可視・近赤外分光測定法により化学パルプのカッパー価を測定する方法
電磁スペクトルの可視領域及び近赤外領域を有効範囲とする範囲に亘って得られる分光技術の助けにより、化学パルプの残留リグニン含量のようなセルロース繊維性能を測定する方法であって、該製法ラインから試料を得、いくらかの過剰水分を最低限に除去し、該試料中の繊維を大ビーム光源に曝し、所望により該試料を一定速度で動かし、所定の時間にわたり該スペクトルデータを取得し、そしてカッパー価を求めるために該スペクトルを予め求められた校正と相関させる諸工程を含む前記の測定方法。或いは、プロセス制御用の配置として、本発明は、クラフト蒸解及び漂白処理の種々な位置に沿って、例えば、ドクターブレードのすぐ前に位置する、1)ドラム状褐色紙料洗浄機において、そして2)漂白装置デッカ群の至る所で、励起光源及び光ファイバー探触子を装着することを含み、該探触子は光ファイバーケーブルを経由して迅速走査分光計と共にコンピュータに結合され、該コンピュータはスペクトル取得を順番付け、該スペクトルを予め求められた校正と相関させ、そして該結果を記録する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視及び近赤外の組合せスペクトル領域における速走査分光計の助けにより、繊維性能、特に化学パルプの残留リグニン含量を測定する新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
急速に変化する完成紙料から得られる化学パルプのカッパー価の正確なオンライン測定は、化学パルプ製造業者にとって依然として未解決の問題のままである。種々の場所からの製材工場残留チップを使用する微粉砕機及び特殊等級を製造する微粉砕機は、種々の供給業者からのチップ品質のばらつきの故に特に影響される。この問題は、入手出来る市場木材チップの不足、及びパルプ工場並びに製紙工場がそれらの製造設備から地理的に離れたチップを買わざるを得ないという事実により、現在更により一般的である。大抵は、等級変化中に又は特性の悪いチップ種混合物から製造されたパルプは、各木材チップ種が異なって蒸解されるので、高い割合の不適切に蒸解されたパルプの故に、格下げされなければならない。カッパー価の迅速な測定が出来る分析装置は、工場がカッパー価変動、漂白コスト、及び格外パルプ量を顕著に減少させるのを助けることが出来るだろう。
【0003】
現在の蒸解釜制御算法は、パルプ化操作を制御するためにH−ファクタ[1]と併せてブロウライン・カッパー価を利用している。一般的に、カッパー価測定は、蒸解の種々の帯域で蒸解釜に装填される液体における調整を可能にするフィードバック・パラメーターとして、更により決定的には、漂白プラントの制御用フィードフォーワード・パラメーターとして必要である。より高いカッパー価パルプは、特に酸素・脱リグニン段階中に、目的の最終パルプ白色度に到達するために、漂白用化学薬品のより高い装填を必要とする。
【0004】
パルプ中残留リグニン含量の測定は、沃化カリウムによる残留過マンガン酸塩の逆滴定を使用したTAPPI標準法T236[2]により、実験室分析として時間ベースで伝統的に行われてきた。しかしながら、該方法は広範囲の作業を必要とし、試料毎に30〜60分かかる可能性がある。Jiang等[3]は、自動複数試料滴定装置を用いて該滴定方法を半自動化することにより、この標準技術について改良した。つい最近、Chai等[4]は、過マンガン酸カリウム滴定の正確性を改良するために急速酸性化の使用を提案した。二酸化マンガン沈澱が防がれ、従ってMnO2からのスペクトル干渉なしに残留過マンガン酸塩を分析することが出来、紫外・可視分光測定技術の方が滴定よりも正確となるのである。しかしながら、この方法は依然として、試料調製、多数の試薬、及び完結するのに3〜5分かかる化学反応を必要とするのである。該時間遅延により、蒸解釜のフィードバック制御及び漂白プラントのフィードフォーワード制御に対するこの方法の実用性は制限される。
【0005】
現在の市販カッパー価分析装置は、10〜20分の程度の頻度でパルプ試料を分析するために、反射率、散乱、透過率、及びコンシステンシー測定[5−6]の組合せと共に、紫外線を使用している。これらの方法(STFI、Metso、及びBTG)は透明なセル/室を使用し、それを通して既知コンシステンシー(0.1%〜0.4%)に希釈された徹底洗浄パルプを循環させ、それにより1分以上の時間に亘っていくつかの所定紫外又は可視波長で反射光及び透過光を収集し、コンシステンシーに強く依存する反射強度の変化の償いをするようにコンシステンシー訂正カッパー価がこれらの読取りから求められる。残留リグニンを測定するためにUVセンサーが使用されるが、コンシステンシー測定には可視光が使用される。典型的な日常の操作手順は、過剰の残留液体を除去するために大規模な洗浄を必要とする。体積を概算するために次に希釈が行われ、該パルプスラリーが循環され、コンシステンシー測定用に別個の検出器が使用される。もし該コンシステンシーが望ましい範囲にないならば、該希釈が調整され、次に該パルプ混合物が又再測定される。望ましいコンシステンシーに到達するとすぐに、カッパー測定がなされる。該原理は簡単であるけれども、パルプのコンシステンシー及び組成における変化により生ずる障害の償いをすることなしにリグニン吸収を正確に測定することは出来ないので、該実際の測定は複雑である。この問題は、比較的狭い範囲の試料採取条件に有効な2点校正を確立することによって対処することが出来る。校正は、所定の最適コンシステンシーにおける3種の測定間の関係を特徴付けることにより準備され、漂白プラント試料[6]、単独種完成紙料、及び一定組成の安定で特性の明らかな混合完成紙料に対して満足であると報告されている。
【0006】
現在市販のカッパー分析装置は、未知の組成又は急速に変化する組成の完成紙料に対して正確な結果を提供しない[7]。チップの組成が常に変化している場合、測定器は組成変化に追随するように常に再校正されなければならない。2点校正及び試料採取システムの更新は、計測管理作業員からの一定の注意を必要とする。更に、追加された試料調製工程のために、処理能力は比較的低く、各位置に対して時間当たりたった約2個の試料という処理能力を与えるに過ぎない。
【0007】
木材及びパルプの試料を特徴付けるために、リグニン化学者はほぼ50年間振動分光法を使用してきた。Marton及びSarks[8]は、内標準として1510cm−1におけるリグニン・ピーク及び1100cm−1におけるセルロース・ピークの下の面積を使用することによりパルプのカッパー価を測定した。リグニン/セルロース・ピーク面積比は、坪量の変化に感受性でないことが分った。同様に、Berben等[9]は、未漂白パルプ中のリグニン含量を測定するために赤外拡散反射を利用した方法を開発した。1510cm−1における帯域の面積と多種多様の種に対するカッパー価との間には、組合わせられたあらゆる種に対して線状関係が見出されている。しかしながら、これらの方法は乾燥パルプ試料を使用しており、プロセス制御用のカッパー価オンライン処理分析の影響を受け易くない。
【0008】
米国特許第4,743,339号[10]は、6300nm〜7800nmのスペクトル範囲におけるFT−IRを使用して、カッパー価を含むパルプ性能を測定する方法を説明している。この方法において、200の共加算平均値で得られたスペクトルは、水含量及び繊維含量(コンシステンシー)を最初に測定することにより訂正された基線である必要がある。コンシステンシーは正確な基線訂正を提供するように測定されなければならないので、この方法はコンシステンシーに極めて感受性である。この方法のもう一つの欠点は、この方法が種に感受性であり蒸解釜完成紙料の変化で再校正されなければならないということである。更に、走査数はオンライン分析装置としてのこの測定技術を制限するが、その理由は、それが、試料調製時間を含まないで、各スペクトル取得に15分より長くかかり、室温で行われなければならないからである。
【0009】
Yuzak及びLohrke[11]は、一連の実験の結果を詳述し、適切に調製されたクラフトパルプ試料、即ち、乾燥ハンドシートのカッパー価を±2.0カッパーの誤差で測定するために近赤外光(NIR)を使用することが出来ることを示した。該著者達は、彼等の一連の試料前処理方法により、カッパー価の測定用NIRスペクトルモデルは、1.前処理なし・不合格、2.ホース洗浄・不合格(誤差−9.0〜+11.7)、3.ホース洗浄及び濾過・不合格(誤差−11.8〜+4.3)、4.ホース洗浄+混合+濾過+加圧・不合格(誤差−0.3〜−15.2)、5.ホース洗浄+混合+乾燥(ハンドシート)・合格(誤差±2.0カッパー)であると、結論を下した。該著者達は1500〜1750nm及び2100〜2400nmのスペクトル領域を使用したけれども、該試料を有効に均質化し乾燥することに対する彼等の依存は、カッパー価を測定するための迅速なオンライン方法としてNIR分光測定法を使用することから離れた教示をしている。
【0010】
米国特許第5,536,942号[12]は、NIR分光計の助けにより繊維懸濁液中の繊維のカッパー価を含む性質を測定するための方法及び装置を説明している。該発明は、プロセス流から試料を抽出し、室の中で繰返し洗浄し、そして該希釈された溶液をスクリーンが組み込まれているセルにポンプで送り込み、それにより繊維を濃縮し950nmで監視して2.0〜4.5吸光度単位(A.U.)となるようにして好ましいコンシステンシー(3%)を得、そして検出器で記録して850nm〜1050nmの範囲の透過NIRスペクトルを得るための工程及び装置を詳述している。次に該試料は、該セルに逆流させ該スクリーン上で該繊維を再濃縮してから該取得を繰返すことにより、再均質化される。この方法は又、コンシステンシーの測定に大きく依存し、典型的な線状ベール・ランベルトの法則の外側の高い吸光度範囲で操作し、多数の測定器の線状範囲の限界に達している。結果として、米国特許第5,536,942号により使用されているコンシステンシー範囲に対して、吸光度におけるわずかな誤差はカッパー価測定と関連する大きな誤差へと変るだろう。更に、著しい洗浄及びスペクトルデータ取得前の濃縮次に続く再均質化及び濃縮及びデータ取得の必要性も又、プロセス制御用該測定技術の真のオンライン実現可能性を制限している。
