説明

吊り引戸の振止め装置

【課題】 床をバリアフリーにすることができる吊り引戸の振止め装置であって、取付の簡単な吊り引戸の振止め装置を提供する。
【解決手段】 吊り引戸1の下面側の、引戸開閉方向B中間部に取り付けられる係合部材10と、この係合部材10が開閉方向Bに移動自在に係合するように引戸開閉方向Bに沿って形成された被係合溝25を有していて吊り引戸1の出入り方向Cの横振れを規制し且つ吊り引戸1が開位置にあるときにおいて吊り引戸1の下方側に配置される振止め部材11と、開位置における吊り引戸1の閉方向D前端側の下方に配置されて床8に取付固定され且つ前記振止め部材11を引戸開閉方向Bに移動自在に支持する支持部材12とから振止め装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り引戸の振止め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水平方向に移動して建物の出入り口を開閉する引戸として、該引戸の上部が、出入り口を囲む開口枠の上部に開閉方向移動自在に支持された吊り引戸がある。
この吊り引戸にあっては、床面をバリアフリーにすることができるという利点がある反面、該吊り引戸の下部側をガイド及びサポートするものがないので、該吊り引戸の下部側が出入り口の開口面に直交する方向である出入り方向に振れ動くという欠点がある。
この吊り引戸の出入り方向の横振れを防止するのに、出入り口の床面にレールを取り付けると共に、吊り引戸を開位置から閉め方向に移動させた際に該レールに係合して吊り引戸の振れを防止する係合片を吊り引戸の下面側に設けるようにすると、床をバリアフリーにすることができないという問題が生じる。
【0003】
そこで、吊り引戸の出入り方向の横振れを防止し且つ床をバリアフリーにすることができる振止め装置として、出入り口の床の、吊り引戸の移動経路に、床面に対して上下方向に出退自在で且つ磁石を備えたガイド突起を吊り引戸の開閉方向に間隔をおいて設けると共に、吊り引戸の下面側に、前記ガイド突起に引戸開閉方向に移動自在に嵌合可能で且つガイド突起の磁石に吸着する材質によって形成された長溝レールを埋設して設け、吊り引戸を開けている時には、ガイド突起は、床面から下方に退避しており、吊り引戸を閉める際にあっては、長溝レールがガイド突起の上方に位置すると、ガイド突起が磁石の吸引作用によって床面から上方に突出して長溝レールに嵌合することにより、吊り引戸の振れを防止するように構成された吊り引戸の振止め装置がある(特許文献1参照)。
【0004】
前記ガイド突起は、支持部材内に収納されると共に該支持部材に上下動自在に支持されており、このガイド突起及び該ガイド突起を支持する支持部材からなるガイド装置を、床に形成した開口部を介して床面から下方に没入するように配置すると共に支持部材を床側に取付固定している。
【特許文献1】特開平3−180682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の吊り引戸の振止め装置にあっては、吊り引戸で開閉される出入り口の床をバリアフリーにするために、前記ガイド装置を、床に形成した開口部を介して床面から下方に没入するように配置すると共に支持部材を床側に取付固定しなければならず、前記ガイド装置の取り付けや床に形成される開口部の加工の手間が煩雑であるという問題がある。
また、長溝レールを吊り引戸の下面側に埋設するための掘り込み溝を開閉方向に長く形成しなければならず、吊り引戸に対する加工の手間が大きいという問題もある。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、吊り引戸で開閉される出入り口の床をバリアフリーにすることができる吊り引戸の振止め装置であって、取付の簡単な吊り引戸の振止め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、上部が開閉方向に移動自在に支持された吊り引戸の振止め装置であって、
