説明

可搬型情報処理装置

【課題】コネクタ部におけるフレームグランドがない場合であってもESD耐性を向上させることが可能な可搬型情報処理装置を提供する。
【解決手段】電子回路が搭載され本体部を形成する本体部側基板部と、電子機器と接続するためのコネクタ部を形成するコネクタ部側基板部と、を含む回路基板部と、を有し、回路基板部の本体部側基板部は、第1面およびこの第1面の反対側の第2面の少なくとも一方に電子回路が搭載され、少なくとも電子回路が搭載される面の縁部に静電気放電避雷部として機能する本体部側静電気放電ラインが形成され、回路基板部のコネクタ部側基板部は、第1面および第2面の少なくとも一方に、本体部側静電気放電ラインに接続され、静電気放電放出部として機能するコネクタ部側静電気放電ラインが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、たとえばUSB(Universal Serial Bus)通信機能を備え、パーソナルコンピュータ(PC)等のレセプタクルに対して挿脱可能な可搬型情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PC等の電子機器とマウスやキーボード等のデバイス機器とを接続させるインタフェースとして、USB−IF(USB−Implementers Forum)によって仕様策定が行われているシリアルインタフェース規格であるUSB規格が広く採用されている。
【0003】
このUSB規格は、デバイス機器の接続部としてUSBの標準Aプラグが規定されている。図1に示すように、標準Aプラグ1は、回路グランド用端子2、回路電源用端子3、第1のデータ通信用端子4および第2のデータ通信用端子5の4つの接続端子が設けられる。
この標準Aプラグ1を、PC等の電子機器に搭載されたUSBの標準Aレセプタクルに嵌め込むようにして挿入することによって、電子機器をホストとして、これら電子機器とデバイス機器とをUSB規格に準じた接続状態(USB接続)を得ることができる。
【0004】
また近年では、このようなPCへのUSB規格の普及に伴って、一端側に標準Aプラグ1が搭載された可搬型のUSBメモリ装置が広く流通している。
【0005】
可搬型のUSBメモリ装置(USBデバイス)は、PCに搭載されている標準Aレセプタクルに標準Aプラグ1を嵌め込むようにして挿入し、PCとUSB接続する。
これにより、USBメモリ装置は、PCからの要求に応じて、標準Aプラグ1を介してPCから与えられるデータを記憶しまたは記憶したデータをPCに出力することができるように構成される(たとえば特許文献1参照)。
なお、USBプラグは、一般的にUSBコネクタとも称される。
【0006】
ところで、上述したようなUSBデバイスは、USBコネクタと一体的に半導体チップ等の電子回路を搭載した回路基板部を含んで構成される。回路基板部はモールド樹脂等により形成される筐体内に収容されている。
このようなUSBデバイスにおいても、半導体チップ等の電子回路の保護のため、静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)に対する対策が重要であり、その対策が種々提案されている(たとえば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−78879号公報
【特許文献2】特開2007−193523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、近年、USBデバイスにおいて、デザイン、筐体との一体化等の理由により、USBコネクタのフレームが金属ではなく、モールド樹脂を使用するケースが増えてきている。
USBコネクタのフレームと電子機器側のレセプタクルのフレームにパスがあれば、信号系統の回路に影響を与えることはなく、ESDの経路ができるため、ESDの耐圧も強くなる。
しかし、コネクタのフレームにモールドを使用すると、レセプタクルとの電気的接合性がなくなり、ESDの特性が下がる可能性が大きい。
具体的には、コネクタのフレームにモールドを使用すると、電導性のあるフレームグランド(コネクタフレームにつながっているグランド)がないため、デバイスに進入したESDを配線のつながりで、フレームグランドに逃がすことはできない。このため、回路用のグランドであるシグナルグランド(フレームグランドとは異なるグランド)を始めとした内部主要回路に、ESDに伴って発生した高電圧が印加される可能性が大きくなる。その結果、ESDによる誤動作、動作停止、損傷等が発生する可能性が高くなる。
【0009】
また、USBデバイス以外のメモリカード等の可搬型デバイスにおいても、筐体のケー全体をポリカーボネイト等のモールド樹脂で形成する場合があり、この場合もESDの内部回路への影響が懸念される。
【0010】
本技術は、コネクタ部やケースにおけるフレームグランドがない場合であってもESD耐性を向上させることが可能な可搬型情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本技術の観点の可搬型情報処理装置は、電子回路が搭載され本体部を形成する本体部側基板部と、電子機器と接続するためのコネクタ部を形成するコネクタ部側基板部と、を含む回路基板部と、を有し、上記回路基板部の上記本体部側基板部は、第1面および当該第1面の反対側の第2面の少なくとも一方に電子回路が搭載され、少なくとも電子回路が搭載される面の縁部に静電気放電避雷部として機能する本体部側静電気放電ラインが形成され、上記回路基板部の上記コネクタ部側基板部は、上記第1面および第2面の少なくとも一方に、上記本体部側静電気放電ラインに接続され、静電気放電放出部として機能するコネクタ部側静電気放電ラインが形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本技術によれば、コネクタ部やケースにおけるフレームグランドがない場合であってもESD耐性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】USBの接続端子を含む標準Aプラグ(USBコネクタ)の概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る可搬型情報処理装置としてのUSBデバイスの外観の概要を示す図である。
【図3】本実施形態に係るUSBデバイスのコネクタ部の概略構成を示す図である。
