合成板材及びその製造方法
【課題】合成板材を用いて形成した設備の視覚的な印象を多様化させることが可能な、合成板材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】階段Sを形成する階段段板を構成する合成板材1を、板状の芯材4と、互いに色の異なる二種類の単板10a,10bを積層して形成した積層合板6a,6bと、仕上げ材8a,8bとを備えた構成とし、単板10aと単板10bとを、芯材4の前方の面と後方の面に沿って配列した状態で、積層合板6a,6bを、芯材4の前方の面と後方の面に固定した後、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部を、芯材4と積層合板6aとの境界BLよりも積層合板6a側へ突出させるとともに、積層合板6aの芯材4と対向する面と反対側の面と連続させた状態で、仕上げ材8a,8bを、芯材4の上面と下面に取り付ける。
【解決手段】階段Sを形成する階段段板を構成する合成板材1を、板状の芯材4と、互いに色の異なる二種類の単板10a,10bを積層して形成した積層合板6a,6bと、仕上げ材8a,8bとを備えた構成とし、単板10aと単板10bとを、芯材4の前方の面と後方の面に沿って配列した状態で、積層合板6a,6bを、芯材4の前方の面と後方の面に固定した後、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部を、芯材4と積層合板6aとの境界BLよりも積層合板6a側へ突出させるとともに、積層合板6aの芯材4と対向する面と反対側の面と連続させた状態で、仕上げ材8a,8bを、芯材4の上面と下面に取り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、階段を形成する階段段板等を構成する合成板材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅等の建築物内に設ける階段では、安全性を確保するために、階段の通行者が乗る階段段板が十分な強度を有する必要がある。このため、合成板材を用いて階段段板を構成する場合がある。このような合成板材としては、例えば、特許文献1に記載されているような合成板材が提案されている。
特許文献1に記載されている合成板材は、図10に示すように、本体部16と、仕上げ材8とを備えている。なお、図10は、従来例の合成板材1を示す斜視図である。
本体部16は、四つの積層合板6を四方枠組みして形成した枠体と、芯材4とを備えている。
【0003】
積層合板6は、複数の単板10を積層させて形成した積層合板であり、その形状を、断面長方形の角柱状としてある。そして、各積層合板6は、芯材4の側面に、それぞれ、接着等の手段を用いて固定してある。
各単板10同士の接合面は、図11中に示すように、上下方向へ平行にしてある。すなわち、複数の単板10同士の接合面は、芯材4の側面に対して平行としてある。なお、図11は、図10内に円XIで囲んだ範囲の拡大図である。また、図11中では、説明のために、積層合板6以外の図示を省略している。
芯材4は、インシュレーションボード等を用いて形成してあり、その形状を、板状としてある。
【0004】
仕上げ材8は、薄板状に形成してあり、接着剤を介して、芯材4の側面を挟んで対向する第一の面及び第二の面に接合してある。なお、以下の説明では、第一の面を、芯材4の上下方向上方の面(以下、「上面」と記載)とし、第二の面を、芯材4の上下方向下方の面(以下、「下面」と記載)とする。
なお、図10及び図11中に符号20で示す部材は、合成板材1の補強材であり、芯材4及び積層合板6に固定して、芯材4と積層合板6との間に配置してある。また、補強材18は、積層合板6と同様、複数の単板10を積層させて形成してあり、各単板10同士の接合面は、積層合板6と同様、上下方向へ平行にしてある。
【0005】
このような構成の合成板材1であれば、枠体を形成する積層合板6を、各単板10同士を上下方向へ平行に積層させて形成し、この枠体を芯材4の側面に固定して、合成板材1を構成している。このため、合成板材1が、垂直方向、すなわち、階段の通行者により荷重を受ける方向からの曲げ強度を、十分に有することとなり、合成板材1を用いて形成した設備の安全性を向上させることが可能となる。
【特許文献1】特開平10−299206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、合成板材を用いて階段段板を構成し、この階段段板を用いて階段を形成すると、芯材の側面のうち少なくとも一面が、目視可能な面となる。また、複数の階段段板を、体積の小さい鉄板等の構造支持部材で支持し、階段段板間に空隙部を形成した階段(スケルトン階段)では、特に階段を水平方向から見た場合、芯材の側面が、階段全体のうち目視可能な面の大部分を占める場合が多い。
このため、芯材の側面に固定した積層合板のうち、芯材の側面と対向する面と反対側の面は、その外観が、階段の視覚的な印象に大きな影響を与えることとなる。
【0007】
そして、特許文献1に記載されている構成の合成板材では、芯材の側面に固定する積層合板を、複数の単板同士の接合面を上下方向へ平行にして形成している。すなわち、複数の単板同士の接合面を、芯材の側面に対して平行としてある。したがって、芯材の側面には、複数の単板のうち、一枚の単板のみが目視可能に配置されることとなるため、この単板が有する複数の面のうち、一つの面の外観が、階段の視覚的な印象に大きな影響を与えることとなる。
【0008】
しかしながら、一枚の単板が有する一つの面の外観、すなわち、単板の木目等、任意のデザインに形成することが困難な外観では、合成板材のデザインに関する自由度が低下してしまい、階段の視覚的な印象が単純化するという問題が生じるおそれがある。
また、芯材は、荷重を支持する部材としての機能を優先する必要があるため、その外観を任意のデザインに形成することが困難である。したがって、芯材の側面に積層合板を固定せず、芯材の側面自体の外観により合成板材の外観を形成することは困難である。
本発明は、上述したような問題点に着目してなされたもので、合成板材のデザインに関する自由度の向上を可能とし、合成板材を用いて形成した設備の視覚的な印象を多様化させることが可能な、合成板材及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、板状の芯材と、複数の単板を積層して形成し、且つ前記芯材の側面のうち少なくとも一つの面に固定する板状の積層合板と、前記芯材の前記側面を挟んで対向する第一の面及び第二の面のうち少なくとも一方に取り付ける板状の仕上げ材と、を備える合成板材であって、
前記複数の単板を、前記積層合板を固定する前記側面に沿って配列し、
前記仕上げ材は、前記芯材の厚さ方向から見て前記積層合板と対向するように積層合板側へ突出する突出部を備えることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によると、芯材の側面のうち少なくとも一つの面に固定する積層合板を、複数の単板を積層して形成している。また、複数の単板を、積層合板を固定する側面に沿って配列している。
このため、芯材の側面に固定する積層合板のうち、芯材の側面と対向する面と反対側の面は、その外観を、複数の単板による複数段の層によって形成することが可能となる。これにより、各単板の外観や形状等を選択して、合成板材のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となる。
【0011】
また、本発明によると、芯材の第一の面及び第二の面のうち少なくとも一方に取り付ける仕上げ材が、芯材の厚さ方向から見て積層合板と対向するように積層合板側へ突出する、突出部を備えている。
このため、芯材及び積層合板のうち、積層合板のみに荷重が加わっても、この荷重を仕上げ材により負担することが可能となるため、積層合板の芯材からの剥離を防止することが可能となる。
【0012】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明であって、前記複数の単板のうち少なくとも二枚の形状を、前記積層合板を固定する前記側面の側面視で互いに異なる形状とすることを特徴とするものである。
本発明によると、積層合板を形成する複数の単板のうち少なくとも二つの形状を、積層合板を固定する側面の側面視で互いに異なる形状とする。
このため、芯材の側面に固定する積層合板のうち、芯材の側面と対向する面と反対側の面は、その外観を、複数段の層のうち少なくとも二つの形状が異なる複数段の層によって形成することが可能となる。これにより、各単板の形状を選択して、合成板材のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となる。
【0013】
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した発明であって、前記側面のうち少なくとも一つの面に複数の前記積層合板を配置し、
前記複数の積層合板のうち少なくとも二つを、前記複数の単板の配列方向を互いに傾斜させて配置することを特徴とするものである。
本発明によると、芯材の側面のうち少なくとも一つの面に、複数の積層合板を配置する。また、複数の積層合板のうち少なくとも二つを、複数の単板同士の配列方向を互いに傾斜させて配置する。
このため、芯材の側面に固定する積層合板のうち、芯材の側面と対向する面と反対側の面は、その外観を、方向が異なる積層の組み合わせによって形成することが可能となる。これにより、複数の単板の配列方向を互いに傾斜させる方向を選択して、合成板材のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となる。
