吐出ヘッド
【課題】コンパクトなシャットオフノズルタイプの吐出ヘッドを提案する。
【解決手段】容器のポンプステムにつがなる筒体１ｄ、１ｅを有し、該ステムの動きに合わせて移動可能とするべース１と、該ヘッド本体２の押し込みによる後方へのスライドにてノズル部３の噴出開孔を開放して容器内の内容物を外界へ噴出させるノズルピン５を備えた吐出ヘッドにおいて、前記べース１に、ノズルピン５の後端部に連係し該べース1の隔壁１ａ上面に沿う移動を可能とするスライダー８を設ける。そして、前記ヘッド本体２に、該ヘッド本体２の天面壁２ａから垂下され、下端部に傾斜面９ａ１を有する垂下壁９ａ、９ｂを設け、前記スライダー８に、垂下壁９ａ、９ｂの傾斜面９ａ１に当接し、ヘッド本体２の押し込みによって該傾斜面に９ａ１沿い滑動させてノズルピン５をヘッド本体の後方へ向けてスライドさせる傾斜面１０ａ、１０ｂを設ける。
【解決手段】容器のポンプステムにつがなる筒体１ｄ、１ｅを有し、該ステムの動きに合わせて移動可能とするべース１と、該ヘッド本体２の押し込みによる後方へのスライドにてノズル部３の噴出開孔を開放して容器内の内容物を外界へ噴出させるノズルピン５を備えた吐出ヘッドにおいて、前記べース１に、ノズルピン５の後端部に連係し該べース1の隔壁１ａ上面に沿う移動を可能とするスライダー８を設ける。そして、前記ヘッド本体２に、該ヘッド本体２の天面壁２ａから垂下され、下端部に傾斜面９ａ１を有する垂下壁９ａ、９ｂを設け、前記スライダー８に、垂下壁９ａ、９ｂの傾斜面９ａ１に当接し、ヘッド本体２の押し込みによって該傾斜面に９ａ１沿い滑動させてノズルピン５をヘッド本体の後方へ向けてスライドさせる傾斜面１０ａ、１０ｂを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、加圧媒体を利用したエアゾール容器やプライミングポンプを備えた容器等のステムに装着してその押圧操作により容器内の内容物を適量排出するのに好適な吐出ヘッドに関するものであり、とくに該吐出ヘッドの内部構造の簡素化を図ろうとするものである。
【背景技術】
【０００２】
乳液等の化粧料を入れる容器やシャンプー、リンスあるいは整髪料等を入れる容器にあっては使勝手の改善や衛生面の観点から、ハンディータイプ、据え置きタイプの容器にかかわりなく容器内の内容物を押圧操作により適量排出することを可能とした吐出ヘッドが装着されている。
【０００３】
ところで、この種の吐出ヘッドは、ノズルの噴出口は常に開放されたままになっているのが普通であり、液だれが発生するおそれがあり、しかも噴出ヘッド内に残存する内容物が固化してしまった場合においては噴出ヘッドをスムーズに作動させることができなくなったり、内容物が予期せぬ方向へ噴出してしまうなどの不都合があった。
【０００４】
上述のような従来の問題の解決を図るべく、近年に至っては、噴出ヘッドのヘッド本体内にノズルの噴出口に適合する先端部を有するノズルピンを組み込み、噴出ノズルの押圧操作に伴いノズルピンをスライドさせてノズルの噴出口を開放するようにした構造の吐出ヘッド（シャットオフノズルタイプの吐出ヘッド）が提案（例えば、特許文献1参照）されており、これにより噴出ヘッド内に残存した内容物の固化を回避する試みがなされているところ、上記従来の噴出ヘッドは、ノズルピン（摺動杵）の後端部に係合板を連係させてスライドさせる構造になっているため内部構造が比較的複雑であり、径方向のみならず、高さ方向の寸法が大きくなるのが避けられない状況にあり、外観形状をすっきりしたデザインに仕上げるにも限界があった。
【特許文献１】特開２００８−６４１０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明の課題は、上記のような従来の問題を回避し得る新規なシャットオフノズルタイプの吐出ヘッドを提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、容器のポンプステムにつがなる筒体を有し、該ステムの動きに合わせて移動可能とするべースと、このべースを摺動可能に内挿するヘッド本体と、このヘッド本体とべースとによって区画された閉空間で該べースに固定保持され、該ヘッド本体の側壁を貫通して突出する先端部分を有するノズル部と、このノズル部内でその軸芯に沿って前後にスライド可能に弾性支持され、該ヘッド本体の押し込みによる後方へのスライドにてノズル部の噴出開孔を開放して容器内の内容物を外界へ噴出させるノズルピンを備えた吐出ヘッドであって、
