説明

同期制御システム

【課題】マスタとスレーブを有し時計により同期する同期システムを得る。
【解決手段】生成部と送受信時間の計測部を有するマスタ11、第1折返し部を含みリセットを受信すると第1時刻に動作する第1スレーブ12、第2折返し部を含みリセットを受信すると第2時刻に動作する第2スレーブ13、第1信号を第1スレーブへ送信する第1ケーブル、それと等長で第1信号をマスタへ送信する第2ケーブル、第2信号を第2スレーブへ送信する第3ケーブル、それと等長で第2信号をマスタへ送信する第4ケーブルを備え、計測部は第1信号が第1信号折返し部を経て受信される時間の半分の第1時間と第2信号が第2信号折返し部を経て受信される時間の半分の第2時間を算出し、生成部は到達時間の中で第2時間が最長の場合は第2時刻を0に第2時間と第1時間の差を第1時刻に設定し、第1時間が最長の場合は第1時刻を0に第1時間と第2時間の差を第2時刻に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1台のマスタ装置と複数台のスレーブ装置とで構成され、装置に内蔵する計時手段を持つシステムにおいて、装置内の計時手段を調整して、その計時手段に基づいて装置間で同期をとって動作する同期制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の装置への信号の伝送においては、装置同士を接続するケーブル長や伝送経路の違いにより、送信先への到達時間がばらついてしまう伝送遅延が生じる。1台のマスタ装置と複数台のスレーブ装置とで構成され、装置に内蔵する計時手段を持つシステムにおいて、その計時手段を元に動作している装置は、伝送遅延は装置間の同期の精度に影響するため、伝送路の遅延、または装置内の計時手段を調整する精度の高い手法が必要となる。
【0003】
このため、従来では、ケーブルの特性から遅延時間を予測し、その値で遅延調整を行い、例えば特許文献1のように、実装基板や半導体パッケージの配線基板の信号伝搬の遅延時間を調整するための遅延回路および遅延時間調整方法として、送信先までの伝搬遅延を計測し、それを入力とする遅延調整装置が信号に付加する遅延を調整することで、到達時間を調整している。
【0004】
また、デバイス間の複数の信号経路を用いた信号の同時伝送において、例えば特許文献2に開示される技術においては、複数の伝送線路を用いて各伝送線路に信号を同時に伝送する場合に、回路の動作等に必要な本来の信号の伝送を一旦停止し、所定の同期サイクルを実行し、所定の時点を基準に各伝送線路間の信号の位相ずれを検出する。これにより、各伝送線路を経て受信された信号間に1周期を超える位相ずれがあっても、その位相ずれを適切に調整することで、同一周期のサイクルに信号スキューを合わせることにより、マスタデバイス、スレーブデバイスを含めたシステム全体を同期させている。また、遅延計測方法として、マスタデバイスからスレーブデバイスへの信号を折り返す技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−010913号公報
【特許文献2】特開平11−161600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術においては、実装基板や半導体パッケージの配線基板の信号伝搬の遅延時間調整に限定されていた。従って、ケーブルの特性のパラメータの一つとして、長さを求めなければならない。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の従来技術においては、マスタ装置とスレーブ装置の間の遅延調整を行うためにマスタからスレーブへの送信にスレーブ数の接続を必要とし、スレーブからマスタへの折り返しの経路についてもスレーブ数分のケーブルを備える必要があるため、マスタ側は、スレーブ数分の送信用端子と受信用端子を設けるため配線もスレーブ数に応じて増加する。そのため、配線が複雑になり、また部品が増えることによるシステム全体でのコスト増大という課題が発生する。
【0008】
また、遅延計測方法として示されている折り返し信号を使用して遅延時間を計測し、デバイス間の複数の信号を遅延調整して同時に信号を到着させるといった方法は知られているが、1台のマスタ装置と複数台のスレーブ装置で構成され、装置に内蔵する計時手段(時計)を持つシステムにおいて、装置内に内蔵する計時手段を合わせることで装置間の同期動作を実現する方法についての技術は示されていない。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、1台のマスタ装置と複数台のスレーブ装置で構成され、装置に内蔵する計時手段を持つシステムにおいて、装置内の計時手段を調整して、その計時手段に基づいて装置間で同期をとって動作する同期制御システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1同期用信号および第2同期用信号を送信する信号生成手段と、第1同期用信号および第2同期用信号の送信から受信までにかかる時間をそれぞれ計測する到達時間計測手段とを有するマスタ装置と、マスタ装置から第1同期用信号を受信すると当該第1同期用信号をマスタ装置に送信する第1信号折返し手段と、第1動作時刻を保持し信号生成手段からのリセット信号を受信すると0からカウントを開始する第1計時手段とを有し第1計時手段が第1動作時刻になると動作する第1スレーブ装置