説明

同期制御方法及びゲームシステム

【課題】ネットワークの負荷及び処理性能の依存性が低く、かつ高速処理が要求される同期制御に対応した同期制御方法及びゲームシステムを提供する。
【解決手段】、ネットワークを通じてゲームサーバに接続する複数の端末装置間の同期制御方法は、各端末装置が状態変化データを上記ゲームサーバに送信し、送信する状態変化データに基づく端末装置側でのゲーム処理を行わずに中断する第1ステップと、ゲームサーバが同期させる各端末装置全ての各状態変化データを受信したか否かを判別し、全ての端末装置から状態変化データを受信した場合に、受信した各状態変化データに基づく更新許可データを各端末装置に同時に送信する第2ステップと、各端末装置が更新許可データに基づいて中断していたゲーム処理を再開し、ゲームサーバに送信した状態変化データに対応するゲーム処理を遂行する第3ステップと、を含む

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の端末装置間の同期制御方法及びゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
オンラインゲームは、インターネット等のネットワークを通じて複数のプレイヤが参加することができ、近年のインターネット環境の充実及び通信速度の向上により、年々快適なゲーム環境が実現されている。
【0003】
複数のプレイヤが参加できるオンラインゲームでは、複数のプレイヤが同一のゲーム画面を見ながらゲームが進行する場合、各端末装置に表示されるゲーム画面の同期制御を行っている。例えば、従来の同期制御方法は、各プレイヤの端末装置から所定間隔で定期的にゲームサーバに状況を問い合わせ、端末装置側でゲームサーバが提供する同期情報(ゲーム状況変化)に基づいた同期制御を遂行している。
【0004】
図7は、従来の同期制御方法が適用されたゲームシステムを示す図であり、第1端末装置からゲームサーバにゲーム状況に関する問い合わせ要求を所定間隔で常時行い、ゲームサーバが問い合わせ要求に応答して第1及び第2端末装置の各々に同一の同期に関する情報を提供することで、第1及び第2端末装置間で同期の取れたゲーム進行が成される。
【0005】
しかしながら、このような従来の同期制御方法は、各端末装置の処理性能(処理速度)や通信速度が異なると、同期を保証することができない。すなわち、通信速度が異なる場合、同一の同期情報を同時に受信することができず、処理性能が低いと受信した同期情報に対する反映処理にタイムラグが生じてしまう。このため、ネットワークのトラフィック状況や通信速度、及びプレイヤ端末装置の処理性能に依存し、各プレイヤ端末装置間の同期を保証することができない。
【0006】
これに対し特許文献1の同期制御方法は、各プレイヤ端末装置でプレイヤ自身の操作指示に対応する相手プレイヤの操作指示を受信し、当該プレイヤ端末装置側で同期制御処理を行うことが提案されている。この同期制御方法は、プレイヤ自身の操作指示を蓄積し、操作指示に対応する相手プレイヤの操作指示を受信することで画面更新を行うため、同期ズレや操作指示に対するゲーム進行の矛盾を防止することが可能となる。
【0007】
【特許文献1】特開2002−253862号公報(段落0049〜0053、図6等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の同期制御方法は、蓄積された操作指示に対応する相手の操作指示の受信を待ってから画面更新を行う同期処理は、クライアント側で同期タイミングの判別が行われる。このため、同期制御間隔を短くする必要があるゲーム、言い換えれば、短時間の間に多くの同期制御が要求されるゲームには適していない。
【0009】
具体的には、操作キャラクタオブジェクトや移動オブジェクトが高速で移動するゲーム(例えば、エアホッケーゲーム)では、移動するオブジェクトやプレイヤの操作指示が短時間の間に的確に反映されなければ、リアルタイム性が損なわれ、ゲーム進行を妨げてしまう。つまり、上記特許文献1の同期制御方法では、プレイヤの端末装置側で相手の操作指示を受信し、かつ対応する自身の操作指示を判別して同期制御を行わなければならないため、端末装置の処理性能が低い場合、ゲーム進行を妨げてしまう。
【0010】
言い換えれば、ネットワーク負荷に対する非同期は解消できるものの、端末装置の処理性能が低かったり、ゲーム環境が端末装置の処理性能に依存する場合、プレイヤ操作に対する高いレスポンス性を維持した同期を保証することができない。
【0011】
