説明

吊下型防虫剤容器

【課題】使い方に応じて縦型と横型の選択を可能とした使い勝手のよい防虫剤容器を提供すること。
【解決手段】防虫剤を収納する偏平状の容器本体10とフック状の吊下体20とからなる吊下型防虫剤容器であって、容器本体10は縦方向と横方向の長さが異なる平面形状をしており、その隣接する縦方向端縁と横方向端縁に沿ってそれぞれの中央位置まで延設したスライド部11を有するとともに、吊下体20はフック部21とその根元に係止部22とを有しており、吊下体20の係止部22が容器本体10のスライド部11に沿って移動可能になっている。吊下体20の係止部22を容器本体10のスライド部11に沿って移動させることにより、吊下体20にぶら下がる容器本体10を縦向きと横向きとに自由に変えることができるため、洋服ダンスのタイプや使用状況に応じて縦型と横型の選択が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋服ダンス、クローゼット等に吊り下げて使用する衣料用等の防虫剤容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、衣料用等の防虫剤容器として、洋服ダンスやクローゼットの中に吊り下げて使用するタイプのものが広く知られている。この防虫剤容器は、プラスチック成形品であって、防虫剤を収納する容器本体の上部にフック状の吊下体を有しており、使用時に際しては、洋服ダンスやクローゼットの中に張設されたパイプ(ポール)にフック状の吊下体を引っ掛けて全体を吊り下げるようになっている。
【特許文献1】特開平9−205963号公報
【特許文献2】特開2003−267466号公報
【特許文献3】特開2001−275801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したような吊下型防虫剤容器は、偏平状の袋に入れた防虫剤を用いているので、それを収納するために全体形状が偏平かつ長方形となったものが多い。そして、洋服ダンスやクローゼットの中に吊り下げた際に、上下方向の寸法を短くして衣類の邪魔にならないようにするために、従来はいわゆる横型としたものが殆どである。ところが、洋服ダンスのタイプや使用状況によっては、縦長状態で吊り下げたい場合があるが、従来の吊下型防虫剤容器では、このような要望に応えることができない。縦型の吊下型防虫剤容器を販売することも考えられるが、アイテムが増えてしまい、店頭における設置スペースが増えることになって販売効率が悪くなるし、また縦長状態でしか使えなくなるといった問題が生じる。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使い方に応じて縦型と横型の選択を可能とした使い勝手のよい防虫剤容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の吊下型防虫剤容器は、防虫剤を収納する偏平状の容器本体とフック状の吊下体とからなる吊下型防虫剤容器であって、容器本体は縦方向と横方向の長さが異なる平面形状をしており、その隣接する縦方向端縁と横方向端縁に沿ってそれぞれの中央位置まで延設したスライド部を有するとともに、吊下体はフック部とその根元に係止部とを有しており、吊下体の係止部が容器本体のスライド部に沿って移動可能になっていることを特徴としている。
【0006】
そして、上記構成の吊下型防虫剤容器において、吊下体の係止部は、容器本体のスライド部の両端でそれぞれ固定可能になっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吊下型防虫剤容器は、吊下体の係止部を容器本体のスライド部に沿って移動させることにより、吊下体にぶら下がる容器本体を縦向きと横向きとに自由に変えることができるため、洋服ダンスのタイプや使用状況に応じて縦型と横型の選択が可能であり、従来のものに比べて使い勝手がよいものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明に係る吊下型防虫剤容器の一例を示す正面図であり、図2は図1の縦方向断面図である。
【0010】
図示の吊下型防虫剤容器Aは、防虫剤を収納する偏平状の容器本体10とフック状の吊下体20とからなり、これらはいずれもプラスチック成形品で構成されている。容器本体10は、長方形状をしており、その隣接する2辺に沿って各辺の中央位置まで延設したL字型の溝からなるスライド部11を有するとともに、吊下体20はフック部21とその根元に係止部22とを有している。
【0011】
吊下体20の係止部22は容器本体10のスライド部11に沿って移動可能になっている。すなわち、図示の防虫剤容器Aでは、スライド部11は、中空の容器本体10における表裏部材のそれぞれ同じ位置にある溝で構成されている。そして、フック部21の根元から二股状の係止部22が延設され、この係止部22の両先端には相対する突起部分23が設けられており、これらの突起部分23が容器本体10における表裏部材のそれぞれの溝に嵌合している。また、突起部分23の先端に抜止めと案内の役目を果たす傘状部分24が設けられている。
【0012】
