説明

口腔手入及び装置

様々な口腔手入装置及び方法を開示する。一方法は、組成物を口腔に導入するステップを含み、その組成物は反応種生成剤を含んでいる。発光要素からの出力は、反応種生成剤から1つ以上の反応種を生成するのに十分な時間にわたって、口腔の軟質組織の一部分に放射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内の微生物に作用する影響を与えるために使用することができる口腔手入及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔(口内)衛生管理の分野において、手動歯ブラシ及びすすぎ剤を用いた通常のブラッシングに優る治療方法を提供すべく努力がなされてきた。例えば、手動ブラシよりも優れた利点をもたらし得る種々の電動歯ブラシが市販されている。加えて、子供などの特定のタイプの消費者に適応した毛またはブラッシング構成部分を特徴とする歯ブラシを利用することができる。
【0003】
さらに、様々なすすぎ剤製品を利用することができ、そのすすぎ剤製品の多くは、歯の表面の白色化などの特定の機能に合わせて作られている。さらに、口内洗浄剤、漂白片、及び糸ようじなど、他にも多数の口腔衛生管理製品を、様々な状態又は処置に対して利用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多数の点において満足なものではあるが、口腔衛生管理において、又、口腔衛生管理製品の消費者が実施する治療行為において、特に、更なる向上及び改良に対する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本発明は、口腔内の1種類以上の微生物に作用する方法を提供する。その方法は、ある組成物を口腔内に導入するステップと、その組成物を活性化して1つ以上の反応種を生成するエネルギーに口腔を曝すステップとを含んでいる。この方法は又、すすぎ剤と発光要素で構成される歯ブラシとを用いて歯をブラッシングするステップを含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
一般に、本発明は、1つ以上の口腔手入装置又は器具と1つ以上の口腔手入組成物とを利用した口腔手入方法に関する。本明細書で説明する手入方法において使用する口腔手入器具は、口腔手入組成物を活性化することができる発光要素又は他のエネルギー放出要素(例えば、熱放出要素)を備えてもよい。該口腔手入口腔手入器具は、電動歯ブラシの形で提供されてもよく、それと共に若しくはその代わりに、舌手入れ装置又は構造物を含んでもよい。本明細書で使用するとき、「舌手入装置又は構造」という用語は、舌の上で又は舌と共に使用するために開発された装置又は構造物を指すことを意図している。口腔手入組成物は、光などのエネルギー入力に曝すことによって、1つ以上の反応種を生成する1つ以上の反応種生成(RSG)剤を含んでもよい。反応種とは、他の原子又は分子と容易に反応して新たな種を形成し得る不安定な原子又は分子のことである。反応種は、一重項酸素などの過激分子及び励起原子を含んでもよい。例として、水酸ラジカル、ヒドロパーオキシラジカル、アルキルラジカル、及びアルコキシラジカル、並びに過酸化物が挙げられる。又、反応種の自動酸化によって形成された種も含まれる。反応種は、口腔内の1つ以上の微生物に逆に損傷を与えることができる。一実施形態においては、手入方法は、口腔内の細菌を殺すこと、処理すること、減少させること、又はその細菌に損傷を与えることを目的としており、又、別の実施形態においては、口腔の軟質組織及び/又は硬質組織に関連する細菌を処理すること、減少させること、又はその細菌に損傷をを与えることを目的としている。本明細書で使用するとき、「軟質組織」という用語は、舌、乳頭、及び歯肉のうちの1つ以上を包含することを意図するものであり、その歯肉は、辺縁歯肉、歯肉溝、歯間歯肉、粘膜歯肉境及び尾栓を含めてそれに至るまでの舌面及び頬面上の歯肉構造を含んでもよい。例えば頬の口腔組織を含めて、口腔内の他の軟質組織も又、本発明の範囲内である。
【0007】
「口腔手入器具」又は「口腔手入装置」という用語には、口腔内での使用に適合された、又は口腔内で効果を有する器具又は装置を含むことができ、そのような器具又は装置には、限定はしないが、歯ブラシ、舌手入装置、つや出し器、歯肉マッサージ器、歯間掃除用具、トレー、塗布具、歯軋り防止用マウスガード及び他の手持型装置が挙げられる。本明細書で使用するとき、「口腔手入組成物」(又は物質)という用語は、1つ以上の口腔手入上の利点をユーザーにもたらす組成物を指す。口腔手入組成物の非限定的な形式には、すすぎ剤、ゲル剤、リンス剤、錠剤、ストリップ、塗布製剤、発泡製剤、フィルム、速溶解性ストリップ片又はフィルムなどが挙げられる。光、熱、電気エネルギー、音響エネルギー、振動エネルギー、又は他のエネルギー源のうちの1つ以上でRSG剤を曝すと、活性化を生じさせることができる。本発明は、歯ブラシ及び舌用装置のみに決して限定されず、むしろ、様々な他の口腔手入装置に再び適用することができるが、説明を簡単にするために歯ブラシ及び舌用装置に関して、本発明の様々な態様をこれから述べることにする。
【0008】
図1及び2に示すように、電動歯ブラシが、ハンドル12とハンドル12に取り付けられたネック14とを有している。ヘッド16はネック14に取り付けられている。典型的には、ヘッドはネック14よりも大きく、又、ネック14は典型的にはハンドル12よりも小さい。ここで図2を参照すると、ヘッド16は更に、長手方向軸19によって画定され、又、1つ以上の可動毛ホルダー20と1つ以上の任意選択による静止毛ホルダー22とを備えている。この実施形態において、静止毛ホルダー22は可動毛ホルダー20の両側に配置されている。可動毛ホルダー20は、この実施形態においてはヘッド16の中央に配置されているが、ヘッド上のどこに配置されてもよい。可動毛ホルダー20は、その毛ホルダー20上に支持されかつ保持される複数本の毛24を有している。可動毛ホルダーは、ヘッド16の長手方向軸19にほぼ垂直な動作軸を中心として振動するか又は回転することができるが、他の動作をしてもよい。又、静止毛ホルダーとその上に配設される静止毛の配置とを、大幅に変更することもできる。例えば、静止毛は、部分的に又は全体的に可動毛ホルダーと外接してもよく、又、可動毛ホルダー同士の間隙に配設されてもよい。本発明で用いるのに好適ないくつかの毛ホルダー動作及び毛の配置の例が、US20030126699、US20030084525、US20030084524、US20030084526、並びに、WO03/063723及びWO03/063722に記載されている。
