可変スペーサ
【課題】 所望の高さに正確且つ容易に位置決めすることができ、家屋の基礎構造における床構造体としての横架材を基礎コンクリート上に所定の隙間を存して水平に配置する際に通気用パッキンに好適な可変スペーサを提供する。
【解決手段】 上面に螺旋状の摺動部12A、12Bが設けられた地板12と、下面に地板の摺動部と対応して螺旋状の摺動部13A、13Bが設けられ、該摺動部の終端及び始端が地板の摺動部の始端及び終端に合わされ摺動部12Aと13A、12Bと13Bが当接されて地板に載置され、地板との相対回転により高さが可変される天板13と、地板と天板に設けられ、これらの地板と天板とを相対回転可能且つ逸脱不能に係止する係止手段12f、13fとを備えた構成としたものである。
【解決手段】 上面に螺旋状の摺動部12A、12Bが設けられた地板12と、下面に地板の摺動部と対応して螺旋状の摺動部13A、13Bが設けられ、該摺動部の終端及び始端が地板の摺動部の始端及び終端に合わされ摺動部12Aと13A、12Bと13Bが当接されて地板に載置され、地板との相対回転により高さが可変される天板13と、地板と天板に設けられ、これらの地板と天板とを相対回転可能且つ逸脱不能に係止する係止手段12f、13fとを備えた構成としたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さを変えることが可能な可変スペーサに関し、特に家屋の床構造体としての土台等の横架材と基礎コンクリートとの間に介装して床下の通気性を確保すると共に横架材を水平に載置するスペーサに好適な可変スペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
木造家屋の一般的な基礎構造は、図44に示すように基礎部材としての基礎コンクリート1上に間隔を存して通気用パッキン2を多数載置し、これらの通気用パッキン2上に土台としての横架材3を載置し、当該横架材3のボルト孔3a、及びボルト孔3aの位置に配置されている通気用パッキン2のボルト孔2aに基礎コンクリート1に垂設した基礎ボルト(アンカーボルト)4を貫通させてワッシャ5を介してナット6により強固に締め付け固定して構築されている。通気用パッキン2は、基礎コンクリート1と横架材3との間に隙間gを設けて床下の通気性を確保するためのものである。このような通気性パッキンは周知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
家屋の基礎構造において横架材3は、水平に設置することが極めて重要であり、基礎コンクリート1の上面(天端)1aに通気用パッキン2を介して横架材3を載置する構造においては、基礎コンクリート1の上面1aを水平に且つ滑らかに形成する所謂天端均しが必要不可欠である。
また、基礎コンクリート1の上面1aに載置する多数の通気用パッキン2は、全て水平に且つ正確な高さに設置することが必要であり、作業に非常に手間が掛かり、且つ熟練を要する。しかも、通気用パッキン2は、厚さが一定であるために微調整ができないという問題がある。
【0004】
更に、基礎ボルト4が基礎コンクリート1の中央(真ん中)位置からずれた位置に設置されている場合には、これに伴い基礎ボルト4が挿通する通気用パッキン2がその幅方向にずれてしまい、基礎コンクリート1上に横架材3を充分に支持することができなくなるという問題もある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、所望の高さに正確且つ容易に位置決めすることができ、家屋の基礎構造における床構造体としての横架材を基礎コンクリート上に所定の隙間を存して水平に配置する際の通気用パッキンに好適な可変スペーサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の可変スペーサは、上面に螺旋状の摺動部が設けられた地板と、下面に前記地板の摺動部と対応して螺旋状の摺動部が設けられ、該摺動部の終端及び始端が前記地板の摺動部の始端及び終端に合わされ前記摺動部同士が当接されて前記地板に載置され、前記地板との相対回転により高さが可変される天板と、前記地板と前記天板に設けられ、これらの地板と天板とを相対回転可能且つ逸脱不能に係止する係止手段とを備えた構成としたものである。
【0006】
可変スペーサは、地板の摺動部の始端と終端に天板の摺動部の終端と始端を合わせて載置し、地板と天板とを組み付ける。この組み付けた状態において、地板の摺動部と天板の摺動部とが当接し、天板の高さが最も低くなる。前記天板を地板の螺旋状をなす摺動部の始端から終端に向けて回転させると、天板の螺旋状をなす摺動部が地板の摺動部上を始端から終端に向かって摺動し、これに伴い天板の高さが高くなる。これにより、天板の高さを連続的に調節することができる。地板と天板とは係止部材により相対回転可能且つ逸脱不能に係止されており、天板とを回転させて高さ調節する際に地板から外れることが防止され、確実に高さ調整をすることができる。
【0007】
請求項2の可変スペーサは、請求項1において、前記地板及び前記天板は円盤又は円環としたものである。
地板及び天板の形状を円盤又は円環とすることにより、相対回転させる際の操作性の向上を図ると共に外形に伴う材料のロス、使用場所におけるスペースロスを少なくしている。
【0008】
請求項3の可変スペーサは、請求項1において、摺動部の長さを1周以下としたものである。
摺動部の長さを1周以下とすることで、摺動部を面接触させることができると共に地板及び天板の相対回転が1回転以下となり作業性が向上する。
請求項4の可変スペーサは、請求項1において、前記係止手段は、前記摺動部の内側に当該摺動部に沿って始端近傍から終端近傍までフランジ状に張り出して形成された凸条と、前記摺動部の終端の内側に前記凸条と係合するべく前記摺動部から上方に張り出して形成された係止爪とから成る、構成としている。
【0009】
地板の凸条と係止爪に天板の係止爪と凸条を係合してこれらの地板と天板を組み付ける。地板及び天板の凸条は、夫々摺動部に沿って形成されていることにより、天板の回転に伴い当該天板の凸条と係止爪が地板の係止爪と凸条に沿って移動して係合状態を保持する。
請求項5の可変スペーサは、請求項1乃至4の何れかにおいて、前記地板と前記天板は、同一形状としたものである。
【0010】
地板と天板とを同一形状とすることで、地板の上面と天板の下面とを突き合わせたときに地板の摺動部の始端及び終端に天板の摺動部の終端及び始端を合わせることができる。また、地板と天板を一つの金型により成形することができる。
請求項6の可変スペーサは、請求項1において、前記摺動部は同心的に複数設けられ、且つ隣り合う摺動部の始端及び終端が周方向に所定の中心角度ずれている構成としたものである。
【0011】
摺動部を同心的に複数設け、隣り合う摺動部を周方向にずらすことにより、外側から内部が見えなくなり、見栄えが向上する。また、塵埃等の侵入を防止する。
請求項7の可変スペーサは、請求項6において、前記摺動部は、周方向に沿って複数等分され、各始端から各終端まで所定の傾斜角をなす複数の摺動面から成る構成としている。
【0012】
摺動部を周方向に沿う複数の摺動面とすることで、多条ねじと同様に摺動面の傾斜角を大きく取ることができ、天板の少ない回転角で高さの調整範囲を広く取ることができる。
請求項8の可変スペーサは、請求項6又は7において、前記地板と前記天板は、同一形状としたものである。
地板と天板とを同一形状とすることで、地板の上面と天板の下面とを突き合わせたときに地板の摺動部の始端及び終端に天板の摺動部の終端及び始端を合わせることができる。また、地板と天板を一つの金型により成形することができる。
【0013】
請求項9の可変スペーサは、請求項6又は7において、前記複数の摺動部のうち少なくとも1つの摺動部がV溝又は該V溝に嵌合する逆V形の凸条から成り、前記地板又は天板の何れか一方の摺動部がV溝とされ、何れか他方の摺動部が逆V形の凸条とされている構成としたものである。
複数の摺動部の少なくとも一つの摺動部をV溝とこのV溝に嵌合する逆V形の凸条として接触面積の増大を図ると共に摺動部の横ズレを防止する。地板又は天板の何れか一方の摺動部をV溝とし、何れか他方の摺動部を凸条として地板と天板との横ズレを防止する。また、摺動部の接触面積が増大するために天板の回転方向のズレが少なくなる。
【0014】
請求項10の可変スペーサは、請求項6乃至9の何れかにおいて、前記地板及び前記天板の摺動部の内側にこれらの地板と天板とを相対回転及び軸方向に変位可能且つ逸脱不能に係止する係止手段が設けられている構成としたものである。
天板を回転させて高さを調節する際に地板から外れることを防止して確実に高さ調整をすることができるようにしている。
【0015】
請求項11の可変スペーサは、請求項6乃至9の何れかにおいて、前記係止手段は、最も内側の摺動部の内側に設けられている構成としたものである。
地板と天板とを係止する係止手段を同心的に配置されている複数の摺動部の最も内側の摺動部の内側に設けて、天板を回転し易くしている。また、成形を容易としている。
請求項12の可変スペーサは、請求項6乃至9の何れかにおいて、前記係止手段は、前記摺動部の内側に当該摺動部に沿って始端近傍から終端近傍までフランジ状に張り出して形成された凸条と、前記摺動部の終端の内側に前記凸条と係合するべく前記摺動部から上方に張り出して形成された係止爪とから成る構成としたものである。
【0016】
地板の凸条と係止爪に天板の係止爪と凸条を係合してこれらの地板と天板を組み付ける。地板及び天板の凸条は、夫々摺動部に沿って形成されていることにより、天板の回転に伴い当該天板の凸条と係止爪が地板の係止爪と凸条に沿って移動して係合状態を保持する。
請求項13の可変スペーサは、請求項6乃至9の何れかにおいて、前記係止手段は、前記複数の摺動部の内の一つの摺動部の一つの摺動面の外側に当該摺動面に沿って始端から中央位置までフランジ状に張り出して形成された第1の係止爪と、前記摺動部の外側の摺動部の前記第1の係止爪が形成された摺動面と180°反対側の摺動面の内側に前記摺動面に沿ってその中央位置から終端までフランジ状に張り出し前記第1の係止爪と係合可能な第2の係止爪とから成る構成としたものである。
【0017】
地板の第1の係止爪及び第2の係止爪に天板の第2の係止爪及び第1の係止爪を係合させてこれらの地板と天板とを組み付ける。地板及び天板の各第1、第2の係止爪は、夫々摺動面に沿って形成されていることにより、天板の回転に伴い当該天板の第1、第2の係止爪が地板の第2、第1の係止爪に沿って移動して係合状態を保持する。
請求項14の可変スペーサは、請求項6乃至9の何れかにおいて、前記係止手段は、前記地板又は天板の何れか一方の摺動部の内側に当該摺動部に沿って前記始端近傍から終端近傍までフランジ状に張り出して形成された凸条と、前記地板又は天板の何れか他方の前記摺動部の始端の内側に上方に張り出して形成され前記凸条と係合する係止爪とから成る構成としたものである。
【0018】
地板の凸条又は係止爪に天板の係止爪又は凸条を係合してこれらの地板と天板を組み付ける。地板又は天板の凸条は、夫々摺動部に沿って形成されていることにより、天板の回転に伴い地板又は天板の係止爪が地板又は天板の凸条に沿って移動して係合状態を保持する。
請求項15の可変スペーサは、請求項1乃至14の何れかにおいて、前記地板及び天板の外周面の摺動部の終端位置に前記地板と天板の相対回転を制限するストッパが設けられている構成としたものである。
【0019】
天板は、地板の摺動部の始端位置から終端位置まで回転し、終端位置においてストッパにより回転を制限される。これにより、天板の過回転を防止して当該天板の摺動部が地板の摺動部から逸脱することを防止し、天板の最大高さを確保する。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の可変スペーサによれば、天板を地板の摺動部の始端から終端に向けて回転させることで、天板の摺動部が地板の摺動部上を始端から終端に向かって摺動し、これに伴い天板の高さが高くなり、天板の高さを連続的に正確且つ容易に調節することができる。天板を回転させて高さを調節する際に係止部材により地板から外れることが防止され、迅速且つ確実に高さ調整をすることができる。従って、この可変スペーサを基礎コンクリートと横架材或いは床板との間に介挿して通気用パッキンとして使用する場合、これらの横架材或いは床板の高さを正確且つ容易に調整することが可能となり、作業性の向上が図られる。
【0021】
請求項2の可変スペーサによれば、地板及び天板の形状を円盤又は円環とされていることで、材料の無駄がなくなる。また、地板と天板とを相対回転させる際の操作性の向上を図ると共にスペースに余裕の無い場所にも使用することが可能である。
請求項3の可変スペーサによれば、摺動部の長さを1周以下とすることで、摺動部を面接触させることができると共に地板及び天板の相対回転が1回転以下となり作業性が向上する。
【0022】
請求項4の可変スペーサによれば、地板と天板とが相対回転する際に天板の凸条と係止爪が地板の係止爪と凸条に沿って移動して係合状態を保持する。
請求項5の可変スペーサによれば、地板と天板とを同一形状とすることで、地板と天板を一つの金型により成形することができ、型代を低減することができる。
請求項6の可変スペーサによれば、摺動部を同心的に複数設け、隣り合う摺動部を周方向にずらすことにより、外側から内部が見えなくなり、見栄えが向上すると共に塵埃等の侵入を防止することができる。
【0023】
請求項7の可変スペーサによれば、摺動部を周方向に沿う複数の摺動面とすることで、多条ねじと同様に傾斜角を大きく取ることができ、少ない回転で高さの調整範囲を広く取ることができ、作業性の向上が図られる。
請求項8の可変スペーサによれば、地板と天板とを同一形状とすることで、地板と天板を一つの金型により成形することができ、型代を低減することができる。
【0024】
