説明

各台計数機

【課題】既設の遊技機島に追加配置可能で、悪戯や不正遊技に対する安全性が高く、遊技台の入れ替え時に、邪魔にならない各台計数機を安価に提供する。
【解決手段】遊技機島の膳板上における玉箱700の取付部には、係止部930と可動側の係止部材720と係止させる方向に付勢する付勢部材750とを備えるロック機構を設け、係止部930を膳板の上面に止着したベース板の上面に設け、係止部材720は、玉箱700の底板下面に回動自在に軸着される回動部材であって、係止部930に係止可能な鈎状の顎部721と、操作部材730の先端が当接する受部723とを備えてなり、縁壁760に開設した操作部材挿通部761から操作部材730を挿入して、係止部930と係止部材720との係止を解除して玉箱700をベース板から取り外すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技店における各台計数機に関し、詳しくは、遊技者がパチンコ遊技で獲得した出玉を、その場で計数可能な各台計数機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ遊技店においては、遊技者が獲得した出玉の計数は、パチンコ遊技を行なう遊技台とは別に設定した景品カウンターの玉計数機、あるいは遊技台を列状に設置したいわゆる遊技機島の中央部や端部に設置した玉数計数機によって行っていた。一方、近年の遊技台は1台あたりの出玉が多く、遊技者は獲得した出玉を大きな玉箱に入れて一時保管しておき、その遊技台での遊技終了後、あるいは遊技途中に、遊技台を離れて玉計数機が設置された景品カウンターあるいは各設置場所の玉計数機へ行って一度に計数を行い、計数結果を磁気カード等の記憶媒体に記憶するか、あるいはレシート等に印字していた。そして、計数の済んだパチンコ玉は、その後、再び遊技機島へ還元されていた。
【0003】
しかしながら、このような、遊技者が獲得した出玉を景品カウンター等の遊技台とは異なる所で計数する方法では、各遊技者がパチンコ遊技中に各遊技台位置で出玉を玉箱に保管しているため、遊技機島あるいは遊技台内で実働する玉数が減少する問題点があった。すなわち、パチンコ遊技店全体で必要な玉数は、遊技台内で実働する玉数と各遊技者が遊技台位置で保管している玉数とを加えたものとなり、遊技台位置で各遊技者が保管しているだけで実働していない余分な玉をも揃える必要があるという問題点を有していた。特に、近年の出玉数が多い遊技台では実働する玉数が不足するという問題が発生していた。また、獲得した出玉が多くなるほど、保管するための玉箱の数が増えるとともに玉箱の全重量も増加するので、計数場所へ玉箱を移動するのが困難であった。
【0004】
そこで、各遊技台に計数機を付設し、その場で出玉の計数を可能なようにした玉箱および玉計数装置が、例えば特許文献1等によって知られている。
【0005】
一方、従来から、パチンコ台などの遊技台と遊技台との間に形成される隙間部には、台間玉貸機が設置されるようになっており、このように遊技台の間に台間玉貸機を設置することにより、客が席を離れて遊技媒体であるパチンコ玉を借りに行く手間を省くことができるようになっている。なお、本明細書では、台間玉貸機と称した場合に、玉貸機本体と周辺機器を含むものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−313729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、各遊技台に対応して計数機を設ける場合には、様々な問題点が発生していた。例えば、玉箱は、遊技機島に形成された膳板(テーブルということもある)の所定の位置に、正確かつ確実に設置しなければならない。また、不心得な遊技者による悪戯や不正遊技に対する対策も必要である。
【0008】
そこで、従来は、玉箱および膳板に、例えばボールキャッチ等の止着部材による位置決め取付装置を設けていた。この位置決め取付装置によれば、玉箱を所定の位置に取り付けることができるが、簡単に取り外すことが可能であるので、遊技者に悪戯されたり、持ち
去られることがあった。
【0009】
このため、さらに施錠装置を追加したものが存在していた。施錠装置を備えていれば、玉箱の持ち去りを防止できるようになるが、玉箱の周囲が複雑になることが否めないし、コストアップに繋がってしまう。また、施錠装置の構造によっては、固定部分が片持ちになってしまい、バランスを欠く場合があった。
