説明

吐出器および吐出器付き容器

【課題】需要者において内容物の使用に際し一旦ストッパ部材を取り外しても、再度これを取り付けて用いることが可能で、かつ押下ヘッドの押下ストロークを可変にする。
【解決手段】第1筒体27の下端縁と装着キャップ20の天壁部17との間に位置する中間部分19には、一端縁30aが第1筒体27の下端縁に下側から近接若しくは当接し、他端縁30bが天壁部17上に位置するストッパ部材30が着脱可能に嵌合され、ストッパ部材30は、第2筒体19に嵌合する一端側の小径部32と他端側の大径部31とを有する二段筒状に形成されるとともに、その軸線方向における全長にわたって延びる開口部が形成されて上面視C字状に形成され、大径部31の内径は第1筒体19の外径よりも大きくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出器および吐出器付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の吐出器として、従来から、容器体の口部に上方付勢状態で立設されるステムと、ステムの上端に取り付けられるとともに、ノズル孔が形成された押下ヘッドと、前記ステムが上下動自在に挿入された挿通孔を有する天壁部、および天壁部の外周縁から下方に向けて延設された装着周壁部を備え、容器体の口部に装着される装着キャップと、が備えられ、前記押下ヘッドをステムとともに押し下げることにより、容器体内の液体が前記ステムの内部を通してノズル孔から吐出される構成が知られている。
この吐出器は一般に、内容物が充填された容器体の口部に装着された状態で市場に流通しているので、この流通過程で、押下ヘッドが例えば不意に作用した外力等によって押し下げられ内容物がノズル孔から吐出されてしまうおそれがある。そこで、従来から例えば下記特許文献1に示されるように、上昇端位置に位置する押下ヘッドと装着キャップとの間に、ストッパ部材を離脱可能に介装する手段が提案されている。
【特許文献1】実開平06−81653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで近年では、押下ヘッドの押下ストロークを可変にすることで吐出量を可変にした吐出器が要望されている。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、需要者において内容物の使用に際し一旦ストッパ部材を取り外しても、再度これを取り付けて用いることが可能で、しかも押下ヘッドの押下ストロークを可変にすることができる吐出器および吐出器付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の吐出器は、容器体の口部に上方付勢状態で立設されるステムと、ステムの上端に取り付けられるとともに、ノズル孔が形成された押下ヘッドと、前記ステムが上下動自在に挿入された挿通孔を有する天壁部、および天壁部の外周縁から下方に向けて延設された装着周壁部を備え、容器体の口部に装着される装着キャップと、が備えられ、前記押下ヘッドをステムとともに押し下げることにより、容器体内の液体が前記ステムの内部を通してノズル孔から吐出される吐出器であって、前記押下ヘッドには第1筒体が下方に向けて延設されるとともに、当該吐出器において前記第1筒体の下端縁と前記装着キャップの天壁部との間に位置する中間部分には、一端縁が前記第1筒体の下端縁に下側から近接若しくは当接し、他端縁が前記装着キャップの天壁部上に位置する筒状のストッパ部材が着脱可能に嵌合され、前記ストッパ部材は、前記中間部分に嵌合する一端側の小径部と他端側の大径部とを有する二段筒状に形成されるとともに、その軸線方向における全長にわたって延びる開口部が形成されて上面視C字状に形成され、前記大径部の内径は前記第1筒体の外径よりも大きくなっていることを特徴とする。
この発明では、前記中間部分に、一端縁が第1筒体の下端縁に下側から近接若しくは当接し、他端縁が装着キャップの天壁部上に位置するストッパ部材が着脱可能に嵌合されているので、流通過程で、押下ヘッドが例えば不意に作用した外力等によって押し下げられようとしても、この移動をストッパ部材により阻止することが可能になり、内容物がノズル孔から吐出されるのを防ぐことができる。
しかも、ストッパ部材が、その軸線方向における全長にわたって延びる開口部が形成された上面視C字状に形成されているので、前記開口部の幅を広げるようにこのストッパ部材を弾性変形させ易くすることが可能になり、ストッパ部材を容易に前記中間部分に着脱することができる。したがって、ストッパ部材を一旦取り外した後に再度これを取り付けて用いることができるとともに、操作性を向上させることができる。