前記べースに、ノズルピンの後端部に連係し該べースの隔壁上面に沿う移動を可能とするスライダーを設け、
前記ヘッド本体に、該ヘッド本体の天面壁から垂下され、下端部に傾斜面を有する垂下壁を設け、
前記スライダーに、垂下壁の傾斜面に当接し、ヘッド本体の押し込みによって該傾斜面に沿い滑動させてノズルピンをヘッド本体の後方へ向けてスライドさせる傾斜面を形成したことを特徴とする吐出ヘッドである。
【発明の効果】
【０００７】
ヘッド本体の内側に下端部に傾斜面を有する垂下壁を設け、べースの隔壁上に該垂下壁の傾斜面に当接する傾斜面を有するガイドを設け、ヘッド本体を押し込みに際し該ガイドをノズルピンとともにヘッド本体の後方へスライドさせることによりノズル部の噴出開孔を開放するようにしたため、通常の吐出ヘッドで使用されているＬ型のレバーやそれに付随する構成部材が不要となり内部構造が簡素化され、サイズのコンパクト化、デザインの多様化が可能となる。
【０００８】
また、吐出ヘッドの内部にはスペースに余裕があるため、径の大きなノズルピンを適用することが可能であり、ノズルピンの強度の改善を図ることができるとともに、効率的な組み込みも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図１は本発明に吐出ヘッドの実施の形態を模式的に示した図であり、図２は図１のＡ−Ａ断面を示した図である。
【００１０】
図における１はべースである。このべース１はディスク状の隔壁１ａと、この隔壁１ａの縁部を取り囲む周壁１ｂと、隔壁１ａの上面にて内容物の排出空間を形成するハウジング１ｃから構成されている。べース１の隔壁１ａの下面には同心二重配置になる筒体１ｄ、１ｅが垂下されており、筒体１ｄの通路１ｄ１はハウジング１ｃの内部空間につながっている。
【００１１】
２は吐出ヘッドの外観を形成しベース１を摺動可能に内挿するヘッド本体である。このヘッド本体２はディスク形状をなす天面壁２ａと、この天面壁２ａの縁部に一体連結して下向きに開放された開口を形成する周壁２ｂと、周壁２ｂの内側面に形成された抜け止め保持用の環状突起（複数の突起でもよい）２ｃからなり、周壁２ａの内側面でべース１が摺動する（ノズルピンのスライド代を確保するための摺動）ようになっている。
【００１２】
また、３は円筒状をなすノズル部である。このノズル部３は、ヘッド本体２とべース１とによって区画された閉空間でべース１のハウジング１ｃの内部周壁で嵌合（横向きの開口部で嵌合）し、リブ又は突起（環状のものであってもよい）ｔによって抜け止めされており、ヘッド本体２の周壁（側壁）２ｂの貫通孔２ｂ１を通り抜けて外界へ突出する先細り形状の先端部分３ａを有している。
【００１３】
４はノズル部３の外周壁に設けられた貫通孔である。この貫通孔４は、１つ以上形成されていればよく、べース１に設けられた筒体１ｄの通路１ｄ１とノズル部３の内側空間とをつなぐものであって、筒体１ｄの通路１ｄ１及び貫通孔４にて内容物の排出経路を形成する。
【００１４】
５はノズル部３の内側空間に配置されたノズルピンである。このノズルピン５はノズル部３の軸芯Ｌに沿う軸芯Ｌ１を有しノズル部３の内側に設けられたガイド３ｂ（ガイド３ｂとしてはリブ状のものが適用され、ガイド３ｂの相互間には内容物が通過する空間部が形成されている）にスライド可能に保持されるピン本体５ａにて構成され、その先端には、ノズル部３の先端部分３ａに形成された開孔に適合して該開孔を閉塞するテーパ部５ｂ（湾曲面を含む）が形成されている。
【００１５】
６はノズルピン５のピン本体５ａの胴体周りに一体的に形成されたシール部材であり、このシール部材６はノズル部３の内周壁に弾性接触することにより内容物の漏れを防止する。７はノズルピン５のピン本体５ａの後端面にその先端へ向けて掘り込まれた凹部である。この凹部７はスプリングＳを入れ込む空間を形成するもので該スプリングＳを凹部７に入れ込み、その後端部をべース１の周壁１ｂの内壁に当接せしめることによりノズルピン５をノズル部３内で弾性支持する。
