説明

台間遊技設備機器のカード処理装置および台間遊技設備機器

【課題】非接触型無線カード用の複数のリードライト装置を、それぞれの生成する電磁界が他に影響を与えることなく近接配置可能な遊技設備機器を提供する。
【解決手段】ビジターカード35用の第1のリードライト装置40が有するアンテナ43の指向性と、会員カード37用の第2のリードライト装置80が有するアンテナ82の指向性とが90度相違するようにこれらのアンテナ43、82の向きを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ球を貸し出す台間機などの遊技設備機器に係わり、特に、電磁界を利用した非接触型無線カードを貸し出し代金の支払いなどに利用可能な遊技設備機器に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコホールなどの遊技店では、会員登録を申し込んだ遊技者に会員カードを発行し、この会員カードを顧客管理や会員サービスの向上に利用している。たとえば、遊技機で遊技を行なう会員に、その遊技機に並設されている台間玉貸機へ会員カードを挿入してもらい、挿入された会員カードから遊技者の会員を特定し、遊技に係わる各種の情報を会員毎に収集してコンピュータで管理するようになっている。
【0003】
また、台間玉貸機などの遊技設備機器では、遊技媒体の貸し出しに係わる料金の支払いを、現金もしくはプリペイドカードを利用して行なうようになっている。
【0004】
このため、台間玉貸機などの遊技設備機器は、会員カード用のリードライト装置とプリペイドカード用のリードライト装置の2種類を内蔵している。
【0005】
プリペイドカードは、データを書き換えて何度も使用可能な、いわゆるリサイクルカードになっており、残高がなくなると回収されて、新規に発行するビジターカードとして再利用されるようになっている。このようなリサイクルカードや会員カードには、RFID(Radio Frequency IDentification、電波方式非接触識別)方式の非接触型無線カードが多く使用される。
【0006】
【特許文献1】特開2001−34815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非接触型無線カードは、カードのリードライト装置が生成した電磁界を通じて電力の供給を受けるとともに、制御信号などを受信する。リードライト装置が生成する電磁界は、セットされたカードだけでなくその周囲にもある程度届いてしまう。したがって、会員カードとプリペイドカード(リサイクルカード)の2種類の非接触型無線カードのそれぞれに対応して2台のリードライト装置を遊技設備機器に内蔵する場合には、それぞれの生成する電磁界が他方に影響を与えないようにしなければならない。
【0008】
一方、台間玉貸機などの遊技設備機器は、遊技機島に収容された遊技機と遊技機との間のわずかの隙間に設置するために前面の横幅が40ミリ程度の薄型に構成される。このため、複数のリードライト装置をそれぞれの生成する電磁界が他に影響を与えないようにして配置することが難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決しようとする課題にするものであり、非接触型無線カード用の複数のリードライト装置を、それぞれの生成する電磁界が他に影響を与えることなく近接配置可能な遊技設備機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係わる発明は、電磁界を利用した非接触型無線カード(35、37)のリードライト装置(40、80)を複数備え、
隣り合う前記リードライト装置(40、80)のアンテナ部(43、82)の指向性を相互に異なる向きに設定した
ことを特徴とする遊技設備機器である。
【0011】
上記発明によれば、隣り合うリードライト装置(40、80)のアンテナ部(43、82)の指向性が相互に異なる向きに設定される。通常、リードライト装置(40、80)のアンテナ部(43、82)は、定位置にセットされた非接触型無線カード(35、37)へ電力や信号を効率よく伝送するために、その指向性は、セットされた非接触型無線カード(35、37)の方向に設定される。
【0012】
