説明

口腔用軟膏

【課題】患部への塗布性、患部への初期及び経時滞留性に優れ、保存安定性に優れた口腔用軟膏を提供する。
【解決手段】(a)1質量%水溶液の粘度(20℃)が5〜100mPa・sであるアルギン酸塩0.1〜1.0質量%と、
(b)カルボキシビニルポリマー2.0〜12.0質量%とを含有し、
(b)/(a)で表される(a)成分と(b)成分との含有質量比が5〜50であって、
pHが3.0以上6.00未満である口腔用軟膏(但し、(a)成分を0.2〜0.44質量%を含有する口腔用軟膏を除く)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患部に直接付着させて適用する口腔用軟膏に関するものである。
【背景技術】
【0002】
口腔用軟膏は、唾液により製剤が洗い流されやすく、薬剤をいかに口中患部に留めるかが製剤設計上重要であり、患部への塗布性、患部への滞留性が求められる。さらに、口腔用軟膏は、塗布直後の初期滞留性の向上も重要であるが、長時間口中内に製剤が留まるための、経時での滞留性の向上はさらに重要である。滞留性向上の点から、製剤のゲル構造を構築する成分としてカルボキシビニルポリマーが提案されている(特許文献1,2参照)。しかしながら、カルボキシビニルポリマーは唾液中の塩分により、経時で収縮・縮退して液状化していくため、唾液により製剤が洗い流されやすくなり、経時での滞留性の改善が求められていた。また、アルギン酸塩を用いる技術も提案されているが(特許文献3参照)、これは、液状口腔用組成物であり、経時での滞留性の点からはその効果は不十分であった。
【0003】
一方、アルギン酸塩を含有する製剤のpHが6.0未満では、組成によっては経時で粘度低下が生じ、保存安定性に問題があり、pHを6.0以上とすることで保存安定性を向上させる技術が提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−126133号公報
【特許文献2】特開2006−182699号公報
【特許文献3】特開2008−7413号公報
【特許文献4】特開2006−206581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、患部への塗布性、患部への初期及び経時滞留性に優れ、粘度及び滞留性の保存安定性(以下、特に明記がない場合は、「保存安定性」は、粘度及び滞留性の保存安定性を示す)に優れた口腔用軟膏を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(a)特定のアルギン酸塩と、(b)カルボキシビニルポリマーとをそれぞれ特定量で併用し、(b)/(a)で表される含有質量比を5〜50とすることにより、患部への塗布性、患部への初期及び経時滞留性に優れることを知見した。さらに、上記組み合わせにおいて、pHを3.0以上6.00未満にすることにより、経時での粘度低下を抑制し、保存安定性が向上すると共に、口腔粘膜への製剤の親和性を向上し、薬剤の延ばしやすさ及び粘膜への乗せやすさといった患部への塗布性(保存後も含む)がさらに向上することを知見した。上述したように、アルギン酸塩を含有する製剤のpHが6.00未満では、経時、特に高温保存で粘度低下が生じることを、カルボキシビニルポリマーとの特定質量比での組み合わせにより解決し、さらに、患部への塗布性が向上することは本発明者らの新知見である。なお、出願人は先に(a)成分を0.2〜0.44質量%を含有する口腔用軟膏を出願しているため(特願2009−217595)、特許請求の範囲において、上記範囲を除く旨を明らかにした。
【0007】
従って、本発明は下記口腔用軟膏を提供する。
[1].(a)1質量%水溶液の粘度(20℃)が5〜100mPa・sであるアルギン酸塩0.1〜1.0質量%と、
(b)カルボキシビニルポリマー2.0〜12.0質量%とを含有し、
(b)/(a)で表される(a)成分と(b)成分との含有質量比が5〜50であって、
pHが3.0以上6.00未満である口腔用軟膏(但し、(a)成分を0.2〜0.44質量%を含有する口腔用軟膏を除く)。
[2].さらに、(c)ポビドンを含有する[1]記載の口腔用軟膏。
[3].さらに、(d)セルロース系高分子化合物を含有する[1]又は[2]記載の口腔用軟膏。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、患部への塗布性、患部への初期及び経時滞留性に優れ、保存安定性に優れた口腔用軟膏を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の口腔用軟膏は、
(a)1質量%水溶液の粘度(20℃)が5〜100mPa・sであるアルギン酸塩0.1〜1.0質量%と、
(b)カルボキシビニルポリマー2.0〜12.0質量%とを含有し、
(b)/(a)で表される(a)成分と(b)成分との含有質量比が5〜50であって、
