同軸2重モード共振器およびフィルタ
【課題】従来の半同軸共振器よりも、小型、低姿勢、且つ、低損失な同軸2重モード共振器を提供する。
【解決手段】外部導体と、外部導体の内部に配置される平板状の内部導体とを有し、前記内部導体の平面形状は、X軸方向の一対の辺と、前記X軸方向に直交するY軸方向の一対の辺とを有する四角形形状であり、前記内部導体は、前記X軸方向に共振する第1の共振モードと、前記Y軸方向に共振する第2の共振モードとを有する同軸2重モード共振器であって、前記四角形形状の内部導体の中心部を、前記外部導体に固定する支柱(絶縁性の支柱、あるいは、金属の支柱)を有し、前記四角形形状の内部導体の4つの角部の一つは、面取りされており、前記外部導体の任意の1面に設けられ、前記内部導体の前記第1の共振モードと結合する入力端子と、前記外部導体の前記入力端子が設けられている面以外の面に設けられ、前記内部導体の前記第2の共振モードと結合する出力端子とを有する。
【解決手段】外部導体と、外部導体の内部に配置される平板状の内部導体とを有し、前記内部導体の平面形状は、X軸方向の一対の辺と、前記X軸方向に直交するY軸方向の一対の辺とを有する四角形形状であり、前記内部導体は、前記X軸方向に共振する第1の共振モードと、前記Y軸方向に共振する第2の共振モードとを有する同軸2重モード共振器であって、前記四角形形状の内部導体の中心部を、前記外部導体に固定する支柱(絶縁性の支柱、あるいは、金属の支柱)を有し、前記四角形形状の内部導体の4つの角部の一つは、面取りされており、前記外部導体の任意の1面に設けられ、前記内部導体の前記第1の共振モードと結合する入力端子と、前記外部導体の前記入力端子が設けられている面以外の面に設けられ、前記内部導体の前記第2の共振モードと結合する出力端子とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸2重モード共振器およびフィルタに係わり、特に、1つの物理的空間内(共振器内)に2つの共振モードを縮退させた同軸2重モード共振器と、当該同軸2重モード共振器を使用するフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置等には、1つの共振器で1つの共振モードを持つ、所謂、シングルモードの共振器を用いたフィルタが数多く使用されている。シングルモードの共振器には、例えば金属を用いた半同軸共振器がある。この共振器は外部と電気的に遮蔽された金属ケース内に円柱状の金属の片端を、ネジあるいは蝋付けなどにより金属ケースに電気的に接触、固定させることにより構成される。
シングルモードの共振器は、フィルタを構成する際に遮断導波管内に配置され、隣合う共振器と磁界結合、あるいは電界結合されることにより、所望のフィルタ特性を実現している。しかし、1つの共振器で1つの共振モードしか持たないために、複数のモードが必要なときなどにフィルタの段数が増えるために必要な共振器の数も増え、フィルタ自体が大型化する問題がある。
これに対して、1つの共振器で複数の共振モードを持つ、所謂、多重モードの共振器が提案、利用されている。多重モードの共振器を利用する多重モードフィルタでは、1つの共振器で2以上の共振モードを利用することによって、フィルタ全体で必要とされる共振器の数を削減している。多重モードの共振器は、例えば、下記特許文献1等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3699090号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半同軸共振器は、円柱状の内部導体を用いるが、円柱内部は無駄なスペースが発生する。そのため、従来の半同軸共振器では、小型化、低姿勢化を図ることが困難であった。一方、多重モードの共振器を利用する多重モードフィルタでは、1つの共振器で2以上の共振モードを利用することによって、フィルタ全体で必要とされる共振器の数を削減しているが、多重モードフィルタでも、低姿勢化を図ることが困難であった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、従来の半同軸共振器よりも、小型、低姿勢、且つ、低損失な同軸2重モード共振器、並びに、当該同軸2重モード共振器を用いるフィルタを提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)外部導体と、前記外部導体の内部に配置される平板状の内部導体とを有し、前記内部導体の平面形状は、X軸方向の一対の辺と、前記X軸方向に直交するY軸方向の一対の辺とを有する四角形形状であり、前記内部導体は、前記X軸方向に共振する第1の共振モードと、前記Y軸方向に共振する第2の共振モードとを有する同軸2重モード共振器であって、前記四角形形状の内部導体の中心部を、前記外部導体に固定する支柱(絶縁性の支柱、あるいは、金属の支柱)を有し、前記四角形形状の内部導体の4つの角部の一つは、面取りされており、前記外部導体の任意の1面に設けられ、前記内部導体の前記第1の共振モードと結合する入力端子と、前記外部導体の前記入力端子が設けられている面以外の面に設けられ、前記内部導体の前記第2の共振モードと結合する出力端子とを有する。
(2)(1)において、前記外部導体に設けられる2重モード結合量調整用ネジを有し、前記2重モード結合量調整用ネジは、前記内部導体の面取された部分に対向し、前記2重モード結合量調整用ネジの挿入量により、前記2重モードの結合量を調整する。
(3)(1)において、前記外部導体に設けられる第1共振周波数調整用ネジと第2共振周波数調整用ネジを有し、前記第1共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記Y軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、前記第2共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記X軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、前記第1共振周波数調整用ネジと前記第2共振周波数調整用ネジのそれぞれの挿入量により、同軸2重モード共振器の共振周波数を調整する。
【0006】
(4)nを2以上の整数、jを2以上、n以下の整数とするとき、外部導体と、前記外部導体の内部を、n個の内部空間に分割する(n−1)個の隔壁と、前記n個の内部空間に配置されるn個の同軸2重モード共振器とを備え、前記各同軸2重モード共振器は、前記各内部空間内に配置される平板状の内部導体を有し、前記各同軸2重モード共振器の内部導体の平面形状は、X軸方向の一対の辺と、前記X軸方向に直交するY軸方向の一対の辺とを有する四角形形状であり、前記各同軸2重モード共振器の内部導体は、前記X軸方向に共振する第1の共振モードと、前記Y軸方向に共振する第2の共振モードとを有するフィルタであって、前記1番目の同軸2重モード共振器の前記矩形形状の内部導体の中心部を、前記外部導体に固定する支柱(絶縁性の支柱、あるいは、金属の支柱)と、前記j番目の同軸2重モード共振器の前記矩形形状の内部導体の中心部を、前記隔壁に固定する支柱(絶縁性の支柱、あるいは、金属の支柱)とを有し、前記各同軸2重モード共振器の前記四角形形状の内部導体の4つの角部の一つは、面取りされており、前記外部導体に設けられ、前記1番目の同軸2重モード共振器の内部導体の前記第1の共振モードと結合する入力端子と、前記外部導体に設けられ、前記n番目の同軸2重モード共振器の内部導体の第1の共振モード、あるいは、第2の共振モードと結合する出力端子とを有する。
【0007】
(5)(4)において、前記各同軸2重モード共振器は、前記外部導体に設けられる2重モード結合量調整用ネジを有し、前記各2重モード結合量調整用ネジは、前記各同軸2重モード共振器の前記内部導体の面取された部分に対向し、前記各2重モード結合量調整用ネジの挿入量により、前記各同軸2重モード共振器の前記2重モードの結合量を調整する。