したがって、隣り合うリードライト装置(40、80)のアンテナ部(43、82)の指向性を相互に異なる向きに設定することで、各リードライト装置(40、80)のアンテナ部(43、82)の生成する電磁界が、隣りのリードライト装置(40、80)にセットされた非接触型無線カード(35、37)や隣りのリードライト装置(40、80)における信号受信に与える影響が低減され、隣り合うリードライト装置(40、80)の配置間隔を狭くすることが可能になる。
【0013】
請求項2に係わる発明は、隣り合う前記リードライト装置(40、80)のアンテナ部(43、82)の指向性を相互に90度相違させる
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技設備機器である。
【0014】
上記発明によれば、隣り合う前記リードライト装置(40、80)のアンテナ部(43、82)の指向性が、互いの影響を最も受け難い向きに設定される。
【0015】
請求項3に係わる発明は、隣り合う前記リードライト装置(40、80)のカード挿入口(19、21)を、これらのカード挿入口(19、21)に挿入された非接触型無線カード(35、37)の面が相互に垂直になる向きに設定した
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技設備機器である。
【0016】
上記発明によれば、隣り合うカード挿入口(19、21)に挿入された非接触型無線カード(35、37)を各カード挿入口(19、21)から対応するリードライト装置(40、80)の定位置まで真っ直ぐに搬送するだけで、互いの電磁界の影響を最も受け難い位置関係に非接触型無線カード(35、37)がセットされる。たとえば、遊技設備機器の前面にカード挿入口(19、21)を設ける場合に、隣り合うカード挿入口の一方(19)を水平方向に細長い矩形に開口し他方(21)を垂直方向に細長い矩形に開口する。
【0017】
請求項4に係わる発明は、隣り合うリードライト装置(40、80)の一方が非接触型無線カード(35)を複数枚積層して収容するカード収容部(41)を備えたものである場合に、
前記一方のリードライト装置(40)を、そのカード収容部(41)に収容される非接触型無線カード(35)が水平な状態で垂直方向に積層される向きにして配置した
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の遊技設備機器である。
【0018】
上記発明によれば、非接触型無線カード(35)は、水平な状態で垂直方向に積層されてカード収容部(41)に収容される。
【0019】
請求項5に係わる発明は、当該遊技設備機器の前面が長方形を成し、
前記前面にカード挿入口(19、21)が設けられ、
隣り合うリードライト装置(40、80)の一方が非接触型無線カード(35)を複数枚積層して収容するカード収容部(41)を備えたものである場合に、
前記一方のリードライト装置(40)を、そのカード収容部(41)に積層して収容される非接触型無線カード(35)の面が前記長方形を成す前面の長辺方向と垂直になる向きにして配置した
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の遊技設備機器である。
【0020】
上記発明によれば、非接触型無線カード(35)は、その面が遊技機設備機器の前面の長辺方向と垂直な状態で積層されてカード収容部(41)に収容される。前面の短辺方向の長さに厳しい制限のある遊技設備機器においても、前面の長辺方向に非接触型無線カード(35)を積層して収容することで収容可能枚数の増大が可能になる。
【0021】
請求項6に係わる発明は、遊技機と遊技機との間に設置される台間遊技設備機器である
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の遊技設備機器である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係わる遊技設備機器によれば、隣り合うリードライト装置のアンテナ部の指向性を相互に異なる向きに設定したので、各リードライト装置は隣りのリードライト装置が生成する電磁界の影響を受け難くなり、隣り合うリードライト装置を近接配置することが可能になる。
【0023】
隣り合うリードライト装置のアンテナ部の指向性を相互に90度相違させるものでは、各リードライト装置の生成する電磁界が隣りのリードライト装置に与える影響が最も低減される。
【0024】
