説明

可溶性トロンボモジュリン含有製剤

【課題】可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解して可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製するに際しての起泡が抑制された製剤を提供する。
【解決手段】可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせた製剤であって、該凍結乾燥製剤が10mg/mL以上の高濃度溶液を調製するためのものであって、(a)該凍結乾燥製剤中又は該溶解用水溶液中に非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、又はクロロブタノールが存在しているか、(b)該凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁がシリコーンでコーティングされているか、または(c)該凍結乾燥製剤を溶解する際の容器内圧力が減圧状態である上記製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解して可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製するに際しての起泡抑制方法、およびそれらに適した可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とそのキット製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
トロンボモジュリンは、トロンビンと特異的に結合し、トロンビンによるプロテインCの活性化を著しく促進する作用を有する物質として発見された。プロテインCは、血液凝固線溶系において重要な役割を演じているビタミンK依存性の蛋白質であり、トロンビンの作用により活性化され、活性型プロテインCとなる。この活性型プロテインCは、生体内で血液凝固系因子の活性型第V因子、および活性型第VIII因子を失活させ、また血栓溶解作用を有するプラスミノーゲンアクチベーターの産生に関与していることが知られている[鈴木宏治、医学のあゆみ、第125巻、901頁(1983年)]。
【0003】
したがって、トロンボモジュリンは、このトロンビンによるプロテインCの活性化を促進して抗血液凝固剤又は血栓溶解剤として有用であるとされている。また、従来トロンボモジュリンの用途としては、例えば、急性冠動脈症候群(ACS)、血栓症、末梢血管閉塞症、閉塞性動脈硬化症、血管炎、心臓手術に続発する機能性障害、臓器移植の合併症、血管内血液凝固症候群(DIC)、狭心症、一過性脳虚血発作、妊娠中毒症、糖尿病、肝VOD(Liver veno-occlusive disease;劇症肝炎や骨髄移植後の肝静脈閉塞症)、深部静脈血栓症(DVT;Deep venous thrombosis)等や、さらには敗血症や成人呼吸窮迫症候群(ARDS)の疾患の治療および予防に用いられることが期待されている。
【0004】
従来、トロンボモジュリンは、ヒトをはじめとする種々の動物種の血管内皮細胞上に発現している糖蛋白質として発見取得され、その後、クローニングに成功した。即ち、遺伝子工学的手法を用いてヒト肺cDNAライブラリーからシグナルペプチドを含むヒトトロンボモジュリン前駆体の遺伝子をクローニングし、そしてトロンボモジュリンの全遺伝子配列を解析し、18アミノ酸残基のシグナルペプチドを含む575残基のアミノ酸配列が明らかにされている(特開昭64-6219号公報)。シグナルペプチドが切断されたマチュアなトロンボモジュリンは、そのマチュアなペプチドのN末端側よりN末端領域(1-226番目)、6つのEGF様構造をもつ領域(227-462番目)、O型糖鎖付加領域(463-498番目)、膜貫通領域(499-521番目)、そして細胞質内領域(522-557番目)の5つの領域から構成されており、そして全長のトロンボモジュリンと同じ活性を有する部分としては、6つのEGF様構造を持つ領域のうち、主にはN末端側から4, 5, 6番目のEGF様構造からなる部分であることが知られている[M. Zushiら、J. Biol. Chem.,246, 10351-10353(1989)]。
【0005】
少なくとも、膜貫通領域を含有しないように調製された可溶性トロンボモジュリンにおいては、界面活性剤の非存在下でもきれいに溶解することができ、例えば、N末端領域と6つのEGF様構造をもつ領域とO型糖鎖付加領域の3つの領域のみからなる(即ち、配列番号1の19〜516位のアミノ酸配列からなる)可溶性トロンボモジュリンは、組換え技術の応用により取得できること、そしてその組換え体可溶性トロンボモジュリンは、天然のトロンボモジュリンの活性を有していることが確認されている(特開昭64-6219号公報)。他に可溶性トロンボモジュリンの例として、特開平2-255699号公報、特開平3-133380号公報、特開平3-259084号公報、特開平4-210700号公報、特開平5-213998号公報、WO92/00325号公報、WO92/03149号公報、WO93/15755号公報等に記載の可溶性トロンボモジュリンが挙げられる。あるいは天然型としてヒト尿由来の可溶性トロンボモジュリン(特開平3-86900号公報、特開平3-218399号公報)等も例示される。
【0006】
因みに、遺伝子においては、自然の変異または取得時の変異により、多くのケースで認められる通り、ヒトにおいても多形性の変異が見つけられており、上述の575残基のアミノ酸配列からなるヒトトロンボモジュリン前駆体の第473位のアミノ酸においてValであるものと、Alaであるものが現在確認されている。このアミノ酸をコードする塩基配列においては、第1418位において、それぞれTとCとの変異に相当する[Wenら、Biochemistry,26, 4350-4357(1987)]。しかし、活性および物性においては、全く相違なく、両者は実質的に同一と判断できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの可溶性トロンボモジュリンを医薬組成物として使用する際には、各種の治療対象疾患や各種の投与方法が知られている。これらの全ての治療対象疾患や投与方法に適合する製剤の開発が待たれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために、先ず可溶性トロンボモジュリン高濃度製剤の必要性を感じ、これを作成することとした。可溶性トロンボモジュリンを医薬組成物として広く安定的に供給するに際しては凍結乾燥製剤とすることが知られている。凍結乾燥製剤を注射用水などで再溶解し、高濃度の可溶性トロンボモジュリン溶液を作成するに際して、該溶液中に無数の微小な気泡が発生し、且つ気泡の消えが悪く、場合によっては白濁の外観を呈することが、本件発明者らにより始めて確認されたものである。勿論、医療現場で使用する場合、気泡を含有したまま投与することは到底できず、気泡が消えて澄明となるまで放置する時間を無用に取らせ、製剤として品質上問題となる。このような従来全く予想されていなかった問題点を見出し、その解決策を求めて本件発明者らが鋭意検討したところ、可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液に起泡抑制添加剤として、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールを含有した製剤は、気泡の発生を抑制することを確認し、本件発明を完成するに至った。また、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁がシリコーンでコーティングされていること、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器内圧力が減圧状態であることも気泡の発生を抑制することを確認し、本件発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解して、10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製するに際し、(a)非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を存在せしめること、(b)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁がシリコーンでコーティングされていること、または(c)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器内圧力が減圧状態であること、の少なくともいずれかを特徴とする可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の起泡抑制方法である。
【0010】
また、本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解して、10 mg/mL以上、好ましくは20 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製するに際して用いられるものであって、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を有効成分とする可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の起泡抑制剤である。
【0011】
さらにまた、本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめたキット製剤であって、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製されるためのものであって、且つ(a)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられているか、および/または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤の溶解用水溶液中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていること、(b)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁がシリコーンでコーティングされていること、または(c)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器内圧力が減圧状態であること、の少なくともいずれかを特徴とする可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、またはそのキット製剤である。
【0012】
また、本発明者らは、可溶性トロンボモジュリン高濃度製剤を作成するに際し、従来の技術の問題点を検討した。すなわち、各種の治療対象疾患や各種の投与方法に広く適用可能な可溶性トロンボモジュリンの高濃度製剤の調製においては、例えば特に筋肉内投与や皮下投与の投与方法に採用できるためには、筋肉内や皮下に対して一定量以上の溶液量を投与することは困難である点が挙げられる。しかも、本発明者らが子細に検討したところ、該投与溶液の浸透圧が低すぎても高過ぎても疼痛が強く現れ好ましくないことが確認された。
【0013】
一方、トロンボモジュリンの凍結乾燥の過程で、可溶性トロンボモジュリン含有溶液を凍結乾燥すると、変性または会合等によって高分子化した多量体が生成することが明らかとなっている。従来、可溶性トロンボモジュリンの変性を防止する方法として、アミノ酸またはその塩類および糖類よりなる群から選ばれた一種または二種以上を添加することが知られている(特開平6-321805号公報)。しかしながら、同公報が具体的に開示する添加物やその添加量による組成物は、疼痛等の点において必ずしも好ましくないことが、本発明者らにより確認された。すなわち、特開平6-321805号公報の開示する具体的な組成物(例えば実施例20)は、可溶性トロンボモジュリンを10 mg以上含有する可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤とし、皮下や筋肉内投与を念頭において0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解した場合、本発明者らの実験によれば疼痛を示すことが確認された。
【0014】
また、可溶性トロンボモジュリンに、マルトース、ラクトース、蔗糖、アルギニンを添加することも知られているが(WO95/16460号公報)、このWO95/16460号公報中では、マンニトールの添加は可溶性トロンボモジュリンの変性を防止することはできないと記載されているため、当業者には必ずしも好ましい添加物とも考えられていない状況であったが、本件発明者らが鋭意検討したところ、例えば WO95/16460号公報中好ましくないと言われているマンニトールであっても、マンニトールにグルタミン酸またはその塩を共存させると、マンニトールを単独で添加するのに比べて、極めて高い安定性が達成されという顕著な相乗効果が認められ、浸透圧比を適当に調整できる濃度においても好ましい安定性が達成されるという事実を確認し、併せて、皮下や筋肉内投与をした場合でも疼痛が生じがたい製剤となることを確認して、以下の本件発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤における可溶性トロンボモジュリンの安定化方法であって、(1) グルタミン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、(2) グルタミン酸またはその塩、およびリシンまたはその塩の2種を含む、(3) グルタミン酸またはその塩、およびアスパラギン酸またはその塩の2種を含む、または(4) アスパラギン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、のいずれかの組み合わせを含有せしめ、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解し得て、10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製でき、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤における可溶性トロンボモジュリンの安定化方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、高濃度の可溶性トロンボモジュリン含有溶液において生ずる起泡を抑制することができ、臨床上有用である。また、そのような起泡の発生を抑制することのできる可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤およびキット製剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記に示される起泡抑制方法、または起泡抑制剤である。すなわち、本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解して、10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製するに際し、(a)非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を存在せしめること、(b)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁がシリコーンでコーティングされていること、または(c)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器内圧力が減圧状態であること、の少なくともいずれかを特徴とする可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の起泡抑制方法である。
【0018】
該可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の起泡抑制手段としては、上記の(a)、(b)、(c)のいずれかが好ましいが、好ましくは(a)であり、さらに(a)且つ(c)や、(a)且つ(b)も好ましい。また(b)且つ(c)も好ましく、(a)且つ(b)且つ(c)が特に好ましい例として挙げられる。
【0019】
以下先ず、上記の(a)について説明する。
具体的に本発明は、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解して、10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製するに際し、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を存在せしめることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の起泡抑制方法である。
【0020】
また、さらに具体的には、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていること、または、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解するための溶解用水溶液中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていること、のいずれかを特徴とする可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の起泡抑制方法である。
【0021】
本発明で可溶性トロンボモジュリンとしては、トロンビンに結合し、トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する作用を有し、界面活性剤の非存在下でも容易に溶解し得る物質であれば、特に限定されない。また可溶性トロンボモジュリンには、その他に、トロンビンによる凝固時間を延長する作用、および/またはトロンビンによる血小板凝集を抑制する作用が通常認められると、当業者は理解する。可溶性トロンボモジュリンの溶解性の好ましい例示としては、水、例えば注射用蒸留水に対して(トリトンX-100やポリドカノール等の界面活性剤の非存在下、通常は中性付近にて)、1 mg/mL以上、または10 mg/mL以上が挙げられ、好ましくは15 mg/mL以上、または17 mg/mL以上が挙げられ、さらに好ましくは20 mg/mL以上、25 mg/mL以上、または30 mg/mL以上が例示され、特に好ましくは60 mg/mL以上が挙げられ、場合によっては、80 mg/mL以上、または100 mg/mL以上がそれぞれ挙げられる。可溶性トロンボモジュリンが溶解し得たか否かを判断するに当たっては、溶解した後に、例えば白色光源の直下、約1000ルクスの明るさの位置で、肉眼で観察した場合に、澄明であって、明らかに認められるような程度の不溶性物質を含まないことが端的な指標となるものと理解される。また、濾過して残渣の有無を確認することもできる。この溶解についての判断は、後述する起泡抑制添加剤や安定化添加剤やその他の添加剤等を含めて溶解する確認方法としても利用できる。
【0022】
また、トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する作用は、例えば、特開昭64-6219号公報を初めとする各種の公知文献に明確に記載された試験方法によりプロテインCの活性化を促進する作用の活性量やその有無を容易に確認できるものである。また、トロンビンによる凝固時間を延長する作用、および/またはトロンビンによる血小板凝集を抑制する作用についても同様に容易に確認できる。可溶性トロンボモジュリンとしては、ヒト尿等を原料とするヒト由来のペプチドや、ヒト由来の遺伝子やDNA等からの変異、または誘導体が好ましい例として挙げられ、例えば、配列表配列番号3の19-132のアミノ酸配列を該ペプチド中に包含していることが好ましく、この場合に、勿論、前述の通り、可溶性トロンボモジュリンであるとの性質が必要となる。この配列表配列番号3の19-132のアミノ酸配列は、トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する作用等を有する限り自然または人工的に変異していてもよく、すなわち配列表配列番号3の19-132のアミノ酸配列の1つ以上、すなわち1つまたは複数のアミノ酸、さらに好ましくは数個のアミノ酸配列が置換、欠失、付加していても良い。例えば配列表配列番号7の19-132のアミノ酸配列、すなわち配列表配列番号3のアミノ酸配列中の125位のValがAlaに置換された配列からなるペプチド、またはそれらを包含するペプチドも本発明に用いることができる。許容される変異の程度は、活性を有する限り特に限定されないが、例えばアミノ酸配列として、50%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上または95%以上、さらには98%以上の相同性が例示される。後述の通り、これらの変異については通常の遺伝子操作技術を用いれば容易に取得可能である。
【0023】
また、本発明に用いることのできる可溶性トロンボモジュリンとしては、例えば、配列表配列番号1のアミノ酸配列をコードするDNAをベクターにより宿主細胞にトランスフェクトして調製された形質転換細胞より取得されるペプチドが挙げられる。この形質転換細胞により取得されるペプチドとしては、配列表配列番号1の19-516位のアミノ酸配列からなるペプチドが好ましい例として挙げられる。また上述の通り、この配列表配列番号1の19-516のアミノ酸配列は、トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する作用を有する限り自然または人工的に変異していてもよく、すなわち配列表配列番号1の19-516のアミノ酸配列の1つ以上、すなわち1つまたは複数のアミノ酸、さらに好ましくは数個のアミノ酸が置換、欠失、付加していても良い。例えば配列表配列番号5の19-516のアミノ酸配列、すなわち配列表配列番号1のアミノ酸配列中の473位のValがAlaに置換された配列からなるペプチドも本発明に用いることができる。その他に宿主細胞によっては、シグナル部分がそのままのものや、前記配列表配列番号1、又は配列番号5の17-516位のアミノ酸配列のそれぞれからなるペプチド、またはそれらの混合物等が産生され、それらのいずれであってもよい。勿論これらのペプチドは極めて溶解性が高く、前述の溶解性を十分に有するものである。本発明において、上記の配列表配列番号1の19-516位、又は17-516位のそれぞれのアミノ酸配列からなるペプチドは特に好ましい。
