説明

合体コネクタ

【課題】端子金具の先端拾い性の向上を図るとともに、端子金具同士の接触代の減少を防止して性能向上を図ることが可能な合体コネクタを提供する。
【解決手段】合体コネクタは、ベースコネクタ22及び着脱コネクタ23を相互に結合させることにより形成されている。具体的には、ベースコネクタ22に対し着脱コネクタ23をこれらが並列状態になるまで回転させて結合を行い、これによって形成されている。ハウジング側部26には、ボスガイド溝27と、係止突起28と、ベース側ガイドレール29とが形成されている。ハウジング側部34には、ボスガイド溝27に差し込まれるボス35と、係止突起28に引っ掛かる係止溝36と、ベース側ガイドレール29に噛み合う着脱側ガイドレール37とが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコネクタを結合させ一組にしてなる合体コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のコネクタの取り扱い性を向上させるため、コネクタを相互に結合させてなる合体コネクタは従来より知られている。合体コネクタに関しては、例えば下記特許文献1に開示されている。
【0003】
図28(a)及び(b)において、合体コネクタ1は、二つのコネクタ2、3を結合させて一組にすることによりなるコネクタであって、コネクタ2、3のコネクタハウジング4、5には、共に複数の端子収容室6、7が形成されている。各端子収容室6、7には、ワイヤハーネス8、9からの電線10、11が引き込まれている。電線10、11の端末には、各端子収容室6、7に収容される端子金具(図示省略)が設けられている。
【0004】
コネクタ2、3は、コネクタハウジング4、5を矢印Dで示す方向に相対的にスライドさせることにより結合するようになっている。この結合を行うために、コネクタ2のコネクタハウジング4の外壁には、嵌合溝12が形成されている。また、コネクタ3のコネクタハウジング5の外壁には、嵌合溝12に嵌合するT字形状の嵌合突起13が形成されている。嵌合溝12及び嵌合突起13は、コネクタハウジング4、5の嵌合方向(矢印Dで示す方向と同じ)に沿ってのびるように形成されている。
【0005】
上記構成及び構造において、嵌合突起13を嵌合溝12に嵌め合わせ上記嵌合方向にスライドさせる作業をすると、コネクタ2、3が結合して一組のコネクタになり、これによって合体コネクタ1の組み付けが完了する。嵌合溝12及び嵌合突起13は、嵌合し合うと係止状態が形成されるようになっている。
【特許文献1】特開2001−43928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コネクタハウジング4、5の各部分の寸法は、製造時のバラツキを考慮して設定されている。従って、嵌合溝12と嵌合突起13も当然にバラツキを考慮して寸法が設定されている。このような寸法設定をすると、図28(c)に示す如く、嵌合溝12と嵌合突起13との間に間隙14が生じるようになる(嵌合溝12と嵌合突起13を隙間なしの状態に設計することは不可能であるため、結果、間隙14が生じるようになる)。嵌合溝12と嵌合突起13との間に生じる間隙14は、いわゆる係止ガタとなり、この係止ガタによってコネクタハウジング4、5(コネクタ2、3)は矢印15、16、17(図28(b)、(c)参照)で示す方向等にガタ付いてしまうことになる。
【0007】
ガタ付きは、例えば矢印16の方向のガタ付きの場合であると、図中の破線で示すようにコネクタハウジング4、5が相対的に位置ズレするようなガタ付きとなる。破線で示すようなガタ付きの場合、相手側コネクタとの嵌合がし難くなり、この際に相手側コネクタの雄端子金具と合体コネクタ1のコネクタハウジング5との干渉が生じてしまうことになる。従って、従来の合体コネクタ1にあっては、雄端子金具の先端拾い性が悪く、端子金具同士が正規接触できなくなる恐れがあるという問題点を有している。この問題点は、矢印17の方向のガタ付きの場合も同様である。
【0008】
一方、矢印15の方向のガタ付きであると、相手側コネクタとの嵌合方向のガタ付きとなることから、ガタ付きの分だけ端子金具同士の接触代が減少することになり、これによって導通不良を引き起こしてしまうという問題点を有している。導通不良は、性能面に影響を来してしまうことになる。
【0009】
尚、上記のように相手側コネクタとの嵌合方向に二つのコネクタをスライドさせて結合するのではなく、スライドを相手側コネクタとの嵌合方向に直交する方向にして二つのコネクタを結合させるような場合を考えると(図9(a)のような結合)、この場合は上記と同様に雄端子金具の先端拾い性が悪くなり、端子金具同士が正規接触することができなくなる恐れを有している。
【0010】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、端子金具の先端拾い性の向上を図るとともに、端子金具同士の接触代の減少を防止して性能向上を図ることが可能な合体コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の合体コネクタは、ベースコネクタと、該ベースコネクタに対して回転させることにより結合・分離が可能となる着脱コネクタとを備え、前記ベースコネクタ及び前記着脱コネクタは、この一方のハウジング側部にボスを有するとともに、他方のハウジング側部に前記ボスを差し込んで回転させるためのボスガイド溝を有し、且つ、前記一方のハウジング側部及び前記他方のハウジング側部のいずれか一方に円弧状の第一ガイドレールを有するとともに、いずれか他方に前記着脱コネクタの回転に伴い前記第一ガイドレールに噛み合う円弧状の第二ガイドレールを有し、且つ、前記一方のハウジング側部及び前記他方のハウジング側部のいずれか一方に係止突起を有するとともに、いずれか他方に前記係止突起を引っ掛けて前記着脱コネクタの回転を規制する係止溝を有し、さらに、前記ボスは、この先端にボス頂面を有するとともに、該ボス頂面の円弧部分に連続するフランジ部側面と該フランジ部側面に連続する本体部側面とを有する一方、前記ボスガイド溝は、前記他方のハウジング側部に直交し相手側コネクタに対向する嵌合突き当て面に開口するボス差し込み口と、前記ボス頂面が摺動又は対向するガイド溝底面と、前記フランジ部側面が摺動又は対向するガイド溝側面と、前記本体部側面が摺動又は対向するガイド溝開口部とを有し、さらに、前記ボスと前記ボスガイド溝は、前記ベースコネクタと前記着脱コネクタの結合状態において前記相手側コネクタとの嵌合方向に相当する方向の移動規制を行うとともに、前記ベースコネクタと前記着脱コネクタの並ぶ方向の移動規制も行い、且つ、前記第一ガイドレールと前記第二ガイドレールにあっては、前記結合状態においてこれらの噛合いにより前記相手側コネクタとの離脱方向に相当する方向の移動規制を行うことを特徴としている。
