説明

可搬型放射線画像撮影装置

【課題】モノコックボディ方式のハウジングの内側に緩衝材を備える可搬型放射線画像撮影装置において、ハウジング内へのセンサパネルの挿入作業性を向上させることが可能な可搬型放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】可搬型放射線画像撮影装置1は、放射線入射面Rを有する角筒状のハウジング本体部21を備えるハウジング2と、ハウジング2内に収納され、複数の放射線検出素子7が二次元状に配列されたセンサパネルSPとを備え、ハウジング本体部21の放射線入射面Rの内面と、センサパネルSPとの間に緩衝材32が設けられており、緩衝材32とハウジング本体部21の放射線入射面Rの内面との間に、板状の滑り部材33が介装されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病気診断等を目的として、X線画像に代表される、放射線を用いて撮影された放射線画像が広く用いられている。こうした医療用の放射線画像は、従来スクリーンフィルムを用いて撮影されていたが、近年は、放射線画像のデジタル化が実現されており、例えば、被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートに蓄積させた後、この輝尽性蛍光体シートをレーザ光で走査し、これにより輝尽性蛍光体シートから発光される輝尽光を光電変換して画像データを得るCR(Computed Radiography)装置が広く普及している(例えば特許文献1、2等参照)。
【0003】
放射線画像撮影では、スクリーンフィルムや輝尽性蛍光体シート等の記録媒体を内部に収納したカセッテが用いられる。なお、CR装置での撮影に用いられるCR用のカセッテは、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテに適合するものとして導入された既存の設備、すなわち例えばカセッテホルダーやブッキー装置を継続して使用できるように、当該スクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズに倣って、設計・製造されている。言い換えると、カセッテのサイズの互換性が維持され、施設の有効活用と画像データのデジタル化が達成されている。
【0004】
また、最近では、医療用の放射線画像を得る手段として、照射された放射線を検出してデジタルの画像データとして取得する装置として放射線画像撮影装置が知られている(例えば特許文献3等参照)。放射線画像撮影装置は、通常、照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる複数の放射線検出素子が二次元状に配列されたセンサパネルを備えており、平板状のセンサパネルで放射線を検出することからFPD(Flat Panel Detector)としても知られている。
【0005】
なお、放射線画像撮影装置としては、照射された放射線を放射線検出素子に直接入射させ、放射線検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換された電磁波をフォトダイオード等の放射線検出素子(光電変換素子)で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。
【0006】
さらに、このセンサパネルをハウジング(筐体)に収納した可搬型の撮影装置(可搬型放射線画像撮影装置)も実用化されるようになってきた(例えば特許文献4、5等参照)。このような可搬型放射線画像撮影装置は、持ち運びが可能であるために患者の病室等に行って撮影を行うこと等も可能であり、また、撮影部位の位置や角度等に応じて自在に位置や角度を調整することが可能であるため、広く活用されることが期待されている。
【0007】
ところで、前述したように、現在普及しているCR用のカセッテは従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズに従ったサイズとなっており、ブッキー装置等もこのJIS規格サイズに合わせて作られている。
【0008】
そのため、可搬型放射線画像撮影装置についてもこのJIS規格サイズに従ったカセッテに収納した形に形成することができれば、施設に設置されている既存の設備を使って可搬型放射線画像撮影装置を用いた撮影を行うことが可能となり、撮影手段として可搬型放射線画像撮影装置を導入する際の設備投資を最小限度に抑えることができる。
【0009】
しかし、そのJIS規格サイズでは放射線入射方向の厚さを15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内の薄さに形成しなければならず、しかも、その平面的な広さは、14インチ×17インチ(355.6mm×431.8mm、半切サイズ)等と比較的広い。
【0010】
また、放射線画像撮影装置を、センサパネルをハウジングに収納した可搬型に形成した場合、上記のようにブッキー装置等に装填して使用するだけでなく、ブッキー装置等に装填しない状態のいわば裸の状態の可搬型放射線画像撮影装置の、放射線が入射する側の平面(図18の放射線入射面R参照)に、被写体である患者の手や脚、胴体等を直接載せ、その状態で放射線画像撮影を行うようにして用いることも可能となる。
【0011】
その場合、可搬型放射線画像撮影装置100を、特許文献4、5に記載されている図18に示すようなフロント部材101Aやバック部材101Bを結合してハウジング101を形成する、いわゆる弁当箱タイプとして構成した場合、その放射線入射面Rに被写体を載置すると、その重量で、放射線入射面Rが撓み易くなるとともに、フロント部材101Aやバック部材101Bの側壁部分101Cで折れたり割れたりして結合が外れてしまう場合がある。