【００１６】
さらに、８はべース１の隔壁１ａの上にスライド可能に配置されたスライダーである。このスライダー８は図３にその外観形状を斜視図で示したように、ハウジング１ｃの後端側において起立する背面壁部８ａと、この背面壁部８ａの両端に一体的につながり、該ハウジング１ｃの両サイドに向けてそれぞれ伸延するサイド壁（カムを構成する部材）８ｂ、８ｃから構成されており、平面形状がＵ字形状をなしている。
【００１７】
このスライダー８の背面壁８ａにはノズルピン５のピン本体５ａの後端部に設けられた環状段差５ｃに引き抜け不能に引っ掛かる開孔８ａ１が形成されおり、ノズルピン５と同一方向にスライドすることができるようになっている
【００１８】
また、９ａ、９ｂはヘッド本体２の天面壁２ａの下面からハウジング１ｃの両サイドに向けて垂下された左右一対の垂下壁（カムを構成する部材）である。この垂下壁９ａ、９ｂは下端部にヘッド本体２の後方へ指向する傾斜面９ａ１、９ｂ１が形成されている（図１の仮想線参照）。
【００１９】
１０ａ、１０ｂはスライダー８のサイド壁８ｂ、８ｃの端部に設けられた傾斜面である（図３参照）。この傾斜面１０ａ、１０ｂは、ヘッド本体２の前方へ指向する傾斜面（カムフォロアを構成する部材）になっており、その全面がそれぞれ垂下壁９ａ、９ｂの傾斜面９ａ１、９ｂ１に当接（合致）するようになっている。
【００２０】
上記の構成になる吐出ヘッドは、ヘッド本体２に押圧力を付加しない図１に示すような状態にあっては、ノズル部３の先端部分３ａにおける開孔にノズルピン５のテーパ部５ｂが合致している。
【００２１】
容器内の内容物を排出すべく、ヘッド本体２に押圧力を付加して押し下げると、まず、べース１がヘッド本体２の内側で摺動し垂下壁９ａ、９ｂがスライダー８のサイド壁８ｂ、８ｃの端部に設けられた傾斜面１０ａ、１０ｂに強く接触する。そして、この接触により、傾斜垂下壁９の面９ａ１、９ｂ１とサイド壁８ｂ、８ｃの傾斜面１０ａ、１０ｂ同士がその相互間で滑動してスライダー８が図４に示すようにヘッド本体２の後方へ向けて移動する。スライダー８の移動に伴いノズルピン５もスプリングＳの保持力に抗してヘッド本体２の後方へ移動することとなり、ノズル部３の先端部分３ａにおける開孔が開放される。
【００２２】
この押し込みに続いてさらにヘッド本体２を押し込むと、べース１はヘッド本体２とともに押し込まれることになり（べース１の摺動は停止する）、その下部に配置されるポンプが駆動され、ポンプステム、このポンプステムにつながる筒体１ｄ、ハウジング１ｃを通してノズル部３の先端部分３ａの開孔から内容物が排出されることとなり、この押し込み動作を複数回繰り返すことにより内容物は連続的に排出される。
【００２３】
本発明にしたがう吐出ヘッドは、べース１の上にカム部材（サイド壁８ｂ、８ｃ）を備えたスライダー８を配置し、ヘッド本体２の内側に設けた垂下壁９ａ、９ｂをスライダー８のカム部材に連係させるだけでノズルピン５を確実に作動させることができるものであって、構造の簡素化が可能であり、径方向の寸法のみならず高さ方向寸法を短縮することができ、外観形状も比較的に変更しやすくデザインの自由度が高い。
【００２４】
スライダー８はＵ字形状をなすものを例として示したが、スライダー８の形状はＵ字状のものには限定されることはなく、ハウジング１ｃの形状に応じて種々変更される。
【００２５】
さらに、構造の簡素化によりスペースに余裕があるため、ノズルピン５の径を太くすることが可能となり、ノズルピン５そのものの剛性を向上させ該ノズルピン５の作動を安定させることができるとともに組み立て時におけるセット性の改善をも図り得る。
【００２６】