【0012】
このような特徴を有する本発明によれば、ボスガイド溝に差し込まれたボスを中心に着脱コネクタが回転し、そして、回転の途中で第一ガイドレールと第二ガイドレールとの噛合いが生じ、この後に係止突起と係止溝との引っ掛かり合いによって係止状態が形成されると、ベースコネクタと着脱コネクタの二つが結合して合体コネクタが形成される。合体コネクタは、係止状態を解除して着脱コネクタを結合時とは逆方向に回転させると、第一ガイドレールと第二ガイドレールとの噛合いが解除されるとともに、ボスがボスガイド溝から外れて二つのコネクタに分離する。
【0013】
ボスとボスガイド溝の機能としては、ベースコネクタと着脱コネクタの結合状態において、相手側コネクタとの嵌合方向に相当する方向の移動規制を行うことが挙げられる。また、ベースコネクタと着脱コネクタの並ぶ方向の移動規制を行うことも挙げられる。一方、第一ガイドレールと第二ガイドレールの機能としては、ベースコネクタと着脱コネクタの結合状態において、これらの噛合いにより相手側コネクタとの離脱方向に相当する方向の移動規制を行うことが挙げられる。
【0014】
請求項2記載の本発明の合体コネクタは、請求項1に記載の合体コネクタにおいて、前記ボス及び/又は前記ボスガイド溝に、前記ボスが回転すると、該ボスと前記ボスガイド溝との間で締まり込みが生じる締まり込み構造部を形成することを特徴としている。
【0015】
このような特徴を有する本発明によれば、ボスガイド溝内のボスが回転するにつれて締まり込みが生じ、これによってボスとボスガイド溝との間のガタ付きが吸収される。
【0016】
請求項3記載の本発明の合体コネクタは、請求項1に記載の合体コネクタにおいて、前記ボスと前記ボスガイド溝とを、これらが圧入状態となるように形成することを特徴としている。
【0017】
このような特徴を有する本発明によれば、ボスガイド溝とボスとが圧入状態になることから、ボスとボスガイド溝との間にガタ付きが生じることはない。
【0018】
請求項4記載の本発明の合体コネクタは、請求項3に記載の合体コネクタにおいて、前記ボスに弾性変形用のスリットを形成することを特徴としている。
【0019】
このような特徴を有する本発明によれば、ボスがスリットの部分で弾性変形しながらボスガイド溝に差し込まれる。スリットを形成することにより、ボスとボスガイド溝との圧入状態を形成し易くすることが可能になる。
【0020】
請求項5記載の本発明の合体コネクタは、請求項3に記載の合体コネクタにおいて、前記ボスに圧入用突起を形成し、前記ボスの回転に伴って前記圧入用突起と前記ボスガイド溝との間で前記圧入状態が生じることを特徴としている。
【0021】
このような特徴を有する本発明によれば、ボスの差し込み時にはボスガイド溝への圧入とならず、ボスが回転すると圧入用突起によってボスとボスガイド溝との間のガタ付きが吸収される。
【0022】
請求項6記載の本発明の合体コネクタは、請求項1に記載の合体コネクタにおいて、前記結合状態にすべく前記着脱コネクタを回転させると、間隔が徐々に又は段階的に狭まるように前記第一ガイドレールと前記第二ガイドレールとを配置形成することを特徴としている。
【0023】
このような特徴を有する本発明によれば、着脱コネクタの回転しはじめにおいては第一ガイドレールと第二ガイドレールとのクリアランスが十分に取られて作業性が良く、この後にベースコネクタと着脱コネクタとの結合状態が形成される時にはクリアランスが小さくなって、第一ガイドレールと第二ガイドレールとの間のガタ付きが吸収される。
【0024】
請求項7記載の本発明の合体コネクタは、請求項1ないし請求項6いずれか記載の合体コネクタにおいて、前記第一ガイドレール及び前記第二ガイドレールに、前記係止突起及び前記係止溝と共に前記着脱コネクタの回転を規制するストッパー面をそれぞれ形成することを特徴としている。
【0025】
このような特徴を有する本発明によれば、ストッパー面同士の当接により着脱コネクタの回転が規制される。
【0026】
請求項8記載の本発明の合体コネクタは、請求項1ないし請求項7いずれか記載の合体コネクタにおいて、前記第一ガイドレール及び前記第二ガイドレールのいずれか一方に、前記着脱コネクタの非正規の回転を規制する誤結合防止部を形成することを特徴としている。
【0027】
このような特徴を有する本発明によれば、誤結合防止部により着脱コネクタの非正規の方向となる回転が規制され、ベースコネクタと着脱コネクタとの誤結合が防止される。誤結合防止部は、非正規の回転を規制する他に、ベースコネクタ又は着脱コネクタのタイプ違い品がある場合に有効に機能する。
【0028】
請求項9記載の本発明の合体コネクタは、請求項1ないし請求項8いずれか記載の合体コネクタにおいて、前記嵌合突き当て面の近傍に前記ボス及び前記ボスガイド溝を配置形成するとともに、前記係止突起及び前記係止溝を前記嵌合突き当て面の反対側となる端子挿入面に近い側に配置形成することを特徴としている。
【0029】
このような特徴を有する本発明によれば、係止突起と係止溝との係止部分に構造上ガタが生じても、このガタは回転方向の角度で見た場合に微小な角度になり、結果、回転によって結合する着脱コネクタを基準とした時の、ベースコネクタにおける雄端子拾い部(相手端子拾い部)の変位量を小さく抑えることが可能になる。雄端子拾い部の変位量を小さく抑えることにより、接続相手となる相手側コネクタとの嵌合や電気的接続を良好な状態で行うことが可能になる。上記微小な角度は、上記係止部分のガタを一定とすると、係止部分がボス及びボスガイド溝の位置(回転中心)から離れるにしたがって、また、ボス及びボスガイド溝が雄端子拾い部を設けた面(嵌合突き当て面)に近づくにしたがって小さくなる。
【発明の効果】
【0030】
請求項1に記載された本発明によれば、端子金具の先端拾い性の向上を図ることができるという効果を奏する。これにより端子金具同士の正規接触を確実に行えるようにすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、端子金具同士の接触代の減少を防止して性能向上を図ることができるという効果を奏する。
