説明

口腔表面での細菌接着を阻害するか又は抑制する粒子、関連の組成物及び方法

口腔表面でのペリクル形成,プラーク形成、バイオフィルム形成、及び細菌の接着又は付着の阻害のための、生体接着ポリマーへ付いている酸化物又はその塩を含んでなるコアを有する粒子を含んでなる口腔用ケア(製品)について記載する。前記組成物を使用して口腔表面を治療する方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
背景技術
[0001] 歯腐食のプロセスは、綿密に調査されてきた主題である。歯の腐食は、典型的には、歯の表面を削って侵食する、そしてあるいは歯肉や軟らかい歯組織の表面を刺激するか又は攻撃する、酸分泌性の細菌を含有するプラークの形成から始まるプロセスにより引き起こされる。プラーク形成は、歯のブラッシングや専門的な歯洗浄の数分後から始まり、それから数時間以内には、細菌の付着が生じる。
【0002】
[0002] 定期的に繰り返すプラーク除去は、歯の腐食を停止状態に保つ主たる手段であるが、プラーク細菌とその酸の歯表面との直接接触を防ぐための交換可能な保護コーティング剤として、専門的に適用される固体ポリマーシーラントが利用されてきた。抗菌剤も、口腔細菌を殺すだけでなく、ある場合は、組成物での歯磨きの後に形成されるプラーク層における細菌増殖に抗する一時的な残留効果をもたらす歯処置組成物に含まれている。
【0003】
[0003] しかしながら、接触するポリマー層で歯をシールするまでもなく、そして歯の専門家が介入するまでもなく、歯や口腔軟組織の表面への細菌付着を妨げるか又は阻害するのに有効な戦略を提供することが望ましいであろう。
【0004】
発明の簡単な要約
[0004] 本発明は、細菌の口腔表面への付着を壊す、及び/又は妨げる粒子と、該粒子を含有する組成物を提供する。該粒子には、(i)酸化化合物又は塩を有するコア、及び(ii)生体接着性ポリマーが含まれる。生体接着性ポリマーは、酸化化合物又は塩へ付いている。また提供するのは、該粒子を製造する方法、該粒子を使用してプラークの口腔表面での形成を阻害するか又は抑制する方法、そして他の関連する方法である。
【0005】
発明の詳細な説明
[0008] 本発明は、表面(産業用、家事用、医学、ヒト、及び動物の体の表面が含まれる)へのバイオフィルム形成及び細菌接着、特に、歯表面への口腔プラーク沈着及び細菌接着を阻害するための組成物及び方法に関する。
【0006】
[0009] 本明細書に記載の組成物は、接着性ポリマー層の適用を必要とすることなく、歯、歯肉、及び他の口腔表面への細菌付着を妨げる、及び/又は壊す。
[0010] 本発明はまた、生物学的表面や他の表面(例、歯表面、粘膜表面、及び/又は皮膚表面)への細菌接着/付着の予防のための利益をもたらすアプローチを概ね提供する。このアプローチは、生体接着性ポリマー、好ましくは、ポリサッカライド、デキストラン、及びヒアルロネート(hyaluronate(HA))のようなポリサッカライドと関連ポリマーの付着防止(anti-fouling)特性を利用する。本発明により、酸化ケイ素(SiO)又は酸化亜鉛(ZnO)の粒子コアのような固体粒子コアへ安定的に付いているそのようなポリマーを含む粒子を提供する。生物学的表面であり得る、口腔表面のような表面へこれらの粒子を適用して、それへの微生物(例、細菌)付着に抗する、並びに処理済み表面への有機分子(例、有機スカム成分)による付着に抗する障壁を創出する。本発明は、そのような表面(例、歯の表面や口腔軟組織の表面)への細菌付着を阻害して、それによりバイオフィルム形成及び沈着の発現及び/又は割合を阻害する、及び/又はバイオフィルム接着の強度を低下させるための方法を提供する。それにより、口腔での使用の場合は、齲歯や歯肉炎及び歯周炎のような歯周病の発現を阻害することができる。例えば、SiO又はZnOの粒子は、表面への適用のための製剤、例えば、歯磨き製剤や他の口腔用ケア消費者製品に含めることができて、好ましくは含めて、そして歯の専門家用の口腔用ケア製品に含めてもよい。
【0007】
[0011] 本発明による粒子には、コアが含まれる。粒子コア(複数)は、少なくとも実質的に非水溶性である固体粒子コア(複数)であってよい。1つの態様において、粒子コアは、少なくとも実質的に非水溶性である金属、半金属、及び非金属;金属、半金属、非金属、及び混合金属のハロゲン化物、炭化物、窒化物、硫化物、酸化物(例えば、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩が含まれる)、等、並びにそれらのセラミック、ミネラル(バイオミネラルが含まれる)、及び合金の1以上を含んでなる微粒子実体であろう。そのような物質の例には、AgBr、AlN、Al、BaLiF、BaY、Bi、CdS、CdSe、CdTe、CuCl、FeC、FeN、Fe、GaAs、GaP、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InSn、KI、LiCaAlF、LiNb、NaCl、NiO、SiC、Si、SiO、SnO、TiN、TiO、WO、YLiF、ZnC、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZrN、ZnO、Sn、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、炭素、ケイ素、ゲルマニウム;これらを含んでなる化合物、塩、及び錯体;並びに、上記のいずれかの互いとの、又はさらなる成分との混合物が含まれる。
【0008】
[0012] 1つの態様において、そのような金属の化合物、塩、及び混合物に使用する金属(複数)は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Zn、Sn、Fe、Se、Cu、Mn、Mo、Co、Ni、Cr、V、W、Ti、及びAlより、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属、Zn、Sn、Fe、Cu、Mn、Mo、及びTiより、より好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属、及びZnより選択される。1つの好ましい態様において、金属(複数)は、アルカリ土類金属のいずれか1つ、Zn、又はこれらの互いとの、又はアルカリ金属との、又はその両方との組合せを含む。
【0009】
