説明

可変焦点眼科用装置

本発明は、眼科用レンズ内に可変視覚挿入物(111)を提供するための方法、及び装置を開示する。エネルギー源(109)は、眼科用レンズ内に含まれる可変視覚挿入物に電力を供給することができる。いくつかの実施形態では、眼科用レンズはシリコーンヒドロゲルから鋳造成形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年9月30日に出願された米国仮特許出願第61/101479号、及び2009年9月25日に出願された米国特許出願第12/567,049号に対する優先権を主張し、これらの内容は信頼され参照として組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、眼科用装置の可変焦点、及びより具体的には、いくつかの実施形態では、可変焦点挿入物を有する眼科用レンズの製作を記載する。
【背景技術】
【0003】
従来的に、眼科用レンズ、例えば、コンタクトレンズ、又は眼内レンズは、規定の光学品質を提供した。コンタクトレンズは、例えば、視力矯正機能、美容向上、及び治療効果の1つ以上を、しかしながら、1セットの視力矯正機能のみを提供し得る。それぞれの機能は、レンズの物理的特性によって提供される。基本的に、レンズに屈折特性を組み込む設計は、視力矯正機能を提供する。レンズに組み込まれる顔料は、美容強化を提供することができる。レンズに組み込まれる活性薬剤は、治療的機能を提供することができる。
【0004】
今日まで眼科用レンズの光学品質は、レンズの物理的特性に組み込まれてきた。一般的に、光学設計が決定され、次に、例えば、鋳造成形、又は旋盤などにより、レンズの製作中にレンズに付与されてきた。レンズの光学品質は、一度レンズが形成されると変化しないままであった。しかしながら、着用者らは時折、視力の調節を提供するために、着用者らが利用できる2つ以上の焦点屈折力を有することが有益であるとみなすことがある。光学補正を変更するために眼鏡を変えることができる眼鏡の着用者らとは異なり、コンタクトレンズの着用者、又は眼内レンズを有するものは、かなりの労力なくしてその視力補正の光学特性を変えることができなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は、レンズの光学品質を変更することができる可変視覚部分を有する、眼科用レンズを含む。加えて、可変視覚部分を有する眼科用レンズを形成するための方法、及び装置が示される。いくつかの実施形態はまた、可変光学部品を追加的に含む、剛性の、又は形成可能な挿入物を有する鋳造成形されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを含む場合があり、挿入物は、生体適合性の方法で眼科用レンズ内に含まれる。
【0006】
本発明はしたがって、可変視覚部分を有する眼科用レンズ、可変視覚部分を有する眼科用レンズを形成するための装置、及びこれを製造する方法の開示を含む。エネルギー源が媒体挿入物上に堆積されてもよく、挿入物が第1の鋳型部分、及び第2の鋳型部分の一方、又は両方の近位に定置されてもよい。第1の鋳型部分と第2の鋳型部分との間に反応性モノマー混合物が定置される。第1の鋳型部分は、第2の鋳型部分に近接して配置され、それによって、その内部にエネルギー印加された媒体挿入物、及び反応性モノマー混合物の少なくとも一部を有するレンズ空洞を形成し、反応性モノマー混合物が化学線に曝露されて眼科用レンズを形成する。レンズは、反応性モノマー混合物が暴露される化学線の制御を介して形成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のいくつかの実施形態による鋳型アセンブリ装置。
【図2】可変視覚部分を有する眼科用レンズの態様。
【図3】眼科用レンズ鋳型部分内に可変視覚部分を定置するための装置。
【図4】本発明のいくつかの実施形態による方法工程。
【図5】本発明のいくつかの更なる態様による方法工程。
【図6】本発明のいくつかの実施形態を実践するために使用され得るプロセッサ。
【図7】挿入物及び可変視覚構成要素を有する代表的なレンズの描写。
【図8】挿入物、及び可変視覚構成要素を有する代表的なレンズの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、可変視覚部分を有する眼科用レンズを製造するための方法、及び装置を含む。加えて、本発明は、眼科用レンズに組み込まれる可変視覚部分を有する眼科用レンズを含む。
【0009】
以下の項において、本発明の実施形態がより詳細に説明される。好ましい実施形態及び代替の実施形態の両方の説明は、代表的な実施形態に過ぎず、変形、修正、及び代替が当業者にとって明白であり得ることが理解される。したがって、上記の代表的な実施形態は、基礎となる発明の領域を限定しないことが理解される。
【0010】
用語解説
本発明を目的とする本説明及び特許請求の範囲において、以下の定義が適用される、様々な用語が使用され得る。
【0011】
エネルギー印加されたとは、本明細書で使用するとき、電流を供給するか、又は内部に貯蔵される電気エネルギーを有することができる状態を指す。
【0012】
エネルギーとは、本明細書で使用するとき、仕事を行うための物理的システムの能力を指す。本発明内の多くの用途が、仕事を行う際の電気的作用を実行することができる、上記の能力に関連し得る。
【0013】
エネルギー源とは、本明細書で使用するとき、エネルギーを供給するか、生物医学的装置をエネルギー印加された状態にすることができる装置を指す。
【0014】
エネルギーハーベスターとは、本明細書で使用するとき、環境からエネルギーを抽出し、これを電気エネルギーに変換することができる装置を指す。
【0015】
