説明

可変3次元立体顕微鏡アセンブリ

本明細書の諸実施形態は、可変3次元立体顕微鏡アセンブリを提示する。このアセンブリは、ハウジングと、対象物を左眼および右眼それぞれで見るための左接眼部および右接眼部を備える接眼部光学ユニットとを含む。一対の可動伸縮アームが、対象物から反射された光を集束するための対物レンズユニットに、可動スリーブに沿って着脱可能に結合される。各光学部品は、左接眼部と右接眼部を同時に通す対象物の所望の双眼視を可能にするように用意される。一対の可動伸縮アームは、対象物に焦点を合わせるために独立して動かされ回転される。立体顕微鏡アセンブリは、左光路と右光路との間の距離を変えるための機械的および光学的デバイスと可動アームとを含み、対象物に焦点を合わせるための可動伸縮アームを収束の様々な角度位置に置くことによって、3次元視覚/奥行き感覚の度合いを増大または変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[本明細書のプリアンブル]
以下の明細書は、本発明および本発明の実施法を具体的に説明する。
【0002】
本明細書の諸実施形態は、一般に顕微鏡の分野に関し、具体的には立体顕微鏡に関する。本明細書の諸実施形態は、より具体的には3次元視覚(3-D vision)、またはより大きい可変奥行き感覚(variable depth perception)を得ることができる立体顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0003】
拡大鏡および顕微鏡を用いる作業では、動きの自由が大きく制限される。拡大鏡を用いると対象物からの距離が固定され、加えて視野が非常に限定される。これは特に医学において好ましくない。拡大鏡は、その2次元視覚に関して、倍率が低く不便であることが多い。現在入手可能な手術用顕微鏡は、瞳孔間距離(IPD)が可変で調整可能である2つの接眼部を有する。通常は、IPDを調整すると2つの眼で快適に見ることが容易になる。こうした顕微鏡は立体顕微鏡と呼ばれる。
【0004】
従来の顕微鏡と立体顕微鏡との主な違いは、従来の顕微鏡では試料を単一の方向から観察するのに対して、立体顕微鏡では大きく異なる2つの角度から対象物を観察することであり、それによって、立体顕微鏡像に必要とされる明瞭に異なる2つの像が得られる。立体顕微鏡では対象物の3次元視像が得られるが、同じ対象物を従来の顕微鏡を通して見ると平坦に見える。これは、複合顕微鏡が双眼ヘッドを有する場合でも当てはまる。なぜなら、それぞれの眼が、まさに単一の対物レンズ系に起因するほとんど同じ像を見るからである。
【0005】
立体顕微鏡は、目視観察のもとで対象物を操作するために、かつ/または対象物の微細な細部をより見やすくするために使用される。対象物の操作は、低い拡大率のもとで行われることが好ましく、良好な3次元再現を必要とする。微細な識別のためには、高い分解能を伴う高い倍率に、器材の変更を伴わずに迅速に切替えることが望まれる。立体顕微鏡では、様々な観察角度で同じ対象物の2つの視像が得られ、これが見る人によって対象物の3次元像として知覚される。
【0006】
しかし、3次元視像は、ある限定された試料の向きで得られる。その試料に触れずに、または試料の向きを変えずに同じ試料を異なる方向から見ることに関しては、ある特定の不利な点がある。奥行き感覚および視野が増大した立体顕微鏡があれば有利である。この立体顕微鏡は、行われている作業の精度を向上するのに役立つ。したがって、視野および視野の深さを増大するために対物レンズ間距離が可変である立体顕微鏡が必要とされている。
【0007】
上述の短所、不利な点および問題が、以下の細目を読むことによって理解されるであろう本明細書で扱われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書の諸実施形態の主な目的は、視野および視野の深さの増大を実現するために対物レンズ間距離が可変である3次元立体顕微鏡アセンブリを開発することである。
【0009】
本明細書の諸実施形態の別の目的は、対象物に焦点を合わせるために伸縮アームが互いに独立して動作する可変3次元立体顕微鏡アセンブリを開発することである。
【0010】
本明細書の諸実施形態のさらに別の目的は、視野がより深く3次元像がより鮮明である対象物の3次元像を容易かつ効率的に見ることを可能にするために、光路を完全かつ十分に対物レンズの中心に置くことができるようにする対の/2つの対物レンズを有する可変3次元立体顕微鏡アセンブリを開発することである。