【0012】
特に、上記のようにJIS規格サイズに従って薄く広く構成された可搬型放射線画像撮影装置100では、その問題が顕著に現れる。なお、図18および後述する図19では、内蔵されるセンサパネル等の図示が省略されている。
【0013】
そこで、可搬型放射線画像撮影装置200のハウジング201を、例えば図19に示す特許文献6に記載されたX線画像撮影装置のように、端部に開口部202を有する中空の角筒状の、いわゆるモノコックボディ方式とすることで、上記の問題を解消することが可能となる。そして、ハウジング201の開口部202は、例えば蓋部203で閉塞される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−121783号公報
【特許文献2】特開2005−114944号公報
【特許文献3】特開平9−73144号公報
【特許文献4】特開平7−246199号公報
【特許文献5】米国特許第5,804,832号明細書
【特許文献6】特開2002−311526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、センサパネル204は、このようなハウジング201の中に収納されるが、図20に示すように、可搬型放射線画像撮影装置200を落下した場合の衝撃等でセンサパネル204が損傷されないように、ハウジング201の内側とセンサパネル204との間に緩衝材205が設けられる場合が多い。また、緩衝材205に、ハウジング201内でのセンサパネル205の位置決めの機能をも持たせるように構成する場合には、緩衝材205は、センサパネル204の端部とハウジング201の側面内壁とで押圧された状態とされる。
【0016】
しかし、図21に示すように、放射線画像撮影装置200の組立時やメンテナンス時等に、センサパネル204をハウジング201内に挿入しようとすると、センサパネル204が、その端部で緩衝材205を押圧し、緩衝材205を擦るようにしながら圧入される状態となる。
【0017】
そのため、図22に示すように、センサパネル204の角部の押圧で、緩衝材205が破壊されてその一部205aが欠落する場合があるが、例えば図23に示すように、この欠けた緩衝材205の一部205aがセンサパネル204と放射線入射面Rとの間の部分Qに移動すると、この緩衝材205の一部205aによって入射する放射線が遮断する等されて、得られる放射線画像に欠陥やボケ等が生じる可能性が生じる。
【0018】
しかし、これを回避するために、放射線画像撮影装置200の組立時やメンテナンス時等に、センサパネル204をハウジング201内に挿入する際にセンサパネル204の角部で緩衝材205を破壊しないように緩慢に挿入したり、緩衝材205が破壊された場合に緩衝材205を交換することが要求されると、センサパネル204のハウジング201内への挿入作業の作業性が著しく低下してしまう。
【0019】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、モノコックボディ方式のハウジングの内側に緩衝材を備える可搬型放射線画像撮影装置において、ハウジング内へのセンサパネルの挿入作業性を向上させることが可能な可搬型放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記の問題を解決するために、本発明の可搬型放射線画像撮影装置は、
放射線入射面を有する角筒状のハウジング本体部を備えるハウジングと、
前記ハウジング内に収納され、照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる複数の放射線検出素子が二次元状に配列されたセンサパネルと、
を備え、
前記ハウジング本体部の前記放射線入射面の内面と、前記センサパネルとの間に緩衝材が設けられており、
前記緩衝材と前記ハウジング本体部の前記放射線入射面の内面との間に、板状の滑り部材が介装されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明のような方式の可搬型放射線画像撮影装置によれば、センサパネルがハウジング本体部に挿入される際、センサパネルが挿入方向に押されると、滑り部材がハウジング本体部の側面内壁から押圧されて撓みながら緩衝材を押圧するため、人為的に緩衝材をセンサパネル側に押圧しなくても、センサパネルを挿入方向に押して移動させるだけで、緩衝材は滑り部材を介してハウジング本体部の側面内壁から押圧されてセンサパネル側に圧縮される。
【0022】
そして、滑り部材がハウジング本体部の側面内壁に引っ掛かることなく、側面内壁に摺接しながらスムーズに挿入方向に移動し、センサパネルをスムーズに挿入することが可能となる。そのため、モノコックボディ方式のハウジングへのセンサパネルの挿入作業性を向上させることが可能となる。
【0023】
また、滑り部材や緩衝材がハウジング本体部に引っ掛からないため、例えば図22に示したように、挿入時に緩衝材が破壊されてその一部が欠落することが防止され、例えば図23に示したように、この欠けた緩衝材の一部がセンサパネルと放射線入射面との間の部分に移動して入射する放射線が遮断する等して放射線画像に欠陥やボケ等が生じることを的確に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影装置を示す斜視図である。
【図2】本実施形態におけるハウジングの分解斜視図である。
【図3】図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図4】本実施形態に係るセンサパネルの基板部分の構成を示す平面図である。