[0013] 1つの態様において、固体粒子コアは、酸化化合物又はその塩を含む。好ましい酸化物には、実質的に非水溶性のもの:単純酸化物、炭素酸化物(例、金属炭酸塩)、リン酸化物(例、金属リン酸塩、金属ポリリン酸塩)、イオウ酸化物(例、金属硫酸塩)、ケイ酸塩、及びこれらの組合せが含まれる。1つの態様において、粒子コアは、単純酸化化合物を含む。単純酸化化合物の例には、Al、Fe、MgAl、SiO、SnO、TiO、及びZnO、並びにこれらの組合せ、例えば、xMOy−zAl−SiO系(Mは、金属カチオン(複数)である)が含まれる。好ましい態様において、単純酸化化合物は、SiO又はZnOであってよい。
【0010】
[0014] 1つの態様において、粒子コアは、炭素酸化物、リン酸化物、イオウ酸化物、又はケイ酸塩である少なくとも1つの酸化化合物又は塩を含む。これらのそれぞれの好ましい例には、それぞれホモ及びヘテロ金属:1)炭酸塩、例、CaCO、CaMg(CO;2a)ピロリン酸塩のようなポリリン酸塩、例、Ca、CaMgP、及び2b)リン酸塩、例、Ca(PO、Ca10(PO(OH)のようなヒドロキシアパタイト、Ca10(POOのようなオキシアパタイト、ハロアパタイト、ハロヒドロキシアパタイト、及びCa15(PO(F)Oのようなハロオキシアパタイト;3)硫酸塩、例、CaSO、及びNaCa(SO(F,Cl)のような硫酸塩アパタイト;並びに4)ケイ酸塩、例、AlSiO、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、及びマイカが含まれる。1つの態様では、金属の炭酸塩、リン酸塩、及び硫酸塩が好ましい。1より多いそのような群に属する組合せ酸化物、例えば、Ca10(POCOのような炭酸塩アパタイト、Ca10(SiO(SO(OH,F,Cl)のようなケイ酸・硫酸塩アパタイト、Ca(SO)(CO)のような炭酸・硫酸塩、CaHPOSOのようなリン酸・硫酸塩、並びに、カルシウムのケイ酸・リン酸若しくは硫酸・リン酸カルシウム、例えば、Ca(SiO,PO,SO(F,Cl,O,OH)のようなケイ酸・リン酸塩及び硫酸・リン酸塩を使用してよい。
【0011】
[0015] 固体粒子コアは、代わりに、又は追加して、少なくとも実質的に非水溶性であり、そして好ましくは有意には水膨張性ではない、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル(ポリヒドロキシアルカノエートが含まれる)、等のようなポリマー(複数)を含んでよい。粒子コアが口腔用ケア組成物における使用に選択される場合、それは、口腔に受容される(例えば、使用する条件及び濃度の下で有意な毒性がない、等)。
【0012】
[0016] 粒子コアは、好ましくは、実質的に非水溶性である。本明細書に使用するように、このことは、粒子コアがpH6とpH8の間のpHで、少なくとも3時間、好ましくは少なくとも4時間、少なくとも5時間、又は少なくとも6時間の間、その大きさ(dimensions)を保持することを意味する。ある場合において、口腔表面に沈着した粒子は、細菌又は食物の酸と接触する場合がある。そのような酸性条件が存在することになる場合、好ましくは、粒子コア用の材料は、そのような酸の攻撃に抵抗性であるものか、腐食又は分解して無毒の産物をもたらすもののいずれかである。酸性条件で分解して無毒の産物をもたらすことができる粒子コア材料の例には、無毒の金属炭酸塩、硫酸塩、及びリン酸塩が含まれ、好ましくは金属が無毒のアルカリ土類金属を含む場合、好ましくはカルシウム(即ち、Ca(II)カチオン)が含まれる。
【0013】
[0017] 口腔用組成物の粒子コアへのそのような酸分解性材料の使用は、口腔表面上に層をなす粒子の集団を提供することができて、その粒子は、微生物の酸の産生が有意になる時点ほどに細菌蓄積が生じるまで、不溶性のままである。その時点より、そのような粒子の層は、酸の攻撃に抗するさらなる保護を歯へもたらす、犠牲的な酸中和層として挙動する。そのような粒子はまた、食物の酸(例、酢酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、及び酒石酸が含まれる飽和及び不飽和カルボン酸;及びリン酸)と胃酸(これも同様に歯のエナメル質に侵食することが可能である)のような他の供給源にも由来する酸を中和することに役立つことによって利益をもたらすことができる。
【0014】
[0018] 粒子コアは、どの形態を有してもよい。好ましい形態には、少なくとも実質的に、長球体、楕円体、又は平面体であるものが含まれる。粒子コアは、好ましくは1mm未満である、どのサイズを有してもよい。1つの態様において、粒子コアの平均最大寸法、即ちそれらの平均最大直径や他の軸の寸法は、好ましくは約1nm〜約100μm、より好ましくは約10nm〜約100μmであろう。従って、1つの態様において、このコアのサイズは、ナノ単位(nanoscopic)又はミクロ単位(microscopic)のスケールであろう。1つの態様において、粒子コアは、約1〜約100μm、好ましくは約5〜約50μm、より好ましくは約5〜約25μmの平均サイズを有する。1つの態様において、粒子コアサイズは約1nm〜約1μmであり、従って、粒子コアは、コロイドの大きさを有し得る。1つの態様において、粒子コアは、単一分子の大きさを有し得る。このように、粒子全体は、規則的又は不規則的な高分岐鎖構造、例えば樹状体(dendrimer)又は藪(brush)構造の形態をとり得る。そのような分子スケールのコアは、コアとして使用されるより大きなスケールの「超分子」スケール粒子、例えば、1nm〜1mmサイズのものより識別される。
【0015】
[0019] 超分子スケール粒子コアは、有孔性でも無孔性でもよく、1つの態様において、それらは、少なくとも実質的に無孔性である。有孔材料を粒子コアに使用するか又は粒子コアとして使用する場合、その空孔は、口腔に受容されるもの、例えば抗菌剤(例、トリクロサン)、抗酸化薬、又は疼痛緩和剤のような医薬品;植物抽出物(例、マグノリア抽出物、茶葉抽出物)のようなニュートラシューティカル;ビタミン;口臭改善(breath freshening)剤;あるいは他の薬剤又はそれらの組合せであって、口腔に放出されるものを含有してもよい。
【0016】