【図4】本実施形態に係るUSBデバイスの回路基板部の概要を示す図である。
【図5】USBデバイスの電子機器に対する挿脱操作を説明するための図である。
【図6】電子機器側のレセプタクルの概略構成を説明するための図である。
【図7】本実施形態に係るUSBデバイスにおけるESD対策およびEDSラインからの放電経路について説明するための図である。
【図8】本実施形態に係る回路基板部におけるESD対策をより具体的に説明するための図である。
【図9】本実施形態において、回路基板部の先端部に孔を形成してレセプタクルの内側の側面にESDの放電経路(パス)を形成する場合の構成例を示す図である。
【図10】本実施形態において、回路基板部の先端部に切り欠きを形成してレセプタクルの内側の側面に至るESDの放電経路(パス)を形成する場合の構成例を示す図である。
【図11】本実施形態において、回路基板部を支持する第2筐体(支持筐体)に貫通する孔を形成してレセプタクルの内側の側面に至るESDの放電経路(パス)を形成する場合の構成例を示す図である。
【図12】本実施形態において、回路基板部を支持する第2筐体(支持筐体)に、板ばね部が係止される部分に対応して貫通する孔を形成してレセプタクルの板ばね部に至るESDの放電経路(パス)を形成する場合の構成例を示す図である。
【図13】本実施形態に係るUSBデバイスの信号処理系の構成例を示すブロック図である。
【図14】本実施形態に係る可搬型情報処理装置としてのメモリカードの外観斜視図である。
【図15】本実施形態に係る可搬型情報処理装置としてのメモリカードの構成例を分解して示す分解斜視図である。
【図16】図14および図15に示すメモリカードの端子部の各端子(ピン)の割り当て例を示す図である。
【図17】本実施形態に係るメモリカードの回路基板部の概要を示す図である。
【図18】本実施形態に係るメモリカードの組み立て処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態を図面に関連付けて説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.USBデバイスの全体的な構成の概要
2.USBデバイスのESD対策の基本的な構成例
3.USBデバイスのESD対策の具体的な構成例
4.他の可搬型デバイス(メモリカード)の全体的な構成の概要
5.他の可搬型デバイス(メモリカード)のEDS対策の構成例
【0015】
<1.USBデバイスの全体的な構成の概要>
図2は、本実施形態に係る可搬型情報処理装置としてのUSBデバイスの外観の概要を示す図である。
図3は、本実施形態に係るUSBデバイスのコネクタ部の概略構成を示す図である。
ここでは可搬型情報処理装置の一例であるUSBデバイスとしては、たとえばメモリ装置としての機能を主としたUSBメモリ装置が例示される。
【0016】
このUSBデバイス10は、本体部20およびコネクタ部(接続部)30を有する。
本体部20は、モールド樹脂等により形成される直方体状の第1筐体21を有し、この本体部20の第1筐体21内に半導体チップ等の電子回路(電子部品)を搭載した回路基板部を収容している。回路基板部はコネクタ部の接続端子と一体化され電気的に接続されている。
また、本体部20の第1筐体21は、一側面(上面)側に回路基板部に搭載される表示LED22が外部から視認できるように窓23が形成されている。
なお、第1筐体21が、LED22の発光色に対して光学的に透明である場合には窓は不要である。
【0017】
コネクタ部30は、本体部20の長手方向の一端部20Aに配置されている。
コネクタ部30は、図3に示すように、シグナルグランド用端子31、回路電源用端子32、第1のデータ通信用端子33および第2のデータ通信用端子34の4つの接続端子が形成されている。
これらの各端子31〜34は、回路基板部と一体的に構成され、モールド樹脂等により形成される支持筐体としての第2筐体(バックカバー)35により支持されている。
支持筐体としての第2筐体35は、コネクタ部の一部を形成するコネクタ部側基板部の先端面側にも配置される。
そして、端子31〜34の上部に空間が形成されるように、これらの端子31〜34、および第2筐体35の全体を囲うようにフレーム36が形成されている。
フレーム36は、モールド樹脂等の非導電材により形成され、あるいは導電体により形成される。
フレーム36は、面(上面)36Aおよび図示しない面36Aに対向する面(下面)36Bに、レセクタプル側のコネクタ抑え用板ばねの係止部が係止される係止用孔37が形成されている。
【0018】
次に、回路基板部40について説明する。
図4(A)および(B)は、本実施形態に係るUSBデバイスの回路基板部の概要を示す図である。図4(A)は第1面側の概略構成を示す図であり、図4(B)は第1面とは逆(反対側)の第2面側の概略構成を示す図である。
【0019】
回路基板部40は、長方形状の矩形のプリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)により形成されている。
回路基板部40は、本体部側基板部41とコネクタ部側基板部42が一体的に形成されている。回路基板部40において、本体部側基板部41の幅はW1に設定され、コネクタ部側基板部42はコネクタ部30の一部を形成するように、本体部側基板部41の幅W1より小さい幅W2に設定されている。
なお、コネクタ部側基板部42の長手方向端部を前部とし、本体部側基板部41の長手方向端部を後部とすると、本体部側基板部41とコネクタ部側基板部42との接続部は、次のように形成されている。
本体部側基板部41とコネクタ部側基板部42との接続部は、基板部41の前部側から基板部42の後部側に向かって幅が徐々に小さくなるテーパ状に形成されている。
【0020】
回路基板部40は、その第1面(A面)40Aにおいて、本体部側基板部41Aには、半導体チップ等の電子回路(部品)51、52等が搭載されており、コネクタ部側基板部42Aには上述した各コネクタ部30の各端子31〜34が並列に形成されている。
端子31〜34は、シグナルグランド(回路用グランド)用端子31および回路電源用端子32の方が、第1のデータ通信用端子33および第2のデータ通信用端子34に比べて、回路基板部40の長手方向の前縁部EDG41の近くまで形成されている。
各端子31〜34は、本体部側基板部41Aの電子回路等と図示しない接続パターンにより接続されている。