【0014】
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1から3のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記合成板材を、階段を形成する階段段板とし、
前記積層合板を固定する面を、前記側面のうち少なくとも目視可能な面とし、
前記仕上げ材を取り付ける面を、前記第一の面及び前記第二の面のうち少なくとも前記階段の通行者が踏む面とすることを特徴とするものである。
本発明によると、合成板材を、階段を形成する階段段板として用い、積層合板を固定する面を、芯材の側面のうち少なくとも目視可能な面とする。
【0015】
このため、合成板材のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となり、合成板材を用いて形成する階段の視覚的な印象を多様化させることが可能となる。
また、本発明によると、仕上げ材を取り付ける面を、芯材の第一の面及び第二の面のうち、少なくとも階段の通行者が踏む面とする。
このため、芯材及び積層合板のうち積層合板のみに、階段の通行者による垂直方向からの荷重が加わっても、この荷重を仕上げ材により負担することが可能となるため、積層合板の芯材からの剥離を防止することが可能となる。
【0016】
次に、請求項5に記載した発明は、請求項1から4のうちいずれか1項に記載した合成板材の製造方法であって、
前記複数の単板を、前記積層合板を固定する前記側面に沿って配列した状態で積層合板を固定する側面に固定した後、前記仕上げ材を、前記突出部を前記芯材の厚さ方向から見て前記積層合板と対向するように積層合板側へ突出させた状態で、前記第一の面及び前記第二の面のうち少なくとも一方に取り付けることを特徴とするものである。
【0017】
本発明によると、合成板材を製造する際に、まず、複数の単板を、積層合板を固定する側面に沿って配列した状態で、この側面に積層合板を固定する。その後、仕上げ材を、突出部を芯材の厚さ方向から見て積層合板と対向するように積層合板側へ突出させた状態で、第一の面及び第二の面のうち少なくとも一方に取り付ける。
このため、仕上げ材を芯材の第一の面及び第二の面のうち少なくとも一方に取付けた後に、積層合板を芯材の側面に固定する場合と比較して、仕上げ材の位置決めが容易となり、合成板材の製造効率を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、積層合板を形成する複数の単板の外観や形状等を、それぞれ選択することにより、合成板材のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となる。このため、合成板材を用いて形成した設備の視覚的な印象を多様化させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
(構成)
まず、図1から図4を用いて、本実施形態の構成を説明する。
図1は、本実施形態の合成板材1を用いて形成した階段Sを示す図である。なお、図1中では、説明のために、階段Sの一部のみを示している。
図1中に示すように、階段Sは、合成板材1と、段板支持部材2とを備えている。
合成板材1は、階段Sを形成する階段段板を構成している。
段板支持部材2は、例えば、鉄鋼等の高い剛性を有する材料を用いて形成してあり、複数の合成板材1を、互いに上下方向へ間隔を空けて支持している。すなわち、上下方向で隣り合う合成板材1同士の間には、空隙部を形成している。段板支持部材2による合成板材1の支持は、ボルト等の締結手段(図示せず)を用いて、合成板材1の側面に段板支持部材2を固定して行う。
【0020】
図2は、図1のII線矢視図である。なお、図2中では、説明のために、合成板材1以外の図示を省略している。
図2中に示すように、合成板材1は、芯材4と、積層合板6と、仕上げ材8とを備えている。
芯材4は、例えば、インシュレーションボード等の木材を用いて形成してあり、その形状を、板状としてある。なお、芯材4を、木材以外の材料を用いて形成してもよい。また、芯材4を、合板としてもよい。
積層合板6は、接着剤等を用いて、芯材4の側面、具体的には、階段の前後方向における前方の面と後方の面に、それぞれ、固定してある。これにより、芯材4の側面のうち、前方の面と後方の面は、積層合板6を固定する固定面となる。なお、図2中及び以下の説明では、芯材4の前方の面に固定した積層合板6を積層合板6aと記載し、芯材4の後方の面に固定した積層合板6を積層合板6bと記載する。
【0021】
また、積層合板6a,6bは、それぞれ、複数の単板10を積層して形成してある。
複数の単板10は、二種類の単板10a,10bから構成してある。
単板10aと単板10bは、互いに、外観、具体的には色の異なる木材により形成してある。なお、単板10を、木材以外の材料を用いて形成してもよい。また、図2中及び以下の説明では、二種類の単板10a,10bのうち、色の薄い単板10を単板10aと記載し、単板10aよりも色の濃い単板10を単板10bと記載する。
また、単板10aと単板10bは、交互に積層してあり、接着剤等を用いて、互いに接合させてある。
また、単板10aと単板10bは、芯材4の側面のうち、積層合板6a,6bを固定する面、すなわち、階段の前後方向における前方の面と後方の面に沿って配列してある。具体的には、単板10aと単板10bとの接合面が、階段の上下方向に対して直交するように配列してある。
【0022】
仕上げ材8は、例えば、硬質の塩化ビニールを用いて板状に形成してあり、二枚の仕上げ材8a,8bから構成してある。なお、仕上げ材8を、硬質の塩化ビニール以外の材料を用いて形成してもよい。
仕上げ材8a,8bは、接着剤等を用いて、芯材4の側面を挟んで対向する第一の面及び第二の面に、それぞれ、取り付けてある。なお、以降の説明では、第一の面を、芯材4の上下方向上方の面(以下、「上面」と記載)とし、第二の面を、芯材4の上下方向下方の面(以下、「下面」と記載)とする。また、図2中及び以下の説明では、二枚の仕上げ材8a,8bのうち、芯材4の上面に取り付ける仕上げ材8を仕上げ材8aと記載し、芯材4の下面に取り付ける仕上げ材8を仕上げ材8bと記載する。
【0023】
仕上げ材8aは、芯材4の厚さ方向(図2中に示す上下方向)から見て積層合板6aと対向するように、積層合板6a側へ突出する突出部16を備えている。すなわち、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部は、芯材4と積層合板6aとの境界BLよりも、積層合板6a側へ突出している。
また、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部は、積層合板6aの芯材4と対向する面と反対側の面と連続させている。
仕上げ材8aの上面、すなわち、芯材4の上面と対向する面と反対側の面には、凹状溝12と面取り部14とを形成してある。
凹状溝12は、仕上げ材8aの上面において、階段の幅方向に延在している。
面取り部14は、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部に形成してあり、仕上げ材8aの上面と積層合板6aの芯材4と対向する面と反対側の面とを滑らかに連続させている。
【0024】
(製造方法)
次に、図1及び図2を参照しつつ、図3及び図4を用いて、上記の構成を備えた合成板材1を製造する製造方法について説明する。なお、図3は、本実施形態の合成板材1を製造する製造方法を示す図であり、図4は、図3中に円IVで囲んだ範囲の拡大図である。
合成板材1を製造する際には、まず、接着剤等を用いて、積層合板6aを芯材4の前方の面に固定するとともに、積層合板6bを芯材4の後方の面に固定する。
このとき、積層合板6aは、単板10a及び単板10bを、積層合板6aを固定する側面、すなわち、芯材4の前方の面に沿って配列した状態で、芯材4の前方の面に固定する。また、積層合板6bは、単板10a及び単板10bを、積層合板6bを固定する側面、すなわち、芯材4の後方の面に沿って配列した状態で、芯材4の後方の面に固定する。
【0025】
また、積層合板6a及び積層合板6bを固定する位置を、それぞれ、上方の端部が芯材4の上面から突出せず、また、下方の端部が芯材4の下面から突出しない位置とする。
この状態では、積層合板6のうち、芯材4の側面と対向する面と反対側の面が芯材4の側面を覆うこととなる。これにより、積層合板6のうち、芯材4の側面と対向する面と反対側の面が、芯材4の側面のうち、目視可能な面を形成することとなる。
積層合板6a,6bを芯材4に固定した後、接着剤等を用いて、仕上げ材8aを芯材4の上面に固定するとともに、仕上げ材8bを芯材4の下面に固定する。
【0026】
このとき、突出部16を、芯材4の厚さ方向から見て、積層合板6aと対向するように積層合板6a側へ突出させた状態で、仕上げ材8aを芯材4の上面に取り付ける。これにより、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部が、芯材4と積層合板6aとの境界BLよりも積層合板6a側へ突出するとともに、積層合板6aの芯材4と対向する面と反対側の面と連続する。
上述したように、積層合板6a,6bを芯材4に固定し、さらに、仕上げ材8a,8bを芯材4に取り付けた後、必要に応じて、塗装や研磨等の表面処理を行い、合成板材1の製造作業を終了する。
【0027】
(第一実施形態の効果)