[0020] 付着は、当該技術分野で知られているどの手段でもよく、あらゆる種類の結合付着形式、及び/又は1以上の介入又はリンカー分子(複数)を含めてよい。粒子は、粒子コアを含み、その粒子コアは共有又は非共有結合によってその粒子へ付いた少なくとも1つの生体接着性ポリマーとコンジュゲートする。コアへの共有結合の場合、これは、反応基の対が関与する反応によって起こるものであり、この対の1つのメンバーは、粒子コア、又はリンカー、又はそれへ予め付いた他の反応基により提供されて、1つのメンバーは、ポリマー、又はリンカー、又はそれへ予め付いた他の反応基により提供される。1つの態様において、ポリマーにより提供される反応基は、一級若しくは二級のカルボニル基(複数)又は酸基(複数)である。
【0017】
[0021] 生体接着性ポリマーには、選択される使用に有効であるとみなされる最少時間を通して、物理的な吸着又は化学反応のいずれによっても、所望される標的表面(例、硬いか又は軟らかい口腔表面)へ接着することが可能であるあらゆる天然又は合成のホモ若しくはヘテロポリマーが含まれる。生体接着性ポリマーの群の好ましい例には:
(1)ポリサッカライドと関連ポリマー;
(2)アルブミン、カゼイン、コラーゲン、フィブリン、ゼラチン、グロブリン(例、免疫グロブリン)、レクチン、プロラミン(アベニン、グリアジン、グルテリン、グルテン、グルテニン、ホルデイン、カフィリン、オリジン、ペンニセチン、セカリン、ゼインのような)、合成ポリアミド、及び標的化ポリペプチド(例、ポリペプチドアプタマー)のようなポリペプチド(ジペプチド、オリゴペプチドが含まれる);
(3)アクリレート及び(例えば、C〜C)アルキルアクリル酸塩及びエステルと(例えば、C〜C)アルキルアクリルアミドが含まれるアクリレート及び/又はアクリルアミドのモノマーの、互いと(例えば、ポリメチルメタクリレート)及び/又はアルギン酸又は他のコモノマー、シアノアクリレートとのホモ及びヘテロポリマーのような、アクリル酸ポリマー;
(4)非アクリル酸、不飽和カルボン酸のホモ及びヘテロポリマーのような他のポリ酸ポリマー、例えば、ポリ(クロトン酸、イタコン酸、及び/又はマレイン酸)ポリマー、ポリリン酸、ポリ(有機−リン酸又はホスホン酸)ポリマー、ポリ(有機−硫酸又はスルホン酸)ポリマー、ポリ(不飽和ヒドロキシカルボン酸)ポリマー、等のような他のポリ(不飽和カルボン酸、即ち、モノ、ジ、及びポリカルボン酸)ポリマー;
(5)ホモ及びヘテロポリヒドロキシアルカノエート(例、ポリ乳酸ポリマー、ポリグリコリド、等)、機能化ポリエステル(例、カルボキシル化ポリエステル、ヒドロキシポリエステル)、及びポリオルトエステルが含まれる、ポリエステル;
(6)ポリ(フマル−セバシン)酸ポリマーのようなポリ無水物;
(7)合成ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール(例、ポリエチレングリコール)、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタラート、等のようなポリアルキレンポリマー;
(8)ポリシロキサン;
(9)ポリウレタン;及び
(10)ポリ(ビニルアルコール)、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルフェノール、及びポリビニルピロリドンのようなポリビニルポリマーが含まれる。
【0018】
[0022] このような生体接着性ポリマーは、線状又は分岐ポリマーの形態で提供しても、そのようなポリマーを含んでなるより大きな構造(例、コロイド又はラテックス)の形態で提供してもよい。ある場合には、そのような生体接着性ポリマーのモノマーそれ自体が生体接着性を提供し得る。このように、いくつかの態様において、生体接着剤は、アミノ酸又は単糖のような生体接着性モノマーであり得る。
【0019】
[0023] 生体接着性ポリマーは、例えば、Fluka(ニューヨーク州ロンコンコマ、アメリカ)、Polysciences(ペンシルヴェニア州ワレントン、アメリカ)、及びシグマ−アルドリッチ(ウィスコンシン州ミルウォーキー、アメリカ;及びミズーリ州セントルイス、アメリカ)が含まれる市販供給源より容易に入手することができる;又は、これらの供給業者より入手されるモノマーより、よく知られた技術を使用して合成することができる。
【0020】
[0024] 1つの態様において、生体接着性ポリマーは、生体適合性ポリマーである。1つの態様において、このポリマーは、ポリサッカライド又は関連ポリマーである。有用なポリサッカライドと関連ポリマーの例には、ポリ(サッカライド);ポリ(モノ及びジ−デオキシサッカライド);ポリ(糖酸)、例えば、ポリ(グリクロン酸、−グリコン酸、−グリカル酸、及び−グリクロソン酸(glycurosonic acid));ポリ(糖アルコール);及びポリ(アミノ糖)が含まれる。
【0021】
[0025] そのようなポリサッカライド及び関連ポリマーは、アルド若しくはケト−トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース;それらのデオキシ、酸、アルコール、及びアミン同族体;それらの置換誘導体、等のような、あらゆるアルドース若しくはケトースモノマーに基づいてよい。このように、本発明に有用なポリサッカライドと関連ポリマーは、置換又は未置換モノマー単位(複数)、又はその両方を含んでよい。ポリサッカライド又は関連ポリマーに置換モノマー単位(複数)が存在する場合、その置換は、好ましくは、C〜C:アルキルエーテル(例、メチル、エチル、又はプロピルエーテル)、ヒドロキシアルキルエーテル、及びカルボキシアルキルエーテル置換;アルキルアミン及びアルカノイルアミン(例、N−アセチル)、又はスルファミド、スルホンアミド、及びスルファム(例、N−スルホ)の置換;アルカノイルエステル、例えば、ピルビン酸、酢酸、及びギ酸エステル、又はスルホキシ若しくはホスホキシ酸エステル置換(ポリマーヒドロキシル基の);及びアルカノール、ジオール、及びポリオールエステル置換(ポリマー酸基の)より選択される。
【0022】
[0026] 1つの態様において、ポリサッカライド又は関連ポリマーのモノマー単位は、好ましくは、置換及び未置換のヘキソース、ヘキスロース、ヘクソン酸、ヘクスロン酸、ヘキサル酸、ヘクスロソン酸、ペントース、ペンツロース、ペントン酸、ペンツロン酸、ペントン酸、及びペンツロソン酸の残基より選択される。1つの態様において、ポリマーは、グルコース、グルコース酸、及び/又はグルコースアルコールのポリマー又はコポリマーである。
【0023】