隣り合うリードライト装置のカード挿入口を、これらのカード挿入口に挿入された非接触型無線カードの面が相互に垂直になる向きに設定したものでは、隣り合うカード挿入口に挿入された非接触型無線カードを各カード挿入口から対応するリードライト装置の定位置まで真っ直ぐに搬送するだけで、互いの電磁界の影響を最も受け難い位置関係に非接触型無線カードがセットされるので、搬送部の構成を簡略化することができる。
【0025】
隣り合うリードライト装置の一方が非接触型無線カードを複数枚積層して収容するカード収容部を備えたものである場合に、前記一方のリードライト装置を、そのカード収容部に収容される非接触型無線カードが水平な状態で垂直方向に積層される向きにして配置したものでは、遊技機と遊技機との間の隙間に設置される台間遊技設備機器のように横幅に厳しい制限のある遊技設備機器においても、カード収容部を垂直方向に延ばすことで非接触型無線カードの収容枚数の増加が可能になる。
【0026】
非接触型無線カードをその面が遊技機設備機器の前面の長辺方向と垂直な状態で積層してカード収容部に収容するものでは、前面の短辺方向の長さに厳しい制限のある遊技設備機器においても、前面の長辺方向に非接触型無線カードを積層して収容することで収容可能枚数の増大が可能になる。
【0027】
特に、遊技機と遊技機との間に設置される台間遊技設備機器は内部空間が狭いので、隣り合うリードライト装置の近接配置が可能になることで、内部配置の自由度が高まり、使い勝手やその他の目的に応じたレイアウトが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
図2は、本発明の実施の形態に係わる遊技設備機器10の遊技場における設置状態の一例を示している。遊技場内には、遊技機としてのパチンコ機3と、このパチンコ機3で使用するパチンコ球(遊技媒体)を遊技者に貸し出す遊技設備機器10とを一組にしたものを多数並設して表裏両面に収容した遊技機島4が設けてある。隣り合うパチンコ機3同士の間隔は40ミリであり、この狭い空間に遊技設備機器10が収められる。
【0030】
なお、遊技設備機器10は、組み合わされているパチンコ機3にパチンコ球の払出信号を送出し、これを受けたパチンコ機3が自機の上皿5にパチンコ球を排出する、いわゆるCRサンド機として構成されている。
【0031】
遊技設備機器10は、パチンコ球の貸し出し用の代金や金銭価値などを遊技者が管理するためのカードとして、ビジターカードと、会員カードの2種類を取り扱うことができる。これらのカードはいずれも非接触型無線カードであり、情報を書き換え可能に記憶する機能を備えている。
【0032】
ビジターカードは、使用者を特定しないプリペイド方式のカードであり、カードに登録されている残高分だけ、パチンコ球の貸し出しを受けることができる。また、ビジターカードは、データを書き換えて何度も使用可能な、いわゆるリサイクルカードであり、残高がなくなると回収され、新規に発行するビジターカードとして再利用されるようになっている。
【0033】
会員カードは、持ち主の会員と1対1に対応付けされたカードであり、遊技設備機器10へ挿入することで遊技者の会員が特定される。会員カードを投入することにより、その会員が保有している残高や貯玉の利用等が可能になる。
【0034】
図3は、遊技設備機器10の前面(正面)を示している。遊技設備機器10はその前面が長方形を成しており、長方形の短辺が水平になるようにして設置される。遊技設備機器10の前面には、上から下に向けて順に、状態表示ランプ11と、紙幣挿排口12と、度数表示部13と、表示部14と、操作部15と、受光部16と、キー穴17と、ビジターカード確認LED18と、ビジターカード挿入口19と、会員カード確認LED20と、会員カード挿入口21とが設けられている。
【0035】
状態表示ランプ11は、遊技設備機器10の運用状態を表示するランプである。紙幣挿排口12は、パチンコ球の貸し出し代金となる紙幣の投入および投入された紙幣の返却を行なうための開口である。度数表示部13は、使用中のカードの残高を表示するための表示部である。表示部14は、再プレイ利用可能度数や会員情報など各種の情報が表示される表示部である。
【0036】
操作部15は、カードの残高から貸し出しに使用する金額や暗証番号などを入力するためのテンキーやその他の入力キーで構成される。受光部16は、遊技場の係員が操作するリモコンが送出する光信号を受光するための受光窓である。キー穴17は、遊技設備機器10を手前に引き出し不能に遊技機島4に固定するロック機構を解除する鍵を挿入するための鍵穴である。
