剤形構造を生成するために、溶媒の添加及び除去を用いて、若しくは凍結乾燥プロセスによって、調製された、口腔内溶解性、口腔内崩壊性、又は急速溶解性の経口剤形は、複雑で費用のかかるプロセス工程が関わるという欠点を有する。
【0006】
いくつかの当業者は、有効成分及び脂肪族又は高分子結合剤を備える噛み砕き可能な錠剤を開示している。PCT特許第WO93/13758号は、例えば、可溶解性結合剤と賦形剤と医薬有効成分とを混合及び圧縮して錠剤にし、この錠剤中の結合剤を溶解し、この結合剤を凝固させることによって作られる錠剤を開示している。この溶解工程中に、天然脂肪又はポリエチレングリコールのような物質である結合剤は、錠剤内で流れて小さなクラックを埋める。錠剤にコーティングが望まれる場合は、別工程でコーティング材料を錠剤にコーティングしなければならない。
【0007】
米国特許第4,684,534号は、より硬い外殻とよりソフトな内部を有する噛み砕き可能な錠剤を開示している。この錠剤は、有効成分に加えて、炭水化物及びマルトデキストリンのような少量の炭水化物結合剤を含む集塊から作られる。集塊を圧縮することにより、より硬い外殻に囲まれたよりソフトな内部を有する錠剤が作られる。外殻の硬度は、約2722〜8165kg(6〜18kp)である。
【0008】
米国特許第5,662,849号は、圧縮剤形を生成するための方法及び装置を目的とする。この圧縮剤形は、製品トレーにて直接に圧縮されて錠剤となる。
【0009】
米国特許第6,258,381号は、粒状集塊を加熱して、表面又は表面近くの結合剤成分のみを溶解してから冷却することにより、溶解した結合剤が錠剤の外側に実質的に連続相を有する錠剤に凝固する錠剤及びプロセスを目的とする。
【0010】
米国特許第6,932,979号は、可溶性の、ゴムを含有する、コーティングされた噛み砕き可能な錠剤を目的とする。この錠剤は、粉砕された噛み砕き可能な構成成分を融解脂肪又はワックス構成成分と混合することによって調製される。これらの構成成分がシロップ構成成分と共に作り出すもろい材料が冷却され、望ましい粒径に粉砕されてから圧縮されて錠剤となる。この剤形は、直接にパッケージ又はその構成成分として形成されるものではない。
【0011】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
口腔内崩壊性錠剤を、少なくとも1つの有効成分と約20〜約160℃の融点を有する結合剤とを包含する混合物から生成し得ることが最近発見された。この混合物から粒状集塊を形成し、単位用量パッケージに排出し、加熱して結合剤を部分的に、又は実質的に粒状集塊全体にわたって溶解させる。次に、粒状集塊を冷却し、溶解した結合剤を凝固させて、溶解集塊部分にする。その結果作られる剤形は凹形を採り、ここに集塊が堆積される。そのような方法で作られた錠剤は、味マスキングコーティングされた粒状物質又は顆粒を使用するという付加的な利点を有し、これには最低限の圧縮力又は無圧縮力がプロセスにおいて使われるので、圧縮下での破裂又はクラックを避けるためにそのようなコーティングに通常導入される高度な可塑剤を必要とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的は、溶媒を用いずに、又は最低限の溶媒を用いて、口腔内崩壊性剤形単位を剤形単位のパッケージ内で直接に形成する方法及び装置を提供することである。この方法は、ブリスターパッケージのような錠剤パッケージ内での、又はプロセス中にリサイクルされる製造用鋳型内で、又は予め成形された(すなわち圧縮、鋳型成形、堆積、押し出し成形、又は成形された)食用形態内での、錠剤の形成をもたらす。本発明のプロセスは、全体として望ましい錠剤の形状をしたオープンエンドの空洞を有する錠剤パッケージを提供することを含む。予め測定された体積の錠剤化原材料を空洞に堆積する。この錠剤化原材料をオープンエンドの空洞内で加熱して、望ましい錠剤を形成する。次に、最終的な流通及び販売のために、パッケージをシールする。代替実施形態において、パッケージは加熱工程の前にシールされる。錠剤は、1つ以上の有効成分と、1つ以上の結合剤と、少なくとも1つの炭水化物又は炭水化物アルコール(carbohydrate alcohol)とを備える混合物から作られる。
【0013】
好適な有効成分としては、医薬品、鉱物、ビタミン、及び他の栄養補助食品が挙げられる。好適な医薬品としては、鎮痛剤、充血除去剤、去痰薬、鎮咳薬、抗ヒスタミン剤、胃腸薬、利尿剤、気管支拡張剤、酔い止め剤、偏頭痛治療薬、制吐剤、腸内ガス抑制剤、食欲抑制剤、抗真菌剤、口腔ケア剤、骨粗鬆症治療剤、睡眠誘導剤、及びこれらの混合物が挙げられる。有効成分として用いる好適な医薬品としては、アセトアミノフェン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、アスピリン、偽エフェドリン、フェニルプロパノールアミン、フェニレフリン、マレイン酸クロルフェニラミン、クロフェジアノール、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、ドムペリドン、ファモチジン、ロペラミド、ラニチジン、シメチジン、アステミゾール、テルフェナジン、フェキソフェナジン、セチリジン、制酸薬、これらの混合物、及び製薬上許容できるこれらの塩が挙げられる。より好ましくは、有効成分は、アセトアミノフェン、イブプロフェン、偽エフェドリン、フェニレフリン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シメチコン、これらの混合物、及び製薬上許容できるこれらの塩からなる群から選択される。
【0014】
好適な口腔ケア剤としては、ブレスフレッシュナー、歯美白剤、抗菌剤、歯鉱化剤、虫歯抑止剤、局所麻酔剤、粘膜保護剤などが挙げられる。
【0015】
剤形に用いる好適な風味剤としては、メントール、ペパーミント、ミントフレーバー、フルーツフレーバー、チョコレート、バニラ、バブルガムフレーバー、コーヒーフレーバー、リキュールフレーバー及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0016】
