説明

可逆性感熱記録媒体、画像処理方法及び画像処理装置

【課題】 本発明は、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善し、情報記録素子の破損を低減する、可とう性を有する可逆性感熱記録媒体、該可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去する画像処理方法及び該画像処理方法により該可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去する画像処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 可逆性感熱記録媒体については、情報処理部材及び緩衝層は、支持体に設けられた可逆性感熱記録層と反対側に積層されている。画像処理方法については、可変のエネルギーを印加して上記の可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去する。画像処理装置は、上記の画像処理方法により上記の可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可逆性感熱記録媒体、画像処理方法及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可逆性感熱記録媒体に情報処理部材を設けることにより、情報処理部材の内部情報を書き換えると共に、記録されている情報を元に可逆性感熱記録媒体に画像を形成できることが知られている。
【0003】
このような可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去する際にサーマルヘッド、熱ロール、セラミックバー等の加熱装置を押し当てるが、情報処理部材の存在により、可逆性感熱記録媒体に凸部が形成される。このため、加熱装置を押し当てる際に、可逆性感熱記録媒体を均一に加熱することができなくなり、発色及び消色の不良が生じる。さらに、可逆性感熱記録媒体の情報処理部材が設けられた部分は、加熱装置を押し当てる際に、情報記録素子が可逆性感熱記録媒体から剥がれたり、破損したりする問題がある。
【0004】
そこで、非接触型ICタグ付可逆性感熱記録媒体の非接触型ICタグが添付されていない領域のみを加熱する構成が知られている(特許文献1参照)。これにより、非接触型ICタグの熱的ダメージを防止し、消色ムラや発色ムラの発生を防止することができる。しかしながら、この方法では、画像を形成する領域が限定される。
【0005】
一方、クッション性基材の一方の面に感熱記録層を設け、他方の面に粘着剤層を設けた表示用粘着シートをアンテナ部及び情報記憶部を有するIC回路を支持部材に内包するデータキャリアの表面に貼着させることにより、鮮明な発色及び完全な消色ができることが知られている(特許文献2参照)。しかしながら、この構成では、情報記憶部は、支持部材に内包されているため、可とう性を有する可逆性感熱記録媒体を形成するのは困難であり、応用範囲が限られている。
【特許文献1】特開2004−98539号公報
【特許文献2】特開2002−258751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善し、情報記録素子の破損を低減する、可とう性を有する可逆性感熱記録媒体、該可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去する画像処理方法及び該画像処理方法により該可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去する画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、可とう性を有する支持体、可逆性感熱記録層、情報記録素子を有する情報処理部材及び緩衝層を有する可逆性感熱記録媒体において、前記情報処理部材及び前記緩衝層は、前記支持体に設けられた前記可逆性感熱記録層と反対側に積層されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、前記情報処理部材及び前記緩衝層は、前記支持体に設けられた前記可逆性感熱記録層と反対側に積層されているので、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善し、情報記録素子の破損を低減する、可とう性を有する可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体において、前記緩衝層は、前記支持体及び前記情報処理部材の間に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記緩衝層は、前記支持体及び前記情報処理部材の間に設けられているので、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善し、情報記録素子の破損を低減することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体において、前記情報処理部材は、前記支持体及び前記緩衝層の間に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記情報処理部材は、前記支持体及び前記緩衝層の間に設けられているので、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善し、情報記録素子の破損を低減することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体において、前記緩衝層を平面視したとき、前記緩衝層の領域は、前記情報処理部材の領域を含有することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記緩衝層を平面視したとき、前記緩衝層の領域は、前記情報処理部材の領域を含有するので、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善し、情報記録素子の破損を低減することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の可逆性感熱記録媒体において、前記緩衝層の領域の幅は、前記可逆性感熱記録層の画像を形成する領域の幅以上で前記可逆性感熱記録層の領域の幅以下であり、前記情報処理部材の領域の長さに対する前記緩衝層の領域の長さの比は、1以上1.5以下であることを特徴とする。本願の明細書及び特許請求の範囲において、幅とは、可逆性感熱記録媒体の搬送方向に対して垂直な方向の長さを意味し、長さとは、可逆性感熱記録媒体の搬送方向に対して平行な方向の長さを意味する。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、前記緩衝層の領域の幅は、前記可逆性感熱記録層の画像を形成する領域の幅以上で前記可逆性感熱記録層の領域の幅以下であり、前記情報処理部材の領域の長さに対する前記緩衝層の領域の長さの比は、1以上1.5以下であるので、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善し、情報記録素子の破損を低減することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体において、前記緩衝層の厚さは、前記情報処理部材の厚さの0.5倍以上であることを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、前記緩衝層の厚さは、前記情報処理部材の厚さの0.5倍以上であるので、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善し、情報記録素子の破損を低減することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体において、前記緩衝層は、軟質樹脂材料、硬質樹脂材料と軟質樹脂材料との混合材料、無機材料と軟質樹脂材料との混合材料、スポンジ材料及びゴム材料からなる群より選択される材料を含有することを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、前記緩衝層は、軟質樹脂材料、硬質樹脂材料と軟質樹脂材料との混合材料、無機材料と軟質樹脂材料との混合材料、スポンジ材料及びゴム材料からなる群より選択される材料を含有するので、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善し、情報記録素子の破損を低減することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体において、前記緩衝層は、硬化性樹脂材料及び無機材料の少なくとも一方の材料の含有率が30重量%以上90重量%以下である接着層又は粘着層を表面に有することを特徴とする。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、前記緩衝層は、硬化性樹脂材料及び無機材料の少なくとも一方の材料の含有率が30重量%以上90重量%以下である接着層又は粘着層を表面に有するので、接着層及び粘着層の流動性を抑制し、緩衝層の機能を発現させることができる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体において、前記情報処理部材及び前記緩衝層が設けられている側に、断熱層がさらに設けられていることを特徴とする。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、前記情報処理部材及び前記緩衝層が設けられている側に、断熱層がさらに設けられているので、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善することができる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体において、前記情報処理部材及び前記緩衝層が設けられている側に、保護層がさらに設けられていることを特徴とする。