【0009】
図3に示すように、ハンドル12は更に、モーター32を収容する中空部分30を含み、長手方向軸34を有している。モーター32は、シャフト44を通じて可動毛ホルダー20に動力を供給する。シャフトは、1つ以上の動作を可動毛ホルダーに付与するために、モーターによって駆動されると、回転したり、振動したり、直線的に往復運動したり、旋回したり、周回したり、円錐の形で移動したりすることができる。伝達装置は、シャフト44とモーター32とを作動的に相互連結することができるが、伝達装置を含んでいない装置が提供されてもよい。本発明と共に用いるのに適した代表的なシャフト及び/又は伝達装置は、米国特許第6,360,395号及び第5,617,601号、及び米国出願第2003/0134567号及び第2003/0163881号、並びに本明細書で参照する他の特許及び特許公報に示されている。ハンドルは又、1つ以上の電池など、電源を有しており、その電源は、歯ブラシのモーター及び他の電気素子に電力を供給するためにハンドル内に配設されている。或いは、電動歯ブラシは、モーターに電力供給するための外部電源に接続されてもよい。電源と電気的に通じた1つ以上のスイッチ50が、モーター及び/又は発光要素などの他の電気素子を作動するために、ハンドル上に配設されてもよい。本明細書で使用するとき、「発光(light-emitting)」要素という用語は、光ファイバーケーブル又はワイヤなどの単に光を伝導又は伝達する要素(即ち、光伝達要素)とは対照的に、電気的エネルギーを光に転換する要素を指すことを意図するものである。歯ブラシは、ハンドルと解放可能に係合する取り外し自在のヘッド及び/又はネックを任意に有することができる。歯ブラシは又、特定の処置レジメン又はプロセスの開始、進行、又は完了を示すために、1つ以上のアラーム又は信号発生装置(例えば、スピーカ又は光源など)を備えることもできる。例えば、音響信号で発光要素からの出力の開始を示してもよい。アラーム又は信号は、聴覚、視覚、又は触覚による信号の形態とすることができる。触感信号は、歯ブラシのある部品、例えばハンドル又は可動毛ホルダーの振動又は他の運動を含んでもよい。聴覚によるアラームの例として、限定はしないが、1つ以上のビープ音、一連の調べ、その部分の歌曲、1つ以上の楽音、1つ以上の呼び出し音、話される単語又は語句、及びこれらの組合せが挙げられる。又、タイマーを装置に組み込んで、設定した期間が過ぎると別の又は異なる信号が送られるようにすることもできる。該タイマーは、光あるいは1つ以上の口腔手入組成物に対して露出させて十分な熱の吸収が完了するようにし、熱を吸収する時間が限度を越えないようにし、複数のステップによる手入(治療)のステップ間に十分な時間遅延を確保して、そうして、ユーザーにブラッシングを行い、あるいは口腔のある領域から別の領域に作業場所を移動し、これらの組合せ作業を行なうことを指示するために、使用されてもよい。光放射に対する熱吸収のための露出時間を制限することが望まれる方策の場合、発光持続時間の非限定的な例には、約1分以下又は約30秒以下が含まれる。更に企図されることとして、細菌又は細菌の存在に伴う悪臭の有無など、口腔内の状態、指標、刺激、及び薬剤を検出できるセンサーを歯ブラシに組み込むことができる。
【0010】
一実施形態において、本発明の歯ブラシは発光要素を備えており、又、その歯ブラシは、軟質組織に塗り付けられるRSG剤を含有する口腔手入組成物と組み合わせて使用される。発光要素の出力は、RSG剤を活性化するために口腔の軟質組織に向けて放射される。発光要素の出力は、歯ブラシ上の発光要素の配置によってか、ユーザーが利用する手入方法かどちらかによって、軟質組織に向けて放射することができる。或いは、特に、毛が歯肉に接触するように配置されている場合、又は、実質的に全ての光が毛の全長に沿うのではなく、毛の先端から放射するように毛がコーティングされている場合は、光学的に光を放射することができる毛を利用してもよい。これによって、細菌が位置し得る歯同士の間の歯間隙に、より効率的に光の焦点を合わせることができる。この配置において、毛の先端又は端部は透明又は半透明であるが、毛の外側表面の周囲は不透明又は実質的に不透明であってもよい。一実施形態において、外側表面の少なくとも20%、30%、40%、50%、75%、又は100%は不透明又は実質的に不透明である。毛は、不透明なコーティングを外側表面上に施されてもよく、又、不透明な外装で囲まれた透明又は半透明な芯を備えてもよい。後者の毛は共押出しすることができる。これらの毛を形成するのに適切となり得る共押出しプロセスは、米国特許第6,862,771号、第5,313,909号、及び第5,770,307号に記載されている。一実施形態において、これらの毛はブラシヘッドの側部に沿って配設され、ブラシヘッドの上面と鋭角を成してもよく、その結果、これらの毛は、図4に例示的に示すように、使用中に歯肉と接触することができ、その図4において、毛68、歯肉軟質組織78及び歯ブラシヘッドの上面84が示されている。
【0011】
口腔手入組成物は、従来の歯のブラッシングによる手入の前、その間、又はその後に、口腔の軟質組織に塗り付けることができる。例えば、RSG剤を含有する口腔手入組成物は、歯をすすぎ剤でブラッシングするステップの前後に塗り付けることができる。或いは、RSG剤をすすぎ剤に添合してもよく、又、RSG剤は、歯をブラッシングするステップが生じるのと同時に活性化することができる。
【0012】