請求項9の可変スペーサによれば、複数の摺動部の少なくとも一つの摺動部をV溝とこのV溝に嵌合する逆V形の凸条とすることで、摺動部の接触面積の増大を図ることができ、天板の回転方向のズレが少なくなると共に地板との横ズレを防止することができる。
請求項10の可変スペーサによれば、天板を回転させて高さを調節する際に地板から外れることを防止して確実に高さ調整をすることができる。
【0025】
請求項11の可変スペーサによれば、地板と天板とを係止する係止手段を同心的に配置されている複数の摺動部の最も内側の摺動部の内側に設けることで、天板を回転し易くなり作業性の向上が図られる。また、見栄えも向上する。
請求項12の可変スペーサによれば、地板及び天板の凸条は、夫々摺動部に沿って形成されていることにより、天板の回転に伴い当該天板の凸条と係止爪が地板の係止爪と凸条に沿って移動して係合状態を保持することができる。これにより、地板と天板とが分離することが防止される。
【0026】
請求項13の可変スペーサによれば、地板及び天板の各第1、第2の係止爪は、夫々摺動面に沿って形成されていることにより、天板の回転に伴い当該天板の第1、第2の係止爪が地板の第2、第1の係止爪に沿って移動して係合状態を保持することができる。これにより、地板と天板とが分離することが防止される。
請求項14の可変スペーサによれば、地板又は天板の凸条は、夫々摺動部に沿って形成されていることにより、天板の回転に伴い地板又は天板の係止爪が地板又は天板の凸条に沿って移動して係合状態を保持することができ、地板と天板とが分離することが防止される。
【0027】
請求項15の可変スペーサによれば、天板は、地板の摺動部の始端位置から終端位置まで回転し、終端位置においてストッパにより回転を制限され、これにより、天板の過回転を防止して当該天板の摺動部の始端が地板の摺動部の終端から逸脱することを防止し、天板の最大高さを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る可変スペーサの実施形態を図面により詳細に説明する。
先ず、本発明の可変スペーサの第1実施形態について説明する。図1乃至図3は、可変スペーサの側面図を示し、図4は、図1の平面図を示す。図1及び図4に示すように可変スペーサ11は、その外径が例えば、図44に示す横架材3の幅と同じ大きさの円環をなす地板12と天板13とからなり、これらの地板12と天板13とを相対回転させることにより高さ(厚み)を任意に調整可能とされており、最小調整厚みが例えば、図44に示す通気用パッキン2の板厚よりも僅かに薄く、最大調整厚みが前記通気用パッキン2の板厚よりも厚くなるように設定されている。
【0029】
図5に示すように地板12は、上面に周方向に沿って複数等分例えば、4等分されて摺動部としての幅狭の外側摺動面12Aと幅広の内側摺動面12Bとが螺旋状をなして同心的に夫々4面形成されており、外側の摺動面12Aと内側摺動面12Bとは周方向に沿って中心角90°ずれて交互に形成されている。これらの外側摺動面12A、内側摺動面12Bの幅は、適宜の幅に設定されている。
【0030】
図5及び図8に示すように外側摺動面12A、及び内側摺動面12Bは、夫々始端12Asから終端12Ae、及び始端12Bsから終端12Beに向かって左回りに所定の角度θをなす上向きの傾斜面とされており、下面12a(図6)から各始端12As、12Bsまでの高さ、及び下面12aから各終端12Ae、12Beまでの高さは、同じ高さとされている。このようにして、外側摺動面12Aと内側摺動面12Bとが周方向に沿って螺旋状に形成されている。そして、これらの各摺動面12A、12Bは、夫々各始端12As、12Bsが谷部、各終端12Ae、12Beが山部とされている。また、幅広の内側摺動面12Bは、粗面とされており、大きな摺動抵抗を発生させて滑り止めの効果を有するようにされている。
【0031】
図5乃至図7に示すように内側摺動面12Bの内周縁部には始端12Bs近傍から終端12Be近傍まで所定の厚み及び幅をなす係合用の凸条部12bが摺動面12Bと面一を成し、且つ摺動面12Bに沿って中心方向内方にフランジ状に張り出して形成されている。そして、凸条部12bの始端部に所定幅の係合用の切欠12cが形成され、終端部に切欠12cよりも僅かに幅狭の係合用の係止爪12dが形成されている。
【0032】
係止爪12dは、図5及び図6に示すように凸条部12bの内側に略角形をなして僅かに張り出し、図7に示すように先端が摺動面12Bの終端(山部)12Beから突出して略凸条部12bの幅程度外側に略逆L形状をなし、その下面と摺動面12bとの間の隙間12eに後述する天板の係合用凸条部13b(図4)を係合させて摺動可能とされている。
【0033】
また、図5に示すように地板12の外周面には上下方向に凸条をなして膨出す手回し部12fが周方向に等間隔で複数例えば、4箇所設けられている。この手回し部12fは、隣り合う外側摺動面12Aの始端(谷部)12Asと終端(山部)12Aeとの連設部に配置されており、下面が底面12aと面一をなし、上端が当該地板12の半分の高さとされている(図1)。
【0034】
図6に示すように地板12の下面12aには凹部12gがその幅の略中央に周方向に沿って等間隔で複数例えば、4箇所設けられている。これらの凹部12gは、後述するように固定スペーサを兼用する場合、該固定スペーサと係合させるための穴である。尚、図6において切欠12cの一側に連設されたスリット12hは、係止爪12dを成形する際の型抜き穴である。
【0035】
天板13は、地板12と同一形状に形成されている。即ち、可変スペーサ11は、地板12と天板13とが同一の形状をなしている。尚、以後天板13の地板12と対応する部位に対応する符号を付けて説明する。これらの底板12、天板13は、例えば、ABS樹脂部材で一体に成形されている。
次に、上記地板12と天板13との組付について説明する。
【0036】
先ず、図4に示すように地板12の上面と天板13の下面とを対向させ、地板12の各切欠12cに天板13の各係止爪13dを、天板13の各切欠13cに地板12の各係止爪12dを夫々挿入し、図5に示す地板12の外側摺動面12A、内側摺動面12Bの始端(谷部)12As、12Bsと、天板13の外側摺動面13A、内側摺動面13Bの終端(山部)13Ae、13Beとを合わせて当接させる。この状態において、地板12の係止爪12dが天板13の凸条部13bの始端側と係合可能とされ、天板13の係止爪13dが地板12の凸条部13bの始端側と係合可能とされる。このようにして地板12と天板13とが組み付けられて図1及び図4に示すように円環をなす可変スペーサ11が構成される。
【0037】
図1及び図4に示す組付状態において可変スペーサ11は、地板12の外側摺動面12A及び内側摺動面12Bと天板13の外側摺動面13A及び内側摺動面13Bとが図9(a)、(b)に示すように噛み合い当接している。また、地板12の手回し部12fと天板13の手回し部13fとが合致している。可変スペーサ11は、このときの厚みが最小値Dminである。可変スペーサ11は、この状態において地板12に対する回転角度が0°とされ、地板12の各摺動面12A、12Bと天板12の各摺動面13A、13Bとが全面で接触している。
【0038】
図4において地板12に対して天板13を手回し部13fにより矢印CCで示す反時計方向(左回り)に回転させると、天板13の外側摺動面13A、内側摺動面13Bが地板12の外側摺動面12A、内側摺動面12B上を摺動して当該天板13が上方に移動する。このとき、地板12の係止爪12dが天板13の凸条部13bに係合し、天板13の係止爪13dが地板12の凸条部12bに係合して摺動する。これにより、地板12と天板13との組付状態が保持され、分離することが防止される。
【0039】
図2は、天板13が略45°回転したときの状態を示し、このときの地板12の外側摺動面12A、内側摺動面12Bと天板13の外側摺動面13Aと内側摺動面13Bとの当接状態(噛み合い状態)を図10(a)、(b)に示す。この状態において地板12の摺動面12A、12Bと天板12の摺動面13A、13bとが夫々略半分の面積で8箇所で面接触する。
【0040】
図4において天板13を更に回転させ、天板13の各係止爪13dが地板12の各係止爪12dに当たると、天板13の回転が規制されて当該位置に停止する。これらの地板12、天板13の係止爪12d、13dは、ストッパを兼用している。このときの天板13の最大回転角度は約75°である。このときの可変スペーサ11の地板12と天板13との関係を図3に示す。また、地板12の外側摺動面12A、内側摺動面12Bと天板13の外側摺動面13Aと内側摺動面13Bとの当接状態(噛み合い状態)を図11(a)、(b)に示す。
【0041】
天板13の最大回転位置において地板12の各摺動面12A、12Bと天板12の各摺動面13A、13Bとが夫々全面積の略1/4の面積で8箇所で接触する。そして、図3に示すように可変スペーサ11は、このときの厚みが最大値Dmaxとなる。可変スペーサ11は、その厚みが図1に示す最小値Dminから図3に示す最大値Dmaxまで連続して、且つ直線的に変化する。
【0042】
また、可変スペーサ11は、周方向に沿って4つの摺動面12A、12B及び13A、13Bが形成されていることで多条ねじ(4条ねじ)と同じ理由により、前記摺動面の傾斜角θが大きくなり、小さい回転角で高さ調整範囲(ストローク)を大きく取ることができ、作業性が向上する。
天板13の回転角度は、天板13の各係止爪13dが地板12の各係止爪12dに当たるまでとされ、従ってこれらの係止爪12d、13dの幅により任意に設定可能である。しかしながら、天板13の回転角を大きくするに伴い地板12の各摺動面12A、12Bと天板12の各摺動面13A、13bとの接触面積が小さくなり、耐荷重が小さくなる。従って、回転角度と厚み調整範囲、強度(耐荷重)、使い勝手等を考慮して、本実施例では、天板13の回転角度を上述した約75°程度、厚みの調整範囲を約6mm程度としている。
【0043】
図12及び図13は、可変スペーサ11の使用例を示し、図44に示す通気用パッキン2に代えて基礎コンクリート1と横架材3との間に通気用のスペーサとして介在した場合を示す。可変スペーサ11は、その厚み(高さ)を連続的に且つ直線的に調整することができるため、基礎コンクリート1の上端面1aからの高さを正確に、且つ容易に調整することができ、横架材3を水平に配設することができる。
【0044】
そして、可変スペーサ11は、地板12と天板13の摺接する各摺動面12A、12Bと13A、13bの表面が粗面とされていることでこれらの摺動面間に大きな摺動抵抗が発生して滑りが防止され、天板13に大きな荷重が加わっても板天板13の摺動面13A、13Bが地板12の摺動面12A、12bに対する滑りが防止され、天板13の逆方向(下り方向)の回動が防止される。従って、可変スペーサ11の高さ(厚み)の変化することがなく、スペーサとしての機能を確実に発揮することができる。
【0045】
また、可変スペーサ11を基礎ボルトのある位置に使用する場合、前記基礎ボルトが基礎コンクリート1の中央位置から幅方向にずれていても、可変スペーサ11は、円環をなしているために図4に2点鎖線で示すように貫通する基礎ボルト4に対して基礎コンクリート1の幅方向及び長さ方向に自由度を有しており、前記基礎ボルト4のずれ分を吸収して基礎コンクリート1の中央に配置することが可能となる。これにより、基礎コンクリート1上に横架材3を全幅に亘り支持することができる。そして、天板13を手回し部13fにより外側から回すことができるために簡単に高さ調整を行うことができる。
【0046】
図13は、基礎コンクリート1と横架材3とのスペースが大きい場合の使用例を示し、基礎コンクリート1上に所定板厚の固定スペーサ15を載置し、この固定スペーサ15に重ねて可変スペーサ11を載置して嵩上げしたものである。固定スペーサ15は、図14に示すように可変スペーサ11と同径の円環をなし、上面15aに地板12の下面12aに設けられた凹部12gと対応した位置に前記凹部12gと嵌合する凸部15bが設けられ、これらの凸部15bの間に凸部15bと同径の貫通孔15cが穿設されている。また、固定スペーサ15の上下両面は、粗面とされ摩擦抵抗を大きくされて滑り止めとされている。
【0047】
そして、可変スペーサ11の地板12を固定スペーサ15に載置して地板12の凹部12gに凸部15bを嵌合して嵩上げする。この場合、固定スペーサ15を貫通孔15cにより相手方に釘等により固定するようにしてもよい。また、固定スペーサ15が1枚では足りない場合には、固定スペーサ15を2枚重ねて使用することもできる。この場合、2枚の固定スペーサ15は、下側の固定スペーサ15の凸部15bを上側の固定スペーサの貫通孔15cに嵌合させることにより位置ズレすることなく重ねて使用することが可能となる。尚、板厚の異なる固定スペーサを使用するようにしてもよい。このように可変スペーサ11を固定スペーサ15により嵩上げして使用することで汎用性を持たせることが可能となる。
【0048】
この可変スペーサ11は、上述した使用例の他例えば、床板を水平に敷設する場合、書庫や家具の高さや段差の調整等にも使用することが可能である。更に、可変換気口としても使用することが可能である。
即ち、可変スペーサ11は、図10に示すように天板13が0°〜45°まで回転する間地板12と天板13の外側摺動面12Aと13A、内側摺動面12Bと13Bとが周方向に重なり、可変スペーサ11の外側と内側とが遮蔽されているが、図11に示すように天板13の回転角が45°を超えると地板12の内側摺動面12の内側摺動12Bの終端12Beと点板13の外側摺動面13Aの終端13Aeとの間に開口部16形成されて可変スペーサ11の外側と内側とが連通する。
【0049】