【0010】
一方、玉箱を膳板に完全に固定してしまえば、玉箱の持ち去りは確実に防止できる。しかし、遊技台を入れ替える際には、玉箱が邪魔になり、この玉箱を撤去しなければならないため、作業が繁雑になってしまう問題があった。
【0011】
また、玉箱を膳板に対して着脱可能に構成しても、この玉箱と計数機とを連絡する玉通路を形成する玉樋部材は固定式となるので、この玉樋部材が遊技台の入れ替え時に邪魔になることがあった。
【0012】
さらに、従来の各台計数機においては、玉箱から各台計数機へ玉を誘導する玉通路、すなわち玉通路を形成する玉樋部材は、通常、玉箱の底部に接続されており、玉は、玉箱の底部に開設した玉出口から下方へ延びる膳板よりも下側に位置する玉通路によって計数機へ運ばれていた。
【0013】
しかも、台間玉貸機を配置した既設の遊技機島に、各台計数機を追加するには、台間玉貸機の交換が必要になり、遊技機島の全面的な改装工事が必要であった。
【0014】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、既設の遊技機島に追加配置可能な各台計数機を安価に提供することを第1の目的とする。また、悪戯や不正遊技に対する安全性の高い各台計数機を提供することを第2の目的とする。さらに、遊技台の入れ替え時に、邪魔にならない各台計数機を提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る発明は、遊技台を列設して構成した遊技機島において、遊技機島の膳板に対して着脱自在に取り付けられて、遊技台から排出される出玉を受け止める玉箱を備え、受け止めた出玉を各遊技台毎に計数して回収樋へ還元する各台計数機であって、前記遊技機島の膳板上における玉箱の取付部には、固定側の係止部と、該係止部に係止することにより前記玉箱の移動を阻止する可動側の係止部材と、該係止部材を前記係止部に係止させる方向に付勢する付勢部材と、を備えるロック機構を設け、前記ロック機構を外部から操作する操作部材によって、前記付勢部材の付勢に抗して前記係止部材と前記係止部との係止を解除して、前記玉箱を前記膳板から取り外すようにしたことを特徴とする。
【0016】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記係止部を、前記膳板の上面に止着したベース板の上面に設け、前記係止部材は、前記玉箱の底板下面に回動自在に軸着される回動部材であって、前記係止部に係止可能な鈎状の顎部と、前記付勢部材の一端を止着するレバー部と、前記操作部材の先端が当接する受部と、を略等間隔で放射状に備えてなり、前記玉箱の底板の周囲に縁壁を立ち下げてロック機構収納空間を形成し、該ロック機構収納空間に前記係止部材を収設し、前記付勢部材の他端を前記玉箱の底板下面に突設した止着部に止着して、前記係止部材を前記係止部に係止させる方向に付勢し、前記縁壁に開設した操作部材挿通部から前記操作部材を挿入して、該操作部材の先端を前記係止部材の受部に当接させることにより、前記係止部材を前記付勢部材の付勢に抗して回動させて、前記係止部と前記係止部材の顎部との係止を解除するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の各台計数機によれば、遊技機島の膳板上に玉箱を取り付け、この玉箱から台間玉貸機の下方に設けた各台計数機の計数部へ玉樋部材を介して出玉を誘導し、遊技台を離れることなく出玉を計数することができるため、きわめて利便性が高い。また、玉箱を取り外す場合に、操作部材が必要となるので、この操作部材を持たない遊技者に、玉箱を外されるなどの悪戯をされる虞れがなく、安全性が高い。一方、操作部材を用いて正式な手順を踏めば、玉箱を容易に取り外すことができるので、遊技台を入れ替えるときに、交換作業の邪魔になることがなく作業性が向上する。また、操作部材は、簡単な構成であるので、安価に提供することが可能である。
【0018】
そして、台間玉貸機の下方に、各台計数機を設けているので、当初は電源ユニットが位置していたスペースに計数機ユニットを配置することが可能になる。また、従来の台間玉貸機を配置した遊技機島において各台計数機の機能を追加する場合には、台間玉貸機の交換が必要であったが、本発明の各台計数機によれば、玉貸機本体を交換する必要がない。したがって、遊技機島の大幅な改修を行なうことなく、安価に各台計数機の機能を追加することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る台間玉貸機の概略を説明するための正面図である。
