説明

可搬式ガス警報器

【課題】優れた防塵・防水性能を有し、センサー校正時において被検ガスの外部への漏れが確実に防止されると共に安定した動作が得られる可搬式ガス警報器を提供すること。
【解決手段】この可搬式ガス警報器は、略箱状のハウジングの周面における一面に、複数のガスセンサーが並ぶよう配設されたガス検出部を有してなり、当該ガス検知部においては、複数のガスセンサーが、各々のガスセンサーのガス流路が互いに独立に形成されたセンサーキャップにより、固定保持され、前記ガス流路の各々に対応する位置に開口が形成されると共に外周縁の全周にわたって厚み方向に突出する突出縁が形成されたシート状のパッキンおよび当該突出縁によって囲まれた凹所内に収容された各々のガスセンサーに共通のシート状の防塵防水フィルタが、フィルタキャップによって、押圧状態で保持固定されると共に前記突出縁が弾性的に変形されてシール構造が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可搬式ガス警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば地下の工事現場や坑道、その他の人が立ち入る場所や作業領域などにおいて、その環境の空気中に一酸化炭素ガスや硫化水素ガスなどの危険性ガスが含有されるおそれがある場合や、空気中の酸素ガス濃度が低下しているおそれがある場合など、環境雰囲気の空気が危険な状態となっている可能性あるいは危険な状態となる可能性がある場合が少なくない。
そして、環境雰囲気の空気において、含有される危険性ガスの濃度が高いことにより、または酸素ガス濃度が低いことにより、人に対して危険な状態となったときには、そのことを直ちに知ることが必要であり、このような要請から、現在までに種々のタイプの可搬式のガス警報器が提案されており、これらの可搬式ガス警報器のある種のものは、互いに異なる種類のガス成分を検知する複数のガスセンサーが設けられており、複数のガス成分を同時に検知することができるよう構成されている。
【0003】
而して、このような可搬式ガス警報器においては、例えばマンホール内などの水が溜まっている場所などのガス測定対象空間の空気の状態を計測するために使用される場合もあることから、大気中の水滴などを含む水等がハウジングの内部に進入することを防止するために、防水構造が採られていることが望まれており、例えばガス検知部においては、被検ガスの流入を確保しつつ、水がガスセンサーに接触することを防止するため、防水機能を有するフィルタを装着することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
図8は、従来の可搬式ガス警報器の一例におけるガス検知部の構成の概略を示す断面図である。
この可搬式ガス警報器のガス検出部においては、ハウジング70の一方の側面(図8において左側面)に例えば4つのボタン型のガスセンサー75A、75B、75C、75Dを並んだ状態で保持するガスセンサー保持部71が形成されており、これらのガスセンサー75A〜75Dが、ガスセンサー保持部71にパッキン77を介して着脱自在に係合された、各々のガスセンサー75A〜75Dについてのガス流路76A、76B、76C、76Dが互いに独立して形成されたガスセンサー固定用枠部材76により、固定されて保持されている。
更に、ガスセンサー75A〜75Dに流入する大気の塵埃を除去すると共に水等の進入を防止する各ガスセンサー75A〜75Dに共通のシート状の防塵防水フィルタ80がガスセンサー固定用枠部材76における各々のガス流路76A〜76Dを覆うよう配置された状態において、フィルタ固定用部材78がシール部材79を介してガスセンサー固定用枠部材76に着脱自在に係合されている。
また、この可搬式ガス警報器においては、例えば炭化水素ガスを検知するガスセンサー75Bや一酸化炭素ガスを検知するガスセンサー75Cが用いられており、当該ガスセンサー75B、75Cに係る干渉ガス成分を除去するための、干渉ガス除去フィルタ81、82が、ガスセンサー固定用枠部材76と防塵防水フィルタ80との間に介装されている。
【0005】
