説明

可撓性を有する椎体間装置

隣接する椎骨間に椎体間装置(20)の移植するためのシステムであって、このシステムは、可撓性のブリッジに固定された複数の缶状部材およびこれらの間に位置する緩衝部分を有する椎体間装置を含む。挿入管(100)およびこれに対応するブルノーズ(600)は、これらを所定の位置に正確に配置するために延長腕部によって椎骨に固定されるので有利である。複数の連接トライアルプラントが椎間に嵌められる椎体間装置の適切な大きさを調べるために提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年7月9日出願の「改良された椎体間移植システムおよび方法」と題する同時係属中の米国仮特許出願第61/224,333号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、椎間板置換術または脊椎固定用の椎体間装置(inter-body device)に関し、より具体的には椎間板置換術用装置または脊椎固定用椎体間装置を含むシステム、およびこれら装置を複数の外科的手法を利用して椎間腔に設置するための挿入システムおよび挿入方法に関する。
【背景技術】
【0003】
正常な人間の脊椎は、7つの頸椎、12の胸椎および5つの腰椎で構成されている。椎間板は、最初の2つの頸椎を除いて、隣接する椎骨の間に挟まれている。これらの椎骨は、屈曲、伸張、側屈および捻転などの運動を行う靱帯、腱および筋肉によって支持されている。
【0004】
椎骨間の動きは、椎間板と2つの椎間関節の相対運動によって生じる。椎間板は、脊椎の前部に位置している。椎間関節は、脊椎の後部のいずれかの側に横方向に延びている。人間の椎間板の形状は、長円形であり、その長側部がへこんでおり、インゲンマメの様な形状をなしている。
【0005】
脊椎は、大きく湾曲したり、複数の方向にねじたっりすることができる柔軟な構造を有する。しかしながら、発育上のまたは遺伝的異常、外傷、経年負荷および摩耗による変性によって外科的処置を必要とする場合がある。変性(または怪我および病気)の場合、隣接する椎骨間を隔てる機能を行えなくなった椎間板を取り除く必要がある、または望ましい場合がある。これは特に慢性的なそして身体を衰弱させる腰痛などがおこりやすい変性またはヘルニアの場合に望ましい。
【0006】
損傷した椎間板は、天然の椎間板と機能的に同一になるような人工椎間板に交換される場合がある。いくつかの従来の交換用椎間板は、交換される椎間板と同じ形状に形成され、さらに脊椎の僅かな領域に挿入するために変形し、その後挿入が完了したら元の形状に広がるような形状記憶弾性材料で構成されている。多くの従来の人工椎間板による主要な問題点の1つにこれらが脊椎の構造および脊椎近傍の神経構造によって外科的に体の正面から挿入することが最も簡単に挿入できるということである。しかしながら、外科的に体の前方から処置することは、かなりの侵襲的な処置となる。
【0007】
さらに多くの従来の交換用椎間板は、いくつかの材料を組み合わせた複雑な装置であり、かさばり、そして隣接する椎骨間に適切に挿入するのが困難である。これら従来の装置を移植する場合、正しい位置に設置するために侵襲的な手術が必要となる。さらにいくつかの交換用椎間板は、人間の椎間板の中心部のゼラチン状の組織に似せるためにヒドロゲルなどの材料を使用している。しかしながら、これらの材料は、移植中に損傷しやすく、また意図していない人体の領域に移動しやすい。
【0008】
隣接する椎骨を互いに固定するための多くの従来の椎体間装置も椎間板の変性によって生じる痛みおよび不快感を緩和するために採用されている。これら従来の装置もその複雑な構造および人間の脊椎の複雑な形状により移植するのが困難であり、侵襲的な処置を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、損傷したまたは変性した椎間板の交換を効果的に行うために頑丈で外科的侵襲処置を最低限にした椎体間装置または椎間板交換装置および椎体間固定または椎間板交換装置を挿入するための移植システムのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、本物の椎間板に生理上、より近い改良された椎体間装置を提供し、かつ、椎間に適当な大きさの椎体間装置を正確かつ迅速に外科医が設置できるようにする椎体間装置配置用のシステムおよび配置する方法を提供し、これにより手術時間を最小限にし、椎間板交換手術からの回復時間を大幅に改善し、従来技術の上述の問題を改善する。
【0011】
本発明の改良された椎体間装置は、複数の缶状の部分または環状の胴体部を含み、これらは可撓性のブリッジから延び、このブリッジによって缶が個々に撓み、これら缶部を互いに押し合うことによって椎間により簡単に配置することができ、配置された後は元の形に戻る。缶状部は、固定処理を補助するための骨移植材を受ける複数の開口部および椎間に挿入する際に椎体間装置を案内し、隣接する椎骨と係合する役割をする上下の波形面をさらに含む。
【0012】
本発明の椎体間挿入装置は、処置中複数の器具を椎間内で同じ向きに案内するように形成された挿入管を含む。挿入されると、挿入管は、これを所定の位置に係止する延長腕部によって脊椎に固定される。種々の形状の遠位端を有する複数の先端がブルノーズ(bullnose)器具を用いて椎体間装置を挿入するための椎間を準備しおよび椎体間装置を椎間内に挿入しやすくする。
【0013】
さらに本発明のシステムは、椎体間装置を配置する前に適当な移植のための長さを決めるために挿入される複数の連接トライアルインプラントを含む。本発明のトライアルインプラントは、これらを椎間に位置決めするのに役立つインプラントロッドに対して間接をなし、これによって比較的簡単にトライアルインプラントを挿入したり、外したりすることができる。
【0014】
さらに本発明は、新規な挿入管ハンドルを含み、これは椎間内への挿入のための複数のブルノーズ器具に取り付ける補助ハンドルに固定することができる。対向する切断縁部を含む遠位端を有するボックスカッターによってインプラント挿入の準備のために隣接する後方脊椎端板を削る。
【0015】
また本発明は、骨移植片挿入システムを含み、これは小分けされた骨移植片を前方の椎間を介して配分するための新規な骨移植片プランジャーを利用している。
【0016】
本発明の他の特徴、利点および目的を添付の図面を参照した以下の本発明の詳細な説明によって明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の1つの実施態様による椎体間装置および挿入管の斜視図である。
【図2】本発明の1つの実施態様による椎体間装置および挿入管の斜視図である。
【図3】本発明の1つの実施態様による椎体間装置および挿入管の斜視図である。
【図4】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の上面図である。
【図5】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の上面図である。
【図6】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の上面図である。
【図7】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の上面図である。
【図8】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の上面図である。
【図9】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の斜視図である。
【図10】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の斜視図である。
【図11】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の上面図である。
【図12】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の上面図である。
【図13】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の上面図である。
【図14】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の斜視図である。
【図15】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の斜視図である。
【図16】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の斜視図である。
【図17】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の上面図である。
【図18】本発明の1つの実施態様による椎体間装置の上面図である。
【図19】椎間に挿入された本発明の1つの実施態様による椎体間装置の上面図である。
【図20】本発明の1つの実施態様による椎体間装置のプッシュロッドの斜視図である。
【図21】本発明の1つの実施態様による挿入ツールの斜視図である。
【図22】本発明の1つの実施態様による挿入ツールの分解図である。