【0031】
請求項2、3に記載された本発明によれば、ボスガイド溝におけるボスのガタ付きを防止することができるという効果を奏する。本発明によれば、端子金具同士の正規接触や、接触代の減少防止に寄与することができるという効果を奏する。
【0032】
請求項4に記載された本発明によれば、ボスとボスガイド溝との圧入状態をスムーズに形成することができるという効果を奏する。
【0033】
請求項5に記載された本発明によれば、圧入状態を形成してボスガイド溝におけるボスのガタ付きを防止することができるとともに、圧入状態を形成する際の作業性にも配慮することができるという効果を奏する。
【0034】
請求項6に記載された本発明によれば、第一ガイドレールと第二ガイドレールとの間のガタ付きを防止することができるとともに、結合状態を形成する際の作業性にも配慮することができるという効果を奏する。本発明によれば、端子金具同士の正規接触や、接触代の減少防止に寄与することができるという効果を奏する。
【0035】
請求項7に記載された本発明によれば、所定の位置でベースコネクタと着脱コネクタの結合状態を形成することができるという効果を奏する。これにより端子金具同士の正規接触を確実に行えるようにすることができるという効果を奏する。
【0036】
請求項8に記載された本発明によれば、ベースコネクタと着脱コネクタの誤結合を防止することができるという効果を奏する。
【0037】
請求項9に記載された本発明によれば、着脱コネクタを基準とした時の、ベースコネクタにおける雄端子拾い部の変位量を小さく抑えることができるという効果を奏する。これにより、端子金具の先端拾い性を更に向上させて端子金具同士の正規接触をより一層確実に行えるようにすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の合体コネクタの一実施の形態(第一実施形態)を示す斜視図である。また、図2はベースコネクタ及び着脱コネクタの結合前の分離した状態を示す斜視図、図3はボスの拡大斜視図、図4はボス及びボスガイド溝の拡大断面図、図5はベースコネクタに対して着脱コネクタを回転させる直前の状態を示す断面図、図6はベースコネクタに対して着脱コネクタを回転させている途中の状態を示す断面図、図7はベースコネクタと着脱コネクタとが並び結合した状態を示す断面図である。
【0039】
図1において、合体コネクタ21は、複数のコネクタの取り扱い性を向上させるため、ベースコネクタ22及び着脱コネクタ23を相互に結合させることにより形成されている。具体的には、ベースコネクタ22に対し着脱コネクタ23をこれらが並列状態になるまで回転させて結合を行うことによって形成されている(本形態においては、着脱コネクタ23を略90゜回転させて結合を行うようになっている)。合体コネクタ21は、回転による結合によって図示の如く形成されている。また、合体コネクタ21は、結合状態から逆方向に回転させることによって、ベースコネクタ22と着脱コネクタ23とに分離することができるようにも形成されている。
【0040】
図1及び図2において、ベースコネクタ22は、絶縁性を有する合成樹脂製のベースコネクタハウジング24と、このベースコネクタハウジング24内に収容係止される端子金具(図示省略)とを備えて構成されている。また、着脱コネクタ23も、絶縁性を有する合成樹脂製の着脱コネクタハウジング25と、この着脱コネクタハウジング25内に収容係止される端子金具(図示省略)とを備えて構成されている。
【0041】
ベースコネクタハウジング24の着脱コネクタ23側となるハウジング側部26には、ボスガイド溝27と、係止突起28と、ベース側ガイドレール29とが形成されている。ボスガイド溝27は、図示しない相手側コネクタに対向する嵌合突き当て面30の一部に跨るように配置形成されている。係止突起28は、ボスガイド溝27から離れる位置に配置形成されている。ベース側ガイドレール29は、係止突起28よりもボスガイド溝27から離れる位置に配置形成されている。
【0042】
ベース側ガイドレール29は、円弧状に形成されている。具体的には、図5に示す如く円弧状に湾曲する溝形状となるように形成されている。ベース側ガイドレール29の一端には、後述する着脱側ガイドレールに対する挿抜用の開口部31が形成されている。また、ベース側ガイドレール29の他端には、後述する着脱側ガイドレールが当接するストッパー面32が形成されている。係止突起28は、ストッパー面32の近傍に配置形成されている(図2参照)。ストッパー面32は、着脱コネクタ23の結合方向の回転を規制することができるように形成されている(この他、回転終了位置が分かるようにもなる)。また、係止突起28は、着脱コネクタ23の後述する係止溝を引っ掛けることにより、特に着脱コネクタ23の離脱方向の回転を規制することができるように形成されている(ストッパー面32の形成は任意であるものとする。何故ならば、係止突起28と後述する係止溝とで係止状態を形成すれば、結合方向及び離脱方向の回転を規制することができるからである)。
【0043】
嵌合突き当て面30は、ハウジング側部26に対して直交するように形成されている。このような嵌合突き当て面30には、相手側端子挿入孔33が複数形成されている。各相手側端子挿入孔33には、特に符号を付さないが貫通孔の部分を囲むようにテーパが形成されている(図8参照)。図示しない相手側コネクタの端子金具は、相手側端子挿入孔33に形成されるテーパによってベースコネクタハウジング24の内部へと案内されるようになっている(相手側端子挿入孔33のテーパによって端子金具の先端が拾われ(相手端子拾い部として機能する)、これによりベースコネクタハウジング24の内部へと確実に案内されるようになる。従来例のように比較的大きなガタ付きがあると端子金具を拾うことができなくなるが、本発明においてはガタ付き(係止ガタ)を極力抑えることができる構造になっている。本発明は、後述するが端子金具の先端拾い性の向上を図るとともに、端子金具同士の接触代の減少を防止する構造を特徴としている)。
【0044】
ベースコネクタ22に形成されるボスガイド溝27に関しては後述する。
【0045】