しかしながら、上記構成の可搬式ガス警報器においては、図9に示すように、防塵防水フィルタ80が単にガスセンサー固定用枠部材76の外面に形成された凹所内に載置された状態とされているので、例えばガスセンサー校正時において供給される被検ガスが、防塵防水フィルタ80の肉厚中を流通して防塵防水フィルタ80の外周面80Aから流出し、防塵防水フィルタ80の外周面80Aとガスセンサー固定用枠部材76における凹所の内面との間の隙間を介して、周囲の環境に流出(漏洩)してしまうという問題がある。
また、干渉ガス除去フィルタ81は、ガスセンサー固定用枠部材76におけるガス流路76Bの開口縁部に形成された凹所による干渉ガス除去フィルタ保持部内に単に収容された状態とされているので、被検ガスが、干渉ガス除去フィルタ81の外周面と干渉ガス除去フィルタ保持部の内面との間の微小な隙間を介してガス流路76Bに流入し、特定のガスセンサー75Bが当該ガスセンサー75Bに係る干渉ガス成分の影響を受けて安定した動作を得ることができないという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開2002−116169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、優れた防塵・防水性能を有し、センサー校正時において被検ガスが外部に漏れることを確実に防止することができる可搬式ガス警報器を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、複数のガスセンサーの各々について、干渉ガス成分の影響を受けることなく安定した動作を得ることのできる可搬式ガス警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の可搬式ガス警報器は、略箱状のハウジングの周面における一面に、複数のガスセンサーが並ぶよう配設されてなるガス検出部を有してなり、
当該ガス検知部においては、複数のガスセンサーが、当該ガスセンサーの各々についてのガス流路が互いに独立した状態で形成されたセンサーキャップにより、固定されて保持され、更に、当該センサーキャップにおけるガス流路の各々に対応する位置に開口が形成されると共に外周縁の全周にわたって厚み方向に突出する突出縁が形成されたシート状のパッキンおよび当該パッキンの突出縁によって囲まれた凹所内に収容された各々のガスセンサーに共通のシート状の防塵防水フィルタが、センサーキャップに着脱自在に装着されるフィルタキャップによって、押圧状態で保持固定されていると共にパッキンの突出縁が弾性的に変形されてシール構造が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の可搬式ガス警報器においては、センサーキャップにおける少なくとも一のガス流路の外方側開口縁部には、当該ガス流路に対応するガスセンサーに係る干渉ガス成分を除去するシート状の干渉ガス除去フィルタが設けられており、
前記パッキンには、ガスセンサー側に位置される表面における前記ガス流路に対応する開口の周縁に沿って、内方に突出する凸部が形成されており、当該凸部がセンサーキャップにおける当該ガス流路内に嵌合されることにより、干渉ガス除去フィルタがその外面における周縁部が当該凸部によって押圧された状態で保持された構成とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の可搬式ガス警報器によれば、各々のガスセンサーに共通のシート状の防塵防水フィルタが、当該防塵防水フィルタとセンサーキャップとの間に介在されるシート状のパッキンにおける外周縁の全周にわたって形成された突出縁によって囲まれた凹所内に収容された状態で、設けられており、フィルタキャップによって、防塵防水フィルタおよびパッキンが押圧状態で保持固定されると共にパッキンの突出縁が弾性的に変形されてシール構造が形成された構成とされていることにより、パッキンにおける突出縁によって、防塵防水フィルタの周縁に沿ってシールされているので、例えばガスセンサーの校正時において供給される被検ガスが防塵防水フィルタの肉厚中を流通してその周面から流出することを防止することができ、被検ガスが周囲の環境に漏れることを確実に防止することができる。
【0011】
