説明

合成樹脂製のキャップ付き容器

【課題】容器本体の胴部が可撓性を有する薄肉の広口容器で、ネジ部同士の螺合が完了した状態で係止部同士が係合される合成樹脂製のキャップ付き容器について、胴部を強く握っても、口部が内方に撓んでキャップとの係合が外れ螺合が弛むことがないようにする。
【解決手段】容器本体2の口部23に、複数条のネジ山のうちで隣り合うネジ山の端部側同士が上下方向で二重に重なるように雄ネジ部24を形成し、この雄ネジ部24のネジ山が二重に重なる部分と更に上下方向で重なるように近接して、円周方向で間隔を置いた複数の凸条部25を係止部として形成し、容器本体2とキャップ3のネジ部同士の螺合が完了して係止部同士が係合された状態で、キャップ3の雌ネジ部のネジ山の一部分が容器本体2の雄ネジ部24の二重に重なるネジ山の間に挟持されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジ部同士の螺合により容器本体にキャップが装着される合成樹脂製のキャップ付き容器に関し、特に、容器本体の胴部が可撓性を有するような薄肉の広口容器で、容器本体の口部とキャップのスカート部のそれぞれのネジ部よりも下方に、係合のための係止部がそれぞれ形成されて、ネジ部同士の螺合が完了した状態で係止部同士が係合されるような合成樹脂製のキャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ネジ部同士の螺合により容器本体にキャップが装着される合成樹脂製のキャップ付き容器において、容器本体にキャップが装着された状態でネジ部同士の螺合が弛むのを防止することを目的として、ネジ部同士の螺合が完了した状態で係合されるような係止部を容器本体側とキャップ側にそれぞれ設けるということは、例えば下記の各特許文献等により従来から公知となっている。
【0003】
すなわち、下記の特許文献1には、「容器本体口頸部の上端付近の外周面に、口頸部下端付近のネジ部の谷の径よりもその外径が小さくなるように、外方に突出した係止用凸部を形成し、キャップの頂壁部下面に、スカート部とは間隔を置いた状態で、内方に突出した係合部分を下端に一体的に形成した係合部を垂設して、口頸部のネジ部とキャップのネジ部の螺合が完了された位置で、キャップの係合部下端の係合部分が、口頸部の係止用凸部の下側に接触して係合する」という構成が開示されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、「容器開口頭部にキャップ内筒部が螺合する容器のキャップ装置において、前記ネジ部の螺合終端位置の直前位置において容器開口頭部の乗り越え突起をキャップ内筒部の乗り越え弾性脚部がクリック急回転を伴って乗り越えるクリック機構を設ける一方、乗り越えクリック急回転終了時に、容器開口頭部の容器密封幅部とキャップ内筒部のキャップ密封幅部とが密封状態で接触する密封機構を設けた」という構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−24942号公報
【特許文献1】特開2000−109104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ネジ部同士の螺合により容器本体にキャップが装着される合成樹脂製のキャップ付き容器の一つとして、例えば、染毛剤用に使用される所謂シェイク容器(又はホイップ容器)と言われるものがある。この染毛剤用のシェイク容器では、例えば、染毛剤の1液と2液を容器内に収納してキャップを装着してから、容器の胴部を手で持ってシェイクする(上下に連続的に強く振る)ことで、染毛剤の1液と2液を充分に混合させ且つ空気も混合させて泡立てた後、キャップを取り外して染毛剤を手で取り出し、良く泡立った染毛剤により髪の毛を染める、というように使用している。
【0007】