【図23】本発明の1つの実施態様によるトライアルインプラントの斜視図である。
【図24】本発明の1つの実施態様によるブルノーズとトライアルハンドルの斜視図である。
【図25】本発明の1つの実施態様によるブルノーズと挿入器具の一部を示す図である。
【図26】本発明の1つの実施態様によるトライアルインプラントの斜視図である。
【図27】本発明の1つの実施態様によるブルノーズと挿入器具の一部を示す図である。
【図28】本発明の1つの実施態様によるブルノーズとトライアルハンドルの分解図である。
【図29】本発明の1つの実施態様による挿入管に組み立てられたブルノーズとトライアルハンドルの斜視図である。
【図30】本発明の1つの実施態様による挿入管の側面図である。
【図31】本発明の1つの実施態様による挿入管の側面図である。
【図32】本発明の1つの実施態様によるトライアルインプラントとトライアルハンドルの斜視図である。
【図33】本発明の1つの実施態様によるトライアルインプラントの側面図である。
【図34】本発明の1つの実施態様によるトライアルハンドルの斜視図である。
【図35】本発明の1つの実施態様によるトライアルハンドルの分解図である。
【図36】本発明の1つの実施態様によるトライアルインプラントとインプラントロッドの斜視図である。
【図37】本発明の1つの実施態様によるトライアルインプラントの斜視図である。
【図38】椎間に挿入された本発明の1つの実施態様による挿入管とトライアルインプラントの上面図である。
【図39】椎間に挿入された本発明の1つの実施態様による挿入管とトライアルインプラントの上面図である。
【図40】椎間に挿入された本発明の1つの実施態様による挿入管とトライアルインプラントの上面図である。
【図41】椎間に挿入された本発明の1つの実施態様による挿入管とトライアルインプラントの上面図である。
【図42】椎間に挿入された本発明の1つの実施態様による挿入管とトライアルインプラントの上面図である。
【図43】椎間に挿入された本発明の1つの実施態様による挿入管とトライアルインプラントの上面図である。
【図44】挿入管の内側にある本発明の1つの実施態様による椎体間装置およびブルノーズの部分側面図である。
【図45】挿入管の内側にある本発明の1つの実施態様による椎体間装置およびブルノーズの部分側面図である。
【図46】本発明の1つの実施態様によるブルノーズの部分上面図である。
【図47】本発明の1つの実施態様によるブルノーズの部分底面図である。
【図48】本発明の1つの実施態様によるブルノーズの部分上面図である。
【図49】本発明の1つの実施態様によるブルノーズの部分底面図である。
【図50】本発明の1つの実施態様による椎間に挿入された椎体間装置およびブルノーズを含む、椎間に挿入された挿入管の上面図である。
【図51】本発明の1つの実施態様による椎間に挿入された椎体間装置およびブルノーズを含む、椎間に挿入された挿入管の上面図である。
【図52】本発明の1つの実施態様による椎間に挿入された椎体間装置およびブルノーズを含む、椎間に挿入された挿入管の上面図である。
【図53】本発明の1つの実施態様によるボックスカッターの斜視図である。
【図54】本発明の1つの実施態様によるボックスカッターの側面図である。
【図55】本発明の1つの実施態様による椎間に挿入された挿入管の側面図である。
【図56】本発明の1つの実施態様によるトライアルハンドルとブルノーズの斜視図である。
【図57】本発明の1つの実施態様によるトライアルハンドルとブルノーズの斜視図である。
【図58】本発明の1つの実施態様による挿入管を介して挿入されたブルノーズと椎体間装置の断面図である。
【図59】本発明の1つの実施態様による椎体間装置挿入ツールの斜視図である。
【図60】本発明の1つの実施態様による椎体間装置挿入ツールの斜視図である。
【図61】本発明の1つの実施態様による挿入管に固定された骨移植片用の漏斗の斜視図である。
【図62】本発明の1つの実施態様による骨移植片用の筒の斜視図である。
【図63】本発明の1つの実施態様による骨移植片用の筒の斜視図である。
【図64】本発明の1つの実施態様による骨移植片用プランジャーの分解斜視図である。
【図65】本発明の1つの実施態様による骨移植片用プランジャーの斜視図である。
【図66】本発明の1つの実施態様による骨移植片用プランジャーの斜視図である。
【図67】本発明の1つの実施態様による骨移植片用プランジャーの側面図である。
【図68】本発明の1つの実施態様による骨移植片用プランジャーの斜視図である。
【図69】本発明の1つの実施態様による挿入管を介して椎間に挿入された骨移植片用プランジャーの断面図である。
【図70】本発明の1つの実施態様による挿入管を介して椎間に挿入された骨移植片用プランジャーの側面図である。
【図71】本発明の1つの実施態様による挿入管を介して挿入されたよる骨移植片用プランジャーの断面図である。
【図72】本発明の1つの実施態様による延長アームの斜視図である。
【図73】本発明の1つの実施態様による延長アームの側面図である。
【図74】本発明の1つの実施態様による延長アームの斜視図である。
【図75】本発明の1つの実施態様による延長アームの斜視図である。
【図76】本発明の1つの実施態様による延長アームの斜視図である。
【図77】本発明の1つの実施態様による延長アームの斜視図である。
【図78】本発明の1つの実施態様による延長アームの斜視図である。
【図79】本発明の1つの実施態様による延長アームの斜視図である。
【図80】本発明の1つの実施態様による人間の脊椎の所定の位置にある本発明のシステムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面、特に本発明のシステム10の好ましい構造的態様を示す図1−3に椎体間装置20およびこれを人間の脊椎の椎間に配向、挿入するための挿入管100を示す。図50および55は、椎骨4の間の脊椎1の椎間2内に椎体間装置20を挿入した例を示しており、これらの図面を本明細書中において本発明が適用される人体構造を示すものとして参照する。さらに注目すべきことは、本発明の椎体間装置20と交換される椎間板は、最初に完全椎間板切除術を行う外科医によって取り除かれるということである。通常、椎間の対側半まで達するように椎間板切除術を行って、最も長い椎体間装置20の設置を可能にし、固定するための骨表面の露出を最小限に抑えるのが望ましい。著しく椎間2の崩壊が生じた場合、椎間2の開大(distraction)を多くの知られている開大ツールを利用して行うまで完全な椎間板切除術を行えない場合ある。
【0019】
図1に示すように椎体間装置20は、複数の丸い突出物または缶形状の部材30を含み、これらは互いに間隔をおいて位置し、各缶形状の部材を個別に撓ませたり、移動させて椎間2に挿入しやすくする可撓性のブリッジ60から延びている。可撓性のブリッジ60は、椎体間装置20が埋め込まれた後その全体形状が維持されるようにニチノールなどの形状記憶金属または形状を記憶する他の弾性プラスチック材で構成してもよい。図1−3に示した本発明の実施態様において、各缶状部材30は、その中に一対のほぼ平行な経路32を含み、これらに縫合糸3が通され、これにより椎体間装置20の位置決めを補助し、椎体間装置20の位置が適正でない場合に装置の位置を修正することができる。椎体間装置20が椎間2内に適切に挿入されると、縫合糸3をそのどちらかの一端を引いて移植部位に位置決めするように操作する。装置20が適切な位置に位置決めされると、縫合糸3は両方の経路32を介して抜かれ、よって椎体間装置20から取り除かれる。
【0020】
椎体間装置20の缶形状部材30は、上面34と下面36を含み、これらは椎体間装置20が椎間2内に適切に配置されると、隣接する椎骨4の上下面と接触する。さらに椎体間装置20は、ブリッジ60と一体でかつ凸形状の前壁40を含む。前壁40は、近位および遠位の缶形状部材30で終わっている。前壁40は、隣接する缶形状部材30の間の延びた内壁42を含む。さらに各缶形状部材30は、その後部で缶形状部材30の上部34と下部36との間で延びた後壁44を含む。
【0021】
本発明の椎体間装置20の多くの実施態様を一般的な前部が湾曲している形状として示しているが、当然のことながら後部が湾曲している椎体間装置20も本発明の範囲内である。さらに椎体間装置20は、耐性のある非反応性の材料で形成するのが好ましい。多様の生体性適合材料、例えば生体適合ポリマー、弾性材、ヒドロゲル、親水性ポリマー、形状記憶ポリマーおよび形状記憶合金などを利用して本発明の椎体間装置20を製造することができるが、これらに限定されるものではない。当然のことながら当業者であればこのような移植のために好適な種々の材料を認識しているはずである。本発明の1つの実施態様において、椎体間装置20を炭素繊維材で構成してもよく、またこれとは別にポリエーテルケトン(PEK)材で構成してもよい。
【0022】
図1に示すように近位の缶形状部材30は、本発明のこの実施態様では缶形状部材30から外方に延びた一般的な円形の突起として示されている連結部50を含み、これは以下に詳しく述べるように種々の挿入器具に把持されるまたは固定される。
【0023】