[0027] 好ましいポリサッカライド及び関連ポリマーの代表例には、セルロース;キトサン;デンプン;グリコゲン;ゴム、例えば、アガロース、グアー、デキストラン、及びカラゲナンのような植物、微生物、及び藻類のゴムとポリサッカライドをベースとする合成ゴム;及びグリコサミノグリカン、例えば、デルマタン、コンドロイチン、ヘパラン、ヒアルロネート、及びケラチン(デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、及びケラタン硫酸が含まれる);置換サッカライドポリマー、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、セルロースエステル(例えば、ニトロセルロースが含まれる)、等;微生物のエクソポリマー;並びに、そのようなポリマーを含んでなる構造、例えば、ポリサッカライドのマリンコロイド及び合成ヒドロコロイドが含まれる。1つの好ましい態様において、ポリサッカライド又は関連ポリマーは、ポリ若しくはコポリ(サッカライド)、ゴム、又はグリコサミノグルカンであり;好ましいゴムには、デキストランが含まれ;好ましいグリコサミノグリカンには、ヒアルロン酸が含まれる。
【0024】
[0028] 1つの態様において、生体接着性ポリマーは、ポリカルボキシレートポリマーであり、例えば、以下のいずれでもよい:ポリ(アクリレート及び/又はメタクリレート)ポリマー;他のポリ(酸)ポリマー;並びに、カルボキシル化ポリサッカライド又は関連ポリマー、カルボキシル化ポリペプチド(例、ポリ(酸性側鎖)ペプチド)、又はカルボキシル化ポリエステルのようなあらゆるポリマー群のカルボキシル化誘導体。カルボキシル化ポリサッカライド及び関連ポリマーの例には、アルギネート、カルボキシメチル化ポリサッカライド(例、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロース)、ヒアルロネート、酸化ポリサッカライド(例えば、酸化デンプン、酸化グアーゴム)、ペクテート、ポリアスパルテート、ポリグルタメート、キサンタン、等が含まれる。
【0025】
[0029] コアへ付着させるポリマーは、生体接着性を高めるために化学修飾することができる。例えば、ポリマーは、ポリマー表面に存在する陰性荷電(例、カルボキシレート)基及び/又は陽性荷電(例、アミノ)基の数を改変させることによって修飾することができる。そのような修飾を行って、歯組織の荷電性の表面ドメインへ接着するポリマーの能力を高めることができる。例えば、歯エナメル質の露出領域がいくつかの陽性荷電の表面ドメインを提示し得るのに対し、唾液の糖タンパク質でコートされるエナメル質の一帯は、しばしば陰性荷電のドメインを提示する。陰性又は陽性の電荷を(即ち、使用の条件の下で)それぞれ有するポリマーを選択、製造、又は修飾して、そのような表面電荷へのポリマー接着の有利な度合いを得るようにしてよい。ポリマーへの化学修飾は、Jacob et al.への米国特許出願公開公報番号2005/064027 A1(この内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のような、当該技術分野で知られた有用な連結化学のいずれを利用することによって行ってもよい。
【0026】
[0030] 1つの態様において、生体接着性ポリマーは、親水性の生体接着性ポリマーである。1つの態様において、親水性の生体接着性ポリマーは、水性環境において表面上に沈着するか又はそれへ付着するときに、接着効果をもたらすものであろう;好ましくは、それは、ヒドロゲル(例えば、真性ゲル、ミクロゲル、準(quasi)ゲル、偽性(pseudo)ゲル、等が含まれる)又はヒドロコロイドを生成することが可能である親水性ポリマーである。
【0027】
[0031] 粒子コアへの付着に有用な生体接着性ポリマーは、粒子コアへ物理的又は化学的に接着することが可能であるものであるので、使用の条件下で、ポリマーは、約3時間以上、そして好ましくは、例えば、コアが分解するか又はポリマーが環境の成分によって化学的又は生物学的に加水分解されるまで、そのコアより分離しない。
【0028】
[0032] 1つの態様において、生体接着性ポリマーは、コアへ共有結合している。1つの態様において、生体接着性ポリマーは、リンカーである部分へ共有結合していて、リンカーそれ自体は、共有的又は非共有的にコアへ結合している。そのようなリンカーは、初めにコアへ付けてから生体接着性ポリマーと接触させても、初めに生体接着性ポリマーへ付けてからコアと接触させてもよい。3つの成分すべてを同時に一緒に付けてもよい。あるいは、第一リンカーをコアへ付けて、第二リンカーを別にポリマーへ付けてよく、第一リンカーと第二リンカーは、共有結合し得る反応基の対を一緒に提供しても、安定した非共有性の付着を形成する非共有的に相互作用する表面を一緒に提供してもよく、続いて、この誘導化したコアと誘導化したポリマーを接触させる。あるいは、生体接着性ポリマーへの安定した非共有性の付着を形成することが可能であるリンカーへ粒子コアを共有的に付けてもよい。
【0029】
[0033] 生体接着性ポリマーをリンカーか又は直接的にコア表面へ共有的に付いている態様において、ポリマーは、反応して共有結合を提供するのに有用である少なくとも1つの反応基、例えば、アルデヒド基のようなカルボニル基;一級アミン基のようなアミン基;アミド又はエステルのような酸基若しくは誘導体、例えば、カルボン酸、アミド、又はエステル;水酸基;等のいずれか1つを有する。1つの態様において、好ましい生体接着性ポリマーは、アルデヒド又はカルボン酸基(複数)を含有するか又は含有するように誘導化したものである。
【0030】
[0034] カルボニル又は酸基、又は特に(望まれるならば)アルデヒド又はカルボン酸基を有さないか、又は実施者の欲求に十分な数のカルボニル又は酸基を有さない生体接着性ポリマーが選択されるという、望ましい反応基を欠いている生体ポリマーの場合にそうであるように、ポリマーは、粒子コア又はリンカーへポリマーを連結させる反応の前に、そのような基(複数)を提供するように前処理する。同様に、他の連結化学を選択する場合、反応基は、ポリマーや粒子コアにすでに存在していても、前処理によりそれへ付加してもよい。
【0031】
