説明

可撓性カソード

リチウム電池用のカソードについて記載されている。当該カソードは、(a)アルミニウム箔を含有する集電体と、(b)(i)二酸化マンガンと、(ii)導電性材料と、(iii)直鎖ジ及びトリブロック重合体、メラミン樹脂によって架橋される直鎖トリブロック重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、フッ化トリブロック熱可塑性物質、水素化ニトリルゴム、フルオロ−エチレン−ビニルエーテル共重合体、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性オレフィン、ポリビニリジンフルオロ同種重合体の群から選ばれる結合剤と、を含有する活性カソード材料とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池用カソードに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明はリチウム電池用カソードに関する。電池は電気的エネルギー源として一般的に使用されている。電池は、アノードと呼ばれる負電極とカソードと呼ばれる正電極とを備える。アノードは酸化される活性材料を含み、カソードは還元される活性材料を含むか、消費する。アノードの活性材料はカソードの活性材料を還元することができる。
【0003】
電池が装置中の電気的エネルギー源として使用される場合には、アノードとカソードが電気的に接触し、装置を通して電子が流れ酸化還元反応を起こし、電気を発生させる。アノードとカソードに接触している電解液はイオンを含有し、当該イオンは、放電中の電池全体の電化バランスを維持するために、セパレーターを通って移動する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池のカソードは活性材料を含有するスラリーを基板にコーティングすることにより形成され、その基板はカソードの集電体として機能する。均一な厚さでコーティングされると良い性能の電池になるため、基板は均一にコーティングされることが望ましい。ある特定の成形方法によれば、コーティングする厚さを上手く調整することができる。しかし、繊維状構造ではあるが成形段階で堅くなる材料を含むスラリーには、その成形方法を使用することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、リチウム電池に使用するカソードの製造方法及びその製造方法で製造されたカソードに関する。本発明の製造方法は、活性材料、結合剤及び溶媒を形成する工程と、可撓性のある集電体をスラリーでコーティングする工程と、カソードを乾燥する工程と、カソードをカレンダーする工程とからなる。
【0006】
最終的に製造されたカソードはとても薄く、可撓性がある。片面カソード(つまり、金属薄片の一表面だけが活性材料によりコーティングされているカソード)は、コーティング中にクラックを発生したり、離層することなく、180°の角度で折りたたんでひだを作ったり、小さな直径の円形又は四角形の心棒上に巻きつけたりすることができる。両面カソードもまた、コーティング中にクラックを発生したり、離層することなく、巻きつけることができる。本発明のカソードは、ステンレススチールを使用したメッシュ状の集電体を使用して作られるカソードと同程度の性能を有する。集電体の厚みにより単位体積あたりの活性材料使用量を増やすことができる。
【0007】
本発明の一つの特徴は、リチウム電池用カソードであり、本発明のカソードは、(a)アルミニウム箔を含む集電体と、(b)(i)二酸化マンガンと、(ii)導電性材料と、(iii)直鎖ジ及びトリブロック重合体、メラミン樹脂によって架橋される直鎖トリブロック重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、フッ化トリブロック熱可塑性物質、水素化ニトリルゴム、フルオロ−エチレン−ビニルエーテル共重合体、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性オレフィン、ポリビニリジンフルオロ同種重合体の群から選ばれる結合剤と、を含有する活性カソード材料と、を備える。結合剤は、トリブロック共重合体、例えばスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン重合体を使用できる。選択的に、EPDMゴム、PVDF同種重合体、メラニン樹脂で架橋される直鎖トリブロック重合体、例えばメラニン樹脂で架橋されるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン重合体を使用できる。主としてアルミニウムからなる集電体の片面又は両面は、活性カソード材料でコーティングされる。
【0008】
本発明の別の特徴は、リチウム電池用可撓性カソードであり、本発明のカソードは、(a)アルミニウム箔を含む集電体と、(b)(i)二酸化マンガン(ii)導電性材料(iii)結合剤を含有する活性カソード材料と、を備える。
【0009】