【0024】
また、可溶性トロンボモジュリンが、配列表配列番号4または8の55-396の塩基配列の相補DNAに対してストリンジェントな条件下にてハイブリダイズできるDNAによりコードされるペプチドであり、トロンビンのプロテインCの活性化を促進する作用を有し、且つ界面活性剤の非存在下で溶解し得ることのできることも好ましい。ストリンジェントな条件とは、相補DNAが目的のDNAと特異的にハイブリダイズできる条件であって、例えば、相補DNAにDNA、RNA、合成DNAを用いてハイブリダイズさせ、その後、非特異的に目的のDNA以外にハイブリダイズした相補DNAを洗い流す条件を言う。例えば、Sambrook et al.(1989, Molecular Cloning,第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY)を参考にして決定すればよい。例えば、42℃で、6×SSC、5×Denhardt's reagent、0.5% SDS、100μg/mL denatured, fragmented salmon sperm DNA、50%ホルムアミド中ハイブリダイズせしめ、68℃で、0.1×SSC、0.5%SDSにて洗浄してもハイブリダイズするものが挙げられる。
【0025】
さらに、これらのペプチドは、前記のアミノ酸配列を有すればよいのであって、糖鎖が付いていても、又付いていなくともよく、この点は特に限定されるものではない。また遺伝子操作においては、使用する宿主細胞の種類により、糖鎖の種類や、付加位置や付加の程度は相違するものであり、いずれも用いることができる。後述の通り、遺伝子操作により取得することに特定されるものではないが、遺伝子操作により取得する場合には、発現に際して用いることができるシグナル配列としては、上述の配列表配列番号1の1-18のアミノ酸配列からなる塩基配列、その他公知のシグナル配列、例えば、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)のシグナル配列を利用することができる(国際公開88/9811号公報参照のこと)。
【0026】
可溶性トロンボモジュリンをコードするDNA配列を宿主細胞へ導入する場合には、好ましくは可溶性トロンボモジュリンをコードするDNA配列を、ベクター、特に好ましくは、動物細胞において発現可能な発現ベクターに組み込んで導入する方法が挙げられる。発現ベクターとは、プロモーター配列、mRNAにリボソーム結合部位を付与する配列、発現したい蛋白をコードするDNA配列、スプライシングシグナル、転写終結のターミネーター配列、複製起源配列などで構成されるDNA分子であり、好ましい動物細胞発現べクターの例としては、R. C. Mulligan ら[Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78. 2072(1981)]が報告しているpSV2-Xや、P. M. Howleyら[Method in Emzymology, 101, 387, Academic Press(1983)]が報告しているpBP69Τ(69-6)などが挙げられる。
【0027】
これらのペプチドを製造するに際して用いることのできる宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS-1細胞、COS-7細胞、VERO(ATCC CCL-81)細胞、BHK細胞、イヌ腎由来MDCK細胞、ハムスターAV-12-664細胞等が、またヒト由来細胞としてHeLa細胞、WI38細胞、ヒト293細胞等が挙げられる。CHO細胞においては、DHFR-CHO細胞がさらに好ましい。
【0028】
また、遺伝子操作の過程やペプチドの製造過程において、大腸菌等の微生物も多く使われ、それぞれに適した宿主−ベクター系を使用することが好ましく、上述の宿主細胞においても、適宜のベクター系を選択することができる。遺伝子組換え技術に用いる可溶性トロンボモジュリンの遺伝子は、クローニングされており、そして可溶性トロンボモジュリンの遺伝子組換え技術を用いた製造例が開示されており、さらにはその精製品を得るための精製方法も知られている[特開昭64-6219号公報、特開平2-255699号公報、特開平5-213998号公報、特開平5-310787号公報、特開平7-155176号公報、J. Biol. Chem., 264:10351-10353(1989)]。したがって本発明の可溶性トロンボモジュリンは、上記の報告に記載されている方法を用いることにより、あるいはそれらに記載の方法に準じることにより製造することができる。例えば特開昭64-6219号公報では、全長のトロンボモジュリンをコードするDNAを含むプラスミドpSV2TMJ2を含む、Escherichia coli K-12 strain DH5(ATCC 寄託番号67283号)が開示されている。また、この菌株を生命研(現独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター)に再寄託した菌株(Escherichia coli DH5/pSV2TM J2)(FERMBP-5570)を用いることもできる。この全長のトロンボモジュリンをコードするDNAを原料として、公知の遺伝子操作技術によって、本発明の可溶性トロンボモジュリンを調製することができる。
【0029】
本発明に用いられる可溶性トロンボモジュリンは、従来公知の方法またはそれに準じて調製すればよいが、例えば、前記山本らの方法[特開昭64-6219号公報]、または特開平5-213998号公報を参考にすることができる。すなわちヒト由来の可溶性トロンボモジュリン遺伝子を遺伝子操作技術により、例えば、配列表配列番号1のアミノ酸配列をコードするDNAとなし、さらに必要に応じた改変を行うことも可能である。この改変としては、メソッド イン エンザイモロジー[Method in Enzymology,100:468(1983年),アカデミックプレス(Academic Press)]に記載の方法に従って、部位特異的変異を行う。例えば、配列表配列番号2の第1418位の塩基Tは、変異用合成DNAを用いて塩基Cに変換したDNAとなすことができる。
【0030】
このようにして調製したDNAを、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に組み込んで、形質転換細胞とし、適宜選択し、この細胞を培養して得た培養液から、公知の方法により精製された可溶性トロンボモジュリンが製造できる。前述の通り配列表配列番号1のアミノ酸配列をコードするDNAを前記宿主細胞にトランスフェクトすることが好ましい。本発明に用いられる可溶性トロンボモジュリンの生産方法は、上記の方法に限定されるものではなく、例えば、尿や血液、その他体液等から抽出精製することでも可能であるし、また可溶性トロンボモジュリンを生産する組織またはこれら組織培養液等から抽出精製することも、また必要によりさらに蛋白分解酵素により切断処理することも可能である。
【0031】
次いで上記により取得された培養上清、または培養物からの可溶性トロンボモジュリンの単離精製方法は、公知の手法[堀尾武一編集、蛋白質・酵素の基礎実験法]に準じて行なうことができる。例えば、可溶性トロンボモジュリンと逆の電荷を持つ官能基を固定化したクロマトグラフィー担体と、可溶性トロンボモジュリンの間の相互作用を利用したイオン交換クロマトグラフィーや吸着クロマトグラフィーの使用も好ましい。また、可溶性トロンボモジュリンとの特異的親和性を利用したアフィニティークロマトグラフィーも好ましい例として挙げられる。吸着体の好ましい例として、可溶性トロンボモジュリンのリガンドであるトロンビンや可溶性トロンボモジュリンの抗体を利用する例が挙げられる。これらの抗体としては、適宜の性質、或いは適宜のエピトープを認識する可溶性トロンボモジュリンの抗体を利用することができ、例えば、特公平5-42920号公報、特開昭64-45398号公報、特開平6-205692号公報などに記載された例が挙げられる。また、可溶性トロンボモジュリンの分子量サイズを利用した、ゲル濾過クロマトグラフィーや限外濾過が挙げられる。そしてまた、疎水性基を固定化したクロマトグラフィー担体と、可溶性トロンボモジュリンのもつ疎水性部位との間の疎水結合を利用した疎水性クロマトグラフィーが挙げられる。また、吸着クロマトグラフィーとしてハイドロキシアパタイトを担体として用いることも可能であり、例えば、特開平9-110900号公報に記載した例が挙げられる。これらの手法は適宜組み合わせることができる。精製の程度は、使用目的等により選択できるが、例えば電気泳動、好ましくはSDS-PAGEの結果が単一バンドとして得られるか、もしくは単離精製品のゲル濾過HPLCまたは逆相HPLCの結果が単一のピークになるまで純粋化することが望ましい。
【0032】
もちろん、複数種の可溶性トロンボモジュリンを用いる場合には、実質的に可溶性トロンボモジュリンのみのバンドになることが好ましいのであり、単一のバンドになることを求めるものではない。
【0033】
本発明における精製法を具体的に例示すれば、可溶性トロンボモジュリン活性を指標に精製する法が挙げられ、例えばイオン交換カラムのQ-セファロースFast Flowで培養上清または培養物を粗精製し可溶性トロンボモジュリン活性を有する画分を回収し、ついでアフィニティーカラムのDIP-トロンビン-アガロース(diisopropylphosphorylthrombin agarose)カラムで主精製し可溶性トロンボモジュリン活性が強い画分を回収し、回収画分を濃縮し、ゲルろ過にかけ可溶性トロンボモジュリン活性画分を純品として取得する精製方法[Gomi K.ら、Blood、75:1396-1399 (1990)]が挙げられる。指標とする可溶性トロンボモジュリン活性としては、例えばトロンビンによるプロテインC活性化の促進活性が挙げられる。その他に、好ましい精製法を例示すると以下の通りである。
【0034】
可溶性トロンボモジュリンと良好な吸着条件を有する適当なイオン交換樹脂を選定し、イオン交換クロマト精製を行なう。特に好ましい例としては、0.18 M NaClを含む0.02 Mトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化したQ-セファロースFast Flowを用いる方法である。適宜洗浄後、例えば0.3M NaCl含む0.02 Mトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で溶出し粗精製品の可溶性トロンボモジュリンを得ることができる。
【0035】
次に、例えば可溶性トロンボモジュリンと特異的親和性を持つ物質を樹脂に固定化しアフィニティークロマト精製を行なうことができる。好ましい例としてDIP-トロンビン-アガロースカラムの例と、抗可溶性トロンボモジュリンモノクローナル抗体カラムの例が挙げられる。DIP-トロンビン-アガロースカラムは、予め、例えば、100 mM NaClおよび0.5 mM塩化カルシウムを含む20 mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化せしめ、上記の粗精製品をチャージして、適宜の洗浄を行い、例えば、1.0 M NaCl及び0.5 mM塩化カルシウムを含む20 mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で溶出し精製品の可溶性トロンボモジュリンを取得することができる。また抗可溶性トロンボモジュリンモノクローナル抗体カラムにおいては、予めCNBrにより活性化したセファロース4FF(ファルマシア社)に、抗可溶性トロンボモジュリンモノクローナル抗体を溶解した0.5 M NaCl含有0.1 M NaHCO3緩衝液(pH8.3)に接触させ、セファロース4FFに抗可溶性トロンボモジュリンモノクローナル抗体をカップリングさせた樹脂を充填したカラムを、予め例えば0.3 M NaCl含む20 mMリン酸塩緩衝液(pH7.3)で平衡化し、適宜の洗浄の後、例えば、0.3 M NaCl含む100 mMグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)にて溶出せしめる方法が例示される。溶出液は適当な緩衝液で中和し、精製品として取得することもできる。
【0036】
次に得られた精製品をpH3.5に調整した後に、0.3 M NaClを含む100 mMグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で平衡化した陽イオン交換体、好ましくは強陽イオン交換体であるSP-セファロースFF(ファルマシア社)にチャージし、同緩衝液で洗浄して得られた非吸着画分を得る。得られた画分は適当な緩衝液で中和し、高純度精製品として取得することができる。これらは、限外濾過により濃縮することが好ましい。
【0037】
さらに、ゲル濾過による緩衝液交換を行なうことも好ましい。例えば、50 mM NaClを含む20 mMリン酸塩緩衝液(pH7.3)で平衡化せしめたSephacryl S-300カラムもしくはS-200カラムに、限外濾過により濃縮した高純度精製品をチャージし、50 mM NaClを含む20 mMリン酸塩緩衝液(pH7.3)で展開分画し、トロンビンによるプロテインCの活性化の促進活性の確認を行ない活性画分を回収し緩衝液交換した高純度精製品を取得することができる。このようにして得られた高純度精製品は安全性を高めるために適当なウイルス除去膜、例えばプラノバ15N(旭化成株式会社)を用いてろ過することが好ましく、その後限外濾過により目的の濃度まで濃縮することができる。最後に無菌濾過膜により濾過することが好ましい。
【0038】
本発明の起泡抑制としては、可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解用水溶液で溶解して、可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を得る際に、溶液中に発生する気泡を抑制することと通常理解される。本発明の起泡抑制方法により、気泡の発生がほぼ完全に防止されることが、勿論最も好ましいことではあるが、起泡抑制のための方策を行わなかった場合に比較して、本発明の起泡抑制を行った場合に、起泡の程度が改善されている場合には、起泡抑制効果があると理解される。
【0039】
起泡抑制の程度を知る方法としては、目視で濁り度合いを観察する方法があるが、例えば、以下の方法により、気泡の発生程度を濁度として波長650 nmの透過率を測定することにより調べることができる。例えば、測定試料となる凍結乾燥製剤(例えば3 mLバイアル瓶(18×33 mm、口内径9.1 mm、ナミコス製)、ゴム栓(V5-F8、大協精工製))のゴム栓中央に、溶解用水溶液(例えば日本薬局方注射用水、大塚製薬工場製)1 mLを吸引した注射用シリンジ(ツベルクリン用1 mL、注射針:26G 0.45×13 mm、テルモ製)を刺し、0.1 mL/秒の速度で溶解用水溶液を凍結乾燥物中央に注入する。注射用シリンジを刺したまま静置して溶解させる。注入終了の30秒後にバイアル瓶を逆さまにしてシリンジで凍乾物溶解液を約0.8 mL吸引する。この吸引した溶解液を石英セル(ブラックセル、光路長:10 mm、光路幅:2 mm、ジーエルサイエンス製)にセル壁を伝わらせて静かに注ぐ。素早く紫外可視分光光度計(UV-2500PC、島津製作所製)を用いて、650 nmの透過率(事前に溶解用水溶液のみで650 nmにおける透過率100%を調整しておく)を測定すればよい。測定の正確性を期すためには、溶解用水溶液を注入してから透過率を測定するまでの時間を一定とすべきであり、例えば凍乾物溶解液をバイアル瓶から吸引して透過率を測定するまでの時間は15秒程度とすることが好ましい例として挙げられる。起泡抑制の程度としては、目視で観察した場合、白濁して見えるほど気泡が発生していないことが通例好ましく、目視では気泡が確認できないことがさらに好ましい。さらに上記の機器を用いて濁度を測定する方法の場合、溶液の透過率が95%以上が好ましく、97%以上がさらに好ましく、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上が挙げられる。
【0040】
本発明の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解して得られる可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液において、可溶性トロンボモジュリン濃度の上限としては、溶解し得る濃度以下であれば特に制限は無いが、例えば、通常100 mg/mL以下、または80 mg/mL以下であり、好ましくは60 mg/mL以下、又は50 mg/mL以下、さらに好ましくは40 mg/mL以下が挙げられ、特に好ましくは30 mg/mL以下が挙げられる。可溶性トロンボモジュリン濃度の下限としては10 mg/mL以上、又は13 mg/mL以上が好ましく、15 mg/mL以上、又は16 mg/mL以上がさらに好ましい。17 mg/mL以上がさらに好ましく、20 mg/mL以上が特に好ましい。また25 mg/mL以上も好ましく、特に約30 mg/mL、またはそれ以上が好ましい例として挙げられる。なお、起泡抑制の効果を求める場合には、起泡の問題が生ずる濃度であることが好ましい。
【0041】
本発明の起泡を抑制する添加剤(以下、起泡抑制添加剤と言うことがある)として挙げた非イオン性界面活性剤は、医薬品の添加剤として利用可能なものであることが好ましいが、特に限定されるものではない。本発明の非イオン性界面活性剤を構造から分類すると例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが好ましい種類として挙げられる。
【0042】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えばモノラウレート(Polysorbate 20)、モノパルミテート(Polysorbate 40)、モノステアレート(Polysorbate 60)、トリステアレート、イソステアレート、モノオレート(Polysorbate 80)、トリオレートなどが例示されるが、好ましくはPolysorbate 20、Polysorbate 40、Polysorbate 60、Polysorbate 80などであり、特に好ましくはPolysorbate 80が挙げられる。
【0043】
また、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体としては、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの重合度はそれぞれ任意であって特に制限は無いが、好ましくはPoloxamer 124、Poloxamer 188、Poloxamer 237、Poloxamer 338、Poloxamer 407などが例示され、特に好ましくはPoloxamer 188、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールが挙げられる。
【0044】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば高級アルコール部がラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどが挙げられ、酸化エチレンの重合度は任意であるが、ラウロマクロゴール(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)が好ましく、酸化エチレンの付加モル数が9、21、25のものなどがさらに好ましい。
【0045】
また、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、例えばモノラウレート、ジラウレート、モノステアレート、ジステアレート、モノオレート、ジオレートなどが例示されるが、ポリオキシエチレンモノステアレートが好ましく、酸化エチレンの付加モル数によりPolyoxyl 12 stearate、Polyoxyl 20 stearate、Polyoxyl 40 stearate、Polyoxyl 50 stearate、Polyoxyl 100 stearateなどがさらに好ましく、Polyoxyl 40 stearateが特に好ましい。
【0046】
また、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、酸化エチレンの付加モル数によりPolyoxyl 20 hydrogenated castor oil、Polyoxyl 30 hydrogenated castor oil、Polyoxyl 40 hydrogenated castor oil、Polyoxyl 50 hydrogenated castor oil(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60と記載することもある)、 Polyoxyl 60 hydrogenated castor oil、Polyoxyl 80 hydrogenated castor oil、Polyoxyl 100 hydrogenated castor oil、などが好ましく、Polyoxyl 60 hydrogenated castor oil(以下HCO-60という表現をする場合もある。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60と言う事もある)が特に好ましい。これらの非イオン性界面活性剤を用いる場合は、1種類あるいは2種類以上を混合して用いることができるし、さらにベンジルアルコールやクロロブタノールと混合して用いることもできる。
【0047】