【図5】図4の基板上の小領域に形成された撮像素子と薄膜トランジスタ等の構成を示す拡大図である。
【図6】センサパネルの構成を説明する側面図である。
【図7】センサパネルの端部に取り付けられた緩衝材や滑り部材を説明する斜視図である。
【図8】(a)は断面形状がV字状に形成された緩衝部材を示す図であり、(b)はセンサパネルが案内されて位置決めされた状態を示す図であり、(c)はセンサパネルが緩衝部材により保持された状態を示す図である。
【図9】センサパネルがハウジング本体部に挿入される状態を説明する図である。
【図10】上側翼辺部が形成された滑り部材の変形例を説明する図である。
【図11】上側翼辺部と下側翼辺部が形成された滑り部材の変形例を説明する図である。
【図12】放射線入射面の内面とセンサパネルとの間に設けられた第2緩衝材を説明する断面図である。
【図13】第2緩衝材と放射線入射面との間に介装された第2滑り部材を説明する図である。
【図14】一体的に形成された滑り部材および第2滑り部材を説明する図である。
【図15】(a)放射線画像撮影装置を手から下げて持ち運ぶ状態を説明する図であり、(b)放射線画像撮影装置を脇に抱えて持ち運ぶ状態を説明する図である。
【図16】短辺側側面部に蓋部材とアンテナ装置が設けられた放射線画像撮影装置をブッキー装置に縦長の状態で装填した状態を説明する図である。
【図17】長辺側側面部に蓋部材とアンテナ装置が設けられた放射線画像撮影装置をブッキー装置に(a)縦長の状態および(b)横長の状態で装填した状態を説明する図である。
【図18】弁当箱タイプのハウジングの分解斜視図である。
【図19】モノコックボディ方式のハウジングの分解斜視図である。
【図20】ハウジングとセンサパネルとの間に設けられた緩衝材を説明する断面図である。
【図21】センサパネルをハウジング内に挿入する状態を説明する図である。
【図22】センサパネルの角部の押圧で緩衝材が破壊されてその一部が欠落する状態を説明する図である。
【図23】欠落した緩衝材の一部がセンサパネルと放射線入射面との間の部分に移動した状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る可搬型放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
【0026】
なお、以下、可搬型放射線画像撮影装置を単に放射線画像撮影装置と表す。また、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して光電変換素子で電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。なお、以下では、光電変換素子や検出素子をあわせて放射線検出素子という。
【0027】
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、本実施形態におけるハウジングの分解斜視図である。本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内に後述するセンサパネルSP等が収納されたカセッテ型の可搬型放射線画像撮影装置として構成されている。なお、図2ではセンサパネルSP等の図示が省略されている。
【0028】
ハウジング2は、放射線画像撮影時に被写体が載置され或いは近傍に配置された状態で放射線の照射を受ける側の面、すなわち放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部21を備える、いわゆるモノコックボディ方式とされている。ハウジング本体部21は、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されている。
【0029】
また、ハウジング2は、ハウジング本体部21の各開口部211、212を覆い、閉塞する蓋部材22、23を備えている。なお、図1や図2では、放射線入射面R等の広さに比べてハウジング2の放射線入射方向(すなわち放射線入射面Rに直交するZ方向)の厚さが比較的厚く表されているが、前述したCR用のカセッテや従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズにあうように形成した場合にはより薄く、その放射線入射方向の厚さが16mm以下、より正確には15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内の厚さに形成される。
【0030】
本実施形態では、蓋部材22、23は、蓋本体部221、231と、挿入部222、232とを備えており、それぞれ例えば非導電性のプラスチック等の非導電性の材料によって形成されている。蓋本体部221、231は、その外周がハウジング本体部21の各開口部211、212の外周の寸法とほぼ等しい寸法となるように形成されている。
【0031】
また、挿入部222、232を、ハウジング本体部21の各開口部211、212に嵌合するように、或いは各開口部211、212に圧入するように形成すれば、蓋部材22、23と開口部211、212の隙間からハウジング2の内部に外光が入り込むことを防止することが可能となり好ましい。
【0032】
さらに、図2に示すように、挿入部222、232の各側面部分から、ハウジング本体部21と蓋部材22、23とを係合する係合片223、233をそれぞれ蓋部材22、23のハウジング本体部21への挿入方向(図中のX方向)に延出させて、例えば係合片223、233の外側面にそれぞれ係合凸部224、234を設けておく。
【0033】