吊り引戸の下面側の、引戸開閉方向中途部に取り付けられる係合部材と、この係合部材が係合する被係合溝を有していて吊り引戸の出入り方向の横振れを規制する振止め部材と、開位置における吊り引戸の閉方向前端側の下方に配置されて床に取付固定され且つ前記振止め部材を引戸開閉方向に移動自在に支持する支持部材とを備え、
前記被係合溝は係合部材が引戸開閉方向に移動自在に係合するように引戸開閉方向に沿って形成されており、吊り引戸が開位置にあるときにおいて振止め部材は吊り引戸の下方側に位置しており、
吊り引戸を閉める際には、係合部材が被係合溝内を引戸閉方向に移動すると共に該係合部材が被係合溝の引戸閉方向の端部に至ると振止め部材が吊り引戸と一体移動し、
吊り引戸を開ける際には、係合部材が被係合溝内を引戸開方向に移動すると共に該係合部材が被係合溝の引戸開方向の端部に至ると振止め部材が吊り引戸と一体移動するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、支持部材に、振止め部材を引戸開閉方向に移動自在に挿通させる挿通溝が形成されていて、支持部材と振止め部材と被係合溝とが引戸開閉方向に直交する水平方向でオーバーラップするように構成されているのがよい。
また、振止め部材は、支持部材の挿通溝に引戸開閉方向に移動自在に挿通されるレール部材と、このレール部材の引戸開閉方向の各端部にそれぞれ設けられた端具とから構成され、吊り引戸の開位置又は閉位置において端具が支持部材に接当することでレール部材の移動が規制されるように構成されているのがよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、支持部材は開位置における吊り引戸の閉方向前端側の下方に配置されて床に取付固定され、吊り引戸が開位置にあるときには、振止め部材は吊り引戸の下方側に位置しており、吊り引戸を閉める際に、係合部材が被係合溝内を引戸閉方向に移動すると共に該係合部材が被係合溝の引戸閉方向の端部に至ると振止め部材が吊り引戸と一体移動し、吊り引戸を開ける際に、係合部材が被係合溝内を引戸開方向に移動すると共に該係合部材が被係合溝の引戸開方向の端部に至ると振止め部材が吊り引戸と一体移動するように構成されているので、吊り引戸の出入り方向の横振れを防止でき且つ出入り口の床をバリアフリーにすることができ、しかも、従来の振止め装置のように、ガイド突起を支持する支持部材を床面より下側に収納するために床に加工をしたり、引戸の下面側に長溝レールを埋設するために掘り込み溝を引戸開閉方向に長く形成する必要がなく、取り付けが簡単である振止め装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図3及び図4において、1は建物の壁2等に形成された出入り口(開口部)3の開口面に沿う方向の水平方向(引戸開閉方向)Bに移動することで該出入り口3を開閉する引戸であり、この引戸1は、その上部が出入り口3を囲む開口枠4の上部を構成する上枠5に取り付けられたハンガーレール6に吊り車7等を介して引戸開閉方向Bに移動自在に支持されている吊り引戸によって構成されている。
この吊り引戸1の下端側と床8との間には、吊り引戸1の下部側が出入り口3の開口面に直交する方向である出入り方向(引戸開閉方向Bに直交する水平方向)Cに振れ動くのを防止する振止め装置9が設けられている。
【0010】
この振止め装置9は、図1及び図2に示すように、吊り引戸1の下面側に取り付けられる係合部材10と、この係合部材10に係合して吊り引戸1の出入り方向Cの横振れを規制する振止め部材11と、この振止め部材11を引戸開閉方向Bに移動自在に支持する支持部材12とを備えている。
前記係合部材10は、吊り引戸1の下面側の、引戸開閉方向B中間部(引戸開閉方向B中央部又は該中央部近傍)に取り付けられている。
なお、本実施の形態では、係合部材10は吊り引戸1の下面側の引戸開閉方向B中央部に取り付けられているが、該係合部材10は、吊り引戸1の下面側の、引戸開閉方向Bの中途部に設けられていればよい。
