説明

口部材およびそれを使用した容器

【課題】開封時破断されるべき薄肉部の肉厚を均一にしても、薄肉部の破断が容易に行い得、開封の容易性を向上させ得る口部材またはそれを使用した容器を提供する。
【解決手段】先端部をねじ切ることによって封止された容器内容物の注出口を再封不可能に開封させ得るようにした容器取付け用の口部材であって、口部材10の注出口部16先端に段付き状にねじ切り用突部18を突設させると共に、注出口部16内の流通路の先端に形成された断面円形の内孔22をねじ切り用突部18の付け根部分から所定距離だけねじ切り用突部18の先端方向に設けると共に、該内孔22と同心の円筒状の薄肉部24を前記付け根部分付に設け、かつ内孔22の閉塞側端面を内孔周縁Tから内孔軸心に向かうにつれて深さが深くなる凹曲面26とした口部材10およびそれを使用した容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を再封不能な状態に開封し得る口部材と、この口部材を使用した容器に関するものであり、特に注出口の出口に接する円周部に形成された薄肉部を破断することにより容器の開封を可能とした口部材およびこの口部材を使用した容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より容器を再封不能に開封するために、口部の注出口付近に薄肉部を設け、この薄肉部を破断することにより容器を開封するようにした手段が多く採用されている。そして、薄肉部の破断を容易にするため尖鋭な切込み溝を設け、その部分の反対側の面と溝底との間に薄肉部を形成させる手段が提案されている。例えば特許第3030824号公報、第1図に示す薄肉部4に接する切込み溝(図7参照)、実開昭64−39229号公報第3図に示す薄肉部4に接する切り込み溝(図8参照)がこれに該当する。
【0003】
ところが、切込み溝(図7(ロ)のP、図8のQ参照。)は尖鋭な角度をなしているので、口部材製造用の金型の加工精度の影響が、口部材に形成された切込み溝の深さに敏感に表れ易いので、切込み溝を設けた面の反対側の面と溝底との間に形成される薄肉部の厚さを、円周上の各位置で一定にすることが困難であるという欠点があった。
【0004】
そこで、本願発明者らは上記欠点を解消するため薄肉部を円筒状に形成し、円周上の各位置で肉厚が常に一定になるように構成したが、薄肉部の破断にはさらに大きな力が必要であるという問題点があった。
【特許文献1】特許第3030824号公報
【特許文献2】実開昭64−39229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、円周上の肉厚を均一にした薄肉部では破断に力を要し、破断し難い点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は次のように構成される。
A 先端部をねじ切ることによって封止された容器内容物の注出口を再封不可能に開封させ得るようにした容器に取り付けるための口部材であって、口部材の基端部を容器の取付部としその内側には一端が開放された空洞部もしくは流通孔を設け、前記基端部には注出口部が突設されると共に注出口部内側には基端部内の前記空洞部もしくは流通孔に連通された流通路が形成され、さらに注出口部の先端側には注出口部先端より径が細くされたねじ切り用突部が段付状に突設され、かつねじ切り用突部の付け根部分の隅は円味を生じないようにするかあるいは円味を小さくなるようにし、しかも注出口部内の流通路の先端部は断面円形の内孔をなすと共に内孔の閉塞側端部の周縁は前記付け根部分から所定の微少距離だけねじ切り用突部の先端部寄りに離れて位置するようにされ、かつ前記付け根部分から所定の微少距離離れた位置までの間を前記内孔と同心の円形に成形して円筒状の所定の微少な長さの薄肉部とし、しかも円形に成形された部分の前記付け根部分の一端部からねじ切り用突部の先端部寄りの他端部までの距離は常に前記付け根部分から前記内孔の閉塞側端部の周縁までの距離より長くなるようにされ、さらに前記内孔の閉塞側の端面は内孔周縁から内孔軸心に向かうにつれてねじ切り用突部先端寄りに近づく曲面とされ、ねじ切り用突部の先端部にはねじり用係合突部が形成されてなり、該係合突部を他のキャップ内に形成されたねじり回動用係合凹部に係合しねじることにより前記円筒状の薄肉部を破断し流通路端部の注出口を開封するようにした口部材。
B A項記載の口部材において、口部材の基端部は長手状の略菱形に形成されると共に内部の空洞部が容器側に開放されてなる口部材。