そこで、本発明の目的は、ネットワークの負荷及び処理性能の依存性が低く、かつ高速処理が要求される同期制御に対応した同期制御方法及びゲームシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの観点としての同期制御方法は、ネットワークを通じてゲームサーバに接続する複数の端末装置間の同期制御方法であって、各端末装置が、状態変化データを上記ゲームサーバに送信し、送信する上記状態変化データに基づく端末装置側でのゲーム処理を行わずに中断する第1ステップと、上記ゲームサーバが、同期させる各端末装置全ての上記各状態変化データを受信したか否かを判別し、全ての端末装置から上記状態変化データを受信した場合に、受信した各状態変化データに基づく更新許可データを各端末装置に同時に送信する第2ステップと、各端末装置が、上記更新許可データに基づいて中断していたゲーム処理を再開し、上記ゲームサーバに送信した上記状態変化データに対応するゲーム処理を遂行する第3ステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、上記同期制御方法において、上記ゲームサーバが、状態変化要求を前記各端末装置に送信するステップをさらに含み、上記第1ステップが、各端末装置が、受信した上記状態変化要求に応答して上記状態変化データを前記ゲームサーバに送信し、上記第2ステップが、各端末装置に送信した1つの上記状態変化要求に対する上記状態変化データを全ての端末装置から受信するまで待機し、全端末装置の上記各状態変化データを受信した場合に、上記更新許可データを各端末装置に同時に送信するように構成することができる。
【0014】
また、上記状態変化データは、上記端末装置における操作入力手段の操作変化情報、又はゲーム内に表示されるキャラクタオブジェクトの位置変化情報とすることができる。
【0015】
また、上記更新許可データは、同期される他の各端末装置における上記状態変化データを含み、上記第3ステップは、上記各端末装置が、上記各状態変化データを用いて上記ゲームサーバに送信した上記状態変化データに対応したゲーム画面を構成するゲーム処理を遂行するように構成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ネットワークの負荷や端末装置の処理性能に依存することなく、端末装置間の正確な同期が実現される。特に、高速での同期制御を必要とするゲームであっても円滑なゲーム進行を確保しつつ、端末装置間の同期制御を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の同期制御方法が適用されたオンラインゲームシステムの構成図である。本実施形態のオンラインゲームシステムは、ゲームサーバ100、当該ゲームサーバ100にインターネット等のネットワークNを介して接続可能な端末装置200を備える。端末装置200は、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機等の移動通信端末装置などの通信機能及び演算機能を備えた端末装置である。
【0019】
なお、オンラインゲームシステムは、これらの他に当該オンラインゲームシステムによるゲームサービスを受けるプレイヤの認証処理を行う認証サーバやユーザ情報DBを含むことができ、また、コミュニケーション機能、チャット機能を提供するコミュニティーサーバなど、ゲームサービス以外の、若しくはゲームサービスに付随するオンラインサービスのためのサーバを含むことができる。
【0020】
図1に示すように、本実施形態のゲームサーバ100は、ネットワークNを介した端末装置200との通信制御を行う通信制御部110、ゲームサーバ100全体の制御を司る制御部(CPU)120、ゲームサービスとして複数の端末装置200に提供されるオンラインゲームの制御を行うゲーム制御部130、該オンラインゲームにおける各プレイヤのゲームデータを格納するゲームデータベース140、及び複数の端末装置間の同期制御を遂行する同期制御部150で構成されている。なお、ゲーム制御部130が同期制御部150の機能を遂行するように構成することも可能である。
【0021】
図2は、本実施形態の端末装置200の構成ブロック図であり、ネットワークNを介したゲームサーバ100との通信制御を行う通信制御部210、端末装置200全体の制御を司る制御部(CPU)220、端末装置200側のゲーム処理を行うゲームクライアント230を備えるとともに、外部インターフェース240、操作部250(キーボード、マウス、コントローラ等)、表示インターフェース260、表示部270(表示ディスプレイ)を備える。
