説明

可搬式作業台装置

【課題】昇降スピードを早くして高所作業の能率アップを図れ、併せて、多段梯子が急激に下降するのを防止できる可搬式作業台装置を提供する。
【解決手段】下段ポスト3に取り付けた下段梯子10と、中段ポスト4に取り付けた中段梯子11と、作業台6に取り付けた上段梯子9と、下段ポスト3と中段ポスト4と上段ポスト5とを伸縮駆動する手動のウィンチ機構13とを備えた可搬式作業台装置において、中段梯子11の下端をローラブラケット14に回転自在に取り付けたローラを介して下段梯子10にスライド自在に嵌合し、同じく上段梯子12の下端を他のローラブラケット14に回転自在に取り付けたローラを介して中段梯子11にスライド自在に嵌合し、更に各ローラブラケット14、14に各ローラの移動と回転を阻止するロック機構Rを取り付けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業台上で配電線敷設などの高所作業、建築・土木工事現場における高所作業を行うのに利用する可搬式作業台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、市中の電柱間に張設された配電線の交換や高圧器の保守,点検を行う場合、あるいは建築・土木工事現場における高所作業には、専用車両に作業台を持ったリフトポストを設けた可搬式作業台装置が使用されている。
【0003】
かかる可搬式作業台装置では、専用車両に設けた発電設備の発生電力を利用してモータを駆動し、このモータにより油圧ポンプを駆動して、油圧により上記リフトポストの昇降を簡単,迅速に制御することができる点で、実用上極めて有益である。
【0004】
しかしながら、上記可搬式作業台装置は、リストポストの昇降も発電機,モータ,油圧ポンプを使用して行われるため、設備が大形化かつ複雑化し、コストが著しく高いものについてしまうという問題点があった。
【0005】
そこで、構造が丈夫で取扱いが容易であり、電力や油圧を使用せず、収納スペースを小さく抑えることができる可搬式作業台装置が開発されている。
【0006】
この可搬式作業台装置としては、例えば、特許文献1に開示された構造のもので広く使用されている。
【0007】
この可搬式作業台装置は、 台車と、上記台車上に起立する一対の支柱と、上記支柱に回転自在に取り付けた下段ポストと、上記下段ポスト内にスライド自在に挿入した中間ポストと、上記中間ポスト内にスライド自在に挿入した上段ポストと、上記上段ポスト上に設けた作業台と、上記下段ポストに下段ブラケットを介して取り付けた下段梯子と、上記中段ポストに中段ブラケットを介して取り付けた中段梯子と、上記作業台に上段ブラケットを介して取り付けた上段梯子と、上記下段ポストに対して上記中段ポストと上記上段ポストとを伸縮駆動する手動のウィンチを利用した駆動機構とを備えたものである。
【特許文献1】特開平8−290374号公報(要約、図面参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の可搬式作業台装置は、機能上特に欠陥がある訳ではないが、次のような不具合の改善が求められている。
【0009】
すなわち、上記の可搬式作業台装置は、多段梯子が垂直に配設されているため、各ポストを長くし、又はポストの数を多くして伸長時に作業台をより高く配置しようとする時、梯子を昇降する途中で作業者の体重が背中寄りに掛かって姿勢が反り返る場合が多くなり、梯子に対する昇降が不便でやりづらく、昇降スピードも落ち、高所作業の能率を低下させる。
【0010】
また、上記の可搬式作業台装置はウィンチのブレーキ、その他の安全装置が付設されているが、このウィンチや安全装置が故障したような場合、急に多段ポストが下降することが想定され、その結果垂直に配設された多段梯子も垂直に下降する恐れがあり、梯子を昇降中の作業者にとって安全上好ましくない。
【0011】