pHが3.0以上6.00未満である口腔用軟膏(但し、(a)成分を0.2〜0.44質量%を含有する口腔用軟膏を除く)ものである。
【0010】
(a)アルギン酸塩
アルギン酸塩の具体的なものとしては、アルギン酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。本発明のアルギン酸塩の粘度は、保存安定性の点から粘度が低いものが好ましく、1質量%水溶液の粘度(20℃)が5〜100mPa・sであり、保存安定性の点からは5〜50mPa・sが好ましく、5〜30mPa・sがさらに好ましい。上記粘度範囲(5〜100mPa・s)外のものであれば、保存安定性が不十分となり、保存後の製剤粘度が低下することで、保存後の口腔への滞留性が低下する。なお、粘度の測定は、BL型回転粘度計、ローターNo.1〜4、回転数60rpm、回転60秒後で測定する。
【0011】
アルギン酸塩の含有量は、口腔用軟膏に対して0.1〜1.0質量%であり、0.15〜0.7質量%が好ましく、0.2〜0.4質量%がさらに好ましい。0.1質量%未満だと、目的とする効果を得ることができず、1.0質量%を超えると、保存安定性が不十分となり、保存後の製剤粘度が低下することで、保存後の口腔への滞留性が低下する。
【0012】
(b)カルボキシビニルポリマー
(a)アルギン酸塩と(b)カルボキシビニルポリマーとの組み合わせにより、患部への塗布性、患部への初期及び経時滞留性、ならびに保存安定性を向上させることができる。カルボキシビニルポリマーとしては、0.2質量%水溶液の粘度(20℃)[条件はBH型回転粘度計、ローターNo.6又は7、回転数20rpm、回転60秒後]で、5,000〜50,000mPa・sのものが好ましく、10,000〜40,000mPa・sがより好ましく、16,000〜27,000mPa・sがさらに好ましい。
【0013】
なお、カルボキシビニルポリマーには、その塩も含まれる。カルボキシビニルポリマーの具体的な製品としては、カーボポール914、934、934P、940、941、971P、974P、980、981、2984、5984、ETD2050、Ultrez10(NOVEON社製)、ジュンロンPW−110、PW−111、PW−150、PW−302、PW−310、PW−350(日本純薬(株)製)、ハイビスワコー103、104、105(和光純薬工業(株)製)、AQUPECHV−501、HV−504、HV−505(住友精化(株)製)等が挙げられる。カルボキシビニルポリマーは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0014】
(b)カルボキシビニルポリマーの含有量は、口腔用軟膏に対して2.0〜12.0質量%であり、2.0〜10.0質量%が好ましく、2.0〜7.0質量%がより好ましく、2.0〜5.1質量%がより好ましく、2.2〜4.0質量%が特に好ましい。2.0質量%未満だと目的とする効果が得られず、12.0質量%を超えると、製剤調製時のハンドリング性が悪くなりやすい。
【0015】
目的とする効果を得るためには(a)成分と(b)成分との含有質量比が重要である。(b)/(a)で表される(a)成分と(b)成分との含有質量比は5〜50であり、5.0〜40が好ましく、6〜20がより好ましく、7〜18がさらに好ましい。上記比率が5未満だと、滞留性(保存後も含む)が不十分となる。一方、上記質量比が50を超えると、経時滞留性が悪くなる。
【0016】
本発明の口腔用軟膏のpHは3.0以上6.00未満である。pHが3.0未満だと、滞留性(保存後も含む)が不十分となり、保存安定性が悪くなり、歯への悪影響(溶解)や刺激が生じるおそれがある。6.00以上だと、口腔粘膜への塗布性及び保存安定性が悪くなる。上記pHは4.0〜6.00未満が好ましく、4.5〜6.0未満がより好ましく、5.0〜5.9がさらに好ましい。
【0017】
なお、pHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカリや、有機酸(クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸等、グリコール酸)、無機酸(塩酸、リン酸)等の酸で適宜調整される。なお、pHは、温度(25℃)で日本薬局方一般試験法pH測定法に従い測定する。
【0018】
本発明の口腔用軟膏には、初期滞留性向上を目的として、さらに(c)ポビドンを配合することが好ましい。ポビドンはポリビニルピロリドンであり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ポビドンとしては、5質量%水溶液(25℃)[条件はBH型回転粘度計、ローターNo.4〜7、回転数20rpm、回転60秒]で、1,500〜60,000mPa・sが好ましく、20,000〜60,000mPa・sがより好ましく、50,000〜60,000mPa・sがさらに好ましい。粘度が高すぎると、製剤調製時のハンドリング性が悪くなる(ままこになりやすい)おそれがある。