【0026】
請求項10に記載の発明によれば、前記情報処理部材及び前記緩衝層が設けられている側に、保護層がさらに設けられているので、情報記録素子の破損をさらに低減することができる。
【0027】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去する画像処理方法において、可変のエネルギーを印加して前記可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去することを特徴とする。
【0028】
請求項11に記載の発明によれば、可変のエネルギーを印加して前記可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去するので、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善することができる。
【0029】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の画像処理方法において、前記可逆性感熱記録媒体を搬送する速さを変化させることにより前記エネルギーを変化させることを特徴とする。
【0030】
請求項12に記載の発明によれば、前記可逆性感熱記録媒体を搬送する速さを変化させることにより前記エネルギーを変化させるので、熱容量の異なる部分間の発色及び消色の不良を改善することができる。
【0031】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の画像処理方法において、前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられていない部分を搬送する速さに対する前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられた部分を搬送する速さの比は、0.1以上1以下であることを特徴とする。
【0032】
請求項13に記載の発明によれば、前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられていない部分を搬送する速さに対する前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられた部分を搬送する速さの比は、0.1以上1以下であるので、支持体を変形させること無く、熱容量の異なる部分間の発色及び消色の不良を改善することができる。
【0033】
請求項14に記載の発明は、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の画像処理方法において、前記エネルギーを印加する熱源の温度を変化させることにより前記エネルギーを変化させることを特徴とする。
【0034】
請求項14に記載の発明によれば、前記エネルギーを印加する熱源の温度を変化させることにより前記エネルギーを変化させるので、熱容量の異なる部分間の発色及び消色の不良を改善することができる。
【0035】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の画像処理方法において、前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられていない部分にエネルギーを印加する際の前記熱源の温度に対する前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられた部分にエネルギーを印加する際の前記熱源の温度の比は、1以上1.6以下であることを特徴とする。
【0036】
請求項15に記載の発明によれば、前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられていない部分にエネルギーを印加する際の前記熱源の温度に対する前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられた部分にエネルギーを印加する際の前記熱源の温度の比は、1以上1.6以下であるので、支持体を変形させずに、熱容量の異なる部分間の発色及び消色の不良を改善することができる。
【0037】
請求項16に記載の発明は、請求項11乃至15のいずれか一項に記載の画像処理方法において、前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられた部分にエネルギーを印加した後に前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられていない部分にエネルギーを印加することを特徴とする。
【0038】
請求項16に記載の発明によれば、前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられた部分にエネルギーを印加した後に前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられていない部分にエネルギーを印加するので、熱源のエネルギーを有効活用することができる。
【0039】
請求項17に記載の発明は、画像処理装置において、請求項11乃至16のいずれか一項に記載の画像処理方法により前記可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去することを特徴とする。
【0040】
請求項17に記載の発明によれば、請求項11乃至16のいずれか一項に記載の画像処理方法により前記可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去するので、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善し、情報記録素子の破損を低減する、可とう性を有する可逆性感熱記録媒体、該可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去する画像処理方法及び該画像処理方法により該可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去する画像処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
【0043】
図1及び図2に示すように、本発明の可逆性感熱記録媒体は、可とう性を有する支持体11、可逆性感熱記録層12、情報記録素子を有する情報処理部材13及び緩衝層14を有し、情報処理部材13及び緩衝層14は、支持体11に設けられた可逆性感熱記録層12と反対側に積層されている。ここで、可とう性を有するとは、物体の一端を固定した場合に、他端が自重で垂れ下がることができる性質を意味するもので、本発明においては、シートの端を水平に持って、反対側が、垂れ下がるものである。なお、垂れ下がる目安は、45度以上90度以下である。図1では、支持体11及び情報処理部材13の間に緩衝層14を設ける構成、図2では、支持体11及び緩衝層14の間に情報処理部材13を設ける構成を示している。また、図1及び図2において、(a)、(b)及び(c)は、それぞれ可逆性感熱記録媒体の情報処理部材及び緩衝層が設けられている側の表面、幅方向の断面及び長さ方向の断面を示している。これにより、加熱装置が可逆性感熱記録媒体に接する際、情報処理部材に起因する凹凸が軽減される。このため、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善し、情報記録素子の破損を低減することができる。さらに、可逆性感熱記録媒体は、ロール状及びシート状に加工することにより、可とう性を有することができる。なお、エッチング等の二次加工をしても構わない。