【図2】従来の台間玉貸機の概略を説明するための正面図である。
【図3】台間玉貸機を遊技機島に設置するための取付枠の斜視図である。
【図4】取付枠を示し、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図である。
【図5】玉貸機本体を示し、(a)は前方から見た斜視図、(b)は後方から見た斜視図である。
【図6】台間玉貸機の概略を示し、(a)は側板を外した状態の玉貸機本体の斜視図、(b)は電源ユニットの斜視図、(c)は計数機ユニットおよび玉箱の斜視図である。
【図7】取付枠に対して、玉貸機本体および電源ユニットまたは計数機ユニットを取り付ける方法を説明する図である。
【図8】取付枠に対して、玉貸機本体、電源ユニット、計数機ユニットを取り付ける方法を説明する斜視図である。
【図9】取付枠に、玉貸機本体、電源ユニット、計数機ユニットを取り付けた状態の斜視図である。
【図10】計数機ユニットを取り付けた取付枠に、電源ユニットおよび中継基板ユニットを取り付ける方法を説明する斜視図である。
【図11】ベース板の斜視図である。
【図12】玉箱と玉樋部材の一部を欠截した平面図である。
【図13】玉箱と玉樋部材の斜視図である。
【図14】摺動部材を示し、(a)は斜視図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。
【図15】摺動部材を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
【図16】玉樋部材を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図17】係合部と係合受部との係合を解除した状態の玉箱と玉樋部材の平面図である。
【図18】摺動部材を摺動させた状態の玉箱と玉樋部材の平面図である。
【図19】摺動部材を摺動させた状態の玉箱と玉樋部材の斜視図である。
【図20】玉樋部材を分割し、第2玉樋部材を回動させた状態の玉箱と玉樋部材の平面図である。
【図21】係止部と係止部材とが係止した状態を示す玉箱の底面図である。
【図22】係止部と係止部材との係止を解除した状態を示す玉箱の底面図である。
【図23】止着片と止着受部とが係止して、玉箱をベース板に取り付けた状態を示す一部を欠截した側面図である。
【図24】止着片と止着受部との係止を解除するように、玉箱を前方へ僅かに移動させた状態を示す一部を欠截した側面図である。
【図25】玉箱をベース板から取り外した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施例を、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る各台計数機の概略を説明するための正面図であり、遊技台に隣接して配置される台間玉貸機の下方に配置され、遊技台の前方には玉箱が配置されている。また、図2は、各台計数機を備えていない台間玉貸機および遊技台の正面図である。
【0021】
先ず、各台計数機を構成する計数機ユニット500および台間玉貸機を構成する玉貸機本体200を取り付けるための取付枠300について説明する。この取付枠300は、図3および図4に示すように、断面図の形状が、略コ字状になるように形成された部材であって、鉛直方向に延びる支柱部310と、この支柱部310の上端から前方に延びる上止着部320と、支柱部310の下端から前方に延びる下止着部330と、を備えている。
【0022】
支柱部310は、背板311の両側縁に、前方へ向けて延出し、互いに向き合う一対の側片312、312が屈曲形成してある。そして、この一対の側片312、312の間に、後述する玉貸機本体200が位置することになる。また、支柱部310の背板311には、後述する中継基板ユニット800のコネクタ821を通したり、固定用のガイドピン870を挿通したりする種々の開口部341a、341b、341c、341…、あるいはねじ孔342等が、適宜に設けてある。
【0023】
一方、上止着部320には、この取付枠300を遊技機島に固定するための取付片343や、玉の補給路を確保するための開口部341d等が、適宜に設けてある。さらに、下止着部330にも、取付孔344や開口部341e等が、適宜に設けてある。
【0024】