【0037】
ビジターカード確認LED18は、ビジターカードの状態を表示するためのランプである。ビジターカード挿入口19はビジターカードの挿入および排出が行なわれる開口部である。ビジターカード挿入口19は、ビジターカードを水平な状態で挿入するように、水平方向に細長い矩形状に開口している。すなわち、ビジターカード挿入口19は、遊技設備機器10の長方形を成す前面の短辺方向に細長い矩形状に開口している。
【0038】
会員カード確認LED20は、会員カードの状態表示を行なうランプである。会員カード挿入口21は、会員カードの挿入および排出が行なわれる開口部である。会員カード挿入口21は会員カードを垂直にして挿入するように、垂直方向に細長い矩形状に開口している。
【0039】
図4は、遊技設備機器10の左側面を示している。遊技設備機器10の内部には、投入された紙幣の真偽や金額を判定する紙幣識別機31や払い出しに係わる各種の制御を行なう制御基板32、33などが収容されている。また、遊技設備機器10の背面には、パチンコ機3に払出信号を送出したり、遊技場の管理装置との間で売上げに係わるデータや会員情報などを送受信したりするための外部出力端子板34が設けてある。
【0040】
ビジターカード挿入口19に対応する位置には、ビジターカードに対するリード/ライト機能やビジターカードをストックする機能を果たす第1のリードライト装置40が取り付けてある。会員カード挿入口21に対応する位置には、会員カードに対する情報の読み出しおよび書き込み書き換えを行なう第2のリードライト装置80が設けてある。第1のリードライト装置40の下方で第2のリードライト装置80の奥手にはこれらの動作を制御するカード制御基板90が設けてある。
【0041】
図5は、ビジターカードの外観を示している。ビジターカード35は、厚さ数ミリの扁平な長方形を成しており、その平面形状は、たとえば、長方形の短辺(幅)が約25mm、長辺(長さ)が約60mmになっている。ビジターカード35には、外部から電磁的に電力の供給を受けて動作するICタグ36とアンテナ36aが内蔵されている。ICタグ36は、RFID(Radio Frequency IDentification、電波方式非接触識別)方式を使用した無線ICタグである。アンテナ36aは、アンテナ線を周回させたループアンテナになっている。
【0042】
ICタグ36は、図示省略の電力生成部と、通信部と、書き換え可能な不揮発性メモリと、CPU(中央処理装置)とを有している。ICタグは、受信したデータを不揮発性メモリに書き込んだり、不揮発性メモリに記憶されているデータを読み出して無線送信したりする機能を備えている。
【0043】
図6は、会員カードの外観を示している。会員カード37は、厚さ数ミリの扁平な長方形を成しており、その平面形状は、たとえば、長方形の短辺(幅)が約40mm、長辺(長さ)が約60mmになっている。会員カード37はビジターカード35と同様に、アンテナ38aと、RFID方式のICタグ38とを内蔵している。アンテナ38aは、アンテナ線を周回させたループアンテナになっている。
【0044】
図1は、第1のリードライト装置40および第2のリードライト装置80の概略構成を示している。第1のリードライト装置40は、ビジターカード35をその面が遊技機設備機器10の長方形を成す前面の長辺方向と垂直になる状態で積層して収容するカード収容部41を備えている。また第1のリードライト装置40は、ビジターカード挿入口19とカード収容部41との間でビジターカード35を水平な状態で真っ直ぐに搬送する搬送部42と、その搬送経路の途中に設けられたアンテナ43とを備えている。
【0045】
カード収容部41は、ビジターカード35をその面が遊技設備機器10の長方形を成す前面の長辺方向と垂直になる状態(ここでは、水平な状態)で積層して収容するための空間を構成する側壁部と天井部とを有し、下部は開放されている。
【0046】
搬送部42の搬送経路は、カード収容部41の開放された下部に配置されて実質的にカード収容部41の底部を成すアイドリングローラ44および繰り出しローラ45と、カード収容部41とビジターカード挿入口19と間に所定間隔を空けて配置された一対の搬送ローラ46、47とで構成される。各搬送ローラ46、47の上方には、これらの上面をバネで付勢されて押圧するピンチローラ46a、47aがそれぞれ設けてある。
【0047】
