説明

可視光通信システム

【解決手段】可視光通信システム1は、周波数が所定のアルゴリズムで変化する可視光信号を可視光に重畳するように光源を制御する制御装置を有する照明器具2と、可視光を受信する受信部および周波数が所定のアルゴリズムで変化する可視光信号を復調する制御部を有する受信装置3とを具備している。
【効果】受信装置が所定のアルゴリズムで周波数が変化する可視光信号を入力し復調する簡易な構成であるので、可視光通信システムを安価に形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を可視光信号により通信する可視光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば天井面に配設される複数の照明器具は、その照明領域を略一定の明るさ(照度)で照明するために、隣接する照明器具から出射される照明光(可視光)が重複するように配設されている。また、この種の照明器具には、出射される可視光に可視光信号を重畳させて、各種通信情報を受信端末側に送信するものがある。ここで、可視光が重複している照明領域において、隣接する照明器具から同時に可視光信号が送信されていると、受信端末は、複数の可視光信号が混信して、それぞれの可視光信号から情報を復調しにくいという問題がある。
【0003】
そこで、隣接する照明器具から出射される可視光が重複している照明領域においても、可視光信号による通信が行える可視光通信システムが提案されている。例えば、各照明器具は、統括制御器から順次送られてくる通信情報に付加されたアドレスが自己に割り付けられたアドレスと一致する場合のみ可視光通信を開始する可視光通信システムが提案されている(特許文献1参照。)。この従来技術の可視光通信システムは、配光エリアが互いに一部重複している照明器具が同時に可視光通信を行うことがないので、受信器が複数の通信情報を同時に受信して混信するという不具合を確実に防止できるというものである。
【0004】
また、各照明器具は、出力される可視光通信用信号が同期するように構成され、隣接する各照明器具は、出力される可視光通信用信号の送信タイミングが相互にずれるように制御されている照明システムが提案されている(特許文献2参照。)。この従来技術の照明システムは、隣接する一方の照明器具が通信を行っている間、他方の照明器具は、非通信状態となり、他方の照明器具が通信を行っている間、一方の照明器具は、非通信状態となるので、通信用信号が隣接する照明器具から同時に送信されることがなく、これにより、高精度な可視光通信が可能となるというものである。
【0005】
また、照明光の到達範囲が少なくとも一部で重複する複数の照明器具が存在する場合に、当該複数の照明器具では、データを重畳させるための変調周波数を互いに異ならせた光伝送システムが提案されている(特許文献3参照。)。この従来技術の光伝送システムは、その受信機が各々異なる通過帯域を有する複数のバンドパスフィルタを備え、照明光の到達範囲が重複しない照明器具の変調周波数に対応したバンドパスフィルタを設定するので、複数の照明器具から送信されたデータをほぼ同時に受信してしまい、何れのデータも正しく復調できなくなってしまうということがないというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−266794号公報(第5−6頁、第3図)
【特許文献2】特開2009−5304号公報(第6頁、第4図)
【特許文献3】特開2005−176258号公報(第5頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の可視光通信システムは、統括制御部から複数の照明器具側に順次通信情報が送信されることになるので、統括制御部において、例えば一定の間隔で通信情報を送信するという制御動作が必要であり、通信情報の送信制御が複雑になるという欠点を有する。
【0008】
また、特許文献2の照明システムは、隣接する各照明器具から出力される可視光通信用信号の送信タイミングが相互にずれるように制御する同期回路を備えるので、各照明器具の回路構成が複雑となり、コストアップするという欠点を有する。
【0009】
また、特許文献3の光伝送システムは、受信機が各々異なる通過帯域を有する複数のバンドパスフィルタを備え、照明器具の変調周波数に対応したバンドパスフィルタを選択し設定するものであるので、受信機の構成が複雑であり、高価になるという欠点を有する。
【0010】
本発明は、各照明器具からの照明光が重複する領域でも通信用情報を迅速に入手可能であって、簡素な構成で安価に形成可能な可視光通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の可視光通信システムの発明は、可視光を放射する光源を配設している器具本体および周波数が所定のアルゴリズムで変化する可視光信号を前記可視光に重畳するように前記光源を制御する制御装置を有して構成された照明器具と;可視光信号を受信する受信部および前記アルゴリズムで変化する可視光信号を復調する制御部を有して構成された受信装置と;を具備していることを特徴とする。
【0012】
本発明および以下の各発明において、特に言及しない限り、各構成は以下による。
【0013】
光源は、可視光を放射するものであればよく、蛍光ランプ、発光ダイオード(LED)などを問わない。
