説明

可撓性包装体詰め製品

【課題】より簡素な構成で、開封された可撓性包装体に投入された具等の追加物をもともとの内容物ともに加熱調理することのできる可撓性包装体詰め製品を提供することである。
【解決手段】内容物が自立可能な可撓性包装体14に詰められて密封されてなる可撓性包装体詰め製品10であって、可撓性包装体14は、開封予定位置より上方の上方部分102とその下方の本体部分101とに分断可能であり、本体部分101の前記開封予定位置近傍が、前記開封予定位置の幅よりも狭い狭幅部155となり、前記開封予定位置に形成された切断誘導部151、152から包装体14を幅方向に切断して分離された上方部分102を開口した本体部分101に被せられるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチのような可撓性包装体に内容物を詰めて密封してなる可撓性包装体詰め製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カレールー等の流動性食品をパウチ(可撓性包装体)に詰めて密封し、加熱・殺菌したレトルトパウチ食品(パウチ詰め製品)がある。このようなレトルトパウチ食品として、近年、具を除いたタレや汁等の調味液を詰めて密封したものが提案されている(特許文献1参照)。このレトルトパウチ食品では、パウチを開封して具を投入した後に、ジッパーによってパウチを再封し、電子レンジ等によってタレや汁とともに具の加熱調理がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−12831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した特許文献1記載のレトルトパウチ食品は、パウチ内に具を投入した後に、開口部近傍に設けられているジッパーを閉めることによって密封されるため、調味液(タレや汁等)とともに具を電子レンジ等で加熱調理する際に発生する蒸気によって当該パウチ内の圧力が上昇する。そこで、このレトルトパウチ食品では、パウチに蒸気を放出するための蒸気孔が形成されている。これにより、加熱調理に際して発生する蒸気によってパウチ内の圧力が上昇しようとしても蒸気孔から蒸気が放出されるので、必要以上に当該パウチ内の圧力が高まることがない。
【0005】
しかしながら、前述した従来のレトルトパウチ食品は、パウチにジッパーや蒸気孔を設けなければならないためにその構造が複雑であり、製造が難しく、かつコストもかさむものとなっていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、より簡素な構成で、開封された可撓性包装体に投入された具等の追加物をもともとの内容物ともに加熱調理することのできる可撓性包装体詰め製品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る可撓性包装体詰め製品は、内容物が自立可能な可撓性包装体に詰められて密封されてなる可撓性包装体詰め製品であって、前記可撓性包装体は、開封予定位置より上方の上方部分と下方の本体部分とからなり、前記本体部分の前記開封予定位置近傍には、前記開封予定位置の幅よりも狭い狭幅部が形成され、前記開封予定位置に形成された切断誘導部から当該包装体を幅方向に切断して分離された前記上方部分を開口した前記本体部分に被せられるように構成される。
【0008】
このような構成により、可撓性包装体を、切断誘導部に従って幅方向に切断すると、当該可撓性包装体は、その切断線を境として上方部分と内容物の入った本体部分とに分断される。そして、本体部分の切り口の端部からその近傍に形成される狭幅部までの部分を内側に折ることによって本体部分の開放する切り口の幅を前記上方部分の開放する切り口の幅より実質的に狭くすることができ、その状態で、内容物の入った前記本体部分の開放する切り口に前記本体部分を蓋のように容易に被せることができるようになる。
【0009】
本発明に係る可撓性包装体詰め製品において、前記上方部分側から前記狭幅部にかけて次第に幅が狭くなる傾斜領域を有し、前記傾斜領域内に前記切断誘導部が形成された構成とすることができる。
【0010】
これらの構成により、可撓性包装体を切断誘導部に従って幅方向に切断すると、当該可撓性包装体が傾斜領域内で幅方向に切断されるようになるので、本体部分の切り口の端部から狭幅部まで続く傾斜領域を内側に折ることによって、本体部分の開放する切り口の幅を前記上方部分の開放する切り口の幅より実質的に狭くすることができ、その状態で、内容物の入った前記本体部分の開放する切り口に前記本体部分を蓋のように容易に被せることができるようになる。
【0011】
また、本発明に係る可撓性包装体詰め製品において、前記可撓性包装体は側縁シール部を有し、前記開封予定位置の内縁幅が前記狭幅部の外縁幅よりも広い構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、可撓性包装体を切断誘導部に従って切断して上方部分と本体部分とに分断した後に、切り口の端部から狭幅部までの部分を内側に折った本体部分の切り口部に容易に上方部分を被せることができるようになる。