したがって、本実施形態の合成板材1であれば、芯材4の側面に固定する積層合板6を、複数の単板10を積層して形成している。また、複数の単板10を、積層合板6を固定する側面に沿って配列している。
このため、芯材4の側面に固定した積層合板6のうち、芯材4の側面と対向する面と反対側の面は、その外観を、複数の単板10による複数段の層によって形成することが可能となる。
その結果、各単板10の外観や形状等を選択することにより、合成板材1のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となるため、合成板材1を用いて形成した階段Sの視覚的な印象を多様化させることが可能となる。
【0028】
また、本実施形態の合成板材1であれば、芯材4の上面に取り付ける仕上げ材8aが、芯材4の厚さ方向から見て、積層合板6aと対向するように積層合板6a側へ突出する、突出部16を備えている。
このため、芯材4及び積層合板6aのうち、積層合板6aのみに垂直方向からの荷重が加わっても、この荷重を仕上げ材8aにより負担することが可能となるため、積層合板6aの芯材4からの剥離を防止することが可能となる。
その結果、合成板材1の耐久性を向上させることが可能となり、合成板材1を用いて形成した階段Sの安全性を向上させることが可能となる。
【0029】
さらに、本実施形態の合成板材1であれば、合成板材1を、階段Sを形成する階段段板として用い、積層合板6を固定する面を、芯材4の側面のうち前方の面及び後方の面、すなわち、目視可能な面としている。
その結果、合成板材1のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となるため、合成板材1を用いて形成した階段Sの視覚的な印象を多様化させることが可能となる。
また、本実施形態の合成板材1であれば、仕上げ材8aを取り付ける面を、芯材4の上面、すなわち、階段Sの通行者が踏む面としている。
【0030】
このため、芯材4及び積層合板6aのうち、積層合板6aのみに、階段Sの通行者による垂直方向からの荷重が加わっても、この荷重を仕上げ材8aにより負担することが可能となるため、積層合板6aの芯材4からの剥離を防止することが可能となる。
その結果、合成板材1の耐久性を向上させることが可能となり、合成板材1を用いて形成した階段Sの安全性を向上させることが可能となる。
【0031】
また、本実施形態の合成板材1であれば、合成板材1を階段段板として用いて形成する階段Sにおいて、上下方向で隣り合う合成板材1同士の間に、空隙部を形成している。
このため、特に階段Sを水平方向から見た場合、合成板材1の外観、具体的には、積層合板6が、階段S全体のうち、目視可能な面の大部分を占めることとなる。
その結果、各単板10の外観や形状等を選択することにより、合成板材1のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となるため、階段Sの視覚的な印象を大幅に多様化させることが可能となる。
【0032】
また、本実施形態の合成板材1であれば、仕上げ材8aの上面に、仕上げ材8aの上面において、階段Sの幅方向に延在する凹状溝12を形成している。
その結果、凹状溝12が、仕上げ材8aの上面を踏みながら階段Sを通行する通行者に対する滑り止めとなるため、合成板材1を用いて形成した階段Sの安全性を向上させることが可能となる。
【0033】
また、本実施形態の合成板材1であれば、仕上げ材8aの上面のうち、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部に、仕上げ材8aの上面と積層合板6aの芯材4と対向する面と反対側の面とを滑らかに連続させる、面取り部14を形成している。
その結果、仕上げ材8aに階段Sを通行する通行者が衝突しても、面取り部14によって、通行者が角部に接触することを防止可能となるため、合成板材1を用いて形成した階段Sの安全性を向上させることが可能となる。
【0034】
また、本実施形態の合成板材1を製造する製造方法であれば、複数の単板10を、芯材4の側面のうち、積層合板6を固定する側面に沿って配列した状態で、積層合板6を芯材4の側面のうち、積層合板6を固定する側面に固定する。その後、突出部16を、芯材4の厚さ方向から見て、積層合板6aと対向するように積層合板6a側へ突出させた状態で、仕上げ材8aを芯材4の上面に取り付ける。
その結果、仕上げ材8aを芯材4の上面に取り付けた後に、積層合板6aを芯材4の側面に固定する場合と比較して、仕上げ材8aの位置決めが容易となり、合成板材1の製造効率を向上させることが可能となる。
【0035】
(応用例)
なお、本実施形態の合成板材1では、単板10aと単板10bとの接合面を、上下方向に対して直交させたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、図5(a)中に示すように、単板10aと単板10bとの接合面を、上下方向に対して平行としてもよい。また、例えば、図5(b)中に示すように、単板10aと単板10bとの接合面を、上下方向に対して傾斜させてもよい。要は、単板10aと単板10bを、積層合板6a,6bを固定する側面に沿って配列すればよい。なお、図5は、本実施形態の合成板材1の変形例を示す図である。
【0036】
また、本実施形態の合成板材1では、合成板材1を、階段Sを形成する階段段板として用いたが、これに限定するものではなく、合成板材1を、例えば、ドアや棚等を形成する板材として用いてもよい。また、階段Sの構成が、上下方向で隣り合う合成板材1同士の間に空隙部を形成していない構成であってもよい。なお、合成板材1を、部屋のドアを形成する板材として用いる場合、例えば、第一の面を、部屋の内部側に配置する面とし、第二の面を、部屋の外側に配置する面としてもよい。
【0037】
さらに、本実施形態の合成板材1では、積層合板6を、芯材4の側面のうち、階段Sの前後方向における前方の面と後方の面に、それぞれ、固定したが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、積層合板6を、芯材4の側面のうち、前方の面のみに固定してもよい。要は、積層合板6を、芯材4の側面のうち、少なくとも一面に固定すればよい。
【0038】
また、本実施形態の合成板材1では、単板10aと単板10bを、互いに、色の異なる木材により形成したが、これに限定するものではない。すなわち、単板10aと単板10bを、互いに、同一色であるとともに、表面の模様が異なる木材により形成してもよい。要は、単板10aと単板10bを、互いに、外観の異なる木材により形成すればよい。
また、本実施形態の合成板材1では、仕上げ材8a,8bを、芯材4の上面及び下面に、それぞれ、取り付けたが、これに限定するものではなく、仕上げ材8を、例えば、芯材4の上面のみに取り付けてもよい。要は、仕上げ材8を取り付ける面は、芯材4の上面及び下面のうち少なくとも一方であればよい。
【0039】
また、本実施形態の合成板材1では、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部を、積層合板6aの芯材4と対向する面と反対側の面と連続させているが、これに限定するものではない。すなわち、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部を、芯材4と積層合板6aとの境界BLと、積層合板6aの芯材4と対向する面と反対側の面との間に配置してもよい。要は、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部を、芯材4と積層合板6aとの境界BLよりも、積層合板6a側へ突出させればよい。
【0040】
また、本実施形態の合成板材1では、仕上げ材8aの上面に凹状溝12を形成したが、これに限定するものではなく、仕上げ材8aの上面に凹状溝12を形成しない構成としてもよい。もっとも、本実施形態の合成板材1のように、仕上げ材8aの上面に凹状溝12を形成することが、凹状溝12が、仕上げ材8aの上面を踏みながら階段Sを通行する通行者に対する滑り止めとなるため、好適である。
【0041】
また、本実施形態の合成板材1では、仕上げ材8aの上面に面取り部14を形成したが、これに限定するものではなく、仕上げ材8aの上面に面取り部14を形成しない構成としてもよい。もっとも、本実施形態の合成板材1のように、仕上げ材8aの上面に面取り部14を形成することが、仕上げ材8aに階段Sを通行する通行者が衝突しても、面取り部14によって、通行者が角部に接触することを防止可能となるため、好適である。
【0042】
(第二実施形態)
(構成)
まず、図6を用いて、本実施形態の構成を説明する。
図6は、本実施形態の合成板材1を示す図である。なお、本実施形態の合成板材1は、積層合板6以外の構成は、上述した第一実施形態と同様であるため、積層合板6以外の構成については、その説明を省略する。
積層合板6は、上述した第一実施形態と同様、複数の単板10同士の接合面を、上下方向に対して直交させて形成してある。
複数の単板10は、それぞれ、上下方向の幅が異なる六種類の単板10a〜10fから構成してある。すなわち、積層合板6を形成する六種類の単板10a〜10fの形状は、芯材の側面のうち、積層合板6を固定する側面の側面視で、互いに異なる形状としてある。なお、図6中及び以下の説明では、六種類の単板10a〜10fを、上下方向の幅が最小の単板10を単板10aと記載し、上下方向の幅が大きくなるにつれて、単板10b〜10fの順に記載する。
【0043】
各単板10a〜10fは、接着剤等を用いて、隣り合う単板10同士を互いに接合させてある。