【0022】
ゲームクライアント230は、一般的なオンラインゲームにおいて適用される技術であり、ゲームを行う端末装置200に対して予め(若しくはゲーム開始時に)インストールされ、端末装置200側のゲーム処理全般を担う。本実施形態のゲームクライアント230は、ゲームサーバ100から送信されるゲーム制御情報に応じて表示インターフェース260を介した表示部270へのゲーム表示処理及びゲーム制御を行うゲーム処理部231、使用される多様なグラフィックデータ、ゲームルールが定義されたゲーム基本ファイル、及び更新ファイルなどの情報が格納されるゲームデータ格納部232を備える。ゲームデータ格納部232に格納されるデータは、ゲーム開始時、ゲーム終了時、又はゲーム進行中にゲームサーバ100との通信により適宜更新される情報が含まれる。
【0023】
なお、本実施形態のオンラインゲームシステムは、アドビシステムズ社製のFLASH(登録商標)を基盤に作成されたFLASH(登録商標)ゲームを提供することも可能である。この場合、端末装置200には、ゲームクライアント230の代わりにFlashPlayerがインストールされる。そして、FlashPlayerがゲームクライアント230の役割を担う。FLASH(登録商標)ゲームにおける詳細な構成等については、説明を省略するが、本実施形態の同期制御方法は、FLASH(登録商標)ゲームにも適用可能である。
【0024】
次に、図3から図5Bを参照しながら、本実施形態の同期制御方法について説明する。
【0025】
図3に示すように、本実施形態の同期制御方法は、第1端末装置201及び第2端末装置202がマウス等の操作入力手段の操作変化情報(例えば、マウスポインタの位置情報(座標(X、Y)))やゲーム内に表示されるキャラクタオブジェクトの位置変化情報(例えば、操作キャラクタオブジェクトやゲームアルゴリズムにより制御される移動オブジェクトの位置情報)などのゲーム進行に伴う状態変化データをゲームサーバ100に送信する。
【0026】
図5Aは、本実施形態の同期制御方法が適用されたエアホッケーゲームのゲーム画面を示しており、第1端末装置201のプレイヤは、マウスポインタを操作オブジェクトA(マレット、又はスマッシャー)に合わせ、マウスを操作することにより操作オブジェクトAを左右上下方向に移動させることができる。同様に、第2端末装置202のプレイヤも、マウスポインタを操作オブジェクトBに合わせ、マウスを操作することにより操作オブジェクトBを左右上下方向に移動させることができる。
【0027】
エアホッケーゲームのように、マウスポインタの動きに合わせて操作オブジェクトAも移動させる場合、状態変化データとしてマウスポインタの座標(操作情報)がゲームサーバ100に送信される。つまり、プレイヤ操作により操作オブジェクトAが左側に移動して座標が(X1、Y1)に変化する場合、第1端末装置201は、変化した座標(X1、Y1)を状態変化データとしてゲームサーバ100に送信する。また、第2端末装置202も同様に、操作オブジェクトBも変化した座標(X2、Y2)を状態変化データとしてゲームサーバ100に送信する。
【0028】
そして、本実施形態の第1及び第2端末装置201、202の各々は、変化した座標(X1、Y1)及び座標(X2、Y2)に対するゲーム処理を遂行せずに、状態変化データのみをゲームサーバ100に送信する。図4に示すように、状態変化データを送信後(又は状態変化を検出した際)、ゲーム処理を中断し、待機状態に遷移する。この待機状態は、プレイヤによる操作を受け付けずにゲーム進行を中断する状態である。
【0029】
すなわち、本実施形態における各端末装置201、202が送信する状態変化データは、端末装置側のゲーム処理(ゲーム画面更新等)に未反映(ゲーム処理の結果データではない)の状態変化データであり、マウスポインタの座標が変化した場合にその変化した座標位置を反映したゲーム画面の構成処理(更新処理)を行わずにゲーム処理を中断し、状態変化データをゲームサーバ100に送信する(図3及び図4の(1)、(2))。
【0030】
次に、ゲームサーバ100は、同期させる各端末装置全てから状態変化データを受信したか否かを判別する。具体的には、受信した状態変化データ数をカウントし、受信した状態変化データ数が同期させる端末装置数(プレイヤ数)となるまで、同期制御を遂行しない待機状態に遷移する。図4に示すように、第2端末装置202の状態変化データが、第1端末装置201の状態変化データよりも遅れて受信された場合、端末装置201の状態変化データの受信から端末装置202の状態変化データを受信するまでの間、ゲームサーバ100は待機処理を遂行する(同期制御処理を待機させる)。