また、防塵防水フィルタとセンサーキャップとの間に介在されるパッキンのガスセンサー側表面において、特定のガスセンサーについてのセンサー保持部に通ずるガス流路に対応する開口の周縁に沿って、環状の凸部が形成されており、この凸部がセンサーキャップの対応するガス流路内に嵌合されることにより干渉ガス除去フィルタの周縁部が当該凸部によって押圧された状態で保持された構成とされていることにより、干渉ガス除去フィルタの周面とセンサーキャップにおけるガス流路の内面との間より被検ガスが進入することを防止することができるので、干渉ガス成分の影響を受けることなく安定した動作状態を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の可搬式ガス警報器の一例における構成を示す正面図、図2は、図1に示す可搬式ガス警報器の上面図、図3は、図1におけるB−B線断面図、図4は、図2におけるC−C線断面図である。以下においては、便宜上、図1における上下方向を「上下方向」と定義するが、可搬式ガス警報器の使用形態等を制限するものではない。
この可搬式ガス警報器10は、手で握って保持することのできる大きさとされた、全体が略箱型形状のハウジング11を具えており、このハウジング11の周面における一面、例えばハウジング11の下面に、複数のガスセンサーが面方向に並ぶよう配設されてなるガス検出部を有する。
【0013】
ハウジング11は、裏面側ハウジング部材12と、この裏面側ハウジング部材12に枠状のパッキンPを介して連結固定される、例えば透明な樹脂材料よりなる表面側ハウジング部材13とにより構成されている。
ハウジング11の内部には、必要な種々の機能素子が実装された平板状の動作制御用回路基板30がハウジング11の正面および背面に沿って延びるよう配設されており、この動作制御用回路基板30の表面側において、中央領域にパネル状表示機構31が設けられていると共に、裏面側において、動作制御用回路基板30等の電子部品が配置される空間と互いに水密状態で区画された空洞部25Aを有する区画室25が形成され、この区画室25の左右両側に、駆動用電源である円柱状の二次電池(蓄電池)60が配置されている。
【0014】
区画室25の内部空間は、表面側ハウジング部材13における表示部18の下方位置に形成された警報音放音用開口(以下、「前方放音用開口」という。)15に設けられた防塵ネット(図示せず)を介して外部に連通していると共に、区画室25の一部を形成する裏面側ハウジング部材12の上壁に形成された警報音放音用開口(以下、「上方放音用開口」という。)16およびこの上方放音用開口16に設けられた防塵ネット(図示せず)を介して外部に連通している。
【0015】
ハウジング11の裏面における、区画室25に対応する位置には、正面側に向かうに従って小径となる略円柱状空間部を形成する階段状の凹所により構成されたブザー配置室20が形成されており、ブザー配置室20を塞ぐよう蓋体14が設けられている。
ブザー21は、例えば円板状の金属板の一面上における中央部に円板状の圧電セラミックスが貼り合わせられた振動子よりなる薄板状の圧電素子により構成されており、例えばポリカーボネイトよりなるフィルム状の緩衝部材22により、ハウジング11に対して直接的に固定されない状態で配置されている。
【0016】
駆動用電源である二次電池(蓄電池)60は、例えばAAAサイズ(単4型)のニッケル水素(NiMH)電池,ニッケルカドミウム(NiCd)電池などが用いられており、金属よりなるスリーブ状放熱部材61が例えば二次電池60の外周面の全周にわたって密着して設けられて保持枠部材62によって保持された状態で、ハウジング11内に配置されている。
【0017】
この可搬式ガス警報器10においては、ブザー音による警報報知機構に加えて更に、警報用発光素子32の発光および警報用振動発生器33による振動による警報報知機構を具えた構成とされている。
【0018】
以上において、図1における符号55は、「POWER」および「MODE」が二段に表示されたメインスイッチとモード切替えスイッチを兼ねた第1の操作用ボタン、56は、「AIR」と表示された、ガスセンサーの種類、すなわち当該ガスセンサーの検知対象ガスの種類に応じて警報発生基準を変更する機能調整用の第2の操作用ボタン、19は、ハウジング11の正面およびこれに続く上面、両側面領域のそれぞれに形成された警報用発光部、図2における57は、例えばガスセンサーにより検知されて動作制御用回路基板30の記憶素子に記録されたガス濃度データを読み出すための赤外線通信ポートである。