また図1−3は、挿入管100を示し、これはその中を通る縫合糸3の経路を示すために壁の1つが取り除かれた状態で示されている。挿入管100は、一組の対向する上下壁102、104と対向する外内壁106、108とを含み、これらは中空の管状部材を形成し、ここを介して椎体間装置20が配置される。挿入管100は、遠位端110を含み、その外壁108は椎体間装置20が挿入管100内を進む際に椎体間装置20の配置を案内する湾曲した部分112を形成している。本発明のこの実施態様において、外壁108の湾曲部112は、内壁106の湾曲部分より長く、椎体間装置20が挿入管100を介して進む際に椎間2内で曲がることができる。
【0024】
各椎体間装置20の缶形状部材30は、それらの間の空隙スペースによって緩衝領域38が形成されるように離れて位置している。緩衝領域38は、椎体間装置20および缶形状部材30が椎間2内に挿入し、位置決めする際に撓んだり、縮んだりし、適切に位置決めされるとその元の形状に戻るようにするものである。図2は、2つの缶形状部材30を有する椎体間装置20を示しており、これによってより大きな緩衝領域38が供される。図3は縫合糸3が椎体間装置20を挿入管100内に回収するために末端で結ばれている椎体間装置20を示している。
【0025】
図4は、本発明の1つの実施態様の上面を示しており、ここでは椎体間装置20の各缶形状部材30が、中に脊椎固定術を向上させるための骨移植片(bone graft)材を受け取るための開口部46を含む。さらに図4に示すように連結部50は、一般に円形の開口部52を含み、これは椎体間装置20を椎間2に挿入、回収および位置決めするためのピン(図示せず)または他の器具を受けるための物である。
【0026】
図5および6は、本発明の別の実施態様を示し、ここでは内壁42に近い椎体間装置20の緩衝部38が長尺のスロットを形成し、これによって各缶形状部材30が互いに独立して撓み、3つの面において移動することができるようにブリッジ60を撓ますことができる。本発明のこの特徴によって、椎間2内に挿入した際に椎体間装置20を変形させ、適切に挿入された後に元の形状に膨らんで戻るようにすることによって装置20を椎間2内に正確に位置決めすることができる。図5に示す本発明の実施態様は、複数の波状のリッジ33を上面32が含んでいる。下面34も複数の波状のリッジを含んで、椎体間装置20が椎間2内に挿入された際に隣接する椎骨の上面および下面と係合するようにして椎体間装置20の椎間2内の位置決めを補助するようにしてもよい。
【0027】
図7は椎体間装置20のさらに別の実施態様を示し、ここでは柔軟性のあるブリッジ60が一組の対向する缶形状部材30に固定され、その内の近位の缶形状部材30がそこから延びた連結部50を含み、椎体間装置を挿入および除去をしやすくしている。図8は、図7の実施態様と似た実施態様を示しており、ここでは柔軟性のあるブリッジ60が缶形状部材30の後壁44の周囲を延びており、缶形状部材30をブリッジ60に強固に固定し、それでも各缶形状部材30が個別に動くことができるようにしている。
【0028】
図9は一組の互いに間隔をおいて位置して対向した柔軟性のあるブリッジ60を有する椎体間装置20の別の例示的実施態様を示しており、各ブリッジは、比較的大きな緩衝領域38を設ける一組の間隔を置いて配置された缶形状部材30に固定されている。本発明のこの実施態様では、近位に位置する缶形状部材30から延びた一組の間隔をおいて位置するフランジ54を有する連結部50が設けられており、各フランジには以下に詳しく説明するように挿入および除去器具に椎体間装置20を連結するためのピン(図示せず)を受ける開口部52が設けられている。
【0029】
図10−14には本発明の別の実施態様による複数の連接式の椎体間装置200を示す。椎体間装置200は、中央ヒンジ230によって連結された遠位に位置する半部210と近位に位置する半部220とを含む。トライアルインプラント200の各半部210、220は、経路232を含み、この中に可撓性の針240の一部が挿入されている。可撓性の針240は、半部210、220が互いに対して撓み、元の位置に戻るように形状記憶合金で構成してもよい。また椎間2内のトライアルインプラント200の挿入および取り外しをしやすくするためにトライアルインプラント200の近位半部220から延びた連結部50が設けられている。
【0030】
図10および11では中央ヒンジ230が遠位および近位半部210、220のほぼ中央に配置されているが、図12ではヒンジ230は、近位および遠位半部が前方に撓めるように遠位および近位半部210、220の前方縁部に配置されている。図13では後方に撓めるように遠位および近位半部210、220の後方縁部に配置されている。最後に図14では椎骨固定を補助するために骨移植材を受けるための複数の開口部234を有する本発明のさらに別の実施態様を示している。
【0031】
ここで注目すべきことは、図10−14に示した椎体間装置20の実施態様は、トライアルインプラントとしても使用可能であるということであり、その場合椎体間装置20は、永久的に使用されるインプラントを挿入する前に椎間2内に挿入され、椎間2が適当な大きさおよび位置であるかを試し、椎体間装置20を受け入れるために椎間2が適切に準備されているかを調べる。椎体間装置20がトライアルとして採用される場合、それらは外科分野でよく知られている適当な消毒処理の後に再利用できる好適な材料で製造される。
【0032】
図15−17には単一の材料片から形成された椎体間装置20の例示的実施態様を示し、ここでは可撓性のブリッジ60が一組の間隔をおいて位置する長尺の缶形状部材30と一体であり、各缶形状部材は、骨移植片材を受け取るための開口部46を有する上下面34、36を含む。図15および17に示す本発明の実施態様は、さらに装置20の椎骨との係合を簡単にするために上下面34、36に複数のリッジ33を含んでいる。さらに本発明のこの実施態様では1つの缶形状部材30の一部が空隙またはスロット56を含んでおり、これはこの缶形状部材30の周囲で、且つ、その後壁44内に延びている。さらに一組の対向する開口部58がスロット56と連通し、開口部58に固定されたピン59を受けている。ピン59は、後述する挿入除去ツールによって容易に接続することができる。
【0033】
さらに本発明のこの実施態様では可撓性のブリッジ60が缶形状部材30の遠位端および近位端の方に外方に延びて、緩衝領域38を形成し、これにより椎体間装置20が挿入管100を介して配置される際に装置20を撓ませたり、真っ直ぐにすることができる。さらに本発明の別の実施態様では、遠位に位置する缶形状部材30は、図15および16から最もよくわかるように縁取りされた縁部31を含んでもよく、これはによって遠位の缶形状部材30の高さが缶形状部材の残りの長さに沿って椎体間装置20の高さより低いので、椎体間装置20を椎間2内に滑らかに挿入しやすくなる。
【0034】
本明細書で教示することから理解されるようにここで示し、説明した椎体間装置20の実施態様は、極めて多岐に亘る大きさ、全体としての長さおよび高さおよび缶形状部材30とブリッジ60間のスペースなどを色々と変えて製造することができ、これによって本発明は、外科医が必要とするほぼあらゆる大きさの椎間での使用に適合することができる。さらに当然のことながら、ここで説明した椎体間装置20は、その複数の箇所に配置される複数のX線マーカーを含んでもよく、これによって外科医は従来のX線技術によって椎体間装置20を確実に適切な位置に配置することができる。
【0035】
図19には椎間2内に挿入管100を介して挿入される大きさの可撓性のインプラント案内スリーブ140を示している。本発明のこの実施態様では椎体間装置20が椎間2内に適切に配置され、その後案内スリーブ140が挿入管100内に格納されるまで椎体間装置20は、案内スリーブ140の遠位端142によって支持される。案内スリーブ140は、薄い形状記憶合金または椎間2内で湾曲することができる同等の可撓性材で形成すると有利である。さらに本発明の1つの実施態様では、案内スリーブ140の遠位端142の弛緩した状態の形状は、椎体間装置20および椎間2の形状に近く、装置20の椎間内での位置決めをしやすくしている。
【0036】
図20は挿入管100の内部に挿入されるように設けられた椎体間装置プッシュロッド160を示し、これはその遠位端164に締め具162を有する。締め具162は、例えば図15に示した装置20のような椎体間装置20のピン59と係合およびこれを解放するように当業界で知られている手段によって操作される。プッシュロッド160の遠位端164は、椎体間装置20のスロット56内に嵌る大きさであり、これによって装置20が締め具162の係合を解除することによって離されるまで椎間2内で回転することができる。
【0037】
図21および22には本発明の1つの実施態様による別の椎体間装置挿入ツール300を示している。挿入ツール300は、長尺の中央胴体310を含み、これはこれに固定され、そこから上方に延びたハンドル312と胴体310の上面の開口部316を介して挿入される係止ボタン314とを有する。中央胴体310は、さらにその中を長手方向に延びたチャネル318を含み、これは椎体間装置20に係合するために遠位端に締め具322を有する長尺のシャフト320を受け取るような形に形成されている。さらにシャフト320は、その中を通る一組の間隔をおいて位置する開口部326を含み、これら開口部は、これに対応する中央胴体310の一組の間隔をおいて配置された開口部330と位置合わせされ、その中に一組の係止ピン328が挿入され、シャフト320を中央胴体310に固定している。