レンズとは、眼内、又は眼上にあるいずれかの眼科用装置を指す。これらの装置は視覚補正をもたらすことができるか、又は美容用であっても良い。たとえば、用語のレンズは以下のものを指すことができる。コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイ・レンズ、眼用挿入物、光学挿入物、又は他の同様の、視力が補正若しくは変更される装置か、又は視力を妨げることなく目の生理機能が美容的に拡張される(たとえば、虹彩色)装置。いくつかの実施形態では、本発明の好ましいレンズは、シリコーンヒドロゲル類、及びフルオロヒドロゲル類を含むが、これらに限定されない、シリコーンエラストマー類又はヒドロゲル類から製造される、ソフトコンタクトレンズである。
【0016】
レンズ形成混合物、「反応性混合物」、又は「RMM」(反応性モノマー混合物)は、本明細書で使用するとき、硬化及び架橋することができるか、又は架橋して眼科レンズを形成することができる、モノマー、又はプレポリマー材料を指す。様々な実施形態は、UV遮断剤、染料、光開始剤、又は触媒、及びコンタクト若しくは眼内レンズ等の眼科レンズに望まれ得る他の添加剤等の1つ以上の添加剤を有するレンズ形成混合物を含むことができる。
【0017】
レンズ形成表面とは、レンズを形成するために使用される表面を指す。いくつかの実施形態では、任意のこのような表面103〜104は、光学品質表面仕上げを有することができる。光学品質表面仕上げとは、表面が十分に滑らかで、成型表面に接触しているレンズ形成材料の重合によって作られるレンズ表面が光学的に許容可能であるように形成されていることを示す。更に、いくつかの実施形態においては、レンズ形成表面103〜104は、レンズ表面に所望の光学特性を付与するのに必要な幾何学形状を有することができる。所望の光学特性としては、限定することなく、球面、非球面、及び円筒屈折力、波面収差補正、角膜トポグラフィ補正などに加えて、それらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0018】
リチウムイオンセルとは、リチウムイオンがセルを通じて移動して電気エネルギーを生成する、電気化学セルを指す。一般的に電池と称されるこの電気化学セルは、その典型的な形態においてエネルギーを再印加されるか、又は再充電され得る。
【0019】
媒体挿入物とは、本明細書で使用するとき、眼科用レンズ内のエネルギー源を支持することができる成形可能、又は剛性の基材を指す。いくつかの実施形態では、媒体挿入物はまた、1つ以上の可変視覚レンズを含む。
【0020】
「鋳型」とは、未硬化配合物からレンズを形成するために使用され得る、剛性又は半剛性の物体を指す。いくつかの好ましい鋳型は、前側湾曲鋳型部分及び後側湾曲鋳型部分を形成する、2つの鋳型部分を含む。
【0021】
視覚ゾーンとは、本明細書で使用するとき、眼科用レンズの着用者がそこを通して見る、眼科用レンズの領域を意味する。
【0022】
出力とは、本明細書で使用するとき、単位時間当たりに行われる仕事、又は移送されるエネルギーを指す。
【0023】
再充電可能、又はエネルギーを再印加可能とは、本明細書で使用するとき、仕事を行うためのより高い能力を有する状態へと回復するための能力を指す。本明細書内の多くの用途は、再確定された時間において、一定の速度で電流を流す能力を回復するための能力に関連し得る。
【0024】
エネルギー再印加、又は再充電とは、本明細書で使用するとき、仕事をするためのより高い能力を有する状態までエネルギー源を回復することを指す。本明細書内の多くの用途は、再確定された時間において、一定の速度で電流を流す能力まで装置を回復させることに関連し得る。
【0025】
「鋳型から解放された」とは、レンズが、鋳型から完全に分離しているか、又は軽い揺動によって取り外すか、若しくは綿棒を用いて押し外すことができるように、緩く取り付けられているのみであるかのいずれかであることを意味する。
【0026】
可変光学部品とは、本明細書で使用するとき、例えば、レンズの屈折力などの光学品質を変更する能力を指す。
【0027】
ここで図1を参照すると、埋め込まれた可変視覚部分111を有する眼科用レンズ100が、エネルギー源109、例えば、エネルギー貯蔵手段として電気化学セル、又は電池、いくつかの実施形態では、眼科用レンズが定置される環境からのエネルギー源を含む材料の封入、及び分離含む。エネルギー源109は、可変視覚部分を活性化するために出力を提供し得る。
【0028】
眼科用レンズのための代表的な鋳型100の図が、可変視覚部分111と共に例示される。鋳型は、レンズ形成混合物の反応又は硬化の際に所望の形状の眼科用レンズが製造されるように、レンズ形成混合物をその中に分配することができる、空洞105を有する形状100を含む。本発明の鋳型及び鋳型組立品100は、複数の「鋳型部分」又は「鋳型片」101〜102から構成される。鋳型部分101〜102を組み合わせて、空洞105を鋳型部分101〜102間に形成し、その中にレンズを形成することができるようにすることができる。このような鋳型部分101〜102の組み合わせは、一時的であることが好ましい。レンズが形成されたら、レンズを取り出すために鋳型部分101〜102を再び分離することができる。
【0029】
少なくとも1つの鋳型部分101〜102は、その表面103〜104の少なくとも一部がレンズ形成用混合物と接触していて、レンズ形成用混合物の反応又は硬化の際に、表面103〜104が所望の形状及び形態を表面が接触しているレンズ部分にもたらすようになっている。少なくとも1つの他の鋳型部分101〜102についても同じである。
【0030】
こうして、たとえば、好ましい実施形態においては、鋳型組立品100を、2つの部分101〜102、すなわち雌型の凹部片(前側片)102と雄型の凸部片(後側片)101(それらの間に空洞が形成されている)から形成する。凹部表面104のレンズ形成用混合物と接触する部分は、鋳型組立品100内に作製すべき眼科レンズの前側湾曲部の湾曲を有すると共に、十分に滑らかであり、凹部表面104と接触しているレンズ形成用混合物の重合によって形成される眼科レンズの表面が光学的に許容できるものとなるように形成されている。