【0044】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、情報処理部材に記録された情報を可逆性感熱記録層に表示することで、特別な装置がなくても情報を確認することができ、利便性が向上する。情報記録素子としては、ICチップが好ましく、情報処理部材としては、非接触ICタグが好ましく用いられる。可逆性感熱記録媒体は、入出チケット、冷凍食品用容器、工業製品、各種薬品容器等のステッカー、物流管理用途、製造工程管理、文書管理用途等に用いられ、A4サイズ等の一般文書サイズに加工することができる。
【0045】
図3に示すように、情報処理部材は、IC回路31とアンテナ回路32を回路基板33上に形成したものである。
【0046】
回路基板に用いられる基材としては、一般的な紙フェノール、ガラスエポキシ、コンポジット等のリジッドタイプ、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、紙、合成紙等のフレキシブルタイプ及び両者の複合タイプを用いることができる。配線回路は、金属導線をコイル状にしたものを回路基板上に接着剤を用いて設ける方法、加熱加圧してフィルムを変形させて設ける方法、銅、アルミ等の金属を張った回路基板の金属部分をエッチングして設ける方法、銀等の導電性の金属で形成された金属箔を回路基板上に転写して設ける方法及び導電ペースト塗料を用いてシルクスクリーン印刷で印刷し、乾燥して回路基板上に設ける方法が挙げられる。
【0047】
情報処理部材は、配線回路を形成した回路基板上にIC回路を実装し、アンテナ回路とIC回路を電気的に導通接続して形成される。回路基板へのIC回路の実装は、TAB(テープ・オートメイテッド・ボンディング)、COB(チップ・オン・ボード)及びフリップチップ実装が用いられる。IC回路の実装やアンテナ回路との接続には、通常のはんだ付けや、導電性接着剤が使用できるが、加工の際、回路基板が耐えられる温度条件のものを採用する必要がある。このとき、実装されたIC回路や配線回路の保護のために、エポキシ樹脂等で包埋(パッケージング)してIC回路層を形成してもよい。エポキシ樹脂で包埋したIC回路層の厚さは、通常150μm以上1mm以下である。また、保護のために、IC回路露出面に、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム等の保護フィルムを接着させることもできる。
【0048】
情報処理部材を接着させる接着層は、通常、常温又は加熱した状態で加圧接着できるものである。接着剤としては、液状のアンカーコート剤が挙げられる。具体的には、ポリウレタン系アンカーコート剤として、EL−150(東洋モートン社製)又はBLS−2080A(東洋モートン社製)とBLS−2080B(東洋モートン社製)の混合物、ポリエステル系アンカーコート剤として、AD−503(東洋モートン社製)を適用することができる。なお、アンカーコート剤は、0.5g/m以上25g/m以下となるように塗布することが好ましい。
【0049】
情報処理部材は、可とう性を有する支持体又は緩衝層に貼り付けて使用するため、シート形状であることが好ましい。また、情報記録素子の突起部が無く平滑面であることが好ましい。なお、一般的な情報記録素子を有する情報処理部材を金属面に貼り合せて使用すると、磁束が金属により遮断されてしまい、十分な起電力を確保できないこともあるため、高透磁率コア及びアンテナコイルから構成される情報処理部材又は高透磁率コア、アンテナコイル及び導電性金属から構成される情報処理部材を用いてもよい。このような情報処理部材は、薄膜化が困難であるが、金属面に使用しても十分な起電力を得ることができるため、シート形状で用いる利点が大きい。
【0050】
情報処理部材を粘着させる粘着層は、被着体の種類や使用される環境、接着の強度等により種々選択が可能である。粘着層は、一般に用いられる水系又は溶剤系の粘着剤を塗工し、乾燥することにより形成できる。これらの粘着剤は、有機溶媒の溶液又はディスパージョン、エマルジョン等の水分散液の形態で使用できる。
【0051】
なお、接着層及び粘着層は、IC回路の凹凸の影響を受けないようにするため、回路基板のIC回路側に設けることが好ましい。また、情報処理部材の段差を少なくするために、同様な材料や同等の膜厚であることが望ましい。
【0052】
接着層及び粘着層の主成分としては、ウレア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、合成ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらは、用途に応じて混合してもよく、各種添加剤を加えてもよい。さらに、接着強度も、必要に応じて設定することができ、表面の微細な襞の部分で、ある程度の接着強度を確保し得るようにできるものであれば、情報記録部の脱着が容易で繰り返し使用することができるようになる。また、接着強度が大きくて取り付け後の剥離が困難なものであれば、半永久的な使用が可能となる。なお、粘着層又は接着層の上に型紙等の剥離可能なシートを積層して、可逆性感熱記録層を設けてもよい。さらに、接着面以外の面を易接着、撥水、撥油、帯電防止等、必要に応じて各種処理を施してもよい。
【0053】
本発明において、緩衝層を平面視したとき、緩衝層の領域は、前記情報処理部材の領域を含有することが好ましい。ここで、緩衝層の領域の幅は、可逆性感熱記録層の画像を形成する領域の幅以上で可逆性感熱記録層の領域の幅以下であることが好ましい。この幅が可逆性感熱記録層の画像を形成する領域の幅より小さいと、画像を形成できない領域が生じ、可逆性感熱記録層の領域の幅より大きくなると画像形成装置による搬送が困難になるため、好ましくない。また、情報処理部材の領域の長さに対する緩衝層の領域の長さの比は、1以上1.5以下であることが好ましい。この比が1未満であると、情報処理部材に対する緩衝層の機能を十分に発現することができず、1.5を超えると画像形成装置のトレイに入りにくくなるため、好ましくない。
【0054】
本発明において、緩衝層の厚さは、情報処理部材の厚さの0.5倍以上であることが好ましい。緩衝層の厚さが情報処理部材の厚さの0.5倍より小さいと、緩衝層の機能を十分に発現することができない。
【0055】
本発明において、緩衝層は、軟質樹脂材料、硬質樹脂材料と軟質樹脂材料との混合材料、無機材料と軟質樹脂材料との混合材料、スポンジ材料及びゴム材料からなる群より選択される材料を含有することが好ましい。これにより、画像を形成する際の発色不良及び画像を消去する際の消色不良を改善し、情報記録素子の破損を低減することができる。軟質樹脂材料としては、アクリル樹脂、不織布、シリコーン樹脂等が挙げられ、硬質樹脂材料としては、有機フィラー等が挙げられ、無機材料としては、無機フィラー等が挙げられ、スポンジ材料としては、発泡ポリウレタン樹脂等が挙げられ、ゴム材料としては、NBR、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。なお、スポンジ材料の密度は、20kg/m以上60kg/m以下であることが望ましい。この密度が20kg/mよりも小さいと、軟らか過ぎて緩衝層が破れて情報記録部が裸の状態になり、60kg/mよりも大きいと、表面が硬過ぎて可逆性感熱記録層と段差ができてしまい、発色不良及び消色不良を引き起こす。密度が60kg/mより大きいスポンジ材料又はゴム材料は、硬度(JISK6253)が20度以上70度以下であることが望ましい。硬度が20度よりも小さいと、支持体が軟らか過ぎて緩衝層が破れてしまう。また、硬度が70度よりも大きいと、表面が硬過ぎて可逆性感熱記録層と段差ができてしまい、発色不良及び消色不良が起こる。
【0056】
本発明において、緩衝層は、硬化性樹脂材料及び無機材料の少なくとも一方の材料の含有率が30重量%以上90重量%以下である接着層又は粘着層を表面に有することが好ましい。これは、接着層及び粘着層は、単独では軟らかいため、緩衝層の機能を発現しにくくなるためである。硬度の高い材料を添加することにより、接着層及び粘着層の流動性が抑制され、緩衝層の機能を発現することができる。なお、上記の含有率が30重量%より小さいと、添加した効果が出ず、90重量%を超えると接着層及び粘着層の硬度が高くなり過ぎ、脆くなる。なお、硬化性樹脂及び無機材料は、それぞれ繊維状、針状、球状又は不定形の形状を有する。これらは、用途に応じて混合して使用したり、各種添加剤を加えたりしてもよい。さらに、その接着強度も、必要に応じて設定することができる。
【0057】
また、画像を形成及び消去する際の搬送方向の凹凸を考慮すると、情報記録部及び緩衝層は、可逆性感熱記録媒体の搬送開始部分又は搬送終了部分に貼り付けることが好ましい。情報記録部と緩衝層の材質が大きく異なっている場合や、材質が分からない場合等に加熱装置等の圧力により押された時に凹凸が大きくなることが考えられるが、このように貼り付けることで凹凸をより軽減することが可能となり、画像形成時の発色不良や画像消去時の消色不良を改善することができる。