そこで、本発明は多段梯子に対する昇降を楽で安全に行え、昇降スピードを早くして高所作業の能率アップを図れ、併せて、多段梯子が急激に下降するのを防止できる可搬式作業台装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、台車と、上記台車上に起立する一対の支柱と、上記支柱に回転自在に取り付けた下段ポストと、上記下段ポスト内にスライド自在に挿入した一つ又は複数の中間ポストと、上記中間ポスト内にスライド自在に挿入した上段ポストと、上記上段ポスト上に設けた作業台と、上記下段ポストに下段ブラケットを介して取り付けた下段梯子と、上記中段ポストに中段ブラケットを介して取り付けた中段梯子と、上記作業台に上段ブラケットを介して取り付けた上段梯子と、上記下段ポストに対して上記中段ポストと上記上段ポストとを伸縮駆動する手動のウィンチ機構とを備えた可搬式作業台装置において、上記各下段梯子と中段梯子と上段梯子とをそれぞれ傾斜して配置し、上記中段梯子の下端をローラブラケットとこのローラブラケットに回転自在に取り付けたローラを介して上記下段梯子にスライド自在に嵌合し、同じく上記上段梯子の下端を他のローラブラケットとこのローラブラケットに回転自在に取り付けたローラを介して上記中段梯子にスライド自在に嵌合し、更に上記各ローラブラケットに各ローラの移動と回転を阻止するロック機構を取り付けたことを特徴とする。
【0013】
この場合、各下段梯子と中段梯子と上段梯子を断面コ字状の一対の長尺フレームと各フレーム間に架設した複数のステップとで形成し、更に上段梯子の上端が上段ブラケットにヒンジ結合されていると共に下端に取り付けたローラが上記中段梯子に揺動自在に嵌合し、同じく上記中段梯子の上端が上記中段ブラケットにヒンジ結合されていると共に下端に取り付けたローラが上記上記下段梯子に揺動自在に嵌合しているのが好ましい。
【0014】
同じく、上記ロック機構が中段梯子又は上段梯子のフレームに固定した筒状のソッケトと、上記ソケットの端部に固定したナットと、上記ナットに移動自在に螺合したハンドル付きねじロッドと、上記ねじロッドの先端に固定されて上記ローラに対向するプッシュロッドとで構成し、上記ねじロッドを介して上記プッシュロッドを上記フレームの外側面に押圧して当該フレームを上記ローラに押し当ててこのローラを制動させるようにしているのが好ましい。
【0015】
上記ロック機構がローラブラケットに結合した筒状のソッケトと、上記ソケットの端部に固定したナットと、上記ナットに移動自在に螺合したハンドル付きねじロッドと、上記ねじロッドの先端に固定されて上記ローラに対向するプッシュロッドとで構成し、上記ねじロッドを介して上記プッシュロッドを上記フレームの外側面に押圧して当該フレームを上記ローラに押し当ててこのローラを制動させるようにしているのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
各請求項の発明によれば、次の効果を達成できる。
【0017】
1 下段梯子、中段梯子、上段梯子が多段式に傾斜した配置されているので、これらの梯子を作業者が昇降するとき作業者の体重は前側、即ち梯子側にかけることが可能になり、反り返って落下する危険が防止でき、梯子に対する昇降が安全で、その結果作業者が安心して昇降できるから昇降が楽になり、昇降スピードを早くでき、高所作業の能率を向上できる。
【0018】
2 同じく、中段梯子がローラを介して下段梯子に嵌合し、上段梯子がローラを介して中段梯子に嵌合しているから、上段梯子と中段梯子がスムースに伸縮でき、作業台の伸長、下降作業のスピードアップも図れる。
【0019】
3 同じく、各ローラの移動と回転を阻止するロック機構を設けているから、多段梯子を伸長した状態でも、各梯子がかってに下降したり、ガタついたりするのが防止でき、安全である。特に、ポスト側に設けた他の安全装置と協働させることにより、いずれか一つが故障したり、作動不良を起こしても、より安全性を向上されることが出来る。
【0020】
4 請求項2の発明によれば、中段梯子と上段梯子の各上端がブラケットにヒンジ結合され、下部のローラが下方の梯子に揺動自在に嵌合しているから、各梯子の傾斜角度が若干異なっていたとしても、中段梯子が下段梯子に対して、同じく上段梯子が中段梯子に対してスライドして伸縮するとき上側の背後の傾斜角度を補正しながら伸縮できる。
【0021】
5 請求項3の発明によれば、ロック機構が、ハンドル付きねじロッドの操作でプッシュロッドを伸縮させてローラを制動させているので、確実に梯子のスライドをロックできると共にロック状態とロック解除状態を正確に視認でき、安全性の向上を図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明の実施の一形態を図に基づいて説明する。
【0023】