図５は本発明に用いて好適なスライダー８の他の例を示したものである。スライダー８の背面壁８ａにはその上端から開孔８ａ１につながる狭幅の切り込み部８ａ２を設けることができる。この場合、切り込み部８ａ２を通してその周辺部位を弾性変形させながらノズルピン５のピン本体５ａの後端部に設けられた環状段差５ｃに引き抜け不能に連係させることが可能となり組み付けがし易くなる。切り込み幅Ｗについてはノズルピン５のピン本体５ａのサイズに応じて適宜設定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【００２７】
内部構造が簡素化されたコンパクトなノズルピンタイプの吐出ヘッドが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】本発明にしたがう吐出ヘッドの実施の形態を示した図である。
【図２】図１のＡ−Ａ断面を示した図である。
【図３】スライダーの外観斜視図である。
【図４】吐出ヘッドの押し込み状態を示した図である。
【図５】本発明に用いて好適なスライダーの他の例を示した図である。
【符号の説明】
【００２９】
１ べース
１ａ 隔壁
１ｂ 周壁
１ｃ ハウジング
１ｄ 筒体
１ｅ 筒体
２ ヘッド本体
２ａ 天面壁
２ｂ 周壁
２ｂ1 貫通孔
２ｃ 環状突起
３ ノズル部
３ａ 先端部分
４ 貫通孔
５ ノズルピン
５ａ ピン本体
５ｂ テーパ部
６ シール部材
７ 凹部
８ スライダー
８ａ 背面壁部
８ｂ サイド壁
８ｃ サイド壁
９ａ 垂下壁
９ｂ 垂下壁
９ａ１ 傾斜面
９ｂ１ 傾斜面
１０ａ傾斜面
１０ｂ傾斜面
Ｌ 軸芯
Ｌ１ 軸芯
ｔ リブ又は突起
Ｗ 切り込み幅
【技術分野】
【０００１】
本発明は、加圧媒体を利用したエアゾール容器やプライミングポンプを備えた容器等のステムに装着してその押圧操作により容器内の内容物を適量排出するのに好適な吐出ヘッドに関するものであり、とくに該吐出ヘッドの内部構造の簡素化を図ろうとするものである。
【背景技術】
【０００２】
乳液等の化粧料を入れる容器やシャンプー、リンスあるいは整髪料等を入れる容器にあっては使勝手の改善や衛生面の観点から、ハンディータイプ、据え置きタイプの容器にかかわりなく容器内の内容物を押圧操作により適量排出することを可能とした吐出ヘッドが装着されている。
【０００３】
ところで、この種の吐出ヘッドは、ノズルの噴出口は常に開放されたままになっているのが普通であり、液だれが発生するおそれがあり、しかも噴出ヘッド内に残存する内容物が固化してしまった場合においては噴出ヘッドをスムーズに作動させることができなくなったり、内容物が予期せぬ方向へ噴出してしまうなどの不都合があった。
【０００４】
上述のような従来の問題の解決を図るべく、近年に至っては、噴出ヘッドのヘッド本体内にノズルの噴出口に適合する先端部を有するノズルピンを組み込み、噴出ノズルの押圧操作に伴いノズルピンをスライドさせてノズルの噴出口を開放するようにした構造の吐出ヘッド（シャットオフノズルタイプの吐出ヘッド）が提案（例えば、特許文献1参照）されており、これにより噴出ヘッド内に残存した内容物の固化を回避する試みがなされているところ、上記従来の噴出ヘッドは、ノズルピン（摺動杵）の後端部に係合板を連係させてスライドさせる構造になっているため内部構造が比較的複雑であり、径方向のみならず、高さ方向の寸法が大きくなるのが避けられない状況にあり、外観形状をすっきりしたデザインに仕上げるにも限界があった。
【特許文献１】特開２００８−６４１０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明の課題は、上記のような従来の問題を回避し得る新規なシャットオフノズルタイプの吐出ヘッドを提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、容器のポンプステムにつがなる筒体を有し、該ステムの動きに合わせて移動可能とするべースと、このべースを摺動可能に内挿するヘッド本体と、このヘッド本体とべースとによって区画された閉空間で該べースに固定保持され、該ヘッド本体の側壁を貫通して突出する先端部分を有するノズル部と、このノズル部内でその軸芯に沿って前後にスライド可能に弾性支持され、該ヘッド本体の押し込みによる後方へのスライドにてノズル部の噴出開孔を開放して容器内の内容物を外界へ噴出させるノズルピンを備えた吐出ヘッドであって、