【0014】
照明器具は、所定の領域を照明する照明用の他、可視光通信を行うことを主体とするものであってもよい。
【0015】
受信装置により復調された通信用情報は、受信装置に具備した表示部や音声部で認識されるようにしてもよく、他の表示装置や音声装置において認識されるようにしてもよい。
【0016】
本発明によれば、照明器具は、通信用情報を周波数が所定のアルゴリズムで変化する可視光信号で送信し、受信装置は、当該可視光信号を入力して通信用情報を復調するので、受信装置において照明器具から送信された通信用情報が入手される。
【0017】
請求項2に記載の可視光通信システムの発明は、請求項1記載の可視光通信システムの発明において、互いに異なるアルゴリズムで周波数が変化する可視光信号を可視光に重畳する複数の照明器具を有し、前記受信装置は、前記異なるアルゴリズムで周波数が変化する可視光信号の少なくとも一つを復調することを特徴とする。
【0018】
受信装置は、例えば、複数の照明器具から送信される周波数が所定のアルゴリズムで変化する可視光信号をそれぞれ記憶部に記憶している。そして、制御部は、記憶部から所望の照明器具の可視光信号を読み出し、受信部が受信した可視光信号のうちから前記読み出した可視光信号と一致する可視光信号を入力して通信用情報を復調することができる。
【0019】
本発明によれば、隣接する照明器具から送信される可視光信号が互いに異なるので、隣接する照明器具から送信され互いの可視光信号が同時に重複している領域においても、受信装置は、隣接する照明器具のうちの一方の照明器具からの可視光信号を入力し、当該照明器具からの通信用情報を復調する。
【0020】
請求項3に記載の可視光通信システムの発明は、請求項1または2記載の可視光通信システムの発明において、前記受信装置を複数個有し、その複数個の受信装置は、それぞれが異なるアルゴリズムで周波数が変化する可視光信号を復調することを特徴とする。
【0021】
照明器具は、一つの可視光信号を送信するものであってもよく、可視光信号の複数個を順次または要求に応じて送信するものであってもよい。
【0022】
本発明によれば、照明器具から送信された可視光信号は、複数個の受信装置のそれぞれが異なるアルゴリズムで周波数が変化する可視光信号を復調するので、複数個の受信装置のうちの一の受信装置に入力されて復調される。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、照明器具は、通信用情報を周波数が所定のアルゴリズムで変化する可視光信号で送信し、受信装置は、照明器具から送信された当該可視光信号を入力して通信用信号を復調するので、可視光信号が同時に複数送信されている領域においても、所望の照明器具から送信された通信用情報を迅速に入手することができるとともに、受信装置が所定のアルゴリズムで周波数が変化する可視光信号を入力し復調する簡易な構成であるので、可視光通信システムを安価に形成することができる。
【0024】
請求項2の発明によれば、複数個からなる照明器具は、それぞれ互いに異なるアルゴリズムで周波数が変化する可視光信号を送信し、受信装置は、異なるアルゴリズムで周波数が変化する可視光信号の少なくとも一つを復調するので、隣接する照明器具から出射された照明光が重複している領域においても、受信装置は、入力した可視光信号に基づいて、容易かつ迅速に照明器具から送信された通信用情報を入手することができる。
【0025】
請求項3の発明によれば、複数個からなる受信装置は、それぞれ入力する可視光信号のアルゴリズムが互いに異なり、その一の受信装置が照明器具から送信された可視光信号を入力して通信用情報を入手するので、照明器具から送信される通信用情報を入手する専用の受信装置を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1を示す可視光通信システムの概略構成図。
【図2】同じく、照明器具の構成を示す概略ブロック図。
【図3】同じく、受信装置の構成を示す概略ブロック図。
【図4】同じく、可視光信号を示す概略波形図。
【図5】同じく、可視光信号に対するデジタルデータを示す関係図。
【図6】本発明の実施例2を示す可視光通信システムの概略構成図。
【図7】同じく、照明器具の構成を示す概略ブロック図。
【図8】同じく、受信装置の構成を示す概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
本発明の可視光通信システムは、照明器具が通信用情報の送信を行うときには、周波数が所定のアルゴリズムで変化する可視光信号を可視光に重畳して行い、受信装置が所望の照明器具からの通信用情報を入手するときには、当該照明器具から送信された周波数が所定のアルゴリズムで変化する可視光信号を受信して復調するものである。照明器具から送信される可視光信号が異なることにより、可視光信号が同時に複数送信されている領域においても、所望の照明器具からの通信用情報が容易にかつ迅速に入手されるものである。
【実施例1】
【0029】
図1ないし図4は、本発明の実施例1を示し、図1は可視光通信システムの概略構成図、図2は照明器具の構成を示す概略ブロック図、図3は受信装置の構成を示す概略ブロック図、図4は可視光信号を示す概略波形図である。
【0030】