本発明の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解するための溶解用水溶液中に添加される起泡抑制添加剤の添加量は、起泡を抑制できる量であれば特に制限されるものではないが、可溶性トロンボモジュリンの濃度や、その他の添加剤の含有量により適宜判断すればよく、さらに、後述する(b)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁がシリコーンでコーティングされていること、または(c)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器内圧力が減圧状態であること、等の処置の有無によっても変化し得るので、例えば、上記の気泡の発生程度を波長650 nmの透過率を測定する方法において、例えば95%以上の透過率を示すようになる添加量を予め測定して添加量を決定することが好ましい。一例としては、起泡抑制添加剤の内、非イオン性界面活性剤の添加量は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解して、10 mg/mLの可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製するに際しては、この溶液中に存在する非イオン性界面活性剤の添加量の下限としては、例えば0.001 mg以上が好ましく、より好ましくは0.005 mg以上、さらに好ましくは0.01 mg以上、場合によっては0.05 mg以上、または0.1 mg以上、さらには0.5 mg以上である例が挙げられる。非イオン性界面活性剤の上限としては通常10 mg以下であり、好ましくは5 mg以下、さらに好ましくは1 mg以下、場合によっては0.5 mg以下が挙げられる。また、30 mg/mLの可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製するに際しては、この溶液中に存在する非イオン性界面活性剤の添加量の下限としては、例えば0.003 mg以上が好ましく、より好ましくは0.015 mg以上、さらに好ましくは0.03 mg以上、場合によっては0.15 mg以上、または0.3 mg以上、さらには1.5 mg以上である例が挙げられる。非イオン性界面活性剤の上限としては、例えば通常30 mg以下であり、好ましくは15 mg以下、さらに好ましくは3 mg以下、場合によっては1.5 mg以下が挙げられる。さらに、17, 20, 25 mg/mL等やそれら以外の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製するに際しては、実際に添加量を測定することが好ましいが、例えば10 mg/mLと30 mg/mLの可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液中に存在する非イオン性界面活性剤の上記の添加量の例示を参考に、可溶性トロンボモジュリンの濃度に基づいて等比等の計算にて求めることも好ましい。
【0048】
また、複数の非イオン性界面活性剤を添加する場合にも、波長650 nmの透過率を測定する方法において、95%以上の透過率を示すような添加量を調べる等の方法により決定することができる。通常は、複数の非イオン性界面活性剤の合計量が、上記に例示された添加量とすることが簡便であろうし、若干濃い目に添加することも好ましい。
【0049】
本発明の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解するための溶解用水溶液中に添加される起泡抑制添加剤の内、ベンジルアルコール、クロロブタノール、または両物質を混合した時の添加量は、起泡を抑制できる量であれば特に制限されるものではないが、可溶性トロンボモジュリンおよびその他の添加剤の含有量により適量添加することができる。なお、ベンジルアルコール、クロロブタノールを使用して起泡抑制効果を発揮せしめるに際しては、溶解用水溶液中に、これらの化合物を添加することが好ましい。これらの添加量を検討する方法は、上述した通り、例えば、上記の波長650 nmの透過率を測定し、95%以上の透過率を示すような添加量を調べる方法が好ましい。具体的な一例としては、例えば、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解して、10 mg/mLの可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製するに際しては、この溶液中に存在するベンジルアルコール、クロロブタノール、または両物質を混合した時の添加量の下限としては、例えば0.01 mg以上が好ましく、より好ましくは0.05 mg以上、さらに好ましくは0.1 mg以上、場合によっては0.5 mg以上、または1 mg以上、さらには5 mg以上である例が挙げられる。上限としては、例えば通常100 mg以下であり、好ましくは50 mg以下、さらに好ましくは10 mg以下、場合によっては5 mg以下が挙げられる。また、30 mg/mLの可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製するに際しては、この溶液中に存在するベンジルアルコール、クロロブタノール、または両物質を混合した時の添加量の下限としては、例えば0.03 mg以上が好ましく、より好ましくは0.15 mg以上、さらに好ましくは0.3 mg以上、場合によっては1.5 mg以上、または3 mg以上、さらには15 mg以上である例が挙げられる。上限としては、通常300 mg以下であり、好ましくは150 mg以下、さらに好ましくは30 mg以下、場合によっては15 mg以下が挙げられる。さらに、上記以外の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製するに際しては、例えば10 mg/mLや30 mg/mLの可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液中に存在するベンジルアルコール、クロロブタノール等の上記の添加量の例示を参考に可溶性トロンボモジュリンの濃度に基づいて等比で計算にて求めることも好ましい例として挙げられる。
【0050】
本発明における溶解用水溶液としては、特に限定されないが、例えば蒸留水(または注射用水)、生理食塩液、ブドウ糖注射液、キシリトール注射液などが挙げられ、蒸留水が好ましい例として挙げられる。さらに、該溶解用水溶液中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめることも好ましい。上記の凍結乾燥製剤中に非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む場合には、溶解用水溶液としては、蒸留水、生理食塩液、またはブドウ糖注射液などを使用することが出来、またさらに非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含んでいてもよい。通常、上記凍結乾燥製剤中には、ベンジルアルコール、クロロブタノールではなく、非イオン性界面活性剤が含有されることが凍結乾燥製剤においては好ましい。上記凍結乾燥製剤中に非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールを含まない場合は、溶解用水溶液には、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含ませることにより、起泡抑制作用を発揮させることが出来、その場合も好ましい。なお、溶解用水溶液中に起泡抑制添加剤を添加する場合の起泡抑制添加剤の添加量は、起泡抑制効果が有効に発揮するのであれば特に制限されるものではないが、可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の可溶性トロンボモジュリン濃度に対する添加量として上記に例示した量が好ましい。
【0051】
溶解用水溶液に非イオン性界面活性剤を添加する際の添加量は、起泡抑制効果が有効に発揮するのであれば特に制限されるものではなく、前述の通り測定することにより適宜決定すればよいが、簡便のために、通常の可溶性トロンボモジュリン濃度等の条件において目安となる溶解用水溶液中の非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、またはクロロブタノールの添加量を提示すると以下が例示される。すなわち、非イオン性界面活性剤においては、通常添加量の上限としては、例えば蒸留水1 mLに対して、通常100 mg以下、または50 mg以下、好ましくは30 mg以下、又は10 mg以下、特に好ましくは1 mg以下が挙げられる。下限としては0.001 mg以上、好ましくは0.01 mg以上、さらに好ましくは0.03 mg以上、特に好ましくは0.05 mg以上、または0.1 mg以上が例示される。ベンジルアルコールの添加量は、例えば蒸留水1 mLに対しての添加量の上限としては、通常、50 mg以下、又は40 mg以下、好ましくは30 mg以下、さらに好ましくは20 mg以下、又は10 mg以下が挙げられる。下限としては0.1 mg以上、又は1 mg以上、好ましくは4 mg以上、又は5 mg以上、さらに好ましくは7 mg以上、特に好ましくは10 mg以上が例示される。また、クロロブタノールの添加量は、例えば蒸留水1 mLに対しての添加量の上限としては、通常、20 mg以下、又は15 mg以下、好ましくは10 mg以下、又は8 mg以下、さらに好ましくは7 mg以下、又は5 mg以下が挙げられる。下限としては通常、0.1 mg以上、又は1 mg以上、好ましくは2 mg以上、さらに好ましくは3 mg以上、特に好ましくは5 mg以上が例示される。
【0052】
また、溶解用水溶液の容量は、少量から大量まで特に限定されないが、皮下注射や筋肉内注射を考慮したときには、通常、0.1 mL以上、好ましくは0.3 mL以上、さらに好ましくは0.5 mL以上が例示される。また、その容量の上限としては、通常10 mL以下、好ましくは5 mL以下、さらに好ましくは3 mL以下、特に好ましくは2 mL以下、または1.5 mL以下が例示される。さらに、その容量は、通常は、約0.5 mLから約1 mLであることが特に好ましい。
【0053】
浸透圧比としては、製剤の投与時に疼痛を感じないことが望ましいが、通例0.5以上が好ましく、さらに好ましくは0.8以上が挙げられる。上限としては、2.0以下が好ましく、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.2以下が挙げられる。
【0054】
本発明の起泡抑制方法、およびその効果を達成するためには、可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、またはそのキット製剤において、前述した可溶性トロンボモジュリンと起泡抑制添加剤の他の組成は、起泡抑制に特別に障害とならない限り、特に限定されず、例えば、アルギニンを初めとする各種のアミノ酸またはその塩や、マンニトール、トレハロース等の糖類、さらには尿素が添加されていてもよく、その他の通常用いられる添加物を添加することができる。またさらに、それらの組成物を含有させず、可溶性トロンボモジュリンのみの凍結乾燥製剤、または可溶性トロンボモジュリンと起泡抑制添加剤とからなる凍結乾燥製剤であってもよい。しかし、後述の(1) グルタミン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、(2) グルタミン酸またはその塩、およびリシンまたはその塩の2種を含む、(3) グルタミン酸またはその塩、およびアスパラギン酸またはその塩の2種を含む、または(4) アスパラギン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、のいずれかの組み合わせを含有せしめた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤は安定性も好ましく、最適である。その他に、アルギニン、トレハロースまたは尿素の組成も好ましい例として挙げられる。
【0055】
すなわち、本発明は、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、(1) グルタミン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、(2) グルタミン酸またはその塩、およびリシンまたはその塩の2種を含む、(3) グルタミン酸またはその塩、およびアスパラギン酸またはその塩の2種を含む、または(4) アスパラギン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、のいずれかの組み合わせを含有せしめられており、さらに該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられているか、および/または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解するための溶解用水溶液中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の起泡抑制方法である。なお、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解し得て、10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製でき、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であることが好ましい。
【0056】
また本発明は、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、(1) 尿素、または(2) 尿素およびアミノ酸、のいずれかを含有せしめられており、さらに該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられているか、および/または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解するための溶解用水溶液中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の起泡抑制方法である。なお、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解し得て、10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製でき、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であることが好ましい。
【0057】
さらに本発明は、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、アルギニン、グルタミン酸、プロリン、セリン、グリシン、ヒスチジン、アスパラギン、リジン、フェニルアラニンおよびバリン、およびそれらの塩、トレハロース、ラクトース、スクロースからなる群より選ばれた一種または二種を含有せしめられており、さらに該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられているか、および/または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解するための溶解用水溶液中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の起泡抑制方法である。
【0058】
なお、本発明においては、起泡抑制添加剤が含有された可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液は、溶解時の起泡抑制だけでなく、振とうに対する消泡の効果も期待され、特にベンジルアルコールやクロロブタノールを含有せしめることが好ましい。
【0059】
次いで、(b)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁がシリコーンでコーティングされていること、について説明する。
【0060】
すなわち、本発明の起泡抑制方法においては、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁がシリコーンでコーティングされていることが好ましい。
【0061】
本発明における該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器としては、医薬品の容器として使用可能なもので無菌充填することに適した材料、形状であれば特に限定されないが、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を封入するのに適した容器であることが好ましく、通常は、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を封入した容器を、溶解する際にもそのまま使用することが好ましい。本発明における該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の材質としては、例えばガラス又はポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、環状ポリオレフィンとα-オレフィンの共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテン、6フッ化樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネイトなどのプラスチック類、ステンレススチール、金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタニウムなどの金属類、セラミック類、炭素複合材料などの複合素材、石英などの中から選択することができるが、これらに限定されない。ガラスは脱アルカリ処理ガラスを用いることも好ましい。脱アルカリ処理は、例えば、ガラスに硫酸アンモニウム水溶液を接触させて、高温加熱せしめ、洗浄する方法、あるいはガラス表面に高温状態で亜硫酸ガスなどの水溶性硫黄酸化物と接触させて、表面のアルカリ成分を微細な硫酸塩結晶とし、その後洗浄する方法により行うことができる。プラスチック類の中ではポリプロピレン、環状ポリオレフィン、環状ポリオレフィンとα-オレフィンとの共重合体が好ましい。さらに環状ポリオレフィンが特に好ましい。
【0062】
本発明における該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁としては、容器を栓(アンプル等の場合は熔閉)した時に、容器の中で溶解液が接触可能な容器の部分を指す。
【0063】
本発明における該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁に施されるシリコーンでのコーティングとしては、通常の方法、通常の材料が使用可能である。シリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのシリコーンオイル、およびメチルワニスシリコーン、メチルフェニルワニスシリコーンなどが挙げられる。また本発明においてシリコーンをコーティングする方法としては、通常の方法、例えばシリコーン溶液に容器全体を浸漬する処理、またはシリコーン溶液を容器内壁にスプレーする処理、またはシリコーン溶液を容器に注入して内壁に接触させた後に余分のシリコーン溶液を排出する処理などの処理後に、溶媒を蒸発させることにより得ることができる。シリコーン溶液の溶媒としては、四塩化炭素や、トリクロルエチレンなどが挙げられるが、溶剤の安全性からはシリコーンを乳化させた水系エマルジョンを用いることも好ましい。水系エマルジョンの溶媒除去の場合は、ガラスにおいては100〜800 ℃の高温で加熱することが好ましく、250〜350 ℃の高温で加熱することがより好ましい。樹脂などにおいては軟化しない程度の温度が望ましい。また、シリコーンの量は、通常、付着させるシリコーン溶液の濃度によっても表わすことが簡便と考えられる。例えば、濃度1 w/v%のシリコーン溶液を容器に付着させて溶媒を除去する場合に、「1 w/v%のシリコーンコーティング」として表示することとした場合には、容器内壁へのシリコーンコーティング量は、下限としては、例えば0.01 w/v%以上が好ましく、より好ましくは0.05 w/v%以上、さらに好ましくは0.1 w/v%以上、場合によっては0.5 w/v%以上、または1 w/v%以上、さらには2 w/v%以上が好ましい例として挙げられる。上限としては、通常10 w/v%以下であり、好ましくは7 w/v%以下、さらに好ましくは5 w/v%以下、場合によっては2 w/v%以下が挙げられる。
【0064】
または以下に、(c)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器内圧力が減圧状態であること、について説明する。
【0065】
すなわち、本発明の起泡抑制方法においては、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器内圧力が減圧状態であることが好ましい。通常、容器内の圧力が大気圧(760 mmHg)より低いことと理解され、減圧状態を作る方法としては、どのような手段であってもよいが、例えば該凍結乾燥製剤を溶解する際に溶解用水溶液をシリンジで注入した後に、そのシリンジで容器内の気体を吸引して大気圧より減圧状態にする方法が挙げられる。また、溶解用水溶液をシリンジで注入した後に、真空ポンプ等の減圧装置を接続した注射針で容器内の気体を吸引する方法も挙げられる。また、溶解用水溶液をシリンジで注入する前に容器内を減圧しておくことも好ましく、凍結乾燥の製剤化工程において、減圧状態のままに栓をすることも検討しえることとなるが、例えば、空のシリンジや真空ポンプを接続した注射針で容器内の気体を溶解工程以前に予め吸引することも好ましい例として挙げられる。該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器内圧力の減圧状態は、例えば大気圧(760 mmHg)より200 mmHg減圧された状態を-200 mmHgの減圧度と表記することがある。設定された溶解時の減圧度を達成するために、あらかじめ減圧しておく場合に、添加される溶解用水溶液等の容量の変化を確認して、初期減圧度を決め、溶解以前に初期減圧度まで減圧しておくことが好ましい。初期減圧度は、実施例に記載された方法や、その他の適宜の方法により決めればよい。