【0031】
いくつかの実施形態においては、前側鋳型片102はまた、円形の周辺エッジと一体でこれを囲む環状フランジを備えることができ、このフランジから、軸線に垂直でフランジ(図示せず)から延びる平面内で延びている。
【0032】
レンズ形成表面は、光学品質表面仕上げを備える表面103〜104を含むことができ、光学品質表面仕上げとは、表面が十分に滑らかで、成型表面に接触しているレンズ形成材料の重合によって作られるレンズ表面が光学的に許容可能であるように形成されていることを示す。更に、いくつかの実施形態においては、レンズ形成表面103〜104は、レンズ表面にいずれかの所望の光学特性を付与するのに必要な形状を有することができ、所望の光学特性としては、非限定的に、球面、非球面、及び円筒屈折力、波面収差補正、角膜トポグラフィ補正など、加えて、これらのいずれかの組み合わせが挙げられる。本発明により、光学特性は可変視覚部分111と共に機能して全体的な光学品質を提供し得る。
【0033】
可変視覚部分は、レンズの光学特性の変化を提供し得る。いくつかの実施形態では、光学特性の変化は、親水性の液体と疎水性の液体との間の境界部の形状を変更することによって達成される。いくつかの実施形態は、レンズ内の液体を移動させて、レンズの光学品質を変更すること含み得る。非限定的な例により、いくつかの実施形態では、可変視覚部分111の屈折力が、0.1〜25ジオプターで変化できることが好ましい。他の実施形態は、例えば、より薄い可変視覚部分111を得るために、より小さな屈折力の変化を含み得る。いくつかの好ましい実施形態は、したがって、屈折力における1〜4ジオプターの変化が可能である可変視覚部分111を含む。
【0034】
可変視覚部分111は、非限定的な例により、絶縁体上での電気湿潤(「EWOD」)が挙げられ、EWODは、例えば、10〜30マイクロメートルの厚膜、又は例えば、10〜30ナノメートルの薄膜を含み得る。厚膜はまた、ナノ寸法絶縁体上での電気湿潤(「EWOND」)を指すこともある。
【0035】
可変焦点距離レンズとしては、例えば、互いにほぼ並行であり、異なる光学指数を有する2種類の非混和性の液体を含む内部容積を、少なくとも部分的に画定する、透明な境界線112A、及び112Bが挙げられる。弾性要素は、これが液体の圧力の変化に反応して変形するように位置付けられる。いくつかの実施形態では、液体の圧力は、一方、又は両方の液体にわたって定置される電荷に反応して変化し得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、可変レンズは、ある体積の2種以上の液体を保持するための、液体含有セルを含む、液体メニスカスレンズを含み得る。非平面的な下面は、軸デルタの円錐形、又は円筒形の陥没部、若しくは凹部を含み、これは、絶縁液体の液滴を含む。セルの残部は、絶縁液体と非混和性であり、異なる屈折率、及びいくつかの実施形態では同様、又は同じ密度を有する、導電性の液体を含む。凹部に面して開いている環状の電極は、下方プレートの後面上に位置付けられる。別の電極は、導電性の液体と接触している。電極にわたる電圧の印加が利用されて、電極の間に印加された電圧に応じて、電気湿潤を生成し、2種の液体の間の境界部の曲率を修正する。上方プレート、及び下方プレートと垂直に、液滴の区域内でセルを通過する光線は、電極に印加される電圧によってより高い、又はより低い程度で集中する。導電性の液体は典型的には水性の液体であり、絶縁液体は典型的には油性の液体である。
【0037】
レンズの焦点を合わせるために、ユーザーにより制御される調節装置が使用され得る。調節装置としては、非限定的な例として、電圧出力を増加、又は低減させるための、いずれかの電子装置、又は受動装置が挙げられる。いくつかの実施形態はまた、測定されるパラメーター、又はユーザー出力により、自動装置を介してレンズの焦点を合わせるための自動調節装置を含み得る。ユーザー出力としては例えば、ワイヤレス装置によって制御されるスイッチが挙げられる。ワイヤレスは、高周波制御、磁気スイッチ、及びインダクタンススイッチの1つ以上を含み得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、可変視覚部分111を有するレンズはレンズ内に定置される挿入物を含む場合があり、挿入物は剛性の中央、柔軟なスカート設計を含んでもよく、ここで可変視覚部分111を含む中央の剛性光学要素は大気、並びに各前側、及び後側表面において角膜表面と直接接触し、レンズ材料の柔軟なスカート部(典型的にはヒドロゲル材料)は剛性光学要素の周辺部に取り付けられ、剛性光学要素はまた、生じる眼科用レンズにエネルギー、及び機能性を提供する媒体挿入物として機能する。
【0039】
いくつかの追加的な実施形態は、ヒドロゲルマトリックス内に完全に封入された剛性のレンズ、又は形成可能なレンズ挿入物である、可変視覚部分111を含む。剛性レンズ挿入物である可変視覚部分111は、例えば、微小射出成形法を使用して製造され得る。
【0040】
微小射出成形の実施形態は例えば、約6mm〜10mmの直径、約6mm〜10mmの前側表面半径、及び約6mm〜10mmの後側表面半径、並びに約0.050mm〜0.5mmの中心厚さを有するポリ(4−メチルペンター1−エンコポリマー樹脂を含み得る。いくつかの代表的な実施形態は、約8.9mmの直径、約7.9mmの前側表面半径、約7.8mmの後側表面半径、及び約0.100mmの中心厚さ、及び約0.050半径の縁部プロファイルの挿入物を含む。1つの代表的なマイクロ鋳造機は、Battenfield Inc.により提供されるMicrosystem 50 2.27kg(5トン)を含み得る。
【0041】
可変視覚部分111挿入物は、眼科用レンズを形成するために利用される鋳型部分101〜102内に定置され得る。鋳型部分101〜102材料は、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、及び変性ポリオレフィンのうちの1つ以上のポリオレフィンを含むことができる。他の鋳型は、セラミックス、又は金属材料を含み得る。