【0011】
この係合部材10は、吊り引戸1の下面側に取り付けられる取付装置13に設けられている。
この取付装置13は、下端側が開口したケース14と、このケース14内に下端開口から挿入されて上下方向移動自在に支持された支軸15とを備えており、係合部材10は前記支軸15の下端側に固定されている。
前記ケース14は、上端側が閉塞され下端が開口状とされた有底円筒状の本体14aと、この本体14aの下端側において径方向外方に延出するフランジ部14bとから構成されており、吊り引戸1の下面側に形成された掘込み部16に下方側から没入状に挿入されて吊り引戸1に埋設されると共に該吊り引戸1に固定されており、下面が吊り引戸1の下面と面一状とされている。
【0012】
このケース14内の下端側には上下方向の軸心を通する支持筒17が挿入されて固定され、前記支軸15は該支持筒17を上下方向移動自在に挿通しており、該支軸15の上端側には、支持筒17の上面側に接当することにより支軸15の抜止めを図る抜止め部材18が設けられ、この抜止め部材18とケース14内部の上面との間に圧縮コイルバネからなるバネ部材19が介装されていて、支軸15が下方に付勢されている。
係合部材10は、下部の径小部21と、この径小部21よりも径大な上部の径大部22とから上下方向の軸心を有する段付き円柱状に形成されており、ケース14の下方側に配置されていて吊り引戸1下面から下方に突出状とされていると共に支軸15を介してケース14側に上下動自在に支持されており、本実施の形態では、径大部22がケース14の下面側に接当することによりその上方移動が規制され、抜止め部材18が支持筒17の上面に接当することによりその下方移動が規制されるように構成されている。
【0013】
なお、前記係合部材10を、接着剤又はネジ等の固定手段によって吊り引戸1の下面側に固定するようにしてもよい。
振止め部材11は、引戸開閉方向Bに長い長尺に形成され、本実施の形態では、吊り引戸1の引戸開閉方向Bの幅の略半分の長さに形成されている。
この振止め部材11は、引戸開閉方向Bに長い長尺のレール部材23と、このレール部材23の長手方向の各端部(引戸開閉方向Bの各端部)にそれぞれ設けられた端具24A,24Bとから主構成されており、該振止め部材11の引戸出入り方向C中央部に、上方に開口状とされていて前記係合部材10が上方側から没入状に係合(嵌合)する被係合溝25が一方の端具24Aから他方の端具24Bにわたって形成されている。
【0014】
前記被係合溝25は、係合部材10の径小部21が嵌合する狭溝部26と、係合部材10の径大部22が嵌合する広溝部27とからなる段付き溝に形成されており、また、被係合溝25の長手方向端部、すなわち端具24A,24Bに形成されている部分は、円形状の係合部材10に略一致する円弧状に形成されている。
係合部材10は被係合溝25に嵌合した状態で、振止め部材11に対して引戸開閉方向Bに相対移動自在であり、且つ係合部材10の引戸出入り方向Cの位置移動が規制されるように構成されている。
【0015】
レール部材23の長手方向両側には、引戸出入り方向C一対の被取付部28が設けられていると共に、各端具24A,24Bには、前記一対の被取付部28が嵌め込まれる嵌合部29が形成されており、振止め部材11の長手方向外方側から端具24A,24Bの壁部を貫通して被取付部28に形成したねじ穴に螺合されるビス30によって端具24A,24Bがレール部材23に取付固定されている。
また、各端具24A,24Bは、レール部材23から引戸出入り方向C両側に突出する幅に形成されていると共に、下面がレール部材23の下面よりも下方に位置する厚さに形成されている。
【0016】
また、レール部材23の引戸出入り方向C両側の側面の上下方向略中央部には、嵌合溝31がレール部材23の長手方向一端から他端にわたって形成されている。