本体部側基板部41Aにおいて、電子回路(部品)51,52等の搭載領域を囲むように基板部41Aの基板縁部EDG42〜EDG44に沿ってEDS避雷部として機能する第1のESDライン61が、レジスト層がないパターン剥き出しの状態で形成されている。
なお、第1面40Aにおいては、コネクタ部側基板部42AにはESDラインは形成されていない。
【0021】
回路基板部40は、その第2面(A面)40Bにおいて、本体部側基板部41Bには、半導体チップ等の電子回路(部品)53、54等が搭載されており、コネクタ部側基板部42Bには上述した各コネクタ部30の各端子は形成されていない。
本体部側基板部41Bにおいて、電子回路(部品)53,54等の搭載領域を囲むように基板部41Bの基板縁部EDG42〜EDG44に沿ってEDS避雷部として機能する第2のESDライン62が、レジスト層がないパターン剥き出しの状態で形成されている。
そして、第2面40Bにおいては、コネクタ部側基板部42Bの長手方向の縁部EDG45,EDG46に、第2のESDライン62の両端部から延設するように、ESD放出部として機能する第3のESDライン63−1,63−2が形成されている。
ここで、長手方向の縁部EDG45,EDG46とは、コネクタ部30の電子機器に対する挿入または退避する方向に直交する側に位置する2つの縁部である。
このEDSライン63−1,63−2は、その端部が第1面40Aにおけるシグナルグランド用端子31および回路電源用端子32の端部に対向するような位置まで形成されている。
回路基板部40の第1面40AのESDライン61と第2面40BのESDライン62は、図示しないスルーホール等を介して回路的(電気的)に接続されている。
また、第3のESDライン63−1,63−2の長手方向中央部には、ネクタ部30の電子機器に対する挿入または退避する方向に直交する側の基板内側に互いに対向するように分岐された第3のESDライン63−3,63−4が形成されている。
【0022】
後述するように、コネクタ部側基板部42の第2面40B側において、EDSライン63−1,63−2の形成位置の少なくとも一か所に、孔または切り欠き部が形成されて放電用空気層が形成される。この放電用空気層は、樹脂である第2筐体35に形成される下界(外部)に挿通する空気層に連通し、これらの空気層により放電経路が形成される。
回路基板部40のコネクタ部側基板部42は、上述したように、第2面40B側がモールド樹脂により形成される第2筐体35により支持されている。
支持筐体としての第2筐体35は、コネクタ部の一部を形成するコネクタ部側基板部42の先端面側(前縁部EDG41側)にも配置される。
【0023】
図5は、USBデバイスの電子機器に対する挿脱操作を説明するための図である。
上述した構成を有するUSBデバイス10は、図5に示すようなPC(パーソナルコンピュータ)等の電子機器100に対して挿脱される。
電子機器100にレセプタクル110が配置され、USBデバイス10は、コネクタ部30をレセプタクル110に挿入して嵌め込むことにより、電子機器100と物理的および電気的に接続することができる。
また、USBデバイス10は、コネクタ部30をレセプタクル110から引き抜くことより、電子機器100を離脱(退避)させることができ、電子機器との物理的および電気的な接続状態を解除することができる。
【0024】
図6(A)および(B)は、電子機器側のレセプタクルの概略構成を説明するための図である。
図6(A)はレセプタクルにコネクタ部が挿入されていない状態を示す簡略断面図であり、図6(B)はレセプタクルにコネクタ部が挿入されている状態を示す簡略断面図である。
【0025】
レセプタクル110は、導電性の箱形のハウジング111を有し、ハウジング111は所定電位、たとえばグランド電位に保持(接続)されている。ハウジング111の一端部にコネクタ部を挿入する開口部112が形成され、ハウジング111内には、開口部112に連通してコネクタ部30の挿入収納部113が形成されている。
挿入収納部113に挿入されたコネクタ部30は、図6(B)に示すように、接続状態でその前端部が挿入収納部113を形成する側壁(側面)113aに当接した状態となる。本例では支持筐体としての第2筐体35の先端部が側壁113aに当接する。
ハウジング111は、挿入収納部113の図中の上方および下方には、上側フランジ114および下側フランジ115が形成されている。
フランジ114および115の一部が切り欠かれて板ばね部116,117が形成されている。そして、板ばね部116,117には、コネクタ部30のフレーム36の面(上面)36A,36Bに形成された、係止用孔37に係止する係止部116a,117aが形成されている。
【0026】
<2.ESD対策の基本的な構成例>
次に、本実施形態に係るESD対策の基本的な構成例について説明する。
すでに、図4(A)および(B)に関連付けて、ESD対策の一部であるESDライン61,62,63−1,63−2,63−3,63−4が形成される回路基板部40の構成例について説明した。
以下では、ESDライン、特にコネクタ部側基板部42の第2面40Bに形成されるESDライン63−1,63−2の一部に接続するように形成される空気層を含んで形成される放電経路の構成を中心に説明する。
【0027】
図7(A)および(B)は、本実施形態に係るUSBデバイスにおけるESD対策およびEDSラインからの放電経路について説明するための図である。
図7(A)はレセプタクルにコネクタ部が挿入された状態でいくつかの放電経路について説明するための図である。
図7(B)は、ESDがあり、PCBのESDラインを通りレセプタクルに放電経路を介して放電する様子を模式的に示している。
【0028】
USBデバイス10において、デザイン、筐体との一体化等の理由により、USBコネクタ部30のフレームが金属ではなく、モールド樹脂等を使用するケースが増えてきている。
USBコネクタ部30のフレームとレセプタクル110のフレーム(ハウジング)に放電経路(パス)があれば、信号系統の回路に影響を与えることはなく、ESDの経路ができるため、ESDの耐圧も強くなる。
しかし、コネクタ部30のフレームにモールド樹脂を使用すると、レセプタクル110との電気的接合性がなくなり、ESDの特性が下がる可能性が大きい。
