説明

可視光選択的透過領域を有する眼内レンズの製造方法

【課題】レンズのジオプターと共に変化しない青色光ブロック化合物の均一な分布を持つ眼内レンズの製造方法を提供する。
【解決手段】くぼみを有するポリマー構造体を形成し、くぼみに可視光吸収性染料を充填し、ポリマー構造体及び可視光吸収性染料を含むくぼみをポリマーで被覆して、染料含有ポリマー構造体を形成し、染料含有ポリマー構造体を加工して眼内レンズを形成する。又はトップ表面を有するポリマー構造体を第1ポリマーから形成し、ポリマー構造体のトップ表面にくぼみを形成し、くぼみに可視光吸収性染料を充填し、ポリマー構造体のトップ表面及び可視光吸収性染料を含むくぼみを第1ポリマーで被覆して、染料含有ポリマー構造体を形成し、染料含有ポリマー構造体を眼内レンズに成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類への移植に適した眼内レンズ(IOL)の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、IOL内に可視光選択的透過領域を形成するための、少なくとも1種の光吸収性染料、表面被覆又は他の手段を含むレンズ内に規定された領域を有するIOLの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの眼には、視力にとって重要であり、年齢とともに劣化する主要な3つの構造がある。即ち、水晶体(100)、角膜(102)及び網膜(104)である(図1参照)。網膜は、眼の後方を覆っている多層知覚組織である。網膜は、光線を捕捉して電気的刺激に変換する多数の光受容体を含む。この刺激は、視神経(106)を通って脳に運ばれ、脳で像に変換される。網膜には、2種の光受容体、即ち桿体と錐体がある。網膜は、約600万個の錐体を含む。錐体は、黄斑部(中心部の視力を担う網膜の部分)に含まれる。錐体は、中心窩(黄斑部の最も中心部分)内に最も密に充填されている。錐体は、明るい光中で最もよく機能し、色を認識するのを可能にする。桿体は約1億2500万個ある。桿体は、網膜周辺部全体に広がっており、薄暗い光中で最もよく機能する。桿体は、周辺及び夜間の視力を担う。網膜は、視力にとって不可欠であるが、無防備に可視光及び近可視光に長時間曝されると、容易に損傷を受ける。網膜の光誘起性病変には、類嚢胞黄斑部浮腫、日蝕性網膜炎、眼メラノーマ及び加齢黄斑変性症(ARMD)が含まれる。光誘起網膜損傷は、構造的、熱的及び光化学的損傷に分類され、光への暴露時間、光の強さ及び波長により、ほぼ決定される(W. T. Ham, 1983, Journal of Occupational Medicine, 25:2 101-102)。
【0003】
健康な成人の場合、網膜は、通常、角膜及び水晶体を含む外部眼構造により、最も激しい形態の光誘起損傷から保護されている。角膜は、虹彩の前に位置する、透明なタンパク質眼組織であり、環境に直接暴露される唯一の眼の組織である。角膜は、デリケートな内部構造を損傷から保護するのに不可欠であり、水性媒体を通して水晶体への光の透過を促進する。角膜は、第1の光フィルターであり、従って、角膜−結膜疾患、例えば翼状片、飛沫気候性角膜症及び瞼裂斑を含む過度の光露出関連損傷を、非常に受けやすい。健康な眼では、水性媒体と共に、短紫外線(UV)−B及びUV−C領域(約320λ以下)の波長を吸収又はブロックする(本明細書では、λを、ナノメートル単位で光の波長を表すのに用いる。)
【0004】
水晶体は、虹彩及び角膜の背後に存在する調整できる生物学的レンズであり、遠くのイメージ及び近くのイメージのどちらをも網膜上に集束させる。自然の水晶体は、近紫外線(UV−A)(320λ〜400λ)が網膜に達するのをブロックする。従って、有害なUV−A、B及びC放射線のほとんどは、損傷を受けていない水晶体及び角膜を持つ健常なヒトでは、網膜に届かない。即ち、通常の哺乳類の眼では、400λ〜1400λの範囲の波長のみが、網膜に到達し得る。しかしながら、紫色ないし青色の光(約400λ〜約515λ)の高い透過水準は、網膜の損傷、黄斑変性症、網膜色素変性症及び夜盲症に関連づけられてきた。加えて、青色光は、大気中、特にかすみ、霧、雨及び雪の中で散乱される傾向にあり、場合により、まぶしさを生じ、視力を低下させ得る。眼が老化すると、水晶体は、黄色がかった色を帯び始めるが、これは、視力に悪影響を与えないものの、近紫外線のほとんどを吸収する。即ち、自然の水晶体は、生涯にわたり眼のデリケートな網膜を近紫外線から守り、加齢とともに微妙に黄色化して、吸収されるより短波長の青色光の量が増す。
【0005】