【0058】
本発明において、可逆性感熱記録層は、温度変化によって色調が可逆的に変化する材料を含有している。色調の変化には、透過率、反射率、吸収波長、散乱度等の変化があり、可逆性感熱記録層は、これらの変化の組み合わせで表示を行っている。色調が可逆的に変化する材料としては、熱により透明度や色調が可逆的に変化するものが好ましい。具体的には、常温より高い第一の特定温度で第一の色の状態となり、第一の特定温度よりも高い第二の特定温度に加熱し、その後冷却することにより第二の色の状態となるものが挙げられる。特に、第一の特定温度と第二の特定温度の間で、色の状態が変化するものが好適に用いられる。このような可逆性感熱記録層としては、ロイコ染料及び顕色剤を含有する可逆性感熱記録層が好ましい。
【0059】
ロイコ染料としては、フタリド化合物、アザフタリド化合物、フルオラン化合物等、公知の染料前駆体が挙げられ、単独又は二種以上の混合物として用いることができる。
【0060】
顕色剤としては、分子内にフェノール性水酸基、カルボキシル基、リン酸基等のロイコ染料を発色させる顕色能を有する構造及び分子間の凝集力を制御する長鎖炭化水素基が連結した構造をそれぞれ一つ以上有する化合物が挙げられる。長鎖炭化水素基の連結部には、ヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していてもよく、長鎖炭化水素基に同様の連結基及び芳香族基の少なくとも一方が含まれていてもよい。顕色剤の具体例は、特開平9−290563号公報、特開平11−188969号公報等の記載に示され、単独又は二種以上の混合物として用いてもよい。
【0061】
本発明において、可逆性感熱記録層を発色させるためには、一旦発色温度以上に加熱した後に急冷させればよい。具体的には、サーマルヘッドやレーザー光で短時間加熱すると記録層が局部的に加熱されるため、直ちに熱が拡散し急激な冷却が起こり、発色状態で固定される。一方、消色させるためには適当な熱源を用いて比較的長時間加熱して冷却するか、発色温度よりやや低い温度に一時的に加熱すればよい。長時間加熱すると可逆性感熱記録層の広い範囲が昇温し、その後の冷却は遅くなるため、その過程で消色が起きる。この場合の加熱方法には、熱ロール、熱スタンプ、熱風等を用いてもよいし、サーマルヘッドを用いて長時間加熱してもよい。また、可逆性感熱記録層を消色温度域に加熱するためには、例えば、サーマルヘッドに印加する電圧やパルス幅を調節することによって、消色時に印加するエネルギーを発色時に印加するエネルギーより低下させるとよい。この方法を用いれば、サーマルヘッドだけで発色及び消色ができ、いわゆるオーバーライトが可能になる。また、熱ロールや熱スタンプによって消色温度域に加熱して消色することもできる。
【0062】
塗布特性や発色消色特性を改善したり制御したりするために、可逆性感熱記録層に添加剤を添加してもよい。添加剤としては、界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、発色安定化剤、消色促進剤等が挙げられる。
【0063】
可逆性感熱記録層は、ロイコ染料、顕色剤及び添加剤の他に、樹脂を含有する。可逆性感熱記録層に用いられる樹脂は、これらの材料を支持体上で結着できれば良く、公知の樹脂を単独又は二種以上の混合物として用いることができる。その中でも、繰り返し画像を形成する際の耐久性を向上させるため、熱、紫外線、電子線等で硬化する硬化性樹脂が好ましく用いられ、熱硬化性樹脂が特に好ましく用いられる。具体的には、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の硬化剤と反応する基を有する樹脂、硬化剤と反応する基を有するモノマーを共重合した樹脂等が挙げられる。また、硬化させた場合、記録層のゲル分率は30%以上であることが好ましい。これよりも低いと硬化状態が十分でなく、耐久性が十分に向上しない。この値は50%以上であると更に好ましく、70%以上が特に好ましい。可逆性感熱記録層中の発色成分の重量に対する樹脂の重量の比は、0.1以上10以下であることが好ましい。この比が0.1より小さいと、可逆性感熱記録層の熱強度が不足し、10より大きいと発色濃度が低下して問題となる。
【0064】
硬化剤は、特に限定されるものではないが、イソシアネート系硬化剤が好ましい。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等、及びこれらのトリメチロールプロパン等によるアダクトタイプ、ビュレットタイプ、イソシアヌレートタイプ、ブロック化イソシネート類等が挙げられる。中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましく、このアダクトタイプ、ビュレットタイプ、イソシアヌレートタイプが好ましく用いられる。なお、硬化剤は、添加した全量が硬化反応をしていなくても良い。すなわち、未反応硬化剤が存在していても良い。また、硬化させる際には、触媒を添加してもよい。
【0065】
可逆性感熱記録層は、ロイコ染料、顕色剤、種々の添加剤、バインダー樹脂、溶媒等を含有する混合物を均一に分散させて調製した塗液を用いて支持体上に形成する。塗液調製に用いられる溶媒の具体例としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、グリコールエーテル類、エステル類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等を挙げることができる。
【0066】
塗液調製は、ペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、三本ロールミル、ケディーミル、サンドミル、ダイノミル、コロイドミル等の公知の塗液分散装置を用いて行うことができる。また、塗液分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散しても構わないし、各々単独で溶媒中に分散した後に混合しても構わない。さらに、加熱溶解した後に、急冷又は除冷によって析出させてもよい。
【0067】
塗工方法については、特に制限は無く、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等の公知の方法を用いることができる。
【0068】
本発明において、可逆性感熱記録層上には、保護層を設けることが好ましい。これにより、可逆性感熱記録層の耐久性を高めることができる。なお、保護層には、可逆性感熱記録層と同様の樹脂を用いることができる。その中でも紫外線及び電子線で硬化する樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂としては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル系等のオリゴマー、各種単官能及び多官能のアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、エチレン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。また、紫外線で硬化させる場合には、光重合開始剤、光重合促進剤等を用いる。
【0069】
保護層は、樹脂の他に、無機フィラー、有機フィラー、紫外線吸収剤、滑剤、着色顔料等を含有することができる。無機フィラーとしては、炭酸塩、ケイ酸塩、金属酸化物、硫酸化合物等が挙げられ、有機フィラーとしては、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等が挙げられる。また、紫外線吸収剤としては、サリシレート構造、シアノアクリレート構造、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造等を有する化合物等が挙げられる。滑剤としては、合成ワックス類、植物性ワックス類、動物性ワックス類、高級アルコール類、高級脂肪酸類、高級脂肪酸エステル類、アミド類等が挙げられる。なお、保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、塗工方法等は、可逆性感熱記録層と同様であり、保護層の厚さは、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0070】
本発明において、可逆性感熱記録層と保護層の接着性を向上させ、保護層の塗布による可逆性感熱記録層の変質を低減し、保護層中の添加剤の可逆性感熱記録層への移行を低減する目的で、両者の間に中間層を設けることが好ましく、これによって画像の保存性が改善できる。また、可逆性感熱記録層の上に設置される保護層及び中間層に酸素透過性の低い樹脂を用いることにより、可逆性感熱記録層中の発色剤及び顕色剤の酸化を低減することができる。
【0071】