【0038】
さらに挿入ツール300は、固定部材340を含み、この固定部材は、それに固定され、そこから外方に延びたハンドル342と、長尺の中央胴体310と係合する形に形成された長尺のスロット344を含む。固定部材340は、椎体間装置20を椎間内に案内する形状に形成された遠位先端部346と固定部材の一部で延びた長尺の溝348を含む。中央胴体310は、固定部材340のスロット344に密に嵌められ、その中でスライドすることができ、これによって中央胴体310が前方に進んで締め具22が椎体間装置20を位置決めするために椎間2内に延びる。
【0039】
挿入ツール300は、さらにスライド部材360を含み、これはそこから延びたハンドル362を有し、かつ、スライド部材の一部で長手方向に延びた舌部364を含み、この舌部は固定部材340の溝348と係合する。スライド部材360は、さらに通常平坦な遠位先端部366を含む。図21に示すように組み立てられると、スライド部材360と固定部材340は、チャネルを形成し、この中に椎体間装置20が挿入され、中央胴体310のシャフト220の締め具322によって固定される。スライド部材360は、固定部材340に対して前方に移動可能であり、これにより遠位先端部366が椎間2に出入りすることができ、装置20の搬送を容易にする。挿入されると、固定部材340と中央胴体310もまた椎体間装置20の搬送のために椎間2内に挿入される。本発明のこの特徴は、インプラントを挿入しやすくするための椎間を開大する挿入ツール300を提供する。
【0040】
図23、32、33、36および37では本発明は、さらに永久的に配置される椎体間装置20の適正な大きさを決めるためのトライアルインプラント400を含み、これは遠位端402と近位端404を有し、これら遠位端と近位端が互いに対して単一の面で回転できるようにする中央のヒンジ406を介して共に固定されている。トライアルインプラント400は、椎間2に永久に使用するために配置される椎体間装置20の形状に対応するような形に形成されている。トライアルインプラント400の近位端404は、その中にスロット408と、トライアルインプラントロッド420に連接式にトライアルインプラント400を固定するためのスロット408に横方向に固定されたピン410を含む。
【0041】
トライアルインプラントロッド420は、一組の間隔をおいて位置する遠位先端部422で終結している長尺の胴体421を含み、これら遠位先端部は、その遠位端でトライアルインプラント400と当接している。さらにトライアルインプラント400は、間隔をおいて位置する遠位先端部422を介して延び、これらに固定されたピンヒンジ424とトライアルインプラント挿入ツールと係合するためのネジ山が設けられた開口部を有する近位端427とを含む。遠位端432に開口部を有する連接腕部430がトライアルインプラント400のピン410に回転自在に固定されている。さらに連接腕部430は、インプラントロッド420のヒンジピン424によって係合されるスロット436を有する近位端434を含み、これにより連接腕部430がインプラントロッド420に対して回転または長手方向の移動が可能になる。さらにトライアルインプラント400は、ピン410を中心に回転することができるので、インプラント400と連接腕部430は、両方ともインプラントロッド420に対し回転することができる。
【0042】
図32はトライアルインプラント400およびネジ山が設けられたシャフト502に固定されたトライアルハンドル510を有する挿入ロッド500に固定されたインプラントロッド420を示す。ここで注目すべきことは、トライアルハンドル510が以下に詳しく説明するような本発明の複数の部材と連結されるように設計されているということである。図36は、トライアルインプラント420の別の実施態様を示し、ここでは遠位先端部422がその遠位部分でヒンジ424を含み、これにより連接腕部430がトライアルインプラント400の方に外方に延びている。図37に示すようにトライアルインプラント400は、さらに図10−14に示した実施態様と同じように遠位および近位端402、404の内側に可撓性の針412を含んでもよい。
【0043】
図24は椎間2を開大する役割を果たすと同様に椎間2内に椎体間装置20を挿入するのを補助するように設計されたブルノーズ(bullnose)600に固定されたトライアルハンドル510を示している。ブルノーズ600は、近位端604でハンドル510と係合し、固定することができる長尺のシャフト602とを含み、椎間2内に挿入され、かつ、椎間を開大するためのテーパーした遠位先端部610を有する遠位端606とを含む。図25は挿入管100の遠位端110から出たブルノーズ600の遠位先端部610を示している。
【0044】
図26−29は、遠位端606に先の尖っていない遠位先端部610を有する椎体間装置20挿入のために利用されるブルノーズ600の別の実施態様を示している。シャフト602は、そのかなりの部分に沿って縫合糸3の案内溝612を含み、これはブルノーズ600の遠位端606に近い幅の広い溝端部614で終わっている。案内溝612は、スペースを提供し、その中に縫合糸3が図29に示すように挿入管100を介してブルノーズ600が挿入されたときに配置される。ブルノーズ600の近位端604は、さらにラッチ(図示していないがピンまたはバネ荷重ボールなど)によってハンドル510の内部に係合される円形の溝616を含む。操作の際には縫合糸3が図1−3に示すように椎体間装置20に固定され、椎体間装置が挿入管100を介して椎間2内を進むとブルノーズ600の溝612に乗っかる。
【0045】
図28、図34および35を参照すると、トライアルハンドル510が詳しく示されている。ハンドル510は、ブルノーズ600の近位端604と係合するための開口部514を有する遠位端512を含む。係止フランジ520が、例えば挿入管100の対応するフランジと係合するためにハンドル510の遠位端512に配されている。ハンドル510は、係止マーク524および非係止マーク522をその外面に含み、これらは管100の対応するマークが係止マーク524と位置合わせされたときにハンドル512上に挿入管100が係止されたことを示し、これとは別に管100の対応するマークが非係止マーク522と位置合わせされたときに非係止状態であることを示す。ハンドル522は、解除ボタン530を含み、これはブルノーズ600のハンドル510との係合を解除するために遠位端512を介して延びた係止ピン516と係合(または非係合)するためにバネ532によって付勢される。
【0046】
図29−31は、挿入管100とそのハンドル510との係合の実施態様の一例を示している。挿入管100は、湾曲部112で終結している遠位端110と管100と連通している中空のハンドル120内で終結している近位端114とを含み、ハンドル120は、その内方の円周部に係止フランジ122を有し、これはトライアルハンドル510の対応する係止フランジ520と係合する。また挿入管100のハンドル120は、位置合わせのための矢印124を含み、これは係止/非係止マーク524、522の1つと位置合わせされた際に挿入管100の係止フランジ122がハンドル510の係止フランジ520と係合または非係合しているかを示す。本発明の別の実施態様では挿入管のハンドル120は、その近位縁部に小さな溝を含み、これは椎体間装置20が配置されたとき、ハンドル120から出る際に縫合糸3を収容する。
【0047】
さらに図29は、挿入管100に挿入され、挿入管の遠位端110を介して延びているブルノーズ600を示している。図から判るようにブルノーズ600は、ハンドル510に係止された挿入管100に挿入されたハンドル120に固定されている。注意深く挿入管100を椎間内で位置決めすることによって、ブルノーズ600は椎体間装置2を好適な位置に配置するために必要な椎間2の深さに正確に挿入される。従って挿入管100にはその外面(例えば上下壁102、104および内外壁106、108)に沿って深さを示す複数のマークが施されおり、以下に詳しく説明するように外科医が挿入管100を適切な位置に配置するのに役立っている。
【0048】
図38−43は、椎間2内に挿入管100を介してトライアルインプラント400を配置するところを示している。最初に挿入管100とこれに付随するブルノーズ600が椎間2内に横方向から可能な限り深く、輪切り切除部を介して椎間2内に挿入される。この最初の工程は、椎間の開大に役立つテーパーした先端部610を有するブルノーズ600で通常実施される。本発明の1つの実施態様において、テーパーした先端部610は、挿入管100の遠位端110の湾曲した先端部112を15mmほど越えて延びている。外科医は、処置のこの段階で輪切り切除部内の挿入管の深さを知る。
【0049】
第2にブルノーズの先の尖っていない先端部610が、トライアルハンドル510と挿入管100に組み立てられ、椎間2に再度挿入される。本発明の1つの実施態様において、先の尖っていない先端部610は、挿入管100の遠位端110の湾曲した先端部112を越えて約10mmほど延びている。先の尖っていない先端部610とそれに付随する挿入管100は、ブルノーズ600の遠位先端部610が椎間2の前方部5に触れるまで椎間2内を進む。この時点でブルノーズ600は、取り除かれ、以下に詳しく説明するように挿入管100の所定の位置に係止される。