さらにまた、ストッパ部材を前記中間部分から一旦取り外した後に上下反転させて前記一端縁を装着キャップの天壁部上に位置させた状態で、小径部を前記中間部分の外面に嵌合すると、前記大径部の内径が第1筒体の外径よりも大きくなっているので、この第1筒体の下端縁と、ストッパ部材の内部における小径部と大径部との連結部分とが、上下方向で対向することになる。すなわち、ストッパ部材を上下反転させて前記中間部分の外面に小径部を嵌合することにより、押下ヘッドの押下ストロークを、ストッパ部材を取り外したときの押下ストロークと比べて小径部の高さ分だけ小さくすることが可能になり、押下ヘッドの押下ストロークを可変にすることができる。
【0006】
ここで、前記押下ヘッドには、下方に向けて延設されて前記ステムが嵌合されるとともに、前記第1筒体により径方向外方から囲繞された嵌合筒部が備えられ、前記装着キャップにおいて前記挿通孔の外周縁部には、第2筒体が上方に向けて延設され、この第2筒体の内側および挿通孔内に前記嵌合筒部が上下動自在に挿入され、前記中間部分は当該第2筒体となってもよい。
【0007】
さらに、前記ストッパ部材の小径部の内周面には、その周方向に間隔をあけて複数の支持突部が突設され、これらの支持突部が前記中間部分の外周面に当接してもよい。
この場合、ストッパ部材の小径部の内周面に突設された支持突部が前記中間部分の外周面に当接しているので、小径部の内周面と前記中間部分の外周面との間に隙間が設けられることになり、これらが互いに密接することによってストッパ部材が前記中間部分から取り外し難くなるのを防止することができる。
【0008】
また、前記ストッパ部材には、前記小径部と大径部とを連結するフランジ状部が備えられ、このフランジ状部に貫通孔が形成されてもよい。
この場合、小径部と大径部との間のフランジ状部に貫通孔が形成されているので、前述のようにストッパ部材を上下反転させた状態で前記中間部分の外面に小径部を嵌合して内容物を使用する過程で、ストッパ部材の内部に大径部側の開口部から水等が進入し易くなったとしても、この水等を前記貫通孔を通して外部に排出し易くすることが可能になる。
【0009】
さらに、前記小径部および前記大径部にはそれぞれ、前記軸線方向における全長にわたって延びる薄肉部が形成されており、小径部と大径部との連結部分のうち前記薄肉部と対応する位置に貫通孔が形成されてもよい。
この場合、前記中間部分が内部に嵌合される小径部および前記大径部に薄肉部が形成され、しかも小径部と大径部との連結部分のうち前記薄肉部と対応する位置に貫通孔が形成されているので、前記開口部の幅を広げるように変形させ易くすることが可能になり、このストッパ部材を前記中間部分に容易に着脱することができる。
【0010】
また、前記ストッパ部材の外周面には径方向外方に向けてつまみ部が突設されてもよい。
この場合、ストッパ部材につまみ部が設けられているので、このつまみ部をつまんでストッパ部材を前記中間部分に対して径方向外方に向けて引っ張ることで容易に前記中間部分から取り外すことが可能になる。
ここで、つまみ部を小径部の外周面に設け、このつまみ部の先端を、前記大径部の外周面よりも径方向内方に位置させる、若しくはストッパ部材の平面視で前記大径部の外周面上に位置させてもよい。
この場合、ストッパ部材につまみ部を設けたことによって、吐出器やこの吐出器が装着された容器の搬送性が害されるのを防ぐことができる。
【0011】
さらに、前記第1筒体の外周面、および前記大径部の内周面にはそれぞれ、ストッパ部材を上下反転させた状態で前記中間部分の外面に小径部を嵌合して前記押下ヘッドを押し下げたときに、互いに係合可能な係合部が各別に形成され、ストッパ部材の小径部は、前記中間部分の外面に上下摺動自在に嵌合されてもよい。
この場合、ストッパ部材を前述のように上下反転させて前記中間部分に取り付けた後に押下ヘッドを押し下げると、第1筒体が大径部内に進入し、第1筒体の外周面および大径部の内周面にそれぞれ形成された各係合部が互いに係合することになる。そして、押下ヘッドの押し下げを解除すると、第1筒体が大径部内に進入したままの状態で押下ヘッドとともにストッパ部材も上昇し、その後、押下ヘッドの上下動にストッパ部材が追従して、このストッパ部材の一端縁が装着キャップの天壁部に対して上下方向に接近離間することになる。
このように、ストッパ部材を上下反転させた状態で前記中間部分の外面に小径部を嵌合して内容物を使用する過程で、第1筒体を大径部内に進入させておくことが可能になり、ストッパ部材の内部に大径部側の開口部から水等を入り難くすることができる。
【0012】
この構成において、前述のようにストッパ部材の小径部の内周面に支持突部を突設し、この支持突部を前記中間部分の外周面に当接させるようにすると、押下ヘッドの上下動にストッパ部材が追従する際に、前記中間部分の外周面とストッパ部材の小径部の内周面との間に発生する摩擦力を抑えることが可能になり、例えば押下ヘッドの押し下げを解除しても押下ヘッドおよびストッパ部材が上昇端位置まで戻れなくなる等といった不具合の発生を防ぐことができる。