【0019】
上述したように、この可搬式ガス警報器のハウジング11における下面には、センサユニット装着部17が形成されており、このセンサユニット装着部17に、互いに異なる種類のガスを検知する例えば4つのボタン型のガスセンサーを備えたセンサユニット35が着脱自在に装着され、これにより、ガス検出部が形成されている。
ガスセンサーとしては、例えば、ガルバニ型ガスセンサー素子よりなる酸素ガス検知用のガスセンサー36A、例えば接触燃焼式ガスセンサー素子よりなる炭化水素ガスを%LEL(爆発下限界濃度)の測定レンジで検知するガスセンサー36B、例えば定電位電解式ガスセンサー素子よりなる一酸化炭素ガス検知用のガスセンサー36C、例えば定電位電解式ガスセンサー素子よりなる硫化水素ガス検知用のガスセンサー36Dなどを挙げることができる。
【0020】
センサユニット35は、図5に示すように、4つのガスセンサーを長手方向に並んだ状態で保持するセンサー保持部が下面に形成されたセンサーホルダー37と、センサーホルダー37の外周面に沿った形態を有する枠状のパッキン40Aを介してセンサーホルダー37に着脱自在に装着される、各々のセンサー保持部に通ずる互いに独立したガス流路38A、38B、38C、38Dが形成されたセンサーキャップ38と、ガスセンサーとセンサーキャップ38との間に介在されるリング状パッキン40Bと、センサーキャップ38に着脱自在に装着されるフィルタキャップ41と、センサーキャップ38とフィルタキャップ41との間に積層状態で介装される、センサーキャップ38におけるガス流路38A〜38Dの各々に対応する位置に円形の開口46が形成された例えばゴムよりなる略シート状のパッキン(以下、「外部漏れ防止パッキン」という。)45および各々のガスセンサー36A〜36Dに共通の例えばPTFEよりなるシート状の防塵防水フィルタ50と、センサーホルダー37の上面に装着されるセンサー基板39とを備えている。
そして、炭化水素ガス検知用のガスセンサー36Bが保持されるセンサー保持部に通ずるセンサーキャップ38におけるガス流路38Bの下方側開口縁部に、炭化水素ガス検知用のガスセンサー36Bに係る干渉ガス成分を除去する円形のシート状の干渉ガス除去フィルタ51が設けられていると共に、一酸化炭素ガス検知用のガスセンサー36Cが保持されるセンサー保持部に通ずるセンサーキャップ38におけるガス流路38Cおよびこれに対応する外部漏れ防止パッキン45の開口46内に、略円柱状の活性炭フィルタ52が挿嵌されて設けられている。
【0021】
外部漏れ防止パッキン45は、図6(A)〜(D)に示すように、センサーキャップ38の下面に形成された凹所の内周面に沿った略長円形の平面形状を有し、厚み方向に伸びる垂立部47Aとこの垂立部47Aの両端の各々に連続して基体の面方向外方に向かって傾斜して伸びる片状部47Bを有する、端面形状が幅広のV字型とされた突出縁(リブ)47が外周縁部の全周にわたって形成されている。
【0022】
外部漏れ防止パッキン45における片状部47Bは、先端に向かうに従って肉厚が小さくなるよう形成されており、これにより、フィルタキャップ41が装着されるときの圧縮力による十分な変形性を有するものとして構成することができて所望のシール性を確実に得ることができる。
【0023】
また、この外部漏れ防止パッキン45における上面には、炭化水素ガス検知用のガスセンサー36Bについてのセンサー保持部に通ずるセンサーキャップ38におけるガス流路38Bに対応する開口46の周縁に沿って、環状の凸部48が形成されており、図7に示すように、この凸部48がセンサーキャップ38における対応するガス流路38B内に嵌合されることにより、干渉ガス除去フィルタ51がその下面における周縁部が当該凸部48によって押圧された状態で保持されている。
【0024】
このセンサユニット35においては、防塵・防水フィルタ50が外部漏れ防止パッキン45の突出縁47によって囲まれた凹所45A内に配置された状態において、フィルタキャップ41がセンサーキャップ38に着脱自在に装着されることにより、外部漏れ防止パッキン45および防塵・防水フィルタ50が押圧状態で保持されて固定されると共に、外部漏れ防止パッキン45の突出縁47が厚み方向に弾性的に変形されることによりシール構造が形成される。