搬送ローラ46、47および繰り出しローラ45は、モータ48によりギア、プーリ、タイミングベルトを通じて回転駆動される。モータ48を正転駆動するとビジターカード挿入口19からカード収容部41に向けてビジターカード35が搬送され、逆転駆動するとカード収容部41からビジターカード挿入口19に向けてビジターカード35が搬送されるようになっている。
【0048】
搬送経路の途中には、搬送されるビジターカード35の有無および位置を検知するための第1から第3のカードセンサ51〜53が設けて有る。これらは、発光部と受光部とを対向配置した透過型の光センサである。
【0049】
カード収容部41の下部には、カード収容部41に収容されているビジターカード35を上方に押し上げるカード上げ機構54が設けてある。カード上げ機構54は、ソレノイド55によって駆動され、このソレノイド55がオンの間、カード収容部41に収容されているビジターカード35を上方に押し上げ、繰り出しローラ45と接触しない状態を形成するようになっている。カード収容部41に収容されているビジターカード35をカード上げ機構54で上方に押し上げることで、モータ48の駆動中にカード収容部41からビジターカード35が不必要に繰り出されたり、繰り出しローラ45がビジターカード35を不要に擦って痛めたりすることを防止するようになっている。
【0050】
搬送ローラ46と搬送ローラ47との間の搬送経路の上方には、アンテナ43が設置されている。アンテナ43の直下の位置が、ビジターカード35に第1のリードライト装置40が情報を読み書きするためのアクセス位置になっている。
【0051】
図7は、アンテナ43を上方から見た平面図である。アンテナ43は、同図に示すようにアンテナ線56を周回させたコイル状のループアンテナであり、ループの面が水平になる(アクセス位置に停止したビジターカード35と対向する)ように設置されている。
【0052】
このアンテナ43に、電流を図7の矢印Aで示す向き(右回り)に流すと、右ねじの法則に従って磁場(磁界、電磁波)Bが発生する。
【0053】
図8は、図7に示すアンテナ43のC−C断面である。磁場Bはアンテナ43の中央付近ではループの面とほぼ垂直な方向に向かっている。すなわち、アンテナ43が生成する磁場Bは、アンテナ43の中央付近ではループの面とほぼ垂直方向に指向性を持っている。アンテナ43はループの面が水平になるように設置されているので、アンテナ43が生成する磁場Bは垂直方向(鉛直方向)に指向性を持っている。
【0054】
図1に示すように、第2のリードライト装置80は、会員カード37が定位置まで挿入されたことを検知するカード検知スイッチ81と、アンテナ82と、挿入された会員カード37を定位置で固定する板ばね83とを備えている。
【0055】
アンテナ82は、第1のリードライト装置40のアンテナ43と同様にアンテナ線を周回させたコイル状のループアンテナである。アンテナ82は、ループの面が垂直になるように配置されており、発生する磁場はアンテナ82の中心付近で水平方向に指向性を持っており、第1のリードライト装置40のアンテナ43と指向性が90度相違するように設定されている。
【0056】
図9は、カード制御基板90の回路構成を示している。カード制御基板90は、第1のリードライト装置40および第2のリードライト装置80の動作を統括制御するCPU(中央処理装置)91と、CPU91の動作手順を表わしたプログラムや各種の固定データを記憶したROM(リード・オンリ・メモリ)92と、CPU91がROM92に格納されたプログラムを読み出して実行する際に各種データを一時的に記憶するRAM(ランダム・アクセス・メモリ)93とを備えている。
【0057】
CPU91には、I/Oユニット94を介してモータドライバ95と、ソレノイドドライバ96と、センサアンプ97と、第1通信ユニット98、第2通信ユニット99とが接続されている。このほか、CPU91は、制御基板32、33とも接続されており、各種の情報や指令を受け渡しするようになっている。第1通信ユニット98には第1のリードライト装置40のアンテナ43が、第2通信ユニット99には第2のリードライト装置80のアンテナ82がそれぞれ接続されている。
【0058】
モータドライバ95は、CPU91からの指示に従ってモータ48に駆動信号を送出する。ソレノイドドライバ96は、CPU91からの指示に従ってソレノイド55に駆動信号を送出する。センサアンプ97には第1から第3のカードセンサ51〜53やカード検知スイッチ81などが接続され、各センサからの検出信号が入力される。