【0011】
本明細書の諸実施形態のさらに別の目的は、画像データを処理するためのいかなるコンピュータプログラムも使用しないで直接対象物の3次元視像を得る可変3次元立体顕微鏡アセンブリを開発することである。
【0012】
本明細書の諸実施形態のさらに別の目的は、対象の様々な角度での画像の同時固定を確実にするために光線を収束しやすくする可変3次元立体顕微鏡アセンブリを開発することである。
【0013】
本明細書の諸実施形態のさらに別の目的は、非平行光軸を有する可変3次元立体顕微鏡アセンブリを開発することである。
【0014】
本明細書の諸実施形態のさらに別の目的は、対物レンズ間有効光学距離が可変である可変3次元立体顕微鏡アセンブリを開発することである。
【0015】
これらおよび他の本明細書の諸実施形態の目的および利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本明細書の諸実施形態の様々な実施形態では、3次元立体顕微鏡アセンブリを提示する。本明細書の諸実施形態の一実施形態によれば、可変3次元立体顕微鏡アセンブリはハウジングを有する。左眼で対象物を見るための左接眼部が、ハウジング内部で組み合わされる。右眼で対象物を見るための右接眼部が、ハウジング内部で組み合わされる。一対の伸縮アームが、不透明な可撓性スリーブによってハウジングに着脱可能に装着される。可撓性スリーブは硬く、剛性でも可撓性でもよい。対象部から反射された光を集束するための対物レンズユニットが、一対の伸縮アームの上方に装着される。複数のプリズムが、左接眼部と右接眼部を同時に通して双眼視を可能にするためにハウジング内に設けられる。一対の伸縮アームが、対象物に焦点を合わせるように独立して動かされ回転される。対物レンズユニットは、左光経路と右光経路の間の対物レンズ間距離を変えるための機械的および光学的デバイスユニットを、対象物に焦点を合わせて3次元視覚の度合いを増大させるために含む。
【0017】
アセンブリは、ビームスプリッタおよびズーム変更器(zoom changer)を備える。左接眼部レンズ経路と右接眼部レンズ経路とを別のものにするためのビームスプリッタは、左接眼部および右接眼部の下に装着される。対象物に焦点を合わせるためのズーム変更器がビームスプリッタに結合される。
【0018】
対物レンズユニットは、左接眼部および右接眼部の軸に沿って装着された左対物レンズおよび右対物レンズなどの2つの対物レンズを有する。対物レンズユニットは少なくとも1つの主鏡を、この鏡の面が対物レンズの光軸に対して直角をなすように配置して含む。
【0019】
アセンブリ可撓性スリーブは、一対の伸縮アームのヒンジ運動を可能にする。
【0020】
一対の伸縮アームは、左対物レンズおよび右対物レンズそれぞれの光軸に対して垂直および可変傾斜角をなして配置される。一対の伸縮アームは、独立して動かされるように構成される。一対の伸縮アームは、同時に動かされるように構成される。一対の伸縮アームは、立体顕微鏡の軸に垂直の方向を中心に振れる動きをすることができる。
【0021】
アセンブリはさらに、一対の伸縮アームそれぞれの最も遠い部分に装着された少なくとも1つの集束反射器、集束鏡または集束プリズムを、対象物から受光されたビームを左接眼部および右接眼部に反射する向きに沿って備え、その向きは主鏡の向きと同じである。
【0022】
アセンブリはさらに、それぞれの伸縮アームの最も遠い部分に設けられているスロットに装着された平面偏光フィルタを光路内に備える。
【0023】
伸縮アームに装着された主鏡は、伸縮アームが傾くのと同時に向きが合わせられる。対物レンズユニットは、対象物からの光線を左レンズ経路および右レンズ経路に送り込むための複数のプリズムおよびレンズからなる構成物を備える。
【0024】
対象物からの光線は、左レンズ経路および右レンズ経路を通って進んだ後に、それぞれ左接眼部および右接眼部に達する。光学像と共に左接眼部および右接眼部に至る左レンズ経路と右レンズ経路は、互いに非常に近接して装着される。
【0025】
一対の伸縮アームは、右伸縮アームと左伸縮アームである。右伸縮アームはハウジングの右側に装着され、左伸縮アームはハウジングの左側に装着される。一対の伸縮アームは、金属または光ファイバデバイスでできている。
【0026】