着脱コネクタハウジング25のベースコネクタ22側となるハウジング側部34には、ボスガイド溝27に差し込まれるボス35と、係止突起28に引っ掛かる係止溝36と、ベース側ガイドレール29に噛み合う着脱側ガイドレール37とが形成されている。ボス35はボスガイド溝27の位置に合わせて、係止溝36は係止突起28の位置に合わせて、着脱側ガイドレール37はベース側ガイドレール29の位置に合わせて配置形成されている。
【0046】
ボス35は、図3及び図4に示す如く、ボス本体部38と、このボス本体部38の先端側に連続するフランジ部39とを有している。ボス35は、フランジ部39がボス本体部38よりも大きな形状となるように形成されている。
【0047】
ボス35は、この突出先端に形成される平坦なボス頂面40と、ボス頂面40の円弧部分に連続するフランジ部第一湾曲側面41(フランジ部側面)と、フランジ部第一湾曲側面41に連続し断面テーパ状に傾斜するフランジ部第二湾曲側面42(フランジ部側面)と、フランジ部第二湾曲側面42に連続する本体部湾曲側面43(本体部側面)とを有している。引用符号44はボス35の基端部を示している。ボス35は、この基端部44からボス頂面40までの高さが所望の高さとなるように設定されている。このようなボス35は、ボスガイド溝27に差し込まれて回転するようになっている。尚、フランジ部第二湾曲側面42の形状は、断面テーパ状に傾斜するような形状の他に、断面円弧状に傾斜する形状、或いは鉤状となる形状であってもよいものとする。ボスガイド溝27に当接してボス突出方向の移動を規制することができる形状であれば特に限定されないものとする。
【0048】
ベースコネクタ22のボスガイド溝27は、嵌合突き当て面30に開口するボス差し込み口45(図2参照)と、図4に示す如く、ボス頂面40が摺動又は対向するガイド溝底面46と、フランジ部第一湾曲側面41が摺動又は対向するガイド溝第一側面47と、フランジ部第二湾曲側面42が摺動又は対向する断面テーパ状に傾斜するガイド溝第二側面48と、本体部湾曲側面43及び基端部44が摺動又は対向するガイド溝開口部49とを有している。各側面は円弧状に形成されている。ガイド溝第二側面48は、フランジ部第二湾曲側面42の形状に合わせて形成されている。
【0049】
尚、ボス35のフランジ部第二湾曲側面42及びボスガイド溝27のガイド溝第二側面48は単なる断面テーパ状に傾斜する形状でなく、ボス35が回転すると、このボス35とボスガイド溝27との間で締まり込みが生じるような形状(締まり込み構造部として機能する形状)に形成されている(一例であるものとする。他の例に関しては後述する)。ボス35とボスガイド溝27との間で締まり込みが生じることにより、この部分でのガタ付き(特にボス突出方向のガタ付き)が確実に規制されるようになっている。上記締まり込み構造部として機能する形状の一例を挙げると、ボス35をボスガイド溝27に差し込んだ直後はフランジ部第二湾曲側面42及びガイド溝第二側面48の断面テーパ状に傾斜する面同士の間に隙間が生じ、この隙間がボス35の回転で次第に小さくなり、最終的に断面テーパ状に傾斜する面同士が押し合って密着するような形状が挙げられるものとする。この場合、例えば断面テーパ状に傾斜する面の一方の傾斜角度を一定とし、他方の傾斜角度を可変させるようにすればよい。
【0050】
着脱側ガイドレール37は、図5に示す如く円弧状に湾曲し、ベース側ガイドレール29に噛み合うような溝形状に形成されている。着脱側ガイドレール37は、ボス35の成形のための型抜きによって二分割となる形状に形成されている(着脱側ガイドレール37a、37b)。着脱側ガイドレール37aには、ストッパー面50が形成されている。ストッパー面50は、ベース側ガイドレール29のストッパー面32に当接するようになっている。ストッパー面50の近傍には、係止溝36が配置形成されている(図2参照)。
【0051】
図2において、ボス35及びボスガイド溝27は、本形態において、嵌合突き当て面30の近傍に配置形成されている(端子拾い余裕代を大きく取るために嵌合突き当て面30の近傍に配置されている。但し、図示の位置に限定されないものとする)。また、ボス35及びボスガイド溝27は、本形態において、ハウジング側部34及び26の高さ方向中央に配置形成されている(相手側端子挿入孔33の位置によるものとする)。
【0052】
係止突起28及び係止溝36は、ボス35及びボスガイド溝27を中心とする回転軌跡上に位置するように配置形成されている。係止突起28及び係止溝36は、ボス35及びボスガイド溝27から離れる位置に配置形成されている。本形態においては、嵌合突き当て面30の反対側となる端子挿入面51に近い側に配置形成されている。
【0053】
ベース側ガイドレール29及び着脱側ガイドレール37は、本形態において、ボス35及びボスガイド溝27を中心とする回転軌跡上に位置するように配置形成されている。ベース側ガイドレール29及び着脱側ガイドレール37は、ボス35及びボスガイド溝27から離れる位置に配置形成されている。本形態においては、係止突起28及び係止溝36よりも端子挿入面51に近い側に配置形成されている。
【0054】
次に、上記構成及び構造に基づきながら、ベースコネクタ22及び着脱コネクタ23の結合過程について説明する。
【0055】
図2において、着脱コネクタ23をベースコネクタ22に対し90°起こした状態にしてから着脱コネクタ23を矢印Pの方向に移動させる。着脱コネクタ23を矢印Pの方向に移動させると、図5に示す如く、ボス35がベースコネクタ22のボスガイド溝27に差し込まれる。ボス35は、ボス差し込み口45を通過してボスガイド溝27の内部に案内される。この時、ボス35は、ボス頂面40がガイド溝底面46を摺動し、また、本体部湾曲側面43及び基端部44がガイド溝開口部49を摺動する(ボス35及びボスガイド溝27の各部分に関しては図4参照。尚、上記の摺動に関し、構造上全ての面同士が摺動する状態にはならず、いずれかの面同士の間には極僅かな隙間が生じるものとする)。
【0056】
図1及び図6において、着脱コネクタ23を倒すように矢印Qの結合方向に回転移動させるとボス35が回転する。この時、ボス35は、ボス頂面40がガイド溝底面46を摺動し、また、フランジ部第一湾曲側面41がガイド溝第一側面47を摺動し、また、フランジ部第二湾曲側面42がガイド溝第二側面48を摺動し、また、本体部湾曲側面43及び基端部44がガイド溝開口部49を摺動する(図4参照)。
【0057】
