説明

同時に二つの目盛を独立して指し示すことが可能な照明付ポインター

照明付ポインターは、内側のポインターを取り囲む外側のポインターを有する。外側のポインターは、基底部から延びており、ほぼ楕円形である。内側のポインターは、基底部から、外側のポインターの開口部の方に延びている。照明付ポインターは、外側と内側のポインターの両方を照明するために、単一の光源を使用する。内側のポインターは、英国式とメートル式速度目盛の両方を持つ速度計などの二連式目盛計器の容易な読み取りを提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2003年11月19日付けで出願した米国仮特許出願第60/523,329号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
この発明は、総じてインストルメントパネル用の照明付ポインターに関する。より詳しくは、この発明は、二つの目盛の独立した指示を提供する照明付ポインターに関する。
【背景技術】
【0003】
車両用インストルメントパネルは、運転者に情報を表示及び伝達するための幾つかの計器を有する。このインストルメントパネルは、タコメーター、バッテリーレベル表示器、油圧計などのその他の計器と共に、典型的には速度計を有する。典型的には、一つのポインターが、搭載されており、各計器上の固定した図形画像に対して相対的に動く。
【0004】
このポインターは、典型的には、二つの基本形式の中の一つであり、動かないポインターと動くポインターのどちかである。動かないポインターは、光を透過する出力シャフトの背後に配置された回路基板に搭載された光源によって照明される。光は、ポインターの方に反射、散乱されて、ポインターを照明する。動くポインターは、移動するポインターに固定された光源を有する。
【0005】
各構成において、ポインターは、本体部分を有し、この本体部分は、モーターと連結された第一の端部から延びて、その第二の端部が図形画像に対して相対的に動くものである。この本体部分は、典型的には、ポインターの見える部分全体に対して一定した照明を提供するように、光を遮ったり、光の方向を定めるように塗装されている。多くの例では、速度計は、マイル/時(MPH)の英国式目盛とキロメーター/時(Km/h)のメートル式目盛の両方を有する。英国式目盛は、通常ポインターの回転軸の周りに半径方向に配置されている。そして、メートル式目盛は、英国式目盛内に半径をより小さくした構成で配置されている。各目盛を読み取るために、単一のポインターが使用されている。そのような単一のポインターは、典型的には、より大きな英国式目盛にまで延びており、それに対応して、メートル式目盛の読みを遮っている。遮られ、覆われた読みは、ポインターによって提供される実際の読みに関係する読みである。従って、そのようなポインターは、メートル又は副目盛を正確に読み取るのを難しくしている。
【0006】
中央部分を刳り貫いたポインターを提供することは周知である。この中央部分は、より小さいメートル式目盛を見るために配備されているが、より大きな英国式又は主目盛に対して提供するための真のポインターが無いために、その精度は、限定されている。更に、従来の方法では、ポインターの刳り貫いた中央部分は、ポインターの先端部を照明するという難問を作り出している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のことから、同時に二つの目盛の正確に見える指示を提供する照明付ポインターを開発、設計することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
照明付ポインターの例は、主目盛を指し示すための第一のポインターと副目盛を指し示すための第二のポインターを有する。このポインターは、外側のポインターと内側のポインターを照明するために、光を反射する三つの面を有する。
【0009】
照明付ポインターは、第一のポインターと第二のポインターを有する。第一のポインターは、主目盛上の数値を指し示し、第二のポインターは、副目盛上の数値を指し示す。第一のポインターは、開口部を持つほぼ楕円形の形状をしている。この開口部は、副目盛を明確に見るために配備されている。第二のポインターは、副目盛上の数値を指し示すために、部分的に開口部の方に延びている。開口部と第二のポインターの組み合わせは、副目盛上に示された車両速度の正確に読み取れて見える指示を提供するものである。
【0010】
このポインター集合体は、第一のポインターと第二のポインターの両方を照明されている。第一のポインターと第二のポインターは、単一の光源を用いて、ほぼ均一に照明されている。光源からの光は、ポインター集合体内を伝播して、底面上で散乱される。基底部は、三つの傾斜した反射面を有し、これらの面の各々は、光源から放出された光の一部を、第一のポインターの第一と第二の脚部に沿ってかつそこを通るように、並びに第二のポインターを通るように反射する。これらの傾斜した反射面は、軸に対して角度を持っており、これらの反射面を通過する光の量を低減している。この結果、ポインター集合体内に反射される光を増大するとともに、ポインター集合体の全体的な輝度を望ましい形で増大させている。
【0011】
従って、この発明のポインター集合体は、同時に二つの目盛の正確で見える指示を提供する照明付ポインターを規定する。
【0012】