【0066】
該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際に、起泡抑制する好ましい容器内圧力は、容器の容量、形式や溶解用水溶液の量によって若干異なるため、上記の気泡の発生程度を濁度として波長650 nmの透過率を測定する方法において、95%以上の透過率を示すような減圧状態とすることが好ましく、特に限定されるものではない。例えば、3 mLバイアル瓶中の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を1 mLの溶解用水溶液で溶解する際は、容器内圧力の下限としては-50 mmHg以上が好ましく、-100 mmHg以上がさらに好ましく、場合によっては-200 mmHg以上、または-300 mmHg以上である例が挙げられる。上限としては通常-600 mmHg以下が例示され、好ましくは-500 mmHg以下、さらに好ましくは-400 mmHg以下、場合によっては-300 mmHg以下が挙げられる。さらに本発明は、前述の起泡抑制効果、および/または後述の安定化効果を有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、さらには、凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とが組み合わされたキット製剤を提供するものである。
【0067】
すなわち本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめたキット製剤であって、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製されるためのものであって、且つ(a)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられているか、および/または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤の溶解用水溶液中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていること、(b)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁がシリコーンでコーティングされていること、または(c)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器内圧力が減圧状態であること、の少なくともいずれかを特徴とする可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、またはそのキット製剤である。
【0068】
本発明の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、またはそのキット製剤としては、上記の(a)、(b)、(c)のいずれかが好ましいが、好ましくは(a)であり、さらに(a)且つ(c)や、(a)且つ(b)も好ましい。また(b)且つ(c)も好ましく、(a)且つ(b)且つ(c)が特に好ましい例として挙げられることは前記と同様である。
【0069】
さらに具体的には、本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめたキット製剤であって、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製されるためのものであって、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤は、(1) グルタミン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、(2) グルタミン酸またはその塩、およびリシンまたはその塩の2種を含む、(3) グルタミン酸またはその塩、およびアスパラギン酸またはその塩の2種を含む、または(4) アスパラギン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、のいずれかの組み合わせを含有せしめ、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解し得て、10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調整でき、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤である。
【0070】
また本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめたキット製剤であって、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製されるためのものであって、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤は、(1) グルタミン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、(2) グルタミン酸またはその塩、およびリシンまたはその塩の2種を含む、(3) グルタミン酸またはその塩、およびアスパラギン酸またはその塩の2種を含む、または(4) アスパラギン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、のいずれかの組み合わせを含有せしめ、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解し得て、10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製でき、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であり、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤である。この場合に、(b)、または(c)、それらの組み合わせであることが好ましいことは前述の通りである。
【0071】
さらに本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめたキット製剤であって、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製されるためのものであって、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤は、(1) グルタミン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、(2) グルタミン酸またはその塩、およびリシンまたはその塩の2種を含む、(3) グルタミン酸またはその塩、およびアスパラギン酸またはその塩の2種を含む、または(4) アスパラギン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、のいずれかの組み合わせを含有せしめ、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解し得て、10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製でき、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であることを特徴とし、さらに該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤の溶解用水溶液中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤である。この場合に、(b)、または(c)、それらの組み合わせであることが好ましいことは前述の通りである。
【0072】
またさらに本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめたキット製剤であって、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製されるためのものであって、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤は、(1) グルタミン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、(2) グルタミン酸またはその塩、およびリシンまたはその塩の2種を含む、(3) グルタミン酸またはその塩、およびアスパラギン酸またはその塩の2種を含む、または(4) アスパラギン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、のいずれかの組み合わせを含有せしめ、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解し得て、10 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製でき、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であり、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられており、さらに該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤の溶解用水溶液中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤である。この場合に、(b)、または(c)、それらの組み合わせであることが好ましいことは前述の通りである。
【0073】
この発明においても、可溶性トロンボモジュリンに関する諸性質や濃度等について前述の起泡抑制方法と同様である。
【0074】
さらに本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤における可溶性トロンボモジュリンの安定化方法であって、(1) グルタミン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、(2) グルタミン酸またはその塩、およびリシンまたはその塩の2種を含む、(3) グルタミン酸またはその塩、およびアスパラギン酸またはその塩の2種を含む、または(4) アスパラギン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、のいずれかの組み合わせを含有せしめ、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解し得て、10 mg/mL以上、好ましくは15または17 mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製でき、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤における可溶性トロンボモジュリンの安定化方法である。
【0075】
可溶性トロンボモジュリン高濃度含有凍結乾燥製剤における可溶性トロンボモジュリンの安定化効果を示す、例えば、(1) グルタミン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、(2) グルタミン酸またはその塩、およびリシンまたはその塩の2種を含む、(3) グルタミン酸またはその塩、およびアスパラギン酸またはその塩の2種を含む、または(4) アスパラギン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、等の添加剤を、以下安定化添加剤と言うことがある。
【0076】
本発明の安定化方法に適するより好ましい製剤としては以下が挙げられる。すなわち、本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを10 mg/mL以上、好ましくは15または17 mg/mL以上含有する可溶性トロンボモジュリン高濃度含有凍結乾燥製剤であって、グルタミン酸またはその塩、およびマンニトールを含有せしめ、且つ該製剤が、0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解し得るものであって、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン高濃度含有凍結乾燥製剤である。
【0077】
また本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを10 mg/mL以上、好ましくは15または17 mg/mL以上含有する可溶性トロンボモジュリン高濃度含有凍結乾燥製剤であって、グルタミン酸またはその塩、および、リシンまたはその塩を含有せしめ、且つ該製剤が、0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解し得るものであって、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン高濃度含有凍結乾燥製剤である。
【0078】
また本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを10 mg/mL以上、好ましくは15または17 mg/mL以上含有する可溶性トロンボモジュリン高濃度含有凍結乾燥製剤であって、グルタミン酸またはその塩、およびアスパラギン酸またはその塩を含有せしめ、且つ該製剤が、0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解し得るものであって、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン高濃度含有凍結乾燥製剤である。
【0079】
また本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを10 mg/mL以上、好ましくは15または17 mg/mL以上含有する可溶性トロンボモジュリン高濃度含有凍結乾燥製剤であって、アスパラギン酸またはその塩、およびマンニトールを含有せしめ、且つ該製剤が、0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解し得るものであって、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン高濃度含有凍結乾燥製剤である。
【0080】
安定化効果を達成するに際しても、前述の可溶性トロンボモジュリンの性質、構造等が引用でき、また可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の濃度や溶解用水溶液等においても同様である。
【0081】
本発明の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の液量は、0.1 mLから2 mLであって、その溶液の浸透圧比が0.5から2.0であることが好ましい。浸透圧比としては製剤の投与時に疼痛を感じないことが望ましいが、通例0.5以上が好ましく、さらに好ましくは0.8以上が挙げられる。上限としては、2.0以下が好ましく、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.2以下が挙げられる。
【0082】
本発明の浸透圧比は、生理食塩液の与えるオスモル濃度に対する試料溶液のオスモル濃度の比と定義(第14改正日本薬局方、浸透圧測定法)され、生理食塩液(0.900 g/100mL)のオスモル濃度は一定(286mOsm)であることから、次式で計算することができる[浸透圧比=試料溶液のオスモル濃度(mOsm)/286(mOsm)]。なお、オスモル濃度は、第14改正日本薬局方の浸透圧測定法、あるいはUSP24<785>OSMOLARITYに記載の方法で求めることができ、単位はmOsm (milliosmoles per liter)を用いて示す。
【0083】
本発明のグルタミン酸は、光学活性体であるD体、またはL体のいずれか、またはそれらの混合物であるラセミ体のいずれであっても良いが、L体であることが好ましい。グルタミン酸の塩としては、水溶性の塩であることが好ましく、例えばその酸付加塩が好ましい例として挙げられる。酸付加塩の場合、付加しうる酸として通常、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、リン酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸などが例示されるが、好ましくは塩酸、酢酸、リン酸であり、さらに好ましくは塩酸が挙げられる。また、他の塩としては、アンモニウム塩が好ましい例として挙げられる。また、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属との塩も好ましい例として挙げられる。アルカリ金属としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられ、好ましくはナトリウム、カリウムであり、さらに好ましくはナトリウムが挙げられる。また、アルカリ土類金属との塩も好ましい例として挙げられる。アルカリ土類金属としては例えばマグネシウム、カルシウム、ベリリウムなどが挙げられ、好ましくはマグネシウム、カルシウムであり、さらに好ましくはカルシウムである。これらのグルタミン酸およびその塩は、無水物の他、適宜の水和物が利用できる。具体的には、グルタミン酸ナトリウム一水和物が好ましい例として挙げられる。なお、これらのグルタミン酸およびその塩の添加量を考慮する際には、特別にことわりのない限り、フリー体のグルタミン酸としての換算値として表示する。
【0084】
また、マンニトールは、D体、またはL体のいずれか、またはそれらの混合物のいずれであっても良いが、D-マンニトールが好ましい例として挙げられる。
【0085】
また、トレハロースは、D体、またはL体のいずれか、またはそれらの混合物のいずれであっても良い。また、無水物の他、適宜の水和物が利用できる。具体的には、D-トレハロース二水和物が好ましい例として挙げられる。
【0086】
また、リシン(リジンとも言う)は、光学活性体であるD体、またはL体のいずれか、またはそれらの混合物であるラセミ体のいずれであっても良いが、L体であることが好ましい。リシンの塩としては、水溶性の塩であることが好ましく、例えばその酸付加塩が好ましい例として挙げられる。酸付加塩の場合、付加しうる酸として通常、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、リン酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸などが例示されるが、好ましくは塩酸、酢酸、リン酸であり、さらに好ましくは塩酸が挙げられる。これらのリシンおよびその塩は、無水物の他、適宜の水和物が利用できる。具体的には、リシン水和物が好ましい例として挙げられる。なお、これらのリシンおよびその塩の添加量を考慮する際には、特別にことわりのない限り、フリー体のリシンとしての換算値として表示する。
【0087】
また、グルタミン酸またはその塩、および、リシンまたはその塩の組み合わせを実施する際においては、一括して、リシングルタミン酸塩無水物やリシングルタミン酸塩二水和物などを利用することも好ましい例として挙げられる。このリシングルタミン酸塩二水和物の量を考慮する際には、リシンとグルタミン酸とに分けての換算値として表示する。
【0088】
また、アスパラギン酸は、光学活性体であるD体、またはL体のいずれか、またはそれらの混合物であるラセミ体のいずれであっても良いが、L体であることが好ましい。アスパラギン酸の塩としては、水溶性の塩であることが好ましく、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属との塩も好ましい例として挙げられる。アルカリ金属としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられ、好ましくはナトリウム、カリウムであり、さらに好ましくはナトリウムが挙げられる。また、アルカリ土類金属との塩も好ましい例として挙げられる。アルカリ土類金属としては例えばマグネシウム、カルシウム、ベリリウムなどが挙げられ、好ましくはマグネシウム、カルシウムであり、さらに好ましくはカルシウムである。これらのアスパラギン酸およびその塩は、無水物の他、適宜の水和物が利用できる。具体的には、アスパラギン酸ナトリウム一水和物が好ましい例として挙げられる。なお、これらのアスパラギン酸およびその塩の添加量を考慮する際には、特別にことわりのない限り、フリー体のアスパラギン酸としての換算値として表示する。
【0089】
また、本発明のアルギニン、プロリン、セリン、グリシン、ヒスチジン、アスパラギン、フェニルアラニンおよびバリンにおいても、光学活性体であるD体、またはL体のいずれか、またはそれらの混合物であるラセミ体のいずれであっても良い。また、塩としては、水溶性の塩であることが好ましく、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属との塩も好ましい例として挙げられる。これらのアミノ酸およびその塩は、無水物の他、適宜の水和物が利用できる。例えばこれらのアミノ酸のうち、アルギニンについてはアルギニン塩酸塩が好ましい例として挙げられる。これらのアミノ酸およびその塩の添加量を考慮する際には、特別にことわりのない限り、フリー体のアミノ酸としての換算値として表示する。
【0090】
さらに、本発明の製剤中に添加される、上述の安定化添加剤の添加量の比は、互いに50:50が特に好ましい例であり、また、60:40〜40:60も好ましい例として挙げられ、さらにまた80:20〜20:80も例示される。おのおのの添加量は、適宜選択できるが、例えば、可溶性トロンボモジュリン1 mgあたりの添加量の下限として、通常0.0001 mmol以上が例示され、好ましくは0.0003 mmol以上、より好ましくは0.0007 mmol以上、特に好ましくは0.001 mmol以上が例示される。また、可溶性トロンボモジュリン1 mgあたりの添加量の上限として、通常1 mmol以下が例示され、好ましくは0.7 mmol以下、より好ましくは0.3 mmol以下、特に好ましくは0.1 mmol以下が例示される。上記の添加量としては、本発明の安定化効果を示し、且つ浸透圧比が0.5から2.0の範囲に調整できる添加量であれば特に限定されず、例えば塩酸塩やナトリウム塩のように水に溶解した時に電離(解離)する添加剤の場合は浸透圧比が高くなるので添加量を、上述の例示された添加量を適宜増減し、求められる浸透圧比に適宜調整することが好ましい。