【0011】
PCT特許WO 01/79816[13]は、繊維懸濁液の物理的性質、例えば、粘度、引張強度、繊維長さ、密度、比破裂強さ、粗度、不透明度、こう解要件、光散乱、ゼロスパン、及び化学的組成、例えば、リグニン並びにヘキサヌロン酸を測定する方法を説明している。該試料は該プロセスから抽出され洗浄されてきれいなパルプを提供し、該パルプは二つの流れに希釈され、一方の部分流は脱水され乾燥されて分光分析に使用され、他方第二の部分流は画像分析により物理的繊維データの分析に使用される。該二つのデータセットは、物理的繊維性能の予測のために多変量データ処理で組合せられる。該方法は、該相関関係はFibreMasterからのデータ及びNIRデータの組合せで改良されると述べている。分光測定は780nm〜2500nmのNIR範囲で行われる。希釈された試料は少なくとも50%、好ましくは70%の固体含量まで乾燥する必要があるが、それは濾過及び好ましくは圧縮空気との直接接触による通風乾燥によって成し遂げられる。該方法は更に、該乾燥処理は時間がかかるが、画像分析も時間がかかり、これが両技術間の同調を可能にしていると述べている。従って、前述方法の処理能力は時間当たり4回の分析に達することが出来るに過ぎず、説明したようにオンライン用途には不適切である。又、カッパー価に対するデータは何も提供されなかった。
【0012】
Birkett及びGambino[14]は、フィルトメーター、即ち、フィルターに基づいた分光計を用いて得られた結果を更に詳述し、ユーカリ属グランジスから作製されたハンドシートカッパー価及び多重直線回帰により最適化された5つの特定波長に対する相関関係を示した。該著者は、ユーカリ属グランジスに対して開発されたモデルが全校正モデルにより測定した場合受け入れることの出来る結果を提供することが出来なかったので、フィルターに基づいた分光計と関連して種依存性が存在することを示した(195頁、第1パラグラフ、5〜17行)。該著者は更に、「松及びユーカリに対する校正は別個に処理すべきである」(195頁、第3パラグラフ、1〜3行)と述べ、又「個別の種に対して校正する必要があるかもしれない」と述べている。更に、該著者は乾燥ハンドシート状パルプで得られた結果を提供している。Birkett及びGambinoは、該結果は乾燥ハンドシートで得られたものであると述べ、又「湿潤パルプに対して近赤外分光(NIRS)を使用することが出来ることにより、明白にプロセス制御はより容易に且つより速くなるだろう」(196頁、第1パラグラフ、8〜13行)と述べることにより、この特定の事柄を知らせている。Birkett及びGambinoは、フィルターに基づいたNIRシステムは種の変化に対して感受性であり乾燥ハンドシートに対してのみ適用出来るに過ぎないことを示した。
【0013】
米国特許5,953,111[15]のMillar等は、励起源からの光がパルプを運ぶ流水路中に注入される連続的インライン・カッパー測定システムの使用を説明している。反射光は、対照としての光源フィードバックと共に、近い近接度及び遠い近接度における二つの検出器で収集される。近い近接度及び遠い近接度検出器で収集された反射光は、該対照で正常化されカッパー価の計算に使用される。該照射光は、青領域、緑領域、こはく色、及び赤領域における波長から成る可視スペクトルにおける個々の特定波長から作り上げられている(6頁、第4パラグラフ、7〜10頁)。現在利用できる他の多数のシステムと同様に、このシステムは、フィルトメーター、即ち、フィルターに基づいた可視分光計におけるように、単一波長の可視領域におけるリグニン吸収に主として依存している。フィルターに基づいたシステムは比較的費用がかからず多数の異なる波長で構成することが出来るけれども、フィルターに基づいたシステムは、製造方法によるフィルターからフィルターへの波長精度、及びシステムからシステムへの相違による校正変動並びに広範囲の校正要件に苦しむ。更に、上記のBirkett及びGambino[14]は、フィルターに基づいたNIRシステムが種の変化を処理することが出来ず、プロセス制御用に容認できるカッパー価を提供するために乾燥ハンドシートを必要としていることを示した。これらの欠点及び困難性のために、フィルターに基づいたシステムは一般的にオンライン分析装置として成功していない。
【0014】
Poke等[16]は、試料の乾燥及び粉砕を必要とする、木粉中のリグニンを測定するためのNIR方法を提供している。又、この方法もオンライン適用に対して明白に適していない。
【0015】
NIR分光測定法の限界を克服するために、Trung等[17]は、パルプ中のリグニンを測定するための可視・励起ラマン分光法の使用を提案した。この方法はレーザー誘発蛍光と関連する限界のいくつかを克服するけれども、この方法は、主として、該適用で使用される小さな照射スポットにより生成するラマン信号固有の弱さのために、高コンシステンシー試料(15〜30%)の調製及び比較的に長い取得時間(5〜10分)を必要とする。該小さな照射スポットは下手な二段抽出によって試料採取されるパルプの量を制限し、それにより分析用の非代表的試料を得る可能性を増加させる。これは該測定の不確かさを増加させるが、その理由はカッパー価が蒸解物中で繊維から繊維へと著しく変化することが知られているからである。
【0016】
従って、迅速なオンライン定量分析を行うことが希望されている場合は特に、該従来技術は明白に、湿潤パルプ試料についてカッパー価を測定するためのNIR分光測定法の使用から離れた教示をしている。予想外に、本発明は、湿潤パルプ試料中のリグニン含量又はカッパー価を定量測定する非常に迅速な方法を提供するものである。NIR分光測定法は湿分含量に非常に感受性であると従来技術に繰返し記載されているので、この事は更に、パルプ分析の当業者に、リグニン含量又はカッパー価の測定のためにNIR分光測定法を適用することから離れた教示をしている。従来技術で列挙した方法のいずれも、リグニン含量を充分正確且つ詳細に測定してプロセス制御及び(又は)品質管理用に有用な測定を生成することが出来ない。以下において、我々はこの様な方法を開示する。本発明は、大量のパルプに対して測定を行うことによる上述の限界を克服し、又、従来技術とは違って、コンシステンシーにおける穏やかな変化に耐えることも出来るのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、化学パルプ繊維の性質、限定はしないが特に、化学パルプの残留リグニン含量を測定する方法であって、従来技術の欠点を克服する前記の方法を提供することであり、そして乾燥及びコンシステンシー測定のようなサンプル調製なしに秒の程度で監視する真のオンライン方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様に従って、化学パルプ繊維のパルプ性能を測定する方法であって、a)少なくとも部分的に蒸解された木材チップから誘導されたパルプ繊維を、350nm〜750nmの可視領域における範囲及び1100〜2400nmの近赤外(NIR)領域における範囲を有効範囲とする光に曝し、該パルプ繊維に該光を反射させ、b)前記繊維から反射された光を収集し、c)該反射光のスペクトルを確立し、d)前記スペクトルをパルプ性能の知られた化学パルプ繊維のスペクトルと比較し、そしてe)d)における比較から該パルプ性能を評価することを特徴とする前記の方法が提供される。
【0019】
本発明のもう一つの態様に従って、パルプ繊維製造ラインであって、木材チップを蒸解するための蒸解釜、及びパルプの洗浄並びに漂白装置を有し、そして該ライン中でパルプ繊維のパルプ性能を測定するための手段を有するパルプ繊維製造ラインにおいて、前記手段が、i)前記ライン中の少なくとも一つの位置で前記パルプ繊維を、350nm〜750nmの可視領域における範囲及び1100〜2400nmの近赤外(NIR)領域における範囲を有効範囲とする光に曝すように構成された光源、ii)前記光源に曝されたパルプ繊維から反射された光を収集し該反射光のスペクトルを確立する分光計、及びiii) ii)で確立されたスペクトルをパルプ性能の知られたパルプ繊維のスペクトルと比較し該比較からi)におけるパルプ繊維の性能を測定することの出来る比較手段を含むことを特徴とする、改良された前記パルプ繊維製造ラインが提供される。
【0020】
特に好ましい態様において、パルプ性能を測定するための手段は蒸解釜の下流の製造ラインにある。
【0021】
具体的な態様において、本発明は、可視領域(350〜750nm)及び近赤外(NIR)領域(1100〜2400nm)を有効範囲とする電磁放射領域中の範囲に亘って得られる分光技術の助けにより、化学パルプの残留リグニン含量に限定されないが、そのようなセルロース繊維性能を測定する新規な方法であって、該製造プロセスから繊維を得、過剰の水を除去し、該繊維又は繊維クラスターを大ビーム励起源で照射し、所望により該試料を一定速度で動かし、該拡散反射光を光ファイバー探触子で収集し、前記反射光を1個以上の検出器、例えば、3個の検出器で所定の時間記録し、該スペクトルを記録し、該スペクトルデータを、コンピュータ及び予め準備した校正モデルの助けにより、相関付け、そして前記試料のパルプ性能を測定する諸工程から成ることを特徴とする、前記の新規方法に関する。
【0022】
〔発明の好ましい態様の詳細な説明〕