高電位を持つ物体Aと電位の低い物体Bの二つの物体間に一定距離が存在しても、物体Aから物体BにESDが飛ぶ。フレームが金属のUSBコネクタを使用しないUSBデバイスの場合、ESDは絶縁破壊により、一定距離があるところに対して飛び移る電気動作を行う。このため、PCB上のパターンとレセプタクルのフレームが絶縁破壊による電気接合を持つ状態ならば、そこはESDのパスと成り得て、USBデバイスのESDに対しての強度が上がる。
【0029】
そこで、本実施形態においては、ESDがUSBデバイスに進入する経路に、レジスト層のない剥き出しのESDラインを形成することで、内部回路にESDが落ちないようにし、かつ、そのESDラインの終着点をコネクタ部30まで構成する。
加えて、コネクタ部30の先端部(前端部)に孔、もしくは、切り欠きを形成し、図7中に矢印AR1,AR2,AR3で示すように構造的に外部とつながる空気層を作る。一般的に空気の絶縁破壊電界は、モールド樹脂の1/8以下のため、外部とつながる空気層を作ることにより、PCB40とUSBレセプタクル110のフレーム間の絶縁破壊電界が下がり、電気接合が強くなる。
より具体的に説明すると、絶縁破壊電界は、ポリカーボネートで30kV/mm、空気で35.5kV/cm=3.55kV/mm、一般的プラスチックで12kV/mm〜33kV/mmである。
以上より、空気の絶縁破壊電界はポリカーボネートに比べ、1/8倍以下である。つまり、たとえばカーボネートにより形成されるである第2筐体(バックカバー)35に孔を開けて、空気の通り道を作ることで、レセプタクルのフレームへの静電が通り易い経路を作製できる。
また、一般的プラスチックに対しても、同様の理論を適用できる。
これにより、図7(B)に示すように、ESDの経路を、ESD銃(ESD放射物)→PCB→(ESD飛出)→USBレセプタクル110で、構成できるようにする。
以上により、フレームが金属でないものにおいて、ESDに対しての強度を高めることができる。
【0030】
<3.ESD対策の具体的な構成例>
本実施形態においては、ESD対策として、基板上の回路(電子部品)を保護するために、ESD銃→PCBの主要回路外(ESDライン)→(ESD飛出)→レセプタクルのフレームへのESD飛出を含んだ電気的経路を形成する。
下記の二つにより、それらを実現できる。
【0031】
1)ESD避雷針および経路
図8(A)および(B)は、本実施形態に係る回路基板部におけるESD対策をより具体的に説明するための図である。図8(A)は第1面側の概略構成を示す図であり、図8(B)は第1面とは逆の第2面側の概略構成を示す図である。
【0032】
図4(A)および(B)に関連付けてした説明と重複部分もあるが、回路基板部40におけるESD対策の構成例について以下に説明する。
回路基板部40において、いわゆる、はめあいの隙間、デザインにおける穴等のあらかじめESDが侵入してくる領域、もしくは外界との距離が短い箇所のESDライン61,62に、レジスト層がない剥き出しのパターンを形成する。
第1面(A面)40Aと第2面(B面)40BのESDライン61,62は回路的につながっている。また、第2面(B面)40Bにおいてのみ、そのESDライン62がコネクタ部30の先端(前端部)まで延長して形成されている。
【0033】
このような回路基板部40において、後部側の本体部側基板部41に形成されたESDライン61,62にESDラインに故意に(意図的に)ESDが行われるようにする(落ちるようにする)。
すなわち、後部側の本体部側基板部41に形成されたESDライン61,62はESD避雷部64A,64Bとして機能する。
そして、前部のコネクタ部側基板部42の第2面(B面)40BのESDライン63−1,63−2からのみ、ESDが放出する。すなわち、前部側のコネクタ部側基板部42の第2面(B面)40BのESDライン63−1,63−2がESD放出部65として機能する。
【0034】
2)PCB(回路基板部)から、レセプタクルのフレームへの放電経路
レセプタクル110のフレームに近い箇所、もしくは板バネ部に至る経路に空気層ができるように、孔、切り欠きを形成する。これにより、PCBとレセプタクルのフレーム間の絶縁破壊電界を下げることで、ESDがPCBからレセプタクル110のフレームに飛びつきやすいようにする。
【0035】
図9は、本実施形態において、回路基板部の先端部に孔を形成してレセプタクルの内側の側面に至るESDの放電経路(パス)を形成する場合の構成例を示す図である。
【0036】
図9の例は、回路基板部40のコネクタ部側基板部42の第2面40B側に形成された先端側のESDライン63−1,63−2の少なくとも一方の端部に接して孔71が形成されている。
回路基板部40の先端部に孔71を形成してレセプタクル110の内側の側面113aに、矢印AR1で示すESDの放電経路(パス)72を形成する。
この放電経路72は、絶縁体により形成される第2筐体35の、たとえば貼り合わせで生じる隙間を通して形成される。あるいは、意図的に第2筐体35に放電経路72となる空気層が形成される。
これにより、ESDがレセプタクル110のフレームである内側の側面113aに飛びつきやすくなる。
【0037】
図10は、本実施形態において、回路基板部の先端部に切り欠きを形成してレセプタクルの内側の側面に至るESDの放電経路(パス)を形成する場合の構成例を示す図である。
【0038】
図10の例は、回路基板部40のコネクタ部側基板部42の第2面40B側に形成された先端側のESDライン63−1,63−2の少なくとも一方の端部に接して切り欠き73が形成されている。この場合、ESDライン63−1,63−2の端部と第2筐体35との間に隙間が形成される。
回路基板部の先端部に切り欠き73を形成してレセプタクル110の内側の側面113aに、矢印AR1で示すESDの放電経路(パス)74を形成する。
この放電経路74は、絶縁体により形成される第2筐体35の、たとえば貼り合わせで生じる隙間を通して形成される。あるいは、意図的に第2筐体35に放電経路74となる空気層部が形成される。
これにより、ESDがレセプタクル110のフレームである内側の側面113aに飛びつきやすくなる。
【0039】
図11は、本実施形態において、回路基板部を支持する第2筐体(支持筐体)に貫通する孔を形成してレセプタクルの内側の側面に至るESDの放電経路(パス)を形成する場合の構成例を示す図である。
【0040】
図11の例は、回路基板部40のコネクタ部側基板部42の第2面40B側に形成された先端側のESDライン63−1,63−2を支持する第2筐体35の少なくとも一方の側に下方に貫通する孔75が形成されている。