【0042】
好ましい脂環式コポリマーは、2つの異なる脂環式ポリマーを含む。様々な等級の脂環式コポリマーは、105℃〜160℃の範囲のガラス転移温度を有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、本発明の鋳型には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、主鎖に脂環式部分を含む変性ポリオレフィン、及び環状ポリオレフィンなどのポリマーが含まれ得る。このブレンドを、鋳型半片の一方又は両方の上で用いることができる。このブレンドを後側湾曲部上で用いて前側湾曲部は脂環式コポリマーからなることが好ましい。
【0044】
本発明による鋳型100を作るいくつかの好ましい方法では、既知の技術による射出成型を用いるが、実施形態はまた、例えば、旋盤法、ダイヤモンド切削、又はレーザー切断が挙げられる他の技術によって作られる鋳型を含むこともできる。
【0045】
通常、レンズを、両方の鋳型部分101〜102の少なくとも1つの表面上に形成する。しかしながら、いくつかの実施形態では、レンズの1つの表面は、鋳型部分101〜102から形成され得、レンズの別の表面は、旋盤方法、又は他の方法を使用して形成することができる。
【0046】
レンズ
ここで図2を参照すると、可変視覚レンズ部分200の要素が例示される。第1の透明な境界線203、及び第2の透明な境界線204は、第1の液体201、及び第2の液体202を含む、内部液体と共に定置される。第1の液体、及び第2の液体は、異なる光学指数を有する、ほぼ非混和性の液体である。電荷の適用は、第1の液体と第2の液体との間の境界部を変更する。
【0047】
ここで図8を参照すると、眼科用レンズ800が前側表面801、及び後側表面802、加えて可変視覚部分803を有する挿入物を有するものとして例示される。
【0048】
いくつかの実施形態では、好ましいレンズ材料は、シリコーン含有構成要素を含む。「シリコーン含有成分」は、モノマー、マクロマー又はプレポリマー中に少なくとも1個の[−Si−O−]を含有する成分である。好ましくは、合計Si及び結合Oは、シリコーン含有成分中に、当該シリコーン含有成分の総分子量の約20重量%より大きい、更に好ましくは30重量%より大きい量で存在する。有用なシリコーン含有成分は、好ましくは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニル、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド及びスチリル官能基などの重合性官能基が含まれる。
【0049】
好適なシリコーン含有成分は、式I:
【化1】

(式中、
は、独立して、一価反応基、一価アルキル基、又は一価アリール基から選択され、前述のいずれかは、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含み得、1−100 Si−Oの反復単位を含む一価シロキサン鎖は、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含むこともあり、
式中、b=0〜500であり、bが0以外のときに、bは、表示値と同等のモードを有する分配であると理解され、
少なくとも1つのRは、一価反応基を含み、いくつかの実施形態では、1個と3個のRとの間は、一価反応基を含む)の化合物を含む。
【0050】
本明細書に使用されるとき、「一価反応基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合を受けることができる基である。フリーラジカル反応性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C1〜6アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C2〜12アルケニル、C2〜12アルケニルフェニル、C2〜12アルケニルナフチル、C2〜6アルケニルフェニルC1〜6アルキル、O−ビニルカルバメート及びO−ビニルカーボネートが挙げられる。カチオン反応性基の非限定的な例としては、ビニルエーテル又はエポキシド基及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、フリーラジカル反応基には、(メタ)アクリレート、アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物が含まれる。
【0051】
好適な一価アルキル基及びアリール基には、置換及び非置換のメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシプロピル、プロポキシプロピル、ポリエチレンオキシプロピル、これらの組み合わせ等の、非置換の一価C〜C16アルキル基、C〜C14アリール基が含まれる。
【0052】
一実施形態では、bは、ゼロであり、1個のRは、一価反応基であり、少なくとも3個のRは、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。本発明のシリコーン成分の制限されない例には、2−メチル−、2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキザニル]プロポキシ]プロピルエステル(「SiGMA」)、
2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル−トリ(トリメチルシロキシ)シラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)、
3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、及び