【0013】
また、本発明に係る可撓性包装体詰め製品において、前記切断誘導部から包装体上辺内縁までの距離が、前記切断誘導部から前記狭幅部までの距離と同等かより長い構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、可撓性包装体を切断誘導部に従って切断して上方部分と本体部分とに分断した後に、切り口の端部から狭幅部までの部分を内側に折った本体部分の切り口部に上方部分をより確実に被せることができるようになる。
【0015】
更に、本発明に係る可撓性包装体詰め製品において、前記狭幅部に、当該可撓性包装体を幅方向に切断するように誘導する第2切断誘導部が形成された構成とすることができる。
【0016】
このような構成により、切断誘導部及び第2切断誘導部に従って可撓性包装体の2か所が切断されると、前記切断誘導部に従った切断により形成される上方部分の切り口の幅が、第2切断誘導部に従った切断により形成される本体部分の切り口の幅より広くなる。従って、前記上方部分を本体部分の切り口の部分に容易に被せることができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る可撓性包装体詰め製品によれば、可撓性包装体が切断によって上方部分と内容物の入った本体部分とに分断され、その内容物の入った前記本体部分の切り口の端部からその近傍に形成される狭幅部までの部分を内側に折ることによって前記上方部分を前記本体部分の切り口に蓋のように容易に被せることができるようになるので、可撓性包装体の開封後に前記本体部分に投入された具等の追加物をもともとの内容物とともに電子レンジ等で加熱調理することができるようになる。従って、従来のように、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、より簡素な構成で、開封された可撓性包装体に投入された追加物をもともとの内容物とともに加熱調理することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示すレトルトパウチ食品のパウチが開封され、内容物の入っている本体部分に追加物が投入された状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示すように開封されたレトルトパウチ食品におけるパウチの本体部分の切り口部分の端部が内側に折り返された状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す上方部分が本体部分に被せられた状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品の外観を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品の外観を示す斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品の外観を示す斜視図である。
【図8】図7に示すレトルトパウチ食品の断面構造を示す断面図である。
【図9】図7に示すレトルトパウチ食品を開封した状態を示す側面図である。
【図10】図9に示すように切断したパウチの上方部分を本体部分に被せた状態を示す側面図である。
【図11】図10に示すように上方部分が被せられた本体部分内の内容物及び追加物が加熱調理される際の状態を示す側面図である。
【図12】図7及び図8に示すレトルトパウチ食品の変形例を示す断面図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品の外観を示す斜視図である。
【図14】図13に示すレトルトパウチ食品のパウチが切断されて本体部分とそれ以外の部分とに分断され、当該レトルトパウチ食品が開封された状態を示す斜視図である。
【図15】図14に示すようにパウチから切り落とされた部分から更にその一部が切り落とされ、内容物の入った本体部分に追加物が投入された状態を示す斜視図である。
【図16】上方部分を本体部分に被せた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0020】
本発明の第1の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品は、図1に示すように構成される。この可撓性包装体詰め製品は、パウチ(可撓性包装体)にタレや汁等の調味液を詰めて密封したレトルトパウチ食品である。
【0021】