【0050】
トライアルインプラント400は、このときトライアルハンドル510に固定され、図38−43に示すように椎間2内を進む。挿入管100の湾曲した部分112によって連接接合するトライアルインプラント400の性能によってトライアルインプラント400を椎間2内に正確かつ簡単に位置決めすることができる。さらに異なる長さおよび高さのトライアルインプラント400を採用して使用される椎体間装置20の適切な大きさを決めてもよい。椎間2内の設置を成功させる最も長いトライアルインプラント400が、使用される椎体間装置20の長さを決めることができる。通常、椎間を開大するために使用される開大器の高さによって設置される椎体間装置20の高さが決まる。
【0051】
図44、46および47には椎体間装置20を固定するために縫合糸3を利用した挿入管100を介した椎体間装置20の設置の例を示している。本発明のこの実施態様ではブルノーズ600は、単独の長手方向に延びた縫合糸案内溝612とブルノーズ600の一方の側にある幅の広い溝端部を含む。図44は椎体間装置20が椎間2に適切に位置決めされるまで、挿入管100を介して装置20を進める遠位先端部610を示している。
【0052】
この対比として図45、48および49は、長手方向に延びた縫合糸案内溝612とブルノーズ600の2つの側に幅の広い溝端部を有するブルノーズ600を示し、これにより縫合糸3は、図45で最も詳しく示すようにブルノーズ600のシャフト602の上方および下方に案内される。本発明のこの態様により椎体間装置20の椎間2内での操作および設置が容易になる。
【0053】
図50−52には挿入管100を介して椎間2内に椎体間装置20を配置するところを示している。缶状部材30の開口部46は、椎体間装置20を挿入管100内に挿入する前に粉砕骨(morselized bone graft)材で満たされている。縫合糸3も同様に挿入管100に挿入する前に椎体間装置20の連結部50に固定される。ブルノーズ600の縫合糸案内溝612も縫合糸3のための隙間を設けるために挿入管ハンドル120の溝に位置合わせさせてもよい。図50−52に示すループ状の縫合糸3が溝612に配され、ブルノーズ600が椎体間装置20を管内を進んで所定の位置に来るように押し込みながら挿入管100内に挿入される。ここで注目すべきことは、先の尖っていない先端部610を有するブルノーズ600が椎体間装置20の挿入に使用されるということである。適切に配置されると、X線技術を用いて椎体間装置20の位置を確認し、その際縫合糸3は、ブルノーズ600とそれに付属するハンドル510と同じように取り除かれる。挿入管100は、以下に説明するように骨移植材を適用するために椎間2の所定に位置に留まる。
【0054】
図53および54は、椎体間装置20の設置の準備をするために隣接する椎骨4の後部端板を削るために使用するボックスカッター700を示す。ボックスカッター700は、ハンドル704に近位端で固定された中央シャフト702を含む。ハンドル704は、ボックスカッター700を使いやすくするための当業界で知られているスラップハンマーを取り付けるためのオプションであるスラップハンマーフランジ706を近位端に有してもよい。取り外し自在な頭部708がシャフト702の遠位端でこれに固定されており、頭部708が椎間2に入る際に開大しやすいようにテーパーした遠位端710を有する。頭部708は、種々の脊椎形状に対応するために幅および高さを変えて供してもよく、さらにその外面に沿って深さを示すマーカー(図示せず)を設けて、外科医がどの程度遠位端710が椎間2内に進行したかを測定できるようにしてもよい。本発明の1つの実施態様ではボックスカッターの頭部708の高さは、その面のマーキングによって設けてもよい。さらにボックスカッターの頭部708は、遠位端710からの距離を示す外部マーキングを含んでもよい。
【0055】
ボックスカッター700は、さらにこれによって後部端板を削りやすくする一組の間隔をおいて位置する切断縁部714を含む。施術の際、所定の用途に応じて適当な幅を有するボックスカッター700の頭部708が選択され、隣接する椎骨4の後部端板が、必要であればスラップハンマーアタッチメントを利用して切断縁部714を椎間2内に進めることによって削られる。
【0056】
図55−58は、本発明の挿入管100の別の実施態様を示し、ここでは近位端114は遠位端110より僅かに幅が広くなっており、ハンドルは存在しない。図56は、ブルノーズ600の別の実施態様を示し、ここではハンドル510と係合するためのネジ山が設けられたシャフト618とブルノーズ600が挿入管100に挿入された際に挿入管100の遠位端114と当接するネジ山が設けられたシャフト618に沿って回転可能なネジ留め620を含む。図56は必要に応じてブルノーズ600に長手方向にさらに力を加えるためにハンドル510に固定された従来の「スラップハンマー」装置6を示している。
【0057】
図57は図56とは反対の側から見た図であり、縫合糸3を確実に配置するためのブルノーズ600の遠位先端部610内に長手方向に延びた第2の縫合糸案内溝612を示している。図58は、挿入管100を介して椎体間装置20をを設置するブルノーズ600の断面図であり、ここでは縫合糸3は、椎体間装置20の連結部50を介してループ状になっているので、縫合糸3は、ブルノーズ600の上方および下方の両方で溝112に案内される。本発明のこの特徴は、さらにインプラントを椎間20内に配置する際のインプラントの位置決めに役立つ。
【0058】
図59と60は、2つの椎体間装置20挿入修正ツール750を示し、これらはそれぞれ一組の間隔をおいて位置する分岐部754を遠位端752に有し、これら分岐部は椎体間装置20のピン59または類似の連結部50と係合するために遠位端752から延びている。図59の実施態様では分岐部754は、連結部50のピン59とスナップ嵌合するために間隔を置いて位置している。図60に示す修正ツールの実施態様では長手方向にスライド可能なスリーブ756がツール750の遠位端752に亘って設けられており、スリーブ756が遠位端752の方に進む際にピン59を把持するように分岐部754が強制的に合わせられる。
【0059】
図61および62は、骨移植用漏斗800を示し、これは椎間2に挿入管100を介して骨移植材を供給するための開口部802と脊椎外科手術に採用される他の機器または構造体と骨移植漏斗を一緒に使用する際の取り扱いを容易にするための平坦な縁部804を有し、挿入管100に操作自在に固定される。図63で最もよく判るように骨移植漏斗800の1つの実施態様において、係止フランジ806が1つの縁部に設けられており、これは挿入管100のハンドル120の対応するフランジと係合するためのものである。
【0060】
図64は骨移植漏斗800と挿入管100と共に使用するために設計された骨移植プランジャー820を示し、これは角度が付けられたプランジャー先端部822を遠位端に有する。角度が付けられたプランジャー先端部822は、例えばそれが挿入管100内に延びる際に撓ますことができるシラスティックエラストマーのような可撓性の材料で形成してもよい。本発明の1つの実施態様ではプランジャー先端部822は、使用後に廃棄可能である。さらに本発明の1つの実施態様では角度が付けられた先端部822は、挿入管100と密に係合し、この先端部822が挿入管100に配された骨移植材のすべてが椎間2内に強制的に入れることができるように挿入管100の内部より僅かに大きく形成されている。骨移植プランジャー820は、さらに中央シャフト824を含み、その遠位端826は角度が付けられた先端部826の対応する開口部828にスナップ嵌合する形状になっており、これにより先端部822をシャフト824に固定する。シャフト824の近位端830は、骨移植プランジャーをハンドル510に固定するためにネジ山が設けられた開口部832を有する。プランジャーの先端822は、エラストマー材料で構成して、撓んで、使用後に捨てられるようになっているが、プランジャーシャフト824もエラストマーで構成してもよいが、消毒後に再利用できるようにより耐性のある合金で製造した物でもよい。
【0061】
図66はプランジャーシャフト824に固定される長尺の角度が付けられた可撓性の先端部822(力が加わっていない状態で示している)を含む骨移植プランジャー820の別の実施態様を示している。本発明のこの実施態様によって、プランジャー820は力が加わっていない状態で前方の椎間2の形状に近似した形状を取るので、骨移植材を椎間2内へより深く配置することができる。
【0062】
図67および68は、別の骨移植プランジャー820を示し、これは一体の角度が付けられた先端部822とプランジャーシャフト824を有する一体成形のプランジャーである。骨移植プランジャー820の角度が付けられた先端部822は、挿入管100の対応した湾曲部112を介して骨移植材を追い込むように設計された湾曲面823を含む。本発明の1つの実施態様によって構成されたプランジャー820は、本発明の範囲から逸脱せずにエラストマーまたは合金で製造することができる。
【0063】