中間層は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等の樹脂を含有する。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド等が挙げられ、必要に応じてフィラーを含んでいてもよい。中間層中のフィラーの含有量は、体積分率で1%以上95%以下であることが好ましく、5%以上75%以下がさらに好ましい。中間層は、保護層で用いられた紫外線吸収剤を含有してもよく、その含有量は、樹脂の0.5重量%以上10重量%以下であることが好ましい。中間層の膜厚は、0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、0.3μm以上3μm以下がさらに好ましい。なお、中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、中間層の塗工方法等は、可逆性感熱記録層及び保護層と同様である。
【0072】
本発明において、可逆性感熱記録媒体は、支持体の可逆性感熱記録層と反対側の面にバック層を設けることが好ましい。バック層は、支持体の可逆性感熱記録層側の樹脂が収縮することにより発生するカールを抑えるために設けるもので、保護層と同様の樹脂が好ましく用いられる。また、バック層には、樹脂の他に、保護層と同様に希釈溶剤、無機フィラー、有機フィラー、滑剤、着色顔料、帯電防止剤等を添加してもよい。バック層は、可逆性感熱記録媒体の可逆性感熱記録層側の収縮を抑えるために設けるもので、可逆性感熱記録層側とバック層側の収縮のバランスが取れるように塗布することが好ましく、塗布後に可逆性感熱記録媒体が平らになるように塗布されることが好ましい。
【0073】
本発明において、情報処理部材及び緩衝層が設けられている側に、断熱層がさらに設けられていることが好ましい。これにより熱の放散が軽減され、画像の形成及び消去の制御がしやすくなる。ここで、断熱層は、化学合成物断熱材及び中空体微粒子を主成分とすることが好ましい。
【0074】
化学合成物断熱材としては、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、塩化ビニルフォーム等の高分子発泡体又はプラスチックコルゲートの波板部材等が挙げられる。
【0075】
中空微粒子としては、ガラス、セラミックス、プラスチックス等の種々の材質で形成された微小中空体が挙げられる。ガラス微小中空体としては、硼珪酸塩ガラスのマイクロスフェアーのMicrosel M.(グラパーベル社製)が挙げられ、アルミノシリケート系微小中空体としては、低発泡射出成型用及び標準射出成型用プレミックスのFillite(日本フィライト社製)が挙げられ、加熱発泡性微小中空体としては、発泡性プラスチックフィラーのミクロパール(松本油脂製)及びExpancel(ケマノード社製)が挙げられる。発泡性プラスチックフィラーは、熱可塑性樹脂を殻とし、内部に発泡剤を含有する中空状のプラスチックフィラーであり、加熱により発泡する。熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリブタジエン及びこれらの共重合体が挙げられる。また、発泡剤としては、プロパン、イソブタン、ネオペンタン、石油エーテル等が挙げられる。
【0076】
中空体微粒子はバインダー樹脂と共に用い、熱膨張性微小球の場合には塗工する前に既に中空体微粒子としたものを用いるが、塗工時に加熱発泡させて中空化することもできる。発泡時の粒子径は、通常10μm以上100μm以下であり、10μm以上50μm以下が好ましい。断熱層の膜厚としては、0.1μm以上50μm以下程度であることが好ましく、0.2μm以上20μm以下が特に好ましい。
【0077】
本発明では、断熱層を設ける代わりに断熱層を兼ねる支持体を用いてもよく、このような支持体としては、プラスチックフィルムや合成紙を使用するのが一般的であり、内部紙化方式で製造されたミクロボイドを含有する合成紙が好ましい。
【0078】
本発明において、情報処理部材及び緩衝層が設けられている側に、保護層がさらに設けられていることが好ましい。これにより、情報記録素子の破損をさらに低減することができる。なお、ここで用いられる保護層は、前述したものと同様である。
【0079】
図4に示すように、本発明の画像処理装置は、アンテナ41で可逆性感熱記録媒体の情報記録部の情報を認識した後に、熱ロール42により可逆性感熱記録部の画像が消去された後、サーマルヘッド43により可逆性感熱記録部に画像が形成され、搬送ローラ44により搬送される。ここで、熱ロール42及びサーマルヘッド43の間の距離は、可逆性感熱記録媒体の長さ以上であることが好ましい。これにより、熱ロール42及びプラテンロール45で搬送する速さを独立に制御することができる。ここで、装置を小型化するためには、熱ロール42で搬送する速さを低速にして、プラテンロール45で搬送する速さを高速にすることが好ましい。
【0080】
本発明の画像処理方法では、可変のエネルギーを印加して可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去する。このとき、可逆性感熱記録媒体を搬送する速さを変化させることによりエネルギーを変化させることが好ましい。これにより、熱容量の異なる部分間の発色及び消色の不良を改善することができる。また、発色及び消色を効率よく行うことができるので、画像処理装置を小型化することができる。このとき、可逆性感熱記録媒体の情報処理部材が設けられていない部分が搬送される速さに対する可逆性感熱記録媒体の情報処理部材が設けられた部分が搬送される速さの比は、0.1以上1以下であることが好ましい。この比が0.1より小さいと支持体が変形し、1より大きいと熱容量の異なる部分の発色及び消色の不良が発生する。なお、可逆性感熱記録媒体を搬送する速さは、厚さを判読するセンサー、情報処理部材を判読するセンサー等で認識を行うことにより、変化させることができる。
【0081】
本発明の画像処理方法では、エネルギーを印加する熱源の温度を変化させることによりエネルギーを変化させることが好ましい。これにより、熱容量の異なる部分間の発色及び消色の不良を改善することができる。このとき、可逆性感熱記録媒体の情報処理部材が設けられていない部分にエネルギーを印加する際の熱源の温度に対する可逆性感熱記録媒体の情報処理部材が設けられた部分にエネルギーを印加する際の熱源の温度の比は、1以上1.6以下であることが好ましい。この比が1より小さいと熱容量の異なる部分間の発色及び消色の不良が発生し、1.6より大きいと支持体が変形する。なお、熱源の温度は、厚さを判読するセンサー、情報処理部材を判読するセンサー等で可逆性感熱記録媒体の認識を行うことにより、変化させることができる。
【0082】
なお、可逆性感熱記録媒体の耐久性を考慮すると、画像を消去した可逆性感熱記録媒体の温度が高い場合は、画像を形成する際に与えるエネルギーを低くし、画像を消去した可逆性感熱記録媒体の温度が低い場合は、画像を形成する際に与えるエネルギーを高くすることが好ましい。なお、可逆性感熱記録媒体に印加するエネルギーを制御する方法としては、熱ロールの動作、可逆性感熱記録媒体の温度等を認識する方法が挙げられる。
【0083】
本発明の画像処理方法においては、可逆性感熱記録媒体の情報処理部材が設けられた部分にエネルギーを印加した後に可逆性感熱記録媒体の情報処理部材が設けられていない部分にエネルギーを印加することが好ましい。これにより、サーマルヘッドの温度を高めに設定して、先に情報処理部材が設けられた部分に画像を形成し、エネルギーの消費で温度が低下したサーマルヘッドで、情報処理部材が設けられていない部分に画像を形成すること及び熱ロールの温度を高めに設定して、先に情報処理部材が設けられた部分の画像を消去し、エネルギーの消費で温度が低下した熱ロールで、情報処理部材が設けられていない部分の画像を消去することが可能となり、熱源のエネルギーを有効活用することができると共に、簡易タイプの画像処理装置とすることができる。
【実施例】
【0084】
本実施例中の部数は全て重量部であり、本実施例は本発明を例示したものに過ぎず、これら実施例により本発明は限定されない。
(可逆性感熱記録シートの作製)
一般式
【0085】
【化1】

で示される顕色剤3部、ジアルキル尿素ハクリーンSB(日本化成社製)1部、アクリルポリオール50重量%溶液LR327(三菱レイヨン社製)9部及びメチルエチルケトン70部を、ボールミルで数平均粒子径が約1μmになるように粉砕分散させた。これに2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン1部及びイソシアネート化合物コロネートHL(日本ポリウレタン社製)3部を加え、良く攪拌し、可逆性感熱記録層塗布液を調製した。
【0086】