3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンが含まれる。
【0053】
別の実施形態では、bは、2〜20、3〜15、又はいくつかの実施形態では、3〜10であり、少なくとも1つの末端Rは、一価反応基を含み、残りのRは、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。更に他の一実施形態では、bが3〜15であり、1つの末端Rが一価の反応性基を含み、その他の末端Rが1〜6の炭素原子を有する一価のアルキル基を含み、残余のRが1〜3の炭素原子を有する一価のアルキル基を含む。本発明のシリコーン成分の制限されない例には、(モノ−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピル)−プロピルエーテル末端のポリジメチルシロキサン(400〜1000MW))(「OH−mPDMS])、モノメタクリルオキシプロピル末端のモノ−n−ブチル末端のポリジメチルシロキサン(800〜1000MW)、(「mPDMS」)が含まれる。
【0054】
別の実施形態では、bは、5〜400、又は10〜300であり、両方の末端Rは、一価反応基を含み、残りのRは、独立して、炭素原子間のエーテル結合を有することもあり、ハロゲンを更に含むこともある、1〜18個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。
【0055】
一実施形態では、シリコーンヒドロゲルレンズが望ましい場合、本発明のレンズは、ポリマーが作製される反応性モノマー成分の総重量に基づき、少なくとも約20重量%、好ましくは、約20〜70重量%のシリコーン含有成分を含む、反応性混合物から作製される。
【0056】
別の実施形態では、1〜4のRはビニルカーボネート又は以下の式のカルバメートを含む。
【化2】

式中、YはO−、S−又はNH−を意味し、
Rは、水素又はメチルを意味し、dは1、2、3又は4、そしてqは0又は1である。
【0057】
シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーは、具体的には、1,3−ビス[4−(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネートを含み、
【化3】

約200以下の弾性率を有する生物医学的装置が所望される場合、1個のRのみが一価反応基を含むものとし、残りのR基のうちの2個以下は、一価シロキサン基を含む。
【0058】
別のクラスのシリコーン含有成分は、次の式のポリウレタンマクロマーを含む。
式IV〜VI
G)
E(A)又は
E(G)
式中、
この場合、Dは、炭素原子6〜30個を有するアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、
Gは、炭素原子1〜40個を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、これは、主鎖中にエーテル、チオ又はアミン結合を含有できる。
はウレタン又はウレイド結合を意味し、
は、少なくとも1であり、
Aは次の式の2価重合ラジカルを意味する。
【化4】

11は独立してアルキル又は1〜10個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル基を意味し、これには炭素原子間にエーテル結合を含んでよく、yは少なくとも1であり、pは400〜10,000の部分重量を提供し、E及びEはそれぞれ独立して次の式に示される重合性不飽和有機ラジカルを意味する。
【化5】

式中、R12は水素又はメチルであり、R13は水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル又はa−CO−Y−R15ラジカルで、Yは−O−、Y−S−又は−NH−であり、R14は1〜12個の炭素原子を有する二価ラジカルであり、Xは−CO−又は−OCO−を意味し、Zは−O−又は−NH−を意味し、Arは6〜30個の炭素原子を有する芳香族ラジカルを意味し、wは0〜6であり、xは0又は1であり、yは0又は1であり、zは0又は1である。
【0059】
1つの好ましいシリコーン含有成分は、以下の式で示されるポリウレタンマクロマーである。
【化6】

16は、イソフォロンジイソシアネートのジラジカル等のイソシアネート基除去後のジイソシアネートのジラジカルである。別の好適なシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート及びイソシアネートエチルメタクリレートの反応によって形成される式X(式中、x+yは10〜30の範囲の数である)の化合物である。
【化7】

【0060】
本発明の使用に好適な他のシリコーン含有成分には、ポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフッ素化炭化水素、ポリフッ素化エーテル、及び多糖類基を含有するマクロマー、末端のジフルオロで置換された炭素原子に結合する水素原子を有する、極性のフッ素化グラフト又は側基を有するポリシロキサン、エーテルを含有する親水性シロキサニルメタクリレート、並びにポリエーテル及びポリシロキサニル基を含有するシロキサニル結合及び架橋性モノマーが含まれる。また、前述のポリシロキサンのいずれも、シリコーン含有成分として本発明に使用することもできる。
【0061】
プロセス
以下の方法ステップは、本発明のいくつかの態様により実施しても良いプロセスの例として与えられる。本方法のステップが示される順番は限定を意図するものではなく、他の順番を用いて本発明を実施しても良いことを理解されるべきである。加えて、本発明を実施するためにすべてのステップを必要とするわけではなく、また本発明の種々の実施形態には付加的なステップを含んでも良い。
【0062】
