可動接点付きシート
【課題】各種電子機器の操作パネルに用いられる可動接点付きシートに関し、搭載状態で斜め押し操作時を含んで良好なクリック感が得られるものを提供する。
【解決手段】可動接点1を保持したベースシート5の下方に、可動接点1の配設位置に応じた孔部40を有するスペーサシート30を粘着させ、その孔部40形状を、可動接点1の中心位置を中心とした点対称位置から外れる角度位置になるように二つの第一、第二突出部43、45を内側に突出形成した形状とし、かつそれらの上に可動接点1の外周下端を乗り上げさせた構成とした。当該構成であれば、搭載状態で、可動接点1が、各突出部43、45上と各突出部43、45どうし間の広い角度範囲内の外側接点21上の三点の位置で外周下端が支持されているパネルスイッチを容易に構成できる。
【解決手段】可動接点1を保持したベースシート5の下方に、可動接点1の配設位置に応じた孔部40を有するスペーサシート30を粘着させ、その孔部40形状を、可動接点1の中心位置を中心とした点対称位置から外れる角度位置になるように二つの第一、第二突出部43、45を内側に突出形成した形状とし、かつそれらの上に可動接点1の外周下端を乗り上げさせた構成とした。当該構成であれば、搭載状態で、可動接点1が、各突出部43、45上と各突出部43、45どうし間の広い角度範囲内の外側接点21上の三点の位置で外周下端が支持されているパネルスイッチを容易に構成できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の操作パネルに用いられる可動接点付きシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の操作パネルには、絶縁性フィルムの下面にドーム状の可動接点を粘着保持した可動接点付きシートが多く用いられている。
【0003】
従来の可動接点付きシートについて、図11〜図14を用いて以下に説明する。
【0004】
図11は従来の可動接点付きシートの断面図、図12は同分解斜視図である。
【0005】
同図において、1は、上方凸型の円形ドーム状に金属薄板から形成された可動接点、5は、下面に第一粘着剤7が所定パターンで形成された絶縁フィルム製のベースシートで、可動接点1は第一粘着剤7によってベースシート5下面の所定位置に粘着保持されている。
【0006】
10は、可動接点1の配設位置に応じた箇所に孔部12が各々設けられている絶縁フィルム製のスペーサシートで、ベースシート5下方に重ねて配され前記第一粘着剤7によってベースシート5に貼り合わせられている。スペーサシート10の下面には第二粘着剤15が形成されており、その第二粘着剤15で、後述する配線基板20に粘着させて装着可能になっている。
【0007】
スペーサシート10の孔部12は、内側に突出形成された一つの第一突出部13が設けられた略円形の孔形状となっている。第一突出部13の幅は、配線基板20における中央接点22からの引き出し部22A上を覆うことができる程度の細幅形状のものに形成されている。そして、可動接点1は、図11に示したように、その第一突出部13位置では外周下端が第一突出部13上に乗り上げ、その他の部分では下方が露出している状態に配されている。
【0008】
以上のように従来の可動接点付きシートは構成され、その輸送保管時などには、可動接点1の下面やスペーサシート10の第二粘着剤15への塵埃などの付着防止のために、スペーサシート10下面全面を覆うセパレータ17を第二粘着剤15に粘着させた状態として輸送保管などがされる。
【0009】
そして、従来の可動接点付きシートは、図13の断面図に示すように、その搭載時に前記セパレータ17が剥がされ、露出した第二粘着剤15で対応する配線基板20上に貼り付け装着して搭載状態とされる。
【0010】
配線基板20の上面には、図14に示したように、可動接点1の配設位置毎に固定接点部が構成されている。その固定接点部としては、C字状の外側接点21と、その中に配された円形の中央接点22とが対となり、外側接点21の引き出し部21AはC字の側部から引き出され、また中央接点22の引き出し部22Aは外側接点21におけるC字の開口部内を通して引き出されて、各々所定の回路部に繋がっている。
【0011】
そして、従来の可動接点付きシートは、各可動接点1を個々の固定接点部に対応させて配線基板20上に貼り付け装着されている。つまり、外側接点21上に可動接点1の外周下端が載せられ、可動接点1の中央部が中央接点22に所定間隔をもって対峙するように配線基板20上に配されて搭載状態とされ、これらで操作パネル用のパネルスイッチが構成されている。なお、その搭載状態で、中央接点22の引き出し部22Aと可動接点1との絶縁状態を確保するために、スペーサシート10の第一突出部13で、中央接点22の引き出し部22A上を覆うように対応させて当該可動接点付きシートは装着されている。
【0012】
以上のように構成されたパネルスイッチの動作は、ベースシート5の上方から押圧操作して可動接点1の中央部に押下げ力を加えていき、その押圧力が所定の大きさを超えると可動接点1の中央部がクリック感を伴って下方凸型に弾性反転し、その中央部下面が中央接点22に接触する。これによって、中央接点22と外側接点21との間が可動接点1を介して導通したスイッチオン状態となり、前記押下げ力を除くと、可動接点1は元の形状に自己復帰して、図13に示したスイッチオフ状態に戻るものであった。
【0013】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平7−320591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前記従来の可動接点付きシートにおいては、中央接点22の引き出し部22Aと可動接点1との短絡を防止するため、スペーサシート10に設けた細幅の第一突出部13で中央接点22の引き出し部22A上を覆って装着させるようにしていた。このため、その第一突出部13上の箇所では、可動接点1の外周下端の高さ位置が、第一突出部13の厚み分、C字状の外側接点21上に直接載る外周下端箇所よりも高い位置となって、C字状の外側接点21上に載る可動接点1の外周下端箇所が、第一突出部13上の位置から可動接点1の中心を通る直径上での位置になり易く、その二点での支持状態になると可動接点1の配置安定性に劣り、例えば可動接点1が支持されていない方向に向けて斜め押し操作されると操作時に得られるクリック感が鈍く感じられ易いという課題があった。