支持体として、厚さ125μmの白濁ポリエステルフィルムのテトロンフィルムU2L98W(帝人デュポン社製)を用い、支持体の一方の面に光熱変換層及び隠蔽層を塗布した。さらに、光熱変換層及び隠蔽層上にワイヤーバーを用いて可逆性感熱記録層塗布液を塗布し、100℃で2分間乾燥させた後、60℃で24時間硬化させて膜厚10g/mの可逆性感熱記録層を設けた。なお、用いた支持体を、片側固定で水平に持つと反対側は、90度に垂れ下がった。
【0087】
LR327を3部、酸化亜鉛微粒子30重量%分散液ZS303(住友セメント社製)7部、コロネートHLを1.5部及びメチルエチルケトン7部を良く攪拌し、中間層塗布液を調製した。
【0088】
可逆性感熱記録層を設けた支持体上に、ワイヤーバーを用いて中間層塗布液を塗布し、90℃で1分間乾燥した後、60℃で48時間硬化させ、膜厚1μmの中間層を設けた。
【0089】
ペンタエリスルトールヘキサアクリレートKAYARAD DPHA(日本化薬社製)3部、ウレタンアクリレートオリゴマーのアートレジンUN−3320HA(根上工業社製)3部、ジペンタエリスリトールカプロラクトンのアクリル酸エステルKAYARAD DPCA−120(日本化薬社製)3部、シリカP−526(水澤化学工業社製)1部、
光重合開始剤イルガキュア184(日本チバガイギー社製)0.5部及びイソプロピルアルコール11部を良く攪拌して、保護層塗布液(1)を調製した。
【0090】
可逆性感熱記録層及び中間層を設けた支持体上に、ワイヤーバーを用いて保護層塗布液(1)を塗布し、加熱乾燥した後、80W/cmの紫外線ランプで硬化させ、膜厚4.5μmの保護層を設けた。
【0091】
保護層塗布液(1)と同様の組成物を調製し、バック層塗布液とした。
【0092】
可逆性感熱記録層、中間層及び保護層を設けた支持体の記録層と反対側の面に、ワイヤーバーを用いてバック層塗布液を塗布し、加熱乾燥した後、80W/cmの紫外線ランプで硬化させ、膜厚9μmのバック層を設け、A4シートに仕上げ加工し、可逆性感熱記録シートを作製した。
(非接触ICタグの作製)
基材として、厚さ25μmのポリエステルフィルムのテトロンフィルムHPE(帝人デュポン社製)を用い、基材上に厚さ35μmの電解銅箔をボンディングシートで接着させ、エッチングすることによりカードサイズのアンテナ回路を形成した。表面研磨、水洗及び乾燥をした後、アンテナ面に厚さ200μmのIC回路を実装し、エポキシ樹脂で表面を包埋した。基材のIC回路が実装されていない裏面に、厚さ50μmのアクリル系粘着層アロンタックHCV3700(東亞合成社製)を形成し、非接触ICタグ(1)を作製した。
【0093】
テトロンフィルムHPE上に厚さ35μmの電解銅箔をボンディングシートで接着し、エッチングでA4サイズのアンテナ回路を形成した。表面研磨、水洗及び乾燥をした後、アンテナ面に厚さ200μmのIC回路を実装し、エポキシ樹脂で表面を包埋し、このIC回路上に、厚さ300μmのEVA系接着性シート及びテトロンフィルムHPEで保護層を形成する。このポリエステルフィルム上に厚さ30μmのゴム系粘着層を設けた可逆性の情報の視認可能な非接触式ICタグ(2)を作製した。
(チップの割れ頻度の評価方法)
プリンターを通して、100枚中何枚がIC判読しなかったかでICチップ割れを判断した。
(実施例1)
可逆性感熱記録シートのバック層側に、緩衝層として、厚さ0.5mmの発泡ポリウレタンシートのソフランW20(東洋ゴム社製)(209mm×52mm)を貼り付け、さらにこの上に非接触ICタグ(1)(86mm×54mm)を貼り付けることにより、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートを作製した。
【0094】
サーマルヘッド及び熱ロールを兼ね備えたプリンター(東北リコー社製試作機)を用いて25mm/秒で印字を行ったが、画像のムラ、消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。なお、チップのワレ頻度は、10/100枚であった。
(実施例2)
可逆性感熱記録シートのバック層側に、緩衝層として、厚さ0.5mmの発泡ポリウレタンシートのソフランW60(東洋ゴム社製)(209mm×52mm)を貼り付け、さらにこの上に非接触式ICタグ(1)(86mm×54mm)を貼り付けることにより、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートを作製した。
【0095】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、画像のムラ、消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。なお、チップのワレ頻度は、10/100枚であった。
(実施例3)
可逆性感熱記録シートのバック層側に、緩衝層として、シリコーン材9075(3M社製)の両面テープ(86mm×52mm)を貼り付け、さらにこの上に非接触ICタグ(1)(86mm×54mm)を貼り付けることにより、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートを作製した。
【0096】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、画像のムラ、消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。なお、チップのワレ頻度は、10/100枚であった。
(実施例4)
可逆性感熱記録シートのバック層側に、緩衝層として、不織布材9075(3M社製)の両面テープ(86mm×53mm)を貼り付け、さらにこの上に非接触ICタグ(1)(86mm×54mm)を貼り付けることにより、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートを作製した。
【0097】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、画像のムラ、消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。なお、チップのワレ頻度は、10/100枚であった。
(実施例5)
可逆性感熱記録シートのバック層側に、緩衝層として、硬度70のバンポン(3M社製)の片面テープ(86mm×50mm)を貼り付け、さらにこの上に非接触ICタグ(1)(86mm×54mm)を貼り付けることにより、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートを作製した。
【0098】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、画像のムラ、消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。なお、チップのワレ頻度は、10/100枚であった。
(実施例6)
可逆性感熱記録シートのバック層側に、緩衝層として、厚さ250μmのKE3475T(信越シリコーン社製)(86mm×50mm)を塗布し、さらにこの上に非接触ICタグ(1)(86mm×54mm)を貼り付けることにより、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートを作製した。
【0099】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、画像のムラ、消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。なお、チップのワレ頻度は、10/100枚であった。
(実施例7)
可逆性感熱記録シートのバック層側に、緩衝層として、厚さ250μmのアロンタックHCV3700(210mm×50mm)を貼り付け、さらにこの上に非接触ICタグ(1)(86mm×54mm)を貼り付けることにより、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートを作製した。
【0100】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、画像のムラ、消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。なお、チップのワレ頻度は、10/100枚であった。
(実施例8)
可逆性感熱記録シートのバック層側に、緩衝層として、針状フィラーFT3000(大塚化学社製)を50重量%含有する、厚さ250μmのアロンタックHCV3700(210mm×81mm)を貼り付け、さらにこの上に非接触ICタグ(1)(86mm×54mm)を貼り付けることにより、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートを作製した。
【0101】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、画像のムラ、消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。また、染み出しも出にくかった。なお、チップのワレ頻度は、10/100枚であった。