と、マスタ装置から第2同期用信号を受信すると当該第2同期用信号をマスタ装置に送信する第2信号折返し手段と、第2動作時刻を保持し信号生成手段からのリセット信号を受信すると0からカウントを開始する第2計時手段とを有し第2計時手段が第2動作時刻になると動作する第2スレーブ装置と、第1同期用信号およびリセット信号をマスタ装置から第1スレーブ装置へ送信する第1ケーブルと、第1ケーブルと長さおよび信号伝播速度が等しく第1同期用信号を第1スレーブ装置からマスタ装置へ送信する第2ケーブルと、第2同期用信号およびリセット信号をマスタ装置から第2スレーブ装置へ送信する第3ケーブルと、第3ケーブルと長さおよび信号伝播速度が等しく第2同期用信号を第2スレーブ装置からマスタ装置へ送信する第4ケーブルと、を備え、到達時間計測手段は、第1同期用信号が信号生成手段から送信されて、第1ケーブル、第1信号折返し手段、第2ケーブルを経て、到達時間計測手段に受信されるまでにかかる時間の半分である第1信号到達時間を算出し、第2同期用信号が信号生成手段から送信されて、第3ケーブル、第2信号折返し手段、第4ケーブルを経て、到達時間計測手段に受信されるまでにかかる時間の半分である第2信号到達時間を算出し、信号生成手段は、到達時間計測手段が算出したスレーブ装置までの信号到達時間の中で第2信号到達時間が最も長い場合は、第2動作時刻は0に設定し、第2信号到達時間から第1信号到達時間を引いた時間を第1動作時刻として設定し、到達時間計測手段が算出したスレーブ装置までの信号到達時間の中で第1信号到達時間が最も長い場合は、第1動作時刻は0に設定し、第1信号到達時間から第2信号到達時間を引いた時間を第2動作時刻として設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、1台のマスタ装置と複数台のスレーブ装置で構成された同期制御システムにおいて、装置間の精度の高い同期した動作を提供することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る同期制御システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係る同期を実現するための手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1における、信号到達時間の算出方法の例を説明した図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態2に係る同期制御システムの構成を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態3に係る同期制御システムの構成を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態3に係る同期を実現するための手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施の形態4に係る同期制御システムの構成を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態4に係る到達時間差を有して2つの同期信号送信用ケーブルそれぞれを介して同期信号が到着する様子を示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態4に係る同期を実現するための手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の実施の形態4に係る同期を実現するための動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる同期制御システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る同期制御システム10の構成を示す図である。同期制御システム10は、内部の装置間で同期をとって動作する構成となっている。同期システム10は、装置a(マスタ)11と、装置b(スレーブ)12および装置n(スレーブ)13を含む複数のスレーブ装置を備えている。装置a(マスタ)11と装置b(スレーブ)12は、装置a(マスタ)11から装置b(スレーブ)12へ信号を送信するためのケーブル61で接続され、さらに当該信号を受け取った装置b(スレーブ)12が装置a(マスタ)11へ信号を折り返すためのケーブル61と長さの等しいケーブル62で接続されている。
【0015】
また、装置a(マスタ)11と装置n(スレーブ)13は、装置a(マスタ)11から装置n(スレーブ)13へ信号を送信するためのケーブル63で接続され、さらに当該信号を受け取った装置n(スレーブ)13が装置a(マスタ)11へ信号を折り返すためのケーブル63と長さの等しいケーブル64で接続されている。
【0016】
なお、本実施の形態において、ケーブル61、62における信号の伝播速度は同じで、ケーブル63、64における信号の伝播速度は同じあるとする。
【0017】
装置a(マスタ)11は、装置b(スレーブ)12と装置n(スレーブ)13へ送信する信号を生成する信号生成手段31、各々のスレーブ装置b12および装置n13から折り返された信号の到達時間を計測する到達時間計測手段(装置b用)51および到達時間計測手段(装置n用)52、そして計時手段21(例えば時計、以下同様)を備えている。装置a(マスタ)11は、計時手段21に基づいて動作する装置である。