また、容器本体10のスライド部11は両先端にそれぞれ外向きの拡大部分11a,11bを有している。そして、吊下体20の係止部22における突起部分23がこれらの拡大部分11a,11bに入り込むことにより、吊下体20の係止部22は容器本体10のスライド部11の両端でそれぞれ固定可能になっている。
【0013】
容器本体10には、中に収納した揮発性の防虫剤を効率良く揮散させるため、図示の如く表裏面に多数のスリット12が設けられている。容器本体10の中に防虫剤を収納するための構造は従来の任意のものと同様でよい。例えば、容器本体10を互いにヒンジで連設した表枠体と裏枠体とで構成し、広げた状態で防虫剤をセットした後、ヒンジのところで枠体同士を合わせるように折り曲げて嵌め合わせる構造としてもよいし、或いは、容器本体の端面から板状の防虫剤を差し込むようにしてもよい。そして、この容器本体10の収納構造に合わせてスライド部11を設計すればよい。
【0014】
図1及び図2に示す吊下型防虫剤容器Aを洋服ダンス、クローゼット等のパイプに吊り下げるに際しては、吊下体20の係止部22を容器本体10のスライド部11に沿って移動させることで、横型と縦型のいずれかにすることができる。すなわち、吊下体20の係止部22の突起部分23を長辺側の拡大部分11aに入り込ませると図3に示す如く横型となり、短辺側の拡大部分11bに入り込ませると図4に示す如く縦型となる。吊り下げた状態では、係止部22の突起部分23が拡大部分11a,11bに入り込んだ状態が維持されるので、洋服が当たるなどして多少の動きがあっても位置がずれるようなことはない。このように、上記の吊下型防虫剤容器Aは、使い方によって縦型にするか横型にするかを選択することができる。
【0015】
本発明の吊下型防虫剤容器は、上記した如くプラスチック成形品からなるが、具体的な素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ABS樹脂、ポリカーボネート等が用いられる。これらの中でも、ポリエチレン、ポリプロピレンが好適である。
【0016】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による吊下型防虫剤容器は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【0017】
例えば、容器本体は、縦方向と横方向の長さが異なる平面形状をしていさえすればどのような形状のものでよい。上記の例では長方形状のもので説明したが、楕円形状でもよいし、端縁に別のデザインが施されたような形状でもよい。そして、どのような平面形状の容器本体であっても、その隣接する縦方向端縁と横方向端縁に沿ってそれぞれの中央位置まで延設したスライド部を設けることは言うまでもない。
【0018】
また、容器本体のスライド部と吊下体の係止部の構造は、吊下体の係止部が容器本体のスライド部に沿って移動可能になっていさえすれば、上記したものに限らず、任意の構造を採りえる。因みに、図5に示すものは、図2に示した吊下型防虫剤容器において吊下体20の係止部22を簡単な構造としたものである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の吊下型防虫剤容器は、衣料用等の防虫剤を収納する用途の他に、除湿剤、脱臭剤、脱酸素剤等、その他の薬剤を収納して用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る吊下型防虫剤容器の一例を示す正面図である。
【図2】図1の縦方向断面図である。
【図3】図1に示した吊下型防虫剤容器を横型とした場合を示す正面図である。
【図4】図1に示した吊下型防虫剤容器を縦型とした場合を示す正面図である。
【図5】図2に示した吊下型防虫剤容器の変形例を示す縦方向断面図である。
【符号の説明】
【0021】
A 吊下型防虫剤容器
10 容器本体
11 スライド部
11a,11b 拡大部分
12 スリット
20 吊下体
21 フック部
22 係止部
23 突起部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防虫剤を収納する偏平状の容器本体とフック状の吊下体とからなる吊下型防虫剤容器であって、容器本体は縦方向と横方向の長さが異なる平面形状をしており、その隣接する縦方向端縁と横方向端縁に沿ってそれぞれの中央位置まで延設したスライド部を有するとともに、吊下体はフック部とその根元に係止部とを有しており、吊下体の係止部が容器本体のスライド部に沿って移動可能になっていることを特徴とする吊下型防虫剤容器。
【請求項2】
吊下体の係止部は、容器本体のスライド部の両端でそれぞれ固定可能になっていることを特徴とする吊下型防虫剤容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−97512(P2007−97512A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293201(P2005−293201)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】