図69は手術中の骨移植漏斗800、プランジャー820、挿入管100の断面図である。漏斗800は、挿入管100のハンドル120に固定され、挿入管100の骨移植材7を堆積させるための便利な機構を供する。プランジャー820は、開口部802を介して挿入され、そしてハンドル120を通って挿入管100に挿入され、これによりその中に堆積したすべての骨移植材7を挿入管100および椎間2内に強制的に押し込む。その漏斗800は、ハンドル120から取り除かれ、プランジャー820を再度使用して挿入管100内の残りの骨移植材を強制的に椎間2内に入れる。角度が付けられた可撓性の先端部822によって、プランジャーが進むにつれて、プランジャー820が椎間2内に湾曲して入ることができ、これにより骨移植材7が極めて良好に搬送される。
【0064】
図70および71は、骨移植プランジャー820の別の実施態様を示し、ここでは角度が付けられた先端部822とシャフト824が、一体成形された記憶金属で構成され、これは緩んだ状態にある椎間2の前部の曲率に近似するように湾曲する。本発明のこの実施態様では骨移植プランジャー820は、その遠位先端部822を漏斗800および挿入管100内に挿入するために真っ直ぐな状態にされ、椎間2内に挿入される際に湾曲または力が加わっていない緩んだ状態になる。
【0065】
図72−79は、本発明の構成された実施態様による延長腕部900を示し、これは本発明のシステム10の種々の部材を当業界で知られている外科技術によって人間の脊椎に固定される複数の椎弓根スクリュー9に固定するためのものである。特に図72および73を参照すると、延長腕部900は、中央のネジ山が設けられたロッド910と係合する腕部胴体902を含み、ロッドはレンチ、ナットドライバーまたは同様の工具によって回される近位端を有する。ロッド910はまたこの実施態様では複数の螺旋状のネジ山を有するように示されている遠位端914を含み、このネジ山は、対応するネジ山を有する椎弓根スクリューと係合するためのものである。
【0066】
調節自在なクランプ920が従来の調節ノブ921および付属のネジ山が設けられた部材(図示せず)によって延長腕部胴体902に固定されている。クランプ920は、胴体902から外方に延びた一組の間隔をおいて位置するクランプ腕部922を含み、これらは従来の手段、例えばネジ山が設けられた部材926に固定されたクランプ調節ノブ924によって互いに調節可能であり、ネジ山が設けられた部材は、各クランプの対応するネジ山928と係合する。延長腕部900は、遠位端914を椎弓根スクリューに係合させるために中央ロッド910を回転させることによって対応する椎弓根スクリューに固定される。クランプ920は、例えば椎体間装置20を搬送するために正確な場所に挿入管100を延長腕部900に固定するために位置決め腕部922に対して調整される。
【0067】
図74および75は、延長腕部胴体902を含む延長腕部900のさらなる実施態様を示し、これは横方向に延びたピン906が固定された遠位端914を有し、このピンは椎弓根スクリュー(図示せず)の対応するフックと係合するためのものである。
【0068】
図76および78は、延長腕部900のさらに別の実施態様を示し、これは長尺のチャネルのような形状をし、その長さに沿って一組の間隔を置いて位置する縁部907を有する胴体902を有する。遠位端914は、図78に示すように椎弓根スクリュー9の頭部と係合する切り欠き部916を含む。クランプ920は、クランプ案内部930に固定され、これは一組の間隔を置いて位置する腕部932を含み、各腕部は延長腕部の胴体902の縁部907と係合するための溝934を有する。本発明のこの実施態様ではクランプ案内部930の腕部932は、胴体902の縁部907上をスライドし、これにより延長腕部胴体902の長さに沿ってスライド可能なクランプ案内部930とクランプ920を供する。
【0069】
図77および79は、図76および78に示した延長腕部と類似しているが、図79からよく判るように遠位端914が椎弓根スクリュー9の開口部と係合する垂直方向に延びたピン918を含む点で異なる実施態様の延長腕部を示している。
【0070】
図80は脊椎1の椎骨4に固定された本発明のシステム10を例示している。複数の椎弓根スクリューが当業者に知られているように従来の方法で脊椎1に固定されている。延長腕部900は、その遠位端914で椎弓根スクリュー9に固定されている。延長腕部920のクランプ920がクランプ案内部930を介して挿入管100のハンドル120と係合するように位置決めされている。挿入管100は、輪切除部を介して椎間2内に挿入される。最後にトライアルハンドル510がブルノーズ600に固定され、挿入管100を介して挿入される。
【0071】
手術中、本発明のシステム10およびその部材は、次のような方法で椎間板置換術を行うために外科医によって採用される。最初に外科医は、皮膚、皮下組織および筋膜を介して病状領域に長手方向に延びた正中切開を行う。椎骨の高さのX線による確認を従来のX線技術によって行う。次に腰椎を骨膜下切開によって露出させ、椎弓根スクリュー9の挿入のための導入部を確認するために露出部を脊椎の横突起の底部までのみ延長する。TLIF(経椎間腰椎椎間間固定術)が後側方固定術と併せて予定される場合、不揃いの横突起の先端の切除が固定術に含まれる。それから椎弓根スクリューが当業者に知られているように従来の方法で嵌められる。
【0072】
次に全同側椎間関節突起切除が骨刀またはドリルを用いて行われる。さらなる骨の摘出がケリソンロンジャー(Kerrison Ronger)またはドリルを使用して行われ、適当な大きさのインプラントおよび器具を挿入するためにより大きなスペースを作る。この時点で外科医は、特定の症例が必要とする検査を行う場合、さらに減圧術を行ってもよい。線維輪の後側角(posterolateral corner of the annulus)を最大限露出させて可能な限り横方向に広く輪切除できるようにする。次に1cm幅の輪切除部を作成する。
【0073】
上記の準備工程が終了すると、椎間板切除が行われる。椎間の対測半まで椎間板切除を延長し、可能限り最も長い椎体間装置20を設置し、固定のための骨面露出が最大限生じるようにするのが本発明の1つの実施態様では望ましい。もしかなりの椎間2の崩壊が認められる場合、椎間2の開大が終わるまで完全に椎間板切除が行えない場合がある。
【0074】
次に外科医は、例えば高さが6mmから16mmの範囲の開大器などの従来の開大器具によって、スナッグ嵌合ができるまで椎間を開大する。外科医は挿入深度が椎間2の深さを測るので、使用した開大器の挿入深度および高さが判る。この工程で採用された開大器の高さは、ボックスカッター700、ブルノーズ600、挿入管100、トライアルインプラント400および椎体間装置20に選択される高さを決める。
【0075】
次に外科医は、椎間2の調製に必要な椎間板の高さを維持し、さらなる椎間板切除を行うために従来の対側開大器を使用してもよい。本発明の1つの実施態様では外科医は、標準的なペンフィールド(Penfield)昇降機を使用して脊椎終板を触診し、椎体の前方縁部を感じるようにしてもよい。前方縁部が感じられ、ペンフィールド昇降機が下がると適当な椎間板切除が前方線維輪まで完了したことになる。
【0076】
当業界で知られている神経根レトラクターを用いて外科医は、次に退出横行神経根を保護する。この時点でボックスカッター700が上述したスナッグ嵌合できるように使用された最も高い開大器と同じ大きさのボックスカッターヘッドを利用して後部端板を削るために挿入される。ボックスカッターヘッド708の高さは、その表面の長さであってもよい。またボックスカッターヘッドは、遠位端710からの距離を示すマーキングを有する。外科医は、骨癒合の形成を高めるために上下の椎体の残りの端板面を剥離する。
【0077】
次に外科医は、下位の椎弓根スクリュー9に延長腕部900をゆるく固定する。次にトライアルハンドル510をテーパーした遠位先端部610を有する適当な大きさのブルノーズ600に固定し、このように組み立てられたものを同じ大きさの挿入管100に挿入する。必要に応じてブルノーズ600と挿入管100の高さの印をこれら機器に付してもよい。
【0078】
次に組み立てられたブルノーズ600挿入管100が挿入管100の遠位端110を横に5乃至10度の角度で導入することによって輪切除部を介して椎間2内に進められる。これら機器の向きは、挿入管100を椎間2内で可能な限り横に維持しながら、矢印面において0度になるようにゆっくり操作される。
【0079】
上記機器が所望の深さ(上記の開大器の位置から測定して)まで挿入されると、ブルノーズ600が取り除かれる。外科医は、遠位先端部からの距離を示すための上、中、下面の印によって挿入管100の挿入深度を知ることになる、
【0080】
次に外科医は、ハンドル510と分岐先端部610を有する正しい大きさのブルノーズ600とを組み立てる。再度、ブルノーズ600の長さをその主シャフトの面に印す。次にブルノーズ600を挿入管ハンドル120をトライアルハンドル510に係合させることによって挿入管100内に挿入する。本発明の1つの実施態様ではテーパーした遠位先端部610を有するブルノーズ600は、挿入管の遠位開口部110を15mm越えて延びている。さらに分岐した遠位先端部610を有するブルノーズ600は、挿入管100の遠位先端部110を越えて10mmだけ延びている。外科医は、ブルノーズ600の遠位端610が椎間2の前部の線維輪に触れるまで、ハンドル510、ブルノーズ600および挿入管100の集合体を椎間2内により深く進める。