【0016】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、機器の配線基板への搭載状態で安定した可動接点の支持状態にできると共に、その支持状態で可動接点の大きい挙動ストロークも実現させ、それらによって斜め押し操作時を含んで良好なクリック感が得られるように構成した可動接点付きシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0018】
本発明の請求項1に記載の発明は、金属薄板製の上方凸形のドーム状で、中央部への押圧操作によって前記中央部が弾性反転動作する可動接点と、この可動接点を下面の粘着剤で保持する絶縁フィルム製のベースシートと、前記ベースシート下面に重ねて粘着された絶縁フィルム製で、前記可動接点の配設位置に対応して設けられた孔部を有し、その孔部には、前記可動接点の外周下端が乗り上げた状態になるように、内側に突出する第一突出部が設けられたスペーサシートとを備え、配線基板に設けられた外側接点上に前記可動接点の外周下端が載せられて搭載状態とされる可動接点付きシートであって、前記スペーサシートの孔部内に内側に突出する第二突出部をさらに備えさせ、かつその第二突出部としては、前記可動接点の中心に対し前記第一突出部の点対称位置から外れる角度位置に前記第一突出部とは独立させて離して形成し、その第二突出部の上にも前記可動接点の外周下端を乗り上げさせ、前記外側接点上には前記第一および第二突出部どうし間の広い角度範囲の中の位置で前記可動接点の外周下端箇所が載るように構成した可動接点付きシートとしたものである。
【0019】
当該構成であれば、第一突出部で配線基板に設けられた中央接点の引き出し部上を覆う状態で搭載しても、第二突出部上および外側接点上に載る可動接点の外周下端箇所が、第一突出部に対し可動接点の中心を通る直径上での位置となることもなく、確実に三点の位置で支持された状態で搭載されるものにできる。しかも、第二突出部を、可動接点の中心に対し第一突出部の点対称位置から外れた角度位置に独立させて離して形成しているため、外側接点上に載っている可動接点の外周下端箇所に対し可動接点の直径上となる反対側の箇所は、前記第一および第二突出部どうし間の空間部分となるため、二点での支持状態となることが防止される。また、前記搭載状態で、可動接点が三点で安定した支持状態にできることに加えて可動接点は二つの突出部上に外周下端が載せられているため、それらの突出部上に載っている外周下端位置どうしを結ぶ架空直線が可動接点の中心に近付き、その分、従来品よりも可動接点の中央部がより高い位置に位置されて可動接点の大きい挙動ストロークを実現させることもでき、それらによって搭載状態で斜め押し操作時を含んで良好なクリック感が得られる構成の搭載状態にできるという作用を有する。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によれば、機器の配線基板への搭載状態で安定した可動接点の支持状態にできると共に、その支持状態で可動接点の大きい挙動ストロークも実現させ、それらによって斜め押し操作時を含んで良好なクリック感が得られるように構成した可動接点付きシートを提供することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態による可動接点付きシートの分解斜視図
【図2】同ベースシートを除いた状態でスペーサシートと可動接点の組み合わせ状態を示す斜視図
【図3】同図2のP−P線での断面図
【図4】同図2のQ−Q線での断面図
【図5】同図2のR−R線での断面図
【図6】当該可動接点付きシートの搭載状態においてスペーサシートの第一突出部を含む可動接点の直径位置での断面図
【図7】同分解斜視図
【図8】同ベースシートを除いて可動接点と固定接点部等との配置状態を説明する上面図
【図9】同スペーサシートの第二突出部を含む可動接点の直径位置での断面図
【図10】同スペーサシートの突出部どうし間の中間角度位置を含む可動接点の直径位置での断面図
【図11】従来の可動接点付きシートの断面図
【図12】同分解斜視図
【図13】従来の可動接点付きシートの搭載状態において第一突出部を含む可動接点の直径位置での断面図
【図14】同分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図10を用いて説明する。なお、従来の技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0023】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による可動接点付きシートの分解斜視図、図2は同ベースシートを除いた状態でスペーサシートと可動接点の組み合わせ状態を示す斜視図である。
【0024】
同図において、5はベースシートで、その下面に形成された第一粘着剤7で可動接点1の上面を所定位置に粘着保持している。また、ベースシート5下方には絶縁フィルム製のスペーサシート30が重ねて配され、前記第一粘着剤7によって貼り合わせられている。
【0025】
スペーサシート30は、可動接点1の配設位置に応じた箇所に孔部40を備えていると共に、下面には第二粘着剤35が形成されている。孔部40としては、第一、第二突出部43、45の二つが個々に独立して内側に突出形成された略円形の孔形状となっており、突出部43、45は、突出部43、45どうしが可動接点1の中心位置を中心とした点対称位置から外れる角度位置になるようにそれぞれ中心に向いた細幅で直線状のものに形成されている。可動接点1の外周下端は、各突出部43、45のそれぞれの上に乗り上げており、その他の部分は下方に露出している。なお、当該構成では、突出部43、45部分を含むスペーサシート30を一様な厚みのものを用いている。