(実施例9)
スチレン−ブタジエン共重合体PA−9159(日本エイアンドエル社製)30部、ポリビニルアルコールのポバールPVA103(クラレ社製)12部、中空フィラーのマイクロスフェアーR300(松本油脂社製)20部及び水40部を良く攪拌し、断熱層塗布液を調製した。
【0102】
実施例8の非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートのバック層側の表面に、ワイヤーバーを用いて断熱層塗布液を塗布した後、加熱乾燥し、厚さ20μmの断熱層を設け、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シート(緩衝層サイズ:210mm×54mm、非接触ICタグサイズ:86mm×54mm)を作製した。
【0103】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、画像のムラ、消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。また、染み出しも無かった。なお、チップのワレ頻度は、10/100枚であった。
(実施例10)
ウレタンアクリル紫外線硬化性樹脂C4−175(大日本インク化学工業社製)30部、イソプロピルアルコール30部、トルエン10部及び炭酸カルシウムのツネックスE(白石工業社製)5部を良く攪拌し、保護層塗布液(2)を調製した。
【0104】
実施例9の断熱層の上に、ワイヤーバーを用いて保護層塗布液(2)を塗布し、加熱乾燥した後、80W/cmの紫外線ランプで硬化させ、厚さ3μmの保護層を設け、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シート(緩衝層サイズ:210mm×81mm、非接触ICタグサイズ:86mm×54mm)を作製した。
【0105】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、画像のムラ、消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。また、染み出しも無く、裏面の傷も見られなくなった。なお、チップのワレ頻度は、10/100枚であった。
(実施例11)
実施例10の非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートの記録層側の保護層の上に、ワイヤーバーを用いて保護層塗布液(2)を塗布し、加熱乾燥した後、80W/cmの紫外線ランプで硬化させ、厚さ3μmの保護層を設け、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シート(緩衝層サイズ:210mm×54mm、非接触ICタグサイズ:86mm×54mm)を作製した。
【0106】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、画像のムラ、消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。また、染み出しも無く、裏面の傷も見られず、保護層の汚れも見られなくなった。なお、チップのワレ頻度は、10/100枚であった。
(実施例12)
厚さ300μm、密度21kg/mのポリウレタンEFF(司フエルト商事社製)をポリエステル系接着剤で貼り合せて、厚さを350μmとし、さらに厚さ30μmのゴム系粘着層を設けて緩衝材(1)を作製した。
【0107】
可逆性感熱記録シートのバック層側に非接触ICタグ(2)(86mm×54mm)を貼り付け、さらに緩衝材(1)(210mm×81mm)を貼り付けることにより、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートを作製した。
【0108】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、画像のムラ、消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。
【0109】
また、非接触ICタグ(2)を貼り付けた部分の搬送速度を他の部分と比べて20%遅い設定(20mm/秒)で画像の消去を行ったところ、突起部分の画像が消去され、画像のムラ、消し残り及び地肌カブリの発生がさらに少なくなった。なお、チップのワレ頻度は、5/100枚であった。
(実施例13)
厚さ300μm、ゴム硬度40、密度180kg/mのゴム系スポンジNBR4413(司フエルト商事社製)をポリエステル系接着剤で貼り合せて340μmの緩衝材(2)を作製した。この支持体の一方の面にワイヤーバーを用いてバック層塗布液を塗布し、乾燥した後、80W/cmの紫外線ランプで硬化させ、膜厚10μmのバック層を設けた。
【0110】
実施例12の緩衝材(1)を、バック層を設けた緩衝材(2)に変更した以外は、実施例12と同様に非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シート(緩衝材サイズ:210mm×81mm、非接触ICタグサイズ:86mm×54mm)を作製した。
【0111】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、画像のムラ、消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。さらに、異音の発生等が無く、搬送性が更に良好となった。なお、チップのワレ頻度が、5/100枚であった。
(実施例14)
厚さ1.8mmのゴム上に厚さ50μmのゴム系粘着層を設けて緩衝材(3)を作製した。
【0112】
高透磁率コア、アンテナコイル及び導電性金属から構成されているシート状ICタグ(縦18.5mm、横47mm、膜厚1.8mm)上に緩衝材層として、厚さ50μmのゴム系粘着層を設けて非接触ICタグ(3)を作製した。
【0113】
可逆性感熱記録シートの片隅に非接触ICタグ(3)(86mm×54mm)を貼り付け、その横に緩衝材(3)(210mm×81mm)を貼り付け、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートを作製した。
【0114】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行った。このとき、非接触ICタグ(3)を貼り付けた部分は、画像形成範囲に入らず、消去のみの実施となってしまったが、熱ロールが当たっても消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。なお、チップのワレ頻度は、3/100枚であった。
(実施例15)
厚さ300μm、密度21kg/mのポリウレタンEFF(司フエルト商事社製)をポリエステル系接着剤で貼り合せて、厚さを350μmとし、さらに厚さ30μmのゴム系粘着層を設けて緩衝材(1)を作製した。
【0115】
可逆性感熱記録シートのバック層側に非接触ICタグ(2)(86mm×54mm)を貼り付け、さらに緩衝材(1)(210mm×81mm)を貼り付けることにより、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートを作製した。
【0116】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、画像のムラ、消去残り及び地肌カブリの発生はほとんど見られなかった。
【0117】
また、非接触ICタグ(2)を貼り付けた部分を他の部分と比べて20%高い消去温度の設定(168℃)で画像の消去を行ったところ、突起部分の画像が消去され、画像のムラ、消し残り及び地肌カブリの発生がさらに少なくなった。なお、チップのワレ頻度は、3/100枚であった。
(比較例1)
可逆性感熱記録シートのバック層側に、非接触式ICタグ(1)(86mm×54mm)を貼り付け、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートを作製した。
【0118】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、非接触ICタグ(1)を貼り付けた部分で画像のムラ及び消し残りが発生し、非接触ICタグ(1)のエッジ部分で地肌カブリが観察された。なお、チップのワレ頻度は、100/100枚であった。
(比較例2)
実施例1の支持体の代わりに、厚さ600ミクロンのPET−G(三菱樹脂社製PAC)に加工したものを、実施例1と同じプリンターに通すと、搬送されなかった。また、コンテナケースのバインダーに固定すると、支持体が折れてしまった。
(参考例1)