図1において、可視光通信システム1は、照明器具2および受信装置3を有する照明制御システムに構成されている。照明器具2は、天井側に複数個が直列的に配設されている。複数個の照明器具2は、隣接する照明器具により照明される照明エリアが一部重複するように天井側に配設されている。これにより、床面側が略一定の照度(明るさ)で照明されている。照明器具2は、天井に直付けされる直付け器具、天井に埋め込まれる埋込形器具または天井に吊り下げられる吊り下げ形器具などのいずれであってもよい。
【0031】
そして、複数個の照明器具2は、それぞれ器具本体4にアドレス(ID番号)が付与されており、器具本体4には受光装置5が設けられている。受光装置5は、受信装置3から無線信号で送信された制御信号を受信する。この制御信号に応じて、器具本体4に配設されている図示しない光源が制御されるものである。また、照明器具2は、受光装置5が受信装置3から送信された通信用制御信号を受信すると、光源から放射される可視光に可視光信号を重畳させることにより、通信用情報を送信する可視光通信を行うものである。
【0032】
照明器具2は、図2に示すように、器具本体4が制御端末装置6を収納し、かつ受光装置5、光源7およびモード表示灯8をそれぞれ配設している。制御端末装置6は、その入力端子9,9に商用交流電源Vsに接続されている電源線10,10が接続されている。
【0033】
受光装置5は、受信装置3から無線信号で送信された光源7を制御する制御信号を例えばフォトダイオードからなる受光素子12により受信し、当該制御信号をデータ変換して制御装置14に出力するように形成されている。受光素子12は、図1に示すように、器具本体4の一端側下面に露出するように配設されている。光源7は、可視光例えば白色光を放射する発光ダイオード(LED)であり、器具本体4の長手方向に沿って多数個が配設されている。また、モード表示灯8は、例えば赤色光を放射する発光ダイオード(LED)である。
【0034】
制御端末装置6は、ユニットに形成されて器具本体4の内部に配設され、図2に示すように、制御装置14、記憶装置15、点灯回路部16および電源部17を有して構成されている。
【0035】
記憶装置15は、周波数(変調周波数)が所定のアルゴリズムで変化する可視光信号を記憶している。すなわち、アドレス#1の照明器具2の記憶装置15には、図4(a)に示すように、可視光に5kHzの周波数を重畳させる可視光信号S1と、15kHzの周波数を重畳させる可視光信号S2と、25kHzの周波数を重畳させる可視光信号S3とからなり、可視光信号S1〜S3の順序で組み合わせた可視光信号Saを記憶している。そして、可視光信号S1は、可視光に例えば20ミリ秒の期間内に3周期(600マイクロ秒)重畳される。同様に、可視光信号S2は、例えば6.7ミリ秒の期間内に3周期(200マイクロ秒)重畳され、可視光信号S3は、例えば4ミリ秒の期間内に3周期(120マイクロ秒)重畳されるものである。
【0036】
また、アドレス#2の照明器具2の記憶装置15には、図4(b)に示すように、可視光信号S1、可視光信号S3および可視光信号S2の順序で組み合わせた可視光信号Sbを記憶している。また、アドレス#3の照明器具2の記憶装置15には、図4(c)に示すように、可視光信号S2、可視光信号S3および可視光信号S1の順序で組み合わせた可視光信号Scを記憶している。そして、アドレス#4以降の照明器具2の記憶装置15には、順次、可視光信号Sa、可視光信号Sbおよび可視光信号Scが記憶されている。
【0037】
上述したように、アドレス#1〜#3のそれぞれの照明器具2の記憶装置15に記憶されている可視光信号Sa〜Scは、互いに異なっている。そして、アドレス#2の照明器具2は、アドレス#1およびアドレス#3の照明器具2と隣接し、その照明光(可視光)の一部がアドレス#1およびアドレス#3の照明器具2からの照明光と重なり合っている。このように、少なくとも隣接する照明器具2のそれぞれの記憶装置15に記憶している可視光信号S1〜S3の組み合わせが互いに異なるようにしている。すなわち、照明器具2は、それぞれ異なるアルゴリズムで周波数が変化する可視光信号Sa〜Scを出力する。
【0038】
また、各照明器具2の記憶装置15は、器具本体4(照明器具2)に付与されたアドレス、照明用制御信号に対する調光比率、照明器具2が設置された年月日、光源の種類および累積点灯時間などの各種データを記憶している。これらの各種データは、通信用情報となるものである。
【0039】
制御装置14は、マイコンを有して形成され、受光装置5から出力された制御信号が入力される。そして、当該制御信号が照明用制御信号であるときには、当該照明用信号に応じて点灯回路部16を制御し、光源7の点灯状態を制御するように形成されている。すなわち、照明用制御信号が点灯信号であるときには、光源7を点灯させ、消灯信号であるときには、光源7を消灯させ、調光信号であるときには、光源7を調光点灯させるように制御するものである。また、制御装置14は、内部タイマーを備え、光源7の累積点灯時間を計時して、記憶装置15に記憶させる。
【0040】