本明細書で使用するとき、「光」という用語は、可視光及び非可視光(例えば、紫外光及び赤外光)の双方のスペクトルを包含することを意図するものである。本発明の歯ブラシの一実施形態において、発光要素から放射される光は、約370nm、390nm、410nm、430nm、450nm、470nm、490nm、510nm、530nm、550nm、570nm、590nm、610nm、630nm、650nm、670nm、690nm、710nm、900nm、1100nm以上で、且つ/又は、約770nm、750nm、730nm、710nm、690nm、670nm、650nm、630nm、610nm、500nm、400nm未満とすることができる。別の実施形態において、放射される光は、約420nm、430nm、440nm、450nm、460nm、470nm、480nm超で、且つ/又は、約490nm、480nm、470nm、460nm、450nm、440nm、430nm未満での波長を有することができる。さらに別の実施形態において、放射される光は、約420nm、430nm、440nm、450nm、460nm、470nmから、且つ/又は、約470nm、460nm、450nm、430nm未満の波長を有することができる。選択される特定の範囲の波長は、光の所望の色に依存し得ることが理解されよう。口腔手入器具も又、特定強度の光を放射することができる。強度は、カンデラ(又はルーメン/ステラジアン)で測定される光度でも、ワット/平方メートルで測定される束密度でもよい。一実施形態において、本発明による照明式電動歯ブラシの束密度は、約20mW/cm、30mW/cm、35mW/cm、40mW/cm、45mW/cm、50mW/cm、55mW/cm、60mW/cm、70mW/cm、100mW/cm、200mW/cm、250mW/cmから、且つ/若しくは、約300mW/cm、250mW/cm、150mW/cm、100mW/cm、70mW/cm、60mW/cm、50mW/cm、40mW/cm、30mW/cm未満、又はこれらの任意の組合せである。
【0013】
図4Bを参照すると、歯ブラシ74が示されており、ここで、発光要素は、使用時に口腔の軟質組織に光を放射することができるように配置されている。一実施形態において、上顎及び下顎の歯列弓の一方又は双方の軟質組織、特に歯肉組織を発光要素によって照射されることができるように、1つ以上の発光要素が設けられてもよい。図4Bにおいて、2つの発光要素75は、ブラッシングプロセスの間に双方の歯列弓の歯肉組織78を照射することができるように配置されている。発光要素75の各々は照射発光の主方向80を有し、その主方向80は、歯ブラシヘッドの上面84と鋭角82を成している。換言すれば、発光要素75は、発光要素75の中心線80がヘッド及び/又は毛ホルダーの上面と鋭角82を成すように配置することができる。更に、発光の主方向は遮られることがなく、従って、照射された光は、歯ブラシヘッドの構造(毛など)から軟質組織へと、干渉されることなく進む。中心線80は、典型的には、発光要素のレンズ又は開口部を通る。中心線80は、約0度、20度、30度、40度、45度、50度、55度、且つ/又は約80度、75度、70度、60度、50度、及び40度未満の間で、歯ブラシヘッドの上面と角度82を成してもよい。発光要素が、可動毛ホルダー及び/又は不動毛ホルダーの中、上、又は下に配設される場合、光が毛に妨げられることなく軟質組織に照射されるように、発光要素の中心線80の周りの円筒形領域又は体積には毛がないようにすることができる。更に企図されることとして、歯ブラシのブラシヘッド又はネックは、ブラシヘッド頭部又はネック内から放射された光を、その光が歯ブラシヘッドの上面から離れる角度に放射されるような方式で通過させる1つ以上の透明又は半透明のパネルを利用することができる。これらの実施形態において、企図されることとして、歯ブラシヘッドから放射された光が軟質組織に向けて送られてRSG剤を活性化し、一方で、同時に、歯ブラシヘッドの毛の備えた部分を使用することにより、歯の表面に対しては、従来式の洗浄の利点がもたらされる。
【0014】
発光要素は又、光放射の主方向が毛ホルダーの上面に概ね垂直、且つ/又は毛ホルダーの毛の方向に概ね平行となるように、特に舌手入れ装置又は構造を設けるのが望ましい場所に配置することもできる。一例を図2及び3に示すが、この例において、発光要素75は可動毛ホルダー20内に配設されている。発光要素75は又、放射光が舌に向けられる位置にヘッドを操作したときに発光要素の出力光が舌を照射することができるように、ヘッド上の他の位置に配置することもできる。図5Aから5Cに示す別の実施形態において、光は、歯ブラシヘッドの背面86上に配設された発光要素75から放射することができ、従って、その光は、悪臭を生じさせ得る細菌及び他の微生物が位置するであろうユーザーの舌に向けることができる。又、遮光塗料で選択的に塗布されたパネルを使用して、光を装置又は器具から放射する方法を適応させることもできる。図5Aから5Cは、舌に接触するのに適合された1つ以上の舌の手入れ用構造を示す。舌の手入れ用構造は、マッサージ、こすり落とし、又は洗浄の利点をもたらすことができる。図5Aは、直立した弾性壁88の形状とした複数個の突起部を示す。この壁は、様々な形状及び寸法で設けることができ、又、部分的に又は全体的に発光要素を囲んでいてもよい。図5Bは、半球形の隆起物90の形式とした複数個の突起部を示し、その隆起物90は、部分的に又は全体的に発光要素75を囲んでいてもよい。図5Cは、直立壁88と隆起物90の組合せを示す。突起部及び壁は、様々な形状、寸法、及び材料で設けることができることが理解されよう。一実施形態において、突起部は透明又は半透明である。使用時に突起部が光を直接軟質組織に送ることができるように、LEDなどの発光要素を突起部の背後に配置してもよい。
【0015】
先の例は、歯ブラシのヘッド上に配置される発光要素を示すものであるが、企図されることとして、発光要素は他の場所に配置されてもよい。例えば、発光要素は、ネック又はハンドル上に配置されてもよく、光ファイバーなどの伝送構造が光をヘッドに伝送してヘッドから放射させる。
【0016】
舌の手入れ用構造は歯ブラシヘッドに組み込まれてもよいが、企図されることとして、舌の手入れ用構造は別個の独立型装置として設けられてもよく、その例を図6及び7に示す。舌の手入れ用装置91はハンドル92を備えており、そのハンドル92にヘッド94が連結されている。ヘッド94は、発光要素75と、直立壁88の形状をした舌の手入れ用構造とを備えている。ヘッド94はハンドル92に一体に連結されてもよく、又、取り外し可能に取り付けられてもよい。ハンドル92は、発光要素75に電力を
供給するための電源(図示せず)を含んでいる。発光要素75を作動させるスイッチ96が設けられてもよい。舌の手入れ用装置91は手動式とすることができ、又、電気動力機構を利用して1つ以上の突起部を動作させ、舌のこすり落とし、又は洗浄を促進することもできる。舌の手入れ用装置は、交換可能な壁、異なる寸法の突起部、様々な数の突起部などを利用することができる。本発明で使用するのに適切ないくつかの舌の手入れ用装置の例には、米国特許第3,254,356号、第2,651,068号、第2,405,029号、第4,455,704号、第4,488,327号、第5,217,475号、第5,226,197号、第5,569,278号、第5,735,864号、第5,779,475号、第5,766,193号、第5,893,860号、第5,910,151号、第5,915,433号、第5,916,228号、第6,013,089号、第5,980,541号、第5,984,935号、第6,056,763号、第6,089,865号、第6,099,540号、第6,152,939号、及び第6,440,149号が挙げられるが、これらに限定はされない。又、EP1034721も関連する。舌の手入れ用構造は、ゴム(合成及び天然ゴムなど)のような弾性材を含めた様々な材料から形成することができる。他の材料には、ポリプロピレン又はポリエチレンが挙げられる。舌の手入れ用構造は、人工又は天然の香料を含むことができる。香料は好ましくは、製造に先立ってプラスチックと共に含められる。