本発明の別の特徴は、リチウム電池用カソード製造方法であり、(a)触媒と、導電性材料と、溶媒と、結合剤とを混合し、混合物を製造する工程と、(b)混合物を散布し、スラリーを形成する工程と、(c)溶液噴射工程を使用して基板にスラリーを散布し、コーティングされた基板を形成する工程と、(d)コーティングされた基板を乾燥する工程と、を備える。(d)ステップの次工程に、カソードをカレンダーする工程を設けてもよい。
【0010】
基板には、(c)工程の前にフレーム処理され、プライマでコーティングされたアルミニウム箔を使用することができる。溶媒には、炭化水素溶媒、例えば、パラフィン溶媒や芳香族炭化水素溶媒を使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一つ以上の具体例は、後述する図面や詳細な説明で詳しく説明される。本発明の他の特徴、目的及び利点は詳細な説明及び図面並びに請求項に示される。
【0012】
図1に示されるプラスチックセル10のような電気化学的セルは負に帯電したリード線と電気的に接触したアノードと、正に帯電したリード線と電気的に接触したカソードと、セパレーターと、電解質溶液とを含有する。アノード、カソード、セパレーター及び電解質溶液はケース内に設置される。電解質溶液は、溶媒と、溶媒内で少なくとも部分的には溶解している塩とを含有する。
【0013】
カソードは、活性カソード材料を含有する。活性材料としては、例えば、MnOのような金属酸化物を使用できる。電解質二酸化マンガン(EMD)を用いることが好ましい。他の活性材料は、2001年12月14日出願のBlasi et al. 10/022,289に記載されており、その全体を参照としてここに盛り込む。カソードはカーボンブラックやグラファイトのような導電性材料も含有する。
【0014】
カソードは、結合剤を含有する。結合剤は、機能的、熱的、化学的に安定なものが好ましい。使用される結合剤の例としては、ジ及びトリブロック直鎖ポリマーがあり、ポリマーの主鎖には二重結合を有さないか、又は共役二重結合を有することが好ましい。結合剤は、29%から33%までのポリスチレンを含有することが好ましい。他の例としては、メラミン樹脂で架橋された直鎖トリブロック、エチレンの含有量が少なくとも約40%以上であるエチレン−プロピレン共重合体、エチレンの含有量が70%未満であるエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、トリブロックフッ化熱可塑性物質(例えば、TEE/HEP/VF2三元共重合体)、アクリロニトリルの含有量が少なくとも約30%以上である水素化ニトリルゴム、フルオロ−エチレン−ビニルエーテル共重合体、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性オレフィン(TPO)、分子量約0.5MのPVDF同種重合体が挙げられる。
【0015】
結合剤は、カソードの特性を良くするために修正を加えてもよい。例えば、架橋結合又は加硫した低分子量のゴムを用いると、カソードの溶媒抵抗をかなりよく改善する。実際は、コーティング工程の乾燥剤中に架橋結合する。
【0016】
ブロック共重合体は、結合剤として好ましい。特に好ましい例としては、Kraton G 1651(SEBS)を含有した結合剤である。他の好ましい結合剤は、Royalene521(EPDM)、Hylar301(PVDF同種重合体)、Kraton G1901(メラミン樹脂によって架橋されるSEBS)を含有したものである。
【0017】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)以外の結合剤が使用されるので、良い粘着性を有する可撓性のあるカソードを製造するのに微小繊維化する必要がない。さらに、微少繊維化によって厚くなる危険が最小になるので、高い剪断比率を有する噴射工程を用いることができる。
【0018】
活性材料、導電性材料及び結合剤は溶媒中で混合され、スラリーを形成する。スラリーを形成するに際して、結合剤料と活性粉末(例えば、二酸化マンガン、カーボンブラック、グラファイト)との相互作用を考慮しなければならない。溶媒により、コーティング工程の塗布レオロジーが決められる。溶媒は、欠陥をなくしカソードを均一に乾燥するよう選択される。溶媒は、乾燥をコントロールする一時的な可塑剤や潜在的な溶媒としても機能する。
【0019】
好ましい溶媒は、ヘキサン、VM&P Naphtha HTのようなイソ及び環状パラフィン溶媒、Shell Sol A 100のような芳香族炭化水素溶媒といった、通常の枝分かれした炭化水素を含有するものである。他の炭化水素溶媒も用いることができる。溶媒を混合したものを使用してもよい。例えば、芳香族炭化水素40重量%、イソ及び環状パラフィン溶媒30重量%、ヘキサン30重量%を有する混合溶媒を使用しても良い。
【0020】