図1を参照すると、木材チップ10が蒸解釜12の中に導入され蒸解用化学薬品と混合されて、木材マトリックスからリグニンを放出してパルプ繊維を生成する。パルプ繊維は次にブロータンク14中に吹き込まれ、そこに水が添加され、該紙料は褐色紙料洗浄機16にポンプで送り込まれる。該紙料は複数の洗浄機16を通して洗浄され、次に、抄紙機22に送付される前に複数のタワー18及び洗浄機20の中で漂白される。
【0023】
本発明を用いたオンライン測定用の配置は、他の変形と同様に、好ましくは、クラフトパルプ化プロセス及び漂白プロセスの種々な位置に沿って、例えば、ドクターブレード32のすぐ前の、褐色紙料洗浄機ドラム28、及び漂白装置洗浄機ドラム30において、励起光源24及び光ファイバー探触子26を装着することを含み、該探触子26は光ファイバーケーブル36を経由して迅速走査分光計34と共にコンピュータ38に結合され、該コンピュータ38はスペクトル取得を順番付け、得られたスペクトルを予め求められた校正と相関させ、そして該結果を記録する。
【0024】
実験室分析用に、本発明は最小の試料調製でパルプカッパー価の迅速な分析を可能にする。図2を参照すると、パルプ試料が、望ましいプロセスラインから収集され、実験室に運ばれ、そして洗浄されて、(必要なら)ブフナー漏斗40に通して濾過し、過剰の水の大部分を真空フラスコ42で除去し、そしてパルプ繊維44をスペクトルデータ収集のため励起源46に提供することにより、黒液を除去する。パソコン50により制御された高速度走査分光計48は、拡散反射光52を光ファイバー探触子54に通して記録し、スペクトルを記録し、前記スペクトルから残留リグニン濃度を計算する。スペクトルデータは350nm〜2500nmの範囲で収集される。この範囲の中で、350nm〜750nm及び1100nm〜2400nmのより好ましいスペクトル領域が校正に使用される。
【0025】
350nm〜750nmのスペクトル領域の中では、400nm〜750nmの領域がより好ましい。一般に、400nmより下、即ち、350nmと400nmとの間の領域は、ノイジーなスペクトルを示し、従ってそれにより提供される情報の価値はより低い。
【0026】
生成したスペクトルは350nm〜2500nm、好ましくは400nm〜2400nmの連続スペクトルであるが、所望ならば、750nmと1100nmの間の領域は遮断することが出来、この後者の領域が遮断されると、より良い結果が得られる。
【0027】
該スペクトルはパルプの化学組成、例えば、残留リグニン含量に基づいて確立される。励起光は該光に曝されるパルプと相互に作用し、種々の特定振動数において吸収、例えば、リグニン吸収が起こり、かかるリグニン吸収に関連する強度変化がパルプの残留リグニン含量の測度として記録される。
【0028】
該方法は特にリグニン含量を測定することに対して説明されているけれども、それは同様に他のパルプ性能、例えば、カッパー価又はISO白色度を測定するのに使用することが出来る。
【0029】
本発明に使用される校正は、部分的最小二乗法、主成分分析、及びそれらの変形のような多変量解析技術の助けにより開発されている。開発されたモデルは、繊維性能における極端な変動を含めて、プロセス流において予想され得る如何なる変化をも含み、強健性を可能にしている。MVA校正に含まれる変化は、コンシステンシー(5%〜30%)、木材種、及びカッパー価(0.5〜110カッパー)を含む。MVAのより多くの詳細は他の所で見出すことが出来る。
【0030】
洗浄機の各々において、過剰の水を除去するために真空が提供されている。パルプ試料の良好な代表を提供するように該ドラムが動いている間に、スペクトルデータが取得される。このより好ましい構成において、本発明は試料採取装置の必要性を除去し、プロセス制御用に瞬間的且つ連続的なカッパー結果を提供している。
【0031】
好ましい態様において、該パルプ繊維は8〜30%のコンシステンシーを有し、必要ならば、望ましいパルプ性能を測定するため、該パルプ繊維を該光線に曝す前にそれらから過剰の水を除去することが出来る。
【0032】
該パルプ繊維は、測定工程中適度に可動性であっても良く、又好都合なことに、該パルプ繊維を該光線に曝し該反射光を収集する工程中に、一定の回転速度で回転している室の中に入れることも出来る。反射光の収集は、前の操作で必要な時間帯に比べて短い所定の時間帯、より特別には60秒未満、更により特別には10秒未満で行うことが出来る。他方において、該試料は静止又は動いていることが出来、静止している場合及び10ft/secまでにおいて動いている場合に該試料を測定した時、結果における相違は全く観察されなかった。試料の動き及びデータの収集は平均化効果を生じ、試料がより速く動くに従って、大部分の材料に対する結果が正確なままである様により多くの平均化が観察される。
【0033】
本発明の方法はパルプ製造の異なった段階でパルプ性能の測定に適用することが出来、それにより、例えば、パルプ製造における作業プロセス及び漂白プロセスのフィードフォーワード及びフィードバック制御用にカッパー価が連続的に測定されて、望ましいカッパー価のパルプ製品を提供するのである。
【0034】
より好ましいスペクトル領域(350nm〜750nm及び1100nm〜2400nm)の組合せを利用する本発明は、大きな照射スポット及び二段抽出を特色として、従来技術に優る明白な利点を提供する。湿潤試料を分析すること及び非最適化スペクトル領域を使用することから離れた教示をし、抽出、洗浄、濃縮、及び均質化の必要性により更に複雑化されている従来技術の個々の及び組み合わされた教示から、本発明はこれらの従来教示の限界のすべてを克服し、連続的な残留リグニン測定を即座に提供することが出来るのである。
【0035】
該方法は又、蒸解が完結する前、即ち、蒸解相中のパルプ繊維にも適用することが出来る。この場合、該パルプ繊維は部分的に蒸解された木材チップから成る。これは該蒸解を監視する手段を提供する。しかしながら、好ましくは、該方法は蒸解の完結後、即ち、パルプ製造ラインにおける蒸解釜の下流のパルプ繊維に適用される。
【0036】
かくして本発明は、化学パルプ繊維の性質、限定はしないが、特に、化学パルプの残留リグニン含量を測定する方法を提供し、それにより、従来技術の欠点が克服され、乾燥及びコンシステンシー測定のような試料調製なしに秒の程度で監視する真のオンライン・プロセスが提供される。
【0037】
〔実験〕
スペクトル分析装置(ASD,Boulder,Co.)、より特別には350nmから2500nmまで100ミリ秒で完全な走査を提供することが出来る可視/近赤外分光計を用いて実験を行った。該装置は小型であり、野外操作用のバッテリ・パックで操作することが出来る。データを収集し完全なスペクトル範囲での40回の走査に亘り平均化したが、4秒を要した。
【実施例1】
【0038】
パルプ繊維の試料を最初に手で絞って過剰の水を除去し、試料トレイ上に置いた。データ収集中、より良い平均を提供し統計的な意義を改良するために、該トレイは回転していた。図3は、最終褐色紙料洗浄機において及び漂白装置の種々の洗浄機を通して試料採取された米栂パルプに対して得た結果を示す。部分的最小二乗法多変量校正を使用して、好ましいスペクトル領域、350nm〜750nm及び1100nm〜2400nmの組合せを用いた校正を生成する。6個の因子を使用して、0.9999のR2を生ずることが示されたモデルを生成した。各濃度レベルに10個のデータ点が存在し、これは本発明の極めて良好な再現性を示すことに注意して頂きたい。予測の2乗平均平方根標準誤差(RMSEP)は0.2カッパーであり、再現性は0.05カッパーである。更に、これらの結果は又、本発明が市場レベル(90+)の白色度に至るまで充分に漂白された化学パルプの残留リグニン含量を測定することが出来ることを、示している。最後に、これらの結果は、8%〜30%の範囲の変動するコンシステンシーを有する湿潤パルプ繊維を用いて得られた。上記従来技術の組合わせられた教示は、本発明で示されるような良好な結果は乾燥ハンドシート又は70%コンシステンシーのパルプに対してだけ得られるに過ぎないことを、明白に示している。
【実施例2】
【0039】
図4は上記と同じデータセットを用いて生成した結果を示すが、該校正領域は、従来技術により示されているように、1100nm〜2500nmのNIR範囲だけにかかるように選択されている。該結果は劣るデータを示し、予想誤差は±2カッパーで、本発明で得られる結果におけるよりもずっと高い。
【実施例3】
【0040】
図5は上記と同じデータセットを用いて得られた結果を示すが、他の従来技術教示、即ち、850nm〜1050nmのスペクトル範囲で校正されている。示されているように、該従来の教示を用いて得られた結果は又、本発明から離れた教示をしているが、その理由は予想誤差が±4カッパーの程度であるからである。
【実施例4】
【0041】
図6は、米松、米栂、トウヒ、バンクスマツ、バルサムモミ、及び米杉を含むがそれらに限定されない種々の木材種からのパルプ繊維に対して得られた、残留リグニン測定に対する本発明の結果を示す。示されているように、優れた相関関係が得られ単一の校正があらゆる軟材種にあてはまり、本発明は完成紙料の変化により影響されないことが示されている。同様の結果が、本発明を用いて、堅木パルプ繊維に対する別個の校正(示されてない)として得られた。
【実施例5】
【0042】
図7は、本発明のミル装置から得られ、ミル技術のスタッフ及び操作者により得られたカッパー価結果を図解している。本発明とミル作業員との間で優れた相関関係が得られたが、それは本発明の有用性を示すものである。2週間の期間にわたりデータが収集されたが、それによりミル作業員は該プロセスラインから試料を得、本発明と標準的実験室方法とを比較するため実験室試験を行った。本発明は副次的1単位カッパー価までカッパー価測定を提供することが出来ることに注意して頂きたい。他の如何なる技術もかかる低い検出限界を提供することが出来ないので、これは予想外である。