この発明のこれらの特徴及びその他の特徴は、以下の記述及び図面により、最も良く理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、速度計11を含むインストルメントパネル10を図示している。速度計11は、主目盛12と副目盛14を有する。これらの目盛は、画像ディスプレイ16上に表示されている。図示した例は、マイル/時(MPH)で車両の速度を示す英国単位系の主目盛12とキロメートル/時(Km/h)で車両速度を示すメートル単位系の副目盛14を有する。好ましくは、主目盛12と副目盛14の単位系は、既知の目盛とするか、或いは特定の用途に対して望まれる通り、その逆とすることができる。
【0014】
ポインター集合体18は、第一のポインター20と第二のポインター22を有する。第一のポインター20は、主目盛12上の数値を指し示し、第二のポインターは、副目盛14上の数値を指し示す。第一のポインター20は、開口部18を持つほぼ楕円形の形状をしている。この開口部28は、副目盛14が明確に見えるように配備されている。第二のポインター22は、副目盛14上の数値を指し示すために、部分的に開口部28の方に延びている。開口部28と第二のポインター22の組み合わせは、副目盛上に示された車両速度を正確に読み取れて見える指示を提供するものである。
【0015】
図2を参照して、ポインター集合体18は、シャフト32の頂部上に支持された基底部30を有する。第一の脚部24と第二の脚部26は、この基底部から延びて、半径方向に対して外側に突き出ている。第一の脚部24と第二の脚部26の各々は、先端部34で終端している。この先端部34は、画像ディスプレイ16上で読み取る数値に対する見える指示ポインターを提供する。第二のポインター22も、基底部の第一と第二の脚部24,26の間から開口部28の方に延びている。第二のポインター22は、第一のポインター20の先端部34と共通の軸35に沿って延びて、開口部内に配置された先端部36で終端している。第一のポインター20の基底部30から先端部34までの全長は、主目盛12の半径と一致する。更に、第二のポインター22の基底部30から先端部36までの長さは、副目盛14の半径と一致する。
【0016】
図3を参照して、ポインター集合体18は、第一のポインター20と第二のポインター22の両方を照明されている。第一のポインター20と第二のポインター22は、単一の光源42を用いて、ほぼ均一に照明されている。この実施例では、光源42は、プリント回路基板(PCB)40に搭載されている。シャフト32は、中空であり、光源42から放出された光に対する光ガイドとして機能する。ポインター集合体18の基底部は、内部への全反射を実現する三つの面を有する。光源42からの反射された光は、ポインター集合体18内を伝播して、底面上で散乱される。基底部30は、光を反射する面を有し、それらの面の中の一つを符号52で表示している。
【0017】
図4を参照して、基底部30は、三つの傾斜した反射面52,54,56を有する。これらの傾斜した反射面52,54,56の各々は、光源42から放出された光の一部を、第一のポインター20の第一と第二の脚部24,26に沿ってかつそこを通るように、並びに第二のポインター24を通るように反射する。各傾斜した反射面の長さ、形状及び角度は、光が、ポインター集合体の異なる部分を通る望ましい経路に沿う方向に向かうように決定される。この開示の利点に関して、当業者は、光を望ましい経路に沿う方向に向けるための光を反射する面の構成方法を理解している。
【0018】
更に、傾斜した反射面52,54,56は、軸64及びシャフト32を通って放出される光に対して角度を持っており、これらの反射面を通り抜ける光の部分を低減している。この結果、ポインター集合体内に反射される光が増大されて、ポインター集合体18のより低い散乱面に伝えられる光が望ましい形で増大されることとなる。これにより、ポインター集合体18の全体的な輝度が増大される結果となる。
【0019】
図5を参照して、第二のポインター22は、その断面を図示されており、底面48、頂上面46及び側面50を有する。この断面は、ほぼ長方形であり、底面48の幅62は、頂上面46の幅60よりも小さい。底面48は、光を散乱させて、次に上方の面46を通過させ、車両の運用者に見えるようにするために配備されている。ポインター22の表面の高さと幅の変化は、ポインター集合体18の照明特性を調節するために設けられている。そのような調節は、ポインター22の均一で等しい照明を実現するものである。第二のポインター22の断面を図示したが、望ましくは、第一のポインター20の第一と第二の脚部24,26に関する断面も同様であり、望ましい照明特性を提供するために調節することができる。
【0020】
図6を参照して、ポインター集合体18のより低い面48は、白い反射層44で覆われている。この白い反射層44は、照明が底面48を通過して漏れるのを防止するために、ポインター集合体18にコーティングされる。光は、白い反射層44から頂上面46の方に反射される。白い反射層44の使用は、光の効率を改善するものである。この開示の利点に関して、当業者は、この白い反射層44に対して、周知技術の材料を使用することができることを理解している。
【0021】