【0059】
図10は、第1のリードライト装置40のアクセス位置にセットされたビジターカード35とアンテナ43との位置関係および磁場の様子を示す原理図である。図10に示す各アンテナの形状や大きさは原理を説明するために適宜調整してある。
【0060】
第1のリードライト装置40のアンテナ43で発生した磁場Bの変化により、カード側のアンテナには、図8に示した右ねじの法則と逆の現象(電磁誘導)がレンツの法則に従って生じ、誘導起電力が発生して電流が流れる。ある回路に発生する起電力の大きさは、その回路を通る磁束数が単位時間に変化する割合に比例する。また、磁束数は、回路のなす面を通る磁束の垂直成分である。したがって、第1のリードライト装置40のアンテナ43で発生した磁場Bとカード側のアンテナのループの面とが直交する位置関係のとき電磁誘導の効率が最も良くなり、磁場Bとカード側のアンテナのループの面とが平行になる位置関係のとき電磁誘導の効率が最も悪くなる。
【0061】
第1のリードライト装置40のアンテナ43とビジターカード35のアンテナ36aとは、アクセス位置においてアンテナのループの面が互いに平行に対向しており、第1のリードライト装置40のアンテナ43が生成した磁場Bは、ビジターカード35のアンテナ36aのループの中をそのループの面と直交するように横切っている。上記したように、このような位置関係では、第1のリードライト装置40のアンテナ43で生成した磁場Bの変化に基づく電磁誘導(相互誘導作用)によってビジターカード35のアンテナ36aに比較的効率良く誘導起電力が生じて電流が流れる。すなわち、第1のリードライト装置40から送られた電力および信号は磁場Bを通じてビジターカード35へ効率良く伝達される。
【0062】
一方、第2のリードライト装置80にセットされた会員カード37およびそのアンテナ38aは、第1のリードライト装置40のアンテナ43に対して図10の破線で示す位置関係にある。すなわち、第1のリードライト装置40のアンテナ43のループの面と会員カード37のアンテナ38aのループの面とは直交する位置関係にあり、第1のリードライト装置40のアンテナ43で生成した磁場Bは、会員カード37のアンテナ38aのループの中をほとんど横切らない。このような位置関係では、第1のリードライト装置40のアンテナ43で生成した磁場Bによる電磁誘導(相互誘導作用)によって会員カード37のアンテナ38aに誘導起電力がほとんど発生せず、電流が流れない。
【0063】
すなわち、ビジターカード35のアンテナ36aの向きは、第1のリードライト装置40のアンテナ43が生成した磁場Bに基づく電磁誘導にとって最も効率の良い(相互インダクタンスが最も大きくなる)向きであり、会員カード37のアンテナ38aは最も効率の悪い(相互インダクタンスが最も小さくなる)向きになっている。
【0064】
同様に第2のリードライト装置80のアンテナ82と第2のリードライト装置80にセットされた会員カード37のアンテナ38aとは、互いのループの面が平行に対向して電磁誘導(相互誘導作用)にとって最も効率の良い位置関係にある。一方、第2のリードライト装置80のアンテナ82と第1のリードライト装置40にセットされたビジターカード35のアンテナ36aとはループの面が直交し、電磁誘導(相互誘導作用)にとって最も効率の悪い位置関係にある。
【0065】
このように、第1のリードライト装置40のアンテナ43と第2のリードライト装置80のアンテナ82とは指向性が90度相違しており、電磁界の影響(相互誘導作用)を相互に最も受け難い位置関係になっている。その結果、他方の生成した電磁界の影響を相互に受け難く、第1のリードライト装置40と第2のリードライト装置80とを近接配置することができる。
【0066】
また、第1のリードライト装置40を、そのカード収容部41に収容されるビジターカード35が水平な状態で垂直方向に積層される向きにして配置したので、横幅に厳しい制限のある遊技設備機器10においても、カード収容部41を垂直方向に延ばすことで多数のビジターカード35を収容可能になっている。
【0067】
次に、ビジターカード35と会員カード37に係わる遊技設備機器10の動作を説明する。
【0068】
遊技設備機器10は、会員カード37が第2のリードライト装置80にセットされたことをカード検知スイッチ81が検知すると、第2のリードライト装置80のアンテナ82に電流を流して電磁界(磁場)を生成し、セットされている会員カード37に電力を供給する。また、会員カード37のICタグ38に対する情報の読み出しおよび書き込みを行なう。たとえば、会員番号の読み出しや、残高情報や貯玉情報の更新が行なわれる。