【実施例6】
【0043】
図8〜10は、本発明の有用性を更に図解するものである。等級及び種の混合物を変えたミル装置中で本発明の方法を行った。3種の異なる等級、等級A、等級B、及び等級Cのパルプを製造するAミル、Bミル、及びCミルに対する、本発明と標準的実験室分析との間の相関関係が示されている。各プロセスラインは、異なる種、主に米杉、米松、米栂、及び他のトウヒ・松・モミ(SPF)混合物をパルプ化する。等級Aの種組成は60%の米栂、20%のシーダー杉、及び20%のSPFから成り、一方、等級Bは80%の米栂、及び20%のSPFから成り、等級Cは80%の米松、及び20%のSPFから成る。データによれば、本発明はプロセス制御及び最適化のために充分な正確性で実際のパルプ・プロセスに適用することが出来、種々の種混合物及び等級変化に及ぶことが出来ることが示されている。
【実施例7】
【0044】
図11は、ISO白色度に関して、本発明の方法により成し遂げられたミル装置結果を標準的実験室技術の結果と比較したものである。本発明方法は、パルプの洗浄及び漂白プロセスの更なる制御能力のために、同時にISO白色度を提供することが出来る。
【0045】
以下に図3〜11を更に説明する。
【0046】
図3は、滴定カッパー価、対、NIRカッパー価のプロットである。滴定カッパー価のための標準分析技術、対、本発明のNIR測定カッパー価、間の相関関係である。未漂白パルプ繊維から完全漂白パルプ繊維まで、優れた相関関係が0.5カッパー価まで観察されている。異なるカラー点は、各カッパーが10個のデータ点を含むことを示すのを助けるべきものでり、優れた再現性を示していることに注意して頂きたい。
【0047】
図4は、実験室カッパー価、対、NIRカッパー価(1100〜2500nm)のプロットである。実験室滴定カッパー価、対、或る従来技術の教示を使用したNIR測定カッパー価、間の相関関係である。特に低カッパー価を有する完全漂白パルプ繊維に対する、データの大きな拡がりに注意して頂きたい。
【0048】
図5は、実験室カッパー価、対、NIRカッパー価(850〜1050nm)のプロットである。実験室滴定カッパー価、対、或る従来技術の教示(850〜1050nm)を使用したNIR測定カッパー価、間の相関関係である。±5以上の誤差を生ずるデータの大きな拡がりに注意して頂きたい。結果として、この技術は本発明より劣り、蒸解釜及び漂白装置操作のオンライン・プロセス制御にはあまり役に立たないであろう。
【0049】
図6は、変化する木材種パルプに対する、滴定カッパー価、対、NIRカッパー価のプロットである。本発明により測定されたNIRカッパー価、対、滴定カッパー価、間の相関関係である。結果によれば本発明は木材種に依存していないことが示されており、米松、バンクスマツ、及び米杉には限定されないが、それらに対する相関関係がここに示されている。
【0050】
図7は、カッパー価に対する、本発明と実験室滴定結果との間の相関関係を示すミル装置結果のプロットである。結果によれば、本発明は褐色紙料から高市場白色度の完全漂白パルプまでカッパー価測定を提供することが出来ることが示されている。1単位より下のカッパー価に至るまでカッパー測定を提供することが出来るいかなるシステムも知られていない。
【0051】
図8は、3種の異なる完成紙料/等級、特に、40%の米栂、20%のシーダー杉、及び40%のSPFから成る種組成を有する等級Aについて、ミルで得られたミル装置結果のプロットであり、本発明と、標準的実験室分析を用いた実験室滴定との間の、優れた相関関係を示す。
【0052】
図9は、3種の異なる完成紙料/等級、特に、80%の米栂、及び20%のSPFから成る種組成を有する等級Bについて、ミルで得られたミル装置結果のプロットであり、本発明と、標準的実験室分析を用いた実験室滴定との間の、優れた相関関係を示す。
【0053】
図10は、3種の異なる完成紙料/等級、特に、80%のシーダー杉、及び20%のSPFから成る種組成を有する等級Cについて、ミルで得られたミル装置結果のプロットであり、本発明と、標準的実験室分析を用いた実験室滴定との間の、優れた相関関係を示す。ミル装置結果は、変化する種混合物を用いた製造プロセス適用に対する本発明の有用性を認証する。
【0054】
図11は、選択肢としてパルプのISO白色度を測定するための本発明の使用を説明したミル装置結果のプロットである。この様な事情なので、特許請求されてないけれども、本発明を用いて、数秒以内でカッパー価及びISO白色度の同時測定を提供することが出来る。
【0055】
〔参考文献〕
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】励起源及び探触子が褐色紙料洗浄機ドラム及び漂白装置洗浄機ドラムに位置している、本発明に従う参照設置方式の概略図である。
【図2】カッパー価を含むパルプ繊維性能の実験室オフライン分析用に、本発明を使用した代りの装置の概略図である。
【図3】標準分析技術により測定したカッパー価、対、本発明のNIR測定カッパー価、間の相関関係を示すグラフである。
【図4】実験室滴定カッパー価、対、或る従来技術の教示を使用したNIR測定カッパー価、間の相関関係を示すグラフである。
【図5】実験室滴定カッパー価、対、或る従来技術の教示(850〜1050nm)を使用したNIR測定カッパー価、間の相関関係を示すグラフである。
【図6】3種の異なる木材種に対する、本発明により測定されたNIRカッパー価、対、滴定カッパー価、間の相関関係を示すグラフである。同様であるが別個の校正が堅木に対して得られる。
【図7】本発明に従って誘導されたカッパー価(NIRカッパー)と、カッパーに対する実験室滴定結果との間の、相関関係を示すグラフである。
【図8】3種の異なる完成紙料又は等級、特に、Aミルから製造され、夫々60%、20%、及び20%の割合の米栂、シーダー杉、及びSPF混合物から成る等級Aに対する、図7と同様なグラフである。
【図9】図8と同様であるが、Bミルから製造され、夫々80%、及び20%の割合の米栂、及びSPF混合物から成る等級Bに対するグラフである。
【図10】図8と同様であるが、Cミルから製造され、夫々80%、及び20%の割合の米松、及びSPF混合物から成る等級Cに対するグラフである。
【図11】本発明により測定されたパルプのISO白色度(NIR ISO白色度)と、実験室で測定されたパルプのISO白色度との間の、相関関係を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視及び近赤外の組合せスペクトル領域における速走査分光計の助けにより、繊維性能、特に化学パルプの残留リグニン含量を測定する新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
急速に変化する完成紙料から得られる化学パルプのカッパー価の正確なオンライン測定は、化学パルプ製造業者にとって依然として未解決の問題のままである。種々の場所からの製材工場残留チップを使用する微粉砕機及び特殊等級を製造する微粉砕機は、種々の供給業者からのチップ品質のばらつきの故に特に影響される。この問題は、入手出来る市場木材チップの不足、及びパルプ工場並びに製紙工場がそれらの製造設備から地理的に離れたチップを買わざるを得ないという事実により、現在更により一般的である。大抵は、等級変化中に又は特性の悪いチップ種混合物から製造されたパルプは、各木材チップ種が異なって蒸解されるので、高い割合の不適切に蒸解されたパルプの故に、格下げされなければならない。カッパー価の迅速な測定が出来る分析装置は、工場がカッパー価変動、漂白コスト、及び格外パルプ量を顕著に減少させるのを助けることが出来るだろう。
【0003】
現在の蒸解釜制御算法は、パルプ化操作を制御するためにH−ファクタ[1]と併せてブロウライン・カッパー価を利用している。一般的に、カッパー価測定は、蒸解の種々の帯域で蒸解釜に装填される液体における調整を可能にするフィードバック・パラメーターとして、更により決定的には、漂白プラントの制御用フィードフォーワード・パラメーターとして必要である。より高いカッパー価パルプは、特に酸素・脱リグニン段階中に、目的の最終パルプ白色度に到達するために、漂白用化学薬品のより高い装填を必要とする。
【0004】
パルプ中残留リグニン含量の測定は、沃化カリウムによる残留過マンガン酸塩の逆滴定を使用したTAPPI標準法T236[2]により、実験室分析として時間ベースで伝統的に行われてきた。しかしながら、該方法は広範囲の作業を必要とし、試料毎に30〜60分かかる可能性がある。Jiang等[3]は、自動複数試料滴定装置を用いて該滴定方法を半自動化することにより、この標準技術について改良した。つい最近、Chai等[4]は、過マンガン酸カリウム滴定の正確性を改良するために急速酸性化の使用を提案した。二酸化マンガン沈澱が防がれ、従ってMnO2からのスペクトル干渉なしに残留過マンガン酸塩を分析することが出来、紫外・可視分光測定技術の方が滴定よりも正確となるのである。しかしながら、この方法は依然として、試料調製、多数の試薬、及び完結するのに3〜5分かかる化学反応を必要とするのである。該時間遅延により、蒸解釜のフィードバック制御及び漂白プラントのフィードフォーワード制御に対するこの方法の実用性は制限される。
【0005】