【0018】
装置b(スレーブ)12は、装置a(マスタ)11から送出された信号を装置a(マスタ)11へ折り返すための信号折り返し手段41と計時手段22を備えている。信号折り返し手段41はスイッチを備えており、受信した信号を折り返し返信することが可能である。装置b(スレーブ)12は、計時手段22に基づいて動作する装置である。装置n(スレーブ)13は、装置b(スレーブ)12と同様の構成であり、信号折り返し手段42と計時手段23を備えている。
【0019】
図2は、同期制御システム10における装置間の同期を実現するための手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って説明する。
【0020】
まず、装置a(マスタ)11は、信号生成手段31で生成した信号をケーブル61を介して装置b(スレーブ)12に送信する(ステップS81)。同時に、到達時間計測手段(装置b用)51で時間計測を開始する(ステップS82)。装置b(スレーブ)12は、装置a(マスタ)11から送信された信号を信号折返し手段41によりケーブル62を介して装置a(マスタ)11へ折り返す(ステップS83)。装置a(マスタ)11は、折り返された信号を到達時間計測手段51で受信すると、折り返し信号到達時間の計測を完了する(ステップS84)。
【0021】
ステップS81からS84までの手順を装置ごと、即ち装置b、装置nに対して同時に行う。なお、図1の構成では複数のスレーブ装置に対して同時計測が可能であるが、同時計測でなく順次計測を実行することも可能である。
【0022】
計測した結果に基づいて装置a(マスタ)11から装置b(スレーブ)12までの片道の時間である信号到達時間を算出する(ステップS85)。信号到達時間は、ケーブル61とケーブル62が等しい長さなので到達時間計測手段51による計測結果である往復にかかった折り返し信号到達時間の2分の1である。
【0023】
ここで、図3は信号到達時間の算出方法の例を示したものである。図3において、装置a(マスタ)11から信号を出力した時刻(信号送信時刻)をTaとする。装置b(スレーブ)12を経由して再び装置aに入力された時刻(折り返し信号到達時刻)をTabaとすると、装置a(マスタ)11から装置b(スレーブ)12までの片道の時間(信号到達時間)Tabは、折り返し信号到達時刻から信号送信時刻を引いた時間である折り返し信号到達時間の2分の1となる。即ち、(Taba−Ta)÷2で算出できる。同様に装置a(マスタ)11から装置n(スレーブ)13までの片道の時間(信号到達時間)Tanは、(Tana−Ta)÷2で算出できる。他にスレーブ装置がある場合も同様にして信号到達時間が算出可能である。
【0024】
ここで例えば、装置n(スレーブ)13への信号が複数のスレーブ装置の中で一番遅く到達すると仮定する。装置a(マスタ)11から装置n(スレーブ)13へ動作指令信号が到達した時に全てのスレーブ装置が同期して動作するようにするためには、例えば装置b(スレーブ)12の計時手段22は動作時刻として(Tan−Tab)をセットする(ステップS86)。他にスレーブ装置がある場合も同様にして当該装置内の計時手段に動作時刻をセットする。また、装置n(スレーブ)13の計時手段23は動作時刻として0をセットする(ステップS86)。装置a(マスタ)11から各スレーブ装置に対して動作時刻をセットする方法としては、例えば、装置b(スレーブ)12に対しては信号生成手段31から信号折返し手段41を介して計時手段22に上記した動作時刻(Tan−Tab)をセットし、装置n(スレーブ)13に対しては信号生成手段31から信号折返し手段42を介しての計時手段23に上記した動作時刻0をセットすればよい。
【0025】
各スレーブ装置毎の計時手段に動作時刻をセットした後、装置a(マスタ)11から各スレーブ装置毎の計時手段をリセットする(0にする)リセット信号をケーブル61および63に同時に送信する(ステップS87)。装置b(スレーブ)12はリセット信号が到達すると計時手段22が0にリセットされただちに0からカウントを開始し、セットされた動作時刻(Tan−Tab)になると動作する。他にスレーブ装置がある場合も同様である。最後にリセット信号が到達する装置n(スレーブ)13は、動作時刻が0にセットされているので、リセット信号が到達して計時手段23が0にリセットされるとただちに動作する(ステップS88)。これにより全てのスレーブ装置を同時に同期させて動作させることが可能となる。
【0026】
なお、装置a(マスタ)11は、さきに求めた装置a(マスタ)11から装置n(スレーブ)13までの信号到達時間Tanを動作時刻として計時手段21にセットしておく。上記リセット信号を送信すると同時に計時手段21を時刻0からカウントを開始させて動作時刻Tanで装置a(マスタ)11も動作するようにすれば、装置b(スレーブ)12および装置n(スレーブ)13と同時に動作させることが可能である。
【0027】