そこで、例えば、天板13の上面の孔を閉塞し、地板12を換気口の室内側にその下面から外側摺動面12Aの始端12Asの位置まで気密に嵌合させる。そして、前記換気口を塞ぐ場合には天板13の回転角度を0°(図1の状態)とし、天板13を45°以上回転させることで図11(b)に示すように開口部16が形成され、前記換気口が開口する。開口部16は、天板13の回転角に応じて開口面積が変化し、可変換気口を構成することが可能である。
【0050】
尚、上記実施形態において可変スペーサ11は、ABS樹脂部材により形成した場合について説明したが、これに限るものではなく、仕様に応じて他の部材例えば、PP樹脂部材、鋳物、アルミニウム、硬質ゴム等により形成してもよい。
図15は本発明に係る可変スペーサの第2の実施形態を示す平面図、図16は、地板と天板とを分離した状態の側面図である。図15及び図16に示すように可変スペーサ21は、地板22と天板23とから成り、これらを相対回転することでその高さ(厚さ)を可変可能とされている。
【0051】
地板22は、図17乃至図19に示すように円環をなし、上面に周方向に沿って4等分され、外側から摺動部としての第1摺動面22A〜第5摺動面22Eが同心的に螺旋状をなして形成されており、第2摺動面22Bは、第1摺動面22Aに対して図中左回り方向に所定の中心角例えば、中心角15°ずれて形成され、第3摺動面22C及び第4摺動面22Dは、第2摺動面22Bに対して左回り方向に中心角45°ずれて形成され、第5摺動面22Eは、第4摺動面22Dに対して左回り方向に中心角45°ずれて形成されている。これらの第1摺動面22A〜第5摺動面22Eの幅は、適宜の幅に設定されている。
【0052】
第1摺動面22A〜第5摺動面22Eは、図19及び図20(a)〜(e)に示すように各始端22As〜22Esから各終端22Ae〜22Eeに向かって夫々所定の角度θをなす上向きの傾斜面とされている。そして、第1摺動面22Aは、図21、図22に示すように上面が外側下方に傾斜するナイフエッジ状をなしている。また、第4摺動面22Dは、図19、図21乃至図23に示すように所定角度例えば、頂角がαをなす逆V字状の山形をなしており、その高さは他の摺動面よりも僅かに低く(例えば、d=0.5mm程度)設定されている。
【0053】
そして、図17に示すように第2摺動面22Bの終端22Be近傍に半径方向に沿って所定の間隔で滑り止めとしての係止部22Bcが複数形成されている。この係止部22Bcは、図24に示すように頂角が略90°をなし幅1mm程度の山形の凸条とされている。
また、地板22の最外周に位置する摺動面22Aは、底面22aからの高さが内側の摺動面22Bの底面22aからの高さよりも略当該摺動面22Bの高さ分だけ高く設定されている(図16、図19及び図20(a)、(b))。
【0054】
図17乃至図19、図20(f)、及び図21、図22に示すように第5摺動面22Eの内周縁部には始端22Es近傍から終端22Ee近傍まで所定の厚み及び幅をなす係合用の凸条部22bが摺動面22Eと面一を成し、且つ摺動面22Eに沿って中心方向内方にフランジ状に張り出して形成されている。そして、凸条部22bの始端部に所定幅の係合用の切欠22cが形成されている。切欠22cには僅かな幅の係止部22dが残されている。
【0055】
図17に示すように地板22の外周面には上下方向に凸条をなして膨出す手回し部22fが周方向に等間隔で複数例えば、4箇所設けられている。この手回し部22fは、隣り合う第1摺動面22Aの始端(谷部)22Asと終端(山部)22Aeとの連設部に配置されており、図16に示すように下面が底面22aと面一をなし、上端が第1摺動面22Aの始端22Asよりも僅かに高い位置に位置している。
【0056】
また、図18に示すように地板22の下面22aには前述した固定スペーサ15を使用する際に固定スペーサ15の凸部15aと嵌合するための凹部22hが設けられている。
図25に示すように天板23は、地板22と同型の円盤をなし、下面に地板22の第1摺動面22A〜第5摺動面22Eと対応して第1摺動面25A〜第5摺動面25Eが形成されている。第2摺動面23Bは、第1摺動面23Aに対して図中右回り方向に所定の中心角例えば、中心角15°ずれて形成され、第3摺動面23C及び第4摺動面23Dは、第2摺動面23Bに対して右回り方向に中心角45°ずれて形成され、第5摺動面23Eは、第4摺動面23Dに対して右回り方向に中心角45°ずれて形成されている。
【0057】
第1摺動面23A〜第5摺動面23Eは、図26及び図27(a)〜(e)に示すように夫々各始端23As〜23Esから各終端23Ae〜23Eeに向かって左回りに所定の角度θをなす上向きの傾斜面とされている。そして、第1摺動面23Aは、図28、図29に示すように下面が内側下方に傾斜する溝状をなし、地板22の第1摺動面22Aと係合可能とされている。また、第4摺動面23Dは、図26、図28、図29に示すように所定角度例えば、頂角がβをなすV字状の谷形をなしており、その高さは、他の摺動面よりも僅かに低く(例えば、d=0.5mm程度)設定されている。尚、V字状をなす第4摺動面23Dの頂角βは、地板22の逆V字状の第4摺動面22Dの頂角αよりも僅かに(数度例えば、4°程度)小さく(β<α)設定されている。
【0058】
そして、図25に示すように第2摺動面23Bには始端23Bsから終端23Beまで半径方向に沿って所定間隔で滑り止めとしての係止部23Bcが多数形成されている。この係止部23Bcは、図30に示すように頂角が略90°をなし幅1mm程度のV溝とされている。この係止部23Bcは、地板22の第2摺動面22Bの山形の係止部22Bcと係合して滑り止めとされる。これらの係止部22Bc、23Bcの間隔は、例えば、高さ方向のストロークが0.3mm程度(中心角にして約3.75°)に設定されており、極めて僅かな高さ調整が可能とされている。また、他の摺動面を祖面として摺動抵抗を増大させるようにしても良い。
【0059】
尚、図25において、係止部23Bcは、各第2摺動面23Bの始端23Bsから終端23Beまで設けられているが、図面が煩雑となって見難くなることを避けるために1つの摺動面23Bにのみ記載してある。
天板23の最外周に位置する摺動面23Aは、地板22の摺動面22Aとは反対に上面23aからの高さが内側の摺動面23Bの上面23aからの高さよりも略当該摺動面23Bの高さ分だけ低く設定されている(図16、図26及び図27(a)、(b))。
【0060】
図25、図26及び図28に示すように各第5摺動面23Eの終端23Eeの内側に係止爪23fが形成されている。この係止爪23fは、先端が第5摺動面23Eの終端23Eeから上方に突出し、地板22の第5摺動面22Eの内周縁部に形成されている凸条部22b(図18)の幅程度外側に略逆L形状をなし、その下面と第5摺動面23Eとの間の隙間23eに地板22の係合用凸条部22bと係合して摺動可能とされる。
【0061】
図15に戻り、天板23の上面23aには中央に小孔23gが穿設されており、当該小孔23gと同心的に六角形の凹部23h(以下「六角穴23h」という)が設けられている。また、中止からずれた位置に基礎ボルト貫通用の孔23iが設けられている。この孔23iは、外周縁が図17に示す地板22の中央の大径の孔22iの内周と接するように設定されている。前記六角孔23hは、天板23を六角レンチにより回転させて高さ調整可能とするためのものである。尚、図15において上面23aのスリット22jは、係止爪22fを成形する際の型抜き穴である。
【0062】
図15及び図16に示すように天板23の上面23eの周縁部及び外周面には周方向に沿って目盛23kが所定の間隔で刻設されており、図15に示す最小高さ位置から最大高さ位置までの高さを目視により調整可能とされている。
図15及び図16に示すように天板23の外周面には上下方向に凸条をなして膨出する手回し部23mが周方向に等間隔で4箇設けられている。この手回し部223mは、隣り合う第1摺動面23Aの始端と終端との連設部に配置されており、図16に示すように上面が上面23aと面一をなし、上端が第1摺動面23Aの始端よりも僅かに低い位置に位置している。
【0063】
次に、上記地板22と天板23との組付について説明する。
先ず、図16に示すように地板22の上面と天板23の下面とを対向させ、図18に示す地板22の各切欠22cに天板23の各係止爪23fを挿入した後押し込んで、係止爪23fの先端を、切欠22cの奥に僅かに張り出した係止部22dを乗り越えさせて当該係止部22dに係止させる。これにより、地板22と天板23とが逸脱不能に組み付けられて可変スペーサ21とされる。図31に組み付けた状態の可変スペーサ21を示す。そして、地板22の手回し部22fの側面と天板23の手回し部23mの側面とが当接している。
【0064】
可変スペーサ21は、上記組み付けた状態において天板23の回転角が0°とされ、その高さ(厚み)が最小値Dminとされる。このとき、地板22の第1摺接面22A〜第5摺接面22Eと天板23の第1摺接面23A〜第5摺接面23Eは、図34(a)〜(e)に示すように摺動可能に当接している。また、地板22の係止用凸条22bと天板23の係止爪23fとが同図(f)に示すように係合している。
【0065】
図15において地板22に対して天板23を手回し部23mにより矢印CCで示す反時計方向(左回り)に回転させると、天板23の第1摺動面23A〜乃至第5摺動面23Eが地板22の対向する第1摺動面22A〜第5摺動面22E上を摺動して当該天板23が上方に移動する。
図32は、図31の天板23を略45°回転したときの状態を示し、このときの地板22の第1摺動面22A〜第5摺動面22Eと天板23の第1摺動面23A〜第5摺動面23Eは、図35(a)〜(e)に示すように摺接している。また、地板22の係止用凸条22bと天板23の係止爪23fとが同図(f)に示すように係合している。
【0066】
そして、図17に示す地板22の第2摺動面22Bの終端22Be近傍に僅かな間隔で形成されている複数の山形状の係止部22Bcと図25に示す天板23の第2摺動面23Bに全長に亘り前記間隔で多数形成されているV溝23Bcの一部が係合し、天板23の回転方向の滑りが防止される。
更に、地板22の逆V字状の山形をなす第4摺動面22Dが天板23のV溝をなす第4摺動面23Dと係合し、且つ山形をなす第4摺動面22Dの頂角α(図23)がV溝をなす第4摺動面23Dの頂角β(図29)よりも僅かに大きい(α>β)ことで、第4摺動面22Dが僅かに圧入嵌合される状態となる。これにより、地板22と天板23とが強固に係合し、天板23の回転方向の滑り及び横ズレが防止される。
【0067】
図15において天板23を更に回転させ、天板23の手回し部23mが地板22の手回し部22fに当たると、天板23の回転が規制されて当該位置に停止する。このときの天板23の最大回転角度は約75°である。これらの地板22の手回し部22fと天板23の手回し部23mとがストッパを兼用している。そして、このときの地板22の第1摺動面22A〜第5摺動面22Eと天板23の第1摺動面23A〜第5摺動面23Eは、図36(a)〜(e)に示すように摺接している。また、地板22の係止用凸条22bと天板23の係止爪23fとが図36(f)に示すように係合している。
【0068】
そして、図33に示すように可変スペーサ21は、このときの高さ(厚みが)最大値Dmaxとなる。可変スペーサ21は、その高さが図31に示す最小値Dminから図33に示す最大値Dmaxまで直線的に変化する。
また、可変スペーサ21は、地板22の最外周に位置する摺動面22Aの底面22aからの高さが内側の摺動面22Bの底面22aからの高さよりも略その高さだけ高く設定され(図16、図19及び図20(a)、(b))、これに対応して天板23の最外周に位置する摺動面23Aの上面23aからの高さが内側の摺動面23Bの上面23aからの高さよりも略その高さだけ低く設定されて摺動面22Aと摺動面22Bの高さがずれており(図16、図26及び図27(a)、(b))、更に、地板22及び天板23の第1摺動面22A及び23Aの終端22Ae、23Aeに対して第2摺動面22B、23Bの終端22Be、23Beが中心角15°ずれている(図20、図27)ことで、図31乃至図33、及び図36(a)、(b)に示すように天板23が最大回転位置まで回転してもその内部が第2摺動面22Bの側壁により覆われた状態となる。これにより、可変スペーサ21の内部に塵埃等が入り込むことを有効に防止することができると共に見栄えが良くなる。
【0069】
また、可変スペーサ21を前述したように基礎ボルトのある位置に使用する場合、前記基礎ボルトが基礎コンクリート1の中央位置から幅方向にずれている場合でも、可変スペーサ21は、地板22が円環をなしているために基礎ボルトに対して基礎コンクリート1の幅方向及び長さ方向に自由度を有しており、また、天板23の孔23iが偏心していることで前記基礎ボルトのずれ分を吸収して基礎コンクリート1の中央に配置することが可能となり、これにより、基礎コンクリート1上に横架材3を全幅に亘り支持することができる。
【0070】
更に、コンクリートの土台に可変スペーサ21を多数設置して床板を敷設する場合等において、各可変スペーサ21の天板23の上面23aの六角孔23hと対応して床板に孔を開けておき、当該孔から六角レンチにより天板23を回転させることで、床板を簡単且つ容易に水平に敷設することが可能となり、作業性の向上が図られる。
図37は、本発明に係る可変スペーサの第3の実施形態の地板32の平面図を示す。地板32は、円環をなし上面に周方向に沿って4等分され、摺動部として外側から第1摺動面32A1〜32A4、第2摺動面32B1〜32B4、及び第3摺動面32C1〜32C4が同心的に形成されており、第2摺動面32B1〜32B4は、第1摺動面32A1〜32A4に対して図中右回り方向に所定の中心角例えば、中心角45°ずれて形成され、第3摺動面32C1〜32C4は、第1摺動面32A1〜32A4と半径方向に整列して形成されている。そして、第2摺動面32B1〜32B2と第3摺動面32C1〜32C2との間、32B3〜32B4との間に同心的に隙間32D1、32D2が形成されている。