自然の水晶体はまた、白内障のような加齢変性眼疾病に罹りやすい。白内障は、水晶体嚢内での水晶体タンパク質の凝固により生じる水晶体の濁りである。多くの眼科医は、白内障が、生存中のレンズへの酸化的損傷の結果発生し、喫煙、明るい光への過度の露出、肥満及び糖尿病により悪化する、と考えている。白内障は、ほとんどのヒトでゆっくり進行し、最終的に、視力が実質的に損なわれてほとんど又は全く盲目になる点に達する。このような患者では、水晶体の除去及び合成ポリマー製眼内レンズ(IOL)との交換が、正常な視力を回復する為の好ましい方法である。しかしながら、自然の水晶体を一旦除去すると、網膜は、有害な紫外線及び短波長青色光に対して保護されないままになる。従って、初期の合成眼内レンズには、紫外線吸収化合物、例えばベンゾフェノン及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が含まれていた。紫外線吸収化合物を含む眼内レンズは、一般的になり、実際上全ての眼内レンズがそうなった。更に、多くのベンゾフェノン及びベンゾトリアゾールは重合可能であり、それ故、ほとんどの現代的眼内レンズ組成物、例えばアクリレート、シリコーン、及び親水性ヒドロゲルコモノマー及びコポリマーと安定的に一体化できる。
【0006】
近年、老齢者の自然水晶体の青色光ブロック効果に近づけるため、青色光吸収性染料が、眼内レンズ材料に配合されるようになった。多くの眼内レンズ製造業者が、青色領域の可視光を吸収又はブロックする濃度で黄色染料を含むレンズを設計している。米国特許第4,390,676号は、約450λまでのUV/青色光を選択的に吸収する黄色染料を配合したポリメチルメタクリレート(PMMA)ポリマー製眼内レンズを記載している。米国特許第5,528,322号、同第5,543,504号及び同第5,662,707号(Alconへ譲渡)は、分子の染料とアクリル部分との間に不活性化学スペーサを有するアクリル官能化黄色アゾ染料を開示している。即ち、分子の青色光吸収部分は、レンズポリマーと重合された場合に生じる望ましくないカラーシフトから保護されている。更に、染料はアクリル官能化されているので、レンズポリマーと重合でき、従って、眼内レンズポリマーマトリックスに安定的に配合される。同様に、メニコン社の米国特許第6,277,940号及び同第6,326,448号は、上記Alcon 特許と構造的に類似したアクリル変性アゾ染料を開示している。HOYA社の米国特許第5,374,663号は、PMMAマトリックスに配合した非共有結合黄色染料(例えばソルベントイエロー16、29等)を開示している。加えて、HOYA社の米国特許第6,310,215号は、アクリル及びシリコーン眼内レンズでの使用に適したアクリル官能化ピラゾロン染料を開示している。
【0007】
しかしながら、上記又は他の従来技術の眼内レンズは、53歳の成人の水晶体における自然の黄色を模倣する濃度で、眼内レンズ材料全体に均一に分布された青色光ブロック染料を含んでいる。ところが、自然の水晶体とは異なり、眼内レンズは、特定の度数に旋盤加工及び成形されるので、眼内レンズは不均一な厚みを持つことになる。そうすると、青色光ブロック染料の有効量は、眼内レンズの厚みの関数となる。レンズ厚みがレンズ形状及び度数に依存して変化するので、青色光ブロック染料の有効量も、眼内レンズの各点で変化することになる。このことは、収縮した瞳孔が集まり、明るい光状態で集光するレンズ中心部の近くで特にそうである。更に、その表面も含めてレンズ全体が染料を含むので、眼の繊細な組織が染料に密着する。その結果、青色光ブロック染料に対して感受性の患者は、このような染料を含む青色光ブロックレンズの利益を享受することができない。加えて、ある患者は、長期の接触の後に、青色光ブロック染料に対して過敏になる。
【0008】
先に記載したように、従来技術の眼内レンズは、自然の老化した水晶体と同様、レンズ全体にわたって分布した黄色染料を含む。その結果、全ての光及び像は、網膜上に投影される前に、黄色のフィルターを通る。このことは、多くの場合、例えば、屋外スポーツ又は活動に携わる人々(スキーヤー、野球選手、フットボール選手、パイロット又は船員)にとっては、そのような職業や活動に必要とされる視力に影響し得る高水準の紫外線、青色光及び可視光線に暴露されるので、好ましい。自動車の運転手にとっても、明るい太陽光の下での運転条件におけるぎらつきを抑え、視力を増し、夜間のヘッドライトの眩しさを低減する必要がある。これらの特別な必要性に対し、可視光スペクトルの青色−紫外線端からスペクトルの赤色端までを含む可視光スペクトル全体で、光透過率を変化させることが必要であろう。しかしながら、日周期リズムおよびメラトニン分泌に関連しているような青色光波長から眼の内部が連続的に遮蔽されている場合に損なわれる視力に関係しない眼の機能がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,390,676号