【0091】
本発明で上記の起泡抑制添加剤、および/または安定化添加剤を含む可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤においては、上記起泡抑制添加剤や安定化添加剤の他に、その他の成分として医薬品の添加剤として許容できる、等張化剤、緩衝化剤、増粘剤、保存剤、防腐剤、無痛化剤、pH調整剤などを適宜添加しても良い。なお、起泡抑制添加剤としてベンジルアルコールやクロロブタノールを用いる場合には、無痛化剤としての作用も併せて示すことができるため、好ましい。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどが挙げられる。
【0092】
本発明の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤の製造に際しては、適宜の方法が採用できるが、例えば、適当量の可溶性トロンボモジュリンと上述の添加物、またはその溶液を、同時または順次混合して全ての組成物の混合溶液を調製し、公知の方法により凍結乾燥することにより、調製することが可能である。
【0093】
例えば、上記起泡抑制添加剤、および/または安定化添加剤や、その他の成分の添加剤の添加方法は、直接可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液に添加する方法、または、あらかじめ起泡抑制添加剤、安定化添加剤や、その他の成分の添加剤を、水、注射用水、あるいは適当な緩衝液に溶解後、可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液に添加する方法などが挙げられる。添加時期はいつでも良いが、好ましくは可溶性トロンボモジュリンの精製過程や濃縮過程、さらに好ましくは製剤化工程中が例示される。また、製剤化工程中で可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液のpHは、特に好ましくは中性付近が例示される。さらに、そのpHの下限としては、通常pH 4以上、好ましくはpH 5以上、より好ましくはpH 6以上、特に好ましくはpH 6.5以上が例示される。また、pHの上限としては通常pH 11以下が例示され、好ましくはpH 10以下、より好ましくはpH 9以下、さらに好ましくはpH 8以下、特に好ましくはpH 7.5以下が例示される。前述のpHとなすためには、必要により、適宜のpH調整剤などを添加して調整すれば良い。pH調整剤としては、例えば塩酸、酢酸、クエン酸、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが例示され、好ましくは塩酸、水酸化ナトリウムなどである。調整時期は特に限定されないが、無菌ろ過工程の直前が好ましい。また、可溶性トロンボモジュリンの精製過程や濃縮過程でも良い。調整方法は特に限定されないが、サンプリングした溶液のpHをpH測定装置で測り、例えばpHが低ければ水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを調整すればよい。
【0094】
上記のように製剤化工程で調製した可溶性トロンボモジュリンおよび必要により添加される起泡抑制添加剤、および/またた安定化添加剤を含み、さらに所望により適宜のその他の添加剤を含有してなる溶液を、例えば0.22μmのフィルターを通して無菌ろ過することが好ましい。かくして得られた可溶性トロンボモジュリンおよび必要により添加される起泡抑制添加剤、安定化添加剤、またはその他の添加剤を含有してなる溶液を容器に充填し、そのまま密封して製剤としてもよいが、凍結乾燥することがより好ましい。凍結乾燥方法は特に制限はなく、通常の方法で凍結乾燥することができる。また、凍結乾燥の方法により、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中に上記起泡抑制添加剤を存在せしめる場合には、起泡抑制添加剤としては非イオン性界面活性剤が好ましい。
【0095】
容器に充填され、凍結乾燥される溶液の量として、特に好ましくは0.5から1.0 mLが例示される。すなわち、その下限としては0.1 mL以上が好ましく、より好ましくは0.3 mL以上、特に好ましくは0.5 mL以上が例示される。また、溶液の量の上限としては通常10 mL以下が例示され、好ましくは5 mL以下、より好ましくは2 mL以下、特に好ましくは1 mL以下が挙げられる。
【0096】
本発明の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤は、可溶性トロンボモジュリンの量として、製剤あたり、5 mg以上含むことが通常であり、10 mg以上含むことが好ましく、15 mg以上がさらに好ましい。またさらに、17 mg以上が好ましく、20 mg以上、または25 mg以上がさらに好ましく、30 mg以上含むことも特に好ましい例として挙げられる。
【0097】
容器としては、前述の通りであるが、医薬品の容器として使用可能なもので無菌充填することに適した材料、形状であれば特に限定されず、例えばガラス製バイアル(および栓)、ガラス製シリンジ(さらにゴム製キャップおよびストッパー)、ガラス製アンプルなどが挙げられ、その他にプラスチック製容器を用いることもできる。本発明において、ガラス製バイアルに封入せしめた凍結乾燥製剤として提供することが好ましい。また、例えば凍結乾燥製剤に、溶解用水溶液が組み合わされた、又は添付されているキット製剤が好ましく、凍結乾燥製剤や、溶解用水溶液は、それぞれ別の容器に充填されており、例えば、凍結乾燥製剤が無菌充填されたガラス製バイアルと、溶解用水溶液が無菌充填されたプレフィルドシリンジの組み合わせからなるキット製剤が好ましい例として挙げられる。また、ガラス製またはプラスチック製のダブルチャンバーあるいはデュアルチャンバーと言われる2室式シリンジ(1本のシリンジに2室があり、例えば1室に凍結乾燥物を、もう1室に溶解用水溶液が封入されている)もキット製剤として好ましい。また、2室式シリンジの別タイプとして、製造や流通時は2室が分離しており、使用時に2室を組み合わせることにより1体となし溶解するタイプも好ましい。
【0098】
本発明の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤は、製剤として流通時または使用までの間、数ヶ月〜数年間保存されることができる。その投与方法としては、一般的に使用されている投与方法、すなわち非経口投与方法、例えば静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与等によって投与することができるが、特に筋肉内投与、皮下投与に用いることが最も好ましい。凍結乾燥製剤とした場合は、用時に、水、例えば蒸留水(または、注射用水)等にて溶解して患者に投与することができるが、前述の通りであって、特に筋肉内投与、皮下投与に用いる場合には、0.1 mLから2 mL、好ましくは0.3 mLから1.5 mL、特に好ましくは0.5 mLから1 mL程度が例示される。
【0099】
本発明の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤の投与量は、患者の年齢、体重、疾患の程度、投与経路などによっても異なるが、一般的に可溶性トロンボモジュリンの量として体重あたり0.001から5 mg/kgの範囲であり、好ましくは0.02から2 mg/kg、さらに好ましくは0.05から1 mg/kg、特に好ましくは0.1から0.5 mg/kgが挙げられ、1日あたり1回または必要に応じて数回投与する。投与間隔は毎日でも良いが、好ましくは2日から14日間に1回、さらに好ましくは3日から10日間に1回、さらに好ましくは4日から7日に1回とすることも可能である。特に、筋肉内投与、皮下投与においては、血中濃度が長期間維持されることより、投与間隔を長くできるので、好ましい。
【0100】
また、本発明は、有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤における可溶性トロンボモジュリンの安定化方法であって、(1) 尿素、または(2) 尿素およびアミノ酸を含有せしめ、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解し得て、10 mg/mL以上、好ましくは20 mg/ml以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製でき、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であることを特徴とする可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤における可溶性トロンボモジュリンの安定化方法であり、またそれに最適な製剤である。
【0101】
本発明の可溶性トロンボモジュリンは前述と同様であり、その製剤中での含有量も前述と同様であり、例えば、通常は10 mg/mL以上、15 mg/mL以上、または17 mg/mL以上含有することが例示され、20 mg/mL以上、25 mg/mL以上、または30 mg/mL以上含有することがさらに好ましい例として挙げられる。
【0102】
尿素は、酸付加塩であってもよく、例えば尿素リン酸塩、尿素硝酸塩などが挙げられるが、好ましくは尿素である。なお、これらの尿素およびその酸付加塩の添加量を考慮する際には、特別にことわりのない限り、フリー体の尿素としての換算値として表示する。
【0103】
尿素と組み合わすことのできるアミノ酸としては、グルタミン酸またはその塩、アスパラギン酸またはその塩が好ましい例として例示される。これらのアミノ酸やその塩についての詳細な例示は前述の通りである。添加物の比率、添加量、浸透圧比は前述と同様である。基本的に製造方法や投与方法、用量等は前述の開示が参考にできる。なお前述のとおり、これらの組成も、起泡抑制方法における可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤、又はそのキット製剤として利用することができる。
【実施例】
【0104】
以下、参考例、実施例、比較例、投与例および実験例により本発明を具体的に説明するが、本発明は何らこれらによって限定されるものではない。
【0105】
以下の参考例、実施例および比較例において、有効成分である可溶性トロンボモジュリンの他、次のような製剤原料を用いた。
【0106】
L-グルタミン酸ナトリウム一水和物(特級、和光純薬工業株式会社)、D(-)-マンニトール(特級、和光純薬工業株式会社)、L-リシン塩酸塩(特級、和光純薬工業株式会社)、L-リシン-L-グルタミン酸塩二水和物(味の素株式会社)、L-アスパラギン酸ナトリウム一水和物(特級、和光純薬工業株式会社)、尿素(小堺製薬株式会社)、L-アルギニン塩酸塩(特級、和光純薬工業株式会社)、スクロース(特級、和光純薬工業株式会社)、D-トレハロース二水和物(特級、和光純薬工業株式会社)、Polysorbate 80(日光ケミカルズ株式会社)、Polysorbate 20(日光ケミカルズ株式会社)、Poloxamer 188(BASF)、Polyoxyethylene(25)lauryl ether(日光ケミカルズ株式会社)、Polyoxyl 40 stearate(日光ケミカルズ株式会社)、HCO-60 (Polyoxyl 60 hydrogenated castor oil;日光ケミカルズ株式会社)、ラウリル硫酸ナトリウム(一級、和光純薬工業株式会社)、塩化ベンザルコニウム(ICN Biochemicals Inc.)、ベンジルアルコール(特級、和光純薬工業株式会社)、クロロブタノール(特級、和光純薬工業株式会社)、塩化ナトリウム(特級、和光純薬工業株式会社)、リン酸(特級、和光純薬工業株式会社)、水酸化ナトリウム(特級、和光純薬工業株式会社)、注射用水(大塚製薬株式会社)、生理食塩液(大塚製薬株式会社)
【0107】
参考例1
本実施例で用いる可溶性トロンボモジュリンの生産
実施例に用いる可溶性トロンボモジュリンは、前記山本らの方法(特開昭64-6219号公報の実施例10に記載の方法)に従い生産し、さらに限外濾過により濃縮を行って得た。すなわち配列表配列番号1のアミノ酸配列をコードするDNA(具体的には、配列表配列番号2の塩基配列よりなる)を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞にトランスフェクションして、この形質転換細胞の培養液より上述あるいは定法の精製法にて、50 mM NaClを含む20 mMリン酸塩緩衝液(pH7.3)で活性画分を回収した高純度精製品を取得した。さらに、限外濾過を行って可溶性トロンボモジュリン濃度が60 mg/mLであるTMD123Hを取得した。同様に、配列表配列番号3のアミノ酸配列をコードするDNA(具体的には、配列表配列番号4の塩基配列よりなる)を用いることにより、配列表配列番号3のアミノ酸配列の19-132のアミノ酸を少なくとも有するペプチド(以下、TME456Hと略することがある)を取得した。
【0108】
また、配列表配列番号2の塩基配列を含むDNA断片および配列表配列番号9に示された塩基配列を有する変異用合成DNAを用いて前述の部位特異的変異を行い、配列表配列番号5のアミノ酸配列をコードするDNA(具体的には、配列表配列番号6の塩基配列よりなる)を取得した。このDNA配列をCHO細胞にトランスフェクションして、この形質転換細胞の培養液より上述あるいは定法の精製法にて、50 mM NaClを含む20 mMリン酸塩緩衝液(pH7.3)で活性画分を回収した高純度精製品を取得した。さらに、限外濾過を行って可溶性トロンボモジュリン濃度が60mg/mLである配列表配列番号5のアミノ酸配列の19-516のアミノ酸を少なくとも有するペプチド(以下、TMD123HMと略すことがある)を取得した。同様に、配列表配列番号4の塩基配列を含むDNA断片および配列表配列番号9に示された塩基配列を有する変異用合成DNAを用いて前述の部位特異的変異を行い、配列表配列番号7のアミノ酸配列をコードするDNA(具体的には、配列表配列番号8の塩基配列よりなる)を取得した。このDNA配列をCHO細胞にトランスフェクションし、上述の方法にて配列表配列番号7のアミノ酸配列の19-132のアミノ酸を少なくとも有するペプチド(以下、TME456HMと略すことがある)を取得した。
【0109】
実施例1−1
添加剤溶液調製
20 mLのメスフラスコに、L-グルタミン酸ナトリウム一水和物2.5 mmolおよびD(-)-マンニトール2.5 mmolを量り入れ(表1に記載している添加剤量のそれぞれ50倍量にあたる)、注射用水を加え溶解して20 mLとした。
【0110】
試料溶液調製
上記添加剤溶液4 mLを15 mLのアシストチューブに入れ、参考例1で得られたTMD123Hを5 mL(可溶性トロンボモジュリンとして表1記載の10倍量にあたる300 mg含有する)および注射用水を1 mL加え、混合攪拌した。この試料溶液をディスポシリンジ25 mL(テルモ製)を用い、孔径:0.22μm(MILLEX-GV、ミリポア製)のフィルターを付けてろ過滅菌し、特別に限定しない限りシリコーンコーティング未処理の無菌バイアルビン(3010、不二硝子製)に1 mLずつ分注した。
【0111】
凍結乾燥
ゴム栓(大協精工製)半打栓→凍結乾燥→窒素充填→ゴム栓打栓→キャップ巻締めの順で以下の条件にて凍結乾燥工程を行い、1容器中に可溶性トロンボモジュリン30 mg、L-グルタミン酸ナトリウム一水和物0.05 mmol、D(-)-マンニトール0.05 mmolを含む可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(実施例1-1-1)。
【0112】
〔凍結乾燥条件〕
予備冷却(15分かけて室温から15℃)→ 本冷却(2時間かけて15℃から-45℃)→ 保持(2時間 -45℃)→ 真空開始(18時間 -45℃) → 昇温(20時間かけて -45℃から25℃)→ 保持(15時間25℃)→ 昇温(1時間かけて25℃から45℃)→ 保持(5時間45℃)→ 室温(2時間かけて45℃から25℃)→ 復圧窒素充填(-100 mmHgまで窒素で復圧)→ 打栓 → キャップ巻締め
【0113】
実施例1−1−2、実施例1−1−3、実施例1−1−4
同様に、可溶性トロンボモジュリンの種類を変えて実施例1-1-1のTMD123Hの代わりにTMD123HM(実施例1-1-2)、TME456H(実施例1-1-3)、およびTME456HM(実施例1-1-4)を用いて、それぞれ上記の方法にしたがって可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た。
【0114】
【表1】











【0115】
実施例1−2
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(実施例1-1-1、1-1-2、1-1-3、1-1-4に準じて、可溶性トロンボモジュリンの種類を変え、それぞれ実施例1-2-1、実施例1-2-2、実施例1-2-3、実施例1-2-4を調製した)。
【0116】
実施例1−3
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-3-1、実施例1-3-2、実施例1-3-3、実施例1-3-4を調製した)。
【0117】
実施例1−4
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-4-1、実施例1-4-2、実施例1-4-3、実施例1-4-4を調製した)。
【0118】
実施例1−5
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-5-1、実施例1-5-2、実施例1-5-3、実施例1-5-4を調製した)。
【0119】
実施例1−6
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-6-1、実施例1-6-2、実施例1-6-3、実施例1-6-4を調製した)。
【0120】
実施例1−7
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-7-1、実施例1-7-2、実施例1-7-3、実施例1-7-4を調製した)。
【0121】
実施例1−8
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-8-1、実施例1-8-2、実施例1-8-3、実施例1-8-4を調製した)。
【0122】
実施例1−9
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-9-1、実施例1-9-2、実施例1-9-3、実施例1-9-4を調製した)。
【0123】
実施例1−10
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-10-1、実施例1-10-2、実施例1-10-3、実施例1-10-4を調製した)。
【0124】
実施例1−11
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-11-1、実施例1-11-2、実施例1-11-3、実施例1-11-4を調製した)。
【0125】
実施例1−12
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-12-1、実施例1-12-2、実施例1-12-3、実施例1-12-4を調製した)。
【0126】
実施例1−13
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-13-1、実施例1-13-2、実施例1-13-3、実施例1-13-4を調製した)。
【0127】
実施例1−14
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-14-1、実施例1-14-2、実施例1-14-3、実施例1-14-4を調製した)。
【0128】
実施例1−15
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-15-1、実施例1-15-2、実施例1-15-3、実施例1-15-4を調製した)。
【0129】
実施例1−16
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-16-1、実施例1-16-2、実施例1-16-3、実施例1-16-4を調製した)。
【0130】
実施例1−17
実施例1−1の試料溶液調製で試料溶液を無菌バイアルビンに分注する代わりに2室式シリンジ(アルテ製)の1室に1 mLずつ分注した。これらを、ミドル栓半打栓→凍結乾燥→窒素充填→ミドル栓打栓の順で凍結乾燥工程(凍結乾燥条件は実施例1−1と同様)を行った。次にもう1室側に注射用水0.75 mLを無菌的に充填し、ゴム栓で封印したのち、プランジャーロッドを取りつけ可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤のキット製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-17-1、実施例1-17-2、実施例1-17-3、実施例1-17-4を調製した)。
【0131】
実施例1−18
実施例1−13の試料溶液調製で無菌バイアルビンの代わりに2室式シリンジ(アルテ製)の1室に1 mLずつ分注した。これらを、ミドル栓半打栓→凍結乾燥→窒素充填→ミドル栓打栓の順で凍結乾燥工程(凍結乾燥条件は実施例1−1と同様)を行った。次にもう1室側に注射用水0.75 mLを無菌的に充填し、ゴム栓で封印したのち、プランジャーロッドを取りつけ可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤のキット製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-18-1、実施例1-18-2、実施例1-18-3、実施例1-18-4を調製した)。