【0071】
第1摺動面32A1、第2摺動面32B1、第3摺動面32C1は、図37及び図40(a)、(b)、(c)に示すように始端32A1sから終端32A1e、始端32B1sから終端32B1e、始端32C1sから終端32C1eに向かって所定の角度θをなす右回りに上向きの螺旋状をなす傾斜面とされている。他の摺動面32A2〜32A4、32B2〜32B4、32C2〜32C4についても同様である。
【0072】
隙間32D1は、第2摺動面32B1の始端32B1sから第2摺動面32B2の中央位置(中心角にして135°)まで、隙間32D2は、第2摺動面32B3の始端32B3sから第2摺動面32B4の中央位置(中心角にして135°の位置)まで形成されている。
そして、第2摺動面32B1の内側縁部上面にその中央位置(中心角にして45°の位置)から終端32B1eまで係止爪32Eが形成され、第3摺動面32C4の外側縁部上面に始端位置32C4sからその中央位置(中心角にして45°の位置)まで係止爪32Fが形成されている。これらの係止爪32Eと32Fは、周方向に180°離隔して反対側に位置おり、隙間32D1、32D2の中間位置に位置している。
【0073】
係止爪32Eは、図37、図39及び図40(d)に示すように摺動面32B1の内側に張り出し、その下面が当該摺動面32B1の傾斜面に沿い、上面が平らな側面視三角形状をなして形成されている。係止爪32Fは、図37乃至図39及び図40(e)に示すように摺動面32C4の外側に張り出し、その下面が当該摺動面32C4の傾斜面に沿い、且つ係止爪32Eと係合可能な上面が平らな側面視三角形状をなして形成されている。これらの係止爪32E、32Fの上面は、第1乃至第3の各摺動面の終端と同じ高さとされている。
【0074】
隙間32D1の半径方向の幅は、反対側の係止爪32Fの外周面と内周面との間隔(厚み)よりも僅かに幅広とされ、隙間32D2の半径方向の幅は、反対側の係止爪32Eの外周面と内周面との間隔(厚み)よりも僅かに幅広とされている。これにより、後述するように係止爪32E、32Fを天板33の隙間33D2、33D1の一側(谷側)に、天板33の係止爪33E、33Fを地板32の隙間32D2、32D1の一側(谷側)に夫々挿入して組付可能とされる。
【0075】
また、図37、図38に示すように地板32の外周面に上下方向に凸条をなして膨出する手回し部32fが、第1摺動面32A1〜32A4の各終端部(山部)に設けられている。このようにして地板32が形成されている。
天板33(図37)も地板32と同一の形状をなしている。このように地板32と天板33とを同一形状とすることで型代を安くすることができる。
【0076】
次に、上記地板32と天板33との組付について説明する。
図41(d)に示すように地板32の上面と天板33の下面とを対向させ、地板32の係止爪32E、32Fを天板33の隙間33D2、33D1の一側(谷側)に、天板33の係止爪33E、33Fを地板32の隙間32D2、32D1の一側(谷側)に夫々挿入して組み付ける。
【0077】
可変スペーサ31は、上記組み付けた状態において天板33の回転角が0°とされ、その高さ(厚み)が最小値Dminとされる。そして、地板32の第1摺接面32A1〜32A4、第2摺接面32B1〜32B4、第3摺接面32C1〜32C4と、天板33の第1摺接面33A1〜33A4、第2摺接面33B1〜33B4、第3摺接面33C1〜33C4とが図41(a)、(b)、(c)に示すように摺接している。また、地板32の係止爪32E、32Fと天板33の係止爪33F、33Eとが同図(d)に示すように係合可能とされている。
【0078】
図41において地板32に対して天板33を矢印Cで示す方向(右回り)に回転させると、天板33の第1摺接面33A1〜33A4、第2摺接面33B1〜33B4、第3摺接面33C1〜33C4が、地板32の対向する第1摺接面32A1〜32A4、第2摺接面32B1〜32B4、第3摺接面32C1〜32C4上を摺動して当該天板23が上方に移動する。
【0079】
図42(a)〜(c)は、天板23が略45°回転したときの地板32と天板33の各摺動面の摺接状態を示し、同図(d)に地板32の係止爪32E、32Fと天板33の係止爪33F、33Eとの係合状態を示す。
そして、地板32に対して天板33を更に回転させ、天板33の各手回し部(図示せず)が地板32の各手回し部32fに当たると、天板33の回転が規制されて当該位置に停止する。これら地板32の各手回し部32f及び天板33の各手回し部がストッパと兼用とされる。このときの天板33の最大回転角度は約75°である。このときの地板32と天板33の各摺動面は、図43(a)〜(c)に示すように摺接している。また、地板32の係止爪32E、32Fと天板33の係止爪33F、33Eとが同図(d)に示すように係合している。そして、可変スペーサ31は、このときの高さ(厚みが)最大値Dmaxとなる。
【0080】
尚、上記各実施形態において、可変スペーサを円環とした場合について説明したが、これに限るものではなく、使用目的に応じて円盤としても良いことは勿論である。
更に、上記第1及び第の2実施形態においては各摺動面を左回りに上向きの傾斜面として天板を左回りさせたときにストロークが大きくなるようにし、また、第3の実施形態においては各摺動面を右回りに上向きの傾斜面として天板を右回りさせたときにストロークが大きくなるようにしたが、これに限るものではなく仕様に応じて第1、第2の実施形態においては右回りにストロークが大きくなるように、第3の実施形態においては左回りにストロークが大きくなるように傾斜面を設定してもよいことは勿論である。
【0081】
更に、上記実施形態においては、地板及び天板の外形を円環又は円盤としたが、これに限るものではなく、正方形、六角形や八角形等の多角形としてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る可変スペーサの第1実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示す可変スペーサの天板を45°回転させた状態の側面図である。
【図3】図1に示す可変スペーサの天板を最大位置まで回転させた状態の側面図である。
【図4】図1に示す可変スペーサの平面図である。
【図5】図1に示す可変スーペーサの地板の平面図である。
【図6】図5に示す可変スペーサの底面図である。
【図7】図5に示す地板の矢線A−Aに沿う断面端面図である。
【図8】図5に示す地板の摺動面の展開図である。
【図9】図1に示す可変スペーサの地板と天板の摺動面の摺接状態を示す展開図である。
【図10】図2に示す可変スペーサの地板と天板の摺動面の摺接状態を示す展開図である。
【図11】図3に示す可変スペーサの地板と天板の摺動面の摺接状態を示す展開図である。
【図12】図1に示す可変スペーサの使用例を示す説明図である。
【図13】図1に示す可変スペーサに固定スペーサを取り付けて使用する場合の説明図である。
【図14】図13に示す固定スペーサの底面図である。
【図15】本発明に係る可変スペーサの第2実施形態を示す平面図である。
【図16】図15に示す可変スペーサを地板と天板とを分離した状態の側面図である。
【図17】図16に示す地板の平面図である。
【図18】図17に示す地板の底面図である。
【図19】図17に示す地板の要部斜視図である。
【図20】図17に示す地板の摺動面の展開図である。
【図21】図17の線B−Bにおける切口の断面図である。
【図22】図17の線C−Cにおける切口の断面図である。
【図23】図21の一部拡大図である。
【図24】図17に示す第2摺動面に設けた係止部の端面図である。
【図25】図16に示す天板の底面図である。
【図26】図25の天板の要部斜視図である。
【図27】図25に示す摺動面の展開図である。
【図28】図25に示す天板の線D−Dにおける切口の断面図である。
【図29】図28の一部拡大図である。
【図30】図25に示す第2摺動面に設けた係止部の断面図である。
【図31】図16に示す地板と天板とを組み付けた状態の側面図である。
【図32】図31に示す可変スペーサの天板を45°回転させた状態の側面図である。
【図33】図32に示す可変スペーサの天板を最大位置まで回転させた状態の側面図である。
【図34】図31に示す可変スペーサの地板と天板の摺動面の摺接状態を示す展開図である。
【図35】図32に示す可変スペーサの地板と天板の摺動面の摺接状態を示す展開図である。
【図36】図33に示す可変スペーサの地板と天板の摺動面の摺接状態を示す展開図である。
【図37】本発明に係る可変スペーサの第3実施形態における地板の平面図である。
【図38】図37に示す地板の線E−Eにおける切口の断面図である。
【図39】図37に示す地板の線F−Fにおける切口の断面図である。
【図40】図37に示す地板の摺動面の展開図である。
【図41】図37に示す地板と天板とを組み付けた状態における摺動面の展開図である。
【図42】図41に示す天板を45°回転した状態における地板と天板の摺動面の展開図である。
【図43】図41に示す天板を最大回転位置まで回転した状態における地板と天板の摺動面の展開図である。
【図44】木造建築の通気用パッキンを使用した床構造の説明図である。
【符号の説明】
【0083】
11、21、32 可変スペーサ
12、22、32 地板
13、23、33 天板
12A、12B、13A、13B 摺動面
12b、13b、22b 凸条部
12d、13d、23f 係止爪
22A〜22E、23A〜23E 摺動面
32A1〜32A4、32B1〜32B4、32C1〜32C4 摺動面
33A1〜33A4、33B1〜33B4、33C1〜33C4 摺動面
32E、32F、33E、33F 係止爪
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さを変えることが可能な可変スペーサに関し、特に家屋の床構造体としての土台等の横架材と基礎コンクリートとの間に介装して床下の通気性を確保すると共に横架材を水平に載置するスペーサに好適な可変スペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
木造家屋の一般的な基礎構造は、図44に示すように基礎部材としての基礎コンクリート1上に間隔を存して通気用パッキン2を多数載置し、これらの通気用パッキン2上に土台としての横架材3を載置し、当該横架材3のボルト孔3a、及びボルト孔3aの位置に配置されている通気用パッキン2のボルト孔2aに基礎コンクリート1に垂設した基礎ボルト(アンカーボルト)4を貫通させてワッシャ5を介してナット6により強固に締め付け固定して構築されている。通気用パッキン2は、基礎コンクリート1と横架材3との間に隙間gを設けて床下の通気性を確保するためのものである。このような通気性パッキンは周知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
家屋の基礎構造において横架材3は、水平に設置することが極めて重要であり、基礎コンクリート1の上面(天端)1aに通気用パッキン2を介して横架材3を載置する構造においては、基礎コンクリート1の上面1aを水平に且つ滑らかに形成する所謂天端均しが必要不可欠である。
また、基礎コンクリート1の上面1aに載置する多数の通気用パッキン2は、全て水平に且つ正確な高さに設置することが必要であり、作業に非常に手間が掛かり、且つ熟練を要する。しかも、通気用パッキン2は、厚さが一定であるために微調整ができないという問題がある。
【0004】
更に、基礎ボルト4が基礎コンクリート1の中央(真ん中)位置からずれた位置に設置されている場合には、これに伴い基礎ボルト4が挿通する通気用パッキン2がその幅方向にずれてしまい、基礎コンクリート1上に横架材3を充分に支持することができなくなるという問題もある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、所望の高さに正確且つ容易に位置決めすることができ、家屋の基礎構造における床構造体としての横架材を基礎コンクリート上に所定の隙間を存して水平に配置する際の通気用パッキンに好適な可変スペーサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の可変スペーサは、上面に螺旋状の摺動部が設けられた地板と、下面に前記地板の摺動部と対応して螺旋状の摺動部が設けられ、該摺動部の終端及び始端が前記地板の摺動部の始端及び終端に合わされ前記摺動部同士が当接されて前記地板に載置され、前記地板との相対回転により高さが可変される天板と、前記地板と前記天板に設けられ、これらの地板と天板とを相対回転可能且つ逸脱不能に係止する係止手段とを備えた構成としたものである。
【0006】
可変スペーサは、地板の摺動部の始端と終端に天板の摺動部の終端と始端を合わせて載置し、地板と天板とを組み付ける。この組み付けた状態において、地板の摺動部と天板の摺動部とが当接し、天板の高さが最も低くなる。前記天板を地板の螺旋状をなす摺動部の始端から終端に向けて回転させると、天板の螺旋状をなす摺動部が地板の摺動部上を始端から終端に向かって摺動し、これに伴い天板の高さが高くなる。これにより、天板の高さを連続的に調節することができる。地板と天板とは係止部材により相対回転可能且つ逸脱不能に係止されており、天板とを回転させて高さ調節する際に地板から外れることが防止され、確実に高さ調整をすることができる。
【0007】
請求項2の可変スペーサは、請求項1において、前記地板及び前記天板は円盤又は円環としたものである。
地板及び天板の形状を円盤又は円環とすることにより、相対回転させる際の操作性の向上を図ると共に外形に伴う材料のロス、使用場所におけるスペースロスを少なくしている。
【0008】