本発明の一実施の形態に係わる可搬式作業台装置は、従来の可搬式作業台装置と同じく、台車1と、上記台車1上に起立する一対の支柱2,2と、上記支柱2,2に回転自在に取り付けた下段ポスト3と、上記下段ポスト3内にスライド自在に挿入した一つ又は複数の中間ポスト4と、上記中間ポスト4内にスライド自在に挿入した上段ポスト5と、上記上段ポスト上に設けた作業台6と、上記下段ポスト3に下段ブラケット7を介して取り付けた下段梯子10と、上記中段ポスト4に中段ブラケット8を介して取り付けた中段梯子11と、上記作業台6に上段ブラケット9を介して取り付けた上段梯子9と、上記下段ポスト3に対して上記中段ポスト4と上記上段ポスト5とを伸縮駆動する手動のウィンチ機構13とを備えている。
【0024】
更に、上記上段ポスト5の上端には作業台6が固定されており、この作業台6の前面および側面には、手摺り29の下端が取り付けられている。
【0025】
この手摺り29は、図2に示すように、作業台29に設けられたヒンジ部30にこれを中心に回動可能に支持されている。
【0026】
そして、本発明では、図1、図3、図4に示すように、上記各下段梯子10と中段梯子11と上段梯子12とをそれぞれ傾斜して配置し、上記中段梯子11の下端をローラブラケット14とこのローラブラケット14に回転自在に取り付けたローラ15とを介して上記下段梯子10にスライド自在に嵌合し、同じく上記上段梯子12の下端を他のローラブラケット14とこのローラブラケット14に回転自在に取り付けたローラ15とを介して上記中段梯子11にスライド自在に嵌合し、更に上記各ローラブラケット14、14に各ローラ15、15の移動と回転を阻止するロック機構Rを取り付けている。
【0027】
この場合、下段梯子10と中段梯子11と上段梯子12を断面コ字状の一対の長尺フレームF、Fと各フレームF、F間に架設した複数のステップGとで形成し、更に上段梯子12の上端が上段ブラケット9にヒンジ結合されていると共に下端に取り付けたローラ15が上記中段梯子11に揺動自在に嵌合し、同じく上記中段梯子11の上端が上記中段ブラケット8にヒンジ結合されていると共に下端に取り付けたローラ15が上記上記下段梯子10に揺動自在に嵌合している。
【0028】
上記ロック機構Rは図3、図4に示すように、中段梯子11及び上段梯子12のフレームFの下部にそれぞれボルト結合した板状のローラブラケット14と同じくフレームFの下端に溶接等で結合した筒状のソッケト16と、この上記ソケット16の端部に挿入して固定したナット17と、上記ナット17に移動自在に螺合したハンドル付きねじロッド18と、上記ねじロッド18の先端に固定されて上記ローラ15に対向するプッシュロッド19とで構成している。
【0029】
そして、ハンドル18で回転駆動されるねじロッド18を介して上記プッシュロッド19を上記フレームFの外側面に押圧したとき当該フレームFを上記ローラ15に押し当ててこのローラ15を制動させるようにしている。
【0030】
台車1は水平な枠体からなる台車本体20と、台車本体20の下部四隅に設けたキャスタ21と、台車本体20に回転自在なブラケット22を介して取り付けたアウトリガー23と、台車本体20の端部に一体に起立した手押し操作ハンドル24とで構成されている。
【0031】
更に、上記支柱2の下部には第1のポスト倒れ防止装置Pが回転自在に取り付けられ、同じく、下段ポスト3の下部外面と上記台車本体20との間に他の第2のポスト倒れ防止装置Qが取り付けられており、図1に示すように各ポストを伸長したとき各ポストが転倒するのを防止している。
【0032】
これら二つのポスト倒れ防止装置P,Qは単独で使用してもよく、両者を協働して使用しても良い。
【0033】
又、上記手押し操作ハンドル24には図1、図2に示すように、下段ポスト3を水平に倒して格納した時、このポスト3の揺れや脱落を防止する二組のポスト保持装置S、Tが設けられている。
【0034】
上記一方のポスト保持装置Sは上記第2のポスト倒れ防止装置Qと同じ構造を採用しており、図1に示すように下段ポスト3、中段ポスト4、上段ポスト5を伸長して垂直に起立したとき第2のポスト倒れ防止装置Qを使用して各ポストが転倒するのを防止している。
【0035】
そして、図2に示すように、各ポストを縮めた状態で水平に格納した時、ポスト保持装置Sを使用して各ポストが揺れたり、外れたりするのを防止している。
【0036】
更にまた、下段ポスト3と中段ポスト4のコーナにはポストの滑り防止装置Uがそれぞれ設けられ、図1に示すように各ポストが伸長した時、ウィンチ機構13の故障等があっても、上方からの重量で各ポストが下方に滑り落ちないようにしている。