そして、制御装置14は、入力した制御信号が通信用制御信号(全ての照明器具2に共通)であるときには、記憶装置15から可視光信号Sa〜Scを読み出し、光源7から放射される可視光に可視光信号Sa〜Scが重畳されるように点灯回路部16を制御することにより光源7を制御するものである。すなわち、アドレス#1の照明器具2の制御装置14は、図4(a)に示すように、可視光に可視光信号S1、可視光信号S2および可視光信号S3を順次重畳させる。また、アドレス#2の照明器具2の制御装置14は、図4(b)に示すように、可視光に可視光信号S1、可視光信号S3および可視光信号S2を順次重畳させる。また、アドレス#3の照明器具2の制御装置14は、図4(c)に示すように、可視光に可視光信号S2、可視光信号S3および可視光信号S1を順次重畳させる。
【0041】
光源7から放射される可視光に可視光信号S1〜S3が重畳されると、図4(a)〜図4(c)に示すように、可視光の光出力が可視光信号S1〜S3の周波数(5kHz〜25kHz)に同期して変動する。制御装置14は、可視光の光出力に可視光信号S1〜S3の周波数が発生するように点灯回路部16を制御するものである。こうして、制御装置14は、記憶装置15に記憶されている組み合わせの可視光信号Sa〜Sc(可視光信号S1〜S3)を順次光源7から放射される放射光に重畳させることにより、通信用情報を送信させる。通信用情報が送信されているとき、制御装置14によりモード表示灯8が点灯される。
【0042】
点灯回路部16は、入力端子9,9を介して電源線10に接続され、商用交流電源Vsから交流電力を入力する。そして、制御装置14の制御により、入力した交流電力を所定の直流電力に変換し、この直流電力により光源7を点灯させるとともに、光源7から可視光信号S1〜S3が送信されるように光源7を制御するものである。可視光信号S1〜S3を送信するときには、当該可視光信号S1〜S3を周波数5kHz〜25kHzで出力するように、光源7に直流電力を供給する。
【0043】
電源部17は、入力端子9,9を介して電源線10に接続され、商用交流電源Vsからの交流電源を直流電源に変換して、当該直流電源を制御装置14などに供給して動作させる。
【0044】
そして、受信装置3は、手で持って移動可能な大きさに形成されたリモコン装置であり、図3に示すように、モード切替スイッチ18、操作スイッチ19、可視光信号を受信する受信部としての送受信部20、記憶部21、接続部22、表示部23、電源部24および制御部25を有して構成されている。
【0045】
モード切替スイッチ18は、受信装置3から通信用制御信号を送信させるためのスイッチであり、例えば1個の操作スイッチ(操作ボタン)からなっている。手動操作によりモード切替スイッチ18を押下することにより、受信装置3から通信用制御信号が送信されるものである。
【0046】
操作スイッチ19は、受信装置3から照明用制御信号を送信させるためのスイッチであり、複数個の例えば操作ボタンからなっている。操作スイッチ19には、数字0〜9、#や*などが表示されている。手動操作により操作スイッチ19を押下することにより、受信装置3から当該操作スイッチ19に対応付けられた照明器具2のアドレスを有する照明用制御信号を送信させるものである。
【0047】
送受信部20は、制御部25の制御により、通信用制御信号または照明用制御信号を無線信号で送信する送信部と、照明器具2から送信された可視光信号S1〜S3を受信する受信部とにより形成されている。
【0048】
記憶部21は、照明器具2のアドレスと操作スイッチ19との対応付けをテーブルで記憶しているとともに、照明器具2とのアドレスと、当該アドレスの照明器具2の記憶装置15に記憶している可視光信号S1〜S3の組み合わせとを対応付けたテーブルで記憶している。また、記憶部19は、照明器具2から送信された通信用情報などの各種データを記憶するものである。
【0049】
接続部22は、外部の表示装置や音声装置などに接続される。そして、制御部25の制御により、記憶部21に記憶させた通信用情報などを外部の表示装置や音声装置などに出力する。表示部23は、制御部25の制御により、照明器具2から送信された通信用情報などを表示するように形成されている。電源部24は、乾電池または太陽電池を有して形成され、制御部25などに直流電源を供給して動作させる。
【0050】
そして、制御部25は、マイコンを有して形成され、送受信部20から通信用制御信号または照明用制御信号を送信させる。すなわち、モード切替スイッチ18が一度押下されると、送受信部20から通信用制御信号を無線信号で送信させる。また、操作スイッチ19が押下されると、記憶部21から当該操作スイッチ19対応した照明器具2のアドレスを読み出し、当該アドレスを付与した照明用制御信号を演算生成して送受信部20から無線信号で送信させる。照明用制御信号は、操作スイッチ19が一度押下されると、光源7を例えば消灯状態から点灯させ、操作スイッチ19が再度押下されると、光源7を例えば点灯状態から消灯させる反転制御信号である。
【0051】
また、制御部25は、送受信部20が受信した可視光信号S1〜S3を入力し、当該可視光信号S1〜S3から通信用情報を復調するように形成されている。すなわち、モード切替スイッチ18が押下された後、通信用情報を入手する照明器具2のアドレスの数字を、当該数字を有する番号の操作スイッチ19を押下して入力する。これにより、制御部25は、記憶部21に記憶されている可視光信号S1〜S3の組み合わせからなり、周波数が所定のアルゴリズムで変化する可視光信号Sa〜Scを読み出すものである。
【0052】