また、各単板10a〜10fは、単板10aを最上方に配置し、残りの単板10b〜10fは、上下方向の幅が大きくなるにつれて、下方へ配置している。すなわち、積層合板6のうち、芯材の側面と対向する面と反対側の面は、その外観が、隣り合う層の厚さが異なる六段の層となる。具体的には、上方から下方へ向かうにつれて、上下方向の幅が大きくなる六段の層となる。
【0044】
各単板10a〜10fの上下方向の幅は、それぞれ、階段の幅方向に沿って、均一としてある。
各単板10a〜10fのうち、隣り合う単板10同士は、互いに、色の異なる木材により形成してある。
各単板10a〜10fのうち、隣り合う単板10同士の接合面は、積層合板6を固定する面に対して直交させてある。具体的には、各単板10a〜10fのうち、隣り合う単板10同士の接合面は、上下方向に対して直交させてある。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0045】
(第二実施形態の効果)
したがって、本実施形態の合成板材1であれば、積層合板6を形成する六種類の単板10a〜10fの形状を、芯材の側面のうち、積層合板6を固定する側面の側面視で、互いに異なる形状としている。
このため、芯材の側面に固定した積層合板6のうち、芯材の側面と対向する面と反対側の面は、その外観を、上方から下方へ向かうにつれて、上下方向の幅が大きくなる六段の層によって形成することが可能となる。
その結果、各単板10a〜10fの形状を選択することにより、合成板材1のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となるため、合成板材1を用いて形成した階段の視覚的な印象を多様化させることが可能となる。
【0046】
(応用例)
なお、本実施形態の合成板材1では、各単板10a〜10fの上下方向の幅を、それぞれ、階段の幅方向に沿って、均一としたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、図7中に示すように、各単板10a〜10fの上下方向の幅を、それぞれ、階段の幅方向に沿って異なる幅としてもよい。この場合、積層合板6を、例えば、ホットプレス等の製造方法により形成する。要は、各単板10a〜10fの形状を、芯材の側面のうち、積層合板6を固定する側面の側面視で、互いに異なる形状とすればよい。なお、図7は、本実施形態の合成板材1の変形例を示す図である。
【0047】
また、本実施形態の合成板材1では、六種類の単板10a〜10fを、全て、芯材の側面のうち、積層合板6を固定する側面の側面視で、互いに異なる形状としたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、各単板10a〜10fのうち、単板10aと単板10bの二つのみを、芯材の側面のうち、積層合板6を固定する側面の側面視で、互いに異なる形状としてもよい。要は、積層合板6を形成する複数の単板10のうち少なくとも二つの形状を、芯材の側面のうち、積層合板6を固定する側面の側面視で、互いに異なる形状とすればよい。
【0048】
(第三実施形態)
(構成)
まず、図8を用いて、本実施形態の構成を説明する。
図8は、本実施形態の合成板材1を示す図である。なお、本実施形態の合成板材1は、積層合板6以外の構成は、上述した第一実施形態と同様であるため、積層合板6以外の構成については、その説明を省略する。
本実施形態の合成板材1では、芯材の側面のうち、積層合板6を固定する対象の側面に沿って三つの積層合板6A〜6Cを配置している。また、三つの積層合板6A〜6Cは、積層合板6を固定する側面の側面視で、階段の幅方向に沿って左右方向に配置してある。なお、図8中及び以下の説明では、三つの積層合板6A〜6Cのうち、図8中において左側に配置した積層合板6を積層合板6Aと記載し、積層合板6Aの右側に配置した積層合板6を積層合板6Bと記載する。また、積層合板6Bの右側に配置した積層合板6を積層合板6Cと記載する。
【0049】
各積層合板6は、それぞれ、複数の単板10を積層して形成してある。
複数の単板10は、二種類の単板10a,10bから構成してある。
単板10aと単板10bは、互いに、色の異なる木材により形成してある。なお、図8中及び以下の説明では、二種類の単板10a,10bのうち、色の薄い単板10を単板10aと記載し、色の濃い単板10を単板10bと記載する。
また、単板10aと単板10bは、交互に積層してあり、接着剤等を用いて、互いに接合させてある。
【0050】
積層合板6Aを形成する単板10aと単板10bとの配列方向は、積層合板6Bを形成する単板10aと単板10bとの配列方向、及び積層合板6Cを形成する単板10aと単板10bとの配列方向と、互いに傾斜させてある。具体的には、積層合板6Aを形成する単板10aと単板10bとの配列方向は、階段の幅方向に対して傾斜しているとともに、積層合板6Cを形成する単板10aと単板10bとの配列方向に対して直交している。また、積層合板6Bを形成する単板10aと単板10bとの配列方向は、階段の幅方向と平行としてある。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0051】
(第三実施形態の効果)
したがって、本実施形態の合成板材1であれば、積層合板6が備える各積層合板6A〜6Cを、それぞれ、単板10aと単板10bとを交互に積層して形成する。また、各積層合板6A〜6Cを、それぞれ、単板10aと単板10bとの配列方向を互いに傾斜させて配置する。
このため、芯材の側面に固定した積層合板6のうち、芯材の側面と対向する面と反対側の面は、その外観を、配列方向が異なる積層の組み合わせによって形成することが可能となる。
その結果、各積層合板6A〜6Cを構成する単板10aと単板10bとの配列方向を傾斜させる方向を選択することにより、合成板材1のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となる。これにより、合成板材1を用いて形成した階段の視覚的な印象を多様化させることが可能となる。
【0052】
(応用例)
なお、本実施形態の合成板材1では、各積層合板6A〜6Cを、積層合板6を固定する側面の側面視で、階段の幅方向に沿って左右に配置したが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、図9中に示すように、各積層合板6A〜6Jを、積層合板6を固定する側面の側面視で、階段の幅方向及び上下方向に沿って上下左右に配置してもよい。要は、積層合板6を、それぞれ、単板10aと単板10bとの配列方向を互いに傾斜させて配置すればよい。なお、図9は、本実施形態の合成板材1の変形例を示す図である。
【0053】
また、本実施形態の合成板材1では、三つの積層合板6A〜6Cを、全て、単板10aと単板10bとの配列方向を互いに傾斜させて配置したが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、各積層合板6A〜6Cのうち、積層合板6Aと積層合板6Bの二つのみを、単板10aと単板10bとの配列方向を互いに傾斜させて配置してもよい。要は、複数の積層合板6のうち少なくとも二つを、単板10aと単板10bとの配列方向を互いに傾斜させて配置すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第一実施形態で説明する合成板材を用いて形成した階段を示す図である。
【図2】図1のII線矢視図である。
【図3】本発明の合成板材を製造する製造方法を示す図である。
【図4】図3中に円IVで囲んだ範囲の拡大図である。
【図5】本発明の第一実施形態で説明した合成板材の変形例を示す図である。
【図6】本発明の第二実施形態で説明する合成板材を示す図である。
【図7】本発明の第二実施形態で説明した合成板材の変形例を示す図である。
【図8】本発明の第三実施形態で説明する合成板材を示す図である。
【図9】本発明の第三実施形態で説明した合成板材の変形例を示す図である。
【図10】従来例の合成板材を示す斜視図である。
【図11】図10中に円XIで囲んだ範囲の拡大図である。
【符号の説明】
【0055】
1 合成板材
2 段板支持部材
4 芯材
6 積層合板
8 仕上げ材
10 単板
12 凹状溝
14 面取り部
16 積層合板
18 本体部
20 補強材
S 階段
BL 芯材と積層合板との境界
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、階段を形成する階段段板等を構成する合成板材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅等の建築物内に設ける階段では、安全性を確保するために、階段の通行者が乗る階段段板が十分な強度を有する必要がある。このため、合成板材を用いて階段段板を構成する場合がある。このような合成板材としては、例えば、特許文献1に記載されているような合成板材が提案されている。
特許文献1に記載されている合成板材は、図10に示すように、本体部16と、仕上げ材8とを備えている。なお、図10は、従来例の合成板材1を示す斜視図である。
本体部16は、四つの積層合板6を四方枠組みして形成した枠体と、芯材4とを備えている。
【0003】
積層合板6は、複数の単板10を積層させて形成した積層合板であり、その形状を、断面長方形の角柱状としてある。そして、各積層合板6は、芯材4の側面に、それぞれ、接着等の手段を用いて固定してある。
各単板10同士の接合面は、図11中に示すように、上下方向へ平行にしてある。すなわち、複数の単板10同士の接合面は、芯材4の側面に対して平行としてある。なお、図11は、図10内に円XIで囲んだ範囲の拡大図である。また、図11中では、説明のために、積層合板6以外の図示を省略している。