請求項3の可変スペーサは、請求項1において、摺動部の長さを1周以下としたものである。
摺動部の長さを1周以下とすることで、摺動部を面接触させることができると共に地板及び天板の相対回転が1回転以下となり作業性が向上する。
請求項4の可変スペーサは、請求項1において、前記係止手段は、前記摺動部の内側に当該摺動部に沿って始端近傍から終端近傍までフランジ状に張り出して形成された凸条と、前記摺動部の終端の内側に前記凸条と係合するべく前記摺動部から上方に張り出して形成された係止爪とから成る、構成としている。
【0009】
地板の凸条と係止爪に天板の係止爪と凸条を係合してこれらの地板と天板を組み付ける。地板及び天板の凸条は、夫々摺動部に沿って形成されていることにより、天板の回転に伴い当該天板の凸条と係止爪が地板の係止爪と凸条に沿って移動して係合状態を保持する。
請求項5の可変スペーサは、請求項1乃至4の何れかにおいて、前記地板と前記天板は、同一形状としたものである。
【0010】
地板と天板とを同一形状とすることで、地板の上面と天板の下面とを突き合わせたときに地板の摺動部の始端及び終端に天板の摺動部の終端及び始端を合わせることができる。また、地板と天板を一つの金型により成形することができる。
請求項6の可変スペーサは、請求項1において、前記摺動部は同心的に複数設けられ、且つ隣り合う摺動部の始端及び終端が周方向に所定の中心角度ずれている構成としたものである。
【0011】
摺動部を同心的に複数設け、隣り合う摺動部を周方向にずらすことにより、外側から内部が見えなくなり、見栄えが向上する。また、塵埃等の侵入を防止する。
請求項7の可変スペーサは、請求項6において、前記摺動部は、周方向に沿って複数等分され、各始端から各終端まで所定の傾斜角をなす複数の摺動面から成る構成としている。
【0012】
摺動部を周方向に沿う複数の摺動面とすることで、多条ねじと同様に摺動面の傾斜角を大きく取ることができ、天板の少ない回転角で高さの調整範囲を広く取ることができる。
請求項8の可変スペーサは、請求項6又は7において、前記地板と前記天板は、同一形状としたものである。
地板と天板とを同一形状とすることで、地板の上面と天板の下面とを突き合わせたときに地板の摺動部の始端及び終端に天板の摺動部の終端及び始端を合わせることができる。また、地板と天板を一つの金型により成形することができる。
【0013】
請求項9の可変スペーサは、請求項6又は7において、前記複数の摺動部のうち少なくとも1つの摺動部がV溝又は該V溝に嵌合する逆V形の凸条から成り、前記地板又は天板の何れか一方の摺動部がV溝とされ、何れか他方の摺動部が逆V形の凸条とされている構成としたものである。
複数の摺動部の少なくとも一つの摺動部をV溝とこのV溝に嵌合する逆V形の凸条として接触面積の増大を図ると共に摺動部の横ズレを防止する。地板又は天板の何れか一方の摺動部をV溝とし、何れか他方の摺動部を凸条として地板と天板との横ズレを防止する。また、摺動部の接触面積が増大するために天板の回転方向のズレが少なくなる。
【0014】
請求項10の可変スペーサは、請求項6乃至9の何れかにおいて、前記地板及び前記天板の摺動部の内側にこれらの地板と天板とを相対回転及び軸方向に変位可能且つ逸脱不能に係止する係止手段が設けられている構成としたものである。
天板を回転させて高さを調節する際に地板から外れることを防止して確実に高さ調整をすることができるようにしている。
【0015】
請求項11の可変スペーサは、請求項6乃至9の何れかにおいて、前記係止手段は、最も内側の摺動部の内側に設けられている構成としたものである。
地板と天板とを係止する係止手段を同心的に配置されている複数の摺動部の最も内側の摺動部の内側に設けて、天板を回転し易くしている。また、成形を容易としている。
請求項12の可変スペーサは、請求項6乃至9の何れかにおいて、前記係止手段は、前記摺動部の内側に当該摺動部に沿って始端近傍から終端近傍までフランジ状に張り出して形成された凸条と、前記摺動部の終端の内側に前記凸条と係合するべく前記摺動部から上方に張り出して形成された係止爪とから成る構成としたものである。
【0016】
地板の凸条と係止爪に天板の係止爪と凸条を係合してこれらの地板と天板を組み付ける。地板及び天板の凸条は、夫々摺動部に沿って形成されていることにより、天板の回転に伴い当該天板の凸条と係止爪が地板の係止爪と凸条に沿って移動して係合状態を保持する。
請求項13の可変スペーサは、請求項6乃至9の何れかにおいて、前記係止手段は、前記複数の摺動部の内の一つの摺動部の一つの摺動面の外側に当該摺動面に沿って始端から中央位置までフランジ状に張り出して形成された第1の係止爪と、前記摺動部の外側の摺動部の前記第1の係止爪が形成された摺動面と180°反対側の摺動面の内側に前記摺動面に沿ってその中央位置から終端までフランジ状に張り出し前記第1の係止爪と係合可能な第2の係止爪とから成る構成としたものである。
【0017】
地板の第1の係止爪及び第2の係止爪に天板の第2の係止爪及び第1の係止爪を係合させてこれらの地板と天板とを組み付ける。地板及び天板の各第1、第2の係止爪は、夫々摺動面に沿って形成されていることにより、天板の回転に伴い当該天板の第1、第2の係止爪が地板の第2、第1の係止爪に沿って移動して係合状態を保持する。
請求項14の可変スペーサは、請求項6乃至9の何れかにおいて、前記係止手段は、前記地板又は天板の何れか一方の摺動部の内側に当該摺動部に沿って前記始端近傍から終端近傍までフランジ状に張り出して形成された凸条と、前記地板又は天板の何れか他方の前記摺動部の始端の内側に上方に張り出して形成され前記凸条と係合する係止爪とから成る構成としたものである。
【0018】
地板の凸条又は係止爪に天板の係止爪又は凸条を係合してこれらの地板と天板を組み付ける。地板又は天板の凸条は、夫々摺動部に沿って形成されていることにより、天板の回転に伴い地板又は天板の係止爪が地板又は天板の凸条に沿って移動して係合状態を保持する。
請求項15の可変スペーサは、請求項1乃至14の何れかにおいて、前記地板及び天板の外周面の摺動部の終端位置に前記地板と天板の相対回転を制限するストッパが設けられている構成としたものである。
【0019】
天板は、地板の摺動部の始端位置から終端位置まで回転し、終端位置においてストッパにより回転を制限される。これにより、天板の過回転を防止して当該天板の摺動部が地板の摺動部から逸脱することを防止し、天板の最大高さを確保する。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の可変スペーサによれば、天板を地板の摺動部の始端から終端に向けて回転させることで、天板の摺動部が地板の摺動部上を始端から終端に向かって摺動し、これに伴い天板の高さが高くなり、天板の高さを連続的に正確且つ容易に調節することができる。天板を回転させて高さを調節する際に係止部材により地板から外れることが防止され、迅速且つ確実に高さ調整をすることができる。従って、この可変スペーサを基礎コンクリートと横架材或いは床板との間に介挿して通気用パッキンとして使用する場合、これらの横架材或いは床板の高さを正確且つ容易に調整することが可能となり、作業性の向上が図られる。
【0021】
請求項2の可変スペーサによれば、地板及び天板の形状を円盤又は円環とされていることで、材料の無駄がなくなる。また、地板と天板とを相対回転させる際の操作性の向上を図ると共にスペースに余裕の無い場所にも使用することが可能である。
請求項3の可変スペーサによれば、摺動部の長さを1周以下とすることで、摺動部を面接触させることができると共に地板及び天板の相対回転が1回転以下となり作業性が向上する。
【0022】
請求項4の可変スペーサによれば、地板と天板とが相対回転する際に天板の凸条と係止爪が地板の係止爪と凸条に沿って移動して係合状態を保持する。
請求項5の可変スペーサによれば、地板と天板とを同一形状とすることで、地板と天板を一つの金型により成形することができ、型代を低減することができる。
請求項6の可変スペーサによれば、摺動部を同心的に複数設け、隣り合う摺動部を周方向にずらすことにより、外側から内部が見えなくなり、見栄えが向上すると共に塵埃等の侵入を防止することができる。
【0023】
請求項7の可変スペーサによれば、摺動部を周方向に沿う複数の摺動面とすることで、多条ねじと同様に傾斜角を大きく取ることができ、少ない回転で高さの調整範囲を広く取ることができ、作業性の向上が図られる。
請求項8の可変スペーサによれば、地板と天板とを同一形状とすることで、地板と天板を一つの金型により成形することができ、型代を低減することができる。
【0024】
請求項9の可変スペーサによれば、複数の摺動部の少なくとも一つの摺動部をV溝とこのV溝に嵌合する逆V形の凸条とすることで、摺動部の接触面積の増大を図ることができ、天板の回転方向のズレが少なくなると共に地板との横ズレを防止することができる。
請求項10の可変スペーサによれば、天板を回転させて高さを調節する際に地板から外れることを防止して確実に高さ調整をすることができる。
【0025】
請求項11の可変スペーサによれば、地板と天板とを係止する係止手段を同心的に配置されている複数の摺動部の最も内側の摺動部の内側に設けることで、天板を回転し易くなり作業性の向上が図られる。また、見栄えも向上する。
請求項12の可変スペーサによれば、地板及び天板の凸条は、夫々摺動部に沿って形成されていることにより、天板の回転に伴い当該天板の凸条と係止爪が地板の係止爪と凸条に沿って移動して係合状態を保持することができる。これにより、地板と天板とが分離することが防止される。
【0026】
請求項13の可変スペーサによれば、地板及び天板の各第1、第2の係止爪は、夫々摺動面に沿って形成されていることにより、天板の回転に伴い当該天板の第1、第2の係止爪が地板の第2、第1の係止爪に沿って移動して係合状態を保持することができる。これにより、地板と天板とが分離することが防止される。
請求項14の可変スペーサによれば、地板又は天板の凸条は、夫々摺動部に沿って形成されていることにより、天板の回転に伴い地板又は天板の係止爪が地板又は天板の凸条に沿って移動して係合状態を保持することができ、地板と天板とが分離することが防止される。
【0027】
請求項15の可変スペーサによれば、天板は、地板の摺動部の始端位置から終端位置まで回転し、終端位置においてストッパにより回転を制限され、これにより、天板の過回転を防止して当該天板の摺動部の始端が地板の摺動部の終端から逸脱することを防止し、天板の最大高さを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る可変スペーサの実施形態を図面により詳細に説明する。
先ず、本発明の可変スペーサの第1実施形態について説明する。図1乃至図3は、可変スペーサの側面図を示し、図4は、図1の平面図を示す。図1及び図4に示すように可変スペーサ11は、その外径が例えば、図44に示す横架材3の幅と同じ大きさの円環をなす地板12と天板13とからなり、これらの地板12と天板13とを相対回転させることにより高さ(厚み)を任意に調整可能とされており、最小調整厚みが例えば、図44に示す通気用パッキン2の板厚よりも僅かに薄く、最大調整厚みが前記通気用パッキン2の板厚よりも厚くなるように設定されている。
【0029】
図5に示すように地板12は、上面に周方向に沿って複数等分例えば、4等分されて摺動部としての幅狭の外側摺動面12Aと幅広の内側摺動面12Bとが螺旋状をなして同心的に夫々4面形成されており、外側の摺動面12Aと内側摺動面12Bとは周方向に沿って中心角90°ずれて交互に形成されている。これらの外側摺動面12A、内側摺動面12Bの幅は、適宜の幅に設定されている。
【0030】
図5及び図8に示すように外側摺動面12A、及び内側摺動面12Bは、夫々始端12Asから終端12Ae、及び始端12Bsから終端12Beに向かって左回りに所定の角度θをなす上向きの傾斜面とされており、下面12a(図6)から各始端12As、12Bsまでの高さ、及び下面12aから各終端12Ae、12Beまでの高さは、同じ高さとされている。このようにして、外側摺動面12Aと内側摺動面12Bとが周方向に沿って螺旋状に形成されている。そして、これらの各摺動面12A、12Bは、夫々各始端12As、12Bsが谷部、各終端12Ae、12Beが山部とされている。また、幅広の内側摺動面12Bは、粗面とされており、大きな摺動抵抗を発生させて滑り止めの効果を有するようにされている。
【0031】
図5乃至図7に示すように内側摺動面12Bの内周縁部には始端12Bs近傍から終端12Be近傍まで所定の厚み及び幅をなす係合用の凸条部12bが摺動面12Bと面一を成し、且つ摺動面12Bに沿って中心方向内方にフランジ状に張り出して形成されている。そして、凸条部12bの始端部に所定幅の係合用の切欠12cが形成され、終端部に切欠12cよりも僅かに幅狭の係合用の係止爪12dが形成されている。
【0032】
係止爪12dは、図5及び図6に示すように凸条部12bの内側に略角形をなして僅かに張り出し、図7に示すように先端が摺動面12Bの終端(山部)12Beから突出して略凸条部12bの幅程度外側に略逆L形状をなし、その下面と摺動面12bとの間の隙間12eに後述する天板の係合用凸条部13b(図4)を係合させて摺動可能とされている。
【0033】
また、図5に示すように地板12の外周面には上下方向に凸条をなして膨出す手回し部12fが周方向に等間隔で複数例えば、4箇所設けられている。この手回し部12fは、隣り合う外側摺動面12Aの始端(谷部)12Asと終端(山部)12Aeとの連設部に配置されており、下面が底面12aと面一をなし、上端が当該地板12の半分の高さとされている(図1)。
【0034】
図6に示すように地板12の下面12aには凹部12gがその幅の略中央に周方向に沿って等間隔で複数例えば、4箇所設けられている。これらの凹部12gは、後述するように固定スペーサを兼用する場合、該固定スペーサと係合させるための穴である。尚、図6において切欠12cの一側に連設されたスリット12hは、係止爪12dを成形する際の型抜き穴である。