また、遊技者に遊技媒体であるパチンコ玉を貸し出すための玉貸機本体200は、どのようなタイプのものであってもよい。すなわち、紙幣または硬貨を投入する現金玉貸機や、カードあるいはコインなどのプリペイド媒体を必要とするCRユニット玉貸機や、あるいはCRユニットを搭載しているが、非現金媒体(カード、コインなどのプリペイド媒体現金)を必要とすることなく、直接現金で玉貸しが可能なシステムに用いるものであってもよい。
【0025】
ここで、図1以降に示す実施例における玉貸機本体200は、上記直接現金で玉貸しが可能なシステムに対応したものである。この玉貸機本体200を簡単に説明する。先ず、状態表示ランプ211は、異なる色彩で運用状態を表示する。残高・貯玉度数表示部212は、紙幣挿入口213へ紙幣を挿入したときに、預り金残高を表示する。切替スイッチ214は、預り金残高と貯玉度数の表示を切り替える。持玉表示部215は、持玉(計数玉)を表示する。払出スイッチ216は、最低払出玉数/度数以上持っているときに点灯し、押すと持玉→貯玉の順で玉を払い出す。
【0026】
テンキー217は、暗証番号を入力するときに使用する。返却ランプ218は、コイン/会員カード返却時に点滅し、取り忘れがないように注意を喚起する。また、ICタグタッチ部219は、メンテナンス時に従業員がテンキー217と併用して使用する。
【0027】
一方、玉貸機本体200の内部は、例えば、図6(a)に示すように、種々の部品が収設してある。すなわち、図6(a)は、玉貸機本体200の側板221を外して内部を視認可能にした前方から見た斜視図である。なお、側板221の着脱は、例えば、図5に示すように、係止爪222を、側板221に設けた切欠溝の側縁に係止させて行なっている。このようにして、側板221を係止爪222によって着脱自在に構成すると、ねじ止めなどに比べて、着脱に要する手間を大幅に削減することができ、側板221の着脱がきわめて容易になる。したがって、メンテナンス作業や組立作業時に便利であり、作業の効率化が図れる。
【0028】
紙幣識別機231では、紙幣挿入口213から挿入された紙幣の真贋を判別し、正規の紙幣を図示していない紙幣搬送装置へ受け渡す。玉切りユニット232は、図示していない補給樋から玉通路を介して流入する玉をカウントして、必要数量を貸出しノズル233から遊技台100の上皿110へ供給する。コアモジュール234は、セキュリティ基板であり、制御基板235は、玉貸機全体の制御を行なう。コイン・カードユニット236は、コインが最大9枚までストック可能で、情報の読み込みや書き込みを行なう。また、会員カードへ情報の読み込みや書き込みを行なう。なお、図中、符号237は、コイン挿入口、238はコイン返却口、239は会員カード挿入口である。
【0029】
玉貸機本体200の下方には、通常、電源ユニット400を配置する。この電源ユニット400を配置し、各台計数機を備えないものが、図2に示す実施例である。電源ユニット400は、略矩形のケース410に収納されており、背面側から図示していないケーブル、例えばAC接続ケーブル、電源スイッチケーブル、DC出力ケーブルが延出している。また、ケース410の上縁には、一対のレール片421、421を当該ケース410の長手方向に沿って起立させてレール部420を設けている。さらに、ケース410の前面には、装飾用の化粧部材430が取り付けてある(図6(b)参照)。
【0030】
この電源ユニット400を、取付枠300の下止着部330に前方から挿入して、取付孔344等を利用してねじ等で固定する。そして、この電源ユニット400の上方領域において、玉貸機本体200の下縁に形成したレール受部250を、電源ユニット400のレール部420に嵌合させて取付枠300の奥へ向けてスライドさせるとともに、取付枠
300の上止着部320に玉貸機本体200の上縁部分を挿入して、取付孔等を利用して固定する。
【0031】
このようにして、玉貸機本体200と電源ユニット400を取付枠300に固定すれば、玉貸機本体200と電源ユニット400とを一体化して設置することができ、統一された意匠とすることもできる。
【0032】
一方、計数機ユニット500を選択して、獲得した出玉をその場で計数可能な各台計数機を形成することも、きわめて容易にできる。すなわち、図8に示すように、計数機ユニット500を選択した場合には、前記電源ユニット400と同一形状、同一サイズに形成した計数機ユニット500を、取付枠300の下止着部330に、前方から挿入して、取付孔344等を利用して固定する。