【特許文献2】米国特許第5,528,322号
【特許文献3】米国特許第5,543,504号
【特許文献4】米国特許第5,662,707号
【特許文献5】米国特許第6,277,940号
【特許文献6】米国特許第6,326,448号
【特許文献7】米国特許第5,374,663号
【特許文献8】米国特許第6,310,215号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】W. T. Ham, 1983, Journal of Occupational Medicine, 25:2 101-102
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の目的は、レンズの度数(ジオプター)と共に変化しない青色光ブロック化合物の均一な分布を持つIOLの製造方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、繊細な眼の構造に密接に接触しない1種又はそれ以上の青色光ブロック化合物を含むIOLの製造方法を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、視力に無関係な眼の機能への干渉を最小限にし、明るい光条件下で青色光ブロック特性を最大限にするように、レンズの規定領域に限定された青色光ブロック特性を有するIOLの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、上記及び他の目的は、青色光(可視光)ブロック領域が、IOLの全体に分布しているのではなく、中心部分に局在化されており、青色光ブロック領域は青色光ブロック化合物を含まないポリマーにより囲まれている、眼内レンズ(IOL)を製造する方法を提供することにより、達成される。
【0015】
本発明のIOLの製造方法の1つは、
a)くぼみを有するポリマー構造体を形成し、
b)該くぼみに可視光吸収性染料を充填し、
c)該ポリマー構造体及び該可視光吸収性染料を含む該くぼみをポリマーで被覆して、染料含有ポリマー構造体を形成し、
d)該染料含有ポリマー構造体を加工して眼内レンズを形成する
ことを含んでなる。
本発明のIOLの別の製造方法は、
a)トップ表面を有するポリマー構造体を第1ポリマーから形成し、
b)該ポリマー構造体のトップ表面にくぼみを形成し、
c)該くぼみに可視光吸収性染料を充填し、
d)該ポリマー構造体のトップ表面及び該可視光吸収性染料を含むくぼみを該第1ポリマーで被覆して、染料含有ポリマー構造体を形成し、
e)該染料含有ポリマー構造体を眼内レンズに成形する
ことを含んでなる。
【0016】
本発明のIOLは、眼内レンズの製造での使用に適した生体適合性ポリマーから形成してよい。例えば、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)であるが、これに限定されない。また、フェニルエチルアクリレート(PEA)、フェニルエチルメタクリレート(PEMA)、メチルフェニルアクリレート、メチルフェニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)からなる非限定的な群から選択されるモノマーを用いて製造した他のポリマーを使用することもできる。更に、環中の窒素に隣接したカルボニル基を含む複素環式N−ビニル化合物、特にN−ビニルラクタム、例えばN−ビニルピロリドンが、本発明に従って使用するのに適している。加えて、本発明のIOLは、当技術分野で周知のように、少量の二官能性又は多官能性モノマーを用いて、架橋されていてもよい。代表的な架橋剤には、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートが含まれる。架橋剤は、典型的には、ジメタクリレート又はジアクリレートであるが、ジメタクリルアミドも知られている。
【0017】
可視光選択的透過領域を形成するのに使用される光吸収性染料は、可視光スペクトルの中の所定の波長を有する光を吸収することができる染料である。光吸収性染料の非限定的な例には、重合性アクリレート/メタクリレート基を有するアゾ染料に基づく重合性黄色染料、例えば米国特許第5,662,707号、特に第4欄第43行〜第10欄第3行に記載された染料が含まれる。