【0013】
ここで、前記大径部の内周面に形成された係合部を、径方向内方に向けて突出した係合突部とした場合には、この突部は大径部の内周面に周方向に間隔をあけて複数形成するとともに、大径部において各係合突部に小径部側から各別に連なる複数の連設部分からそれぞれ、小径部と大径部との連結部分において各係合突部の径方向内方端よりも径方向内方に位置する部分に至る貫通孔を各別に形成するのが好ましい。
なお、この貫通孔の周長は、係合突部の周長と同等にすることが好ましいが、係合突部の周長よりも長くしてもよい。
この場合、ストッパ部材を金型内に樹脂を供給して成形する場合に、金型構造が複雑になることを防止でき、かつ型開き時に係合突部に大きな負荷が作用して変形するのを防ぐことが可能になり、係合突部を精度良く形成することができる。
【0014】
さらに、前記押下ヘッドおよびステムに連係した液用ピストンが内部を上下方向に摺動する液用シリンダと、前記押下ヘッドに連係した空気用ピストンが内部を上下方向に摺動するとともに、前記装着キャップの内側に取り付けられた空気用シリンダと、前記液用シリンダからの液体と空気用シリンダからの空気とが合流する気液混合室と、前記ノズル孔と気液混合室との間に設置された発泡部材と、を備え、容器体の口部に装着した状態で前記押下ヘッドを押し下げて液用シリンダ内の液体および空気用シリンダ内の空気を加圧することにより、これらの液体および空気を、気液混合室に移送して合流させ発泡部材を通して発泡させて前記ノズル孔から吐出する構成とされてもよい。
この場合、前述の作用効果を有するいわゆるフォーマポンプが得られる。
【0015】
また、本発明の吐出器付き容器は、容器体の口部に吐出器が装着された吐出器付き容器であって、前記吐出器は本発明の吐出器とされ、前記容器体には液体洗浄剤組成物または殺菌剤組成物が収納されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る吐出器および吐出器付き容器によれば、需要者において内容物の使用に際し一旦ストッパ部材を取り外しても、再度これを取り付けて用いることが可能で、しかも押下ヘッドの押下ストロークを可変にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1から図4を参照し、この発明の第1実施形態について説明する。本実施形態に係る吐出器10には、図示されない容器体の口部に上方付勢状態で立設されるステム11と、ステム11の上端に取り付けられるとともに、ノズル孔12が形成された押下ヘッド15と、ステム11が上下動自在に挿入された挿通孔19aを有する天壁部17、および天壁部17の外周縁から下方に向けて延設された装着周壁部18を備え、容器体の口部に装着される装着キャップ20と、が備えられている。
【0018】
図示の例では、押下ヘッド15には、下方に向けて延設されて内部にステム11が嵌合された嵌合筒部14と、下方に向けて延設されて嵌合筒部14をその径方向外方から囲繞する囲繞筒部(第1筒体)27と、が備えられている。なお、囲繞筒部27の外径は、装着周壁部18の内径よりも小さくなっている。
また、装着キャップ20には、天壁部17において挿通孔19aの外周縁部に上方に向けて延設されたガイド筒部(第2筒体)19が備えられ、このガイド筒部19の内側および挿通孔19a内に、嵌合筒部14が上下動自在に挿入されている。なお、挿通孔19aの内径はガイド筒部19の内径と同等になっている。さらに、囲繞筒部27の内径はガイド筒部19の外径よりも大きくなっており、押下ヘッド15を押し下げたときに、囲繞筒部27の内周面とガイド筒部19の外周面とが径方向で対向するようになっている。また、このガイド筒部19が、吐出器10において囲繞筒部27の下端縁と装着キャップ20の天壁部17との間に位置する中間部分となっている。
【0019】
また、吐出器10には、押下ヘッド15およびステム11に連係した液用ピストン21と、内部をこの液用ピストン21が上下方向に摺動する液用シリンダ22と、押下ヘッド15に連係した空気用ピストン23が内部を上下方向に摺動するとともに、装着キャップ20の内側に取り付けられた空気用シリンダ24と、液用シリンダ22からの液体と空気用シリンダ24からの空気とが合流する気液混合室25と、ノズル孔12と気液混合室25との間に設置された発泡部材26と、が備えられている。
【0020】
そして、以上の吐出器10を、図示されない容器体の口部に装着した状態で押下ヘッド15をステム11とともに押し下げて液用シリンダ22内の液体および空気用シリンダ24内の空気を加圧することにより、これらの液体および空気を、気液混合室25に移送して合流させ発泡部材26を通して発泡させてノズル孔12から吐出するようになっている。