代表的なスラリー調合物は、1-10重量%好ましくは2-5重量%の結合剤、50-80重量%好ましくは60-70重量%の活性粉末、25-40重量%好ましくは30-35重量%の溶媒を含有する。乾燥状態では、カソードは好ましくは3重量%未満の結合剤及び97%以上の活性粉末を含有する。スラリー固体は好ましくは65-75重量%であり、スラリーの粘着率は25000−45000cpsである。表1に幾つかの代表的なカソード調合物を示す。
【0021】
【表1】

【0022】
カソードは集電体も有する。集電体は、一般的にはアルミニウム合金であり、例えば、アルミニウム箔である。使用されるアルミニウム箔の型は、アルミニウム箔をコーティングしたり、電極を屈曲する装置に従って変えられる。使用されるアルミニウム箔の例としては、厚み1.0mil(0.001インチ)(0.0254mm)の部分では熱処理後の堅さはH19であり、厚み1.5mil(0.038mm)の部分ではH0である#1145合金を含有する。可溶性を改善するためにアルミニウム箔をフレーム処理又はコロナ処理することができる。両処理共にアルミニウム箔の表面エネルギーを35Dyne/cmから68-70Dyne/cmまでに増加させることができる。選択的に、プライマ層が既に塗られているアルミニウム箔を購入することができる。例えば、プライマ層を有する箔をLamart Corpから購入することが出来る。好ましい集電体は、商業的に得ることの出来る水性のプライマ(Acheson EB 012)で下塗りされているアルミニウム箔である。水性プライマは、スプレー、グラビア印刷法、断続的な逆ロールコーティング法によって塗布される。コーティング重量は、好ましくは0.5−1.0mg/cm2である。
【0023】
カソードを製造する最初の工程は、結合溶媒に粉末を分散させる工程である。スラリー調合物は卓上方法(例えば、バッチサイズが0.75kg)を用いる場合には、ボールミル又はプラネタリーミキサーによって分散され、より大きな方法(例えば、バッチサイズが8kg)を用いる場合には、Henshelミキサー FM10によって分散される。分散時間は、0.5−1.5時間である。分散の程度はHegmanゲージによって測定される。スラリーの濃度は好ましくは、1.8-1.9g/ccであり、スラリーは好ましくは約73-75重量%が固体であり、粘着率は好ましくは75°F(24℃)で10sec-1あたり約350-500Pである。粘着率はBrookfield DV III、50rpm、スピンドル7を使用して測定される。これらの分散方法によって形成されたスラリーは少なくとも5日間は安定であり、8週間後でも安定しており使用できるものもある。
【0024】
カソードを形成する次の工程は、スラリーによってアルミニウム箔集電体をコーティングする工程である。この工程は、密閉された高圧流動分配システムを使用して行われる。図2に示すように、スラリーは圧力ポット30の中に送り込まれる。空気31がポット30の中に送られ、スラリーがスラリー供給ライン32の中へ送られる。スラリーは、スラリー供給ラインから流量調整ポンプ34へ供給される。流量調整ポンプは供給ライン36を通る溶液流量を調整する。ライン36は押出ダイ38に接続されている。上述したように処理された箔40は、支持ロール42上を移動する。箔が押出ダイ近傍を通過する際、カソードスラリーが箔に塗布される。押出ダイと支持ロールの間隔によって、コーティングの湿式厚さが決まる。集電体に対して片面又は両面コーティングしてもよい。例えば、押出ダイと支持ロールの間隔は、箔が最初に通り過ぎる間、14-16mil(0.36-0.41mm)にセットされる。箔が1mil(0.025mm)ならば、乾燥時に箔の片面のコーティングは約7-10mil(0.18-0.25mm)になる。逆側の面もコーティングされるのであれば、支持ロールと押出ダイとの間隔は23-25mil(0.58-0.66mm)にセットされる。このようにして、集電体の両面は乾燥時に約7-10mil(0.18-0.25mm)となる厚みでコーティングされる。箔が約1mil(0.0254mm)の厚みを有しており、また、両面は約0.5mil(0.013mm)の厚さのプライマの層を有しているので、乾燥時のカソードの全体の厚さは、16-22mil(0.41-0.56mm)になる。
【0025】
4インチ幅繊維を用いたラブ塗工機を使用することができる。支持ロールの速度は、19cm/分の線速度となるように設定することができる。逆コンマコーティング法を使用することができる。乾燥カソードの基本的な重さは、最適には、片面あたり45-50mg/cm2である。固体分散方法については、Modern Coating and Drying Technology(E. Cohen and E. Gutoff, eds. 1992) 及びWalter Michaeli, Extrusion Dies(2d rev. ed. 2000)により詳細に記載されている。
【0026】
コーティングした後で、カソードの湿った表面に熱風が直接吹き付けれられるゾーンを通ってカソードは乾燥される。ゾーンからゾーンへと移るにつれて空気の速度と温度は徐々に傾斜づけられる。典型的な温度は、ゾーン1とゾーン2では、それぞれ45-80℃と70-130℃である。第一ゾーンで急速にカソードが乾燥すると、クラックを生じる傾向にある。代表的なコーティングと乾燥工程のパラメーターを表2に示す。