【0132】
実施例1−19
実施例1−1で無菌ろ過した試料溶液を無菌バイアルビンに0.5 mLずつ分注した以外は同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-19-1、実施例1-19-2、実施例1-19-3、実施例1-19-4を調製した)。
【0133】
実施例1−20
実施例1−1で無菌ろ過した試料溶液を無菌バイアルビンに0.333 mLずつ分注した以外は同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-20-1、実施例1-20-2、実施例1-20-3、実施例1-20-4を調製した)。
【0134】
実施例1−21
実施例1−2で無菌ろ過した試料溶液を無菌バイアルビンに0.5 mLずつ分注した以外は同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-21-1、実施例1-21-2、実施例1-21-3、実施例1-21-4を調製した)。
【0135】
実施例1−22
実施例1−2で無菌ろ過した試料溶液を無菌バイアルビンに0.333 mLずつ分注した以外は同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-22-1、実施例1-22-2、実施例1-22-3、実施例1-22-4を調製した)。
【0136】
実施例1−23
実施例1−3で無菌ろ過した試料溶液を無菌バイアルビンに0.5 mLずつ分注した以外は同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-23-1、実施例1-23-2、実施例1-23-3、実施例1-23-4を調製した)。
【0137】
実施例1−24
実施例1−3で無菌ろ過した試料溶液を無菌バイアルビンに0.333 mLずつ分注した以外は同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-24-1、実施例1-24-2、実施例1-24-3、実施例1-24-4を調製した)。
【0138】
実施例1−25
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-25-1、実施例1-25-2、実施例1-25-3、実施例1-25-4を調製した)。
【0139】
実施例1−26
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-26-1、実施例1-26-2、実施例1-26-3、実施例1-26-4を調製した)。
【0140】
実施例1−27
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-27-1、実施例1-27-2、実施例1-27-3、実施例1-27-4を調製した)。
【0141】
実施例1−28
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-28-1、実施例1-28-2、実施例1-28-3、実施例1-28-4を調製した)。
【0142】
実施例1−29
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-29-1、実施例1-29-2、実施例1-29-3、実施例1-29-4を調製した)。
【0143】
実施例1−30
実施例1−1と同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-30-1、実施例1-30-2、実施例1-30-3、実施例1-30-4を調製した)。
【0144】
実施例1−31
実施例1−13で無菌ろ過した試料溶液を無菌バイアルビンに0.5 mLずつ分注した以外は同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-31-1、実施例1-31-2、実施例1-31-3、実施例1-31-4を調製した)。
【0145】
実施例1−32
実施例1−13で無菌ろ過した試料溶液を無菌バイアルビンに0.333 mLずつ分注した以外は同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-32-1、実施例1-32-2、実施例1-32-3、実施例1-32-4を調製した)。
【0146】
実施例1−33
実施例1−25で無菌ろ過した試料溶液を無菌バイアルビンに0.5 mLずつ分注した以外は同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-33-1、実施例1-33-2、実施例1-33-3、実施例1-33-4を調製した)。
【0147】
実施例1−34
実施例1−25で無菌ろ過した試料溶液を無菌バイアルビンに0.333 mLずつ分注した以外は同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-34-1、実施例1-34-2、実施例1-34-3、実施例1-34-4を調製した)。
【0148】
実施例1−35
実施例1−26で無菌ろ過した試料溶液を無菌バイアルビンに0.5 mLずつ分注した以外は同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-35-1、実施例1-35-2、実施例1-35-3、実施例1-35-4を調製した)。
【0149】
実施例1−36
実施例1−26で無菌ろ過した試料溶液を無菌バイアルビンに0.333 mLずつ分注した以外は同様の方法で、表1記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-36-1、実施例1-36-2、実施例1-36-3、実施例1-36-4を調製した)。
【0150】
実施例1−37
添加剤溶液調製
20 mLのメスフラスコにL-グルタミン酸ナトリウム一水和物2.5 mmolおよびD(-)-マンニトール2.5 mmolを量り入れ、注射用水を加え溶解して20 mLとした。
【0151】
試料溶液調製
上記添加剤溶液4 mLを15 mLのアシストチューブに入れ、参考例1で得られたTMD123Hを5 mL(可溶性トロンボモジュリンとして300 mg含有する)および50 mM NaClを含む20 mMリン酸塩緩衝液(pH7.3)を1 mL加え、混合攪拌した。この試料溶液をディスポシリンジ25 mL(テルモ製)を用い、孔径:0.22μm(MILLEX-GV、ミリポア製)のフィルターを付けてろ過滅菌し、無菌バイアルビン(3010、不二硝子製)に1 mLずつ分注した。
【0152】
凍結乾燥
ゴム栓半打栓→凍結乾燥→窒素充填→ゴム栓打栓→キャップ巻締めの順で以下の条件にて凍結乾燥工程を行い、可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(実施例1-37-1)。
【0153】
〔50 mM NaClを含む20 mMリン酸塩緩衝液(pH7.3)の調製方法〕
1000 mLビーカーにリン酸を2306 mg、塩化ナトリウムを2937 mg量りいれる。注射用水を750 mL加え撹拌溶解する。17%水酸化ナトリウム溶液(水酸化ナトリウム17.71 gを注射用水で溶かし、100 mLとした溶液)でpH7.3に調整し、注射用水を加え、1000 mLとする。
【0154】
〔凍結乾燥条件〕
予備冷却(15分かけて室温から15℃)→ 本冷却(2時間かけて15℃から-45 ℃)→ 保持(2時間 -45℃)→ 真空開始(18時間 -45℃)→ 昇温(20時間かけて-45℃から25℃)→ 保持(15時間25℃)→ 昇温(1時間かけて25℃から45℃)→ 保持(5時間45℃)→ 室温(2時間かけて45℃から25℃)→ 復圧窒素充填(-100 mmHgまで窒素で復圧)→ 打栓 → キャップ巻締め
【0155】
同様に、可溶性トロンボモジュリンの種類を変えて参考例1で得られたTMD123Hの代わりにTMD123HM(実施例1-37-2)、TME456H(実施例1-37-3)、およびTME456HM(実施例1-37-4)を用いて、それぞれ上記の方法にしたがって可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た。
【0156】
実施例1−38
L-グルタミン酸ナトリウム一水和物の代わりに、L-アスパラギン酸ナトリウム一水和物を量り入れる以外は実施例1-37と同様の方法で、可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(実施例1-37-1、1-37-2、1-37-3、1-37-4に準じて、可溶性トロンボモジュリンの種類を変え、それぞれ実施例1-38-1、実施例1-38-2、実施例1-38-3、実施例1-38-4を調製した)。
【0157】
実施例1−39
添加剤溶液調製
20 mLのメスフラスコにL-アスパラギン酸ナトリウム一水和物2.5 mmolおよびD(-)-マンニトール2.5 mmol、およびPolysorbate 80(5 mg)を量りいれ、注射用水を加え溶解して20 mLとした。
実施例1-1の添加剤溶液を上記とする以外は同様の方法で、可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、それぞれ実施例1-39-1、実施例1-39-2、実施例1-39-3、実施例1-39-4を調製した)。
【0158】
実施例1−40
添加剤溶液調製
20 mLのメスフラスコにL-グルタミン酸ナトリウム一水和物2.5 mmolおよびD(-)-マンニトール2.5 mmol、およびPolysorbate 80(5 mg)を量りいれ、注射用水を加え溶解して20 mLとした。
実施例1-1の添加剤溶液を上記とする以外は同様の方法で、可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例1-40-1を調製した)。
【0159】
実施例1−41
添加剤溶液調製
20 mLのメスフラスコにL-アスパラギン酸ナトリウム一水和物2.5 mmolおよびD(-)-マンニトール2.5 mmol、およびPoloxamer 188(5 mg)を量りいれ、注射用水を加え溶解して20 mLとした。
実施例1-1の添加剤溶液を上記とする以外は同様の方法で、可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例1-41-1を調製した)。
【0160】
実施例1−42
実施例1-13で得られた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにPolysorbate 80を0.1 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た。(前述と同様に、実施例1-42-1を調製した)。
【0161】
実施例1−43
実施例1-13で得られた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにベンジルアルコールを10 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た。(前述と同様に、実施例1-43-1を調製した)。
【0162】
実施例1−44
実施例1-13で得られた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにクロロブタノールを5 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た。(実施例1-44-1を調製した)。
【0163】
実施例1−45
実施例1-1で得られた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにPolysorbate 80を0.1 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た。(前述と同様に、それぞれ実施例1-45-1、実施例1-45-2、実施例1-45-3、実施例1-45-4を調製した)。
【0164】
実施例1−46
実施例1-1で得られた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにベンジルアルコールを10 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た。(前述と同様に、実施例1-46-1を調製した)。
【0165】
実施例1−47
実施例1-1で得られた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにクロロブタノールを5 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た。(前述と同様に、実施例1-47-を調製した)。
【0166】
実施例1−48
添加剤溶液調製
20 mLのメスフラスコにL-アスパラギン酸ナトリウム一水和物2.5 mmolおよびD(-)-マンニトール2.5 mmol、およびPolysorbate 80(2.5 mg)を量りいれ、注射用水を加え溶解して20 mLとした。
実施例1-1の添加剤溶液を上記とする以外は同様の方法で得た可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにPolysorbate 80を0.05 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせしめた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た。(前述と同様に、実施例1-48-1を調製した)。
【0167】
実施例1−49
添加剤溶液調製
20 mLのメスフラスコにL-アスパラギン酸ナトリウム一水和物2.5 mmolおよびD(-)-マンニトール2.5 mmol、およびPolysorbate 80(2.5 mg)を量りいれ、注射用水を加え溶解して20 mLとした。
実施例1-1の添加剤溶液を上記とする以外は同様の方法で得た可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにベンジルアルコールを5 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせしめた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た。(前述と同様に、実施例1-49-1を調製した)。
【0168】
実施例1−50
添加剤溶液調製
20 mLのメスフラスコにL-アスパラギン酸ナトリウム一水和物2.5 mmolおよびD(-)-マンニトール2.5 mmol、およびPolysorbate 80(2.5 mg)を量りいれ、注射用水を加え溶解して20 mLとした。
実施例1-1の添加剤溶液を上記とする以外は同様の方法で得た可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにクロロブタノールを2.5 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせしめた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た。(前述と同様に、実施例1-50-1を調製した)。
【0169】
実施例1−51
添加剤溶液調製
20 mLのメスフラスコにL-グルタミン酸ナトリウム一水和物2.5 mmolおよびD(-)-マンニトール2.5 mmol、およびPolysorbate 80(2.5 mg)を量りいれ、注射用水を加え溶解して20 mLとした。
実施例1-1の添加剤溶液を上記とする以外は同様の方法で得た可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにPolysorbate 80を0.05 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせしめた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た。(前述と同様に、実施例1-51-1を調製した)。
【0170】
実施例1−52
添加剤溶液調製
20 mLのメスフラスコにL-グルタミン酸ナトリウム一水和物2.5 mmolおよびD(-)-マンニトール2.5 mmol、およびPolysorbate 80(2.5 mg)を量りいれ、注射用水を加え溶解して20 mLとした。
実施例1-1の添加剤溶液を上記とする以外は同様の方法で得た可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにベンジルアルコールを5 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせしめた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た。(前述と同様に、実施例1-52-1を調製した)。
【0171】
実施例1−53
添加剤溶液調製
20 mLのメスフラスコにL-グルタミン酸ナトリウム一水和物2.5 mmolおよびD(-)-マンニトール2.5 mmol、およびPolysorbate 80(2.5 mg)を量りいれ、注射用水を加え溶解して20 mLとした。
実施例1-1の添加剤溶液を上記とする以外は同様の方法で得た可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにクロロブタノールを2.5 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせしめた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た。(前述と同様に、実施例1-53-1を調製した)。
【0172】
比較例1−1
20 mLのメスフラスコにL-アルギニン一塩酸塩20 mmolおよびスクロース20 mmolを量り入れ、注射用水を加え溶解して20 mLとした。ここから7.5 mLを15 mLのアシストチューブに入れ、参考例1で得られたTMD123Hを2.5 mL(可溶性トロンボモジュリンとして150 mg含有する)加え、混合攪拌した。この試料溶液をディスポシリンジ25 mL(テルモ製)を用い、孔径:0.22μm(MILLEX-GV、ミリポア製)のフィルターを付けてろ過滅菌し、特別に限定しない限りシリコーンコーティング未処理の無菌バイアルビン(3010、不二硝子製)に1 mLずつ分注した。
凍結乾燥
ゴム栓半打栓→凍結乾燥→窒素充填→ゴム栓打栓→キャップ巻締めの順で実施例1−1記載の条件にて凍結乾燥工程を行い、1容器中に可溶性トロンボモジュリン15 mg、L-アルギニン一塩酸塩0.75 mmol、スクロース0.75 mmolを含む組成物を得た。
【0173】
比較例1−2
20 mLのメスフラスコにL-アルギニン一塩酸塩20 mmolおよびスクロース20 mmolを量り入れ、注射用水を加え溶解して20 mLとした。ここから5 mLを15 mLのアシストチューブに入れ、参考例1で得られたTMD123Hを1.67 mL(可溶性トロンボモジュリンとして100 mg含有する)および注射用水3.33 mL加え、混合攪拌した以外は比較例1−1と同様の方法で、表1記載の組成物を得た。
【0174】
比較例1−3
15 mLのアシストチューブに、参考例1で得られたTMD123Hを5 mL(可溶性トロンボモジュリンとして300 mg含有する)および注射用水5 mL加え、混合攪拌した以外は比較例1−1と同様の方法で、表1記載の組成物を得た。
【0175】
比較例1−4
実施例1−1の添加剤溶液調製で、表1記載の添加剤を1.25 mmol量り入れる以外は同様の方法で、表1記載の組成物を得た。
【0176】
比較例1−5
実施例1−1の添加剤溶液調製で、表1記載の添加剤を1.25 mmol量り入れる以外は同様の方法で、表1記載の組成物を得た。
【0177】
比較例1−6
実施例1−1の添加剤溶液調製で、表1記載の添加剤を2.5 mmol量り入れる以外は同様の方法で、表1記載の組成物を得た。
【0178】
比較例1−7
実施例1−1の添加剤溶液調製で、表1記載の添加剤を2.5 mmol量り入れる以外は同様の方法で、表1記載の組成物を得た。
【0179】
比較例1−8
実施例1−1の添加剤溶液調製で、表1記載の添加剤を3.75 mmol量り入れる以外は同様の方法で、表1記載の組成物を得た。
【0180】
比較例1−9
実施例1−1の添加剤溶液調製で、表1記載の添加剤を3.75 mmol量り入れる以外は同様の方法で、表1記載の組成物を得た。
【0181】
比較例1−10
実施例1−1の添加剤溶液調製で、表1記載の添加剤を1.25 mmol量り入れる以外は同様の方法で、表1記載の組成物を得た。
【0182】
比較例1−11
実施例1−1の添加剤溶液調製で、表1記載の添加剤を2.5 mmol量り入れる以外は同様の方法で、表1記載の組成物を得た。
【0183】
比較例1−12
実施例1−1の添加剤溶液調製で、表1記載の添加剤を3.75 mmol量り入れる以外は同様の方法で、表1記載の組成物を得た。
【0184】
投与例1
実施例1-1-1で得た可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を、注射用水0.75 mLを加えて再溶解し、投与用組成物を得た。
投与例2
実施例1-1-2で得た可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を、注射用水0.75 mLを加えて再溶解し、投与用組成物を得た。
投与例3
実施例1-1-3で得た可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を、注射用水0.75 mLを加えて再溶解し、投与用組成物を得た。
【0185】
投与例4
実施例1-1-4で得た可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を、注射用水0.75 mLを加えて再溶解し、投与用組成物を得た。
投与例5
実施例1-2-1で得た可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を、注射用水1.0 mLを加えて再溶解し、投与用組成物を得た。