例えば、制御部25は、番号1の操作スイッチ16を押下すると、図4(a)に示したように、記憶部21から可視光信号S1、可視光信号S2および可視光信号S3の順序で組み合わされた可視光信号Saを読み出す。同様に、番号2の操作スイッチ16を押下すると、図4(b)に示したように、記憶部21から可視光信号S1、可視光信号S3および可視光信号S2の順序で組み合わされた可視光信号Sbを読み出し、番号3の操作スイッチ16を押下すると、図4(c)に示したように、記憶部21から可視光信号S2、可視光信号S3および可視光信号S1の順序で組み合わされた可視光信号Scを読み出す。
【0053】
そして、制御部25は、送受信部20が受信した可視光信号S1〜S3の周波数、受信順序や受信タイミングを解析し、その可視光信号S1〜S3の組み合わせが記憶部21から読み出した可視光信号Sa〜Scと一致すると判断すると、当該可視光信号S1〜S3の組み合わせからなる可視光信号Sa〜Scを入力する。
【0054】
そして、可視光信号S1〜S3のそれぞれの送信期間を4等分した期間(1シンボル期間)が送信期間のどの位置であるかによってデジタル値を演算する。例えば、可視光信号S1が、図5(a)に示すように、送信期間(20ミリ秒)の1番目のシンボル期間で受信されると、デジタル値(デジタルデータ)0、1を演算する。同様に、図5(b)に示すように、2番目のシンボル期間で受信されると、デジタル値1、1を演算し、図5(c)に示すように、3番目のシンボル期間で受信されると、デジタル値1、0を演算し、図5(d)に示すように、4番目のシンボル期間で受信されると、デジタル値0、0を演算する。可視光信号S2および可視光信号S3に対しても、図5(a)〜図5(b)と同様に、それぞれデジタル値をする。
【0055】
そして、順次入力する可視光信号Sa〜Scに基づいて演算したデジタル値の組み合わせにより通信用情報の文字などを復調するものである。制御部25は、復調した通信用情報を記憶部21に記憶させるとともに、表示部23に表示させる。
【0056】
次に、本発明の実施例1の作用について述べる。
【0057】
各照明器具2の記憶装置15に記憶されている通信用情報を入手するときは、各照明器具2の光源7を点灯させる。そして、受信装置3のモード切替スイッチ18を一度押下すると、受信装置3から通信用制御信号が送信される。当該通信制御信号は、各照明器具2の受光装置5により受信されて制御装置14に入力される。
【0058】
制御装置14は、通信用制御信号を入力すると、記憶装置15に記憶されている可視光信号S1〜S3のアルゴリズムおよび通信用情報を読み出し、通信用情報を変調するとともに点灯回路部16を制御して、光源7から放射される可視光に可視光信号S1〜S3を順次重畳させ、通信用情報を送信する。
【0059】
アドレス#1の照明器具2は、図4(a)に示すように、可視光信号S1、可視光信号S2および可視光信号S3の順序で順次送信され、かつ可視光信号S1、可視光信号S2および可視光信号S3の順序の組み合わせ(可視光信号Sa)で通信用情報を送信する。また、アドレス#2の照明器具2は、図4(b)に示すように、可視光信号S1、可視光信号S3および可視光信号S2の順序で順次送信され、かつ可視光信号S1、可視光信号S3および可視光信号S2の順序の組み合わせ(可視光信号Sb)で通信用情報を送信する。
【0060】
また、アドレス#3の照明器具2は、図4(c)に示すように、可視光信号S2、可視光信号S3および可視光信号S1の順序で順次送信され、かつ可視光信号S2、可視光信号S3および可視光信号S1の順序の組み合わせ(可視光信号Sb)で通信用情報を送信する。そして、アドレス#4以降の照明器具2は、順次、アドレス#1〜#3の照明器具2と同様に通信用情報を送信する。こうして、全ての照明器具2から同時に可視光信号S1〜S3が送信される。
【0061】
そして、アドレス#1の照明器具2の通信用情報を入手するときには、当該照明器具2の下に受信装置3を移動させる。受信装置3の送受信部20は、可視光の光出力の変動周波数により可視光信号S1〜S3を受信する。そして、アドレス#1の照明器具2に対応している番号1の操作スイッチ19を押下すると、制御部25は、モード切替スイッチ18が押下された後であるので、記憶部21に記憶されているアドレス#1の照明器具2に対応する可視光信号S1、可視光信号S2および可視光信号S3の順序で組み合わせた可視光信号Saを読み出す。
【0062】
受信装置3がアドレス#1の照明器具2の直下の領域に位置すると、送受信部20が当該照明器具2から受信した可視光信号S1〜S3は、当該領域に照明器具2以外の電気機器などから可視光信号が送信されていない限り、記憶部21から読み出した可視光信号Saと一致することになるので、制御部25に入力される。
【0063】
そして、受信装置3は、アドレス#1の照明器具2からの照明光と、隣接するアドレス#2の照明器具2からの照明光が互いに重複する領域に位置していると、その送受信部20は、アドレス#1の照明器具2から送信された可視光信号S1〜S3の組み合わせ(可視光信号Sa)と、アドレス#2の照明器具2から送信された可視光信号S1〜S3の組み合わせ(可視光信号Sb)とを同時に受信する。ここで、制御部25は、記憶部21から読み出した可視光信号Saと一致するアドレス#1の照明器具2から送信された可視光信号S1〜S3の組み合わせ(可視光信号Sa)を入力し、アドレス#2の照明器具2から送信された可視光信号S1〜S3の組み合わせ(可視光信号Sb)を入力しない。