[0035] このように、他の連結化学を代わりに利用してよく、ここでポリマーと粒子コア又はリンカーは、反応基の対を一緒に提供して、2つのうち一方は求核基を提供して、他方は、求電子基を提供する。求核基と求電子基は、粒子コア又はリンカー、又はポリマー上にすでに存在していても、粒子コア又はリンカー及び/又はポリマーは、その技術分野において有用な既知の多くの化学のいずれを使用して、それらを含有するように前処理してもよい。そのような化学の代表例には、表1に収載するような求核基及び求電子基の対を利用するものが含まれる。
【0032】
【表1】

【0033】
[0036] 1つの好ましい態様において、反応基の対は、粒子コアにより提供されるアミン基と、それとシッフ塩基を形成するポリマーアルデヒド基を含み、次いでこのシッフ塩基を還元して(例えば、シアノホウ水素化物の塩を使用する)、二級アミン連結を形成する。1つの好ましい態様において、反応基の対は、粒子コアにより提供されるアミン基と、カルボジイミド化学を使用してスクシンイミドエステルを生成する方法において誘導化したポリマー酸基を含む。
【0034】
[0037] 粒子コア(複数)へコンジュゲートする生体接着性ポリマー分子のセットは、1より多い種類のポリマー、及び/又は粒子コアへの1より多い種類の付着を含んでよい。例えば、ポリマー(複数)が付く異なる長さの繋ぎ(tethers)を粒子コアが含んでも、粒子コア表面に、又はリンカーの遠位端上に異なる求電子基又は求核基を提供してもよく、そのように多様な異なる反応化学を使用して、ポリマー(複数)をそれへ付ける。
【0035】
[0038] 粒子コアが連結反応にアミノ基を提供する態様において、これは、好ましくは、繋ぎの一級若しくは二級アミノ基、好ましくは、アミノ基含有剤での前処理により粒子コアの表面へ付加した、繋ぎの一級アミノ基である。この目的に好ましいアミノ基含有剤には、例えば、アミノシリコーン化合物が含まれる。
【0036】
[0039] 1つの好ましい態様において、アミノシリコーン化合物は、式:
【0037】
【化1】

【0038】
[式中、Rは、C〜Cホモ若しくはヘテロ炭化水素基であり、R、R、及びRは、C〜Cホモ若しくはヘテロ炭化水素基より独立して選択され、いずれの場合でも、炭化水素は、環式、脂環式、分岐鎖、及び直鎖の炭化水素を意味する]の(ω−アミノアリファチル)−トリ(アリファトキシ)シロキサンである。本明細書に使用するように、用語「Cホモ若しくはヘテロ炭化水素基」は、1つの炭素原子を含有する有機基を意味し、その例には、−CH−、−CH−、−CHSiH−が含まれる。
【0039】
[0040] その1つの態様において、Rは、C〜C脂肪族(シクロ脂肪族が含まれる)基より選択される。1つの態様において、R、R、及びRは、C〜C脂肪族基より独立して選択される。
【0040】
[0041] その1つの態様において、Rは、C〜Cアルキル基より選択される。1つの態様において、R、R、及びRは、C〜Cアルキル基より独立して選択される。1つの態様において、選択されるR基は、R、R、及びRについて選択される基のいずれよりも大きい。1つの態様において、RとRは、同一の基である。1つの態様において、R、R、及びRは、同一の基である。1つの態様において、Rは、C、C、C、又はC基;好ましくは、n−プロパ−1,3−ジイル基である。1つの態様において、R、R、及びRは、独立して、エチル又はメチルであり;好ましくは、R、R、及びRは、すべてエチルであるか又はすべてメチルである。
【0041】
[0042] 有用な(ω−アミノアルキル)−トリアルコキシシロキサンの好ましい例には:3−アミノプロピルトリエトキシシラン、HN(CHSi(OCHCH;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、HN(CHSi(OCH;2−アミノエチルトリメトキシシラン、HN(CHSi(OCH;及び2−アミノエチルトリエトキシシラン、HN(CHSi(OCHCHが含まれる。
【0042】
[0043] 粒子前処理と連結反応に有用な反応条件は、当該技術分野でよく知られている。以下の実施例に記載するような、どのそのような条件を使用してもよい。
[0044] 本発明の粒子は、それを含んでなる組成物の形態で使用に提供してよい。本発明による組成物は、コア材料、有孔度、サイズ、形態、ポリマー同一性、又はポリマー対粒子の付着の独自性(identity)において互いに異なる、異なる粒子の混合物を含んでよい。
【0043】
[0045] 本発明の組成物は、歯磨き剤(例、ペースト、ゲル、粉末、又は液体の歯磨き剤)、予防ペースト、デンタルペイント、トローチ剤、チューイングガム、又は他の研磨剤、洗浄剤、又は浄化剤の組成物であってよく、単独で、又はアプリケーターの作用と組み合わせて、プラークのような沈着物を歯より、及び/又は口腔軟組織より除去することが可能である。同様の固体、半固体、及び液体の形態も、他の局所及び全身使用に有用であり得る(例えば、錠剤、カプセル剤、軟膏剤、クリーム剤、プレゲル剤、洗浄剤(lavages)、外科用の局所洗液剤、非経口の溶液剤及び懸濁液剤、及び坐剤)。組成物は、工業用又は消費者製品用の塗布剤、噴霧剤、クレンザー、浸液剤、リンス液剤、等として製剤化してもよい。
【0044】
[0046] あるいは、局所用又は口腔用組成物は、液体−ゲル剤、スラリー剤、又は懸濁の口洗浄若しくは口漱ぎ剤のような、洗浄処置後の組成物として設計してよい。口腔、局所、及び全身での身体使用において、組成物は、それぞれ、口腔、局所的、又は全身的に受容される物質を含む。そのような物質には、固体、半固体、又は液体の担体が含まれて、1以上の:他の有効成分、例えば、抗菌剤(例、トリクロサンのような、非水溶性、非カチオン性の抗菌剤)、抗酸化薬、医薬品、ビタミン剤、フッ化物の供給源、栄養補助食品、等;賦形剤と不活性成分、例えば、湿潤剤、ゲル化剤、濃化剤、溶媒、希釈剤、結合剤、充填剤、可塑剤、抗ケーキング剤、崩壊剤、ゴム剤、皮膚軟化薬、オレオケミカル(oleochemicals)、着色剤、芳香剤、着臭剤、pH調整剤(酸、塩基)、緩衝剤、界面活性剤、乳化剤、懸濁剤、酵素、コーティング剤(例、腸溶性、アクリル酸、又は炭水化物若しくはセルロース性のコーティング剤)、キレート剤(chelants)、保存剤、等を含めてもよい。そのようなよく知られた添加剤の代表例が、例えば、同時出願中の米国特許出願番号60/639,080(Worrell et al.「緑茶抽出物を含んでなる歯磨き剤(Dentifrice Comprising Green Tea Extract)」2004年12月23日出願);60/639,331(Xu et al.