【0026】
以上のように本実施の形態による可動接点付きシートは構成され、その輸送保管時などには、可動接点1の下面やスペーサシート30の第二粘着剤35への塵埃などの付着防止のために、スペーサシート30下面全面を覆うセパレータ37を第二粘着剤35に粘着させた状態として輸送保管などがされる。
【0027】
そのセパレータ37付きの状態での断面図を図3〜図5に示す。図3は図2のP−P線での断面図で、スペーサシート30の第一突出部43を含む可動接点1の直径位置での断面を示している。図4は図2のQ−Q線での断面図で、スペーサシート30の第二突出部45を含む可動接点1の直径位置での断面を示している。図5は図2のR−R線での断面図で、スペーサシート30の突出部43、45どうし間の中間角度位置を含む可動接点1の直径位置での断面を示している。
【0028】
当該可動接点付きシートは、スペーサシート30の第一突出部43を含む可動接点1の直径位置では、図3に示したように、可動接点1は片側の外周下端位置で第一突出部43上に載り、その反対側の外周下端位置はセパレータ37上から少し浮いた状態になっている。そして、同様にスペーサシート30の第二突出部45を含む可動接点1の直径位置では、図4に示したように、可動接点1は片側の外周下端位置で第二突出部45上に載り、その反対側の外周下端位置はセパレータ37上から少し浮いた状態になっている。そして、突出部43、45どうし間の中間角度位置を含む可動接点1の直径位置では、図5に示したように、可動接点1は片側の外周下端箇所がセパレータ37上に当接し、その反対側の外周下端位置はセパレータ37上から大きく浮いた状態となっており、その高さは各突出部43、45の上面高さ位置よりも少し高い位置に位置したものとなっている。
【0029】
このセパレータ37付きの当該可動接点付きシートは、その使用時には従来同様にセパレータ37が剥がされて、露出させた第二粘着剤35で対応する配線基板20上に貼り付け装着して搭載状態とされる。
【0030】
その搭載状態について、以下に図面を用いて説明する。図6は当該可動接点付きシートの搭載状態においてスペーサシートの第一突出部を含む可動接点の直径位置での断面図、図7は同分解斜視図、図8は同ベースシートを除いて可動接点と固定接点部等との配置状態を説明する上面図、図9は同スペーサシートの第二突出部を含む可動接点の直径位置での断面図、図10は同スペーサシートの突出部どうし間の中間角度位置を含む可動接点の直径位置での断面図である。
【0031】
ここに、図7や図8からも判るように、搭載させる配線基板20は従来の場合と同じもので、その上面に配された固定接点部は、個々に、C字状の外側接点21と、その中に配された円形の中央接点22が対となって構成されており、外側接点21の引き出し部21AはC字の側部から引き出され、また中央接点22の引き出し部22Aは外側接点21におけるC字の開口部内を通して引き出されている。
【0032】
そして、その配線基板20上に、当該可動接点付きシートは、図6などに示したように、第二粘着剤35を介して貼り付けて装着されている。その搭載状態で可動接点1の外周下端は対応する外側接点21上に載り、可動接点1の中央部が対応する中央接点22に所定間隔をもって対峙している。また、その搭載状態で、中央接点22の引き出し部22Aと可動接点1との短絡を防止するため、図6や図8に示したように、中央接点22の引き出し部22A上をスペーサシート30の第一突出部43で覆った搭載状態としていることは従来同様である。
【0033】
しかしながら、当該可動接点付きシートは第二突出部45を有したものとして、その第二突出部45としては、可動接点1の中心に対し第一突出部43の点対称位置から外れる角度位置に第一突出部43とは独立させて離して形成したものとしているため、前記配線基板20への搭載状態では、この第二突出部45が外側接点21上に配された状態となる(図8および図9参照)。
【0034】
すなわち、前記搭載状態では、各突出部43、45が共に固定接点の上に重なって位置したものとなり、そして、第一と第二突出部43と45どうしを、可動接点1の中心に対し互いに点対称位置にならない配置関係で独立して設け、かつ各突出部43、45上に可動接点1の外周下端を乗り上げさせているものにしているため、可動接点1は、突出部43、45どうし間の狭い角度側の中間角度位置とは反対側の外周下端箇所(図8内に黒丸で示した位置)で外側接点21上に載った状態となる。そして、その突出部43、45どうし間の中間角度位置を含む可動接点1の直径位置での断面状態を示す図10からも判るように、当該構成では、前記可動接点1の外側接点21上に載っている外周下端箇所に対し可動接点1の直径上となる反対側の箇所が、前記第一および第二突出部43および45どうし間の空間部分となっているために、突出部43、45どうし間の中間角度位置を含む可動接点1の直径位置では二点での支持状態となることが自然に防止された搭載状態にできる。
【0035】
以上のように、当該可動接点付きシートは、その搭載状態で、可動接点1が各突出部43、45上および外側接点21上の三点で安定して支持された状態のものに容易に構成できる。さらに、可動接点1は、第一と第二突出部43と45上に載っている外周下端位置どうしを結ぶ架空直線が可動接点1の中心に近付く分、従来品よりも高い位置で支持されている構成ともなるため、可動接点1の中央部もそれに応じて従来品よりも高い位置に位置され、可動接点1の大きい挙動ストロークを有したものに構成できる。
【0036】
当該可動接点付きシートを用いて構成した前記パネルスイッチの動作は、従来同様に、ベースシート5の上方から可動接点1の中央部を押圧操作して可動接点1の中央部に押下げ力を加えていき、その押圧力が所定の大きさを超えると可動接点1の中央部がクリック感を伴って下方凸型に弾性反転し、可動接点1の中央部下面が中央接点22に接触したスイッチオン状態となる。このとき、可動接点1は、三点で安定した支持状態となっているため、斜め押し操作されたとしても、クリック感が鈍く感じられ難いものに実現できる。