【0069】
また、遊技設備機器10は、ビジターカード35に関して、残高に基づく遊技媒体の貸し出しと、ビジターカード35の新規発行と回収とを行なう。
【0070】
遊技設備機器10は、所定の条件下で紙幣挿排口12に現金が投入されたとき、規定金額分のパチンコ球を払い出す。そして、つり銭があるときは、カード収容部41から1枚のビジターカード35を繰り出し、これをアンテナ43の直下のアクセス位置まで搬送して一時停止させる。その後、第1のリードライト装置40のアンテナ43に電流を流して電磁界を生成し、ビジターカード35のICタグ36に対する情報の読み出しおよび書き込みを行なう。ここでは、つり銭に相当する残高情報の書き込みを行なう。
【0071】
遊技者は、ビジターカード35に残高があるときは、操作部15を操作することでパチンコ球の貸し出しを受けることができる。残高が残っている状態で精算ボタンが操作されると、残高情報をビジターカード35のICタグ36に書き込んだ後、ビジターカード35をビジターカード挿入口19から排出する。
【0072】
排出されたビジターカード35は、たとえば、台移動して別の遊技設備機器10のビジターカード挿入口19に挿入することで、遊技媒体の貸し出しにその残高を利用することができる。この場合、遊技設備機器10は、ビジターカード挿入口19に挿入されたビジターカード35を第1のリードライト装置40のアクセス位置まで搬送し、残高情報の読み出しを行なう。その後は、このビジターカード35の残高に基づく遊技媒体の貸し出しが可能になる。
【0073】
パチンコ球の貸し出しによりビジターカード35の残高が無くなったときは、アクセス位置にあるビジターカード35をカード収容部41へ搬送して回収する。
【0074】
会員の遊技者は、遊技設備機器10に会員カード37とビジターカード35の双方をセットして遊技を行なうことができる。
【0075】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0076】
たとえば、実施の形態では、隣接するパチンコ機に払出信号を送出し、そのパチンコ機からパチンコ球の払い出しを行なわせる、いわゆるCRサンド機を例に遊技設備機器10を説明したが、パチンコ球の払出機構を遊技設備機器自身が有する、いわゆる現金機として構成してもよい。この場合、隣接するパチンコ機の上皿にパチンコ球を案内する排出ノズルなどが遊技設備機器の前面に設けられる。
【0077】
第1のリードライト装置40のアンテナ43の指向性と第2のリードライト装置80のアンテナ82の指向性とはその向きが相違していればよく、相違が90度に近いほど好ましい。なお、実施の形態では第1のリードライト装置40を第2のリードライト装置80の上方に近接配置したが、上下を逆に配置しても良い。また、遊技設備機器の本体ケースの形状によっては、隣り合うリードライト装置を左右や斜めに並べて配置しても良い。
【0078】
また、実施の形態では、2台のリードライト装置を設ける場合を例示したが、隣り合うリードライト装置のアンテナの指向性を相互に異なる向きすれば、3台以上であってもかまわない。
【0079】
遊技設備機器は、非接触型無線カードのリードライト装置を複数台備えるものであればよく、実施の形態で例示したものに限定されない。たとえば、遊技媒体の計数機などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1のリードライト装置およびカード制御基板の概略構成および位置関係を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる遊技設備機器の遊技場における設置状態の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる遊技設備機器を示す正面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる遊技設備機器を示す左側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係わる遊技設備機器で使用されるビジターカードの一例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係わる遊技設備機器で使用される会員カードの一例を示す説明図である。