他の適当な黄色染料には、メチン染料、ベンゼンスルホン酸,4-(4,5-ジヒドロ-4-((2-メトキシ-5-メチル-4-((2-(スルホキシ)エチル)スルホニル)フェニル)アゾ-3-メチル-5-オキソ-1H-ピラゾル-1-イル);[2-ナフタレンスルホン酸,7-(アセチルアミノ)-4-ヒドロキシ-3-((4-((スルホキシエチル)スルホニル)フェニル)アゾ-];[5-((4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ-4-ヒドロキシ-3-((1-スルホ-2-ナフタレニル)アゾ-2,7-ナフタレン-ジスルホン酸トリナトリウム塩];[銅,29H,31H-フタロシアニナト(2-)-N29,N30,N31,N32]-,スルホ((4-((2-スルホキシ)エチル)スルホニル)フェニル)アミノ)スルホニル誘導体];及び[2,7-ナフタレンスルホン酸,4-アミノ-5-ヒドロキシ-3,6-ビス((4-((2-(スルホキシ)エチル)スルホニル)フェニル)アゾ)-テトラナトリウム塩]などが包含される。これらの染料は、IOLポリマーに化学的に結合してレンズを非褪色性にし、染料が抽出されないようにする(即ち、レンズからブリード又は溶出しないようにする)ことができる反応性染料であるので、特に有益である。しかしながら、染料が重合性又はIOLポリマーに結合性であることは必須ではなく、例えばSolvent Yellowのような染料も、染料が光の所望波長を吸収できるなら、本発明に従って使用することができる。
【0018】
本発明のIOLは、光吸収性染料がレンズの特定部分、好ましくは中心部分に局在するように製造される。このような特定の形状は、少なくとも2つの利点を有する。通常、光の強度が増すにつれ、瞳孔が収縮して、眼に入り、網膜に達する光の量を調節する。従って、明るい光環境では、本発明のIOLの光吸収性領域は、収縮した瞳孔の全体を覆う。反対に、より弱い光条件では、開いた瞳孔は、光吸収性領域により部分的にのみ覆われ、より完全なスペクトルの光が網膜に到達することができる。従って、本発明のIOLは、保護が最も必要な場合である高強度光条件下で網膜を最大に保護でき、一方、抑制された又は低い光条件下ではより完全なスペクトルの光が網膜に到達するのを可能にし、よって色の認知を向上することができる。
【0019】
本発明のIOLでは、光吸収性染料はIOL内部に隔離され、染料自体は眼の解剖学的構造又は生理液のいずれとも接触しない。この態様は、有機染料への長期の接触に関係した過敏の可能性を少なくし、より多種の染料の使用を許容する。
【0020】
本発明によれば、IOLは、本発明のために開発された製造手順により製造される。1つの態様において、くぼみが形成されたポリマーディスク又は「ボタン」を成形する。他の態様において、第2の工程で、ポリマーボタンにくぼみがドリルで作られる。そのようにして形成されたくぼみは、次いで、IOLを製造するに使用したのと類似又は同一のポリマーで充填されるが、くぼみに充填する前に、可視光吸収性染料がポリマーに添加され、混合される。くぼみを充填した後、レンズを旋盤にかけて、過剰な染料含有ポリマーを除去する。過剰なポリマー及び染料を除去した後、最後のポリマー被覆を染料含有IOLに適用する。これにより、染料はIOL内部に封入される。最後に、レンズを形仕上げして、所定の度数を有するIOLを得る。
【0021】
本発明の製造方法の予想外の1つの利点は、本発明に従って製造したIOLが、度数に関係なく均一な光吸収特性を有することである。レンズの度数は、レンズの寸法を変化することにより調節される。レンズ厚みが、所望の視力矯正を達成するためにレンズを成形する場合に最も一般的に変化させられる寸法である。即ち、光吸収性染料を構造ポリマー全体に均一に分布させる場合、光吸収性染料、従ってレンズの光吸収特性は、レンズの厚みに比例して変化する。その結果、このようにして形成されたレンズは、使用される度数の全範囲にわたって、全ての移植者に同じ水準の保護を提供しない。本発明の製造方法は、染料をレンズ内部に隔離し、全体に均一に分布しないので、このような問題を回避することができる。即ち、レンズを形成する場合、染料無含有構造ポリマーを除去し、光吸収性領域はどの度数でも一定のままに保つ。
【0022】
本発明に従って製造されたIOLの青色光ブロック性能は、表面処理により得られる。表面処理は、少なくとも1種の染料を含浸したポリマーの処理又は少なくとも1種の染料のみの使用である。別の種類の表面被覆は、薄い反射被膜である。表明処理は、所望の波長の有害な干渉を可能にするわずかに異なる屈折率を有する同等の材料の少なくとも1つの被膜からなっていてよい。このような表面処理は、成型、スピンキャスト、エッチング、化学蒸着、蒸着、又は他の表面処理技術を用いて行われる。
【0023】
本発明に従って製造されたIOLにおいて、透過する光の強度を脱焦点(ピンぼけ)又は変化させ、対象の網膜領域に向かう青色光の量を実質的に減少するように、回折技術を光学設計に応用することができる。
【0024】