そして、係合凸部224、234とハウジング本体部21の内側に設けた係合凹部213、214とをそれぞれ係合させることで、ハウジング本体部21の内部が密閉されて、ハウジング本体部21と各蓋部材22、23とが一体となるようになっている。
【0034】
なお、ハウジング本体部21と各蓋部材22、23とを接合する手段は、ここに例示したものに限定されず、例えばねじ止めすることにより接合してもよいし、接着して固定するように構成することも可能である。
【0035】
本実施形態では、一方の蓋部材22の蓋本体部221の側面部分に、放射線画像撮影装置1が外部機器との間で無線により信号やデータ等の送受信を行うためのアンテナ装置24が埋め込まれている。
【0036】
また、蓋本体部221の同じ側面部分には、ハウジング2の内部に内蔵される図示しないバッテリを充電する際に外部の電源等と接続される充電用端子25や、放射線画像撮影装置1の電源のON/OFFを切り替える電源スイッチ26、例えばLED等で構成されバッテリの充電状況や各種の操作状況等を表示するインジケータ27等が設けられている。
【0037】
なお、本実施形態では、アンテナ装置24や充電用端子25等がすべて一方の蓋部材22に設けられている場合が例示されているが、これらの一部が他方の蓋部材23等に設けられる構成としてもよい。また、アンテナ装置24や充電用端子25等のインターフェース用部品は、ここに例示したものに限定されず、他の部品が含まれていてもよいし、これらのうちの一部を備えない構成としてもよい。
【0038】
図3は、図1におけるA−A線に沿う断面図である。センサパネルSPは、板状に形成されてハウジング2内に収納されており、図3に示すように、シンチレータ3や基板4等が積層されて形成されている。
【0039】
具体的には、まず、シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光線を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。シンチレータ3は、後述する基板4の検出部Pに貼り合わされるようになっている。
【0040】
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図4に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。
【0041】
基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、それぞれ照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。このように、放射線検出素子7は、基板4上に二次元状に配列されており、複数の放射線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0042】
本実施形態では、放射線検出素子7として、放射線入射面Rから入射した放射線がシンチレータ3で変換されて出力される電磁波の光量(シンチレータ3に入射した放射線の線量に応じて増加する。)に応じて電荷を発生させるフォトダイオードが用いられているが、この他にも、例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。
【0043】
また、図5の拡大図に示すように、各放射線検出素子7の一方の電極が、スイッチ素子であるTFT(薄膜トランジスタ)8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されており、TFT8のゲート電極8gは走査線5に接続されている。また、放射線検出素子7の他方の電極には、放射線検出素子7に逆バイアス電圧を印加するバイアス線9が接続されている。
【0044】
図4や図5に示すように、本実施形態では、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で1本の結線10に結束されている。
【0045】
本実施形態では、図4に示すように、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、IC12a等のチップが組み込まれたCOF(Chip On Film)等のフレキシブルケーブル12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0046】
また、前述したシンチレータ3は、図6に示すように、基板4の検出部Pに貼り合わされるようになっている。また、図6や図3に示すように、シンチレータ3の放射線入射面R側には、シンチレータ3等を保護するためのガラス基板14が配設されている。さらに、基板4の下面側には、基台15が配置されており、基台15には、電子部品16等が配設されたPCB基板17や緩衝部材18等が取り付けられている。
【0047】
図6に示したように、フレキシブルケーブル12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側でPCB基板17に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサパネルSPが形成されている。なお、図6における基板4や放射線検出素子7、シンチレータ3、ガラス基板14、基台15、PCB基板17等の相対的な厚さは必ずしも現実を反映したものではなく、また、図6では電子部品16や緩衝部材18等の図示が省略されている。
【0048】
センサパネルSPの基台15の一部、すなわちフレキシブルケーブル12と干渉しない各部分は、上方(Z方向)にそれぞれ屈曲されてセンサパネルSPの側方端部を被覆する被覆部15aとされている。また、図7に示すように、各被覆部15aの側面部分には、本実施形態では略直方体形状とされた緩衝材30がそれぞれ貼り付けられて固定されている。