C A項もしくはB項記載の口部材において、ねじ切り用突部の付け根部分の隅は曲率半径が0.1mm以下とし、あるいは円筒状の薄肉部の肉厚は約0.2mm以下とし、あるいは内孔の閉塞端の周縁から前記付け根部分までの距離は0.15〜0.25mmとし、あるいは内孔の端面は頂角が約100〜140度の円錐曲面状となるようにした口部材。
D A項〜C項のいずれか1項に記載の口部材と該口部材に被せて使用するキャップとを備えたキャップ付き口部材であって、キャップはその内部に口部材の端部に形成されたねじ切り用突部先端の係合突部もしくは係合凹部に係合し得るねじり回動用の係合凹部もしくは係合突部を設け、かつ一方の係合突部が他方の係合凹部に圧入され、ねじ切り用突部がねじ切られた後においてもその切片はキャップ内に保持されるようにしたキャップ付き口部材。
E D項記載のキャップ付き口部材において、口部材はねじ切り用突部に形成される係合突部が所定厚さの平坦状突部で構成され、キャップはねじり回動用係合凹部として前記平坦状突部が圧入状態に嵌り得る挟持部を備えて構成されたものであるキャップ付き口部材。
F 2枚の樹脂フィルムを重ね合わせ全周縁を溶着してシールすると共に上端部には吊下げ用孔が、下端側には内容物を注出するための口部材が設けられた可撓性容器において、
上端側のいずれか一端寄りを所定幅で周縁をシールした状態で上方に突出してなる突出部を形成すると共に下端側の前記突出部下方の角の部分が切り落とされたような形状とし、かつその部分の2枚の樹脂フィルム間にはA項〜C項のいずれか1項に記載の口部材あるいはD項もしくはE記載のキャップ付き口部材がその基端部を挿入し、両側の樹脂フィルムで包囲するように溶着しシールされて取り付けられ、さらに該口部材に対する対角位置には吊下げ用孔がその孔の周囲がシールされた状態に設けられ、しかも前記突出部の側方には突出部を破断して開封するための切欠もしくは切込みを設け、飲料水等の注入口を形成し得るようにした可撓性容器。
G 先端部をねじ切ることによって封止された容器内容物の注出口を再封不可能に開封させ得るようにした容器に取り付けるための口部材であって、口部材の基端部を容器の取付部としその内側には一端が開放された空洞部もしくは流通孔を設け、前記基端部には注出口部が突設されると共に注出口部はその中間部より先端部に至る部分が先細りのテーパ状部をなし、さらにテーパ状部の先端から注出口部先端までの間は複数の径の異なる所定長さのストレートの円筒状部分が配置され、かつ円筒状部分は径の小さいもの程注出口部先端寄りに位置するように配列されて複数の円筒状段付部が形成され、しかも注出口部の周壁は所定肉厚を有すると共に注出口部先端は周壁に連続した部分で閉塞されて 注出口部内側には基端部内の前記空洞部もしくは流通孔に連通された流通路が形成され、さらに注出口部の先端側には注出口部先端より径が細くされたねじ切り用突部が段付状に突設され、かつねじ切り用突部の付け根部分の隅は円味を生じないようにするかあるいは円味を小さくなるようにし、しかも注出口部内の流通路の先端部の中心部には断面円形の内孔が形成されると共に内孔の閉塞側端部の周縁は前記付け根部分から所定の微少距離だけねじ切り用突部の先端部寄りに離れて位置するようにされ、かつ前記付け根部分から所定の微少距離離れた位置までの間を前記内孔と同心の円形に成形して円筒状の所定の微少な長さの薄肉部とし、しかも円形に成形された部分の前記付け根部分の一端部からねじ切り用突部の先端部寄りの他端部までの距離は常に前記付け根部分から前記内孔の閉塞側端部の周縁までの距離より長くなるようにされ、さらに前記内孔の閉塞側の端面は内孔周縁から内孔軸心に向かうにつれてねじ切り用突部先端寄りに近づく曲面とされ、ねじ切り用突部の先端部にはねじり用係合突部が形成されてなり、該係合突部を他のキャップ内に形成されたねじり回動用係合凹部に係合しねじることにより前記円筒状の薄肉部を破断し流通路端部の注出口を開封するようにした口部材。
H G項記載の口部材において、注出口部は各円筒状段付部の角の部分がテーパ状部の母線の延長線上に位置するようにされると共に注出口部はその基端部とテーパ状部との間が円筒状をなし、かつその外周部には微少高さの複数のリング状突部が形成された口部材。
I G項7もしくはH項記載の口部材において、注出口部のテーパ状部はその中心線を含む平面がテーパ状部両側に接する線間の角度(テーパ角)は 9〜16°である口部材。
J G項〜I項のいずれか1項に記載の口部材において、口部材の基端部は長手状の略菱形に形成されると共に内部の空洞部が容器側に開放されてなる口部材。