図1において、レトルトパウチ食品10は、底付きのパウチ14に調味液等の流動性の内容物Nが詰められて密封され、自立可能な構造となっている。パウチ14は、例えば、多層樹脂製の表シート11、裏シート12及び底部を構成するシート(図示略)の周囲部分をヒートシール加工して袋状に形成されている。表シート11及び裏シート12は、その両側外形線が、下縁から立ち上がって延び、途中で、内方に入り込んだ凹状の形状となり、その内方に入り込んだ凹状の部分から上縁まで立ち上がって延びる、外形形状を有している。このような形状の表シート11及び裏シート12の周囲部分をヒートシール加工することにより袋状のパウチ14が形成されることから、パウチ14の周囲部分には、下縁シール部131及び上縁シール部134が形成されるとともに、下縁シール部131の両端部から立ち上がる立ち上がり側シール部132a、133a、立ち上がり側シール部132a、133aから続いて凹状に湾曲した湾曲側シール部132b、133b、及び湾曲側シール部132b、133bから続いて上縁シール部134の端部まで延びる上側シール部132c、133cが形成されている。このレトルトパウチ食品10は、パウチ14の下縁シール部131が足部となって自立可能となる。
【0022】
湾曲側シール部132b、133bの上側シール部132c、133cとの境界部と当該湾曲側シール部132b、133bが最も内方に入り込んでいる(破線B参照)位置との間の領域の前記境界部に近い所定位置(開封予定位置)に切欠き部151、152が形成されている。開封予定位置に形成された切欠き部151、152は、この部分からパウチ14を幅方向に切断することを誘導する切断誘導部である。いずれかの切欠き部151、152から幅方向(破線A参照)にパウチl4を切断することによって、パウチ14は、前記開封予定位置より上方の上方部分102と、前記開封予定位置より下方の本体部分101とに分断することができる。
【0023】
切欠き部151、152の形成された前記開封予定位置より下方の本体部分101の湾曲側シール部132b、133bの最も内方に入り込んだ部分が、前記開封予定位置の近傍に形成される狭幅部155であり、この狭幅部155の幅(破線B参照)は、前記開封予定位置での幅(破線A参照)より狭く、パウチ14における最小の幅となっている。そして、湾曲側シール部132b、133bにおける上側シール部132c、133cとの境界部から狭幅部155までの領域は、徐々に幅が狭くなる傾斜領域であり、前述した切断誘導部としての切欠き部151、152は、当該傾斜部内に形成されている。また、パウチ14の開封予定位置における湾曲シール部132b、133bの内縁間の距離、即ち、開封予定位置の内縁幅Winは、狭幅部155の湾曲シール部132b、133bの外縁間の距離の最小値、即ち、最小外縁幅Woutより大きくなるように設定されている。更に、切欠き部151、152の形成された開封予定位置からパウチ14の上縁シール部134の内縁までの距離L1は、前記開封予定位置(切欠き部151、152の形成位置)から狭幅部155までの距離L2より大きくなるように設定されている。
【0024】
前述したレトルトパウチ食品10は次のようにして利用される。
【0025】
パウチ14が、切欠き部151、152のいずれかから幅方向に切り裂かれ、図2に示すように、内容物Nが入った本体部分101とそれより上方側の上方部分102とに分断される。本体部分101は、その上縁の切り口部分が開放され、開口150が形成された状態となる。また、上方部分102は、その下縁の切り口部分が開放され、開口160が形成された状態となる。
【0026】
自立している本体部分101の開口150から肉塊等の具(追加物S)が投入される。そして、本体部分101にもともとあった調味液等の内容物Nと新たに投入された具等の追加物とが、例えば、本体部分101をその開口150の形成された部分を持って振ることにより、混ぜ合わされる。
【0027】
次いで、本体部分101の開口150を閉じるように表シート11と裏シート12とを合わせた状態にし、更に、本体部分101の切り口の、例えば、切欠き151のあった湾曲シール部132b側の端部からその湾曲シール部132bの最も内方に入り込んだ位置の狭幅部155までの部分が図3に示すように内方に折り曲げられる。この状態で、上方部分102が、内容物N及び追加物Sの入った本体部分101の切り口側の上部に、図4に示すように、被せられる。
【0028】
上記のように、本体部分101の切り口の湾曲シール部132b側の端部からその湾曲シール部132bの最も内方に入り込んだ狭幅部155までの部分が内方に折り曲げられることにより、本体部分101の切り口の縁幅が上方部分102の切り口の幅より実質的に狭くなるので、内容物N及び追加物Sの入った本体部分101の切り口側の上部に、上方部分102を蓋のように容易に被せることができる。また、上方部分102の切り口(開封予定位置に対応)から上縁シール部134の内縁までの距離L1(図1参照)が本体部分101の切り口(開封予定位置に対応)から狭幅部155までの距離L2(図1参照)より大きくなるように設定されているので、上方部分102が本体部分101の切り口側の上部に確実に被さるようになる。更に、本体部分101の折り曲げられる部分が、切り口部分の湾曲側シール部132b側の端部から狭幅部155までの部分で、上から下に傾斜する傾斜部分であることから、その折り曲げも容易なものとなる。また、上方部分102を完全に被せた状態では、本体部分101の折り曲げた部分が復元して上方部分102の傾斜領域に引っ掛かるので、上方部分102が簡単に外れてしまわないようにすることができる。