【0081】
次に外科医は、挿入管100のハンドル120を延長腕部900に固定し、延長腕部900の遠位端914を椎弓根スクリュー9にしっかりと固定する。次に外科医は、ブルノーズ600を取り除き、この位置に分岐した遠位先端部610を有するブルノーズ600と椎体間装置20を椎間2に障害なく設置することできるようにするための挿入管100の遠位先端部110と椎間2の前部線維輪との間に10mmの自由空間があることを覚えておく。
【0082】
次の段階では外科医は、ハンドル510と所定の高さと大きさのトライアルインプラント400とを組み立てる。各トライアルインプラント400は、手術室での組み立てを容易にするためにその長さおよび高さを表す印が付されている。挿入管100を介して、外科医は、次に3つの異なる長さのトライアルインプラント400(選択されたトライアルインプラント400の高さで)の設置を順次試し、最初に最も短いもの(例えば20mm)、次に中間のもの(例えば25mm)そして最後に最も長いもの(例えば30mm)を試す。設置しやすくするために生理食塩水で挿入管を潤滑してもよい。
【0083】
椎間2内にうまく設置することができる最も長いトライアルインプラント400によって使用される椎体間装置の長さが決まる。椎間2内でトライアルインプラント400がうまく設置されたことをX線で確認した後、椎間2および挿入管100からトライアルインプラント400を取り除く。
【0084】
次の段階では外科医は、ハンドル510を以前に測定した高さのブルノーズ600に固定する。この段階では分岐した遠位端610を有するブルノーズ600を挿入管100を介して椎体間装置20を押し込むために採用される。各椎体間装置20には組み立てを容易にするためにその高さおよび長さを表す印が付されている。椎体間装置が損傷していないか外科医が見て調べる必要がある。次に標準的なNo.2縫合糸3を椎体間装置20の連結部50を介してループ状にする。必要に応じて挿入管100内を完全に通過する前に縫合糸3によって椎体間装置20を回収することができる。椎体間装置を回収した後、損傷の有無を目視で確認する必要がある。
【0085】
外科医は、次に椎体間装置20の缶状部材30の開口部46に粉砕骨材を詰める。缶状部材30と前方壁40との間の緩衝領域38には詰めず、椎体間装置20のブリッジ60と缶状部材30が撓むようにする。もし開口部に詰めてしまうと、挿入管100と椎間2を介しての椎体間装置20の適切な設置に影響を与える。
【0086】
次に椎体間装置20をその凹面を内側に向けて、連結部50を近位に向けて挿入管100を介して挿入する。挿入管100の外側と内側に機器の挿入を簡単に行うためのインストラクションのラベルを貼ってもよい。外科医は、ループ状の縫合糸3を挿入管100のハンドル120の縫合糸溝に設置する。挿入管100のハンドル120の溝は、ブルノーズ600の縫合糸案内溝612と位置合わせされなければならない。これによって縫合糸3がブルノーズ600の摺動面と挿入管100の内壁との間で引っかかるの防ぐ。
【0087】
ブルノーズ600のハンドル510を使用して外科医は、次に挿入管100に沿って前方の椎間2内に椎体間装置20を進める。設置を容易にするために生理食塩水で挿入管100を潤滑してもよい。挿入されると、外科医は従来のX線法で装置20の位置を確認する。
【0088】
次に外科医は、ループ状の縫合糸3を連結部50および挿入管100から引き抜く。次に挿入管100が延長腕部900とハンドル510から外され、ブルノーズ600と挿入管100とを骨移植片材を用いる準備として椎間から約10mmほど引く。スラップハンマーを用いて引きやすくしてもよい。このブルノーズと挿入管は、クランプ920を使用して延長腕部900に再度固定される。
【0089】
次に外科医は、ハンドル510を挿入管100のハンドル120から外し、挿入管100からブルノーズ600を引く抜く。その後骨移植片漏斗800を挿入管100のハンドル120の近位端に設置する。それから外科医は、適当な大きさの骨移植片用プランジャー820の先端822をハンドル510に固定する。本発明の1つの実施態様では、各プランジャー先端部822にはその高さを表す印が付されている。次に外科医は、粉砕骨材7を骨移植片用漏斗800内に堆積させ、骨移植片用プランジャー820を用いて挿入管100内へと下方に押し込む。この段階が終了すると、骨移植片漏斗800が挿入管ハンドル120から取り外される。骨移植片材7は、再度骨移植片プランジャー820を使用して椎間2内にさらに押し込んでもよい。
【0090】
最後に外科医は、骨移植片プランジャー820を取り除き、延長腕部900を椎弓根スクリュー9から外し、組み立てられたユニットとして延長腕部900と挿入管100を取り除き、全行程が終了する。
【0091】
本発明をその好ましい実施態様と考えられるものにおいて、本発明によって得られる従来技術に対する結果および利点を例示し、本明細書で説明してきたが、本発明はこれら具体的な実施態様に限定されるものではない。従ってここで示し、説明した本発明の形体は、例示を目的としたものであり、添付の特許請求の範囲に記載した本発明の範囲から逸脱せずに他の実施態様も選択可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する椎骨間の椎間が輪切除部を介して処理可能となり、椎間板が前記椎間から椎間切除術によって取り除かれ、前記椎骨に複数の椎弓根スクリューが固定され、中央軸とこれに固定されたハンドルを有する第1のブルノーズ(600)を含む椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステムにおいて、
前記第1ブルノーズ(600)が前記椎間を開大するように形成された遠位端を有し、さらに前記システムが、
前記輪切除部内の設置のための湾曲した外側壁を有する遠位端および中空のハンドル(120)とこのハンドルと近位端との間に位置するチャネルとを含む近位端を有する挿入管(100)および
前記椎間内を進行するように形成された遠位端、長手軸およびハンドルに係合する形状を有する遠位端を有し、前記挿入管(100)のチャネルを介して受けられる大きさの第2のブルノーズ(600)を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記椎体間装置(20)を前記椎間に挿入しやすくするために真っ直ぐな内側壁を有する遠位端を有する挿入管(100)を含むことを特徴とする請求項1記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項3】
前記椎体間装置(20)を前記椎間に挿入しやすくするために一組の対向する上下壁および一組の対向する内外側壁を含み、所定の長さの湾曲した外側壁(112)およびこれより短い真っ直ぐな内側壁を有する遠位端を有する挿入管(100)を含むことを特徴とする請求項1に記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項4】
近位端に中空のハンドルを有する挿入管(100)を含み、このハンドルは、挿入管と連通し、このハンドルを介して前記ブルノーズ(600)と前記椎体間装置(20)が挿入されることを特徴とする請求項1に記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項5】
前記中空のハンドル(120)の近位端に係止フランジ(122)を有し、これに対応する係止フランジと係合するようにした挿入管(100)を含むことを特徴とする請求項4記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項6】
前記遠位端近傍の外面に深さを示す複数の印を有する挿入管(100)を含み、挿入管(100)の前記椎間内の深さを測定することを特徴とする請求項2記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項7】
椎間に前記挿入管(100)を介して挿入して椎体間装置(20)の適切な大きさを調べるために連接腕部に固定されたトライアルインプラント(400)を含むことを特徴とする請求項1記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項8】
椎間に挿入して椎体間装置(20)の適切な大きさを調べるために複数の長さ、高さおよび幅を有する複数のトライアルインプラント(400)を含むことを特徴とする請求項2記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項9】
椎体間装置(20)を操作するために使用される縫合糸を受けるために前記長手軸の1つの側に近位端から遠位端に配された長手方向に延びた溝(612)を有する第2のブルノーズ(600)を含むことを特徴とする請求項1記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項10】