【0049】
緩衝材30は、そのY方向の幅が、図3に示すようにセンサパネルSPをハウジング2のハウジング本体部21に挿入した状態でのセンサパネルSPの端部(本実施形態では被覆部15aの側面部分)とハウジング本体部21の側面内壁21a(図3参照)との間隔よりも大きくなるように形成されている。
【0050】
本実施形態では、緩衝材30は、それぞれ発泡ポリエチレンで形成されているが、後述するように、センサパネルSPがハウジング2内に挿入されて収納された際にセンサパネルSPの端部とハウジング本体部21の側面内壁21aとの間で押圧された状態となり、例えば放射線画像撮影装置1の落下時等に衝撃を受けた場合にセンサパネルSPが損傷されることを防止し、また、ハウジング2内でのセンサパネルSPのY方向の位置決めを行うことができるものであれば、発砲ウレタン等の他の素材や、ゴム等の他の材料を用いて緩衝材30を形成することも可能である。
【0051】
また、図7に示すように、本実施形態では、各緩衝材30の、被覆部15aに貼付された面とは反対側の各面30aには、各緩衝材30を連結するように細長い板状の滑り部材31が取り付けられている。本実施形態では、滑り部材31は、各緩衝材30の各面30aに接着されて取り付けられている。
【0052】
滑り部材31は、少なくともその各緩衝材30に接着される面とは反対側の面31a、すなわちハウジング本体部21(図3参照)の側面内壁21aに当接(圧接)される面31aが平滑性を有する状態に形成されており、柔軟性と剛性を適度に有していることが好ましい。そのため、樹脂製であることが好ましく、PET(polyethylene terephthalate)やPE(polyethylene)、PP(polypropylene)等が好ましく用いられる。
【0053】
なお、図2では図示を省略したが、ハウジング2の蓋部材22、23の枠体状に形成された挿入部222、232内側の凹部には、ハウジング本体部21内に挿入されたセンサパネルSPのX方向側両端部を保持してセンサパネルSPのハウジング2内でのX方向およびZ方向の位置決めを行うとともに、センサパネルSPに対して外部から伝達される外力を緩和する発泡ポリエチレンや発泡ウレタン、シリコン等からなる緩衝部材225、235がそれぞれ設けられている。
【0054】
緩衝部材225、235は、図8(a)に示すように、センサパネルSPの端部が当接する側の断面形状が略V字状とされており、ハウジング本体部21内に挿入されたセンサパネルSPの端部が緩衝部材225、235の端部の傾斜に沿ってX方向やZ方向に案内されるようになっている。
【0055】
そして、蓋部材22、23がハウジング本体部21に取り付けられる際、図8(a)、(b)に示すように、蓋部材22、23内部の緩衝部材225、235によりハウジング本体部21内に挿入されたセンサパネルSPの端部がX方向やZ方向に案内されて位置決めされる。
【0056】
そして、図8(c)に示すように、蓋部材22、23がさらに押し込まれてハウジング本体部21に接合される際、緩衝部材225、235の形状がセンサパネルSPの端部の形状に合わせて変形することで、センサパネルSPの端部が緩衝部材225、235によって保持される。このようにして、緩衝部材225、235は、センサパネルSPをハウジング2の内部でX方向およびZ方向の適正位置に保持するようになっている。
【0057】
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用について説明する。以下、主に、センサパネルSPをハウジング2のハウジング本体部21に挿入して収納する場合について説明する。
【0058】
前述したように、緩衝材30は、そのY方向の幅がセンサパネルSPの端部とハウジング本体部21の側面内壁21aとの間隔よりも大きく形成されている。そのため、図9に示すように、上記のようにY方向の両端部に緩衝材30と滑り部材31とが取り付けられたセンサパネルSPをハウジング2のハウジング本体部21の一方の開口部(例えば開口部211)から挿入する場合、緩衝材30をセンサパネルSP側(Y方向)に押圧した状態でセンサパネルSPをX方向に挿入する。
【0059】
その際、緩衝材30は、滑り部材31を介してハウジング本体部21の側面内壁21aにより押圧されて圧縮され、その弾発力により、逆に滑り部材31をハウジング本体部21の側面内壁21aに押し付ける。
【0060】
そして、この状態でセンサパネルSPがX方向に押されると、それ以降は、柔軟性と剛性を有する滑り部材31がハウジング本体部21の開口部211の側面内壁21a側のエッジ部分から押圧されて撓みながら緩衝材30を押圧するため、人為的に緩衝材30をセンサパネルSP側(Y方向)に押圧しなくても、センサパネルSPをX方向に押して移動させるだけで、緩衝材30は滑り部材31を介してハウジング本体部21の側面内壁21aから押圧されてセンサパネルSP側(Y方向)に圧縮される。
【0061】
また、滑り部材31は、ハウジング本体部21の側面内壁21aに当接される面31aが平滑性を有する状態に形成されているため、ハウジング本体部21の開口部211の側面内壁21a側のエッジ部分に引っ掛かることなく、エッジ部分に摺接しながらスムーズにX方向に移動する。そのため、センサパネルSPもスムーズにX方向に移動することができ、ハウジング本体部21内にスムーズに挿入される。
【0062】
なお、その際、本実施形態では、前述したように、滑り部材31は各緩衝材30に接着されて取り付けられているため、ハウジング本体部21の開口部211の側面内壁21a側のエッジ部分に摺接する滑り部材31と各緩衝材30との相対位置がずれてセンサパネルSPのみがハウジング本体部21内に挿入されることを防止することが可能となる。