本明細書の一実施形態によれば、可変3次元立体顕微鏡アセンブリはハウジングを備える。左眼で対象物を見るための左接眼部がハウジング内部で組み合わされ、右眼で対象物を見るための右接眼部がハウジング内部で組み合わされる。一対の伸縮アームが、可撓性スリーブによってハウジングに着脱可能に装着される。対象物から反射された光を集束するための対物レンズユニットが、一対の伸縮アームの上方に装着される。複数のプリズムが、左接眼部と右接眼部を同時に通して双眼視を可能にするためにハウジング内に設けられる。一対の伸縮アームは、対象物に焦点を合わせるために独立して動かされ回転される。対物レンズユニットは、左光経路と右光経路の間の対物レンズ間距離を変えるための左対物レンズユニットおよび右対物レンズユニットを、対象物に焦点を合わせて3次元視覚の度合いを増大させるために含む。
【0027】
可変3次元立体顕微鏡アセンブリはさらに、左接眼部レンズ経路と右接眼部レンズ経路とを別のものにするための、左接眼部および右接眼部の下に装着されたビームスプリッタを備える。対象物に焦点を合わせるためのズーム変更器がビームスプリッタに結合される。
【0028】
可変3次元立体顕微鏡の対物レンズユニットは、左接眼部および右接眼部の軸に沿って装着された左対物レンズおよび右対物レンズを含む。対物レンズユニットは少なくとも1つの主鏡を、この鏡の面が対物レンズの光軸に対して直角をなすように配置して含む。対物レンズユニットはまた、対象物からの光線を左レンズ経路および右レンズ経路に送り込むための複数のプリズムおよびレンズからなる構成物を備える。対象物からの光線は、左レンズ経路および右レンズ経路を通って進んだ後に、それぞれ左接眼部および右接眼部に達する。左接眼部および右接眼部に光学像と共に至る左レンズ経路と右レンズ経路は、互いに非常に近接して装着されている。
【0029】
可変3次元立体顕微鏡アセンブリの伸縮アームは、一対の伸縮アームのヒンジ運動を可能にする可撓性スリーブを含む。一対の伸縮アームは、右伸縮アームおよび左伸縮アームを備える。右伸縮アームはハウジングの右側に装着され、左伸縮アームはハウジングの左側に装着される。一対の伸縮アームは、金属管もしくは剛性の管、または光ファイバデバイスでできている。
【0030】
一対の伸縮アームは、左対物レンズおよび右対物レンズの光軸に対して垂直に配置され、一対の伸縮アームを独立して動かすだけでなく同時に動かすこともできるように構成される。一対の伸縮アームは、立体顕微鏡の軸に垂直の方向を中心に振れる動きをすることができる。偏光フィルタが、それぞれの伸縮アームの最も外側に設けられたスロットに装着される。
【0031】
可変3次元立体顕微鏡アセンブリはさらに、一対の伸縮アームそれぞれの最も遠い部分に装着された少なくとも1つの集束鏡を、対象物から受光したビームを左接眼部および右接眼部に反射する向きに沿って備え、その向きは主鏡の向きと同じである。伸縮アームに装着された主鏡は、伸縮アームが傾くのと同時に向きが合わせられる。
【0032】
本明細書の一実施形態によれば、単一の伸縮アームを対物レンズユニットに装着することができる。光路の少なくとも一方が、その伸縮アームを通ることができ、他方の光路は別の対物レンズを直接通過する。したがって、単一の伸縮アームだけで対象物の3次元視覚を、それぞれの対物レンズと協働して得ることができる。
【0033】
これらおよび他の本明細書の諸実施形態の態様は、以下の説明および添付の図面と併せて考慮すれば、よりよく評価および理解されるであろう。しかし、以下の説明は、好ましい実施形態、およびその多くの具体的細部を示しているが、限定的ではなく例示的に提示されていることを理解されたい。多くの変更および修正を本明細書の諸実施形態の範囲内で、その趣旨から逸脱することなく加えることができ、本明細書の諸実施形態にはこのような修正のすべてが含まれる。
【0034】
他の目的、特徴および利点は、当業者には、本明細書の好ましい諸実施形態についての以下の説明および添付の図面から想起されよう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来の立体顕微鏡の断面図である。
【図2】本明細書の一実施形態による3次元立体顕微鏡アセンブリの垂直断面図である。
【図3】本明細書の一実施形態による、伸縮アームのヒンジ運動を示す3次元立体顕微鏡アセンブリの断面図である。
【図4】本明細書の一実施形態による、1つの伸縮アームを有する着脱可能アダプタを示す3次元立体顕微鏡アセンブリの断面図である。