前記べースに、ノズルピンの後端部に連係し該べースの隔壁上面に沿う移動を可能とするスライダーを設け、
前記ヘッド本体に、該ヘッド本体の天面壁から垂下され、下端部に傾斜面を有する垂下壁を設け、
前記スライダーに、垂下壁の傾斜面に当接し、ヘッド本体の押し込みによって該傾斜面に沿い滑動させてノズルピンをヘッド本体の後方へ向けてスライドさせる傾斜面を形成したことを特徴とする吐出ヘッドである。
【発明の効果】
【０００７】
ヘッド本体の内側に下端部に傾斜面を有する垂下壁を設け、べースの隔壁上に該垂下壁の傾斜面に当接する傾斜面を有するガイドを設け、ヘッド本体を押し込みに際し該ガイドをノズルピンとともにヘッド本体の後方へスライドさせることによりノズル部の噴出開孔を開放するようにしたため、通常の吐出ヘッドで使用されているＬ型のレバーやそれに付随する構成部材が不要となり内部構造が簡素化され、サイズのコンパクト化、デザインの多様化が可能となる。
【０００８】
また、吐出ヘッドの内部にはスペースに余裕があるため、径の大きなノズルピンを適用することが可能であり、ノズルピンの強度の改善を図ることができるとともに、効率的な組み込みも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図１は本発明に吐出ヘッドの実施の形態を模式的に示した図であり、図２は図１のＡ−Ａ断面を示した図である。
【００１０】
図における１はべースである。このべース１はディスク状の隔壁１ａと、この隔壁１ａの縁部を取り囲む周壁１ｂと、隔壁１ａの上面にて内容物の排出空間を形成するハウジング１ｃから構成されている。べース１の隔壁１ａの下面には同心二重配置になる筒体１ｄ、１ｅが垂下されており、筒体１ｄの通路１ｄ１はハウジング１ｃの内部空間につながっている。
【００１１】
２は吐出ヘッドの外観を形成しベース１を摺動可能に内挿するヘッド本体である。このヘッド本体２はディスク形状をなす天面壁２ａと、この天面壁２ａの縁部に一体連結して下向きに開放された開口を形成する周壁２ｂと、周壁２ｂの内側面に形成された抜け止め保持用の環状突起（複数の突起でもよい）２ｃからなり、周壁２ａの内側面でべース１が摺動する（ノズルピンのスライド代を確保するための摺動）ようになっている。
【００１２】
また、３は円筒状をなすノズル部である。このノズル部３は、ヘッド本体２とべース１とによって区画された閉空間でべース１のハウジング１ｃの内部周壁で嵌合（横向きの開口部で嵌合）し、リブ又は突起（環状のものであってもよい）ｔによって抜け止めされており、ヘッド本体２の周壁（側壁）２ｂの貫通孔２ｂ１を通り抜けて外界へ突出する先細り形状の先端部分３ａを有している。
【００１３】
４はノズル部３の外周壁に設けられた貫通孔である。この貫通孔４は、１つ以上形成されていればよく、べース１に設けられた筒体１ｄの通路１ｄ１とノズル部３の内側空間とをつなぐものであって、筒体１ｄの通路１ｄ１及び貫通孔４にて内容物の排出経路を形成する。
【００１４】
５はノズル部３の内側空間に配置されたノズルピンである。このノズルピン５はノズル部３の軸芯Ｌに沿う軸芯Ｌ１を有しノズル部３の内側に設けられたガイド３ｂ（ガイド３ｂとしてはリブ状のものが適用され、ガイド３ｂの相互間には内容物が通過する空間部が形成されている）にスライド可能に保持されるピン本体５ａにて構成され、その先端には、ノズル部３の先端部分３ａに形成された開孔に適合して該開孔を閉塞するテーパ部５ｂ（湾曲面を含む）が形成されている。
【００１５】
６はノズルピン５のピン本体５ａの胴体周りに一体的に形成されたシール部材であり、このシール部材６はノズル部３の内周壁に弾性接触することにより内容物の漏れを防止する。７はノズルピン５のピン本体５ａの後端面にその先端へ向けて掘り込まれた凹部である。この凹部７はスプリングＳを入れ込む空間を形成するもので該スプリングＳを凹部７に入れ込み、その後端部をべース１の周壁１ｂの内壁に当接せしめることによりノズルピン５をノズル部３内で弾性支持する。
【００１６】