この第2筐体35に形成された孔75によりレセプタクル110の内側の側面113aに達する、矢印AR2で示すESDの放電経路(パス)76を形成する。
これにより、ESDがレセプタクル110のフレームである内側の側面113aに飛びつきやすくなる。
【0041】
図12は、本実施形態において、回路基板部を支持する第2筐体(支持筐体)に、板ばね部が係止される部分に対応して貫通する孔を形成してレセプタクルの板ばね部に至るESDの放電経路(パス)を形成する場合の構成例を示す図である。
【0042】
図12の例は、回路基板部40のコネクタ部側基板部42の第2面40B側に形成された先端側のESDライン63−1,63−2を支持する第2筐体35の少なくとも一方の側に下方に貫通する孔77が形成されている。その位置は、板ばね部117が係止される部分に対応する箇所である。
この第2筐体35に形成された孔77によりレセプタクル110の板ばね部117に達する、矢印AR3で示すESDの放電経路(パス)78を形成する。
これにより、ESDがレセプタクル110のフレームに飛びつきやすくなる。
【0043】
ここで、USBデバイス10の情報処理系について説明する。
図13は、本実施形態に係るUSBデバイスの信号処理系の構成例を示すブロック図である。
【0044】
図13に示すように、USBデバイス10は、本体部20においては、USBデバイス10全体の動作制御を司るCPU(Central Processing Unit)81を有する。
USBデバイス10は、各種制御プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)82、CPU81のワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)83を内蔵するUSBデバイスコントローラ86と不揮発性メモリからなる記憶部84を有する。
また、USBデバイス10は、上述の表示LED85(22)を有する。
また、USBデバイスコントローラ86と不揮発性メモリからなる記憶部84はバス87を通じて相互に接続される。
USBデバイスコントローラ86には、コネクタ(プラグ)部30が回路電源のVbus、シグナルグランドのGND、およびデータ通信ラインD−、D+を通じて接続されている。
【0045】
USBデバイスコントローラ86は、USBデバイス10のコネクタ部30がPC等の電子機器100に搭載されたレセプタクル110に嵌め込まれたときに次のような制御を行う。
USBデバイスコントローラ86は、電子機器100からコネクタ部30の電源ラインVbusおよびUSBデバイスコントローラ86を介して供給される電流を検出すると、コネクタ部30のデータ通信ラインD−、D+をプルアップさせる。
これにより、USBデバイスコントローラ86は、電子機器100と通信可能なUSB規格に準じた状態にUSB接続させる。
【0046】
USBデバイスコントローラ86は、この後電子機器100からの書込み要求を受信すると、電子機器100から送信されるデータを記憶部84に与えてこれを記憶させる。
一方、USBデバイスコントローラ86は、電子機器100からの読み出し要求を受信すると、指定されたデータを記憶部84から読み出す。そして、USBデバイスコントローラ86は、読み出させたデータをコネクタ部30を介して電子機器100に送信する。
【0047】
このように、USBデバイス10においては、コネクタ部30が電子機器100に搭載されたレセプタクル110に嵌め込まれたときに、PCからの要求に応じて、コネクタ部30を介してPCから与えられるデータを記憶する。また、USBデバイス10は、記憶したデータをPCに送信することができる。
【0048】
なお、USBデバイスコントローラ86は、電子機器100とUSB接続したときに、表示LED85(22)に対して駆動電圧の供給を開始することによって、表示LED85を点灯させる。
USBデバイスコントローラ86は、その後電子機器100とのUSB接続状態が解除(切断)されたときに、表示LED85への駆動電圧の供給を停止することによって表示LED85を消灯させる。
【0049】
本実施形態においては、ESDがUSBデバイスに進入する経路に、レジスト層のない剥き出しのESDラインを形成することで、内部回路にESDが落ちないようにし、かつ、そのESDラインの終着点をコネクタ部30まで構成する。
加えて、コネクタ部30の先端部(前端部)に孔、もしくは、切り欠きを形成し、構造的に外部とつながる空気層を作り、PCB40とUSBレセプタクルのフレームの絶縁破壊電界を下げることで、ESDを飛びつき易くする。
これにより、ESDの経路を、ESD銃→PCB→USBレセプタクルで、構成できるようにする。
以上により、フレームが金属でないものにおいて、ESDに対しての強度を高めることができる。
すなわち、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
PCBとレセプタクルのフレーム部の絶縁破壊電界を下げることにより、USBコネクタ部のフレームが金属でないものでも、ESDの経路ができ、ESDに対しての強度を向上させることができる。
【0050】
以上の実施形態においては、可搬型情報処理装置としてUSBデバイスを一例として説明したが、本技術はUSBデバイス以外の他の可搬型情報処理装置、たとえばケースがモールド樹脂で形成されるメモリカード等にも適用することが可能である。
【0051】
<4.他の可搬型デバイス(メモリカード)の全体的な構成の概要>
図14(A)および(B)は、本実施形態に係る可搬型情報処理装置としてのカード型周辺装置(メモリカード)の外観斜視図である。図14(A)はカード型周辺装置を第1面側から見た斜視図であり、図14(B)はカード型周辺装置を第2面側から見た斜視図である。
図15は、本実施形態に係る可搬型情報処理装置としてのメモリカードの構成例を分解して示す分解斜視図である。
【0052】
この可搬型情報処理装置200は、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の高性能モバイル機器用リムーバブルメディアに対して、小型、高密度メモリ・モジュールとしても使用するために、機能、ピン数などの互換性を維持してメモリカードとして構成される。
以下、可搬型情報処理装置200をメモリカードとして説明する。
まず、メモリカード200の基本的な構成について説明する。
【0053】