椎体間装置(20)を椎間内に進行するように形成された遠位端を有する第2ブルノーズ(600)を含むことを特徴とする請求項1記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項11】
前記椎間内を進行するように形成された遠位端、長手軸、ハンドルに係合するように形成された近位端および椎体間装置(20)に固定された縫合糸のための隙間として前記シャフトの両側に沿って延びた一組の対向する溝(612)を有する第2ブルノーズ(600)を含むことを特徴とする請求項1記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項12】
前記椎間を開大するために複数の異なる高さの遠位端を有する複数のブルノーズ(600)を含むことを特徴とする請求項1記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項13】
前記複数のブルノーズ(600)の遠位端が挿入深さを示す複数の印を含むことを特徴とする請求項12記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項14】
椎間内を進行するように形成された先端(710)と、この先端から長手方向に間隔をおいて位置する一組の対向する切断縁部(714)を含む遠位端を有する頭部を有するボックスカッター(700)を含み、このボックスカッターが前記輪切除部を通って進行する際に前記隣接する椎骨の後部端板を削ることを特徴とする請求項1記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項15】
前記第1および第2ブルノーズ(600)の近位端に係合するトライアルハンドル(510)を含み、このトライアルハンドルが前記挿入管ハンドル(120)に固定されるようになっていることを特徴とする請求項5記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項16】
遠位端に係止フランジを有するトライアルハンドル(510)を含み、このフランジが前記挿入管ハンドル(120)と係合し、これに前記トライアルハンドルを固定し、前記ブルノーズ(600)の1つが前記トライアルハンドルに固定され、前記挿入管(100)に挿入され、前記挿入管ハンドルに固定されることを特徴とする請求項5記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項17】
遠位端と、長手方向に延びたスロットを有する近位端を有する連接腕部(430)と、
中央ヒンジによって連結された遠位端と近位端を有し、この近位端が前記連接腕部(430)の遠位端に回転自在に固定されたトライアルインプラント(400)と、
一組の間隔をおいて位置する遠位先端部および挿入ツールに固定するための近位端を有し、これら遠位先端部がその近位端でヒンジピンによって連結されたトライアルインプラントロッド(420)とを含み、前記連接腕部(430)のスロットが前記ヒンジピンに係合し、前記椎間内に設置するために前記トライアルインプラント(400)が前記中央ヒンジ、前記連接腕部(430)の遠位端および前記連接腕部の近位端を中心に枢動することを特徴とする請求項7記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項18】
椎間に挿入して椎体間装置(20)の適切な大きさを調べるために複数の長さ、高さおよび幅を有する複数のトライアルインプラント(400)を含むことを特徴とする請求項17記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項19】
前記トライアルインプラントロッド(420)に固定される遠位端および近位端を有する挿入ツール(500)と、
前記第1挿入ツール(500)のシャフトの近位端と係合するためのトライアルハンドル(510)とを含み、このトライアルハンドルが前記挿入管(100)のハンドルに規定されるようになっていることを特徴とする請求項17記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項20】
内部に開口部を有し、前記挿入管(100)を介して前記椎間に骨移植材を送るために前記挿入管(100)の中空のハンドル(120)に固定される骨移植片用漏斗(800)を含む請求項4記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項21】
遠位部に可撓性の角度が付けられた先端部(822)およびこの先端部に接続されたプランジャーシャフトを有し、骨移植材を前記椎間に強制的に押し込むために前記挿入管(100)を介して挿入可能である骨移植プランジャー(820)を含むことを特徴とする請求項1記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項22】
前記可撓性の角度が付けられた先端部(822)が前記挿入管(100)にきつく嵌るように形成され、すべての骨移植片材を前記椎間内に強制的に押し込むことを特徴とする請求項21記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項23】
前記可撓性の角度が付けられた先端部(822)がエラストマーから構成されていることを特徴とする請求項21記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項24】
前記プランジャーシャフトがエラストマーから構成されていることを特徴とする請求項21記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項25】
前記可撓性の角度が付けられた先端部(822)が前記椎間内に進行するように長尺になっており、力が加わっていない状態で湾曲していることを特徴とする請求項21記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項26】
前記骨移植プランジャー(820)が可撓性の金属合金で構成されていることを特徴とする請求項21記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項27】
遠位端および近位端を有する長尺の胴体を有し、その遠位端で前記椎弓根スクリュー(9)の少なくとも1つに固定されるようになっており、さらに前記挿入管(100)を固定するために近位端に固定されたクランプ(920)を有する延長腕部(900)を含むことを特徴とする請求項1記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項28】
遠位端および近位端を有する長尺の胴体を有し、その遠位端で前記椎弓根スクリュー(9)の少なくとも1つに固定されるようになっており、さらに前記挿入管(100)のハンドルを固定するために近位端に固定されたクランプ(920)を有する延長腕部(900)を含むことを特徴とする請求項4記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項29】
遠位端および近位端を有し、遠位端で前記椎弓根スクリュー(9)の少なくとも1つに固定される長尺のチャネルおよび調節自在なクランプ案内部(930)に固定されたクランプ(920)を有する延長腕部(900)を含み、このクランプ案内部が前記クランプをその一点で固定するために前記チャネルに沿って移動可能であり、前記クランプが前記挿入管(100)を前記延長腕部(900)に正確な位置に固定することを特徴とする請求項1記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項30】
遠位端および近位端を有し、遠位端で前記椎弓根スクリュー(9)の少なくとも1つに固定される長尺のチャネルおよび調節自在なクランプ案内部(930)に固定されたクランプ(920)を有する延長腕部(900)を含み、このクランプ案内部が前記クランプをその一点で固定するために前記チャネルに沿って移動可能であり、前記クランプが前記挿入管(100)を前記延長腕部(900)に正確な位置に固定することを特徴とする請求項4記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。
【請求項31】
前記挿入管内に挿入でき、前記椎間内を進行することができる可撓性のスリーブ(140)を含むことを特徴とする請求項1記載の椎間に椎体間装置(20)を挿入するためのシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【公表番号】特表2012−532691(P2012−532691A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519766(P2012−519766)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041543
【国際公開番号】WO2011/006077
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(510023908)アール ツリー イノベーションズ エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】