K G項〜I項のいずれか1項に記載の口部材において、ねじ切り用突部の付け根部分の隅は曲率半径が0.1mm以下とし、あるいは円筒状の薄肉部の肉厚は約0.2mm以下とし、あるいは内孔の閉塞端の周縁から前記付け根部分までの距離は0.15〜0.25mmとし、あるいは内孔の端面は頂角が約100〜140度の円錐曲面状となるようにした口部材。
L G項〜K項のいずれか1項に記載の口部材と該口部材に被せて使用するキャップとを備えたキャップ付き口部材であって、キャップはその内部に口部材の端部に形成されたねじ切り用突部先端の係合突部もしくは係合凹部に係合し得るねじり回動用の係合凹部もしくは係合突部を設け、かつ一方の係合突部が他方の係合凹部に圧入され、ねじ切り用突部がねじ切られた後においてもその切片はキャップ内に保持されるようにしたキャップ付き口部材。
M L項記載のキャップ付き口部材において、口部材はねじ切り用突部に形成される係合突部が所定厚さの平坦状突部で構成され、キャップはねじり回動用係合凹部として前記平坦状突部が圧入状態に嵌り得る挟持部を備えて構成されたものであるキャップ付き口部材。
N 2枚の樹脂フィルムを重ね合わせ全周縁を溶着してシールすると共に上端部には吊下げ用孔が、下端側には内容物を注出するための口部材が設けられた可撓性容器において、
上端側のいずれか一端寄りを所定幅で周縁をシールした状態で上方に突出してなる突出部を形成すると共に下端側の前記突出部下方の角の部分が切り落とされたような形状とし、かつその部分の2枚の樹脂フィルム間にはG項〜K項のいずれか1項に記載の口部材あるいはL項もしくはM項記載のキャップ付き口部材がその基端部を挿入し、両側の樹脂フィルムで包囲するように溶着しシールされて取り付けられ、さらに該口部材に対する対角位置には吊下げ用孔がその孔の周囲がシールされた状態に設けられ、しかも前記突出部の側方には突出部を破断して開封するための切欠もしくは切込みを設け、飲料水等の注入口を形成し得るようにした可撓性容器。
【発明の効果】
【0007】
本発明の口部材、キャップ付き口部材およびこれらを使用した容器によれば、次の効果を奏する。
薄肉部は円筒状に形成され肉厚を均一化しているので、開栓時にねじり力を加えた際薄肉部は一様に破断し、口部の開封が完全に行われる。(薄肉部の肉厚が不揃では、ねじり力を加えて破断しようとしたとき、破断されない部分が生じ、口部の開封が完全に行い難くなるが、本発明ではこのような不具合は生じない。)
前述のように、ねじり力を加えた際薄肉部は一様に破断し、口部の開封が完全に行われるので、開栓時衝撃と衝撃による音を発し、開封されたことが分かり易いという利点がある。
円筒状の薄肉部の内側に形成された円形をした内孔の閉塞端側の端面は、内孔の周縁部から内孔の中心に向かうにつれて深さが深くなる(すなわち、ねじ切り用突部の先端方向に進んで位置する)ようにされているので、前記閉塞端の端面はねじ切り用突部の先端部側に凹んだ凹曲面をなし、薄肉部にねじり力を加えた際破断し易くなり、開封容易性が向上する(この効果は、発明完成途上において、発明者らが試作テストを繰り返すうちに初めて見い出したものである。)
キャップ付き口部材において、ねじ切り用突部の先端の係合突部はキャップの係合凹部としての挟持部に圧入されているので、開封時に切り離されたねじ切り用突部が散乱しないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
薄肉部の肉厚を均一にすると共に開封時薄肉部の破断を容易にするという目的を、口部材の注出口部の先端側に注出口部より径を細くしたねじ切り用突部を段付状に突設し、かつねじ切り用突部の付け根部分の隅部に円味をつけないか、あるいは円味を小さくなるようにし、しかも注出口部内の流通路の先端部は断面円形の内孔をなすと共に内孔の閉塞側端部の周縁は前記付け根部分から所定の微少距離だけねじ切り用突部の先端部寄りに離れて位置するようにされ、かつねじ切り用突部はその付け根部分から所定の微少距離離れた位置までの間を前記内孔と同心の円形に成形して円筒状の所定の微少な長さの薄肉部とし、さらに前記内孔の閉塞側の端面は内孔周縁から内孔軸心に向かうにつれてねじ切り用突部先端寄りに近づく曲面とされ、ねじ切り用突部の先端部にはねじり用係合突部が形成されてなり、該係合突部を他のキャップ内に形成されたねじり回動用係合凹部としての挟持部に係合しねじることにより前記円筒状の薄肉部を破断し流通路端部の注出口を開封するようにしたという簡単な構成で実現した。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明のキャップ付き口部材の一実施例の組み付け状態を示す一部を断面した説明図であり、口部材10にキャップ12が被せて取り付けられる。いずれも拡大して図示されている。なお、本実施例では、口部材10とキャップ12はポリプロピレン(PP)で構成される。