【0029】
なお、上方部分102が本体部分101に蓋のように被さるという観点からは、上方部分102の切り口(開封予定位置に対応)から上縁シール部134の内縁までの距離L1(図1参照)は、本体部分101の切り口(開封予定位置に対応)から狭幅部155までの距離L2(図1参照)と同等であってもよい。
【0030】
本体部分101に上方部分102が被されると(図4参照)、その状態(上方部分102を本体部分101にテープ等で固定してもよい)で、電子レンジ等によって本体部分101内で混ざった内容物N及び追加物Sが加熱調理される。このとき、本体部分101内で発生する蒸気は、蓋のように被された上方部分102によって、本体部分101から一気に放出されることが妨げられる。これにより、本体部分101(パウチ14)内は適度な温度及び圧力に保持されて、混ざった内容物N及び追加物Sがうまく加熱調理されるようになる。
【0031】
前述した第1の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10(可撓性包装体詰め製品)によれば、パウチ14が切断によって上方部分102と内容物Nの入った本体部分101とに分断され、本体部分101の切り口側の上部に上方部分102を蓋のように容易に被せることができるようになるので、従来のように、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、より簡素な構成であっても、開封されたパウチに投入された具等の追加物Sを調理液等の内容物Nとともに加熱調理することができるようになる。
【0032】
本発明の第2の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品は、図5に示すように構成される。この可撓性包装体詰め製品も、パウチ(可撓性包装体)に予め調味液等の内容物を詰めて密封してなるレトルトパウチ食品である。なお、図5において、図1に示す部分と同じ部分については同じ参照番号が付されている。
【0033】
このレトルトパウチ食品10においては、表シート11及び裏シート12は、その両側外形線が、下縁から立ち上がって延び、所定範囲において外方に向けて傾斜し、その傾斜した範囲から続いて立ち上がるように上縁まで延びる、外形形状を有している。このような外形形状を有する表シート11及び裏シート12の周囲部分をヒートシール加工することにより袋状のパウチ14が形成されることから、パウチ14の周囲部分には、下縁シール部131及び上縁シール部134が形成されるとともに、下縁シール部131の両端から続いて立ち上がる立ち上がり側シール部132a、133a、立ち上がり側シール部132a、133aから続いて上方に広がるように傾斜する傾斜側シール部132d、133d、及び傾斜側シール部132d、133dから続いて上縁シール部134の端部まで延びる上側シール部132c、133cが形成されている。
【0034】
パウチ14の傾斜側シール部132d、133dと上側シール部132c、133cとの境界位置(開封予定位置)に切断誘導部としての切欠き部151、152が形成されている。いずれかの切欠き部151、152から幅方向(破線A参照)にパウチ14を切断することによって、パウチ14は、開封予定位置より上方の上方部分102と、該開封予定位置より下方の本体部分101とに分断することができる。
【0035】
切欠き部151、152の形成された前記開封予定位置より下方の本体部分101の傾斜側シール部132d、133dと立ち上がり側シール部132a、133aとの境界部が、前記開封予定位置の近傍に形成される狭幅部155であり、この狭幅部155の幅(破線B参照)は、前記開封予定位置での幅(破線A参照)より狭い。そして、切欠き部151、152の形成される傾斜側シール部132d、133dと上側シール部132c、133cとの境界部(開封予定位置)から狭幅部155までの領域は、徐々に幅が狭くなる傾斜領域である。また、パウチ14の開封予定位置に対応する傾斜側シール部132d、133d上端の内縁間の距離、即ち、開封予定位置の内縁幅Winは、狭幅部155の傾斜側シール部132d、133d下端の外縁間の距離、即ち、最小外縁幅Woutより大きくなるように設定されている。更に、切欠き部151、152の形成された開封予定位置からパウチ14の上縁シール部134の内縁までの距離L1は、前記開封予定位置から狭幅部155の傾斜側シール部132d、133dの下端までの距離L2より大きくなるように設定されている。
【0036】