図1及び図7において、着脱コネクタ23をベースコネクタ22に対しこれらが並列状態になるまで回転させることにより、ボス35は、ボス頂面40がガイド溝底面46を更に摺動し、また、フランジ部第一湾曲側面41がガイド溝第一側面47を更に摺動し、また、フランジ部第二湾曲側面42がガイド溝第二側面48を更に摺動し、また、本体部湾曲側面43及び基端部44がガイド溝開口部49を更に摺動する。
【0058】
また、着脱コネクタ23をベースコネクタ22に対しこれらが並列状態になるまで回転させると、この時、着脱側ガイドレール37は、ベース側ガイドレール29の開口部31に差し込まれてストッパー面32に当接するまでベース側ガイドレール29に噛合いながら摺動する。着脱側ガイドレール37のストッパー面50がベース側ガイドレール29のストッパー面32に当接すると、これに伴って着脱コネクタ23の係止溝36がベースコネクタ22の係止突起28に引っ掛かり係止状態が形成され、これによって着脱コネクタ23とベースコネクタ22とが完全に結合し、合体コネクタ21の形成が完了する。
【0059】
合体コネクタ21の形成が完了すると、ボス35とボスガイド溝27とによって図示しない相手側コネクタとの嵌合方向に相当する方向の移動が規制されるとともに、ベースコネクタ22と着脱コネクタ23の並ぶ方向の移動が規制される。また、ベース側ガイドレール29と着脱側ガイドレール37との噛合いによって図示しない相手側コネクタとの離脱方向に相当する方向の移動が規制される。さらに、係止突起28と係止溝36とにより形成される係止状態によって回転が規制され、上記嵌合方向及び離脱方向や、上記並ぶ方向に直交する方向の移動が規制される。従って、ベースコネクタ22と着脱コネクタ23とが各方向にガタ付き難い結合状態となり、このような結合状態で合体コネクタ21が形成される。
【0060】
合体コネクタ21は、端子金具同士の接続方向のガタ付きを従来よりも小さく抑えることができるようになり、従って端子金具同士の接触代の減少を防止することができるという効果を奏する。
【0061】
続いて、回転によって結合する着脱コネクタ23を基準とした時の、ベースコネクタ22における相手端子拾い部の変位量が小さいことについて説明する。図8(a)〜(d)は本発明の合体コネクタ21の相手端子拾い部の変位量に関する説明図である。また、図9(a)〜(c)は図8の比較例であり係止ガタに関する説明図である。
【0062】
図8において、回転を規制する部分となる係止突起28及び係止溝36の係止状態における係止ガタは0.30mmに設定されている。このような係止ガタに対して着脱コネクタ23を矢印Rで示す反結合方向(離脱方向)へ振ってみると、合体コネクタ21の水平方向の中心線に対して相手端子拾い部の位置の寸法は2.3316mmとなる。一方、着脱コネクタ23を矢印Qで示す結合方向へ振ってみると、中心線に対する相手端子拾い部の位置の寸法は2.3291mmとなる。従って、相手端子拾い部の位置における位置ズレ量(変位量)は、0.0025mm(=2.3316−2.3291)となることが分かる。本発明の合体コネクタ21は、回転による結合を採用し、また、係止突起28及び係止溝36が回転中心から離れることから、係止ガタ0.30mmの設定に対して0.0025mmしか相手端子拾い部のズレが生じないことになる。従って、僅かなズレであることから、結果、相手側コネクタとの嵌合や電気的接続を良好な状態で行うことができるようになる。
【0063】
図9において、嵌合突起61を嵌合溝62に嵌め合わせるようなスライド嵌合構造にあっては、係止突起63及び係止溝64の係止状態における係止ガタを図8と同様に0.30mmに設定すると、スライド嵌合構造では0.30mmの係止ガタの分だけ相手端子拾い部の位置がズレしてしまうことになる。
【0064】
上記の位置ズレ量からも分かるように、本発明は従来よりも相手端子拾い部の変位量を小さく抑えることができることから、結果、端子金具の接触信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
【0065】
続いて、図10及び図11を参照しながら第二実施形態について説明する。図10はベースコネクタ及び着脱コネクタの結合前の分離した状態を示す斜視図である。また、図11はボス及びボスガイド溝の寸法関係についての説明図である。尚、基本的な機能は上記第一実施形態と同じであるものとし、詳細な説明は省略するものとする。
【0066】
図10及び図11において、合体コネクタは、ベースコネクタ71と、このベースコネクタ71に対して回転させることにより結合・分離が可能となる着脱コネクタ72とを備えて構成されている。ベースコネクタ71のハウジング側部73には、ボスガイド溝74と、係止溝75と、ベース側ガイドレール76とが形成されている。一方、着脱コネクタ72のハウジング側部77には、ボスガイド溝74に差し込まれるボス78と、係止溝75に引っ掛かる係止突起79と、ベース側ガイドレール76に噛み合う着脱側ガイドレール80とが形成されている。
【0067】
ボス78とボスガイド溝74は、この部分のガタ付きを吸収するために圧入設定になっている。すなわち、ボスガイド溝74の開口幅D1に対してボス78の幅D2が若干大きくなるように(D1<D2)形成されている。圧入設定となっていることから、合体コネクタを形成する際の、ボス78のボスガイド溝74に対する挿入力を緩和するために、ボス78には、弾性変形用のスリット81が形成されている。
【0068】
以上、第二実施形態においては、圧入状態を形成してボスガイド溝74におけるボス78のガタ付きを防止することができるとともに、圧入状態を形成する際の作業性に配慮することができるようになっている。第二実施形態は、端子金具同士の正規接触や、接触代の減少防止に寄与することができるようになっている。
【0069】
続いて、図12ないし図17を参照しながら第三実施形態について説明する。図12はベースコネクタ及び着脱コネクタの結合前の分離した状態を示す斜視図である。また、図13はボスの拡大斜視図、図14はボス及びボスガイド溝の寸法関係についての説明図、図15はボスガイド溝をボスに差し込んだ際の図、図16は着脱コネクタの回転途中の図、図17は結合状態となり合体コネクタが形成された状態の図である。尚、基本的な機能は上記第一実施形態と同じであるものとし、詳細な説明は省略するものとする。
【0070】