なお、以上のステム11、装着キャップ20、液用ピストン21、液用シリンダ22、空気用ピストン23、空気用シリンダ24および発泡部材26は全て、筒状体とされるとともに、共通軸と同軸上に位置させられて吐出器10に備えられている。
【0021】
ここで、押下ヘッド15の外周縁部には下方に向けて環状凸部28が突設されている。また、押下ヘッド15の下面には、その径方向に沿って延在し囲繞筒部27および環状凸部28を貫通するノズル筒部29が設けられており、このノズル筒部29の一端開口部は嵌合筒部14の内部に開口し、他端開口部は環状凸部28よりも径方向外方に位置させられて前述のノズル孔12となっている。
【0022】
さらに、囲繞筒部27の下端部は、嵌合筒部14の下端部よりも上方に位置し、かつ押下ヘッド15およびステム11が上昇端位置に位置した状態で、径方向内側で装着キャップ20のガイド筒部19の上端部と対向している。
そして、このガイド筒部19の上端部外周面にはその全周にわたって環状突部16が突設されている。
また、押下ヘッド15の囲繞筒部27の下端部内周面には、筒部材13が嵌合されている。図示の例では、囲繞筒部27の内周面において下端部には他の部分よりも大径になるように環状凹部が形成されており、筒部材13はこの囲繞筒部27の下端部内周面に上側から支持された状態で嵌合している。さらに、この筒部材13は、囲繞筒部27における前記他の部分の内周面よりも径方向内方に突出し、かつ囲繞筒部27の下端縁を覆っている。
【0023】
以上より、押下ヘッド15およびステム11がその上昇端位置に位置した状態で、前記環状突部16と筒部材13とが近接若しくは当接するようになっている。なお、筒部材13を形成する各材質としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステルなどの一般的な合成樹脂や、オレフィン系、スチレン系、若しくはポリエステル系等の熱可塑性のエラストマ材料などのゴム状弾性体等が挙げられる。
【0024】
そして、本実施形態では、ガイド筒部19の外周面に、一端縁30aが囲繞筒部27の下端縁に下側から近接若しくは当接し、他端縁30bが装着キャップ20の天壁部17上に位置する筒状のストッパ部材30が着脱可能に嵌合されている。
ストッパ部材30は、他端側の大径部31とガイド筒部19の外周面に嵌合する一端側の小径部32とを有する二段筒状に形成されている。また、これらの大径部31および小径部32は同軸上に配置されている。さらに、大径部31の内径は、囲繞筒部27の外径よりも大きくなっている。
【0025】
ここで、大径部31と小径部32とは径方向に延びるフランジ状部33を介して連結されている。そして、このフランジ状部33には上下方向に貫通する貫通孔36が形成されている。図示の例では、貫通孔36は、フランジ状部33に周方向に略等間隔をあけて複数形成されており、その平面視形状は矩形状となっている。
また、ストッパ部材30には、その軸線方向における全長にわたって延びる開口部34が形成されて上面視C字状に形成されている。図示の例では、開口部34の開口角度θは例えば約110°となっている。
【0026】
さらに、小径部32の外周面には径方向外方に向けてつまみ部35が突設されている。このつまみ部35は、小径部32の外周面の周方向中央部、つまりこのストッパ部材30の軸線を径方向で挟んだ開口部34の周方向中央部の反対に位置する部分に設けられている。図示の例では、つまみ部35は、その平面視において、小径部32の外周面に連結されてその径方向に沿って延びる連結部35aと、この連結部35aの径方向外方端に連結されて前記径方向に直交する方向に延びる先端部35bとを備え、概略T字状に形成されている。そして、先端部35bの先端面は、大径部31の外周面よりも径方向内方に位置している、若しくはストッパ部材30の平面視で大径部31の外周面上に位置している。さらに、つまみ部35の前記軸線方向における長さは、小径部32の外周面における前記軸線方向の長さと同等になっている。
【0027】
また、本実施形態では、小径部32の内周面には、その周方向に間隔をあけて複数の支持突部37が突設され、これらの支持突部37がガイド筒部19の外周面に当接した状態で、小径部32内にガイド筒部19が嵌合されている。図示の例では、各支持突部37は、軸線方向に長い長方形状に形成されている。また、支持突部37の軸線方向における両端部は、小径部32の軸線方向における両端部よりも内側に位置している。
なお、以上のストッパ部材30は、例えば金型内に樹脂を供給することにより一体に成形される。
【0028】