【0033】
次に、この計数機ユニット500の上に、玉貸機本体200の下面を載せるとともに、取付枠300の上止着部320に玉貸機本体200の上縁部分を挿入して、取付孔等を利用して、玉貸機本体200を取付枠300に固定する(図9参照)。すなわち、前記した電源ユニット400の場合と同様に、計数機ユニット500の上方領域において、玉貸機本体200の下縁に形成したレール受部250を、計数機ユニット500のレール部520に嵌合させて取付枠300の奥へ向けてスライドさせるとともに、取付枠300の上止着部320に玉貸機本体200の上縁部分を挿入して、取付孔等を利用して固定する。なお、計数機ユニット500もケース510に収納され、一対のレール片521、521でレール部520を構成している。
【0034】
また、後述するが、計数機ユニット500には、玉通路を形成するための玉樋部材600の一端を接続するとともに、玉樋部材600の他端を遊技台100の前面側に配置した玉箱700の側面に接続する。そして、玉貸機本体200の下方に各台計数機を構成するために、後述する計数機ユニット500を配置した実施例が図1に示してある。計数機ユニット500を玉貸機本体200の下方に配置すると、獲得した出玉をその場で計数可能な各台計数機を形成することができる。
【0035】
そこで、先ず、玉箱700について説明する。玉箱700は、遊技台100から排出される出玉を受け止める。玉箱700は、遊技機島の膳板(図示せず)上に設置したベース板900によって形成する玉箱700の取付部に、着脱自在に取り付けられている。
【0036】
ベース板900は、例えば図11に示すように、浅い皿状の部材であって、遊技機島を構成する膳板の上に止着される。このベース板900は、玉箱700の取付部を構成する部材である。そして、この取付部には、ロックされた状態では膳板に対して取り付けた玉箱700の取り外しを阻止し、ロックを解除した状態では玉箱700の取り外しを可能にするロック機構が設けてある。
【0037】
また、図11に示すベース板900は、皿状に形成した凹陥部910の所定位置、例えば略四隅に後述する玉箱700の止着片742が係止する止着片受部920が設けてある。
【0038】
ロック機構は、固定状の係止部930と、この係止部930に係止することにより玉箱700の移動を阻止する可動可能な係止部材720と、この係止部材720を可動させて係止部930との係止を解除するための操作部材730と、を備えている。
【0039】
具体的には、固定側の係止部930は、膳板に止着するベース板900の上面に突設してある。一方、可動する係止部材720は、後述する玉箱700の底板下面740に設け
てある(図21,22参照)。この係止部材720は、玉箱700の底板下面740に回動自在に軸着される回動部材であって、前記ベース板900の係止部930に係止可能な鈎状の顎部721と、係止部材720を係止部930に係止させる方向に付勢する付勢部材750と、この付勢部材750の一端を止着するレバー部722と、後述する操作部材730の先端が当接する受部723と、を略等間隔で放射状に備えている。
【0040】
付勢部材750は、例えばコイルバネであって、図21,22に示す実施例では、他端を玉箱700の底板下面740に突設した止着部743に止着して、係止部材720は時計方向に付勢している。なお、付勢部材750は、コイルバネに限るものではなく、他の弾性部材であってもよい。
【0041】
また、この係止部材720は、玉箱700の底板に縁壁760を立ち下げて形成したロック機構収納空間に収設してある。なお、このロック機構収納空間は、前記ベース板900の凹陥部910と、玉箱700の縁壁760とが合わさって形成される。
【0042】
さらに、縁壁760には、後述する操作部材を、ロック機構収納空間に挿入するために、操作部材挿入部761が設けてある。そして、この操作部材挿入部761から挿入した操作部材730の先端を、係止部材720の受部723に当接させることにより、係止部材720を付勢部材750の付勢に抗して回動させることにより、係止部930と係止部材720の顎部721との係止を解除する(図22参照)。
【0043】
ベース板900に設ける係止部930は、この実施例においては、ベース板900から延出する弾性腕931の先端に設けてある。これは、図24(b)に示すように、玉箱700を取り外す際、この弾性腕931の変形によって係止部材720の顎部721を一旦逃すためのものである。一方、玉箱700を取り外すときには、後述する操作部材730によって係止部930と係止部材720との係止を解除して、玉箱700を若干手前へ引き出して取り外す。