【0064】
制御部25は、順次入力する可視光信号S1〜S3に対して、図5(a)〜図5(d)に示すように、4シンボル期間の位置に応じてデジタル値を演算し、通信用情報を復調する。この復調した通信用情報は、記憶部21に記憶されるとともに、表示部23に表示される。こうして、アドレス#1の照明器具2から送信された通信用情報例えば照明器具2の設置の年月日、光源7の種類や累積点灯時間などの各種データを入手することができる。
【0065】
そして、アドレス#2の照明器具2の通信用情報を入手するときには、当該照明器具2の下に受信装置3を移動させるとともに、アドレス#2の照明器具2に対応している番号2の操作スイッチ19を押下する。制御部25は、記憶部21に記憶されているアドレス#2の照明器具2に対応する可視光信号S1、可視光信号S3および可視光信号S2の順序で組み合わせた可視光信号Sbを読み出す。
【0066】
受信装置3がアドレス#2の照明器具2の直下の領域に位置していると、送受信部20が当該照明器具2から受信した可視光信号S1〜S3は、記憶部21から読み出した可視光信号Sbと一致することになるので、制御部25に入力される。
【0067】
そして、受信装置3は、アドレス#2の照明器具2からの照明光と、隣接するアドレス#1の照明器具2からの照明光が互いに重複する領域に位置していると、その送受信部20は、アドレス#2の照明器具2から送信された可視光信号S1〜S3の組み合わせ(可視光信号Sb)と、アドレス#1の照明器具2から送信された可視光信号S1〜S3の組み合わせ(可視光信号Sa)とを同時に受信する。ここで、制御部25は、記憶部21から読み出した可視光信号Sbと一致するアドレス#2の照明器具2から送信された可視光信号S1〜S3の組み合わせ(可視光信号Sb)を入力し、アドレス#1の照明器具2から送信された可視光信号S1〜S3の組み合わせ(可視光信号Sa)を入力しない。
【0068】
また、受信装置3は、アドレス#2の照明器具2からの照明光と、隣接するアドレス#3の照明器具2からの照明光が互いに重複する領域に位置していると、その送受信部20は、アドレス#2の照明器具2から送信された可視光信号S1〜S3の組み合わせ(可視光信号Sb)と、アドレス#3の照明器具2から送信された可視光信号S1〜S3の組み合わせ(可視光信号Sc)とを同時に受信する。ここで、制御部25は、記憶部21から読み出した可視光信号Sbと一致するアドレス#2の照明器具2から送信された可視光信号S1〜S3の組み合わせ(可視光信号Sb)を入力し、アドレス#3の照明器具2から送信された可視光信号S1〜S3の組み合わせ(可視光信号Sc)を入力しない。
【0069】
そして、制御部25は、順次入力する可視光信号Sbからデジタル値を演算して通信用情報を復調し、記憶部21に記憶されるとともに、表示部23に表示される。こうして、アドレス#2の照明器具2から送信された通信用情報を入手することができる。
【0070】
以下、上記同様にして、アドレス#3以降の照明器具2からの通信用情報を入手することができる。
【0071】
上述したように、隣接する各照明器具2から送信される可視光信号S1〜S3の組み合わせが互いに異なり、受信装置3は、送受信部20が受信した可視光信号S1〜S3の組み合わせに対して、記憶部21に記憶されている各照明器具2に対応した可視光信号S1〜S3の組み合わせのうちの通信用情報を入手する所望の照明器具2に対応している可視光信号S1〜S3の組み合わせと一致する可視光信号S1〜S3のみを入力して通信用情報を復調する構成であるので、所望の照明器具2からの通信用情報を容易にかつ信頼性よく入手することができる。
【0072】
そして、全ての照明器具2から同時に通信用情報を送信させ、受信装置3により当該通信用情報を順次入手可能であるので、照明器具2から送信される通信用情報を迅速に入手することができる。すなわち、受信装置3のモード切替スイッチ18を押下したときに、アドレスを付与した通信用制御信号を送信させ、所望の照明器具2から通信用情報を送信させることが可能である。しかし、この場合には、受信装置3を移動させるごとに受信装置3からアドレスを付与した通信用制御信号を送信させることになるので、通信用情報の入手に手間と時間を要するものである。また、通信用制御信号にアドレスを付与するときに通信用情報を入手したい所望の照明器具2に隣接する照明器具2のアドレスを誤って付与することが想定されて、通信用情報の入手に対する信頼性が低下するものである。
【0073】
そして、照明器具2から可視光に重畳されて順次送信される可視光信号S1〜S3の組み合わせは、周波数が一定のアルゴリズムで変化する可視光信号の比較的少ない数量で構成でき、受信装置3は、記憶部21に可視光信号S1〜S3の組み合わせを記憶し、所望の照明器具2から送信された可視光信号S1〜S3の組み合わせのみを入力する簡易な構成であるので、可視光通信システム1を安価にすることができる。
【0074】