好適な胃腸薬の例としては、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、重炭酸ナトリウム、ジヒドロキシアルミニウム炭酸ナトリウムのような制酸薬、ビサコジル、カスカラサグラダ(cascara sagrada)、ダンスロン、センナ、フェノールフタレイン、アロエ、ひまし油、リシノール酸、及びデヒドロコール酸、及びこれらの混合物のような刺激性緩下剤、ファモタジン、ラニチジン、シメチジン、ニザチジンのようなH2受容体拮抗薬、オメプラゾール又はランゾプラゾールのようなプロトンポンプ阻害剤、スクラフレート及びミソプロストールのような胃腸細胞保護剤、プルカロプリドのような胃腸運動促進薬、クラリスロマイシン、アモキシシリン、テトラサイクリン、及びメトキシケイ皮酸塩のようなH.ピロリ抗生物質、ジフェノキシレート及びロペラミドのような下痢止め剤、グリコピロレート、オンダンセトロンのような制吐薬、メサラミンのような鎮痛剤が挙げられる。
【0017】
本発明の一実施形態において、有効成分は、ビサコジル、ファモタジン、ラニチジン、シメチジン、プルカロプリド、ジフェノキシレート、ロペラミド、ラクターゼ、メサラミン、ビスマス、制酸剤、並びにこれらの製薬上許容できる塩、エステル、異性体、及びこれらの混合物から選択されてもよい。
【0018】
別の実施形態では、有効成分は、鎮痛剤、抗炎症剤、及び解熱剤、例えば、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(プロピオン酸誘導体、例えばイブプロフェン、ナプロキセン、及びケトプロフェンなど、酢酸誘導体、例えば、インドメタシン、ジクロフェナク、スリンダク、及びトルメチンなど、フェナム酸誘導体、例えばメフェナム酸、メクロフェナム酸、及びフルフェナム酸など、ビフェニルカルボン酸誘導体、例えば、ジフルニサール、及びフルフェニサールなど、オキシカム、例えばピロキシカム、スドキシカム、イソキシカム、及びメロキシカムなど)から選択されてよい。一実施形態において、有効成分は、プロピオン酸誘導体NSAID、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、フルプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、スプロフェン、並びに製薬上許容できるこれらの塩、誘導体及び組み合わせから選択される。本発明の別の実施形態では、有効成分は、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、シクロベンザプリン、メロキシカム、ロフェコキシブ、セレコキシブ、並びに製薬上許容できるこれらの塩、エステル、異性体、及びこれらの混合物から選択されてよい。
【0019】
有効成分は、経口投与により所望の治療応答を生ずる量であって当業者によって容易に決定することができる治療上の有効量で本混合物中に存在する。こうした量を決定するのに際して、当該技術分野において知られるように、投与される特定の化合物、有効成分のバイオアベイラビリティー特性、投与計画、患者の年齢及び体重、及び他の因子を考慮しなければならない。
【0020】
好ましくない味を有効成分が有する場合、当該技術分野において公知のように、味マスキングコーティングでコーティングすることができる。好適な味マスキングコーティングの例は、米国特許第4,851,226号、同第5,075,114号、及び同第5,489,436号に記載されている。市販の味マスキングされた有効成分を採用してもよい。例えば、コアセルベーション法によってエチルセルロース又は他のポリマーで封入されたアセトアミノフェン粒子を本発明で使用することもできる。コアセルベーション法によって封入されたアセトアミノフェンは、オハイオ州バンダリア市のユーランド・アメリカ社(Eurand America, Inc.)、又はオハイオ州デイトン市のサーカ社(Circa Inc.)から市販されているものを購入できる。味マスキングコーティングを適用するためのその他の好適な方法は当該技術分野で周知であり、例えばそれぞれ米国特許第4,851,226号、同第5,653,993号、同第5,013,557号、及び同第6,569,463号に開示されているような流動床コーティング、複合コアセルベーション、噴霧乾燥、及び噴霧凝固を含むが、これらに限定されない。
【0021】
有効成分(1つ又は複数)は本剤形中に任意の形態で存在していてよい。例えば、有効成分は、剤形中に、分子レベルで分散する、例えば溶融又は溶解してもよく、あるいは粒子の形態としてもよく、これを塗布しても、塗布しなくてもよい。有効成分が粒子の形態である場合、粒子は(コーティングされているか否かによらず)通常、約1〜約2000マイクロメートルの平均粒径を有する。一実施形態では、こうした粒子は約1〜約300マイクロメートルの平均粒径を有する結晶である。更に別の実施形態では、粒子は約50マイクロメートル〜約2000マイクロメートル、例えば、約50マイクロメートル〜約1000マイクロメートル、又は例えば、約100マイクロメートル〜約800マイクロメートルの平均粒径を有する顆粒又はペレットである。
【0022】
一実施形態では、剤形は、即時放出形態での有効成分の第1の部分と、放出調節形態での同じ又は異なる有効成分の第2の部分とを備える。
【0023】
一実施形態では、有効成分は、半固体入りの液体入りであるマイクロゲルビードの形態である。マイクロゲルビードは粉末マトリックスの部分として添加される。本発明の口腔内崩壊性形態は、圧縮工程を用いないという追加的利点を有し、圧縮下で破裂しないので、変形可能な液体又は半固体入り粒子若しくはビードの使用を許す。これらのビードは、ゼラチン、ゼラチンガム、キサンタンガム、寒天、ローカストビーンガム、カラギーナンのような(ただし限定せず)ゲル化物質、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びプルランのような(ただし限定せず)ポリマー又は多糖、並びに澱粉でコーティングされてよく、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル及びクエン酸トリブチルのような(ただし限定せず)可塑剤を添加しても、しなくてもよい。有効成分は、高フルクトースコーンシロップ、砂糖、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール(ただし限定せず)のような充填剤、又は植物油、オリーブ油若しくは鉱油のような(ただし限定せず)油に溶解されても懸濁されても、分散されてもよい。
【0024】