【0063】
センサパネルSPが、ハウジング2のハウジング本体部21内に挿入されると、図3に示したようにセンサパネルSPのY方向端部とハウジング本体部21の側面内壁21aとの間で各緩衝材30が押圧され、緩衝材30とハウジング本体部21の側面内壁21aとの間に滑り部材31が介装された状態で、センサパネルSPが収納される。
【0064】
そして、センサパネルSPのY方向端部とハウジング本体部21の側面内壁21aとの間で押圧、圧縮された各緩衝材30の弾発力により、センサパネルSPがハウジング本体部21内でY方向に位置決めされる。
【0065】
また、緩衝材30は、例えば放射線画像撮影装置1を落下した場合の衝撃力のようにハウジング2(ハウジング本体部21)に対してY方向に外力が作用した場合に、その弾性や粘性、弾粘性によりその外力を低減、或いは吸収して、センサパネルSPにその外力が直接及ばないように作用することで、センサパネルSPの損傷を防止する。
【0066】
センサパネルSPが、図3に示したようにハウジング本体部21内に挿入され収納されると、図2に示したようにハウジング本体部21の両開口部211、212にそれぞれ蓋部材22、23が嵌め込まれて接合される。
【0067】
その際、本実施形態では、蓋部材22、23に設けられた緩衝部材225、235により、前述した図8(a)〜(c)に示したように、センサパネルSPの端部が緩衝部材225、235の端部の傾斜に沿ってX方向やZ方向に案内されて、センサパネルSPがハウジング本体部21内でX方向やZ方向に位置決めされる。
【0068】
また、緩衝部材225、235は、例えば放射線画像撮影装置1を落下した場合の衝撃力のようにハウジング2(ハウジング本体部21)に対して外力が作用した場合に、その弾性によりその外力を吸収して、センサパネルSPにその外力が直接及ばないように作用することで、センサパネルSPの損傷を防止する。
【0069】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、センサパネルSPを、その端部に固定された緩衝材30がセンサパネルSPの端部とハウジング本体部21の側面内壁21aとの間で押圧された状態で挿入される際に、緩衝材30とハウジング本体部21の側面内壁21aとの間に板状の滑り部材31が介装される状態で挿入され、収納されるように構成した。
【0070】
そのため、センサパネルSPがハウジング本体部21に挿入される際、センサパネルSPが挿入方向(X方向)に押されると、上記のように、滑り部材31がハウジング本体部21の側面内壁21aから押圧されて撓みながら緩衝材30を押圧するため、人為的に緩衝材30をセンサパネルSP側(Y方向)に押圧しなくても、センサパネルSPを挿入方向に押して移動させるだけで、緩衝材30は滑り部材31を介してハウジング本体部21の側面内壁21aから押圧されてセンサパネルSP側(Y方向)に圧縮される。
【0071】
そして、滑り部材31がハウジング本体部21の側面内壁21aに引っ掛かることなく、側面内壁21aに摺接しながらスムーズに挿入方向に移動し、センサパネルSPをスムーズに挿入することが可能となる。そのため、モノコックボディ方式のハウジング2の内側に緩衝材30を備えるセンサパネルSPの挿入作業性を向上させることが可能となる。
【0072】
また、滑り部材31や緩衝材30がハウジング本体部21に引っ掛からないため、例えば図22に示したように、挿入時に緩衝材30が破壊されてその一部が欠落することが防止され、例えば図23に示したように、この欠けた緩衝材30の一部がセンサパネルSPと放射線入射面Rとの間の部分に移動して入射する放射線が遮断する等して放射線画像に欠陥やボケ等が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0073】
なお、本実施形態では、図6や図7等に示したように、滑り部材31が細長い板状に形成されている場合について説明したが、図10に示すように、滑り部材31を、その上端、すなわちハウジング本体部21の放射線入射面R(図3参照)側の端部を内側に折り返して上側翼辺部31aを形成し、滑り部材31を断面略L字状になるように形成することも可能である。
【0074】
このように滑り部材31を形成すれば、上記の実施形態と同様の効果が発揮されるとともに、仮に何らかの原因で緩衝材30が破壊されてその一部が欠落した場合でも、その欠けた一部がセンサパネルSPと放射線入射面Rとの間の部分に移動することを上側翼辺部31aが的確に阻害する。そのため、欠けた一部がセンサパネルSPと放射線入射面Rとの間の部分に移動して入射する放射線が遮断する等して放射線画像に欠陥やボケ等が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0075】
なお、この場合の滑り部材31の上側翼辺部31aが、センサパネルSPの基板4の検出部Pの上方にまで延出し、両端で折返し、一枚の部材で構成することも可能であるが、滑り部材とシンチレータとの密着状態の相違(場所によって空気溜まりが形成される)が生じると、シンチレータに到達する放射線量が不均一になり、上側翼辺部31aによって入射した放射線が屈折される等して放射線画像に影響が現れてしまう可能性が生じるので製造時には注意が必要である。そのため、製造時の歩留まりを優先する場合、滑り部材31に上側翼辺部31aを形成する場合には、緩衝材30の上側を被覆するが、検出部Pの上方にまでは延出されない範囲で形成されることが好ましい。
【0076】