そのような染毛剤用のシェイク容器では、消費者が容器の胴部を手で持ってシェイクする(染毛剤を泡立てるために連続的に30回以上の強い上下運動をする)際に、胴部が厚肉で硬かったりすると、シェイクの最中に容器が手から滑り落ちる虞があることから、容器の胴部を薄肉にして可撓性を持たせることで、胴部を手で持った際に内方へ少し変形して手に密着させるようにするのが良い。また、そのために容器本体やキャップの肉厚を全体的に薄くすることで、容器に使用する樹脂材料のコストを削減することもできる。
【0008】
そこで、本発明者は、容器本体およびキャップの材料として高密度ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂を使用し、充分な量の空気と液剤を容器内に収納できるように、キャップの頂部に上方に膨出するドーム部を形成すると共に、容器本体の底部から開口部までの高さを110〜160mmとし、キャップを装着するために開口部から下方へ10〜20mmの部分を短い円筒状の口部として、容器内に手を挿入して発泡した染毛剤を手に付着させて取り出し易くするために、容器本体の口部の外径を胴部上端の外径と略同じの広口(外径が60mm以上、好ましくは60〜130mm)とした染毛剤用のシェイク容器について、容器本体やキャップの肉厚を薄肉(肉厚が1mm以下、好ましくは0.7mm〜1.0mm)にして、容器に使用する樹脂材料の削減を図ると共に、容器の胴部に可撓性を持たせるようにした。
【0009】
一方、容器をシェイクすることで内容液を攪拌して泡立てる染毛剤用のシェイク容器では、シェイク中に容器本体とキャップとの螺合が弛むと、内容液が周りに飛び散ったりすることから、シェイク中に螺合が弛むのを確実に防止することが必要となる。そこで、上記のように容器を薄肉化して胴部に可撓性を持たせた染毛剤用のシェイク容器に対して、容器本体とキャップとの螺合が弛むことのないように、ネジ部同士の螺合が完了した状態で係止部同士を係合させるような構成を採用しようとした場合に、上記の各特許文献に記載されたような従来公知の構成をそのまま採用できないことが判った。
【0010】
すなわち、上記の特許文献1により開示された構成では、容器本体の口頸部を円錐台形状に形成する必要があり、また、容器本体の開口部(口頸部の上端)の外径をキャップの外径よりも小さくする必要があることから、そのような構成を、容器本体の口部が円筒状で、口部の外径が胴部上端の外径と略同じような大きさ(外径が60mm以上)となっている広口容器に対してそのまま適用することはできない。
【0011】
また、上記の特許文献2により開示された構成では、容器開口頭部の外径はキャップ(外筒部)の外径よりも小径であって、該文献中の「段落0031」に「ガラス容器や、金属容器のように、容器開口頭部の乗り越え突起が、ガラス、金属等の硬質の部材からなることにより、キャップ内筒部の乗り越え弾性脚部が弾性変形して円滑に乗り越え突起を乗り越えることができる」と記載されているように、容器開口頭部を硬質の部材からなるようにする必要があることから、そのような構成を、容器本体の口部が薄肉化(肉厚が1mm以下)された広口容器に対してそのまま適用することはできない。
【0012】
そこで、容器本体の口部の外径が胴部上端の外径と略同じ(外径が60mm以上)で、且つ、容器本体やキャップが薄肉化(肉厚が1mm以下)されて、容器本体の胴部が可撓性を有する薄肉で広口の合成樹脂製容器である染毛剤用のシェイク容器に対して、容器本体の上端開口部から下方に延びる円筒状の口部の外周面と、キャップの頂部外縁から下方に延びる円筒状のスカート部の内周面とに対して、多条のネジ部を形成すると共に、それぞれのネジ部よりも下方に凹溝と凸条による係止部を形成して、ネジ部同士の螺合が完了した状態で係止部同士が係合するようにした。
【0013】
ところが、そのような容器本体の胴部が可撓性を有する薄肉で広口の合成樹脂製容器では、容器本体の胴部を強く押圧すると、キャップが装着された口部の部分も内方に撓むことから、容器本体の胴部を強く握って容器をシェイクしたときに、胴部が大きく変形するのに影響を受けて口部が内方に撓むことで、口部の外周面に形成された係止部や雄ネジ部が内方に変形することとなり、その結果、口部とキャップとの係合が外れて螺合が弛むことで容器の中身が飛び出すような虞があるということが判った。