この剤形の一実施形態では、有効成分は、味マスキング又は他の目的のために、高レベルの可塑剤の使用を必要としないポリマーコーティングでコーティングされる。可塑剤は、圧縮下での破裂を防ぐために、例えば、味マスキングコーティング又は持続放出性コーティングとして粒子コーティングで使用できる。この剤形の一つの利点は、コーティングの一体性に支障を来たし得る圧縮工程がないことである。この実施形態では、コーティングの重量百分率として表す可塑剤の合計百分率は約20パーセント未満であり、例えば約10パーセント未満であり、例えば5パーセント未満である。一実施形態では、コーティングには実質的に可塑剤がなく、この場合、コーティングの可塑剤の重量百分率は5パーセント未満であり、例えば、1パーセント未満と定められる。
【0025】
有効成分の放出調節が望まれる特定の実施形態では、有効成分は所望により公知の放出調節コーティングでコーティングされてよい。これにより、本剤形からの有効成分の放出特性を調節するための更なる手段が有利に与えられる。例えば、剤形は、1以上の有効成分のコーティングされた粒子を含有してもよく、粒子のコーティングが、当該技術分野において周知のような放出調節機能を与える。粒子のための好適な放出調節コーティングの例は、米国特許第4,173,626号、同第4,863,742号、同第4,980,170号、同第4,984,240号、同第5,286,497号、同第5,912,013号、同第6,270,805号、及び同第6,322,819号に記載されている。市販の放出調節有効成分を採用してもよい。例えば、コアセルベーション法によって放出調節ポリマーで封入されたアセトアミノフェン粒子を本発明で使用することもできる。そのようなコアセルベーション法で封入されたアセトアミノフェンは、例えば、ユーランド・アメリカ社(Eurand America, Inc.)又はサーカ社(Circa Inc.)から市販されている。
【0026】
結合剤は、加熱変形可能な材料であり、約20〜約160℃、好ましくは約40〜約140℃、より好ましくは約55〜約100℃の融点を有する。結合剤は結晶質でも非晶質でもよく、溶解後に再凝固する能力を有する。好適な結合剤の例としては、カカオバター、パーム核油、綿実油、ヒマワリ油及び大豆油のような硬化植物油、モノ、ジ及びトリグリセリド、リン脂質、カルナバワックス、鯨蝋、蜜蝋、キャンデリラワックス、シェラックワックス、微晶質ワックス、パラフィンワックスのようなワックス、ポリエチレングリコール、ポリカパラクトンのような水溶性ポリマー、スクロース脂肪酸エステルを含む好適な脂肪酸エステル、モノ、ジ及びトリグリセリド、グリセリルベヘネート、グリセリルパルミトステアレート、グリセリルモノステエアレート、グリセリルトリステアレート、グリセリルトリローリエート、グリセリルミリステート、グリコワックス(GlycoWax)932、ローロイルマクロゴル32グリセリド及びステアロイルマクロゴル32グリセリド、ポリエチレンオキシド及び誘導体、並びにスクロースエステルが挙げられる。好ましくは、結合剤は硬化植物油、ポリエチレングリコール、ワックス、及びこれらの混合物から選択される。一実施形態では、本発明の剤形に複数の結合剤が用いられる。
【0027】
有効成分(1つ又は複数)は、通常、水、胃酸、腸液などのような流体と接触して溶解することができる。一実施形態では、有効成分の溶解特性は、有効成分を含有する即時放出錠剤の米国薬局方(USP)の規定を満たすものである。有効成分が動物の体循環中に吸収されることが望ましい実施形態では、有効成分(1つ又は複数)は、水、胃液、又は腸液などの流体と接触する際に溶解することができなければならない。一実施形態では、有効成分の溶解特性は、有効成分を含有する即時放出錠剤の米国薬局方(USP)の規定を満たすものである。例えば、噛み砕き可能なアセトアミノフェン錠剤については、米国薬局方24は、pH5.8のリン酸緩衝液中で、米国薬局方指定装置2(パドル)を75rpmで使用して、剤形中に含有されるアセトアミノフェンの少なくとも75%が投与後45分以内に剤形から放出されることを規定しており、イブプロフェン錠剤については米国薬局方24は、pH7.2のリン酸緩衝液中で、米国薬局方指定装置2(パドル)を50rpmで使用して、剤形中に含有されるイブプロフェンの少なくとも80%が投与後60分以内に剤形から放出されることを規定している。(米国薬局方24、2000年版19〜20及び856(1999年)を参照)別の実施形態では、有効成分の溶解特性を調節することができ、例えば、制御、持続、延長、遅延する、緩慢にする、又は遅くすることができる。
【0028】
特に好ましい結合剤は、ポリエチレングリコール(PEG)であって、光又はレーザー散乱又はふるい分析のような従来の方法による測定で100マイクロメートル未満のPEG粒子を少なくとも95重量%有し、5.56×10−21〜1.328×10−20g(3350〜8000ダルトン)の分子量を有する、PEGである。
【0029】
混合物中に存在する結合剤の量は結合剤の粒経と比例し、結合剤が剤形の結合剤の最高95重量%を有し、結合剤の粒径が光又はレーザー散乱又はふるい分析のような従来の方法による測定で約100マイクロメートル未満である場合は、10〜20%の結合剤が適切であり、あるいは、結合剤がふるい分析で約100〜約400マイクロメートルの粒経を有する結合剤の50重量%より多くを有する場合は、15〜40%の範囲の結合剤が好ましい。より低い粒径は、剤形内のより高い表面積に寄与し、結合剤は、加熱されたときにより大きい結合効果に寄与する。
【0030】
もう一つの必須成分は、デキストロース、スクロース、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、ラクトース、イソマルト、デキストリン、デキストレート及びマルトデキストリンを含むデンプン加水分解物など、並びにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの炭水化物又は炭水化物アルコールである。炭水化物は剤形の溶解性及び舌触りに寄与し、かつ、乾燥結合剤をより広い表面積に分布するのを助けることによって有効成分の希釈及び緩衝にも寄与する。炭水化物は、剤形の約5パーセント〜約95パーセントのレベルで存在することができ、例えば、剤形の約20パーセント〜約90パーセント、又は約40パーセント〜約80パーセントである。
【0031】
混合物は、セルロース、セルロース系誘導体、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース澱粉、加工澱粉及びこれらの混合物のような従来の結合剤(特に微結晶セルロース)、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース及びサッカリンのような甘味料、並びにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク及びワックスのような潤滑剤を含む、充填剤のような他の従来の成分を含んでもよい。混合物には、例えば、保存料、香料、クエン酸、及びリンゴ酸やフマル酸のような(ただし限定せず)酸味料、冷却剤及び加温剤のようなセンセイト、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギネート、プルラン及びペクチンのようなテクスチャ改修剤、唾液分泌誘導剤、酸化防止剤、界面活性剤、着色料を含む、製薬上許容できるアジュバントを組み込んでもよい。