現在の市販カッパー価分析装置は、10〜20分の程度の頻度でパルプ試料を分析するために、反射率、散乱、透過率、及びコンシステンシー測定[5−6]の組合せと共に、紫外線を使用している。これらの方法(STFI、Metso、及びBTG)は透明なセル/室を使用し、それを通して既知コンシステンシー(0.1%〜0.4%)に希釈された徹底洗浄パルプを循環させ、それにより1分以上の時間に亘っていくつかの所定紫外又は可視波長で反射光及び透過光を収集し、コンシステンシーに強く依存する反射強度の変化の償いをするようにコンシステンシー訂正カッパー価がこれらの読取りから求められる。残留リグニンを測定するためにUVセンサーが使用されるが、コンシステンシー測定には可視光が使用される。典型的な日常の操作手順は、過剰の残留液体を除去するために大規模な洗浄を必要とする。体積を概算するために次に希釈が行われ、該パルプスラリーが循環され、コンシステンシー測定用に別個の検出器が使用される。もし該コンシステンシーが望ましい範囲にないならば、該希釈が調整され、次に該パルプ混合物が又再測定される。望ましいコンシステンシーに到達するとすぐに、カッパー測定がなされる。該原理は簡単であるけれども、パルプのコンシステンシー及び組成における変化により生ずる障害の償いをすることなしにリグニン吸収を正確に測定することは出来ないので、該実際の測定は複雑である。この問題は、比較的狭い範囲の試料採取条件に有効な2点校正を確立することによって対処することが出来る。校正は、所定の最適コンシステンシーにおける3種の測定間の関係を特徴付けることにより準備され、漂白プラント試料[6]、単独種完成紙料、及び一定組成の安定で特性の明らかな混合完成紙料に対して満足であると報告されている。
【0006】
現在市販のカッパー分析装置は、未知の組成又は急速に変化する組成の完成紙料に対して正確な結果を提供しない[7]。チップの組成が常に変化している場合、測定器は組成変化に追随するように常に再校正されなければならない。2点校正及び試料採取システムの更新は、計測管理作業員からの一定の注意を必要とする。更に、追加された試料調製工程のために、処理能力は比較的低く、各位置に対して時間当たりたった約2個の試料という処理能力を与えるに過ぎない。
【0007】
木材及びパルプの試料を特徴付けるために、リグニン化学者はほぼ50年間振動分光法を使用してきた。Marton及びSarks[8]は、内標準として1510cm−1におけるリグニン・ピーク及び1100cm−1におけるセルロース・ピークの下の面積を使用することによりパルプのカッパー価を測定した。リグニン/セルロース・ピーク面積比は、坪量の変化に感受性でないことが分った。同様に、Berben等[9]は、未漂白パルプ中のリグニン含量を測定するために赤外拡散反射を利用した方法を開発した。1510cm−1における帯域の面積と多種多様の種に対するカッパー価との間には、組合わせられたあらゆる種に対して線状関係が見出されている。しかしながら、これらの方法は乾燥パルプ試料を使用しており、プロセス制御用のカッパー価オンライン処理分析の影響を受け易くない。
【0008】
米国特許第4,743,339号[10]は、6300nm〜7800nmのスペクトル範囲におけるFT−IRを使用して、カッパー価を含むパルプ性能を測定する方法を説明している。この方法において、200の共加算平均値で得られたスペクトルは、水含量及び繊維含量(コンシステンシー)を最初に測定することにより訂正された基線である必要がある。コンシステンシーは正確な基線訂正を提供するように測定されなければならないので、この方法はコンシステンシーに極めて感受性である。この方法のもう一つの欠点は、この方法が種に感受性であり蒸解釜完成紙料の変化で再校正されなければならないということである。更に、走査数はオンライン分析装置としてのこの測定技術を制限するが、その理由は、それが、試料調製時間を含まないで、各スペクトル取得に15分より長くかかり、室温で行われなければならないからである。
【0009】
Yuzak及びLohrke[11]は、一連の実験の結果を詳述し、適切に調製されたクラフトパルプ試料、即ち、乾燥ハンドシートのカッパー価を±2.0カッパーの誤差で測定するために近赤外光(NIR)を使用することが出来ることを示した。該著者達は、彼等の一連の試料前処理方法により、カッパー価の測定用NIRスペクトルモデルは、1.前処理なし・不合格、2.ホース洗浄・不合格(誤差−9.0〜+11.7)、3.ホース洗浄及び濾過・不合格(誤差−11.8〜+4.3)、4.ホース洗浄+混合+濾過+加圧・不合格(誤差−0.3〜−15.2)、5.ホース洗浄+混合+乾燥(ハンドシート)・合格(誤差±2.0カッパー)であると、結論を下した。該著者達は1500〜1750nm及び2100〜2400nmのスペクトル領域を使用したけれども、該試料を有効に均質化し乾燥することに対する彼等の依存は、カッパー価を測定するための迅速なオンライン方法としてNIR分光測定法を使用することから離れた教示をしている。
【0010】
米国特許第5,536,942号[12]は、NIR分光計の助けにより繊維懸濁液中の繊維のカッパー価を含む性質を測定するための方法及び装置を説明している。該発明は、プロセス流から試料を抽出し、室の中で繰返し洗浄し、そして該希釈された溶液をスクリーンが組み込まれているセルにポンプで送り込み、それにより繊維を濃縮し950nmで監視して2.0〜4.5吸光度単位(A.U.)となるようにして好ましいコンシステンシー(3%)を得、そして検出器で記録して850nm〜1050nmの範囲の透過NIRスペクトルを得るための工程及び装置を詳述している。次に該試料は、該セルに逆流させ該スクリーン上で該繊維を再濃縮してから該取得を繰返すことにより、再均質化される。この方法は又、コンシステンシーの測定に大きく依存し、典型的な線状ベール・ランベルトの法則の外側の高い吸光度範囲で操作し、多数の測定器の線状範囲の限界に達している。結果として、米国特許第5,536,942号により使用されているコンシステンシー範囲に対して、吸光度におけるわずかな誤差はカッパー価測定と関連する大きな誤差へと変るだろう。更に、著しい洗浄及びスペクトルデータ取得前の濃縮次に続く再均質化及び濃縮及びデータ取得の必要性も又、プロセス制御用該測定技術の真のオンライン実現可能性を制限している。
【0011】
PCT特許WO 01/79816[13]は、繊維懸濁液の物理的性質、例えば、粘度、引張強度、繊維長さ、密度、比破裂強さ、粗度、不透明度、こう解要件、光散乱、ゼロスパン、及び化学的組成、例えば、リグニン並びにヘキサヌロン酸を測定する方法を説明している。該試料は該プロセスから抽出され洗浄されてきれいなパルプを提供し、該パルプは二つの流れに希釈され、一方の部分流は脱水され乾燥されて分光分析に使用され、他方第二の部分流は画像分析により物理的繊維データの分析に使用される。該二つのデータセットは、物理的繊維性能の予測のために多変量データ処理で組合せられる。該方法は、該相関関係はFibreMasterからのデータ及びNIRデータの組合せで改良されると述べている。分光測定は780nm〜2500nmのNIR範囲で行われる。希釈された試料は少なくとも50%、好ましくは70%の固体含量まで乾燥する必要があるが、それは濾過及び好ましくは圧縮空気との直接接触による通風乾燥によって成し遂げられる。該方法は更に、該乾燥処理は時間がかかるが、画像分析も時間がかかり、これが両技術間の同調を可能にしていると述べている。従って、前述方法の処理能力は時間当たり4回の分析に達することが出来るに過ぎず、説明したようにオンライン用途には不適切である。又、カッパー価に対するデータは何も提供されなかった。
【0012】
Birkett及びGambino[14]は、フィルトメーター、即ち、フィルターに基づいた分光計を用いて得られた結果を更に詳述し、ユーカリ属グランジスから作製されたハンドシートカッパー価及び多重直線回帰により最適化された5つの特定波長に対する相関関係を示した。該著者は、ユーカリ属グランジスに対して開発されたモデルが全校正モデルにより測定した場合受け入れることの出来る結果を提供することが出来なかったので、フィルターに基づいた分光計と関連して種依存性が存在することを示した(195頁、第1パラグラフ、5〜17行)。該著者は更に、「松及びユーカリに対する校正は別個に処理すべきである」(195頁、第3パラグラフ、1〜3行)と述べ、又「個別の種に対して校正する必要があるかもしれない」と述べている。更に、該著者は乾燥ハンドシート状パルプで得られた結果を提供している。Birkett及びGambinoは、該結果は乾燥ハンドシートで得られたものであると述べ、又「湿潤パルプに対して近赤外分光(NIRS)を使用することが出来ることにより、明白にプロセス制御はより容易に且つより速くなるだろう」(196頁、第1パラグラフ、8〜13行)と述べることにより、この特定の事柄を知らせている。Birkett及びGambinoは、フィルターに基づいたNIRシステムは種の変化に対して感受性であり乾燥ハンドシートに対してのみ適用出来るに過ぎないことを示した。
【0013】
米国特許5,953,111[15]のMillar等は、励起源からの光がパルプを運ぶ流水路中に注入される連続的インライン・カッパー測定システムの使用を説明している。反射光は、対照としての光源フィードバックと共に、近い近接度及び遠い近接度における二つの検出器で収集される。近い近接度及び遠い近接度検出器で収集された反射光は、該対照で正常化されカッパー価の計算に使用される。該照射光は、青領域、緑領域、こはく色、及び赤領域における波長から成る可視スペクトルにおける個々の特定波長から作り上げられている(6頁、第4パラグラフ、7〜10頁)。現在利用できる他の多数のシステムと同様に、このシステムは、フィルトメーター、即ち、フィルターに基づいた可視分光計におけるように、単一波長の可視領域におけるリグニン吸収に主として依存している。フィルターに基づいたシステムは比較的費用がかからず多数の異なる波長で構成することが出来るけれども、フィルターに基づいたシステムは、製造方法によるフィルターからフィルターへの波長精度、及びシステムからシステムへの相違による校正変動並びに広範囲の校正要件に苦しむ。更に、上記のBirkett及びGambino[14]は、フィルターに基づいたNIRシステムが種の変化を処理することが出来ず、プロセス制御用に容認できるカッパー価を提供するために乾燥ハンドシートを必要としていることを示した。これらの欠点及び困難性のために、フィルターに基づいたシステムは一般的にオンライン分析装置として成功していない。