芯材4は、インシュレーションボード等を用いて形成してあり、その形状を、板状としてある。
【0004】
仕上げ材8は、薄板状に形成してあり、接着剤を介して、芯材4の側面を挟んで対向する第一の面及び第二の面に接合してある。なお、以下の説明では、第一の面を、芯材4の上下方向上方の面(以下、「上面」と記載)とし、第二の面を、芯材4の上下方向下方の面(以下、「下面」と記載)とする。
なお、図10及び図11中に符号20で示す部材は、合成板材1の補強材であり、芯材4及び積層合板6に固定して、芯材4と積層合板6との間に配置してある。また、補強材18は、積層合板6と同様、複数の単板10を積層させて形成してあり、各単板10同士の接合面は、積層合板6と同様、上下方向へ平行にしてある。
【0005】
このような構成の合成板材1であれば、枠体を形成する積層合板6を、各単板10同士を上下方向へ平行に積層させて形成し、この枠体を芯材4の側面に固定して、合成板材1を構成している。このため、合成板材1が、垂直方向、すなわち、階段の通行者により荷重を受ける方向からの曲げ強度を、十分に有することとなり、合成板材1を用いて形成した設備の安全性を向上させることが可能となる。
【特許文献1】特開平10−299206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、合成板材を用いて階段段板を構成し、この階段段板を用いて階段を形成すると、芯材の側面のうち少なくとも一面が、目視可能な面となる。また、複数の階段段板を、体積の小さい鉄板等の構造支持部材で支持し、階段段板間に空隙部を形成した階段(スケルトン階段)では、特に階段を水平方向から見た場合、芯材の側面が、階段全体のうち目視可能な面の大部分を占める場合が多い。
このため、芯材の側面に固定した積層合板のうち、芯材の側面と対向する面と反対側の面は、その外観が、階段の視覚的な印象に大きな影響を与えることとなる。
【0007】
そして、特許文献1に記載されている構成の合成板材では、芯材の側面に固定する積層合板を、複数の単板同士の接合面を上下方向へ平行にして形成している。すなわち、複数の単板同士の接合面を、芯材の側面に対して平行としてある。したがって、芯材の側面には、複数の単板のうち、一枚の単板のみが目視可能に配置されることとなるため、この単板が有する複数の面のうち、一つの面の外観が、階段の視覚的な印象に大きな影響を与えることとなる。
【0008】
しかしながら、一枚の単板が有する一つの面の外観、すなわち、単板の木目等、任意のデザインに形成することが困難な外観では、合成板材のデザインに関する自由度が低下してしまい、階段の視覚的な印象が単純化するという問題が生じるおそれがある。
また、芯材は、荷重を支持する部材としての機能を優先する必要があるため、その外観を任意のデザインに形成することが困難である。したがって、芯材の側面に積層合板を固定せず、芯材の側面自体の外観により合成板材の外観を形成することは困難である。
本発明は、上述したような問題点に着目してなされたもので、合成板材のデザインに関する自由度の向上を可能とし、合成板材を用いて形成した設備の視覚的な印象を多様化させることが可能な、合成板材及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、板状の芯材と、複数の単板を積層して形成し、且つ前記芯材の側面のうち少なくとも一つの面に固定する板状の積層合板と、前記芯材の前記側面を挟んで対向する第一の面及び第二の面のうち少なくとも一方に取り付ける板状の仕上げ材と、を備える合成板材であって、
前記複数の単板を、前記積層合板を固定する前記側面に沿って配列し、
前記仕上げ材は、前記芯材の厚さ方向から見て前記積層合板と対向するように積層合板側へ突出する突出部を備えることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によると、芯材の側面のうち少なくとも一つの面に固定する積層合板を、複数の単板を積層して形成している。また、複数の単板を、積層合板を固定する側面に沿って配列している。
このため、芯材の側面に固定する積層合板のうち、芯材の側面と対向する面と反対側の面は、その外観を、複数の単板による複数段の層によって形成することが可能となる。これにより、各単板の外観や形状等を選択して、合成板材のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となる。
【0011】
また、本発明によると、芯材の第一の面及び第二の面のうち少なくとも一方に取り付ける仕上げ材が、芯材の厚さ方向から見て積層合板と対向するように積層合板側へ突出する、突出部を備えている。
このため、芯材及び積層合板のうち、積層合板のみに荷重が加わっても、この荷重を仕上げ材により負担することが可能となるため、積層合板の芯材からの剥離を防止することが可能となる。
【0012】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明であって、前記複数の単板のうち少なくとも二枚の形状を、前記積層合板を固定する前記側面の側面視で互いに異なる形状とすることを特徴とするものである。
本発明によると、積層合板を形成する複数の単板のうち少なくとも二つの形状を、積層合板を固定する側面の側面視で互いに異なる形状とする。
このため、芯材の側面に固定する積層合板のうち、芯材の側面と対向する面と反対側の面は、その外観を、複数段の層のうち少なくとも二つの形状が異なる複数段の層によって形成することが可能となる。これにより、各単板の形状を選択して、合成板材のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となる。
【0013】
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した発明であって、前記側面のうち少なくとも一つの面に複数の前記積層合板を配置し、
前記複数の積層合板のうち少なくとも二つを、前記複数の単板の配列方向を互いに傾斜させて配置することを特徴とするものである。
本発明によると、芯材の側面のうち少なくとも一つの面に、複数の積層合板を配置する。また、複数の積層合板のうち少なくとも二つを、複数の単板同士の配列方向を互いに傾斜させて配置する。
このため、芯材の側面に固定する積層合板のうち、芯材の側面と対向する面と反対側の面は、その外観を、方向が異なる積層の組み合わせによって形成することが可能となる。これにより、複数の単板の配列方向を互いに傾斜させる方向を選択して、合成板材のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となる。
【0014】
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1から3のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記合成板材を、階段を形成する階段段板とし、
前記積層合板を固定する面を、前記側面のうち少なくとも目視可能な面とし、
前記仕上げ材を取り付ける面を、前記第一の面及び前記第二の面のうち少なくとも前記階段の通行者が踏む面とすることを特徴とするものである。
本発明によると、合成板材を、階段を形成する階段段板として用い、積層合板を固定する面を、芯材の側面のうち少なくとも目視可能な面とする。
【0015】
このため、合成板材のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となり、合成板材を用いて形成する階段の視覚的な印象を多様化させることが可能となる。
また、本発明によると、仕上げ材を取り付ける面を、芯材の第一の面及び第二の面のうち、少なくとも階段の通行者が踏む面とする。
このため、芯材及び積層合板のうち積層合板のみに、階段の通行者による垂直方向からの荷重が加わっても、この荷重を仕上げ材により負担することが可能となるため、積層合板の芯材からの剥離を防止することが可能となる。
【0016】
次に、請求項5に記載した発明は、請求項1から4のうちいずれか1項に記載した合成板材の製造方法であって、
前記複数の単板を、前記積層合板を固定する前記側面に沿って配列した状態で積層合板を固定する側面に固定した後、前記仕上げ材を、前記突出部を前記芯材の厚さ方向から見て前記積層合板と対向するように積層合板側へ突出させた状態で、前記第一の面及び前記第二の面のうち少なくとも一方に取り付けることを特徴とするものである。
【0017】
本発明によると、合成板材を製造する際に、まず、複数の単板を、積層合板を固定する側面に沿って配列した状態で、この側面に積層合板を固定する。その後、仕上げ材を、突出部を芯材の厚さ方向から見て積層合板と対向するように積層合板側へ突出させた状態で、第一の面及び第二の面のうち少なくとも一方に取り付ける。
このため、仕上げ材を芯材の第一の面及び第二の面のうち少なくとも一方に取付けた後に、積層合板を芯材の側面に固定する場合と比較して、仕上げ材の位置決めが容易となり、合成板材の製造効率を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、積層合板を形成する複数の単板の外観や形状等を、それぞれ選択することにより、合成板材のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となる。このため、合成板材を用いて形成した設備の視覚的な印象を多様化させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