【0010】
口部材10は図2に示すように基端部14上に注出口部16が突設され、さらにその先端部にはねじ切り用突部18が段付き状に突設されている。基端部14は両端部が尖った略菱形状をなし、内側は空洞部を有するが容器取付側の一端部は開放されている。注出口部16は、内側に空洞部を有しているが、先端部に向かうにつれて内外径が徐々に細くなり、先端部では円管状部20をなしている。なお、前記空洞部は基端部14の空洞部に連通している。また、円管状部20の先端にはねじ切り用突部18が突設されるが、この突部18は図2(イ)、(ロ)に示すように、一定厚さで幅広の平坦状をなしている。
【0011】
ねじ切り用突部18は図3、図4に拡大して示すように注出口部16の先端の円管状部20に対し、径が急に細くされて段付き状をなしている。なお、本実施例では円管状部20の径は4mm程度であるが、その先端部はキャップの係合凹部としての挟持部への挿入を容易にするためテーパー状をなしているので、段付き状部の段差(径方向の差)は小さ目になっている。この段差の隅の部分、すなわちねじ切り用突部18の付け根部分の隅は円味をつけないか、あるいは円味(曲率半径)を小さくすることが、薄肉部を破断する際応力集中を生じて開封を容易にする点で望ましい。
【0012】
図3、図4に示すように円管状部20の内側には断面円形の内孔22が設けられると共に、ねじ切り用突部18の基部付近には内孔22と同心に外周が円形の部分が設けられ、円筒状の所定の微少な肉厚tの薄肉部24が形成される。また、内孔22の周縁部Tはねじ切り用突部18の付け根部分から所定の微少な距離Sだけ離れた位置にあり、このSなる寸法部分に薄肉部24が構成される。
【0013】
内孔22の閉塞端部には、周縁部Tから内孔の中心に向かうにつれて、深さが深くなるように(すなわち、ねじ切り用突部の先端寄りに位置するように)した凹曲面26が形成される。本実施例では、この凹曲面として頂角α(図面3、4参照)が100〜140度程度の円錐曲面が形成されている。薄肉部24に続く凹曲面26は、ねじ切り用突部18をねじって薄肉部24を破断しようとするとき、その破断をし易くするのに役立ち、開封容易性の向上に役立つ。(この効果は、既に述べたように発明完成途上における本願発明者らの試作テスト時に初めて見い出したものである。)凹曲面としては、例えば球面の一部を切り取ったような凹球面としてもよい。
【0014】
本実施例では、ねじ切り用突部の付け根部分の隅は曲率半径0.1mm(0.1R)以下、薄肉部の肉厚tを0.2mm以下とし、前記付け根部分から内孔22の閉塞側端部の周縁までの距離sを0.2mm以下とした。なお、内孔22の閉塞側端部は注出口部を塞ぎ、口部材を封止する部分をなしている。
【0015】
図4(イ)、(ロ)に示す各部の構成は、図3の場合と同様である。ただし、ねじ切り用突部18は寸法の小さい厚さ方向を向いているので、ねじ切り用突部18の基部と薄肉部24との間に傾斜した部分が存在する点が異なる。なお、ねじ切り用突部18の先端部はねじり用係合突部を構成し、キャップ12内の係合凹部としての挟持部に圧入できるようにされている。
【0016】
キャップ12は図5に示すように、有底円筒状部材の底部側の一端を幅を狭くし、指で摘み易くなるように成形したものであり、その内部にはねじ切り用突部18の係合突部が圧入され得る係合凹部としての挟持部30が形成されている。口部材10への取り付けは、図1に示すように、キャップ12の開口端を口部材10の注出口部16に被せると共に、ねじ切り用突部18先端の係合突部を、係合凹部としての挟持部30内に圧入して行う。
【0017】
図6はアルミニウムを積層した2枚の多層樹脂フィルムを重ね合わせ、周縁部を溶着して容器本体34とし、かつ容器本体34はその上端側のいずれか一端寄りが所定幅で周縁を溶着によりシールした状態で上方に突出してなる突出部35が形成されると共に、容器本体34はその下端側の前記突出部35の下方の角部は切り落とされたような形状をなし、その部分の2枚の樹脂フィルム間に口部材10の基端部14の略菱形状部分を挟んだ状態で溶着し、さらに口部材10の対角位置に吊り下げ用孔38が設けられると共にその孔38の周りは溶着によりシールして可撓性容器36を構成したものである。
そして、突出部35の側方には、突出部35を同図の点線で示すように横方向に破断して開封するための切欠40が形成され、開封により形成された開口部は、容器内容物の可食物や飲料が濃厚すぎるような場合飲料水等を注ぐ注入口として使用できる。開口後はその部分を折り畳んでおけば、ゴミ等が侵入することを防止できる。切欠40に代えて切り込みを設けてもよい。なお、上記アルミニウムを積層した樹脂フィルムのうちに1枚は、透明樹脂フィルムの外側にアルミニウムフィルムを貼着したもので構成されており、アルミニウムフィルム を剥がせば容器内部が見えるようにされている。