【0017】
典型的には、光ベースの出力は、所定の時間にわたって光を発する。例えば、約600nmと約900nmの間の波長、約5mWから約10mWの強度を有する光を、約0.5分から約2分にわたって、RSG剤を含んだ組成物と共に使用することができる。トルイジンブルー又はメチレンブルーを、抗菌効果のために口腔に塗り付けられる口腔手入組成物に、又、歯ブラシと共に用いられる若しくは歯ブラシで投与されるすすぎ剤に与えてもよい。好ましくは、これらの薬剤は、約600nmと約660nmの間の波長を有する光と共に使用される。他のRSG剤には、約410nmと約450nmの間、好ましくは約420nmから約460nmの波長を有する光と組み合わせた、リボフラビン(ビタミンB2)などのビタミンが挙げられる。クロロフィル(例えば、クロロフィルa及びb、並びに細菌のクロロフィル)を、約400nmと約480nmの間、好ましくは440nmの波長を有する光と共に、又は、過酸化水素、過酸化尿素、過炭酸などの他のラジカル発生剤を様々な波長で使用することができる。銀、鉄、及びマンガンなどの金属は、RSG剤ではないが、光の波長が十分な熱発生をもたらす場合に細菌及び他の微生物に損傷を与えることができる剤となり得る。約380nmと約420nmの間の波長を有する光は、RSG剤を使用することなく、細菌及び他の微生物を殺したりそれらに損傷を与えたりする上で効果的となることがある。他のRSG剤にチオキサンテンがある。この薬剤は、約360nmと約400nmの間、特に約380nmの波長を有する光と併せて使用できる。更には、1つ以上のビタミンと併せた光を、本発明の手入方法において利用することができる。ビタミン又は他の対応する薬剤の非限定的な例には、リボフラビン又はビタミンB12が挙げられるが、これらに限定はされない。約410nmから約450nmの波長を有する光が効果的である。リボフラビンは、口腔投与に対して安全な薬剤である。又、ジヘマトポルフィリンエステル及びフタロシアニンも使用することができる。一般に、約600nmと約660nmの間、好ましくは約610nmから約650nm、特に約633nmの波長を有する光が、これらの組合せに対して効果的である。更なる詳細は、「口腔微生物免疫学(Oral Microbial Immunol.)」、1993、8、182−187に記載されている。他のRSG剤には、ローズベンガル;亜鉛フタロシアニン;ポルフィリン、特にヘマトポルフィリン、ウロポルフィリン、及びテトラフェニルポルフィリンとそれらのZn、Al、Si、Snとの錯体、フタロシアニンとそのZn、Al、Si、Snとの錯体、並びにクルクミン;塩素、特に細菌の塩素;ビリルビン;クルクミン;EDTA;ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DEPTA);NTA;EHDP;エチレンジアミン四酢酸(メチレンホスホン酸);ジエチレントリアミン5酢酸(メチレンホスホン酸)が挙げられる。RSG剤は、組成物の総量に基づいて、約0.1重量パーセント、0.5重量パーセント、1重量パーセント、2重量パーセント、3重量パーセント、5重量パーセント、7重量パーセント、10重量パーセント以上、且つ/又は、約10重量パーセント、7重量パーセント、5重量パーセント、3重量パーセント、2重量パーセント、1重量パーセント、0.5重量パーセント、0.1重量パーセント未満の量で、口腔手入組成物に添加できる。超酸化物は、上記の増感剤のいずれかを、アミン及びアミド、即ち、EDTA、DTPA、ジエチレントリアミン5ホスホン酸、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリプトファン、チロシン又はアセトアニリドなどの電子供与体と組み合わせて使用することによって生成することができる。別の実施形態においては、ナノメートルスケール亜鉛ダイオード及び二酸化チタンをRSG剤として用いてもよい。いくつかの実施形態において、多数のRSG剤が単一の口腔手入組成物中に与えられてもよく、各RSGは、波長の異なる光によって活性化することができる。そのような構成は、各RSG剤が異なる微生物種を標的とするために用いられる場合に有用となり得る。
【0018】
他の実施形態において、RSG剤は微生物中に生成することができる。ポルフィリンは、光の放射を受けて、一重項酸素及び他の反応種を生成することができる。ポルフィリンは、標的の微生物内に自然に形成することができ、又、RSG剤として別個に投与することができる。微生物中でのポルフィリンの生成は、ポルフィリン前駆体を口腔に供給することによって増強することができる。ポルフィリン前駆体は、細菌などの微生物中にその微生物の代謝活性の結果としてポリフィリンを生じさせる化合物、分子、若しくは薬剤、又はそれらの組合せである。ポルフィリン前駆体は、微生物によって摂取、吸着、又は吸収される。一実施形態において、ポルフィリン前駆体は、アミノレブリン酸(ALA)及び/又はポルフォビリノゲン(PBG)を微生物中に生成するために使用される化合物又は薬剤である。ALAは後に代謝することができ、又、ALAシンターゼ、ALAデヒドラターゼ、PBGデアミナーゼ、ウロポルフィリノーゲンIIIコシンターゼ、ウロポルフィリノーゲンデカルボキシラーゼ、コプロポルフィリノーゲンオキシダーゼ、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ、及びフェロケラターゼなどの1つ以上の細胞酵素を扱うプロセスによってポルフィリンに変換することができる。ポルフィリン前駆体の一例が、グリシンとスクシニルコエンザイムAとの組合せであり、この組合せは、微生物によって摂取又は吸収されると、標的の微生物中にALAを、又結果的にポルフィリンを生成することができる。或いは、ポルフィリン前駆体は、ポルフィリンを形成するヘム生合成経路におけるALA、PBG、ヒドロキシメチルビラン(HMB)、ウロポルフィリノーゲンIII、コプロポルフィリノーゲンI、又は他の任意の薬剤とすることができる。これらのポルフィリン前駆体は、一方又は双方が微生物によって摂取、吸収、又は吸着されるように、口腔手入組成物中で口腔に直接与えることができる。