このようなレトルトパウチ食品10において、パウチ14が、切欠き部151、152のいずれかから幅方向に切断されると、内容物Nが入った本体部分101とそれより上方側の上方部分102とに分断される。第1の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10の場合と同様に(図3参照)、本体部分101の切り口の一方の端部、例えば、傾斜側シール部132d側の端部から狭幅部155までの部分を内側に折り曲げることにより、本体部分101の切り口の縁幅が上方部分102の切り口の幅より実質的に狭くなる。従って、追加物Sが投入された本体部分101の切り口側の上部に、上方部分102を蓋のように容易に被せることができる。これにより、第1の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10の場合と同様に、本体部分101に上方部分102を被せた状態で、当該本体部分101内で混ざった内容物N及び追加物Sを電子レンジ等によって効果的に加熱調理することができる。
【0037】
この場合も、第1の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10の場合と同様に、上方部分102の切り口(開封予定位置に対応)から上縁シール部134の内縁までの距離L1(図5参照)が本体部分101の切り口(開封予定位置に対応)から狭幅部155までの距離L2(図5参照)より大きくなるように設定されているので、上方部分102が本体部分101の切り口側の上部に確実に被さるようになる。また、本体部分101の折り曲げられる部分が、切り口部分の一方の傾斜側シール部132d側の端部から狭幅部155までの部分で、上から下に傾斜した部分であることから、その折り曲げも容易なものとなる。
【0038】
上述したように本発明の第2の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10(可撓性包装体詰め製品)によれば、第1の実施の形態に係るレトルトパウチ食品の場合と同様に、従来のように、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、より簡素な構成で、開封されたパウチに投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに加熱調理することができるようになる。
【0039】
本発明の第3の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品は、図6に示すように構成される。この可撓性包装体詰め製品も、パウチ(可撓性包装体)に予め調味液等の内容物を詰めて密封してなるレトルトパウチ食品である。なお、図6において、図1及び図5に示す部分と同じ部分については同じ参照番号が付されている。
【0040】
このレトルトパウチ食品10においては、表シート11及び裏シート12は、その両側外形線が、下縁から立ち上がって延び、途中で、外方に張り出した段差となって、その段差によって張り出した部分から更に立ち上がるように上縁まで延びる、外形形状を有している。このような形状の表シート11及び裏シート12の周囲部分をヒートシール加工することにより袋状のパウチ14が形成されることから、パウチ14の周囲部分には、下縁シール部131及び上縁シール部134が形成されるとともに、下縁シール部131の両端から続いて立ち上がる立ち上がり側シール部132a、133a、立ち上がり側シール部132a、133aから続いて幅方向に段差を形成する段差側シール部132e、133e、及び段差側シール部132e、133eから続いて上縁シール部134の端部まで延びる上側シール部132c、133cが形成されている。
【0041】
パウチ14の上側シール部132c、133cの段差側シール部132e、133eとの隣接位置(開封予定位置)に切断誘導部としての切欠き部151、152が形成されている。いずれかの切欠き部151、152から幅方向(破線A参照)にパウチ14を切断することによって、パウチ14は、開封予定位置より上方の上方部分102と、該開封予定位置より下方の本体部分101とに分断することができる。
【0042】
切欠き部151、152の形成された前記開封予定位置より下方の本体部分101の立ち上がり側シール部132a、133aの段差側シール部132e、133eとの隣接部が、前記開封予定位置の近傍に形成される狭幅部155であり、この狭幅部155の幅(破線B参照)は、前記開封予定位置での幅(破線A参照)より狭い。また、パウチ14の開封予定位置に対応する上側シール部132c、133cの段差側シール部132e、133eとの境界部の内縁間の距離、即ち、開封予定位置の内縁幅Winは、狭幅部155の立ち上がり側シール部132a、133aの段差側シール部132e、133eとの隣接部の外縁間の距離、即ち、最小外縁幅Woutより大きくなるように設定されている。更に、切欠き部151、152の形成された開封予定位置からパウチ14の上縁シール部134の内縁までの距離L1は、前記開封予定位置から狭幅部155の立ち上がり側シール部132a、133aの段差側シール部132e、133eとの隣接部までの距離L2より大きくなるように設定されている。
【0043】