以上説明したように、本発明の実施の形態1にかかる同期制御システム10は、1台のマスタ装置と複数台のスレーブ装置で構成され、各装置に内蔵する時計を持つシステムであって、マスタ装置内に信号を生成する手段を備え、その信号を各々のスレーブ装置に送信する手段と、その信号をマスタ装置からスレーブ装置へ伝送する複数本のケーブルを備え、当該信号をスレーブ装置で折り返す手段と、当該信号をスレーブ装置からマスタ装置へ伝送する上記ケーブルとスレーブ装置毎にそれぞれ長さの等しい複数本のケーブルを備えている。マスタ装置は、上記信号を送信してからスレーブ装置を経由して、マスタ装置に戻ってくるまでの時間を計測する手段と、その計測時間から同期用信号がマスタ装置からスレーブ装置に到達する片道までの時間を求め、各々の時計に同期用信号の到達時間を考慮した動作時刻をセットする手段とを備え、マスタ装置からスレーブ装置へ伝送するケーブルを使用して、マスタ装置から同期用信号を送信して、各々のスレーブ装置内の時計を合わせて、マスタ装置と複数のスレーブ装置は各々が備える時計に基づいて同期して動作する。
【0028】
これによりマスタ装置と全てのスレーブ装置を同時に同期させて動作させることが可能となる。即ち、本実施の形態においては、1台のマスタ装置と複数台のスレーブ装置で構成されたシステムにおいて、信号の到達時間を計測するときに、マスタ装置に到達時間の計測と算出を任せ、マスタ装置の時計とずれた時計を持つスレーブ装置で受信処理をしないことで、精度の高い到達時間の計測が可能になる。この結果、装置間の同期した動作を提供することが可能となる。
【0029】
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2に係る同期制御システム110の構成を示す図である。実施の形態2に係る同期制御システム110は、実施形態1に係る同期制御システム10において、装置a(マスタ)11から信号を送信するケーブルがケーブル61および63と複数本であったものをバス接続構成による1本のケーブルであるケーブル161に変更し、装置間で同期をとって動作する構成となっている。
【0030】
同期制御システム110は、装置a(マスタ)111と、装置b(スレーブ)112および装置n(スレーブ)113を含む複数のスレーブ装置を備えている。装置a(マスタ)111と装置b(スレーブ)112は、装置a(マスタ)111から装置b(スレーブ)112および装置n(スレーブ)113へ信号を送信するためバス接続構成にしたケーブル161で接続され、さらに装置a(マスタ)111から当該信号を受け取った装置b(スレーブ)112が装置a(マスタ)111へ信号を折り返すために、ケーブル161の装置a(マスタ)111−装置b(スレーブ)112間の長さと長さが等しいケーブル162で接続されている。
【0031】
また、装置a(マスタ)111と装置n(スレーブ)113は、装置a(マスタ)111から装置b(スレーブ)112および装置n(スレーブ)113へ信号を送信するためバス接続構成にしたケーブル161で接続され、さらに装置a(マスタ)111から当該信号を受け取った装置n(スレーブ)113が装置a(マスタ)111へ信号を折り返すために、ケーブル161の装置a(マスタ)111−装置n(スレーブ)113間の長さと長さが等しいケーブル164で接続されている。
【0032】
なお、本実施の形態において、ケーブル161、162、164における信号の伝播速度は全て同じであるとする。
【0033】
実施の形態1と同様に、装置a(マスタ)111は、装置b(スレーブ)112と装置n(スレーブ)113へ送信する信号を生成する信号生成手段131、各々のスレーブ装置b112および装置n113から折り返された信号の到達時間を計測する到達時間計測手段(装置b用)151および到達時間計測手段(装置n用)152、そして計時手段121を備えている。装置a(マスタ)111は、計時手段121に基づいて動作する装置である。
【0034】
またスレーブ装置についても実施の形態1と同様に、装置b(スレーブ)112は、装置a(マスタ)111から送出された信号を装置a(マスタ)111へ折り返すための信号折り返し手段141と計時手段122を備えている。信号折り返し手段141はスイッチを備えており、受信した信号を折り返し返信することが可能である。装置b(スレーブ)112は、計時手段122に基づいて動作する装置である。装置n(スレーブ)113は、装置b(スレーブ)112と同様の構成であり、信号折り返し手段142と計時手段123を備えている。
【0035】
同期制御システム110におけるマスタ−スレーブ装置間の同期を実現するための手順は、図2に示したフローチャートと同じであるが、図2のステップS86における計時手段の動作時刻のセット方法が実施の形態1とは異なる。従って、ステップS86の動作のみ以下に説明する。
【0036】
本実施の形態においては、装置a(マスタ)111から各スレーブ装置の計時手段にセットする動作時刻をバス接続構成にしたケーブル161を用いて送信する時、各動作時刻は当該動作時刻が設定されるべきスレーブ装置を含めたすべてのスレーブ装置に送信されてしまう。従って、ケーブル161を介して送信された各動作時刻をスレーブ装置側で識別しなければならない。そのため、各動作時刻に、当該動作時刻がセットされるべき計時手段を備えたスレーブ装置を識別する信号も同時に付加し、スレーブ装置側で自分宛の動作時刻か否かを判別し、自分宛であれば自らの計時手段に当該動作時刻をセットし、他のスレーブ装置宛であれば無視する。これにより全てのスレーブ装置を同時に同期させて動作させることが可能となる。さらに、実施の形態1と同様に装置a(マスタ)111を、全てのスレーブ装置を同時に同期させて動作させることも可能である。
【0037】