【0027】
【表2】

【0028】
コーティングが均一で欠陥が無い場合には、卓上コーティングカソードは、典型的には、室温で15秒後、100℃で3分の乾燥試験を通過する。分析テストによると、乾燥工程後の乾燥カソードの残量トルエンは0.5%未満である。
【0029】
乾燥後、カソードはカレンダーされる。カレンダー前に、コーティングの無いゾーンによる皺を避けるために、コーティングされていないカソードの端部は切り落とされる。ロール幅12インチ、ロール半径16インチの修正された4ロール “Z”カレンダーを使用してカレンダーされる。ロールは必要に応じて加熱冷却される。カソードは好ましくはオフライン、継続モード(例えば、リールトーリール)でカレンダーされる。二つのニップで構成された2×2ロールや一つのニップで構成された2ロールが使用される。材料は、室温から60℃の間でカレンダーされるのが好ましい。3feet/分のライン速度を使用することができる。
【0030】
カソードはカレンダーされることで、望ましい多孔性を有することができる。例えば、具体例として、30-35%の多孔性が望ましい。その他の特徴として、カレンダーされたカソードは、両面カソードにおけるコーティングした重さの総量が約100mg/cm2であり、密度が2.85g/ccより高く、展伸が5%未満好ましくは約1.5%から約2.5%であることが望ましい。片面だけコーティングされたカソードについては、7-11mil(0.18-0.28mm)の厚みを有するグリーン(つまり、乾燥されてはいるがカレンダーされていない)カソードはカレンダーされて最終的にはトータルの厚みが約6-8mil(0.152-0.203mm)(4.5-6.5mil(0.114-0.165mm)のコーティング層、厚さ1mil(0.025mm)の箔及び0.5mil(0.013mm)のプライマ層)になっていることが好ましい。
【0031】
コーティングが終了したカソードには、ひだをつけることができる。つまり、両面がお互い接触するように、180°の角度で後方へ折り曲げられる。片面をコーティングされた箔状集電体からなるカソードは、箔が外側を向きコーティング層が内側を向くように折り曲げられる。ひだをつけた後には、カソードには視認できるクラックは発生しなかった。
【0032】
コーティングが終了したカソードは屈曲される。つまり、主軸周りに巻きつけることができる。両面がコーティングされたアルミニウム箔集電体からなるカソードが、27.5mm×0.9mm主軸周りに巻きつけられた。視認検査によると、カソードが巻きつけられた後でも、幾つかのケースで箔にはクラックが入っていたものの、コーティングにはクラックは入っていなかった。上述した、ひだをつけることのできる又は巻きつけることのできるカソードを「可撓性のある」と呼ぶ。コーティングの粘着力も、10×10スクウェアクロスハッチ試験を使用して試験することができる。
【0033】
カソードは、図1に示されるプラスチックセル10のような、リチウムセル内で使用することができる。これらのセルも、アノード、セパレーター、電解質及び容器を含む。アノードは、リチウムのような活性アノード材料から成るものを使用することができる。セパレーターは、水性でない電気化学セルで使用される標準的なセパレーター材料から形成される。例えば、セパレーターは、ポリプロピレン(例えば、不織ポリエチレン又は微小孔構造ポリエチレン)、ポリエチレン及び/又はポリスルフォンによって形成されることができる。セパレーターについては、U.S. Patent No 5,176,968に詳述されている。
【0034】
電解質は、液体状、固体状又はジェル(ポリマー)状のものを使用することができる。電解質としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ヂメトキシエタン(DME)、ヂオキソレン(DO)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(CH3CN)、γ−ブチロラクトン、ヂエチルカーボネート(DEC)、ヂメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ヂメチルスルホキサイド(DMSO)、メチルアセテート(MA)、メチルフォーミネート(MF)、スルフォラン又はこれらを組み合わせたもののような有機溶媒を含有することができる。電解質は、SOやSOCLのような無機溶媒を選択的に含有することができる。電解質は、リチウムトリフルオロメタンスルフォネート(LiTFS)やリチウムトリフルオロメタンスルフォニミド(LiTFSI)やこれらを組み合わせたもののようなリチウム塩を含有することもできる。含有することのできる他のリチウム塩はUS特許5,595,841に記載されている。なお、US特許5,595,841は、その全体を参照としてここで盛り込む。具体例としては、電解質は、LiPF6を含有しても良く、他の具体例としては、電解質には本質的にはLiPF6が無くても良い。