【0018】
可撓性容器を開封するには、口部材の略菱形状部分を樹脂フィルムの外側から手で保持すると共に、他方の手でキャップ12を廻し90〜150度ねじると、薄肉部24が破断し、容易に開封される。その際破断時の衝撃とその際発生する衝撃音により、開封されたことが容易に分かるという利点がある。薄肉部が破断しているので、再封はもちろん不可能である。
【実施例2】
【0019】
図9は、本発明のキャップ付き口部材の他の実施例の組み付け状態を示す一部を断面した説明図であり、口部材40にキャップ12が被せて取り付けられる。キャップは前記実施例で使用したキャップと同様なものが使用される。これらは、いずれも拡大して図示されている。なお、本実施例では、口部材40とキャップ12は前記実施例と同様にポリプロピレン(PP)で構成される。
【0020】
口部材40は図10に示すように基端部42上に注出口部44が突設され、さらにその
先端部にはねじ切り用突部46が段付き状に突設されている。基端部42は両端部が尖った略菱形状をなし、内側は空洞部を有するが容器取付側の一端部は開放されている点で前記実施例同様であるが、内側に2つのリブ47を設けた点で異なる。注出口部44は、所定の肉厚を有し、内側は空洞部をなしているが、基部付近は筒状をなし、それより先端寄り部分は先細りのテーパ状部48を形成し、さらにそれより先端寄り部分は径の異なる所定長さの複数のストレートの円筒状部50が配置され、かつ複数の円筒状部50は注出口部先端に近付く程順次径の小さいものが配列されるようにされている。これにより、複数の円筒状部50は段々と径が小さくなり段付き状をなしている。なお、円筒状部50の段付き部の角の部分は図11、図12に示すように、テーパ状部48外側に接する接線の延長線上に位置するようにされている。本実施例では段付きの円筒状部50は最先端部のものを含めて3箇所形成されているが、さらに増減することも可能である。58はリング状突部である。注出口部はその基端部とテーパ状部との間が円筒状をなし、かつその外周部には微少高さの複数のリング状突部58が形成されている。キャップ12の着脱を容易にするものである。
【0021】
注出口部の先端付近に形成された複数のストレートの円筒状部は、使用時チューブ等に挿入する際、指でつまみ易くすべり難いので、挿入が容易で使用し易いという利点がある。また、ストレートの円筒状部は最先端のものが最も径が小さく、次第に径が大きくされているので、使用するチューブ等のサイズに適合し易いという利点がある。
テーパ状部48は、図11、図12に示すようにテーパ角βは12°30′程度であるが、適宜増減することも可能である。前記空洞部は基端部14の空洞部に連通している。また、注出口部端部の円筒状部50の先端にはねじ切り用突部46が突設されるが、この
突部46は図10(イ)、(ロ)に示すように、一定厚さで幅広の平坦状をなしている。
【0022】
ねじ切り用突部46は図11、図12に拡大して示すように注出口部の先端の円筒状部
50に対し、径が急に細くされて段付き状をなしている。なお、この段付き状部の段差の隅の部分、すなわちねじ切り用突部46の付け根部分の隅は円味をつけないか、あるいは円味(曲率半径)を小さくすることが、薄肉部を破断する際応力集中を生じて開封を容易にする点で望ましい。この点については、前記実施例の場合と同様である。
【0023】
図11、図12に示すように注出口部44の頂部の中心部には断面円形の内孔52が設けられると共に、ねじ切り用突部46の基部付近には内孔52と同心に外周が円形の部分が設けられ、円筒状の所定の微少な肉厚tの薄肉部54が形成される。また、内孔52の周縁部T1はねじ切り用突部46の付け根部分から所定の微少な距離Sだけ離れた位置にあり、このSなる寸法部分に薄肉部54が構成される。これは、前記実施例の肉厚tと微少距離sの関連と同様である。
【0024】
内孔52の閉塞端部には、周縁部T1から内孔の中心に向かうにつれて、深さが深くなるように(すなわち、ねじ切り用突部の先端寄りに位置するように)した凹曲面56が形成される。本実施例では、この凹曲面として頂角α(図面11、12参照)が100〜140度程度の円錐曲面が形成されている。薄肉部54に続く凹曲面56は、ねじ切り用突部46をねじって薄肉部54を破断しようとするとき、その破断をし易くするのに役立ち、開封容易性の向上に役立つ。この点については、前記実施例の場合と同様である。凹曲面としては、例えば球面の一部を切り取ったような凹球面としてもよい。