また、可視光信号の周波数の範囲は、制限されているので、可視光信号を可視光信号S1〜S3の組み合わせで構成し、その組み合わせを変えることにより、使用可能な多数の可視光信号を得ることができる。すなわち、可視光信号を周波数の変化のみで構成すると、可視光信号の数量が限定的であるが、可視光信号S1〜S3を組み合わせることにより、可視光信号の選択を向上させることができる。そして、当該選択の可視光信号をユーザー毎に割り当てることにより、ユーザーを区別することができる。また、可視光信号が可視光信号S1〜S3の組み合わせで構成することにより、可視光信号がユーザー等によって解析しにくくなり、可視光通信システム1のセキュリテイーが向上する。
【0075】
なお、照明器具2は、受信装置3から送信された通信用制御信号に応じて通信用情報を送信させるように構成したが、これに限らず、他の制御装置からの有線信号や無線信号、電力線通信またはLANなどに応じて通信用情報を送信してもよく、また、常時または設定された時刻に通信用情報を送信するように構成されたものであってもよい。
【0076】
また、可視光信号Sa〜Scは、照明器具2の記憶装置15および受信装置21の記憶部21に記憶させるように可視光通信システム1を構成したが、これに限らず、他の制御装置からの有線通信や無線通信、電力線通信またはLANなどから送信されるようにしてもよい。
【実施例2】
【0077】
図6ないし図8は、本発明の実施例2を示し、図6は可視光通信システムの概略構成図、図7は照明器具の構成を示す概略ブロック図、図8は受信装置の構成を示す概略ブロック図である。なお、図1ないし図4と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0078】
図6に示す可視光通信システム26は、照明器具27および受信装置28を有する通行制御システムに構成されている。照明器具27は、複数個からなり、それぞれ例えば建物の壁面、コンクリート壁、ポール(支柱)、歩道橋やアームなどに取り付けられている。各照明器具27は、光源7から放射された可視光が互いに重複しないものである。
【0079】
そして、照明器具27は、図7に示すように、図2に示す照明器具2において、受光装置5が除去された構成となっている。その記憶装置15は、周波数が所定のアルゴリズムで変化する可視光信号を複数個記憶している。すなわち、図4において説明したように、可視光信号S1、可視光信号S2および可視光信号S3の順序で組み合わせた可視光信号Sa、可視光信号S1、可視光信号S3および可視光信号S2の順序で組み合わせた可視光信号Sb、可視光信号S2、可視光信号S3および可視光信号S1の順序で組み合わせた可視光信号Scなど、複数個の互いに異なる可視光信号の組み合わせを記憶している。
【0080】
また、記憶装置15は、人や自動車などを誘導、案内するための複数の通信用情報を記憶している。通信用情報は、例えば左折、直進、右折、停止などである。
【0081】
そして、各照明器具27の制御装置15は、それぞれ独立して、所定の周波数でアルゴリズムが変化する可視光信号Sa〜Scを複数、順次可視光に重畳させて、複数の通信用情報を送信するように光源7を制御する。例えば、照明器具27Aは、可視光信号S1、可視光信号S2および可視光信号S3の組み合わせ(可視光信号Sa)を順次可視光に重畳させて、例えば「左折」の通信用情報を送信させる。また、可視光信号S1、可視光信号S3および可視光信号S2の組み合わせ(可視光信号Sb)を順次可視光に重畳させて、例えば「直進」の通信用情報を送信させる。また、可視光信号S2、可視光信号S3および可視光信号S1の組み合わせ(可視光信号Sc)を順次可視光に重畳させて、例えば「右折」の通信用情報を送信させる。以下、同様にして、他の通信用情報を送信させる。
【0082】
そして、照明器具27Bは、可視光信号Sa、可視光信号Sb、可視光信号Scにより、それぞれ例えば「直進」、「直進」、「左折」の通信用情報を送信させる。また、照明器具27Cは、可視光信号Sa、可視光信号Sb、可視光信号Scにより、それぞれ例えば「右折」、「左折」、「直進」の通信用情報を送信させる。以下の照明器具27も同様にして、通信用情報を送信させる。各照明器具7の制御装置14は、常時、通信用情報を送信させている。
【0083】
受信装置28は、複数個からなり、図8に示すように、図3に示す受信装置32において、モード切替スイッチ18、操作スイッチ19および接続部22が除去された構成となっている。また、送受信部20の送信部が除去されて、受信部29が設けられている
【0084】
そして、各受信装置28の記憶部21は、互いに異なる一つのアリゴリズムの可視光信号を記憶している。例えば、受信装置28Aは、可視光信号S1、可視光信号S2および可視光信号S3の順序で組み合わせた可視光信号Saのみを記憶し、受信装置28Bは、可視光信号S1、可視光信号S3および可視光信号S2の順序で組み合わせた可視光信号Sbのみを記憶し、受信装置28Cは、可視光信号S2、可視光信号S3および可視光信号S1の順序で組み合わせた可視光信号Scのみを記憶している。以下の受信装置28においても、同様に互いに異なる一の可視光信号の組み合わせのみを記憶している。このように、各受信装置28は、それぞれの記憶部21に記憶している可視光信号の組み合わせが互いに異なっているものである。
【0085】
次に、本発明の実施例2の作用について述べる。
【0086】