電解質は、セル中の腐食を防止する過塩素酸塩を含有しても良い。好ましい塩の例としては、リチウム、バリウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、銅、亜鉛、アンモニウム、テトラブチルアンモニウム過塩素酸塩を含有するものである。一般的には、過塩素酸塩の重さは、少なくとも500ppm使用する。このことにより、腐食を防止するのに十分な塩を確実に供給することになる。さらに、過塩素酸塩の重さとしては、20,000未満の量を一般的に使用する。過剰な量の過塩素酸塩が使用されると、使用される環境によっては、セルの内部がショートしてしまうためである。電解質についてより詳しくは、2001年12月14日出願のBlasi et al. U.S.S.N 10/022,289に記載されている。
【0035】
セルを組み立てるのに、セパレーターは、アノード及びカソードと同程度の大きさの部位に切断され、両者の間に設けられる。アノード、カソード及びセパレーターはケースの中に配置される。なお、ケースは、ニッケル、ニッケルメッキスチール、ステンレススチール又はアルミニウムのような金属、又はポリビニルクロライド、ポリプロピレン、ポリスルフォン、ABS又はポリアミドのようなプラスチックによって作られる。ケースは、その後、電解質で満たされ密封される。セルを組み立てる他の方法は、米国特許4,279,972. 4,401,735, 4,526,846に記載されている。コインセル構成等、他の電池10の構成も使用することができる。
【0036】
本発明は、後述する実施例により詳細に記載されるが、実施例の記載は、請求項記載の本発明の範囲を限定するものではない。
【0037】
実施例1
上述した手段によってカソードが準備された。スラリーには、
スチレンブロック共重合体(Kraton G1651) 31.0g
活性粉末混合物(EMD、カーボンブラック、グラファイト) 1000.0g
芳香族炭化水素溶媒(Shell Sol A100) 140.8g
パラフィン溶媒(VM&P Naphtha HT) 105.6g
ヘキサン 105.6g
を含有させた。スラリーは、アルミ箔の両面をコーティングするのに使用された。カソードは上述された手法で準備され、性能は二種類の試験媒体(2/3Aセル及びコインセル)によって測定された。可撓性を有するカソードの性能は、ステンレススチールが延ばされたメッシュ状の集電体によって作られたカソードと比較された。2/3Aセル中で、カソードの性能は同程度であった。コインセル中で、下塗り塗装された箔を使用して作られた可撓性のあるカソードに対する性能は、ステンレス集電体で作られたカソードの性能と同程度であったが、下塗り塗装されていないアルミニウム箔で作られたカソードの性能は、ステンレス集電体で作られたカソードの性能と比べ30%劣った。可撓性のあるカソードは、0.177インチの支柱にクラックや離層することなく巻きつけることができ、ひだをつけることができた。
【0038】
実施例2
上述した手段によってカソードが準備された。スラリーには、
未硬化EPDMゴム(Royalene 521) 31.0g
活性粉末混合物 1000.0g
芳香族炭化水素溶媒(Shell Sol A100) 194.5g
パラフィン溶媒(VM&P Naphtha HT) 194.5g
を含有させた。可撓性のあるカソードは、0.177インチの支柱にクラックや離層することなく巻きつけることができ、さらに、ひだをつけることもできた。
【0039】
実施例3
上述した手段によってカソードが準備された。スラリーには、
高分子重量PVDF(Hylar 301F) 31.0g
活性粉末混合物(EMD、カーボンブラック、グラファイト) 1000.0g
N-メチルピロ 519.0g
を含有させた。可撓性のあるカソードは、0.177インチの支柱にクラックや離層することなく巻きつけることができた。
【0040】
実施例4
上述した手段によってカソードが準備された。スラリーには、
スチレンブロック共重合体(Kraton G1901) 31.0g
活性粉末混合物 1000.0g
メラミンホルムアルデヒド樹脂(Cymel 303) 2.78g
触媒(Cycat) 0.43g
芳香族炭化水素溶媒(Shell Sol A10) 55.4g
VM&P Naphtha HT 41.6g
ヘキサン 41.6g
を含有させた。可撓性のあるカソードは、0.177インチの支柱にクラックや離層することなく巻きつけることができた。
【0041】
本願中に記載される全ての文献、特許及び特許出願は、各々の文献、特許及び特許出願の具体的な個々の内容が記載されるのと同程度に、参照としてここで盛り込まれる。
【0042】
他の実施例
本発明の多くの実施例が記載されている。それでもやはり、本発明の意図や範囲からそれる様々な修正が行われることが推測される。例えば、上述した実施例は一次(つまり、充電できない)リチウム電池に使用するカソードに関連するものであるが、本発明は、充電できるリチウム電池に使用するカソードを準備することにも使用することができる。そのような他の実施例は、請求項の範囲に入る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1には、プラスチックセルを示す斜視図である。