【0031】
そして、受信した状態変化データ数が、同期制御が成される端末装置数に達した場合、ゲームサーバ100は、同期処制御処理を再開し、受信した各状態変化データに基づく同一の更新許可データを生成して各端末装置201、202に同時に送信する。図4及び図5Aでは、第1端末装置201に遅れて送信されてきた第2端末装置201から状態変化データの受信を契機に、同期制御処理を再開し、更新許可データを生成して各端末装置201、202に同時に送信する。
【0032】
なお、この更新許可データには、各端末装置201、202の状態変化データが含まれる。具体的には、各端末装置201、202自身の状態変化データとともに、同期する他の端末装置における状態変化データが含まれる。図4及び図5Aの例では、第1及び第2端末装置201、202が同期される端末装置であるので、更新許可データには座標(X1、Y1)及び座標(X2、Y2)が含まれる。
【0033】
各端末装置201、202は、ゲームサーバ100から送信される更新許可データの受信を契機に、中断していたゲーム処理を再開し、更新許可データに含まれる自身の状態変化データと他の端末装置の状態変化データとを用いて、これら状態変化データに対応したゲーム画面を構成するゲーム処理を遂行し、ゲーム画面を更新する。図5Bは、更新処理後のゲーム画面を示す図である(図3及び図4の(3))。
【0034】
このように本実施形態の同期制御方法は、ゲームサーバ100側において同期される全ての端末装置の同期制御のタイミング(イベント)を管理するとともに、同期される各端末装置201、202は、状態変化データに基づく端末装置側での更新処理をゲームサーバ100からの指示を待ってから遂行する。したがって、端末装置間の確実な同期を保証することが可能となる。
【0035】
より具体的に説明すると、端末装置200は、同期制御のための判別処理やデータ格納処理等を行うことなく、通常のゲーム処理におけるゲーム画面の構成更新処理に従ったゲーム処理を、更新許可データの受信を契機に、かつ受信した更新許可データに基づいて遂行する。このため、端末装置200の処理性能に依存することなく同期されたゲーム処理を遂行できる。
【0036】
一方、ゲームサーバ100では、同期制御のための複雑な判別処理等を行っていない。ゲームサーバ100は、同期される全ての端末装置からの状態変化データ数をカウントし、全端末装置の各状態変化データが受信された場合に同一の更新許可データを同時に各端末装置に送信することで、各端末装置間の同期を保証している。したがって、ゲームサーバ100に同期制御のための複雑な処理を遂行することなく、同期タイミングのみを制御することになり、ゲームサーバ100の処理負担が低減される。
【0037】
また、本実施形態の同期制御方法は、ネットワーク負荷も低減することができる。ゲームサーバ100は、上述のように複雑な判別処理を遂行せず、同期制御のタイミングのみを制御するため、端末装置200から受信すべきデータは、最低限のデータでよい。つまり、状態変化データとして端末装置200から送信されるデータ量を極めて小さくすることができる。例えば、状態変化データとして座標データをゲームサーバ100に送信する場合、最小限の座標データのみがゲームサーバ100に送信されることになり、ネットワーク負荷が低減され、ネットワーク負荷の増大による同期遅延を防止することが可能となる。なお、ゲームサーバ100から各端末装置に送信される更新許可データも同様であり、端末装置側で同期制御のための判別処理等を遂行しないため、更新許可データのデータ量も小さくすることができる。
【0038】
さらに、本実施形態の同期制御方法は、FLASH(登録商標)ゲームのように、端末装置のOSに依存しないプラットホームでのゲーム環境に特に有効である。FLASH(登録商標)ゲームは、FLASH PlayerがOSが用意した描画ツールやグラフィック処理を使用しない(使用できない)。このため、OSが用意した描画ルール等を使用する場合に比べて端末装置200の演算手段(CPU)の処理負担が大きくなり、ゲーム処理の速度が端末装置200の処理性能に依存する割合が大きくなる。
【0039】