受信装置28Aが照明器具27Aの可視光の照射範囲に移動すると、受信装置28Aの受信部29は、照明器具27Aから送信された通信用情報のそれぞれの可視光信号Sa、Sb、Sc、…を受信する。受信装置28Aの制御部25は、記憶部21に記憶されている可視光信号Saに基づいて、受信部29が受信した可視光信号Sa、Sb、Sc、…のうち、可視光信号Saを入力して通信用情報を復調する。表示部23には、「左折」の通信用情報が表示される。人や自動車などは、「左折」の表示にしたがって移動する。
【0087】
また、受信装置28Bが照明器具27Aの可視光の照射範囲に移動すると、制御部25は、受信部29が受信した可視光信号Sa、Sb、Sc、…のうちの可視光信号Sbを入力して通信用情報を復調する。表示部23には、「直進」の通信用情報が表示され、人や自動車などは、「直進」の表示にしたがって移動する。
【0088】
また、受信装置28Cが照明器具27Aの可視光の照射範囲に移動すると、制御部25は、受信部29が受信した可視光信号Sa、Sb、Sc、…のうちの可視光信号Scを入力して通信用情報を復調する。表示部23には、「左折」の通信用情報が表示され、人や自動車などは、「左折」の表示にしたがって移動する。
【0089】
そして、受信装置28Aが照明器具27Bの可視光の照射範囲に移動すると、受信部29は、照明器具27Bから送信された通信用情報のそれぞれの可視光信号Sa、Sb、Sc、…を受信する。受信装置28Aの制御部25は、記憶部21に記憶されている可視光信号Saに基づいて、受信部29が受信した可視光信号Sa、Sb、Sc、…のうち、可視光信号Saを入力して通信用情報を復調する。照明器具27Bにおいて、可視光信号Saは、通信用情報の「直進」に対応付けられ、当該「直進」の通信用情報を送信するものであるので、受信装置28Aの表示部23には、「直進」の通信用情報が表示される。人や自動車などは、「直進」の表示にしたがって移動する。
【0090】
そして、受信装置28Aが照明器具27Cの可視光の照射範囲に移動すると、受信部29は、照明器具27Cから送信された通信用情報のそれぞれの可視光信号Sa、Sb、Sc、…を受信する。受信装置28Aの制御部25は、記憶部21に記憶されている可視光信号Saに基づいて、受信部29が受信した可視光信号Sa、Sb、Sc、…のうち、可視光信号Saを入力して通信用情報を復調する。照明器具27cにおいて、可視光信号Saは、通信用情報の「右折」に対応付けられ、当該「右折」の通信用情報を送信するものであるので、受信装置28Aの表示部23には、「右折」の通信用情報が表示される。人や自動車などは、「右折」の表示にしたがって移動する。
【0091】
このように、受信装置28が照明器具27の可視光の照射範囲に移動すると、受信装置28の表示部23に通信用情報が表示され、人や自動車は、通信用情報の表示にしたがって移動することができる。
【0092】
上述したように、受信装置28は、それぞれの記憶部21に記憶している可視光信号の組み合わせSa、Sb、Sc、…が互いに異なり、その一の受信装置28が照明器具27から送信された組み合わせの可視光信号S1〜S3を入力して通信用情報を入手するので、照明器具27から送信される通信用情報を入手する専用の受信装置28を設けることができる。
【0093】
なお、各照明器具27は、通信用情報を複数個送信させるように構成したが、1個の通信用情報を送信するものであってもよい。この場合、少なくとも隣接する照明器具27は、可視光に重畳する可視光信号の組み合わせSa、Sb、Sc、…を互いに異ならせることにより、可視光の照射範囲が重複するようにしても配設することができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の可視光通信システム1は、屋内または屋外に設置される照明器具により、情報提供装置、誘導装置や案内装置として適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1,26…可視光通信システム 2,27…照明器具 3,28…受信装置 4…器具本体 14…制御装置 20…受信部を構成する送受信部 25…制御部 29…受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光を放射する光源を配設している器具本体および周波数が所定のアルゴリズムで変化する可視光信号を前記可視光に重畳するように前記光源を制御する制御装置を有して構成された照明器具と; 可視光信号を受信する受信部および前記アルゴリズムで変化する可視光信号を復調する制御部を有して構成された受信装置と;を具備していることを特徴とする可視光通信システム。
【請求項2】
互いに異なるアルゴリズムで周波数が変化する可視光信号を可視光に重畳する複数の照明器具を有し、前記受信装置は、前記異なるアルゴリズムで周波数が変化する可視光信号の少なくとも一つを復調することを特徴とする請求項1記載の可視光通信システム。
【請求項3】
前記受信装置を複数個有し、その複数個の受信装置は、それぞれが異なるアルゴリズムで周波数が変化する可視光信号を復調することを特徴とする請求項1または2記載の可視光通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−193365(P2010−193365A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37922(P2009−37922)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】