【0014】
Poke等[16]は、試料の乾燥及び粉砕を必要とする、木粉中のリグニンを測定するためのNIR方法を提供している。又、この方法もオンライン適用に対して明白に適していない。
【0015】
NIR分光測定法の限界を克服するために、Trung等[17]は、パルプ中のリグニンを測定するための可視・励起ラマン分光法の使用を提案した。この方法はレーザー誘発蛍光と関連する限界のいくつかを克服するけれども、この方法は、主として、該適用で使用される小さな照射スポットにより生成するラマン信号固有の弱さのために、高コンシステンシー試料(15〜30%)の調製及び比較的に長い取得時間(5〜10分)を必要とする。該小さな照射スポットは下手な二段抽出によって試料採取されるパルプの量を制限し、それにより分析用の非代表的試料を得る可能性を増加させる。これは該測定の不確かさを増加させるが、その理由はカッパー価が蒸解物中で繊維から繊維へと著しく変化することが知られているからである。
【0016】
従って、迅速なオンライン定量分析を行うことが希望されている場合は特に、該従来技術は明白に、湿潤パルプ試料についてカッパー価を測定するためのNIR分光測定法の使用から離れた教示をしている。予想外に、本発明は、湿潤パルプ試料中のリグニン含量又はカッパー価を定量測定する非常に迅速な方法を提供するものである。NIR分光測定法は湿分含量に非常に感受性であると従来技術に繰返し記載されているので、この事は更に、パルプ分析の当業者に、リグニン含量又はカッパー価の測定のためにNIR分光測定法を適用することから離れた教示をしている。従来技術で列挙した方法のいずれも、リグニン含量を充分正確且つ詳細に測定してプロセス制御及び(又は)品質管理用に有用な測定を生成することが出来ない。以下において、我々はこの様な方法を開示する。本発明は、大量のパルプに対して測定を行うことによる上述の限界を克服し、又、従来技術とは違って、コンシステンシーにおける穏やかな変化に耐えることも出来るのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、化学パルプ繊維の性質、限定はしないが特に、化学パルプの残留リグニン含量を測定する方法であって、従来技術の欠点を克服する前記の方法を提供することであり、そして乾燥及びコンシステンシー測定のようなサンプル調製なしに秒の程度で監視する真のオンライン方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様に従って、化学パルプ繊維のパルプ性能を測定する方法であって、a)少なくとも部分的に蒸解された木材チップから誘導されたパルプ繊維を、350nm〜750nmの可視領域における範囲及び1100〜2400nmの近赤外(NIR)領域における範囲を有効範囲とする光に曝し、該パルプ繊維に該光を反射させ、b)前記繊維から反射された光を収集し、c)該反射光のスペクトルを確立し、d)前記スペクトルをパルプ性能の知られた化学パルプ繊維のスペクトルと比較し、そしてe)d)における比較から該パルプ性能を評価することを特徴とする前記の方法が提供される。
【0019】
本発明のもう一つの態様に従って、パルプ繊維製造ラインであって、木材チップを蒸解するための蒸解釜、及びパルプの洗浄並びに漂白装置を有し、そして該ライン中でパルプ繊維のパルプ性能を測定するための手段を有するパルプ繊維製造ラインにおいて、前記手段が、i)前記ライン中の少なくとも一つの位置で前記パルプ繊維を、350nm〜750nmの可視領域における範囲及び1100〜2400nmの近赤外(NIR)領域における範囲を有効範囲とする光に曝すように構成された光源、ii)前記光源に曝されたパルプ繊維から反射された光を収集し該反射光のスペクトルを確立する分光計、及びiii) ii)で確立されたスペクトルをパルプ性能の知られたパルプ繊維のスペクトルと比較し該比較からi)におけるパルプ繊維の性能を測定することの出来る比較手段を含むことを特徴とする、改良された前記パルプ繊維製造ラインが提供される。
【0020】
特に好ましい態様において、パルプ性能を測定するための手段は蒸解釜の下流の製造ラインにある。
【0021】
具体的な態様において、本発明は、可視領域(350〜750nm)及び近赤外(NIR)領域(1100〜2400nm)を有効範囲とする電磁放射領域中の範囲に亘って得られる分光技術の助けにより、化学パルプの残留リグニン含量に限定されないが、そのようなセルロース繊維性能を測定する新規な方法であって、該製造プロセスから繊維を得、過剰の水を除去し、該繊維又は繊維クラスターを大ビーム励起源で照射し、所望により該試料を一定速度で動かし、該拡散反射光を光ファイバー探触子で収集し、前記反射光を1個以上の検出器、例えば、3個の検出器で所定の時間記録し、該スペクトルを記録し、該スペクトルデータを、コンピュータ及び予め準備した校正モデルの助けにより、相関付け、そして前記試料のパルプ性能を測定する諸工程から成ることを特徴とする、前記の新規方法に関する。
【0022】
〔発明の好ましい態様の詳細な説明〕
図1を参照すると、木材チップ10が蒸解釜12の中に導入され蒸解用化学薬品と混合されて、木材マトリックスからリグニンを放出してパルプ繊維を生成する。パルプ繊維は次にブロータンク14中に吹き込まれ、そこに水が添加され、該紙料は褐色紙料洗浄機16にポンプで送り込まれる。該紙料は複数の洗浄機16を通して洗浄され、次に、抄紙機22に送付される前に複数のタワー18及び洗浄機20の中で漂白される。
【0023】
本発明を用いたオンライン測定用の配置は、他の変形と同様に、好ましくは、クラフトパルプ化プロセス及び漂白プロセスの種々な位置に沿って、例えば、ドクターブレード32のすぐ前の、褐色紙料洗浄機ドラム28、及び漂白装置洗浄機ドラム30において、励起光源24及び光ファイバー探触子26を装着することを含み、該探触子26は光ファイバーケーブル36を経由して迅速走査分光計34と共にコンピュータ38に結合され、該コンピュータ38はスペクトル取得を順番付け、得られたスペクトルを予め求められた校正と相関させ、そして該結果を記録する。
【0024】
実験室分析用に、本発明は最小の試料調製でパルプカッパー価の迅速な分析を可能にする。図2を参照すると、パルプ試料が、望ましいプロセスラインから収集され、実験室に運ばれ、そして洗浄されて、(必要なら)ブフナー漏斗40に通して濾過し、過剰の水の大部分を真空フラスコ42で除去し、そしてパルプ繊維44をスペクトルデータ収集のため励起源46に提供することにより、黒液を除去する。パソコン50により制御された高速度走査分光計48は、拡散反射光52を光ファイバー探触子54に通して記録し、スペクトルを記録し、前記スペクトルから残留リグニン濃度を計算する。スペクトルデータは350nm〜2500nmの範囲で収集される。この範囲の中で、350nm〜750nm及び1100nm〜2400nmのより好ましいスペクトル領域が校正に使用される。
【0025】
350nm〜750nmのスペクトル領域の中では、400nm〜750nmの領域がより好ましい。一般に、400nmより下、即ち、350nmと400nmとの間の領域は、ノイジーなスペクトルを示し、従ってそれにより提供される情報の価値はより低い。
【0026】
生成したスペクトルは350nm〜2500nm、好ましくは400nm〜2400nmの連続スペクトルであるが、所望ならば、750nmと1100nmの間の領域は遮断することが出来、この後者の領域が遮断されると、より良い結果が得られる。
【0027】
該スペクトルはパルプの化学組成、例えば、残留リグニン含量に基づいて確立される。励起光は該光に曝されるパルプと相互に作用し、種々の特定振動数において吸収、例えば、リグニン吸収が起こり、かかるリグニン吸収に関連する強度変化がパルプの残留リグニン含量の測度として記録される。
【0028】
該方法は特にリグニン含量を測定することに対して説明されているけれども、それは同様に他のパルプ性能、例えば、カッパー価又はISO白色度を測定するのに使用することが出来る。
【0029】
本発明に使用される校正は、部分的最小二乗法、主成分分析、及びそれらの変形のような多変量解析技術の助けにより開発されている。開発されたモデルは、繊維性能における極端な変動を含めて、プロセス流において予想され得る如何なる変化をも含み、強健性を可能にしている。MVA校正に含まれる変化は、コンシステンシー(5%〜30%)、木材種、及びカッパー価(0.5〜110カッパー)を含む。MVAのより多くの詳細は他の所で見出すことが出来る。
【0030】
洗浄機の各々において、過剰の水を除去するために真空が提供されている。パルプ試料の良好な代表を提供するように該ドラムが動いている間に、スペクトルデータが取得される。このより好ましい構成において、本発明は試料採取装置の必要性を除去し、プロセス制御用に瞬間的且つ連続的なカッパー結果を提供している。
【0031】
好ましい態様において、該パルプ繊維は8〜30%のコンシステンシーを有し、必要ならば、望ましいパルプ性能を測定するため、該パルプ繊維を該光線に曝す前にそれらから過剰の水を除去することが出来る。
【0032】
該パルプ繊維は、測定工程中適度に可動性であっても良く、又好都合なことに、該パルプ繊維を該光線に曝し該反射光を収集する工程中に、一定の回転速度で回転している室の中に入れることも出来る。反射光の収集は、前の操作で必要な時間帯に比べて短い所定の時間帯、より特別には60秒未満、更により特別には10秒未満で行うことが出来る。他方において、該試料は静止又は動いていることが出来、静止している場合及び10ft/secまでにおいて動いている場合に該試料を測定した時、結果における相違は全く観察されなかった。試料の動き及びデータの収集は平均化効果を生じ、試料がより速く動くに従って、大部分の材料に対する結果が正確なままである様により多くの平均化が観察される。