投与例6
実施例1-1-1で得た可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を、注射用水1.5 mLを加えて再溶解し、投与用組成物を得た。
投与例7
実施例1-1-1で得た可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を、注射用水0.5 mLを加えて再溶解し、投与用組成物を得た。
【0186】
比較投与例1
生理食塩液を投与用組成物とした。
比較投与例2
塩化ナトリウム9.00 gを注射用水に溶解して100 mLとし、投与用組成物を得た。
比較投与例3
比較例1−1で得た組成物を、注射用水1.0 mLを加えて再溶解し、投与用組成物を得た。
比較投与例4
比較例1−2で得た組成物を、注射用水2.0 mLを加えて再溶解し、投与用組成物を得た。
比較投与例5
比較例1−3で得た組成物を、注射用水1.0 mLを加えて再溶解し、投与用組成物を得た。
【0187】
実験例1
疼痛試験
表2に示された投与例又は比較投与例の投与溶液の疼痛の程度をQuartaroli Mらの方法(J. Pharmacol. Exp. Ther., 290(1):158-69, 1999)に準じて評価した。CDマウス(25-30 g、チャールスリバー)を一晩絶食させ12群に分けた後、透明個別ケージに15分入れて馴化させた。各投与例および比較投与例の投与溶液を左後肢に20μL皮下投与した。投与後直ちに個別ケージに戻し、5分間に左後肢の持ち上げ時間および投与部位をなめる時間をトータルでカウントし疼痛の指標とした。実験は1匹ずつ行い、1群n=6匹で平均時間を求めた。結果を表2に示す。
【0188】
実験例2
実験例1で用いた各投与溶液の浸透圧比を求めた。
浸透圧比の求め方
浸透圧比は、生理食塩液の与えるオスモル濃度に対する試料溶液のオスモル濃度の比と定義(第14改正日本薬局方、浸透圧測定法)され、生理食塩液(0.900 g/100mL)のオスモル濃度は一定(286mOsm)であることから次式で計算した〔浸透圧比=試料溶液のオスモル濃度(mOsm)/286(mOsm)〕。
なお、オスモル濃度は、第14改正日本薬局方の浸透圧測定法にしたがって求めた。すなわち、浸透圧測定装置(VOGEL社製OM802-D)を用いて、以下の方法に従ってあらかじめ二点校正法により装置の校正を行い、装置の適合性を確認したのちに試料溶液のオスモル濃度を測定した。
【0189】
装置の校正法
注射用水(大塚製薬製)でゼロ補正を行い、次に装置校正用オスモル濃度標準液200mOsmおよび400mOsmで装置の校正を行った。
〔装置校正用オスモル濃度標準液200mOsmの調製〕
塩化ナトリウム(和光純薬)を600℃で50分間乾燥し、デシケーター(シリカゲル)中で放冷する。この塩化ナトリウム0.626 gを正確に量り、注射用水100 gを加えて溶かした。
〔装置用オスモル濃度標準液400mOsmの調製〕
塩化ナトリウム(和光純薬)を600℃で50分間乾燥し、デシケーター(シリカゲル)中で放冷する。この塩化ナトリウム1.270 gを正確に量り、注射用水100 gを加えて溶かした。
【0190】
装置の適合性
300mOsm標準液(VOGEL社製)を6回繰り返し測定を行って、6回の相対標準偏差が2%以内であり、測定値が291〜309mOsmであることを確認した。
【0191】
試料溶液の測定
各投与溶液を専用サンプルカップ(VOGEL社製)に採取し測定を行った。なお、比較投与例2,3,4で得られた投与溶液は注射用水(大塚製薬製)でそれぞれ10,10,3倍に希釈して、この液につき同様な測定を行い、得られたオスモル濃度を10,10,3倍した。表2にその結果を示した。
【0192】
表2から明らかなように、投与例1から7の各投与溶液は、マウスにおいて疼痛時間は非常に短く、比較投与例1の生理食塩液とほぼ同等であり、疼痛の程度は大きいものではないことがわかった。比較投与例2から4の投与溶液は、疼痛時間が長いものであり、従って疼痛の程度が大きく好ましくないことが確認された。実験例2の浸透圧比を調べてみたところ表2で示したとおり疼痛時間の短い組成物は浸透圧比が1付近にあり、顕著に疼痛時間が長い組成物は浸透圧比が高いまたは低いものであった。
【0193】
表2から明らかなように、実施例で得られた可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を0.1 mLから2 mLの溶解用水溶液に溶解したときの浸透圧比がほぼ1となり、該製剤は例えば筋肉内投与や皮下投与方法の投与方法に採用できることが明確となった。
【0194】
【表2】

【0195】
実験例3
以下に、実施例で得られた可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤および比較例で得た組成物を60℃の恒温器に保存し、2週間目に該製剤を再溶解し、その投与用薬剤の会合体生成率(%)を測定した。
【0196】
会合体生成率の測定法
可溶性トロンボモジュリンの会合体生成率をHPLC分析ゲルろ過法により測定した。つまり、移動相は0.1 mmol/L硫酸ナトリウムを含む50 mmol/Lリン酸塩緩衝液pH7.3に調製したものを用い、カラムはTSK-gel 3000SWXL(東ソー株式会社)を用い、カラム温度は25℃付近の一定温度で行った。流量は、可溶性トロンボモジュリンの保持時間が9分となるように調整した。サンプル溶液は、可溶性トロンボモジュリンの含有量が1 mg/mLとなるように0.1 mmol/L硫酸ナトリウムを含む50 mmol/Lリン酸塩緩衝液の移動相を加えて希釈し調製した。この液0.15 mLを注入した。紫外可視吸光光度計(測定波長:280 nm)で可溶性トロンボモジュリンのピーク面積(A)および約7から8分に現れる会合体のピーク面積(B)を求め、100×B/(A+B)より会合体生成率(%)を算出した。表3にその結果を示した。
【0197】
表3から明らかなように、添加剤を加えない場合(比較例1−3)には会合体の生成率は高く、比較例1−4から1−11のように単独で添加する場合に比べて、実施例のように2種の添加剤を組み合わせることにより、極めて高い安定性が達成されという顕著な相乗効果が認められた。また、実施例1−19から1−38で得られた可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤、および実施例1−1から1−18で得られたTME456HまたはTME456HMを含有する可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤についても表3と同様に会合体の生成率を抑える結果が得られた。
【0198】
従って、本発明の実施例は会合体の生成率が低く、かつ投与するために溶解した場合に疼痛が少ないものであることが確認された。
【0199】
【表3】

【0200】
実験例4
実施例1-39-1から1-53-1で得られた可溶性トロンボモジュリン(TMD123H)高濃度含有製剤またはキット製剤につき、可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製し、実験例2又は実験例3と同様の方法で浸透圧比および会合体生成率を求め、表4にその結果を示した。
【0201】
可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の調製法
実施例1-39-1から1-41-1で得られた可溶性トロンボモジュリンがTMD123Hである高濃度含有製剤について、注射用水1 mLを加えて再溶解し、可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を得た。また、実施例1-42-1から1-53-1で得られた可溶性トロンボモジュリンがTMD123Hである高濃度含有製剤のキット製剤について、ディスポシリンジ1 mL(テルモ製)を用いて溶解用水溶液1 mLを吸引し、バイアルビンに注入して再溶解し、可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を得た。
【0202】
表4の結果から明らかなように、実施例で得られた可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の浸透圧比がほぼ1となり、会合体の生成率を抑える結果が得られた。
【0203】
また、実施例1-39-2から1-39-4で得られた可溶性トロンボモジュリンがTTMD123HMまたはTME456HまたはTME456HMを含有する可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤またはキット製剤についても、表4と同様に浸透圧比がほぼ1となり、さらに会合体の生成率を抑える結果が得られた。
【0204】
従って、本発明の実施例は会合体の生成率が低く、かつ投与するために溶解した場合に疼痛が少なく、例えば筋肉内投与や皮下投与方法の投与方法に採用できることが確認された。
【0205】
【表4】

【0206】
実施例2−1
添加剤溶液調製
20 mLのメスフラスコに、Polysorbate 80(5 mg)を量り入れ(表5の組成の欄に記載した添加量の50倍量にあたる)、注射用水を加え溶解して20 mLとした。
試料溶液調製
上記添加剤溶液4 mLを15 mLのアシストチューブに入れ、参考例1で得られたTMD123H(可溶性トロンボモジュリン濃度:60 mg/mL)5 mLを同アシストチューブに入れ(可溶性トロンボモジュリンとして表5の添加量の欄に記載の10倍量にあたる)、さらに注射用水を加え合わせて10 mLとし、混合攪拌した。この試料溶液をディスポシリンジ25 mL(テルモ製)を用い、孔径:0.22μm(MILLEX-GV、ミリポア製)のフィルターを付けてろ過滅菌し、特別に限定しない限りシリコーンコーティング未処理の無菌バイアルビン(容量3 mL、18×33 mm、口内径9.1 mm、ナミコス製)に1 mLずつ分注した。
【0207】
凍結乾燥工程
ゴム栓(V5-F8、大協精工製)半打栓→凍結乾燥→窒素充填→ゴム栓打栓→キャップ巻締めの順で以下の条件にて凍結乾燥工程を行い、1容器中に可溶性トロンボモジュリン30 mg、およびPolysorbate 80(0.1 mg)を含む可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(実施例2-1-1)。
【0208】
〔凍結乾燥条件〕
予備冷却(15分かけて室温から15℃)→ 本冷却(2時間かけて15℃から-45℃)→ 保持(2時間 -45℃)→ 真空開始(18時間 -45℃) → 昇温(20時間かけて-45℃から25℃)→ 保持(15時間25℃)→ 昇温(1時間かけて25℃から45℃)→ 保持(5時間45℃)→ 室温(2時間かけて45℃から25℃)→ 復圧窒素充填(-100 mmHgまで窒素で復圧)→ 打栓 → キャップ巻締め
【0209】
〔溶解時の減圧度の確認〕
あらかじめ、空のバイアルビンを-100 mmHgでゴム栓打栓、キャップ巻締めを行い、このバイアルビンに注射用水1 mLを注入した後、U字型真空計(U-400、岡野製作所製)で減圧度を確認したところほぼ大気圧となることを確認した。
【0210】
実施例2−1−2、実施例2−1−3、実施例2−1−4
同様に、可溶性トロンボモジュリンの種類を変えて実施例2-1-1のTMD123Hの代わりにTMD123HM(実施例2-1-2)、TME456H(実施例2-1-3)、およびTME456HM(実施例2-1-4)を用いて、それぞれ上記の方法にしたがって可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た。
【0211】
実施例2−2
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(実施例2-1-1に準じて、実施例2-2-1を調製した)。
実施例2−3
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-3-1を調製した)。
実施例2−4
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-4-1を調製した)。
実施例2−5
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-5-1を調製した)。
【0212】
実施例2−6
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-6-1を調製した)。
実施例2−7
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-7-1を調製した)。
実施例2−8
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-8-1を調製した)。
実施例2−9
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-9-1を調製した)。
【0213】
実施例2−10
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-10-1を調製した)。
実施例2−11
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-11-1を調製した)。
実施例2−12
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-12-1を調製した)。
実施例2−13
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-13-1を調製した)。
【0214】
実施例2−14
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-14-1を調製した)。
実施例2−15
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-15-1を調製した)。
実施例2−16
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-16-1を調製した)。
実施例2−17
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-17-1を調製した)。
【0215】
実施例2−18
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-18-1を調製した)。
実施例2−19
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-19-1を調製した)。
実施例2−20
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-20-1を調製した)。
実施例2−21
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-21-1を調製した)。
実施例2−22
実施例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-22-1を調製した)。
【0216】
実施例2−23
バイアルビンを0.1w/v%のシリコーンコーティングバイアルビン(3 mL、18×33 mm、口内径9.1 mm、ナミコス製)とする以外は実施例2-18と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-23-1を調製した)。
【0217】
実施例2−24
バイアルビンを0.5 w/v%のシリコーンコーティングバイアルビン(3 mL、18×33 mm、口内径9.1 mm、ナミコス製)とする以外は実施例2-18と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-24-1を調製した)。
【0218】
実施例2−25
バイアルビンを1.0 w/v%のシリコーンコーティングバイアルビン(3 mL、18×33 mm、口内径9.1 mm、ナミコス製)とする以外は実施例2-18と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-25-1を調製した)。
【0219】
実施例2−26
バイアルビンを2.0 w/v%のシリコーンコーティングバイアルビン(3 mL、18×33 mm、口内径9.1 mm、ナミコス製)とする以外は実施例2-18と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-26-1を調製した)。
【0220】
実施例2−27
実施例2-18と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-27-1を調製した)。また、下記の方法により、該製剤を再溶解する際の減圧度が-200 mmHgとなるように減圧度を初期減圧度まで減圧した。
真空ポンプ(LV-140、日東工器株式会社製)の吸引に際して、U字型真空計(U-400、岡野製作所製)にて減圧度を確認した。あらかじめ、空のバイアルビンにゴム栓とキャップをし、ポンプに接続した注射針を刺し、真空ポンプのスイッチを入れて容器内を減圧し(初期減圧度)、注射用水1 mLをバイアル内に注入した直後の減圧度が-200 mmHgとなる初期減圧度を求めた。各製剤を初期減圧度になるまで減圧した。
【0221】
実施例2−28
バイアルビンを2.0 w/v%のシリコーンコーティングバイアルビン(3 mL、18×33 mm、口内径9.1 mm、ナミコス製)とする以外は実施例2-18と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-28-1を調製した)。また、実施例2-27と同様に、該製剤を再溶解する際の減圧度が-200 mmHgとなるように初期減圧度を調整した。
【0222】
実施例2−29
バイアルビンを2.0 w/v%のシリコーンコーティングバイアルビン(3 mL、18×33 mm、口内径9.1 mm、ナミコス製)とする以外は実施例2-11と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-29-1を調製した)。また、実施例2-27と同様に、該製剤を再溶解する際の減圧度が-200 mmHgとなるように初期減圧度を調整した。
【0223】
実施例2−30
バイアルビンを2.0w/v%のシリコーンコーティングバイアルビン(3 mL、18×33 mm、口内径 9.1mm、ナミコス製)とする以外は実施例2-15と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤を得た(前述と同様に、実施例2-30-1を調製した)。また、実施例2-27と同様に、該製剤を再溶解する際の減圧度が-200 mmHgとなるように初期減圧度を調整した。
【0224】
実施例2−31
実施例2-14の、添加剤溶液でPolysorbate 80を添加しない以外は同様の方法で得た表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにベンジルアルコールを10 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせしめた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た(前述と同様に、実施例2-31-1を調製した)。
【0225】
実施例2−32
実施例2-14の、添加剤溶液でPolysorbate 80を添加しない以外は同様の方法で得た表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにベンジルアルコールを5 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせしめた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た(前述と同様に、実施例2-32-1を調製した)。
【0226】
実施例2−33
実施例2-14の、添加剤溶液でPolysorbate 80を添加しない以外は同様の方法で得た表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにクロロブタノールを5 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせしめた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た(前述と同様に、実施例2-33-1を調製した)。
【0227】
実施例2−34
実施例2-14の、添加剤溶液でPolysorbate 80を添加しない以外は同様の方法で得た表5の組成の欄に記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤と、溶解用水溶液として注射用水1 mLにクロロブタノールを2.5 mg含有する溶液を1 mL無菌的に充填してなるアンプルとを組み合わせしめた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤のキット製剤を得た(前述と同様に、実施例2-34-1を調製した)。
【0228】
実施例2−35
実施例2-1の試料溶液調製で試料溶液を無菌バイアルビンに分注する代わりに2室式シリンジ(アルテ製)の1室に1 mLずつ分注した。これらを、ミドル栓半打栓→凍結乾燥→窒素充填→ミドル栓打栓の順で凍結乾燥工程(凍結乾燥条件は実施例2−1と同様)を行った。次にもう1室側に注射用水1.0 mLを無菌的に充填し、ゴム栓で封印したのち、プランジャーロッドを取りつけ可溶性トロンボモジュリン(TMD123H)高濃度含有製剤のキット製剤(実施例2-35-1)を得た。
【0229】
比較例2−1
試料溶液調製
参考例1で得られたTMD123H(可溶性トロンボモジュリン濃度:60 mg/mL)を1.67 mL(可溶性トロンボモジュリンとして表5の添加量の欄に記載の10倍量にあたる100 mgを含有する)を15 mLアシストチューブに入れ、さらに注射用水を加え合わせて10 mLとし、混合攪拌した。この試料溶液をディスポシリンジ25 mL(テルモ製)を用い、孔径:0.22μm(MILLEX-GV、ミリポア製)のフィルターを付けてろ過滅菌し、シリコーンコーティング未処理の無菌バイアルビン(容量3 mL、18×33 mm、口内径9.1 mm、ナミコス製)に1 mLずつ分注した。