【0014】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、容器本体の胴部が可撓性を有する薄肉の広口容器で、ネジ部同士の螺合が完了した状態で係止部同士が係合されるような合成樹脂製のキャップ付き容器について、胴部を強く握っても、口部が内方に撓んでキャップとの係合が外れ螺合が弛むことがないようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記のような課題を解決するために、容器本体の上端開口部から下方に延びる口部の外周面に、複数条のネジ山からなる雄ネジ部が形成され、キャップの頂部外縁から下方に延びるスカート部の内周面に、複数条のネジ山からなる雌ネジ部が形成されていると共に、容器本体の口部とキャップのスカート部のそれぞれのネジ部よりも下方に、係合のための係止部がそれぞれ形成されていて、ネジ部同士の螺合が完了した状態で係止部同士が係合されるような合成樹脂製のキャップ付き容器において、
容器本体の口部と胴部と底部が薄肉に一体成形され、且つ、円筒状の口部の外径が胴部上端の外径と略同じような広口に形成されて、容器本体の胴部が可撓性を有しているのに対して、容器本体の口部には、複数条のネジ山のうちで隣り合うネジ山の端部側同士が上下方向で二重に重なるように雄ネジ部が形成され、この雄ネジ部のネジ山が二重に重なる部分と更に上下方向で重なるように近接して、円周方向で間隔を置いた複数の凸条部が係止部として形成され、容器本体とキャップのネジ部同士の螺合が完了して係止部同士が係合された状態で、キャップの雌ネジ部のネジ山の一部分が容器本体の雄ネジ部の二重に重なるネジ山の間に挟持されるように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
上記のような本発明の合成樹脂製のキャップ付き容器によれば、容器本体の円筒状の口部が、薄肉(肉厚が1mm以下、好ましくは0.7mm〜1.0mm)で広口(外径が60mm以上、好ましくは60〜130mm)に形成されていても、容器本体の口部では、雄ネジ部のネジ山が二重に重なる部分で剛性が高くなり、また、係止部として形成された凸条部の部分で剛性が高くなって、しかも、それらの部分は互いに上下方向で重なるように近接していることから、互いに補強し合うことで当該部分が一層強化された状態となっている。
【0017】
また、容器本体にキャップが装着された状態(ネジ部同士の螺合が完了して係止部同士が係合された状態)で、キャップの雌ネジ部のネジ山の一部分が容器本体の雄ネジ部の二重に重なるネジ山の間に挟持されていることから、雄ネジ部と雌ネジ部による螺合が弛み難くなっていると共に、雄ネジ部のネジ山同士が二重に重なる部分に対して更に雌ネジ部のネジ山が重なることで、当該部分の剛性が更に強化されたものとなっている。
【0018】
その結果、容器本体にキャップが装着された状態で、仮に、消費者が容器を強く握り過ぎて容器本体の胴部が大きく変形したとしても、容器本体の口部が薄肉であるにもかかわらず、口部の螺合部分や係合部分の剛性は充分に強化されていることで、胴部の変形による影響で口部の螺合部分や係合部分が内方に変形するようなことはなく、また、螺合も弛み難くなっていることから、容器本体の口部とキャップとの係合が外れて螺合が弛むことで容器の中身が飛び出すようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のキャップ付き容器の一実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明のキャップ付き容器で、容器本体とキャップのネジ部同士の螺合が完了して係止部同士が係合された状態を示す部分展開説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