【0033】
本発明の方法はパルプ製造の異なった段階でパルプ性能の測定に適用することが出来、それにより、例えば、パルプ製造における作業プロセス及び漂白プロセスのフィードフォーワード及びフィードバック制御用にカッパー価が連続的に測定されて、望ましいカッパー価のパルプ製品を提供するのである。
【0034】
より好ましいスペクトル領域(350nm〜750nm及び1100nm〜2400nm)の組合せを利用する本発明は、大きな照射スポット及び二段抽出を特色として、従来技術に優る明白な利点を提供する。湿潤試料を分析すること及び非最適化スペクトル領域を使用することから離れた教示をし、抽出、洗浄、濃縮、及び均質化の必要性により更に複雑化されている従来技術の個々の及び組み合わされた教示から、本発明はこれらの従来教示の限界のすべてを克服し、連続的な残留リグニン測定を即座に提供することが出来るのである。
【0035】
該方法は又、蒸解が完結する前、即ち、蒸解相中のパルプ繊維にも適用することが出来る。この場合、該パルプ繊維は部分的に蒸解された木材チップから成る。これは該蒸解を監視する手段を提供する。しかしながら、好ましくは、該方法は蒸解の完結後、即ち、パルプ製造ラインにおける蒸解釜の下流のパルプ繊維に適用される。
【0036】
かくして本発明は、化学パルプ繊維の性質、限定はしないが、特に、化学パルプの残留リグニン含量を測定する方法を提供し、それにより、従来技術の欠点が克服され、乾燥及びコンシステンシー測定のような試料調製なしに秒の程度で監視する真のオンライン・プロセスが提供される。
【0037】
〔実験〕
スペクトル分析装置(ASD,Boulder,Co.)、より特別には350nmから2500nmまで100ミリ秒で完全な走査を提供することが出来る可視/近赤外分光計を用いて実験を行った。該装置は小型であり、野外操作用のバッテリ・パックで操作することが出来る。データを収集し完全なスペクトル範囲での40回の走査に亘り平均化したが、4秒を要した。
【実施例1】
【0038】
パルプ繊維の試料を最初に手で絞って過剰の水を除去し、試料トレイ上に置いた。データ収集中、より良い平均を提供し統計的な意義を改良するために、該トレイは回転していた。図3は、最終褐色紙料洗浄機において及び漂白装置の種々の洗浄機を通して試料採取された米栂パルプに対して得た結果を示す。部分的最小二乗法多変量校正を使用して、好ましいスペクトル領域、350nm〜750nm及び1100nm〜2400nmの組合せを用いた校正を生成する。6個の因子を使用して、0.9999のR2を生ずることが示されたモデルを生成した。各濃度レベルに10個のデータ点が存在し、これは本発明の極めて良好な再現性を示すことに注意して頂きたい。予測の2乗平均平方根標準誤差(RMSEP)は0.2カッパーであり、再現性は0.05カッパーである。更に、これらの結果は又、本発明が市場レベル(90+)の白色度に至るまで充分に漂白された化学パルプの残留リグニン含量を測定することが出来ることを、示している。最後に、これらの結果は、8%〜30%の範囲の変動するコンシステンシーを有する湿潤パルプ繊維を用いて得られた。上記従来技術の組合わせられた教示は、本発明で示されるような良好な結果は乾燥ハンドシート又は70%コンシステンシーのパルプに対してだけ得られるに過ぎないことを、明白に示している。
【実施例2】
【0039】
図4は上記と同じデータセットを用いて生成した結果を示すが、該校正領域は、従来技術により示されているように、1100nm〜2500nmのNIR範囲だけにかかるように選択されている。該結果は劣るデータを示し、予想誤差は±2カッパーで、本発明で得られる結果におけるよりもずっと高い。
【実施例3】
【0040】
図5は上記と同じデータセットを用いて得られた結果を示すが、他の従来技術教示、即ち、850nm〜1050nmのスペクトル範囲で校正されている。示されているように、該従来の教示を用いて得られた結果は又、本発明から離れた教示をしているが、その理由は予想誤差が±4カッパーの程度であるからである。
【実施例4】
【0041】
図6は、米松、米栂、トウヒ、バンクスマツ、バルサムモミ、及び米杉を含むがそれらに限定されない種々の木材種からのパルプ繊維に対して得られた、残留リグニン測定に対する本発明の結果を示す。示されているように、優れた相関関係が得られ単一の校正があらゆる軟材種にあてはまり、本発明は完成紙料の変化により影響されないことが示されている。同様の結果が、本発明を用いて、堅木パルプ繊維に対する別個の校正(示されてない)として得られた。
【実施例5】
【0042】
図7は、本発明のミル装置から得られ、ミル技術のスタッフ及び操作者により得られたカッパー価結果を図解している。本発明とミル作業員との間で優れた相関関係が得られたが、それは本発明の有用性を示すものである。2週間の期間にわたりデータが収集されたが、それによりミル作業員は該プロセスラインから試料を得、本発明と標準的実験室方法とを比較するため実験室試験を行った。本発明は副次的1単位カッパー価までカッパー価測定を提供することが出来ることに注意して頂きたい。他の如何なる技術もかかる低い検出限界を提供することが出来ないので、これは予想外である。
【実施例6】
【0043】
図8〜10は、本発明の有用性を更に図解するものである。等級及び種の混合物を変えたミル装置中で本発明の方法を行った。3種の異なる等級、等級A、等級B、及び等級Cのパルプを製造するAミル、Bミル、及びCミルに対する、本発明と標準的実験室分析との間の相関関係が示されている。各プロセスラインは、異なる種、主に米杉、米松、米栂、及び他のトウヒ・松・モミ(SPF)混合物をパルプ化する。等級Aの種組成は60%の米栂、20%のシーダー杉、及び20%のSPFから成り、一方、等級Bは80%の米栂、及び20%のSPFから成り、等級Cは80%の米松、及び20%のSPFから成る。データによれば、本発明はプロセス制御及び最適化のために充分な正確性で実際のパルプ・プロセスに適用することが出来、種々の種混合物及び等級変化に及ぶことが出来ることが示されている。
【実施例7】
【0044】
図11は、ISO白色度に関して、本発明の方法により成し遂げられたミル装置結果を標準的実験室技術の結果と比較したものである。本発明方法は、パルプの洗浄及び漂白プロセスの更なる制御能力のために、同時にISO白色度を提供することが出来る。
【0045】
以下に図3〜11を更に説明する。
【0046】
図3は、滴定カッパー価、対、NIRカッパー価のプロットである。滴定カッパー価のための標準分析技術、対、本発明のNIR測定カッパー価、間の相関関係である。未漂白パルプ繊維から完全漂白パルプ繊維まで、優れた相関関係が0.5カッパー価まで観察されている。異なるカラー点は、各カッパーが10個のデータ点を含むことを示すのを助けるべきものでり、優れた再現性を示していることに注意して頂きたい。
【0047】
図4は、実験室カッパー価、対、NIRカッパー価(1100〜2500nm)のプロットである。実験室滴定カッパー価、対、或る従来技術の教示を使用したNIR測定カッパー価、間の相関関係である。特に低カッパー価を有する完全漂白パルプ繊維に対する、データの大きな拡がりに注意して頂きたい。
【0048】
図5は、実験室カッパー価、対、NIRカッパー価(850〜1050nm)のプロットである。実験室滴定カッパー価、対、或る従来技術の教示(850〜1050nm)を使用したNIR測定カッパー価、間の相関関係である。±5以上の誤差を生ずるデータの大きな拡がりに注意して頂きたい。結果として、この技術は本発明より劣り、蒸解釜及び漂白装置操作のオンライン・プロセス制御にはあまり役に立たないであろう。
【0049】
図6は、変化する木材種パルプに対する、滴定カッパー価、対、NIRカッパー価のプロットである。本発明により測定されたNIRカッパー価、対、滴定カッパー価、間の相関関係である。結果によれば本発明は木材種に依存していないことが示されており、米松、バンクスマツ、及び米杉には限定されないが、それらに対する相関関係がここに示されている。
【0050】
図7は、カッパー価に対する、本発明と実験室滴定結果との間の相関関係を示すミル装置結果のプロットである。結果によれば、本発明は褐色紙料から高市場白色度の完全漂白パルプまでカッパー価測定を提供することが出来ることが示されている。1単位より下のカッパー価に至るまでカッパー測定を提供することが出来るいかなるシステムも知られていない。
【0051】
図8は、3種の異なる完成紙料/等級、特に、40%の米栂、20%のシーダー杉、及び40%のSPFから成る種組成を有する等級Aについて、ミルで得られたミル装置結果のプロットであり、本発明と、標準的実験室分析を用いた実験室滴定との間の、優れた相関関係を示す。
【0052】
図9は、3種の異なる完成紙料/等級、特に、80%の米栂、及び20%のSPFから成る種組成を有する等級Bについて、ミルで得られたミル装置結果のプロットであり、本発明と、標準的実験室分析を用いた実験室滴定との間の、優れた相関関係を示す。
【0053】
図10は、3種の異なる完成紙料/等級、特に、80%のシーダー杉、及び20%のSPFから成る種組成を有する等級Cについて、ミルで得られたミル装置結果のプロットであり、本発明と、標準的実験室分析を用いた実験室滴定との間の、優れた相関関係を示す。ミル装置結果は、変化する種混合物を用いた製造プロセス適用に対する本発明の有用性を認証する。
【0054】
図11は、選択肢としてパルプのISO白色度を測定するための本発明の使用を説明したミル装置結果のプロットである。この様な事情なので、特許請求されてないけれども、本発明を用いて、数秒以内でカッパー価及びISO白色度の同時測定を提供することが出来る。