【0025】
本実施例では、前記実施例と同様にねじ切り用突部の付け根部分の隅は曲率半径0.1mm(0.1R)以下、薄肉部の肉厚tを0.2mm以下とし、前記付け根部分から内孔52の閉塞側端部の周縁までの距離Sを0.2mm以下とした。なお、内孔52の閉塞側端部は注出口部を塞ぎ、口部材を封止する部分をなしている。
【0026】
図12(イ)、(ロ)に示す各部の構成は、図11の場合と同様である。ただし、ねじ切り用突部46は寸法の小さい厚さ方向を向いているので、ねじ切り用突部46の基部と薄肉部54との間に傾斜した部分が存在する点が異なる。なお、ねじ切り用突部46の先端部はねじり用係合突部を構成し、キャップ12内の係合凹部としての挟持部に圧入できるようにされている。
【0027】
キャップ12は図5に示されるが、口部材40への取り付けは、図9に示すように、キャップ12の開口端を口部材40の注出口部46に被せると共に、ねじ切り用突部46先端の係合突部を、キャップ12の係合凹部としての挟持部30内に圧入して行う。
【0028】
口部材40は、前記実施例を示す図6の場合と同様に、例えばアルミニウムを積層した2枚の多層樹脂フィルムを重ね合わせ、周縁部を溶着してなる容器本体34に溶着されて、可撓性容器36が構成される。その他の構成および使用方法は、前記実施例と同様である。
本実施例では、注出口部の先端付近に複数のストレートの円筒状部が形成されているので、使用時チューブ等に挿入する際、指でつまみ易くすべり難いので、挿入が容易で使用し易いという利点がある。また、ストレートの円筒状部は最先端のものが最も径が小さく、次第に径が大きくされているので、使用するチューブ等のサイズに適合し易いという利点がある。
【0029】
可撓性容器を開封するには、前記実施例と同様に行えばよく、容易に開封される。その際破断時の衝撃とその際発生する衝撃音により、開封されたことが容易に分かるという利点も前記実施例と同様である。薄肉部が破断しているので、再封はもちろん不可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の口部材は、口部材の大きさや薄肉部のサイズを変えることによって、他の物質や部品、部材等を収容したり、保管したり、包装したり等するための密封性の容器や包装用容器の口部材として適用できる。また、上記口部材を取り付けた容器は、上記物質等を収容する容器として適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(イ)、(ロ)はキャップつき口部材の実施例を示す説明図であり、(ハ)は同図(イ)におけるC−C断面図である。
【図2】(イ)〜(ハ)は同実施例に使用する部品の一部を破断した正面図、側面図および上面図である。
【図3】(イ)は同部品の図2(イ)に示す部分の部分拡大図であり、(ロ)は同部分拡大図のA部詳細図である。
【図4】(イ)は同部品の図2(ロ)に示す部分の部分拡大図であり、(ロ)は同部分拡大図のB部詳細図である。
【図5】(イ)〜(ハ)は前記実施例に使用する他の部品の正面側の断面図、側面側の断面図および底面図である。
【図6】前記キャップつき口部材を使用した容器の実施例を示す説明図である。
【図7】(イ)、(ロ)は口部材の従来例を示す説明図、同図(イ)におけるD部拡大図である。(特許文献1)
【図8】口部材の他の従来例を示す説明図である。(特許文献2)
【図9】(イ)、(ロ)はキャップつき口部材の他の実施例を示す説明図であり、(ハ)は同図(イ)におけるD−D断面図である。
【図10】(イ)〜(ニ))は同実施例に使用する部品の一部を破断した正面図、側面図、上面図および底面図である。
【図11】(イ)は同部品の図10(イ)に示す部分の部分拡大図であり、(ロ)は同部分拡大図のE部詳細図である。
【図12】(イ)は同部品の図10(ロ)に示す部分の部分拡大図であり、(ロ)は同部分拡大図のF部詳細図である。
【符号の説明】
【0032】
10 口部材
12 キャップ
16 注出口部
18 ねじ切り用突部
22 内孔
24 薄肉部
26 凹曲面
30 挟持部(係合凹部)
34 容器本体
36 可撓性容器
40 口部材
42 基端部
44 注出口部
46 ねじ切り用突部
48 テーパ状部
50 円筒状部
52 内孔
54 薄肉部