このようなレトルトパウチ食品10において、パウチ14が、切欠き部151、152のいずれかから幅方向に切断されると、内容物Nが入った本体部分101とそれより上方側の上方部分102とに分断される。第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10の場合と同様に(図3参照)、本体部分101の切り口の一方の端部、例えば、段差側シール部132e側の端部から狭幅部155までの突出する部分(段差側シール部部132eに対応)を内側に折り曲げることにより、本体部分101の切り口の縁幅が上方部分102の切り口の幅より実質的に狭くなる。従って、追加物Sが投入された本体部分101の切り口側の上部に、上方部分102を蓋のように容易に被せることができる。これにより、第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10の場合と同様に、本体部分101に上方部分102を被せた状態で、当該本体部分101内で混ざった内容物N及び追加物Sを電子レンジ等によって効果的に加熱調理することができる。
【0044】
この場合も、第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10の場合と同様に、上方部分102の切り口(開封予定位置に対応)から上縁シール部134の内縁までの距離L1(図6参照)が本体部分101の切り口(開封予定位置に対応)から狭幅部155までの距離L2(図6参照)より大きくなるように設定されているので、上方部分102が本体部分101の切り口側の上部に確実に被さるようになる。また、本体部分101の折り曲げられる部分が、切り口部分の一方の段差側シール部132e側の端部から突出する部分(段差側シール部132eに対応)であることから、その折り曲げも容易なものとなる。
【0045】
上述したように本発明の第3の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10(可撓性包装体詰め製品)によれば、第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係るレトルトパウチ食品の場合と同様に、従来のように、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、より簡素な構成で、開封されたパウチに投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに加熱調理することができるようになる。
【0046】
本発明の第4の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品は、図7及び図8に示すように構成される。この可撓性包装体詰め製品は、パウチ(可撓性包装体)に予め調味液等の内容物を詰めて密封してなるレトルトパウチ食品であって、図1に示すレトルトパウチ食品10を変形させた構造となっている。なお、図7は、レトルトパウチ食品の外観を示す斜視図であり、図8はレトルトパウチ食品の内部構造を示す断面図である。また、図7及び図8において、図1に示す各部分と同じ部分については同じ参照番号が付されている。
【0047】
図7及び図8に示すレトルトパウチ食品10では、第1の実施の形態に係るレトルトパウチ食品(図6参照)と同様に、表シート11、裏シート12及び底部を構成するシート31を重ねてその周囲部分をシールして袋状にした自立可能なパウチ14の周囲部分に、下縁シール部131、立ち上がり側シール部132a、133a、湾曲側シール部132b、133b、及び上縁シール部134が形成されている。そして、湾曲側シール部132b、133bの上側シール部132c、133cとの境界部と当該湾曲側シール部132e、133eの最も内方に入り込んだ位置の狭幅部155との間の領域の前記境界部に近い所定位置(開封予定位置)に切欠き部151、152が形成される。また、表シート11の所定部位には、当該表シート11を縦方向にたるませて折り返してなる折り返し部32が形成され、裏シート12の所定部位にも、同様に、当該裏シート12を縦方向にたるませて折り返してなる折り返し部33が形成されている。
【0048】
このようなレトルトパウチ食品10においては、前述した第1の実施の形態の場合(図1〜図4参照)と同様に、パウチ14が切欠き部151、152のいずれかから切断されて、図9に示すように、内容物Nが入って自立した本体部分101と、上方部分102とに分断される。そして、本体部分101に追加物Sが投入された状態で、当該本体分101に上方部分102が、図10に示すように、被される。
【0049】
この状態で、本体部分101内で混ざった内容物N及び追加物Sが電子レンジ等によって加熱調理される。その際、上方部分102の被された本体部分101内で発生した蒸気によって内圧が上昇すると、折り返し部32、33が、図11に示すように拡張して、本体部分101(パウチ14)の表シート11及び裏シート12が大きく伸びる。そのため、本体部分101の容積が増大して、比較的多くの追加物Sを投入しても吹きこぼれることなく加熱調理することができる。なお、使用者が追加物Sを投入する際に折り返し部32、33を広げるようにしてもよい。
【0050】