【0032】
一実施形態では、口腔内崩壊性形態を生成する方法は実質的に溶媒を使用しない。この実施形態では、流動可能な粉末マトリックス材料は実質的に溶媒を有さないものであり、ブリスター空洞、製造用成形型又は食用形態にこのマトリックスを充填するプロセスも実質的に溶媒を有さない。この実施形態における「実質的に有さない」とは、口腔内崩壊性錠剤又は部分の約5重量パーセント未満、例えば、約1重量パーセント未満又は約0.5重量%未満と定義される。溶媒としては、水、アルコール、塩化物溶媒、ヘキサン若しくはアセトンのような有機溶媒(ただし限定せず)、又は窒素、二酸化炭素(ただし限定せず)のようなガス状溶媒、若しくは超臨界流体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
有効成分、結合剤、炭水化物、及び任意の所望の成分の混合物は、以下に記述するプロセスで、口腔内崩壊性錠剤として溶解集塊に形成される。好ましくは、この粒状集塊は、錠剤が比較的ソフトである、すなわち口内で溶解又は噛み砕き可能なように調製される。錠剤の硬度は、好ましくは最高約1361kg/cm(1平方センチメートル当たり3キロポンド(kp/cm))である。より好ましくは、錠剤の硬度は最高約907kg/cm(2kp/cm)であり、最も好ましくは454kg/cm(1kp/cm)未満である。一実施形態では、口腔内崩壊性錠剤又は錠剤部分の密度は0.9g/cc未満、例えば、約0.8g/cc未満、例えば、約0.7g/cc未満である。
【0034】
硬度とは、シュロウニガー硬度計(Schleuniger Hardness Tester)のような従来の医薬硬度測定装置によって測定される直径方向破壊強度を説明するのに当該技術分野において用いられる用語である。異なるサイズの錠剤の値を比較するために、破壊強度は破壊の面積に対して正規化されなくてはならない。この正規化された値はkg/cm(kp/cm)で表されるものであり、当該技術分野において錠剤引張強度と呼ばれることがある。錠剤の硬度の試験に関する一般的説明は、リーバーマン(Leiberman)ら著の「医薬品剤形ー錠剤、第2巻、第2版」(マーセルデッカー社(Marcel Dekker Inc)1990年、213〜217頁、327〜329頁に記載されている。
【0035】
本発明の口腔内崩壊性錠剤の硬度のより好ましい試験は、直径7mmの平面プローブを装着し、グラム単位で圧縮力を測定及び報告するように設定したテクスチャ分析器TA−XT2iに依存する。このプローブは、毎秒0.5ミリメートルで動き、2ミリメートルの深さに到達する。最大圧縮力が記録される。本発明に従って作られた口腔内溶解性錠剤について記録される測定力は、好ましくは+/−_500の偏差で約700グラム〜約6000グラムの範囲であり、最高10,000グラムである。
【0036】
測定硬度に最大の影響を与える口腔内溶解性錠剤の構成要素は、結合剤の粒径及び量、炭水化物(すなわちデキストロース又はスクロース)又は炭水化物アルコール(すなわちソルビトール又はマンニトール)の量及びタイプ及び粒径、並びに有効薬剤(すなわちAPAP又はイブプロフェン)のタイプ及び性状(この性状はその状態(すなわち結晶形、コーティングされた粒子など)、融点及び粒径を含む)、並びに錠剤がタンピングされたものかどうか、並びに錠剤の形状である。
【0037】
結合剤の粒径が減少するにつれ、集塊が同じ硬度を達成するように集塊を溶解するために必要な熱は低下する(加熱時間及び温度という点で)。一実施形態において、炭水化物又は炭水化物アルコールの粒径は、使用される結合剤のレベルに影響し得るものであり、より高い炭水化物又は炭水化物アルコールの粒径は、より低い表面積をもたらし、したがってより低いレベルの結合剤を要求する。一実施形態において、調合物の炭水化物又は炭水化物アルコールが調合物の50重量%より大きく、炭水化物又は炭水化物アルコールの平均粒径が100μmより大きい場合は、結合剤は調合物の10〜20重量%である。
【0038】
有効成分の融点は、溶解又は加熱工程で用いられる温度、及び用いられる結合剤のタイプに影響を与え得る。一実施形態において、結合剤の融点は有効成分の融点未満にできる。別の実施形態では、有効成分の融点は結合剤の融点以下でよく、この場合、溶解又は加熱工程の間に両方とも溶解して、冷却に際して錠剤形の他の材料間に、有効成分と結合剤の共晶又は様々な橋渡しを作り出すことができる。
【0039】
一実施形態では、融合又は加熱温度は結合剤の融点より高く、有効成分の融点未満である。イブプロフェンが有効成分である一実施形態では、融合温度は30℃〜60℃である。
【0040】
一実施形態では、有効成分の粒径は錠剤調合物に存在する空隙を増やし、有効成分のより高い粒径は結果的により低いレベルの結合剤を必要とする。一実施形態では、有効成分又はコーティングされた有効成分が調合物の50重量%より大きく、炭水化物又は炭水化物アルコールの平均粒径が100μmより大きい場合、結合剤は調合物の10〜20重量%である。一実施形態では、合計粉末調合物の平均粒径が約100μm〜約300μmである場合、結合剤は調合物の10〜20重量%である。
【0041】
一実施形態では、口腔内崩壊性形態は、粉末調合物の充填後であるが加熱又は溶解工程前に、粉末調合物から空気を除去するためにタンピングされる。一実施形態では、このタンピング工程は、錠剤形状をまとめて保持するために十分な圧力又は力ではない。一実施形態では、口腔内崩壊性錠剤を生成する方法は、タンピング工程を実質的に有さない。一実施形態では、タンピング工程は0.3キロニュートン未満の力で行われる。
【0042】
一実施形態では、振動工程が採用され、流動可能な粉末調合物の充填後であるが加熱又は溶解工程前に、剤形から空気を除去するために振動が付加される。一実施形態では、約1Hz〜約50KHzの周波数の振動が約1マイクロメートル〜5mmのピークからピークへの振幅で付加され、流動可能な粉末がブリスター空洞又は剤形空洞に沈降できるようにする。
【0043】