58 リング状突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部をねじ切ることによって封止された容器内容物の注出口を再封不可能に開封させ得るようにした容器に取り付けるための口部材であって、口部材の基端部を容器の取付部としその内側には一端が開放された空洞部もしくは流通孔を設け、前記基端部には注出口部が突設されると共に注出口部内側には基端部内の前記空洞部もしくは流通孔に連通された流通路が形成され、さらに注出口部の先端側には注出口部先端より径が細くされたねじ切り用突部が段付状に突設され、かつねじ切り用突部の付け根部分の隅は円味を生じないようにするかあるいは円味を小さくなるようにし、しかも注出口部内の流通路の先端部は断面円形の内孔をなすと共に内孔の閉塞側端部の周縁は前記付け根部分から所定の微少距離だけねじ切り用突部の先端部寄りに離れて位置するようにされ、かつ前記付け根部分から所定の微少距離離れた位置までの間を前記内孔と同心の円形に成形して円筒状の所定の微少な長さの薄肉部とし、しかも円形に成形された部分の前記付け根部分の一端部からねじ切り用突部の先端部寄りの他端部までの距離は常に前記付け根部分から前記内孔の閉塞側端部の周縁までの距離より長くなるようにされ、さらに前記内孔の閉塞側の端面は内孔周縁から内孔軸心に向かうにつれてねじ切り用突部先端寄りに近づく曲面とされ、ねじ切り用突部の先端部にはねじり用係合突部が形成されてなり、該係合突部を他のキャップ内に形成されたねじり回動用係合凹部に係合しねじることにより前記円筒状の薄肉部を破断し流通路端部の注出口を開封するようにした口部材。
【請求項2】
請求項1記載の口部材において、口部材の基端部は長手状の略菱形に形成されると共に内部の空洞部が容器側に開放されてなる口部材。
【請求項3】
請求項1もしくは2記載の口部材において、ねじ切り用突部の付け根部分の隅は曲率半径が0.1mm以下とし、あるいは円筒状の薄肉部の肉厚は約0.2mm以下とし、あるいは内孔の閉塞端の周縁から前記付け根部分までの距離は0.15〜0.25mmとし、あるいは内孔の端面は頂角が約100〜140度の円錐曲面状となるようにした口部材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の口部材と該口部材に被せて使用するキャップとを備えたキャップ付き口部材であって、キャップはその内部に口部材の端部に形成されたねじ切り用突部先端の係合突部もしくは係合凹部に係合し得るねじり回動用の係合凹部もしくは係合突部を設け、かつ一方の係合突部が他方の係合凹部に圧入され、ねじ切り用突部がねじ切られた後においてもその切片はキャップ内に保持されるようにしたキャップ付き口部材。
【請求項5】
請求項4記載のキャップ付き口部材において、口部材はねじ切り用突部に形成される係合突部が所定厚さの平坦状突部で構成され、キャップはねじり回動用係合凹部として前記平坦状突部が圧入状態に嵌り得る挟持部を備えて構成されたものであるキャップ付き口部材。
【請求項6】
2枚の樹脂フィルムを重ね合わせ全周縁を溶着してシールすると共に上端部には吊下げ用孔が、下端側には内容物を注出するための口部材が設けられた可撓性容器において、
上端側のいずれか一端寄りを所定幅で周縁をシールした状態で上方に突出してなる突出部を形成すると共に下端側の前記突出部下方の角の部分が切り落とされたような形状とし、かつその部分の2枚の樹脂フィルム間には請求項1〜3のいずれか1項に記載の口部材あるいは請求項4もしくは5記載のキャップ付き口部材がその基端部を挿入し、両側の樹脂フィルムで包囲するように溶着しシールされて取り付けられ、さらに該口部材に対する対角位置には吊下げ用孔がその孔の周囲がシールされた状態に設けられ、しかも前記突出部の側方には突出部を破断して開封するための切欠もしくは切込みを設け、飲料水等の注入口を形成し得るようにした可撓性容器。
【請求項7】
先端部をねじ切ることによって封止された容器内容物の注出口を再封不可能に開封させ得るようにした容器に取り付けるための口部材であって、口部材の基端部を容器の取付部としその内側には一端が開放された空洞部もしくは流通孔を設け、前記基端部には注出口部が突設されると共に注出口部はその中間部より先端部に至る部分が先細りのテーパ状部をなし、さらにテーパ状部の先端から注出口部先端までの間は複数の径の異なる所定長さのストレートの円筒状部分が配置され、かつ円筒状部分は径の小さいもの程注出口部先端寄りに位置するように配列されて複数の円筒状段付部が形成され、しかも注出口部の周壁は所定肉厚を有すると共に注出口部先端は周壁に連続した部分で閉塞されて 