【0035】
天板13は、地板12と同一形状に形成されている。即ち、可変スペーサ11は、地板12と天板13とが同一の形状をなしている。尚、以後天板13の地板12と対応する部位に対応する符号を付けて説明する。これらの底板12、天板13は、例えば、ABS樹脂部材で一体に成形されている。
次に、上記地板12と天板13との組付について説明する。
【0036】
先ず、図4に示すように地板12の上面と天板13の下面とを対向させ、地板12の各切欠12cに天板13の各係止爪13dを、天板13の各切欠13cに地板12の各係止爪12dを夫々挿入し、図5に示す地板12の外側摺動面12A、内側摺動面12Bの始端(谷部)12As、12Bsと、天板13の外側摺動面13A、内側摺動面13Bの終端(山部)13Ae、13Beとを合わせて当接させる。この状態において、地板12の係止爪12dが天板13の凸条部13bの始端側と係合可能とされ、天板13の係止爪13dが地板12の凸条部13bの始端側と係合可能とされる。このようにして地板12と天板13とが組み付けられて図1及び図4に示すように円環をなす可変スペーサ11が構成される。
【0037】
図1及び図4に示す組付状態において可変スペーサ11は、地板12の外側摺動面12A及び内側摺動面12Bと天板13の外側摺動面13A及び内側摺動面13Bとが図9(a)、(b)に示すように噛み合い当接している。また、地板12の手回し部12fと天板13の手回し部13fとが合致している。可変スペーサ11は、このときの厚みが最小値Dminである。可変スペーサ11は、この状態において地板12に対する回転角度が0°とされ、地板12の各摺動面12A、12Bと天板12の各摺動面13A、13Bとが全面で接触している。
【0038】
図4において地板12に対して天板13を手回し部13fにより矢印CCで示す反時計方向(左回り)に回転させると、天板13の外側摺動面13A、内側摺動面13Bが地板12の外側摺動面12A、内側摺動面12B上を摺動して当該天板13が上方に移動する。このとき、地板12の係止爪12dが天板13の凸条部13bに係合し、天板13の係止爪13dが地板12の凸条部12bに係合して摺動する。これにより、地板12と天板13との組付状態が保持され、分離することが防止される。
【0039】
図2は、天板13が略45°回転したときの状態を示し、このときの地板12の外側摺動面12A、内側摺動面12Bと天板13の外側摺動面13Aと内側摺動面13Bとの当接状態(噛み合い状態)を図10(a)、(b)に示す。この状態において地板12の摺動面12A、12Bと天板12の摺動面13A、13bとが夫々略半分の面積で8箇所で面接触する。
【0040】
図4において天板13を更に回転させ、天板13の各係止爪13dが地板12の各係止爪12dに当たると、天板13の回転が規制されて当該位置に停止する。これらの地板12、天板13の係止爪12d、13dは、ストッパを兼用している。このときの天板13の最大回転角度は約75°である。このときの可変スペーサ11の地板12と天板13との関係を図3に示す。また、地板12の外側摺動面12A、内側摺動面12Bと天板13の外側摺動面13Aと内側摺動面13Bとの当接状態(噛み合い状態)を図11(a)、(b)に示す。
【0041】
天板13の最大回転位置において地板12の各摺動面12A、12Bと天板12の各摺動面13A、13Bとが夫々全面積の略1/4の面積で8箇所で接触する。そして、図3に示すように可変スペーサ11は、このときの厚みが最大値Dmaxとなる。可変スペーサ11は、その厚みが図1に示す最小値Dminから図3に示す最大値Dmaxまで連続して、且つ直線的に変化する。
【0042】
また、可変スペーサ11は、周方向に沿って4つの摺動面12A、12B及び13A、13Bが形成されていることで多条ねじ(4条ねじ)と同じ理由により、前記摺動面の傾斜角θが大きくなり、小さい回転角で高さ調整範囲(ストローク)を大きく取ることができ、作業性が向上する。
天板13の回転角度は、天板13の各係止爪13dが地板12の各係止爪12dに当たるまでとされ、従ってこれらの係止爪12d、13dの幅により任意に設定可能である。しかしながら、天板13の回転角を大きくするに伴い地板12の各摺動面12A、12Bと天板12の各摺動面13A、13bとの接触面積が小さくなり、耐荷重が小さくなる。従って、回転角度と厚み調整範囲、強度(耐荷重)、使い勝手等を考慮して、本実施例では、天板13の回転角度を上述した約75°程度、厚みの調整範囲を約6mm程度としている。
【0043】
図12及び図13は、可変スペーサ11の使用例を示し、図44に示す通気用パッキン2に代えて基礎コンクリート1と横架材3との間に通気用のスペーサとして介在した場合を示す。可変スペーサ11は、その厚み(高さ)を連続的に且つ直線的に調整することができるため、基礎コンクリート1の上端面1aからの高さを正確に、且つ容易に調整することができ、横架材3を水平に配設することができる。
【0044】
そして、可変スペーサ11は、地板12と天板13の摺接する各摺動面12A、12Bと13A、13bの表面が粗面とされていることでこれらの摺動面間に大きな摺動抵抗が発生して滑りが防止され、天板13に大きな荷重が加わっても板天板13の摺動面13A、13Bが地板12の摺動面12A、12bに対する滑りが防止され、天板13の逆方向(下り方向)の回動が防止される。従って、可変スペーサ11の高さ(厚み)の変化することがなく、スペーサとしての機能を確実に発揮することができる。
【0045】
また、可変スペーサ11を基礎ボルトのある位置に使用する場合、前記基礎ボルトが基礎コンクリート1の中央位置から幅方向にずれていても、可変スペーサ11は、円環をなしているために図4に2点鎖線で示すように貫通する基礎ボルト4に対して基礎コンクリート1の幅方向及び長さ方向に自由度を有しており、前記基礎ボルト4のずれ分を吸収して基礎コンクリート1の中央に配置することが可能となる。これにより、基礎コンクリート1上に横架材3を全幅に亘り支持することができる。そして、天板13を手回し部13fにより外側から回すことができるために簡単に高さ調整を行うことができる。
【0046】
図13は、基礎コンクリート1と横架材3とのスペースが大きい場合の使用例を示し、基礎コンクリート1上に所定板厚の固定スペーサ15を載置し、この固定スペーサ15に重ねて可変スペーサ11を載置して嵩上げしたものである。固定スペーサ15は、図14に示すように可変スペーサ11と同径の円環をなし、上面15aに地板12の下面12aに設けられた凹部12gと対応した位置に前記凹部12gと嵌合する凸部15bが設けられ、これらの凸部15bの間に凸部15bと同径の貫通孔15cが穿設されている。また、固定スペーサ15の上下両面は、粗面とされ摩擦抵抗を大きくされて滑り止めとされている。
【0047】
そして、可変スペーサ11の地板12を固定スペーサ15に載置して地板12の凹部12gに凸部15bを嵌合して嵩上げする。この場合、固定スペーサ15を貫通孔15cにより相手方に釘等により固定するようにしてもよい。また、固定スペーサ15が1枚では足りない場合には、固定スペーサ15を2枚重ねて使用することもできる。この場合、2枚の固定スペーサ15は、下側の固定スペーサ15の凸部15bを上側の固定スペーサの貫通孔15cに嵌合させることにより位置ズレすることなく重ねて使用することが可能となる。尚、板厚の異なる固定スペーサを使用するようにしてもよい。このように可変スペーサ11を固定スペーサ15により嵩上げして使用することで汎用性を持たせることが可能となる。
【0048】
この可変スペーサ11は、上述した使用例の他例えば、床板を水平に敷設する場合、書庫や家具の高さや段差の調整等にも使用することが可能である。更に、可変換気口としても使用することが可能である。
即ち、可変スペーサ11は、図10に示すように天板13が0°〜45°まで回転する間地板12と天板13の外側摺動面12Aと13A、内側摺動面12Bと13Bとが周方向に重なり、可変スペーサ11の外側と内側とが遮蔽されているが、図11に示すように天板13の回転角が45°を超えると地板12の内側摺動面12の内側摺動12Bの終端12Beと点板13の外側摺動面13Aの終端13Aeとの間に開口部16形成されて可変スペーサ11の外側と内側とが連通する。
【0049】
そこで、例えば、天板13の上面の孔を閉塞し、地板12を換気口の室内側にその下面から外側摺動面12Aの始端12Asの位置まで気密に嵌合させる。そして、前記換気口を塞ぐ場合には天板13の回転角度を0°(図1の状態)とし、天板13を45°以上回転させることで図11(b)に示すように開口部16が形成され、前記換気口が開口する。開口部16は、天板13の回転角に応じて開口面積が変化し、可変換気口を構成することが可能である。
【0050】
尚、上記実施形態において可変スペーサ11は、ABS樹脂部材により形成した場合について説明したが、これに限るものではなく、仕様に応じて他の部材例えば、PP樹脂部材、鋳物、アルミニウム、硬質ゴム等により形成してもよい。
図15は本発明に係る可変スペーサの第2の実施形態を示す平面図、図16は、地板と天板とを分離した状態の側面図である。図15及び図16に示すように可変スペーサ21は、地板22と天板23とから成り、これらを相対回転することでその高さ(厚さ)を可変可能とされている。
【0051】
地板22は、図17乃至図19に示すように円環をなし、上面に周方向に沿って4等分され、外側から摺動部としての第1摺動面22A〜第5摺動面22Eが同心的に螺旋状をなして形成されており、第2摺動面22Bは、第1摺動面22Aに対して図中左回り方向に所定の中心角例えば、中心角15°ずれて形成され、第3摺動面22C及び第4摺動面22Dは、第2摺動面22Bに対して左回り方向に中心角45°ずれて形成され、第5摺動面22Eは、第4摺動面22Dに対して左回り方向に中心角45°ずれて形成されている。これらの第1摺動面22A〜第5摺動面22Eの幅は、適宜の幅に設定されている。
【0052】
第1摺動面22A〜第5摺動面22Eは、図19及び図20(a)〜(e)に示すように各始端22As〜22Esから各終端22Ae〜22Eeに向かって夫々所定の角度θをなす上向きの傾斜面とされている。そして、第1摺動面22Aは、図21、図22に示すように上面が外側下方に傾斜するナイフエッジ状をなしている。また、第4摺動面22Dは、図19、図21乃至図23に示すように所定角度例えば、頂角がαをなす逆V字状の山形をなしており、その高さは他の摺動面よりも僅かに低く(例えば、d=0.5mm程度)設定されている。
【0053】
そして、図17に示すように第2摺動面22Bの終端22Be近傍に半径方向に沿って所定の間隔で滑り止めとしての係止部22Bcが複数形成されている。この係止部22Bcは、図24に示すように頂角が略90°をなし幅1mm程度の山形の凸条とされている。
また、地板22の最外周に位置する摺動面22Aは、底面22aからの高さが内側の摺動面22Bの底面22aからの高さよりも略当該摺動面22Bの高さ分だけ高く設定されている(図16、図19及び図20(a)、(b))。
【0054】
図17乃至図19、図20(f)、及び図21、図22に示すように第5摺動面22Eの内周縁部には始端22Es近傍から終端22Ee近傍まで所定の厚み及び幅をなす係合用の凸条部22bが摺動面22Eと面一を成し、且つ摺動面22Eに沿って中心方向内方にフランジ状に張り出して形成されている。そして、凸条部22bの始端部に所定幅の係合用の切欠22cが形成されている。切欠22cには僅かな幅の係止部22dが残されている。
【0055】
図17に示すように地板22の外周面には上下方向に凸条をなして膨出す手回し部22fが周方向に等間隔で複数例えば、4箇所設けられている。この手回し部22fは、隣り合う第1摺動面22Aの始端(谷部)22Asと終端(山部)22Aeとの連設部に配置されており、図16に示すように下面が底面22aと面一をなし、上端が第1摺動面22Aの始端22Asよりも僅かに高い位置に位置している。
【0056】
また、図18に示すように地板22の下面22aには前述した固定スペーサ15を使用する際に固定スペーサ15の凸部15aと嵌合するための凹部22hが設けられている。
図25に示すように天板23は、地板22と同型の円盤をなし、下面に地板22の第1摺動面22A〜第5摺動面22Eと対応して第1摺動面25A〜第5摺動面25Eが形成されている。第2摺動面23Bは、第1摺動面23Aに対して図中右回り方向に所定の中心角例えば、中心角15°ずれて形成され、第3摺動面23C及び第4摺動面23Dは、第2摺動面23Bに対して右回り方向に中心角45°ずれて形成され、第5摺動面23Eは、第4摺動面23Dに対して右回り方向に中心角45°ずれて形成されている。
【0057】
第1摺動面23A〜第5摺動面23Eは、図26及び図27(a)〜(e)に示すように夫々各始端23As〜23Esから各終端23Ae〜23Eeに向かって左回りに所定の角度θをなす上向きの傾斜面とされている。そして、第1摺動面23Aは、図28、図29に示すように下面が内側下方に傾斜する溝状をなし、地板22の第1摺動面22Aと係合可能とされている。また、第4摺動面23Dは、図26、図28、図29に示すように所定角度例えば、頂角がβをなすV字状の谷形をなしており、その高さは、他の摺動面よりも僅かに低く(例えば、d=0.5mm程度)設定されている。尚、V字状をなす第4摺動面23Dの頂角βは、地板22の逆V字状の第4摺動面22Dの頂角αよりも僅かに(数度例えば、4°程度)小さく(β<α)設定されている。
【0058】