錠剤の形状は測定硬度に影響を与えることができる。例えば、一実施形態で、凹状ブリスターによって生成される凸状の口腔内崩壊性錠剤面は、平面の口腔内崩壊性錠剤より高いレベルの硬度又は低い破砕性値を有することができる。
【0044】
一実施形態では、ヒュイット・インダストリーズ(Hewitt Industries)から市販されている熱電対タイプKのような熱電対温度測定センサを用いて測定されたとき、粉末形状の中心での剤形の内部温度は、加熱工程の中央値時間(すなわち5分間の加熱工程中の2.5分)に35℃〜70℃である。
【0045】
有効成分の結晶の形は使用される結合剤のレベルに影響を与え得る。例えば、一実施形態では、形状を保持するために、有効成分の結晶がより球形タイプの場合はより低い百分率の結合剤が必要とされ、一方、よりニードル形の結晶はより高いレベルの結合剤を必要とする。
【0046】
一実施形態では、有効成分がコーティングされた粒子に用いられるコーティングは、加熱工程中にコーティングの一体性が損傷しないようにするために、85℃未満で溶解するポリエチレングリコールのような材料を実質的に有さない。この実施形態での「実質的に有さない」は、乾燥したコーティングのポリエチレングリコール重量%が2パーセント未満であると定義される。
【0047】
一実施形態では、口腔内崩壊性錠剤は、1つ以上の発泡性カップルを更に含有する。一実施形態では、発泡性カップルは、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウムからなる群から選択される1要素と、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、リン酸、アルギン酸からなる群から選択される1要素とを含む。
【0048】
一実施形態では、口腔内崩壊性錠剤又は錠剤部分中の発泡性カップルの合計量は、口腔内崩壊性錠剤部分の全重量の約2〜約20重量%、例えば、約2〜約10重量%である。
【0049】
一実施形態では、口腔内崩壊性錠剤又は錠剤部分は、舌の上に置かれたときに約60秒未満、例えば、約45秒未満、例えば、約30秒未満、例えば、約15秒未満で口内で溶解するように設計される。
【0050】
一実施形態では、口腔内崩壊性錠剤又は錠剤部分は、2007年4月に出版された米国食品医薬品局(FDA)指針草案により定義付けられた「口腔内崩壊性錠剤」の基準を満たすものであり、本指針草案は参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、本発明の口腔内崩壊性錠剤は、口腔内崩壊性錠剤の2つの定義、すなわち、特定の医薬物質(1又は複数)のための米国薬局方(USP)崩壊試験方法に基づき、1)その固形剤形は医薬物質を含むものであり、かつ舌の上に置かれたときに急速に、通常、秒単位で崩壊するものである、及び2)口腔内で急速に崩壊する固形経口製剤と見なされるものであり、生体内崩壊時間が約30秒未満である、という定義を満たす。
【0051】
丸剤、カプセル、錠剤などの医薬品剤形は、剤形を含有するためのポケットを有する材料の多層シートから構成されるブリスターパッケージにパッケージ化することができる。従来のブリスターパッケージとしては、フォイル層を有するパッケージが挙げられ、使用者はこのフォイル層を通して錠剤を押し、フォイルを壊す必要がある。ホール(Hall)らは、米国特許第4,158,411号でそのようなブリスターパッケージを説明している。医薬品錠剤を含有するための開かれた上部を有するブリスターは、プラスチック又はアルミニウム材料の可撓性シートに形成される。円盤形のパンチアウトを有する任意の板紙層が、それぞれの剤形に重なっているブリスターの開かれた上部を覆う。該板紙層をフォイル層が覆い、該パンチアウトを定位置に保持する。パッケージを開くには、使用者はブリスターをへこませて、フォイルを通して錠剤を押し、パンチアウトも除去する必要がある。
【0052】
別のタイプのブリスターパッケージは、分離可能なブリスターユニット間に穿孔を設けるので、使用者は開く前に個々の剤形をパッケージから分離することができる。マックロスキー(McClosky)に与えられた米国特許第4,398,634号は、このタイプのブリスターパッケージを例証している。ブリスター部分は、シール領域で互いにシールされた、引き裂きに対する抵抗のある実質的に平面のプラスチックシートによって画定される。このシール領域は、それぞれのブリスターユニットの周囲に位置付けられ、ブリスターユニットの中央に位置付けられた、ブリスターを画定する未シールエリアであるポケットを形成する。シール領域にある弱化されたエリアは、使用者がパッケージからユニットを引き裂くことによってブリスターを個々のユニットに分離することを許す。ユニットの分離に際して、使用者はブリスターを通してプラスチック層を引き裂くことによって剤形へアクセスできるようにする。ユニットの角にあるスリットは、引裂きを容易にするために設けられる。
【0053】
別のタイプのブリスターパッケージは、分離に際し、ブリスターを開封するためのタブを露呈する個々の単位を含む。ウッド(Wood)に与えられた米国特許第5,046,618号は、このタイプのブリスターパッケージを開示している。このブリスターパッケージは、シート内に形成されるブリスターを有するシート材料と、実質的に平面の蓋シートとから形成されるものである。このブリスターパッケージは2行のブリスターを有し、それぞれのブリスターユニットは隣接するユニットから、穿孔によって分離される。開封帯が、開封帯とブリスター単位との間を走る穿孔によってそれらの行を分離する。パッケージを開くには、使用者は、単位に依然として取り付けられている開封帯でパッケージから個々の単位を分離する。ブリスター単位の角に未シールエリアを備えるタブにアクセスするには、この開封帯を除去する必要がある。開封帯を除去した後、使用者は蓋シートの角を掴んで該シートをはがし、剤形を露呈する。
【0054】
ブリスターパッケージを生成するのに好適であり得る様々な生産ベースの機械があり、ウルマン・パッケージング・システム(Uhlmann Packaging Systems)社製のモデル名UPS4のようなプラテンシーリングの使用、並びにボッシュ・パッケージング・グループ(Bosch Packaging Group)社製のモデル番号TLT 1400及びTLT 2800のようなロータリーシーリングの使用が含まれる。
【0055】
パッケージ化された剤形は、例えば、行及び列に配置された剤形を含有する複数の凹部を有するブリスターシートを備えてもよい。ブリスターパッケージのタイプは本発明にとって極めて重要なものではない。ブリスターパッケージは複数の単位パッケージを含み、それぞれの単位パッケージには一つの凹部と、その凹部に重なるシートとが組み込まれている。隣接する単位パッケージ間に一式の引裂き線を含めることができるので、該パッケージの使用者は引裂き線に沿って引き裂いて単位パッケージを分離することができる。