本発明に従って製造されたIOLは、付加的な光吸収性染料、特に、紫外領域の光を吸収する染料、例えばベンゾフェノン及びベンゾトリアゾールなどを含んでいてもよい。
【0025】
更に、本発明に従って製造されたIOLは、異なる視力距離(vision distance)を矯正す異なるゾーンを有する多焦点レンズであってよい。選択的光透過が、これらゾーンの1つ又はそれ以上に適用され、明るい光に対して網膜に最大の保護を与え、少ない光の場合には最大の光透過又は焦点合わせを提供することができる。多焦点レンズでは、選択的光透過又は選択的光焦点合わせは、明るい光及び暗い光の両方において、多焦点レンズに付きまとうぎらつき及び光輪を低減しながら、視力を最適化するのにも採用できる。
【0026】
用語の説明
「青色ブロッカー」
本明細書で使用する場合、「青色ブロッカー」(青色ブロック手段)は、400〜550nmの波長範囲の電磁スペクトルの光の透過を吸収、反射又は他の形態で干渉する手段を意味する。「青色ブロッカー」の非限定的な例には、染料、表面被覆及び表面処理が含まれる。
【0027】
「度数」(ジオプター)
メートル単位で測定した焦点距離の逆数に等しい、レンズの屈折能の尺度。
【0028】
「可視光選択的透過領域」
本明細書で使用する場合、「可視光選択的透過領域」は、網膜に到達する電磁波の可視光範囲(400〜700nm)における光の量を減少する、レンズの少なくとも1領域(レンズ全体ではない)を有する眼内レンズ(IOL)(単焦点又は多焦点レンズ)の部分を意味する。このような領域は、光吸収性染料、被覆、回折パターン又は他の手段(これらの組み合わせも含む)を用いて形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ヒトの目の断面図である。
【図2】本発明の教示に従った有用な製造工程を示す。 図2Aは、アクリルボタンの製造工程を示す。 図2Bは、ボタンの中心部に2〜4mmのくぼみを形成する工程を示す。 図2Cは、染料含有アクリル材料により図2Bで形成したくぼみを充填する工程を示す。 図2Dは、充填したボタンを研磨して、過剰の染料含有アクリル材料を除去する工程を示す。 図2Eは、染料含有アクリル材料を透明レンズ級アクリルにより包囲する工程を示す。
【図3】図3Aは、内側青色光ブロックゾーンが供給された、本発明の方法により製造した単焦点IOLである。 図3Bは、内側近視力矯正ゾーン及び外側遠視力環状ゾーンを有する、本発明の方法により製造された多焦点IOLである。遠距離矯正内側ゾーン及び近距離矯正外側環状ゾーンの両方とも、可視光選択的透過領域を有するように描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、規定された可視光選択的透過領域を有する眼内レンズを含む。本発明の1つの態様では、可視光選択的透過領域は、400〜550nmの波長範囲の電磁放射線を吸収する少なくとも1種の染料(青色ブロッカー)を含有する。この態様では、レンズの中心部分が青色ブロッカーを含み、レンズの周辺部は含まない(図3A)。青色ブロッカーは、レンズ材料に固有であっても、レンズ表面に塗布されていてもよい。明るい光の場合、瞳孔は収縮するので、青色ブロッカーは有力な網膜保護を提供することができる。暗い光の場合、瞳孔は拡大し、全ての光が周辺部を通過することができる。暗い光の場合、網膜の保護はそれほど重要ではない。青色ブロッカーは、例えば、レンズの中央部、即ち2〜4.5mmの部分に保持され得るが、レンズ周辺部、即ち2.01mm〜6mm、又は4.5mm〜6mmの環状部分は、青色ブロッカーを含まなくてよい。暗い光の場合に2つの領域の間で色の認知に差が生じることがある。このような影響は、大多数の色受容体が網膜の中央領域(レンズの青色ブロック部分)にあり、網膜の周縁部は飽和又は「灰色の影」を決定するのにより優れている(非青色ブロックレンズ部分)ので、最小であり得る。
【0031】
可視光選択的透過領域を形成するのに使用される光吸収性染料は、可視光スペクトル範囲で所定の波長の光を吸収できる染料ならば、いずれの染料でもよい。光吸収性染料の非限定的な例には、重合性アクリレート/メタクリレート基を有するアゾ染料に基づく重合性黄色染料、例えば米国特許第5,662,707号、特に第4欄第43行〜第10欄第3行に記載された染料が含まれる。