【0019】
(c)ポビドンの含有量は、口腔用軟膏に対して0.5〜15.0質量%が好ましく、0.7〜10.0質量%がより好ましく、0.9〜5.0質量%がさらに好ましい。0.5〜15.0質量%の範囲で配合効果をより得ることができ、配合量が多すぎるとべたつくおそれがある。
【0020】
本発明の口腔用軟膏には、滞留性及び塗布性向上を目的として、さらに(d)セルロース系高分子化合物を配合することが好ましい。セルロース系高分子化合物としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)がより好ましい。セルロース系高分子化合物としては、2質量%水溶液(20℃)[条件はBL型回転粘度計、ローターNo.1〜4、回転数12〜30rpm、回転60秒後]で、1,500〜10,000mPa・sが好ましく、2,500〜5,000mPa・sがより好ましく、3,000〜4,500mPa・sがさらに好ましい。粘度が高すぎると、製剤調製時のハンドリング性が悪くなる(ままこになりやすい)おそれがある。
【0021】
(d)セルロース系高分子化合物の含有量は、口腔用軟膏に対して0.1〜1.0質量%が好ましく、0.15〜0.7質量%がより好ましく、0.2〜0.5質量%がさらに好ましい。0.1〜1.0質量%の範囲で上記配合効果をより得ることができ、配合量が多すぎるとぬるつきが生じるおそれがある。
【0022】
本発明の口腔用軟膏には、薬剤(有効成分)を配合することができ、口腔用軟膏が患部への塗布性、患部への初期及び経時滞留性に優れることから、より薬剤の効果を発揮することができる。薬剤としては下記が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。なお、下記分類には薬剤の効果により重複して記載されるものが含まれる。
【0023】
殺菌剤としては、ヨウ素・ヨウ化カリウム、液状フェノール・フェノール、塩化セチルピリジニウム、グルコン酸クロルヘキシジン・塩酸クロルヘキシジン、塩化デカリニウム、クレオソート、チモール、トリクロカルバン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、アクリノール、オキシドール、エタノール、イソプロパノール、マーキュロクロム、クレゾール、イソプロピルメチルフェノール、サリチル酸フェニル、スルファジアジン、ホモスルファミン、ケイヒ油等が挙げられる。
【0024】
抗炎症剤としては、トラネキサム酸、塩化リゾチーム、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム・グリチルリチン酸アンモニウム・グリチルレチン酸、ブロメライン、セラペプターゼ、プラノプロフェン、イブプロフェンピコノール、プレステロン、シコンエキス、エピジヒドロコレステリン、ブフェキサマク、ウフェナマート、ミルラチンキ、サイコ、ブクリョウ、オウバク、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロンアセトニド等が挙げられる。
【0025】
抗ヒスタミン剤としては、マレイン酸クロルフェニラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェニルピラリン、メキダジン、塩酸トリプロリジン、マレイン酸カルビノキサミン、塩酸ジフェンヒドラミン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、塩酸プロメタシン、テオクル酸プロメタジン、塩酸メクリジン、塩酸イソペンチル等が挙げられる。
【0026】
組織修復剤としては、銅クロロフィリンナトリウム、アラントイン、アルジオキサ、メチルメチオニンスルホニウムクロリド、スクラルファート、塩酸セトラキサート、ソファルコン、ゲファルナート、マレイン酸トリメブチン、テプレノン、ヘパリン類似物質等が挙げられる。
【0027】
局所麻酔剤としては、塩酸ジブカイン、ジブカイン、塩酸リドカイン、リドカイン、アミノ安息香酸エチル、オキゼサゼイン、テーカイン等が挙げられる。
【0028】
生薬としては、ケイヒ・ケイヒ油、ミルラチンキ、サイコ、ブクリョウ、オウバク、チョウジ成分、カミツレチンキ、ラタニアチンキ、エンゴサク、ショウマ、キキョウ、ベニバナ等が挙げられる。
【0029】
その他成分としては、グリセリン・濃グリセリン等の局所保護剤、l−メントール、ハッカ油、dl−メントール等の局所刺激剤、ヒノキチオール等の組織収斂・殺菌剤、カルバゾクロム等の止血剤、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、酢酸トコフェロール・コハク酸トコフェロールカルシウム、パントテノール、塩酸ピリドキシン等のビタミン剤、ニコチン酸ベンジル等の血行促進剤、ポリエチレンスルホン酸ナトリウム等の血行促進剤、塩酸ミノサイクリン等の抗生物質等が挙げられる。