容器本体の胴部が可撓性を有する薄肉の広口容器で、ネジ部同士の螺合が完了した状態で係止部同士が係合されるような合成樹脂製のキャップ付き容器について、胴部を強く握っても、口部が内方に撓んでキャップとの係合が外れ螺合が弛むことがないようにするという目的を、以下の実施例に具体的に示すように、容器本体の口部と胴部と底部が薄肉に一体成形され、且つ、円筒状の口部の外径が胴部上端の外径と略同じような広口に形成されて、容器本体の胴部が可撓性を有しているのに対して、容器本体の口部に、複数条のネジ山のうちで隣り合うネジ山の端部側同士が上下方向で二重に重なるように雄ネジ部を形成し、この雄ネジ部のネジ山が二重に重なる部分と更に上下方向で重なるように近接して、円周方向で間隔を置いた複数の凸条部を係止部として形成し、容器本体とキャップのネジ部同士の螺合が完了して係止部同士が係合された状態で、キャップの雌ネジ部のネジ山の一部分が容器本体の雄ネジ部の二重に重なるネジ山の間に挟持されるように構成する、ということで実現した。
【実施例】
【0021】
本実施例のキャップ付き容器は、染毛剤(1液と2液)を容器内に収納してキャップを装着してから、容器の胴部を手で持って30回以上シェイクする(上下に連続的に強く振る)ことで、染毛剤の1液と2液を充分に混合させ且つ空気も混合させて泡立てた後、キャップを取り外して染毛剤を手で取り出すような容器であって、キャップ付き容器を構成する容器本体とキャップは、何れも、高密度ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステル樹脂等の適宜の熱可塑性樹脂から形成されている。
【0022】
図1に示すように、本実施例のキャップ付き容器1は、容器本体2とキャップ3とからなり、容器本体2は、底部21と胴部22と口部23とが一体的に形成されたもので、胴部22は、開口部を大きくして内容物を取り出し易くし、且つ、手が小さくても握り易くするために、開口部側から底部側に向かって径が小さくなるテーパー壁面に形成されている。また、口部23は、上端の開口部から下方に10〜20mmの長さ(高さ)で延びる円筒状で、且つ、胴部22の上端の外径と略同じような外径の円筒状に形成されている。即ち、泡立てられた染毛剤を手で取り出すことを考慮して、口部23は、具体的には、外径が60mm以上(60〜130mm、好ましくは80〜110mmの範囲内)となるように形成されている
【0023】
容器本体2とキャップ3は、何れも、使用する樹脂材料を削減するために薄肉化されており、具体的には、使用する樹脂の材質によっても若干相違するが、ネジ部や係止部のような突出部分を除いて全体的に肉厚が1mm以下(容器の堅牢性をも考慮して、好ましくは、0.7〜1mmの範囲内)となるように薄肉化されていて、それにより、容器本体2の胴部22は、消費者が容器をシェイクするために手で握ったときにフィットするような可撓性を有している。
【0024】
そのような広口で薄肉化された容器本体の口部23の外周面には、容器本体2側のネジ部である雄ネジ部24が形成され、その下方に、容器本体2側の係止部である凸条部25が形成されている。また、本実施例では、容器本体2にキャップ3を装着した際に、キャップ3のスカート部33の下端を支えるために、口部23の下端に、口部23の外周面から外方に突出した厚肉部分となる環状の鍔部26が形成されている。
【0025】
容器本体2の口部23の外周面に形成される雄ネジ部24は、複数条(本実施例では8条)のネジ山からなるものであり、雄ネジ部24よりも下方に、係合のための係止部として、円周方向で間隔を置いて複数個(本実施例では8個)の凸条部25が形成されている。これに対して、キャップ3のスカート部33の内周面には、図示していないが、容器本体2の口部23の雄ネジ24と螺合するための複数条(本実施例では4条)のネジ山からなる雌ネジ部が形成されており、雌ネジよりも下方に、容器本体2の口部23の凸条部25を係合するための係止部として、本実施例では、円周方向に連続して延びる凹溝部(図2に示す「凹溝部35」)が形成されている。
【0026】