図4を参照すると、フローチャートが本発明を実施するために使用され得る代表的な工程を例示している。401において、可変視覚部分が鋳型部分内に定置される。可変視覚部分はまた、1つ以上の構成要素を含んでも、含まなくてもよい。
【0063】
いくつかの好ましい実施形態では、可変視覚部分は、機械的定置を介して鋳型部分内に定置される。機械的配置には、例えば、表面実装構成要素を配置するのに業界で知られているもののような、ロボット又はその他の自動操作部が含まれ得る。可変視覚部分の人的定置もまた、本発明の範囲内である。したがって、任意の機械的定置、又はオートメーションが利用されてもよく、これは鋳型部分に収容される反応性混合物の重合が、生じる眼科用レンズの可変視覚部分を含むように鋳造成形部分内にエネルギー源を有する可変視覚部分を定置するために有用である。
【0064】
いくつかの実施形態では、可変視覚部分は鋳型部分内に定置されて、基材に取り付けられる。エネルギー源、及び1つ以上の構成要素がまた基材に取り付けられ、可変視覚部分と電気的に導通する。構成要素は、例えば、可変視覚部分に適用される出力を制御する回路を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、構成要素は、1つ以上の光学特性を変更するために(例えば、第1の屈折力と第2の屈折力との間の状態変化)、可変視覚部分を作動させるための制御機構を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、プロセッサ装置、MEMS、NEMS、又は他の構成要素が可変視覚部分内に定置され、エネルギー源と電気的に接触する。基材は、可撓性、及び剛性材料の一方、又は両方を含み得る。
【0066】
402では、反応性モノマー混合物が鋳型部分内に堆積され得る。
【0067】
403では、可変視覚部分は、第1の鋳型部分内で反応性混合物と接触するように位置付けられる。
【0068】
404では、第1の鋳型部分を第2の鋳型部分に隣接させて定置し、反応性モノマー混合物の少なくとも一部及び可変視覚部分をその内部に備えたレンズ形成空洞を形成する。上述のように、好ましい実施形態は、やはり空洞内にあり、可変光学部分と電気的に導通するエネルギー源、及び1つ以上の構成要素を含む。
【0069】
405では、空洞内の反応性モノマー混合物が重合される。重合は、例えば、化学線及び熱のいずれか又は両方に曝露させることによって達成することができる。406では、眼科用レンズを構成する重合した材料に接着した、又はこれに封入された可変視覚部分と共に、眼科用レンズが鋳型部分から取り除かれる。
【0070】
本発明を使用して、任意の既知のレンズ材料、又はそのようなレンズの製造に好適な材料から製造されるハード又はソフトコンタクトレンズを提供し得るが、好ましくは、本発明のレンズは、約0〜約90パーセントの含水量を有する、ソフトコンタクトレンズである。更に好ましくは、レンズは、モノマー含有ヒドロキシ基、カルボキシル基、又はこれらの両方から製造される、若しくは、シロキサン、ヒドロゲル、シリコーンヒドロゲル、及びこれらの組み合わせ等のシリコーン含有ポリマーから製造される。本発明のレンズを形成するのに有用な材料は、重合開始剤等の添加剤に加えて、マクロマー、モノマー、及びこれらの組み合わせの混合物を反応させることによって、製造し得る。好適な材料は、シリコーンマクロマー及び親水性モノマーから製造されるシリコーンヒドロゲルを含むが、これらに限定されない。
【0071】
ここで図5を参照すると、501では、上記のように可変視覚部分は眼科用レンズ内に定置される。502では、可変視覚部分は、エネルギー源と電気的に導通するように定置される。電気的導通は、例えば、可変視覚部分に組み込まれた回路により、又はレンズ材料に直接インクジェット、又は他の方法で形成された通路により、達成され得る。
【0072】
503では、エネルギー源は、眼科用レンズ内に組み込まれた可変視覚部分を通じて向けられる。エネルギーは、例えば、電荷を伝導することができる電気回路によって向けることができる。504では、可変視覚部分は、レンズの少なくとも1つの光学品質を変更する。
【0073】
装置
図3を参照すると、自動装置310が、1つ以上の移送境界部311を有するものとして例示される。それぞれ関連づけられている可変視覚挿入物314を備えた多数の鋳型部分が、パレット313に収容され、移送境界部311に送られる。実施形態は、例えば、可変視覚挿入物314を個別に定置する単一の境界部、又は可変視覚挿入物314を多数の鋳型部分に同時に(いくつかの実施形態では各鋳型部分に)定置する多数の境界部(図示されない)を含み得る。定置は、移送境界部311の垂直運動315を介して生じ得る。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態の別の態様は、眼科用レンズの本体がこれらの構成要素の周囲に成形される間に可変視覚部分挿入物314を支持する装置を含む。いくつかの実施形態では、可変視覚挿入物314、及びエネルギー源は、レンズ鋳型の保持点(図示されない)に取り付けられてもよい。保持点は、レンズ本体内に形成されるものと同じ種類の重合された材料で取り付けられてもよい。他の実施形態は、可変視覚挿入物314、及びエネルギー源が取り付けられ得る鋳型部分内のプレポリマー層を含む。
【0075】
図6を参照すると、本発明のいくつかの実施形態で使用し得るコントローラ600を図示する。コントローラ600は、通信装置620に結合する、1つ以上のプロセッサ構成要素を含み得るプロセッサ610を含む。いくつかの実施形態では、コントローラ600を使用して、眼科用レンズ内に定置されるエネルギー源にエネルギーを伝送することができる。
【0076】
コントローラは、通信チャネルを介してエネルギーを通信するように構成された通信装置に結合した1つ以上のプロセッサを含むことができる。通信装置は、可変視覚挿入物の眼科用レンズ内への定置、及び可変視覚装置を操作するための命令の伝送の1つ以上を電気的に制御するために使用され得る。
【0077】