注出口部内側には基端部内の前記空洞部もしくは流通孔に連通された流通路が形成され、さらに注出口部の先端側には注出口部先端より径が細くされたねじ切り用突部が段付状に突設され、かつねじ切り用突部の付け根部分の隅は円味を生じないようにするかあるいは円味を小さくなるようにし、しかも注出口部内の流通路の先端部の中心部には断面円形の内孔が形成されると共に内孔の閉塞側端部の周縁は前記付け根部分から所定の微少距離だけねじ切り用突部の先端部寄りに離れて位置するようにされ、かつ前記付け根部分から所定の微少距離離れた位置までの間を前記内孔と同心の円形に成形して円筒状の所定の微少な長さの薄肉部とし、しかも円形に成形された部分の前記付け根部分の一端部からねじ切り用突部の先端部寄りの他端部までの距離は常に前記付け根部分から前記内孔の閉塞側端部の周縁までの距離より長くなるようにされ、さらに前記内孔の閉塞側の端面は内孔周縁から内孔軸心に向かうにつれてねじ切り用突部先端寄りに近づく曲面とされ、ねじ切り用突部の先端部にはねじり用係合突部が形成されてなり、該係合突部を他のキャップ内に形成されたねじり回動用係合凹部に係合しねじることにより前記円筒状の薄肉部を破断し流通路端部の注出口を開封するようにした口部材。
【請求項8】
請求項7記載の口部材において、注出口部は各円筒状段付部の角の部分がテーパ状部の母線の延長線上に位置するようにされると共に注出口部はその基端部とテーパ状部との間が円筒状をなし、かつその外周部には微少高さの複数のリング状突部が形成された口部材。
【請求項9】
請求項7もしくは8記載の口部材において、注出口部のテーパ状部はその中心線を含む平面がテーパ状部両側に接する線間の角度(テーパ角)は 9〜16°である口部材。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の口部材において、口部材の基端部は長手状の略菱形に形成されると共に内部の空洞部が容器側に開放されてなる口部材。
【請求項11】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の口部材において、ねじ切り用突部の付け根部分の隅は曲率半径が0.1mm以下とし、あるいは円筒状の薄肉部の肉厚は約0.2mm以下とし、あるいは内孔の閉塞端の周縁から前記付け根部分までの距離は0.15〜0.25mmとし、あるいは内孔の端面は頂角が約100〜140度の円錐曲面状となるようにした口部材。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか1項に記載の口部材と該口部材に被せて使用するキャップとを備えたキャップ付き口部材であって、キャップはその内部に口部材の端部に形成されたねじ切り用突部先端の係合突部もしくは係合凹部に係合し得るねじり回動用の係合凹部もしくは係合突部を設け、かつ一方の係合突部が他方の係合凹部に圧入され、ねじ切り用突部がねじ切られた後においてもその切片はキャップ内に保持されるようにしたキャップ付き口部材。
【請求項13】
請求項12記載のキャップ付き口部材において、口部材はねじ切り用突部に形成される係合突部が所定厚さの平坦状突部で構成され、キャップはねじり回動用係合凹部として前記平坦状突部が圧入状態に嵌り得る挟持部を備えて構成されたものであるキャップ付き口部材。
【請求項14】
2枚の樹脂フィルムを重ね合わせ全周縁を溶着してシールすると共に上端部には吊下げ用孔が、下端側には内容物を注出するための口部材が設けられた可撓性容器において、上端側のいずれか一端寄りを所定幅で周縁をシールした状態で上方に突出してなる突出部を形成すると共に下端側の前記突出部下方の角の部分が切り落とされたような形状とし、かつその部分の2枚の樹脂フィルム間には請求項7〜11のいずれか1項に記載の口部材あるいは請求項12もしくは13記載のキャップ付き口部材がその基端部を挿入し、両側の樹脂フィルムで包囲するように溶着しシールされて取り付けられ、さらに該口部材に対する対角位置には吊下げ用孔がその孔の周囲がシールされた状態に設けられ、しかも前記突出部の側方には突出部を破断して開封するための切欠もしくは切込みを設け、飲料水等の注入口を形成し得るようにした可撓性容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−62752(P2006−62752A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213530(P2005−213530)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000149435)株式会社大塚製薬工場 (154)
【出願人】(591016334)大塚テクノ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】