【0055】
〔参考文献〕
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】励起源及び探触子が褐色紙料洗浄機ドラム及び漂白装置洗浄機ドラムに位置している、本発明に従う参照設置方式の概略図である。
【図2】カッパー価を含むパルプ繊維性能の実験室オフライン分析用に、本発明を使用した代りの装置の概略図である。
【図3】標準分析技術により測定したカッパー価、対、本発明のNIR測定カッパー価、間の相関関係を示すグラフである。
【図4】実験室滴定カッパー価、対、或る従来技術の教示を使用したNIR測定カッパー価、間の相関関係を示すグラフである。
【図5】実験室滴定カッパー価、対、或る従来技術の教示(850〜1050nm)を使用したNIR測定カッパー価、間の相関関係を示すグラフである。
【図6】3種の異なる木材種に対する、本発明により測定されたNIRカッパー価、対、滴定カッパー価、間の相関関係を示すグラフである。同様であるが別個の校正が堅木に対して得られる。
【図7】本発明に従って誘導されたカッパー価(NIRカッパー)と、カッパーに対する実験室滴定結果との間の、相関関係を示すグラフである。
【図8】3種の異なる完成紙料又は等級、特に、Aミルから製造され、夫々60%、20%、及び20%の割合の米栂、シーダー杉、及びSPF混合物から成る等級Aに対する、図7と同様なグラフである。
【図9】図8と同様であるが、Bミルから製造され、夫々80%、及び20%の割合の米栂、及びSPF混合物から成る等級Bに対するグラフである。
【図10】図8と同様であるが、Cミルから製造され、夫々80%、及び20%の割合の米松、及びSPF混合物から成る等級Cに対するグラフである。
【図11】本発明により測定されたパルプのISO白色度(NIR ISO白色度)と、実験室で測定されたパルプのISO白色度との間の、相関関係を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学パルプ繊維のパルプ性能を測定する方法であって、
a) 少なくとも部分的に蒸解された木材チップから誘導されたパルプ繊維を、350nm〜750nmの可視領域における範囲及び1100〜2400nmの近赤外(NIR)領域における範囲を有効範囲とする光に曝し、該パルプ繊維に該光を反射させ、
b) 前記繊維から反射された光を収集し、
c) 該反射光のスペクトルを確立し、
d) 前記スペクトルをパルプ性能の知られた化学パルプ繊維のスペクトルと比較し、そして
e) d)における比較から該パルプ性能を評価する
ことを特徴とする前記の方法。
【請求項2】
前記パルプ性能がリグニン含量である、請求項1による方法。
【請求項3】
前記パルプ性能がカッパー価である、請求項1による方法。
【請求項4】
前記パルプ性能がISO白色度である、請求項1による方法。
【請求項5】
前記の可視領域における光が400nm〜750nmの範囲にある、請求項1〜4項の任意の1項による方法。
【請求項6】
前記パルプ繊維が8%〜30%のコンシステンシーを有する、請求項1〜5項の任意の1項による方法。
【請求項7】
前記パルプ繊維が工程a)及びb)の間可動性である、請求項1〜6項の任意の1項による方法。
【請求項8】
前記パルプ繊維が工程a)及びb)の間チャンバー中で見出され、前記チャンバーが一定の回転速度で回転している、請求項7による方法。
【請求項9】
前記の工程b)における収集が所定の時間帯行われる、請求項1〜8項の任意の1項による方法。
【請求項10】
前記の時間帯が60秒未満である、請求項9による方法。
【請求項11】
前記の時間帯が10秒未満である、請求項10による方法。
【請求項12】
前記の工程a)におけるパルプ繊維がパルプ製造ラインにある、請求項1〜11項の任意の1項による方法。
【請求項13】
前記工程a)が製造ラインにおける複数の位置でパルプ繊維に対して行われる、請求項12による方法。
【請求項14】
前記の複数の位置が該パルプ繊維の誘導される木材チップの蒸解より下流である、請求項13による方法。
【請求項15】
パルプ繊維製造ラインであって、木材チップを蒸解するための蒸解釜、及びパルプの洗浄並びに漂白装置を有し、そして該ライン中でパルプ繊維のパルプ性能を測定するための手段を有するパルプ繊維製造ラインにおいて、前記手段が、
i) 前記ライン中の少なくとも一つの位置で前記パルプ繊維を、350nm〜750nmの可視領域における範囲及び1100〜2400nmの近赤外(NIR)領域における範囲を有効範囲とする光に曝すように構成された光源、
ii) 前記光源に曝されたパルプ繊維から反射された光を収集し該反射光のスペクトルを確立する分光計、及び
iii) ii)で確立されたスペクトルをパルプ性能の知られたパルプ繊維のスペクトルと比較し該比較からi)におけるパルプ繊維の性能を測定することの出来る比較手段
を含むことを特徴とする、改良された前記パルプ繊維製造ライン。
【請求項16】
前記光源が可視領域に対する範囲が400nm〜750nmである光を提供するように構成されている、請求項15によるパルプ繊維製造ライン。
【請求項17】
前記のパルプ性能を測定するための手段が該蒸解釜の下流にある、請求項15によるパルプ繊維製造ライン。
【請求項18】
前記手段が該蒸解釜より下流の複数の位置にある、請求項17によるパルプ繊維製造ライン。
【請求項1】
化学パルプ繊維のパルプ性能を測定する方法であって、
a) 少なくとも部分的に蒸解された木材チップから誘導されたパルプ繊維を、350nm〜750nmの可視領域における範囲及び1100〜2400nmの近赤外(NIR)領域における範囲を有効範囲とする光に曝し、該パルプ繊維に該光を反射させ、
b) 前記繊維から反射された光を収集し、
c) 該反射光のスペクトルを確立し、
d) 前記スペクトルをパルプ性能の知られた化学パルプ繊維のスペクトルと比較し、そして
e) d)における比較から該パルプ性能を評価する
ことを特徴とする前記の方法。
【請求項2】
前記パルプ性能がリグニン含量である、請求項1による方法。
【請求項3】
前記パルプ性能がカッパー価である、請求項1による方法。
【請求項4】
前記パルプ性能がISO白色度である、請求項1による方法。
【請求項5】
前記の可視領域における光が400nm〜750nmの範囲にある、請求項1〜4項の任意の1項による方法。
【請求項6】
前記パルプ繊維が8%〜30%のコンシステンシーを有する、請求項1〜5項の任意の1項による方法。
【請求項7】
前記パルプ繊維が工程a)及びb)の間可動性である、請求項1〜6項の任意の1項による方法。
【請求項8】
前記パルプ繊維が工程a)及びb)の間チャンバー中で見出され、前記チャンバーが一定の回転速度で回転している、請求項7による方法。
【請求項9】
前記の工程b)における収集が所定の時間帯行われる、請求項1〜8項の任意の1項による方法。
【請求項10】
前記の時間帯が60秒未満である、請求項9による方法。
【請求項11】
前記の時間帯が10秒未満である、請求項10による方法。
【請求項12】
前記の工程a)におけるパルプ繊維がパルプ製造ラインにある、請求項1〜11項の任意の1項による方法。
【請求項13】
前記工程a)が製造ラインにおける複数の位置でパルプ繊維に対して行われる、請求項12による方法。
【請求項14】
前記の複数の位置が該パルプ繊維の誘導される木材チップの蒸解より下流である、請求項13による方法。
【請求項15】
パルプ繊維製造ラインであって、木材チップを蒸解するための蒸解釜、及びパルプの洗浄並びに漂白装置を有し、そして該ライン中でパルプ繊維のパルプ性能を測定するための手段を有するパルプ繊維製造ラインにおいて、前記手段が、
i) 前記ライン中の少なくとも一つの位置で前記パルプ繊維を、350nm〜750nmの可視領域における範囲及び1100〜2400nmの近赤外(NIR)領域における範囲を有効範囲とする光に曝すように構成された光源、
ii) 前記光源に曝されたパルプ繊維から反射された光を収集し該反射光のスペクトルを確立する分光計、及び
iii) ii)で確立されたスペクトルをパルプ性能の知られたパルプ繊維のスペクトルと比較し該比較からi)におけるパルプ繊維の性能を測定することの出来る比較手段
を含むことを特徴とする、改良された前記パルプ繊維製造ライン。
【請求項16】
前記光源が可視領域に対する範囲が400nm〜750nmである光を提供するように構成されている、請求項15によるパルプ繊維製造ライン。
【請求項17】
前記のパルプ性能を測定するための手段が該蒸解釜の下流にある、請求項15によるパルプ繊維製造ライン。
【請求項18】
前記手段が該蒸解釜より下流の複数の位置にある、請求項17によるパルプ繊維製造ライン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−532021(P2008−532021A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557298(P2007−557298)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000294
【国際公開番号】WO2006/092045
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(507171683)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000294
【国際公開番号】WO2006/092045
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(507171683)
【Fターム(参考)】
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