【図5】本明細書の一実施形態による、可撓性光ファイバアームを有する3次元立体顕微鏡アセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書の諸実施形態の具体的な特徴は、一部の図面に示され他のものには示されない。これは単に便宜のために行われるにすぎない。なぜなら、各特徴は、本明細書の諸実施形態による他の特徴のいずれかまたはすべてと組み合わせることができるからである。
【0037】
以下の詳細な説明では、説明の一部をなす添付の図面が参照され、図面には、実施できる具体的な実施形態が例示的に示されている。これらの実施形態は、当業者がこれら実施形態を実施できるように十分詳しく説明されるが、論理的変更、機械的変更、および他の変更を加えることが各実施形態の範囲から逸脱することなく可能であることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0038】
可変3次元立体顕微鏡アセンブリはさらに、左接眼部レンズ経路と右接眼部レンズ経路とを別のものするための、左接眼部および右接眼部の下に装着されたビームスプリッタを備える。対象物に焦点を合わせるためのズーム変更器が、ビームスプリッタに結合される。
【0039】
可変3次元立体顕微鏡の対物レンズユニットは、左接眼部および右接眼部の軸に沿ってそれぞれ装着された左対物レンズおよび右対物レンズを含む。対物レンズユニットは少なくとも1つの主鏡を、この鏡の面が対物レンズの光軸と直角をなすように配置して含む。対物レンズユニットはまた、対象物からの光線を左レンズ経路および右レンズ経路に送り込むための複数のプリズムおよびレンズからなる構成物を備える。対象物からの光線は、左レンズ経路および右レンズ経路を通って進んだ後に、それぞれ左接眼部および右接眼部に達する。左接眼部および右接眼部に光学像と共に至る左レンズ経路と右レンズ経路は、互いに非常に近接して装着されている。
【0040】
可変3次元立体顕微鏡アセンブリの伸縮アームは、一対の伸縮アームのヒンジ運動を可能にするための可撓性スリーブを含む。一対の伸縮アームは、右伸縮アームおよび左伸縮アームを含む。右伸縮アームはハウジングの右側に装着され、左伸縮アームはハウジングの左側に装着される。一対の伸縮アームは、金属または光ファイバでできている。
【0041】
一対の伸縮アームは、左対物レンズおよび右対物レンズの光軸に対して垂直および可変傾斜角をなして配置され、一対の伸縮アームを独立して動かすだけでなく同時に動かすこともできるように構成される。一対の伸縮アームは、立体顕微鏡の軸に垂直の方向を中心に振れる動きをすることができる。偏光フィルタが、それぞれの伸縮アームの最も外側に設けられたスロットに装着される。
【0042】
可変3次元立体顕微鏡アセンブリはさらに、一対の伸縮アームそれぞれの最も遠い部分に装着された少なくとも1つの集束鏡またはプリズムを、対象物から受光したビームを左接眼部および右接眼部に反射する向きに沿って備え、その向きは主鏡の向きと同じである。伸縮アームに装着された主鏡は、伸縮アームが傾くのと同時に向きが合わせられる。
【0043】
本明細書の一実施形態によれば、単一の伸縮アームだけで対象物の3次元視覚を得ることができる。
【0044】
図1は、従来の立体顕微鏡の断面線図を示す。立体顕微鏡100は、ハウジング101と、ハウジング101に装着された接眼部106および107を通して双眼視を可能にするために、対象物103から反射された光を別々の経路に通して複数のプリズム104および105の上に集束するように設けられた単一の対物レンズ102と、を備える。単一の対物レンズ102は、複数のプリズム104およびレンズ105からなる構成物を備える別々の2つの経路に光を送り込む。これら別々の2つの経路は、以下でレンズ経路(LP)と呼ぶ。対象物103から反射する光は対物レンズ102に向けられる。さらに光は、左レンズ経路106および右レンズ経路107を通って進んだ後に、対応する左接眼部および右接眼部に達する。しかし、上述の立体顕微鏡のレンズ間経路距離は限定され固定されている。左接眼部および右接眼部に光学像と共に至る左レンズ経路と右レンズ経路は、22ミリメートルから28ミリメートルの間の範囲の距離で互いに非常に近接している。従来の立体顕微鏡によってこうして形成される像は固定されており、所定の視野深度を有する。制限される像形成、および結果として生じる視野深度は、3次元立体顕微鏡において有利に克服され、その諸実施形態が以下で簡潔に説明される。