(構成)
まず、図1から図4を用いて、本実施形態の構成を説明する。
図1は、本実施形態の合成板材1を用いて形成した階段Sを示す図である。なお、図1中では、説明のために、階段Sの一部のみを示している。
図1中に示すように、階段Sは、合成板材1と、段板支持部材2とを備えている。
合成板材1は、階段Sを形成する階段段板を構成している。
段板支持部材2は、例えば、鉄鋼等の高い剛性を有する材料を用いて形成してあり、複数の合成板材1を、互いに上下方向へ間隔を空けて支持している。すなわち、上下方向で隣り合う合成板材1同士の間には、空隙部を形成している。段板支持部材2による合成板材1の支持は、ボルト等の締結手段(図示せず)を用いて、合成板材1の側面に段板支持部材2を固定して行う。
【0020】
図2は、図1のII線矢視図である。なお、図2中では、説明のために、合成板材1以外の図示を省略している。
図2中に示すように、合成板材1は、芯材4と、積層合板6と、仕上げ材8とを備えている。
芯材4は、例えば、インシュレーションボード等の木材を用いて形成してあり、その形状を、板状としてある。なお、芯材4を、木材以外の材料を用いて形成してもよい。また、芯材4を、合板としてもよい。
積層合板6は、接着剤等を用いて、芯材4の側面、具体的には、階段の前後方向における前方の面と後方の面に、それぞれ、固定してある。これにより、芯材4の側面のうち、前方の面と後方の面は、積層合板6を固定する固定面となる。なお、図2中及び以下の説明では、芯材4の前方の面に固定した積層合板6を積層合板6aと記載し、芯材4の後方の面に固定した積層合板6を積層合板6bと記載する。
【0021】
また、積層合板6a,6bは、それぞれ、複数の単板10を積層して形成してある。
複数の単板10は、二種類の単板10a,10bから構成してある。
単板10aと単板10bは、互いに、外観、具体的には色の異なる木材により形成してある。なお、単板10を、木材以外の材料を用いて形成してもよい。また、図2中及び以下の説明では、二種類の単板10a,10bのうち、色の薄い単板10を単板10aと記載し、単板10aよりも色の濃い単板10を単板10bと記載する。
また、単板10aと単板10bは、交互に積層してあり、接着剤等を用いて、互いに接合させてある。
また、単板10aと単板10bは、芯材4の側面のうち、積層合板6a,6bを固定する面、すなわち、階段の前後方向における前方の面と後方の面に沿って配列してある。具体的には、単板10aと単板10bとの接合面が、階段の上下方向に対して直交するように配列してある。
【0022】
仕上げ材8は、例えば、硬質の塩化ビニールを用いて板状に形成してあり、二枚の仕上げ材8a,8bから構成してある。なお、仕上げ材8を、硬質の塩化ビニール以外の材料を用いて形成してもよい。
仕上げ材8a,8bは、接着剤等を用いて、芯材4の側面を挟んで対向する第一の面及び第二の面に、それぞれ、取り付けてある。なお、以降の説明では、第一の面を、芯材4の上下方向上方の面(以下、「上面」と記載)とし、第二の面を、芯材4の上下方向下方の面(以下、「下面」と記載)とする。また、図2中及び以下の説明では、二枚の仕上げ材8a,8bのうち、芯材4の上面に取り付ける仕上げ材8を仕上げ材8aと記載し、芯材4の下面に取り付ける仕上げ材8を仕上げ材8bと記載する。
【0023】
仕上げ材8aは、芯材4の厚さ方向(図2中に示す上下方向)から見て積層合板6aと対向するように、積層合板6a側へ突出する突出部16を備えている。すなわち、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部は、芯材4と積層合板6aとの境界BLよりも、積層合板6a側へ突出している。
また、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部は、積層合板6aの芯材4と対向する面と反対側の面と連続させている。
仕上げ材8aの上面、すなわち、芯材4の上面と対向する面と反対側の面には、凹状溝12と面取り部14とを形成してある。
凹状溝12は、仕上げ材8aの上面において、階段の幅方向に延在している。
面取り部14は、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部に形成してあり、仕上げ材8aの上面と積層合板6aの芯材4と対向する面と反対側の面とを滑らかに連続させている。
【0024】
(製造方法)
次に、図1及び図2を参照しつつ、図3及び図4を用いて、上記の構成を備えた合成板材1を製造する製造方法について説明する。なお、図3は、本実施形態の合成板材1を製造する製造方法を示す図であり、図4は、図3中に円IVで囲んだ範囲の拡大図である。
合成板材1を製造する際には、まず、接着剤等を用いて、積層合板6aを芯材4の前方の面に固定するとともに、積層合板6bを芯材4の後方の面に固定する。
このとき、積層合板6aは、単板10a及び単板10bを、積層合板6aを固定する側面、すなわち、芯材4の前方の面に沿って配列した状態で、芯材4の前方の面に固定する。また、積層合板6bは、単板10a及び単板10bを、積層合板6bを固定する側面、すなわち、芯材4の後方の面に沿って配列した状態で、芯材4の後方の面に固定する。
【0025】
また、積層合板6a及び積層合板6bを固定する位置を、それぞれ、上方の端部が芯材4の上面から突出せず、また、下方の端部が芯材4の下面から突出しない位置とする。
この状態では、積層合板6のうち、芯材4の側面と対向する面と反対側の面が芯材4の側面を覆うこととなる。これにより、積層合板6のうち、芯材4の側面と対向する面と反対側の面が、芯材4の側面のうち、目視可能な面を形成することとなる。
積層合板6a,6bを芯材4に固定した後、接着剤等を用いて、仕上げ材8aを芯材4の上面に固定するとともに、仕上げ材8bを芯材4の下面に固定する。
【0026】
このとき、突出部16を、芯材4の厚さ方向から見て、積層合板6aと対向するように積層合板6a側へ突出させた状態で、仕上げ材8aを芯材4の上面に取り付ける。これにより、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部が、芯材4と積層合板6aとの境界BLよりも積層合板6a側へ突出するとともに、積層合板6aの芯材4と対向する面と反対側の面と連続する。
上述したように、積層合板6a,6bを芯材4に固定し、さらに、仕上げ材8a,8bを芯材4に取り付けた後、必要に応じて、塗装や研磨等の表面処理を行い、合成板材1の製造作業を終了する。
【0027】
(第一実施形態の効果)
したがって、本実施形態の合成板材1であれば、芯材4の側面に固定する積層合板6を、複数の単板10を積層して形成している。また、複数の単板10を、積層合板6を固定する側面に沿って配列している。
このため、芯材4の側面に固定した積層合板6のうち、芯材4の側面と対向する面と反対側の面は、その外観を、複数の単板10による複数段の層によって形成することが可能となる。
その結果、各単板10の外観や形状等を選択することにより、合成板材1のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となるため、合成板材1を用いて形成した階段Sの視覚的な印象を多様化させることが可能となる。
【0028】
また、本実施形態の合成板材1であれば、芯材4の上面に取り付ける仕上げ材8aが、芯材4の厚さ方向から見て、積層合板6aと対向するように積層合板6a側へ突出する、突出部16を備えている。
このため、芯材4及び積層合板6aのうち、積層合板6aのみに垂直方向からの荷重が加わっても、この荷重を仕上げ材8aにより負担することが可能となるため、積層合板6aの芯材4からの剥離を防止することが可能となる。
その結果、合成板材1の耐久性を向上させることが可能となり、合成板材1を用いて形成した階段Sの安全性を向上させることが可能となる。
【0029】
さらに、本実施形態の合成板材1であれば、合成板材1を、階段Sを形成する階段段板として用い、積層合板6を固定する面を、芯材4の側面のうち前方の面及び後方の面、すなわち、目視可能な面としている。
その結果、合成板材1のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となるため、合成板材1を用いて形成した階段Sの視覚的な印象を多様化させることが可能となる。
また、本実施形態の合成板材1であれば、仕上げ材8aを取り付ける面を、芯材4の上面、すなわち、階段Sの通行者が踏む面としている。
【0030】
このため、芯材4及び積層合板6aのうち、積層合板6aのみに、階段Sの通行者による垂直方向からの荷重が加わっても、この荷重を仕上げ材8aにより負担することが可能となるため、積層合板6aの芯材4からの剥離を防止することが可能となる。
その結果、合成板材1の耐久性を向上させることが可能となり、合成板材1を用いて形成した階段Sの安全性を向上させることが可能となる。
【0031】
また、本実施形態の合成板材1であれば、合成板材1を階段段板として用いて形成する階段Sにおいて、上下方向で隣り合う合成板材1同士の間に、空隙部を形成している。
このため、特に階段Sを水平方向から見た場合、合成板材1の外観、具体的には、積層合板6が、階段S全体のうち、目視可能な面の大部分を占めることとなる。
その結果、各単板10の外観や形状等を選択することにより、合成板材1のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となるため、階段Sの視覚的な印象を大幅に多様化させることが可能となる。
【0032】