【0037】
上記第1のポスト倒れ防止装置Pは、支柱2の下部外周に水平に取り付けたガイドパイプ31と、台車本体20に垂設したブラケット34と、ガイドパイプ31とブラケット34に回転自在に取り付けた駆動ロッド32と、駆動ロッド32の一端に設けた操作レバー35と、操作レバー35と上記ブラケット34との間に介装されて常時操作レバー35を正面から見て時計方向に向けて引き込むスプリング36と、駆動ロッド32の他端に設けられて下段ポスト3の背面に対向して起立する板状のストッパ32とで構成されている。
【0038】
ところで、各ポスト3,4,5は軸25を中心にして回転するが、図2に示すように、軸25より右側(図1において下側)の長さは軸25の左側(図1において上側)の長さより短くされている。
【0039】
これは、図2に示すように、作業現場、例えば、建築物の壁際に格納した状態の可搬式作業台装置をできるだけ近づけて作業がしやすいようにするため、下段ポスト3の右側寄りに回転中心となる軸25を設定している。
【0040】
この為、下段ポスト3の軸25より右側の長さは短くなり、下段ポスト3の右端が壁際に向けて張り出さないようになっている。
【0041】
従って、各ポスト3,4,5はそれ自体軸25より左側の方が重く、しかも作業台6の重量や、各梯子の重量や、作業台6に乗り込んだ作業者の体重も加わることから、図1に示すように各ポスト3,4,5が伸長して起立した状態では、軸25を支点にして各ポストが図1において反時計方向に回転する恐れがある。
【0042】
そこで、図1のように各ポスト3,4,5を伸長して起立させている時は図1の左側(正面)から見て、駆動ロッド32と操作レバー35とをスプリング36で時計方向に引っ張り込み、駆動ロッド32を介してストッパ22を下段ポスト3の右側(背面)に対向して起立させておく。
【0043】
このため、図1において、下段ポスト3等が軸25を反時計方向に回転しようとしも、この下段ポスト3の下部がストッパ22に係止されて回転が阻止され、そのままロックされて、安全性が確保されている。
【0044】
他方、各ポスト3、4、5や各梯子10、11、12を縮めて図2に示すように回転して水平に格納する場合は上記のロック状態を解消する。
【0045】
この場合は、上記と逆に、スプリング36に抗して操作レバー35を反時計方向に手動又は足で回転し、駆動ロッド32を介して同一方向にストッパ22を回転させる。
【0046】
この時は、ストッパ22が連動して同一方向に回転し、これが下段ポスト3の下方に回転して移動するため、当該ストッパ22は下段ポスト3の背面からはずれ、下段ポスト3を図2にように軸25を中心にて回転させ、水平に格納させることが出来る。
【0047】
次に、上記第2のポスト倒れ防止装置Qは、いわゆるフランス落しと言われるロック機構と同じ構造を採用している。
【0048】
この第2のポスト倒れ防止装置Qは図1、図2、図6に示すように、下段ポストの下部外面に固定した板状のブラケット38と、ブラケット38に固定した長板状のストッパ39と、ストッパ39に形成した上下二つのストップ溝40、40と、ブラケット38に固定した縦方向のソケット43と、ソケット43内に上下移動自在に挿入した回転自在なロックピン41と、ロックピン41に結合されて上記二つのストップ溝40,40のいずれかに選択的に嵌合する水平なストップレバー42と、台車本体20上に起立して設けた支持板45と、この支持板45に取り付けられて上記ロックピン41に対向してこれを抜き差し自在に受容する係止パイプ44とで構成されている。
【0049】
これにより、下段ポスト3等が垂直に起立している図1の状態時にはストップピン41が下降して係止パイプ44内に挿入し、この係止パイプ44がブラケット38と支持板45とを結合するため、ブラケット38と下段ポスト3が台車本体20に対して垂直状態を維持できるようにロックされ、ポストの倒れが防止されている。
【0050】
この時ストップレバー42は下方のストップ溝40に嵌合して当該ストップレバー42が上方に抜け出ないようになっている。
【0051】
他方、図2のように各ポストを水平に格納する場合は、上記のストップレバー42を回転して下方のストップ溝40からはずし、次いでロックピン41を引き上げて係止パイプ44から抜き出し、ロックを解除し、次いでストップレバー42を上方のストップ溝40に嵌合して下降しないようにしておく。