キャップ3は、ドーム部31と環状外周部32からなる頂部の外縁(環状外周部32の外縁)から下方に延びるように円筒状のスカート部33が一体的に形成されたもので、図示していないが、キャップ3の頂部(ドーム部31と環状外周部32)の内面側には、ドーム部31の下端と環状外周部32の内端の連結部から下方に垂下するように、円筒状のインナープラグ部が一体的に形成されていて、スカート部33の内側に間隔をおいて同心的に配置されたインナープラグ部の外周面は、容器本体2にキャップ3が装着された状態(両者の螺合が完了した状態)で、容器本体2の口部23の内周面と密接するようになっている。
【0027】
ところで、上記のような容器本体2とキャップ3とからなる本実施例のキャップ付き容器1において、容器本体2の口部23に形成された複数条のネジ山からなる雄ネジ部24では、図2に示すように、複数条のネジ山のうちで隣り合うネジ山24(a)、(b)、(c)同士が、一つのネジ山24(b)の長手方向で見て左端部側(上下方向で見て下端部側)と、左隣りのネジ山24(a)の長手方向で見て右端部側(上下方向で見て上端部側)とが、上下方向で二重に重なり、また、一つのネジ山24(b)の長手方向で見て右端部側(上下方向で見て上端部側)と、右隣りのネジ山24(c)の長手方向で見て左端部側(上下方向で見て下端部側)とが、上下方向で二重に重なるというように、複数条のネジ山のうちで隣り合うネジ山の端部側同士が上下方向で二重に重なるようになっている。
【0028】
そして、容器本体2とキャップ3のネジ部同士の螺合(本実施例では、雌ネジ部の4条のネジ山が、雄ネジ部の8条のネジ山のうちで一つおきの4条と螺合)が完了した状態では、キャップの雌ネジ部34のネジ山の一部分(長手方向で見て右端部側、上下方向で見て上端部側)は、容器本体の雄ネジ部24の二重に重なるネジ山24(b)、(c)の間に挟持されており、また、容器本体2の係止部である凸条部25は、キャップ3の係止部である凹溝部35に係合(嵌入)された状態で、雄ネジ部24のネジ山24(a)、(b)、(c)同士が二重に重なる部分とは更に上下方向で重なるように近接している(具体的には、ネジ山が二重に重なる部分から下方に2〜10mm離れている)。
【0029】
なお、隣り合うネジ山の端部側同士が重なる部分の一つの長さについては、短すぎると補強効果や弛み止め効果が不充分となり、一方、長すぎるとキャップ着脱時の抵抗力(雄ネジ部の重なったネジ山の間を通る雌ネジの摩擦抵抗)が大きくなることから、雄ネジ部24の一本のネジ山の長さに対して1/25〜1/3の範囲とするのが好ましい。また、複数個の凸条部25の一個の長さについては、凹溝部35に係合(嵌入)された状態での係合力の強さという点から、2mm以上の長さにすることが必要であり、一方、成形(例えば、射出成形や圧縮成形)後の型抜き性という点から、16mm以下の長さにすることが必要であるが、凹溝部35との係合(嵌入)のし易さを考慮すると、4〜10mmの範囲とするのが好ましい。
【0030】
上記のような本実施例のキャップ付き容器1によれば、容器本体2の円筒状の口部23が、肉厚が1mm以下の薄肉(好ましくは0.7mm〜1.0mmの範囲内)で、外径が60mm以上の広口(60〜130mm、好ましくは80〜110mmの範囲内)に形成されていても、容器本体2の口部23では、雄ネジ部24のネジ山が二重に重なる部分で剛性が高くなり、また、係止部として形成された凸条部25の部分で剛性が高くなって、しかも、それらの部分は互いに上下方向で重なるように近接していることから、互いに補強し合うことで当該部分が一層強化された状態となっている。
【0031】
また、容器本体2にキャップ3が装着された状態(ネジ部同士の螺合が完了して係止部同士が係合された状態)で、キャップ3の雌ネジ部34のネジ山の一部分(長手方向一端側)が容器本体2の雄ネジ部24の二重に重なるネジ山の間に挟持されていることから、雄ネジ部24と雌ネジ部34による螺合が弛み難くなっていると共に、雄ネジ部24のネジ山同士が二重に重なる部分に対して更に雌ネジ部34のネジ山が重なることで、当該部分の剛性が更に強化されたものとなっている。
【0032】