また、レール部材23の上面側の引戸出入り方向C両側には、上方及び引戸出入り方向C外方に開放状とされ且つ前記被係合溝25を挟むようにして設けられた案内溝35がレール部材23の長手方向一端から他端にわたって形成されていて、該レール部材23の、該案内溝35と被係合溝25の広溝部27との間で且つ端具24A,24B間に、引戸出入り方向C一対の案内壁32が設けられている。
【0017】
なお、端具24A,24Bの上面はレール部材23の案内壁32の上面と面一状とされており、案内壁32の長手方向の端面は、端具24A,24Bの、レール部材23長手方向の対向側の端面に接当している。
また、レール部材23の長手方向一端側(図例では、引戸閉め方向Dの端部側)には、支持部材12を取り付けるためのネジ33の頭部を挿通可能なネジ挿通穴34がレール部材23長手方向に一対形成されている。
支持部材12は、開位置(出入り口3を開放する位置、図4(a)の実線参照)における吊り引戸1の閉方向D前端側の下方に配置されていて、床8の上面に取付固定されており、吊り引戸1の出入り方向Cの厚さと略同様の幅(吊り引戸1の出入り方向Cの厚さと一致する幅、吊り引戸1の出入り方向Cの厚さよりも若干幅狭、又は、吊り引戸1の出入り方向Cの厚さよりも若干幅広)に形成されている。
【0018】
この支持部材12は、床8の上面に接当する底壁36と、この底壁36の引戸出入り方向C両側から上方に延出する一対の側壁37と、各側壁37の上端側から引戸出入り方向C内方に延出する一対の上壁38とから上方に開放状の断面C字形に形成されている。
この支持部材12の底壁36には、ネジ33の頭部が挿通不能なネジ挿通孔39が引戸開閉方向Bに一対形成され、このネジ挿通孔39を挿通して床8にねじ込まれるネジ33によって支持部材12が床8の上面に取付固定されている。
また、支持部材12の内部には、前記底壁36、側壁37及び上壁38によって囲まれた挿通溝40が形成され、該挿通溝40は引戸開閉方向B両側が開放状で且つ上壁38間が上方に開放状とされており、この挿通溝40に前記振止め部材11のレール部材23が引戸開閉方向Bに移動自在に挿通されており、上壁38の対向面にレール部材23の案内壁32が摺接している。
【0019】
また、支持部材12の各側壁37の内面には、振止め部材11のレール部材23の嵌合溝31に嵌合する嵌合突部41が引戸開閉方向Bの一端から他端にわたって形成されている。
引戸開閉方向Bから見た挿通溝40の形状は、レール部材23を長手方向に直交する方向で切断した断面の外形状に一致しており、支持部材12にレール部材23が引戸開閉方向Bに移動自在で且つ引戸出入り方向C及び上下方向に移動不能に支持されている。
また、支持部材12の引戸出入り方向Cの幅は、振止め部材11の端具24A,24Bの引戸出入り方向Cの幅と略同幅に形成されており、端具24A,24Bが支持部材12に接当することにより、レール部材23の引戸開閉方向Bの移動が規制されるように形成されている。
【0020】
レール部材23に設けられたネジ挿通穴34は、振止め部材11の引戸閉め方向Dの端部側に位置する端具24Aが支持部材12に接当した状態で、支持部材12のネジ挿通孔39に一致する位置に形成され、ネジ挿通穴34を通してネジ挿通孔39にネジ33を挿通することができるように構成されており、支持部材12に振止め部材11を組み付けた状態で、支持部材12を床8に取付固定できるように構成されている。
なお、レール部材23を引戸開閉方向Bに対して前後逆向きにして該レール部材23が支持部材12から引戸閉め方向Dに突出するように配置した状態で支持部材12を床8に取付固定するようにしてもよく、また、レール部材23に設けられる一対のネジ挿通穴34を、レール部材23の引戸開方向Eの端部側にも形成してもよい。
【0021】
また、本実施の形態では、支持部材12が床8に取り付けられた状態で、振止め部材11が床8の上面から上方に間隔をおいて配置されるように構成され、端具24A,24Bの下面と床8の上面との間に若干の隙間(例えば、1mm)が形成されるように構成されている。