【0019】
一実施形態において、ポルフィリン前駆体は、毎日少なくとも1度は用いられる洗浄剤又は歯磨剤の形式で提供することができる。別の実施形態において、ポルフィリン前駆体を含有する口腔手入組成物が、口腔の軟質組織及び/又は硬質組織に、約1回と約20回の間又は約5回と約10回の間で投与される。ポルフィリン前駆体を含有する口腔手入組成物は、少なくとも約10秒、15秒、20秒、25秒、30秒若しくは約60秒、且つ/又は約5分、4分、3分、2分、若しくは1分未満、口腔に放置されてもよい。この期間は、微生物がポルフィリン前駆体を摂取、吸収、又は吸着するのに費やす総時間に依存して変化することがある。口腔手入器具による口腔への光の照射は、上述の摂取/吸収/吸着時間の後、少なくとも約10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、又は60秒、且つ/又は、約10分、5分、4分、3分、2分、又は1分未満の間に生じ得る。任意選択により、上述の摂取/吸収/吸着の時間が経過した後に、ポルフィリン前駆体を含有する口腔手入組成物を除去することを、付加的なステップに含めることができる。口腔手入組成物は、ポルフィリン前駆体を含有していない第2の口腔手入組成物でブラッシング又はすすぐことによって除去することができる。ポルフィリン前駆体を含有する口腔手入組成物は又、1日に2回以上口腔に塗り付けられてもよい。
【0020】
ポルフィリン前駆体を口腔に塗り付けた後、光を口腔に照射してポルフィリンを活性化することができる。光は、ポルフィリン前駆体から微生物中にポルフィリンが生成されるのに十分な培養期間の後に照射することができる。培養期間は、ポルフィリン前駆体を含んだ口腔手入組成物を塗り付け後の2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、又は24時間とすることができる。培養期間は、2日、4日、6日、8日、12日、14日、又はそれより多い日数へと更に延長することができ、その間、ポルフィリン前駆体を含有する口腔手入組成物が、この期間中に1日当たり1回以上、塗り付けられてもよい。或いは、ポルフィリン前駆体を含んだ口腔手入組成物を使用し、その後に適切な波長を有する光を照射してポルフィリンを活性化することを、毎日の手入方法の一部分とすることができる。口腔手入組成物は又、ポルフィリン前駆体並びに他のRSG剤を含むことができる。
【0021】
ポルフィリンは、そのポルフィリンに応じて、約400nmと約450nmの間、又は約490nmと約550nmの間、又は約580nmと約600nmの間、更に約600nmと約640nmの間の光を吸収することができる。
【0022】
多種多様な発光要素を本発明の手入方法で使用してもよい。一実施形態において、発光要素は、カリフォルニア州サンホセのルミレッズ・ライティング社(Lumileds Lighting, LLC)により製造されている、名称ルクシオン(Luxeon)(商標)として市販されているものなど、小型で低消費電力の発光ダイオード(LED)である。市販されている他の照射ユニットには、アメリカン・オプト・プラスLED社(American Opto Plus LED Corporation)のものが挙げられる。そのLEDは、ある実施形態においては約0.5ボルトと約5ボルトの間、別の実施形態においては約1ボルトと3ボルトの間、又別の実施形態においては約1.6ボルトから約2.4ボルトの間など、比較的低電圧のDC電源供給で動作することができる。
【0023】
他の実施形態において、光放射源は、発光ダイオード(LED)及びLEDの変形を含む固体照射(SSL)であり、そのLEDの変型は、端面発光LED(EELED)、面発光LED(SELED)又は高輝度LED(HBLED)などである。LEDは、AlInGaN/AIN(285nmから発光)、SiC、AlInGaN、GaAs、AlGaAs、GaN、InGaN、AlGaN、AlIn−GaN、BaN、InBaN、AlGaInP(NIR及びIRで発光)などのような様々な材料を基礎とすることができる。LEDは又、活性物質としてのポリマーで構成され且つ広範囲な発光スペクトルを有する有機LEDを含む。放射源は、LEDダイの形状、透明な閉じ込め領域を有するLED、フォトニクス結晶構造、又は共振空洞発光ダイオード(RCLED)のLEDとすることができる。
【0024】
他に考えられるものとして、好ましくは広域発光スペクトル源を提供することができる超発光ダイオード(SLD)又はLEDが挙げられる。加えて、半導体レーザ(LD)、導波路レーザーダイオード(WGLD)、及び垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)もまた利用することができる。LEDに使用される同じ材料を、ダイオードレーザに使用することができる。他に考えられるものとして、半導体レーザ励起を伴うファイバレーザ(FL)が挙げられる。LD、LED又は電流/電圧源からの電子又は光励起を用いた蛍光固体光源(FLS)も又、放射源とすることができる。FLSは、電子励起を用いた有機繊維とすることができる。
【0025】
白熱ランプ、蛍光ランプ、マイクロハロゲン化金属ランプ又は他の好適なランプなどのランプも又、本発明で使用されてもよい。ランプは、白色、赤色、NIR及びIR照射の放射源となることができる。5〜100ミクロンの範囲には、量子カスケードレーザ(QCL)又は遠赤外線発光ダイオードを使用することができる。様々な放射源によって、センサー応答式の歯ブラシのための必要な光放射を、寸法、所要電力、所与の手入方法、及びそれらの組合せに応じて供給できることが、当業者には理解されよう。
【0026】
発光ダイオードの場合、主波長又は中心波長は、連続スペクトルに対しては次式によって決定することができる。
【数1】

離散スペクトルに対しては次式によって決定することができる。
【数2】

上式において、Iは照度であり、λは波長である。
【0027】