【0045】
図2は、本明細書の一実施形態による3次元立体顕微鏡アセンブリの垂直断面図を示す。3次元立体顕微鏡200は、ハウジング201、接眼部ユニット202、および対物レンズユニット203を備える。接眼部ユニット202は、対象物204の左眼視用の、ハウジング201内にアセンブルされた左接眼部205bと、対象物204の右眼視用の、ハウジング201内にアセンブルされた右接眼部205aと、を含む。ビームスプリッタ構成物206は、左接眼部205bおよび右接眼部205aの下に装着される。ビームスプリッタ構成物は、左ビームスプリッタ206bおよび右ビームスプリッタ206aを含む。左ズーム変更器207bおよび右ズーム変更器207aは、左ビームスプリッタ206bおよび右ビームスプリッタ206aと動作可能に結合される。対物レンズユニット203は、左接眼部205bおよび右接眼部205aの軸に沿って装着された左対物レンズ208bおよび右対物レンズ208bなどの対物レンズ対を含み、対物レンズ208a、208bは互いに独立して配置される。
【0046】
左対物レンズ208bおよび右対物レンズ208aのそれぞれに、左対物レンズ208b用の少なくとも1つの主鏡209b、および右対物レンズ208a用のもう1つの主鏡209aが、鏡209b、209aの面が左対物レンズ208bおよび右対物レンズ208aの光軸と直角をなすように配置される。左対物レンズ208bおよび右対物レンズ208aのそれぞれの光軸に対してほぼ垂直である左伸縮アーム210bおよび右伸縮アーム210aを含む一対の伸縮アームが設けられる。少なくとも1つの集束鏡211が、それぞれの伸縮アーム210の最も遠い部分に、主鏡209a、209bの向きと同じ向きに沿って、対象物204から受光したビームを左接眼部202bおよび右接眼部202aへ反射するように装着される。照明光源213が伸縮アームの下に設けられ、あるいは顕微鏡の光軸と同軸に配置される。平面偏光フィルタ212が、伸縮アーム210それぞれの最も遠い部分に設けられたスロットに装着される。
【0047】
図3は、本明細書の一実施形態による、伸縮アームのヒンジ運動を示す可変3次元立体顕微鏡アセンブリの断面図を示す。この伸縮アームは、対物レンズユニットに着脱可能に装着されている左伸縮アーム210bおよび右伸縮アーム210aを含む。伸縮アーム210a、210bは、独立した動きをするように、あるいは左伸縮アーム210bと右伸縮アーム210aが同時に動くように構成されている。さらに、伸縮アーム210a、210bは、図3に示された立体顕微鏡の軸A−A1に対して垂直の方向を中心に振れる動きをすることができる。伸縮アーム210a、210bに装着された主鏡209a、209bは、伸縮アーム210a、210bが傾くのと同時に向きを合わせることができる。左伸縮アーム210bおよび右伸縮アーム210aそれぞれは、可撓性スリーブ302bおよび302aによって対物レンズ208b、208aに接続される。これらの可撓性スリーブ302a、302bは、伸縮アーム210a、210bのヒンジ運動を可能にする。
【0048】
図4は、本明細書の一実施形態による、1つの伸縮アームを有する着脱可能アダプタを示す可変3次元立体顕微鏡アセンブリの断面図を示す。3次元立体顕微鏡200は、ハウジング201、接眼部ユニット202、および対物レンズユニット203を備える。図2に示されるように、接眼部ユニット202は、対象物204の左眼視用の、ハウジング201内にアセンブルされた左接眼部205bと、対象物204の右眼視用の、ハウジング201内にアセンブルされた右接眼部205aと、を含む。着脱可能アダプタ401が、図4に示されるように設けられる。アダプタ401は着脱可能であり、市販されている任意の単一対物レンズ顕微鏡にも装着することができる。補正レンズ402が、左伸縮アーム210bの内部に採用されている。ビームスプリッタ構成物206が、左接眼部205bおよび右接眼部205aの下に装着される。ビームスプリッタ構成物は、左ビームスプリッタ206bおよび右ビームスプリッタ206aを含む。左ズーム変更器207bおよび右ズーム変更器207aは、左ビームスプリッタ206bおよび右ビームスプリッタ206aに動作可能に結合される。対物レンズユニット203は、左接眼部205bの軸に沿って装着された左対物レンズ208bを含む。左伸縮アーム210bが、可撓性スリーブ302bによりアダプタに装着される。左伸縮アーム210bは、より大きい度合いの3次元視覚または奥行き感覚を得るために対象物204に焦点を合わせるように調整することができる。