【0025】
上記構成の可搬式ガス警報器10においては、環境雰囲気の空気が拡散してガスセンサー36A〜36Dに到達し、目的とするガスについてその濃度検知が行われ、その結果がパネル状表示機構31に表示される。そして、検知対象ガスの濃度が当該ガスについて設定された基準値を超えたときには警報動作信号が発せられ、これにより、ブザー21が作動されて前方放音用開口15および上方放音用開口16を介して警報音が外部に発せられる。
例えば、検知対象ガスが酸素ガス(O2 ガス)の場合には、基準値は例えば18.0体積%(vol%)とされ、それ以下となったときに警報動作信号が発せられる。また、基準値は、検知対象ガスが炭化水素ガス(HCガス)の場合には、例えば10%LEL(爆発下限界濃度に対するガス濃度)とされ、一酸化炭素ガス(COガス)の場合には例えば25ppmとされ、硫化水素ガス(H2 Sガス)の場合には例えば10ppmとされ、当該基準値を超えたときに警報動作信号が発せられる。
上記可搬式ガス警報器10においては、複数の種類の警報報知機構が設けられているが、それらの全部が一斉に駆動されることは必要ではなく、各警報報知機構が順次に所定時間だけ駆動されるサイクル的警報動作が行われることが好ましい。
【0026】
而して、上記構成の可搬式ガス警報器10によれば、各々のガスセンサー36A〜36Dに共通のシート状の防塵・防水フィルタ50が、当該防塵防水フィルタ50とセンサーキャップ38との間に介在されるシート状の外部漏れ防止パッキン45における外周縁の全周にわたって形成された突出縁47によって囲まれた凹所45A内に収容された状態で、設けられており、フィルタキャップ41によって、防塵防水フィルタ50および外部漏れ防止パッキン45が押圧状態で保持固定されると共に外部漏れ防止パッキン45の突出縁47が弾性的に変形されてシール構造が形成された構成とされていることにより、外部漏れ防止パッキン45における突出縁47によって、防塵防水フィルタ50の周縁に沿ってシールされているので、例えばガスセンサーの校正時において供給される被検ガスが防塵防水フィルタ50の肉厚中を流通してその周面から流出することを防止することができ、被検ガスが周囲の環境に漏れることを確実に防止することができる。
このように、ガス検知部において十分に信頼性の高いシール構造が形成されると共に防塵防水フィルタ50それ自体の性能により、可搬式ガス警報器10を優れた防塵防水性能を有するものとして構成することができる。
【0027】
また、外部漏れ防止パッキン45のガスセンサー側表面(上面)において、炭化水素ガス検知用のガスセンサー36Bについてのセンサー保持部に通ずるガス流路38Bに対応する開口46の周縁に沿って、環状の凸部48が形成されており、この凸部48がセンサーキャップ38の対応するガス流路38A内に嵌合されることにより干渉ガス除去フィルタ51がその下面における周縁部が当該凸部48によって押圧された状態で保持された構成とされていることにより、干渉ガス除去フィルタ51の周面とセンサーキャップ38におけるガス流路38Aの内面との間より被検ガスが進入することを防止することができる、換言すれば、被検ガスは干渉ガス除去フィルタ51を介して炭化水素ガス検知用のガスセンサー36Bに供給されることとなるので、干渉ガス成分の影響を受けることなく安定した動作状態を得ることができる。
【0028】
以上、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、外部漏れ防止パッキンにおける突出縁および凸部の高さや厚みなどの具体的な構成は、用いられる防塵防水フィルタおよび干渉ガス除去フィルタの厚み等に応じて適宜に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の可搬式ガス警報器の一例における構成を示す正面図である。
【図2】図1に示す可搬式ガス警報器の上面図である。
【図3】図1におけるB−B線断面図である。
【図4】図2におけるC−C線断面図である。