(6)(4)において、前記各同軸2重モード共振器は、前記外部導体に設けられる第1共振周波数調整用ネジと第2共振周波数調整用ネジを有し、前記各同軸2重モード共振器の前記第1共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記Y軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、前記各同軸2重モード共振器の前記第2共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記X軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、前記各同軸2重モード共振器の前記第1共振周波数調整用ネジと前記第2共振周波数調整用ネジの挿入量により、前記各同軸2重モード共振器の共振周波数を調整する。
(7)(4)において、前記各隔壁は、結合孔を有する。
(8)(7)において、前記外部導体に設けられ、前記各隔壁の各結合孔の内部に挿入される結合量調整用ネジを有し、当該結合量調整用ネジの挿入量により、前記各同軸2重モード共振器間の結合量を調整する。
【発明の効果】
【0008】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、従来の半同軸共振器よりも、小型、低姿勢、且つ、低損失な同軸2重モード共振器、並びに、当該同軸2重モード共振器を用いるフィルタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1の同軸2重モード共振器の概要を示す模式斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の同軸2重モード共振器の内部構造を説明するための図である。
【図3】本発明の実施例1の同軸2重モード共振器の共振モードを説明するための図である。
【図4】本発明の実施例1の同軸2重モード共振器の磁界成分と、電界成分を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例1の同軸2重モード共振器の等価回路を示す回路図である。
【図6】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの概要を示す模式斜視図である。
【図7】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図である。
【図8】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図である。
【図9】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図である。
【図10】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図である。
【図11】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの等価回路を示す回路図である。
【図12A】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの通過特性の一例を示すグラフである。
【図12B】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの反射減衰量の一例を示すグラフである。
【図13】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの隔壁の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施例は、本発明の特許請求の範囲の解釈を限定するためのものではない。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器の概要を示す模式斜視図である。
図2は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器の内部構造を説明するための図であり、同図(a)は、図1に示す同軸2重モード共振器において、外部導体の天井部分を剥がして見た図、同図(b)は、図1に示す同軸2重モード共振器において、外部導体の側面部分を剥がして見た図である。
図1、図2において、1は直方体形状の外部導体、2は平板状の内部導体である。内部導体2は、平面形状が四角形形状を有し、この内部導体2は、金属支柱3に、ネジなどで固定される。そして、金属支柱3は、外部導体1に、ネジなどで固定される。
ここで、外部導体1は、例えば、銀メッキされたアルミニウム、あるいは、銅メッキされたアルミニウムで構成される。また、内部導体は、例えば、スーパーインバー、あるいは、銀メッキされたインバーで構成される。さらに、金属支柱3は、銀メッキされたアルミニウム、あるいは、銅メッキされたアルミニウムで構成される。
なお、外部導体1、あるいは、内部導体2を構成する前述の金属材料は一例であって、必ずしもこの金属材料に限定されるものではなく、例えば、鉄なども使用可能である。
また、図1では、金属支柱3は、断面形状が円形の場合を図示しているが、金属支柱3の断面形状は、円形に限定されるものではなく、3角形、4角形、あるいは、多角形であってもよい。
また、図1、図2において、4は入出力端子、41は入出力結合プローブ、5は共振周波数調整用ネジ、6は2重モード結合用調整ネジ、7は面取り部である。
【0011】
図3は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器の共振モードを説明するための図である。本実施例の同軸2重モード共振器では、図3に矢印A、矢印Bに示すように、図3のX軸と、Y軸方向の2つの方向に共振する2つのTEMモードの共振モードが存在する。
本実施例の同軸2重モード共振器では、内部導体2の4つのコーナー部の1つに面取り部7が施されており、この部分で2つの共振は結合する。ここで、面取り部7の角度は、45°とされる。
図4は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器において、共振方向が、図3の矢印Aの場合における磁界成分と、電界成分を説明するための図である。なお、図4において、Aが電界成分を、Bが磁界成分を示す。
図4(a)は、図3のyz断面での磁界成分(図4のB)と、電界成分(図4のA)を示す、図4(b)は、図3のxz断面での磁界成分(図4のB)と、電界成分(図4のA)を示す。
本実施例において、λoを、それぞれの共振モード時の使用中心周波数(fo)の自由空間内波長とするとき、内部導体2の、それぞれの共振モードの方向の一辺の電気長は、λo/2とされる。
【0012】
本実施例の同軸2重モード共振器では、図2に示すように、外部導体1に形成された2つの共振周波数調整用ネジ5(即ち、第1共振周波数調整用ネジと第2共振周波数調整用ネジ)の挿入量(換言すれば、内部導体3と共振周波数調整用ネジ5との間隔)を調整することにより、2つの共振モードのそれぞれの共振周波数を調整することができる。
同様に、面取り部7に対向して、外部導体1に形成された2重モード結合用調整ネジ6の挿入量(換言すれば、内部導体3の面取り部7と2重モード結合用調整ネジ6との間隔)を調整することにより、2つの共振モードの結合量を調整することができる。
図5に、本発明の実施例の同軸2重モード共振器の等価回路を示す。図5において、M1、M2が、2重モードの共振器のそれぞれ共振回路を示し、C01が、入出力端子4に接続される入出力結合プローブと、同軸2重モード共振器の一方の共振器との結合回路を、C12が、同軸2重モード共振器の一方の共振器と同軸2重モード共振器の他方の共振器との結合回路を、C23が、同軸2重モード共振器の他方の共振器と入出力端子4に接続される入出力結合プローブとの結合回路を示す。
【0013】
本実施例の同軸2重モード共振器の特徴とする点は、内部導体2を金属支柱3により、外部導体1に固定し、これにより、内部導体2で生じる熱を、金属支柱3、外部導体1を介して、効率よく外部に放出するようにした点である。