また、前記振止め部材11は、引戸出入り方向Cから見て支持部材12とオーバーラップしていて、被係合溝25も引戸出入り方向Cから見て支持部材12とオーバーラップしており、これによって、支持部材12と振止め部材11との組付体を上下方向に薄型に形成でき、吊り引戸1の下面と床8の上面との間隔(隙間)を極力狭くすることができる。
【0022】
前記振止め部材11のレール部材23はアルミ等の金属製の押出型材によって形成され、振止め部材11の端具24A,24B及び支持部材12は樹脂によって形成される。
本実施の形態の振止め装置9にあっては、吊り引戸1が開位置にあるときにおいて、振止め部材11の引戸閉方向Dの端部側の端具24Aが支持部材12に接当しており、振止め部材11が吊り引戸1の下方側に位置しており、係合部材10が被係合溝25の引戸開方向Eの端部に位置している。
この状態から、吊り引戸1を閉位置(出入り口3を塞ぐ位置、図4(a)の仮想線参照)に移動させると、吊り引戸1が出入り口3の引戸開閉方向B中途部に移動するまでは係合部材10が被係合溝25内を引戸閉方向Dに移動して吊り引戸1の出入り方向Cの振れが規制され、係合部材10が被係合溝25の引戸閉方向Dの端部に至ると、その後は、吊り引戸1が閉位置に至るまで振止め部材11が引戸閉方向Dに吊り引戸1と一体移動して吊り引戸1の出入り方向Cの振れが規制される。
【0023】
また、本実施の形態にあっては、吊り引戸1を閉めた状態において、図4(b)に仮想線で示すように、振止め部材11の引戸開方向Eの端部側の端具24Bが支持部材12に接当するように構成されている。
なお、振止め部材11の引戸開方向Eの端部側の端具24Bが支持部材12に接当した状態で、吊り引戸1と、開口枠4の引戸閉め側の縦枠42との間に若干の隙間(例えば、1mm程度の隙間)ができるように、支持部材12の取付位置を調整することにより、吊り引戸1が引戸閉め側の縦枠42に接当する前に吊り引戸1の閉方向Dの移動を止めることができ、吊り引戸1が引戸閉め側の縦枠42に衝当することによる衝当音や、吊り引戸1が引戸閉め側の縦枠42に衝当した際の反動によって吊り引戸1が引戸開方向Eに移動するのを防止することができる。
【0024】
また、吊り引戸1を閉位置から開位置に移動させる場合は、吊り引戸1が出入り口3の引戸開閉方向B中途部に移動するまでは係合部材10が被係合溝25内を引戸開方向Eに移動して吊り引戸1の出入り方向Cの振れが規制され、係合部材10が被係合溝25の引戸開方向Eの端部に至ると、その後は、吊り引戸1が開位置に至るまで振止め部材11が引戸開方向Eに吊り引戸1と一体移動して吊り引戸1の出入り方向Cの振れが規制される。
なお、図1に仮想線で示すように、振止め部材11の引戸閉方向Dの端部、及び/又は、引戸開方向Eの端部に、床8の上面を転動して振止め部材11を支持する支持車43を設けてもよい。
【0025】
また、前記図1〜図4は、振止め装置9を片引戸の吊り引戸1に採用した場合を示しているが、図5(a)に示す引違い戸の吊り引戸1に前記振止め装置9を採用してもよく、この場合、一対の吊り引戸1のオーバーラップ部分44の範囲内に支持部材12等が収められる。
また、図5(b)に示すように、振止め部材11の引戸閉方向D端部側に、吊り引戸1が縦枠42に強く当たるのを緩和する緩衝部材46を設けてもよい。
この緩衝部材46は、図例のものでは、樹脂、バネ部材等の弾性帯板材から形成されていると共に被係合溝25の引戸閉方向Dの端部側に嵌め込まれ且つ引戸開閉方向B中途部に対向間隔Lが係合部材10の径小部21の直径よりも幅狭となる幅狭部47を有しており、吊り引戸1を引戸閉め方向Dに移動させる際に、係合部材10の径小部21が幅狭部47に係合することにより振止め部材11が吊り引戸1と一体移動し、引戸開方向Eの端部側の端具24Bが支持部材12に接当すると、その後は径小部21が緩衝部材46を弾性変形させながら幅狭部47を通過することにより吊り引戸1の移動速度を緩めて吊り引戸1が縦枠42に強く当たるのを緩和するように構成されている。
【0026】