「フラボノイド及びフラバンを含有する口腔用ケア組成物(Oral Care Compositions Containing Flavonoids and Flavans)」2004年12月22日出願);及び60/639,169(Boyd et al.「ウーロン茶抽出物を含有する口腔用組成物(Oral Compositions Containing Oolong Tea Extract)」2004年12月23日出願);並びに、L.V. Allen Jr.「医薬品調合の技法、科学、及び技術(The Art, Science, and Technology of Pharmaceutical Compounding)」(第2版、2003年); J.G. Hardman et al.「グッドマン・ギルマンの薬理書(Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics)」(第10版、2001年); 及び R.C. Rowe et al.「医薬賦形剤の手引き(Handbook of Pharmaceutical Excipients)」(第4版、2003年)に記載されていて、これらはいずれもその全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
[0047] 本発明による組成物は、担体を含む。担体は、一般に、水、水性湿潤剤、及び/又は、ペースト剤、ゲル剤、錠剤、トローチ剤、シロップ剤、漱ぎ剤、等としての組成物の投与の選択形式に適した堅さ(consistency)の水性アルコール混合物である。本発明による口腔用組成物の担体には、当該技術分野で知られているすべてのものが含まれる。
【0046】
[0048] そのような口腔に受容される担体には、練り歯磨き、歯磨き粉、予防ペースト、口漱ぎ剤、トローチ剤、ゴム剤、等の通常の成分が含まれ、以下により詳しく記載する。具体的な担体成分の選択は、歯磨き剤、漱ぎ剤、ゲル剤、及び糖菓剤(confectionaries)が含まれる、望まれる製品形態に依存する。
【0047】
[0049] 様々な態様において、口腔用組成物を製造するために使用する、口腔に受容される歯磨き剤の担体は、水相を含む。当業者に認められるように、本発明の口腔用組成物には、例えば、粘度改善剤、希釈剤、界面活性剤のような表面活性剤、乳化剤、及びフォーム変調剤、pH調整剤、研磨剤、湿潤剤、皮膚軟化剤、及び加湿剤、マウスフィール(mouth feel)剤、甘味剤、芳香剤、着色剤、保存剤、及びこれらの組合せのような他の材料を含めてもよい。上記材料のカテゴリーのそれぞれの一般特性は異なる場合があるが、いくつかの共通した属性もあり得て、どの所与の材料も、2以上のそのような材料のカテゴリー内で多数の目的に役立つ場合があると理解される。好ましくは、そのような担体材料は、粒子との、並びに組成物の他の成分との適合性のために選択される。
【0048】
[0050] 口洗液、噴霧剤、又は漱ぎ剤の場合、口腔に受容される担体は、典型的には、水又は水及びアルコール混合物を含んでなる水相を含む。さらに、様々な態様において、口腔用担体は、湿潤剤及び/又は界面活性剤を含む。一般に、水のアルコールに対する重量比は、約1:1〜約20:1、好ましくは約3:1〜10:1、そしてより好ましくは約4:1〜約6:1の範囲にある。この種の調製物における水−アルコール混合物の全体量は、典型的には、調製物の約70〜約99.9%の範囲にある。様々な態様において、アルコールは、典型的には、エタノール又はイソプロパノールである。そのような液体と本発明の他の調製物のpHは、一般に、約4.5〜約10の範囲にあり、これは、pH調節剤(酸又は塩基)及び/又はクエン酸、安息香酸、炭酸又は重炭酸のナトリウム塩、リン酸水素二ナトリウム、又はリン酸二水素ナトリウムのような緩衝剤で達成する、及び/又は維持することができる。
【0049】
[0051] 例えば、トローチ剤、錠剤、及びビーズ剤の場合、口腔に受容される担体は、全組成物の約85〜約95%の量である、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、マリトール、水素添加デンプン加水分解物、水素添加グルコース、水素添加ジサッカライド、又は水素添加ポリサッカライドのような、非齲食原性で、固体、水溶性の多水酸基アルコール(ポリオール)であり得る。錠剤、ビーズ剤、及びトローチ剤の製造を容易にするために、錠剤、ビーズ剤、又はトローチ剤の製剤へグリセリンのような乳化剤と打錠滑沢剤を約0.1〜5%の微量で取り込んでよい。歯磨き粉、練り歯磨き(歯科用クリーム剤)、及びゲル剤が含まれる歯磨き剤の場合、口腔に受容される担体は、水と湿潤剤を典型的には口腔用組成物の約10%〜約80%に及ぶ量で含んでよい。
【0050】
[0052] 1つの態様において、本発明による、選択される最終使用における適用のために製剤化される組成物は、組成物の約50重量%以下、又は組成物の約40%、30%、20%、又は10%以下である量の粒子を含む。1つの態様において、組成物は、組成物の約1〜約10重量%、より好ましくは約5%を含む。本発明の組成物は、濃縮したプレミックスとして提供してもよく、あるいは、純粋な粒子を、これらを使用して使用のための最終製剤を調製するやり方の説明書とともに、凍結、乾燥、又は凍結乾燥した形態で提供してよい。そのような組成物において、組成物は、その重量の50%より多く、そして100%までを含むことができる。
【0051】
[0053] 本発明による粒子は、生体接着性ポリマーを口腔表面へ効率的に送達するのに有用であり、ここにそれらは接着して、細菌による付着又は接着を妨げる。好ましくは、該粒子を含んでなる口腔に受容される組成物は、該組成物と口腔表面(複数)を接触させることによって口腔へ適用する。1つの態様において、口腔表面の洗浄の間、又はその後のいずれかで口腔へ導入した粒子は、洗浄済みの口腔表面に残留し続けて、細菌付着、プラーク形成、等を阻害するか又は抑制することができる。本発明の組成物はまた、皮膚、毛髪、医科用インプラント、ステント、IVライン、装具、等への細菌接着を予防するか又は抑制するために使用してよい。
【0052】