図12において、合体コネクタ91(図17参照)は、ベースコネクタ92と、このベースコネクタ92に対して回転させることにより結合・分離が可能となる着脱コネクタ93とを備えて構成されている。ベースコネクタ92のハウジング側部94には、ボス95と、係止突起96と、ベース側ガイドレール97とが形成されている。一方、着脱コネクタ93のハウジング側部98には、図15(b)に示す如く、ボス95に対して差し込みをするボスガイド溝99と、係止突起96に引っ掛かる係止溝100と、ベース側ガイドレール97に噛み合う着脱側ガイドレール101とが形成されている。
【0071】
図13において、ボス95は、ボス頂面102と、ボス頂面102の円弧部分に連続するフランジ部第一湾曲側面103(フランジ部側面)と、フランジ部第一湾曲側面103に連続し断面テーパ状に傾斜するフランジ部第二湾曲側面104(フランジ部側面)と、フランジ部第二湾曲側面104に連続する本体部湾曲側面105(本体部側面)と、本体部湾曲側面105に連続する基端部106とを有している。このようなボス95には、フランジ部第一湾曲側面103の所定位置に圧入用突起107が突出形成されている。
【0072】
図14において、ボス95とボスガイド溝99は、この部分のガタ付きを吸収するために圧入設定になっている。すなわち、ボスガイド溝99の開口幅D1に対してボス95の通常の幅D2よりも圧入用突起107の分だけ(D3)ボス95は若干大きくなるように(D1<D3)形成されている。圧入設定となっていることから、合体コネクタ91(図17参照)を形成する際の、ボス95とボスガイド溝99との挿入力を緩和するために、本形態においてはボス95の圧入用突起107の位置に対して角度Aの分だけずらした位置からボスガイド溝99を差し込むようになっている(差し込み位置は一例であるものとする)。図15はボス95にボスガイド溝99を差し込んだ状態の図であり、この時圧入状態とはならないことからスムーズな差し込みが行われるようになる(ボス95をボスガイド溝99に差し込むような作業にすることでも良いものとする)。
【0073】
図16において、着脱コネクタ93をベースコネクタ92に対して結合方向に回転させると、この回転途中において圧入用突起107とボスガイド溝99との間に圧入状態が形成される。これにより、ボス95とボスガイド溝99との間のガタ付きが吸収される。そして、このガタ付きが吸収された状態でベースコネクタ92と着脱コネクタ93とが図17に示す如く完全に結合すると、合体コネクタ91が形成される。
【0074】
以上、第三実施形態においても圧入状態を形成してボスガイド溝99におけるボス95のガタ付きを防止することができる(圧入用突起107により、特に相手側コネクタとの嵌合方向に対して垂直に直交する方向のガタ付きを防止することができる)とともに、圧入状態を形成する際の作業性に配慮することができるようになっている。第三実施形態は、端子金具同士の正規接触や、接触代の減少防止に寄与することができるようになっている。
【0075】
続いて、図18及び図19を参照しながら第四実施形態について説明する。図18はボスを有するベースコネクタの斜視図である。また、図19はボス及びボスガイド溝の拡大断面図である。尚、第四実施例は、上記第三実施例の変形例であるものとする。
【0076】
図18及び図19において、ベースコネクタ111に設けられるボス112のフランジ部第二湾曲側面113(フランジ部側面)の所定位置には、圧入用突起114が突出形成されている。圧入用突起114は、図19に示す如く着脱コネクタ115のボスガイド溝116に形成されるガイド溝第二側面117(ガイド溝側面)との間で圧入状態を形成することができるようになっている(本形態において、圧入用突起114は第三実施形態の圧入用突起107と同じ位置に形成されている)。
【0077】
以上、第四実施形態においても圧入状態を形成してボスガイド溝116におけるボス112のガタ付きを防止することができる(圧入用突起117により、特にベースコネクタ111と着脱コネクタ115の並ぶ方向のガタ付きを防止することができる)とともに、圧入状態を形成する際の作業性に配慮することができるようになっている。第四実施形態は、端子金具同士の正規接触や、接触代の減少防止に寄与することができるようになっている。
【0078】
尚、圧入用突起117をボス112のフランジ部第二湾曲側面113ではなく、ボス頂面に配置形成しても良いものとする。この場合もボス112とボスガイド溝116との間に圧入状態が形成され、上記同様の効果を奏することができる。
【0079】
この他、特に限定するものではないが、ボス頂面に圧入突起を配置形成する場合などでは、フランジ部第二湾曲側面113及びガイド溝第二側面117の形状を図19に示す如くの断面テーパ状に傾斜する面となる形状にしなくても良いものとする。例えば、ボス頂面に平行となる面同士で対向するような鉤状の形状に形成しても良いものとする。また、断面円弧状に傾斜する形状に形成しても良いものとする。
【0080】
続いて、図20ないし図22を参照しながら第五実施形態について説明する。図20はベースコネクタに対して着脱コネクタを回転させはじめた直後の状態を示す図、図21はベースコネクタに対して着脱コネクタを回転させている途中の状態を示す図、図22はベースコネクタと着脱コネクタとが並び結合した状態を示す図である。
【0081】
図20において、合体コネクタ121(図22参照)は、ベースコネクタ122と、このベースコネクタ122に対して回転させることにより結合・分離が可能となる着脱コネクタ123とを備えて構成されている。ベースコネクタ122のハウジング側部には、ボス124と、係止突起と、ベース側ガイドレール125a、125bとが形成されている。一方、着脱コネクタ123のハウジング側部126には、ボス124に対して差し込みをするボスガイド溝127と、上記係止突起に引っ掛かる係止溝128と、ベース側ガイドレール125a、125bに噛み合う着脱側ガイドレール129a、129bとが形成されている。ベース側ガイドレール125a及び着脱側ガイドレール129bには、それぞれストッパー面130及び131が形成されている。
【0082】
ベースコネクタ122及び着脱コネクタ123は、図20及び図21に示す如く、着脱コネクタ123の回転途中状態まではベース側ガイドレール125a及び着脱側ガイドレール129aの間のクリアランスが十分に取られて作業性が良くなっており、この後にベースコネクタ122と着脱コネクタ123との結合状態が形成される時には、図22に示す如く、ベース側ガイドレール125b及び着脱側ガイドレール129aと、ベース側ガイドレール125a及び着脱側ガイドレール129bとのクリアランスが小さくなって、ガイドレール間のガタ付きが吸収されるようになっている。