【0044】
係止部材720を回動させて係止部930と係止部材720との係止を解除するための操作部材730は、棒状の部材であり、玉箱700の縁壁760に開設した操作部材挿入部761に挿入可能に形成してある。すなわち、この実施例では、スリット状に開設した操作部材挿入部761に挿入可能なように、先端部分を一段幅狭に絞った板状に形成した部材である(例えば、図21参照)。この操作部材730は、プレス加工等により簡単に形成することができ、きわめて安価である。
【0045】
なお、玉箱700には、遊技台100から排出される出玉を貯留する貯留空間770が形成され、この貯留空間770の底部には、出玉を整列させて側壁部分に形成した玉出口に向けて誘導するための誘導リブ771および誘導傾斜が適宜設けてある。
【0046】
玉箱700の出玉を計数機ユニットの計数部へ導く玉通路を形成する玉樋部材600は、上流側の第1玉樋部材611と、下流側の第2玉樋部材612とに流下方向の途中で分割してあり、両玉樋部材611,612を接続する摺動部材620とを備えている。
【0047】
第1玉樋部材611および第2玉樋部材612の一端側の接続端部には、互いに嵌合する嵌合段部631,632がそれぞれ形成してある(図18,19参照)。また、第1玉樋部材611の他端は、玉箱700の側面に接続してある。一方、第2玉樋部材612の他端は、計数機ユニットの計数部の玉入口に、回動可能に枢着してある。なお、図12に、玉樋部材600の一部を切り欠いて示すように、第1玉樋部材611の底板6110および第2玉樋部材612の底板6120には、玉を整列させて流下させるリブ6111,6121が、それぞれ設けてある。
【0048】
そして、第1玉樋部材611の嵌合段部631と第2玉樋部材612の嵌合段部632とが互いに嵌合して接続状態にあるときに、摺動部材620を第1玉樋部材611と第2玉樋部材612との接続部分に位置させることにより、互いに係合して摺動部材620の摺動を阻止する係合部640および係合受部650を、摺動部材620および第1玉樋部材611または第2玉樋部材612にそれぞれ設ける。
【0049】
具体的には、例えば、図14,15,16に示すように、略角筒形状に形成した摺動部材620の一側面に、弾性変形可能に突設した腕部材641の先端に、鈎状の係合部640を設けている。一方、この係合部640に対応して、第2玉樋部材612の側面に、山状に突出する係合受部650が設けてある。また、摺動部材620には、第1玉通路部材611に対する位置決めを行なうストッパ孔680が設けてあり、このストッパ孔680に第1玉樋部材611に設けたストッパ片681の突部682が嵌入して係止する。そこで、摺動部材620が位置決めされ、この状態で係合部640と係合部材650とが係合するように、玉箱700を膳板に配置する。このようにすれば、玉箱700を正確に配置することができる。
【0050】
そして、これらの係合部640と係合受部650との係合を解除するための操作部642が設けてある。すなわち、この操作部642は、前記係合部640の上下幅を大きく採ることにより、係合部640と一体に形成して、後述する操作部材730の操作を受け付けるように形成してある。
【0051】
さらに、摺動部材620には、操作部642を操作するための操作部材730を受け入れるための操作部材挿通部660が設けてある。この操作部材挿通部660は、摺動部材620の底板部分を玉の流下方向へ延出させた延出部670に、溝状に形成してある。なお、延出部670は、第2玉樋部材612の外側部分に摺接するようになっており、その結果、前記操作部材挿通部660の溝状部分は、外部から視認できないようになり、端部のみが開口端として前面側(遊技者側)に開口している(図1参照)。
【0052】
そこで、この実施例においては、前記玉箱700の着脱に使用する操作部材730を共通に使用して、摺動部材620の操作部642を外部から操作することにより、係合部640と係合受部650との係合を解除し、摺動部材620を摺動させて玉樋部材600を分割する一方、玉樋部材600の嵌合段部631,632を互いに嵌合させ、この嵌合状態の嵌合段部631,632を摺動部材620で覆うことにより、分割した第1玉樋部材611と第2玉樋部材612とを接続するようにしている。