なお、この本発明の第4の実施の形態に係る図7及び図8に示すレトルトパウチ食品10(可撓性包装体詰め製品)によれば、前述した第1乃至第3の実施の形態に係る可撓性詰め製品の場合と同様に、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、簡素な構成で、開封されたパウチ14(本体部分101)内に投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに電子レンジ等によって加熱調理することができるということは勿論である。
【0051】
前述したレトルトパウチ食品10におけるパウチ14に形成された折り返し部32、33は、図12に示すように構成することも可能である。この場合、表シート11の所定部位には、表シート11を縦方向にたるませて上側と下側の2か所で折り返してなる折り返し部34が形成され、裏シート12の表シート11形成された折り返し部34に対向する位置に同様の折り返し部35が形成される。
【0052】
このようなレトルトパウチ食品10では、内容物N及び追加物Sが混ざって入るパウチ14の本体部分101に上方部分102が被された状態で、前記内容物N及び追加物Sの加熱調理がなされると、第4の実施の形態の場合と同様に、本体部分101内で発生した蒸気によって、折り返し部34、35が拡張して、本体部分101の表シート11及び裏シート12が大きく伸びる。この場合、折り返し部34、35が、各シート11、12の上側と下側の2か所で折り返されて形成されているので、表シート11及び裏シート12がより大きく伸びる。そのため、本体部分101の容積が更に増大して、より多くの追加物を投入しても吹きこぼれることなく加熱調理することができる。なお、図7及び図8で示した第4の実施の形態、及び図12で示したその変形例における折り返し部は、表シート11あるいは裏シート12の一方だけに設けるようにしてもよい。
【0053】
本発明の第5の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品について、図13乃至図16を参照して説明する。この可撓性包装体詰め製品は、パウチ(可撓性包装体)に予め調味液等の内容物を詰めて密封してなるレトルトパウチ食品であって、図5に示すレトルトパウチ食品10(第2の実施の形態)を変形させた構造となっている。なお、図13乃至図16において、図5に示す各部分と同じ部分については同じ参照番号が付されている。
【0054】
図13に示すレトルトパウチ食品10は、立ち上がり側シール部132a、133aと傾斜側シール部132d、133dとの境界部、即ち、狭幅部155に他の切欠き部(以下、第2切欠き部という)161、162が形成されている点を除いて、図5に示すレトルトパウチ食品10(第2の実施の形態)と同じ構造である。第2切欠き部161、162は、この部分からパウチ14を幅方向に切断することを誘導する切断誘導部であって、いずれかの第2切欠き部161、162から幅方向(破線B参照)にパウチ14を切断することができる。
【0055】
このようなレトルトパウチ食品10において、パウチ14が、第2切欠き部161、162のいずれかから幅方向に切り裂かれ、図14に示すように、内容物Nが入った本体部分101とそれより上方側の部分103とに分断される。本体部分101は、その上縁の切り口部分が開放され、開口150が形成された状態になる。更に、本体部分101から分離された部分103が、切欠き部151、152のいずれかから幅方向に切り裂かれ、図15に示すように、上方部分102を残して、傾斜側シール部132b、133bに対応した部分104が切り落とされる。上方部分102は、その下縁の切り口部分が開放され、開口160が形成された状態になる。もちろん、前述したレトルトパウチ食品10(図13〜図16参照)において、まず切欠き部151、152のいずれかから切り裂き、次いで、第2切欠き部161、162のいずれかから切り裂くようにして、傾斜側シール部132b、133bに対応した部分104を切り取ってもよい。
【0056】
自立した本体部分101(パウチ14)の開口150から肉塊等の具(追加物S)が投入される。そして、本体部分101にもとともとあった調味液等の内容物Nと新たに投入された具等の追加物Sとが、例えば、本体部分101をその開口150の形成された部分を持って振ることにより、混ぜ合わされる。
【0057】
次いで、本体部分101の開口150を閉じるように表シート11と裏シート12とを合わせた状態にして、当該本体部分101の上部に上方部分102がその開口160から蓋のように被せられる。図16に示すように、上方部分102を本体部分101にテープ110によって固定してもよい。第2切欠き部161、162のいずれかからの切断によって形成された本体部分101の切り口の幅(狭幅部155の幅:図13における破線B参照)は、切欠き部151、152のいずれかからの切断によって形成された上方部分102の切り口の幅(図13における破線B参照)より小さいので、内容物N及び追加物Sの入った本体部分101の切り口側の上部に、上方部分102を蓋のように容易に被せることができる。また、切欠き部151、152と第2切欠き部161、162との間の傾斜側シール部132b、133bが傾斜しているので、切欠き部151、152及び第2切欠き部161、162からパウチ14を切断する際に、切断位置が多少ずれても、本体部分101の切り口の幅が、蓋となる上方部分102の切り口の幅より小さい状態を確実に維持することができる。