【0056】
パッケージの凹部及び該凹部に配置された剤形は、本質的にいかなる形状を有してもよい。例えば、剤形は円盤形錠剤、楕円形丸剤、半球又は切頭の錐でもよい。凹部の形状は、ブリスターシートの平面における円形、楕円形、多角形、三角形又は星形を含む。
【0057】
更に、凹部の壁及び底は、それぞれの凹部を囲むフランジに対して垂直の縦軸を中心とする回転の面の形状を画定することができる。例えば、凹部は曲線のカップ状の形状でもよい。剤形が円盤形状である場合、それらはそれぞれ、各剤形が配置される凹部の壁に接触するエッジを有することができる。該エッジ及び壁は、凹部の縦軸との接触同軸の環状区域を画定する。そのような円盤形剤形のエッジは、凹部の壁に接触する面取りを備えることができる。環状接触区域は、ブリスター内での剤形のシフティング及びそのようなシフティングに伴う剤形への損傷を防ぐ。口腔内崩壊性錠剤を破損せずにパンチアウト及び該錠剤の取り出しを可能にするために、ブリスターは実質的に変形可能でなくてはならない。ブリスターの形状も、口腔内崩壊性錠剤を破損せずにパンチアウト及び該錠剤の取り出しを可能にするものでなくてはならない。一実施形態では、ブリスターの側壁の角度に対するブリスターの底面の(鈍)角は90℃より大きく、例えば、110℃より大きい。
【0058】
一実施形態では、流動可能な粉末を付加する前に、ブリスターパッケージに潤滑剤が付加される。この潤滑剤は液体でも固体でもよく、ブリスター材料に取り込まれてもよい。好適な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、澱粉、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸のような(ただし限定せず)固形潤滑剤、又はシメチコン、レシチン、植物油、オリーブオイル又は鉱油のような(ただし限定せず)液体潤滑剤が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、潤滑剤は口腔内崩壊性錠剤の5重量%未満、例えば、2重量%未満、例えば、0.5重量%未満付加される。
【0059】
好ましくは粉末又は微粒子集塊の形状である流動可能な材料が、製品保持トレーのそれぞれの単位に導入される。一実施形態では、該粉末材料は、20〜44度の安息角を持つものと定義されてもよい。この安息角は、テルザギ(Terzaghi)により、「工学実用における理論的土質力学(The Theoretical Soil Mechanics in Engineering Practice)」(ワイリー(Wiley)、ニューヨーク、1948年)で、ある高度から降下する土(又は粉末)の山の水平型と傾斜の間の角度と定義されている。本発明の実施形態では、材料のパイルのような錐体によって構成される水平型に対する一定角と定義される。このパイルは、オーバーフローを許す、少なくとも1.27cm(1/2インチ)分離された2つの平ガラス板を用いる水平型の上の一点から構築される。
【0060】
流動可能な材料は、好ましくは、上記のブリスタータイプのパッケージとすることができる製品保持トレーにて提供される凹部に導入される。それぞれの単位内の材料をある温度まである時間にわたって加熱して、結合剤を部分的に、又は実質的に剤形全体にわたって溶解させる。溶解された結合剤は流れ始め、溶解集塊部分を形成し、複数の粒子を一体化して溶解し、その結果、取り扱い、ブリスターからの取り出し及び摂取に適した単一の剤形をもたらす。その他の構成要素は個体のまま維持され、物性(硬度を含む)を維持する。この加熱工程中、凹部内容物の温度は、結合剤の融点より高くあるべきだが有効成分を含む錠剤の他の成分の融点及び分解温度よりは低くあるべきである。したがって、加熱工程中の温度は、通常、約30〜約200℃の範囲である。加熱時間は、口腔内崩壊性形状又は部分の結合剤及び寸法に依存し、集塊形状を溶解及び安定させるための温度と共に十分でなくてはならない。場合によっては、有効成分が温度に敏感であるために、より長い加熱時間で異なる最低加熱温度が必要とされることがある。一実施形態では、温度は最低限であり、例えば、40℃〜70℃で、1時間より長い加熱時間でもよい。別の実施形態では、温度はより高く、例えば、70℃で、加熱時間は1時間未満でもよい。一実施形態では、加熱時間は最低限、すなわち約30秒未満、より好ましくは約15秒未満であるべきである。
【0061】
好適な熱源としては、放射加熱器、導電加熱、対流加熱、無線周波数加熱、音波加熱、マイクロ波加熱、又はレーザーが挙げられる。冷却の温度及び時間は、溶解された結合剤を凝固するようなものである。一実施形態では、冷却工程中の温度は約25℃〜約0℃であり、冷却時間は約10〜約60秒である。一般的に、冷却工程中の温度が高いほど冷却時間は長い。一実施形態では、冷却工程は室温(25℃)で、5分間より長い。
【0062】
一実施形態では、流動可能な粉末の付加の前に、食用形態が予め作られる。外側のハードキャンディ、すなわち圧縮されたリングは食用形態として製造され、少なくとも1つの活性成分を含有する流動可能な粉末の既定量が付加され、前述の温度及び時間でその剤形が加熱されて該剤形内に口腔内崩壊性錠剤部分が形成され、後に、ブリスター、パウチ又はボトルにパッケージされる。この食用形態は、加熱又は溶解工程のために粉末を保持するために実質的に封入されなければならない。これらの実施形態では、実質的に封入することは、粉末を保持するために十分な内部空洞部分を有するリング、楕円、又は三角形、星、月など(ただし限定せず)のような他の形状を形成することによって達成することができる。粉末を底部に保持するためには、この形状を表面に配置する必要がある。この表面は、プラスチック、金属、又は複合体を含む、任意の平らな形を保持するために好適なものでもよい。これは、予め成形されたブリスターパッケージ内でも達成でき、剤形の加熱及び融合に際してロゴ、画像又は製品識別を転写するために窪んだエンボス加工を有することができる。あるいは、剤形は、美的画像(形状、キャラクター、色など)又は識別(製品名、用量など)のためにレーザー照射又は印刷されてもよい。
【0063】