なお、この緩衝部材46は引戸開方向E端部側にも設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】吊り引戸の下部及び振止め装置の側面図であって、(a)は全体側面図、(b)は断面図である。
【図2】(a)は振止め装置の支持部材及び振止め部材の全体平面図、(b)は振止め装置の支持部材及び振止め部材の平面断面図、(c)はA−A線矢示断面図である。
【図3】吊り引戸の正面図である。
【図4】(a)は吊り引戸と出入り口との関係を示す平面図、(b)は振止め部材及び支持部材と出入り口との関係を示す平面図である。
【図5】(a)は引違い戸の平面図、(b)は被係合溝に緩衝部材を設けた場合の平面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 吊り引戸
8 床
10 係合部材
11 振止め部材
12 支持部材
23 レール部材
24A 端具
24B 端具
25 被係合溝
B 引戸開閉方向
C 引戸出入り方向
D 引戸閉方向
E 引戸開方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開閉方向(B)に移動自在に支持された吊り引戸の振止め装置であって、
吊り引戸(1)の下面側の、引戸開閉方向(B)中途部に取り付けられる係合部材(10)と、この係合部材(10)が係合する被係合溝(25)を有していて吊り引戸(1)の出入り方向(C)の横振れを規制する振止め部材(11)と、開位置における吊り引戸(1)の閉方向(D)前端側の下方に配置されて床(8)に取付固定され且つ前記振止め部材(11)を引戸開閉方向(B)に移動自在に支持する支持部材(12)とを備え、
前記被係合溝(25)は係合部材(10)が引戸開閉方向(B)に移動自在に係合するように引戸開閉方向(B)に沿って形成されており、吊り引戸(1)が開位置にあるときにおいて振止め部材(11)は吊り引戸(1)の下方側に位置しており、
吊り引戸(1)を閉める際には、係合部材(10)が被係合溝(25)内を引戸閉方向(D)に移動すると共に該係合部材(10)が被係合溝(25)の引戸閉方向(D)の端部に至ると振止め部材(11)が吊り引戸(1)と一体移動し、
吊り引戸(1)を開ける際には、係合部材(10)が被係合溝(25)内を引戸開方向(E)に移動すると共に該係合部材(10)が被係合溝(25)の引戸開方向(E)の端部に至ると振止め部材(11)が吊り引戸(1)と一体移動するように構成されていることを特徴とする吊り引戸の振止め装置。
【請求項2】
支持部材(12)に、振止め部材(11)を引戸開閉方向(B)に移動自在に挿通させる挿通溝(40)が形成されていて、支持部材(12)と振止め部材(11)と被係合溝(25)とが引戸開閉方向(B)に直交する水平方向でオーバーラップするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の吊り引戸の振止め装置。
【請求項3】
振止め部材(11)は、支持部材(12)に形成された挿通溝(40)に引戸開閉方向(B)に移動自在に挿通されるレール部材(23)と、このレール部材(23)の引戸開閉方向(B)の各端部にそれぞれ設けられた端具(24A,24B)とから構成され、吊り引戸(1)の開位置又は閉位置において端具が(24A,24B)支持部材(12)に接当することでレール部材(23)の移動が規制されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吊り引戸の振止め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−107277(P2007−107277A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299227(P2005−299227)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(390018393)ヒント金属株式会社 (2)
【Fターム(参考)】