本実施例の同軸2重モード共振器において、内部導体2の、それぞれの共振モードの方向の一辺の電気長は、λo/2とされる。そのため、内部導体2の中心点は、電圧が0(接地電位)となる。そこで、内部導体2の中心部を、金属支柱3により、外部導体1に固定しても、2重モード共振にそれほど影響は与えない。但し、金属支柱3の直径を大きくすれば、2重モード共振に影響を与えるので、金属支柱3の直径は、同軸2重モード共振器の設計仕様に応じて、適宜最適な値に設定する必要がある。
ここで、図2(a)に示すように、内部導体2の厚み(d)とするとき、同軸2重モード共振器の無負荷Q(Qu)は、内部導体2の厚み(d)に応じて変化する。したがって、内部導体2の厚み(d)は、同軸2重モード共振器で必要とされる無負荷Q(Qu)に応じて、適宜最適な値に設定する必要がある。
【0014】
以上説明したように、本実施例の同軸2重モード共振器によれば、従来の半同軸共振器よりも、低姿勢化、小型化を図ることが可能となる。即ち、従来の半同軸共振器は、円柱状の内部導体を用いることが一般的であるが、円柱内部は無駄なスペースが発生する。これに対して、本実施例の同軸2重モード共振器では、平板状の内部導体2を用いることで、無駄なスペースを最小限にすることができるので、従来の半同軸共振器よりも、低姿勢化、小型化を図ることが可能となるとともに、構造が簡単であるので、低コスト化を図ることも可能となる。さらに、本実施例では、内部導体2の縦横方向の寸法を各共振周波数に合わせることで、2重縮退を可能として、小型化を図ることが可能となる。
また、前述の特許文献1に記載されている多重モードの共振器では、内導体ブロックを使用するために、低姿勢化を図ることは困難であるが、本実施例の同軸2重モード共振器によれば、平板状の内部導体2を用いることで、無駄なスペースを最小限にすることができるので、特許文献1に記載の多重モードの共振器よりも、低姿勢化を図ることが可能となる。
また、特許文献1に記載されている多重モードの共振器では、内導体ブロックは、外導体と電気的に非接触の状態で設置する必要があり、誘電体など支持されるので、内導体ブロックで生じる熱を外部に放熱することが困難である。
これに対して、本実施例の同軸2重モード共振器では、内部導体2を金属支柱3により、外部導体1に固定するようにしたので、内部導体2で生じる熱を、金属支柱3、外部導体1を介して、効率よく外部に放出することが可能である。
なお、金属支柱3の直径を大きくすれば、放熱効果が増大するが、共振器の無負荷Q(Qu)が低下し、また、金属支柱3の直径を小さくすれば放熱効果が減少するが、共振器の無負荷Q(Qu)は増加する。したがって、金属支柱3の直径は、同軸2重モード共振器で必要とされる無負荷Q(Qu)に応じて、適宜最適な値に設定する必要がある。
【0015】
[実施例2]
図6は、本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの概要を示す模式斜視図である。
図7は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図であり、図6に示すフィルタにおいて、外部導体の側面部分を剥がして見た図である。
図6、図7において、1は外部導体、21,22,23は内部導体、3は金属支柱、4は入出端子、6は2重モード結合用調整ネジ、8は結合量調整用ネジ、91,92は隔壁である。
本実施例2のフィルタは、前述の実施例の同軸2重モード共振器を3段積層したことを特徴とするものである。
内部導体(21,22,23)は平面形状が四角形形状を有し、内部導体(21,22,23)は金属支柱3に、ネジなどで固定される。
1段目の内部導体21は、外部導体1にネジなどで固定される金属支柱3により、外部導体1に固定される。2段目の内部導体22は、隔壁91にネジなどで固定される金属支柱3により、隔壁91に固定され、3段目の内部導体23は、隔壁92にネジなどで固定される金属支柱3により、隔壁92に固定される。
本実施例の帯域通過フィルタにおいて、各同軸2重モード共振器の内部導体2の、それぞれの共振モードの方向の一辺の電気長は、λo/2とされる。また、外部導体1、および、内部導体(21,22,23)は、前述の実施例1と同じ金属材料で構成される。また、本実施例でも、金属支柱3は、断面形状が円形、3角形、4角形、あるいは、多角形の金属支柱とされる。
【0016】
図8は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図であり、1段目の同軸2重モード共振器の内部構造を説明するための図である。1段目の同軸2重モード共振器の内部構造は、前述の実施例の同軸2重モード共振器の内部構造と同じである。
図9は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図であり、同図(a)は、2段目の同軸2重モード共振器の内部構造を、同図(b)は隔壁91を説明するための図である。
前述したように、2段目の内部導体22は、金属支柱3により隔壁91に固定されるが、図9(b)に示すように、隔壁91には、1段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードと、2段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードとを結合するための結合孔10が形成される。
また、外部導体1には結合量調整用ネジ8が形成されており、結合孔10の内部に挿入される結合量調整用ネジ8の挿入量(結合量調整用ネジ8と、隔壁91に形成された結合孔10の底辺との間の間隔)を調整することにより、1段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードと、2段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードとの間の結合量を調整することが可能である。
【0017】
図10は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図であり、同図(a)は、3段目の同軸2重モード共振器の内部構造を、同図(b)は隔壁92を説明するための図である。
前述したように、3段目の内部導体23は、金属支柱3により隔壁92に固定されるが、図10(b)に示すように、隔壁92には、2段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードと、3段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードとを結合するための結合孔10が形成される。
また、外部導体1には結合量調整用ネジ8が形成されており、結合孔10の内部に挿入される結合量調整用ネジ8の挿入量(結合量調整用ネジ8と、隔壁92に形成された結合孔10の底辺との間の間隔)を調整することにより、2段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードと、3段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードとの間の結合量を調整することが可能である。
なお、隔壁(91,92)に形成される結合孔10は、図13に示すように、隔壁(91,92)の周辺部ではなく、隔壁(91,92)の中心から周辺の間に形成するようにしてもよい。
【0018】
また、本実施例のフィルタでは、図8〜図10に示すように、外部導体1に形成された2つの共振周波数調整用ネジ5(即ち、第1共振周波数調整用ネジと第2共振周波数調整用ネジ)の挿入量(換言すれば、内部導体3と共振周波数調整用ネジ5との間隔)を調整することにより、2つの共振モードのそれぞれの共振周波数を調整することができる。
同様に、面取り部7に対向して、外部導体1に形成された2重モード結合用調整ネジ6の挿入量(換言すれば、内部導体(21,22,23)の面取り部7と2重モード結合用調整ネジ6との間隔)を調整することにより、2つの共振モードの結合量を調整することができる。
図11に、本発明の実施例の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの等価回路を示す。
図11において、M11、M12が、1段目の2重モードの共振器のそれぞれ共振回路、M21、M22が、2段目の2重モードの共振器のそれぞれ共振回路、M31、M32が、3段目の2重モードの共振器のそれぞれ共振回路を示す。