【0052】
これにより、ブラケット38と下段ポスト3が台車本体20側の係止板45からはずれ、下段ポスト3を軸25を支点にして回転させることができる。
【0053】
更に、この回転された下段ポスト3は次のポスト保持装置Sで保持される。
【0054】
このポスト保持装置Sは上記の第2のポスト倒れ防止装置Qと実質的に構造が同じである。即ち、この場合、上記の係止パイプ44の代わりに、図7に示すように、手押し操作ハンドル24の上部に設けた水平な板状ブラケット46と、このブラケット46上に取り付けたソケット47とを利用している。
【0055】
この場合のロック、またはロック解除操作はロックピン41をソケット47に対する抜き差し操作で行うもので構造、作用効果は第2のポスト倒れ防止装置Qの場合と同じである。
【0056】
なお、手押し操作レバー24の上端には他のポスト保持装置T設けられ、これは図2に示すように下段ポスト3を押圧して揺れを防止する上下移動自在なパッド48から構成されている。
【0057】
次に、上記のポストの滑り防止装置Uは、例えば、図5に示すように、下段ポスト3のコーナに貫通して設けたガイド筒48と、ガイド筒48内に移動自在に螺合したねじロッド49と、ねじロッド49の外端に設けたハンドル50と、ねじロッド49の内端に設けたコマ51とで構成され、ハンドル50を介してねじロッド49を移動してコマ51を中段ポスト4のコーナに押圧した時中段ポスト4がコマ51との間のフリクションで滑り落ちないようになっている。
【0058】
この為、ウィンチ機構13やワイヤ27に故障、作動不良、破損があった場合でも各ポスト4、5が滑り落ちるのを防止して安全性を確保している。
【0059】
次に、上記可搬式作業台装置の全体構造とこれに伴う操作手順を簡単に説明する。
【0060】
図2に示すように各上段ポスト5と中段ポスト4とを下段ポスト3内に下降して収容し、次いで、下段ポスト3を水平に倒してコンパクトに格納した状態で、手押し操作ハンドル24を押しながらキャスタ21で所定の作業現場に移送し又は撤去させる。
【0061】
台車本体20の中央にはブラケットを介して一対の支柱2,2を起立して固定させ、この支柱2,2の上端に設けた軸26にブラケット26を介して例えば角パイプからなる下段ポスト3の胴部が回転自在に結合され、下段ポスト3は図1の垂直位置から図2の水平位置まで軸25を中心にして回転できるようになっている。
【0062】
上記下段ポスト3には内部に角パイプからなる中段ポスト4が昇降自在に収容され、この中段ポスト3内には角パイプからなる上段ポスト5が昇降自在に収容されている。
【0063】
また、上記下段ポスト3の側面には手回し式のウィンチ13が取り付けられ、このウィンチ13のドラムに巻き付けられ、または巻き戻されるワイヤー27が下段ポスト3と中段ポスト4と上段ポスト5にそれぞれ設けたシーブを経由して、同じく下段ポスト3の外面に設けた他のブラケット23に止着されている。
【0064】
即ち、このワイヤー27は、途中で各ポスト3,4,5の外側又は内部に設けたシーブやガイドローラなどに巻かれており、上記ウィンチ13のドラムへのワイヤーの巻き取り又は巻き戻しにより、下段ポスト3に対して、各中段ポスト4、上段ポスト5を所定の高さに順次上昇させ又は下降させることができるようになっている。
【0065】
かかる構成になる可搬作業台装置では、上記台車1を手押し操作ハンドル24を押しながらキャスタ21を介して所定位置に移動させ、所定の作業現場でブラケット22を回転してアウトリガー23を起立させて台車1の安定させる。
【0066】
即ち、アウトリガー23を十分に強く地面やコンクリート床上に圧接させることができ、作業台29が高所に位置して重心が上方に移動した場合でも、台車1を倒れないように地面やコンクリート床上に安定に支持させる。
【0067】
次に、ウィンチ13を手動操作することにより、これのドラムにワイヤー27を巻き取り、下段ポスト3に対して、中段ポスト4および上段ポスト5を作業位置の高さまで上昇させる。
【0068】
このとき、上記中段11および上段梯子12も多段式に上昇し、作業者は各梯子10,11,12を登り、作業台29上に乗ることができる。
【0069】
そして、この作業台29における高所作業終了後は、上記の各梯子10,11,12を介した地上に降り、次いで上記ウィンチ3を上記と逆方向に操作することで、上段ポスト5と中段ポスト4を下段ポスト3内に収める。