【0049】
左対物レンズ208bに、少なくとも1つの主鏡209bが、鏡209bの面が左対物レンズ208bの光軸と直角をなすように配置される。左対物レンズ208bの光軸に対してほぼ垂直である左伸縮アーム210bが設けられる。少なくとも1つの集束鏡211が、左伸縮アーム210bの最も遠い部分に、主鏡209aの向きと同じ向きに沿って、対象物204から受光したビームを左接眼部202bへ反射するように装着される。照明光源213が伸縮アームの下に設けられ、あるいは顕微鏡の光軸と同軸に配置される。平面偏光フィルタ212bが、左伸縮アーム210bの最も遠い部分に設けられたスロットに装着される。対象物204からの右光路は、光線が右ズーム変更器207aおよび右ビームスプリッタ206bを通過した後、右接眼部205aから直接見える。
【0050】
図5は、本明細書の一実施形態による、可撓性光ファイバアームを有する可変3次元立体顕微鏡アセンブリの断面図を示す。可変3次元立体顕微鏡200は、接眼部ユニットおよび対物レンズユニットを含むハウジング201を備える。接眼部ユニットは、対象物204の左眼視用にハウジング201内にアセンブルされた左接眼部205bと、対象物204の右眼視用にハウジング201内にアセンブルされた右接眼部205aと、を含む。ビームスプリッタ構成物206は、左接眼部205bおよび右接眼部205aの下に装着される。ビームスプリッタ構成物は、左ビームスプリッタ206bおよび右ビームスプリッタ206aを含む。左ズーム変更器207bおよび右ズーム変更器207aは、左ビームスプリッタ206bおよび右ビームスプリッタ206aに動作可能に結合される。対物レンズユニットは、左接眼部205bおよび右接眼部205aの軸に沿って装着された左対物レンズ208bおよび右対物レンズ208bなどの対物レンズ対を含み、対物レンズ208a、208bは互いに独立して配置される。
【0051】
左対物レンズ208bおよび右対物レンズ208aのそれぞれに、左対物レンズ208b用の少なくとも1つの主鏡209b、および右対物レンズ208a用のもう1つの主鏡209aが、鏡209b、209aの面が左対物レンズ208bおよび右対物レンズ208aの光軸と直角をなすように配置される。左対物レンズ208bおよび右対物レンズ208aのそれぞれの光軸に対してほぼ垂直である左光ファイバアーム210bおよび右光ファイバアーム210aを含む可撓性光ファイバアーム対が用意される。照明光源213が伸縮アームの下に設けられる。平面偏光フィルタ212bおよび212aがそれぞれ、左光ファイバアーム210bおよび右光ファイバアーム210aそれぞれの最も遠い部分に設けられたスロットに装着される。
【0052】
可変3次元立体顕微鏡200の対物レンズ間距離は、立体顕微鏡200のハウジングの対物レンズ内に機械的および光学的デバイスを有することによって、可変3次元立体顕微鏡200がより大きい度合いの3次元視覚と共に対象物204に焦点を合わせることができるように変えられる。
【0053】
本明細書の一実施形態によれば、可変3次元立体顕微鏡アセンブリは、光学距離間(inter-optical distance)を変えて3次元効果または奥行き感覚を増大させるために、対物レンズの収束度を最小10度から最大120度まで調整することができる。
【0054】
すなわち、可変3次元立体顕微鏡アセンブリの様々な実施形態では、3次元効果または奥行き感覚を増大させるために、対物レンズの収束度を所望のレベルに調整し、左および右の入射光ビームの光学距離間を容易に、効率的に、かつ正確に変えることができる。
【0055】
本明細書の諸実施形態の可変3次元立体顕微鏡アセンブリでは、画像データを処理するためのコンピュータシステムが存在しないので、対象物の3次元像を直接見ることができる。可変3次元立体顕微鏡の2つの像観測デバイスは、別々に互いに独立して機能し、それによって操作しやすくする。この可変3次元立体顕微鏡は、対象の別々の視像の同時固定を確実にするような収束を実現する設計になっている。対の/2つの対物レンズを有する本明細書の諸実施形態の可変3次元立体顕微鏡は、各光路を完全かつ十分に対象物に集中することができ、様々な対象物の3次元像を容易かつ効率的に見ることができる。奥行き感覚または3次元の度合いを制御(増大または低減)することが、単に収束角を大きくする、または小さくすることによって可能である。本明細書の諸実施形態の立体顕微鏡には、多くの産業および医療もしくは外科手術の分野、または他の分野において数知れない実際的用途がある。本明細書の諸実施形態の可変3次元立体顕微鏡は、対象物の奥行き感覚の増大をもたらし、視野の増大をもたらす。これにより、産業、医療、または研究所での業務がやりやすく、かつ安全になる。