他の適当な黄色染料には、メチン染料、ベンゼンスルホン酸,4-(4,5-ジヒドロ-4-((2-メトキシ-5-メチル-4-((2-(スルホキシ)エチル)スルホニル)フェニル)アゾ-3-メチル-5-オキソ-1H-ピラゾル-1-イル);[2-ナフタレンスルホン酸,7-(アセチルアミノ)-4-ヒドロキシ-3-((4-((スルホキシエチル)スルホニル)フェニル)アゾ-];[5-((4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ-4-ヒドロキシ-3-((1-スルホ-2-ナフタレニル)アゾ-2,7-ナフタレン-ジスルホン酸トリナトリウム塩];[銅,29H,31H-フタロシアニナト(2-)-N29,N30,N31,N32]-,スルホ((4-((2-スルホキシ)エチル)スルホニル)フェニル)アミノ)スルホニル誘導体];及び[2,7-ナフタレンスルホン酸,4-アミノ-5-ヒドロキシ-3,6-ビス((4-((2-(スルホキシ)エチル)スルホニル)フェニル)アゾ)-テトラナトリウム塩]などが包含される。これらの染料は、IOLポリマーに化学的に結合してレンズを非褪色性にし、染料が抽出されないようにする(即ち、レンズからブリード又は溶出しないようにする)ことができる反応性染料であるので、特に有益である。しかしながら、染料が重合性又はIOLポリマーに結合性であることは必須ではなく、例えばSolvent Yellow のような染料も、染料が光の所望波長を吸収できるなら、本発明に従って使用することができる。
【0032】
本発明の好ましい態様では、青色光吸収性染料として、Eastman Chemicals からYellow 035 MA1として入手でき、下記式1の構造を有する黄色染料を使用する:
【化1】

【0033】
本発明のIOLは、生体適合性ポリマーから形成してよく、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)が含まれるが、これに限定されない。また、フェニルエチルアクリレート(PEA)、フェニルエチルメタクリレート(PEMA)、メチルフェニルアクリレート、メチルフェニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)からなる非限定的な群から選択されるモノマーを用いて製造した他のポリマーを使用することもできる。更に、環中の窒素に隣接したカルボニル基を含む複素環式N−ビニル化合物、特にN−ビニルラクタム、例えばN−ビニルピロリドンが、本発明に従って使用するのに適している。更にまた、シリコーンIOL及びアクリレート−シリコーンハイブリッドIOLも、本発明の範囲に包含される。加えて、本発明のIOLは、当技術分野で周知のように、少量のジ又は多官能性モノマーを用いて、架橋されていてもよい。代表的な架橋剤には、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートが含まれる。架橋剤は、典型的には、ジメタクリレート又はジアクリレートであるが、ジメタクリルアミドも知られている。本発明において使用するのに適した他のレンズ形成用モノマーには、米国特許第5,662,707号の第7欄第63行〜第8欄第40行に記載されているモノマーが包含される。また、米国特許第5,269,813号の第2欄14行〜第7欄第52行の記載、特に表1も参照することができる。
【0034】
本発明のIOLは、少なくとも1種の近紫外線(UV)吸収性化合物、例えばベンゾフェノン及びベンゾトリアゾールを含んでいてよい。適当な例は、米国特許第4,716,234号(特に、第3欄67行〜第10欄第24行参照)、同第4,963,160号(特に、第2欄第61行〜第4欄第19行参照)、同第5,657,726号(特に、第2欄第36行〜第4欄第67行参照)及び同第6,244,707号(特に、第3欄第50行〜第6欄第37行参照)に見出すことができる。
【0035】
1つの典型的ではあるが非限定的な態様では、本発明のIOLは、UV光を吸収するのに有効な量で配合された少なくとも1種のUV吸収性化合物を含むPMMAからなるハードIOLである。しかし、ハードPMMAIOLを例として本発明を説明するが、本発明はハードPMMAIOLに限定されない。例えば、本発明は、シリコーンIOL、アクリル−シリコーンハイブリッドIOL、及びソフトアクリルIOLにも同様に適している。当業者なら、本発明の教示を他のIOL構造ポリマーに簡単に適用できることを容易に理解するであろう。
【0036】
UV光の吸収に有効な量は、本明細書では、網膜に達し得る周囲の近紫外線の少なくとも50%をブロックするUV吸収剤の濃度として規定される。本発明の1つの態様において、UV光吸収性化合物は、最終ポリマー混合物中に、約0.01〜5.0質量%の範囲で存在していてよい。本発明のPMMAIOLは、青色光をブロックするのに有効な量の少なくとも1種の黄色染料を含む、IOLの中心近くに配置された可視光選択的透過ゾーンを有することもできる。青色光をブロックするのに有効な量は、本明細書では、網膜に到達得る周囲の青色光の少なくとも50%をブロックする青色光吸収化合物又は青色光吸収剤の濃度として規定される。本発明の1つの態様では、青色光ブロック化合物は、最終ポリマー混合物中に、約0.01〜5.0質量%の範囲で存在していてよい。本発明の1つの典型的な態様において、UV吸収性化合物は、0.75質量%の2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン及び0.25質量%の4-[(2,4-ジメチルフェニル)アゾ]-2,4-ジヒドロ-5-メチル-2-フェニル-3H-ピラゾロ-3-オンである。