また通信装置620を使用して、例えば、1つ以上のコントローラ装置又は製造機器構成要素と通信してもよい。
【0078】
プロセッサ610は、記憶装置630とも通信する。記憶装置630は、磁気記憶装置(例えば、磁気テープ及びハードディスクドライブ)、光学式記憶装置、及び/又はランダム・アクセス・メモリ(RAM)装置及びリード・オンリー・メモリ(ROM)装置等の半導体記憶装置を含む、任意の適切な情報記憶装置を備えてもよい。
【0079】
記憶装置630は、プロセッサ610を制御するためのプログラム640を記録することができる。プロセッサ610は、プログラム640の指示を実行し、それによって、本発明に従って作動する。例えば、プロセッサ610は、可変視覚挿入物の定置、処理装置の定置などを表わす情報を受信し得る。記憶装置630はまた、1つ以上のデータベース650、660内の眼科関連データを記憶することもできる。データベース650、660は、可変視覚レンズへの、又は可変視覚レンズからのエネルギーを制御するための特定の制御論理を含み得る。
【0080】
図7を参照すると、可変視覚挿入物700の代表的な実施形態のトップダウン型の描写が示される。この描写では、エネルギー源710は、可変視覚挿入物700の周辺部分711内に図示される。エネルギー源710は、例えば、薄膜の再充電可能なリチウムイオン電池を含み得る。エネルギー源710は、接触点714と接続されて、相互接続を可能にし得る。ワイヤーは、ワイヤー結合されたワイヤーであり得、ワイヤー結合されたワイヤーは、エネルギー源710、及びエネルギー源710にエネルギーを再印加するために使用され得る光電セル715へと接触点を接続してもよい。追加のワイヤーが、ワイヤー接続された接触子を介してエネルギー源710を可撓性回路相互接続へと接続してもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、可変視覚挿入物700は、可撓性基材を含み得る。この可撓性基材は、前述と同様の方法で、典型的なレンズの形状に類似する形状へと形成され得る。しかしながら、追加的な可撓性を追加するために、可変視覚挿入物700は、半径方向の切断部などの追加的な形状特徴をその長さに沿って含んでもよい。様々な電気構成要素712、例えば、集積回路、別個の構成要素、受動的構成要素、及びこのような装置がまた含まれ得る。
【0082】
可変視覚ゾーン713がまた例示される。視覚ゾーンは、可変視覚部分を通じた電流の印加による命令によって変化し得る。
【0083】
結論
上記の、かつ以下の請求項で更に規定される本発明は、可変視覚部分を有する眼科用レンズを提供するための方法を提供する。可変視覚部分は、例えば、液体メニスカスレンズを含み得る。
【0084】
〔実施の態様〕
(1) 眼科用レンズを形成する方法であって、
前記眼科用レンズの光学特性を変更可能な可変視覚挿入物を第1の鋳型部分の近位に定置する工程と、
前記第1の鋳型部分内に反応性モノマー混合物を堆積させる工程と、
前記可変視覚挿入物を、前記反応性モノマー混合物と接触するように位置付ける工程と、
前記第1の鋳型部分を第2の鋳型部分の近位に位置付け、それによりレンズ空洞内に前記可変視覚挿入物、及び反応性モノマー混合物の少なくともいくらかを有する前記レンズ空洞を形成する工程と、
前記反応性モノマー混合物を化学線に曝露する工程と、を含む、方法。
(2) 前記可変視覚挿入物が液体メニスカスレンズを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記可変視覚挿入物が薄膜電気湿潤レンズを含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記可変視覚挿入物が厚膜電気湿潤レンズを含む、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記可変視覚挿入物が剛性の挿入物を含み、前記方法がエネルギー源を前記可変視覚挿入物に固定する工程を追加的に含む、実施態様2に記載の方法。
(6) 前記可変視覚挿入物が複数の異なる部分を含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記可変視覚挿入物が、光学特性を変更するのに十分に可能な薄膜電気化学セルを前記可変視覚挿入物上に含む、実施態様5に記載の方法。
(8) 前記電気化学セルがリチウムイオン電池を含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記電気化学セルが再充電可能な材料を含む、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記電気化学セルがナノ寸法結晶を含むカソードを含む、実施態様7に記載の方法。
【0085】
(11) 前記可変視覚挿入物が成形可能基材を含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 眼科用レンズを製造するための機器であって、
第1の鋳型部分の近位に、又は接触する場所のうちの一方、又は両方に可変視覚挿入物を定置するためのオートメーション(automation)と、
反応性モノマー混合物を前記第1の鋳型部分内に堆積させるためのディスペンサーと、
前記反応性モノマー混合物のための化学線源と、を含む、機器。
(13) 前記第1の鋳型の近位に第2の鋳型部分を定置し、それによりレンズ形成空洞内に前記可変視覚挿入物、及び前記反応性モノマー混合物の少なくともいくらかを有する前記レンズ形成空洞を作るように動作するオートメーションを追加的に含む、実施態様12に記載の眼科用レンズを製造するための機器。
(14) 複数の第1の鋳型部分を保持するためのパレットと、
前記化学線源の近位に、前記パレットを移動させるオートメーションと、を追加的に含む、実施態様13に記載の眼科用レンズを製造するための機器。
(15) 前記オートメーションを制御するためのプロセッサと、