以上説明したように、本発明の実施の形態2にかかる同期制御システム110は、1台のマスタ装置と複数台のスレーブ装置で構成され、各装置に内蔵する時計を持つシステムであって、マスタ装置内に信号を生成する手段を備え、その信号を各々のスレーブ装置に送信する手段と、その信号をマスタ装置からスレーブ装置へ伝送するバス接続構成による1本のケーブルを備えている。各々のスレーブ装置はこのケーブルにバス接続され、当該信号をスレーブ装置で折り返す手段と、当該信号をスレーブ装置からマスタ装置へ伝送する上記バス接続したケーブルのマスタ装置と当該スレーブ装置との間の長さと長さの等しいスレーブ装置分の複数本のケーブルを備えている。マスタ装置は、上記信号を送信してからスレーブ装置を経由して、マスタ装置に戻ってくるまでの時間を計測する手段と、その計測時間から同期用信号がマスタ装置からスレーブ装置に到達する片道までの時間を求め、各々の時計に同期用信号の到達時間を考慮した動作時間をセットする手段とを備え、マスタ装置からスレーブ装置へ伝送するケーブルを使用して、マスタ装置から同期用信号を各スレーブ装置が自分宛か否かが判別できるような識別信号を付加して送信して、各々のスレーブ装置内の時計を合わせて、マスタ装置と複数のスレーブ装置は各々が備える時計に基づいて同期して動作することを特徴とする。
【0038】
これにより、スレーブ装置からマスタ装置への経路については、スレーブ装置分のケーブル本数となるが、マスタ装置からスレーブ装置へは、1本のケーブルによる構成となるため、配線が簡素化され、部品点数が増加するのを抑えた上で、マスタ装置および全てのスレーブ装置を同時に同期させて動作させることが可能となる。
【0039】
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3に係る同期制御システム210の構成を示す図である。実施の形態3に係る同期制御システム210は、実施形態1に係る同期制御システム10において、スレーブ装置からの折り返し信号を送信するケーブルがケーブル62および64と複数本であったものをバス接続構成による1本のケーブルであるケーブル262とし、装置間で同期をとって動作する構成となっている。
【0040】
同期制御システム210は、装置a(マスタ)211と、装置b(スレーブ)212および装置n(スレーブ)213を含む複数のスレーブ装置を備えている。装置a(マスタ)211と装置b(スレーブ)212は、装置a(マスタ)211から装置b(スレーブ)212へ信号を送信するためのケーブル261で接続され、さらに、この信号を折り返すためのバス接続構成にしたケーブル262が接続されている。ケーブル262の装置b(スレーブ)212−装置a(マスタ)211間の長さはケーブル261と長さが等しくなっている。
【0041】
また、装置a(マスタ)211と装置n(スレーブ)213は、装置a(マスタ)211から装置n(スレーブ)213へ信号を送信するためのケーブル263で接続され、さらに、この信号を折り返すためにケーブル262が接続されている。ケーブル262の装置n(スレーブ)213−装置a(マスタ)211間の長さはケーブル263と長さが等しくなっている。
【0042】
なお、本実施の形態において、ケーブル261、262、263における信号の伝播速度は全て同じであるとする。
【0043】
装置a(マスタ)211は、装置b(スレーブ)212と装置n(スレーブ)213へ送信する信号を生成する信号生成手段231、各々のスレーブ装置b212および装置n213から折り返された信号の到達時間を計測する到達時間計測手段(装置共通)251、そして計時手段221を備えている。到達時間計測手段251がスレーブ装置毎ではなく共通に1つ設けられているところが、実施の形態1および2と異なる。装置a(マスタ)211は、計時手段221に基づいて動作する装置である。
【0044】
装置b(スレーブ)212は、装置a(マスタ)211から送出された信号を装置a(マスタ)211へ折り返すための信号折り返し手段241と計時手段222を備えている。装置b(スレーブ)212は、計時手段222に基づいて動作する装置である。装置n(スレーブ)213は、装置b(スレーブ)212と同様の構成であり、信号折り返し手段242と計時手段223を備えている。
【0045】
同期制御システム110におけるマスタ−スレーブ装置間の同期を実現するための手順は、図2に示したフローチャートと基本的には同じであるが、本実施の形態においては、到達時間計測手段251と折り返し信号のためのケーブル262をすべてのスレーブ装置で共通化しているので、実施の形態1ではすべてのスレーブ装置に対して同時に実行可能であったステップS81〜S84までを、スレーブ装置の数だけ繰り返し行わなければならない。従って、同期制御システム210における装置間の同期を実現するための手順を示すフローチャートは図6に示したものとなる。
【0046】