したがって、端末装置200は、同期制御のための判別処理やデータ格納処理等を行うことなく、通常のゲーム処理におけるゲーム画面の構成更新処理に従ったゲーム処理を、更新許可データの受信を契機に、かつ受信した更新許可データに基づいて遂行するので、端末装置200の処理性能に依存することなく、エアホッケーゲームのような操作オブジェクト及び移動オブジェクトが高速で移動するゲームにおける高速処理が要求される同期制御を好適に実現することができる。
【0040】
なお、上記説明では、同期制御におけるタイミング周期について述べていないが、本実施形態の同期制御方法におけるゲームサーバ100側での同期制御のタイミングは、全ての端末装置200からの状態変化でデータの受信に基づいて遂行される。すなわち、同期が成される全端末装置の各状態変化データの受信を契機に、同時に同一の更新許可データを送信する。このため、ゲームサーバ100及び端末装置200にクロック機能(計時手段)を設置又は起動して、同期タイミングを計時する必要がない。言い換えれば、各端末装置からの状態変化データの受信タイミングが相違しても、同期タイミングが各端末装置からの全状態変化データの受信により保証されることになる。
【0041】
しかしながら、より高い同期精度を保証するために、ゲームサーバ100が状態変化要求を所定のタイミングで各端末装置に送信するように構成することも可能である。つまり、ゲームサーバ100は、各端末装置200に同時に状態変化要求を送信し、各端末装置200が、受信した状態変化要求に応答して状態変化データをゲームサーバ100に送信する。ゲームサーバ100では、各端末装置に送信した1つの状態変化要求に対する状態変化データを全ての端末装置200から受信するまで待機し、全端末装置の各状態変化データを受信した場合に、更新許可データを各端末装置に同時に送信するように構成する。
【0042】
そして、更新許可データの送信から複数の端末装置200のいずれか1つから次の状態変化データを受信するまでの間隔を制御することで、同期制御の精度を高めることができる。例えば、図4に示すように、ゲームサーバ100は、更新許可データを送信後、1/30秒以内に複数の端末装置200のいずれか1つから次の状態変化データを受信するように、状態変化要求の送信制御を行うように構成することができる。
【0043】
なお、このゲームサーバ100の送信制御を端末装置200で実現してもよい。すなわち、端末装置200は、更新許可データを受信後、例えば、1/30秒以内にゲームサーバ100に状態変化データを送信するようにゲーム処理部231が制御することも可能である。また、端末装置200において状態変化データの送信間隔の制御を行う場合、複数の端末装置間で送信間隔を同期させる必要はない。これは、上述のようにゲームサーバ100が、同期制御が成される全ての端末装置200からの状態変化データの受信を待ってから更新許可データを送信するゲームサーバ100側での同期イベント管理が遂行されるためである。
【0044】
図6は、本実施形態のオンラインゲームシステムにおける同期制御方法の処理遷移を説明するためのフローチャートである。
【0045】
従来のオンラインゲームと同様に、オンラインゲームサービスの提供を受けるために、プレイヤは、端末装置200を通じて予めユーザ登録を行い、ユーザ登録情報がユーザ情報データベースに格納される。そして、認証サーバが提供する認証画面からユーザID、パスワードを入力し、認証サーバによる認証を得る。
【0046】
認証処理後、端末装置200には、オンラインゲームシステムが提供するゲームのゲーム開始画面から提供され、プレイヤは、所望のゲームを開始(起動)する(ステップS201)。端末装置200でのゲーム開始操作は、ゲーム開始要求としてゲームサーバ100に送信される。ゲームサーバ100では、ゲーム開始要求の受信に伴ってゲーム開始処理を実行する。ゲーム制御部130は、当該ゲームが初めて当該ユーザに提供されるものであるか否かを判別し、初めて起動されるゲームであれば、上記ゲームクライアント230を端末装置200にインストールする処理と、通信制御部110が、ユーザ端末200とのオンライン通信によるゲーム制御を行うためのゲームセッションを確立する処理(ステップS101)と、が含まれる。その後、ゲーム制御部130は、端末装置200とのゲームセッションが確立した後に、ゲーム制御を開始し(ステップS102)、端末装置200でのゲーム処理も開始される(ステップS202)。
【0047】
ゲームサーバ100の同期制御部150は、ゲーム制御部130のゲーム制御が開始されてから、ゲームが終了するまでの間、複数の端末装置間の同期制御を遂行する。本実施形態の同期制御部150は、状態変化要求を上述の送信間隔で同期がなされる各端末装置に同時に送信する(ステップS103)。