その結果、容器本体2にキャップ3が装着された状態で、仮に、消費者が容器を強く握り過ぎて容器本体2の胴部22が大きく変形したとしても、容器本体2の口部23が薄肉であるにもかかわらず、雄ネジ部24と雌ネジ部34とによる螺合部分や、凸条部25と凹溝部35とによる係合部分は、それぞれ剛性が充分に強化されていることで、それらの部分が胴部の変形による影響で内方に変形するようなことはなく、また、雄ネジ部24と雌ネジ部34とによる螺合が弛み難いことから、容器本体2の口部23とキャップ3との係合が外れて螺合が弛むことで容器の中身が飛び出すようなことはない。
【0033】
なお、本実施例では、容器本体2の口部23の下端に、キャップ3のスカート部33の下端を受けるための鍔部26が、口部23の外周面から外方に突出する環状の厚肉部分として形成されていることから、それにより容器本体2の口部23は一層強化されて、胴部の変形の影響を一層受け難いものとなっている。
【0034】
以上、本発明のキャップ付き容器の一実施例について説明したが、本発明は、上記のような実施例にのみ限定されるものではなく、例えば、容器本体側とキャップ側の各ネジ部の条数(ネジ山の数)や、容器本体側の係止部として形成される凸条部の数については、実施例に具体的に示したような数に限られるものではなく、また、容器本体側の係止部である凸条部に対応して形成されるキャップ側の係止部については、実施例に示したような円周方向に連続して延びる凹溝部に限らず、円周方向に延びる複数の凹溝部(環状に配置された不連続な凹溝部)や、凹溝ではなく、凸条部が乗り越えられる高さの環状突起のような適宜の形状であっても良い等、適宜に設計変更可能なものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0035】
1 キャップ付き容器
2 容器本体
3 キャップ
22 (容器本体の)胴部
23 (容器本体の)口部
24 雄ネジ部
25 凸条部
33 (キャップの)スカート部
34 雌ネジ部
35 凹溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の上端開口部から下方に延びる口部の外周面に、複数条のネジ山からなる雄ネジ部が形成され、キャップの頂部外縁から下方に延びるスカート部の内周面に、複数条のネジ山からなる雌ネジ部が形成されていると共に、容器本体の口部とキャップのスカート部のそれぞれのネジ部よりも下方に、係合のための係止部がそれぞれ形成されていて、ネジ部同士の螺合が完了した状態で係止部同士が係合されるような合成樹脂製のキャップ付き容器において、
容器本体の口部と胴部と底部が薄肉に一体成形され、且つ、円筒状の口部の外径が胴部上端の外径と略同じような広口に形成されて、容器本体の胴部が可撓性を有しているのに対して、容器本体の口部には、複数条のネジ山のうちで隣り合うネジ山の端部側同士が上下方向で二重に重なるように雄ネジ部が形成され、この雄ネジ部のネジ山が二重に重なる部分と更に上下方向で重なるように近接して、円周方向で間隔を置いた複数の凸条部が係止部として形成され、容器本体とキャップのネジ部同士の螺合が完了して係止部同士が係合された状態で、キャップの雌ネジ部のネジ山の一部分が容器本体の雄ネジ部の二重に重なるネジ山の間に挟持されるように構成されていることを特徴とする合成樹脂製のキャップ付き容器。
【請求項2】
容器本体の口部の下端に、キャップのスカート部の下端を受けるための鍔部が、口部の外周面から外方に突出する環状の厚肉部分として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製のキャップ付き容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−86875(P2012−86875A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235170(P2010−235170)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【出願人】(398072322)日硝実業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】