また、C01が、入出力端子4に接続される入出力結合プローブと、1段目の同軸2重モード共振器の一方の共振器との結合回路を、C12が、1段目の同軸2重モード共振器の一方の共振器と、1段目の同軸2重モード共振器の他方の共振器との結合回路を示す。
また、C23が、1段目の同軸2重モード共振器の他方の共振器と、2段目の同軸2重モード共振器の一方の共振器との結合回路、C34が、2段目の同軸2重モード共振器の一方の共振器と、2段目の同軸2重モード共振器の他方の共振器との結合回路を示す。
さらに、C45が、2段目の同軸2重モード共振器の他方の共振器と、3段目の同軸2重モード共振器の一方の共振器との結合回路、C56が、3段目の同軸2重モード共振器の一方の共振器と、3段目の同軸2重モード共振器の他方の共振器との結合回路を示し、C67が、3段目の同軸2重モード共振器の他方の共振器と、入出力端子4に接続される入出力結合プローブとの結合回路を示す。
【0019】
図12Aは、本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの通過特性の一例を示すグラフであり、図12Bは、本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの反射減衰量の一例を示すグラフである。
図12A、図12Bにおいて、横軸は周波数(MHz)であり、中心周波数は、818MHz、1目盛りは、50MHzである。また、縦軸は、減衰量(dB)である。
図12Aに示す通過特性において、814.2MHz〜821.8MHzの通過帯域の減衰量は、約−0.7dB以内となっており、図12Bに示す反射減衰量特性において、814.2MHz〜821.8MHzの通過域の反射減衰量は、約−23dB以上となっている。
なお、前述の説明では、金属支柱3を使用する実施例について説明したが、内部導体2で生じる熱がそれほど問題にならない場合には、金属支柱3は、絶縁体からなる支柱に変更してもよい。この場合は、支柱が2重モード共振に与える影響は少なくて済む。
また、前述の説明では、入出力結合プローブ41を使用した実施例について説明したが、入出力結合プローブ41に代えて結合ループ素子を使用することも可能である。
以上説明したように、本実施例のフィルタは、前述の実施例の同軸2重モード共振器を使用しているので、小型で、且つ低価格化が可能である。さらに、内部導体(21,22,23)で生じる熱を、金属支柱3、外部導体1(または、隔壁(91,92))を介して、効率よく外部に放出することができるので、本実施例のフィルタは、大電力用途に適用することが可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0020】
1 外部導体
2,21,22,23 内部導体
3 金属支柱
4 入出力端子
5 共振周波数調整用ネジ
6 2重モード結合用調整ネジ
7 面取り部
8 結合量調整用ネジ
10 結合孔
41 入出力結合プローブ
91,92 隔壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸2重モード共振器およびフィルタに係わり、特に、1つの物理的空間内(共振器内)に2つの共振モードを縮退させた同軸2重モード共振器と、当該同軸2重モード共振器を使用するフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置等には、1つの共振器で1つの共振モードを持つ、所謂、シングルモードの共振器を用いたフィルタが数多く使用されている。シングルモードの共振器には、例えば金属を用いた半同軸共振器がある。この共振器は外部と電気的に遮蔽された金属ケース内に円柱状の金属の片端を、ネジあるいは蝋付けなどにより金属ケースに電気的に接触、固定させることにより構成される。
シングルモードの共振器は、フィルタを構成する際に遮断導波管内に配置され、隣合う共振器と磁界結合、あるいは電界結合されることにより、所望のフィルタ特性を実現している。しかし、1つの共振器で1つの共振モードしか持たないために、複数のモードが必要なときなどにフィルタの段数が増えるために必要な共振器の数も増え、フィルタ自体が大型化する問題がある。
これに対して、1つの共振器で複数の共振モードを持つ、所謂、多重モードの共振器が提案、利用されている。多重モードの共振器を利用する多重モードフィルタでは、1つの共振器で2以上の共振モードを利用することによって、フィルタ全体で必要とされる共振器の数を削減している。多重モードの共振器は、例えば、下記特許文献1等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3699090号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半同軸共振器は、円柱状の内部導体を用いるが、円柱内部は無駄なスペースが発生する。そのため、従来の半同軸共振器では、小型化、低姿勢化を図ることが困難であった。一方、多重モードの共振器を利用する多重モードフィルタでは、1つの共振器で2以上の共振モードを利用することによって、フィルタ全体で必要とされる共振器の数を削減しているが、多重モードフィルタでも、低姿勢化を図ることが困難であった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、従来の半同軸共振器よりも、小型、低姿勢、且つ、低損失な同軸2重モード共振器、並びに、当該同軸2重モード共振器を用いるフィルタを提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)外部導体と、前記外部導体の内部に配置される平板状の内部導体とを有し、前記内部導体の平面形状は、X軸方向の一対の辺と、前記X軸方向に直交するY軸方向の一対の辺とを有する四角形形状であり、前記内部導体は、前記X軸方向に共振する第1の共振モードと、前記Y軸方向に共振する第2の共振モードとを有する同軸2重モード共振器であって、前記四角形形状の内部導体の中心部を、前記外部導体に固定する支柱(絶縁性の支柱、あるいは、金属の支柱)を有し、前記四角形形状の内部導体の4つの角部の一つは、面取りされており、前記外部導体の任意の1面に設けられ、前記内部導体の前記第1の共振モードと結合する入力端子と、前記外部導体の前記入力端子が設けられている面以外の面に設けられ、前記内部導体の前記第2の共振モードと結合する出力端子とを有する。
(2)(1)において、前記外部導体に設けられる2重モード結合量調整用ネジを有し、前記2重モード結合量調整用ネジは、前記内部導体の面取された部分に対向し、前記2重モード結合量調整用ネジの挿入量により、前記2重モードの結合量を調整する。
(3)(1)において、前記外部導体に設けられる第1共振周波数調整用ネジと第2共振周波数調整用ネジを有し、前記第1共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記Y軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、前記第2共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記X軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、前記第1共振周波数調整用ネジと前記第2共振周波数調整用ネジのそれぞれの挿入量により、同軸2重モード共振器の共振周波数を調整する。
【0006】