また、本実施形態の合成板材1であれば、仕上げ材8aの上面に、仕上げ材8aの上面において、階段Sの幅方向に延在する凹状溝12を形成している。
その結果、凹状溝12が、仕上げ材8aの上面を踏みながら階段Sを通行する通行者に対する滑り止めとなるため、合成板材1を用いて形成した階段Sの安全性を向上させることが可能となる。
【0033】
また、本実施形態の合成板材1であれば、仕上げ材8aの上面のうち、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部に、仕上げ材8aの上面と積層合板6aの芯材4と対向する面と反対側の面とを滑らかに連続させる、面取り部14を形成している。
その結果、仕上げ材8aに階段Sを通行する通行者が衝突しても、面取り部14によって、通行者が角部に接触することを防止可能となるため、合成板材1を用いて形成した階段Sの安全性を向上させることが可能となる。
【0034】
また、本実施形態の合成板材1を製造する製造方法であれば、複数の単板10を、芯材4の側面のうち、積層合板6を固定する側面に沿って配列した状態で、積層合板6を芯材4の側面のうち、積層合板6を固定する側面に固定する。その後、突出部16を、芯材4の厚さ方向から見て、積層合板6aと対向するように積層合板6a側へ突出させた状態で、仕上げ材8aを芯材4の上面に取り付ける。
その結果、仕上げ材8aを芯材4の上面に取り付けた後に、積層合板6aを芯材4の側面に固定する場合と比較して、仕上げ材8aの位置決めが容易となり、合成板材1の製造効率を向上させることが可能となる。
【0035】
(応用例)
なお、本実施形態の合成板材1では、単板10aと単板10bとの接合面を、上下方向に対して直交させたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、図5(a)中に示すように、単板10aと単板10bとの接合面を、上下方向に対して平行としてもよい。また、例えば、図5(b)中に示すように、単板10aと単板10bとの接合面を、上下方向に対して傾斜させてもよい。要は、単板10aと単板10bを、積層合板6a,6bを固定する側面に沿って配列すればよい。なお、図5は、本実施形態の合成板材1の変形例を示す図である。
【0036】
また、本実施形態の合成板材1では、合成板材1を、階段Sを形成する階段段板として用いたが、これに限定するものではなく、合成板材1を、例えば、ドアや棚等を形成する板材として用いてもよい。また、階段Sの構成が、上下方向で隣り合う合成板材1同士の間に空隙部を形成していない構成であってもよい。なお、合成板材1を、部屋のドアを形成する板材として用いる場合、例えば、第一の面を、部屋の内部側に配置する面とし、第二の面を、部屋の外側に配置する面としてもよい。
【0037】
さらに、本実施形態の合成板材1では、積層合板6を、芯材4の側面のうち、階段Sの前後方向における前方の面と後方の面に、それぞれ、固定したが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、積層合板6を、芯材4の側面のうち、前方の面のみに固定してもよい。要は、積層合板6を、芯材4の側面のうち、少なくとも一面に固定すればよい。
【0038】
また、本実施形態の合成板材1では、単板10aと単板10bを、互いに、色の異なる木材により形成したが、これに限定するものではない。すなわち、単板10aと単板10bを、互いに、同一色であるとともに、表面の模様が異なる木材により形成してもよい。要は、単板10aと単板10bを、互いに、外観の異なる木材により形成すればよい。
また、本実施形態の合成板材1では、仕上げ材8a,8bを、芯材4の上面及び下面に、それぞれ、取り付けたが、これに限定するものではなく、仕上げ材8を、例えば、芯材4の上面のみに取り付けてもよい。要は、仕上げ材8を取り付ける面は、芯材4の上面及び下面のうち少なくとも一方であればよい。
【0039】
また、本実施形態の合成板材1では、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部を、積層合板6aの芯材4と対向する面と反対側の面と連続させているが、これに限定するものではない。すなわち、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部を、芯材4と積層合板6aとの境界BLと、積層合板6aの芯材4と対向する面と反対側の面との間に配置してもよい。要は、仕上げ材8aの積層合板6a側の端部を、芯材4と積層合板6aとの境界BLよりも、積層合板6a側へ突出させればよい。
【0040】
また、本実施形態の合成板材1では、仕上げ材8aの上面に凹状溝12を形成したが、これに限定するものではなく、仕上げ材8aの上面に凹状溝12を形成しない構成としてもよい。もっとも、本実施形態の合成板材1のように、仕上げ材8aの上面に凹状溝12を形成することが、凹状溝12が、仕上げ材8aの上面を踏みながら階段Sを通行する通行者に対する滑り止めとなるため、好適である。
【0041】
また、本実施形態の合成板材1では、仕上げ材8aの上面に面取り部14を形成したが、これに限定するものではなく、仕上げ材8aの上面に面取り部14を形成しない構成としてもよい。もっとも、本実施形態の合成板材1のように、仕上げ材8aの上面に面取り部14を形成することが、仕上げ材8aに階段Sを通行する通行者が衝突しても、面取り部14によって、通行者が角部に接触することを防止可能となるため、好適である。
【0042】
(第二実施形態)
(構成)
まず、図6を用いて、本実施形態の構成を説明する。
図6は、本実施形態の合成板材1を示す図である。なお、本実施形態の合成板材1は、積層合板6以外の構成は、上述した第一実施形態と同様であるため、積層合板6以外の構成については、その説明を省略する。
積層合板6は、上述した第一実施形態と同様、複数の単板10同士の接合面を、上下方向に対して直交させて形成してある。
複数の単板10は、それぞれ、上下方向の幅が異なる六種類の単板10a〜10fから構成してある。すなわち、積層合板6を形成する六種類の単板10a〜10fの形状は、芯材の側面のうち、積層合板6を固定する側面の側面視で、互いに異なる形状としてある。なお、図6中及び以下の説明では、六種類の単板10a〜10fを、上下方向の幅が最小の単板10を単板10aと記載し、上下方向の幅が大きくなるにつれて、単板10b〜10fの順に記載する。
【0043】
各単板10a〜10fは、接着剤等を用いて、隣り合う単板10同士を互いに接合させてある。
また、各単板10a〜10fは、単板10aを最上方に配置し、残りの単板10b〜10fは、上下方向の幅が大きくなるにつれて、下方へ配置している。すなわち、積層合板6のうち、芯材の側面と対向する面と反対側の面は、その外観が、隣り合う層の厚さが異なる六段の層となる。具体的には、上方から下方へ向かうにつれて、上下方向の幅が大きくなる六段の層となる。
【0044】
各単板10a〜10fの上下方向の幅は、それぞれ、階段の幅方向に沿って、均一としてある。
各単板10a〜10fのうち、隣り合う単板10同士は、互いに、色の異なる木材により形成してある。
各単板10a〜10fのうち、隣り合う単板10同士の接合面は、積層合板6を固定する面に対して直交させてある。具体的には、各単板10a〜10fのうち、隣り合う単板10同士の接合面は、上下方向に対して直交させてある。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0045】
(第二実施形態の効果)
したがって、本実施形態の合成板材1であれば、積層合板6を形成する六種類の単板10a〜10fの形状を、芯材の側面のうち、積層合板6を固定する側面の側面視で、互いに異なる形状としている。
このため、芯材の側面に固定した積層合板6のうち、芯材の側面と対向する面と反対側の面は、その外観を、上方から下方へ向かうにつれて、上下方向の幅が大きくなる六段の層によって形成することが可能となる。
その結果、各単板10a〜10fの形状を選択することにより、合成板材1のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となるため、合成板材1を用いて形成した階段の視覚的な印象を多様化させることが可能となる。
【0046】
(応用例)
なお、本実施形態の合成板材1では、各単板10a〜10fの上下方向の幅を、それぞれ、階段の幅方向に沿って、均一としたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、図7中に示すように、各単板10a〜10fの上下方向の幅を、それぞれ、階段の幅方向に沿って異なる幅としてもよい。この場合、積層合板6を、例えば、ホットプレス等の製造方法により形成する。要は、各単板10a〜10fの形状を、芯材の側面のうち、積層合板6を固定する側面の側面視で、互いに異なる形状とすればよい。なお、図7は、本実施形態の合成板材1の変形例を示す図である。
【0047】
また、本実施形態の合成板材1では、六種類の単板10a〜10fを、全て、芯材の側面のうち、積層合板6を固定する側面の側面視で、互いに異なる形状としたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、各単板10a〜10fのうち、単板10aと単板10bの二つのみを、芯材の側面のうち、積層合板6を固定する側面の側面視で、互いに異なる形状としてもよい。要は、積層合板6を形成する複数の単板10のうち少なくとも二つの形状を、芯材の側面のうち、積層合板6を固定する側面の側面視で、互いに異なる形状とすればよい。
【0048】
(第三実施形態)
(構成)