また、図11に示すように、滑り部材31に上側翼辺部31aを形成するだけでなく、その反対側の端部も内側に折り返して下側翼辺部31bを形成し、滑り部材31を断面略コ字状になるように形成することも可能である。
【0077】
このように滑り部材31を形成すれば、上記の実施形態と同様の効果が発揮され、また、上側翼辺部31aと形成した場合と同様の効果が得られるとともに、仮に何らかの原因で緩衝材30が破壊されてその一部が欠落した場合に、その欠落した一部がセンサパネルSPの電子部品16(図3参照)が形成された側に入り込んで、センサパネルSPの稼働状態に悪影響を及ぼすこと等を防止することが可能となる。
【0078】
なお、この場合、図11に示したように、滑り部材31の下側翼辺部31aを、前述したCOF等のフレキシブルケーブル12を被覆するように設ければ、フレキシブルケーブル12を保護することが可能となり好ましい。
【0079】
一方、図3に示したように、放射線画像撮影装置1のハウジング2のハウジング本体部21の放射線入射面Rの内面と、センサパネルSPとの間が空隙とされていると、例えばハウジング本体部21の放射線入射面Rに被写体が載置された場合に、その重量で放射線入射面Rが撓み、放射線入射面RとセンサパネルSPとがぶつかりあって、センサパネルSPが損傷されてしまう場合がある。
【0080】
そこで、それを防止するために、図12に示すように、ハウジング本体部21の放射線入射面Rの内面とセンサパネルSPとの間に第2の緩衝材32が設けられることも多い。
【0081】
しかし、このようにセンサパネルSPの上面に第2緩衝材32を設けると、センサパネルSPをハウジング本体部21内に挿入する際に、緩衝材30の場合と同様に、第2緩衝材32が例えばハウジング本体部21の開口部211のエッジ部分に引っ掛かって破壊され、その欠落した部分により、上記と同様に、放射線画像に欠陥やボケ等が生じたり、センサパネルSPの稼働状態に悪影響を及ぼしてしまう可能性がある。
【0082】
そこで、このようにハウジング本体部21の放射線入射面Rの内面とセンサパネルSPとの間に第2緩衝材32を設ける場合には、図13に示すように、第2緩衝材32とハウジング本体部21の放射線入射面Rの内面との間に、板状の第2滑り部材33を介装するように構成することが可能である。なお、図13では、滑り部材31として図6や図7に示したものを用いる場合が示されているが、滑り部材31として図10や図11に示したものを用いるように構成することも可能である。
【0083】
このように、第2緩衝材32とハウジング本体部21の放射線入射面Rの内面との間に第2滑り部材33を介装することで、センサパネルSPをハウジング本体部21に挿入して収納する際に、第2滑り部材33がハウジング本体部21の放射線入射面Rのエッジ部分に引っ掛かることなく、センサパネルSPをスムーズに挿入することが可能となる。そのため、ハウジング本体部21の放射線入射面Rの内面とセンサパネルSPとの間に第2緩衝材32を設けた場合にも、センサパネルSPの挿入作業性を向上させることが可能となる。
【0084】
また、第2滑り部材33や第2緩衝材32がハウジング本体部21に引っ掛からないため、センサパネルSPの挿入時に第2緩衝材32が破壊されてその一部が欠落することが防止され、この欠落した第2緩衝材32の一部により、放射線画像に欠陥やボケ等が生じたりセンサパネルSPの稼働状態に悪影響を及ぼしてしまうことを的確に防止することが可能となる。
【0085】
また、図13に示した滑り部材31と第2滑り部材33とを、図14に示すように、一体的に形成することも可能である。なお、図13に示した一体的に形成された滑り部材31と第2滑り部材33において、滑り部材31の部分の下方を内側に折り返して下側翼辺部31bを形成することも可能である。
【0086】
このように、滑り部材31と第2滑り部材33とを一体的に形成することで、いわば第2滑り部材33の端部を折り曲げて滑り部材31を形成することができるため、滑り部材31と第2滑り部材33とを一体的に形成することを非常に容易に行うことが可能となる。また、センサパネルSPをハウジング本体部21に挿入して収納する際に、滑り部材31や第2滑り部材33により、センサパネルSPをスムーズに挿入することが可能となり、センサパネルSPの挿入作業性を向上させることが可能となる。
【0087】
また、第2滑り部材33を第2緩衝材32の上面側に設ける際、第2滑り部材33を第2緩衝材32の上面に貼付して固定することも可能であるが、第2滑り部材33を第2緩衝材32の上面に貼付するための接着剤が、第2緩衝材32の上面に疎らに塗布されたり、塗布される厚さが均一でないと、入射した放射線が異常な方向に屈折される等して放射線画像に影響が現れてしまう可能性が生じる。
【0088】
そのため、一体的に形成された滑り部材31および第2滑り部材33のうち、滑り部材31の部分を緩衝材30に接着して取り付けるとともに、第2滑り部材33の部分は第2緩衝材32には接着しないようにして、一体的に形成された滑り部材31および第2滑り部材33をセンサパネルSPに取り付けることにより、一体的に形成された滑り部材31および第2滑り部材33がセンサパネルSPに安定的に取り付けられるとともに、上記の問題が発生することを的確に防止することが可能となる。
【0089】
なお、上記の実施形態およびその変形例では、図1や図2に示したように、モノコックボディ方式とされたハウジング2の短辺側側面部にハウジング本体部21の各開口部211、212を設ける場合について説明したが、ハウジング2の長辺側側面部にハウジング本体部21の各開口部を設けるように構成することも可能である。
【0090】