【0037】
また、前述したように当該構成では可動接点1の中央部の高さ位置が従来品よりも高い位置にあるため、前記スイッチオン状態までの可動接点1の挙動ストロークが大きくなることも良好なクリック感が得られることに寄与している。つまり、可動接点1の外周下端面より下方に位置した中央接点22までの間隔が大きくなり、かつ安定しているため、可動接点1の弾性反転時の挙動範囲が大きく、かつ安定し、操作時のクリック感が良好なものに感じられ易くなる。
【0038】
そして、前記スイッチオン状態から押下げ力を除くと、可動接点1は元の形状に自己復帰して元のスイッチオフ状態に戻る。
【0039】
以上のように、当該可動接点付きシートは、搭載状態で斜め押し操作時を含んで良好なクリック感が得られる構成のパネルスイッチを容易に得ることができる。
【0040】
なお、第一、第二突出部43、45どうし間の配設角度は、斜め押し操作時を含めて安定して可動接点1が支持される角度であればよく、好ましくは120°近傍である。
【0041】
そして、前記には、当該可動接点付きシートを、従来と同じ配線基板20に搭載させた例について説明したが、固定接点部の構成が異なる配線基板に搭載してもよい。
【0042】
例えば、外側接点21が繋がっている円形リングで、その中に配設された中央接点22がスルーホールで下面または中間階層の導電パターンに繋がる両面または多層の配線基板などであってもよい。これであっても前述説明したものと同等の搭載状態で、同じ作用効果が得られるパネルスイッチに構成できる。
【0043】
または、前記外側接点21が短い円弧状に構成されていたりしてもよい。この場合には、第二突出部45が直接配線基板上に配置される装着状態となることもあるが、その搭載状態でも可動接点1は前記同様に三点での安定した支持状態が確保されるため、斜め押し操作時などに従来品よりも良好なクリック感が得られ易いものに構成できる。なお、その第二突出部45の配設箇所に応じた基板上の位置に所定厚さのレジストを配するなどして、可動接点1の中央部高さ位置を確保させた構成としてもよい。
【0044】
さらには、配線基板の固定接点部を可動接点1の中央部下面に対向する位置に配された二つの独立接点のみとして、可動接点1の反転動作でその二つの独立接点間が短絡するものとされていてもよい。なお、この場合にはスペーサシートに三つの突出部を設けていずれにも可動接点1の外周下端を乗り上げさせたものとしてあってもよい。
【0045】
なお、突出部43、45を含むスペーサシート30を一様な厚みの絶縁フィルムで形成したものとすれば、生産性も高くかつ安価な構成にできて好ましいが、各突出部の厚さのみが部分的に変えられているものとしてもよい。その厚さを変える手段は、厚くする場合には、突出部に重ねてテープを貼ったり、印刷法で絶縁層を重ねて形成するなど様々な手法を適宜用いればよい。また、厚さが厚いスペーサシート30を用いる場合、可動接点1の中央部下面から中央接点22までの間隔が可動接点1の動作ストロークより大きくなりすぎて支障があるなどで突出部のみを薄く形成したいときには、突出部を熱プレスするなどして所望の厚さに形成すればよい。このように、可動接点1の反転動作の直後から中央接点22に当接するまでの距離が長く確保され、所謂底突き感の少ない良好な操作時の感触のものになるように、スペーサシート30の厚さや各突出部の厚さを変えることによって可動接点1の中央部高さ位置を所望の位置に適宜設定すればよい。なお、実験した結果では、前述した第一、第二突出部43、45の厚さが25μm、38μm、52μmの三種の当該可動接点付きシートをそれぞれ同じ可動接点1を用いて製作し、同じ配線基板20に貼り合わせて操作して各々クリック率を測定すると、突出部43、45の厚さが25μmの場合よりも、38μmの方が、さらにそれらより厚い52μmの方が、クリック率が向上する傾向が見られ、これからも、厚さの厚い突出部43、45としていく方、つまり可動接点1の動作ストロークの範囲内で可動接点1の中央位置が高くなる方が良好なクリック感が得られるものに構成できることが判った。
【0046】
なお、以上には、二つの第一、第二突出部43、45を有したものを主に説明したが、前述の搭載状態になるならばスペーサシートにおける突出部の数は二つに限定されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明による可動接点付きシートは、機器の配線基板への搭載状態で安定した可動接点の支持状態にできると共に、その支持状態で可動接点の大きい挙動ストロークも実現させ、それらによって斜め押し操作時を含んで良好なクリック感が得られる搭載状態にでき、主に各種電子機器の操作パネルを構成する際等に有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 可動接点
5 ベースシート
7 第一粘着剤
20 配線基板
21 外側接点
21A、22A 引き出し部
22 中央接点
30 スペーサシート
35 第二粘着剤
37 セパレータ
40 孔部
43 第一突出部
45 第二突出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の操作パネルに用いられる可動接点付きシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の操作パネルには、絶縁性フィルムの下面にドーム状の可動接点を粘着保持した可動接点付きシートが多く用いられている。
【0003】
従来の可動接点付きシートについて、図11〜図14を用いて以下に説明する。
【0004】
図11は従来の可動接点付きシートの断面図、図12は同分解斜視図である。
【0005】
同図において、1は、上方凸型の円形ドーム状に金属薄板から形成された可動接点、5は、下面に第一粘着剤7が所定パターンで形成された絶縁フィルム製のベースシートで、可動接点1は第一粘着剤7によってベースシート5下面の所定位置に粘着保持されている。
【0006】