<5.他の可搬型デバイス(メモリカード)のEDS対策の構成例>
メモリカード200は、ケース体210、ケース体内に収容される回路基板部220、回路基板部220の長手方向の一端部に形成されたコネクタ部230、回路基板部220に搭載される電子回路(部品)240,250を有する。
電子回路240は、たとえば不揮発性メモリ(フラッシュメモリ)として形成され、電子回路250はコントローラとして形成される。また。電子回路240等は、回路基板部220の一面側(前面側)だけでなく他面側(裏面側)にも搭載される。
【0054】
ケース体210は、直方体状に形成されたモールド樹脂等の絶縁物の第1ケース体211および第2ケース体212を有する。
たとえば、ケース体210は、第2ケース体212の内面上に回路基板部220の全体が配置された状態で、第1ケース211の側部と第2ケース体212の側部を溶着して直方体状に形成される。
この溶着状態で、コネクタ部230が配置される長手方向の側部には図示しない電子機器との接続用開口部213が形成される。
【0055】
回路基板部220の長手方向の一端部にコネクタ部230の端子部260が複数形成されている。
端子部260には、メモリカード外部から不揮発性メモリ240にコントローラ250を介してアクセスして記録、読み出しを行うための一列に配列された信号端子および電源端子を含む。
メモリカード200は、この端子部260により図示しないホスト機器にあるコネクタの接触ピンを介して、電力供給を受け、データのやり取りを行う。
【0056】
この例においては、コネクタ部230の端子部260には、第1から第21の端子(ピン)P1〜P21が形成されている。
そして、本例では、端子部260は、回路基板部220に形成された切り欠き等により3つのグループ261,262,263に区分けされている。
【0057】
図16は、図14および図15に示すメモリカード200の端子部の各端子(ピン)の割り当て例を示す図である。
【0058】
図16の例では、第1端子P1はシールドグランド端子に割り当てられている。
第2端子P2から第8端子P8はリザーブされて未使用となっている。
第9端子P9はリセット端子に、第10端子P10は電源端子(3.3V端子)に、第11端子011はクロック(CLK)制御用端子に、それぞれ割り当てられている。
第12端子P12はメディア検出用、および、メディアへの電力制御用端子として割り当てられている。
第13端子P13は差動リファレンスクロックREFCLK−用端子に、第14端子P14は差動リファレンスクロックREFCLK+用端子に割り当てられている。
第15端子P15はシグナルグランド端子に、第16端子P16は差動データPERn0出力用端子に、第17端子P17は差動データPERp0出力用端子に、それぞれ割り当てられている。
第18端子P17はシグナルグランド端子に、第19端子P19は差動データPETn0入力用端子に、第20端子P20は差動データPETp0入力用端子に、第21端子P21はシグナルグランド端子に、それぞれ割り当てられている。
【0059】
このように、本実施形態においては、21個の端子のうち、第1端子P1がシールドグランド端子に割り当てられ、第15端子P15、第18端子P18および第21端子P21がシグナルグランド端子に割り当てられている。
本実施形態においては、シールドグランド端子とシグナルグランド端子は、離間して形成され、かつ、電気的に接続されていない。
そして、以下に説明するように、メモリカード200は、シールドグランド端子に割り当られた第1端子P1がESDラインに接続されて放電経路が形成される。
【0060】
次に、メモリカード200の回路基板部220について説明する。
図17(A)および(B)は、本実施形態に係るメモリカードの回路基板部の概要を示す図である。図17(A)は第1面側の概略構成を示す図であり、図17(B)は第1面とは逆(反対側)の第2面側の概略構成を示す図である。
【0061】
回路基板部220は、長方形状の矩形のプリント回路基板(PCB)により形成されている。
回路基板部220は、本体部側基板部221とコネクタ部側基板部222が一体的に形成されている。回路基板部220において、本体部側基板部221の幅およびコネクタ部側基板部222の幅は同じ幅に設定されている。
なお、コネクタ部側基板部222の長手方向端部を前部とし、本体部側基板部221の長手方向端部を後部とする。
【0062】
回路基板部220は、その第1面(A面)220Aにおいて、本体部側基板部221Aには、半導体チップ等の電子回路(部品)241、252等が搭載されている。
コネクタ部側基板部222Aには、前縁部EDG221側に形成された各コネクタ部230に、上述した各端子P1〜P21が並列に形成されている。
端子部260の各端子P1〜P21は、回路基板部220に形成された切り欠き等により3つのグループ261,262,263に区分けして形成されている。
各端子P1〜P21は、本体部側基板部221Aの電子回路等と図示しない接続パターンにより接続されている。
図17においては、グループ261にシールドグランド端子である第1端子P1が形成され、グループ263に3つのシグナルグランド端子である第15端子P15、第18端子P18および第21端子P21が形成されている。
本実施形態においては、シールドグランド端子とシグナルグランド端子は、離間して形成され、かつ、電気的に接続されていない。
本体部側基板部221Aにおいて、電子回路(部品)241,251等の搭載領域を囲むように基板部221Aの基板縁部EDG222〜EDG224に沿ってEDS避雷部として機能する第1のESDライン271が、レジスト層がないパターン剥き出しの状態で形成されている。
なお、第1面220Aにおいては、コネクタ部側基板部222AにはESDラインは形成されていないが、シールドグランドである第1端子P1が基板縁部EDG222の第1のESDライン271の前部側の端部に接続されている。
【0063】
回路基板部220は、その第2面(A面)220Bにおいて、本体部側基板部221Bには、半導体チップ等の電子回路(部品)242、243等が搭載されており、コネクタ部側基板部222Bには上述した各コネクタ部230の各端子は形成されていない。
本体部側基板部221Bにおいて、電子回路(部品)242,243等の搭載領域を囲むように基板部221Bの基板縁部EDG221〜EDG224に沿ってEDS避雷部として機能する第2のESDライン272が形成されている。