【0053】
第1玉樋部材611と第2玉樋部材612とを接続した通常の状態では、摺動部材620が嵌合段部631,632を覆い、係合部640と係合受部650とが係合している。このため、摺動部材620は、摺動することができず、玉樋部材600を分割することはできない。したがって、玉箱700を取り外すこともできない。
【0054】
次に、玉樋部材600を分割するときには、摺動部材620の操作部材挿通部660に、操作部材730を挿通して、係止部930を後方へ押圧し、係合部640との係合を解除する。この解除状態では、摺動部材620を、第1玉樋部材611に沿って玉箱700側へ摺動させることが可能である(図17参照)。
【0055】
そこで、摺動部材620を玉箱700側へ摺動させると、第1玉樋部材611の嵌合段部631と、第2玉樋部材612の嵌合段部632との嵌合部分が露出する(図18,19の状態)。この嵌合段部631,632が露出した状態では第2玉樋部材612を計数機ユニット500に枢着した軸530を支点にして回動させることができる(図20の状
態)。すなわち、玉樋部材600を、玉箱700側の第1玉樋部材611と、計数機ユニット500側の第2玉樋部材612とに分割することができる。そして、この玉樋部材600を分割した状態においては、玉箱700をベース板900から取り外すことが可能になる(図25参照)。
【0056】
このように、摺動部材620を摺動させなければ玉樋部材600を分割することはできないし、玉箱700を取り外すこともできない。そして、摺動部材620を摺動させるには、係合部640と係合受部650との係合を解除しなければならず、係合を解除するためには、操作部材730が必要である。
【0057】
このため、操作部材730を持たない遊技者は、玉樋部材600や玉箱700に対して悪戯や不正行為を行なうことができない。したがって、この実施例による各台計数機によれば、安全性を高めることができる。
【0058】
このようにして、玉貸機本体200と計数機ユニット500を取付枠300に配置すると、計数機能を台間玉貸機の下方に付加して各台計数機を形成することができ、遊技客の利便性が著しく向上する。一方、遊技店にとっても、遊技者が獲得した出玉を、店内の一隅に設けた景品カウンターや遊技機島の各設置場所に設置した計数機へ運ぶ手間がなくなり、きわめて有効である。また、遊技機島内を循環する玉が不足したり、偏ることがなくなるので、メリットが大きい。
【0059】
そして、取付枠300には、玉貸機本体200の下方のスペースに、電源ユニット400または計数機ユニット500のいずれか一方を取り付けることができる。したがって、当初は電源ユニット400を取り付けて計数機能のない台間玉貸機を構成しておき、後日、電源ユニット400を計数機ユニット500に交換すれば、計数機能を容易に追加して各台計数機とすることが可能である。このとき、電源ユニット400は、取付枠300の背面側に配置することができ、そこから玉貸機本体200および各台計数機に電源を供給する。このため、従来の台間玉貸機を配置した遊技機島において、各台計数機の機能を追加する場合には、台間玉貸機の交換が必要であったが、この実施例によれば、玉貸機本体200を交換する必要がない。ゆえに、この実施例による玉貸機本体200を配置した遊技機島の場合、大幅な改修は不要である。
【0060】
なお、この実施例では、例えば、図10の分解した斜視図に示すように、取付枠300の支柱部310の背面に、中継基板ユニット800を取り付けて、この中継基板ユニット800を介して種々の電気的な接続、および玉貸機本体200の取付枠300に対する着脱を行なうように構成している。
【0061】
中継基板ユニット800は、縦長で浅い箱状のケース体810の中に、唯一のコネクタ821を備えて電気的な中継を行なう中継基板820と、玉貸機本体200を着脱するためのロック機構830とを備えている。また、中継基板ユニット800には、玉貸機本体200に向けて突出するガイドピン870および係止部880が設けてあり、玉貸機本体200には、前記ガイドピン870および係止部880に対応する、受孔および係止受部が設けてある。このため、装着時に、玉貸機本体200を所定の位置に案内するとともに、装着状態を確実に保持することができる。
【0062】