さらに、８はべース１の隔壁１ａの上にスライド可能に配置されたスライダーである。このスライダー８は図３にその外観形状を斜視図で示したように、ハウジング１ｃの後端側において起立する背面壁部８ａと、この背面壁部８ａの両端に一体的につながり、該ハウジング１ｃの両サイドに向けてそれぞれ伸延するサイド壁（カムを構成する部材）８ｂ、８ｃから構成されており、平面形状がＵ字形状をなしている。
【００１７】
このスライダー８の背面壁８ａにはノズルピン５のピン本体５ａの後端部に設けられた環状段差５ｃに引き抜け不能に引っ掛かる開孔８ａ１が形成されおり、ノズルピン５と同一方向にスライドすることができるようになっている
【００１８】
また、９ａ、９ｂはヘッド本体２の天面壁２ａの下面からハウジング１ｃの両サイドに向けて垂下された左右一対の垂下壁（カムを構成する部材）である。この垂下壁９ａ、９ｂは下端部にヘッド本体２の後方へ指向する傾斜面９ａ１、９ｂ１が形成されている（図１の仮想線参照）。
【００１９】
１０ａ、１０ｂはスライダー８のサイド壁８ｂ、８ｃの端部に設けられた傾斜面である（図３参照）。この傾斜面１０ａ、１０ｂは、ヘッド本体２の前方へ指向する傾斜面（カムフォロアを構成する部材）になっており、その全面がそれぞれ垂下壁９ａ、９ｂの傾斜面９ａ１、９ｂ１に当接（合致）するようになっている。
【００２０】
上記の構成になる吐出ヘッドは、ヘッド本体２に押圧力を付加しない図１に示すような状態にあっては、ノズル部３の先端部分３ａにおける開孔にノズルピン５のテーパ部５ｂが合致している。
【００２１】
容器内の内容物を排出すべく、ヘッド本体２に押圧力を付加して押し下げると、まず、べース１がヘッド本体２の内側で摺動し垂下壁９ａ、９ｂがスライダー８のサイド壁８ｂ、８ｃの端部に設けられた傾斜面１０ａ、１０ｂに強く接触する。そして、この接触により、傾斜垂下壁９の面９ａ１、９ｂ１とサイド壁８ｂ、８ｃの傾斜面１０ａ、１０ｂ同士がその相互間で滑動してスライダー８が図４に示すようにヘッド本体２の後方へ向けて移動する。スライダー８の移動に伴いノズルピン５もスプリングＳの保持力に抗してヘッド本体２の後方へ移動することとなり、ノズル部３の先端部分３ａにおける開孔が開放される。
【００２２】
この押し込みに続いてさらにヘッド本体２を押し込むと、べース１はヘッド本体２とともに押し込まれることになり（べース１の摺動は停止する）、その下部に配置されるポンプが駆動され、ポンプステム、このポンプステムにつながる筒体１ｄ、ハウジング１ｃを通してノズル部３の先端部分３ａの開孔から内容物が排出されることとなり、この押し込み動作を複数回繰り返すことにより内容物は連続的に排出される。
【００２３】
本発明にしたがう吐出ヘッドは、べース１の上にカム部材（サイド壁８ｂ、８ｃ）を備えたスライダー８を配置し、ヘッド本体２の内側に設けた垂下壁９ａ、９ｂをスライダー８のカム部材に連係させるだけでノズルピン５を確実に作動させることができるものであって、構造の簡素化が可能であり、径方向の寸法のみならず高さ方向寸法を短縮することができ、外観形状も比較的に変更しやすくデザインの自由度が高い。
【００２４】
スライダー８はＵ字形状をなすものを例として示したが、スライダー８の形状はＵ字状のものには限定されることはなく、ハウジング１ｃの形状に応じて種々変更される。
【００２５】
さらに、構造の簡素化によりスペースに余裕があるため、ノズルピン５の径を太くすることが可能となり、ノズルピン５そのものの剛性を向上させ該ノズルピン５の作動を安定させることができるとともに組み立て時におけるセット性の改善をも図り得る。
【００２６】
図５は本発明に用いて好適なスライダー８の他の例を示したものである。スライダー８の背面壁８ａにはその上端から開孔８ａ１につながる狭幅の切り込み部８ａ２を設けることができる。この場合、切り込み部８ａ２を通してその周辺部位を弾性変形させながらノズルピン５のピン本体５ａの後端部に設けられた環状段差５ｃに引き抜け不能に連係させることが可能となり組み付けがし易くなる。切り込み幅Ｗについてはノズルピン５のピン本体５ａのサイズに応じて適宜設定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【００２７】