【0230】
凍結乾燥工程
ゴム栓半打栓(V5-F8、大協精工製)→凍結乾燥→窒素充填→ゴム栓打栓→キャップ巻締めの順で実施例2−1記載の条件にて凍結乾燥工程を行い、表5の組成の欄に記載の組成物を得た。
【0231】
比較例2−2
比較例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の組成物を得た。
比較例2−3
比較例2−1と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の組成物を得た。(比較例2-3-1)
同様に、可溶性トロンボモジュリンの種類を変えて比較例2-3-1のTMD123Hの代わりにTMD123HM(比較例2-3-2)、TME456H(比較例2-3-3)、およびTME456HM(比較例2-3-4)を用いて、それぞれ上記の方法にしたがって組成物を得た。
【0232】
比較例2−4
添加剤溶液調製
20 mLのメスフラスコに、L-グルタミン酸ナトリウム一水和物500 mg、D(-)-マンニトール500 mgを量り入れ(表5の組成の欄に記載した添加剤量のそれぞれ50倍量にあたる)、注射用水を加え溶解して20 mLとした。
試料溶液調製
上記添加剤溶液4 mLを15 mLのアシストチューブに入れ、参考例1で得られたTMD123H(可溶性トロンボモジュリン濃度:60 mg/mL)を5 mL(可溶性トロンボモジュリンとして表5の添加量の欄に記載の10倍量にあたる300 mgを含有する)を同アシストチューブに入れ、さらに注射用水を加え合わせて10 mLとし、混合攪拌した。この試料溶液をディスポシリンジ25 mL(テルモ製)を用い、孔径:0.22μm(MILLEX-GV、ミリポア製)のフィルターを付けてろ過滅菌し、シリコーンコーティング未処理の無菌バイアルビン(容量3 mL、18×33 mm、口内径9.1 mm、ナミコス製)に1 mLずつ分注した。
【0233】
凍結乾燥工程
ゴム栓半打栓(V5-F8、大協精工製)→凍結乾燥→窒素充填→ゴム栓打栓→キャップ巻締めの順で実施例2−1記載の条件にて凍結乾燥工程を行い、表5の組成の欄に記載の組成物を得た。
【0234】
比較例2−5
比較例2−4と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の組成物を得た。
比較例2−6
比較例2−4と同様の方法で、表5の組成の欄に記載の組成物を得た。
【0235】
実験例4
表5に示す実施例2-1から実施例2-34で得られた可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤またはキット製剤、および比較例2-1から比較例2-6で得られた組成物を表5の溶解用水溶液の欄に記載した溶解用水溶液1 mLで再溶解し、その時の起泡抑制効果を下記の濁度測定により透過率で求め、その代表的な結果を表5に示した。
【0236】
濁度の測定方法
測定試料となる凍結乾燥製剤のゴム栓中央に、溶解用水溶液1 mLを吸引した注射用シリンジ(ツベルクリン用1 mL、注射針:26G 0.45×13 mm、テルモ製)を刺し、0.1 mL/秒の速度で溶解用水溶液を凍結乾燥物中央に注入する。注射用シリンジを刺したまま静置する。注入終了の30秒後にバイアル瓶を逆さまにしてシリンジで可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を約0.8 mL吸引する。この吸引した溶解液を石英セル(ブラックセル、光路長:10 mm、光路幅:2 mm、ジーエルサイエンス製)にセル壁を伝わらせて静かに注ぐ。素早く紫外可視分光光度計(UV-2500PC、島津製作所製)を用いて、650 nmの透過率(事前に溶解用水溶液のみで650 nmにおける透過率100%を調整しておく)を測定する。凍乾物溶解液をバイアル瓶から吸引して透過率を測定するまでの時間は15秒間とする。なお、特別に記載しない限り、透過率は3回の測定値の平均として表される。
【0237】
【表5】




【0238】
表中の記号の説明
*1:溶解用水溶液
W;注射用蒸留水1mL
Be10;注射用蒸留水1mL + ベンジルアルコール 10mg
Be05;注射用蒸留水1mL + ベンジルアルコール 5mg
Ch50;注射用蒸留水1mL + クロロブタノール 5mg
Ch25;注射用蒸留水1mL + クロロブタノール 2.5mg
*2:シリコーンコーティング
−;未処理のバイアル
0.1%;0.1w/v%のシリコーンコーティングバイアル
0.5%;0.5w/v%のシリコーンコーティングバイアル
1.0%;1.0w/v%のシリコーンコーティングバイアル
2.0%;2.0w/v%のシリコーンコーティングバイアル
*3:減圧度
−;溶解の際に実質的に減圧状態となっていない
+;溶解の際に-200mmHgの減圧状態となっている
【0239】
表5の透過率(%)の欄に示した結果から、可溶性トロンボモジュリンが10 mg/mL以上の高濃度製剤において非イオン性界面活性剤を含有する場合には、比較例2-3-1に示した非イオン性界面活性剤を含有しない場合及び陰イオン性界面活性剤(比較例2-5)や陽イオン性界面活性剤(比較例2-6)を添加した場合と比べて透過率が高く、気泡の発生を抑制していることが確認された。
【0240】
なお、比較例2-3-2から比較例2-3-4におけるTMD123HM、TME456HまたはTME456HMを含有する各凍結乾燥組成物の透過率は、比較例2-3-1と同程度であった。
【0241】
また、実施例2-35-1で得た2室式シリンジキット製剤については、プランジャーロッドを半打栓位置まで押し込み(約0.1 mL/秒の一定速度)、凍結乾燥物のある1室に注射用水を注入後から30秒後に、さらにプランジャーロッドを押し込み、可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を石英セルにセル壁を伝わらせて静かに注ぎ、前述の方法に従い透過率を求めたが、表5と同様に高い透過率を示した。
【0242】
以上より、可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液に起泡抑制添加剤として、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールを含有した製剤が気泡の発生を抑制することを確認し、また、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁がシリコーンでコーティングされていること、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器内圧力が減圧状態であることも気泡の発生を抑制することが確認された。
【0243】
実験例5
表1に示す実施例1-1-1から実施例1-38-1で得られた可溶性トロンボモジュリン(TMD123H)含有凍結乾燥製剤と、表6に示す溶解用水溶液と組み合わせたキット製剤を作り、上記実験例4と同様の方法で、起泡抑制効果を確認したところ、気泡の発生を抑制していることが確認された。
【0244】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0245】
本発明によると、高濃度の可溶性トロンボモジュリン含有溶液において生ずる起泡を抑制することができ、臨床上有用である。また、そのような起泡の発生を抑制することのできる可溶性トロンボモジュリン高濃度含有製剤およびキット製剤を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤であって、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が10mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製されるためのものであって、且つ(a)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられているか、および/または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤の溶解用水溶液中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていること、(b)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁がシリコーンでコーティングされていること、または(c)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器内圧力が減圧状態であること、の少なくともいずれかを特徴とする可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤。
【請求項2】
該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤であって、該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が10mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製されるためのものであって、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられているか、および/または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤の溶解用水溶液中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていることを特徴とする請求項1に記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤。
【請求項3】
該可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液が、25mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン濃度であることを特徴とする請求項1または2に記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤。
【請求項4】
可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤が、可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤である請求項1−3のいずれかに記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤。
【請求項5】
該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、(1)グルタミン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、(2)グルタミン酸またはその塩、およびリシンまたはその塩の2種を含む、(3)グルタミン酸またはその塩、およびアスパラギン酸またはその塩の2種を含む、または(4)アスパラギン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、のいずれかの組み合わせを含有せしめ、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、0.1mLから2mLの溶解用水溶液に溶解し得て、10mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製でき、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であることを特徴とする請求項1−4のいずれかに記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤。
【請求項6】
該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、(1)グルタミン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、(2)グルタミン酸またはその塩、およびリシンまたはその塩の2種を含む、(3)グルタミン酸またはその塩、およびアスパラギン酸またはその塩の2種を含む、または(4)アスパラギン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、のいずれかの組み合わせを含有せしめ、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、0.1mLから2mLの溶解用水溶液に溶解し得て、10mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製でき、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であり、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていることを特徴とする請求項1−4のいずれかに記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤。
【請求項7】
該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、(1)グルタミン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、(2)グルタミン酸またはその塩、およびリシンまたはその塩の2種を含む、(3)グルタミン酸またはその塩、およびアスパラギン酸またはその塩の2種を含む、または(4)アスパラギン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、のいずれかの組み合わせを含有せしめ、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、0.1mLから2mLの溶解用水溶液に溶解し得て、10mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製でき、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であることを特徴とし、さらに(a)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤の溶解用水溶液中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていること、(b)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁がシリコーンでコーティングされていること、または(c)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器内圧力が減圧状態であること、の少なくともいずれかを特徴とする請求項1−4のいずれかに記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤。
【請求項8】
該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、(1)グルタミン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、(2)グルタミン酸またはその塩、およびリシンまたはその塩の2種を含む、(3)グルタミン酸またはその塩、およびアスパラギン酸またはその塩の2種を含む、または(4)アスパラギン酸またはその塩、およびマンニトールの2種を含む、のいずれかの組み合わせを含有せしめ、且つ該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤が、0.1mLから2mLの溶解用水溶液に溶解し得て、10mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製でき、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であり、且つ(a)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられており、さらに該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤の溶解用水溶液中に、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在せしめられていること、(b)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器の内壁がシリコーンでコーティングされていること、または(c)該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解する際の容器内圧力が減圧状態であること、の少なくともいずれかを特徴とする請求項1−4のいずれかに記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤。
【請求項9】
該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤の溶解用水溶液が、0.1mLから2mLであり、その溶解時の浸透圧比が0.5から2.0であることを特徴とする請求項1−8のいずれかに記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤。
【請求項10】
該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、またはそのキット製剤が、皮下または筋肉内注射用の製剤であることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤。
【請求項11】
非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油からなる群より選ばれるいずれか少なくとも一種の化合物であることを特徴とする請求項1−10のいずれかに記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤。
【請求項12】
該非イオン性界面活性剤の存在量が、可溶性トロンボモジュリン10mgに対して0.01mg以上であることを特徴とする請求項1−11のいずれかに記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤。
【請求項13】
該可溶性トロンボモジュリンが、水に30mg/mL以上の濃度として溶解可能なペプチドであることを特徴とする請求項1−12のいずれかに記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤。
【請求項14】
該可溶性トロンボモジュリンが、以下の配列の1つを含有するペプチドであり、トロンビンのプロテインCの活性化を促進する作用を有し、且つ界面活性剤の非存在下で溶解し得るものであることを特徴とする請求項1−13のいずれかに記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、または該可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤とその溶解用水溶液とを組み合わせしめた製剤。
i)配列表配列番号3の19−132のアミノ酸配列。
ii)配列表配列番号7の19−132のアミノ酸配列。
iii)上記i)、またはii)のアミノ酸配列に、少なくとも1つ以上のアミノ酸の付加、欠失、または置換されたアミノ酸配列。
【請求項15】
該可溶性トロンボモジュリンが、配列表配列番号4または8の55−396の塩基配列の相補DNAに対してストリンジェントな条件下にてハイブリダイズできるDNAによりコードされ得るペプチドであり、トロンビンのプロテインCの活性化を促進する作用を有し、且つ界面活性剤の非存在下で溶解し得ることのできることを特徴とする請求項1−13のいずれかに記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、またはそのキット製剤。
【請求項16】
可溶性トロンボモジュリンが、以下の配列の1つを含有するペプチドであり、トロンビンのプロテインCの活性化を促進する作用を有し、且つ界面活性剤の非存在下で溶解し得るものであることを特徴とする請求項1−13のいずれかに記載の可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤、またはそのキット製剤。
i)配列表配列番号1の19−516のアミノ酸配列。
ii)配列表配列番号5の19−516のアミノ酸配列。
iii)上記i)、またはii)のアミノ酸配列に、少なくとも1つ以上のアミノ酸の付加、欠失、または置換されたアミノ酸配列。
【請求項17】
有効成分として可溶性トロンボモジュリンを含有する可溶性トロンボモジュリン含有凍結乾燥製剤を溶解して、20mg/mL以上の可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液を調製するに際して用いられるものであって、非イオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、クロロブタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を有効成分とする可溶性トロンボモジュリン高濃度含有溶液の起泡抑制剤。

【公開番号】特開2012−56960(P2012−56960A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258534(P2011−258534)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【分割の表示】特願2008−333404(P2008−333404)の分割
【原出願日】平成15年1月17日(2003.1.17)
【出願人】(303046299)旭化成ファーマ株式会社 (105)
【Fターム(参考)】