以上説明したように本実施形態に係る吐出器10によれば、ガイド筒部19の外周面に、一端縁30aが囲繞筒部27の下端縁に下側から近接若しくは当接し、他端縁30bが装着キャップ20の天壁部17上に位置するストッパ部材30が着脱可能に嵌合されているので、流通過程で、押下ヘッド15が例えば不意に作用した外力等によって押し下げられようとしても、この移動をストッパ部材30により阻止することが可能になり、内容物がノズル孔12から吐出されるのを防ぐことができる。
【0029】
しかも、ストッパ部材30が、その軸線方向における全長にわたって延びる開口部34が形成された上面視C字状に形成されているので、開口部34の幅を広げるようにこのストッパ部材30を弾性変形させ易くすることが可能になり、ストッパ部材30を容易にガイド筒部19の外周面に着脱することができる。したがって、ストッパ部材30を一旦取り外した後に再度これを取り付けて用いることができるとともに、操作性を向上させることができる。
【0030】
さらにまた、ストッパ部材30をガイド筒部19から一旦取り外した後に上下反転させて前記一端縁30aを装着キャップ20の天壁部17上に位置させた状態で、小径部32をガイド筒部19の外面に嵌合すると、大径部31の内径が囲繞筒部27の外径よりも大きくなっているので、この囲繞筒部27の下端縁と、フランジ状部33の内面とが、上下方向で対向することになる。すなわち、ストッパ部材30を上下反転させてガイド筒部19の外面に小径部32を嵌合することにより、押下ヘッド15の押下ストロークを、ストッパ部材30を取り外したときの押下ストロークと比べて小径部32の高さ分だけ小さくすることが可能になり、押下ヘッド15の押下ストロークを可変にすることができる。
【0031】
また、ストッパ部材30の小径部32の内周面に突設された支持突部37がガイド筒部19の外周面に当接しているので、小径部32の内周面とガイド筒部19の外周面との間に隙間が設けられることになり、これらが互いに密接することによってストッパ部材30がガイド筒部19から取り外し難くなるのを防止することができる。
【0032】
さらに、小径部32と大径部31との間のフランジ状部33に貫通孔36が形成されているので、前述のようにストッパ部材30を上下反転させた状態でガイド筒部19の外面に小径部32を嵌合して内容物を使用する過程で、ストッパ部材30の内部に大径部31側の開口部から水等が入り易くなったとしても、この水等を貫通孔36を通して外部に排出し易くすることが可能になる。
【0033】
また、ストッパ部材30につまみ部35が設けられているので、このつまみ部35をつまんでストッパ部材30をガイド筒部19に対して径方向外方に向けて引っ張ることで容易にガイド筒部19から取り外すことが可能になる。
さらに、このつまみ部35が小径部32に設けられ、その先端が大径部31の外周面よりも径方向内方に位置している、若しくはストッパ部材30の平面視で大径部31の外周面上に位置しているので、ストッパ部材30につまみ部35を設けたことによって、吐出器10やこの吐出器10が装着された容器の搬送性が害されるのを防ぐこともできる。
【0034】
次に、本発明に係る吐出器の第2実施形態を、図5を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の吐出器40では、囲繞筒部27の外周面、および大径部31の内周面にそれぞれ、ストッパ部材41を上下反転させた状態でガイド筒部19の外面に小径部32を嵌合して押下ヘッド15を押し下げたときに、互いに係合可能な第1係合部42および第2係合部43が各別に形成されている。さらに、ストッパ部材41の小径部32は、ガイド筒部19の外面に上下摺動自在に嵌合されている。
【0035】
図示の例では、囲繞筒部27の外周面に形成された第1係合部42は、径方向外方に向けてその全周にわたって突設された環状突部とされるとともに、大径部31の内周面に形成された第2係合部43は、径方向内方に向けてその全周にわたって突設された環状突部となっている。なお、第1係合部42は、囲繞筒部27の外周面における下端部に形成され、第2係合部43は、大径部31の内周面において小径部32側に位置する部分に形成されている。
【0036】
以上より、ストッパ部材41を上下反転させてガイド筒部19の外周面に取り付けた後に押下ヘッド15を押し下げると、囲繞筒部27が大径部31内に進入し、囲繞筒部27の外周面および大径部31の内周面にそれぞれ形成された第1係合部42と第2係合部43とが互いに係合することになる。そして、押下ヘッド15の押し下げを解除すると、囲繞筒部27が大径部31内に進入したままの状態で押下ヘッド15とともにストッパ部材41も上昇し、その後、押下ヘッド15の上下動にストッパ部材41が追従して、このストッパ部材41の一端縁30aが装着キャップ20の天壁部17に対して上下方向に接近離間することになる。