このように、ハウジング2の長辺側側面部にハウジング本体部21の各開口部を設けるように構成すれば、ハウジング2の短辺側側面部にハウジング本体部21の各開口部を設ける場合に比べて、図9に示したように、センサパネルSPをハウジング本体部21に挿入する際に滑り部材31がハウジング本体部21の側面内壁21aに圧接されながら摺動する距離が短くなるため、挿入作業を容易に行うことが可能となる。
【0091】
また、放射線画像撮影装置1を前述したJIS規格サイズに形成した場合、その平面的な広さは14インチ×17インチ(355.6mm×431.8mm、半切サイズ)等と比較的広くなり、しかも、重量が1〜3kg程度と比較的重いため、図15(a)に示すように手から下げて持ち運ぶと疲労する。
【0092】
そこで、通常、図15(b)に示すように、放射線画像撮影装置1の下方を把持して脇に抱えるようにして持ち運ばれる。しかも、縦方向の長さが17インチ(431.8mm)となると身長が低い人などには持ち難いため、図15(b)に示したように、横長に持って搬送されることが多い。
【0093】
その場合、図のようにハウジング2の長辺側側面部にハウジング本体部21の各開口部が設けられ、そこに蓋部材22、23が嵌め込まれて接合されていれば、蓋部材22、23をグリップ性が良好な材料で形成するなどして、放射線画像撮影装置1を持ち運び易く形成することが可能となる。
【0094】
また、放射線画像撮影装置1を前述したブッキー装置に装填して放射線画像撮影に用いられる際には、図16に示すように、放射線画像撮影装置1をブッキー装置Bにいわゆる縦長の状態で装填して用いられることが多い。
【0095】
その際、放射線画像撮影装置1のどの位置にアンテナ装置を設けるかにもよるが、上記の実施形態(図1参照)のように、ハウジング2の短辺側側面部に設けられたハウジング本体部21の各開口部に蓋部材22、23が嵌め込まれて接合され、一方の蓋部材22にアンテナ装置24が設けられていると、図16に示すように、アンテナ装置24がブッキー装置Bを構成する部材に遮蔽されるようになり、アンテナ装置24を介した無線通信を行うことが必ずしも容易でなくなる可能性がある。
【0096】
その点、図17(a)に示すように、ハウジング2の短辺側側面部に設けられたハウジング本体部21の各開口部に蓋部材22、23が嵌め込まれて接合され、一方の蓋部材22にアンテナ装置24が設けられていると、放射線画像撮影装置1をブッキー装置Bにいわゆる縦長の状態で装填して用いる場合には、アンテナ装置24がブッキー装置Bを構成する部材に遮蔽されることがない。そのため、アンテナ装置24を介した無線通信を容易に行うことが可能となる。
【0097】
また、図17(b)に示すように、放射線画像撮影装置1をブッキー装置Bにいわゆる横長の状態で装填して用いる場合にも、アンテナ装置24とブッキー装置Bを構成する部材との間に空間を生じるように構成することができるため、アンテナ装置24がブッキー装置Bを構成する部材に遮蔽されることを回避することができる。そのため、この場合も、アンテナ装置24を介した無線通信を行うことが可能となる。
【0098】
なお、図示を省略するが、ハウジング2の短辺側側面部に設けられたハウジング本体部21の各開口部に蓋部材22、23が嵌め込まれて接合され、一方の蓋部材22にアンテナ装置24が設けた場合でも、放射線画像撮影装置1をブッキー装置Bにいわゆる横長の状態で装填して用いれば、アンテナ装置24がブッキー装置Bを構成する部材に遮蔽されず、アンテナ装置24を介した無線通信を容易に行うことができる。
【0099】
また、本発明が上記の実施形態やその変形例に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0100】
1 放射線画像撮影装置(可搬型放射線画像撮影装置)
2 ハウジング
7 放射線検出素子
21 ハウジング本体部
32 第2緩衝材(緩衝材)
33 第2滑り部材(滑り部材)
R 放射線入射面
SP センサパネル
Z 放射線入射方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線入射面を有する角筒状のハウジング本体部を備えるハウジングと、
前記ハウジング内に収納され、照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる複数の放射線検出素子が二次元状に配列されたセンサパネルと、
を備え、
前記ハウジング本体部の前記放射線入射面の内面と、前記センサパネルとの間に緩衝材が設けられており、
前記緩衝材と前記ハウジング本体部の前記放射線入射面の内面との間に、板状の滑り部材が介装されていることを特徴とする可搬型放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記滑り部材は、前記緩衝材に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記滑り部材は、前記緩衝材には接着されておらず、前記センサパネルの端部部分に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の可搬型放射線画像撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−33055(P2013−33055A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−210893(P2012−210893)
【出願日】平成24年9月25日(2012.9.25)
【分割の表示】特願2009−2340(P2009−2340)の分割
【原出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】