10は、可動接点1の配設位置に応じた箇所に孔部12が各々設けられている絶縁フィルム製のスペーサシートで、ベースシート5下方に重ねて配され前記第一粘着剤7によってベースシート5に貼り合わせられている。スペーサシート10の下面には第二粘着剤15が形成されており、その第二粘着剤15で、後述する配線基板20に粘着させて装着可能になっている。
【0007】
スペーサシート10の孔部12は、内側に突出形成された一つの第一突出部13が設けられた略円形の孔形状となっている。第一突出部13の幅は、配線基板20における中央接点22からの引き出し部22A上を覆うことができる程度の細幅形状のものに形成されている。そして、可動接点1は、図11に示したように、その第一突出部13位置では外周下端が第一突出部13上に乗り上げ、その他の部分では下方が露出している状態に配されている。
【0008】
以上のように従来の可動接点付きシートは構成され、その輸送保管時などには、可動接点1の下面やスペーサシート10の第二粘着剤15への塵埃などの付着防止のために、スペーサシート10下面全面を覆うセパレータ17を第二粘着剤15に粘着させた状態として輸送保管などがされる。
【0009】
そして、従来の可動接点付きシートは、図13の断面図に示すように、その搭載時に前記セパレータ17が剥がされ、露出した第二粘着剤15で対応する配線基板20上に貼り付け装着して搭載状態とされる。
【0010】
配線基板20の上面には、図14に示したように、可動接点1の配設位置毎に固定接点部が構成されている。その固定接点部としては、C字状の外側接点21と、その中に配された円形の中央接点22とが対となり、外側接点21の引き出し部21AはC字の側部から引き出され、また中央接点22の引き出し部22Aは外側接点21におけるC字の開口部内を通して引き出されて、各々所定の回路部に繋がっている。
【0011】
そして、従来の可動接点付きシートは、各可動接点1を個々の固定接点部に対応させて配線基板20上に貼り付け装着されている。つまり、外側接点21上に可動接点1の外周下端が載せられ、可動接点1の中央部が中央接点22に所定間隔をもって対峙するように配線基板20上に配されて搭載状態とされ、これらで操作パネル用のパネルスイッチが構成されている。なお、その搭載状態で、中央接点22の引き出し部22Aと可動接点1との絶縁状態を確保するために、スペーサシート10の第一突出部13で、中央接点22の引き出し部22A上を覆うように対応させて当該可動接点付きシートは装着されている。
【0012】
以上のように構成されたパネルスイッチの動作は、ベースシート5の上方から押圧操作して可動接点1の中央部に押下げ力を加えていき、その押圧力が所定の大きさを超えると可動接点1の中央部がクリック感を伴って下方凸型に弾性反転し、その中央部下面が中央接点22に接触する。これによって、中央接点22と外側接点21との間が可動接点1を介して導通したスイッチオン状態となり、前記押下げ力を除くと、可動接点1は元の形状に自己復帰して、図13に示したスイッチオフ状態に戻るものであった。
【0013】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平7−320591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前記従来の可動接点付きシートにおいては、中央接点22の引き出し部22Aと可動接点1との短絡を防止するため、スペーサシート10に設けた細幅の第一突出部13で中央接点22の引き出し部22A上を覆って装着させるようにしていた。このため、その第一突出部13上の箇所では、可動接点1の外周下端の高さ位置が、第一突出部13の厚み分、C字状の外側接点21上に直接載る外周下端箇所よりも高い位置となって、C字状の外側接点21上に載る可動接点1の外周下端箇所が、第一突出部13上の位置から可動接点1の中心を通る直径上での位置になり易く、その二点での支持状態になると可動接点1の配置安定性に劣り、例えば可動接点1が支持されていない方向に向けて斜め押し操作されると操作時に得られるクリック感が鈍く感じられ易いという課題があった。
【0016】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、機器の配線基板への搭載状態で安定した可動接点の支持状態にできると共に、その支持状態で可動接点の大きい挙動ストロークも実現させ、それらによって斜め押し操作時を含んで良好なクリック感が得られるように構成した可動接点付きシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0018】
本発明の請求項1に記載の発明は、金属薄板製の上方凸形のドーム状で、中央部への押圧操作によって前記中央部が弾性反転動作する可動接点と、この可動接点を下面の粘着剤で保持する絶縁フィルム製のベースシートと、前記ベースシート下面に重ねて粘着された絶縁フィルム製で、前記可動接点の配設位置に対応して設けられた孔部を有し、その孔部には、前記可動接点の外周下端が乗り上げた状態になるように、内側に突出する第一突出部が設けられたスペーサシートとを備え、配線基板に設けられた外側接点上に前記可動接点の外周下端が載せられて搭載状態とされる可動接点付きシートであって、前記スペーサシートの孔部内に内側に突出する第二突出部をさらに備えさせ、かつその第二突出部としては、前記可動接点の中心に対し前記第一突出部の点対称位置から外れる角度位置に前記第一突出部とは独立させて離して形成し、その第二突出部の上にも前記可動接点の外周下端を乗り上げさせ、前記外側接点上には前記第一および第二突出部どうし間の広い角度範囲の中の位置で前記可動接点の外周下端箇所が載るように構成した可動接点付きシートとしたものである。
【0019】