外側ハードキャンディ形態は、ユニプラスト・ローリング、ローピング、及び後の切削及びスタンピング、並びに成形型への堆積を用いて作ることができる。ハードキャンディ部分は、イソマルト、スクロース、ラクトース、デキストロース、コーンシロップ、ラクチトール、及びリカシン(lycasin)からなる群から選択される1つ以上の糖を含む。一実施形態では、ハードキャンディ部分は、少なくとも50重量%(例えば、少なくとも75重量%、例えば、少なくとも90重量%)のこうした糖を含む。
【0064】
一実施形態では、外側食用形態は少なくとも1つの有効成分である第1の部分を含み、口腔内崩壊性錠剤の内部部分は該外側食用形態中のものと同じ有効成分である第2の部分を含む。一実施形態では、外側食用形態は少なくとも1つの有効成分である第1の部分を含み、口腔内崩壊性錠剤の内部部分は該外側食用形態中のものと異なる有効成分である第2の部分を含む。一実施形態では、外側食用形態は口腔内崩壊性錠剤の内部部分の速度の少なくとも10倍の速度で崩壊する。第1と第2の部分は、同じでも異なってもよい。
【0065】
一実施形態では、外側食用形態及び内部の口腔内崩壊性錠剤内部部分を備える剤形は、即時放出砂糖コーティング又はフィルムコーティングでコーティングされる。そのような剤形を生成するために、溶解(加熱)及び後の剤形冷却後の工程は、コーティングパンでの更なる砂糖又はフィルムコーティングを伴うであろう。
【0066】
本発明の特定の実施形態を以下の実施例によって説明する。本発明は、これらの実施例に記載された特定の制限ではなく、むしろ、添付の請求項の範囲に限定される。特に指示がない限り、以下に与える百分率及び比率は重量による。
【実施例】
【0067】
実施例1:ブリスターの冷間形成
a)ボッシュ(Bosch)TLT 1400(ロータリー熱成形シーリング)ブリスターライン機を用いて、アルミニウムのブリスター成形材料のウェブをロールから弛緩し、既定温度に熱する。次に、加熱された材料は成形ステーションにインデックスされ、そこで、圧縮空気及び/又は真空を用いて、熱成形ウェブを生成するために、「TY」という識別記号を含有する凹を有する1.59cm(5/8インチ)の平らな丸い空洞でウェブに空洞を成形する。
b)その結果もたらされる熱成形ウェブは、フィーダーステーションにインデックスされ、以下に記述する処方がこの成形された空洞に堆積される。
【0068】
実施例2:口腔内崩壊性即時放出ロラチジン錠剤調合物
【表1】

【0069】
製造プロセス:
マルトデキストリン、エリスリトール、スクラロース、及び香料を30メッシュスクリーンでスクリーニングし、100ccプラスチックボトルに入れて5分間、回転混合する。次に、この調合物を、実施例1の予め成形されたブリスター空洞に充填し、85℃に設定した対流式オーブンに15分間置く。粉末調合物の付加前の、ブリスター空洞を予め成形するのに用いられたブリスター成形ピン又はパンチは、小さい射出ポートを含み、このポートは、最終剤形の取り出しを促進するために、空洞成形の際に約0.1〜5mgの大豆レシチンをブリスターの表面に射出する。次に、実施例1の成形されたブリスター材料を、フォイル蓋付けが適用されるシールステーションにインデックスする。蓋付け材料をロールから弛緩し、熱及び機械的圧力を用いて一体にシールする結果、空洞内に含有される製品がもたらされる。
【0070】
シールされたウェブを穿孔ステーションにインデックスする。穿孔ステーションが鋭い切削ブレードを用いてウェブに穿孔を作る結果、開封機能を有するブリスターカードがもたらされる。最後に、ウェブはパンチステーションに移動し、そこで個々のブリスターがウェブから切断されて、1つのカードにつき6つの口腔内崩壊性形態を含む個々のカードがもたらされる。
【0071】
次に、ブリスター空洞は0℃で5分間冷却され、シールされる。次に、摂取のために錠剤は一回用量単位としてブリスター空洞から取り出される。
【0072】
実施例3:食用外側リング部分の調製
下表2に記載された全ての材料は、30メッシュスクリーンを手動で通過させたものである。その結果もたらされる調合物1.5kgを、3.8リットル(4クォート)のVブレンダーに入れ、5分間混合する。
【表2】

ドミノ・スペシャルティー・イングリーディエンツ社(Domino Specialty Ingredients)(メリーランド州、ボルチモア所在)より市販されるもの
【0073】
その結果得られた調合物(400)gをブレンダーから取り出し、1.91cm(3/4”)のリング化錠剤工具を用いて60rpmでロータリー錠剤プレスにて圧縮することにより、1.27cm(1/2”)の空の中央を有する、1000mgの重量、6804kg/cm(15kp/cm)以上の硬度範囲、及び0.51cm(0.20インチ)の厚さを有する平面リングを得る。
【0074】
実施例4:溶解された口腔内崩壊性錠剤内部部分を伴う外側食用リングの調製
【表3】

【0075】
製造プロセス:
マルトデキストリン、エリスリトール、スクラロース、及び香料を30メッシュスクリーンでスクリーニングし、100ccプラスチックボトルに入れて5分間、回転混合する。次に、この調合物を、平らなPVCプラスチックシートに載っている実施例3の外側食用リング部分に充填し、85℃に設定された対流式オーブンに15分間置く。次に、ブリスター空洞を0℃で5分間冷却して、シールする。次に、摂取のために剤形は一回用量単位としてブリスター空洞から取り出す。
【0076】
〔実施態様〕
(1) 粒状マトリックスを備える口腔内崩壊性剤形を生成するプロセスにおいて、
a)前記剤形を含有するのに適した望ましい形状及び体積の凹部を有する単位製品シートを提供することと、
b)約20〜160℃の融点を有する結合剤を含有する既定量の流動可能な粉末調合物マトリックスを前記凹部に導入することと、
c)前記凹部の内容物を十分な時間、前記結合剤の前記融点より高い温度に加熱して、前記結合剤を溶かし、前記剤形の内部で、また前記剤形全体にわたって前記結合剤を溶解させて集塊にすることと、
d)前記剤形を凝固させて消費に好適な前記口腔内崩壊性剤形にするために前記凹部内の前記溶解された剤形を冷却することと、を備える、プロセス。
(2) 直径7ミリメートルの平面プローブが装着されたテクスチャ分析器TA−XT2iを用いた測定で、前記剤形が1000グラム未満の硬度を有する、実施態様1に記載のプロセス。
(3) 前記剤形が30秒未満で崩壊する、実施態様1に記載のプロセス。
(4) 単位用量パッケージが、アルミニウムを備えるブリスタータイプのパッケージである、実施態様1に記載のプロセス。
(5) 前記熱が対流、伝導、音波加熱、無線周波数、レーザー、赤外線、マイクロ波によって印加される、実施態様1に記載のプロセス。