【図7】第1のリードライト装置のアンテナを示す平面図である。
【図8】図7に示すアンテナのC−C断面図である。
【図9】第1のリードライト装置および第2のリードライト装置の動作を制御するカード制御基板の回路構成を示すブロック図である。
【図10】磁場Bとアンテナの向きとの関係を示す原理図である。
【符号の説明】
【0081】
A…電流の方向を示す矢印
B…磁場
3…パチンコ機
5…上皿
10…遊技設備機器
11…状態表示ランプ
12…紙幣挿排口
13…度数表示部
14…表示部
15…操作部
16…受光部
17…キー穴
18…ビジターカード確認LED
19…ビジターカード挿入口
20…会員カード確認LED
21…会員カード挿入口
31…紙幣識別機
32、33…制御基板
34…外部出力端子板
35…ビジターカード
36…ICタグ
36a…ビジターカードアンテナ
37…会員カード
38…ICタグ
38a…会員カードのアンテナ
40…第1のリードライト装置
41…カード収容部
42…搬送部
43…第1のリードライト装置のアンテナ
44…アイドリングローラ
45…繰り出しローラ
46、47…一対の搬送ローラ
46a、47a…ピンチローラ
48…モータ
51…第1のカードセンサ
52…第2のカードセンサ
53…第3のカードセンサ
54…カード上げ機構
55…ソレノイド
56…アンテナ線
80…第2のリードライト装置
81…カード検知スイッチ
82…第2のリードライト装置のアンテナ
83…板ばね
90…カード制御基板
91…CPU
92…ROM
93…RAM
94…I/Oユニット
95…モータドライバ
96…ソレノイドドライバ
97…センサアンプ
98…第1通信ユニット
99…第2通信ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁界を利用した非接触型無線カードのリードライト装置を複数備え、
隣り合う前記リードライト装置のアンテナ部の指向性を相互に異なる向きに設定した
ことを特徴とする遊技設備機器。
【請求項2】
隣り合う前記リードライト装置のアンテナ部の指向性を相互に90度相違させる
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技設備機器。
【請求項3】
隣り合う前記リードライト装置のカード挿入口を、これらのカード挿入口に挿入された非接触型無線カードの面が相互に垂直になる向きに設定した
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技設備機器。
【請求項4】
隣り合うリードライト装置の一方が非接触型無線カードを複数枚積層して収容するカード収容部を備えたものである場合に、
前記一方のリードライト装置を、そのカード収容部に収容される非接触型無線カードが水平な状態で垂直方向に積層される向きにして配置した
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の遊技設備機器。
【請求項5】
当該遊技設備機器の前面が長方形を成し、
前記前面にカード挿入口が設けられ、
隣り合うリードライト装置の一方が非接触型無線カードを複数枚積層して収容するカード収容部を備えたものである場合に、
前記一方のリードライト装置を、そのカード収容部に積層して収容される非接触型無線カードの面が前記長方形を成す前面の長辺方向と垂直になる向きにして配置した
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の遊技設備機器。
【請求項6】
遊技機と遊技機との間に設置される台間遊技設備機器である
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の遊技設備機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−6501(P2006−6501A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185768(P2004−185768)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000127628)株式会社エース電研 (339)
【出願人】(000146663)株式会社新興製作所 (60)
【Fターム(参考)】