当該構成であれば、第一突出部で配線基板に設けられた中央接点の引き出し部上を覆う状態で搭載しても、第二突出部上および外側接点上に載る可動接点の外周下端箇所が、第一突出部に対し可動接点の中心を通る直径上での位置となることもなく、確実に三点の位置で支持された状態で搭載されるものにできる。しかも、第二突出部を、可動接点の中心に対し第一突出部の点対称位置から外れた角度位置に独立させて離して形成しているため、外側接点上に載っている可動接点の外周下端箇所に対し可動接点の直径上となる反対側の箇所は、前記第一および第二突出部どうし間の空間部分となるため、二点での支持状態となることが防止される。また、前記搭載状態で、可動接点が三点で安定した支持状態にできることに加えて可動接点は二つの突出部上に外周下端が載せられているため、それらの突出部上に載っている外周下端位置どうしを結ぶ架空直線が可動接点の中心に近付き、その分、従来品よりも可動接点の中央部がより高い位置に位置されて可動接点の大きい挙動ストロークを実現させることもでき、それらによって搭載状態で斜め押し操作時を含んで良好なクリック感が得られる構成の搭載状態にできるという作用を有する。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によれば、機器の配線基板への搭載状態で安定した可動接点の支持状態にできると共に、その支持状態で可動接点の大きい挙動ストロークも実現させ、それらによって斜め押し操作時を含んで良好なクリック感が得られるように構成した可動接点付きシートを提供することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態による可動接点付きシートの分解斜視図
【図2】同ベースシートを除いた状態でスペーサシートと可動接点の組み合わせ状態を示す斜視図
【図3】同図2のP−P線での断面図
【図4】同図2のQ−Q線での断面図
【図5】同図2のR−R線での断面図
【図6】当該可動接点付きシートの搭載状態においてスペーサシートの第一突出部を含む可動接点の直径位置での断面図
【図7】同分解斜視図
【図8】同ベースシートを除いて可動接点と固定接点部等との配置状態を説明する上面図
【図9】同スペーサシートの第二突出部を含む可動接点の直径位置での断面図
【図10】同スペーサシートの突出部どうし間の中間角度位置を含む可動接点の直径位置での断面図
【図11】従来の可動接点付きシートの断面図
【図12】同分解斜視図
【図13】従来の可動接点付きシートの搭載状態において第一突出部を含む可動接点の直径位置での断面図
【図14】同分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図10を用いて説明する。なお、従来の技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0023】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による可動接点付きシートの分解斜視図、図2は同ベースシートを除いた状態でスペーサシートと可動接点の組み合わせ状態を示す斜視図である。
【0024】
同図において、5はベースシートで、その下面に形成された第一粘着剤7で可動接点1の上面を所定位置に粘着保持している。また、ベースシート5下方には絶縁フィルム製のスペーサシート30が重ねて配され、前記第一粘着剤7によって貼り合わせられている。
【0025】
スペーサシート30は、可動接点1の配設位置に応じた箇所に孔部40を備えていると共に、下面には第二粘着剤35が形成されている。孔部40としては、第一、第二突出部43、45の二つが個々に独立して内側に突出形成された略円形の孔形状となっており、突出部43、45は、突出部43、45どうしが可動接点1の中心位置を中心とした点対称位置から外れる角度位置になるようにそれぞれ中心に向いた細幅で直線状のものに形成されている。可動接点1の外周下端は、各突出部43、45のそれぞれの上に乗り上げており、その他の部分は下方に露出している。なお、当該構成では、突出部43、45部分を含むスペーサシート30を一様な厚みのものを用いている。
【0026】
以上のように本実施の形態による可動接点付きシートは構成され、その輸送保管時などには、可動接点1の下面やスペーサシート30の第二粘着剤35への塵埃などの付着防止のために、スペーサシート30下面全面を覆うセパレータ37を第二粘着剤35に粘着させた状態として輸送保管などがされる。
【0027】
そのセパレータ37付きの状態での断面図を図3〜図5に示す。図3は図2のP−P線での断面図で、スペーサシート30の第一突出部43を含む可動接点1の直径位置での断面を示している。図4は図2のQ−Q線での断面図で、スペーサシート30の第二突出部45を含む可動接点1の直径位置での断面を示している。図5は図2のR−R線での断面図で、スペーサシート30の突出部43、45どうし間の中間角度位置を含む可動接点1の直径位置での断面を示している。
【0028】
当該可動接点付きシートは、スペーサシート30の第一突出部43を含む可動接点1の直径位置では、図3に示したように、可動接点1は片側の外周下端位置で第一突出部43上に載り、その反対側の外周下端位置はセパレータ37上から少し浮いた状態になっている。そして、同様にスペーサシート30の第二突出部45を含む可動接点1の直径位置では、図4に示したように、可動接点1は片側の外周下端位置で第二突出部45上に載り、その反対側の外周下端位置はセパレータ37上から少し浮いた状態になっている。そして、突出部43、45どうし間の中間角度位置を含む可動接点1の直径位置では、図5に示したように、可動接点1は片側の外周下端箇所がセパレータ37上に当接し、その反対側の外周下端位置はセパレータ37上から大きく浮いた状態となっており、その高さは各突出部43、45の上面高さ位置よりも少し高い位置に位置したものとなっている。
【0029】
このセパレータ37付きの当該可動接点付きシートは、その使用時には従来同様にセパレータ37が剥がされて、露出させた第二粘着剤35で対応する配線基板20上に貼り付け装着して搭載状態とされる。
【0030】
その搭載状態について、以下に図面を用いて説明する。図6は当該可動接点付きシートの搭載状態においてスペーサシートの第一突出部を含む可動接点の直径位置での断面図、図7は同分解斜視図、図8は同ベースシートを除いて可動接点と固定接点部等との配置状態を説明する上面図、図9は同スペーサシートの第二突出部を含む可動接点の直径位置での断面図、図10は同スペーサシートの突出部どうし間の中間角度位置を含む可動接点の直径位置での断面図である。