(4)nを2以上の整数、jを2以上、n以下の整数とするとき、外部導体と、前記外部導体の内部を、n個の内部空間に分割する(n−1)個の隔壁と、前記n個の内部空間に配置されるn個の同軸2重モード共振器とを備え、前記各同軸2重モード共振器は、前記各内部空間内に配置される平板状の内部導体を有し、前記各同軸2重モード共振器の内部導体の平面形状は、X軸方向の一対の辺と、前記X軸方向に直交するY軸方向の一対の辺とを有する四角形形状であり、前記各同軸2重モード共振器の内部導体は、前記X軸方向に共振する第1の共振モードと、前記Y軸方向に共振する第2の共振モードとを有するフィルタであって、前記1番目の同軸2重モード共振器の前記矩形形状の内部導体の中心部を、前記外部導体に固定する支柱(絶縁性の支柱、あるいは、金属の支柱)と、前記j番目の同軸2重モード共振器の前記矩形形状の内部導体の中心部を、前記隔壁に固定する支柱(絶縁性の支柱、あるいは、金属の支柱)とを有し、前記各同軸2重モード共振器の前記四角形形状の内部導体の4つの角部の一つは、面取りされており、前記外部導体に設けられ、前記1番目の同軸2重モード共振器の内部導体の前記第1の共振モードと結合する入力端子と、前記外部導体に設けられ、前記n番目の同軸2重モード共振器の内部導体の第1の共振モード、あるいは、第2の共振モードと結合する出力端子とを有する。
【0007】
(5)(4)において、前記各同軸2重モード共振器は、前記外部導体に設けられる2重モード結合量調整用ネジを有し、前記各2重モード結合量調整用ネジは、前記各同軸2重モード共振器の前記内部導体の面取された部分に対向し、前記各2重モード結合量調整用ネジの挿入量により、前記各同軸2重モード共振器の前記2重モードの結合量を調整する。
(6)(4)において、前記各同軸2重モード共振器は、前記外部導体に設けられる第1共振周波数調整用ネジと第2共振周波数調整用ネジを有し、前記各同軸2重モード共振器の前記第1共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記Y軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、前記各同軸2重モード共振器の前記第2共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記X軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、前記各同軸2重モード共振器の前記第1共振周波数調整用ネジと前記第2共振周波数調整用ネジの挿入量により、前記各同軸2重モード共振器の共振周波数を調整する。
(7)(4)において、前記各隔壁は、結合孔を有する。
(8)(7)において、前記外部導体に設けられ、前記各隔壁の各結合孔の内部に挿入される結合量調整用ネジを有し、当該結合量調整用ネジの挿入量により、前記各同軸2重モード共振器間の結合量を調整する。
【発明の効果】
【0008】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、従来の半同軸共振器よりも、小型、低姿勢、且つ、低損失な同軸2重モード共振器、並びに、当該同軸2重モード共振器を用いるフィルタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1の同軸2重モード共振器の概要を示す模式斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の同軸2重モード共振器の内部構造を説明するための図である。
【図3】本発明の実施例1の同軸2重モード共振器の共振モードを説明するための図である。
【図4】本発明の実施例1の同軸2重モード共振器の磁界成分と、電界成分を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例1の同軸2重モード共振器の等価回路を示す回路図である。
【図6】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの概要を示す模式斜視図である。
【図7】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図である。
【図8】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図である。
【図9】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図である。
【図10】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図である。
【図11】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの等価回路を示す回路図である。
【図12A】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの通過特性の一例を示すグラフである。
【図12B】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの反射減衰量の一例を示すグラフである。
【図13】本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの隔壁の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施例は、本発明の特許請求の範囲の解釈を限定するためのものではない。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器の概要を示す模式斜視図である。
図2は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器の内部構造を説明するための図であり、同図(a)は、図1に示す同軸2重モード共振器において、外部導体の天井部分を剥がして見た図、同図(b)は、図1に示す同軸2重モード共振器において、外部導体の側面部分を剥がして見た図である。
図1、図2において、1は直方体形状の外部導体、2は平板状の内部導体である。内部導体2は、平面形状が四角形形状を有し、この内部導体2は、金属支柱3に、ネジなどで固定される。そして、金属支柱3は、外部導体1に、ネジなどで固定される。
ここで、外部導体1は、例えば、銀メッキされたアルミニウム、あるいは、銅メッキされたアルミニウムで構成される。また、内部導体は、例えば、スーパーインバー、あるいは、銀メッキされたインバーで構成される。さらに、金属支柱3は、銀メッキされたアルミニウム、あるいは、銅メッキされたアルミニウムで構成される。
なお、外部導体1、あるいは、内部導体2を構成する前述の金属材料は一例であって、必ずしもこの金属材料に限定されるものではなく、例えば、鉄なども使用可能である。
また、図1では、金属支柱3は、断面形状が円形の場合を図示しているが、金属支柱3の断面形状は、円形に限定されるものではなく、3角形、4角形、あるいは、多角形であってもよい。
また、図1、図2において、4は入出力端子、41は入出力結合プローブ、5は共振周波数調整用ネジ、6は2重モード結合用調整ネジ、7は面取り部である。
【0011】
図3は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器の共振モードを説明するための図である。本実施例の同軸2重モード共振器では、図3に矢印A、矢印Bに示すように、図3のX軸と、Y軸方向の2つの方向に共振する2つのTEMモードの共振モードが存在する。
本実施例の同軸2重モード共振器では、内部導体2の4つのコーナー部の1つに面取り部7が施されており、この部分で2つの共振は結合する。ここで、面取り部7の角度は、45°とされる。
図4は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器において、共振方向が、図3の矢印Aの場合における磁界成分と、電界成分を説明するための図である。なお、図4において、Aが電界成分を、Bが磁界成分を示す。
図4(a)は、図3のyz断面での磁界成分(図4のB)と、電界成分(図4のA)を示す、図4(b)は、図3のxz断面での磁界成分(図4のB)と、電界成分(図4のA)を示す。
本実施例において、λoを、それぞれの共振モード時の使用中心周波数(fo)の自由空間内波長とするとき、内部導体2の、それぞれの共振モードの方向の一辺の電気長は、λo/2とされる。
【0012】
本実施例の同軸2重モード共振器では、図2に示すように、外部導体1に形成された2つの共振周波数調整用ネジ5(即ち、第1共振周波数調整用ネジと第2共振周波数調整用ネジ)の挿入量(換言すれば、内部導体3と共振周波数調整用ネジ5との間隔)を調整することにより、2つの共振モードのそれぞれの共振周波数を調整することができる。