図6にて、まず、装置a(マスタ)211は、信号生成手段231で生成した信号をケーブル261を介して装置b(スレーブ)212に送信する(ステップS81)。同時に、到達時間計測手段(装置共通)251で計測を開始する(ステップS82)。装置b(スレーブ)212は、装置a(マスタ)211から送信された信号を信号折返し手段241によりケーブル262を介して装置a(マスタ)211へ折り返す(ステップS83)。装置a(マスタ)211は、折り返された信号を到達時間計測手段251で受信すると、折り返し信号到達時間の計測を完了する(ステップS84)。さらに装置a(マスタ)211は、信号生成手段231で生成した信号をケーブル263を介して装置n(スレーブ)213に送信する(ステップS91)。同時に、到達時間計測手段(装置共通)251で計測を開始する(ステップS92)。装置n(スレーブ)213は、装置a(マスタ)211から送信された信号を信号折返し手段242によりケーブル262を介して装置a(マスタ)211へ折り返す(ステップS93)。装置a(マスタ)211は、折り返された信号を到達時間計測手段251で受信すると、折り返し信号到達時間の計測を完了する(ステップS94)。スレーブ装置がさらに増えた場合は、スレーブ装置数分ステップS81〜S84と同様の手順を繰り返して、各スレーブ装置までの信号到達時間を計測する。これにより全てのスレーブ装置を同時に同期させて動作させることが可能となる。さらに、実施の形態1と同様に装置a(マスタ)211を、全てのスレーブ装置を同時に同期させて動作させることも可能である。
【0047】
以上説明したように、本発明の実施の形態3にかかる同期制御システム210は、1台のマスタ装置と複数台のスレーブ装置で構成され、各装置に内蔵する時計を持つシステムであって、マスタ装置内に信号を生成する手段を備え、その信号を各々のスレーブ装置に送信する手段と、その信号をマスタ装置からスレーブ装置へ伝送する複数本のケーブルを備えている。各々のスレーブ装置は、この信号をスレーブ装置で折り返す手段と、この信号をスレーブ装置からマスタ装置へ伝送するバス接続された共通の1本のケーブルを備え、スレーブ装置はこの共通の1本のケーブルにバス接続されている。マスタ装置は上記信号をスレーブ装置毎に送信するための切替え手段と、遅延計測のための信号を送信してからスレーブ装置を経由して、マスタ装置に戻ってくるまでの時間を計測する手段と、この計測時間から同期用信号がマスタ装置からスレーブ装置に到達する片道までの時間を求め、各スレーブ装置の各々の時計に同期用信号の到達時間を考慮した遅延時間をセットする手段とを備え、マスタ装置からスレーブ装置へ伝送するケーブルを使用して、マスタ装置から同期用信号を送信して、各々のスレーブ装置内の時計を合わせて、マスタ装置と複数のスレーブ装置を同期して動作させる。
【0048】
各スレーブ装置からマスタ装置へ折り返すケーブルをバス接続構成による1本の折り返しケーブルとすることにより、マスタ装置から各スレーブ装置への経路については、スレーブ装置分のケーブル本数となるが、スレーブ装置からマスタ装置へは、1本のケーブルによる構成となるため、配線が簡素化され、部品点数が増加するのを抑えた上で、マスタ装置および全てのスレーブ装置を同時に同期させて動作させることが可能となる。
【0049】
実施の形態4.
図7は、本発明の実施の形態4に係る同期制御システム300の構成を示す図である。この同期制御システム300は、マスタ装置301とスレーブ装置302を、2本の同期信号送信用ケーブル330、331で接続し、マスタ装置301とスレーブ装置302との間の同期をとるシステムである。マスタ装置301は、内蔵した計時手段310と同期信号出力部320を備える。スレーブ装置302は、内蔵した計時手段311と同期制御部321を備える。
【0050】
計時手段310、311はマスタ装置301およびスレーブ装置302が動作タイミングの基準とするための計時手段であり、マスタ装置301およびスレーブ装置302はそれぞれの計時手段310、311に基づいて動作する。本同期制御システム300では、計時手段310、311の時刻を合わせることで、マスタ装置301とスレーブ装置302とを同期させる。
【0051】
同期信号出力部320は、スレーブ装置302の計時手段311を計時手段310に同期させるための同期信号を出力する。同期信号には計時手段310の時刻情報が含まれており、同期信号送信用ケーブル330、331を介してスレーブ装置302に伝播される。
【0052】
同期信号送信用ケーブル330、331は、長さの等しいケーブルであり、同期信号出力部320は2本のケーブル両方に同時に同期信号を出力する。また、同期信号の伝播遅延を測定するために、双方のケーブルは信号伝播速度が異なるものを用いる。
【0053】
同期制御部321は、入力される同期信号から得た時刻情報に、同期信号の伝播遅延を加えて計時手段311の時刻更新を行う。同期信号の伝播遅延とは、同期信号出力部320が同期信号を出力し、同期制御部321に入力されるまでの時間である。
【0054】
ここで、同期制御部321が同期信号の伝播遅延時間を求める方法について説明する。同期制御部321は、同期信号送信用ケーブル330、331から入力される同期信号の到達時間差を求める機能を備える。ここで、同期信号送信用ケーブル330の伝播速度をA1、331の伝播速度をA2とし、伝播速度の大小関係をA1>A2とする。これらの伝播速度は各ケーブル毎に事前に得られており既知であることを前提とする。
【0055】
このとき、図8に示すように、2つの同期信号送信用ケーブル330、331それぞれを介した同期信号の到達時間差をX、伝播速度の速い同期信号送信用ケーブル330を介した同期信号が同期信号出力部320から出力され同期制御部321に入力されるまでの遅延時間をYとする。すると同期信号送信用ケーブル330と同期信号送信用ケーブル331の長さが等しいことから、以下の関係が成り立つ。
A1×Y = A2×(Y+X) (式1)
【0056】
上記(式1)の関係より、遅延時間Yは以下の式で求めることが可能となる。
Y = X×A2/(A1−A2) (式2)
【0057】