(6) 前記結合剤が脂肪、ワックス、水溶性ポリマー、長鎖アルコール及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様1に記載のプロセス。
(7) 前記水溶性結合剤の少なくとも95重量%が100マイクロメートル未満の粒径を有する、実施態様1に記載のプロセス。
(8) 前記凹部がその内部表面に明確な刻印部分を有し、前記明確な刻印部分により、対応するパターンが最終剤形に生成される、実施態様1に記載のプロセス。
(9) 前記明確な刻印部分がデザイン、ロゴ、又はマーキングの形態である、実施態様8に記載のプロセス。
(10) 実施態様1に記載のプロセスによって生成される、口腔内崩壊性錠剤。
【0077】
(11) 前記錠剤の結合剤が前記剤形の40%未満を構成する、実施態様10に記載の口腔内崩壊性錠剤。
(12) 食用外側部分と、粒状マトリックスを備える内部口腔内崩壊性剤形とを備える剤形を生成するプロセスにおいて、
a)前記剤形の口腔内崩壊性部分を含有するために好適な望ましい形状及び体積の凹部を有する食用外側形態を調製することと、
b)約20〜160℃の融点を有する結合剤を含有する既定量の流動可能な粉末調合物含有マトリックスを前記凹部に導入することと、
c)前記凹部の内容物を十分な時間、前記結合剤の前記融点より高い温度に加熱して、前記結合剤を溶かし、前記剤形の内部で、また前記剤形全体にわたって前記結合剤を溶解させて連続相にすることと、
d)前記剤形を凝固させて消費に好適な前記口腔内崩壊性剤形にするために前記凹部内の前記溶解された剤形を冷却することと、を備える、プロセス。
(13) 前記食用外側形態が圧縮によって調製される、実施態様12に記載のプロセス。
(14) 前記食用外側形態が、ユニプラスト・ローリング、ローピング、及びその後の切削及びスタンピング、又は鋳型堆積からなる群から選択される方法によって調製される外側ハードキャンディ形態である、実施態様12に記載のプロセス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状マトリックスを備える口腔内崩壊性剤形を生成するプロセスにおいて、
a)前記剤形を含有するのに適した望ましい形状及び体積の凹部を有する単位製品シートを提供することと、
b)約20〜160℃の融点を有する結合剤を含有する既定量の流動可能な粉末調合物マトリックスを前記凹部に導入することと、
c)前記凹部の内容物を十分な時間、前記結合剤の前記融点より高い温度に加熱して、前記結合剤を溶かし、前記剤形の内部で、また前記剤形全体にわたって前記結合剤を溶解させて集塊にすることと、
d)前記剤形を凝固させて消費に好適な前記口腔内崩壊性剤形にするために前記凹部内の前記溶解された剤形を冷却することと、を備える、プロセス。
【請求項2】
直径7ミリメートルの平面プローブが装着されたテクスチャ分析器TA−XT2iを用いた測定で、前記剤形が1000グラム未満の硬度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記剤形が30秒未満で崩壊する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
単位用量パッケージが、アルミニウムを備えるブリスタータイプのパッケージである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記熱が対流、伝導、音波加熱、無線周波数、レーザー、赤外線、マイクロ波によって印加される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記結合剤が脂肪、ワックス、水溶性ポリマー、長鎖アルコール及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記水溶性結合剤の少なくとも95重量%が100マイクロメートル未満の粒径を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記凹部がその内部表面に明確な刻印部分を有し、前記明確な刻印部分により、対応するパターンが最終剤形に生成される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記明確な刻印部分がデザイン、ロゴ、又はマーキングの形態である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
請求項1に記載のプロセスによって生成される、口腔内崩壊性錠剤。
【請求項11】
前記錠剤の結合剤が前記剤形の40%未満を構成する、請求項10に記載の口腔内崩壊性錠剤。
【請求項12】
食用外側部分と、粒状マトリックスを備える内部口腔内崩壊性剤形とを備える剤形を生成するプロセスにおいて、
a)前記剤形の口腔内崩壊性部分を含有するために好適な望ましい形状及び体積の凹部を有する食用外側形態を調製することと、
b)約20〜160℃の融点を有する結合剤を含有する既定量の流動可能な粉末調合物含有マトリックスを前記凹部に導入することと、
c)前記凹部の内容物を十分な時間、前記結合剤の前記融点より高い温度に加熱して、前記結合剤を溶かし、前記剤形の内部で、また前記剤形全体にわたって前記結合剤を溶解させて連続相にすることと、
d)前記剤形を凝固させて消費に好適な前記口腔内崩壊性剤形にするために前記凹部内の前記溶解された剤形を冷却することと、を備える、プロセス。
【請求項13】
前記食用外側形態が圧縮によって調製される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記食用外側形態が、ユニプラスト・ローリング、ローピング、及びその後の切削及びスタンピング、又は鋳型堆積からなる群から選択される方法によって調製される外側ハードキャンディ形態である、請求項12に記載のプロセス。

【公表番号】特表2010−538002(P2010−538002A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523098(P2010−523098)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/074375
【国際公開番号】WO2009/032655
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(591252839)マクニール−ピーピーシー・インコーポレイテッド (69)
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL−PPC,INCORPORATED
【Fターム(参考)】