同様に、面取り部7に対向して、外部導体1に形成された2重モード結合用調整ネジ6の挿入量(換言すれば、内部導体3の面取り部7と2重モード結合用調整ネジ6との間隔)を調整することにより、2つの共振モードの結合量を調整することができる。
図5に、本発明の実施例の同軸2重モード共振器の等価回路を示す。図5において、M1、M2が、2重モードの共振器のそれぞれ共振回路を示し、C01が、入出力端子4に接続される入出力結合プローブと、同軸2重モード共振器の一方の共振器との結合回路を、C12が、同軸2重モード共振器の一方の共振器と同軸2重モード共振器の他方の共振器との結合回路を、C23が、同軸2重モード共振器の他方の共振器と入出力端子4に接続される入出力結合プローブとの結合回路を示す。
【0013】
本実施例の同軸2重モード共振器の特徴とする点は、内部導体2を金属支柱3により、外部導体1に固定し、これにより、内部導体2で生じる熱を、金属支柱3、外部導体1を介して、効率よく外部に放出するようにした点である。
本実施例の同軸2重モード共振器において、内部導体2の、それぞれの共振モードの方向の一辺の電気長は、λo/2とされる。そのため、内部導体2の中心点は、電圧が0(接地電位)となる。そこで、内部導体2の中心部を、金属支柱3により、外部導体1に固定しても、2重モード共振にそれほど影響は与えない。但し、金属支柱3の直径を大きくすれば、2重モード共振に影響を与えるので、金属支柱3の直径は、同軸2重モード共振器の設計仕様に応じて、適宜最適な値に設定する必要がある。
ここで、図2(a)に示すように、内部導体2の厚み(d)とするとき、同軸2重モード共振器の無負荷Q(Qu)は、内部導体2の厚み(d)に応じて変化する。したがって、内部導体2の厚み(d)は、同軸2重モード共振器で必要とされる無負荷Q(Qu)に応じて、適宜最適な値に設定する必要がある。
【0014】
以上説明したように、本実施例の同軸2重モード共振器によれば、従来の半同軸共振器よりも、低姿勢化、小型化を図ることが可能となる。即ち、従来の半同軸共振器は、円柱状の内部導体を用いることが一般的であるが、円柱内部は無駄なスペースが発生する。これに対して、本実施例の同軸2重モード共振器では、平板状の内部導体2を用いることで、無駄なスペースを最小限にすることができるので、従来の半同軸共振器よりも、低姿勢化、小型化を図ることが可能となるとともに、構造が簡単であるので、低コスト化を図ることも可能となる。さらに、本実施例では、内部導体2の縦横方向の寸法を各共振周波数に合わせることで、2重縮退を可能として、小型化を図ることが可能となる。
また、前述の特許文献1に記載されている多重モードの共振器では、内導体ブロックを使用するために、低姿勢化を図ることは困難であるが、本実施例の同軸2重モード共振器によれば、平板状の内部導体2を用いることで、無駄なスペースを最小限にすることができるので、特許文献1に記載の多重モードの共振器よりも、低姿勢化を図ることが可能となる。
また、特許文献1に記載されている多重モードの共振器では、内導体ブロックは、外導体と電気的に非接触の状態で設置する必要があり、誘電体など支持されるので、内導体ブロックで生じる熱を外部に放熱することが困難である。
これに対して、本実施例の同軸2重モード共振器では、内部導体2を金属支柱3により、外部導体1に固定するようにしたので、内部導体2で生じる熱を、金属支柱3、外部導体1を介して、効率よく外部に放出することが可能である。
なお、金属支柱3の直径を大きくすれば、放熱効果が増大するが、共振器の無負荷Q(Qu)が低下し、また、金属支柱3の直径を小さくすれば放熱効果が減少するが、共振器の無負荷Q(Qu)は増加する。したがって、金属支柱3の直径は、同軸2重モード共振器で必要とされる無負荷Q(Qu)に応じて、適宜最適な値に設定する必要がある。
【0015】
[実施例2]
図6は、本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの概要を示す模式斜視図である。
図7は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図であり、図6に示すフィルタにおいて、外部導体の側面部分を剥がして見た図である。
図6、図7において、1は外部導体、21,22,23は内部導体、3は金属支柱、4は入出端子、6は2重モード結合用調整ネジ、8は結合量調整用ネジ、91,92は隔壁である。
本実施例2のフィルタは、前述の実施例の同軸2重モード共振器を3段積層したことを特徴とするものである。
内部導体(21,22,23)は平面形状が四角形形状を有し、内部導体(21,22,23)は金属支柱3に、ネジなどで固定される。
1段目の内部導体21は、外部導体1にネジなどで固定される金属支柱3により、外部導体1に固定される。2段目の内部導体22は、隔壁91にネジなどで固定される金属支柱3により、隔壁91に固定され、3段目の内部導体23は、隔壁92にネジなどで固定される金属支柱3により、隔壁92に固定される。
本実施例の帯域通過フィルタにおいて、各同軸2重モード共振器の内部導体2の、それぞれの共振モードの方向の一辺の電気長は、λo/2とされる。また、外部導体1、および、内部導体(21,22,23)は、前述の実施例1と同じ金属材料で構成される。また、本実施例でも、金属支柱3は、断面形状が円形、3角形、4角形、あるいは、多角形の金属支柱とされる。
【0016】
図8は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図であり、1段目の同軸2重モード共振器の内部構造を説明するための図である。1段目の同軸2重モード共振器の内部構造は、前述の実施例の同軸2重モード共振器の内部構造と同じである。
図9は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図であり、同図(a)は、2段目の同軸2重モード共振器の内部構造を、同図(b)は隔壁91を説明するための図である。
前述したように、2段目の内部導体22は、金属支柱3により隔壁91に固定されるが、図9(b)に示すように、隔壁91には、1段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードと、2段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードとを結合するための結合孔10が形成される。
また、外部導体1には結合量調整用ネジ8が形成されており、結合孔10の内部に挿入される結合量調整用ネジ8の挿入量(結合量調整用ネジ8と、隔壁91に形成された結合孔10の底辺との間の間隔)を調整することにより、1段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードと、2段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードとの間の結合量を調整することが可能である。
【0017】
図10は、本発明の実施例の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの内部構造を説明するための図であり、同図(a)は、3段目の同軸2重モード共振器の内部構造を、同図(b)は隔壁92を説明するための図である。
前述したように、3段目の内部導体23は、金属支柱3により隔壁92に固定されるが、図10(b)に示すように、隔壁92には、2段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードと、3段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードとを結合するための結合孔10が形成される。
また、外部導体1には結合量調整用ネジ8が形成されており、結合孔10の内部に挿入される結合量調整用ネジ8の挿入量(結合量調整用ネジ8と、隔壁92に形成された結合孔10の底辺との間の間隔)を調整することにより、2段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードと、3段目の同軸2重モード共振器の何れかの共振モードとの間の結合量を調整することが可能である。