【0030】
その他任意成分としては、湿潤剤、界面活性剤、溶剤、パラフィン等が挙げられる。
湿潤剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、PEG、ソルビトール、水あめ、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール等が挙げられる。
【0031】
界面活性剤としては特に限定されないが、ノニオン界面活性剤が好ましい。ノニオン界面活性剤としては、POE硬化ヒマシ油、(POE)ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ソルビタン、(ポリ)プロピレングリコール脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0032】
溶剤としては、水、エタノール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
【0033】
本発明の口腔用軟膏の製造方法は特に限定されず、例えば、(a)成分及び(b)成分と、任意成分ならびに水(残部)を混合することにより得ることができる。口腔用軟膏の粘度(20℃)[条件はBH型回転粘度計、ローターNo.7、回転数20rpm、回転60秒後]は、本発明の効果は粘度に依存するものではないが、本発明の構成を満たした上で、50〜300Pa・sに、好ましくは60〜200Pa・sに粘度を調整することにより、好適な塗布性と滞留性をさらに兼ね備えることができる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例、参考例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示し、表中の各成分の量は純分換算した量である。
【0035】
[実施例1〜7、参考例1〜33、比較例1〜10]
表1〜9に示す組成の口腔用軟膏を常法により調製し、下記評価を行った。結果を表中に併記する。なお、実施例の口腔用軟膏の初期粘度(20℃)[条件はBH型回転粘度計、ローターNo.7、回転数20rpm、回転60秒後]は、50〜300Pa・sの範囲に入るものであった。なお、表中にはアルギン酸ナトリウムの1質量%水溶液の粘度(20℃、BL型回転粘度計、ローターNo.1〜4、回転数60rpm、回転60秒後で測定)を記載した。
【0036】
[I]滞留性(初期・経時)、口腔粘膜への塗布性
サンプル(口腔用軟膏)約0.3gを指に取り、歯グキに塗りこむ。この時点で下記滞留性初期評価及び口腔粘膜への塗布性(親和性)評価を行い、塗布20分後に下記滞留性経時評価を行った。
【0037】
<滞留性初期評価>
パネラー20名で、下記使用感評点に基づき初期滞留性を官能評価した。結果を20名の平均値から、下記評価基準に基づいて効果を判断した。
[使用感評点]
5点:非常に強く感じる
4点:強く感じる
3点:感じる
2点:やや感じる
1点:感じない
[評価基準]
A:平均4.7点以上
B:平均4.4点以上4.7点未満
C:平均4.0点以上4.4点未満
D:平均3.5点以上4.0点未満
E:平均3.5点未満
【0038】
<口腔粘膜への塗布性(親和性)>
パネラー20名で、下記使用感評点に基づき、口腔粘膜への薬剤の延ばしやすさ及び粘膜への乗せやすさ(塗布性)を官能評価した。結果を20名の平均値から、下記評価基準に基づいて効果を判断した。
[使用感評点]
7点:非常に良い
6点:かなり良い
5点:やや良い
4点:どちらともいえない
3点:やや悪い
2点:かなり悪い
1点:非常に悪い
[評価基準]
A:5.5点以上
B:5.0点以上5.5点未満
C:4.5点以上5.0点未満
D:3.0点以上4.5点未満
E:3.0点未満
【0039】
<滞留性経時評価>
パネラー20名で、下記使用感評点に基づき経時滞留性を官能評価した。結果を20名の平均値から、下記評価基準に基づいて効果を判断した。
[使用感評点]
5点:非常に強く感じる
4点:強く感じる
3点:感じる
2点:やや感じる
1点:感じない
[評価基準]
A:平均3.0点以上
B:平均2.5点以上3.0点未満
C:平均2.0点以上2.5点未満
D:平均1.5点以上2.0点未満
E:平均1.5点未満
【0040】
[II]保存安定性
サンプル(口腔用軟膏)50gを50mLのガラス瓶につめ、40℃・3ヶ月保存後の安定性を下記評価基準で評価した。
[評価基準]
粘度安定性(%)=40℃・3ヶ月後の粘度値/初期の粘度値×100
A:90%以上
B:80%以上90%未満
C:70%以上80%未満
D:60%以上70%未満
E:60%未満
【0041】
[III]保存後の滞留性
上記[II]で保存したサンプル(口腔用軟膏)について、[I]滞留性(初期・経時)と同様の評価を行った。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
【表5】