【0070】
一方、上記作業終了後、この可搬作業台装置を移動または収納する場合には、図2に示すように、手摺29を折り畳み、下段ポスト3を軸25を中心にして水平に回転して格納させる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる可搬式作業台の側面図である。
【図2】図1の可搬式作業台を折り畳んで格納した状態の側面図である。
【図3】ロック機構の拡大斜視図である。
【図4】図3のロック機構の分解斜視図である。
【図5】第1のポスト倒れ防止装置の拡大斜視図である。
【図6】図5の第1のポスト倒れ防止装置を組み込んだ台車部分の斜視図である。
【図7】第2のポスト倒れ防止装置の拡大斜視図である。
【図8】ポスト保持装置の拡大斜視図である。
【図9】ポストの滑り防止装置の拡大横断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 台車
2 支柱
3 下段ポスト
4 中間ポスト
5 上段ポスト5
6 作業台
7 下段ブラケット
8 中段ブラケット
9 上段梯子
10 下段梯子
11 中段梯子
13 ウィンチ機構
14 ローラブラケット
15 ローラ
16 ソケット
17 ナット
18 ロッド
19 プッシュロッド
R ロック機構
F フレーム
G ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車1と、上記台車1上に起立する一対の支柱2,2と、上記支柱2,2に回転自在に取り付けた下段ポスト3と、上記下段ポスト3内にスライド自在に挿入した一つ又は複数の中間ポスト4と、上記中間ポスト4内にスライド自在に挿入した上段ポスト5と、上記上段ポスト上に設けた作業台6と、上記下段ポスト3に下段ブラケット7を介して取り付けた下段梯子10と、上記中段ポスト4に中段ブラケット8を介して取り付けた中段梯子11と、上記作業台6に上段ブラケット9を介して取り付けた上段梯子9と、上記下段ポスト3に対して上記中段ポスト4と上記上段ポスト5とを伸縮駆動する手動のウィンチ機構13とを備えた可搬式作業台装置において、上記各下段梯子10と中段梯子11と上段梯子12とをそれぞれ傾斜して配置し、上記中段梯子11の下端をローラブラケット14とこのローラブラケット14に回転自在に取り付けたローラ15とを介して上記下段梯子10にスライド自在に嵌合し、同じく上記上段梯子12の下端を他のローラブラケット14とこのローラブラケット14に回転自在に取り付けたローラ15とを介して上記中段梯子11にスライド自在に嵌合し、更に上記各ローラブラケット14、14に各ローラ15、15の移動と回転を阻止するロック機構Rを取り付けたことを特徴とする可搬式作業台装置。
【請求項2】
各下段梯子10と中段梯子11と上段梯子12を断面コ字状の一対の長尺フレームF、Fと各フレームF、F間に架設した複数のステップGとで形成し、更に上段梯子12の上端が上段ブラケット9にヒンジ結合されていると共に下端に取り付けたローラ15が上記中段梯子11に揺動自在に嵌合し、同じく上記中段梯子11の上端が上記中段ブラケット8にヒンジ結合されていると共に下端に取り付けたローラ15が上記上記下段梯子10に揺動自在に嵌合している請求項1に記載の可搬式作業台装置。
【請求項3】
上記ロック機構Rが中段梯子11又は上段梯子のフレームFに固定した筒状のソッケト16と、上記ソケット16の端部に固定したナット17と、上記ナット17に移動自在に螺合したハンドル付きねじロッド18と、上記ねじロッド18の先端に固定されて上記ローラ15に対向するプッシュロッド19とで構成し、上記ねじロッド18を介して上記プッシュロッド19を上記フレームFの外側面に押圧して当該フレームFを上記ローラ15に押し当ててこのローラ15を制動させるようにしている請求項2に記載の可搬式作業台装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−115758(P2010−115758A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292199(P2008−292199)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(595006186)エヌ・ケー・エンジニアリング株式会社 (3)
【Fターム(参考)】