【0031】
ここに、図7や図8からも判るように、搭載させる配線基板20は従来の場合と同じもので、その上面に配された固定接点部は、個々に、C字状の外側接点21と、その中に配された円形の中央接点22が対となって構成されており、外側接点21の引き出し部21AはC字の側部から引き出され、また中央接点22の引き出し部22Aは外側接点21におけるC字の開口部内を通して引き出されている。
【0032】
そして、その配線基板20上に、当該可動接点付きシートは、図6などに示したように、第二粘着剤35を介して貼り付けて装着されている。その搭載状態で可動接点1の外周下端は対応する外側接点21上に載り、可動接点1の中央部が対応する中央接点22に所定間隔をもって対峙している。また、その搭載状態で、中央接点22の引き出し部22Aと可動接点1との短絡を防止するため、図6や図8に示したように、中央接点22の引き出し部22A上をスペーサシート30の第一突出部43で覆った搭載状態としていることは従来同様である。
【0033】
しかしながら、当該可動接点付きシートは第二突出部45を有したものとして、その第二突出部45としては、可動接点1の中心に対し第一突出部43の点対称位置から外れる角度位置に第一突出部43とは独立させて離して形成したものとしているため、前記配線基板20への搭載状態では、この第二突出部45が外側接点21上に配された状態となる(図8および図9参照)。
【0034】
すなわち、前記搭載状態では、各突出部43、45が共に固定接点の上に重なって位置したものとなり、そして、第一と第二突出部43と45どうしを、可動接点1の中心に対し互いに点対称位置にならない配置関係で独立して設け、かつ各突出部43、45上に可動接点1の外周下端を乗り上げさせているものにしているため、可動接点1は、突出部43、45どうし間の狭い角度側の中間角度位置とは反対側の外周下端箇所(図8内に黒丸で示した位置)で外側接点21上に載った状態となる。そして、その突出部43、45どうし間の中間角度位置を含む可動接点1の直径位置での断面状態を示す図10からも判るように、当該構成では、前記可動接点1の外側接点21上に載っている外周下端箇所に対し可動接点1の直径上となる反対側の箇所が、前記第一および第二突出部43および45どうし間の空間部分となっているために、突出部43、45どうし間の中間角度位置を含む可動接点1の直径位置では二点での支持状態となることが自然に防止された搭載状態にできる。
【0035】
以上のように、当該可動接点付きシートは、その搭載状態で、可動接点1が各突出部43、45上および外側接点21上の三点で安定して支持された状態のものに容易に構成できる。さらに、可動接点1は、第一と第二突出部43と45上に載っている外周下端位置どうしを結ぶ架空直線が可動接点1の中心に近付く分、従来品よりも高い位置で支持されている構成ともなるため、可動接点1の中央部もそれに応じて従来品よりも高い位置に位置され、可動接点1の大きい挙動ストロークを有したものに構成できる。
【0036】
当該可動接点付きシートを用いて構成した前記パネルスイッチの動作は、従来同様に、ベースシート5の上方から可動接点1の中央部を押圧操作して可動接点1の中央部に押下げ力を加えていき、その押圧力が所定の大きさを超えると可動接点1の中央部がクリック感を伴って下方凸型に弾性反転し、可動接点1の中央部下面が中央接点22に接触したスイッチオン状態となる。このとき、可動接点1は、三点で安定した支持状態となっているため、斜め押し操作されたとしても、クリック感が鈍く感じられ難いものに実現できる。
【0037】
また、前述したように当該構成では可動接点1の中央部の高さ位置が従来品よりも高い位置にあるため、前記スイッチオン状態までの可動接点1の挙動ストロークが大きくなることも良好なクリック感が得られることに寄与している。つまり、可動接点1の外周下端面より下方に位置した中央接点22までの間隔が大きくなり、かつ安定しているため、可動接点1の弾性反転時の挙動範囲が大きく、かつ安定し、操作時のクリック感が良好なものに感じられ易くなる。
【0038】
そして、前記スイッチオン状態から押下げ力を除くと、可動接点1は元の形状に自己復帰して元のスイッチオフ状態に戻る。
【0039】
以上のように、当該可動接点付きシートは、搭載状態で斜め押し操作時を含んで良好なクリック感が得られる構成のパネルスイッチを容易に得ることができる。
【0040】
なお、第一、第二突出部43、45どうし間の配設角度は、斜め押し操作時を含めて安定して可動接点1が支持される角度であればよく、好ましくは120°近傍である。
【0041】
そして、前記には、当該可動接点付きシートを、従来と同じ配線基板20に搭載させた例について説明したが、固定接点部の構成が異なる配線基板に搭載してもよい。
【0042】
例えば、外側接点21が繋がっている円形リングで、その中に配設された中央接点22がスルーホールで下面または中間階層の導電パターンに繋がる両面または多層の配線基板などであってもよい。これであっても前述説明したものと同等の搭載状態で、同じ作用効果が得られるパネルスイッチに構成できる。
【0043】
または、前記外側接点21が短い円弧状に構成されていたりしてもよい。この場合には、第二突出部45が直接配線基板上に配置される装着状態となることもあるが、その搭載状態でも可動接点1は前記同様に三点での安定した支持状態が確保されるため、斜め押し操作時などに従来品よりも良好なクリック感が得られ易いものに構成できる。なお、その第二突出部45の配設箇所に応じた基板上の位置に所定厚さのレジストを配するなどして、可動接点1の中央部高さ位置を確保させた構成としてもよい。
【0044】
さらには、配線基板の固定接点部を可動接点1の中央部下面に対向する位置に配された二つの独立接点のみとして、可動接点1の反転動作でその二つの独立接点間が短絡するものとされていてもよい。なお、この場合にはスペーサシートに三つの突出部を設けていずれにも可動接点1の外周下端を乗り上げさせたものとしてあってもよい。