このように、中継基板820を介して電気的な接続を行なうと、玉貸機本体200の保守点検作業を行なう場合や、玉貸機本体200を交換するために、玉貸機本体200を着脱する際に、それぞれの配線を外し、また接続する手間を大幅に削減することができる。また、誤配線を防止することができるので、信頼性も向上する。
【0063】
以上、本発明を図示の実施例について説明したが、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限り適宜に実施できる。例えば、遊技台としてパチンコ台について説明したが、他の遊技台に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
100 遊技台
110 上皿
200 玉貸機本体
211 状態表示ランプ
212 残高・貯玉度数表示部
213 紙幣挿入口
214 切替スイッチ
215 持玉表示部
216 払出スイッチ
217 テンキー
218 返却ランプ
219 タグタッチ部
221 側板
222 係止爪
231 紙幣識別機
232 玉切りユニット
233 貸出しノズル
234 コアモジュール
235 制御基板
236 コイン・カードユニット
237 コイン挿入口
238 コイン返却口
239 会員カード挿入口
250 レール受部
300 取付枠
310 支柱部
311 背板
312 側片
320 上止着部
330 下止着部
341 開口部
342 ねじ孔
343 取付片
344 取付孔
400 電源ユニット
410 ケース
420 レール部
421 レール片
430 化粧部材
500 計数機ユニット
510 ケース
520 レール部
521 レール片
530 軸
600 玉樋部材
611 第1玉樋部材
612 第2玉樋部材
620 摺動部材
631 嵌合段部
632 嵌合段部
640 係合部
641 腕部材
642 操作部
650 係合受部
660 操作部材挿通部
670 延出部
700 玉箱
720 係止部材
721 顎部
722 レバー部
723 受部
730 操作部材
740 底板下面
741 突起部
742 止着片
743 止着部
750 付勢部材
760 縁壁
761 操作部材挿入部
770 貯留空間
771 誘導リブ
800 中継基板ユニット
810 ケース体
820 中継基板
821 コネクタ
830 ロック機構
870 ガイドピン
880 係止部
900 ベース板
910 凹陥部
920 止着片受部
930 係止部
931 弾性腕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技台を列設して構成した遊技機島において、遊技機島の膳板に対して着脱自在に取り付けられて、遊技台から排出される出玉を受け止める玉箱を備え、受け止めた出玉を各遊技台毎に計数して回収樋へ還元する各台計数機であって、
前記遊技機島の膳板上における玉箱の取付部には、固定側の係止部と、該係止部に係止することにより前記玉箱の移動を阻止する可動側の係止部材と、該係止部材を前記係止部に係止させる方向に付勢する付勢部材と、を備えるロック機構を設け、
前記ロック機構を外部から操作する操作部材によって、前記付勢部材の付勢に抗して前記係止部材と前記係止部との係止を解除して、前記玉箱を前記膳板から取り外すようにしたことを特徴とする各台計数機。
【請求項2】
前記係止部を、前記膳板の上面に止着したベース板の上面に設け、
前記係止部材は、前記玉箱の底板下面に回動自在に軸着される回動部材であって、前記係止部に係止可能な鈎状の顎部と、前記付勢部材の一端を止着するレバー部と、前記操作部材の先端が当接する受部と、を略等間隔で放射状に備えてなり、
前記玉箱の底板の周囲に縁壁を立ち下げてロック機構収納空間を形成し、該ロック機構収納空間に前記係止部材を収設し、
前記付勢部材の他端を前記玉箱の底板下面に突設した止着部に止着して、前記係止部材を前記係止部に係止させる方向に付勢し、
前記縁壁に開設した操作部材挿通部から前記操作部材を挿入して、該操作部材の先端を前記係止部材の受部に当接させることにより、前記係止部材を前記付勢部材の付勢に抗して回動させて、前記係止部と前記係止部材の顎部との係止を解除するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の各台計数機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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