なお、隔壁(91,92)に形成される結合孔10は、図13に示すように、隔壁(91,92)の周辺部ではなく、隔壁(91,92)の中心から周辺の間に形成するようにしてもよい。
【0018】
また、本実施例のフィルタでは、図8〜図10に示すように、外部導体1に形成された2つの共振周波数調整用ネジ5(即ち、第1共振周波数調整用ネジと第2共振周波数調整用ネジ)の挿入量(換言すれば、内部導体3と共振周波数調整用ネジ5との間隔)を調整することにより、2つの共振モードのそれぞれの共振周波数を調整することができる。
同様に、面取り部7に対向して、外部導体1に形成された2重モード結合用調整ネジ6の挿入量(換言すれば、内部導体(21,22,23)の面取り部7と2重モード結合用調整ネジ6との間隔)を調整することにより、2つの共振モードの結合量を調整することができる。
図11に、本発明の実施例の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの等価回路を示す。
図11において、M11、M12が、1段目の2重モードの共振器のそれぞれ共振回路、M21、M22が、2段目の2重モードの共振器のそれぞれ共振回路、M31、M32が、3段目の2重モードの共振器のそれぞれ共振回路を示す。
また、C01が、入出力端子4に接続される入出力結合プローブと、1段目の同軸2重モード共振器の一方の共振器との結合回路を、C12が、1段目の同軸2重モード共振器の一方の共振器と、1段目の同軸2重モード共振器の他方の共振器との結合回路を示す。
また、C23が、1段目の同軸2重モード共振器の他方の共振器と、2段目の同軸2重モード共振器の一方の共振器との結合回路、C34が、2段目の同軸2重モード共振器の一方の共振器と、2段目の同軸2重モード共振器の他方の共振器との結合回路を示す。
さらに、C45が、2段目の同軸2重モード共振器の他方の共振器と、3段目の同軸2重モード共振器の一方の共振器との結合回路、C56が、3段目の同軸2重モード共振器の一方の共振器と、3段目の同軸2重モード共振器の他方の共振器との結合回路を示し、C67が、3段目の同軸2重モード共振器の他方の共振器と、入出力端子4に接続される入出力結合プローブとの結合回路を示す。
【0019】
図12Aは、本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの通過特性の一例を示すグラフであり、図12Bは、本発明の実施例2の同軸2重モード共振器を用いた帯域通過フィルタの反射減衰量の一例を示すグラフである。
図12A、図12Bにおいて、横軸は周波数(MHz)であり、中心周波数は、818MHz、1目盛りは、50MHzである。また、縦軸は、減衰量(dB)である。
図12Aに示す通過特性において、814.2MHz〜821.8MHzの通過帯域の減衰量は、約−0.7dB以内となっており、図12Bに示す反射減衰量特性において、814.2MHz〜821.8MHzの通過域の反射減衰量は、約−23dB以上となっている。
なお、前述の説明では、金属支柱3を使用する実施例について説明したが、内部導体2で生じる熱がそれほど問題にならない場合には、金属支柱3は、絶縁体からなる支柱に変更してもよい。この場合は、支柱が2重モード共振に与える影響は少なくて済む。
また、前述の説明では、入出力結合プローブ41を使用した実施例について説明したが、入出力結合プローブ41に代えて結合ループ素子を使用することも可能である。
以上説明したように、本実施例のフィルタは、前述の実施例の同軸2重モード共振器を使用しているので、小型で、且つ低価格化が可能である。さらに、内部導体(21,22,23)で生じる熱を、金属支柱3、外部導体1(または、隔壁(91,92))を介して、効率よく外部に放出することができるので、本実施例のフィルタは、大電力用途に適用することが可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0020】
1 外部導体
2,21,22,23 内部導体
3 金属支柱
4 入出力端子
5 共振周波数調整用ネジ
6 2重モード結合用調整ネジ
7 面取り部
8 結合量調整用ネジ
10 結合孔
41 入出力結合プローブ
91,92 隔壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部導体と、
前記外部導体の内部に配置される平板状の内部導体とを有し、
前記内部導体の平面形状は、X軸方向の一対の辺と、前記X軸方向に直交するY軸方向の一対の辺とを有する四角形形状であり、
前記内部導体は、前記X軸方向に共振する第1の共振モードと、前記Y軸方向に共振する第2の共振モードとを有する同軸2重モード共振器であって、
前記四角形形状の内部導体の中心部を、前記外部導体に固定する支柱を有し、
前記四角形形状の内部導体の4つの角部の一つは、面取りされており、
前記外部導体の任意の1面に設けられ、前記内部導体の前記第1の共振モードと結合する入力端子と、
前記外部導体の前記入力端子が設けられている面以外の面に設けられ、前記内部導体の前記第2の共振モードと結合する出力端子とを有することを特徴とする同軸2重モード共振器。
【請求項2】
前記支柱は、絶縁性の支柱であることを特徴とする請求項1に記載の同軸2重モード共振器。
【請求項3】
前記支柱は、金属の支柱であることを特徴とする請求項1に記載の同軸2重モード共振器。
【請求項4】
前記外部導体に設けられる2重モード結合量調整用ネジを有し、
前記2重モード結合量調整用ネジは、前記内部導体の面取された部分に対向し、
前記2重モード結合量調整用ネジの挿入量により、前記2重モードの結合量を調整することを特徴とする請求項1に記載の同軸2重モード共振器。
【請求項5】
前記外部導体に設けられる第1共振周波数調整用ネジと第2共振周波数調整用ネジを有し、
前記第1共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記Y軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、
前記第2共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記X軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、
前記第1共振周波数調整用ネジと前記第2共振周波数調整用ネジのそれぞれの挿入量により、同軸2重モード共振器の共振周波数を調整することを特徴とする請求項1に記載の同軸2重モード共振器。
【請求項6】
nを2以上の整数、jを2以上、n以下の整数とするとき、
外部導体と、
前記外部導体の内部を、n個の内部空間に分割する(n−1)個の隔壁と、
前記n個の内部空間に配置されるn個の同軸2重モード共振器とを備え、
前記各同軸2重モード共振器は、前記各内部空間内に配置される平板状の内部導体を有し、
前記各同軸2重モード共振器の内部導体の平面形状は、X軸方向の一対の辺と、前記X軸方向に直交するY軸方向の一対の辺とを有する四角形形状であり、
前記各同軸2重モード共振器の内部導体は、前記X軸方向に共振する第1の共振モードと、前記Y軸方向に共振する第2の共振モードとを有するフィルタであって、
前記1番目の同軸2重モード共振器の前記矩形形状の内部導体の中心部を、前記外部導体に固定する支柱と、前記j番目の同軸2重モード共振器の前記矩形形状の内部導体の中心部を、前記隔壁に固定する支柱とを有し、
前記各同軸2重モード共振器の前記四角形形状の内部導体の4つの角部の一つは、面取りされており、
前記外部導体に設けられ、前記1番目の同軸2重モード共振器の内部導体の前記第1の共振モードと結合する入力端子と、
前記外部導体に設けられ、前記n番目の同軸2重モード共振器の内部導体の第1の共振モード、あるいは、第2の共振モードと結合する出力端子とを有することを特徴とするフィルタ。
【請求項7】