【0037】
以上説明したように本実施形態に係る吐出器40によれば、ストッパ部材41を上下反転させた状態で小径部32をガイド筒部19の外面に嵌合して内容物を使用する過程で、囲繞筒部27を大径部31内に進入させておくことが可能になり、ストッパ部材41の内部に大径部31側の開口部から水等を入り難くすることができる。
この構成において、前述のようにストッパ部材41の小径部32の内周面に支持突部37を突設し、この支持突部37をガイド筒部19の外周面に当接させるようにすると、押下ヘッド15の上下動にストッパ部材41が追従する際に、ガイド筒部19の外周面とストッパ部材41の小径部32の内周面との間に発生する摩擦力を抑えることが可能になり、例えば押下ヘッド15の押し下げを解除しても押下ヘッド15およびストッパ部材41が上昇端位置まで戻れなくなる等といった不具合の発生を防ぐことができる。
【0038】
なお、本実施形態では、第1係合部42および第2係合部43をともに環状突部としたが、これに代えていずれか一方を環状溝部にし、他方をこの環状溝部に係合可能な環状突部としてもよい。また、第1係合部42および第2係合部43は、周方向に沿って断続的に延びる突部や溝部にしてもよい。
【0039】
次に、本発明に係る吐出器の第3実施形態を、図6から図8を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態および第2実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0040】
本実施形態の吐出器50では、ストッパ部材51における大径部31の内周面に、囲繞筒部27に形成された第1係合部42が係合可能な第2係合突部52が周方向に間隔をあけて複数形成されている。この第2係合突部52は、周方向に長い直方体状に形成され、この第2係合突部52において、ストッパ部材51を上下反転させてガイド筒部19の外面に小径部32を嵌合したときに、上方を向く表面52aが径方向内方に向かうに従い下方に向けて延びる傾斜面となっている。
【0041】
また、大径部31において各第2係合突部52に小径部32側から各別に連なる複数の連設部分からそれぞれ、フランジ状部33において各第2係合突部52の径方向内方端52bよりも径方向内方に位置する部分に至る貫通孔53が各別に形成されている。さらに、貫通孔53の周長と第2係合突部52の周長とは互いに同等になっている。また、第2係合突部52における小径部32側を向く表面は径方向に沿って延びている。
【0042】
本実施形態に係る吐出器50においても、前記第2実施形態と同様の作用効果を有するとともに、ストッパ部材51を金型内に樹脂を供給して成形する場合に、金型構造が複雑になることを防止でき、かつ型開き時に第2係合突部52に大きな負荷が作用して変形するのを防ぐことが可能になり、第2係合突部52を精度良く形成することができる。
【0043】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、吐出器10として、ノズル孔12から泡状の液体を吐出するいわゆるフォーマポンプを示したが、これに代えて例えば、空気用ピストン23、空気用シリンダ24、気液混合室25、および発泡部材26等を有さず、液体を泡立たせずにノズル孔12から吐出するポンプにも適用可能である。
さらにまた、液用ピストン21および液用シリンダ22を有するポンプ式の吐出器に代えて、例えば液用ピストン21および液用シリンダ22を有さない、いわゆるエアゾール式の吐出器においても適用可能である。
そして、以上の各構成において、下端縁がストッパ部材30、41、51の一端縁30aに上側から近接若しくは当接し、かつこのストッパ部材30、41、51を上下反転させて取り付けたときに大径部31内に進入する第1筒体として、囲繞筒部27に代えて例えば、嵌合筒部14等にしてもよい。また、小径部32内に嵌合させる、吐出器10、40、50において第1筒体の下端縁と装着キャップ20の天壁部17との間に位置する中間部分として、ガイド筒部19に代えて例えば、天壁部17から上方に向けて突出したステム11、または天壁部17から上方に向けて突出した、若しくは天壁部17の上方に位置する嵌合筒部14等にしてもよい。
【0044】
また、前記実施形態では、ストッパ部材30、41、51の小径部32の内周面に複数の支持突部37を突設したが、これらの支持突部37は設けなくてもよい。
さらに、フランジ状部33に貫通孔36を形成したが、この貫通孔36は1つだけ形成してもよいし、全く形成しなくてもよい。
また、つまみ部35は設けなくてもよい。
さらに、囲繞筒部27に筒部材13を嵌合してこれら27、13を別部材とした構成を示したが、一体に形成してもよい。