【0083】
以上、第五実施形態はクリアランス調整をすることができるようになっている。また、第五実施形態は、ガイドレール間のガタ付きを吸収することができるとともに、作業性に配慮することができるようになっている。第五実施形態は、端子金具同士の正規接触や、接触代の減少防止に寄与することができるようになっている。
【0084】
尚、図22を参照しながら補足説明をすると、ボス124の中心に対し紙面下方に0.70mm変位させ、更に紙面右方向に0.50mm変位させた位置がベース側ガイドレール125a及び125bと、着脱側ガイドレール129a及び129bとの中心位置(ガイドレール中心位置)となっている。この中心位置からベース側ガイドレール125b及び着脱側ガイドレール129aの噛合い位置までは半径R20.90mmとなっている。また、中心位置からベース側ガイドレール125a及び着脱側ガイドレール129bの噛合い位置までは半径R21.00mmとなっている。
【0085】
最後に、図23ないし図27を参照しながら第六実施形態について説明する。図23は第一タイプのベースコネクタの斜視図、図24は誤結合防止部を有する第二タイプのベースコネクタの斜視図、図25は誤結合防止部の拡大斜視図、図26は結合方向の回転が行われている状態の斜視図、図27は結合方向の回転が不能となっている状態の斜視図である。
【0086】
図23において、第一タイプのベースコネクタ141のハウジング側部142には、ボス143と、係止突起144と、ベース側ガイドレール145a、145bとが形成されている。ベース側ガイドレール145aには、後述する着脱側ガイドレールに対する挿抜用の開口部146が形成されている。また、ベース側ガイドレール145aには、ストッパー面147が形成されている。ストッパー面147の近傍には、係止突起144が配置形成されている。
【0087】
図24において、第二タイプのベースコネクタ151のハウジング側部152には、ボス153と、係止突起154と、ベース側ガイドレール155a、155bとが形成されている。ベース側ガイドレール155bには、後述する着脱側ガイドレールが当接し、これによって結合方向の回転を規制することが可能な誤結合防止部156が形成されている。また、ベース側ガイドレール155aには、ストッパー面157が形成されている。ストッパー面157の近傍には、係止突起154が配置形成されている。誤結合防止部156は、図24及び図25に示す如く、溝形状のベース側ガイドレール155aの端部を塞ぐような壁状に形成されている。
【0088】
図26において、合体コネクタを形成するために、第一タイプのベースコネクタ141に対し着脱コネクタ161を結合方向に回転させると、ベース側ガイドレール145aの開口部146を介して着脱コネクタ161の着脱側ガイドレール162aが差し込まれ、これによって噛合いが生じ、この後に合体コネクタが形成される。これに対して図27に示す如く第二タイプのベースコネクタ151を用いる場合にあっては、着脱コネクタ161の着脱側ガイドレール162aが誤結合防止部156に当接してしまい、結果、結合方向の回転が不能となってしまうことになる。つまり、誤結合防止部156を形成することによって、タイプ違い品に対する誤結合を防止することができるようになっている。また、誤結合防止部156によって非正規の回転を規制することもできるようになっている。
【0089】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の合体コネクタの一実施の形態(第一実施形態)を示す斜視図である。
【図2】ベースコネクタ及び着脱コネクタの結合前の分離した状態を示す斜視図であり、(a)はベースコネクタの嵌合突き当て面を手前にした状態の斜視図、(b)はベースコネクタの端子挿入面をを手前にした状態の斜視図である。
【図3】ボスの拡大斜視図である。
【図4】ボス及びボスガイド溝の拡大断面図である。
【図5】ベースコネクタに対して着脱コネクタを回転させる直前の状態を示す断面図である。
【図6】ベースコネクタに対して着脱コネクタを回転させている途中の状態を示す断面図である。
【図7】ベースコネクタと着脱コネクタとが並び結合した状態を示す断面図である。
【図8】相手端子拾い部の変位量に関する説明図であり、(a)は合体コネクタの正面図、(b)は(a)のE−E線断面図、(c)は合体コネクタの正面図、(d)は(c)のF−F線断面図である。
【図9】(a)〜(c)は図8の比較例であり係止ガタに関する説明図である。
【図10】第二実施形態に関する図であり、ベースコネクタ及び着脱コネクタの結合前の分離した状態を示す斜視図である。
【図11】ボス及びボスガイド溝の寸法関係についての説明図である。
【図12】第三実施形態に関する図であり、ベースコネクタ及び着脱コネクタの結合前の分離した状態を示す斜視図である。
【図13】ボスの拡大斜視図である。
【図14】ボス及びボスガイド溝の寸法関係についての説明図である。
【図15】ボスガイド溝をボスに差し込んだ際の図であり、(a)はベースコネクタの正面側から見た図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)はボス及びボスガイド溝の拡大断面図である。
【図16】着脱コネクタの回転途中の図であり、(a)はベースコネクタの正面側から見た図、(b)は(a)のB−B線断面図、(c)はボス及びボスガイド溝の拡大断面図である。
【図17】結合状態となり合体コネクタが形成された状態の図であり、(a)はベースコネクタの正面側から見た図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【図18】第四実施形態に関する図であり、ボスを有するベースコネクタの斜視図である。
【図19】ボス及びボスガイド溝の拡大断面図である。
【図20】第五実施形態に関する図であるとともに、ベースコネクタに対して着脱コネクタを回転させはじめた直後の状態を示す図であり、(a)はベースコネクタの正面側から見た図、(b)は(a)のG−G線断面図である。
【図21】ベースコネクタに対して着脱コネクタを回転させている途中の状態を示す図であり、(a)はベースコネクタの正面側から見た図、(b)は(a)のH−H線断面図である。