[0054] 本発明の組成物は、口腔、局所、全身、又はさらには身体(somatic)への適用以外の状況(contexts)におけるバイオフィルム形成又は微生物接着を予防するか又は抑制するために使用してよい。例えば、海水(marine)や淡水での適用において、又は水の取扱い(保存又は輸送)又は処理システムにおいて、水性環境と接触しているか、又は接触して置かれることになる表面へそのような組成物を適用することによって、バイオフィルム形成、微生物接着、及び生体付着が抑制される場合がある。そのような組成物は、そのような海水、淡水、及び水の取扱い又は処理システムの再使用可能な成分(例えば、メッシュスクリーン、フィルタープレート、濾過カートリッジ、等)上での使用のように、バイオフィルム放出エンハンサーとして使用することもできる。
【0053】
[0055] そのような組成物は、工業又は家事のシステムコンポーネントへ適用して、バイオフィルム形成を阻害する、及び/又はバイオフィルム放出剤を提供して、例えば、洗浄の間のカビ(mildew)、藻類、真菌、細菌、及び有機スカムの除去を促進してよい。例えば、本組成物は、有利にも、例えば、ボート、船、いかだ、浮き台、浮橋、桟橋、食品加工表面、グラウト、流し、蛇口、噴水式水飲み場及び泉(fonts)、バードバス、水泳プールと付帯設備(例、階段、滑り台)、空気加湿器、排水口及び管、貯蔵タンク、揚水ポンプ及び撹拌翼、排水プラグ及び濾過器、圧縮式ドリップパン、便器、トイレタンク、浴槽マットと他の浴槽付属品(棚ユニット、フットパッド、シャワーカーテン)、浴槽及びプールのカバー、スライド式ドアトラック、浴槽及びシャワーのエンクロージャー、水槽表面、動物への給水ボトル及びボール、等へ適用してよい。
【0054】
[0056] このように、本発明による1つの方法において、本発明の粒子を含んでなる組成物を、粒子の沈着が所望される表面へ適用する。次いで、組成物の非沈着成分は、表面と接触した状態であるかもしれないが、より頻繁には、濯ぎ落とされるか又は生体吸収される。1つの好ましい態様において、組成物は、表面の洗浄用に製剤化された洗浄組成物(例えば、研磨性及び/又は洗浄性の組成物)、例えば洗液である。1つの態様において、組成物は、真新しいか又はすでに洗浄した表面に粒子を沈着させることが可能である(例えば、リンス液剤)。
【0055】
[0057] 本発明による方法において、本発明の粒子は、コア、生体接着性ポリマー、及び任意選択的にリンカーを提供することと、生体接着性ポリマーをコアへ付けることを含んでなる方法によって製造する。
【0056】
実施例
実施例1−繋ぎアミン基を付加する粒子の前処理
[0058] SiO(ZEODENT(登録商標)シリカ、平均直径8〜16μmの粒子、J.M Huber社、ニュージャージー州エジソン、アメリカより入手可能)をHSO/H(75%/25% v/v)の強酸化溶液で腐食洗浄する。次に、このSiOを3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)の沈着により修飾する。溶液沈着が好ましいが、蒸気沈着をその代用にしてよい。蒸気沈着の手段は、望まれない加水分解反応を回避するために、例えば、乾燥したグローブボックスにより提供され得るように、厳密な無水条件を利用する。酸性条件下での溶液沈着は、より広く適用可能な方法を提供する。このアプローチでは、SiOを蒸留HOに分散させて、生じる溶液のpHをほぼ6.5のpH値へHNOで調整する。次いで、この懸濁液を1時間撹拌して、その時間の後で1mLのAPTESを加えて、この懸濁液を再び撹拌する。24時間の撹拌後、濾過とエタノール及びアセトンでの洗浄により過剰のAPTESを除去する。沈着したAPTES分子の架橋連結が望ましい。SiO表面での個別APTES分子の架橋連結(即ち、縮合)を促進するために、修飾したシリカを800℃で、好ましくは約8時間乾燥させる。ZnO粒子を同様に前処理して、ペンダントアミン基を提供してよい。
【0057】
実施例2−ポリサッカライドゴムへコンジュゲートする粒子の製造
[0059] 実施例1に従って製造したアミノ修飾粒子コア、即ちAPTES修飾SiO粒子(以下、SiO+APTES)へ微生物ゴム、デキストランを共有結合させる。このポリサッカライドは、カルボニル基をその上に提供するようにはじめに前処理する。図1に示すように、デキストランを過ヨウ素酸ナトリム(NaIO)で処理してサッカライド環(複数)を酸化して、アルデヒドカルボニル基を形成してギ酸を放出させる。この酸化反応の生成物は、(2)に対応するジアルデヒドである。表面結合したAPTESは、(2)を還元的にアミノ化(2)してシッフ塩基(構造示さず)を形成することが可能であり、これをシアノホウ水素化ナトリウム(NaBHCN)により還元して、安定した二級アミン連結を形成する。デキストラン酸化の程度は、生成される(2)の量を調節するので、それはまた、デキストランとSiO+APTESの間のグラフト密度(即ち、結合の数)を調節する。デキストランのグラフト密度を最適化するために、多様なデキストラン酸化時間:0.5、1、2、4、及び24時間を利用する。考慮される他の実験パラメータは、デキストランのサイズ(即ち、分子量)及び多分散性(即ち、分子量分布の幅)である。これら2つの構造特性はまた、個々のSiO粒子の間の相互作用の程度に影響を及ぼすものである。この結果は、デキストラン連結SiO粒子である。
実施例3−グリコサミノグリカンへコンジュゲートする粒子の製造
[0060] 以下に、実施例1のように製造したSiO+APTES粒子へヒアルロネート(HA)を共役的にグラフトする。HAはカルボン酸の機能性を有するので、グラフティングに先立つ修飾は必要でない。ヒアルロネートのSiO+APTESへの共有付加は、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)/N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)カップリング化学によって達成される(図2を参照のこと)。ヒアルロネートのSiO+APTESに対するグラフト密度は、様々なEDC/NHS比によって調節される。
【0058】
[0061] HAでは、実施例2に記載のような過ヨウ素酸塩の化学を代わりに使用してアルデヒドカルボニル基を形成して、そのようなカルボニル基が関与する反応により粒子コアへ共有付加することができるHA誘導体を生成し得ることに注目されたい。同様に、一級アミン基、ヒドロキシル基、又は酸(又はエステル若しくはアミド)基を有するポリマーは、ポリマーに存在するそのような化学基の1以上が関与する、粒子コア上に存在する対応する反応基の対との反応によって、未処理又は誘導化した粒子コアへ共有付加することができる。