【0037】
ここで、図2Aを参照すると、通常IOLのような形状のアクリルボタン又はディスクは、PMMA又は他の適当なレンズ級ポリマーから成形される。特定の形状を成形する方法及び適当なレンズ級ポリマーを配合する方法は共に、この技術分野では周知である。本発明の1つの態様では、レンズは、少なくとも25質量%から75質量%のPMMAから製造される。図2Bは、ポリマーIOLにくぼみを形成するところを示す。くぼみは、レンズを最初に製造する際に形成されても、あるいは、研磨又はドリル技術あるいは当業者に既知の他の方法によりレンズに形成されてもよい。図2Cでは、染料を含むレンズ級ポリマー、通常図2Aでレンズを製造したのと同じポリマー(ただし、同種ポリマーに限定されない)を、図2Bで形成したくぼみに加える。染料は青色光吸収性染料、通常黄色染料であり、レンズ級ポリマー中に約0.01〜5.0質量%、好ましくは1質量%未満の濃度で存在する。
【0038】
図2Dにおいて、過剰の染料含有レンズ級ポリマーは、旋盤又は他の適当な装置を用いて、除去される。次に、図2Eにおいて、透明なレンズ級ポリマー、通常は図2Aでレンズを形成するのに用いたのと同じポリマー(ただし、これに限定されない)を用いて、レンズを封止し、染料含有ポリマー部分をレンズの他の部分から分離する。最後に、レンズを加工してIOLを形成し、IOL表面の透明ポリマー部分を、下にある染料含有ポリマーを阻害せずまたは露出させずに、所定の度数に成形する。
【0039】
本明細書に記載したように、可視光選択的透過領域を含み、該可視光選択的透過領域はIOL全体より小さいIOLが提供される。本発明の1つの態様において、可視光選択的透過領域は、レンズ中心部近傍に配置され、有害な青色光の波長に網膜が暴露されるのを防止する。この態様では、最大の青色光ブロック効果は、瞳孔が収縮し、瞳孔の開いた部分全体がIOLの可視光選択的透過領域により覆われるような明るい光条件下で、発揮される。暗い光条件では瞳孔が開くので、より多くの青色光が瞳孔を通過して眼に入り、IOL移植者に青色光の有益な半透明(non-vision)効果を与える。更に、IOL移植者は、通例、可視光吸収性化合物に曝されない。
【0040】
図2は1つの例を示すにすぎない。本発明の別の態様は、構造ポリマー及び該構造ポリマー中に配置された可視光選択的透過領域を有し、可視光選択的透過領域は、IOLの中心近傍で独立した領域を形成する光吸収性染料である、IOLを包含する。この態様では、光吸収性染料は、独立領域内で濃度傾斜(階調)を形成し、傾斜は、独立領域の中心部で最大の光収性染料濃度を有し、独立領域の境界部で最小の光吸収性染料濃度を有する。
【0041】
他の態様において、IOLは、IOLの周縁を規定する外周部、前表面、後表面、及び該前表面と後表面と外周部とにより規定された可視光吸収領域を有し、可視光吸収領域は、染料を含み、該染料はIOLの周縁に達していない。別の態様では、染料は、IOLの前表面又は後表面に達していない。更に別の態様では、染料は、移植者の眼の解剖学的構造又は生理液に接触しない。
【0042】
図3Bは、本発明の別の態様を示す。多焦点IOLについて最も多い不満又は面倒なことは、明るい光源に露出された場合、暗い光輪が見えることである。光輪は、多焦点レンズにより作られる異なる焦点の像に起因する。多焦点ゾーンの1つに青色ブロッカーを使用すると、該ゾーンを透過する光の量を低減し、従って、該ゾーンにより作られる光輪を減少させることができる。
【0043】
1つの態様の屈折率多焦点レンズでは、レンズ300の第1のゾーン/中心部306の直径は2.1mmであり、遠距離矯正を行うように設計されている。第2のゾーン304は、内径2.1mm、外径3.4mmの環状であり、近見視力矯正を行うように設計されている。第1及び第2のゾーンは、青色ブロッカーを含み、明るい光に対して網膜を保護し、遠視力及び近視力を提供する。第3のゾーン308は、内径3.4mm、外径5.0mmの環状であり、遠距離矯正を行うように設計されているが、青色ブロッカーを含まないか、又は第1及び第2のゾーンよりもかなり低い濃度で青色ブロッカーを含んでおり、暗い又は中間の光条件で、全体が青色ブロック材料から作られている同様のレンズに比べ、より多くに光が眼に入るのを可能にする。第2のゾーン(2.1〜3.4mm)は青色ブロッカーを含んでいるので、暗い又は中間の光条件ではこのゾーンから網膜に達する光の相対強度は低く、従って、このレンズにより作られる光輪も弱くなる。