まず、図8を用いて、本実施形態の構成を説明する。
図8は、本実施形態の合成板材1を示す図である。なお、本実施形態の合成板材1は、積層合板6以外の構成は、上述した第一実施形態と同様であるため、積層合板6以外の構成については、その説明を省略する。
本実施形態の合成板材1では、芯材の側面のうち、積層合板6を固定する対象の側面に沿って三つの積層合板6A〜6Cを配置している。また、三つの積層合板6A〜6Cは、積層合板6を固定する側面の側面視で、階段の幅方向に沿って左右方向に配置してある。なお、図8中及び以下の説明では、三つの積層合板6A〜6Cのうち、図8中において左側に配置した積層合板6を積層合板6Aと記載し、積層合板6Aの右側に配置した積層合板6を積層合板6Bと記載する。また、積層合板6Bの右側に配置した積層合板6を積層合板6Cと記載する。
【0049】
各積層合板6は、それぞれ、複数の単板10を積層して形成してある。
複数の単板10は、二種類の単板10a,10bから構成してある。
単板10aと単板10bは、互いに、色の異なる木材により形成してある。なお、図8中及び以下の説明では、二種類の単板10a,10bのうち、色の薄い単板10を単板10aと記載し、色の濃い単板10を単板10bと記載する。
また、単板10aと単板10bは、交互に積層してあり、接着剤等を用いて、互いに接合させてある。
【0050】
積層合板6Aを形成する単板10aと単板10bとの配列方向は、積層合板6Bを形成する単板10aと単板10bとの配列方向、及び積層合板6Cを形成する単板10aと単板10bとの配列方向と、互いに傾斜させてある。具体的には、積層合板6Aを形成する単板10aと単板10bとの配列方向は、階段の幅方向に対して傾斜しているとともに、積層合板6Cを形成する単板10aと単板10bとの配列方向に対して直交している。また、積層合板6Bを形成する単板10aと単板10bとの配列方向は、階段の幅方向と平行としてある。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0051】
(第三実施形態の効果)
したがって、本実施形態の合成板材1であれば、積層合板6が備える各積層合板6A〜6Cを、それぞれ、単板10aと単板10bとを交互に積層して形成する。また、各積層合板6A〜6Cを、それぞれ、単板10aと単板10bとの配列方向を互いに傾斜させて配置する。
このため、芯材の側面に固定した積層合板6のうち、芯材の側面と対向する面と反対側の面は、その外観を、配列方向が異なる積層の組み合わせによって形成することが可能となる。
その結果、各積層合板6A〜6Cを構成する単板10aと単板10bとの配列方向を傾斜させる方向を選択することにより、合成板材1のデザインに関する自由度の向上を可能させることが可能となる。これにより、合成板材1を用いて形成した階段の視覚的な印象を多様化させることが可能となる。
【0052】
(応用例)
なお、本実施形態の合成板材1では、各積層合板6A〜6Cを、積層合板6を固定する側面の側面視で、階段の幅方向に沿って左右に配置したが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、図9中に示すように、各積層合板6A〜6Jを、積層合板6を固定する側面の側面視で、階段の幅方向及び上下方向に沿って上下左右に配置してもよい。要は、積層合板6を、それぞれ、単板10aと単板10bとの配列方向を互いに傾斜させて配置すればよい。なお、図9は、本実施形態の合成板材1の変形例を示す図である。
【0053】
また、本実施形態の合成板材1では、三つの積層合板6A〜6Cを、全て、単板10aと単板10bとの配列方向を互いに傾斜させて配置したが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、各積層合板6A〜6Cのうち、積層合板6Aと積層合板6Bの二つのみを、単板10aと単板10bとの配列方向を互いに傾斜させて配置してもよい。要は、複数の積層合板6のうち少なくとも二つを、単板10aと単板10bとの配列方向を互いに傾斜させて配置すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第一実施形態で説明する合成板材を用いて形成した階段を示す図である。
【図2】図1のII線矢視図である。
【図3】本発明の合成板材を製造する製造方法を示す図である。
【図4】図3中に円IVで囲んだ範囲の拡大図である。
【図5】本発明の第一実施形態で説明した合成板材の変形例を示す図である。
【図6】本発明の第二実施形態で説明する合成板材を示す図である。
【図7】本発明の第二実施形態で説明した合成板材の変形例を示す図である。
【図8】本発明の第三実施形態で説明する合成板材を示す図である。
【図9】本発明の第三実施形態で説明した合成板材の変形例を示す図である。
【図10】従来例の合成板材を示す斜視図である。
【図11】図10中に円XIで囲んだ範囲の拡大図である。
【符号の説明】
【0055】
1 合成板材
2 段板支持部材
4 芯材
6 積層合板
8 仕上げ材
10 単板
12 凹状溝
14 面取り部
16 積層合板
18 本体部
20 補強材
S 階段
BL 芯材と積層合板との境界
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の芯材と、複数の単板を積層して形成し、且つ前記芯材の側面のうち少なくとも一つの面に固定する板状の積層合板と、前記芯材の前記側面を挟んで対向する第一の面及び第二の面のうち少なくとも一方に取り付ける板状の仕上げ材と、を備える合成板材であって、
前記複数の単板を、前記積層合板を固定する前記側面に沿って配列し、
前記仕上げ材は、前記芯材の厚さ方向から見て前記積層合板と対向するように積層合板側へ突出する突出部を備えることを特徴とする合成板材。
【請求項2】
前記複数の単板のうち少なくとも二枚の形状を、前記積層合板を固定する前記側面の側面視で互いに異なる形状とすることを特徴とする請求項1に記載した合成板材。
【請求項3】
前記側面のうち少なくとも一つの面に複数の前記積層合板を配置し、
前記複数の積層合板のうち少なくとも二つを、前記複数の単板同士の配列方向を互いに傾斜させて配置することを特徴とする請求項1または2に記載した合成板材。
【請求項4】
前記合成板材を、階段を形成する階段段板とし、
前記積層合板を固定する面を、前記側面のうち少なくとも目視可能な面とし、
前記仕上げ材を取り付ける面を、前記第一の面及び前記第二の面のうち少なくとも前記階段の通行者が踏む面とすることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載した合成板材。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれか1項に記載した合成板材の製造方法であって、
前記複数の単板を前記積層合板を固定する前記側面に沿って配列した状態で積層合板を固定する側面に固定した後、前記仕上げ材を、前記突出部を前記芯材の厚さ方向から見て前記積層合板と対向するように積層合板側へ突出させた状態で、前記第一の面及び前記第二の面のうち少なくとも一方に取り付けることを特徴とする合成板材の製造方法。
【請求項1】
板状の芯材と、複数の単板を積層して形成し、且つ前記芯材の側面のうち少なくとも一つの面に固定する板状の積層合板と、前記芯材の前記側面を挟んで対向する第一の面及び第二の面のうち少なくとも一方に取り付ける板状の仕上げ材と、を備える合成板材であって、
前記複数の単板を、前記積層合板を固定する前記側面に沿って配列し、
前記仕上げ材は、前記芯材の厚さ方向から見て前記積層合板と対向するように積層合板側へ突出する突出部を備えることを特徴とする合成板材。
【請求項2】
前記複数の単板のうち少なくとも二枚の形状を、前記積層合板を固定する前記側面の側面視で互いに異なる形状とすることを特徴とする請求項1に記載した合成板材。
【請求項3】
前記側面のうち少なくとも一つの面に複数の前記積層合板を配置し、
前記複数の積層合板のうち少なくとも二つを、前記複数の単板同士の配列方向を互いに傾斜させて配置することを特徴とする請求項1または2に記載した合成板材。
【請求項4】
前記合成板材を、階段を形成する階段段板とし、
前記積層合板を固定する面を、前記側面のうち少なくとも目視可能な面とし、
前記仕上げ材を取り付ける面を、前記第一の面及び前記第二の面のうち少なくとも前記階段の通行者が踏む面とすることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載した合成板材。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれか1項に記載した合成板材の製造方法であって、
前記複数の単板を前記積層合板を固定する前記側面に沿って配列した状態で積層合板を固定する側面に固定した後、前記仕上げ材を、前記突出部を前記芯材の厚さ方向から見て前記積層合板と対向するように積層合板側へ突出させた状態で、前記第一の面及び前記第二の面のうち少なくとも一方に取り付けることを特徴とする合成板材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−191481(P2009−191481A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31737(P2008−31737)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】
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