これらの式については、国際照明委員会(International Commission of Illumination)発行の、「LEDの測定(Measurement of LEDs)」と題されたCIE 127(1997)に更に述べられている。これらの式及び技法は又、LED以外の発光要素にも適用することができ、又、当該技術分野において既知の他の技法及び式を利用して、発光要素の主波長又は中心波長を決定することもできる。発光要素のスペクトル特性(例えばピーク波長)、測光特性(例えば光度)、放射特性(例えば放射強度)、及び比色特性(例えば主波長)は、フロリダ州オーランドのオプトロニック・ラボラトリーズ社(Optronic Laboratories, Inc.)により製造されているOL 730CV Radiometer/Photometerなど、当該技術分野において既知の装置を使用して測定することができる。光には、主波長又は中心波長を有さないものもある(例えば白色光)。
【0028】
前述のように、「光」という語は、可視光及び非可視光(例えば紫外光及び赤外光)の双方のスペクトルを包含することを意図するものである。このスペクトルは、約10nm(遠紫外)の主波長又は重心波長を有する光から10nm(赤外)の重心波長を有する光にまで及んでもよく、又、そのスペクトルは、約370nmと約770nmの間の重心波長を有する可視光を含んでもよい。更に、そのスペクトルは、約370から約500の間の重心波長を有する可視光を含んでもよい。これはピーク波長と異なっていてもよく、ピーク波長はLEDの放射強度が最大となる波長である。
【0029】
本明細書で説明する歯ブラシは、1つ以上の口腔手入組成物を分配することができる。これらの実施形態の場合、歯ブラシは、1つ以上のカートリッジを有する分配システムを利用することができ、そのカートリッジはそれぞれ、特定の口腔手入組成物及びRSG剤を含んでいる。カートリッジ、分配システムなどの更なる詳細は、2003年4月25日出願の米国特許出願公報第2003/0194678号に記述されている。RSG剤を有する口腔手入組成物を軟質組織に供給する他の手段には、ストリップ、トレー、塗布具上のペイントなどが挙げられる。本発明の方法において使用するのに好適なストリップの例には、米国特許第6,096,328号、第6,136,297号、第6,045,811号、第5,989,569号、第5,894,017号、第5,891,453号、第5,879,691号、第6,277,458号、第6,287,120号、及び第6,343,932号が挙げられるが、これらに限定はされない。本発明の方法において使用するのに好適なトレーの例には、米国特許第5,846,058号、第5,816,802号及び第5,895,218号に記載されているトレー、並びに、米国特許第5,310,563号に記載されているトレーなど、他の事前装填される装置が挙げられるが、これらに限定はされない。本発明の手入方法は又、口腔に配置すると溶解するストリップ、フィルム、又は層の形式とした口腔手入組成物を使用することを含んでいる。典型的には、そのようなフィルムは迅速に溶解し、60秒未満で又しばしば30秒未満で溶解する。そのようなフィルムの更なる非限定的な詳細は、米国特許第5,948,430号及び第6,709,671号に記載されている。ストリップ、フィルム、又は層は、例えば舌の上などの対象の表面上にフィルムを配置し、次いでそのフィルムを溶解させることによって使用することができる。(i)表面上へのフィルムの配置、(ii)そのフィルムの溶解、又は(iii)フィルム溶解の完了に先立って、それと同時に、又はそれに続いて、本明細書で説明したように口腔手入器具を使用することができる。例えば、舌手入用装置又は歯ブラシを使用することができる。1つ以上のこれらの塗り付け手段を含み、更に、歯ブラシハンドル又は本体と交換式ヘッド構成要素の集合を含み、その交換式ヘッド構成要素のそれぞれが歯ブラシの本体と係合することができるキットを提供することができる。
【0030】
本明細書における口腔手入組成物は又、増粘剤を含んでもよい。一実施形態において、増粘剤(又は粘度調整剤)は又、軟質組織上での組成物の固着性を高めるように機能することができる。粘度調整剤は、組成物の重量で約0.01%〜約20%、一実施形態においては約0.1%から約10%、別の実施形態においては約1%から約3%、又更に別の実施形態においては約0.4%から約5%の濃度で存在してもよい。本明細書における好適な粘度調整剤は、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、カルボマーポリマー(例えば、ポリアクリル酸共重合体又は単独重合体及びポリアルケニルポリエーテルにより架橋したアクリル酸の共重合体)、カラヤゴム、ガーゴム、ゼラチン、アルギン、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ポリ酸化エチレン、アクリルアミド重合体ポリビニルアルコール、ポリアミン、四元ポリマー(polyquarternary)化合物、エチレンオキシドポリマー、ポリビニルピロリドン、カチオンポリアクリルアミド重合体、及びそれらの混合物などの天然及び合成ポリマー及びゴムが挙げられる。一実施形態において、増粘剤は、カルボマー、例えば、ペンタエリスリトールのアルキルエーテル又はスクロースのアルキルエーテルで架橋したアクリル酸のホモポリマー類から選択される。カルボマーは、B,F.グッドリッチ(B,F. Goodrich)からカーボポールシリーズ(Carbopol series)として市販されている。一実施形態において、そのカーボポールは、Carbopol 934、940、941、956及びこれらの混合物である。別の実施形態において、粘度調整剤は、疎水変性カルボマーである。疎水変性カルボマーは、本明細書における組成物及び/又は一体担体の歯表面への固着性を向上させ、又、歯表面に塗り付けた後の組成物の侵食を遅らせることができる。好適な疎水変性カルボマーには、いずれもB,F.グッドリッチ(B,F. Goodrich)から入手可能なCarbopol(カルボポール) 1382、Carbopol(カルボポール) 1342、Carbopol(カルボポール) 1392、及びCarbopol(カルボポール) ETD 2020などのアクリル酸塩/C10〜C30アクリル酸アルキルクロスポリマー、並びに、共にB,F.グッドリッチ(B,F. Goodrich)から入手可能なPemulen(ペムレン) TR−1及びPemulen(ペムレン) TR−2などのアクリラート/C10〜C30アクリル酸アルキルクロスポリマーが挙げられる。一実施形態において、疎水変性カルボマーとカルボマーの混合物を使用することができる。別の実施形態において、カルボキシ変性シリコーン(carboxy functional silicone)(二価酸、一価酸)が、軟質組織上へのRSG剤の固着性を高めるために用いられる。