【図22】ベースコネクタと着脱コネクタとが並び結合した状態を示す図であり、(a)はベースコネクタの正面側から見た図、(b)は(a)のI−I線断面図である。
【図23】第六実施形態に関する図であり、第一タイプのベースコネクタの斜視図である。
【図24】誤結合防止部を有する第二タイプのベースコネクタの斜視図である。
【図25】誤結合防止部の拡大斜視図である。
【図26】結合方向の回転が行われている状態の斜視図である。
【図27】結合方向の回転が不能となっている状態の斜視図である。
【図28】従来例の合体コネクタの図であり、(a)は結合前の状態を示す斜視図、(b)は結合後となる合体コネクタの斜視図、(c)はガタに関する説明図である。
【符号の説明】
【0091】
21 合体コネクタ
22 ベースコネクタ
23 着脱コネクタ
24 ベースコネクタハウジング
25 着脱コネクタハウジング
26 ハウジング側部
27 ボスガイド溝
28 係止突起
29 ベース側ガイドレール(第一ガイドレール)
30 嵌合突き当て面
31 開口部
32 ストッパー面
33 相手側端子挿入孔
34 ハウジング側部
35 ボス
36 係止溝
37 着脱側ガイドレール(第二ガイドレール)
38 ボス本体部
39 フランジ部
40 ボス頂面
41 フランジ部第一湾曲側面(フランジ部側面)
42 フランジ部第二湾曲側面(フランジ部側面)
43 本体部湾曲側面(本体部側面)
44 基端部
45 ボス差し込み口
46 ガイド溝底面
47 ガイド溝第一側面(ガイド溝側面)
48 ガイド溝第二側面(ガイド溝側面)
49 ガイド溝開口部
50 ストッパー面
51 端子挿入面
81 弾性変形用のスリット
107 圧入用突起
114 圧入用突起
156 誤結合防止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースコネクタと、該ベースコネクタに対して回転させることにより結合・分離が可能となる着脱コネクタとを備え、
前記ベースコネクタ及び前記着脱コネクタは、この一方のハウジング側部にボスを有するとともに、他方のハウジング側部に前記ボスを差し込んで回転させるためのボスガイド溝を有し、且つ、前記一方のハウジング側部及び前記他方のハウジング側部のいずれか一方に円弧状の第一ガイドレールを有するとともに、いずれか他方に前記着脱コネクタの回転に伴い前記第一ガイドレールに噛み合う円弧状の第二ガイドレールを有し、且つ、前記一方のハウジング側部及び前記他方のハウジング側部のいずれか一方に係止突起を有するとともに、いずれか他方に前記係止突起を引っ掛けて前記着脱コネクタの回転を規制する係止溝を有し、さらに、
前記ボスは、この先端にボス頂面を有するとともに、該ボス頂面の円弧部分に連続するフランジ部側面と該フランジ部側面に連続する本体部側面とを有する一方、前記ボスガイド溝は、前記他方のハウジング側部に直交し相手側コネクタに対向する嵌合突き当て面に開口するボス差し込み口と、前記ボス頂面が摺動又は対向するガイド溝底面と、前記フランジ部側面が摺動又は対向するガイド溝側面と、前記本体部側面が摺動又は対向するガイド溝開口部とを有し、さらに、
前記ボスと前記ボスガイド溝は、前記ベースコネクタと前記着脱コネクタの結合状態において前記相手側コネクタとの嵌合方向に相当する方向の移動規制を行うとともに、前記ベースコネクタと前記着脱コネクタの並ぶ方向の移動規制も行い、且つ、前記第一ガイドレールと前記第二ガイドレールにあっては、前記結合状態においてこれらの噛合いにより前記相手側コネクタとの離脱方向に相当する方向の移動規制を行う
ことを特徴とする合体コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の合体コネクタにおいて、
前記ボス及び/又は前記ボスガイド溝に、前記ボスが回転すると、該ボスと前記ボスガイド溝との間で締まり込みが生じる締まり込み構造部を形成する
ことを特徴とする合体コネクタ。
【請求項3】
請求項1に記載の合体コネクタにおいて、
前記ボスと前記ボスガイド溝とを、これらが圧入状態となるように形成する
ことを特徴とする合体コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載の合体コネクタにおいて、
前記ボスに弾性変形用のスリットを形成する
ことを特徴とする合体コネクタ。
【請求項5】
請求項3に記載の合体コネクタにおいて、
前記ボスに圧入用突起を形成し、前記ボスの回転に伴って前記圧入用突起と前記ボスガイド溝との間で前記圧入状態が生じる
ことを特徴とする合体コネクタ。
【請求項6】
請求項1に記載の合体コネクタにおいて、
前記結合状態にすべく前記着脱コネクタを回転させると、間隔が徐々に又は段階的に狭まるように前記第一ガイドレールと前記第二ガイドレールとを配置形成する
ことを特徴とする合体コネクタ。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6いずれか記載の合体コネクタにおいて、
前記第一ガイドレール及び前記第二ガイドレールに、前記係止突起及び前記係止溝と共に前記着脱コネクタの回転を規制するストッパー面をそれぞれ形成する
ことを特徴とする合体コネクタ。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7いずれか記載の合体コネクタにおいて、
前記第一ガイドレール及び前記第二ガイドレールのいずれか一方に、前記着脱コネクタの非正規の回転を規制する誤結合防止部を形成する
ことを特徴とする合体コネクタ。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8いずれか記載の合体コネクタにおいて、
前記嵌合突き当て面の近傍に前記ボス及び前記ボスガイド溝を配置形成するとともに、前記係止突起及び前記係止溝を前記嵌合突き当て面の反対側となる端子挿入面に近い側に配置形成する
ことを特徴とする合体コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2009−181859(P2009−181859A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20916(P2008−20916)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】