【0047】
【表6】

【0048】
【表7】

【0049】
【表8】

【0050】
【表9】

【0051】
本発明の滞留性効果をさらに確認するために、下記滞留性の過酷試験を行った。
参考例1、比較例3及び比較例8の口腔用軟膏(初期)99.8%に色素(ボルドーS和光純薬工業(株))0.2%を添加し、約0.1gヘアレスマウス(各n=3)皮膚(直径2.5cmの円)上に均一に塗布した。これを人工唾液中(30mL)に入れ穏やかにマグネチックスターラーで攪拌した。経時的(0、1、3、5、15分)にサンプリングし、色素濃度を吸光度計(波長520nm)により測定し、基剤の残存性について検討した。初期残存率100%とし、0.1gのサンプルを人工唾液30mLに完全溶解させた吸光度計の数値を残存率0%とした。結果を表10に示す。
【0052】
【表10】

【0053】
なお、実施例で使用した原料を下記に示す。
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1質量%水溶液の粘度(20℃)が5〜100mPa・sであるアルギン酸塩0.1〜1.0質量%と、
(b)カルボキシビニルポリマー2.0〜12.0質量%とを含有し、
(b)/(a)で表される(a)成分と(b)成分との含有質量比が5〜50であって、
pHが3.0以上6.00未満である口腔用軟膏(但し、(a)成分を0.2〜0.44質量%を含有する口腔用軟膏を除く)。
【請求項2】
さらに、(c)ポビドンを含有する請求項1記載の口腔用軟膏。
【請求項3】
さらに、(d)セルロース系高分子化合物を含有する請求項1又は2記載の口腔用軟膏。

【公開番号】特開2011−207781(P2011−207781A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74785(P2010−74785)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】