【0058】
本体部分101に上方部分102を被せた状態で、電子レンジ等によって本体部分101(パウチ14)内で混ざった内容物N及び追加物が加熱調理される。このとき、本体部分101で発生する蒸気は、蓋のように被された最上方部分102によって、本体部分101から一気に放出されることが妨げられる。これにより、本体部分101(パウチ14)内は適度な温度及び圧力に保持されて、混ざったもともとの内容物及び追加物Sがうまく加熱調理され得る。
【0059】
前述した第5の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10(可撓性包装体詰め製品)によれば、前述した第1乃至第4の実施の形態に係る可撓性詰め製品の場合と同様に、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、簡素な構成で、開封されたパウチ14(本体部分101)内に投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに電子レンジ等によって加熱調理することができるようになる。
【0060】
前述したパウチ14は、一般的に、表シート、裏シート、及び底部を構成するシートとなる長尺のシートを重ね合わせてヒートシール加工を施した後に、個々のパウチの形状に打ち抜き加工して製造される。前述した各実施の形態においては、パウチ14は、その両方の立ち上がり側シール部132a、133aに続いて、湾曲側シール部132b、133b、傾斜側シール部132d、133d、あるいは、段差側シール部132e、133eが形成された外形形状となっていたが、立ち上がり側シール部132a、133aのいずれか一方側だけに、湾曲側シール部、傾斜側シール部、あるいは段差側シール部が続くような外形形状であってもよい。
【0061】
また、上方部分102を本体部分101に被せる際に、本体部分101の切り口の両端部を内側に折り曲げるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上、説明したように、本発明に係る可撓性包装体詰め製品は、より簡素な構成で、開封された可撓性包装体に投入された具等の追加物をもともとの内容物ともに加熱調理することのできるという効果を有し、パウチのような可撓性包装体に内容物を詰めて密封してなる可撓性包装体詰め製品として有用である。
【符号の説明】
【0063】
10 レトルトパウチ食品(可撓性包装体詰め製品)
11 表シート
12 裏シート
131 下縁シール部
132a、133a 立ち上がり側シール部
132b、133b 湾曲側シール部
132c、133c 上側シール部
132d、133d 傾斜側シール部
132e、133e 段差側シール部
134 上縁シール部
14 パウチ
31 シート(底部用)
32、33、34、35 折り返し部
150、160 開口
151、152 切欠き部(切断誘導部)
161、162 第2切欠き部(第2切断誘導部)
101 本体部分
102 上方部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が自立可能な可撓性包装体に詰められて密封されてなる可撓性包装体詰め製品であって、
前記可撓性包装体は、開封予定位置より上方の上方部分とその下方の本体部分とに分断可能であり、
前記本体部分の前記開封予定位置近傍が、前記開封予定位置の幅よりも狭い狭幅部となり、
前記開封予定位置に形成された切断誘導部から当該包装体を幅方向に切断して分離された前記上方部分を開口した前記本体部分に被せられるようにした可撓性包装体詰め製品。
【請求項2】
前記上方部分側から前記狭幅部にかけて次第に幅が狭くなる傾斜領域を有し、
前記傾斜領域内に前記切断誘導部が形成された請求項1記載の可撓性包装体詰め製品。
【請求項3】
前記可撓性包装体は側縁シール部を有し、
前記開封予定位置の内縁幅が前記狭幅部の外縁幅よりも広い請求項1または2記載の可撓性詰め製品。
【請求項4】
前記切断誘導部から包装体上辺内縁までの距離が、前記切断誘導部から前記狭幅部までの距離と同等かより長い請求項1ないし3のいずれかに記載の可撓性包装体詰め製品。
【請求項5】
前記狭幅部に、当該可撓性包装体を幅方向に切断するように誘導する第2切断誘導部が形成された請求項1ないし4のいずれかに記載の可撓性包装体詰め製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−148508(P2011−148508A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9233(P2010−9233)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】