【0044】
第2の例は、第1の例と類似しているが、レンズの中央部306(直径2.1mmまで)が青色ブロッカーを含まない。アドパワー304を提供するレンズの青色ブロッカー部分を使用することにより、多焦点レンズの設計における機能性及び自由度を増すことができる。例えば、レンズのアドパワーは、光輪を顕著に増加させずに、最適化され得る。加えて、レンズのより大きい部分又は割合を、不必要に更に光輪を作ることなく、近視矯正に使用することができる。
【0045】
まとめると、本発明は、明るい条件下でより優れた網膜保護を可能にし、より暗い条件でより少ない光輪を発生させ、アドパワーに関して多焦点レンズの設計をより柔軟なものとし、近視矯正に必要な光の割合を増加させることができる。
【0046】
最後に、本発明を、網膜に到達する特定波長の光(青色光ないし紫外線)を吸収又はブロックする染料を用いることに関連して、説明してきた。しかしながら、本発明は、網膜に到達する青色光ないし紫外線をブロックする他の手段も包含する。1つの態様において、可視光選択的透過領域は、被覆としてレンズ表面に供給される。
【0047】
別の態様において、青色−紫外光の焦点をぼけさせる(脱焦点)回折パターンが供給される。回折レンズは、幅が減少していく一連の放射状リング又は「ゾーン」からなる。レンズの外側のゾーンに入射した光線は中心部に入射した光線よりも大きく逸れるので、そのような構造により光は焦点を結ぶ。異なる波長の光は、異なる量で逸れるので、異なる色の光は、レンズ後方の異なる距離のところで焦点を結ぶ。回折パターンは、単焦点及び多焦点レンズにこの効果を利用しており、レンズの異なる領域は、異なる量のピンぼけ(脱焦点)効果を持つ。
【0048】
本発明を、その好ましい形態を参照して説明したが、それは説明の為であって、限定の為ではない。種々の変更及び改良を、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、本発明に加えることは、当業者なら行うことができる。
【符号の説明】
【0049】
100:水晶体、102:角膜、104:網膜、106:視神経。
300:レンズ、304:第2のゾーン、306:第1のゾーン/中心部、308:第3のゾーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)くぼみを有するポリマー構造体を形成し、
b)該くぼみに可視光吸収性染料を充填し、
c)該ポリマー構造体及び該可視光吸収性染料を含む該くぼみをポリマーで被覆して、染料含有ポリマー構造体を形成し、
d)該染料含有ポリマー構造体を加工して眼内レンズを形成する
ことを含んでなる、眼内レンズ(IOL)の製造方法。
【請求項2】
該ポリマー構造体は円盤状である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
該ポリマーは、アクリレート、シリコーン、ヒドロゲル及びアクリルシリコーンハイブリッドからなる群から選択される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
該可視光吸収性染料はアゾ染料である、請求項に記載の製造方法。
【請求項5】
a)トップ表面を有するポリマー構造体を第1ポリマーから形成し、
b)該ポリマー構造体のトップ表面にくぼみを形成し、
c)該くぼみに可視光吸収性染料を充填し、
d)該ポリマー構造体のトップ表面及び該可視光吸収性染料を含むくぼみを該第1ポリマーで被覆して、染料含有ポリマー構造体を形成し、
e)該染料含有ポリマー構造体を眼内レンズに成形する
ことを含んでなる、眼内レンズの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−40401(P2012−40401A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219821(P2011−219821)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【分割の表示】特願2006−547468(P2006−547468)の分割
【原出願日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(502049837)アボット・メディカル・オプティクス・インコーポレイテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT MEDICAL OPTICS INC.
【Fターム(参考)】