第2のESDライン272は、第1のESDライン271と同様に、レジスト層がないパターン剥き出しの状態で形成されている。
回路基板部220の第1面220Aの第1のESDライン271と第2面220Bの第2のESDライン272は、図示しないスルーホール等を介して回路的(電気的)に接続されている。
【0064】
図18は、本実施形態に係るメモリカードの組み立て処理を説明するための図である。
【0065】
本メモリカード200は、たとえば材料がポリカーボネートの第1のケース体211および第2のケース体212で回路基板部(PCB)220をはさみ込み、第1のケース体211の側部縁部と第2のケース体212の側部縁部の接触辺を溶着により一体化する。
この溶着部の隙間を通って、静電はケース体(筐体)210の内部に進入する。溶着部の隙間の内側には、回路基板部(PCB)220の端面がある。
ここに、シールドグランドを用意し、内部進入してきた静電を落ちるようにして、かつ、他の配線と回路的につながりがなければ、回路は静電によって影響を受けないことになる。
本実施形態においては、コネクタ部230のピン配置より、信号線のガードの意味合いが強い3つの端子P15、P18、P21をシグナルグランドに、完全に独立している第1端子P1をシールドグランドに分けている。
そして、メモリカード200は、外部からの進入してきた静電はシールドグランドで受けるように構成されている。
【0066】
以上より、空気の絶縁破壊電界はポリカーボネートに比べ低い。
つまり、静電のケース体210内部への進入経路は、筐体の材料のポリカーボネートの透過よりも、溶着の隙間とほぼ特定でき、進入後の回路基板部(PCB)220に上記静電対策を行うことで、静電に対する強度向上を見込むことができる。
より具体的に説明すると、前述したように、絶縁破壊電界は、ポリカーボネートで30kV/mm、空気で35.5kV/cm=3.55kV/mm、一般的プラスチックで12kV/mm〜33kV/mmである。
以上より、空気の絶縁破壊電界はポリカーボネートに比べ、1/8倍以下である。つまり、静電のケース体210内部への進入経路は、筐体の材料のポリカーボネートの透過よりも、溶着の隙間とほぼ特定でき、進入後のPCB部に上記静電対策を行うことで、静電に対する強度向上を見込むことができる。
また、一般的プラスチックに対しても、同様の理論を適用できる。
【0067】
このような構成を採用することにより、外部からケース体(筐体)内部に侵入してきた静電による破壊、誤動作を極力避けることができ、そのことにより、メモリカードの品質の向上を見込める。
これにより、金属のフレームを使用しない安価なポリカーボネートのみで筐体を構成できるため、部品、製造におけるコストダウンを図ることができる。
【0068】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)電子回路が搭載され本体部を形成する本体部側基板部と、電子機器と接続するためのコネクタ部を形成するコネクタ部側基板部と、を含む回路基板部と、を有し、
上記回路基板部の上記本体部側基板部は、
第1面および当該第1面の反対側の第2面の少なくとも一方に電子回路が搭載され、
少なくとも電子回路が搭載される面の縁部に静電気放電避雷部として機能する本体部側静電気放電ラインが形成され、
上記回路基板部の上記コネクタ部側基板部は、
上記第1面および第2面の少なくとも一方に、
上記本体部側静電気放電ラインに接続され、静電気放電放出部として機能するコネクタ部側静電気放電ラインが形成されている
可搬型情報処理装置。
(2)上記コネクタ部側基板部を一面側から支持する絶縁性の支持筐体を有し、
上記コネクタ部側静電気放電ラインが上記第2面に形成され、
上記コネクタ部側静電気放電ラインの少なくとも一つの部位から上記絶縁性の支持筐体を通して外部に至る空気層により放電経路が形成されている
請求項1記載の可搬型情報処理装置。
(3)上記放電経路は、
上記コネクタ部側静電気放電ラインの先端部に接して上記コネクタ部側基板部に形成された孔と、
上記孔に連通する上記支持筐体の外部に至る空気層と、を含む
請求項2記載の可搬型情報処理装置。
(4)上記支持筐体は、
上記コネクタ部側基板部の先端面側にも配置され、
上記放電経路は、
上記コネクタ部側静電気放電ラインの先端部に接して上記コネクタ部側基板部の先端部に形成された切り欠きと、
上記切り欠きに連通する上記支持筐体の外部に至る空気層と、を含む
請求項2記載の可搬型情報処理装置。
(5)接続対象機器である電子機器の接続部は、
上記コネクタ部の開口部からの挿入または退避を案内するハウジングを有し、
上記支持筐体の端部が
上記ハウジング内の挿入方向にある側面に当接し、上記放電経路が上記側面に至る
請求項2から4のいずれか一に記載の可搬型情報処理装置。
(6)上記放電経路は、
上記コネクタ部側静電気放電ラインの一部位から外部に至る上記支持筐体に形成された孔を含む
請求項2から5のいずれか一に記載の可搬型情報処理装置。
(7)接続対象機器である電子機器の接続部は、
上記コネクタ部の開口部からの挿入または退避を案内するハウジングを有し、
上記ハウジングは、
上記コネクタ部の挿入方向の少なくとも上記支持筐体の一部を係止する導電性の係止部を含み、
上記放電経路は、
上記コネクタ部と上記電子機器の接続部が接続状態にあるときに、上記係止部に対応する位置にある上記コネクタ部側静電気放電ラインから上記係止部に至る上記支持筐体に形成された孔を含む
請求項2から6のいずれか一に記載の可搬型情報処理装置。
(8)上記回路基板部の上記本体部側基板部は、
上記第1面および上記第2面に電子回路が搭載され、
上記第1面の縁部に静電気放電放出部として機能するコネクタ部側第1の静電気放電ラインが形成され、
上記第2面の縁部に、上記第1の静電気放電ラインに回路的に接続され、静電気放電放出部として機能するコネクタ部側第2の静電気放電ラインが形成され、
上記回路基板部の上記コネクタ部側基板部は、
上記コネクタ部の上記電子機器に対する挿入または退避する方向に直交する側に位置する2つの縁部のうちの少なくとも一方の縁部の上記第2面に上記本体部側第2の静電気放電ラインに接続され、静電気放電放出部として機能するコネクタ部側静電気放電ラインが形成されている
請求項2から7のいずれか一に記載の可搬型情報処理装置。
(9)上記回路基板部の上記コネクタ部側基板部は、
上記第1面にグランド端子を含む接続端子が形成され、