【0056】
具体的実施形態についての以上の説明により、本明細書の諸実施形態の一般的性質が十分に明らかになるので、他の人には、現在の知識を適用することによって、このような具体的実施形態を様々な応用例で容易に修正および/または適合させることが、一般概念から逸脱することなく可能であり、したがって、このような適合形態および修正形態は、開示された実施形態の等価物の意味および範囲内に含まれるべきものである。本明細書で用いられた用語または術語は、限定ではなく説明を目的とすることを理解されたい。したがって、本明細書の諸実施形態は、好ましい実施形態に関して説明されているが、当業者には、本明細書の諸実施形態を添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内の修正と併せて実施できることが理解されよう。
【0057】
本明細書の諸実施形態は、様々な具体的実施形態と共に説明されているが、当業者には、本明細書の諸実施形態を修正と併せて実施することが明らかであろう。しかし、このような修正のすべては、特許請求の範囲内であると考えられる。また、添付の特許請求の範囲は、本明細書で説明された実施形態の一般的および具体的特徴のすべてと、言語的にその間に入ると言える諸実施形態の範囲についての記述のすべてとを包含するものであることも理解されたい。
【符号の説明】
【0058】
100 立体顕微鏡
101 ハウジング
102 対物レンズ
103 対象物
104 プリズム
105 プリズム
106 接眼部
107 接眼部
200 3次元立体顕微鏡
201 ハウジング
202 接眼部ユニット
203 対物レンズユニット
204 対象物
205a 右接眼部
205b 左接眼部
206a 右ビームスプリッタ
206b 左ビームスプリッタ
207a 右ズーム変更器
207b 左ズーム変更器
208a 右対物レンズ
208b 左対物レンズ
209a 主鏡
209b 主鏡
210a 右伸縮アーム
210b 左伸縮アーム
211a 集束鏡
211b 集束鏡
212a 平面偏光フィルタ
212b 平面偏光フィルタ
213 照明光源
302a 可撓性スリーブ
302b 可撓性スリーブ
401 アダプタ
402 補正レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
左眼で対象物を見るための、前記ハウジング内部で組み合わされた左接眼部と、
右眼で前記対象物を見るための、前記ハウジング内部で組み合わされた右接眼部と、
可撓性スリーブにより前記ハウジングに着脱可能に装着された一対の伸縮アームと、
前記対象物から反射された光を集束するための、前記一対の伸縮アームの上方に装着された対物レンズユニットと、
前記左接眼部と前記右接眼部を同時に通して双眼視を可能にするための複数のプリズムとレンズを組み合わせたものと、
を備える可変3次元立体顕微鏡アセンブリであって、
前記一対の伸縮アームが、前記対象物に焦点を合わせるために独立して動かされかつ回転され、前記対物レンズユニットが、左光経路と右光経路の間の対物レンズ間距離を変えるための2つの対物レンズを、前記対象物に焦点を合わせて3次元視覚または奥行き感覚の度合いを増大させるために含む、可変3次元立体顕微鏡アセンブリ。
【請求項2】