内部構造が簡素化されたコンパクトなノズルピンタイプの吐出ヘッドが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】本発明にしたがう吐出ヘッドの実施の形態を示した図である。
【図２】図１のＡ−Ａ断面を示した図である。
【図３】スライダーの外観斜視図である。
【図４】吐出ヘッドの押し込み状態を示した図である。
【図５】本発明に用いて好適なスライダーの他の例を示した図である。
【符号の説明】
【００２９】
１ べース
１ａ 隔壁
１ｂ 周壁
１ｃ ハウジング
１ｄ 筒体
１ｅ 筒体
２ ヘッド本体
２ａ 天面壁
２ｂ 周壁
２ｂ1 貫通孔
２ｃ 環状突起
３ ノズル部
３ａ 先端部分
４ 貫通孔
５ ノズルピン
５ａ ピン本体
５ｂ テーパ部
６ シール部材
７ 凹部
８ スライダー
８ａ 背面壁部
８ｂ サイド壁
８ｃ サイド壁
９ａ 垂下壁
９ｂ 垂下壁
９ａ１ 傾斜面
９ｂ１ 傾斜面
１０ａ傾斜面
１０ｂ傾斜面
Ｌ 軸芯
Ｌ１ 軸芯
ｔ リブ又は突起
Ｗ 切り込み幅
【特許請求の範囲】
【請求項１】
容器のポンプステムにつながる筒体を有し、該ステムの動きに合わせて移動可能とするべースと、このべースを摺動可能に内挿するヘッド本体と、このヘッド本体とべースとによって区画された閉空間で該べースに固定保持され、該ヘッド本体の側壁を貫通して突出する先端部分を有するノズル部と、このノズル部内でその軸芯に沿って前後にスライド可能に弾性支持され、該ヘッド本体の押し込みによる後方へのスライドにてノズル部の噴出開孔を開放して容器内の内容物を外界へ噴出させるノズルピンを備えた吐出ヘッドであって、
前記べースに、ノズルピンの後端部に連係し該べースの隔壁上面に沿う移動を可能とするスライダーを設け、
前記ヘッド本体に、該ヘッド本体の天面壁から垂下され、下端部に傾斜面を有する垂下壁を設け、
前記スライダーに、垂下壁の傾斜面に当接し、ヘッド本体の押し込みによって該傾斜面に沿い滑動させてノズルピンをヘッド本体の後方へ向けてスライドさせる傾斜面を形成したことを特徴とする吐出ヘッド。
【請求項１】
容器のポンプステムにつながる筒体を有し、該ステムの動きに合わせて移動可能とするべースと、このべースを摺動可能に内挿するヘッド本体と、このヘッド本体とべースとによって区画された閉空間で該べースに固定保持され、該ヘッド本体の側壁を貫通して突出する先端部分を有するノズル部と、このノズル部内でその軸芯に沿って前後にスライド可能に弾性支持され、該ヘッド本体の押し込みによる後方へのスライドにてノズル部の噴出開孔を開放して容器内の内容物を外界へ噴出させるノズルピンを備えた吐出ヘッドであって、
前記べースに、ノズルピンの後端部に連係し該べースの隔壁上面に沿う移動を可能とするスライダーを設け、
前記ヘッド本体に、該ヘッド本体の天面壁から垂下され、下端部に傾斜面を有する垂下壁を設け、
前記スライダーに、垂下壁の傾斜面に当接し、ヘッド本体の押し込みによって該傾斜面に沿い滑動させてノズルピンをヘッド本体の後方へ向けてスライドさせる傾斜面を形成したことを特徴とする吐出ヘッド。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１０−１０４９１６（Ｐ２０１０−１０４９１６Ａ）
【公開日】平成２２年５月１３日（２０１０．５．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２７９９８７（Ｐ２００８−２７９９８７）
【出願日】平成２０年１０月３０日（２００８．１０．３０）
【出願人】（０００００６９０９）株式会社吉野工業所 (2,913)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年５月１３日（２０１０．５．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１０月３０日（２００８．１０．３０）
【出願人】（０００００６９０９）株式会社吉野工業所 (2,913)
【Ｆターム（参考）】
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