上記回路基板部の上記本体部側基板部は、
上記第1面に上記本体部側静電気放電ラインに接続され、
上記グランド端子が上記コネクタ部側静電気放電ラインとして上記本体部側静電気放電ラインに接続されている
請求項1記載の可搬型情報処理装置。
(10)上記接続端子は、
シールドグランド端子とシグナルグランド端子とを含み、
上記シールドグランド端子が上記コネクタ部側静電気放電ラインとして上記本体部側静電気放電ラインに接続されている
請求項9記載の可搬型情報処理装置。
【符号の説明】
【0069】
10・・・USBデバイス(可搬型情報処理装置)、20・・・本体部、21・・・第1筐体、30・・・コネクタ部、31・・・電源用端子、32・・・アース用端子、33・・・第1のデータ通信用端子、34・・・第2のデータ通信用端子、35・・・第2筐体(支持筐体)、36・・・フレーム、40,220・・・回路基板部、40A,220A・・・第1面(A面)、40B、220b・・・第2面(B面)、41,221・・・本体部側基板部、42,222・・・コネクタ部側基板部、51〜54・・・電子部品、61,62,63−1,63−2・・・ESDライン、71・・・孔、72・・・放電経路、73・・・切り欠き、74・・・放電経路、75・・・孔、76・・・放電経路、77・・・孔、78・・・放電経路、100・・・電子機器、110・・・レセプタクル、111・・・ハウジング、112・・・開口部、116,117・・・板ばね部、116a,117a・・・係止部、200・・・メモリカード(可搬型情報処理装置)、210・・・ケース体、220・・・回路基板部、220A・・・第1面(A面)、220b・・・第2面(B面)、221・・・本体部側基板部、222・・・コネクタ部側基板部、230・・・コネクタ部、260・・・端子部、271・・・第1のESDライン、272・・・第2のESDライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路が搭載され本体部を形成する本体部側基板部と、電子機器と接続するためのコネクタ部を形成するコネクタ部側基板部と、を含む回路基板部と、を有し、
上記回路基板部の上記本体部側基板部は、
第1面および当該第1面の反対側の第2面の少なくとも一方に電子回路が搭載され、
少なくとも電子回路が搭載される面の縁部に静電気放電避雷部として機能する本体部側静電気放電ラインが形成され、
上記回路基板部の上記コネクタ部側基板部は、
上記第1面および第2面の少なくとも一方に、
上記本体部側静電気放電ラインに接続され、静電気放電放出部として機能するコネクタ部側静電気放電ラインが形成されている
可搬型情報処理装置。
【請求項2】
上記コネクタ部側基板部を一面側から支持する絶縁性の支持筐体を有し、
上記コネクタ部側静電気放電ラインが上記第2面に形成され、
上記コネクタ部側静電気放電ラインの少なくとも一つの部位から上記絶縁性の支持筐体を通して外部に至る空気層により放電経路が形成されている
請求項1記載の可搬型情報処理装置。
【請求項3】
上記放電経路は、
上記コネクタ部側静電気放電ラインの先端部に接して上記コネクタ部側基板部に形成された孔と、
上記孔に連通する上記支持筐体の外部に至る空気層と、を含む
請求項2記載の可搬型情報処理装置。
【請求項4】
上記支持筐体は、
上記コネクタ部側基板部の先端面側にも配置され、
上記放電経路は、
上記コネクタ部側静電気放電ラインの先端部に接して上記コネクタ部側基板部の先端部に形成された切り欠きと、
上記切り欠きに連通する上記支持筐体の外部に至る空気層と、を含む
請求項2記載の可搬型情報処理装置。
【請求項5】
接続対象機器である電子機器の接続部は、
上記コネクタ部の開口部からの挿入または退避を案内するハウジングを有し、
上記支持筐体の端部が
上記ハウジング内の挿入方向にある側面に当接し、上記放電経路が上記側面に至る
請求項2記載の可搬型情報処理装置。
【請求項6】
上記放電経路は、
上記コネクタ部側静電気放電ラインの一部位から外部に至る上記支持筐体に形成された孔を含む
請求項2記載の可搬型情報処理装置。
【請求項7】
接続対象機器である電子機器の接続部は、
上記コネクタ部の開口部からの挿入または退避を案内するハウジングを有し、
上記ハウジングは、
上記コネクタ部の挿入方向の少なくとも上記支持筐体の一部を係止する導電性の係止部を含み、
上記放電経路は、
上記コネクタ部と上記電子機器の接続部が接続状態にあるときに、上記係止部に対応する位置にある上記コネクタ部側静電気放電ラインから上記係止部に至る上記支持筐体に形成された孔を含む
請求項2記載の可搬型情報処理装置。
【請求項8】
上記回路基板部の上記本体部側基板部は、
上記第1面および上記第2面に電子回路が搭載され、
上記第1面の縁部に静電気放電放出部として機能するコネクタ部側第1の静電気放電ラインが形成され、
上記第2面の縁部に、上記第1の静電気放電ラインに回路的に接続され、静電気放電放出部として機能するコネクタ部側第2の静電気放電ラインが形成され、
上記回路基板部の上記コネクタ部側基板部は、
上記コネクタ部の上記電子機器に対する挿入または退避する方向に直交する側に位置する2つの縁部のうちの少なくとも一方の縁部の上記第2面に上記本体部側第2の静電気放電ラインに接続され、静電気放電放出部として機能するコネクタ部側静電気放電ラインが形成されている
請求項2記載の可搬型情報処理装置。
【請求項9】
上記回路基板部の上記コネクタ部側基板部は、
上記第1面にグランド端子を含む接続端子が形成され、
上記回路基板部の上記本体部側基板部は、
上記第1面に上記本体部側静電気放電ラインに接続され、
上記グランド端子が上記コネクタ部側静電気放電ラインとして上記本体部側静電気放電ラインに接続されている
請求項1記載の可搬型情報処理装置。
【請求項10】
上記接続端子は、
シールドグランド端子とシグナルグランド端子とを含み、
上記シールドグランド端子が上記コネクタ部側静電気放電ラインとして上記本体部側静電気放電ラインに接続されている
請求項9記載の可搬型情報処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2012−99454(P2012−99454A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96260(P2011−96260)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】