さらにまた、環状凸部28を有しない押下ヘッド15を採用してもよい。
【0045】
また、前記各実施形態で示したストッパ部材30、41、51に代えて、図9に示されるようなストッパ部材61を採用してもよい。
このストッパ部材61の小径部32および大径部31にはそれぞれ、前記軸線方向における全長にわたって延びる薄肉部32aが形成されている。なお、図示の例では、薄肉部32aは、小径部32および大径部31の内周面において周方向の中央部に形成されている。また、この薄肉部32aの周長は、小径部32の内周面における周長の約3分の1となっている。
さらに、フランジ状部33の周方向における中央部には、周方向に長い貫通孔62が形成されている。この貫通孔62は、フランジ状部33において薄肉部32aと対応する位置に形成されている。薄肉部32aのうち大径部31に形成された部分は、貫通孔62の内周面において径方向外側に位置し周方向に沿って延びる部分と面一になっている。なお、薄肉部32aは、小径部32および大径部31の外面に形成してもよく、その周方向位置は適宜変更してもよい。
さらに、つまみ部35は、大径部31の外周面における周方向の中央部に設けられている。
【0046】
以上のストッパ部材61では、薄肉部32aおよび貫通孔62が形成されているので、小径部32を前記開口部34の幅を広げるように変形させ易くすることが可能になり、このストッパ部材61を容易に着脱することができる。
また、フランジ状部33に貫通孔62が形成されているので、前述のようにストッパ部材61を上下反転させた状態でガイド筒部19の外面に小径部32を嵌合して内容物を使用する過程で、ストッパ部材61の内部に大径部31側の開口部から水等が入り易くなったとしても、この水等を貫通孔62を通して外部に排出し易くすることが可能になる。
【0047】
なお、前記容器体に収納される液体は、従来から存在する吐出器付き容器を利用することが可能な組成物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、従来公知の液体洗浄剤組成物または殺菌剤組成物等が挙げられる。
前記液体洗浄剤組成物としては、例えばシャンプー、リンス若しくはボディソープ等の身体用液体洗浄剤組成物、あるいは例えば風呂洗浄剤、シンク洗浄剤、食器洗浄剤若しくは自動車ボディの洗浄剤等の硬表面用液体洗浄剤組成物、さらには例えば衣類の洗剤、柔軟剤若しくは仕上げ剤等の衣料用液体洗浄剤組成物が挙げられる。
前記殺菌剤組成物としては、例えば手指や皮膚等を殺菌する身体用殺菌剤組成物、あるいは例えば食器や衣料等を殺菌する日用品用殺菌剤組成物が挙げられる。
従来から存在する吐出器付き容器を利用することが可能な組成物の一例を表1に示す。
【0048】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0049】
需要者において内容物の使用に際し一旦ストッパ部材を取り外しても、再度これを取り付けて用いることが可能で、しかも押下ヘッドの押下ストロークを可変にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る第1実施形態として示した吐出器において、ストッパ部材の一端縁が第1筒体の下端縁に下側から近接若しくは当接し、他端縁が装着キャップの天壁部上に位置している状態を示す一部縦断面図である。
【図2】図1に示す吐出器において、ストッパ部材を上下反転させて取り付けた状態を示す一部縦断面図である。
【図3】図2に示すストッパ部材の上面図である。
【図4】図3に示すストッパ部材のA−A線矢視図である。
【図5】本発明に係る第2実施形態として示した吐出器において、ストッパ部材を上下反転させて取り付けた状態を示す一部縦断面図である。
【図6】本発明に係る第3実施形態として示した吐出器において、ストッパ部材を上下反転させて取り付けた状態を示す一部縦断面図である。
【図7】図6に示すストッパ部材の上面図である。
【図8】図7に示すストッパ部材のA−A線矢視図である。
【図9】本発明の吐出器が有するストッパ部材の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
10、40、50 吐出器
11 ステム
12 ノズル孔
14 嵌合筒部
15 押下ヘッド
17 天壁部
18 装着周壁部
19 ガイド筒部(第2筒体、中間部分)
19a 挿通孔
20 装着キャップ
21 液用ピストン
22 液用シリンダ
23 空気用ピストン
24 空気用シリンダ
25 気液混合室
26 発泡部材
27 囲繞筒部(第1筒体)
30a 一端縁
30b 他端縁
30、41、51、61 ストッパ部材
31 大径部
32 小径部
32a 薄肉部
33 フランジ状部
34 開口部
35 つまみ部
36、53、62 貫通孔
37 支持突部