そして、図25に示すように第2摺動面23Bには始端23Bsから終端23Beまで半径方向に沿って所定間隔で滑り止めとしての係止部23Bcが多数形成されている。この係止部23Bcは、図30に示すように頂角が略90°をなし幅1mm程度のV溝とされている。この係止部23Bcは、地板22の第2摺動面22Bの山形の係止部22Bcと係合して滑り止めとされる。これらの係止部22Bc、23Bcの間隔は、例えば、高さ方向のストロークが0.3mm程度(中心角にして約3.75°)に設定されており、極めて僅かな高さ調整が可能とされている。また、他の摺動面を祖面として摺動抵抗を増大させるようにしても良い。
【0059】
尚、図25において、係止部23Bcは、各第2摺動面23Bの始端23Bsから終端23Beまで設けられているが、図面が煩雑となって見難くなることを避けるために1つの摺動面23Bにのみ記載してある。
天板23の最外周に位置する摺動面23Aは、地板22の摺動面22Aとは反対に上面23aからの高さが内側の摺動面23Bの上面23aからの高さよりも略当該摺動面23Bの高さ分だけ低く設定されている(図16、図26及び図27(a)、(b))。
【0060】
図25、図26及び図28に示すように各第5摺動面23Eの終端23Eeの内側に係止爪23fが形成されている。この係止爪23fは、先端が第5摺動面23Eの終端23Eeから上方に突出し、地板22の第5摺動面22Eの内周縁部に形成されている凸条部22b(図18)の幅程度外側に略逆L形状をなし、その下面と第5摺動面23Eとの間の隙間23eに地板22の係合用凸条部22bと係合して摺動可能とされる。
【0061】
図15に戻り、天板23の上面23aには中央に小孔23gが穿設されており、当該小孔23gと同心的に六角形の凹部23h(以下「六角穴23h」という)が設けられている。また、中止からずれた位置に基礎ボルト貫通用の孔23iが設けられている。この孔23iは、外周縁が図17に示す地板22の中央の大径の孔22iの内周と接するように設定されている。前記六角孔23hは、天板23を六角レンチにより回転させて高さ調整可能とするためのものである。尚、図15において上面23aのスリット22jは、係止爪22fを成形する際の型抜き穴である。
【0062】
図15及び図16に示すように天板23の上面23eの周縁部及び外周面には周方向に沿って目盛23kが所定の間隔で刻設されており、図15に示す最小高さ位置から最大高さ位置までの高さを目視により調整可能とされている。
図15及び図16に示すように天板23の外周面には上下方向に凸条をなして膨出する手回し部23mが周方向に等間隔で4箇設けられている。この手回し部223mは、隣り合う第1摺動面23Aの始端と終端との連設部に配置されており、図16に示すように上面が上面23aと面一をなし、上端が第1摺動面23Aの始端よりも僅かに低い位置に位置している。
【0063】
次に、上記地板22と天板23との組付について説明する。
先ず、図16に示すように地板22の上面と天板23の下面とを対向させ、図18に示す地板22の各切欠22cに天板23の各係止爪23fを挿入した後押し込んで、係止爪23fの先端を、切欠22cの奥に僅かに張り出した係止部22dを乗り越えさせて当該係止部22dに係止させる。これにより、地板22と天板23とが逸脱不能に組み付けられて可変スペーサ21とされる。図31に組み付けた状態の可変スペーサ21を示す。そして、地板22の手回し部22fの側面と天板23の手回し部23mの側面とが当接している。
【0064】
可変スペーサ21は、上記組み付けた状態において天板23の回転角が0°とされ、その高さ(厚み)が最小値Dminとされる。このとき、地板22の第1摺接面22A〜第5摺接面22Eと天板23の第1摺接面23A〜第5摺接面23Eは、図34(a)〜(e)に示すように摺動可能に当接している。また、地板22の係止用凸条22bと天板23の係止爪23fとが同図(f)に示すように係合している。
【0065】
図15において地板22に対して天板23を手回し部23mにより矢印CCで示す反時計方向(左回り)に回転させると、天板23の第1摺動面23A〜乃至第5摺動面23Eが地板22の対向する第1摺動面22A〜第5摺動面22E上を摺動して当該天板23が上方に移動する。
図32は、図31の天板23を略45°回転したときの状態を示し、このときの地板22の第1摺動面22A〜第5摺動面22Eと天板23の第1摺動面23A〜第5摺動面23Eは、図35(a)〜(e)に示すように摺接している。また、地板22の係止用凸条22bと天板23の係止爪23fとが同図(f)に示すように係合している。
【0066】
そして、図17に示す地板22の第2摺動面22Bの終端22Be近傍に僅かな間隔で形成されている複数の山形状の係止部22Bcと図25に示す天板23の第2摺動面23Bに全長に亘り前記間隔で多数形成されているV溝23Bcの一部が係合し、天板23の回転方向の滑りが防止される。
更に、地板22の逆V字状の山形をなす第4摺動面22Dが天板23のV溝をなす第4摺動面23Dと係合し、且つ山形をなす第4摺動面22Dの頂角α(図23)がV溝をなす第4摺動面23Dの頂角β(図29)よりも僅かに大きい(α>β)ことで、第4摺動面22Dが僅かに圧入嵌合される状態となる。これにより、地板22と天板23とが強固に係合し、天板23の回転方向の滑り及び横ズレが防止される。
【0067】
図15において天板23を更に回転させ、天板23の手回し部23mが地板22の手回し部22fに当たると、天板23の回転が規制されて当該位置に停止する。このときの天板23の最大回転角度は約75°である。これらの地板22の手回し部22fと天板23の手回し部23mとがストッパを兼用している。そして、このときの地板22の第1摺動面22A〜第5摺動面22Eと天板23の第1摺動面23A〜第5摺動面23Eは、図36(a)〜(e)に示すように摺接している。また、地板22の係止用凸条22bと天板23の係止爪23fとが図36(f)に示すように係合している。
【0068】
そして、図33に示すように可変スペーサ21は、このときの高さ(厚みが)最大値Dmaxとなる。可変スペーサ21は、その高さが図31に示す最小値Dminから図33に示す最大値Dmaxまで直線的に変化する。
また、可変スペーサ21は、地板22の最外周に位置する摺動面22Aの底面22aからの高さが内側の摺動面22Bの底面22aからの高さよりも略その高さだけ高く設定され(図16、図19及び図20(a)、(b))、これに対応して天板23の最外周に位置する摺動面23Aの上面23aからの高さが内側の摺動面23Bの上面23aからの高さよりも略その高さだけ低く設定されて摺動面22Aと摺動面22Bの高さがずれており(図16、図26及び図27(a)、(b))、更に、地板22及び天板23の第1摺動面22A及び23Aの終端22Ae、23Aeに対して第2摺動面22B、23Bの終端22Be、23Beが中心角15°ずれている(図20、図27)ことで、図31乃至図33、及び図36(a)、(b)に示すように天板23が最大回転位置まで回転してもその内部が第2摺動面22Bの側壁により覆われた状態となる。これにより、可変スペーサ21の内部に塵埃等が入り込むことを有効に防止することができると共に見栄えが良くなる。
【0069】
また、可変スペーサ21を前述したように基礎ボルトのある位置に使用する場合、前記基礎ボルトが基礎コンクリート1の中央位置から幅方向にずれている場合でも、可変スペーサ21は、地板22が円環をなしているために基礎ボルトに対して基礎コンクリート1の幅方向及び長さ方向に自由度を有しており、また、天板23の孔23iが偏心していることで前記基礎ボルトのずれ分を吸収して基礎コンクリート1の中央に配置することが可能となり、これにより、基礎コンクリート1上に横架材3を全幅に亘り支持することができる。
【0070】
更に、コンクリートの土台に可変スペーサ21を多数設置して床板を敷設する場合等において、各可変スペーサ21の天板23の上面23aの六角孔23hと対応して床板に孔を開けておき、当該孔から六角レンチにより天板23を回転させることで、床板を簡単且つ容易に水平に敷設することが可能となり、作業性の向上が図られる。
図37は、本発明に係る可変スペーサの第3の実施形態の地板32の平面図を示す。地板32は、円環をなし上面に周方向に沿って4等分され、摺動部として外側から第1摺動面32A1〜32A4、第2摺動面32B1〜32B4、及び第3摺動面32C1〜32C4が同心的に形成されており、第2摺動面32B1〜32B4は、第1摺動面32A1〜32A4に対して図中右回り方向に所定の中心角例えば、中心角45°ずれて形成され、第3摺動面32C1〜32C4は、第1摺動面32A1〜32A4と半径方向に整列して形成されている。そして、第2摺動面32B1〜32B2と第3摺動面32C1〜32C2との間、32B3〜32B4との間に同心的に隙間32D1、32D2が形成されている。
【0071】
第1摺動面32A1、第2摺動面32B1、第3摺動面32C1は、図37及び図40(a)、(b)、(c)に示すように始端32A1sから終端32A1e、始端32B1sから終端32B1e、始端32C1sから終端32C1eに向かって所定の角度θをなす右回りに上向きの螺旋状をなす傾斜面とされている。他の摺動面32A2〜32A4、32B2〜32B4、32C2〜32C4についても同様である。
【0072】
隙間32D1は、第2摺動面32B1の始端32B1sから第2摺動面32B2の中央位置(中心角にして135°)まで、隙間32D2は、第2摺動面32B3の始端32B3sから第2摺動面32B4の中央位置(中心角にして135°の位置)まで形成されている。
そして、第2摺動面32B1の内側縁部上面にその中央位置(中心角にして45°の位置)から終端32B1eまで係止爪32Eが形成され、第3摺動面32C4の外側縁部上面に始端位置32C4sからその中央位置(中心角にして45°の位置)まで係止爪32Fが形成されている。これらの係止爪32Eと32Fは、周方向に180°離隔して反対側に位置おり、隙間32D1、32D2の中間位置に位置している。
【0073】
係止爪32Eは、図37、図39及び図40(d)に示すように摺動面32B1の内側に張り出し、その下面が当該摺動面32B1の傾斜面に沿い、上面が平らな側面視三角形状をなして形成されている。係止爪32Fは、図37乃至図39及び図40(e)に示すように摺動面32C4の外側に張り出し、その下面が当該摺動面32C4の傾斜面に沿い、且つ係止爪32Eと係合可能な上面が平らな側面視三角形状をなして形成されている。これらの係止爪32E、32Fの上面は、第1乃至第3の各摺動面の終端と同じ高さとされている。
【0074】
隙間32D1の半径方向の幅は、反対側の係止爪32Fの外周面と内周面との間隔(厚み)よりも僅かに幅広とされ、隙間32D2の半径方向の幅は、反対側の係止爪32Eの外周面と内周面との間隔(厚み)よりも僅かに幅広とされている。これにより、後述するように係止爪32E、32Fを天板33の隙間33D2、33D1の一側(谷側)に、天板33の係止爪33E、33Fを地板32の隙間32D2、32D1の一側(谷側)に夫々挿入して組付可能とされる。
【0075】
また、図37、図38に示すように地板32の外周面に上下方向に凸条をなして膨出する手回し部32fが、第1摺動面32A1〜32A4の各終端部(山部)に設けられている。このようにして地板32が形成されている。
天板33(図37)も地板32と同一の形状をなしている。このように地板32と天板33とを同一形状とすることで型代を安くすることができる。
【0076】
次に、上記地板32と天板33との組付について説明する。
図41(d)に示すように地板32の上面と天板33の下面とを対向させ、地板32の係止爪32E、32Fを天板33の隙間33D2、33D1の一側(谷側)に、天板33の係止爪33E、33Fを地板32の隙間32D2、32D1の一側(谷側)に夫々挿入して組み付ける。
【0077】
可変スペーサ31は、上記組み付けた状態において天板33の回転角が0°とされ、その高さ(厚み)が最小値Dminとされる。そして、地板32の第1摺接面32A1〜32A4、第2摺接面32B1〜32B4、第3摺接面32C1〜32C4と、天板33の第1摺接面33A1〜33A4、第2摺接面33B1〜33B4、第3摺接面33C1〜33C4とが図41(a)、(b)、(c)に示すように摺接している。また、地板32の係止爪32E、32Fと天板33の係止爪33F、33Eとが同図(d)に示すように係合可能とされている。
【0078】
図41において地板32に対して天板33を矢印Cで示す方向(右回り)に回転させると、天板33の第1摺接面33A1〜33A4、第2摺接面33B1〜33B4、第3摺接面33C1〜33C4が、地板32の対向する第1摺接面32A1〜32A4、第2摺接面32B1〜32B4、第3摺接面32C1〜32C4上を摺動して当該天板23が上方に移動する。
【0079】
図42(a)〜(c)は、天板23が略45°回転したときの地板32と天板33の各摺動面の摺接状態を示し、同図(d)に地板32の係止爪32E、32Fと天板33の係止爪33F、33Eとの係合状態を示す。
そして、地板32に対して天板33を更に回転させ、天板33の各手回し部(図示せず)が地板32の各手回し部32fに当たると、天板33の回転が規制されて当該位置に停止する。これら地板32の各手回し部32f及び天板33の各手回し部がストッパと兼用とされる。このときの天板33の最大回転角度は約75°である。このときの地板32と天板33の各摺動面は、図43(a)〜(c)に示すように摺接している。また、地板32の係止爪32E、32Fと天板33の係止爪33F、33Eとが同図(d)に示すように係合している。そして、可変スペーサ31は、このときの高さ(厚みが)最大値Dmaxとなる。
【0080】
尚、上記各実施形態において、可変スペーサを円環とした場合について説明したが、これに限るものではなく、使用目的に応じて円盤としても良いことは勿論である。