図7を参照して、別のポインター集合体70は、第一のポインター20と第二のポインター22を有する。ポインター集合体70は、軸64及びシャフト32から離れた三つの傾斜した反射面72,74,76を有する。これらの傾斜した反射面72,74,76は、シャフト32の軸上に無い位置に配置された光源からの光を反射するために、第一のポインター20と第二のポインター22に対して逆側に配置されている。三つの傾斜した反射面72,74,76は、第一と第二のポインター20,22に対して軸64の逆側に配置された光源42からの光を受けて、反射する。
【0022】
図8を参照して、別のポインター集合体80は、軸64に対して第一のポインター24と第二のポインター22と同じ側に、傾斜した反射面82,84,86を有する。このポインター集合体80の例では、光源42は、軸64に対して、傾斜した反射面82,84,86の位置と同じ側に配備されている。望ましくは、或る用途においては、軸上に配置されていない光源を利用して、それでもポインター集合体を通るほぼ均一な照明を提供することが望ましい。
【0023】
この発明の好ましい実施形態を開示したが、当業者は、一定の修正が、この発明の範囲内に含まれることを認識している。このため、この発明の真の範囲と内容を決定するためには、請求項を検討するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明による二つの目盛と照明付ポインターを含む速度計の平面図
【図2】この発明による照明付ポインターの斜視図
【図3】光源を備えた照明付ポインターの断面図
【図4】光を反射する面を含む照明付ポインターの拡大図
【図5】照明付ポインターの一部の断面図
【図6】照明付ポインターの底面図
【図7】この発明による別の照明付ポインターの斜視図
【図8】この発明による更に別の照明付ポインターの斜視図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
このシャフトの頂部上に支持された、光を反射する面を有する本体部分と、
この本体部分から延びる第一の脚部と第二の脚部を有する第一のポインターと、
この本体部分の第一と第二の脚部の間から延びる第二のポインターと、
を有するインストルメントパネル用の照明付ポインター集合体。
【請求項2】
当該の第一と第二の脚部が、当該の本体部分とは逆側のポインター部分で連結している請求項1に記載の集合体。
【請求項3】
当該の光を反射する面が、当該のポインター集合体の下方から放出される光を、当該の第一のポインターと第二のポインターの各々を通る方向に向ける請求項1に記載の集合体。
【請求項4】
当該の光を反射する面を三つ有する請求項3に記載の集合体。
【請求項5】
当該の光を反射する面が、当該のシャフトによって規定される回転軸に対して配置されている請求項3に記載の集合体。
【請求項6】
当該の光を反射する面が、当該のシャフトに対して、当該の第一のポインターと第二のポインターと同じ側に配置されている請求項3に記載の集合体。
【請求項7】
当該の光を反射する面が、当該のシャフトに対して、当該の第一のポインターと第二のポインターの逆側に配置されている請求項3に記載の集合体。
【請求項8】
当該の第一と第二の脚部が、頂上面と、底面と、これらの頂上面と底面との間の二つの側面とを有し、これらの頂上面と底面は、これらの側面間の幅に関して、この頂上面の幅の方が、この底面の幅よりも大きい幅を有する請求項1に記載の集合体。
【請求項9】
当該の底面の少なくとも一部に配置された反射層を有する請求項8に記載の集合体。
【請求項10】
本体部分と、
この本体部分から延びる、先端部と開口部を有する第一のポインターと、
この本体部分からこの開口部の方に延びる第二のポインターと、
を有する照明付ポインター集合体。
【請求項11】
当該の第一のポインターと第二のポインターに対して直交する、当該の本体部分から延びるシャフトを有し、このシャフトが、第一の軸の周りに回転する形で搭載可能である請求項10に記載の集合体。
【請求項12】
当該の本体部分が、当該の第一のポインターと第二のポインターの各々の方に光を向けるために、光を反射する面を有する請求項11に記載の集合体。
【請求項13】
当該のシャフトが、中空であり、当該の光を反射する面上に光を向ける請求項12に記載の集合体。
【請求項14】
当該の第一のポインターと第二のポインターの方に光を向ける、光を反射する面を三つ有する請求項12に記載の集合体。
【請求項15】
当該の第一のポインターは、第一の脚部と第二の脚部を有し、それらの脚部の一端は、当該の本体部分から延びて、それらの他端は、当該の頂上部で連結されており、当該の三つの光ガイドの中の二つが、これらの第一と第二の脚部の方に光を向ける請求項14に記載の集合体。
【請求項16】
当該の三つの光ガイドの中の一つが、当該の第二のポインターの方に光を反射する請求項15に記載の集合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−514145(P2007−514145A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541383(P2006−541383)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/038758
【国際公開番号】WO2005/052948
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(504469536)シーメンス・ブイディーオー・オートモーティブ・コーポレイション (16)
【Fターム(参考)】