【0048】
端末装置200のゲーム処理部231は、ゲームサーバ100から状態変化要求を受信すると、受信時点における状態変化データをゲームサーバ100に通信制御部210を介して送信するとともに、ゲーム処理を中断する(ステップS203)。
【0049】
ゲームサーバ100の同期制御部150は、受信した状態変化データが同期される全端末装置分受信できたか否かを判別する。つまり、同期させる各端末装置から送信される状態変化データ数をカウントし、受信した状態変化データ数が同期させる端末装置数となるまで待機する(ステップS104)。
【0050】
そして、受信した状態変化データ数が、同期制御が成される端末装置数に達した場合、同期制御部150は、受信した各状態変化データに基づく同一の更新許可データを生成して各端末装置201、202に同時に送信する(ステップS105)。更新許可データの送信後、同期制御部150は、カウントした状態変化データ数をリセットし(ステップS106)、次の状態変化要求を各端末装置200に送信する。以降、ステップS103からS106及びステップS203からS204が所定間隔で繰り返し遂行される。
【0051】
以上、上記実施形態では、エアホッケーゲームを一例に説明したが、対戦ゲームやレースゲーム、パズルゲーム等の他の同期制御が必要なゲームに適用可能である。
【0052】
また、上記実施形態において、例えば、操作オブジェクトの座標が変化していない場合でも、その時点での操作オブジェクトの座標を状態変化データとしてゲームサーバ100に送信する。もしくは、変化していない旨のデータを状態変化データとして送信するように構成される。つまり、状態変化データには変化していないデータも含まれることになる。
【0053】
また、ゲームサーバ100及び端末装置200は、ハードウェア構成として上述以外にも、キーボード、マウス、スキャナー等の操作入力手段、液晶ディスプレイ等の表示手段、プリンタ、スピーカなどの出力手段、主記憶装置(メモリ)、補助記憶装置(ハードディスク等)等を備えることが可能であり、各手段に制御は、サーバ又はコンピュータ全体の制御を司る制御手段(CPU)により遂行される(不図示)。
【0054】
また、本発明の同期制御方法(同期制御プログラム)は、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で端末装置200に提供することも可能であり、インターネット等のネットワークを通じて端末装置200にダウンロードすることも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD−ROM等の光ディスク、DVD−ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。
【0055】
なお、本発明の詳細な説明では具体的な実施形態について説明したが、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で多様に変形できる。よって、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態におけるオンラインゲームシステムの概略図及びゲームサーバの構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における端末装置の構成ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態における同期制御方法を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態における同期制御方法のタイミングチャートの一例を示す図である。
【図5A】本発明の実施形態におけるゲーム画面の一例を示す図である(更新前)。
【図5B】本発明の実施形態におけるゲーム画面の一例を示す図である(更新後)。
【図6】本発明の実施形態における同期制御方法が適用されたオンラインシステムの処理遷移を示すフローチャートである。
【図7】従来の同期制御方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0057】
100 ゲームサーバ
110 通信制御部
120 制御部
130 ゲーム制御部
140 ゲームデータベース
150 同期制御部
200 端末装置
210 通信制御部
220 制御部
230 ゲームクライアント