上記(式2)の関係を用いた同期の手順を図9のフローチャートに沿って説明する。同期処理は、マスタ装置301の同期信号出力部320が、計時手段310から取得した時刻情報を同期信号として出力することで開始される(ステップS340)。同期信号は同期信号送信用ケーブル330、331を介して出力され、スレーブ装置302の同期制御部321は、この同期信号の入力を監視する。即ち、ステップS341にて同期制御部321は同期信号送信用ケーブル330を介して同期信号を受信したか否かを監視し、未受信の状態(ステップS341:No)なら監視を継続し、同期信号を受信すると(ステップS341:Yes)、同期制御部321は時刻の計測を開始する(ステップS342)。その後は、もう一方のケーブルである同期信号送信用ケーブル331を介して同期信号を受信したか否かを監視し(ステップS343)、未受信の状態なら(ステップS343:No)受信するまで時刻の計測を続ける。同期信号送信用ケーブル331を介して次の同期信号を受信した(ステップS343:Yes)時点で計測を終了し、受信した2つの同期信号の到達時間の差Xを求める(ステップS344)。
【0058】
この到達時間差Xと上記(式2)より、同期信号の伝播遅延Yを求める(ステップS345)。同期信号送信用ケーブル331を介して同期信号を受信したときに当該同期信号に含まれる時刻情報に遅延時間(X+Y)を加えた時刻がマスタ装置301の計時手段310と同じ時刻となる。ここで遅延時間(X+Y)を(式2)を用いて計算すると以下の(式3)のようになる。
X+Y = X×A1/(A1−A2) (式3)
【0059】
したがって、同期信号送信用ケーブル331を介して同期信号を受信したときに当該同期信号に含まれる計時手段310から送られた時刻情報に遅延時間として(式3)の値を加えた時刻に、計時手段311の時刻を更新する(ステップS346)。以上の手順を完了することにより、マスタ装置301とスレーブ装置302の同期を完了する。以上説明した図9のフローチャートで示した同期動作の様子をタイムチャートにしたものが図10である。
【0060】
なお、上記説明においては、図7に示したようにスレーブ装置302は一台であるとして説明したが、図7において並列して複数同様なスレーブ装置があっても本実施の形態は実現可能である。この場合、スレーブ装置毎に同一の長さで伝播速度の異なる同期信号送信用ケーブルを2本備えてマスタ装置301と接続して図9に示したフローチャートの動作を実行すれば、マスタ装置301および全てのスレーブ装置の同期が可能であることは明らかである。
【0061】
以上説明したように、本発明の実施の形態4にかかる同期制御システム300は、1台のマスタ装置と複数台のスレーブ装置で構成され、各装置に内蔵する時計を持つシステムであって、マスタ装置は各々のスレーブ装置に遅延を計測するための同期信号を送信する手段と、同期信号をマスタ装置からスレーブ装置へ伝送する速度係数の異なるケーブルをスレーブ装置毎2本備える。スレーブ装置はこの2本のケーブルで伝送された同期信号がスレーブ装置に到達する時間差を計測する手段を備えることにより、この時間差よりマスタ装置からスレーブ装置までの信号の到達時間を算出し、マスタ装置から送信された時刻情報に、到達時間を加算する手段を備える。これにより、マスタ装置と1つ以上のスレーブ装置が各々の時計に基づいて同期して動作する。
【0062】
マスタ装置301からスレーブ装置302までの信号の到達時間を伝播速度(速度係数)の異なる同じ長さの2本の同期信号送信用ケーブル330、331で伝送された信号の到達時間差の実測値のみで算出するので、ケーブルの長さが未知であっても、マスタ装置301とスレーブ装置302の同期が可能となる。
【0063】
更に、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。
【0064】
例えば、上記実施の形態1乃至4それぞれに示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。更に、上記実施の形態1乃至4にわたる構成要件を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる同期制御システムは、1台のマスタ装置と複数台のスレーブ装置で構成されるシステムに有用であり、特に、マスタ装置およびスレーブ装置が計時手段を備え、各装置内の計時手段を調整してそれに基づいて装置間で同期をとって動作する同期制御システムに適している。
【符号の説明】
【0066】
10、110、210、300 同期制御システム
11、111、211 装置(マスタ)
12、13、112、113、212、213 装置(スレーブ)
21〜23、121〜123、221〜223、310、311 計時手段
31、131、231 信号生成手段
41、42、141、142、241、242 信号折返し手段
51、52、151、152、251 到達時間計測手段
61、62、63、64、161、162、164、261、262、263 ケーブル
301 マスタ装置
302 スレーブ装置
320 同期信号出力部
321 同期制御部
330、331 同期信号送信用ケーブル
S81〜S88、S91〜S94、S340〜S346 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1同期用信号および第2同期用信号を送信する信号生成手段と、第1同期用信号および第2同期用信号の送信から受信までにかかる時間をそれぞれ計測する到達時間計測手段とを有するマスタ装置と、