可逆性感熱記録シートのバック層側に、非接触ICタグ(2)(86mm×54mm)を貼り付け、さらに密度13kg/mの発泡ポリウレタン材EZQ−S(司フエルト商事社製)(86mm×50mm)を貼り付け、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートを作製した。
【0119】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、非接触ICタグ(2)を貼り付けた部分で画像のムラ及び消し残りが発生し、非接触ICタグ(2)のエッジ部分で地肌カブリが観察された。なお、チップのワレ頻度は、80/100枚であった。
(参考例2)
実施例13のNBR4413をゴム硬度8、密度100kg/mの天然ゴムスポンジN149(司フエルト商事社製)に変更した以外は、実施例13と同様に非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シート(緩衝材サイズ:86mm×50mm、非接触ICタグサイズ:86mm×54mm)を作製した。
【0120】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、非接触ICタグ(2)を貼り付けた部分(特に突起部分)で画像のムラ及び消去残りが発生し、非接触ICタグ(2)のエッジ部分で地肌カブリが観察された。なお、チップのワレ頻度は、80/100枚であった。
(参考例3)
実施例13のNBR4413をゴム硬度10、密度180kg/mのゴムスポンジC4205(司フエルト商事社製)に変更した以外は、実施例13と同様に非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シート(緩衝材サイズ:86mm×50mm、非接触ICタグサイズ:86mm×54mm)を作製した。
【0121】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、非接触ICタグ(2)を貼り付けた部分(特に突起部分)で画像のムラ及び消去残りが発生し、非接触ICタグ(2)のエッジ部分で地肌カブリが観察された。なお、チップのワレ頻度は、80/100枚であった。
(参考例4)
実施例13のNBR4413をゴム硬度80のゴムTBC80(鬼怒川ゴム社製)に変更した以外は、実施例13と同様に非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シート(緩衝材サイズ:86mm×50mm、非接触ICタグサイズ:86mm×54mm)を作製した。
【0122】
実施例1と同じプリンターを用いて25mm/秒で印字及び消去を行ったが、非接触ICタグ(2)を貼り付けた部分(特に突起部分)で画像のムラ及び消去残りが発生した。なお、チップのワレ頻度は、硬いゴムを用いたため、70/100枚であった。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の可逆性感熱記録媒体を示す図であり、(a)、(b)及び(c)は、それぞれ情報処理部材及び緩衝層が設けられている側の表面、幅方向の断面、長さ方向の断面を示している。
【図2】本発明の可逆性感熱記録媒体を示す図であり、(a)、(b)及び(c)は、それぞれ情報処理部材及び緩衝層が設けられている側の表面、幅方向の断面、長さ方向の断面を示している。
【図3】本発明で用いられる情報処理部材を示す図である。
【図4】本発明の画像処理装置を示す図である。
【符号の説明】
【0124】
11 支持体
12 可逆性感熱記録層
13 情報処理部材
14 緩衝層
31 IC回路
32 アンテナ回路
33 回路基板
41 アンテナ
42 熱ロール
43 サーマルヘッド
44 搬送ローラ
45 プラテンロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可とう性を有する支持体、可逆性感熱記録層、情報記録素子を有する情報処理部材及び緩衝層を有する可逆性感熱記録媒体において、
前記情報処理部材及び前記緩衝層は、前記支持体に設けられた前記可逆性感熱記録層と反対側に積層されていることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【請求項2】
前記緩衝層は、前記支持体及び前記情報処理部材の間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項3】
前記情報処理部材は、前記支持体及び前記緩衝層の間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項4】
前記緩衝層を平面視したとき、前記緩衝層の領域は、前記情報処理部材の領域を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項5】
前記緩衝層の領域の幅は、前記可逆性感熱記録層の画像を形成する領域の幅以上で前記可逆性感熱記録層の領域の幅以下であり、
前記情報処理部材の領域の長さに対する前記緩衝層の領域の長さの比は、1以上1.5以下であることを特徴とする請求項4に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項6】
前記緩衝層の厚さは、前記情報処理部材の厚さの0.5倍以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項7】
前記緩衝層は、軟質樹脂材料、硬質樹脂材料と軟質樹脂材料との混合材料、無機材料と軟質樹脂材料との混合材料、スポンジ材料及びゴム材料からなる群より選択される材料を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項8】
前記緩衝層は、硬化性樹脂材料及び無機材料の少なくとも一方の材料の含有率が30重量%以上90重量%以下である接着層又は粘着層を表面に有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項9】
前記情報処理部材及び前記緩衝層が設けられている側に、断熱層がさらに設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項10】
前記情報処理部材及び前記緩衝層が設けられている側に、保護層がさらに設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去する画像処理方法において、
可変のエネルギーを印加して前記可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去することを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
前記可逆性感熱記録媒体を搬送する速さを変化させることにより前記エネルギーを変化させることを特徴とする請求項11に記載の画像処理方法。
【請求項13】
前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられていない部分を搬送する速さに対する前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられた部分を搬送する速さの比は、0.1以上1以下であることを特徴とする請求項12に記載の画像処理方法。
【請求項14】
前記エネルギーを印加する熱源の温度を変化させることにより前記エネルギーを変化させることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の画像処理方法。
【請求項15】
前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられていない部分にエネルギーを印加する際の前記熱源の温度に対する前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられた部分にエネルギーを印加する際の前記熱源の温度の比は、1以上1.6以下であることを特徴とする請求項14に記載の画像処理方法。
【請求項16】
前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられた部分にエネルギーを印加した後に前記可逆性感熱記録媒体の前記情報処理部材が設けられていない部分にエネルギーを印加することを特徴とする請求項11乃至15のいずれか一項に記載の画像処理方法。
【請求項17】
請求項11乃至16のいずれか一項に記載の画像処理方法により前記可逆性感熱記録媒体に画像を形成及び消去することを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−111005(P2006−111005A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267514(P2005−267514)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】