【0031】
本発明で使用することができるもう1つの処理剤は、光学的結合剤である。これらの化合物は、組織表面での光散乱の量を減じることによって、下方にある組織への光学的アクセス(光アクセス)を向上させる。例示的な光学的結合剤には、グリセロール、グルコース、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、X線造影剤(Trazograph−60、Trazo−graph−76、Verogrann−60、Verografinー76、及びHypaque−60)、タンパク質(ヘモグロビン、アルブミン)、及びそれらの組合せが挙げられる。光学的結合剤は又、エタノール及び水などの添加剤(例えば、エタノール、グリセロール及び水)と共に使用することができる。
【0032】
発光と、口腔手入組成物の活性化又は投与とが、同時に又はほぼ同時に生じる場合、分配された組成物は、放射された光の領域又は光束を通過し、それによって少なくとも部分的に組成物が活性化されるという方策を、本発明は有している。組成物は口腔内で分配されるため、活性化は、放射された光に曝されることによって継続することができる。
【0033】
更に別の実施形態において、電動歯ブラシからの放射に曝されるのに先立って及び/又はその後に、口腔の軟質組織を処置するためにすすぎ剤が用いられる。そのすすぎ剤はRSG剤を含んでおり、所望により、そのRSG剤に染色性を与え、及び/又は軟質組織への付着を助けるポリマーを含んでいる。次いで、歯が、前述の口腔手入器具を使用してブラッシングされ、口腔の軟質組織が口腔手入器具のヘッドからの発光に曝される。すすがれた表面は、すすぎ剤と接触している間若しくはその直後に光に曝されてもよく、又、約0秒から約2秒の時間遅れが、すすぎを行ってからすすぎ後の表面を光に曝すまでの間に生じてもよい。本明細書で説明したステップの組合せに従うようにユーザーに指示する説明を、パッケージに印刷することができる。
【0034】
別の実施形態において、口腔手入組成物は、舌手入用装置と併せて利用される。その組成物は好ましくは、舌との接触に先立って、それと同時に、又はそれに続いて塗り付けられる。一般に、舌の表面全体にわたる舌手入用装置の接触又は移動(おそらく舌と直接接触しない)は、約0秒から約5分、約0秒から約2分、約0秒から約1分、約0秒から約30秒の時間内に実施される。又、留意すべきこととして、いかなる引っ掻き又は接触をも生じることなく、舌などの対象となる領域又は表面に光が向けられるように装置を合わせることによって口腔手入装置が使用される方法を、本発明のレジメンは含んでいる。この場合、発光要素から出力される光は単に、舌の上面の一部分又は実質的に全てに広がるRSG剤を活性化するのに十分な所定の期間にわたって、舌の表面に放射される。そのような方策は、全体的な、又はより広範囲な方法の一部分として用いることもできる。
【0035】
前述の方法は、1日に約1回、2回、3回、4回から約5回、4回、3回、2回、1回、約1日から約8週にわたって繰り返すことができる。加えて、前述の方法は、無期限に、例えば毎日の口腔手入方法の一部分として用いることができる。
【0036】
更に、本発明の方法について、主として、電動式の可動毛アセンブリを有する電動歯ブラシと関連して説明してきたが、本発明には、歯ブラシ以外の、又は本明細書で説明した歯ブラシ以外の口腔手入器具が含まれる。例えば、本発明には、同様に本明細書で説明した1つ以上の口腔手入組成物と共に使用される手動歯ブラシが含まれる。
【0037】
先に述べたように、本発明の器具は様々な方式で使用することができる。本発明の器具は、従来のブラッシング方法で使用することができ、そのブラッシングレジメンでは、RSG剤を含んだすすぎ剤が使用され、又、歯が歯肉線の付近で通常の方式でブラッシングされる一方で、発光要素に電圧が印加されることが理解されよう。所定の長さの時間の後、信号がユーザーに送られてもよい。例えば、発光要素がオン状態であるという信号、又は、ある時点で上側及び下側の歯列の歯肉に沿ってブラシを移動させるべきであるという信号が、ユーザーに送られてもよい。発光要素がオフ状態になっていることを示す別の信号が、ユーザーに送られてもよい。ブラシヘッドの背面が発光要素及び/又は舌の手入用構造を組み込んでいる場合、ある時点でブラシヘッドの背面を舌の表面の全体に又は舌の表面の近傍で移動させるべきであることを示すために、別の信号が送られてもよい。或いは、ブラシヘッドを舌全体に移動させるステップをブラッシング方法の一部として組み入れるようにユーザーに指示する歯ブラシの包装箱等を用いて、歯ブラシのユーザーに指示が与えられてもよい。方法の別の実施形態において、すすぎ剤を組み込んだ従来のブラッシング方法の前又は後に、RSG剤を含んだ別個の組成物を軟質組織に塗り付けることができる。例えば、RSG剤を含んだ口腔手入組成物を軟質組織に塗り付けてもよく、次いで、RSG剤を活性化させるのに十分な所定期間にわたって、発光要素を組み込んだ歯ブラシを利用して光出力を軟質組織に放射することができ、次いですすぎ剤が歯ブラシヘッドに塗り付けられ、発光要素を有さない歯ブラシヘッドなど、異なる歯ブラシヘッドをおそらくは用いて、従来の歯のブラッシングレジメンが行われる。これらのステップの順序は逆にされてもよい。更に、発光要素を有するブラシヘッドを舌全体に移動させて、RSG剤を活性化するのに十分な時間にわたって光を舌に放射することを目的とした特定のステップを、プロセスの任意の時点に含めてもよい。RSG剤を活性化するのに必要な時間は、歯列弓1つ当たり又は舌全体につき、約2分未満、又は約90秒未満、又は約60秒未満、又は約30秒未満で且つ、約5秒超、又は約10秒超、又は約15秒超、又は約20秒超であってもよい。所定期間が経過したという信号をいつユーザーに送るかを決定するために、タイマーを利用してもよい。
【0038】