更に、上記第1及び第の2実施形態においては各摺動面を左回りに上向きの傾斜面として天板を左回りさせたときにストロークが大きくなるようにし、また、第3の実施形態においては各摺動面を右回りに上向きの傾斜面として天板を右回りさせたときにストロークが大きくなるようにしたが、これに限るものではなく仕様に応じて第1、第2の実施形態においては右回りにストロークが大きくなるように、第3の実施形態においては左回りにストロークが大きくなるように傾斜面を設定してもよいことは勿論である。
【0081】
更に、上記実施形態においては、地板及び天板の外形を円環又は円盤としたが、これに限るものではなく、正方形、六角形や八角形等の多角形としてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る可変スペーサの第1実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示す可変スペーサの天板を45°回転させた状態の側面図である。
【図3】図1に示す可変スペーサの天板を最大位置まで回転させた状態の側面図である。
【図4】図1に示す可変スペーサの平面図である。
【図5】図1に示す可変スーペーサの地板の平面図である。
【図6】図5に示す可変スペーサの底面図である。
【図7】図5に示す地板の矢線A−Aに沿う断面端面図である。
【図8】図5に示す地板の摺動面の展開図である。
【図9】図1に示す可変スペーサの地板と天板の摺動面の摺接状態を示す展開図である。
【図10】図2に示す可変スペーサの地板と天板の摺動面の摺接状態を示す展開図である。
【図11】図3に示す可変スペーサの地板と天板の摺動面の摺接状態を示す展開図である。
【図12】図1に示す可変スペーサの使用例を示す説明図である。
【図13】図1に示す可変スペーサに固定スペーサを取り付けて使用する場合の説明図である。
【図14】図13に示す固定スペーサの底面図である。
【図15】本発明に係る可変スペーサの第2実施形態を示す平面図である。
【図16】図15に示す可変スペーサを地板と天板とを分離した状態の側面図である。
【図17】図16に示す地板の平面図である。
【図18】図17に示す地板の底面図である。
【図19】図17に示す地板の要部斜視図である。
【図20】図17に示す地板の摺動面の展開図である。
【図21】図17の線B−Bにおける切口の断面図である。
【図22】図17の線C−Cにおける切口の断面図である。
【図23】図21の一部拡大図である。
【図24】図17に示す第2摺動面に設けた係止部の端面図である。
【図25】図16に示す天板の底面図である。
【図26】図25の天板の要部斜視図である。
【図27】図25に示す摺動面の展開図である。
【図28】図25に示す天板の線D−Dにおける切口の断面図である。
【図29】図28の一部拡大図である。
【図30】図25に示す第2摺動面に設けた係止部の断面図である。
【図31】図16に示す地板と天板とを組み付けた状態の側面図である。
【図32】図31に示す可変スペーサの天板を45°回転させた状態の側面図である。
【図33】図32に示す可変スペーサの天板を最大位置まで回転させた状態の側面図である。
【図34】図31に示す可変スペーサの地板と天板の摺動面の摺接状態を示す展開図である。
【図35】図32に示す可変スペーサの地板と天板の摺動面の摺接状態を示す展開図である。
【図36】図33に示す可変スペーサの地板と天板の摺動面の摺接状態を示す展開図である。
【図37】本発明に係る可変スペーサの第3実施形態における地板の平面図である。
【図38】図37に示す地板の線E−Eにおける切口の断面図である。
【図39】図37に示す地板の線F−Fにおける切口の断面図である。
【図40】図37に示す地板の摺動面の展開図である。
【図41】図37に示す地板と天板とを組み付けた状態における摺動面の展開図である。
【図42】図41に示す天板を45°回転した状態における地板と天板の摺動面の展開図である。
【図43】図41に示す天板を最大回転位置まで回転した状態における地板と天板の摺動面の展開図である。
【図44】木造建築の通気用パッキンを使用した床構造の説明図である。
【符号の説明】
【0083】
11、21、32 可変スペーサ
12、22、32 地板
13、23、33 天板
12A、12B、13A、13B 摺動面
12b、13b、22b 凸条部
12d、13d、23f 係止爪
22A〜22E、23A〜23E 摺動面
32A1〜32A4、32B1〜32B4、32C1〜32C4 摺動面
33A1〜33A4、33B1〜33B4、33C1〜33C4 摺動面
32E、32F、33E、33F 係止爪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に螺旋状の摺動部が設けられた地板と、
下面に前記地板の摺動部と対応して螺旋状の摺動部が設けられ、該摺動部の終端及び始端が前記地板の摺動部の始端及び終端に合わされ前記摺動部同士が当接されて前記地板に載置され、前記地板との相対回転により高さが可変される天板と、
前記地板と前記天板に設けられ、これらの地板と天板とを相対回転可能且つ逸脱不能に係止する係止手段と
を備えたことを特徴とする可変スペーサ。
【請求項2】
前記地板及び天板は円盤又は円環である、ことを特徴とする請求項1記載の可変スペーサ。
【請求項3】
前記摺動部の長さは1周以下である、ことを特徴とする請求項1記載の可変スペーサ。
【請求項4】
前記係止手段は、前記摺動部の内側に当該摺動部に沿って始端近傍から終端近傍までフランジ状に張り出して形成された凸条と、
前記摺動部の終端の内側に前記凸条と係合するべく前記摺動部から上方に張り出して形成された係止爪とから成る、ことを特徴とする請求項1記載の可変スペーサ。
【請求項5】
前記地板と前記天板は、同一形状である、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の可変スペーサ。
【請求項6】
前記摺動部は同心的に複数設けられ、且つ隣り合う摺動部の始端及び終端が周方向に所定の中心角度ずれている、ことを特徴とする請求項1記載の可変スペーサ。
【請求項7】
前記摺動部は、周方向に沿って複数等分され、各始端から各終端まで所定の傾斜角をなす複数の摺動面から成る、ことを特徴とする請求項6記載の可変スペーサ。
【請求項8】
前記地板と前記天板は、同一形状であることを特徴とする請求項6又は7記載の可変スペーサ。
【請求項9】
前記複数の摺動部のうち少なくとも1つの摺動部がV溝又は該V溝に嵌合する逆V形の凸条から成り、前記地板又は天板の何れか一方の摺動部がV溝とされ、何れか他方の摺動部が逆V形の凸条とされている、ことを特徴とする請求項6又は7記載の可変スペーサ。
【請求項10】
前記地板及び前記天板の摺動部の内側にこれらの地板と天板とを相対回転可能且つ逸脱不能に係止する係止手段が設けられている、ことを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の可変スペーサ。
【請求項11】
前記係止手段は、最も内側の摺動部の内側に設けられている、ことを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の可変スペーサ。
【請求項12】
前記係止手段は、前記摺動部の内側に当該摺動部に沿って始端近傍から終端近傍までフランジ状に張り出して形成された凸条と、
前記摺動部の終端の内側に前記凸条と係合するべく前記摺動部から上方に張り出して形成された係止爪とから成る、ことを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の可変スペーサ。
【請求項13】
前記係止手段は、前記複数の摺動部の内の一つの摺動部の一つの摺動面の外側に当該摺動面に沿って始端から中央位置までフランジ状に張り出して形成された第1の係止爪と、
前記摺動部の外側の摺動部の前記第1の係止爪が形成された摺動面と180°反対側の摺動面の内側に前記摺動面に沿ってその中央位置から終端までフランジ状に張り出し前記第1の係止爪と係合可能な第2の係止爪とから成る、ことを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の可変スペーサ。
【請求項14】
前記係止手段は、前記地板又は天板の何れか一方の摺動部の内側に当該摺動部に沿って前記始端近傍から終端近傍までフランジ状に張り出して形成された凸条と、
前記地板又は天板の何れか他方の前記摺動部の終端の内側に上方に張り出して形成され前記凸条と係合する係止爪とから成る、ことを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の可変スペーサ。
【請求項15】
前記地板及び天板の外周面の摺動部の終端位置に前記地板と天板の相対回転を制限するストッパが設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載の可変スペーサ。
【請求項1】
上面に螺旋状の摺動部が設けられた地板と、
下面に前記地板の摺動部と対応して螺旋状の摺動部が設けられ、該摺動部の終端及び始端が前記地板の摺動部の始端及び終端に合わされ前記摺動部同士が当接されて前記地板に載置され、前記地板との相対回転により高さが可変される天板と、
前記地板と前記天板に設けられ、これらの地板と天板とを相対回転可能且つ逸脱不能に係止する係止手段と
を備えたことを特徴とする可変スペーサ。
【請求項2】
前記地板及び天板は円盤又は円環である、ことを特徴とする請求項1記載の可変スペーサ。
【請求項3】
前記摺動部の長さは1周以下である、ことを特徴とする請求項1記載の可変スペーサ。
【請求項4】
前記係止手段は、前記摺動部の内側に当該摺動部に沿って始端近傍から終端近傍までフランジ状に張り出して形成された凸条と、
前記摺動部の終端の内側に前記凸条と係合するべく前記摺動部から上方に張り出して形成された係止爪とから成る、ことを特徴とする請求項1記載の可変スペーサ。
【請求項5】
前記地板と前記天板は、同一形状である、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の可変スペーサ。
【請求項6】
前記摺動部は同心的に複数設けられ、且つ隣り合う摺動部の始端及び終端が周方向に所定の中心角度ずれている、ことを特徴とする請求項1記載の可変スペーサ。
【請求項7】
前記摺動部は、周方向に沿って複数等分され、各始端から各終端まで所定の傾斜角をなす複数の摺動面から成る、ことを特徴とする請求項6記載の可変スペーサ。
【請求項8】
前記地板と前記天板は、同一形状であることを特徴とする請求項6又は7記載の可変スペーサ。
【請求項9】
前記複数の摺動部のうち少なくとも1つの摺動部がV溝又は該V溝に嵌合する逆V形の凸条から成り、前記地板又は天板の何れか一方の摺動部がV溝とされ、何れか他方の摺動部が逆V形の凸条とされている、ことを特徴とする請求項6又は7記載の可変スペーサ。
【請求項10】
前記地板及び前記天板の摺動部の内側にこれらの地板と天板とを相対回転可能且つ逸脱不能に係止する係止手段が設けられている、ことを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の可変スペーサ。
【請求項11】
前記係止手段は、最も内側の摺動部の内側に設けられている、ことを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の可変スペーサ。
【請求項12】
前記係止手段は、前記摺動部の内側に当該摺動部に沿って始端近傍から終端近傍までフランジ状に張り出して形成された凸条と、
前記摺動部の終端の内側に前記凸条と係合するべく前記摺動部から上方に張り出して形成された係止爪とから成る、ことを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の可変スペーサ。
【請求項13】
前記係止手段は、前記複数の摺動部の内の一つの摺動部の一つの摺動面の外側に当該摺動面に沿って始端から中央位置までフランジ状に張り出して形成された第1の係止爪と、
前記摺動部の外側の摺動部の前記第1の係止爪が形成された摺動面と180°反対側の摺動面の内側に前記摺動面に沿ってその中央位置から終端までフランジ状に張り出し前記第1の係止爪と係合可能な第2の係止爪とから成る、ことを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の可変スペーサ。
【請求項14】
前記係止手段は、前記地板又は天板の何れか一方の摺動部の内側に当該摺動部に沿って前記始端近傍から終端近傍までフランジ状に張り出して形成された凸条と、
前記地板又は天板の何れか他方の前記摺動部の終端の内側に上方に張り出して形成され前記凸条と係合する係止爪とから成る、ことを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の可変スペーサ。
【請求項15】
前記地板及び天板の外周面の摺動部の終端位置に前記地板と天板の相対回転を制限するストッパが設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載の可変スペーサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【公開番号】特開2006−104843(P2006−104843A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295155(P2004−295155)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(397056145)株式会社ティ・カトウ (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(397056145)株式会社ティ・カトウ (5)
【Fターム(参考)】
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