【図5】図1に示す可搬式ガス警報器におけるセンサユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図6】外部漏れ防止パッキンの構成を示す説明図であって、(A)平面図、(B)A−A線断面図、(C)X部詳細図、(D)Y部詳細図である。
【図7】図4の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【図8】従来の可搬式ガス警報器の一例におけるガス検知部の構成の概略を示す断面図である。
【図9】図8における一部を拡大して示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 可搬式ガス警報器
11 ハウジング
12 裏面側ハウジング部材
13 表面側ハウジング部材
14 蓋体
15 警報音放音用開口(前方放音用開口)
16 警報音放音用開口(上方放音用開口)
17 センサユニット装着部
18 表示部
19 警報用発光部
20 ブザー配置室
21 ブザー
22 緩衝部材
25 区画室
25A 空洞部
30 動作制御用回路基板
31 パネル状表示機構
32 警報用発光素子
33 警報用振動発生器
35 センサユニット
36A、36B、36C、36D ガスセンサー
37 センサーホルダー
38 センサーキャップ
38A、38B、38C、38D ガス流路
39 センサー基板
40A パッキン
40B リング状パッキン
41 フィルタキャップ
45 外部漏れ防止パッキン
45A 凹所
46 開口
47 突出縁(リブ)
47A 垂立部
47B 片状部
48 凸部
50 防塵防水フィルタ
51 干渉ガス除去フィルタ
52 活性炭フィルタ
55 第1の操作用ボタン
56 第2の操作用ボタン
57 赤外線通信ポート
60 二次電池(蓄電池)
61 スリーブ状放熱部材
62 保持枠部材
70 ハウジング
71 ガスセンサー保持部
75A、75B、75C、75D ガスセンサー
76 ガスセンサー固定用枠部材
76A、76B、76C、76D ガス流路
77 パッキン
78 フィルタ固定用部材
79 シール部材
80 防塵防水フィルタ
80A 防塵防水フィルタの外周面
81、82 干渉ガス除去フィルタ
P パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱状のハウジングの周面における一面に、複数のガスセンサーが並ぶよう配設されてなるガス検出部を有してなり、
当該ガス検知部においては、複数のガスセンサーが、当該ガスセンサーの各々についてのガス流路が互いに独立した状態で形成されたセンサーキャップにより、固定されて保持され、更に、当該センサーキャップにおけるガス流路の各々に対応する位置に開口が形成されると共に外周縁の全周にわたって厚み方向に突出する突出縁が形成されたシート状のパッキンおよび当該パッキンの突出縁によって囲まれた凹所内に収容された各々のガスセンサーに共通のシート状の防塵防水フィルタが、センサーキャップに着脱自在に装着されるフィルタキャップによって、押圧状態で保持固定されていると共にパッキンの突出縁が弾性的に変形されてシール構造が形成されていることを特徴とする可搬式ガス警報器。
【請求項2】
センサーキャップにおける少なくとも一のガス流路の外方側開口縁部には、当該ガス流路に対応するガスセンサーに係る干渉ガス成分を除去するシート状の干渉ガス除去フィルタが設けられており、
前記パッキンには、ガスセンサー側に位置される表面における前記ガス流路に対応する開口の周縁に沿って、内方に突出する凸部が形成されており、当該凸部がセンサーキャップにおける当該ガス流路内に嵌合されることにより、干渉ガス除去フィルタがその外面における周縁部が当該凸部によって押圧された状態で保持されていることを特徴とする請求項1に記載の可搬式ガス警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−281982(P2009−281982A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136960(P2008−136960)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000250421)理研計器株式会社 (216)
【Fターム(参考)】