次の特許出願及び特許、即ち、2003年9月9日出願の米国出願第60/501,266号、2004年4月26日出願の米国出願第10/832,168号、2004年5月17日出願の米国特許出願第10/847,429号、2004年5月10日出願の米国特許出願第10/842,302号、2004年7月9日出願の米国特許出願第10/887,644号、2004年7月9日出願の米国特許出願第10/887,667号、2004年7月9日出願の米国特許出願第10/888,206号、2004年2月10日出願の米国公開出願US2004/0191729A1、2004年2月10日出願の米国公開出願US2004/0193235A1、2004年2月10日出願の米国公開出願US2004/0193236A1、2004年2月10日出願の米国公開出願2004/0199227A1、2004年2月10日出願の米国公開出願US2004/0204745A1、2004年2月10日出願の米国公開出願US2004/0210276A1、及び米国特許第6,648,904号は、本明細書で説明する歯ブラシの様々な態様について、更に詳細に示している。
【0039】
本発明の口腔手入器具に関する更なる態様、詳細、及び変形設計は、米国特許第3,624,219号、第4,066,745号、第4,834,969、第5,057,308号、第5,057,309号、第5,057,310号、第5,082,444号、第5,095,615号、第5,096,699号、第6,214,320号、第6,509,007号に記載されている。欧州公報第EP1104669号及び2005年3月9日出願の国際出願第2005/008050号に加えて、同様に類似の情報を含み得る公開米国出願には、第2001/0002994号、第2003/0082113号、第2003/0190292号、及び第2004/0014001号が挙げられる。本明細書で引用した全ての文書は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文書の引用も、それが本発明に対する従来技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0040】
留意すべき重要なこととして、本明細書で説明する方法及び/又は製品の特徴、態様、又は詳細は、本明細書で説明する1つ以上の他の方法又は製品の他の特徴、態様、又は詳細と、完全に又は部分的に組み合わせることができる。
【0041】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文書は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文書の引用も、それが本発明に対する従来技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。従って、本開示の範囲内にあるそのようなすべての変更および修正は、添付の特許請求の範囲で扱うこととする。
【0042】
本発明は、特定の部品及び部品の構成において具象的な形式を取ることができるが、その実施形態が本明細書において詳細に説明され、又、本明細書の一部分を成す添付の図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による電動歯ブラシの斜視図。
【図2】図1の電動歯ブラシの頂面図。
【図3】線3−3に沿った図2の歯ブラシの側断面図。
【図4A】使用時の本発明の歯ブラシヘッドの端面図。
【図4B】使用時の本発明の歯ブラシヘッドの端面図。
【図5A】本発明の歯ブラシヘッドの部分底面図。
【図5B】本発明の歯ブラシヘッドの部分底面図。
【図5C】本発明の歯ブラシヘッドの部分底面図。
【図6】本発明の舌用装置の斜視図。
【図7】図6の舌用装置の底面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内の1つ以上の微生物に作用する方法であって、
反応種生成剤を含む組成物を前記口腔内に導入するステップと、
発光素子からの出力を、1つ以上の反応種を前記反応種生成剤から生成するのに十分な時間、前記口腔の軟質組織の一部分に向けるステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記組成物はすすぎ剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記軟質組織は舌を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記軟質組織は歯茎を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ヘッドとハンドルとを有する電動歯ブラシを更に備え、前記ヘッドは前記発光素子を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記反応種は活性酸素種を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記発光要素は前記ヘッドの頂面と鋭角を成す、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記発光要素は前記ヘッドの背面に配設される、請求項5又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記ヘッドの前記背面は1つ以上の突出部を更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の突起部は弾性壁を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第2の組成物を前記口腔に塗り付け、1本以上の歯を磨くステップを更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の組成物は歯磨剤である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の組成物を塗り付けるステップは、前記第1の組成物を塗り付けるステップの前に生じる、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記発光要素の前記出力は、約100mW/cm2未満の強度を有する光である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−534148(P2008−534148A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504309(P2008−504309)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/011455
【国際公開番号】WO2006/107676
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】