前記支柱は、絶縁性の支柱であることを特徴とする請求項6に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記支柱は、金属の支柱であることを特徴とする請求項6に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記各同軸2重モード共振器は、前記外部導体に設けられる2重モード結合量調整用ネジを有し、
前記各2重モード結合量調整用ネジは、前記各同軸2重モード共振器の前記内部導体の面取された部分に対向し、
前記各2重モード結合量調整用ネジの挿入量により、前記各同軸2重モード共振器の前記2重モードの結合量を調整することを特徴とする請求項6に記載のフィルタ。
【請求項10】
前記各同軸2重モード共振器は、前記外部導体に設けられる第1共振周波数調整用ネジと第2共振周波数調整用ネジを有し、
前記各同軸2重モード共振器の前記第1共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記Y軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、
前記各同軸2重モード共振器の前記第2共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記X軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、
前記各同軸2重モード共振器の前記第1共振周波数調整用ネジと前記第2共振周波数調整用ネジの挿入量により、前記各同軸2重モード共振器の共振周波数を調整することを特徴とする請求項6に記載のフィルタ。
【請求項11】
前記各隔壁は、結合孔を有することを特徴とする請求項6に記載のフィルタ。
【請求項12】
前記外部導体に設けられ、前記各隔壁の各結合孔の内部に挿入される結合量調整用ネジを有し、
当該結合量調整用ネジの挿入量により、前記各同軸2重モード共振器間の結合量を調整することを特徴とする請求項11に記載のフィルタ。
【請求項1】
外部導体と、
前記外部導体の内部に配置される平板状の内部導体とを有し、
前記内部導体の平面形状は、X軸方向の一対の辺と、前記X軸方向に直交するY軸方向の一対の辺とを有する四角形形状であり、
前記内部導体は、前記X軸方向に共振する第1の共振モードと、前記Y軸方向に共振する第2の共振モードとを有する同軸2重モード共振器であって、
前記四角形形状の内部導体の中心部を、前記外部導体に固定する支柱を有し、
前記四角形形状の内部導体の4つの角部の一つは、面取りされており、
前記外部導体の任意の1面に設けられ、前記内部導体の前記第1の共振モードと結合する入力端子と、
前記外部導体の前記入力端子が設けられている面以外の面に設けられ、前記内部導体の前記第2の共振モードと結合する出力端子とを有することを特徴とする同軸2重モード共振器。
【請求項2】
前記支柱は、絶縁性の支柱であることを特徴とする請求項1に記載の同軸2重モード共振器。
【請求項3】
前記支柱は、金属の支柱であることを特徴とする請求項1に記載の同軸2重モード共振器。
【請求項4】
前記外部導体に設けられる2重モード結合量調整用ネジを有し、
前記2重モード結合量調整用ネジは、前記内部導体の面取された部分に対向し、
前記2重モード結合量調整用ネジの挿入量により、前記2重モードの結合量を調整することを特徴とする請求項1に記載の同軸2重モード共振器。
【請求項5】
前記外部導体に設けられる第1共振周波数調整用ネジと第2共振周波数調整用ネジを有し、
前記第1共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記Y軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、
前記第2共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記X軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、
前記第1共振周波数調整用ネジと前記第2共振周波数調整用ネジのそれぞれの挿入量により、同軸2重モード共振器の共振周波数を調整することを特徴とする請求項1に記載の同軸2重モード共振器。
【請求項6】
nを2以上の整数、jを2以上、n以下の整数とするとき、
外部導体と、
前記外部導体の内部を、n個の内部空間に分割する(n−1)個の隔壁と、
前記n個の内部空間に配置されるn個の同軸2重モード共振器とを備え、
前記各同軸2重モード共振器は、前記各内部空間内に配置される平板状の内部導体を有し、
前記各同軸2重モード共振器の内部導体の平面形状は、X軸方向の一対の辺と、前記X軸方向に直交するY軸方向の一対の辺とを有する四角形形状であり、
前記各同軸2重モード共振器の内部導体は、前記X軸方向に共振する第1の共振モードと、前記Y軸方向に共振する第2の共振モードとを有するフィルタであって、
前記1番目の同軸2重モード共振器の前記矩形形状の内部導体の中心部を、前記外部導体に固定する支柱と、前記j番目の同軸2重モード共振器の前記矩形形状の内部導体の中心部を、前記隔壁に固定する支柱とを有し、
前記各同軸2重モード共振器の前記四角形形状の内部導体の4つの角部の一つは、面取りされており、
前記外部導体に設けられ、前記1番目の同軸2重モード共振器の内部導体の前記第1の共振モードと結合する入力端子と、
前記外部導体に設けられ、前記n番目の同軸2重モード共振器の内部導体の第1の共振モード、あるいは、第2の共振モードと結合する出力端子とを有することを特徴とするフィルタ。
【請求項7】
前記支柱は、絶縁性の支柱であることを特徴とする請求項6に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記支柱は、金属の支柱であることを特徴とする請求項6に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記各同軸2重モード共振器は、前記外部導体に設けられる2重モード結合量調整用ネジを有し、
前記各2重モード結合量調整用ネジは、前記各同軸2重モード共振器の前記内部導体の面取された部分に対向し、
前記各2重モード結合量調整用ネジの挿入量により、前記各同軸2重モード共振器の前記2重モードの結合量を調整することを特徴とする請求項6に記載のフィルタ。
【請求項10】
前記各同軸2重モード共振器は、前記外部導体に設けられる第1共振周波数調整用ネジと第2共振周波数調整用ネジを有し、
前記各同軸2重モード共振器の前記第1共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記Y軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、
前記各同軸2重モード共振器の前記第2共振周波数調整用ネジは、前記内部導体の前記X軸方向の2つの辺の一方の辺と対向し、
前記各同軸2重モード共振器の前記第1共振周波数調整用ネジと前記第2共振周波数調整用ネジの挿入量により、前記各同軸2重モード共振器の共振周波数を調整することを特徴とする請求項6に記載のフィルタ。
【請求項11】
前記各隔壁は、結合孔を有することを特徴とする請求項6に記載のフィルタ。
【請求項12】
前記外部導体に設けられ、前記各隔壁の各結合孔の内部に挿入される結合量調整用ネジを有し、
当該結合量調整用ネジの挿入量により、前記各同軸2重モード共振器間の結合量を調整することを特徴とする請求項11に記載のフィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【公開番号】特開2012−204918(P2012−204918A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65526(P2011−65526)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000232287)日本電業工作株式会社 (71)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000232287)日本電業工作株式会社 (71)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]