命令により実行可能な、ソフトウェアを含むデジタル保存装置であって、前記ソフトウェアが前記プロセッサにより、前記第1の鋳型部分の近位に、又は接触するように前記可変視覚挿入物を定置させるように動作する、デジタル保存装置と、を追加的に含む、実施態様12に記載の眼科用レンズを製造するための機器。
(16) 眼科用レンズの光学特性を変更する方法であって、
可変視覚挿入物を眼科用レンズ内に埋め込む工程と、
前記エネルギー源を、前記眼科用レンズ内に含まれる前記可変視覚挿入物と電気的に導通するように定置する工程と、
前記可変視覚挿入物を介して前記エネルギー源から電流を引き込む工程と、
前記眼科用レンズを介した前記電流の引き込みに基づいて、前記眼科用レンズの光学特性を変更する工程と、を含む、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用レンズを形成する方法であって、
前記眼科用レンズの光学特性を変更可能な可変視覚挿入物を第1の鋳型部分の近位に定置する工程と、
前記第1の鋳型部分内に反応性モノマー混合物を堆積させる工程と、
前記可変視覚挿入物を、前記反応性モノマー混合物と接触するように位置付ける工程と、
前記第1の鋳型部分を第2の鋳型部分の近位に位置付け、それによりレンズ空洞内に前記可変視覚挿入物、及び反応性モノマー混合物の少なくともいくらかを有する前記レンズ空洞を形成する工程と、
前記反応性モノマー混合物を化学線に曝露する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記可変視覚挿入物が液体メニスカスレンズを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可変視覚挿入物が薄膜電気湿潤レンズを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記可変視覚挿入物が厚膜電気湿潤レンズを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記可変視覚挿入物が剛性の挿入物を含み、前記方法がエネルギー源を前記可変視覚挿入物に固定する工程を追加的に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記可変視覚挿入物が複数の異なる部分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記可変視覚挿入物が、光学特性を変更するのに十分に可能な薄膜電気化学セルを前記可変視覚挿入物上に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記電気化学セルがリチウムイオン電池を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電気化学セルが再充電可能な材料を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記電気化学セルがナノ寸法結晶を含むカソードを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記可変視覚挿入物が成形可能基材を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
眼科用レンズを製造するための機器であって、
第1の鋳型部分の近位に、又は接触する場所のうちの一方、又は両方に可変視覚挿入物を定置するためのオートメーションと、
反応性モノマー混合物を前記第1の鋳型部分内に堆積させるためのディスペンサーと、
前記反応性モノマー混合物のための化学線源と、を含む、機器。
【請求項13】
前記第1の鋳型の近位に第2の鋳型部分を定置し、それによりレンズ形成空洞内に前記可変視覚挿入物、及び前記反応性モノマー混合物の少なくともいくらかを有する前記レンズ形成空洞を作るように動作するオートメーションを追加的に含む、請求項12に記載の眼科用レンズを製造するための機器。
【請求項14】
複数の第1の鋳型部分を保持するためのパレットと、
前記化学線源の近位に、前記パレットを移動させるオートメーションと、を追加的に含む、請求項13に記載の眼科用レンズを製造するための機器。
【請求項15】
前記オートメーションを制御するためのプロセッサと、
命令により実行可能な、ソフトウェアを含むデジタル保存装置であって、前記ソフトウェアが前記プロセッサにより、前記第1の鋳型部分の近位に、又は接触するように前記可変視覚挿入物を定置させるように動作する、デジタル保存装置と、を追加的に含む、請求項12に記載の眼科用レンズを製造するための機器。
【請求項16】
眼科用レンズの光学特性を変更する方法であって、
可変視覚挿入物を眼科用レンズ内に埋め込む工程と、
前記エネルギー源を、前記眼科用レンズ内に含まれる前記可変視覚挿入物と電気的に導通するように定置する工程と、
前記可変視覚挿入物を介して前記エネルギー源から電流を引き込む工程と、
前記眼科用レンズを介した前記電流の引き込みに基づいて、前記眼科用レンズの光学特性を変更する工程と、を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−504065(P2012−504065A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529310(P2011−529310)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/058589
【国際公開番号】WO2010/039645
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(510294139)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (48)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
【Fターム(参考)】