左接眼部レンズ経路と右接眼部レンズ経路とを別のものにするための、前記左接眼部および前記右接眼部の下に装着されたビームスプリッタ複合体をさらに備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記対象物に焦点を合わせるための、前記ビームスプリッタに結合されたズーム変更器をさらに備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記対物レンズユニットが、前記左接眼部および前記右接眼部の軸に沿って装着された左対物レンズおよび右対物レンズを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記対物レンズユニットが少なくとも1つの主鏡を、前記少なくとも1つの主鏡の面が前記対物レンズの光軸に対して直角をなすように配置して含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記可撓性スリーブが前記一対の伸縮アームのヒンジ運動を可能にする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記一対の伸縮アームが、前記左対物レンズおよび前記右対物レンズそれぞれの光軸に対して垂直および可変傾斜角をなして配置される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記一対の伸縮アームが独立して動かされるように構成される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記一対の伸縮アームが同時に動かされるように構成される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記一対の伸縮アームが、前記立体顕微鏡の軸に垂直の方向を中心に振れる動きをすることができる、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記一対の伸縮アームそれぞれの最も遠い部分に装着された少なくとも1つの鏡を、前記対象物から受光されたビームを前記左接眼部および右接眼部それぞれに反射する向きに沿って備え、前記向きが前記主鏡の向きと同じである、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記伸縮アームそれぞれの最も遠い部分に設けられているスロットに装着された偏光フィルタをさらに備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記伸縮アームに装着された前記少なくとも1つの主鏡が、前記伸縮アームが傾くのと同時に向きが合わせられる、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記対物レンズユニットが、前記対象物からの光線を左レンズ経路および右レンズ経路に送り込むための複数のプリズムおよびレンズからなる構成物を備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記対象物からの前記光線が前記左レンズ経路および前記右レンズ経路を通って進んだ後に、それぞれ前記左接眼部および前記右接眼部に達する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項16】
光学像と共に前記左接眼部および前記右接眼部に至る前記左レンズ経路と前記右レンズ経路が、互いに非常に近接して装着されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記一対の伸縮アームが、右伸縮アームおよび左伸縮アームを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記右伸縮アームが前記ハウジングの右側に装着され、かつ前記左伸縮アームが前記ハウジングの左側に装着される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記一対の伸縮アームが金属または光ファイバでできている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項20】
単一の伸縮アームが装着される、請求項1に記載のアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−519114(P2013−519114A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551736(P2012−551736)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【国際出願番号】PCT/IN2011/000141
【国際公開番号】WO2011/111061
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(512116066)
【Fターム(参考)】