【0045】
なお、突出部43、45を含むスペーサシート30を一様な厚みの絶縁フィルムで形成したものとすれば、生産性も高くかつ安価な構成にできて好ましいが、各突出部の厚さのみが部分的に変えられているものとしてもよい。その厚さを変える手段は、厚くする場合には、突出部に重ねてテープを貼ったり、印刷法で絶縁層を重ねて形成するなど様々な手法を適宜用いればよい。また、厚さが厚いスペーサシート30を用いる場合、可動接点1の中央部下面から中央接点22までの間隔が可動接点1の動作ストロークより大きくなりすぎて支障があるなどで突出部のみを薄く形成したいときには、突出部を熱プレスするなどして所望の厚さに形成すればよい。このように、可動接点1の反転動作の直後から中央接点22に当接するまでの距離が長く確保され、所謂底突き感の少ない良好な操作時の感触のものになるように、スペーサシート30の厚さや各突出部の厚さを変えることによって可動接点1の中央部高さ位置を所望の位置に適宜設定すればよい。なお、実験した結果では、前述した第一、第二突出部43、45の厚さが25μm、38μm、52μmの三種の当該可動接点付きシートをそれぞれ同じ可動接点1を用いて製作し、同じ配線基板20に貼り合わせて操作して各々クリック率を測定すると、突出部43、45の厚さが25μmの場合よりも、38μmの方が、さらにそれらより厚い52μmの方が、クリック率が向上する傾向が見られ、これからも、厚さの厚い突出部43、45としていく方、つまり可動接点1の動作ストロークの範囲内で可動接点1の中央位置が高くなる方が良好なクリック感が得られるものに構成できることが判った。
【0046】
なお、以上には、二つの第一、第二突出部43、45を有したものを主に説明したが、前述の搭載状態になるならばスペーサシートにおける突出部の数は二つに限定されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明による可動接点付きシートは、機器の配線基板への搭載状態で安定した可動接点の支持状態にできると共に、その支持状態で可動接点の大きい挙動ストロークも実現させ、それらによって斜め押し操作時を含んで良好なクリック感が得られる搭載状態にでき、主に各種電子機器の操作パネルを構成する際等に有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 可動接点
5 ベースシート
7 第一粘着剤
20 配線基板
21 外側接点
21A、22A 引き出し部
22 中央接点
30 スペーサシート
35 第二粘着剤
37 セパレータ
40 孔部
43 第一突出部
45 第二突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板製の上方凸形のドーム状で、中央部への押圧操作によって前記中央部が弾性反転動作する可動接点と、この可動接点を下面の粘着剤で保持する絶縁フィルム製のベースシートと、前記ベースシート下面に重ねて粘着された絶縁フィルム製で、前記可動接点の配設位置に対応して設けられた孔部を有し、その孔部には、前記可動接点の外周下端が乗り上げた状態になるように、内側に突出する第一突出部が設けられたスペーサシートとを備え、配線基板に設けられた外側接点上に前記可動接点の外周下端が載せられて搭載状態とされる可動接点付きシートであって、
前記スペーサシートの孔部内に内側に突出する第二突出部をさらに備えさせ、かつその第二突出部としては、前記可動接点の中心に対し前記第一突出部の点対称位置から外れる角度位置に前記第一突出部とは独立させて離して形成し、その第二突出部の上にも前記可動接点の外周下端を乗り上げさせ、前記外側接点上には前記第一および第二突出部どうし間の広い角度範囲の中の位置で前記可動接点の外周下端箇所が載るように構成した可動接点付きシート。
【請求項2】
可動接点の第二突出部に乗り上げている外周下端箇所を、第二突出部をなくして直接配線基板などで支持させた請求項1記載の可動接点付きシート。
【請求項3】
スペーサシートの厚みに対し、突出部の厚さが異なっている請求項1記載の可動接点付きシート。
【請求項1】
金属薄板製の上方凸形のドーム状で、中央部への押圧操作によって前記中央部が弾性反転動作する可動接点と、この可動接点を下面の粘着剤で保持する絶縁フィルム製のベースシートと、前記ベースシート下面に重ねて粘着された絶縁フィルム製で、前記可動接点の配設位置に対応して設けられた孔部を有し、その孔部には、前記可動接点の外周下端が乗り上げた状態になるように、内側に突出する第一突出部が設けられたスペーサシートとを備え、配線基板に設けられた外側接点上に前記可動接点の外周下端が載せられて搭載状態とされる可動接点付きシートであって、
前記スペーサシートの孔部内に内側に突出する第二突出部をさらに備えさせ、かつその第二突出部としては、前記可動接点の中心に対し前記第一突出部の点対称位置から外れる角度位置に前記第一突出部とは独立させて離して形成し、その第二突出部の上にも前記可動接点の外周下端を乗り上げさせ、前記外側接点上には前記第一および第二突出部どうし間の広い角度範囲の中の位置で前記可動接点の外周下端箇所が載るように構成した可動接点付きシート。
【請求項2】
可動接点の第二突出部に乗り上げている外周下端箇所を、第二突出部をなくして直接配線基板などで支持させた請求項1記載の可動接点付きシート。
【請求項3】
スペーサシートの厚みに対し、突出部の厚さが異なっている請求項1記載の可動接点付きシート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−187271(P2011−187271A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50257(P2010−50257)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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