42 第1係合部(係合部)
43 第2係合部(係合部)
52 第2係合突部(係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体の口部に上方付勢状態で立設されるステムと、
ステムの上端に取り付けられるとともに、ノズル孔が形成された押下ヘッドと、
前記ステムが上下動自在に挿入された挿通孔を有する天壁部、および天壁部の外周縁から下方に向けて延設された装着周壁部を備え、容器体の口部に装着される装着キャップと、が備えられ、
前記押下ヘッドをステムとともに押し下げることにより、容器体内の液体が前記ステムの内部を通してノズル孔から吐出される吐出器であって、
前記押下ヘッドには第1筒体が下方に向けて延設されるとともに、当該吐出器において前記第1筒体の下端縁と前記装着キャップの天壁部との間に位置する中間部分には、一端縁が前記第1筒体の下端縁に下側から近接若しくは当接し、他端縁が前記装着キャップの天壁部上に位置する筒状のストッパ部材が着脱可能に嵌合され、
前記ストッパ部材は、前記中間部分に嵌合する一端側の小径部と他端側の大径部とを有する二段筒状に形成されるとともに、その軸線方向における全長にわたって延びる開口部が形成されて上面視C字状に形成され、前記大径部の内径は前記第1筒体の外径よりも大きくなっていることを特徴とする吐出器。
【請求項2】
請求項1記載の吐出器であって、
前記押下ヘッドには、下方に向けて延設されて前記ステムが嵌合されるとともに、前記第1筒体により径方向外方から囲繞された嵌合筒部が備えられ、
前記装着キャップにおいて前記挿通孔の外周縁部には、第2筒体が上方に向けて延設され、この第2筒体の内側および挿通孔内に前記嵌合筒部が上下動自在に挿入され、前記中間部分は当該第2筒体となっていることを特徴とする吐出器。
【請求項3】
請求項1または2記載の吐出器であって、
前記ストッパ部材の小径部の内周面には、その周方向に間隔をあけて複数の支持突部が突設され、これらの支持突部が前記中間部分の外周面に当接していることを特徴とする吐出器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の吐出器であって、
前記ストッパ部材には、前記小径部と大径部とを連結するフランジ状部が備えられ、このフランジ状部に貫通孔が形成されていることを特徴とする吐出器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の吐出器であって、
前記小径部および前記大径部にはそれぞれ、前記軸線方向における全長にわたって延びる薄肉部が形成されており、小径部と大径部との連結部分のうち前記薄肉部と対応する位置に貫通孔が形成されていることを特徴とする吐出器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の吐出器であって、
前記第1筒体の外周面、および前記大径部の内周面にはそれぞれ、ストッパ部材を上下反転させた状態で前記中間部分の外面に小径部を嵌合して前記押下ヘッドを押し下げたときに、互いに係合可能な係合部が各別に形成され、
ストッパ部材の小径部は、前記中間部分の外面に上下摺動自在に嵌合されていることを特徴とする吐出器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の吐出器であって、
前記押下ヘッドおよびステムに連係した液用ピストンが内部を上下方向に摺動する液用シリンダと、
前記押下ヘッドに連係した空気用ピストンが内部を上下方向に摺動するとともに、前記装着キャップの内側に取り付けられた空気用シリンダと、
前記液用シリンダからの液体と空気用シリンダからの空気とが合流する気液混合室と、
前記ノズル孔と気液混合室との間に設置された発泡部材と、を備え、
容器体の口部に装着した状態で前記押下ヘッドを押し下げて液用シリンダ内の液体および空気用シリンダ内の空気を加圧することにより、これらの液体および空気を、気液混合室に移送して合流させ発泡部材を通して発泡させて前記ノズル孔から吐出する構成とされたことを特徴とする吐出器。
【請求項8】
容器体の口部に吐出器が装着された吐出器付き容器であって、
前記吐出器は、請求項1から7のいずれか1項に記載の吐出器とされ、前記容器体には液体洗浄剤組成物または殺菌剤組成物が収納されていることを特徴とする吐出器付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−120234(P2009−120234A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296952(P2007−296952)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】