マスタ装置から第1同期用信号を受信すると当該第1同期用信号をマスタ装置に送信する第1信号折返し手段と、第1動作時刻を保持し信号生成手段からのリセット信号を受信すると0からカウントを開始する第1計時手段とを有し第1計時手段が第1動作時刻になると動作する第1スレーブ装置と、
マスタ装置から第2同期用信号を受信すると当該第2同期用信号をマスタ装置に送信する第2信号折返し手段と、第2動作時刻を保持し信号生成手段からのリセット信号を受信すると0からカウントを開始する第2計時手段とを有し第2計時手段が第2動作時刻になると動作する第2スレーブ装置と、
第1同期用信号およびリセット信号をマスタ装置から第1スレーブ装置へ送信する第1ケーブルと、
第1ケーブルと長さおよび信号伝播速度が等しく第1同期用信号を第1スレーブ装置からマスタ装置へ送信する第2ケーブルと、
第2同期用信号およびリセット信号をマスタ装置から第2スレーブ装置へ送信する第3ケーブルと、
第3ケーブルと長さおよび信号伝播速度が等しく第2同期用信号を第2スレーブ装置からマスタ装置へ送信する第4ケーブルと、
を備え、
到達時間計測手段は、第1同期用信号が信号生成手段から送信されて、第1ケーブル、第1信号折返し手段、第2ケーブルを経て、到達時間計測手段に受信されるまでにかかる時間の半分である第1信号到達時間を算出し、第2同期用信号が信号生成手段から送信されて、第3ケーブル、第2信号折返し手段、第4ケーブルを経て、到達時間計測手段に受信されるまでにかかる時間の半分である第2信号到達時間を算出し、
信号生成手段は、到達時間計測手段が算出したスレーブ装置までの信号到達時間の中で第2信号到達時間が最も長い場合は、第2動作時刻は0に設定し、第2信号到達時間から第1信号到達時間を引いた時間を第1動作時刻として設定し、到達時間計測手段が算出したスレーブ装置までの信号到達時間の中で第1信号到達時間が最も長い場合は、第1動作時刻は0に設定し、第1信号到達時間から第2信号到達時間を引いた時間を第2動作時刻として設定する
ことを特徴とする同期制御システム。
【請求項2】
第1ケーブルと第3ケーブルは物理的に一体のバスケーブルであり、当該バスケーブルを介してマスタ装置と第1スレーブ装置と第2スレーブ装置がバス接続されており、
到達時間計測手段は、
第1同期用信号が信号生成手段から送信されて、第1ケーブル、第1信号折返し手段、第2ケーブルを経てマスタ装置に受信されるまでの時間を計測して第1信号到達時間を算出する第1到達時間計測部と、
第2同期用信号が信号生成手段から送信されて、第3ケーブル、第2信号折返し手段、第4ケーブルを経てマスタ装置に受信されるまでの時間を計測して第2信号到達時間を算出する第2到達時間計測部と
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の同期制御システム。
【請求項3】
第2ケーブルと第4ケーブルは物理的に一体のバスケーブルであり、当該バスケーブルを介してマスタ装置と第1スレーブ装置と第2スレーブ装置がバス接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の同期制御システム。
【請求項4】
信号生成手段および到達時間計測手段に長さおよび信号伝播速度が等しい2本のケーブルがそれぞれ1本ずつ接続され、当該2本のケーブルの他端に接続された信号折返し手段と計時手段とを備えたスレーブ装置をさらに1つ以上備える
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の同期制御システム。
【請求項5】
マスタ装置は、到達時間計測手段が算出した複数のスレーブ装置までの信号到達時間の中で最も長い時間をマスタ動作時刻として保持し信号生成手段からのリセット信号を受信すると0からカウントを開始するマスタ計時手段を有し、マスタ計時手段がマスタ動作時刻になると動作する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の同期制御システム。
【請求項6】
信号の伝播速度が第1伝播速度である第1ケーブルと、
第1ケーブルと同じ長さで、信号の伝播速度が第1伝播速度より遅い第2伝播速度である第2ケーブルと、
マスタ計時手段と、第1ケーブルおよび第2ケーブルそれぞれ同時にマスタ計時手段の時刻情報を含んだ同期信号を送信する同期信号出力部とを有するマスタ装置と、
スレーブ計時手段と、第1ケーブルおよび第2ケーブルに接続され、第1ケーブルから受信した同期信号と第2ケーブルから受信した同期信号との到達時間差と、第1および第2伝播速度とに基づいて得られた遅延時間を前記時刻情報に加えた時刻をスレーブ計時手段に設定する同期制御部とを有するスレーブ装置と、
を備えたことを特徴とする同期制御システム。
【請求項7】
前記遅延時間は、到達時間差×第1伝播速度/(第1伝播速度−第2伝播速度)とする
ことを特徴とする請求項6に記載の同期制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−191361(P2012−191361A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52102(P2011−52102)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】