【図2】図2には、本発明のコーティングプロセスを示す概略図である。
【符号の説明】
【0044】
10 プラスチックセル
30 圧力ポット
31 空気
32 スラリー供給ライン
34 流量調整ポンプ
36 ライン
38 押出ダイ
40 箔
42 支持ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム電池用カソードであって、
(a)アルミニウム箔を含有する集電体と、
(b)(i)二酸化マンガンと、
(ii)導電性材料と、
(iii)直鎖ジ及びトリブロック重合体、メラミン樹脂によって架橋される直鎖トリブロック重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、フッ化トリブロック熱可塑性物質、水素化ニトリルゴム、フルオロ−エチレン−ビニルエーテル共重合体、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性オレフィン、ポリビニリジンフルオロ同種重合体の群から選ばれる結合剤と、
を含有する活性カソード材料と、
を備えたことを特徴とするカソード。
【請求項2】
結合剤は、トリブロック重合体であることを特徴とする請求項1記載のカソード。
【請求項3】
結合剤は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン重合体であることを特徴とする請求項2記載のカソード。
【請求項4】
結合剤は、EPDMゴムであることを特徴とする請求項1記載のカソード。
【請求項5】
結合剤は、PVDF同種重合体であることを特徴とする請求項1記載のカソード。
【請求項6】
結合剤は、メラニン樹脂によって架橋される直鎖トリブロック重合体であることを特徴とする請求項1記載のカソード。
【請求項7】
結合剤は、メラニン樹脂によって架橋されるスチレン−エチレン−ブチレンであることを特徴とする請求項6記載のカソード。
【請求項8】
集電体の一方の面は、活性カソード材料によって覆われることを特徴とする請求項1記載のカソード。
【請求項9】
集電体の両面は、活性カソード材料によって覆われることを特徴とする請求項1記載のカソード。
【請求項10】
集電体は、主にアルミニウムからなることを特徴とする請求項1記載のカソード。
【請求項11】
(a)アルミニウム箔を含有する集電体と、
(b)(i)二酸化マンガンと、(ii)導電性材料と、(iii)カソードに可撓性がみられる結合剤とを含有する活性カソード材料と、
を備えたことを特徴とするリチウム電池用のカソード。
【請求項12】
リチウム電池用カソードを製造する方法であって、
(a)触媒と、導電性材料と、溶媒と、結合剤とを混合し、混合物を製造する工程と、
(b)混合物を散布し、スラリーを形成する工程と、
(c)溶液噴射工程を使用して基板にスラリーを散布し、コーティングされた基板を形成する工程と、
(d)コーティングされた基板を乾燥する工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項13】
(d)工程の後にカレンダーする工程を更に含むことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
基板は、アルミニウム箔であることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項15】
基板は、(c)工程の前にフレーム処理されることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項16】
基板は、(c)工程の前にプライマでコーティングされることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
溶媒は、炭化水素溶媒であることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項18】
溶媒は、パラフィン溶媒であることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
溶媒は、芳香族炭化水素溶媒であることを特徴とする請求項17記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2006−505914(P2006−505914A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551729(P2004−551729)
【出願日】平成15年11月5日(2003.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2003/035181
【国際公開番号】WO2004/045008
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】