231 ゲーム処理部
232 ゲームデータ格納部
240 外部インターフェース
250 操作部
260 表示インターフェース
270 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを通じてゲームサーバに接続する複数の端末装置間の同期制御方法であって、
各端末装置が、状態変化データを前記ゲームサーバに送信し、送信する前記状態変化データに基づく端末装置側でのゲーム処理を行わずに中断する第1ステップと、
前記ゲームサーバが、同期させる各端末装置全ての前記各状態変化データを受信したか否かを判別し、全ての端末装置から前記状態変化データを受信した場合に、受信した各状態変化データに基づく更新許可データを各端末装置に同時に送信する第2ステップと、
各端末装置が、前記更新許可データに基づいて中断していたゲーム処理を再開し、前記ゲームサーバに送信した前記状態変化データに対応するゲーム処理を遂行する第3ステップと、を含むことを特徴とする同期制御方法。
【請求項2】
前記ゲームサーバが、状態変化要求を前記各端末装置に送信するステップをさらに含み、
前記第1ステップは、各端末装置が、受信した前記状態変化要求に応答して前記状態変化データを前記ゲームサーバに送信するステップであり、
前記第2ステップは、各端末装置に送信した1つの前記状態変化要求に対する前記状態変化データを全ての端末装置から受信するまで待機し、全端末装置の前記各状態変化データを受信した場合に、前記更新許可データを各端末装置に同時に送信することを特徴とする請求項1に記載の同期制御方法。
【請求項3】
前記状態変化データは、前記端末装置における操作入力手段の操作変化情報、又はゲーム内に表示されるキャラクタオブジェクトの位置変化情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の同期制御方法。
【請求項4】
前記更新許可データは、同期される他の各端末装置における前記状態変化データを含み、
前記第3ステップは、
前記各端末装置が、前記各状態変化データを用いて前記ゲームサーバに送信した前記状態変化データに対応したゲーム画面を構成するゲーム処理を遂行することを特徴とする請求項1に記載の同期制御方法。
【請求項5】
ネットワークを通じて複数の端末装置間の同期制御を遂行するゲームシステムであって、
前記端末装置は、状態変化データを前記ゲームシステムに送信し、送信する前記状態変化データに基づく端末装置側でのゲーム処理を行わずに中断するとともに、前記ゲームシステムから送信される更新許可データに基づいて中断していたゲーム処理を再開し、前記ゲームシステムに送信した前記状態変化データに対応するゲーム処理を遂行するゲーム処理手段を有し、
前記ゲームシステムは、同期させる各端末装置全ての前記各状態変化データを受信したか否かを判別し、全ての端末装置から前記状態変化データを受信した場合に、受信した各状態変化データに基づく前記更新許可データを各端末装置に同時に送信する同期制御手段を有することを特徴とするゲームシステム。
【請求項6】
ネットワークを通じてゲームサーバに接続する複数の端末装置間の同期制御を遂行するために、前記ゲームサーバに、
状態変化要求を前記各端末装置に送信する第1機能と、
各端末装置に送信した1つの前記状態変化要求に対して前記端末装置から送信される状態変化データが、同期される全ての端末装置から受信されるまで待機し、全端末装置の前記各状態変化データを受信した場合に、受信した各状態変化データに基づく更新許可データを各端末装置に同時に送信する第2機能と、を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
ネットワークを通じてゲームサーバに接続する複数の端末装置間の同期制御を遂行するために、前記端末装置に、
前記端末装置における状態変化データを前記ゲームサーバに送信し、送信する前記状態変化データに基づく端末装置側でのゲーム処理を行わずに中断する第1機能と、
同期される各端末装置全ての前記各状態変化データを受信した前記ゲームサーバから各端末装置に同時に送信される各状態変化データを含む更新許可データに基づいて、中断していたゲーム処理を再開し、前記ゲームサーバに送信した前記状態変化データに対応するゲーム処理を遂行する第2機能と、を実現させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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