【0059】
[0062] 全体の修飾法を図3に概略的に示す。これは、実施例2に記載のようなデキストラン誘導体へ、又は実施例3に記載のようなHA残基とコンジュゲートするSiO+APTES粒子の製造を例示する。
【0060】
[0063] 口腔に受容される組成物中の粒子の好ましい濃度は、例えば、ポリマー又は粒子コアの前処理の程度、又はコンジュゲーション反応に供される時間といった、一連の条件の下でポリマー(複数)がコンジュゲートした、あらゆる所与のサイズ(複数)又はサイズ範囲(複数)の粒子の異なる濃度を例えば含有する一連の試験組成物の定型的な分析によって決定することができる。本組成物で処理した口又は口腔モデル(「人工口腔」のような)への細菌付着の阻害の割合又は度合いは、ハイドロキシアパタイトディスク上での細菌蓄積又はペリクル形成について評価する比色測定技術によるように、定量的又は半定量的な分析によって評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、カルボニル基をもたらすポリサッカライドの酸化に続き、このカルボニル基のアミン基との反応により、生じるポリマーを固体粒子コアの表面へそれを付けるように反応させることの反応スキームを例示する。
【図2】図2は、カルボジイミド化学とN−ヒドロキシスクシンイミドを使用するカルボキシルヒドロキシル基の反応によりスクシンイミドエステルを生成して、次いでこれを粒子コア表面の繋ぎ(tethered)アミノ基と反応させてアミノアルカノエート(即ち、アルカノイルオキシ−アミノ)連結を形成させる、カルボン酸含有ポリマーを固体粒子コアの表面へ付けるための反応スキームを例示する。
【図3】図3は、その表面へ付いている繋ぎアミノ基を提供する化合物で粒子コア(例、シリカ)を前処理することに続く、カルボニル又は酸基含有ポリマーを繋ぎアミノ基へ連結させる反応化学により、本発明の態様に従って粒子を製造する方法全体の概略図を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化化合物又はその塩を含んでなるコア、及び
生体接着性ポリマーを含んでなる粒子であって、ここで生体接着性ポリマーは、酸化化合物又はその塩へ付いている、前記粒子。
【請求項2】
生体接着性ポリマーが、ポリサッカライド又は関連ポリマー、ポリペプチド、ポリ無水物ポリマー、又はポリカルボキシレートポリマーより選択される、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
生体接着性ポリマーが、ポリサッカライド又は関連ポリマー及びポリカルボキシレートポリマーより選択される、請求項1に記載の粒子。
【請求項4】
生体接着性ポリマーが、置換又は未置換ポリ(サッカライド)ポリマー、ポリ(デオキシサッカライド)ポリマー、ポリ(糖酸)ポリマー、ポリ(糖アルコール)ポリマー、アクリル酸又は他のポリ酸ポリマー、及びカルボキシアルキルポリサッカライドより選択される、請求項1に記載の粒子。
【請求項5】
生体接着性ポリマーが、セルロース、キトサン、デンプン、グリコゲン、置換サッカライドポリマー、及び微生物滲出物より選択される、請求項1に記載の粒子。
【請求項6】
生体接着性ポリマーが、ポリサッカライドゴム及びグリコサミノグリカンより選択される、請求項1に記載の粒子。
【請求項7】
生体接着性ポリマーが、デキストラン及びヒアルロネートより選択される、請求項1に記載の粒子。
【請求項8】
コアの酸化化合物又は塩が、金属酸化物、非金属酸化物、半金属酸化物、及びこれらの塩より選択される、請求項1に記載の粒子。
【請求項9】
酸化物又は塩が、金属炭素酸化物、金属リン酸化物、金属イオウ酸化物、及び金属ケイ酸塩より選択される、請求項8の粒子。
【請求項10】
酸化化合物が単純酸化化合物である、請求項9に記載の粒子。
【請求項11】
単純酸化化合物がSiO及びZnOより選択される、請求項10に記載の粒子。
【請求項12】
酸化化合物が、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、及びアルカリ土類金属硫酸塩より選択される、請求項9に記載の粒子。
【請求項13】
生体接着性ポリマーが酸化化合物又は塩へリンカーにより付いている、請求項1に記載の粒子。
【請求項14】
リンカーが結合及びリンカー分子より選択される、請求項13に記載の粒子。
【請求項15】
請求項1に記載の粒子と担体を含んでなる組成物。
【請求項16】
生体接着性ポリマーを酸化物コアへ付けることによって粒子を入手することを含んでなる、粒子を製造する方法。
【請求項17】
生体接着性ポリマーを少なくとも1つのω−アミノアリファチル−トリ(アリファトキシ)シラン分子によりコアへ付ける、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ω−アミノアリファチル−トリ(アリファトキシ)シラン分子が、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、及び2−アミノエチルトリエトキシシランより選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の粒子と口腔表面を接触させることを含んでなる、口腔表面でのプラークの形成を阻害するか又は抑制する方法。
【請求項20】
請求項1に記載の粒子と口腔表面を接触させることを含んでなる、細菌の口腔表面での付着を阻害するか又は抑制する方法。
【請求項21】
請求項1に記載の粒子を口腔表面へ適用することを含んでなる、哺乳動物の全身の健康を維持するか又は促進する方法。
【請求項22】
請求項1に記載の粒子と口腔表面を接触させることを含んでなる、該表面へのバイオフィルムの沈着又は細菌の付着を阻害するか又は抑制する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−515905(P2009−515905A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540359(P2008−540359)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/060785
【国際公開番号】WO2007/059438
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】